JP2008254532A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】操縦安定性能を損なうことなく、乗り心地性能を向上させることのできる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】空気入りタイヤ10のベルト部をナイロンコードで形成された互いに交錯する2枚のボディプライ14a,14bから成るカーカス層14と、このカーカス層14の外側に配置されるスパイラル補強層15の3枚のベルトから構成するとともに、上記ボディプライ14a,14bのタイヤトレッド部11に位置するナイロンコード16の赤道方向に対する角度を20度〜80度の範囲とし、かつ、上記ナイロンコード16,16間に、上記ナイロンコード16よりも引張弾性率の高い芳香族ポリアミド、スチール、グラスファイバー、カーボンなどのような、異種材料から成るコード(異種コード17)を介挿するようにした。
【選択図】図1
【解決手段】空気入りタイヤ10のベルト部をナイロンコードで形成された互いに交錯する2枚のボディプライ14a,14bから成るカーカス層14と、このカーカス層14の外側に配置されるスパイラル補強層15の3枚のベルトから構成するとともに、上記ボディプライ14a,14bのタイヤトレッド部11に位置するナイロンコード16の赤道方向に対する角度を20度〜80度の範囲とし、かつ、上記ナイロンコード16,16間に、上記ナイロンコード16よりも引張弾性率の高い芳香族ポリアミド、スチール、グラスファイバー、カーボンなどのような、異種材料から成るコード(異種コード17)を介挿するようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、操縦安定性能を損なうことなく乗り心地性能を向上させることのできる空気入りタイヤに関するものである。
タイヤでは、ボディプライ(カーカスプライ)やベルトを貼り付けてこれを骨格部材としている。通常の乗用車においては、図4に示すように、空気入りタイヤ50のボディプライ51は1枚か2枚で、その外側に赤道方向に対する角度が15度〜70度の互いに交錯する2枚の交錯ベルト52a,52bが配置されており、更にその外側に、赤道方向に略平行に巻かれたコードをスパイラルベルト(ベルト補強材)53が存在する。なお、通常のラジアルタイヤにおいては、上記ボディプライ51のコード角はほぼ90度であり、スパイラルベルト53のコード角はほぼ0度である (例えば、特許文献1参照)。
上記ボディプライ51は、ビードコア54を跨って折り返されているので、サイドウォール部55にもボディプライ51が存在する。タイヤのサイドウォール部55は走行時のたわみ変形が大きいことから、このサイドウォール部55の骨格部材としては伸び縮みしやすい有機繊維を用いることが好ましく、更に、その材質としては、ゴムとの接着性や疲労耐久性能に優れたものが良い。このような点から、骨格部材としてはナイロンコードが最適であり、殆ど全ての乗用車用タイヤにおいては、このナイロンコードがボディプライ51の材料として使用されている。
一方、ベルト部については、その面内剪断剛性を高めることが大切である。そのためには、交錯ベルト52a,52bを構成するコードとしては引張弾性率の高いコードを使用することが重要であり、スチールコードや芳香族ポリアミドのコードを使用することが一般的である。また、軽量化が求められている自動車レース用のタイヤなどのコードには芳香族ポリアミドの他に、グラスファイバーやカーボンファイバーを使うことも最近は行なわれている。
このように、ボディプライ51のコードにはしなやかさと大きな歪に対する耐疲労性能が求められるのに対して、交錯ベルト52a,52bのコードには高強度が求められる。
特開平2001−180220号公報
上記ボディプライ51は、ビードコア54を跨って折り返されているので、サイドウォール部55にもボディプライ51が存在する。タイヤのサイドウォール部55は走行時のたわみ変形が大きいことから、このサイドウォール部55の骨格部材としては伸び縮みしやすい有機繊維を用いることが好ましく、更に、その材質としては、ゴムとの接着性や疲労耐久性能に優れたものが良い。このような点から、骨格部材としてはナイロンコードが最適であり、殆ど全ての乗用車用タイヤにおいては、このナイロンコードがボディプライ51の材料として使用されている。
一方、ベルト部については、その面内剪断剛性を高めることが大切である。そのためには、交錯ベルト52a,52bを構成するコードとしては引張弾性率の高いコードを使用することが重要であり、スチールコードや芳香族ポリアミドのコードを使用することが一般的である。また、軽量化が求められている自動車レース用のタイヤなどのコードには芳香族ポリアミドの他に、グラスファイバーやカーボンファイバーを使うことも最近は行なわれている。
このように、ボディプライ51のコードにはしなやかさと大きな歪に対する耐疲労性能が求められるのに対して、交錯ベルト52a,52bのコードには高強度が求められる。
ところで、乗り心地性能に関しては交錯ベルト52a,52bの面外曲げ剛性の影響が大きい。すなわち、交錯ベルト52a,52bの面外曲げ剛性が高いタイヤではベルト部分がたわまず、そのため、乗り心地が悪くなる。ベルト部分のたわみが小さいと、例えば、高速道路のつなぎ目や凹凸路でゴツゴツ感強く不快感がある。
上記交錯ベルト52a,52bの面外曲げ剛性はベルト部の厚み、特に骨格部材の積層枚数に大きく影響を受ける。積層枚数を増やす、つまりベルト部材を一枚増やすと、ベルト部の面外曲げ剛性が高くなり、乗り心地性能は悪化する。しかしながら、ベルト積層枚数を増やすと、ベルト部の面内剪断剛性が高まるので、操縦安定性能は向上する。このように、タイヤの操縦安定性能と乗り心地性能とは背反関係にある。
また、上記交錯ベルト52a,52bの面外曲げ剛性は、特に自動二輪車用のタイヤのような周方向(赤道方向)だけではなく、幅方向にも丸いトレッド形状を持つタイヤではその影響が大きいので、乗り心地性能を良くするには、交錯ベルト52a,52bの面外曲げ剛性を落とすことが有効な手段となる。
上記交錯ベルト52a,52bの面外曲げ剛性はベルト部の厚み、特に骨格部材の積層枚数に大きく影響を受ける。積層枚数を増やす、つまりベルト部材を一枚増やすと、ベルト部の面外曲げ剛性が高くなり、乗り心地性能は悪化する。しかしながら、ベルト積層枚数を増やすと、ベルト部の面内剪断剛性が高まるので、操縦安定性能は向上する。このように、タイヤの操縦安定性能と乗り心地性能とは背反関係にある。
また、上記交錯ベルト52a,52bの面外曲げ剛性は、特に自動二輪車用のタイヤのような周方向(赤道方向)だけではなく、幅方向にも丸いトレッド形状を持つタイヤではその影響が大きいので、乗り心地性能を良くするには、交錯ベルト52a,52bの面外曲げ剛性を落とすことが有効な手段となる。
一方、最近の高級乗用車では、上記図4に示したような、スパイラルベルト53を備えたタイヤが増えてきている。スパイラルベルトとは、交錯ベルト52a,52bのコードがタイヤ赤道方向に対して15度〜〜75度傾いて配置されているのに対し、概ね赤道方向に平行(具体的には、赤道方向に対する角度が3度以下)な部材を上記交錯ベルト52a,52bの半径方向外側に巻き付けたものである。
高性能タイヤではタイヤの回転速度が高速になるため、遠心力の影響が大きく、タイヤのトレッド部分が外側に膨張してしまい、操縦安定性能を害する場合がある。上記スパイラルベルト53は上記遠心力に対して、ちょうど風呂桶の「たが」のようにトレッド部分を押さえつけるのに有効に作用するので、操縦安定性能の低下を抑制することができる。
上記のスパイラルベルト53は、通常、有機繊維(芳香族ポリアミド)スチールなどの補強部材(スパイラル部材)を、タイヤ赤道方向に概ね平行となるようにグルグルと巻き付けることで形成する。トラックバス用のタイヤや自動二輪車用のタイヤにおいても、近年は、同様の構造のタイヤが見られるようになってきている。
このスパイラルベルト53は、赤道方向に概ね平行で交錯してはいないため、単独ではベルトの面内剪断剛性が低い。そのため、他の交錯層と合わせて使うのが普通であり、上述したように、ボディプライ51の上に2枚の交錯ベルト52a,52bから成るベルト交錯層を設け、更にその上に上記スパイラルベルト53を巻き付けた構成となる。このように、スパイラルベルト53をベルト部材とみなすならば、ベルト部の積層は交錯2層とスパイラル1層の3層となり、ベルトの面内剪断剛性は非常に高くなるので、優れた操縦安定性能を得ることができる。
しかしながら、その一方で、積層材の枚数が多いため、ベルト部の面外曲げ剛性も高くなり、乗り心地性能が硬い、すなわち、乗り心地性能が悪くなることも一般的にいわれていることであり、操縦安定性能を損なうことなく、乗り心地性能を向上させることのできる空気入りタイヤの開発が望まれている。
高性能タイヤではタイヤの回転速度が高速になるため、遠心力の影響が大きく、タイヤのトレッド部分が外側に膨張してしまい、操縦安定性能を害する場合がある。上記スパイラルベルト53は上記遠心力に対して、ちょうど風呂桶の「たが」のようにトレッド部分を押さえつけるのに有効に作用するので、操縦安定性能の低下を抑制することができる。
上記のスパイラルベルト53は、通常、有機繊維(芳香族ポリアミド)スチールなどの補強部材(スパイラル部材)を、タイヤ赤道方向に概ね平行となるようにグルグルと巻き付けることで形成する。トラックバス用のタイヤや自動二輪車用のタイヤにおいても、近年は、同様の構造のタイヤが見られるようになってきている。
このスパイラルベルト53は、赤道方向に概ね平行で交錯してはいないため、単独ではベルトの面内剪断剛性が低い。そのため、他の交錯層と合わせて使うのが普通であり、上述したように、ボディプライ51の上に2枚の交錯ベルト52a,52bから成るベルト交錯層を設け、更にその上に上記スパイラルベルト53を巻き付けた構成となる。このように、スパイラルベルト53をベルト部材とみなすならば、ベルト部の積層は交錯2層とスパイラル1層の3層となり、ベルトの面内剪断剛性は非常に高くなるので、優れた操縦安定性能を得ることができる。
しかしながら、その一方で、積層材の枚数が多いため、ベルト部の面外曲げ剛性も高くなり、乗り心地性能が硬い、すなわち、乗り心地性能が悪くなることも一般的にいわれていることであり、操縦安定性能を損なうことなく、乗り心地性能を向上させることのできる空気入りタイヤの開発が望まれている。
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、操縦安定性能を損なうことなく、乗り心地性能を向上させることのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本願の請求項1に記載の発明は、タイヤトレッド部からサイドウォール部に延長しビードコア周りで折り返される、もしくは、ビードコア部に係止される、複数のナイロンコードをゴムで被覆して成る、互いに交錯する少なくとも2枚のボディプライを備えた空気入りタイヤであって、上記ボディプライのコードのタイヤトレッド部における角度を赤道方向に対して20度〜80度とするとともに、上記タイヤトレッド部に位置するナイロンコードとナイロンコードとの間に、上記ナイロンコードよりも引張弾性率の高い異種材料から成るコードが少なくとも1種介挿されていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、上記異種材料が介挿されている部位の幅をトレッド幅の0.6〜1.1倍としたものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、上記異種材料を芳香族ポリアミドとしたものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、上記異種材料をスチールとしたものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、上記異種材料をグラスファイバーまたはカーボンとしたものである。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の空気入りタイヤであって、上記ボディプライの外側に、少なくとも1枚のスパイラル補強層が配置されていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、上記異種材料が介挿されている部位の幅をトレッド幅の0.6〜1.1倍としたものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、上記異種材料を芳香族ポリアミドとしたものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、上記異種材料をスチールとしたものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、上記異種材料をグラスファイバーまたはカーボンとしたものである。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の空気入りタイヤであって、上記ボディプライの外側に、少なくとも1枚のスパイラル補強層が配置されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、空気入りタイヤの骨格部を構成するボディプライとして、タイヤトレッド部からサイドウォール部に延長しビードコア周りで折り返される、もしくは、ビードコア部に係止される、複数のナイロンコードをゴムで被覆して成る、互いに交錯するボディプライを少なくとも2枚設けるとともに、上記ボディプライのコードのタイヤトレッド部における角度を赤道方向に対して20度〜80度とし、かつ、上記ボディプライのうちの少なくとも1枚を、上記タイヤトレッド部に位置するナイロンコードとナイロンコードとの間に、芳香族ポリアミド、スチール、グラスファイバー、もしくは、カーボンなどのような、上記ナイロンコードよりも引張弾性率の高い異種材料から成るコードを介挿することで、ベルト部の面内剪断剛性を確保しつつ、ベルト部の面外曲げ剛性を適度に抑制することができるようにしたので、操縦安定性能を損なうことなく、乗り心地性能を向上させることができる。
このとき、上記異種材料が介挿されている部位の幅をトレッド幅の0.6〜1.1倍とすれば、ベルト部の面内剪断剛性を高めつつ、サイドウォール部のしなやかさを確実に保持することができる。
また、上記ボディプライの外側に、更に、少なくとも1枚のスパイラル補強層を配置して、上記ベルト部を補強するようにすれば、高速走行時における操縦安定性能を更に向上させることができる。
このとき、上記異種材料が介挿されている部位の幅をトレッド幅の0.6〜1.1倍とすれば、ベルト部の面内剪断剛性を高めつつ、サイドウォール部のしなやかさを確実に保持することができる。
また、上記ボディプライの外側に、更に、少なくとも1枚のスパイラル補強層を配置して、上記ベルト部を補強するようにすれば、高速走行時における操縦安定性能を更に向上させることができる。
以下、本発明の最良の形態について、図面に基づき説明する。
図1は、本最良の形態に係る乗用車用空気入りタイヤ10の構成を示す断面図である。
同図において、11はその表面にトレッドパターンを有するタイヤトレッド部、12はサイドウォール部、13はビード部、14はタイヤトレッド部11からサイドウォール部12に延長してビードコア13c周りで折り返されるカーカス層で、本例のカーカス層14は、複数のナイロンコードをゴムで被覆して成る、互いに交錯する2枚のボディプライ14aとボディプライ14bとを備えている。また、15は上記カーカス層14のトレッド部を覆うスパイラル補強層である。このように、本発明の空気入りタイヤ10には交錯ベルト層がなく、ボディプライ14a,14bとスパイラル補強層15の3枚のベルトから成るタイヤ補強部材を有する構造となっている。
上記ボディプライ14a,14bのコードの延長方向は、いずれも赤道方向と交錯しているが、そのコード角(ボディプライ14a,14bの角度)はタイヤトレッド部11とサイドウォール部12及びビードコア13cが配置されているビード部15とでは異なっている。具体的には、タイヤトレッド部11における角度は赤道方向に対して20度〜80度である。なお、その他の部分の角度を変えるのは製造上不利なので、本例では、他の部分についてもタイヤトレッド部11と同じ角度にしている。また、本例のボディプライ14a,14bのタイヤトレッド部11に位置するナイロンコード16,16間には、ナイロンコード16よりも引張弾性率の高い異種材料から成る異種コード17が介挿されている。これらの異種コード17の赤道方向に対する角度はボディプライ14a,14bの角度と同じになる。
図1は、本最良の形態に係る乗用車用空気入りタイヤ10の構成を示す断面図である。
同図において、11はその表面にトレッドパターンを有するタイヤトレッド部、12はサイドウォール部、13はビード部、14はタイヤトレッド部11からサイドウォール部12に延長してビードコア13c周りで折り返されるカーカス層で、本例のカーカス層14は、複数のナイロンコードをゴムで被覆して成る、互いに交錯する2枚のボディプライ14aとボディプライ14bとを備えている。また、15は上記カーカス層14のトレッド部を覆うスパイラル補強層である。このように、本発明の空気入りタイヤ10には交錯ベルト層がなく、ボディプライ14a,14bとスパイラル補強層15の3枚のベルトから成るタイヤ補強部材を有する構造となっている。
上記ボディプライ14a,14bのコードの延長方向は、いずれも赤道方向と交錯しているが、そのコード角(ボディプライ14a,14bの角度)はタイヤトレッド部11とサイドウォール部12及びビードコア13cが配置されているビード部15とでは異なっている。具体的には、タイヤトレッド部11における角度は赤道方向に対して20度〜80度である。なお、その他の部分の角度を変えるのは製造上不利なので、本例では、他の部分についてもタイヤトレッド部11と同じ角度にしている。また、本例のボディプライ14a,14bのタイヤトレッド部11に位置するナイロンコード16,16間には、ナイロンコード16よりも引張弾性率の高い異種材料から成る異種コード17が介挿されている。これらの異種コード17の赤道方向に対する角度はボディプライ14a,14bの角度と同じになる。
ここで、異種コード17をナイロンコード16,16間に介挿するということは、詳細には、タイヤの厚み方向において、異種コード17とナイロンコード16とが同じ位置に配置することを意味する。つまり、1本のナイロンコード16のコード断面と、その隣のナイロンコード16のコード断面とを捉えた場合2つの円ができるが、その円と円との間にもう1つの円(異種コード17のコード断面)が配置されることを意味する。理想的には、隣り合う2つのナイロンコード16,16の円の中心を結んだ線上に異種コード17の円の中心がくるようにすることが好ましい。
製造上の誤差やバラツキから円と円の中心にぴったりと異種コード17の円の中心がくるようにすることは難しいが、このようなナイロンコード16と異種コード17との配列は、従来、交錯ベルトとカーカスプライという2枚のベルトで構成した骨格部材1枚の厚みで実現することが目的であるので、その配列としては、陸上競技のトラックのように、隣り合うナイロンコード16,16の2つの断面円を直線で結んだ長方形楕円の中に上記異種コード17の円の中心が配置されていれば十分である。
製造上の誤差やバラツキから円と円の中心にぴったりと異種コード17の円の中心がくるようにすることは難しいが、このようなナイロンコード16と異種コード17との配列は、従来、交錯ベルトとカーカスプライという2枚のベルトで構成した骨格部材1枚の厚みで実現することが目的であるので、その配列としては、陸上競技のトラックのように、隣り合うナイロンコード16,16の2つの断面円を直線で結んだ長方形楕円の中に上記異種コード17の円の中心が配置されていれば十分である。
また、ボディプライ14a,14bの角度を20度〜80度としたのは、異種コードの角度をこの範囲にしないと十分なベルト面内剪断剛性が得られないためである。すなわち、異種コードの角度が20度未満である場合、もしくは、80度を超えた場合には、コードの延長方向が赤道方向に近づきすぎているため、2枚を交錯させても2枚の角度差が十分に得られず、このため、上記カーカス層14は交錯層として機能しない。なお、本例のように、カーカス層14の外側にスパイラル補強層15が存在する場合には、上記角度が20度〜80度の範囲にあれば十分な面内剪断剛性を発揮できるが、スパイラル補強層15がない場合には、20度〜45度とすることが好ましい。
また、上記異種コード17が介挿されている範囲としては、トレッド中心を中心として、トレッド幅の0.6〜1.1倍とすることが好ましい。これは、本例では交錯ベルト層を省略し、上記異種コード17が従来の交錯ベルトの役割を持たせるようにしているためである。したがって、上記異種コード17の幅としては、従来の交錯ベルトの幅と同じ程度の幅の範囲に介挿させることが好ましい。交錯ベルトの幅は、ベルトが複数枚ある場合には、ベルトの端部が別のベルトの端部と重なると、ベルト端から亀裂が発生しやすくなるので、好ましくない。それゆえ、異種コード層が2枚以上ある場合には、それぞれの異種コード層の幅を変えて、異種コード層の端部をずらして配置するのが普通である。また、異種コード層は狭すぎると交錯層として十分機能しない。また、異種コード層は広ければ広いほど面内剪断剛性を高めることができるが、異種コード層の幅が広すぎると、異種コード層がタイヤのサイドウォール部12まで存在することになり、サイドウォール部12のしなやかさが失われるので、トレッド幅と同等の幅にするのが理想的である。
本例では、ボディプライ14a,14bは2枚なので、ベルトの役割を持つ異種コード層の端部が重ならないようにして異種コード層の端部からの亀裂の発生を防ぐこと、異種コード層の幅を広くして面内剪断剛性を高めること、及び、サイドウォール部12のしなやかさを確保することという各条件を考慮して、上記異種コード17が介挿されている範囲をトレッド幅の0.6〜1.1倍とした。なお、一般には、内側の異種コード17の幅を広くし、外側の異種コード17の幅を狭くする。
これにより、骨格部材の面内剪断剛性を高めて操縦安定性能を確保することができるとともに、トレッド部の骨格部材の枚数が3枚なので、面外曲げ剛性を適度に抑制することができ、乗り心地性能を向上させることができる。
本例では、ボディプライ14a,14bは2枚なので、ベルトの役割を持つ異種コード層の端部が重ならないようにして異種コード層の端部からの亀裂の発生を防ぐこと、異種コード層の幅を広くして面内剪断剛性を高めること、及び、サイドウォール部12のしなやかさを確保することという各条件を考慮して、上記異種コード17が介挿されている範囲をトレッド幅の0.6〜1.1倍とした。なお、一般には、内側の異種コード17の幅を広くし、外側の異種コード17の幅を狭くする。
これにより、骨格部材の面内剪断剛性を高めて操縦安定性能を確保することができるとともに、トレッド部の骨格部材の枚数が3枚なので、面外曲げ剛性を適度に抑制することができ、乗り心地性能を向上させることができる。
また、上記異種コード17を構成する材料としては、ナイロンコード16よりも引張弾性率の高い材料であればよく、具体的には、芳香族ポリアミド、スチール、グラスファイバー、カーボンなどが挙げられる。
芳香族ポリアミドから成るコードは、一般にケブラー(商品名:デュポン社製)というという名前で使われているコードで、引張弾性率がナイロンよりも10倍以上強く、また、軽量である。したがって、上記異種コード17として上記ケブラーを用いることにより、操縦安定性能を確実に向上させることができる。
また、スチールも引張弾性率がナイロンよりも非常に強い材料で、かつ、圧縮弾性率も高いので、上記異種コード17としてスチールコードを用いるようにすれば、ベルトの面内剪断剛性を効率的に向上させることができる。
また、グラスファイバーやカーボンファイバーはスチールに比べて軽量であり、かつ、十分な引っ張り強度を有するので、上記異種コード17としてグラスファイバーを撚ったコード、あるいは、カーボンファイバーを撚ったコードを用いてもよい。
芳香族ポリアミドから成るコードは、一般にケブラー(商品名:デュポン社製)というという名前で使われているコードで、引張弾性率がナイロンよりも10倍以上強く、また、軽量である。したがって、上記異種コード17として上記ケブラーを用いることにより、操縦安定性能を確実に向上させることができる。
また、スチールも引張弾性率がナイロンよりも非常に強い材料で、かつ、圧縮弾性率も高いので、上記異種コード17としてスチールコードを用いるようにすれば、ベルトの面内剪断剛性を効率的に向上させることができる。
また、グラスファイバーやカーボンファイバーはスチールに比べて軽量であり、かつ、十分な引っ張り強度を有するので、上記異種コード17としてグラスファイバーを撚ったコード、あるいは、カーボンファイバーを撚ったコードを用いてもよい。
このように、本最良の形態によれば、空気入りタイヤ10のベルト部をナイロンコードで形成された互いに交錯する2枚のボディプライ14a,14bから成るカーカス層14と、このカーカス層14の外側に配置されるスパイラル補強層15の3枚のベルトから構成するとともに、上記ボディプライ14a,14bのタイヤトレッド部11に位置するナイロンコード16の赤道方向に対する角度を20度〜80度の範囲とし、かつ、上記ナイロンコード16,16間に、上記ナイロンコード16よりも引張弾性率の高い芳香族ポリアミド、スチール、グラスファイバー、カーボンなどのような、異種材料から成るコード(異種コード17)を介挿するようにしたので、ベルト部の面内剪断剛性を高めて操縦安定性能を確保することができるとともに、トレッド部の骨格部材の枚数が3枚なので、面外曲げ剛性を適度に抑制することができ、乗り心地性能を向上させることができる。
なお、上記最良の形態では、2枚のボディプライ14a,14bのタイヤトレッド部11に位置するナイロンコード16,16間に異種コード17を介挿させたが、異種コード17を介挿させるのは、一方のボディプライだけでもよい。
また、一方のボディプライだけに異種コード17を介挿させるとともに、カーカス層14の外側に交錯ベルトを1枚配置した構成であっても良い。これによっても、ベルトの面内剪断剛性を保持しつつベルトの面外曲げ剛性を下げることができるので、操縦安定性能を確保しつつ、乗り心地性能を向上させることができる。
また、スパイラル補強層15は必ずしも必要ではないが、上記空気入りタイヤ10を、高性能乗用車用タイヤに適用するような場合には、スパイラル補強層15を設けた方が、高速走行時の操縦安定性能の確保にとって有利である。この場合、スパイラルベルト53を有する従来の空気入りタイヤ50では、スパイラル層の他に2枚の交錯ベルト52a,52bを必要とし、そのため、タイヤトレッド部11の骨格部材の積層枚数が多かったが、本例では、上記交錯ベルト52a,52bを省略することができる。
したがって、本発明の構成を採ることにより、ベルト部の面外曲げ剛性を低くして、乗り心地性能を向上させることができる。
なお、上記例では、2枚のボディプライ14a,14bがビードコア13c周りで折り返される構造のタイヤ10について説明したが、これに限るものではなく、本発明は、例えば、図2(a),(b)に示すような、ボディプライ14a,14bがビードコア13cに係止された構造のタイヤにも適応可能である。
また、一方のボディプライだけに異種コード17を介挿させるとともに、カーカス層14の外側に交錯ベルトを1枚配置した構成であっても良い。これによっても、ベルトの面内剪断剛性を保持しつつベルトの面外曲げ剛性を下げることができるので、操縦安定性能を確保しつつ、乗り心地性能を向上させることができる。
また、スパイラル補強層15は必ずしも必要ではないが、上記空気入りタイヤ10を、高性能乗用車用タイヤに適用するような場合には、スパイラル補強層15を設けた方が、高速走行時の操縦安定性能の確保にとって有利である。この場合、スパイラルベルト53を有する従来の空気入りタイヤ50では、スパイラル層の他に2枚の交錯ベルト52a,52bを必要とし、そのため、タイヤトレッド部11の骨格部材の積層枚数が多かったが、本例では、上記交錯ベルト52a,52bを省略することができる。
したがって、本発明の構成を採ることにより、ベルト部の面外曲げ剛性を低くして、乗り心地性能を向上させることができる。
なお、上記例では、2枚のボディプライ14a,14bがビードコア13c周りで折り返される構造のタイヤ10について説明したが、これに限るものではなく、本発明は、例えば、図2(a),(b)に示すような、ボディプライ14a,14bがビードコア13cに係止された構造のタイヤにも適応可能である。
また、上記例では、ナイロンコード16,16間に介挿される異種コード17を1本にしたが、2本でもよいし、3本であってもよい。例えば、2本配置する場合には、ナイロンコード16をA、異種コード17をBとすると、A−B−B−A−B−B−A−B−B−A−‥‥‥‥のような繰返しになる。あるいは規則正しく並べなくても、A−B−B−A−B−A−B−B−A−‥‥‥‥のように、1つ飛ばして1本配置したり2本配置したりしてもよい。また、全てのナイロンコード16,16間に異種コード17を配置する必要は必ずしもなく、A−A−A−B−A−A−A−B−‥‥‥‥のような配置でも良い。
また、上記例では、乗用車用空気入りタイヤ10を例にとって説明したが、本願発明は、図3に示すような、トレッド部が、周方向に丸いだけではなく幅方向にも大きな丸みを持った、自動二輪用のタイヤ10Zにも適用可能である。このようなタイヤ10Zでは、丸いトレッドが接地したときに平らになるわけだが、このとき、周方向にも幅方向にも面外曲げ剛性の影響が出やすい。したがって、本発明を、このような周方向にも幅方向にも面外曲げ剛性の影響が出やすいタイヤ10Zに適用すれば、その効果は特に大きい。
すなわち、本発明の空気入りタイヤ10Zを、自動二輪用タイヤに適用することで、自動二輪車両の操縦安定性能と乗り心地性能をともに向上させることができる。
すなわち、本発明の空気入りタイヤ10Zを、自動二輪用タイヤに適用することで、自動二輪車両の操縦安定性能と乗り心地性能をともに向上させることができる。
タイヤサイズ245/45R18(タイヤの外径:677mm、リム幅:8.5インチ、リム径:18インチ)の乗用車用の高性能タイヤにつき、従来例のタイヤ(従来例1)と本発明によるタイヤ(本発明1,2)を準備した。
これらのタイヤは、1対のビードコアにトロイダル状をなして跨る2枚のボディプライから成るカーカス層を有している。このカーカス層に使用されているコードは、本発明のタイヤも従来例のタイヤも、直径0.5mmの撚ったナイロンコードで、トレッド中心部における赤道方向に対する角度が45度のものを互いに逆向きになるように配置した。このカーカス層はビードコアを回って、ビードコア中心に折り返される。また、コードの打込み間隔は、トレッドセンター部において1.5mmである。この1.5mmとはコード−コード間の中心間隔が1.5mmであることを意味し、隣り合うコードの表面同士の間隔は、コード径が0.5mmなので、1mmとなる。なお、コードの角度の向きは1枚目(径方向内側)で左上がり、2枚目(径方向外側)で右上がりである。
従来例1のタイヤ
従来例1のタイヤは、図4に示すように、上記2枚のボディプライの半径方向外側に2枚の交錯ベルトを有する。この交錯ベルトは、直径0.18mmのスチールの単線を3本合わせて撚った、いわゆる1×3タイプのコードを、赤道面に対して45度傾けて、互いに交錯させて配置したもので、打込み間隔は2枚とも1.5mmである。
これらのタイヤのトレッド幅は245mmであり、交錯ベルトの径方向内側にあるベルトの幅は240mm(左上がり)、径方向外側にあるベルトの幅は220mm(右上がり)である。
この交錯ベルトの外側にスパイラル補強層が配置されている。
このスパイラル補強層は芳香族ポリアミド(商品名:ケブラー)を撚って0.7mmにしたコードを打込み間隔1.5mmで配置している。ベルト幅は250mmで、全幅について1層で形成されている。また、スパイラル補強層の製造は、ケブラーコードを2本並行に並べて未加硫ゴムで覆いストリップ状とし、これをタイヤ成型時に交錯ベルトの上に巻き付けて製造した。
なお、タイヤトレッド部には所定の溝が設けられている。
本発明1のタイヤ
本発明1のタイヤのボディプライのコード種、打込み間隔、角度は従来例と同じであるが、本発明1のタイヤでは、図1に示すように、ボディプライのコードの間にスチールコードから成る異種コードが配置されている。1枚目のボディプライのコードとコードとの間には、直径0.18mmのスチールの単線を3本合わせて撚った、いわゆる1×3タイプのコードを配置する(1枚目のコードが左上がり45度であるため、上記異種コードも左上がり45度となる)。この異種コードは、ボディプライのコードとコードとの間に規則正しく1本ずつ配置される。すなわち、上記異種コードの打込み間隔は1.5mmである。なお、ボディプライのナイロンコードと異種コードとを同じコードと考えると、打込み間隔は0.75mmとなる。1枚目のボディプライに配置された異種コード(スチールコード)の幅は240mmである。
2枚目のボディプライは、配置された異種コードの幅が220mmであること、コードの角度が右上がり45度で1枚目と交錯していること以外は、上記1枚目のボディプライと同様の構成である。
スパイラル補強層は上記2枚のボディプライの外側に配置されている。
このスパイラル補強層は、上記従来例1のスパイラル補強層と全く同じ構成である。
本発明2のタイヤ
異種コードが2枚目のボディプライのみに配置されていること、コードの角度が1枚目では右上がり45度、2枚目では左上がり45度であること、2枚目のボディプライの外側に右上がり45度、打込み間隔1.5mm、幅220mmのベルトが存在していること、以外は、上記本発明1のタイヤと同様の構成である。
これらのタイヤは、1対のビードコアにトロイダル状をなして跨る2枚のボディプライから成るカーカス層を有している。このカーカス層に使用されているコードは、本発明のタイヤも従来例のタイヤも、直径0.5mmの撚ったナイロンコードで、トレッド中心部における赤道方向に対する角度が45度のものを互いに逆向きになるように配置した。このカーカス層はビードコアを回って、ビードコア中心に折り返される。また、コードの打込み間隔は、トレッドセンター部において1.5mmである。この1.5mmとはコード−コード間の中心間隔が1.5mmであることを意味し、隣り合うコードの表面同士の間隔は、コード径が0.5mmなので、1mmとなる。なお、コードの角度の向きは1枚目(径方向内側)で左上がり、2枚目(径方向外側)で右上がりである。
従来例1のタイヤ
従来例1のタイヤは、図4に示すように、上記2枚のボディプライの半径方向外側に2枚の交錯ベルトを有する。この交錯ベルトは、直径0.18mmのスチールの単線を3本合わせて撚った、いわゆる1×3タイプのコードを、赤道面に対して45度傾けて、互いに交錯させて配置したもので、打込み間隔は2枚とも1.5mmである。
これらのタイヤのトレッド幅は245mmであり、交錯ベルトの径方向内側にあるベルトの幅は240mm(左上がり)、径方向外側にあるベルトの幅は220mm(右上がり)である。
この交錯ベルトの外側にスパイラル補強層が配置されている。
このスパイラル補強層は芳香族ポリアミド(商品名:ケブラー)を撚って0.7mmにしたコードを打込み間隔1.5mmで配置している。ベルト幅は250mmで、全幅について1層で形成されている。また、スパイラル補強層の製造は、ケブラーコードを2本並行に並べて未加硫ゴムで覆いストリップ状とし、これをタイヤ成型時に交錯ベルトの上に巻き付けて製造した。
なお、タイヤトレッド部には所定の溝が設けられている。
本発明1のタイヤ
本発明1のタイヤのボディプライのコード種、打込み間隔、角度は従来例と同じであるが、本発明1のタイヤでは、図1に示すように、ボディプライのコードの間にスチールコードから成る異種コードが配置されている。1枚目のボディプライのコードとコードとの間には、直径0.18mmのスチールの単線を3本合わせて撚った、いわゆる1×3タイプのコードを配置する(1枚目のコードが左上がり45度であるため、上記異種コードも左上がり45度となる)。この異種コードは、ボディプライのコードとコードとの間に規則正しく1本ずつ配置される。すなわち、上記異種コードの打込み間隔は1.5mmである。なお、ボディプライのナイロンコードと異種コードとを同じコードと考えると、打込み間隔は0.75mmとなる。1枚目のボディプライに配置された異種コード(スチールコード)の幅は240mmである。
2枚目のボディプライは、配置された異種コードの幅が220mmであること、コードの角度が右上がり45度で1枚目と交錯していること以外は、上記1枚目のボディプライと同様の構成である。
スパイラル補強層は上記2枚のボディプライの外側に配置されている。
このスパイラル補強層は、上記従来例1のスパイラル補強層と全く同じ構成である。
本発明2のタイヤ
異種コードが2枚目のボディプライのみに配置されていること、コードの角度が1枚目では右上がり45度、2枚目では左上がり45度であること、2枚目のボディプライの外側に右上がり45度、打込み間隔1.5mm、幅220mmのベルトが存在していること、以外は、上記本発明1のタイヤと同様の構成である。
これらのタイヤについて、その面内剪断剛性と面外曲げ剛性を比較した。
面内剪断剛性については、直径3mのドラムにてCP(コーナリングパワー)を測定しその値を指標とした。具体的には、直径3mのドラム上に紙ヤスリを張り付けて摩耗の高い路面の代わりとし、このドラム上にタイヤを、CA(キャンバー角)0度、SA(スリップ角)0度、タイヤ内圧220kPa、荷重4kNにて押し付け、100km/hで転動させ、この時の横力を測定した後、キャンバー角はそのままでスリップ角を1度に変更して再度横力を測定し、その増分を比較した。この横力の増分がCP(コーナリングパワー)である。
従来例1のタイヤのCPを100とすると、本発明1のタイヤは103、本発明2のタイヤは102であった。これにより、本発明1,2のタイヤでは、従来例1よりもグリップ力が高く、十分な面内剪断剛性を有することが確認された。なお、従来例1のタイヤのCPの実測値は1.1kN/deg.であった。
面外曲げ剛性については、荷重負荷時におけるタイヤの接地長を指標とした。具体的には、墨を塗ったタイヤを白い紙の上に荷重4kNにて押し付けて、その接地形状を測定した。このときのタイヤ内圧は220kPa、キャンバー角は0度とした。
その結果、本発明1のタイヤのトレッドセンター部の接地長は、従来例1のトレッドセンター部の接地長に比べて2mm増え、本発明2のタイヤでは1.5mm増えていた。これは、本発明1,2のタイヤはベルト積層枚数が従来例1よりも少ないので、そのため、面外曲げ剛性が低下し、接地長が伸びたものと考えられる。
また、接地長が伸びているので、上記ドラム上のCP測定においてもCPが向上した。
なお、従来例1の接地長は71mmであった。
次に、上記各タイヤを用い、熟練ドライバーによるテストコース走行を実施し、操縦安定性能と乗り心地性能と評価した結果を以下の表1に示す。
操縦安定性能及び乗り心地性能の指標は、ドライバーの評価を点数(10点満点)に直して比較した。なお、試験車両は後輪駆動のスポーツタイプの車両を使用し、タイヤは4輪全て同じタイヤを用いた。
本発明1,2ともに乗り心地性能の大幅な改善が見られた。これは、本発明のように交錯部材の枚数を減らすことでベルトの面外曲げ剛性を低くすることができたからである。また、操縦安定性能についても向上している。これは、ベルトの面外曲げ剛性を低くしたために接地長が伸びて接地面積が拡大したためと、交差枚数が減ってもベルトの面内剪断剛性を維持することができたことによるもので、ベルトの面内剪断剛性が確保されているため、接地面積の拡大効果がそのまま操縦安定性能の向上として現れている。
面内剪断剛性については、直径3mのドラムにてCP(コーナリングパワー)を測定しその値を指標とした。具体的には、直径3mのドラム上に紙ヤスリを張り付けて摩耗の高い路面の代わりとし、このドラム上にタイヤを、CA(キャンバー角)0度、SA(スリップ角)0度、タイヤ内圧220kPa、荷重4kNにて押し付け、100km/hで転動させ、この時の横力を測定した後、キャンバー角はそのままでスリップ角を1度に変更して再度横力を測定し、その増分を比較した。この横力の増分がCP(コーナリングパワー)である。
従来例1のタイヤのCPを100とすると、本発明1のタイヤは103、本発明2のタイヤは102であった。これにより、本発明1,2のタイヤでは、従来例1よりもグリップ力が高く、十分な面内剪断剛性を有することが確認された。なお、従来例1のタイヤのCPの実測値は1.1kN/deg.であった。
面外曲げ剛性については、荷重負荷時におけるタイヤの接地長を指標とした。具体的には、墨を塗ったタイヤを白い紙の上に荷重4kNにて押し付けて、その接地形状を測定した。このときのタイヤ内圧は220kPa、キャンバー角は0度とした。
その結果、本発明1のタイヤのトレッドセンター部の接地長は、従来例1のトレッドセンター部の接地長に比べて2mm増え、本発明2のタイヤでは1.5mm増えていた。これは、本発明1,2のタイヤはベルト積層枚数が従来例1よりも少ないので、そのため、面外曲げ剛性が低下し、接地長が伸びたものと考えられる。
また、接地長が伸びているので、上記ドラム上のCP測定においてもCPが向上した。
なお、従来例1の接地長は71mmであった。
次に、上記各タイヤを用い、熟練ドライバーによるテストコース走行を実施し、操縦安定性能と乗り心地性能と評価した結果を以下の表1に示す。
操縦安定性能及び乗り心地性能の指標は、ドライバーの評価を点数(10点満点)に直して比較した。なお、試験車両は後輪駆動のスポーツタイプの車両を使用し、タイヤは4輪全て同じタイヤを用いた。
実施例2では本発明を、図3に示すような、自動二輪用タイヤに適用したものである。
タイヤサイズ190/50ZR17の自動二輪用タイヤタイヤにつき、従来例のタイヤ(従来例2)と本発明によるタイヤ(本発明3,4,5)を準備した。
これらのタイヤは、1対のビードコアにトロイダル状をなして跨る2枚のボディプライから成るカーカス層を有している。このカーカス層に使用されているコードは、本発明のタイヤも従来例のタイヤも、直径0.5mmの撚ったナイロンコードで、トレッド中心部における赤道方向に対する角度が75度のものを互いに逆向きになるように配置した。このカーカス層はビードコアを回って、ビードコア中心に折り返される。また、コードの打込み間隔は、トレッドセンター部において2.4mmである。この2.4mmとはコード−コード間の中心間隔が2.4mmであることを意味し、隣り合うコードの表面同士の間隔は、コード径が0.5mmなので、1.9mmとなる。なお、コードの角度の向きは1枚目(径方向内側)では左上がり75度で、2枚目(径方向外側)では右上がり75度となっている。
従来例2のタイヤ
従来例2のタイヤでは、図4の2枚のボディプライの半径方向外側で、スパイラル補強層の内側に2枚の交錯ベルトが存在する。この交錯ベルトは、芳香族ポリアミドを撚って直径0.6mmとしたコード(ケブラーコード)であり、赤道面に対して75度傾けて、互いに交錯させて配置したものである。1枚目のベルト、すなわち、ボディプライの次に配置される内側のベルトの角度は左上がり75度、2枚目のベルトである外側のベルトの角度は右上がり75度、打込み間隔は2枚とも1.2mmで、これは、ボディプライの打込みの2倍の密度である。
トレッド幅はタイヤの幅方向断面の丸みに沿って240mmであり、交錯ベルトの1枚目の幅は230mm、2枚目の幅は220mmである。
この交錯ベルトの外側にスパイラル補強層が配置されている。
このスパイラル補強層は、直径0.18mmのスチール単線を1×5タイプで撚ったスチールコードを打込み間隔1mmでスパイラル状に巻き付けて形成される。製造方法は、2本の並列したコードを被覆ゴム中に埋設した帯状体を、略タイヤの赤道方向に沿って螺旋状にタイヤ回転軸方向に巻きつける手法である。このスパイラル補強層の幅は240mmである。
このスパイラル補強層の外側にはトレッド部が配置され、このトレッド部には所定の溝が設けられている。
この従来例2のタイヤに対して、以下の本発明3,4,5のタイヤを準備した。
本発明3のタイヤ
本発明3のタイヤのボディプライのコード種、打込み間隔、角度は従来例と同じであるが、本発明3のタイヤでは、図3に示すように、ボディプライのコードの間に2本のケブラーコード(異種コード)が配置されている。1枚目のボディプライのコードとコードとの間には、芳香族ポリアミドを撚って直径0.6mmとしたコードを2本配置する(1枚目のボディプライが左上がり75度であるため、上記ケブラーコードも左上がり75度となる)。このケブラーコードは、ボディプライのコードとコードとの間に規則正しく2本ずつ配置される。すなわち、上記ケブラーコードの打込み間隔は0.8mmで、ナイロンコード−ケブラーコード−ケブラーコード−ナイロンコード−ケブラーコード−ケブラーコード−‥‥の順番で等間隔で配置される。
1枚目のボディプライに配置されたケブラーコードの幅は230mmである。
2枚目のボディプライは、ケブラーコードの幅が220mmであることと、コードの角度が右上がり75度で1枚目と交錯していること以外は、上記1枚目のボディプライと同様の構成である。
スパイラル補強層は上記2枚のボディプライの外側に配置されている。
このスパイラル補強層は、上記従来例2のスパイラル補強層と全く同じ構成である。
本発明4のタイヤ
異種コードをケブラーコードからグラスファイバーのコードを撚って直径0.6mmとした以外は、上記本発明3のタイヤと同様の構成である。
本発明5のタイヤ
異種コードをケブラーコードからカーボンファイバーのコードを撚って直径0.6mmとした以外は、上記本発明3のタイヤと同様の構成である。
タイヤサイズ190/50ZR17の自動二輪用タイヤタイヤにつき、従来例のタイヤ(従来例2)と本発明によるタイヤ(本発明3,4,5)を準備した。
これらのタイヤは、1対のビードコアにトロイダル状をなして跨る2枚のボディプライから成るカーカス層を有している。このカーカス層に使用されているコードは、本発明のタイヤも従来例のタイヤも、直径0.5mmの撚ったナイロンコードで、トレッド中心部における赤道方向に対する角度が75度のものを互いに逆向きになるように配置した。このカーカス層はビードコアを回って、ビードコア中心に折り返される。また、コードの打込み間隔は、トレッドセンター部において2.4mmである。この2.4mmとはコード−コード間の中心間隔が2.4mmであることを意味し、隣り合うコードの表面同士の間隔は、コード径が0.5mmなので、1.9mmとなる。なお、コードの角度の向きは1枚目(径方向内側)では左上がり75度で、2枚目(径方向外側)では右上がり75度となっている。
従来例2のタイヤ
従来例2のタイヤでは、図4の2枚のボディプライの半径方向外側で、スパイラル補強層の内側に2枚の交錯ベルトが存在する。この交錯ベルトは、芳香族ポリアミドを撚って直径0.6mmとしたコード(ケブラーコード)であり、赤道面に対して75度傾けて、互いに交錯させて配置したものである。1枚目のベルト、すなわち、ボディプライの次に配置される内側のベルトの角度は左上がり75度、2枚目のベルトである外側のベルトの角度は右上がり75度、打込み間隔は2枚とも1.2mmで、これは、ボディプライの打込みの2倍の密度である。
トレッド幅はタイヤの幅方向断面の丸みに沿って240mmであり、交錯ベルトの1枚目の幅は230mm、2枚目の幅は220mmである。
この交錯ベルトの外側にスパイラル補強層が配置されている。
このスパイラル補強層は、直径0.18mmのスチール単線を1×5タイプで撚ったスチールコードを打込み間隔1mmでスパイラル状に巻き付けて形成される。製造方法は、2本の並列したコードを被覆ゴム中に埋設した帯状体を、略タイヤの赤道方向に沿って螺旋状にタイヤ回転軸方向に巻きつける手法である。このスパイラル補強層の幅は240mmである。
このスパイラル補強層の外側にはトレッド部が配置され、このトレッド部には所定の溝が設けられている。
この従来例2のタイヤに対して、以下の本発明3,4,5のタイヤを準備した。
本発明3のタイヤ
本発明3のタイヤのボディプライのコード種、打込み間隔、角度は従来例と同じであるが、本発明3のタイヤでは、図3に示すように、ボディプライのコードの間に2本のケブラーコード(異種コード)が配置されている。1枚目のボディプライのコードとコードとの間には、芳香族ポリアミドを撚って直径0.6mmとしたコードを2本配置する(1枚目のボディプライが左上がり75度であるため、上記ケブラーコードも左上がり75度となる)。このケブラーコードは、ボディプライのコードとコードとの間に規則正しく2本ずつ配置される。すなわち、上記ケブラーコードの打込み間隔は0.8mmで、ナイロンコード−ケブラーコード−ケブラーコード−ナイロンコード−ケブラーコード−ケブラーコード−‥‥の順番で等間隔で配置される。
1枚目のボディプライに配置されたケブラーコードの幅は230mmである。
2枚目のボディプライは、ケブラーコードの幅が220mmであることと、コードの角度が右上がり75度で1枚目と交錯していること以外は、上記1枚目のボディプライと同様の構成である。
スパイラル補強層は上記2枚のボディプライの外側に配置されている。
このスパイラル補強層は、上記従来例2のスパイラル補強層と全く同じ構成である。
本発明4のタイヤ
異種コードをケブラーコードからグラスファイバーのコードを撚って直径0.6mmとした以外は、上記本発明3のタイヤと同様の構成である。
本発明5のタイヤ
異種コードをケブラーコードからカーボンファイバーのコードを撚って直径0.6mmとした以外は、上記本発明3のタイヤと同様の構成である。
これらのタイヤについて、その面内剪断剛性と面外曲げ剛性を比較した。
面内剪断剛性については、直径3mのドラムにてキャンバースラストを測定しその値を指標とした。具体的には、直径3mのドラム上に紙ヤスリを張り付けて摩耗の高い路面の代わりとし、このドラム上にタイヤを荷重1.5kNにて押し付け、100km/hで転動させて横力を測定する。このときのCA(キャンバー角)は50度、SA(スリップ角)は0度、タイヤ内圧は220kPaである。このときの横力がキャンバースラストとなる。
従来例2のタイヤのキャンバースラストを100とすると、本発明3のタイヤのキャンバースラストは104、本発明4のタイヤのキャンバースラストは105、本発明5のタイヤのキャンバースラストは105であった。なお、上記従来例2のタイヤのキャンバースラストの実測値は1.1kNであった。
本発明3,4,5のタイヤにおいて、キャンバースラストが向上したのは、面内剪断剛性が従来例2と同等でありながら、ベルト積層枚数を減らしたことにより、ベルト部の面外曲げ剛性が低下して、ベルトが路面に接地しやすくなり、接地面積が増えたことによるものと考えられる。
そこで、次に接地形状についての測定を実施した。測定条件は上記のキャンバースラスト計測時と同じにした。具体的には、墨を塗ったタイヤを白い紙の上に、キャンバー角を50度に保持したまま荷重1.5kNでゆっくりと押し付けて接地形状を測定した。なお、タイヤ内圧は220kPaである。接地形状はいずれのタイヤもラグビーボールに近い形となった。その周方向の接地長さ(ラグビーボール型の長軸方向の長さで、これを接地長と呼ぶ)を計測した。
その結果、本発明3,4,5のタイヤの接地長は、従来例2の接地長に比べて、いずれも3mm増えていた。これはベルト積層枚数が従来例2よりも少なくなったため、面外曲げ剛性が低下し、接地長が伸びたからである。なお、従来例2の接地長は119mmであった。
ところで、本発明3,4,5のタイヤの接地長の増加は、いずれも3mmで同等であったが、キャンバースラストでは本発明3のタイヤよりも本発明4,5のタイヤの方が従来例2に対する増加の割合が大きかった。これは、芳香族ポリアミドのコードよりもグラスファイバーやカーボンファイバーのコードの方が強度が強く、そのため、面内剪断剛性の増加の割合が大きかったものと考えられる。
次に、上記各タイヤを用い、熟練ドライバーによるテストコース走行を実施し、操縦安定性能と乗り心地性能と評価した結果を以下の表2に示す。
操縦安定性能及び乗り心地性能の指標は、ドライバーの評価を点数(10点満点)に直して比較した。なお、試験車両はスポーツタイプの1000ccエンジンのバイク車両を使用し、タイヤは前輪を一般的なタイヤで固定し、後輪のタイヤのみを交換した。
本発明3,4,5ともに操縦安定性能と乗り心地性能の大幅な改善が見られた。これは、本発明のように交錯層の枚数を減らすことでベルトの面外曲げ剛性を低くすることができ、その結果乗り心地性能が向上したためである。また、面外曲げ剛性が低くなることで、自動二輪用タイヤのように幅方向にも周方向にも丸いタイヤでは接地面積の向上が大きく見込まれ、その結果グリップ(操縦安定性能)も大幅に向上した。
また、本発明3のタイヤと本発明4,5のタイヤとを比較すると、補強効果(面内剪断剛性)については本発明3のタイヤよりも本発明4,5のタイヤの方が優れており操縦安定性能の評価は高いが、逆に、乗り心地性については、強度の低い芳香族ポリアミドのコードを使用した方が評価が高い。
しかしながら、いずれにしても、本発明3,4,5のタイヤは、従来例2のタイヤに比べて操縦安定性能も乗り心地性能もはるかに優れていることが分かる。
面内剪断剛性については、直径3mのドラムにてキャンバースラストを測定しその値を指標とした。具体的には、直径3mのドラム上に紙ヤスリを張り付けて摩耗の高い路面の代わりとし、このドラム上にタイヤを荷重1.5kNにて押し付け、100km/hで転動させて横力を測定する。このときのCA(キャンバー角)は50度、SA(スリップ角)は0度、タイヤ内圧は220kPaである。このときの横力がキャンバースラストとなる。
従来例2のタイヤのキャンバースラストを100とすると、本発明3のタイヤのキャンバースラストは104、本発明4のタイヤのキャンバースラストは105、本発明5のタイヤのキャンバースラストは105であった。なお、上記従来例2のタイヤのキャンバースラストの実測値は1.1kNであった。
本発明3,4,5のタイヤにおいて、キャンバースラストが向上したのは、面内剪断剛性が従来例2と同等でありながら、ベルト積層枚数を減らしたことにより、ベルト部の面外曲げ剛性が低下して、ベルトが路面に接地しやすくなり、接地面積が増えたことによるものと考えられる。
そこで、次に接地形状についての測定を実施した。測定条件は上記のキャンバースラスト計測時と同じにした。具体的には、墨を塗ったタイヤを白い紙の上に、キャンバー角を50度に保持したまま荷重1.5kNでゆっくりと押し付けて接地形状を測定した。なお、タイヤ内圧は220kPaである。接地形状はいずれのタイヤもラグビーボールに近い形となった。その周方向の接地長さ(ラグビーボール型の長軸方向の長さで、これを接地長と呼ぶ)を計測した。
その結果、本発明3,4,5のタイヤの接地長は、従来例2の接地長に比べて、いずれも3mm増えていた。これはベルト積層枚数が従来例2よりも少なくなったため、面外曲げ剛性が低下し、接地長が伸びたからである。なお、従来例2の接地長は119mmであった。
ところで、本発明3,4,5のタイヤの接地長の増加は、いずれも3mmで同等であったが、キャンバースラストでは本発明3のタイヤよりも本発明4,5のタイヤの方が従来例2に対する増加の割合が大きかった。これは、芳香族ポリアミドのコードよりもグラスファイバーやカーボンファイバーのコードの方が強度が強く、そのため、面内剪断剛性の増加の割合が大きかったものと考えられる。
次に、上記各タイヤを用い、熟練ドライバーによるテストコース走行を実施し、操縦安定性能と乗り心地性能と評価した結果を以下の表2に示す。
操縦安定性能及び乗り心地性能の指標は、ドライバーの評価を点数(10点満点)に直して比較した。なお、試験車両はスポーツタイプの1000ccエンジンのバイク車両を使用し、タイヤは前輪を一般的なタイヤで固定し、後輪のタイヤのみを交換した。
また、本発明3のタイヤと本発明4,5のタイヤとを比較すると、補強効果(面内剪断剛性)については本発明3のタイヤよりも本発明4,5のタイヤの方が優れており操縦安定性能の評価は高いが、逆に、乗り心地性については、強度の低い芳香族ポリアミドのコードを使用した方が評価が高い。
しかしながら、いずれにしても、本発明3,4,5のタイヤは、従来例2のタイヤに比べて操縦安定性能も乗り心地性能もはるかに優れていることが分かる。
このように、本発明によれば、操縦安定性を損なうことなく、乗り心地性を向上させることのできる空気入りタイヤを提供することができる。
また、本発明の空気入りタイヤを、特に、自動二輪用タイヤに適用することで、自動二輪車両の操縦安定性能と乗り心地性能をともに向上させることができる。
また、本発明の空気入りタイヤを、特に、自動二輪用タイヤに適用することで、自動二輪車両の操縦安定性能と乗り心地性能をともに向上させることができる。
10 空気入りタイヤ、11 トレッド部、12 サイドウォール部、
13 ビード部、13c ビードコア、14 カーカス層、
14a,14b ボディプライ、15 スパイラル補強層、16 ナイロンコード、
17 異種コード。
13 ビード部、13c ビードコア、14 カーカス層、
14a,14b ボディプライ、15 スパイラル補強層、16 ナイロンコード、
17 異種コード。
Claims (6)
- タイヤトレッド部からサイドウォール部に延長しビードコア周りで折り返される、もしくは、ビードコア部に係止される、複数のナイロンコードをゴムで被覆して成る、互いに交錯する少なくとも2枚のボディプライを備えた空気入りタイヤであって、上記ボディプライのコードのタイヤトレッド部における角度を赤道方向に対して20度〜80度とするとともに、上記タイヤトレッド部に位置するナイロンコードとナイロンコードとの間に、上記ナイロンコードよりも引張弾性率の高い異種材料から成るコードが少なくとも1種介挿されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
- 上記異種材料が介挿されている部位の幅をトレッド幅の0.6〜1.1倍としたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 上記異種材料を芳香族ポリアミドとしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 上記異種材料をスチールとしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 上記異種材料をグラスファイバーまたはカーボンとしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 上記ボディプライの外側に、少なくとも1枚のスパイラル補強層が配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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---|---|---|---|
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010195340A (ja) * | 2009-02-27 | 2010-09-09 | Bridgestone Corp | 二輪車用空気入りタイヤ |
CN104995038A (zh) * | 2012-10-18 | 2015-10-21 | 科德沙环球纱线工业和贸易股份公司 | 轮胎帘布 |
CN114919337A (zh) * | 2022-04-28 | 2022-08-19 | 山东玲珑轮胎股份有限公司 | 一种新型结构的工程轮胎及其制备方法 |
-
2007
- 2007-04-03 JP JP2007097665A patent/JP2008254532A/ja active Pending
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