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JP2009065849A - 核酸の抽出方法 - Google Patents

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JP2009065849A JP2007234914A JP2007234914A JP2009065849A JP 2009065849 A JP2009065849 A JP 2009065849A JP 2007234914 A JP2007234914 A JP 2007234914A JP 2007234914 A JP2007234914 A JP 2007234914A JP 2009065849 A JP2009065849 A JP 2009065849A
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Tadashi Matsunaga
是 松永
Takeshi Tanaka
剛 田中
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Tokyo University of Agriculture
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Abstract

【課題】安全な溶液中で固相担体に多量の核酸を効率良く吸着させるとともに、吸着された該核酸を高効率で脱離させ、簡単・迅速に高純度核酸抽出・精製を可能にする核酸抽出方法を提供する。また、抽出した核酸を断片化や増幅するための酵素反応に利用することを特徴とする遺伝子操作方法を提供すること。
【解決手段】表面にアミノシランを有する固相担体に前記アミノシランのアミノ基を介して静電的な結合により核酸を吸着させた後、該核酸をリン酸化合物溶液と反応させることにより、該核酸を溶媒中に再溶解させ、核酸抽出を行う。
【選択図】図3

Description

本発明は、固相担体を用いて核酸の吸着・脱離を行う核酸抽出方法に関するものであり、特に核酸抽出用溶液中にリン酸化合物を添加した高効率な核酸抽出方法に関するものである。
ヒトゲノム解読が完了し、近年、個人の遺伝情報を利用した研究開発が活発に行われている。遺伝子を対象とした解析研究や検査などの分野においては、血液などの生体サンプル中に含まれている核酸を簡便且つ高効率に抽出することが望まれる。
従来、分子生物学やバイオテクノロジー分野で用いられてきた核酸抽出方法としては、フェノール抽出などの有毒な有機溶剤を使用する古典的な方法に代わり、シリカビーズやシリカメンブレンフィルタなどのシリカ担体を用いて、これらシリカ担体の表面に核酸を高濃度のカオトロピック塩(塩酸グアニジン、グアニジンチオシアネートなど)を含む溶液中で選択的に吸着させる方法が用いられている(非特許文献1参照)。この方法によれば、危険な試薬を用いることなく、シリカ担体から核酸を容易に単離させることができ、効率的に核酸を回収することが可能である。
かかる方法として代表的なものは、1990年Boomらによって提唱された核酸抽出法(所謂、Boom法)が知られている。この核酸抽出法は、シリカコーティングした磁気ビーズを用い、カオトロピック反応により核酸の吸着、脱離を行う方法である(非特許文献2参照)。
また、これと同様の原理に基づく技術で、ポリエチレングリコール(PEG)存在下において、カルボキシル基で修飾された磁性ビーズに核酸が選択的に結合する現象を利用した核酸精製法(所謂、solid-phase reversible immobilization(SPRI) 法)が開発された(非特許文献3参照)。この核酸精製法によれば、遠心、ろ過、沈殿などの操作を必要とせず、簡単・迅速に高純度核酸抽出・精製が可能である。
これらの方法は、核酸抽出から遺伝子増幅・DNAシークエンスに至るまで同一プロトコルで処理することができ、自動化システムへの応用が可能であることから、現在最も汎用的な方法として用いられている。
しかしながら、Boom法は、核酸吸着工程において、刺激性、毒性を有するカオトロピック塩を高濃度条件において使用することが必須であるため、高濃度の塩が洗浄工程を経た後も残存し、核酸精製工程に続いて行われる遺伝子増幅やDNAの酵素切断などの際に悪影響を及ぼす可能性がある。また、Boom法は、種子サンプルなどの多糖類を多く含むサンプルを用いる場合には、カオトロピック塩の存在下で溶液が糊化するという欠点を有している。更に、核酸に結合した磁気ビーズを洗浄する操作では、70%エタノールが使用されるが、このエタノールが核酸精製工程後のプロセスに影響を及ぼすことが指摘されている。特に、マイクロチップデバイスのように、非常に微量な反応容量で核酸をハンドリングする必要がある場合には、その混入の危険性が高い。
SPRI法でも同様に、核酸吸着工程で用いられる高濃度塩(NaCl)の残存や洗浄工程における70%エタノールの混入による悪影響が問題となっている。
これらの問題点に対し、核酸を固定化させる固相表面と核酸との電荷相互作用を利用した核酸の単離方法が公表されている(特許文献1,2及び非特許文献4参照)。また、この単離方法とほぼ同様の原理(Charge-Switch technology)に基づくDNA抽出キットが市販されている。
これらの方法は、生体サンプル中の核酸をあるpH条件下で活性化固相と接触せしめ、負電荷を持つ核酸を、固相表面に導入されたキトサンなどの正に帯電した極性基と静電的に結合させた後、溶液のpHを変化させて固相表面の電荷を正から負に切り替えることにより、固相表面から核酸を容易に脱離させる方法である。これらの方法は、カオトロピック塩や高濃度塩、70%エタノールを使用しないため、安全性の点で優れている。
Vogelstein B., Gillespie D., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 1979, Vol.76, p615-619 Boom R., Sol CJ., Salimans MM., Jansen CL., Wertheim-van Dillen PM., van der Noordaa J., J. Clinmicrobiol., 1990, Vol.28., p495-503 Hawkins TL., O'Connor-Morin T., Roy A., Santillan C., Nucleic Acids Res., 1994, Vol.22, p4543-4544 Weidong Cao et al., Anal. Chem., 2006, Vol.78 No.20, p7222-7228 国際公開第99/29703号 特開2004-521881号公報
しかしながら、上述の単離方法では、核酸の吸着反応・脱離反応がpH依存的に制御されるため、核酸精製工程後のプロセスにおける溶液のpH条件を管理する必要がある。従って、この単離方法では、pH6付近でDNAを吸着させ、pH8付近でDNAを脱離させるというプロトコールを改変することはできない。
そこで、本発明者は、核酸を結合させる担体材料として、表面がアミノシラン処理によりアミノ基で修飾された粒子を用いることにより、核酸を効率よく回収する方法を開発した(特開2006-280277号公報参照)。
従来より、アミノシランは、DNAマイクロアレイの核酸吸着担体材料として知られているが、核酸との結合力が強固であるがゆえ、この特性が核酸の単離工程で支障になることが容易に想像され、上述の単離方法でも利用されていない。
これに対し、本発明者は、多価アニオンによりアミノシランから核酸を高効率で脱離できることを見出し、この現象を利用した、新たな核酸単離方法を提案した。
以上のように、生体サンプル中から効率的に核酸を回収するには、核酸の担体への吸着と脱離を的確に行うための条件検討が重要である。特に、遺伝子解析技術の高度化に伴い、微量サンプルからの高感度解析・診断が進むにしたがって、核酸抽出効率の向上が一層望まれている。
本発明者等は、上述の課題を解決すべく鋭意研究した結果、固相担体表面のアミノシランと結合した核酸を脱離させる反応において、図1に示すように、溶出液にリン酸化合物を加えることにより、該リン酸化合物と前記核酸とが置き換わり、容易に核酸を脱離できること、また低濃度の有機溶剤の添加により脱離効率が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の事項に関する。
(1)生体試料を表面にアミノシランを有する固相担体と混合し、前記アミノシランのアミノ基と前記生体試料中の核酸のリン酸基を静電的に結合させた後、該核酸と該核酸より前記アミノ基に対する官能性が高いリン酸基を有するリン酸化合物を含む水溶液とを接触させ、リン酸基置換反応により該核酸を前記水溶液中に溶出させることを特徴とする核酸抽出方法。
(2)前記リン酸化合物がリン酸ジエステル結合を有することを特徴とする(1)に記載の核酸抽出方法
(3)前記リン酸化合物はヌクレオチドであることを特徴とする(2)に記載の核酸抽出方法。
(4)前記リン酸化合物を含む水溶液中に有機溶媒が添加されることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の核酸抽出方法。
(5)前記有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール及びその異性体、ブタノール及びその異性体から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする(4)に記載の核酸抽出方法。
(6)前記有機溶媒の濃度が0.5〜20%であることを特徴とする(4)又は(5)に記載の核酸抽出方法。
(7)前記固相担体は、シリカ、ガラス、金属、ポリスチレン、ポリサッカライド、セラミック、人工磁性体、バクテリア由来の磁性体から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の核酸抽出方法。
(8)(1)乃至(7)のいずれか1項に記載の核酸抽出方法により、抽出した核酸を断片化や増幅するための酵素反応に利用することを特徴とする遺伝子操作方法。
(9)(1)乃至(7)のいずれか1項に記載の核酸抽出方法を行うための核酸抽出用試薬キット。
本発明では、固相担体に核酸を吸着させるに際し、核酸と前記固相担体表面に形成されたアミノシランを結合させることにより、固相担体表面に多量の核酸を吸着させることができる。
また、核酸を脱離させる際に固相担体表面に吸着させた核酸を脱離させる際に、リン酸化合物を使用することにより、前記核酸が該化合物と置き換わり、容易に核酸を水溶液中に再溶解させることができる。
従って、本発明によれば、高濃度のフェノールやクロロホルムなどの有機溶媒を用いることなく、また洗浄・精製後に行われる遺伝子増幅やDNAの酵素切断などの際に、酵素阻害等の影響を受けずに、核酸を効率よく回収することができる。
更に、本発明では、低濃度の有機溶剤を添加することにより、脱離効率を飛躍的に向上させることができる。このため、特にごく少量のサンプル中から対象とする核酸を効率よく単離する必要がある場合や、サンプル中に含まれる核酸の量が微量である場合でも、高純度・高回収率で核酸抽出を行うことが可能となる。
かかる核酸の吸着・脱離工程は、核酸精製後に続く遺伝子増幅・DNAシークエンスに至るまでの工程と同一プロトコルで処理することができる。従って、本発明によれば、自動化システムへの応用が可能であり、PCR法及びSNP自動検出の統合化が可能な核酸の抽出方法を提供することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の核酸の抽出方法は、生体試料を表面にアミノシランを有する固相担体と混合し、前記アミノシランのアミノ基を介して前記生体試料中の核酸を固相担体に静電的に結合させた後、該核酸と該核酸より前記アミノ基に対する官能性が高いリン酸基を有するリン酸化合物を含む水溶液とを接触させ、リン酸基置換反応により該核酸を前記水溶液中に溶出させることを特徴としている。
<アミノシランを有する固相担体>
[固相担体について]
本発明の核酸の抽出方法において使用される固相担体は、その表面に核酸を多量に吸着させるためのアミノシランが導入されてなる。表面がアミノシランにより修飾された固相担体では、化学的に安定なアミノ基による正電荷が付与される。このため、生体試料中の負電荷を有する成分を強い接着力により非特異的に吸着できる。中でも、核酸はアミノシランに対する親和性が高いため、前記アミノ基を介して該固相担体に強固に結合される。これにより、効率的に核酸を分離することができる。
アミノシランを表面に有する担体の核酸吸着量は、核酸の濃度との間に次式(1)のラングミュア型吸着等温式で示される関係が成り立つ。
N=NmaxKC/(1+KC)・・・(1)
但し、上式(1)中、Nは吸着量(pg/cm2)、Nmaxは最大吸着量(pg/cm2)、Kは吸着定数(ml/mol)、Cは溶質濃度(pg/μl)をそれぞれ示す。
例えば、(3−アミノプロピル)モノエトキシジメチルシラン[(3-aminopropyl)monoethoxydimethoxydimethylsilane]を固定化したシリカ担体へのオリゴヌクレオチド(溶質)の吸着においては、オリゴヌクレオチドの濃度に依存してシリカ担体に吸着する(図2参照)。
この場合、吸着定数は4.67×1012 ml/molであり、吸着速度は極めて速く、脱離速度は極めて遅い。このような現象は、アミノシランの高い吸着力によるものであり、前記シリカ担体への牛血清アルブミンの吸着・脱離における吸着定数Kはオリゴヌクレオチドの場合と同様に大きく、0.5×1010cm3/molである(J. Colloid Interface Sci. Vol.194, p408-418参照)。この事実から明らかなように、かかる現象は核酸特異的に起こるものではない。
本発明では、かかるアミノシランの特性に着目し、核酸の固相担体への吸着工程において、この原理を利用する。これにより、極めて強力に核酸の吸着を行うことができる。
この固相担体としては、例えばシリカ、ガラス、金属、ポリスチレン、ポリサッカライド、セラミック、人工磁性体、バクテリア由来の磁性体等が挙げられ、磁性及び大きさ等の観点から、特にバクテリア由来の磁性体(図3参照)が好適である。
前記バクテリア由来の磁性体は、酸化鉄で構成された単磁区構造を有し、その大きさは50〜100nm程度である。
この固相担体は、その表面構造が単層とされることは勿論、さらに表面処理を施すことによって二層以上に分岐を繰り返すデンドリマー状とされてもよく、抽出したい核酸の性質に応じて適宜設定することができる。
[アミノシランについて]
前記固相担体表面にアミノシランを保持せしめる方法としては、固相担体表面をアミノシラン処理する方法などが挙げられる。
前記アミノシラン処理は、特に限定されるものではないが、例えばアミノシリル化剤やアミノシランカップリング剤などの薬剤による処理などが挙げられる。
前記アミノシランカップリング剤を用いて処理する際には、固相担体に存在するヒドロキシル基を表面に露出させることが好ましい。例えば、固相担体としてバクテリア由来の磁性体等の磁性体を採択した場合、該固相担体表面に存在する脂質二重膜を除去することによって表面のヒドロキシル基を活性化させ、アミノシリル化反応、アミノシランカップリング反応を促進することができる。該固相担体上の脂質二重膜を除去する方法は、特に限定されるものではないが、例えば該固相担体を有機溶媒、界面活性剤、強アルカリ等で処理する方法が使用可能である。
該アミノシランカップリング剤は、前記固相担体表面のヒドロキシル基をアミノシランカップリングすることができれば、特に制限されるものでないが、入手し易さの観点から、例えば3-[2-(2-アミノエチル)-エチルアミン]-プロピルトリメトキシシラン(AEEA)や3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)等が好ましい。また前記シランカップリング剤を溶解させる溶媒としては、該アミノカップリング剤を溶解することができれば特に制限されるものではなく、アルコール、炭化水素、芳香族炭化水素等の従来公知の溶媒がいずれも使用可能である。好ましくはアミノ基を多量に導入することができることから芳香族炭化水素とされ、より好ましくはトルエンとされる。
このように、界面活性剤等により前記固相担体上に存在する脂質二重膜を除去した後、アミノシランカップリング剤を所定時間反応させることによりアミノシラン処理を施せば、固相担体表面にアミノ基を導入することができる。
ここで、該アミノ基の導入数は、スクシイミジル基を有し、第1級アミンと1対1で反応するサルフォサクシイミド6-[3'-(2-ピリジルジチオール)-プロピオンアミド]ヘキサノエイト(sulfo-LC-SPDP)と反応させ、DTT等のチオール性還元剤によってジスルフィド結合を切断し、遊離する化合物の吸光度を測定することにより定量することができる。
なお、アミノ基が表面に導入された固相担体は、炭化水素、アルコール、超純水等に安定に保存することができる。
<核酸の吸着>
本発明の核酸の抽出方法においては、核酸が溶解した溶液中で前記固相担体と該核酸を接触させ、該核酸を前記固相担体表面に形成されたアミノシランのアミノ基に吸着させる。これにより、ターゲットとなる核酸を前記固相担体表面に多量に効率よく吸着させることができる。
例えば、前記固相担体としてバクテリア由来の磁性体を用いた場合、図3に示すように、該磁性体表面に形成されたアミノシランのアミノ基と核酸のリン酸基が静電相互作用により結合し、該磁性体への核酸の吸着が起こる。
前記生体試料としては、培養細胞、動物由来の細胞又は組織(血液、血清、バフィーコート、体液、リンパ球等)、植物由来の細胞又は組織、あるいは細菌、真菌、ウィルス等、種々の生物を対象とした材料がいずれも使用可能である。
かかる生体試料は、該生体試料に含まれる核酸成分が溶液中に溶解された状態であることが好ましい。前記溶液としては、用いられる生体試料の種類に応じて、適宜選定されれば良く、例えば2-(N-morpholino)ethanesulfonic acid(MES)緩衝液、トリス塩酸緩衝液(Tris−HClバッファー)などの一般に使用される溶液がいずれも使用可能である。
かかる溶液のpHは5〜9の範囲内、より好ましくは5〜8の範囲内に調節される。pH条件をかかる範囲内とすることにより、安定した核酸吸着量を実現することができる。
また、該溶液には、低濃度の有機溶媒が添加されることが好ましい。該溶液中の有機溶媒は核酸の固相担体への吸着を促進することができる。
この低濃度有機溶媒としては、例えばアセトン、アセトニトリル、アルコール類、ジメチルホルムアミド等がいずれも使用可能であり、これらは単独又は組み合わせて使用されれば良い。
尚、固相担体に対する核酸の吸着量は、前記溶液中に添加した核酸量と固相担体表面のアミノ基と反応させ洗浄後に上清液から回収された核酸量との差をとることによって算出することができる。核酸の定量は、核酸定量試薬により行うことができる。
<核酸の脱離>
[リン酸化合物を含む水溶液について]
本発明においては、前記固相担体表面に形成されたアミノ基と結合した多量の核酸を効率よく脱離するために、リン酸化合物を使用する。図3に示すように、核酸抽出用の水溶液中に電離した状態で存在する前記リン酸化合物が前記核酸と置き換わって前記アミノ基と結合し、前記核酸は前記水溶液中に再溶解するため、前記固相担体からの前記核酸の脱離が容易に起こる。
該リン酸化合物としては、アミノ基との静電相互作用が核酸よりも大きいものであれば良く、例えばリン酸ジエステル結合を有する化合物等が好ましい。具体的に例示すれば、ADP、GDP、TDP、CDP、UDPのリボヌクレオシド二リン酸、ATP、GTP、TTP、CTP、UTPのリボヌクレオシド三リン酸、dADP、dTDP、dGDP、dCDPのデオキシリボヌクレオシド二リン酸、dATP、dTTP、dGTP、dCTP又はこれら4種の混合物(dNTP)、dUTPのデオキシリボヌクレオシド三リン酸、ポリリン酸等である。特に、デオキシリボヌクレオシド三リン酸は通常PCRの試薬として使用されるため、上述の脱離工程に次いで行われる遺伝子増幅の際に影響を及ぼすことがない点で優れている。
これらリン酸化合物の濃度は、1.0mM〜500mMであることが必要である。濃度が1.0mM未満であると、核酸の脱離が不十分となり、一方、濃度が500mMを超えると、PCR法による核酸増幅に障害が生じる。
また、該リン酸化合物を含む水溶液には、低濃度の有機溶媒が添加されることが好ましい。これにより、核酸の脱離効率を飛躍的に向上させることができる。
該有機溶媒としては、前記水溶液に可溶なものであれば良く、例えばアセトン、アセトニトリル、アルコール類、ジメチルホルムアミド等から適宜選択し又は組み合わせて使用可能である。中でもメタノール、エタノール、プロパノール及びその異性体、ブタノール及びその異性体等のアルコール類が好適であるが、環境負荷の点や安全性の面から、特にエタノールが好適である。
かかる有機溶媒の濃度は、0.5〜20%であることが好ましい。有機溶媒の濃度が0.5%を下回る範囲では、十分な効果を期待することができず、逆に20%を超える範囲では、核酸の脱離工程に続く洗浄工程後での残存により、次いで行われる遺伝子増幅やDNAの酵素切断などの際に、酵素阻害等の影響を受ける虞が生じる。
更に、前記水溶液に少量の塩化ナトリウム等の電解質を添加することにより、該水溶液のイオン強度を適宜調整しても良い。
以上の核酸脱離工程においては、多量の核酸が吸着した固相担体上に前記リン酸化合物を含む水溶液を加え、所定の温度にてインキュベートした後、核酸を脱離する。インキュベートする温度としては、10℃〜90℃、好ましくは20℃〜80℃である。インキュベートする温度が10℃未満であると核酸の脱離が起こりにくく、90℃以上であると脱離した核酸に障害を与えることとなり好ましくない。なお、前記リン酸化合物の濃度とインキュベートする温度の最適化、PCR法の適用を考えると、核酸の脱離する割合が同程度ならば、核酸抽出用の前記水溶液は低塩下であることが好ましいので、リン酸化合物の濃度を低く設定するとよい。
本発明において、前記固相担体表面に吸着した核酸の、前記リン酸化合物を含む水溶液によって脱離した量を定量するには、該核酸が吸着した固相担体に前記水溶液を加えた後の上澄み液中に遊離している核酸量を測定することにより行う。
<PCR法への適用>
本発明においては、前記核酸の抽出方法を従来のPCR法に統合することができる。すなわち、本発明の核酸の抽出方法により吸着、脱離し、抽出した核酸をテンプレートし、核酸増幅物とすることができる。特に、本発明の場合、水溶液で核酸抽出を行うことができるので酵素阻害等の悪影響を防止することができる。ここで、PCRは、核酸抽出物を所定の温度で、所定時間反応、変性させた後、伸長させる。PCR法を適用して得られた核酸増幅物は電気泳動後、染色により生じるバンドの有無により、確認することができる。
さらに本発明においては、核酸抽出方法によって抽出され、PCR法により増幅された核酸増幅産物を用いて、更にSNP自動検出を行うことができる。SNP検出は、特に限定されるものでなく、従来の方法にしたがって行うことができる。例えば、核酸増幅産物を緩衝溶液中で固定化した後、アルカリ処理により核酸を1本鎖化とし、標識した検出プローブとハイブリタイズを行い、標識した検出プローブを遊離させることによって行うことができる。
<核酸抽出用試薬キットとしての応用>
本発明の核酸抽出用試薬キットは、少なくとも上述した固相担体と、核酸が溶解した溶液と、核酸抽出用の水溶液とから構成されてなる。これらは別個の容器に収容され、上述の各工程において、順次添加混合されて使用される。該核酸抽出用試薬キットにより、生体試料中から所望の核酸を回収するに際し、必要な試薬を用意・調製する手間が省略でき、迅速に操作を行うことができる。
以下、本発明につき、実施例を用いて説明するが、本発明は、これになんら限定されるものではない。
<粒子の調製及び磁性細菌粒子の脂質二重膜の除去>
本実施例では、固相担体として磁性細菌粒子(平均粒径80nm)を使用した。磁性細菌粒子は磁性細菌MagnetospirillumMagneticum AMB−1を従来公知の手順に従って分離・調製した後、粒子表面の脂質二重膜の除去を行うことにより得た(Biotechnology and Bioengineering; Volume 94, Issue 5 , Pages 862 868 (2006)参照)。
即ち、MSGM培地100lとし、室温にて7日間、微好気条件下で培養した菌体から分離した。さらに、10000×g、4℃にて連続遠心集菌し、20mMトリス塩酸緩衝液(Tris−HClバッファー、pH7.0)で3回洗浄をした。遠心分離で得られた磁性細菌をトリス塩酸緩衝液(pH7.0)に懸濁し、フレンチプレス(有限会社大岳製作所製、商品名5501M)を使用して1500kg/cm2で破砕した。その後、ネオジムーボロン(Nd−B)磁石を用いて菌体破砕液から磁性細菌粒子を磁気分離した。回収した磁性粒子は、10mMPBS緩衝液中に保存した。
次に、PBS緩衝液に保存した前記磁性細菌粒子を形成するマグネタイトの結晶表面に存在するヒドロキシル基を露出させるために、ドジデル硫酸ナトリウム(SDS:界面活性剤)により脂質二重膜を除去した。先ず、磁性細菌粒子10mgを1%界面活性剤(SDS)溶液1mlに懸濁し、1時間煮沸させた。煮沸段階においては、5分ごとに磁性細菌粒子を超音波分散させた。その後、超純水及びメタノールで洗浄した。
<アミノ基修飾磁性細菌粒子の作製>
この磁性細菌粒子10mgを超純水で洗浄し、粒子表面のヒドロキシル基を活性化させるために、室温で10分間APM溶液(アンモニア過水、水:水酸化アンモニウム:過酸化水素=5:1:1の割合で混合した溶液、Fluka Chemical社製)に懸濁させ、表面処理を行った。
次に、該磁性細菌粒子をエタノール洗浄した後、アミノシランカップリング剤として、3-[2-(2-アミノエチル)-エチルアミン]-プロピルトリメトキシシラン(AEEA)を使用し、2%AEEAエタノール溶液20ml中で室温にて10分間反応させた。反応後、該磁性細菌粒子をジメチルホルムアミド(DMF、和光純薬工業社製)で洗浄した。
続いて、該磁性細菌粒子を120℃のDMF20ml中で30分間加熱し、10分毎に超音波で分散させた。かかる反応条件に設定した場合、後述する実施例1のように、磁性細菌粒子表面に単位粒子当り約2.7×10個と、従来法における条件下(60℃10分間で、常時超音波分散を行う)よりも安定で多量のアミノ基を導入することができた。
そして、カップリング反応後の磁性細菌粒子を磁気回収し、メタノール洗浄を3回繰り返した後、4℃の条件下にてメタノール中に保存した。
このように作製したアミノ基修飾磁性細菌粒子の表面に存在するアミノ基の数をサルフォサクシイミド6-[3'-(2-ピリジルジチオール)-プロピオンアミド]ヘキサノエイト(Sulfo-LC-SPDP、Pierce Chemical社製)を使用し測定した。
先ず、前記アミノ基修飾磁性細菌粒子を250μgとり、PBSで置換した後、10mM Sulfo-LC-SPDPPBS緩衝液中で懸濁して、室温にて30分インキュベートした。
次に、PBSで洗浄することにより非特異的に吸着したSulfo-LC-SPDPを除去した。この工程を3回繰り返した。
そして、PBS緩衝液中の20mMDTT200μlに粒子を懸濁し、Sulfo-LC-SPDPのジスルフィド結合の開裂により2−ピリジルチオールを遊離させるためにインキュベートした。遊離した2−ピリジルチオールの343nmの吸光度を測定することにより磁性細菌粒子表面上のアミノ基を測定した。なお、2−ピリジルチオールの検出には紫外線可視分光度計(島津製作所 製UV−1600)を使用した。また、磁性細菌粒子表面のアミノ基と反応するSulfo-LC-SPDPの濃度は、20mM2−ピリジルチオール溶液中のSulfo-LC-SPDPの異なる濃度について標準曲線を作成して求めた。
また、磁性細菌粒子表面のアミノ基の数は、単位面積当り概ね1.1個/nmであるので(粒子形状を50×50×100nmと仮定すると、その表面積は2.5×10nmと見積もられるため)、約2.7×10個/粒子であることがわかった。
<アミノ基修飾磁性細菌粒子によるλDNAの吸着>
以上のようにして得られたアミノ基修飾磁性細菌粒子を使用し、核酸としてλDNA(48,502bp、タカラバイオ社製)を用いて、前記粒子への該λDNAの吸着を行った。
即ち、アミノ基修飾磁性細菌粒子50μgに所定の濃度のλDNAを含む溶液40μlを加えた後、室温でインキュベートした。そして、磁性細菌粒子に結合したλDNAを磁気的に回収した。さらに磁性細菌粒子の洗浄を3回繰り返した。
そして、加えたλDNAの量から洗浄後に上澄み溶液に存在するλDNAの量の合計を差し引きして、磁性細菌粒子によるλDNAの吸着量を求めた。λDNAの吸着量は、2本鎖DNA定量試薬である PicoGreen(モレキュラープローブ社製)を使用し、fluorescence microplate reader (商品名:FLUO Star Galaxy,BMG Labtechnologies社製)により502nmと523nmにおける蛍光強度を測定し、異なる濃度におけるλDNAの吸着量から標準曲線を作成して求めた。
図4に、磁性細菌粒子50μgに対して、λDNAの添加量を0〜1700ngの範囲で変化させたときのλDNAの吸着量を示す。尚、該磁性細菌粒子はトリス塩酸緩衝液(pH8.0)に懸濁させた。
この結果から、最大で約120ngのλDNAを吸着できることが明らかとなった。
次に、該磁性細菌粒子を含む前記トリス塩酸緩衝液中にλDNAを添加してからの経過時間とλDNA吸着量の関係について調べた。測定は、5、10、20、40、80分経過後にそれぞれ行った。
この結果を図5に示す。図5より、20分間経過した時点で、吸着量はほぼ最大となり、更に40分間経過後は殆ど一定値に収束することが確認できた。
また、前記磁性細菌粒子を懸濁させる溶液(核酸吸着用の溶液)の種類を次の通り変化させ、pHによる吸着量への影響を検討した。
即ち、前記磁性細菌粒子とλDNAを混合させる溶液として、25mM2-(Nmorpholino)ethanesulfonic acid(MES)緩衝液(pH5、pH6及びpH7の場合)、25mMトリス塩酸緩衝液(pH8、pH9の場合)及び25mMカーボネート緩衝液(pH10の場合)を用い、核酸吸着用の溶液のpHを5〜10の範囲で変化させたときの前記磁性細菌粒子に対するλDNAの吸着量をそれぞれ調べた。
この結果、図6に示すように、前記核酸吸着用溶液のpHが9以下の範囲内で吸着が起こり、特にpHが5〜8の範囲に設定されることにより、優れた吸着効率が得られるのに対して、pHが10の条件下では、ほぼ10%程度しか吸着が起こらなかった。ここで、AEEAの酸解離定数pKaは9.7であるので、pHが9を超えるとアミノ基は脱プロトン化され、逆にpHが8以下になると、アミノ基のプロトン化が十分に起こると予想される。つまり、λDNAの吸着反応は前記磁性細菌粒子表面の電荷に関係していると言える。
更に、核酸吸着用の溶液に種々の有機溶媒を添加した場合の吸着効率について調べた。
即ち、該磁性細菌粒子を含む前記トリス塩酸緩衝液(pH8.0)中に、アセトニトリル、DMF、メタノール又はエタノールを添加した場合と、有機溶媒を添加しない場合について、前記磁性細菌粒子に対するλDNAの吸着量をそれぞれ測定した。尚、上述の各種有機溶媒はいずれも5%となるように調製した。この結果を表1に示す。
表1に示すように、有機溶媒を添加しない場合に比べ、低濃度の各種有機溶媒を添加することにより、良好な吸着効果が得られることがわかった。また、メタノールやエタノールなどのプロトン性溶媒を使用する場合に比べ、アセトニトリルやDMFなどの非プロトン性溶媒を使用する場合の方が高い吸着効果を得ることができた。これは、有機溶媒によってλDNAの周囲に存在する水分子構造の規則性が失われ、その結果λDNAとアミノ基間の静電的な結合がより速く進んだためと考えられる。また、有機溶媒非存在下ではλDNA中のリン酸が水和しており、アミノ基との相互作用が起こりにくく、結果として核酸が十分に吸着しない可能性があることが示唆される。
<アミノ基修飾磁性細菌粒子に吸着したλDNAの脱離>
(実施例1〜2及び比較例1〜5)
前記アミノ基修飾磁性細菌粒子50μgに1Mリン酸ナトリウムが添加されたトリス塩酸緩衝液(PH8.0)を加え、80℃で40分間インキュベートした。インキュベートと同時に5分ごとに超音波で磁性細菌粒子を攪拌した。磁性細菌粒子を磁気回収して、上澄み液中に存在する脱離したλDNAを定量した(実施例1)。尚、磁性細菌粒子はλDNAを最大吸着量の120ngを吸着させたものを用いた。
また、比較例として、実施例1で使用した1Mリン酸ナトリウムを、1Mクエン酸ナトリウム(比較例1)、1M酒石酸ナトリウム(比較例2)、塩化ナトリウム(比較例3)、1M硝酸アンモニウム(比較例4)、1M硫酸ナトリウム(比較例5)にそれぞれ変え、その他の条件は実施例1と同様にした場合についても併せて調べた。この結果を図7に示す。
図7に示すように、核酸抽出用の溶液中にリン酸ナトリウムを用いることにより、λDNAを効率的に脱離、抽出することができることがわかった。
これに対して、比較例1〜5の場合では十分な効果が得られなかったことから、核酸の脱離に対する効果は、添加するアニオンのホフマイスター系列に依存するのではなく、実施例1のようにリン酸基が存在することにより顕著となることがわかった。
次に、核酸抽出用の溶液中に有機溶剤を添加させたときの脱離効果について検討した。ここで、有機溶剤としては、メタノールを用いた。
即ち、実施例1及び比較例1〜5において使用したトリス塩酸緩衝液中に、メタノールを5、10、15%の濃度範囲で段階的に変化させて添加した以外は、上述の実施例1や比較例1〜5と同様にしてλDNAの脱離量をそれぞれ調べた。この結果、図7に併せて示す。
図7より、リン酸化合物とメタノールの共存下では、飛躍的に脱離効果を向上させることができ、特にメタノールの濃度を15%とした場合では、約90%近くλDNAを脱離、抽出することが明らかとなった。これは、メタノールの添加により、正電荷を持つアミノ基と相互作用することができるリン酸イオンの周りに存在する水分子が奪われることに起因すると考えられる。
また、実施例1で使用した1Mリン酸ナトリウムをdNTPに変え、その他は実施例1と同様にしたときの核酸の脱離効率を調べた(実施例2とする)。
図8に、核酸抽出用の溶液中に1Mリン酸ナトリウムを添加した場合のλDNAの脱離量を100%とし、添加するリン酸化合物としてdNTPを用いたときの脱離効率に対するdNTPの濃度依存性を示す。
この結果から、リン酸ナトリウムよりdNTPを用いることで、より低モル濃度の媒質で核酸の脱離が可能となることが明らかとなった。
<抽出した大腸菌ゲノムDNAのPCR法による増幅>
(実施例3)
上述のアミノ基修飾磁性細菌粒子(50μg/40μl)に対し、大腸菌精製ゲノム1000ngを添加し、核酸の吸着を行った。
即ち、前記磁性細菌粒子を上述と同様にして洗浄した後、2.5 mM のdNTPを含む溶液を使用して磁性細菌粒子からλDNAを脱離した。
この核酸抽出用の溶液を1μl採取し、全量25μlで、PCRを行った。PCRのターゲットとしては、大腸菌のgyrB遺伝子に特異な配列を使用した。その配列は、フォワードプライマー:5'-TGCGTGAGTTGTCGTTCCTC-3'およびリバースプライマー: 5'-ACGCCAATACCGTCTTTTTCA-3'である。
PCR反応は0.75U TaqDNAポリメラーゼ 、0.25mM dNTPs、0.4μM プライマー、1.5mMの塩化マグネシウムを含むPCRバッファー中で行った。PCR反応の条件は、94℃で20秒、55℃で30秒、 72℃で40秒を35サイクルで行い、その後72℃で3分間伸長させた。PCR反応後のPCR増幅産物は2.0%アガロースを用いて電気泳動を行い、電気泳動後、エチルブロマイドで染色して確認をした。結果を図9に示す。
図9より、1Mリン酸ナトリウム緩衝溶液で溶出したλDNAをサンプルとした場合には、添加するメタノール濃度に関わらず遺伝子増幅がみられないのに対し(図9中、レーン1〜4)、2.5 mM dNTPを加えた場合にはコントロール(図9中、レーンC)と同等の遺伝子増幅が認められた。尚、コントロールには、大腸菌の精製ゲノム1ngをサンプルとして用いた。
このことから、dNTPを溶出溶液とした場合にはPCR阻害性が全く見られないことが明らかとなった。
本発明の核酸の抽出方法は、従来法において、核酸抽出後の遺伝子増幅や酵素処理などの反応における阻害効果とされていた高塩濃度や高い有機溶媒含有の試薬を必要としないため、核酸抽出の自動化技術に大いに貢献することができる。このため、本発明は、遺伝子診断やオーダーメイド医療等の発展が著しい医療分野において、有効な核酸抽出技術を提供することができる。
また、上述のように高塩濃度や高い有機溶媒を用いないことから、本発明は、例えば多糖を多く含む生体試料を対象とする解析・検査の際にも適用でき、遺伝子解析技術の向上に大きく寄与することが可能である。
本発明における核酸の吸着・脱離反応を模式的に示す図である。 固相担体へのオリゴヌクレオチドの濃度と吸着量の関係を示す図である。 バクテリア由来の磁性体を用いたリン酸基による核酸の置換反応の概念図である。 λDNAの吸着量の濃度依存性を示す図である。 吸着時間とλDNAの吸着量の関係を示す図である。 吸着工程における溶液のpHを変化させたときの吸着量を示す図である。 核酸抽出用の溶液に添加される化合物の種類を変化させた場合において、使用した有機溶媒の濃度を段階的に変化させたときのλDNAの脱離度(%)の関係を示す図である。 核酸抽出用の溶液に添加するdNTPの濃度を変化させたときのλDNAの脱離量の変化を示す図である。 dNTPを用いた磁性細菌粒子表面より脱離したλDNAのgyrB遺伝子のPCR増幅結果を示す電気泳動写真である。

Claims (9)

  1. 生体試料を表面にアミノシランを有する固相担体と混合し、前記アミノシランのアミノ基と前記生体試料中の核酸のリン酸基を静電的に結合させた後、該核酸と該核酸より前記アミノ基に対する官能性が高いリン酸基を有するリン酸化合物を含む水溶液とを接触させ、リン酸基置換反応により該核酸を前記水溶液中に溶出させることを特徴とする核酸抽出方法。
  2. 前記リン酸化合物がリン酸ジエステル結合を有することを特徴とする請求項1に記載の核酸抽出方法。
  3. 前記リン酸化合物はヌクレオチドであることを特徴とする請求項2に記載の核酸抽出方法。
  4. 前記リン酸化合物を含む水溶液中に有機溶媒が添加されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の核酸抽出方法。
  5. 前記有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール及びその異性体、ブタノール及びその異性体から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項4に記載の核酸抽出方法。
  6. 前記有機溶媒の濃度が0.5〜20%であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の核酸抽出方法。
  7. 前記固相担体は、シリカ、ガラス、金属、ポリスチレン、ポリサッカライド、セラミック、人工磁性体、バクテリア由来の磁性体から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の核酸抽出方法。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の核酸抽出方法により、抽出した核酸を断片化や増幅するための酵素反応に利用することを特徴とする遺伝子操作方法。
  9. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の核酸抽出方法を行うための核酸抽出用試薬キット。
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