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JP2008189884A - 水性被覆材および塗装物 - Google Patents

水性被覆材および塗装物 Download PDF

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JP2008189884A
JP2008189884A JP2007028315A JP2007028315A JP2008189884A JP 2008189884 A JP2008189884 A JP 2008189884A JP 2007028315 A JP2007028315 A JP 2007028315A JP 2007028315 A JP2007028315 A JP 2007028315A JP 2008189884 A JP2008189884 A JP 2008189884A
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JP2007028315A
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Junichi Nakamura
淳一 中村
Motomi Tanaka
基巳 田中
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

【課題】貯蔵安定性に優れ、かつ耐汚染性、透明性、耐候性、耐凍害性に優れる塗膜を形成できる水性被覆材、および耐汚染性、透明性、耐候性、耐凍害性に優れる塗膜を有する塗装物を提供する。
【解決手段】共重合体と、シリカ粒子と、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩のホルマリン縮合物、およびポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩のホルマリン縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオン系界面活性剤と、ノニオン系界面活性剤とを含有し、シリカ粒子の量が共重合体100質量部に対して0.5〜20質量部であり、ゼータ電位絶対値が33mV以上58mV以下である水性被覆材を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、水性被覆材、および該水性被覆材から得られる塗膜を有する塗装物に関する。
近年、塗料分野においては、環境保全、安全衛生の面から有機溶剤系塗料から水性塗料(水性被覆材)への変換が図られている。しかし、水性被覆材から得られる塗膜は、耐候性、耐水性、耐凍害性、耐汚染性等の塗膜性能、特に耐汚染性が溶剤系に比べて低位であり、解決すべき課題が多いのが現状である。
これらの課題の解決を目的とした水性被覆材の開発および塗膜の積層方法の開発は種々行われている。例えば、水性被覆材用の樹脂としては、乳化重合によるアクリル樹脂のエマルションが、得られる塗膜の耐候性等が比較的良好であるという特長を有することから、注目されている。また、下塗り用水性エマルション、中塗り用水性エマルション、上塗り用水性エマルションのそれぞれに性能を付与し、これら水性エマルションを順次、積層塗装し、積層塗膜全体として耐汚染性等の塗膜性能を発揮するような工夫がなされている。
塗膜の耐汚染性を向上させる方法としては、例えば、下記方法が知られている。
(i)塗膜の硬度を高くする(樹脂のガラス転移温度(Tg)を高くする)方法。
(ii)塗膜表面を親水化し、雨水で汚染物質を洗い流す自浄作用を付与する方法。
(iii)塗膜の帯電性を制御して、静電気による汚れの付着を抑える方法。
しかし、(i)の方法では、造膜性が低下し、冬場に塗膜にヒビ等が発生する問題があり、耐凍害性に問題がある。また、塗膜の耐汚染性の大幅な改善は困難である。
(ii)の方法としては、例えば、親水性を有する単量体単位を含む樹脂を用いる、界面活性剤等を添加する等の方法が挙げられる。しかし、親水性を有する単量体単位を含む樹脂は、耐候性が低いという問題がある。また、界面活性剤等を添加した場合、塗膜の耐水性が低下し、耐汚染性の効果の持続に問題がある。
(iii)の方法では、帯電防止剤の添加が塗膜の耐候性、耐水性に悪影響を及ぼし、効果の持続性にも問題がある。
これら問題を解決する水性被覆材としては、無機物を含有する水性被覆材が知られている。該水性被覆材としては、例えば、下記水性被覆材が提案されている。
(1)ビニルシランとアクリル系モノマーとの共重合体を含有する水性エマルションにコロイダルシリカを含有させた被覆組成物(特許文献1)。
(1)の被覆組成物からなる塗膜は、耐熱性、耐水性、密着性に優れるとされている。しかし、(1)の被覆組成物は、水性エマルションの固形分100質量部に対して、固形分含量500〜20000質量部の多量のコロイダルシリカを必要としている。コロイダルシリカを多量に用いると、塗膜の透明性、耐候性、被覆組成物の貯蔵安定性、塗装作業性が劣るという問題点がある。
これに対して、比較的少量のコロイダルシリカを用いた水性被覆材としては、例えば、下記水性被覆材が提案されている。
(2)不飽和ビニルモノマーがポリオルガノシロキサンに対し10〜90質量部グラフト共重合されたポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体エマルション100質量部と、コロイダルシリカ1〜50質量部とを含有する難燃性塗材(特許文献2)。
(3)ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体エマルション100質量部と、コロイダルシリカ1〜300重量部とを含有する水性被覆組成物(特許文献3)。
(2)の難燃性塗材からなる塗膜は、難燃性、伸長性、接着性、感温特性、透湿性、および耐汚染性に優れるとされている。しかし、(2)の塗材は、ポリオルガノシロキサン系グラフトブロック共重合体エマルションの固形分100質量部中、ポリオルガノシロキサン成分が52質量部以上であり、多量の撥水性シリコーン成分を含有している。そのため、塗膜の親水性が不十分となり、耐汚染性が低位である。また、塗材の貯蔵安定性、塗膜の透明性、硬度の点でも問題がある。
(3)の水性被覆組成物は、貯蔵安定性に優れ、その塗膜は、硬度、耐水性、および耐汚染性に優れるとされている。(3)の水性被覆組成物からなる塗膜は、(2)の塗材からなる塗膜と比較すると、耐汚染性が大幅に改善されているものの、さらなる塗膜の親水化による低汚染化が求められている。また、水性被覆組成物の貯蔵安定性においても不十分である。
静電気による汚れの付着を抑える方法としては、例えば、下記方法が提案されている。
(4)セメント系材料の表面塗装において、下塗り、中塗り、上塗りの多層構成にして、それらの全てにシリケートまたはシリカゾルを配合し、積層塗膜の静電気滞留を防ぐことにより、静電気による汚れ付着を防止し、塗膜に耐汚染性を付与する方法(特許文献4、5等)。
しかし、(4)の方法では、下塗り、中塗り、上塗りのどれか一層が樹脂のみの塗膜であると、静電気滞留が起きて、塗膜に汚れが付着するという問題がある。
他の水性被覆材としては、例えば、下記水性被覆材が提案されている。
(5)重合体を含む被覆成分と、平均粒子径60nm以下のコロイダルシリカ0.5〜20質量部と、少なくとも1種の特定の構造を有するアニオン系界面活性剤と、ノニオン系界面活性剤とを含有する水性被覆材(特許文献6)。
(5)の水性被覆材からなる塗膜は、耐汚染性、透明性、耐候性、塗膜伸度に優れるものの、該水性被覆材の貯蔵安定性は十分なレベルには達していない。
特公平1−41180号公報 特開平4−23857号公報 特開平9−165554号公報 特公昭53−34141号公報 特開平5−96234号公報 国際公開第2005/075583号パンフレット
本発明の目的は、貯蔵安定性に優れ、かつ耐汚染性、透明性、耐候性、耐凍害性に優れる塗膜を形成できる水性被覆材、および耐汚染性、透明性、耐候性、耐凍害性に優れる塗膜を有する塗装物を提供することにある。
本発明の水性被覆材は、共重合体と、シリカ粒子と、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩のホルマリン縮合物、およびポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩のホルマリン縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオン系界面活性剤と、ノニオン系界面活性剤とを含有する水性被覆材であり、前記シリカ粒子の量が、前記共重合体100質量部に対して0.5〜20質量部であり、水性被覆材のゼータ電位絶対値が、33mV以上58mV以下であることを特徴とする。
前記シリカ粒子の平均粒子径は、1〜60nmであることが好ましい。
前記共重合体は、加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位を、共重合体100質量部に対して、0.1〜20質量部含有することが好ましい。
本発明の塗装物は、本発明の水性被覆材から得られる塗膜を有するものである。
本発明の水性被覆材は、貯蔵安定性に優れる。また、本発明の水性被覆材によれば、耐汚染性、透明性、耐候性、耐凍害性に優れる塗膜を形成できる。
本発明の塗装物は、塗膜の耐汚染性、透明性、耐候性、耐凍害性に優れる。
本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
<水性被覆材>
本発明の水性被覆材は、水と、共重合体と、シリカ粒子と、特定のアニオン系界面活性剤と、ノニオン系界面活性剤とを含有する水性被覆組成物である。
水性被覆材の固形分濃度は、通常、10〜80質量%である。
(ゼータ電位)
本発明の水性被覆材のゼータ電位絶対値は、33mV以上58mV以下であり、34mV以上がより好ましく、35mV以上がさらに好ましい。水性被覆材のゼータ電位絶対値が33mV以上であれば、水性被覆材に含まれる共重合体やシリカ粒子の間に働く粒子間反発力が大きくなり、貯蔵安定性が良好となる。水性被覆材のゼータ電位絶対値が58mV以下であれば、塗膜の耐汚染性(親水性、導電性)が得られる。
水性被覆材のゼータ電位は、DT−1200(Dispersion Technology製)を用いて測定できる。該測定によって得られたzeta advancedを、ゼータ電位の測定値とする。
該測定に必要となる水性被覆材の固形分は、JIS K 5407−4−2001に従って測定する。水性被覆材の粒子径は、動的光散乱法等を利用した装置を用いて測定する。水性被覆材の真比重は、水性被覆材の嵩比重を測定し、該測定の過程で得られる比重瓶容量、比重瓶に入ったサンプル質量から、DT−1200に付属のソフトウエアを用いて算出する。
(共重合体)
共重合体は、被膜形成成分であり、塗膜に成膜性、耐候性、耐水性、耐凍害性等を与える成分である。
共重合体としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。これらのうち、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性、耐凍害性の点から、アクリル系樹脂およびアクリルシリコン系樹脂が好ましく、アクリルシリコン系樹脂がより好ましい。
アクリル系樹脂およびアクリルシリコン系樹脂を構成するラジカル重合性単量体としては、例えば、下記単量体が挙げられる。なお、ラジカル重合性単量体は、ラジカル重合可能なものであればよく、これら単量体に限定はされない。
ビニルシラン類:ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン等。
アクリロイルオキシアルキルシラン類:γ−アクリロイルオキシエチルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシエチルメチルジクロロシラン、γ−アクリロイルオキシエチルトリクロロシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン等。
メタクリロイルオキシアルキルシラン類:γ−メタクリロイルオキシエチルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシエチルメチルジクロロシラン、γ−メタクリロイルオキシエチルトリクロロシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン等。
炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等。
シクロアルキル(メタ)アクリレート類:シクロヘキシル(メタ)アクリレート、p−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等。
ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体類:2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等。
ポリオキシアルキレン基含有(メタ)アクリレート類:ヒドロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−テトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリプロピレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリプロピレンオキシド−テトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、オクトキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ(ポリエチレンオキシド−プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート等。
ヒドロキシシクロアルキル(メタ)アクリレート類:p−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等。
ラクトン変性ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体類。
アミノアルキル(メタ)アクリレート類:2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等。
アミド基含有重合性単量体:(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等。
多官能性(メタ)アクリレート類:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等。
金属含有ラジカル重合性単量体:ジアクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛等。
耐紫外線基含有(メタ)アクリレート類:2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、1−(メタ)アクリロイル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−アミノ−4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等。
他の(メタ)アクリル系単量体:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートメチルクロライド塩、アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等。
アルデヒド基またはケト基に基づくカルボニル基含有単量体:アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、ピバリンアルデヒド、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトニトリルアクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等。
芳香族ビニル系単量体:スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン等。
共役ジエン系単量体:1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3―ブタジエン等。
カルボキシル基含有単量体:(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、これらのハーフエステル、2−(メタ)アクリロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等。
ラジカル重合性単量体:酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン、プロピオン酸ビニル等。
後述するグラフト交叉剤を有するシリコーンポリマー。
オキシラン基含有ラジカル重合性単量体:グリシジル(メタ)アクリレート等。
自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体:N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のエチレン性不飽和アミドのアルキロールまたはアルコキシアルキル化合物等。
共重合体は、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性の点から、加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位を含有することが好ましい。加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位を含有することによって、共重合体とシリカ粒子とが結着しやすくなり、また、シリカ粒子の塗膜表面への露出量を向上させ、シリカ粒子層に厚みを持たせることができ、耐汚染性、耐候性、耐水性をより向上させることができる。
加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量は、共重合体100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜18質量部がより好ましい。加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量が0.1質量部以上であれば、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性が向上する。加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量が20質量部以下であれば、塗膜の耐凍害性を低下させることなく、耐汚染性、耐候性、耐水性をさらに向上させることができる。
加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体としては、上述のビニルシラン類、アクリロイルオキシアルキルシラン類、メタクリロイルオキシアルキルシラン類等が挙げられる。これらのうち、ラジカル重合反応性、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性の点から、アクリロイルオキシアルキルシラン類、メタクリロイルオキシアルキルシラン類が特に好ましい。
共重合体は、より高度な塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性、耐凍害性を発現させる点から、ジメチルシロキサンを繰り返し単位とする重合体ブロック(A)と、ラジカル重合性単量体を繰り返し単位とする重合体ブロック(B)と、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)に共重合したケイ素含有グラフト交叉剤単位(C)とから構成されるグラフトブロック共重合体であることが好ましい。
重合体ブロック(A)は、下記原料を重合することによって得られる、いわゆるポリオルガノシロキサンである。
ジメチルジアルコキシシラン類:ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等。
ジメチルシロキサン環状オリゴマー類:ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン、ジメチルサイクリックス(ジメチルシロキサン環状オリゴマー3〜7量体混合物)等。
その他:ジメチルジクロロシラン等。
重合体ブロック(A)の原料としては、得られるグラフトブロック共重合体の熱安定性等の性能およびコストの点から、ジメチルシロキサン環状オリゴマーが最も好ましい。
重合体ブロック(A)の質量平均分子量は、10,000以上が好ましく、50,000以上がより好ましい。質量平均分子量が10,000以上であれば、十分な耐久性を有する塗膜が得られる。
重合体ブロック(B)の含有量は、グラフトブロック共重合体100質量部に対して、50〜99.7質量部が好ましく、60〜99.5質量部がより好ましい。重合体ブロック(B)の含有量が50質量部以上であれば、塗膜の硬度、強度および耐汚染性が向上する。重合体ブロック(B)の含有量が99.7質量部以下であれば、塗膜の耐候性、耐水性および耐凍害性の低下を抑制できる傾向にある。
ケイ素含有グラフト交叉剤単位(C)は、得られる塗膜の透明性を確保する成分である。ケイ素含有グラフト交叉剤としては、前述した加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ケイ素含有グラフト交叉剤単位(C)の含有量(ケイ素原子換算)は、グラフトブロック共重合体中のケイ素原子の合計100モル%のうち、0.5〜50モル%が好ましく、1〜15モル%がより好ましい。ケイ素含有グラフト交叉剤の含有量が0.5モル%以上であれば、塗膜の透明性が向上する。ケイ素含有グラフト交叉剤の含有量が50モル%以下であれば、塗膜性能が向上する。また、ケイ素含有グラフト交叉剤の含有量が1モル%以上であれば、得られる塗膜の透明性が極めて良好となる。また、ケイ素含有グラフト交叉剤の含有量が15モル%以下であれば、乳化重合の際のラテックス安定性が良好となる。
共重合体は、水性被覆材の貯蔵安定性、顔料、添加物を入れ塗料化する際の配合安定性の点から、カルボキシル基含有単量体に由来する単位を含有することが好ましい。
カルボキシル基含有単量体に由来する単位の含有量は、共重合体100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜8質量部がより好ましい。カルボキシル基含有単量体に由来する単位の含有量が0.1質量部以上であれば、水性被覆材の貯蔵安定性が向上し、水性被覆材に顔料を入れて着色した場合、凝集物が発生するような問題を回避できる。カルボキシル基含有単量体に由来する単位の含有量が10質量部以下であれば、塗膜の耐候性および耐水性を低下させることなく、水性被覆材の貯蔵安定性、配合安定性をさらに向上させることができる。
カルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、ビニル安息香酸、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、5−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体は、水性被覆材の配合安定性、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性および各種基材に対する密着性の点から、ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体および/またはポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位を含有することが好ましい。
ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体およびポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量は、共重合体100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、1〜12質量部がより好ましい。これら単量体単位の含有量が0.5質量部以上であれば、水性被覆材の配合安定性、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性および各種基材に対する密着性が向上する。これら単量体単位の含有量が20質量部以下であれば、塗膜の耐候性および耐水性を低下させることなく、水性被覆材の配合安定性、塗膜の耐汚染性および各種基材に対する密着性をさらに向上させることができる。
ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体としては、例えば、上述のヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体類に加えて、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体としては、例えば、上述のポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体類(末端ヒドロキシ型ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体、アルキル基末端型ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体)が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体は、塗膜の耐候性、耐水性の点から、t−ブチルメタクリレートおよび/またはシクロヘキシルメタクリレートに由来する単位を含有することが好ましい。
t−ブチルメタクリレートおよびシクロヘキシルメタクリレートに由来する単位の含有量は、共重合体100質量部に対して、5〜70質量部が好ましく、10〜60質量部がより好ましい。これら単量体単位の含有量が5質量部以上であれば、塗膜の耐水性および耐候性が向上する。これら単量体単位の含有量が70質量部以下であれば、塗膜の耐凍害性を低下させることなく、耐候性および耐水性をさらに向上させることができる。
共重合体は、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性および各種基材に対する密着性の点から、自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位を含有することが好ましい。自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体とは、共重合体が水性分散液中に分散して室温で保管されている間は化学的に安定であって、塗装時の乾燥、加熱、その他の外的要因によって側鎖官能基同士の反応を生じ、該側鎖基間に化学結合を生じるような官能基を有するラジカル重合性単量体を意味する。
自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量は、共重合体100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.5〜12質量部がより好ましい。自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量が0.1質量部以上であれば、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性および各種基材に対する密着性が向上する。自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量が15質量部以下であれば、塗膜の耐水性および耐候性を低下させることなく、塗膜の耐汚染性および各種基材に対する密着性をさらに向上させることができる。
自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体としては、上述の自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体(オキシラン基含有ラジカル重合性単量体、エチレン性不飽和アミドのアルキロールまたはアルコキシアルキル化合物)が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体は、塗膜の耐候性の点から、耐紫外線ラジカル重合性単量体に由来する単位を含有することが好ましい。
耐紫外線ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量は、共重合体100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜8質量部がより好ましい。耐紫外線ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量が0.1質量部以上であれば、塗膜の耐候性が向上する。耐紫外線ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量が10質量部以下であれば、重合安定性を低下させることなく、塗膜の耐候性をさらに向上させることができる。
耐紫外線ラジカル重合性単量体としては、光安定化作用を有する(メタ)アクリレート、紫外線吸収性成分を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
光安定化作用を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
紫外線吸収性成分を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−t−アミル−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した単量体(加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体、グラフト交叉剤、カルボキシル基含有単量体、ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体、ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体、耐紫外線ラジカル重合性単量体)は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体中の各単量体単位の含有量は、種々の装置を用いて測定することができる。例えば、ガスクロマトグラフ、熱分解ガスクロマトグラフ、ガスクロマトグラフ質量分析計、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計、高速液体クロマトグラフ、液体クロマトグラフ、液体クロマトグラフ質量分析計、フーリエ変換赤外分光光度計、核磁気共鳴装置、蛍光X線装置、ICP発光分析装置等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、各装置を用いるうえで適切な前処理を行ってもよい。
(シリカ粒子)
シリカ粒子は、塗膜に親水性、制電性、硬さ、耐候性を与える成分である。また、塗膜に親水性、静電性を付与することにより、十分な耐汚染性を発揮させる成分である。
シリカ粒子の量は、共重合体100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、1〜18質量部がより好ましい。シリカ粒子の量が0.5質量部以上であれば、塗膜の耐汚染性(親水性、制電性)が向上する。シリカ粒子の量が20質量部以下であれば、塗膜の透明性、耐候性、耐水性、耐凍害性を低下させることなく、塗膜の耐汚染性(親水性、制電性)が向上する。また、シリカ粒子の量が20質量部以下であれば、塗膜の白化が抑えられる。
シリカ粒子の平均粒子径は、1〜60nmが好ましく、40nm未満がより好ましく、20nm未満がさらに好ましい。シリカ粒子の平均粒子径が60nm以下であれば、塗膜の形成時にシリカ粒子が塗膜の表層に浮上しやすくなり、塗膜の表層においてシリカ粒子が共重合体の粒子間隙を密に埋め、かつ厚みを持ってシリカ粒子層を形成し、共重合体とシリカ粒子、およびシリカ粒子同士が化学結合または物理吸着して塗膜の最表層に存在するようになり、耐汚染性が十分に発揮される。また、シリカ粒子の平均粒子径が60nm以下であれば、塗膜の表面における光の乱反射を抑え、塗膜が白く見えることを抑えることができる。
シリカ粒子の平均粒子径は、画像処理ソフトウエアを用い、シリカ粒子のTEM観察像からシリカ粒子の粒径をTEM観察像のスケールバーの長さと比較して10点算出し、これらの平均値とする。
シリカ粒子は、下記一般式(1)で示されるシラン化合物で表面処理されたものであってもよい。
SiR n+1(OR3−n ・・・(1)
(式中、Rは、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、Rは、水素原子またはエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、nは0〜2の整数を示す。)
前記一般式(1)で示されるシラン化合物としては、トリメトキシシラン、ジメトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメトキシフェニルシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジエトキシフェニルシラン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、トリメトキシメチルシランが特に好ましい。
シリカ粒子をシラン化合物で表面処理する方法としては、例えば、下記方法が挙げられる。
(i)共重合体の水性分散液に、コロイダルシリカおよびシラン化合物を添加し、室温から100℃の温度範囲で任意の時間攪拌する方法。
(ii)あらかじめコロイダルシリカおよびシラン化合物を室温から100℃の温度範囲で任意の時間攪拌することによって得られた、シラン化合物で表面処理されたシリカ粒子を、共重合体の水性分散液中に添加する方法。
(iii)塗膜を作製した後、塗膜最表層に偏在したシリカ粒子にシラン化合物を塗布し、室温から100℃の温度範囲で任意の時間加熱処理する方法。
シラン化合物の量は、シリカ粒子100質量部に対して、1〜60質量部が好ましく、5〜40質量部がより好ましい。シラン化合物の量が1質量部以上であれば、塗膜の耐候性が向上する。シラン化合物の量が60質量部以下であれば、水性被覆材の貯蔵安定性、塗膜の耐汚染性および耐水性を低下させることなく、塗膜の耐候性をさらに向上させることができる。
(界面活性剤)
特定のアニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤は、塗膜に耐汚染性を与える成分である。水性被覆材が、特定のアニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤を含有することにより、塗膜の最表層のシリカ粒子層を厚くすることができ、効率的かつ効果的に著しい親水性および制電性を有する塗膜を得ることができる。
特定のアニオン系界面活性剤は、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩のホルマリン縮合物、およびポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩のホルマリン縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
アニオン系界面活性剤の量は、共重合体100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜8質量部がより好ましい。アニオン系界面活性剤の量が0.1質量部以上であれば、塗膜の耐汚染性、水性被覆材の調製時の安定性、水性被覆材の貯蔵安定性が向上し、界面活性剤の存在下に乳化重合する場合には重合時の安定性も向上する。アニオン系界面活性剤の量が10質量部以下であれば、塗膜の耐水性を損なうことなく、塗膜の耐汚染性、水性被覆材の調製時の安定性、水性被覆材の貯蔵安定性が向上し、界面活性剤の存在下に乳化重合する場合には重合時の安定性も向上する。
アニオン系界面活性剤のポリオキシアルキレン部は、塗膜の最表層のシリカ粒子層を厚くし、効率的かつ効果的に著しい親水性および制電性を有する塗膜を得るためには、ポリオキシエチレンが好ましく、その繰り返し単位数は30以下が好ましく、20以下がより好ましい。
アニオン系界面活性剤のアリール部としては、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、クミルフェニル、スチリルフェニル、(モノ〜ペンタ)ベンジルフェニル、(モノ〜ペンタ)スチリルフェニル、(モノ〜ペンタ)スチリルシクロヘキシルフェニル、(モノ〜ペンタ)ベンジルビフェニル、スチリルクミルフェニル等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤の硫酸エステル塩としては、例えば、硫酸エステルナトリウム塩、硫酸エステルカリウム塩、硫酸エステルカルシウム塩、硫酸エステルアンモニウム塩等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが挙げられる。
水性被覆材のゼータ電位絶対値を33mV以上58mV以下とするためには、ノニオン系界面活性剤の量は、共重合体100質量部に対して、0.1〜0.9質量部が好ましく、0.2〜0.9質量部がより好ましく、0.4〜0.9質量部がさらに好ましい。
ノニオン系界面活性剤のポリオキシアルキレン部は、塗膜の最表層のシリカ粒子層を厚くし、効率的かつ効果的に著しい親水性および制電性を有する塗膜を得るためには、ポリオキシエチレンが好ましく、その繰り返し単位は10以上が好ましく、20以上がより好ましい。ポリオキシエチレンの繰り返し単位数が大きいほどこの効果が高くなる。
ノニオン系界面活性剤のアルキル部としては、例えば、炭素数が4〜18の直鎖状または分岐状のアルキル基、ナフチル、ビフェニル、クミルフェニル、スチリルフェニル、(モノ〜ペンタ)ベンジルフェニル、(モノ〜ペンタ)スチリルフェニル、(モノ〜ペンタ)スチリルシクロヘキシルフェニル、(モノ〜ペンタ)ベンジルビフェニル、スチリルクミルフェニル等が挙げられる。
水性被覆材の調製時の安定性、水性被覆材の貯蔵安定性、界面活性剤の存在下に乳化重合する場合の重合安定性を向上するために、上述のアニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤を除く、公知の界面活性剤を併用してもよい。
(他の成分)
水性被覆材には、コーティング材料として高度な性能を発現させるために、顔料、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤、可塑剤、造膜助剤等の各種添加剤;他のエマルション樹脂、水溶性樹脂、粘性制御剤、メラミン類等の硬化剤を添加してもよい。
造膜助剤としては、通常の水性塗料で用いられているものが挙げられ、例えば、下記のものが挙げられる。
炭素数5〜10の直鎖状、分岐状または環状の脂肪族アルコール類。
芳香族基を含有するアルコール類。
モノエーテル類:下記一般式(2)で示される(ポリ)エチレングリコールモノエーテルまたは(ポリ)プロピレングリコールモノエーテル等。
HO−(CHCHXO)−R ・・・(2)。
(式中、Rは、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基を示し、Xは、水素原子またはメチル基を示し、nは、1〜5の整数を示す。)
エーテルエステル類:下記一般式(3)で示される(ポリ)エチレングリコールエーテルエステルまたは(ポリ)プロピレングリコールエーテルエステル等。
COO−(CH CHXO)−R ・・・(3)。
(式中、R、Rは、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基を示し、Xは、水素原子またはメチル基を示し、nは、1〜5の整数を示す。)
芳香族系有機溶剤:トルエン、キシレン等。
その他:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールのモノまたはジイソブチレート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブタノールアセテート、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノールアセテート等。
<水性被覆材の調製>
水性被覆材は、例えば、共重合体の水性分散液と、コロイダルシリカと、特定のアニオン系界面活性剤と、ノニオン系界面活性剤とを混合することにより調製される。
特定のアニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤は、共重合体の水性分散液の製造工程中に添加してもよく、共重合体の水性分散液の製造後、水性被覆材を調製する際に添加してもよい。
(共重合体の水性分散液)
共重合体の水性分散液としては、乳化重合法により得られたエマルション、該エマルションを水で希釈したもの、溶液重合法により得られた共重合体の溶液を水で希釈し脱溶剤したもの、等が挙げられる。これらのうち、乳化重合により得られたエマルション、またはそれを水で希釈したものが好ましい。
共重合体の水性分散液のゼータ電位絶対値は、36mV以上57mV以下とする。共重合体の水性分散液のゼータ電位絶対値が36mV以上であれば、共重合体の水分散液の貯蔵安定性が向上し、さらには水性被覆材に調製した時の貯蔵安定性も向上する。共重合体の水性分散液のゼータ電位絶対値が57mV以下であれば、共重合体の水分散液や水性被覆材に調製した時の貯蔵安定性を損なうことなく、該共重合体の水分散液を用いて調製した水性被覆材から得られる塗膜の耐汚染性が向上する。
共重合体の水性分散液のゼータ電位は、水性被覆材のゼータ電位と同様にして測定される。
エマルションは、例えば、界面活性剤の存在下、ラジカル重合性単量体混合物を、ラジカル重合開始剤により重合させる方法等、公知の方法により得ることができる。
界面活性剤としては、公知のアニオン系界面活性剤(前記特定のアニオン系界面活性剤を含む。)、カチオン系活性剤、ノニオン系界面活性剤、高分子乳化剤が挙げられる。また、界面活性剤成分中にラジカル重合性不飽和結合を持つ、いわゆる反応性乳化剤を用いてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、下記化合物が挙げられる。
過硫酸塩類:過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等。
油溶性アゾ化合物類:アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等。
水溶性アゾ化合物類:2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}およびその塩類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)およびその塩類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピンアミジン)およびその塩類、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]およびその塩類等。
有機過酸化物類:過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合速度の促進、または70℃以下での低温の重合が望まれるときには、例えば、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いると有利である。
ラジカル重合開始剤の量は、通常、ラジカル重合性単量体の全量100質量部に対して、0.01〜10質量部であり、重合の進行、反応の制御を考慮に入れると、0.05〜5質量部が好ましい。
共重合体の分子量を調整する場合には、分子量調整剤として、公知の連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、下記化合物が挙げられる。
メルカプタン類:n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン等。
ハロゲン化合物:四塩化炭素、臭化エチレン等。
その他:α−メチルスチレンダイマー等。
連鎖移動剤の量は、通常、ラジカル重合性単量体の全量100質量部に対して、1質量部以下である。
乳化重合法により得られたエマルションは、塩基性化合物の添加によりそのpHを中性から弱アルカリ性、すなわちpH6.5〜10.0程度の範囲に調整することで安定性を高めることができる。塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
エマルション中の共重合体の粒子構造としては、単層構造、多層構造等が挙げられる。多段乳化重合法により得られるエマルション中の共重合体は、多層構造を有しており、最外層を形成する重合体は、加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位を有することが好ましい。
加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位は、塗膜の耐汚染性、耐候性および耐水性を向上させるための成分であるが、その量が多い場合、耐凍害性を低下させる。したがって、少量で塗膜の耐汚染性、耐候性および耐水性を向上させることが好ましく、多層構造の粒子の最外層に加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位を導入することによりこの目的は達成できる。最外層に加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体を共重合させるためのラジカル重合開始剤としては、塗膜の耐汚染性、耐候性、耐水性の点から、水溶性アゾ化合物が好ましい。
(コロイダルシリカ)
コロイダルシリカは、分散媒中にシリカ粒子が分散したコロイド状の液体である。シリカ粒子にコロイダルシリカを用いることにより、水性被覆材中においてはシリカ粒子と共重合体の粒子とが分散安定性を保ち続け、塗膜の形成時には、共重合体の粒子間をシリカ粒子がすり抜けるように塗膜表面に浮上し、共重合体粒子を覆うように厚みをもってシリカ粒子膜を形成すると考えられる。
コロイダルシリカとしては、市販品を用いることができる。コロイダルシリカは、水を分散媒にしたものでもあってもよく、有機溶剤を分散媒にしたものであってもよい。
酸性を示す水性コロイダルシリカとしては、例えば、下記市販品が挙げられる。
日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックスOXS(SiO固形分10質量%)、スノーテックスOS(SiO固形分20質量%)、スノーテックスO(SiO固形分20質量%)、スノーテックスO−40(SiO固形分40質量%)、スノーテックスOL(SiO固形分20質量%)、スノーテックスOUP(SiO固形分15質量%)等。
旭電化工業(株)製、商品名:アデライトAT−20Q(SiO固形分20質量%)等。
触媒化成工業(株)製、商品名:カタロイドSN(SiO固形分20質量%)等。
日本化学工業(株)製、商品名:シリカドール−20A(SiO固形分20質量%)、シリカドール−20GA(SiO固形分20質量%)等。
アルカリ性を示す水性コロイダルシリカとしては、例えば、下記市販品が挙げられる。
日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックスXS(SiO固形分20質量%)、スノーテックス20(SiO固形分20質量%)、スノーテックス30(SiO固形分30質量%)、スノーテックス40(SiO固形分40質量%)、スノーテックス50(SiO固形分50質量%)、スノーテックスC(SiO固形分20質量%)、スノーテックスN(SiO固形分20質量%)、スノーテックスN−40(SiO固形分40質量%)、スノーテックスNS(SiO固形分20質量%)、スノーテックスNXS(SiO固形分10質量%)、スノーテックスS(SiO固形分30質量%)、スノーテックスCM(SiO固形分30質量%)、スノーテックスUP(SiO固形分20質量%)、スノーテックス20L(SiO固形分20質量%)、スノーテックスXL(SiO固形分40質量%)等。
旭電化工業(株)製、商品名:アデライトAT−20(SiO固形分20質量%)、アデライトAT−20N(SiO固形分20質量%)、アデライトAT−20A(SiO固形分20質量%)、アデライトAT−30、アデライトAT−40、アデライトAT−50、アデライトAT−30A、アデライトAT−300、アデライトAT−300S等。
触媒化成工業(株)製、商品名:カタロイドS−20L(SiO固形分20質量%)、カタロイドS−20H(SiO固形分20質量%)、カタロイドS−30L(SiO固形分30質量%)、カタロイドS−30H(SiO固形分30質量%)、カタロイドSI−30(SiO固形分30質量%)、カタロイドSI−40(SiO固形分40質量%)、カタロイドSI−50(SiO固形分47質量%)、カタロイドSI−350(SiO固形分30質量%)、カタロイドSI−500(SiO固形分20質量%)、カタロイドSI−45P(SiO固形分40質量%)、カタロイドSI−80P(SiO固形分40質量%)、カタロイドSA(SiO固形分30質量%)、カタロイドSC−30(SiO固形分30質量%)等。
日本化学工業(株)製、商品名:シリカドール−20(SiO固形分20質量%)、シリカドール−30(SiO固形分30質量%)、シリカドール−40(SiO固形分40質量%)、シリカドール−30S(SiO固形分30質量%)、シリカドール−20AL(SiO固形分20質量%)、シリカドール−20A(SiO固形分20質量%)、シリカドール20B(SiO固形分20質量%)、シリカドール−20G(SiO固形分20質量%)、シリカドール−20GA(SiO固形分20質量%)、アンモニウムシリケート(SiO固形分40質量%)等。
カチオン性コロイダルシリカとしては、例えば、下記市販品が挙げられる。
日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックスAK(SiO固形分19質量%)等。
日本化学工業(株)製、商品名:シリカドール−20P(SiO固形分20質量%)等。
これらコロイダルシリカは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<塗装物>
本発明の塗装物は、本発明の水性被覆材から得られる塗膜を有する物品である。
本発明の塗装物は、本発明の水性被覆材を基材等に塗布し、乾燥して、基材等上に塗膜を形成することによって製造される。
基材としては、例えば、セメントモルタル、スレート板、石膏ボード、押出成形板、発泡性コンクリート、金属、ガラス、磁器タイル、アスファルト、木材、防水ゴム材、プラスチック、珪酸カルシウム基材等が挙げられる。本発明の水性被覆材は、これらの各種基材の表面仕上げ材等として位置付けることができる。
水性被覆材を各種基材の表面に塗布する方法としては、例えば、スプレーコート法、ローラーコート法、バーコート法、エアナイフコート法、刷毛塗り法、ディッピング法等の各種塗装方法が挙げられる。
基材表面に塗布された水性被覆材を、常温で、または40〜200℃に加熱して乾燥することによって塗膜が得られる。また、常温〜50℃程度の低温で乾燥して塗膜を形成させた後、共重合体のガラス転移温度以上に塗膜を加熱して、共重合体の粒子同士の結着を強固にして、耐候性がより高い塗膜とすることもできる。
本発明の塗装物としては、例えば、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、板材、乗物の外装、機械装置や物品の外装、防塵カバー、道路標識用反射板、視線誘導標示体、路面標示、各種表示装置、広告塔、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、道路用化粧板、信号機用光源カバー、屋外表示板、橋梁、ガードレール、トンネル内装、トンネル内照明装置、ガラス、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、道路用鏡、車両用鏡、二輪車用計量カバーおよび計量盤、ガラスレンズ、プラスチックレンズ、ヘルメットシールド、ゴーグル、家屋、自動車および鉄道車両用窓ガラス、乗物風防ガラス、ショーケース、保温ショーケース、膜構造材、熱交換用フィン、種々場所のガラス表面、ブラインド、タイヤホイール、屋根材、屋根樋、アンテナ、送電線、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器収納器、食器洗浄機、食器乾燥機、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、鑑賞用水槽材料、循環水利用施設において循環水と接触する部分の表面材料、抗血栓性材料、抗蛋白質付着材料、脂質付着防止性材料、コンタクトレンズ、導尿カテーテル、経皮デバイス、人工臓器、血液バック、採血バック、肺ドレナージ、船底、テント地キャンバス、滑走具、機能性繊維、テレビ、パソコン等の表示画面であるディスプレイ、これら物品に貼付させるフィルム等が挙げられる。
以上説明した本発明の水性被覆材にあっては、共重合体と、シリカ粒子と、特定のアニオン系界面活性剤と、ノニオン系界面活性剤とを含有し、シリカ粒子の量が、共重合体100質量部に対して0.5〜20質量部であり、水性被覆材のゼータ電位絶対値が、58mV以下であるため、耐汚染性、透明性、耐候性、耐凍害性に優れる塗膜を形成できる。また、本発明の水性被覆材にあっては、水性被覆材のゼータ電位絶対値が、33mV以上であるため、貯蔵安定性に優れる。
以上説明した本発明の塗装物にあっては、本発明の水性被覆材から得られる塗膜を有するため、塗膜の耐汚染性、透明性、耐候性、耐凍害性に優れる。すなわち、本発明の水性被覆材を用いることにより、塗膜の最表層に一定以上の厚さで、かつ塗膜の表面に広がるシリカ粒子層が形成されるため、塗膜に著しい親水性が付与され、雨水による自浄作用を発揮させるようになる。さらに、シリカ粒子同士が塗膜表面で接触するようになるため、塗膜表面が導電性を持ち、静電気による汚れの付着が抑制される。これらの結果、本発明の塗膜は優れた耐汚染性を発揮する。本発明の塗装物は、本発明の水性被覆材から得られる塗膜のみで、十分な耐汚染性を発揮するため、必ずしも、従来のような上塗り、中塗り、下塗りからなる多層構成としなくてもよい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は本実施例によって何ら限定されるものではない。
塗膜の評価等は、下記方法に従って実施した。
(単量体単位の含有量)
共重合体中の単量体単位の含有量は、熱分解ガスクロマトグラフ(ガスクロマトグラフ:Agilent Technologies製、熱分解装置:日本分析工業(株)製)、フーリエ変換赤外分光光度計(ニコレージャパン(株)製)等を用いて測定した。
(ゼータ電位)
DT−1200(Dispersion Technology製)を用い、水性被覆材のゼータ電位、および共重合体の水分散液のゼータ電位を測定し、絶対値を求めた。
(水接触角、耐カーボン汚染性、貯蔵安定性および耐候性の評価用試験板の作製)
リン酸亜鉛処理鋼鈑(ボンデライト#100処理鋼鈑、板厚0.8mm、縦150mm×横70mm)に、40℃の雰囲気下で水性被覆材をバーコーター#60にて塗布し、130℃で5分間乾燥した。その後、室温で1日間乾燥したものを、水接触角、耐カーボン汚染性、貯蔵安定性および耐候性の評価用試験板とした。
(制電性の評価用試験板の作製)
ポリエチレンテレフタレートフィルムに、40℃の雰囲気下で水性塗料組成物をバーコーター#60にて塗布し、130℃で5分間乾燥した。その後、室温で1日間乾燥したものを、制電性の評価用試験板とした。
(透明性の評価用試験板の作製)
ガラス板に、40℃の雰囲気下で水性被覆材を4MILアプリケーターにて塗布し、130℃で5分間乾燥し、評価用試験板を得た。
(耐屋外曝露汚染性の評価用試験板の作製)
リン酸亜鉛処理鋼鈑(ボンデライト#100処理鋼鈑、板厚0.8mm、縦300mm×横100mm)に、中塗りとしてダイヤナールLX−2011(商品名、三菱レイヨン(株)製)を用いた白エナメル塗料(PWC(顔料含有比率)=40質量%)を、乾燥膜厚が50μmになるように室温にてスプレーコートし、130℃で5分間乾燥した。ついで、水性被覆材を乾燥膜厚が30μmになるように室温にてスプレーコートし、130℃で5分間乾燥した後、室温で1日間乾燥したものを、耐屋外曝露汚染性の評価用試験板とした。
(耐凍害性の評価用試験板の作製)
石膏スラグパーライト板(厚さ12mm)に、シーラーとしてダイヤナールLX−1010(商品名、三菱レイヨン(株)製)を用いた白エナメル塗料(PWC=40質量%)を、塗着量が90〜100g/m(ウエット質量)となるように室温にてスプレーコートし、130℃で5分間乾燥した。ついで、中塗りとしてダイヤナールLX−2011(商品名、三菱レイヨン(株)製)を用いた白エナメル塗料(PWC=40質量%)を、塗着量が90〜100g/m(ウエット質量)となるように室温にてスプレーコートし、130℃で5分間乾燥した。ついで、水性被覆材を、塗着量が50〜60g/m(ウエット質量)となるように室温にてスプレーコートし、130℃で5分間乾燥した後、室温で1日間乾燥したものを、耐凍害性の評価用試験板とした。
(水接触角)
CA−X150型FACE接触角計(協和界面科学(株)製)を用い、評価用試験板の塗膜に0.4μL(画面上目盛りで3目盛り)の水滴を滴下し、30秒経過後の水接触角を測定した。
(制電性)
評価用試験板を、STATIC HONES TMETER S−5109(シシド静電気(株)製)に取り付け、JIS L 1094に示される半減期測定を行い、下記基準で判定した。この際、プラス10kVの印加を30秒行った後、印加を止め、ターンテーブルを回転させたまま印加開始より180秒間測定した。
「◎」:30秒未満。
「○」:30秒以上、90秒未満。
「△」:90秒以上、180秒未満。
「×」:180秒以上。
(カーボン汚染除去性)
評価用試験板の塗膜に霧吹きにて水を噴霧した直後に、スポイトを用いて、石油ベンジン中にカーボンMA100(三菱化学(株)製)を10質量%含むカーボン溶液を垂らし、5秒後に水道水にて洗い流した。カーボン溶液を垂らした部分について、カーボンの塗膜への付着程度を目視にて観測し、下記基準で判定した。
「◎」:全く付着無し。
「○」:部分的にわずかに付着。
「△」:全面に薄く付着。
「×」:全面に濃く付着。
(貯蔵安定性)
マヨネーズ瓶に封入した水性被覆材を50℃の温水に15日間浸漬した後、室温に戻してから評価用試験板を作製した。評価用試験板の塗膜の水接触角を測定し、下記基準で判定した。
「◎」:貯蔵安定性試験前の塗膜の水接触角と比較し、測定値の上昇が10°未満。
「○」:貯蔵安定性試験前の塗膜の水接触角と比較し、測定値の上昇が10°以上15°未満。
「△」:貯蔵安定性試験前の塗膜の水接触角と比較し、測定値の上昇が15°以上30°未満。
「×」:貯蔵安定性試験前の塗膜の水接触角と比較し、測定値の上昇が30°以上。
(透明性)
評価用試験板の塗膜の透明性を目視にて観測し、下記基準で判定した。
「○」:透明。
「△」:半透明。
「×」:白濁。
(耐屋外曝露汚染性)
評価用試験板を上方から3分の1の長さのところで、内角が135度になるように折り曲げ、該試験板を三菱レイヨン(株)豊橋事業所内(豊橋市牛川通)で南面に向かせ、面積が広い面(垂直面)を垂直にし、さらに面積の狭い面(上部面)が上部になるように設置し、2006年5月〜10月の6ヶ月間曝露したのち、上部面における塗膜の曝露前後の白さの差ΔLを色差計により測定し、垂直面における雨筋汚れの有無を目視にて評価した。判定基準を下記に示す。
(上部面における曝露前後の白さの差ΔL)
「◎」:2.5未満。
「○」:2.5以上、5.0未満。
「△」:5.0以上、7.5未満。
「×」:7.5以上。
(垂直面の雨筋汚れの有無)
「◎」:雨筋汚染なし。
「○」:わずかに雨筋汚染が見られる。
「×」:明らかに雨筋汚染が見られる。
(耐候性)
評価用試験板から70mm×50mmの大きさの試験板を切り取り、該試験板をダイプラ・メタルウエザーKU−R4−W型(ダイプラ・ウィンテス(株)社製)に入れ、試験サイクル:照射4時間(噴霧5秒/15分)/結露4時間、UV強度:85mW/cm、ブラックパネル温度:照射時63℃/結露時30℃、湿度:照射時50%RH/結露時96%RHの条件で耐候性試験を行った。600時間経過後の塗膜の60゜グロスの保持率を耐候性の指標とし、下記基準で判定した。
「◎」:80%以上。
「○」:70%以上、80%未満。
「△」:60%以上、70%未満。
「×」:60%未満。
(耐凍害性)
ASTM−C666A法によって測定(200サイクル)し、下記基準で判定した。
「◎」:クラック、光沢変化なし。
「○」:クラックないが、光沢やや低下。
「△」:軽微なクラック発生。
「×」:著しいクラック発生。
〔製造例1〕
ポリオルガノシロキサンの水分散液の調製:
環状ジメチルシロキサンオリゴマー3〜7量体混合物95質量部と、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン5質量部、脱イオン水250質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸0.4質量部からなる組成物を、ホモミキサーで予備混合し、圧力式ホモジナイザーを用いて200kg/cmの圧力で強制乳化して、原料プレエマルションを得た。
ついで、水55質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸5質量部を、攪拌機、還流冷却管、温度制御装置および滴下ポンプを備えたフラスコに仕込み、攪拌下に、フラスコの内温を85℃に保ちながら、前記原料プレエマルションを4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間重合を進行させ、冷却して、ドデシルベンゼンスルホン酸と当モル量のアンモニアを加えてポリオルガノシロキサンの水分散液(SiEm)を調製した。固形分は22.7質量%であった。
〔実施例1〕
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプを備えたフラスコに、脱イオン水80質量部、ニューコール707SF(商品名、日本乳化剤(株)製、アニオン系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩(化審法官報公示名称:ポリオキシアルキレン(C=2〜3)アルキル(C=1,8,9)(モノ〜ペンタ)スチリル−フェニルエーテルの硫酸エステル))2.5質量部(固形分0.75質量部)、SiEmの4質量部(固形分0.9質量部)および表1の「1段目(内層)」に示す、共重合体の構成成分であるラジカル重合性単量体の混合物を仕込んだ。フラスコの内温を50℃に昇温した後、過硫酸アンモニウム0.15質量部/脱イオン水1質量部の開始剤水溶液を添加し、さらに亜硫酸水素ナトリウム0.05質量部/脱イオン水1質量部の還元剤水溶液を添加した。重合発熱によるピークトップ温度を確認した後、フラスコの内温を65℃に保持し、前記還元剤水溶液の添加1時間後にエマルゲン1150S−70(商品名、花王(株)製、ノニオン系界面活性剤)0.5質量部(固形分0.3質量部)/脱イオン水0.5質量部の界面活性剤水溶液を添加した。
前記界面活性剤水溶液の添加0.5時間後に、表1の「2段目(外層)」に示すラジカル重合性単量体の混合物、脱イオン水22質量部、ニューコール707SFの10質量部、およびAMP−90(商品名、ダウ・ケミカル日本(株)製、塩基性化合物)0.115部をあらかじめ乳化分散させたプレエマルション液と、VA−061(商品名、和光純薬工業(株)製、ラジカル重合開始剤)0.1質量部/メタノール2質量部/脱イオン水3質量部の開始剤溶液とを、1.5時間かけて2系列滴下した。この滴下中はフラスコの内温を65℃に保持し、滴下が終了してから65℃で1時間保持した。AMP−90の0.98質量部を添加した後、さらに65℃で0.5時間保持した。その後、室温まで冷却し、共重合体の水性分散液を得た。加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量は、共重合体(固形分)100質量部に対して2.05質量部であった。共重合体の水性分散液のゼータ電位を測定した。結果を表1に示す。
共重合体の水性分散液に、スノーテックスN(商品名、日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ、シリカ粒子の平均粒子径15nm)25質量部(固形分5質量部)を添加し、さらに、造膜助剤としてブチルセロソルブを5質量部添加して水性被覆材を得た。シリカ粒子(固形分)の量は、共重合体(固形分)100質量部に対して5質量部であった。
得られた水性被覆材のゼータ電位を測定した。結果を表1に示す。
さらに、水性被覆材を用いて塗膜を形成し、水接触角、制電性、耐カーボン汚染性、貯蔵安定性、透明性、耐屋外曝露汚染性、耐候性、耐凍害性の評価を行った。結果を表3に示す。
〔実施例2〕
ノニオン系界面活性剤の量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体の水性分散液を得た。加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量は、共重合体(固形分)100質量部に対して2.05質量部であった。共重合体の水性分散液のゼータ電位を測定した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして水性被覆材を得た。シリカ粒子(固形分)の量は、共重合体(固形分)100質量部に対して5質量部であった。
得られた水性被覆材のゼータ電位を測定した。結果を表1に示す。
さらに、水性被覆材を用いて塗膜を形成し、水接触角、制電性、耐カーボン汚染性、貯蔵安定性、透明性、耐屋外曝露汚染性、耐候性、耐凍害性の評価を行った。結果を表3に示す。
〔実施例3〕
ノニオン系界面活性剤の量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体の水性分散液を得た。加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量は、共重合体(固形分)100質量部に対して2.05質量部であった。共重合体の水性分散液のゼータ電位を測定した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして水性被覆材を得た。シリカ粒子(固形分)の量は、共重合体(固形分)100質量部に対して5質量部であった。
得られた水性被覆材のゼータ電位を測定した。結果を表1に示す。
さらに、水性被覆材を用いて塗膜を形成し、水接触角、制電性、耐カーボン汚染性、貯蔵安定性、透明性、耐屋外曝露汚染性、耐候性、耐凍害性の評価を行った。結果を表3に示す。
〔実施例4〕
ノニオン系界面活性剤の量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体の水性分散液を得た。加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量は、共重合体(固形分)100質量部に対して2.05質量部であった。共重合体の水性分散液のゼータ電位を測定した。結果を表1に示す。
コロイダルシリカの量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして水性被覆材を得た。シリカ粒子(固形分)の量は、共重合体(固形分)100質量部に対して10質量部であった。
得られた水性被覆材のゼータ電位を測定した。結果を表1に示す。
さらに、水性被覆材を用いて塗膜を形成し、水接触角、制電性、耐カーボン汚染性、貯蔵安定性、透明性、耐屋外曝露汚染性、耐候性、耐凍害性の評価を行った。結果を表3に示す。
〔実施例5〕
ノニオン系界面活性剤の量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体の水性分散液を得た。加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量は、共重合体(固形分)100質量部に対して2.05質量部であった。共重合体の水性分散液のゼータ電位を測定した。結果を表1に示す。
コロイダルシリカを、表1に示すようにスノーテックスNS(商品名、日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ、シリカ粒子の平均粒子径10nm)に変更した以外は、実施例1と同様にして水性被覆材を得た。シリカ粒子(固形分)の量は、共重合体(固形分)100質量部に対して5質量部であった。
得られた水性被覆材のゼータ電位を測定した。結果を表1に示す。
さらに、水性被覆材を用いて塗膜を形成し、水接触角、制電性、耐カーボン汚染性、貯蔵安定性、透明性、耐屋外曝露汚染性、耐候性、耐凍害性の評価を行った。結果を表3に示す。
〔比較例1〕
ノニオン系界面活性剤の量を表2に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体の水性分散液を得た。加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量は、共重合体(固形分)100質量部に対して2.05質量部であった。共重合体の水性分散液のゼータ電位を測定した。結果を表2に示す。
実施例1と同様にして水性被覆材を得た。シリカ粒子(固形分)の量は、共重合体(固形分)100質量部に対して5質量部であった。
得られた水性被覆材のゼータ電位を測定した。結果を表2に示す。
さらに、水性被覆材を用いて塗膜を形成し、水接触角、制電性、耐カーボン汚染性、貯蔵安定性、透明性、耐屋外曝露汚染性、耐候性、耐凍害性の評価を行った。結果を表3に示す。
〔比較例2〕
ノニオン系界面活性剤の量を表2に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体の水性分散液を得た。加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量は、共重合体(固形分)100質量部に対して2.05質量部であった。共重合体の水性分散液のゼータ電位を測定した。結果を表2に示す。
実施例1と同様にして水性被覆材を得た。シリカ粒子(固形分)の量は、共重合体(固形分)100質量部に対して5質量部であった。
得られた水性被覆材のゼータ電位を測定した。結果を表2に示す。
さらに、水性被覆材を用いて塗膜を形成し、水接触角、制電性、耐カーボン汚染性、貯蔵安定性、透明性、耐屋外曝露汚染性、耐候性、耐凍害性の評価を行った。結果を表3に示す。
〔比較例3〕
ノニオン系界面活性剤の量を表2に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体の水性分散液を得た。加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体に由来する単位の含有量は、共重合体(固形分)100質量部に対して2.05質量部であった。共重合体の水性分散液のゼータ電位を測定した。結果を表2に示す。
実施例1と同様にして水性被覆材を得た。シリカ粒子(固形分)の量は、共重合体(固形分)100質量部に対して5質量部であった。
得られた水性被覆材のゼータ電位を測定した。結果を表2に示す。
さらに、水性被覆材を用いて塗膜を形成し、水接触角、制電性、耐カーボン汚染性、貯蔵安定性、透明性、耐屋外曝露汚染性、耐候性、耐凍害性の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2008189884
Figure 2008189884
表1、2中の略号は、下記化合物を示す。
「MMA」:メチルメタクリレート、
「2−HEMA」:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
「EDMA」:エチレンジメタクリレート、
「n−BA」:n−ブチルアクリレート、
「SZ−6030」:γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、
「MAA」:メタクリル酸、
「n−BMA」:n−ブチルメタクリレート、
「ZM−84」:不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε−カプロラクトン(ε−カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、
Figure 2008189884
表3から明らかなように、実施例の水性被覆材は、貯蔵安定性に優れ、また、その塗膜は水接触角および制電性が良好であるため耐汚染性(カーボン汚染除去性および耐屋外曝露汚染性)に優れ、透明性、耐候性、耐凍害性を兼ね備えていた。これに対して、比較例の水性被覆材、またその塗膜は、貯蔵安定性、耐汚染性、透明性、耐候性、耐凍害性をバランスよく発揮することは困難であった。
本発明の水性被覆材は、粒子間反発力を大きくすることにより貯蔵安定性が優れ、かつ、その塗膜は耐汚染性に優れ、透明性、耐候性、耐水性、耐凍害性が良好となる。このような水性被覆材、またその塗膜は、建築物、土木構造物等の躯体保護を目的とする様々な被覆用途に用いることができ、工業上極めて有益である。

Claims (2)

  1. 共重合体と、
    シリカ粒子と、
    ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩のホルマリン縮合物、およびポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩のホルマリン縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオン系界面活性剤と、
    ノニオン系界面活性剤とを含有する水性被覆材であり、
    前記シリカ粒子の量が、前記共重合体100質量部に対して0.5〜20質量部であり、
    水性被覆材のゼータ電位絶対値が、33mV以上58mV以下である、水性被覆材。
  2. 請求項1に記載の水性被覆材から得られる塗膜を有する、塗装物。
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