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JP2007002258A - ノルボルネン系樹脂組成物 - Google Patents

ノルボルネン系樹脂組成物 Download PDF

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JP2007002258A
JP2007002258A JP2006222317A JP2006222317A JP2007002258A JP 2007002258 A JP2007002258 A JP 2007002258A JP 2006222317 A JP2006222317 A JP 2006222317A JP 2006222317 A JP2006222317 A JP 2006222317A JP 2007002258 A JP2007002258 A JP 2007002258A
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epoxy
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JP2006222317A
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Yasuo Tsunokai
靖男 角替
Yasuhiro Wakizaka
康尋 脇坂
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

【課題】 成形材料として高温下においても十分な機械強度を持ち、且つ低線膨張で、耐熱性、低吸湿性、誘電特性にも優れた材料を与える樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 環状オレフィン系重合体の中でも特にノルボルネン系単量体繰り返し単位を重合体全繰り返し単位中50モル%以上含有するノルボルネン系付加重合体が特にガラス転移温度が高く耐熱性に優れるために、高温下での機械強度低下や線膨張係数の増加が少なく、無機、有機フィラーなどの充填剤を配合した時の効果が一段と向上するために、電子部品用材料などのような高温での製造、使用頻度が高い成形材料に好適な材料が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、機械強度に優れ、低線膨張係数且つ耐熱性、低吸湿性にも優れた樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた各種成形品、電子部品用材料に関する。
従来環状オレフィン系単量体繰り返し単位を含有する環状オレフィン系重合体は、特に低吸湿性、優れた誘電特性、低不純物性などから、各種成形品、電子部品の封止材料、絶縁材料などとして好適であることが知られており、例えばテトラシクロドデセンとエチレンの付加共重合体やメチルテトラシクロドデセンやメチルメトキシテトラシクロドデセンの開環重合体水素添加物を、回路基板の絶縁材料や電子部品の封止材料に利用するといった技術などが開示されている。しかし、このような熱可塑性環状オレフィン系樹脂は機械強度が弱く、線膨張係数も大きいため、各種成形品や電子部品用に使用する場合はにはフィラーなどを配合して強靭性を持たせたり、線膨張係数を低下させるといった技術が示されている。しかし該熱可塑性ノルボルネン系樹脂は一般にガラス転移温度が180℃以下であるために、特に近年の電子部品に要求されているような、実装時や信頼性試験時などの高温時において、樹脂の強度が急激に低下し、線膨張係数も増大するためにフィラーを配合した効果が十分に得られないという問題があった。
本発明の目的は、成形材料として高温下においても十分な機械強度を持ち、且つ低線膨張で、耐熱性、低吸湿性、誘電特性にも優れた材料を与える樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、環状オレフィン系重合体の中でも特にノルボルネン系単量体繰り返し単位を重合体全繰り返し単位中50モル%以上含有するネルボルネン系付加重合体が特にガラス転移温度が高く耐熱性に優れるために、高温下での機械強度低下や線膨張係数の増加が少なく、無機、有機フィラーなどの充填剤を配合した時の効果が一段と向上するために、電子部品用材料などのような高温での製造、使用頻度が高い成形材料に好適な材料が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、(1)ノルボルネン系単量体繰り返し単位を、重合体全繰り返し単位中60モル%以上含有する、DSC測定によるガラス転移温度が180℃以上のノルボルネン系重合体90〜1重量%と充填剤10〜99重量%とからなるノルボルネン系樹脂組成物が提供される。本発明によれば、(2)(1)記載のノルボルネン系樹脂組成物を用いた成形物が提供される。
本発明によれば、耐熱性に優れるために、特に高温下での強度特性が向上し、線膨張係数が小さい樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた成形物が提供される。本発明の成形物及びフィルムは、電子部品絶縁材料、封止材料、オーバーコート材料、その他成形材料など広範な分野において有用である。
以下に本発明の好ましい実施の形態について、項目に分けて説明する。
(ノルボルネン系樹脂組成物)本発明のノルボルネン系樹脂組成物は、ノルボルネン系単量体繰り返し単位を、重合体全繰り返し単位中60%以上含有し、DSC測定によるガラス転移温度が180℃以上のノルボルネン系重合体1〜90重量%と充填剤10〜99%からなるものである。
〔ノルボルネン系重合体〕本発明で用いるノルボルネン系重合体は、重合体の全繰返し単位中に、後述の環状オレフィン系単量体の繰返し単位を含有するものである。ノルボルネン系単量体の結合様式は、後述のノルボルネンやエチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセンなどのノルボルネン環を有する脂環族系単量体の炭素−炭素不飽和結合を付加重合したものである。
ノルボルネン系重合体の主成分となるノルボルネン系単量体は、ノルボルネン環を有する脂環族系単量体のことである。
(1)ノルボルネン環を有する脂環族系単量体
本発明で用いるノルボルネン環を有する脂環族系単量体は、特開平5−320268や特開平2−36224などに記載されているノルボルネン環を有する脂環族系単量体であり、代表例として(a)ノルボルネン、テトラシクロドデセン、これらのアルキル置換体などの如き、重合反応に関与する炭素−炭素不飽和結合以外の不飽和結合を持たない単量体、(b)エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、エチリデテトラシクロドデセン、ジシクロペンタジエンなどの如き、重合反応に関与する炭素−炭素不飽和結合以外の不飽和結合を持つ単量体、(c)ジメタノテトラヒドロフルオレン、フェニルノルボルネンなどの如き、芳香環を持つ単量体、(d)メトキシカルボニルノルボルネン、メトキシカルボニルテトラシクロドデセンなどの如き、極性基を有する単量体などが挙げられる。これらのノルボルネン環を有する脂環族系単量体は、それぞれ独立で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
その他共重合可能な単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素数2〜12からなるα−オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレンなどのスチレン類;1、3−ブタジエン、イソプレンなどの鎖状共役ジエン;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類や一酸化炭素を挙げることができるが、共重合が可能であるならば、特にこれらに限定されるものではない。
本発明のノルボルネン系重合体の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)で表すと、1,000〜500,000、好ましくは3,000〜300,000、より好ましくは5,000〜250,000、最も好ましくは10,000〜200,000の範囲である。数平均分子量が過度に小さいと、機械強度が低下し、逆に数平均分子量が過度に大きいと該重合体の粘度が大きすぎて充填剤が均一分散せずに十分な効果が得られない。よって数平均分子量が上記範囲にあると、機械強度と、粘度及び充填剤の均一分散性が適度にバランスされて特に好ましい。
重合体全繰返し単位中の上記ノルボルネン系単量体由来の結合単位の含有量は通常60モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上である。該重合体のガラス転移温度はDSC測定にて180〜350℃、好ましくは190〜300℃、より好ましくは200〜250℃である。重合体のガラス転移温度が上記範囲にあると、特に電子部品などの実装温度や信頼性試験温度などの高温領域での機械強度の低下や線膨張係数の増加が小さく、粘度特性にも優れるために充填剤配合の効果が向上する。
また、重合体が炭素原子数4個以上有するような長鎖のアルキル基を有していると、該重合体の有機溶媒に溶解させた時等の粘度が低下して、充填剤の分散性が向上し、さらには重合体の可トウ性が向上して充填剤との界面の密着性が向上する。
(2)変性重合体
本発明で用いるノルボルネン系重合体は、充填剤との界面密着性向上を目的として、極性基を導入したものであっても良い。
極性基の導入は、該重合体を変性する方法と極性基を有する単量体を共重合する方法の何れであっても良く、具体的には、例えば(1)極性基含有不飽和化合物をグラフト変性によって付加する方法、(2)該重合体中に炭素−炭素不飽和結合が存在する場合には、該不飽和結合に直接極性基を付加する方法、(3)該重合体の重合の際に、予め極性基を持った単量体を共重合する場合などが挙げられる。極性基は、有機、無機充填剤との界面密着性が向上するような極性基であれば特に制限はされず、その具体例としてエポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エステル基、シラノール基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アシル基、スルホン基などが挙げられる。中でも特に充填剤との界面密着性に優れるの理由から、エポキシ基、ヒドロキシル基、シラノール基、アミノ基、カルボキシル基などが好ましい。
(3)硬化剤
本発明のノルボルネン系樹脂組成物は、さらに耐熱性を向上させ、線膨張係数を低減させる目的で、硬化剤を用いて硬化させてもよい。本発明において使用する硬化剤は特に限定はされないが、(1)有機過酸化物、(2)熱により効果を発揮する硬化剤、(3)光により効果を発揮する硬化剤、などが用いられる。
(1)有機過酸化物有機過酸化物としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシドなどのケトンパーオキシド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール類;t−ブチルハイドロパーオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキシドなどのハイドロパーオキシド類;ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3,α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルパーオキシド類:オクタノイルパーオキシド、イソブチリルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド類;パーオキシジカーボネートなどのパーオキシエステル類;が挙げられる。これらの中でも、硬化後の樹脂の性能から、ジアルキルパーオキシドが好ましく、アルキル基の種類は、成形温度によって変えるのことができる。
(2)熱により効果を発揮する硬化剤
熱により効果を発揮する硬化剤は、加熱によって架橋反応させうる硬化剤であれば特に限定されないが、ジアミン、トリアミンまたはそれ以上の脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミンビスアジド、酸無水物、ジカルボン酸、多価フェノール、ポリアミドなどが挙げられる。具体的な例としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、などの脂肪族ポリアミン;ジアミノシクロヘキサン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン;1,3−(ジアミノメチル)シクロヘキサン、メンセンジアミン、イソホロンジアミンN−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環族ポリアミン;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、メタフェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン類;4,4−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)−4−メチル−シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルスルホン、4,4’−ジアジドジフェニルメタン、2,2’−ジアジドスチルベンなどのビスアジド;無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ナジック酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性環状オレフィン樹脂等の酸無水物類;フマル酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ハイミック酸等のジカルボン酸類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等の多価フェノール類;トリシクロデカンジオール、ジフェニルシランジオール、エチレングリコール及びその誘導体、ジエチレングリコール及びその誘導体、トリエチレングリコール及びその誘導体などの多価アルコール類;ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロン−612、ナイロン−12、ナイロン−46、メトキシメチル化ポリアミド、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド等のポリアミド類;等が挙げられる。これらは、1種でも2種以上の混合物として使用しても良い。これらの中でも、硬化物の耐熱性、機械強度、密着性、誘電特性(低誘電率、低誘電正接)に優れるなどの理由により、芳香族ポリアミン類、酸無水物類、多価フェノール類、多価アルコール類が好ましく、中でも4,4−ジアミノジフェニルメタン(芳香族ポリアミン類)、無水マレイン酸変性環状オレフィン樹脂(酸無水物)、多価フェノール類などが特に好ましい。また、必要に応じて硬化促進剤を配合して、架橋反応の効率を高めることも可能である。前記硬化剤の配合量は、特に制限はないものの、架橋反応を効率良く行わしめ、且つ、得られる硬化物の物性改善を計ること及び経済性の面などから、該重合体100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の範囲で使用される。硬化剤の量が少なすぎると架橋が起こりにくく、十分な耐熱性、耐溶剤を得ることができず、また多すぎると架橋した樹脂の吸水性、誘電特性などの特性が低下するため好ましくない。よって配合量が上記範囲にある時に、これらの特性が高度にバランスされて好適である。
また、硬化促進剤としては、ピリジン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、イミダゾール類等のアミン類などが挙げられ、硬化速度の調整を行ったり、架橋反応の効率をさらに良くする目的で添加される。硬化促進剤の配合量は、特に制限はないものの、前述の重合体100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の範囲で使用され、配合量がこの範囲にあるときに、架橋密度と、誘電特性、吸水率などが高度にバランスされて好適である。また、なかでもイミダゾール類が誘電特性に優れて好適である。
(3)光により効果を発揮する硬化剤
光により効果を発揮する硬化剤は、g線、h線、i線等の紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の活性光線の照射により、該重合体と反応し、架橋化合物を生成する光反応性物質であれば特に限定されるものではないが、例えば芳香族ビスアジド化合物、光アミン発生剤、光酸発生剤等が挙げられる。
芳香族ビスアジド化合物の具体例としては、4,4’−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルスルフォン、4,4’−ジアジドベンゾフェノン、4,4’−ジアジドジフェニル、2,7−ジアジドフルオレン、4,4’−ジアジドフェニルメタン等が代表例として挙げられる。これらは、1種類でも2種類以上組み合わせても使用できる。
光アミン発生剤の具体例としては、芳香族アミンあるいは脂肪族アミンのo−ニトロベンジロキシカルボニルカーバメート、2,6−ジニトロベンジロキシカルボニルカーバメートあるいはα,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジロキシカルボニルカーバメート体等が挙げられ、具体的には、アニリン、シクロヘキシルアミン、ピペリジン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラアミン、1,3−(ジアミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミンなどのo−ニトロベンジロキシカルボニルカーバメート体が挙げられる。これらは、1種類でも2種類以上組み合わせても使用できる。
光酸発生剤とは、活性光線の照射によって、ブレンステッド酸あるいはルイス酸を生成する物質であって、例えばオニウム塩、ハロゲン化有機化合物、キノンジアジド化合物、α,α−ビス(スルホニル)ジアゾメタン系化合物、α−カルボニル−α−スルホニル−ジアゾメタン系化合物、スルホン化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミド化合物等が挙げられる。これらの活性光線の照射により解裂して酸を生成可能な化合物は、単独でも2種類以上混合して用いても良い。
これらの光反応性化合物の添加量は、特に制限はないものの、該重合体との反応を効率良く行わしめ、且つ得られる架橋樹脂の物性を損なわないこと及び経済性などの面から、該重合体100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の範囲で使用される。光反応性物質の添加量が少なすぎると架橋が起こりにくく、十分な耐熱性、耐溶剤性を得ることができず、また多すぎると架橋した樹脂の吸水性、誘電特性などの特性が低下するため好ましくない。よって配合量が上記範囲にある時に、これらの特性が高度にバランスされて好適である。
(充填剤)本発明における充填剤は、特に機械強度(強靭性)の向上と線膨張係数の低減を目的とし、配合する充填剤は、本目的の範囲においては無機または有機充填剤のいずれでも構わない。
(1)無機充填剤
無機充填剤としては、特に限定はないが、例えば、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質ないし微粉化カルシウム、特殊カルシウム系充填剤)、クレー(ケイ酸アルミニウム;霞石閃長石微粉末、焼成クレー、シラン改質クレー)タルク、シリカ、アルミナ、ケイ藻土、ケイ砂、軽石粉、軽石バルーン、スレート粉、雲母粉、アスベスト(石綿)、アルミナコロイド(アルミナゾル)、アルミナ・ホワイト、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、リトポン、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、グラファイト(黒鉛)、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、発泡ガラスビーズ、フライアッシュ球、火山ガラス中空体、合成無機中空体、単結晶チタン酸カリ、カーボン繊維、炭素中空球、無煙炭粉末、人造氷晶石(クリオライト)、酸化チタン、酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドワマイト、チタン酸カリウム、、亜硫酸カルシウム、マイカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維などが挙げられる。
これらの無機充填剤の中でも、耐熱性、低吸水率、誘電特性、低不純物性、放熱性等に優れる理由から、特にシリカ、アルミナなどが好ましい。
(2)有機充填剤
有機充填剤としては、例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、フッ素繊維、エボナイト粉末、熱硬化性樹脂中空球、エポキシ樹脂フィラー、シリコン系フィラー、サラン中空球、セラック、木粉、コルク粉末、ポリビニルアルコール繊維、セルロースパウダ、木材パルプ、などが挙げられる。これらの中でも、特に、耐熱性(熱分解温度が高い)、機械特性、などに優れる理由からエポキシ樹脂フィラー、シリコン系フィラー、熱硬化樹脂中空球、フッ素繊維などが好ましい。
これらの充填剤は、樹脂と充填剤間の濡れ性向上及び接着性の向上を目的として、エポキシシラン、アミノシラン、チタネート、アルミキレート、ジルコアルミネート等のシランカップリング剤、またはシリコンオイル等で表面処理を行っても構わない。
これらの充填剤は、2種以上を組み合わせて使用しても構わない。これらの充填剤の配合量は、組成物全体を100重量%として、電子部品封止材料として使用する場合には通常50〜99重量%、好ましくは80〜97重量%、最も好ましくは85〜95%であり、絶縁材料として使用する場合には通常1〜50重量%、好ましくは5〜30%である。配合量が少ない場合は十分な硬化が発現せず、多すぎる場合は分散性が悪くなって逆効果が生じる場合があるために、充填剤の配合量が上記範囲にあると、耐熱性、機械強度の向上効果と、分散性が高度にバランスされて好適である。配合方法は通常の攪拌羽根による攪拌以外にホモジナイザー、ボールミル、3本ロールミル、1軸または2軸押出し機等により、専断応力をかけながら配合すると、分散性がより向上して好ましい。
〔添加剤〕本発明の樹脂組成物は、以下に記載するような添加剤が配合されていても良い。
(1)難燃剤
難燃剤は必須成分ではないが、特に電子部品用に使用するには添加するのが好ましい。難燃剤としては、特に制約はないが、硬化剤によって分解、変性、変質しないものが好ましく、通常ハロゲン系難燃剤が用いられる。ハロゲン系難燃剤としては、塩素系及び臭素系の種々の難燃剤が使用可能であるが、難燃化効果、成形時の耐熱性、樹脂への分散性、樹脂の物性への影響等の面から、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモエチルベンゼン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモジフェニル、ヘキサブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、デカブロモジフェニルオキサイド、ペンタブロモシクロヘキサン、テトラブロモビスフェノールA、及びその誘導体[例えば、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)等]、テトラブロモビスフェノールS、及びその誘導体[例えば、テトラブロモビスフェノールS−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等]、テトラブロモ無水フタル酸、及びその誘導体[例えば、テトラブロモフタルイミド、エチレンビステトラブロモフタルイミド等]、エチレンビス(5,6−ジブロモノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)、トリス−(2,3−ジブロモプロピル−1)−イソシアヌレート、ヘキサクロロシクロペンタジエンのディールス・アルダー反応の付加物、トリブロモフェニルグリシジルエーテル、トリブロモフェニルアクリレート、エチレンビストリブロモフェニルエーテル、エチレンビスペンタブロモフェニルエーテル、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキサイド、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリカーボネート、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、オクタブロモナフタレン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェニル)フマルアミド、N−メチルヘキサブロモジフェニルアミン等を使用するのが好ましい。
リン系難燃剤としては、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、2,3−ジブロモプロピル−2,3−クロロプロピルホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの含ハロゲン系リン酸エステル難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェートなどの脂肪族リン酸エステル;トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、トリクレジルフホスフェート、トリキシレニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリ(イソプロピルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルフェニルホスフェート、トリ(トリメチルフェニル)ホスフェート、トリ(t―ブチルフェニル)ホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェートなどの芳香族リン酸エステルなどのノンハロゲン系リン酸エステル難燃剤が挙げられる。
難燃剤の添加量は、ノルボルネン系重合体100重量部に対して、通常3〜150重量部、好ましくは10〜140重量部、特に好ましくは15〜120重量部である。難燃剤の難燃化効果をより有効に発揮させるための難燃助剤として、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、三塩化アンチモン等のアンチモン系難燃助剤を用いることができる。これらの難燃助剤は、難燃剤100重量部に対して、通常1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部の割合で使用する。
(2)その他のポリマー成分
また、本発明においては、樹脂組成物に柔軟性等を付与する目的で、必要に応じてゴム質重合体やその他の熱可塑性樹脂を配合することができる。ゴム質重合体は、常温(25℃)以下のガラス転移温度を持つ重合体であって、通常のゴム状重合体および熱可塑性エラストマーが含まれる。ゴム質重合体のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、使用目的に応じて適宜選択され、通常5〜200である。ゴム状重合体としては、例えば、エチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体;エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体ゴム;エチレン−メチルメタクリレート、エテレン−ブチルアクリレートなどのエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレン−酢酸ビニルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルなどのアクリル酸アルキルエステルの重合体;ポリブタジエン、ポリソブレン、スチレン−ブタジエンまたはスチレン−イソプレンのランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル−スチレン共重合体などのジエン系ゴム;ブチレン−イソプレン共重合体などが挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体などの芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体、低結晶性ポリブタジエン樹脂、エチレン−プロピレンエラストマー、スチレングラフトエチレン−プロピレンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、エチレン系アイオノマー樹脂などを挙げることができる。これらの熱可塑性エラストマーのうち、好ましくは、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体などであり、具体的には、特開平2−133406号公報、特開平2−305814号公報、特開平3−72512号公報、特開平3−74409号公報などに記載されているものを挙げることができる。その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテートなどが挙げられる。これらのその他のポリマー成分は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、絶縁材料の特性を損なわせないためには30重量部以下であるのが好ましい。
(3)その他の配合剤
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、耐熱安定剤、耐候安定剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックスなどのその他の配合剤を適量添加することができる。具体的には、例えば、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2′−オキザミドビス[エチル−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール系酸化防止剤;トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブリルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系安定剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステル;合成ハイドロタルサイト;アミン系の帯電防止剤;フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤など塗料用レベリング剤;シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等のカップリング剤;可塑剤;顔料や染料などの着色剤;などを挙げることができる。
(成形物)本発明のノルボルネン系樹脂組成物は、成形物として各種成形部品に利用することができる。成形物の形態としては、(1)熱可塑性樹脂の状態で射出成形、プレス形成、圧縮成形法などによって成形物に加工しても良いし、(2)有機溶媒に溶解させた溶液を、溶媒を除去しながらポッティング法、中型成形法などによって成形物にし、硬化させても良い。さらには、(3)トランスファー成形などにより熱硬化型の成形物としてもよい。
(1)熱可塑性樹脂としての成形物
熱可塑性樹脂として成形した成形物の場合には、コネクター、リレー、コンデンサなどの電子部品;トランジスターやIC,LSIなど半導体素子の射出成形封止部品などの電子部品に、光学レンズ鏡筒、ポリゴンミラー、Fθミラーなどの部品として有効である。
(2)溶液として使用する場合
有機溶媒に溶解させた状態で使用する場合は、半導体素子などのポッティング、中型用封止材料などの用途に有効である。
(3)トランスファー成形して使用する場合
トランスファー成形材料として使用する場合には、半導体素子のパッケージ(封止)材料などとして有効である。
(フィルム)本発明のノルボルネン系樹脂組成物は、フィルムや膜の形態として使用することができる。フィルムとして使用する場合は、該ノルボルネン系樹脂を有機溶媒に溶解させた状態のものを、予めキャスト法などによりフィルムに形成して使用する場合、溶液をコートした後に溶媒を除去してオーバーコート膜として使用する場合などがある。具体的には、例えば積層板の絶縁シート、層間絶縁膜、半導体素子の液状封止材料、オーバーコート材料などとして有効である。
以下に、実施例、及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
(1)ガラス移転温度は、示差走査熱量法(DSC法)により測定した。
(2)分子量は、特に断りのない限り、トルエンを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定した。
(3)共重合比率は、H−NMRにより測定した。
(4)エポキシ基含有率は、H−NMRにより測定した。
(5)カルボキシ基含有率は、H−NMRにより測定した。
(6)ヒドロキシル基含有率は、H−NMRにより測定した。
(7)プレッシャークッカー試験PCT(160℃×20時間、4気圧)にかけ、高温下での強度特性を評価した。(強度低下により、変形、クラック等の発生したものを不良として不良率を測定した。)
(8)温度サイクル試験(TCT)は−55℃(30min)〜室温(5min)〜160℃(30min)〜室温(5min)の温度サイクルを500回繰り返すことで温度衝撃を加え、クラック発生の有無を調べた。(線膨張係数の増大により、変形、クラック等の発生したものを不良として不良率を測定した。)
[製造例1](エポキシ変性ノルボルネン系共重合体の製造)
[重合]US特許5,468,819号に記載されている公知の方法によって2−ノルボルネン(NB)と5−デシル−2−ノルボルネン(DNB)の付加共重合体(ポリスチレン換算で数平均分子量(Mn)=69,200、重量平均分子量(Mw)=132,100、モノマー組成比NB/DNB=76/24(モル比)、Tg=260℃)を得た。
[エポキシ変性]得られたポリノルボルネン系樹脂28重量部、5,6−エポキシ1−ヘキセン10重量部及びジクミルパーオキシド2重量部をt−ブチルベンゼン130重量部に溶解し、140℃で6時間反応を行った。得られた反応生成物溶液を300重量部のメタノール中に注ぎ、反応生成物を凝固させた。凝固したエポキシ変性重合体を100℃で20時間真空乾燥し、エポキシ変性ポリノルボルネンを26重量部を得た。この樹脂の分子量はMn=72,600、Mw=198,400でTgは265℃であった。この樹脂のH−NMRにて測定したエポキシ基含有率は、ポリマーの繰り返し構造単位当たりで2.4%であった。エポキシ変性ポリノルボルネン系樹脂15重量部と硬化剤として4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン0.6重量部をキシレン45重量部に溶解させたところ、沈殿を生じることなく均一な溶液となった。
[製造例2](エポキシ変性ノルボルネン/エチレン共重合体の製造)
[重合]特開平7−292020号公報に記載されている公知の方法によって、NBとエチレンの付加共重合体(NB組成63モル%、Mn=66,200、Mw=142,400、Tg=184℃)を得た。
[エポキシ変性]得られたノルボルネン/エチレン共重合体30重量部、5,6−エポキシ−1−ヘキセン10重量部及びジクミルパーオキシド2重量部をt−ブチルベンゼン130重量部に溶解し、140℃で6時間反応を行った。得られた反応生成物溶液を300重量部のメタノール中に注ぎ、反応生成物を凝固させた。凝固したエポキシ変性重合体を100℃で20時間真空乾燥し、エポキシ変性ポリマーを29重量部を得た。この樹脂分子量は、Mn=82,400、Mw=192,300でTgは185℃であった。この樹脂のH−NMRにて測定したエポキシ基含有率は、ポリマーの繰り返し構造単位当たりで2.4%であった。エポキシ変性ポリマー15重量部と硬化剤として4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン0.6重量部をキシレン45重量部に溶解させたところ、沈殿を生じることなく均一な溶液となった。
[製造例3](エポキシ変性ノルボルネン系共重合体の製造)
[重合]5−デシル−2−ノルボルネン26重量部の代わりに5−へキシル−2−ノルボルネン(HNB)18重量部、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)3重量部を加えた以外は、製造例1と同様にして重合を行った。21重量部のポリマー(ポリスチレン換算で数平均分子量(Mn)=71,100、重量平均分子量(Mw)=107,000、共重合組成比はNB/HNB/ENB=74/23/3(モル比)、Tg=323℃)を得た。
[エポキシ変性]得られたノルボルネン系ポリマー30重量部を120重量部のトルエンに加え、120℃に加熱して溶解し、t−ブチルヒドロパーオキシド1.2重量部とヘキサカルボニルモリブデン0.09重量部を加えて2時間還流した。これを100重量部の冷メタノール中に注ぎ、反応生成物を凝固させた。凝固したエポキシ変性重合体を80℃で20時間真空乾燥し、エポキシ変性ノルボルネン系ポリマーを30重量部得た。このポリマーのMn=85,200、Mw=154,600、Tg=328℃で、H−NMRにて測定した不飽和結合へのエポキシ変性率は、100%であり、ポリマーの繰り返し構造単位当たりのエポキシ基含有率は3.0%であった。エポキシ変性ポリマー15重量部と硬化剤として4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン0.6重量部をキシレン45重量部に溶解させたところ、沈殿を生じることなく均一な溶液となった。
[製造例4](マレイン酸変性)
[マレイン酸変性]製造例1で得られたノルボルネン系ポリマー30重量部を150重量部のトルエンに加え、120℃に加熱して溶解し、無水マレイン酸のトルエン溶液(3重量部/100重量部)及びジクミルパーオキシドのトルエン溶液(0.3重量部/45重量部)を徐々に添加して、4時間反応した。これを600重量部の冷メタノール中に注ぎ、反応生成物を凝固させた。凝固した変性重合体を80℃で20時間真空乾燥し、マレイン酸変性ノルボルネン系ポリマーを30重量部を得た。このポリマーのMn=73、100、Mw=162,400、Tg=266℃で、H−NMRにて測定したポリマーの繰り返し構造単位当たりのマレイン酸含有率は2.5%であった。15重量部の得られたポリマーと架橋助剤として9重量部のトリアリルシアヌレート、パーオキサイドとして1.2重量部の2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3をキシレン45重量部に溶解させたところ、沈殿を生じることなく均一な溶液となった。
[製造例5](ヒドロキシ変性NB/HNB/ENB共重合体)
[ヒドロキシ変性]製造例3で得られたノルボルネン系ポリマー30重量部を300重量部のトルエンに加え、120℃に加熱して溶解し、90重量%ギ酸50重量部と30重量%過酸化水素水7.5重量部を徐々に滴下して2時間還流した。次いで、水酸化ナトリウム溶解メタノールで中和処理した後、700重量部のアセトン中に注ぎ、反応生成物を凝固させた。凝固した変性重合体を80℃で20時間真空乾燥し、ヒドロキシ変性ノルボルネン系ポリマーを30重量部を得た。このポリマーのMn=82,100、Mw=133,400、Tg=328℃で、H−NMRにて測定した不飽和結合のヒドロキシ変性率は100%であり、ポリマーの繰り返し構造単位当たりのヒドロキシ基含有率は3.0%であった。15重量部の得られたポリマーと9重量部のトリアリルイソシアヌレート、1.2重量部の2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3をキシレン45重量部に溶解させたところ、沈殿を生じることなく均一な溶液となった。
[実施例1]
[半導体チップの封止]製造例1で得られた均一な溶液を孔径0.22μmのテフロン製精密フィルターでろ過して硬化性重合体組成物を得た。この溶液に平均粒径0.8〜1.2ミクロンの真球状微粒子シリカ(信越石英株式会社製:SO−E3)及び平均粒径2.0〜7.0ミクロンのアルミナ(信越石英株式会社製:AO−800)を各々樹脂組成物に対して30部及び150部配合した。得られた充填剤配合樹脂組成物溶液を、ワイヤーボンディングによってガラスエポキシ基板上にベアチップ実装された半導体チップを全て覆うようにコートし、90℃、2分間加熱して溶媒を除去した。その後、200℃、1時間にて樹脂組成物を完全硬化させて、半導体パッケージを作製した。上記半導体パッケージを前述の評価項目として記載した方法によって、プレッシャー・クッカー試験及びヒートサイクル試験を実施した結果不良率は共に3%以下であった。
[実施例2]
製造例2で得られた均一な溶液を用いる以外は、実施例1と同様な方法で半導体チップを封止してパッケージを作製し、評価した結果、PCT試験での不良率は5%、ヒートサイクル試験での不良率は6%と良好であった。
[実施例3,4,5]
それぞれ製造例3、製造例4、製造例5で得られた均一な溶液を用いる以外は、実施例1と同様な方法で半導体チップを封止してパッケージを作製し、評価した結果、PCT試験及びヒートサイクル試験での不良率は3%以下と良好であった。
[製造例6]
[重合]製造例1と同様にして、2−ノルボルネン(NB)の付加重合体(ポリスチレン換算で数平均分子量(Mn)=82,300、重量平均分子量(Mw)=168,200、Tg=365℃)を得た。
[エポキシ変性]製造例1と同様にして、得られたポリノルボルネンのエポキシ変性重合体を得た。この樹脂の分子量はMn=84,600、Mw=188,100でTgは366℃であった。この樹脂のH−NMRにて測定したエポキシ基含有率は、ポリマーの繰り返し構造単位当たりで2.1%であった。エポキシ変性ポリ環状オレフィン系樹脂15重量部と硬化剤として4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン0.6重量部をキシレン45重量部に溶解させたところ、沈殿を生じることなく均一な溶液となった。
[実施例6]
製造例6で得られた均一な溶液を用いる以外は、実施例1と同様な方法で半導体チップを封止してパッケージを作製し、評価した結果、PCT試験及びヒートサイクル試験での不良率は7%と良好であった。
[製造例7]
[重合]特開平4−363312号公報記載の公知の方法によってテトラシクロドデセンと8−メチルテトラシクロドデセンの開環重合及び水素添加を行い、(ポリスチレン換算で数平均分子量(Mn)=31,200、重量平均分子量(Mw)=55,800、Tg=158℃)の重合体を得た。得られたポリマーのH−NMRによる水素添加率は99%以上であった。
[エポキシ変性]得られた重合体を28重量部、5,6−エポキシー1−ヘキセン10重量部及びジクミルパーオキシド2重量部をt−ブチルベンゼン130重量部に溶解し、140℃で6時間反応を行った。得られた反応生成物溶液を300重量部のメタノール中に注ぎ、反応生成物を凝固させた。凝固したエポキシ変性重合体を100℃で20時間真空乾燥し、エポキシ変性ポリノルボルネンを28重量部得た。この樹脂の分子量はMn=38,600、Mw=85,100でTgは165℃であった。この樹脂のH−NMRにて測定したエポキシ基含有率は、ポリマーの繰り返し構造単位当たりで2.0%であった。エポキシ変性ポリノルボルネン系樹脂15重量部と硬化剤4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン0.6重量部をキシレン45重量部に溶解させたところ、沈殿を生じることなく均一な溶液となった。
[比較例1]
製造例7で得られた均一な溶液を用いる以外は、実施例1と同様な方法で半導体チップを封止してパッケージを作製し評価した結果、組成物の高温下での機械強度が低下し、線膨張係数が増大したために、PCT試験での不良率は12%、ヒートサイクル試験での不良率は15%となった。
[製造例8](エポキシ変性ノルボルネン/エチレン共重合体の製造)
[重合]特開平3−45612号公報に記載されている公知の方法によって、2−ノルボルネンとエチレンの付加共重合体(NB組成50モル%、Mn=66,200、Mw=142,400、Tg=163℃)を得た。
[エポキシ変性]得られたノルボルネン/エチレン共重合体30重量部、5,6−エポキシ−1−ヘキセン10重量部及びジクミルパーオキシド2重量部をt−ブチルベンゼン130重量部に溶解し、140℃で6時間反応を行った。得られた反応生成物溶液を300重量部のメタノール中に注ぎ、反応生成物を凝固させた。凝固したエポキシ変性重合体を100℃で20時間真空乾燥し、エポキシ変性ポリマーを29重量部を得た。この樹脂分子量は、Mn=82,400、Mw=192,300でTgは164℃であった。この樹脂のH−NMRにて測定したエポキシ基含有率は、ポリマーの繰り返し構造単位当たりで2.4%であった。エポキシ変性ポリマー15重量部と硬化剤として4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン0.6重量部をキシレン45重量部に溶解させたところ、沈殿を生じることなく均一な溶液となった。
[比較例2]
製造例8で得られた均一な溶液を用いる以外は、実施例1と同様な方法で半導体チップを封止してパッケージを作製し評価した結果、組成物の高温下での機械強度が低下し、線膨張係数が増大したために、PCT試験での不良率は14%、ヒートサイクル試験での不良率は18%となった。
[比較例3]
製造例1で得られた均一な溶液に、実施例1で配合した充填剤(シリカ及びアルミナ)を添加せずに半導体パッケージを作製して実施例1同様の評価を行った結果、PCT試験での不良率は25%、ヒートサイクル試験での不良率は30%であった。
以上、実施例、比較例の結果より、特にノルボルネン系単量体を重合体全繰り返し単位中50モル%以上含むガラス転移温度が180℃以上のノルボルネン系付加重合体と充填剤からなる組成物は、耐熱性、強度特性に優れ、線膨張係数が小さいために特に高温下での特性が優れていることが確認できた。

Claims (2)

  1. ノルボルネン系単量体繰り返し単位を、重合体全繰り返し単位中60モル%以上含有する、DSC測定によるガラス転移温度が180℃以上のノルボルネン系重合体90〜1重量%と充填剤10〜99重量%とからなるノルボルネン系樹脂組成物。
  2. 請求項1記載のノルボルネン系樹脂組成物を用いた成形物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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