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JP2007031648A - 塗膜および塗装物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐汚染性、透明性、耐候性、耐凍害性に優れる塗膜、および該塗膜を有する塗装物を提供する。
【解決手段】 共重合体11と、シリカ粒子12とを含有する塗膜10であって、該塗膜10の最表層に形成されたシリカ粒子層13の厚さを30nm以上とする。該塗膜は、共重合体100質量部に対してシリカ粒子を0.5〜20質量部含有することが好ましく、シリカ粒子の平均粒子径は、1〜60nmであることが好ましく、共重合体は、加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位を0.1〜20質量%含有することが好ましい。
【選択図】 図2

Description

本発明は、塗膜、および該塗膜を有する塗装物に関する。
近年、塗料分野においては、環境保全、安全衛生の面から有機溶剤系塗料から水性塗料への変換が図られている。しかし、水性塗料は、耐候性、耐水性、耐凍害性、耐汚染性等の塗膜性能、特に耐汚染性が溶剤系に比べて低位であり、解決すべき課題が多いのが現状である。
これらの課題の解決を目的とした水性塗料の開発および塗膜の積層方法の開発は種々行われている。例えば、水性塗料用の樹脂としては、乳化重合によるアクリル樹脂のエマルションが、得られる塗膜の耐候性等が比較的良好であるという特長を有することから、注目されている。また、下塗り用水性エマルション、中塗り用水性エマルション、上塗り用水性エマルションのそれぞれに性能を付与し、これら水性エマルションを順次、積層塗装し、積層塗膜全体として耐汚染性等の塗膜性能を発揮するような工夫がなされている。
塗膜の耐汚染性を向上させる方法としては、(i)塗膜の硬度を高くする(樹脂のガラス転移温度(Tg)を高くする)方法、(ii)塗膜表面を親水化し、雨水で汚染物質を洗い流す自浄作用を付与する方法、(iii)塗膜の帯電性を制御して、静電気による汚れの付着を抑える方法等が挙げられる。
しかし、(i)の方法では、造膜性が低下し、冬場に塗膜にヒビ等が発生する問題があり、耐凍害性に問題がある。また、塗膜の耐汚染性の大幅な改善は困難である。
(ii)の方法としては、例えば、親水性を有する単量体単位を含む樹脂を用いる、界面活性剤等を添加する等の方法が挙げられる。しかし、親水性を有する単量体単位を含む樹脂は、耐候性が低いという問題がある。また、界面活性剤等を添加した場合、塗膜の耐水性が低下し、耐汚染性の効果の持続に問題がある。
(iii)の方法では、帯電防止剤の添加が塗膜の耐候性、耐水性に悪影響を及ぼし、効果の持続性にも問題がある。
これら問題を解決する水性塗料としては、無機物を含有する水性塗料が知られている。例えば、特許文献1には、ビニルシランとアクリル系モノマーとの共重合体を含有する水性エマルションにコロイダルシリカを含有させた被覆組成物が提案されている。そして、該被覆組成物からなる塗膜は、耐熱性、耐水性、密着性に優れるとされている。
しかし、この被覆組成物は、水性エマルションの固形分100質量部に対して、固形分含量500〜20000質量部の多量のコロイダルシリカを必要としている。コロイダルシリカを多量に用いると、塗膜の透明性、耐候性、被覆組成物の貯蔵安定性、塗装作業性が劣るという問題点がある。
これに対して、比較的少量のコロイダルシリカを用いた水性塗料としては、以下の水性塗料が提案されている(特許文献2、3)。
特許文献2には、不飽和ビニルモノマーがポリオルガノシロキサンに対し10〜90質量%グラフト共重合されたポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体エマルション100質量部と、コロイダルシリカ1〜50質量部とを含有する難燃性塗材が提案されている。そして、該難燃性塗材からなる塗膜は、難燃性、伸長性、接着性、感温特性、透湿性、および耐汚染性に優れるとされている。
しかし、この塗材は、ポリオルガノシロキサン系グラフトブロック共重合体エマルションの固形分100質量部中、ポリオルガノシロキサン成分が52質量部以上であり、多量の撥水性シリコーン成分を含有している。そのため、塗膜の親水性が不充分となり、耐汚染性が低位である。また、塗膜の透明性、硬度の点でも問題がある。
特許文献3には、ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体エマルション100質量部と、コロイダルシリカ1〜300重量部とを含有する水性被覆組成物が提案されている。そして、該水性被覆組成物は、貯蔵安定性に優れ、その塗膜は、硬度、耐水性、および耐汚染性に優れるとされている。
該水性被覆組成物からなる塗膜は、特許文献2記載の塗材からなる塗膜と比較すると、耐汚染性が大幅に改善されているものの、さらなる塗膜の親水化による低汚染化が求められている。
また、特許文献4、5等には、セメント系材料の表面塗装において、下塗り、中塗り、上塗りの多層構成にして、それらの全てにシリケートまたはシリカゾルを配合し、積層塗膜の静電気滞留を防ぐことにより、静電気による汚れ付着を防止し、塗膜に耐汚染性を付与することが記載されている。
しかし、下塗り、中塗り、上塗りのどれか一層が樹脂のみの塗膜であると、静電気滞留が起きて、塗膜に汚れが付着するという問題があった。
特公平1−41180号公報 特開平4−23857号公報 特開平9−165554号公報 特公昭53−34141号公報 特開平5−96234号公報
本発明の目的は、耐汚染性、透明性、耐候性、耐凍害性に優れる塗膜を提供することにある。
本発明の塗膜は、共重合体と、シリカ粒子とを含有する塗膜であって、該塗膜の最表層に形成されたシリカ粒子からなる層の厚さが、30nm以上であることを特徴とする。
本発明の塗膜においては、前記共重合体100質量部に対してシリカ粒子を0.5〜20質量部含有することが好ましい。
前記シリカ粒子の平均粒子径は、1〜60nmであることが好ましい。
前記共重合体は、加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位を、共重合体(100質量%)中、0.1〜20質量%含有することが好ましい。
本発明の塗装物は、本発明の塗膜を有するものである。
本発明の塗膜は、耐汚染性、透明性、耐候性、耐凍害性に優れる。
本発明の塗装物は、塗膜の耐汚染性、透明性、耐候性、耐凍害性に優れる。
<塗膜>
図1は、本発明の塗膜の断面の一例を示す透過型電子顕微鏡(以下、TEMと記す。)観察像であり、図2はその模式図である。
塗膜10は、共重合体11と、シリカ粒子12とを含有する塗膜であって、塗膜10の最表層には、そこに偏在するシリカ粒子12からなるシリカ粒子層13が形成されている。
(シリカ粒子層)
シリカ粒子層13は、塗膜10の最表層に偏在するシリカ粒子12からなる層であり、シリカ粒子12の間隙には共重合体11が存在していてもよい。
シリカ粒子層13の厚さaは、30nm以上1300nm以下が好ましく、1100nm以下がより好ましく、さらに好ましくは1000nm以下である。シリカ粒子層13の厚さaを30nm以上とすることにより、充分な耐汚染性(親水性、制電性)が得られる。また、シリカ粒子層13の厚さaを1300nm以下とすることにより、塗膜の白化が低減される傾向にある。
シリカ粒子層13の厚さaは、塗膜10断面のTEM観察像から求める。具体的には、Adobe phtoshop(Adobe社製)等の画像処理ソフトウエアを用い、TEM観察像の塗膜10の表面をディスプレイ画面の水平方向にあわせ、塗膜10を6等分するように画面の垂直方向に5本の垂線を引き、各垂線がシリカ粒子層13を横切る長さ(nm)をTEM観察像のスケールバーの長さと比較して算出し、これらの平均値をシリカ粒子層13の厚さaとする。各垂線の間隔は100nm以上が好ましい。
(シリカ粒子)
シリカ粒子は、塗膜に親水性、静電性を付与することにより、充分な耐汚染性を発揮させる成分である。また、塗膜に硬さ、耐候性を付与する成分である。
シリカ粒子の量は、共重合体100質量部に対して0.5〜20質量部が好ましく、1〜18質量部がより好ましい。シリカ粒子の量を0.5質量部以上とすることにより、塗膜の耐汚染性(親水性、制電性)が向上する。シリカ粒子の量を20質量部以下とすることにより、塗膜の透明性、耐候性、耐水性、耐凍害性を低下させることなく、塗膜の耐汚染性(親水性、制電性)が向上する。また、シリカ粒子の量を20質量部以下とすることにより、塗膜の白化が抑えられる。
シリカ粒子の平均粒子径は、1〜60nmが好ましく、40nm未満がより好ましく、20nm未満がさらに好ましい。シリカ粒子の平均粒子径を60nm以下とすることにより、塗膜の形成時にシリカ粒子が塗膜の表層に浮上しやすくなり、塗膜の表層においてシリカ粒子が共重合体の粒子間隙を密に埋め、かつ厚みを持ってシリカ粒子層を形成し、共重合体とシリカ粒子、およびシリカ粒子同士が化学結合または物理吸着して塗膜の最表層に存在するようになり、耐汚染性が発揮される。また、シリカ粒子の平均粒子径を60nm以下とすることにより、塗膜の表面における光の乱反射を抑え、塗膜が白く見えることを抑えることができる。シリカ粒子の平均粒子径は、画像処理ソフトウエアを用い、シリカ粒子のTEM観察像からシリカ粒子の粒径をTEM観察像のスケールバーの長さと比較して10点算出し、これらの平均値を取ることにより算出される。
シリカ粒子は、下記一般式(1)で示されるシラン化合物で表面処理されたものであってもよい。
SiR1 n+1(OR23-n ・・・(1)
(式中、R1 は、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R2 は、水素原子またはエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、nは0〜2の整数を示す。)
上記一般式(1)で示されるシラン化合物としては、トリメトキシシラン、ジメトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメトキシフェニルシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジエトキシフェニルシラン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、トリメトキシメチルシランが特に好ましい。
シリカ粒子をシラン化合物で表面処理する方法としては、(i)共重合体の水性分散液に、コロイダルシリカおよびシラン化合物を添加し、室温から100℃の温度範囲で任意の時間攪拌する方法;(ii)あらかじめコロイダルシリカおよびシラン化合物を室温から100℃の温度範囲で任意の時間攪拌することによって得られた、シラン化合物で表面処理されたシリカ粒子を、共重合体の水性分散液中に添加する方法等が挙げられる。
シラン化合物の量は、シリカ粒子100質量部に対して、1〜60質量部が好ましく、5〜40質量部がより好ましい。シラン化合物の量を1質量部以上とすることにより、塗膜の耐候性が向上する。シラン化合物の量を60質量部以下とすることにより、水性塗料組成物の貯蔵安定性、塗膜の耐汚染性および耐水性を低下させることなく、塗膜の耐候性をさらに向上させることができる。
(共重合体)
共重合体は、被膜形成成分であり、塗膜に成膜性、耐候性、耐水性、耐凍害性等を付与する成分である。
共重合体としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。これらのうち、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性、耐凍害性の観点から、アクリル系樹脂およびアクリルシリコン系樹脂が好ましく、アクリルシリコン系樹脂がより好ましい。
アクリル系樹脂およびアクリルシリコン系樹脂を構成するラジカル重合性単量体としては、例えば、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン等のビニルシラン類;γ−アクリロイルオキシエチルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシエチルメチルジクロロシラン、γ−アクリロイルオキシエチルトリクロロシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン等のアクリロイルオキシアルキルシラン類;γ−メタクリロイルオキシエチルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシエチルメチルジクロロシラン、γ−メタクリロイルオキシエチルトリクロロシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン等のメタクリロイルオキシアルキルシラン類;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、p−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体類;ヒドロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−テトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリプロピレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリプロピレンオキシド−テトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、オクトキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ(ポリエチレンオキシド−プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン基含有(メタ)アクリレート類;
p−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシシクロアルキル(メタ)アクリレート類;ラクトン変性ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体類;2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有重合性単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート類;ジアクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛等の金属含有ラジカル重合性単量体;2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、1−(メタ)アクリロイル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−アミノ−4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の耐紫外線基含有(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートメチルクロライド塩、アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等の他の(メタ)アクリル系単量体;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、ピバリンアルデヒド、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトニトリルアクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルデヒド基またはケト基に基づくカルボニル基含有単量体;
スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン等の芳香族ビニル系単量体;1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3―ブタジエン等の共役ジエン系単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、これらのハーフエステル、2−(メタ)アクリロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基含有単量体;酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン、プロピオン酸ビニル等のラジカル重合性単量体;後述するグラフト交叉剤を有するシリコーンポリマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のオキシラン基含有ラジカル重合性単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のエチレン性不飽和アミドのアルキロールまたはアルコキシアルキル化合物等の自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体が挙げられる。
共重合体は、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性の点から、加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位を含有することが好ましい。加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位を含有することによって、共重合体とシリカ粒子とが結着しやすくなり、また、シリカ粒子層に厚みを持たせることができ、耐汚染性、耐候性、耐水性をより向上させることができる。
加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量は、共重合体(100質量%)中、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜18質量%がより好ましく、1〜17質量%がさらに好ましい。加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量を0.1質量%以上とすることにより、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性が向上する。加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量を20質量部以下とすることにより、塗膜の耐凍害性を低下させることなく、耐汚染性、耐候性、耐水性をさらに向上させることができる。
加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体としては、上述のビニルシラン類、アクリロイルオキシアルキルシラン類、メタクリロイルオキシアルキルシラン類等が挙げられる。これらのうち、ラジカル重合反応性、耐汚染性、耐候性、耐水性を考慮すると、アクリロイルオキシアルキルシラン類、メタクリロイルオキシアルキルシラン類が特に好ましい。
共重合体は、水性塗料組成物の貯蔵安定性、顔料、添加物を入れ塗料化する際の配合安定性の点から、カルボキシル基含有単量体に由来する単位を含有することが好ましい。
カルボキシル基含有単量体に由来する単位の含有量は、共重合体(100質量%)中、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましい。カルボキシル基含有単量体に由来する単位の含有量を0.1質量%以上とすることにより、水性塗料組成物の貯蔵安定性が向上し、水性塗料組成物に顔料を入れて着色した場合、凝集物が発生するような問題を回避できる。カルボキシル基含有単量体に由来する単位の含有量を10質量%以下とすることにより、塗膜の耐候性および耐水性を低下させることなく、水性塗料組成物の貯蔵安定性、配合安定性をさらに向上させることができる。
カルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、ビニル安息香酸、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、5−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体は、水性塗料組成物の配合安定性、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性および各種素材に対する密着性の点から、ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体および/またはポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位を含有することが好ましい。
ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体およびポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量は、共重合体(100質量%)中、0.5〜20質量%が好ましく、1〜12質量%がより好ましい。これら単量体単位の含有量を0.5質量%以上とすることにより、水性塗料組成物の配合安定性、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性および各種素材に対する密着性が向上する。これら単量体単位の含有量を20質量%以下とすることにより、塗膜の耐候性および耐水性を低下させることなく、水性塗料組成物の配合安定性、塗膜の耐汚染性および各種素材に対する密着性をさらに向上させることができる。
ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体としては、例えば、上述のヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体類に加えて、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体としては、例えば、上述のポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体類(末端ヒドロキシ型ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体、アルキル基末端型ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体)が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体は、塗膜の耐候性、耐水性の点から、t−ブチルメタクリレートおよび/またはシクロヘキシルメタクリレートに由来する単位を含有することが好ましい。
t−ブチルメタクリレートおよびシクロヘキシルメタクリレートに由来する単位の含有量は、共重合体(100質量%)中、5〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましい。これら単量体単位の含有量を5質量%以上とすることにより、塗膜の耐水性および耐候性が向上する。これら単量体単位の含有量を70質量%以下とすることにより、塗膜の耐凍害性を低下させることなく、耐候性および耐水性をさらに向上させることができる。
共重合体は、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性および各種素材に対する密着性の点から、自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位を含有することが好ましい。自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体とは、共重合体が水性分散液中に分散して室温で保管されている間は化学的に安定であって、塗装時の乾燥、加熱、その他の外的要因によって側鎖官能基同士の反応を生じ、該側鎖基間に化学結合を生じるような官能基を有するラジカル重合性単量体を指す。
自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量は、共重合体(100質量%)中、0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜12質量%がより好ましい。自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量を0.1質量%以上とすることにより、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性および各種素材に対する密着性が向上する。自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量を15質量%以下とすることにより、塗膜の耐水性および耐候性を低下させることなく、塗膜の耐汚染性および各種素材に対する密着性をさらに向上させることができる。
自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体としては、上述の自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体(オキシラン基含有ラジカル重合性単量体、エチレン性不飽和アミドのアルキロールまたはアルコキシアルキル化合物)が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体は、塗膜の耐候性の点から、耐紫外線ラジカル重合性単量体に由来する単位を含有することが好ましい。
耐紫外線ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量は、共重合体(100質量%)中、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましい。耐紫外線ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量を0.1質量%以上とすることにより、塗膜の耐候性が向上する。耐紫外線ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量を10質量%以下とすることにより、重合安定性を低下させることなく、塗膜の耐候性をさらに向上させることができる。
耐紫外線ラジカル重合性単量体としては、光安定化作用を有する(メタ)アクリレート、紫外線吸収性成分を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
光安定化作用を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
紫外線吸収性成分を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−t−アミル−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体は、より高度な塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性、耐凍害性を発現させる点から、ジメチルシロキサンを繰り返し単位とする重合体ブロック(A)と、ラジカル重合性単量体を繰り返し単位とする重合体ブロック(B)と、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)に共重合したケイ素含有グラフト交叉剤単位(C)とから構成されるグラフトブロック共重合体であることが好ましい。
重合体ブロック(A)は、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジメチルジアルコキシシラン類;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン、ジメチルサイクリックス(ジメチルシロキサン環状オリゴマー3〜7量体混合物)等のジメチルシロキサン環状オリゴマー類;ジメチルジクロロシラン等の原料を重合することによって得られる、いわゆるポリオルガノシロキサンである。得られるグラフトブロック共重合体の熱安定性等の性能およびコストを考慮すると、重合体ブロック(A)の原料としては、ジメチルシロキサン環状オリゴマーが最も好ましい。
重合体ブロック(A)の質量平均分子量は、10,000以上が好ましく、50,000以上がより好ましい。重量平均分子量が10,000未満では、得られる塗膜の耐久性が低下する傾向にあるためである。
重合体ブロック(B)の含有量は、グラフトブロック共重合体(100質量%)中、50〜99.7質量%が好ましく、60〜99.5質量%がより好ましい。重合体ブロック(B)の含有量を50質量%以上とすることにより、塗膜の硬度、強度および耐汚染性が向上する。重合体ブロック(B)の含有量を99.7質量%以下とすることにより、塗膜の耐候性、耐水性および耐凍害性の低下を抑制できる傾向にある。
ケイ素含有グラフト交叉剤単位(C)は、得られる塗膜の透明性を確保する成分である。ケイ素含有グラフト交叉剤としては、例えば、分子中に1個以上の加水分解性シリル基、および1個以上のラジカル重合性官能基またはメルカプト基を含有する化合物が挙げられる。加水分解性シリル基としては、重合反応性、取り扱いの容易さ、コスト等を考慮すると、アルコキシシリル基が好ましい。
ケイ素含有グラフト交叉剤としては、上述のビニルシラン類、アクリロイルオキシアルキルシラン類、メタクリロイルオキシアルキルシラン類;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトアルキルシラン類等が挙げられる。これらのうち、反応性、耐汚染性、耐候性、耐水性を考慮すると、アクリロイルオキシアルキルシラン類、メタクリロイルオキシアルキルシラン類、メルカプトアルキルシラン類が特に好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ケイ素含有グラフト交叉剤の含有量は、グラフトブロック共重合体中のケイ素原子の合計100モル%を基準にして、0.5〜50モル%が好ましく、1〜15モル%がより好ましい。ケイ素含有グラフト交叉剤の含有量を0.5モル%以上とすることにより、塗膜の透明性が向上する。ケイ素含有グラフト交叉剤の含有量を50モル%以下とすることにより、塗膜性能が向上する。また、ケイ素含有グラフト交叉剤の含有量を1モル%以上とすることにより、得られる塗膜の透明性が極めて良好となる。また、ケイ素含有グラフト交叉剤の含有量を15モル%以下とすることにより、乳化重合の際のラテックス安定性が良好となる。
上述した加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体、グラフト交叉剤、カルボキシル基含有単量体、ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体、ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体、耐紫外線ラジカル重合性単量体は、2種以上を併用してもよい。
共重合体中における上述の各単量体単位の含有量は、種々の装置を用いて測定することができる。例えば、ガスクロマトグラフ、熱分解ガスクロマトグラフ、ガスクロマトグラフ質量分析計、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計、高速液体クロマトグラフ、液体クロマトグラフ、フーリエ変換赤外分光光度計、核磁気共鳴装置、蛍光X線装置、ICP発光分析装置などがあげられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、各装置を使用するうえで適切な前処理を行うこともできる。
<塗膜の形成方法>
本発明の塗膜は、共重合体とシリカ粒子とを含有する水性塗料組成物を基材等に塗布し、乾燥することにより形成される。
(水性塗料組成物)
水性塗料組成物は、例えば、共重合体の水性分散液と、コロイダルシリカとを混合することにより調製される。水性塗料組成物は、アニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤を含有することが好ましい。
水性塗料組成物の固形分濃度は、通常、10〜80質量%である。
(共重合体の水性分散液)
共重合体の水性分散液としては、乳化重合法により得られたエマルション、該エマルションを水で希釈したもの、溶液重合法により得られた共重合体の溶液を水で希釈したもの、等が挙げられる。これらのうち、乳化重合により得られたエマルション、またはそれを水で希釈したものが好ましい。
エマルションは、例えば、界面活性剤の存在下、ラジカル重合性単量体混合物を、ラジカル重合開始剤により重合させる方法等、公知の方法により得ることができる。
界面活性剤としては、公知のアニオン系、カチオン系、またはノニオン系界面活性剤、高分子乳化剤が挙げられる。また、界面活性剤成分中にラジカル重合性不飽和結合を持つ、いわゆる反応性乳化剤を用いてもよい。界面活性剤としては、後述のアニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤の量は、最終的に得られる水性塗料組成物中のアニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤の量が、後述の範囲となる量が好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の油溶性アゾ化合物類;2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}およびその塩類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)およびその塩類2,2’−アゾビス(2−メチルプロピンアミジン)およびその塩類、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]およびその塩類等の水溶性アゾ化合物;過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物類等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合速度の促進、または70℃以下での低温の重合が望まれるときには、例えば、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いると有利である。
ラジカル重合開始剤の添加量は、通常、ラジカル重合性単量体の全量100質量部に対して、0.01〜10質量部であり、重合の進行、反応の制御を考慮に入れると、0.05〜5質量部が好ましい。
共重合体の分子量を調整する場合には、分子量調整剤として、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化合物;α−メチルスチレンダイマー等の公知の連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤の量は、通常、ラジカル重合性単量体の全量100質量部に対して1質量部以下である。
乳化重合法により得られたエマルションは、塩基性化合物の添加によりそのpHを中性から弱アルカリ性、すなわちpH6.5〜10.0程度の範囲に調整することで安定性を高めることができる。塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
エマルション中の共重合体の粒子構造としては、単層構造、多層構造等が挙げられる。多段乳化重合法により得られるエマルション中の共重合体は、多層構造を有しており、最外層を形成する重合体は、加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位を有することが好ましい。
加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位は、塗膜の耐汚染性、耐候性および耐水性を向上させるための成分であるが、その量が多い場合、耐凍害性を低下させる。したがって、少量で塗膜の耐汚染性、耐候性および耐水性を向上させることが好ましく、多層構造の粒子の最外層に加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位を導入することによりこの目的は達成できる。最外層に加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体を共重合させるためのラジカル重合開始剤としては、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性の点から、水溶性アゾ化合物が好ましい。
(コロイダルシリカ)
コロイダルシリカは、分散媒中にシリカ粒子が分散したコロイド状の液体である。シリカ粒子をコロイダルシリカとして用いることにより、水性塗料組成物中においてはシリカ粒子と共重合体の粒子とが分散安定性を保ち続け、塗膜の形成時には、共重合体の粒子の間をシリカ粒子がすり抜けるように塗膜表面に浮上し、共重合体粒子を覆うように厚みをもってシリカ粒子膜を形成すると考えられる。
コロイダルシリカとしては、市販品を用いればよい。コロイダルシリカは、水を分散媒にしたものでもよく、有機溶剤を分散媒としたものでもよい。
酸性を示す水性コロイダルシリカとしては、商品名:スノーテックスOXS(SiO2 固形分10質量%)、スノーテックスOS(SiO2 固形分20質量%)、スノーテックスO(SiO2 固形分20質量%)、スノーテックスO−40(SiO2 固形分40質量%)、スノーテックスOL(SiO2 固形分20質量%)、スノーテックスOUP(SiO2 固形分15質量%)(以上は日産化学工業(株)製)、アデライトAT−20Q(旭電化工業(株)製、SiO2 固形分20質量%)、カタロイドSN(触媒化成工業(株)製、SiO2 固形分20質量%)、シリカドール−20A(日本化学工業(株)製、SiO2 固形分20質量%)、シリカドール−20GA(日本化学工業(株)製、SiO2 固形分20質量%)などが挙げられる。
アルカリ性を示す水性コロイダルシリカとしては、例えば、商品名:スノーテックスXS(SiO2 固形分20質量%)、スノーテックス20(SiO2 固形分20質量%)、スノーテックス30(SiO2 固形分30質量%)、スノーテックス40(SiO2 固形分40質量%)、スノーテックス50(SiO2 固形分50質量%)、スノーテックスC(SiO2 固形分20質量%)、スノーテックスN(SiO2 固形分20質量%)、スノーテックスS(SiO2 固形分30質量%)、スノーテックスCM(SiO2 固形分30質量%)、スノーテックスUP(SiO2 固形分20質量%)、スノーテックス20L(SiO2 固形分20質量%)、スノーテックスXL(SiO2 固形分40質量%)(以上は日産化学工業(株)製)、アデライトAT−20(SiO2 固形分20質量%)、アデライトAT−20N(SiO2 固形分20質量%)、アデライトAT−20A(SiO2 固形分20質量%)、アデライトAT−30、アデライトAT−40、アデライトAT−50、アデライトAT−30A、アデライトAT−300、アデライトAT−300S(以上は旭電化工業(株)製)、カタロイドS−20L(SiO2 固形分20質量%)、カタロイドS−20H(SiO2 固形分20質量%)、カタロイドS−30L(SiO2 固形分30質量%)、カタロイドS−30H(SiO2 固形分30質量%)、カタロイドSI−30(SiO2 固形分30質量%)、カタロイドSI−40(SiO2 固形分40質量%)、カタロイドSI−50(SiO2 固形分47質量%)、カタロイドSI−350(SiO2 固形分30質量%)、カタロイドSI−500(SiO2 固形分20質量%)、カタロイドSI−45P(SiO2 固形分40質量%)、カタロイドSI−80P(SiO2 固形分40質量%)、カタロイドSA(SiO2 固形分30質量%)、カタロイドSC−30(SiO2 固形分30質量%)(以上は触媒化成工業(株)製)、シリカドール−20(SiO2 固形分20質量%)、シリカドール−30(SiO2 固形分30質量%)、シリカドール−40(SiO2 固形分40質量%)、シリカドール−30S(SiO2 固形分30質量%)、シリカドール−20AL(SiO2 固形分20質量%)、シリカドール−20A(SiO2 固形分20質量%)、シリカドール20B(SiO2 固形分20質量%)、シリカドール−20G(SiO2 固形分20質量%)、シリカドール−20GA(SiO2 固形分20質量%)、アンモニウムシリケート(SiO2 固形分40質量%)(以上は日本化学工業(株)製)等が挙げられる。
カチオン性コロイダルシリカとしては、スノーテックスAK(日産化学工業(株)製、SiO2 固形分19質量%)、シリカドール−20P(日本化学工業(株)製、SiO2 固形分20質量%)等が挙げられる。
これらコロイダルシリカは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(界面活性剤)
水性塗料組成物は、塗膜の耐汚染性の点から、アニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤を含有することが好ましい。これらの特定の界面活性剤を用いることにより、塗膜の最表層のシリカ粒子層を厚くすることができ、効率的かつ効果的に著しい親水性および制電性を有する塗膜を得ることができる。
アニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤は、共重合体の製造工程中に添加してもよく、共重合体の製造後、水性塗料組成物を調製する際に添加してもよい。
アニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩のホルマリン縮合物、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩のホルマリン縮合物が挙げられる。
アニオン系界面活性剤の量は、共重合体100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜8質量部がより好ましい。アニオン系界面活性剤の量を0.1質量部以上とすることによって、塗膜の耐汚染性、水性塗料組成物の調製時の安定性、水性塗料組成物の貯蔵安定性が向上し、界面活性剤の存在下に乳化重合する場合には重合時の安定性も向上する。アニオン系界面活性剤の量を10質量部以下とすることによって、塗膜の耐水性を損なうことなく、塗膜の耐汚染性、水性塗料組成物の調製時の安定性、水性塗料組成物の貯蔵安定性が向上し、界面活性剤の存在下に乳化重合する場合には重合時の安定性も向上する。
アニオン系界面活性剤のポリオキシアルキレン部は、塗膜の最表層のシリカ粒子層を厚くし、効率的かつ効果的に著しい親水性および制電性を有する塗膜を得るためには、ポリオキシエチレンが好ましく、その繰り返し単位数は30以下が好ましく、20以下がより好ましい。
アニオン系界面活性剤のアリール部としては、例えば、ナフチル、ビフェニル、クミルフェニル、スチリルフェニル、(モノ〜ペンタ)ベンジルフェニル、(モノ〜ペンタ)スチリルフェニル、(モノ〜ペンタ)スチリルシクロヘキシルフェニル、(モノ〜ペンタ)ベンジルビフェニル、スチリルクミルフェニル等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤の硫酸エステル塩としては、例えば、硫酸エステルナトリウム塩、硫酸エステルカリウム塩、硫酸エステルカルシウム塩、硫酸エステルアンモニウム塩等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤の量は、共重合体100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜9質量部がより好ましく、1〜8質量部がさらに好ましい。ノニオン系界面活性剤の量を0.1質量部以上とすることによって、塗膜の耐汚染性、水性塗料組成物の調製時の安定性、水性塗料組成物の貯蔵安定性が向上し、界面活性剤の存在下に乳化重合する場合には重合時の安定性も向上する。ノニオン系界面活性剤の量を10質量部以下とすることによって、塗膜の耐水性を損なうことなく、塗膜の耐汚染性、水性塗料組成物の調製時の安定性、水性塗料組成物の貯蔵安定性が向上し、界面活性剤の存在下に乳化重合する場合には重合時の安定性も向上する。
ノニオン系界面活性剤のポリオキシアルキレン部は、塗膜の最表層のシリカ粒子層を厚くし、効率的かつ効果的に著しい親水性および制電性を有する塗膜を得るためには、ポリオキシエチレンが好ましく、その繰り返し単位は10以上が好ましく、20以上がより好ましい。ポリオキシエチレンの繰り返し単位数が大きいほどこの効果が高くなる。
ノニオン系界面活性剤のアルキル部としては、例えば、炭素数が4〜18の直鎖状または分岐状アルキル基、ナフチル、ビフェニル、クミルフェニル、スチリルフェニル、(モノ〜ペンタ)ベンジルフェニル、(モノ〜ペンタ)スチリルフェニル、(モノ〜ペンタ)スチリルシクロヘキシルフェニル、(モノ〜ペンタ)ベンジルビフェニル、スチリルクミルフェニル等が挙げられる。
水性塗料組成物の調製時の安定性、水性塗料組成物の貯蔵安定性、界面活性剤の存在下に乳化重合する場合の重合安定性を向上するためには、上述のアニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤を除く、公知のアニオン系、カチオン系、ノニオン系界面活性剤、高分子乳化剤、界面活性剤成分中にラジカル重合性不飽和結合を持つ反応性乳化剤等の界面活性剤を併用してもよい。ただし、塗膜の最表層のシリカ粒子層を厚くし、効率的かつ効果的に著しい親水性および制電性を有する塗膜を得るためには、上述のアニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
(他の成分)
水性塗料組成物には、コーティング材料として高度な性能を発現させるために、顔料、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤、可塑剤、造膜助剤等の各種添加剤;他のエマルション樹脂、水溶性樹脂、粘性制御剤、メラミン類等の硬化剤を添加してもよい。
造膜助剤としては、通常の水性塗料で用いられているものが挙げられ、例えば、炭素数5〜10の直鎖状、分岐状または環状の脂肪族アルコール類;芳香族基を含有するアルコール類;一般式HO−(CH2 CHXO)n −R3 (R3 は炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基を示し、Xは水素またはメチル基を示し、nは1〜5の整数を示す。)で示される(ポリ)エチレングリコールまたは(ポリ)プロピレングリコール等のモノエーテル類;一般式R4 COO−(CH2 CHXO)n −R5 (R4 、R5 は炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基を示し、Xは水素またはメチル基を示し、nは1〜5の整数を示す。)で示される(ポリ)エチレングリコールエーテルエステルまたは(ポリ)プロピレングリコールエーテルエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールのモノまたはジイソブチレート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブタノールアセテート、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノールアセテート等が挙げられる。
(塗装方法)
水性塗料組成物を各種基材の表面に塗布する方法としては、例えば、噴霧コート法、ローラーコート法、バーコート法、エアナイフコート法、刷毛塗り法、ディッピング法等の各種塗装方法が挙げられる。
基材表面に塗布された水性塗料組成物を、常温で、または40〜200℃に加熱して乾燥することによって塗膜が得られる。また、常温〜50℃程度の低温で乾燥して塗膜を形成させた後、共重合体のガラス転移温度以上に塗膜を加熱して、共重合体の粒子同士の結着を強固にして、耐候性がより高い塗膜とすることもできる。
(基材)
基材としては、例えば、セメントモルタル、スレート板、石膏ボード、押出成形板、発泡性コンクリート、金属、ガラス、磁器タイル、アスファルト、木材、防水ゴム材、プラスチック、珪酸カルシウム基材等が挙げられる。本発明の塗膜は、これらの各種基材の表面仕上げ材等として位置付けることができる。
<塗装物>
本発明の塗装物は、本発明の塗膜を有するものである。
本発明の塗装物としては、例えば、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、板材、乗物の外装、機械装置や物品の外装、防塵カバー、道路標識用反射板、視線誘導標示体、路面標示、各種表示装置、広告塔、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、道路用化粧板、信号機用光源カバー、屋外表示板、橋梁、ガードレール、トンネル内装、トンネル内照明装置、ガラス、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、道路用鏡、車両用鏡、二輪車用計量カバーおよび計量盤、ガラスレンズ、プラスチックレンズ、ヘルメットシールド、ゴーグル、家屋、自動車および鉄道車両用窓ガラス、乗物風防ガラス、ショーケース、保温ショーケース、膜構造材、熱交換用フィン、種々場所のガラス表面、ブラインド、タイヤホイール、屋根材、屋根樋、アンテナ、送電線、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器収納器、食器洗浄機、食器乾燥機、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、鑑賞用水槽材料、循環水利用施設において循環水と接触する部分の表面材料、抗血栓性材料、抗蛋白質付着材料、脂質付着防止性材料、コンタクトレンズ、導尿カテーテル、経皮デバイス、人工臓器、血液バック、採血バック、肺ドレナージ、船底、テント地キャンバス、滑走具、機能性繊維、テレビ、パソコン等の表示画面であるディスプレイ、これら物品に貼付させるフィルム等が挙げられる。
以上説明した本発明の塗膜にあっては、塗膜の最表層に一定以上の厚さで、かつ塗膜の表面に広がるシリカ粒子層が形成されているため、塗膜に著しい親水性が付与され、雨水による自浄作用を発揮させるようになる。さらに、シリカ粒子同士が塗膜表面で接触するようになるため、塗膜表面が導電性を持ち、静電気による汚れの付着が抑制される。これらの結果、本発明の塗膜は優れた耐汚染性を発揮する。
上述の塗膜構造および塗膜性能は、共重合体とシリカ粒子との分散安定性を高め、かつ成膜過程においてシリカ粒子が塗膜表面に浮上しやすくなるように、共重合体、シリカ粒子を制御することによって得やすくなる。具体的には、共重合体のゼータ電位の絶対値を15mV以上95mV以下にし、シリカ粒子のゼータ電位の絶対値を10mV以上55mV以下にすることで、混合時や成膜過程の凝集を防ぎ、成膜時に塗膜表面に浮上しやすくなる。
ゼータ電位測定装置は、Dispersion Technology社製DT−1200を用いることができる。
また、本発明の塗膜のみで、充分な耐汚染性を発揮するため、必ずしも、従来のような上塗り、中塗り、下塗りからなる多層構成としなくてもよい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は本実施例によって何ら限定されるものではない。
塗膜の評価等は、以下の方法に従って実施した。
(シリカ粒子層の厚さ測定用の塗膜、制電性の評価用試験板の作製)
PETフィルムに40℃の雰囲気下で水性塗料組成物をバーコーター#60にて塗装し、130℃で5分間乾燥した。その後、室温で1日間乾燥したものを、シリカ粒子層の厚さ測定用の塗膜、制電性の評価用試験板とした。
(透明性の評価用試験板の作製)
ガラス板に40℃の雰囲気下で水性塗料組成物を4MILアプリケーターにて塗装し、130℃で5分間乾燥し、評価用試験板を得た。
(水接触角、耐カーボン汚染性および耐候性の評価用試験板の作製)
リン酸亜鉛処理鋼鈑(ボンデライト#100処理鋼鈑、板厚0.8mm、縦150mm×横70mm)に、40℃の雰囲気下で水性塗料組成物をバーコーター#60にて塗布し、130℃で5分間乾燥した。その後、室温で1日間乾燥したものを、水接触角、耐カーボン汚染性および耐候性の評価用試験板とした。
(耐屋外曝露汚染性の評価用試験板の作製)
リン酸亜鉛処理鋼鈑(ボンデライト#100処理鋼鈑、板厚0.8mm、縦300mm×横100mm)に、中塗りとして商品名ダイヤナールLX−2011(三菱レイヨン(株)製)を用いた白エナメル塗料(PWC(顔料含有比率)=40質量%)を乾燥膜厚が50μmになるように室温にてスプレー塗装し、130℃で5分間乾燥した。ついで、水性塗料組成物を乾燥膜厚が30μmになるように室温にてスプレー塗装し、130℃で5分間乾燥した後、室温で1日間乾燥したものを、耐屋外曝露汚染性の評価用試験板とした。
(耐凍害性の評価用試験板の作製)
石膏スラグパーライト板(厚さ12mm)にシーラーとして商品名ダイヤナールLX−1010(三菱レイヨン(株)製を用いた白エナメル塗料(PWC=40質量%)を塗着量が90〜100g/m2 (ウエット質量)となるように室温にてスプレー塗装し、130℃で5分間乾燥した。ついで、中塗りとして商品名ダイヤナールLX−2011(三菱レイヨン(株)製)を用いた白エナメル塗料(PWC=40質量%)を塗着量が90〜100g/m2 (ウエット質量)となるように室温にてスプレー塗装し、130℃で5分間乾燥した。ついで、水性塗料組成物を塗着量が50〜60g/m2 (ウエット質量)となるように室温にてスプレー塗装し、130℃で5分間乾燥した後、室温で1日間乾燥したものを、耐凍害性の評価用試験板とした。
(シリカ粒子層の厚さ)
透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H−7600)を用いて、加速電圧80kVの条件で塗膜断面を撮影し、得られたTEM観察像から、上述の方法に従ってシリカ粒子層の厚さ(nm)を求めた。表中「−」は、シリカ粒子層が形成されなかったことを示す。
(透明性)
評価用試験板の塗膜の透明性を目視にて観測し、以下の基準で判定した。
「○」:透明。
「△」:半透明。
「×」:白濁。
(水接触角)
協和界面科学(株)製CA−X150型FACE接触角計を用い、評価用試験板の塗膜に0.4μL(画面上目盛りで3目盛り)の水滴を滴下し、30秒経過後の水接触角を測定した。
(制電性)
評価用試験板をシシド静電気株式会社製 STATIC HONES TMETER S−5109に取り付け、JIS L 1094に示される半減期測定を行い、以下の基準で判定した。この際、プラス10kVの印加を30秒行った後、印加を止め、ターンテーブルを回転させたまま印加開始より180秒間測定した。
「◎」:30秒未満。
「○」:30秒以上、90秒未満。
「△」:90秒以上、180秒未満。
「×」:180秒以上。
(カーボン汚染除去性)
評価用試験板の塗膜に霧吹きにて水を噴霧した直後に、スポイトを用いてカーボンMA100(三菱化学(株)製)の10質量%石油ベンジン溶液を垂らし、5秒後に水道水にて洗い流した。カーボン溶液を垂らした部分について、カーボンの塗膜への付着程度を目視にて観測し、以下の基準で判定した。
「◎」:全く付着無し。
「○」:部分的にわずかに付着。
「△」:全面に薄く付着。
「×」:全面に濃く付着。
(耐屋外曝露汚染性)
評価用試験板を上方から3分の1の長さのところで、内角が135度になるように折り曲げ、該試験板を三菱レイヨン(株)豊橋事業所内(豊橋市牛川通)で南面に向かせ、面積が広い面(垂直面)を垂直にし、さらに面積の狭い面(上部面)が上部になるように設置し、2004年5月〜10月の6ヶ月間曝露したのち、上部面における塗膜の曝露前後の白さの差ΔLを色差計により測定し、垂直面における雨筋汚れの有無を目視にて評価した。判定基準を以下に示す。
(上部面における曝露前後の白さの差ΔL)
「◎」:2.5未満。
「○」:2.5以上、5.0未満。
「△」:5.0以上、7.5未満。
「×」:7.5以上。
(垂直面の雨筋汚れの有無)
「◎」:雨筋汚染なし。
「○」:わずかに雨筋汚染が見られる。
「×」:明らかに雨筋汚染が見られる。
(耐候性)
評価用試験板から70mm×50mmの大きさの試験板を切り取り、ダイプラ・メタルウエザーKU−R4−W型(ダイプラ・ウィンテス(株)社製)にこの試験板を入れ、試験サイクル:照射4時間(噴霧5秒/15分)/結露4時間、UV強度:85mW/cm2 、ブラックパネル温度:照射時63℃/結露時30℃、湿度:照射時50%RH/結露時96%RHの条件で耐候性試験を行った。600時間経過後の塗膜の60゜グロスの保持率を耐候性の指標とし、以下の基準で判定した。
「◎」:80%以上。
「○」:70%以上、80%未満。
「△」:60%以上、70%未満。
「×」:60%未満。
(耐凍害性)
ASTM−C666A法によって測定(200サイクル)し、以下の基準で判定した。
「◎」:クラック、光沢変化なし。
「○」:クラックないが、光沢やや低下。
「△」:軽微なクラック発生。
「×」:著しいクラック発生。
〔製造例1〕
ポリオルガノシロキサンの水分散液の調製:
環状ジメチルシロキサンオリゴマー3〜7量体混合物95質量部と、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン5質量部、脱イオン水250質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸0.4質量部からなる組成物を、ホモミキサーで予備混合し、圧力式ホモジナイザーを用いて200kg/cm2 の圧力で強制乳化して、原料プレエマルションを得た。
ついで、水55質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸5質量部を、攪拌機、還流冷却管、温度制御装置および滴下ポンプを備えたフラスコに仕込み、攪拌下に、フラスコの内温を85℃に保ちながら、上記原料プレエマルションを4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間重合を進行させ、冷却して、ドデシルベンゼンスルホン酸と当モル量のアンモニアを加えてポリオルガノシロキサンの水分散液(SiEm)を調製した。固形分は22.7質量%であった。
〔実施例1〕
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置および滴下ポンプを備えたフラスコに、脱イオン水58質量部、CP−12Na(商品名、東邦化学(株)製、アニオン系界面活性剤)1.7質量部(固形分0.5質量部)、SiEm:22質量部(固形分5質量部)、表1の「1段目(内層)」に示すラジカル重合性単量体の混合物、およびパーブチルH69(日本油脂(株)製、ラジカル重合開始剤)0.09質量部を仕込んだ。フラスコの内温を55℃に昇温した後、硫酸第一鉄0.0002質量部/エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)0.0005質量部/ロンガリット0.05質量部/脱イオン水1質量部の還元剤水溶液を添加した。重合発熱によるピークトップ温度を確認した後、フラスコの内温を65℃に保持し、上記還元剤水溶液の添加1時間後にエマルゲン1150S−70(商品名、花王(株)製、ノニオン系界面活性剤) 1.43質量部(固形分1質量部)/脱イオン水1.9質量部の界面活性剤水溶液を添加した。
界面活性剤水溶液の添加0.5時間後に、表1の「2段目(外層)」に示すラジカル重合性単量体の混合物、脱イオン水21質量部、CP−12Na:6.7質量部(固形分2質量部)およびAMP−90(商品名、ダウ・ケミカル日本(株)製、塩基性化合物)0.23部をあらかじめ乳化分散させたプレエマルション液と、VA−061(商品名、和光製、ラジカル重合開始剤)0.1質量部/メタノール2質量部/脱イオン水3質量部の開始剤溶液とを、1.5時間かけて2系列滴下した。この滴下中はフラスコの内温を65℃に保持し、滴下が終了してから65℃で1時間保持した。28質量%アンモニア水を0.56質量部添加した後、さらに65℃で0.5時間保持した。その後、室温まで冷却し、共重合体の水性分散液を得た。共重合体(固形分100質量%)中の加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位は5.25質量%であった。
共重合体の水性分散液に、エマルゲン1150S−70を1.43質量部(固形分1質量部)を添加し、スノーテックスO(商品名、日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ、シリカ粒子の平均粒子径15nm)25質量部(固形分5質量部)を添加し、さらに、造膜助剤としてブチルセロソルブを17質量部添加して水性塗料組成物を得た。共重合体(固形分)100質量部に対するシリカ粒子(固形分)の量は5質量部であった。
得られた水性塗料組成物を用いて塗膜を形成し、シリカ粒子層の厚さの測定、透明性、水接触角、制電性、耐カーボン汚染性、耐屋外曝露汚染性、耐候性、耐凍害性の評価を行った。結果を表3に示す。また、塗膜断面のTEM観察像を図1に示す。
〔実施例2〕
ノニオン系界面活性剤の量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体の水性分散液を得た。共重合体(固形分100質量%)中の加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位は5.25質量%であった。
また、添加する乳化剤量を0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして水性塗料組成物を得た。共重合体(固形分)100質量部に対するシリカ粒子(固形分)の量は5質量部であった。
得られた水性塗料組成物を用いて塗膜を形成し、シリカ粒子層の厚さの測定、透明性、水接触角、制電性、耐カーボン汚染性、耐屋外曝露汚染性、耐候性、耐凍害性の評価を行った。結果を表3に示す。
〔実施例3〕
ノニオン系界面活性剤の量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体の水性分散液を得た。共重合体(固形分100質量%)中の加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位は5.25質量%であった。
また、コロイダルシリカの量を表1に示す量に変更した以外は、実施例2と同様にして水性塗料組成物を得た。共重合体(固形分)100質量部に対するシリカ粒子(固形分)の量は1質量部であった。
得られた水性塗料組成物を用いて塗膜を形成し、シリカ粒子層の厚さの測定、透明性、水接触角、制電性、耐カーボン汚染性、耐屋外曝露汚染性、耐候性、耐凍害性の評価を行った。結果を表3に示す。
〔実施例4〕
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプを備えたフラスコに、脱イオン水80質量部、CP−12Na(商品名、東邦化学(株)製、アニオン系界面活性剤)2.5質量部(固形分0.75質量部)および表1の「1段目(内層)」に示すラジカル重合性単量体の混合物を仕込んだ。フラスコの内温を50℃に昇温した後、過硫酸アンモニウム0.15質量部/脱イオン水1質量部の開始剤水溶液を添加し、さらに亜硫酸水素ナトリウム0.05質量部/脱イオン水1質量部の還元剤水溶液を添加した。重合発熱によるピークトップ温度を確認した後、フラスコの内温を65℃に保持し、上記還元剤水溶液添加1時間後にエマルゲン1150S−70(商品名、花王(株)製、ノニオン系界面活性剤)1.43質量部(固形分1質量部)/脱イオン水1.9質量部の界面活性剤水溶液を添加した。
界面活性剤水溶液添加0.5時間後に、表1の「2段目(外層)」に示すラジカル重合性単量体の混合物、脱イオン水21質量部、CP−12Na:6.67質量部およびAMP−90:0.115部をあらかじめ乳化分散させたプレエマルション液と、VA−061:0.1質量部/メタノール2質量部/脱イオン水3質量部の開始剤溶液とを、1.5時間かけて2系列滴下した。この滴下中はフラスコの内温を65℃に保持し、滴下が終了してから65℃で1時間保持した。AMP−90を0.98質量部添加した後、さらに65℃で0.5時間保持した。その後、室温まで冷却し、共重合体の水性分散液を得た。共重合体(固形分100質量%)中の加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位は2.05質量%であった。
共重合体の水性分散液に、エマルゲン1150S−70を1.43質量部(固形分1質量部)を添加し、スノーテックスO(商品名、日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ、シリカ粒子の平均粒子径15nm)25質量部(固形分5質量部)を添加し、さらに、造膜助剤としてブチルセロソルブを5質量部添加して水性塗料組成物を得た。共重合体(固形分)100質量部に対するシリカ粒子(固形分)の量は5質量部であった。
得られた水性塗料組成物を用いて塗膜を形成し、シリカ粒子層の厚さの測定、透明性、水接触角、制電性、耐カーボン汚染性、耐屋外曝露汚染性、耐候性、耐凍害性の評価を行った。結果を表3に示す。
〔比較例1〕
ポリオルガノシロキサンを0質量部とし、ラジカル重合性単量体の種類およびその量を表2に示すように変更した以外は、実施例4と同様にして共重合体の水性分散液を得た。共重合体(固形分100質量%)中の加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位は0質量%であった。
また、実施例3と同様にして水性塗料組成物を得た。共重合体(固形分100質量%)に対するシリカ粒子(固形分)の量は5質量部であった。
得られた水性塗料組成物を用いて塗膜を形成し、シリカ粒子層の厚さの測定、透明性、水接触角、制電性、耐カーボン汚染性、耐屋外曝露汚染性、耐候性、耐凍害性の評価を行った。結果を表3に示す。
〔比較例2〕
ラジカル重合性単量体の種類およびその量を表2に示すように変更した以外は、実施例3と同様にして共重合体の水性分散液を得た。共重合体(固形分100質量%)中の加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位は5.25質量%であった。
また、コロイダルシリカの量を表2に示す量に変更した以外は、実施例3と同様にして水性塗料組成物を得た。共重合体(固形分100質量%)に対するシリカ粒子(固形分)の量は0.2質量部であった。
得られた水性塗料組成物を用いて塗膜を形成し、シリカ粒子層の厚さの測定、透明性、水接触角、制電性、耐カーボン汚染性、耐屋外曝露汚染性、耐候性、耐凍害性の評価を行った。結果を表3に示す。
〔比較例3〕
ラジカル重合性単量体の種類およびその量を表2に示すように変更した以外は、実施例4と同様にして共重合体の水性分散液を得た。共重合体(固形分100質量%)中の加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位は2.05質量%であった。
コロイダルシリカの種類およびその量を表2に示すように変更した以外は、実施例4と同様にして水性塗料組成物を得た。共重合体(固形分)100質量部に対するシリカ粒子(固形分)の量は5質量部であった。
得られた水性塗料組成物を用いて塗膜を形成し、シリカ粒子層の厚さの測定、透明性、水接触角、制電性、耐カーボン汚染性、耐屋外曝露汚染性、耐候性、耐凍害性の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2007031648
Figure 2007031648
表1、2中の略号は、以下の化合物を示す。
「MMA」:メチルメタクリレート、
「2−HEMA」:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
「EDMA」:エチレンジメタクリレート、
「n−BA」:n−ブチルアクリレート、
「SZ−6030」:γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、
「MAA」:メタクリル酸、
「n−BMA」:n−ブチルメタクリレート、
「2−EHA」:2−エチルヘキシルアクリレート、
「ZM−84」:不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε−カプロラクトン(ε−カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、
スノーテックスO:(商品名、日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ、シリカ粒子の平均粒子径15nm)、
スノーテックスZL:(商品名、日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ、シリカ粒子の平均粒子径85nm)、
CP−12Na(商品名、東邦化学(株)製)、
エマルゲン1150S−70(商品名、花王(株)製)。
Figure 2007031648
表3から明らかなように、実施例の塗膜は、水接触角および制電性が良好であるため耐汚染性(カーボン汚染除去性および耐屋外曝露汚染性)に優れ、透明性、耐候性、耐凍害性を兼ね備えていた。これに対して、比較例の塗膜は、耐汚染性、透明性、耐候性、耐凍害性をバランスよく発揮することは困難であった。特に、比較例の塗膜では塗膜の最表層のシリカ粒子層の厚さが小さく、耐汚染性が低位であった。
本発明の塗膜は、塗膜の最表層のシリカ粒子層の厚さを大きくすることにより、耐汚染性に優れ、かつ透明性、耐候性、耐水性、耐凍害性が良好となる。このような塗膜は、建築物、土木構造物等の躯体保護を目的とする様々な被覆用途に用いることができ、工業上極めて有益である。
本発明の塗膜の断面の一例を示すTEM観察像である。 本発明の塗膜の断面の一例を示す模式図である。
符号の説明
10 塗膜
11 共重合体
12 シリカ粒子
13 シリカ粒子層

Claims (2)

  1. 共重合体と、シリカ粒子とを含有する塗膜であって、
    該塗膜の最表層に形成されたシリカ粒子からなる層の厚さが、30nm以上であることを特徴とする塗膜。
  2. 請求項1に記載の塗膜を有する塗装物。
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