本発明は、表示装置及び表示装置の駆動方法に関し、例えばポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)を用いた有機EL(Electro Luminescence)素子によるアクティブマトリックス型のディスプレイ装置に適用することができる。本発明は、画素の駆動に適した第3の電圧系の振幅より小さな第2の電圧系の振幅で選択信号を生成した後、第3の電圧系の振幅に変換し、この第3の電圧系の振幅による選択信号を基準にして第3の電圧系の振幅による垂直イネーブル信号を処理して駆動信号を生成することにより、消費電力、周辺回路の面積の増大を有効に回避して、従来に比して走査線に出力する駆動信号の精度を向上する。
従来、ポリシリコンを用いたアクティブマトリックス型のディスプレイ装置では、ガラス基板等による絶縁基板上にマトリックス状に画素を配置して表示部が形成され、この絶縁基板上、表示部の周囲に、表示部を駆動する垂直駆動回路、水平駆動回路等が設けられる。
ここで図15は、この種のディスプレイ装置を示すブロック図である。このディスプレイ装置1において、表示部2は、例えば有機EL素子による電流駆動型の発光素子を有する画素3がマトリックス状に配置されて形成される。表示部2は、このマトリックス状に配置した画素3に対して、走査線VSCAN1(1)〜VSCAN1(4)がライン単位で水平方向に設けられ、また走査線VSCAN1(1)〜VSCAN1(4)と直交するように信号線SIG(1)〜SIG(3)が列毎に設けられる。なおこの図15では、3×4個の画素により表示部2を形成した場合を示す。また実際のディスプレイ装置では、各画素3の構成に応じて、1つの画素3に複数の走査線が設けられるが、この図15の例では、1つの画素3に1つの走査線VSCAN1(1)〜VSCAN1(4)が設けられている場合を示す。
Hスキャン回路4は、水平駆動回路であり、各画素3の階調を示す画像データD1を入力し、この画像データD1を所定のクロックHCKにより順次ラッチして各信号線SIG(1)〜SIG(3)に振り分ける。さらにHスキャン回路4は、この振り分けた画像データD1をアナログディジタル変換処理し、対応する信号線SIG(1)〜SIG(3)に接続された画素3の階調を時分割により示す駆動信号を各信号線SIG(1)〜SIG(3)に出力する。
Vスキャン回路5は、垂直駆動回路に設けられ、各画素3の動作を制御する駆動信号S2(1)〜S2(4)を生成して走査線VSCAN1(1)〜VSCAN1(4)に出力する。より具体的に、Vスキャン回路5は、図16に示すように、所定の基準パルスである垂直同期信号に同期した垂直スタートパルスVST(図16(A))を、垂直クロックVCK(図16(B))により順次転送し、走査線VSCAN1(1)〜VSCAN1(4)毎に、走査線VSCAN1(1)〜VSCAN1(4)を順次選択する選択信号S1(1)〜S1(4)(図16(D1)〜(D4))を生成する。Vスキャン回路5は、この選択信号S1(1)〜S1(4)を基準にして垂直イネーブル信号VEN(図16(C))を処理することにより、走査線VSCAN1(1)〜VSCAN1(4)毎に、各走査線VSCAN1(1)〜VSCAN1(4)に接続された画素3の動作を制御する駆動信号S2(1)〜S2(4)(図16(E1)〜(E4))を生成する。なおここで垂直イネーブル信号VEN(図16(C))は、各駆動信号S2(1)〜S2(4)において信号レベルの切り換わるタイミングを設定する基準信号であり、この図16の例では垂直イネーブル信号VEN(図16(C))をそれぞれ選択信号S1(1)〜S1(4)により選択して駆動信号S2(1)〜S2(4)(図16(E1)〜(E4))を生成する。
ここでこの種のディスプレイ装置1では、垂直スタートパルスVST、垂直クロックVCK、垂直イネーブル信号VENが3〔V〕以下の振幅でVスキャン回路5に入力される。これに対してポリシリコンの回路は、数V〜10数Vの駆動電圧が必要であり、有機EL素子の駆動には、さらに大きな振幅が必要になる。そこでVスキャン回路5は、垂直スタートパルスVST、垂直クロックVCK、垂直イネーブル信号VENから各走査線VSCAN1(1)〜VSCAN1(4)の駆動信号S2(1)〜S2(4)(図16(E1)〜(E4))を生成する際に、レベル変換回路を用いて、これら垂直スタートパルスVST、垂直クロックVCK、垂直イネーブル信号VEN等の振幅、駆動信号S2(1)〜S2(4)の振幅を補正する。
図17は、Vスキャン回路5の具体的構成を示すブロック図である。このVスキャン回路5は、例えばHレベル及びLレベルが3〔V〕及び0〔V〕の振幅で垂直スタートパルスVST、垂直クロックVCK、垂直イネーブル信号VENを入力する。なお以下において、このVスキャン回路5の入力信号の振幅を第1の電圧系の振幅と呼び、符号Iにより示す。
Vスキャン回路5において、レベル変換回路(L/S)6〜8は、これら垂直スタートパルスVST、垂直クロックVCK、垂直イネーブル信号VENの振幅を、ポリシリコンの回路の駆動に適し、かつ有機EL素子の駆動に適した振幅より小さな、例えばHレベル及びLレベルが10〔V〕及び0〔V〕の振幅に補正する。なお以下において、このポリシリコンの回路の駆動に適し、かつ有機EL素子の駆動に適した振幅より小さな振幅を第2の電圧系の振幅と呼び、符号IIにより示す。
シフトレジスタ(S/R)10(1)〜10(4)は、レベル変換回路6から出力される垂直スタートパルスVSTを、レベル変換回路7から出力される垂直クロックVCKにより順次転送し、Hレベル及びLレベルが10〔V〕及び0〔V〕の選択信号S1(1)〜S1(4)を生成する。
論理回路11(1)〜11(4)は、この選択信号S1(1)〜S1(4)を基準にして垂直イネーブル信号VEN(図16(C))を論理演算処理することにより、走査線VSCAN1(1)〜VSCAN1(4)毎に、Hレベル及びLレベルが10〔V〕及び0〔V〕の駆動信号S2(1)〜S2(4)を生成する。より具体的に、論理回路11(1)〜11(4)は、図16について上述した例ではアンド回路により構成され、レベル変換回路7から出力される垂直イネーブル信号VENと、各選択信号S1(1)〜S1(4)との論理積をそれぞれ計算して駆動信号S2(1)〜S2(4)を生成する。
なお駆動信号には、近接する走査線に出力する駆動信号等に応じて波形を切り換える場合、インターレース方式により奇数フィールドと偶数フィールドとで波形を切り換える場合等もあり、このような場合、論理回路11(1)〜11(4)は、さらに複雑な論理演算処理を実行して駆動信号S2(1)〜S2(4)を生成する。
レベル変換回路(L/S)12(1)〜12(4)は、論理回路11(1)〜11(4)から出力される駆動信号S2(1)〜S2(4)の振幅を、有機EL素子の駆動に適した例えばHレベル及びLレベルが15〔V〕及び−5〔V〕の振幅に変換して出力する。なお以下において、この有機EL素子の駆動に適した振幅を第3の電圧系の振幅と呼び、符号III により示す。バッファ回路13(1)〜13(4)は、レベル変換回路(L/S)12(1)〜12(4)から出力される駆動信号S2(1)〜S2(4)により各走査線VSCAN1(1)〜VSCAN1(4)を駆動する。
図18は、レベル変換回路6〜8の構成を示す接続図である。レベル変換回路6〜8は、いわゆるカレントミラー型のレベル変換回路であり、第2の電圧系IIのHレベルに対応する正側電源VDDIIにそれぞれドレインを接続したPチャンネル型のトランジスタTR1及びTR2によるカレントミラー回路が設けられ、これらトランジスタTR1及びTR2のソースに、それぞれNチャンネル型のトランジスタTR3及びTR4のドレインが接続される。これらトランジスタTR3及びTR4は、それぞれゲートが正側電源VDDIIに接続され、図19(A)に示すように、第1の電圧系Iの振幅による入力信号IN、入力信号INの反転信号XINがソースに入力される。なおトランジスタTR4のソースは、反転信号XINの入力に代えて、一定電圧の基準電圧REFに設定される場合もあり、この基準電圧REFは、入力信号INのHレベル及びLレベルの略平均の電圧に設定される。
これによりレベル変換回路6〜8は、第1の電圧系Iにより入力される垂直スタートパルスVST、垂直クロックVCK、又は垂直イネーブル信号VENによる入力信号INに応じてトランジスタTR3、TR4が相補的にオンオフ動作し、トランジスタTR3、TR4のドレイン電圧を第2の電圧系IIの振幅で変化させる。レベル変換回路6〜8は、トランジスタTR3のドレイン電圧をバッファ回路15を介して出力し、これにより第1の電圧系Iの振幅による入力信号INを第2の電圧系IIの振幅により出力する。なおこの図19において、電圧VSSIIは、第2の電圧系IIのLレベルに対応する負側電源の電圧であり、図18の例ではグランドレベルである。
なおレベル変換回路6〜8には、種々の回路構成を適用することができる。図20は、図18との対比により他の回路構成によるレベル変換回路を示す接続図である。この図20のレベル変換回路17は、図18のレベル変換回路と同様のカレントミラー型のレベル変換回路であり、正側電源VDDIIにそれぞれドレインを接続したPチャンネル型のトランジスタTR1及びTR2によるカレントミラー回路が設けられ、これらトランジスタTR1及びTR2のソースに、それぞれNチャンネル型のトランジスタTR3及びTR4のドレインが接続される。ここでこれらトランジスタTR3及びTR4は、それぞれ第1の電圧系Iの振幅による入力信号IN、入力信号INの反転信号XINがソースに入力され、トランジスタTR3のドレイン電圧がバッファ回路15を介して出力される。
レベル変換回路17は、それぞれソース接地型のトランジスタTR5及びTR6のゲートに反転信号XIN及び入力信号INが入力されると共に、これらトランジスタTR5及びTR6のドレインが、トランジスタTR3及びTR4のゲートに接続され、これによりトランジスタTR5及びTR6を介して反転信号XIN及び入力信号INがトランジスタTR3及びTR4に入力される。なおこれらトランジスタTR5及びTR6は、ゲートを接地したトランジスタTR7及びTR8をそれぞれ介してドレインが負側電源VDDII(この図20ではグランドレベル)に接続される。
またトランジスタTR3及びTR4とゲート及びソースを共通に接続したトランジスタTR9、TR10のドレインが、これらトランジスタTR5及びTR6のドレインに接続される。これによりこのレベル変換回路17は、十分な帰還利得によりトランジスタTR3、TR4をオンオフ動作させて、第1の電圧系Iによる入力信号INを第2の電圧系IIにより出力する。なおこの図20のレベル変換回路17のタイムチャートは、図18のレベル変換回路のタイムチャートと同一に、図19で表される。
これに対して第2の電圧系IIを第3の電圧系III に変換するレベル変換回路12(1)〜12(4)は、走査線VSCAN1(1)〜VSCAN1(4)毎に設けられることから、Vスキャン回路5に設けられる数が多くなる。従って図18、図20等により示すカレントミラー型のレベル変換回路を適用したのでは、ディスプレイ装置の消費電力が著しく増大することになる。
そこで例えば図21に示すように、これらのレベル変換回路12(1)〜12(4)には、いわゆるラッチ型のレベル変換回路が適用される。すなわちこれらのレベル変換回路12(1)〜12(4)は、第2の電圧系IIのHレベルに対応する正側電源VDDIIにそれぞれドレインを接続したトランジスタTR1及びTR2のゲートに、図22((A))により示す第2の電圧系IIの振幅による入力信号IN及び入力信号INの反転信号XINを入力する。ここでこれらトランジスタTR1及びTR2は、それぞれトランジスタTR3及びTR4を介して、第3の電圧系III のLレベルに対応する負側電源VSSIII にソースが接続され、これらトランジスタTR3及びTR4は、相互にゲート及びドレインが接続される。これによりレベル変換回路12(1)〜12(4)は、図22(B)により示すように、第2の電圧系IIによる入力信号IN及び反転入力信号XINに応じて相補的にオンオフ動作し、第2の電圧系IIのHレベルと第3の電圧系III のLレベルとの間でトランジスタTR3及びTR4のドレイン電圧を切り換え、このドレイン電圧による出力信号OUT1、XOUT1をトランジスタTR5及びTR6に出力する。
トランジスタTR5及びTR6は、第3の電圧系III の負側電源VSSIII にソースが接続され、ゲートにそれぞれ出力信号OUT1、XOUT1を入力する。これらトランジスタTR5及びTR6は、それぞれトランジスタTR7及びTR8を介して、第3の電圧系III のHレベルに対応する正側電源VDDIII にゲートが接続され、これらトランジスタTR7及びTR8は、相互にゲート及びドレインが接続される。これによりレベル変換回路12(1)〜12(4)は、図22(C)により示すように、第2の電圧系IIの振幅による入力信号IN及び反転入力信号XINに応じて、第3の電圧系III のHレベルとLレベルとの間でトランジスタTR5及びTR6のドレイン電圧を切り換え、このドレイン電圧による出力信号OUT2、XOUT2を出力する。
この種のVスキャン回路では、図17との対比により図23に示すように、垂直クロックVCKの振幅を補正するレベル変換回路7を省略する構成もあり、この構成のVスキャン回路18では、シフトレジスタ10(1)〜10(4)に代えて、図24に示すSRラッチ回路構成のシフトレジスタ19(1)〜19(4)により垂直スタートパルスVSTを順次転送する。
すなわちシフトレジスタ19(1)〜19(4)は(図24)、バッファ回路21を介して出力信号OUT(S2(1)〜S2(4))をそれぞれ出力するようにして、シフトレジスタ19(1)〜19(4)の入力信号IN(図25(B))とバッファ回路21の入力信号との論理和信号がオア回路22で生成される。シフトレジスタ19(1)〜19(4)は、インバータ23、ソース接地型のトランジスタTR1を介して、この論理和信号がトランジスタTR2のソースに入力される。ここでこのトランジスタTR2は、第2の電圧系IIの正側電源VDDIIにドレインが接続され、この正側電源VDDIIにドレインを接続して論理和信号をゲートに入力するトランジスタTR3のソースがゲートに接続される。またトランジスタTR2は、論理和信号をゲートに入力して垂直クロックVCKの反転信号XVCK(図25(A))をソースに入力するトランジスタTR4のドレインがゲートに接続され、ダイオード接続のトランジスタTR5を介して垂直クロックVCKがソースに入力される。
シフトレジスタ19(1)〜19(4)は、このダイオード接続のトランジスタTR5に対して、トランジスタTR6がカレントミラー回路構成により接続され、このトランジスタTR6のソースにクロックVCKの反転信号XVCKが入力される。またこのトランジスタTR6のドレインがトランジスタTR7のソースに接続される。またこのトランジスタTR7のゲートに、トランジスタTR2と同様にトランジスタTR8を介して論理和信号が入力され、トランジスタTR2とは逆に、トランジスタTR9を介してクロックVCKが入力される。
シフトレジスタ19(1)〜19(4)は、このトランジスタTR7のソースがトランジスタTR10により第2の電圧系IIの電源電圧VDDIIにプルアップされ、このトランジスタTR7のソース電圧が、インバータ24、バッファ回路21を介して出力される。これによりシフトレジスタ19(1)〜19(4)は、図25(A)〜(C)に示すように、第2の電圧系による垂直スタートパルスVSTを、第1の電圧系Iによる垂直クロックVCK、垂直クロックVCKの反転信号XVCKにより順次転送して第2の電圧系の振幅により出力する。なお図17及び図23との対比により図26に示すように、シフトレジスタに代えて、デコーダ26により選択信号S1(1)〜S1(4)を生成する場合もある。
この種の有機EL素子を用いたディスプレイ装置に関しては、例えばUSP5,684,365、特開平8−234683号公報等に種々の工夫が提案されている。
ところでこれら図17、図23、図26によるVスキャン回路では、走査線VSCAN1(1)〜VSCAN1(4)毎に、第2の電圧系IIの振幅を第3の電圧系III の振幅に変換するレベル変換回路12(1)〜12(4)が設けられる。これに対してポリシリコン回路によるラッチ型のレベル変換回路では、回路間で遅延時間がばらつき、これにより回路間でタイミングのばらつきが大きい欠点がある。これによりこれら図17、図23、図26によるVスキャン回路では、各走査線VSCAN1(1)〜VSCAN1(4)の駆動信号S1(1)〜S1(4)間でタイミングがばらつき、このタイミングのばらつきが表示画像に種々に影響を与える問題がある。
この問題を解決する1つの方法として、図21について上述したラッチ型のレベル変換回路12(1)〜12(4)に代えて、回路間でタイミングのばらつきが小さい図18、図20について上述したカレントミラー型のレベル変換回路を適用することが考えられる。しかしながらこの方法では、消費電力が著しく増大する欠点がある。
また周辺回路を含めた全体を第3の電圧系III で動作させる方法も考えられるが、この方法の場合も消費電力が著しく増大する。またこの方法では、トランジスタの大きさが大きくなり、周辺回路の面積が増加する欠点もある。
USP5,684,365
特開平8−234683号公報
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、消費電力、周辺回路の面積の増大を有効に回避して、従来に比して走査線に出力する駆動信号の精度を向上させることができる表示装置及び表示装置の駆動方法を提案しようとするものである。
上記の課題を解決するため請求項1の発明は、画素をマトリックス状に配置して形成された表示部の走査線に、垂直駆動回路から駆動信号を出力して前記画素を駆動することにより、前記表示部で所望の画像を表示する表示装置に適用して、前記垂直駆動回路は、基準パルスを処理して、前記画素の駆動に適した第3の電圧系の振幅より小さな第2の電圧系の振幅により、前記走査線毎に、前記走査線を順次選択する選択信号を生成する選択信号生成回路と、前記走査線毎に、前記第2の電圧系の振幅による前記選択信号を前記第3の電圧系の振幅に変換する走査線毎のレベル変換回路と、前記走査線毎に、前記走査線毎のレベル変換回路の出力信号をそれぞれ基準にして、前記駆動信号において信号レベルの切り換わるタイミングを設定する前記第3の電圧系の振幅による垂直イネーブル信号を処理することにより、前記第3の電圧系により前記駆動信号を生成する走査線毎の駆動信号生成回路とを備えるようにする。
また請求項8の発明は、画素をマトリックス状に配置して形成された表示部の走査線に、垂直駆動回路から駆動信号を出力して前記画素を駆動することにより、前記表示部で所望の画像を表示する表示装置の駆動方法に適用して、基準パルスを処理して、前記画素の駆動に適した第3の電圧系の振幅より小さな第2の電圧系の振幅により、前記走査線毎に、前記走査線を順次選択する選択信号を生成する選択信号生成のステップと、前記走査線毎に、前記第2の電圧系の振幅による前記選択信号を前記第3の電圧系の振幅に変換する走査線毎のレベル変換のステップと、前記走査線毎に、前記走査線毎のレベル変換のステップによる出力信号をそれぞれ基準にして、前記駆動信号において信号レベルの切り換わるタイミングを設定する前記第3の電圧系の振幅による垂直イネーブル信号を処理することにより、前記第3の電圧系により前記駆動信号を生成する走査線毎の駆動信号生成のステップとを有するようにする。
請求項1又は請求項8の構成によれば、駆動信号において信号レベルの切り換わるタイミングを設定する垂直イネーブル信号を第3の電圧系の振幅で各走査線に対して共通に供給することができる。従って走査線毎に、レベル変換回路を設ける場合の、走査線間の駆動信号のタイミングのばらつきを防止することができ、これにより従来に比して走査線に出力する駆動信号の精度を向上させることができる。また基準パルスにあっては、第2の電圧系の振幅で選択信号を生成し、その後、第3の電圧系の振幅に変換することから、全体を第3の電圧系の振幅で処理する場合のような消費電力、周辺回路の面積の増大を有効に回避することができる。
本発明によれば、消費電力、周辺回路の面積の増大を有効に回避して、従来に比して走査線に出力する駆動信号の精度を向上させることができる。
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を詳述する。
(1)実施例の構成
図2は、本発明の実施例1のディスプレイ装置に適用される画素の構成を示す接続図である。この実施例のディスプレイ装置は、透明絶縁基板であるガラス基板上に、ポリシリコンTFT等により表示部、水平駆動回路、垂直駆動回路が一体に形成される。この実施例のディスプレイ装置は、画素33をマトリックス状に配置して表示部が形成され、この表示部の周囲、ガラス基板上に水平駆動回路及び垂直駆動回路が設けられる。
各画素33は、電流駆動型の発光素子である有機EL素子34と、この有機EL素子34を駆動する各画素33の駆動回路(以下、画素回路と呼ぶ)とで形成される。
画素33は、有機EL素子34のカソードが所定の負側電源VSS2に接続される。画素回路は、トランジスタTR3のソースに有機EL素子34のアノードが接続され、走査線VSCAN2により供給される駆動信号S22によりオンオフ動作するPチャンネル型のトランジスタTR2を介して、このトランジスタTR3のドレインが正側電源VDD1に接続される。これにより画素33は、この駆動信号S22により有機EL素子34の発光、非発光を制御して、トランジスタTR3のゲートソース間電圧に応じた電流で有機EL素子34を駆動する。
画素回路は、このトランジスタTR3のゲート及びソースに、信号レベル保持用コンデンサCsの両端が接続される。さらに画素回路は、走査線VSCAN1により供給される駆動信号S21によりオンオフ動作するトランジスタTR1を介して、このトランジスタTR3のゲートが信号線SIGに接続される。これにより画素回路は、駆動信号S21によりトランジスタTR1をオンオフ制御して信号レベル保持用コンデンサCsの一端の電圧を信号線SIGの電位Vsigに設定し、有機EL素子34の発光輝度を設定する。
さらに画素回路は、走査線VSCAN4により供給される駆動信号S24によりオンオフ動作するトランジスタTR5を介して、トランジスタTR3のゲートが所定の固定電位Vofsに接続され、また走査線VSCAN3により供給される駆動信号S23によりオンオフ動作するトランジスタTR4を介して、このトランジスタTR3のソースが所定の固定電位Viniに接続される。画素回路は、走査線VSCAN1〜VSCAN4によるこれらトランジスタTR1、TR2、TR4、TR5のオンオフ制御により、トランジスタT3におけるしきい値電圧、移動度のばらつきを補正し、有機EL素子34の発光、非発光を制御する。なおこの図2において、Ceは、有機EL素子34の容量である。またトランジスタTR1、TR3〜TR5はNチャンネル型のトランジスタである。
すなわち図3に示すように、画素回路は、時点t1〜t2の間、トランジスタTR1、TR4、TR5がオフ状態に設定され、またトランジスタTR2がオン状態に設定され、これにより信号レベル保持用コンデンサCsの端子間電圧に応じたソース電流により有機EL素子34を駆動して有機EL素子34を発光させる(図3(A)〜(D)、(E)〜(G))。
また時点t2で駆動信号S22によりトランジスタTR2がオフ状態に切り換わると、画素回路は、有機EL素子34を介して蓄積電荷が徐々に放電することにより、トランジスタTR3のゲート電圧Vg、ソース電圧Vsが徐々に低下する。またこの蓄積電荷の放電によりやがて有機EL素子34のアノード電位が低下し、有機EL素子34の端子間電圧がしきい値電圧まで立ち下がると、有機EL素子34を介した蓄積電荷の放電が中止し、ゲート電圧Vg、ソース電圧Vsの低下が停止すると共に、有機EL素子34の発光が停止する。
画素回路は、有機EL素子34の発光を停止した後の所定の時点t3で、駆動信号S23、S24によりトランジスタTR4及びTR5がオン状態に設定され、これにより信号レベル保持用コンデンサCsの両端がそれぞれ固定電位Vofs及びViniに設定される。なおここで固定電位Vofsは、固定電位ViniにトランジスタTR3のしきい値電圧Vthを加算した電圧より大きな電圧に設定される。また固定電位Viniは、有機EL素子34のカソード電位Vss1に有機EL素子34のしきい値電圧を加算した電圧より十分に低い電圧に設定される。
その後、画素回路は、駆動信号S23によりトランジスタTR4がオフ状態に設定され、続いて駆動信号S22によりトランジスタTR2がオン状態に設定される。ここでこの状態では、トランジスタTR2、TR3を介して、信号レベル保持用コンデンサCsのトランジスタTR4側端に正側電源VDD1から充電電流が流れ、このトランジスタTR4側端の電圧が徐々に上昇する。またこの電圧の上昇により信号レベル保持用コンデンサCsの両端電圧がトランジスタTR3のしきい値電圧Vthとなると、トランジスタTR3がオフ状態に切り換わることにより、このトランジスタTR2、TR3を介した正側電源VDD1による充電が停止する。これにより画素33は、信号レベル保持用コンデンサCsにトランジスタTR3のしきい値電圧Vthをセットし、その後、この信号レベル保持用コンデンサCsに信号線SIGの電位Vsigをセットすることにより、トランジスタTR3のしきい値電圧Vthのばらつきによる発光輝度のばらつきを補正する。なおこのばらつき補正に係るしきい値電圧の事前のセットを図3ではVth補正により示す。
画素回路は、続いて駆動信号S22、S24によりトランジスタTR2、TR5がオフ状態に切り換えられ、続いて駆動信号S21によりトランジスタTR1がオン状態に切り換えられる。これにより画素回路は、信号線SIGの信号レベルVsigが信号レベル保持用コンデンサCsにセットされ、信号レベル保持用コンデンサCsに事前にセットされたトランジスタTR3のしきい値電圧Vthにより補正されて各画素33の階調が信号レベル保持用コンデンサCsに書き込まれる。
ここで有機EL素子34の発光輝度に対応する信号レベルVdataに固定電位Vofsを加算した電位Vdata+Vofsを信号線SIGの信号レベルVsigとすると、トランジスタTR1をオン状態に切り換えると、信号レベル保持用コンデンサCsのトランジスタTR1側電位は、電圧Vdataだけ上昇し、この状態で有機EL素子34には、Ids=β/2・(Vdata)2で表される電流が流れる。なおここでβは、トランジスタTR3の移動度μ、ゲート酸化膜の単位容量Cox、ゲート長Lを用いてβ=μ・(W/L)・Coxで表される。
続いて画素回路は、信号線SIGを信号レベル保持用コンデンサCsの一端に接続したままの状態で、駆動信号S22によりトランジスタTR2がオン状態に設定されてトランジスタTR3が正側電源VDD1に接続され、一定時間Tの経過後、トランジスタTR1がオフ状態に設定される。ここで信号線SIGを信号レベル保持用コンデンサCsに一端を接続したままの状態で、トランジスタTR3を電源VDD1に接続すると、トランジスタTR3には信号レベル保持用コンデンサの端子間電圧によるゲートソース間電圧に応じたソース電流が流れ、このソース電流により信号レベル保持用コンデンサCsのソース側端充電されて、電圧が徐々に上昇することになる。またこのソース側端電圧の上昇速度は、トランジスタTR3の移動度が大きな場合程、速くなる。これに対して有機EL素子34をトランジスタTR3により駆動する場合、トランジスタTR3の移動度が大きい程、有機EL素子34の駆動電流が大きくなり、発光輝度が増大することになる。
これにより画素回路は、所定期間Tの間、信号線SIGを信号レベル保持用コンデンサCsの一端に接続したままの状態で、トランジスタTR3を電源VDD1に接続することにより、トランジスタTR3の移動度に応じて変化する有機EL素子34の駆動電流の分だけ、信号レベル保持用コンデンサCsの端子間電圧を補正し、移動度のばらつきによる発光輝度のばらつきを補正する。
なおここでこの移動度の補正時に有機EL素子34に流れる電流Idsは、Ids=β/2・(1/Vdata+β/2・T/C)2で表される。なおここでCは、信号レベル保持用コンデンサCsの容量と、有機EL素子34の容量Ceとの和の容量である。従って期間Tを適切に設定することにより、トランジスタTR3の移動度のばらつきを補正することができる。
しかして画素回路は、この期間Tの後、駆動信号S21によりトランジスタTR1がオフ状態に切り換えられると、信号レベル保持用コンデンサCsに保持された端子間電圧に応じた駆動電流により有機EL素子34が発光を開始することになる。
この実施例のディスプレイ装置では、この画素33に接続された4本の走査線VSCAN1〜VSCAN4毎に、それぞれVスキャン回路が設けられ、各Vスキャン回路で対応する走査線VSCAN1〜VSCAN4の駆動信号S21〜S24を生成する。しかして図2、図3について上述したように、このディスプレイ装置では、信号線SIGを信号レベル保持用コンデンサCsの一端に接続したままの状態で、一定期間Tの間、トランジスタTR3を電源VDD1に接続してトランジスタTR3の移動度のばらつきを補正していることから、この期間Tが、ライン間でばらついたのでは、画質が著しく劣化することになる。またこの期間Tのばらつきは、トランジスタTR1、トランジスタTR2のオンオフ制御に係る駆動信号S21、S22におけるタイミングのばらつきにより発生することになる。
そこでこの実施例では、駆動信号S21〜S24をそれぞれ生成する4つのVスキャン回路が垂直駆動回路に設けられ、これらのうちの少なくともこれら移動度の補正に関係する駆動信号S21、S22が図1のVスキャン回路36により生成される。なお他の駆動信号S23、S24については、これら駆動信号S21、S22のVスキャン回路と同一に構成してもよく、従来例について上述した何れかのVスキャン回路により構成してもよい。
このVスキャン回路36は、レベル変換回路6、7により、第1の電圧系Iの振幅による垂直スタートパルスVST、垂直クロックVCKを第2の電圧系IIの振幅に変換し、シフトレジスタ(S/R)10(1)〜10(4)により、この垂直スタートパルスVSTを垂直クロックVCKで順次転送し、これにより第2の電圧系IIによる選択信号S1(1)〜S1(4)を生成する。
Vスキャン回路36は、それぞれ第2の電圧系IIで動作する第1の論理回路38(1)〜38(4)を介して、選択信号S1(1)〜S1(4)をレベル変換回路12(1)〜12(4)に入力して第3の電圧系III の振幅に変換する。なおここでこのレベル変換回路12(1)〜12(4)には、消費電力が少ない図21について上述したレベル変換回路が適用される。
Vスキャン回路36は、レベル変換回路37を介して、第1の電圧系Iの振幅による垂直イネーブル信号VENを、第3の電圧系III の振幅に補正する。Vスキャン回路36は、第3の電圧系III で動作する第2の論理回路39(1)〜39(4)に、この第3の電圧系III による垂直イネーブル信号VENを入力し、またレベル変換回路12(1)〜12(4)の出力信号をそれぞれ入力する。Vスキャン回路36は、それぞれ第1の論理回路38(1)〜38(4)、対応する第2の論理回路39(1)〜39(4)による論理演算により、駆動信号S21(1)〜S21(4)、S22(1)〜S22(4)を生成し、論理回路39(1)〜39(4)から出力される駆動信号をインバータ13(1)〜13(4)を介して出力する。
なお例えば駆動信号S22のように、単に選択信号S2とイネーブル信号VENとの簡単な論理積によって求めることが可能な駆動信号については、必要に応じて第1の論理回路38(1)〜38(4)を省略してもよい。
これに対して水平駆動回路は、図15について上述した水平駆動回路と同一に構成される。
(2)実施例の動作
以上の構成において、この実施例のディスプレイ装置では(図15参照)、マトリックス状に画素33を配置して形成された表示部の周囲に設けられ水平駆動回路により、表示部の信号線SIGに各画素33の階調を示す駆動信号Vsigが出力される。またこの駆動信号Vsigの出力に応動して、表示部の周囲に設けられた垂直駆動回路により駆動信号S21〜S24が生成され、この駆動信号S21〜S24により各画素に信号線SIGの信号レベルが設定されると共に、各画素33の動作が制御され、これにより信号線SIGの信号レベルにより各画素33に設けられた有機EL素子34が発光する。これによりこのディスプレイ装置では、所望の画像を表示部2で表示することが可能となる。
また各画素33では(図2及び図3)、垂直駆動回路による駆動信号S21〜S24によりトランジスタTR1、TR2、TR4、TR5がオンオフ動作し、トランジスタTR4、TR5がオン状態に設定されて信号レベル保持用コンデンサCsの両端電位がそれぞれ所定の固定電位Vofs、Viniに設定された後、垂直駆動回路による駆動信号S23により、信号レベル保持用コンデンサCsのソース側端が固定電位Viniより切り離されると共に、トランジスタTR3が電源VDD1に接続され、これにより信号レベル保持用コンデンサCsの両端電位差がトランジスタTR3のしきい値電圧Vthに設定されて、トランジスタTR3のしきい値電圧Vthのばらつきによる発光輝度のばらつきが防止される。
その後、画素33は、信号レベル保持用コンデンサCsのゲート側端が信号線SIGに接続され、信号レベル保持用コンデンサCsに信号線SIGの電位Vsigがセットされ、このセットされた電圧に応じた駆動電流で有機EL素子34が発光する。
画素33は、この信号レベル保持用コンデンサCsに信号線SIGの電位Vsigをセットする際に、信号レベル保持用コンデンサCsのゲート側端を信号線SIGに接続した状態で、一定期間Tの間、トランジスタTR3が電源VDD1に接続され、これによりトランジスタTR3の移動度に応じて信号レベル保持用コンデンサCsの両端電位差を補正した後、この信号レベル保持用コンデンサCsの一端が信号線SIGの信号レベルVsigに設定される。これにより画素33は、トランジスタTR3の移動度のばらつきによる発光輝度のばらつきが防止される。
しかしながらこのように一定期間Tの間、信号レベル保持用コンデンサCsのゲート側端を信号線SIGに接続した状態で、トランジスタTR3を電源VDD1に接続してトランジスタTR3の移動度ばらつきを補正する場合に、この期間Tが各走査線VSCAN1(1)〜VSCAN1(4)でばらついたのでは、画質が劣化することになる。これに対して垂直駆動回路において各走査線VSCAN1(1)〜VSCAN1(4)の駆動信号を生成する従来構成によるVスキャン回路では、走査線VSCAN1(1)〜VSCAN1(4)毎に、第2の電圧系IIによる振幅を第3の電圧系III による振幅に補正するレベル変換回路12(1)〜12(4)が設けられ(図17、図23、図26)、これらレベル変換回路12(1)〜12(4)では、回路間で出力信号におけるタイミングのばらつきが大きい欠点がある。
従って画素33の駆動信号S21〜S24のうちの、移動度の補正に係る期間Tを決定する駆動信号S21、S22を従来構成によるVスキャン回路で構成したのでは、この期間Tがライン間でばらつくことになり、その結果、ライン間で発光輝度がばらつくようになる。
そこでこの実施例では、少なくとも移動度の補正に係る期間Tを決定する駆動信号S21、S22のVスキャン回路は(図1)、垂直スタートパルスVST、垂直クロックVCKをポリシリコンTFTの駆動に適し、かつ有機EL素子の駆動に適した第3の電圧系III より振幅の小さな第2の電圧系IIで処理し、その処理結果の出力信号と駆動信号S21〜S24において信号レベルの切り換わるタイミングを設定する垂直イネーブル信号VENとを第3の電圧系III の振幅に補正した後、駆動信号S21、S22を生成する。
この場合、各走査線の系統には、1つのレベル変換回路37により振幅が補正された垂直イネーブル信号VENが供給されることにより、走査線間における駆動信号S21、S22のタイミングのばらつきを有効に回避することができる。従ってディスプレイ装置では、移動度を補正する期間Tのライン間のばらつきを有効に回避して、高い歩留まりで、高画質の画像を表示することができる。
特に、この移動度のばらつきの補正に係る駆動信号S21、S22のタイミングのばらつきを防止できることにより、走査線間における移動度補正のばらつきを有効に回避することができ、一段と高画質のディスプレイ装置を得ることができる。
またさらにこの実施例では、選択信号S1(1)〜S1(4)を、有機EL素子の駆動に適した第3の電圧系の振幅に比して小さな、第2の電圧系で処理していることにより、全体を第3の電圧系の振幅で処理する場合に比して、格段的に消費電力、周辺回路の面積の増大を有効に回避することができる。
(3)実施例の効果
以上の構成によれば、画素の駆動に適した第3の電圧系の振幅より小さな第2の電圧系の振幅で選択信号を生成した後、第3の電圧系の振幅に変換し、この第3の電圧系の振幅による選択信号を基準にして第3の電圧系の振幅による垂直イネーブル信号を処理して駆動信号を生成することにより、消費電力、周辺回路の面積の増大を有効に回避して、従来に比して走査線に出力する駆動信号の精度を向上させることができる。
また第2の電圧系の振幅より小さな第1の電圧系の振幅による基準パルスである垂直スタートパルスの振幅を第2の電圧系の振幅に変換した後、順次転送して第2の電圧系の振幅による選択信号を生成することにより、この垂直スタートパルスを生成する前段の回路ブロックを汎用の集積回路技術により作成することができる。
また少なくともトランジスタの移動度のばらつきによる発光輝度のばらつきを補正する一定期間の駆動信号の生成に適用して、この駆動信号の精度を向上させることにより、移動度のばらつき補正を精度良く実行することができ、高い画質により所望の画像を表示することができる。
図4は、図1及び図23との対比により、本発明の実施例2のディスプレイ装置に適用されるVスキャン回路を示すブロック図である。この実施例のディスプレイ装置は、図1について上述したVスキャン回路36に代えて、この図4に示すVスキャン回路46が適用される点を除いて、実施例1のディスプレイ装置と同一に構成される。
このVスキャン回路46は、シフトレジスタ10(1)〜10(4)に代えて、図24について上述したSRラッチ回路構成のシフトレジスタ19(1)〜19(4)により垂直スタートパルスVSTを順次転送する。
この実施例のように、SRラッチ回路構成のシフトレジスタにより垂直スタートパルスVSTを転送して選択信号を生成する場合についても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
図5は、図1及び図26との対比により、本発明の実施例3のディスプレイ装置に適用されるVスキャン回路を示すブロック図である。この実施例のディスプレイ装置は、図1について上述したVスキャン回路36に代えて、この図4に示すVスキャン回路47が適用される点を除いて、実施例1のディスプレイ装置と同一に構成される。
このVスキャン回路46は、シフトレジスタ10(1)〜10(4)に代えて、デコーダ26により選択信号S1(1)〜S1(4)を生成する。
この実施例のように、デコーダにより選択信号を生成する場合についても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
図6は、図3との対比により、本発明の実施例4のディスプレイ装置に適用される駆動信号の説明に供するタイムチャートである。この実施例では、移動度を補正する期間Tの終端を決定する駆動信号S21において、信号レベルが徐々に立ち下がるように設定され、これにより信号線SIGに設定された信号レベルVsigが高い場合程、速い時点で、トランジスタTR1がオフ動作するように設定される。この実施例のディスプレイ装置は、この駆動信号S21に関する構成が異なる点を除いて、上述の実施例のディスプレイ装置と同一に構成される。
すなわち実施例1について上述した移動度を補正する期間Tにおいて、トランジスタTR3に流れる電流Idsは、トランジスタTR3のゲートソース間電圧に応じて変化することにより、信号線SIGの信号レベルVsigが高い場合程、すなわち有機EL素子34を高い輝度レベルで発光させる場合程、大きな電流が流れることになる。従って有機EL素子34を高い輝度レベルで発光させる場合程、短い時間で移動度のばらつきを補正できることになる。
これによりこの実施例では、移動度を補正する期間Tの終端を決定する駆動信号S21において、信号レベルが徐々に立ち下がるように設定し、有機EL素子34を高い輝度レベルで発光させる場合程、速くトランジスタTR1をオフ動作させ、移動度のばらつきを補正する期間を短くする。このように有機EL素子34を高い輝度レベルで発光させる場合程、移動度のばらつきを補正する期間を短くすれば、一段と画質を向上し、ユニフォーミティーを向上させることができる。なおこの図6では、時間の経過によりほぼ直線的に信号レベルが低下するように駆動信号S21を生成する場合を示しているが、実際上、指数関数的に信号レベルを立ち下げて、適切に移動度のばらつきを補正することができる。
この実施例では、この駆動信号S21に対応するように、立ち下がり側の信号レベルが徐々に立ち下がるように、所定の信号発生回路で第1の電圧系Iの振幅による垂直イネーブル信号VENが生成される。またアナログ信号処理回路構成の増幅回路により、この電圧系Iの振幅によるイネーブル信号VENを増幅し、第3の電圧系の振幅によるイネーブル信号VENを生成する。この実施例では、この増幅回路がレベル変換回路として機能する。
この実施例では、図1、図4、又は図5のVスキャン回路において、レベル変換回路37が省略され、直接、第3の電圧系の振幅による垂直イネーブル信号VENを論理回路39(1)〜39(4)に入力する。またこの論理回路39(1)〜39(4)をアナログ信号処理回路により構成して、選択信号S1(1)〜S1(4)によりそれぞれ第3の電圧系の振幅によるイネーブル信号VENを選択して駆動信号S21(1)〜S21(4)を生成する。
なお移動度のばらつきを補正する期間Tの開始時点を定義する駆動信号S22については、上述の実施例と同様に生成する。
この実施例によれば、駆動信号の信号レベルを徐々に立ち下げて、有機EL素子を高い輝度レベルで発光させる場合程、移動度のばらつきを補正する期間を短くして画質を向上する場合にあっても、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。
図7は、図2との対比により、本発明の実施例5のディスプレイ装置に適用される画素の構成を示す接続図であり、図8は、この画素53の動作の説明に供するタイムチャートである。
この実施例の画素53は、有機EL素子34を電源VDD1に接続するトランジスタTR2(図2参照)が省略され、電源VDD1の電位を直接制御して、有機EL素子34の発光、非発光が制御される(図8(B)、(D)〜(F))。また信号レベル保持用コンデンサCsを固定電位Viniに接続するトランジスタTR4が省略され、有機EL素子34を介した放電により信号レベル保持用コンデンサCsの有機EL素子34側端の電圧を十分に低い電圧に立ち上げ、トランジスタTR3のしきい値電圧Vthを信号レベル保持用コンデンサCsにセットする(図8(C)、(D)〜(F))。またしきい値電圧Vthを信号レベル保持用コンデンサCsにセットした後も、トランジスタTR3のドレイン電圧を立ち上げたままに保持し、トランジスタTR1のオンオフ制御のみによりトランジスタTR1の移動度のばらつきを補正し、さらには信号線SIGの信号レベルVsigを信号レベル保持用コンデンサCsにセットする(図8(A)、(D)〜(F))。
この画素53の構成に対応して、この実施例の垂直駆動回路は、少なくともトランジスタTR1を駆動する駆動信号S21(1)〜S21(4)が、図1、図4、又は図5のVスキャン回路で生成される。
この実施例によれば、一段と簡易な構成により画素を構成して、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。
図9は、図2との対比により、本発明の実施例6のディスプレイ装置に適用される画素の構成を示す接続図であり、図10は、この画素54の動作の説明に供するタイムチャートである。この画素54は、Pチャンネル型トランジスタTR3のソースが正側電源VDD1に接続され、駆動信号S22によりオンオフ動作するトランジスタTR2を介して、このトランジスタTR3のソースが有機EL素子34に接続される。これによりこの画素54は、駆動信号S22によるトランジスタTR2のオンオフ制御により、有機EL素子34の発光、非発光を制御し(図10(B)、(E)〜(G))、さらにはトランジスタTR3のゲートソース間電圧に応じた駆動電流により有機EL素子34を駆動する。
またこの有機EL素子34を駆動するトランジスタTR3は、所定のコンデンサCc、信号レベル保持用コンデンサCsの直列回路がゲート及び正側電源VDD1間に設けられ、駆動信号S24によりオンオフ動作するトランジスタTR5を介して、この直列回路の接続中点が固定電位Vofsに接続され、また駆動信号S23によりオンオフ動作するトランジスタTR4によりゲートドレインが短絡される。また駆動信号S21によりオンオフ動作して信号レベル保持用コンデンサCsのコンデンサCc側端を信号線SIGに接続するトランジスタTR1が設けられる。
画素54は、駆動信号S22によりトランジスタTR2をオフ状態に切り換えて有機EL素子34の発光を停止すると、図10(G)において準備により示すように、一定の期間経過後、駆動信号S24によりトランジスタTR5がオン状態に切り換えられ、信号レベル保持用コンデンサCsのコンデンサCc側端が固定電位Vofsに設定される(図10(D)及び(E))。また駆動信号S22によりトランジスタTR2がオン状態に切り換えられると共に、駆動信号S23によりトランジスタTR4がオン状態に切り換えられ、有機EL素子34を介してコンデンサCsの蓄積電荷を放電し、トランジスタTR3のゲート電圧が立ち下げられる(図10(B)、(C)及び(F))。
画素54は、続いて駆動信号S22によりトランジスタTR2がオフ状態に切り換えられ、これによりトランジスタTR3を介して正側電源VDD1によりコンデンサCcのトランジスタTR3側端が充電され、トランジスタTR3のゲート電圧Vgが徐々に上昇する(図10(B)及び(F))。ここでこのゲート電圧Vgの上昇により、トランジスタTR3のゲート電圧Vgが、正側電源VDD1の電位よりトランジスタTR3のしきい値電圧Vthだけ立ち下がった電圧となると、トランジスタTR3がオフ状態となり、トランジスタTR3を介したコンデンサCcの充電が停止し、これによりゲート電圧Vgの上昇が停止する。これにより画素54は、コンデンサCcにトランジスタTR3のしきい値電圧Vthに対応する電圧をセットし、トランジスタTR3のしきい値電圧Vthのばらつきによる発光輝度のばらつきを防止する。
続いて画素54は、駆動信号S23、S24によりトランジスタTR4、TR5がオフ状態に設定される。その後、画素54は、駆動信号S21によりトランジスタTR1がオン状態に切り換えられ、信号レベル保持用コンデンサCsのコンデンサCc側端の電位が信号線SIGの電位Vsigに設定される。但し、信号線SIGの電位Vsigは、Vofs+Vdataである。これによりトランジスタTR3のゲート電圧Vgは、信号線SIGの電位Vsigに対してコンデンサCcにセットされたしきい値電圧Vthの分だけバイアスされた電圧となり、トランジスタTR3のゲートソース間電圧は、信号線SIGのVsigをしきい値電圧Vthで補正した電圧に設定される。
続いて画素54は、信号レベル保持用コンデンサCsを信号線SIGに接続した状態で、一定期間Tの間、駆動信号S23によりトランジスタTR3がオン状態に切り換えられ、これによりトランジスタTR3を介したコンデンサCcの充電によりトランジスタTR3の移動度が補正される。またその後、駆動信号S23、S21によりトランジスタTR4、TR1が順次オフ状態に切り換えられた後、駆動信号S22によりトランジスタTR2がオン状態に切り換えられて有機EL素子34の駆動が開始される。
これによりこの実施例では、移動度のばらつきを補正する駆動信号S23でタイミングがばらつくと、走査線間で移動度のばらつき補正にばらつきが発生し、画質が劣化することになる。そこでこの実施例では、少なくともこの移動度のばらつき補正に係る駆動信号S23が図1、図4、又は図5のVスキャン回路で生成される。
この実施例によれば、Pチャンネル型トランジスタTR3により有機EL素子34を駆動する場合でも、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。
図11は、図1との対比により、本発明の実施例7のディスプレイ装置に適用されるVスキャン回路を示すブロック図である。この実施例のディスプレイ装置は、上述した各実施例のVスキャン回路に代えて、この図11に示すVスキャン回路66が適用される点を除いて、上述の各実施例のディスプレイ装置と同一に構成される。
ここでこのVスキャン回路66は、直接、第2の電圧系により垂直スタートパルスVST、垂直クロックVCKが入力される点を除いて、実施例1のVスキャン回路36と同一に構成される。
この実施例のように、第2の電圧系により垂直スタートパルスVST、垂直クロックVCKを入力するようにしても、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。
図12は、図1との対比により、本発明の実施例8のディスプレイ装置に適用されるVスキャン回路を示すブロック図である。この実施例のディスプレイ装置は、上述した各実施例のVスキャン回路に代えて、この図12に示すVスキャン回路67が適用される点を除いて、上述の各実施例のディスプレイ装置と同一に構成される。
ここでこのVスキャン回路67は、第1の電圧系によるイネーブル信号VENをレベル変換回路37Aにより第2の電圧系の振幅に変換した後、続くレベル変換回路37Bにより第3の電圧系の振幅に変換する。
この実施例のようにイネーブル信号を第2の電圧系の振幅に変換した後、第3の電圧系の振幅に変換するようにして、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。
図13は、図1との対比により、本発明の実施例9のディスプレイ装置に適用されるVスキャン回路を示すブロック図である。この実施例のディスプレイ装置は、上述した各実施例のVスキャン回路に代えて、この図13に示すVスキャン回路68が適用される点を除いて、上述の各実施例のディスプレイ装置と同一に構成される。
ここでこのVスキャン回路69は、論理回路39(1)〜39(4)をグループ化し、各グループ毎にバッファ69(1)、69(2)を介してイネーブル信号VENを論理回路39(1)〜39(4)を入力する。なおこの場合、図13との対比により図14に示すように、バッファ69(1)、69(2)の出力ラインを接続するようにしてもよい。
この実施例のように論理回路をグループ化して駆動するようにしても、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。
なお上述の実施例においては、トランジスタTR1及びTR2の制御に係る駆動信号等をそれぞれ図1等に示すVスキャン回路で構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、実用上十分に駆動信号の精度の劣化を許容できる場合には、何れかの駆動信号のVスキャン回路にのみに本発明を適用するようにしてもよい。
また上述の実施例では、垂直同期信号に同期した垂直スタートパルスを基準パルスに適用してVスキャン回路で処理する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、走査線の駆動信号の生成基準である各種基準パルスを処理して駆動信号を生成するVスキャン回路に広く適用することができる。
なお上述の実施例においては、各種の画素回路により画素を構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、上述した以外の各種の画素回路により画素を構成する場合にも広く適用することができる。
また上述の実施例においては、本発明を有機EL素子によるディスプレイ装置に適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、電流駆動型の種々の発光素子によるディスプレイ装置、さらには液晶等のディスプレイ装置にも広く適用することができる。
本発明は、例えばポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)を用いた有機EL(Electro Luminescence)素子によるアクティブマトリックス型のディスプレイ装置に適用することができる。
本発明の実施例1のディスプレイ装置に適用されるVスキャン回路を示すブロック図である。
本発明の実施例1のディスプレイ装置に適用される画素を示す接続図である。
図2の画素のタイムチャートである。
本発明の実施例2のディスプレイ装置に適用されるVスキャン回路を示すブロック図である。
本発明の実施例3のディスプレイ装置に適用されるVスキャン回路を示すブロック図である。
本発明の実施例4のディスプレイ装置における画素のタイムチャートである。
本発明の実施例5のディスプレイ装置に適用される画素を示す接続図である。
図7の画素のタイムチャートである。
本発明の実施例6のディスプレイ装置に適用される画素を示す接続図である。
図9の画素のタイムチャートである。
本発明の実施例7のディスプレイ装置に適用されるVスキャン回路を示すブロック図である。
本発明の実施例8のディスプレイ装置に適用されるVスキャン回路を示すブロック図である。
本発明の実施例9のディスプレイ装置に適用されるVスキャン回路を示すブロック図である。
図13とは他の例によるVスキャン回路を示すブロック図である。
従来のディスプレイ装置を示すブロック図である。
図15のディスプレイ装置のタイムチャートである。
図15のディスプレイ装置に適用されるVスキャン回路を示すブロック図である。
図17のVスキャン回路のレベル変換回路を示す接続図である。
図17のレベル変換回路のタイムチャートである。
図17のVスキャン回路におけるレベル変換回路の他の例を示す接続図である。
図17のVスキャン回路の他のレベル変換回路を示す接続図である。
図21のレベル変換回路のタイムチャートである。
図15のディスプレイ装置に適用されるVスキャン回路の他の例を示すブロック図である。
図23のVスキャン回路のシフトレジスタを示す接続図である。
図24のシフトレジスタのタイムチャートである。
図15のディスプレイ装置に適用されるVスキャン回路の他の例を示すブロック図である。
符号の説明
1……ディスプレイ装置、2……表示部、3、33、53、54……画素、4……Hスキャン回路、5、18、36、46、47、66、67、68、69……Vスキャン回路、6、7、8、12(1)〜12(4)、37、37A、37B……レベル変換回路、10(1)〜10(4)、19(1)〜19(4)……シフトレジスタ、11(1)〜11(4)、38(1)〜38(4)、39(1)〜39(4)……論理回路、26……デコーダ、TR1〜TR10……トランジスタ、Cc、Cs……コンデンサ