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JP2006302757A - 電池 - Google Patents

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JP2006302757A
JP2006302757A JP2005125229A JP2005125229A JP2006302757A JP 2006302757 A JP2006302757 A JP 2006302757A JP 2005125229 A JP2005125229 A JP 2005125229A JP 2005125229 A JP2005125229 A JP 2005125229A JP 2006302757 A JP2006302757 A JP 2006302757A
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JP
Japan
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negative electrode
sulfite
positive electrode
battery
lithium
Prior art date
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Pending
Application number
JP2005125229A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Akashi
寛之 明石
Tomitaro Hara
富太郎 原
Kenichi Ogawa
健一 小川
Yoshiaki Obana
良哲 尾花
Yosuke Hosoya
洋介 細谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

【課題】 充電電圧を4.2Vより高くしても、サイクル特性を向上させることができる電池を提供する。
【解決手段】 正極21と負極22とがセパレータ23を介して巻回された巻回電極体20を備える。完全充電時の開回路電圧は、4.25V以上6.00V以下の範囲内である。セパレータ23には溶媒に電解質塩が溶解された電解液が含浸されている。溶媒は、エチレンサルファイトなどのサルファイト構造を有する化合物を含んでいる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、特定構造を有する化合物を含有する電解質を用いた電池に関する。
近年の携帯電子技術のめざましい発達により、携帯電話やノートブックコンピューターなどの電子機器は高度情報化社会を支える基盤技術と認知され始めた。また、これらの電子機器の高機能化に関する研究開発が精力的に進められており、これらの電子機器の消費電力も比例して増加の一途を辿っている。その反面、これらの電子機器は長時間の駆動が求められており、駆動電源である二次電池の高エネルギー密度化が必然的に望まれてきた。
電子機器に内蔵される電池の占有体積や質量などの観点より、電池のエネルギー密度は高いほど望ましい。現在では、リチウムイオン二次電池が優れたエネルギー密度を有することから、殆どの機器に内蔵されるに至っている。
通常、リチウムイオン二次電池では、正極にはコバルト酸リチウム、負極には炭素材料が使用されており、作動電圧が4.2Vから2.5Vの範囲で用いられている。単電池において、端子電圧を4.2Vまで上げられるのは、非水電解質材料やセパレーターなどの優れた電気化学的安定性によるところが大きい。
ところで、従来の最大4.2Vで作動するリチウムイオン二次電池では、正極に用いられるコバルト酸リチウムなどの正極活物質は、その理論容量に対して6割程度の容量を活用しているに過ぎない。このため、更に充電圧を上げることにより、残存容量を活用することが原理的に可能である。実際に、充電時の電圧を4.25V以上にすることにより、高エネルギー密度化が発現することが知られている(特許文献1参照)。
国際公開第WO03/019713号パンフレット
しかしながら、充電電圧を4.2Vを超えて設定した電池では、特に正極表面近傍における酸化雰囲気が強まる結果、正極と物理的に接触する非水電解質やセパレーターが酸化分解されることで電池内部抵抗の増大化が誘発され、サイクル特性などが低下するという問題があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、充電電圧を4.2Vより高くしても、サイクル特性を向上させることができる電池を提供することにある。
本発明による電池は、正極および負極と共に、溶媒を含む電解質を備えたものであって、一対の正極および負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内であり、溶媒は、化1に示したサルファイト構造を有する化合物を含むものである。
Figure 2006302757
本発明の電池によれば、一対の正極および負極当たりの完全充電時における開回路電圧を4.25V以上6.00V以下の範囲内としたので、高いエネルギー密度を得ることができる。また、溶媒に化1に示したサルファイト構造を有する化合物を含むようにしたので、正極表面に被膜を形成することができ、正極表面の電気化学的安定性を向上させることができる。よって、エネルギー密度を高くすることができると共に、サイクル特性を向上させることができる。
特に、化1に示したサルファイト構造を有する化合物の含有量を、溶媒に対して0.01質量%以上20質量%以下の範囲内とするようにすれば、サイクル特性をより向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態に係る二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池は、電極反応物質として(Li)を用い、負極の容量が、リチウムの吸蔵および放出による容量成分により表される、いわゆるリチウムイオン二次電池である。この二次電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、一対の帯状の正極21と帯状の負極22とがセパレータ23を介して巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12,13がそれぞれ配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20は、例えば、センターピン24を中心に巻回されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
図2は図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表すものである。正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極集電体21Aの片面のみに正極活物質層21Bを設けるようにしてもよい。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料の1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて黒鉛などの導電剤およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んで構成されている。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物,リチウムリン酸化物,リチウム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物が適当であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。エネルギー密度を高くするには、リチウムと遷移金属元素と酸素(O)とを含むリチウム含有化合物が好ましく、中でも、遷移金属元素として、コバルト(Co),ニッケル,マンガン(Mn)および鉄からなる群のうちの少なくとも1種を含むものであればより好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、化2,化3あるいは化4に示した層状岩塩型のリチウム複合酸化物、化5に示したスピネル型のリチウム複合酸化物、または化6に示したオリビン型のリチウム複合リン酸塩などが挙げられ、具体的には、LiNi0.50Co0.20Mn0.302 、Lia CoO2 (a≒1)、Lib NiO2 (b≒1)、Lic1Nic2Co1-c22 (c1≒1,0<c2<1)、Lid Mn2 4 (d≒1)あるいはLie FePO4 (e≒1)などがある。
Figure 2006302757
(式中、M1は、コバルト,マグネシウム(Mg),アルミニウム,ホウ素(B),チタン(Ti),バナジウム(V),クロム(Cr),鉄,銅(Cu),亜鉛(Zn),ジルコニウム(Zr),モリブデン(Mo),スズ(Sn),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。f,g,h,jおよびkは、0.8≦f≦1.2、0<g<0. 5、0≦h≦0. 5、g+h<1、−0. 1≦j≦0. 2、0≦k≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、fの値は完全放電状態における値を表している。)
Figure 2006302757
(式中、M2は、コバルト,マンガン,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,クロム,鉄,銅,亜鉛,モリブデン,スズ,カルシウム,ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。m,n,pおよびqは、0.8≦m≦1.2、0. 005≦n≦0. 5、−0. 1≦p≦0. 2、0≦q≦0. 1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、mの値は完全放電状態における値を表している。)
Figure 2006302757
(式中、M3は、ニッケル,マンガン,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,クロム,鉄,銅,亜鉛,モリブデン,スズ,カルシウム,ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。r,s,tおよびuは、0.8≦r≦1.2、0≦s<0.5、−0.1≦t≦0.2、0≦u≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、rの値は完全放電状態における値を表している。)
Figure 2006302757
(式中、M4は、コバルト,ニッケル,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,クロム,鉄,銅,亜鉛,モリブデン,スズ,カルシウム,ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。v,w,xおよびyは、0.9≦v≦1.1、0≦w≦0.6、3.7≦x≦4.1、0≦y≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している)
Figure 2006302757
(式中、M5は、コバルト,マンガン,鉄,ニッケル,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,ニオブ,銅,亜鉛,モリブデン,カルシウム,ストロンチウム,タングステンおよびジルコニウムからなる群のうちの少なくとも1種を表す。zは、0.9≦z≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、zの値は完全放電状態における値を表している)
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、これらの他にも、MnO2 ,V2 5 ,V6 13,NiS,MoSなどのリチウムを含まない無機化合物も挙げられる。
負極22は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、負極集電体22Aの片面のみに負極活物質層22Bを設けるようにしてもよい。負極集電体22Aは、例えば、良好な電気化学的安定性、電気伝導性および機械的強度を有する銅箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。特に、銅箔は高い電気伝導性を有するので最も好ましい。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、必要に応じて正極活物質層21Bと同様の結着剤を含んで構成されている。
なお、この二次電池では、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の電気化学当量が、正極21の電気化学当量よりも大きくなっており、充電の途中において負極22にリチウム金属が析出しないようになっている。
また、この二次電池は、完全充電時における開回路電圧(すなわち電池電圧)が4.25V以上6.00V以下の範囲内になるように設計されている。よって、完全充電時における開回路電圧が4.20Vの電池よりも、同じ正極活物質であっても、単位質量当たりのリチウムの放出量が多くなるので、それに応じて正極活物質と負極活物質との量が調整されている。これにより高いエネルギー密度が得られるようになっている。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素,易黒鉛化性炭素,黒鉛,熱分解炭素類,コークス類,ガラス状炭素類,有機高分子化合物焼成体,炭素繊維あるいは活性炭などの炭素材料が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス,ニードルコークスあるいは石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れたサイクル特性が得られるので好ましい。更にまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができるので好ましい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、また、リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料も挙げられる。このような材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、マグネシウム,ホウ素,アルミニウム,ガリウム(Ga),インジウム(In),ケイ素(Si),ゲルマニウム(Ge),スズ,鉛(Pb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),銀(Ag),亜鉛,ハフニウム(Hf),ジルコニウム,イットリウム(Y),パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
中でも、この負極材料としては、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素およびスズの少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン,ゲルマニウム,ビスマス,アンチモン(Sb)およびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン,ゲルマニウム,ビスマス,アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物あるいはケイ素の化合物としては、例えば、酸素あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、更に、他の金属化合物あるいは高分子材料が挙げられる。他の金属化合物としては、MnO2 ,V2 5 ,V6 13)などの酸化物、NiS,MoSなどの硫化物、あるいはLiN3 などのリチウム窒化物が挙げられ、高分子材料としてはポリアセチレンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
セパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン,ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜はショート防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。特に、ポリエチレンは、100℃以上160℃以下の範囲内においてシャットダウン効果を得ることができ、かつ電気化学的安定性にも優れているので、セパレータ23を構成する材料として好ましい。また、ポリプロピレンも好ましく、他にも化学的安定性を備えた樹脂であればポリエチレンあるいはポリプロピレンと共重合させたり、またはブレンド化することで用いることができる。
このポリオレフィン製の多孔質膜は、例えば、溶融状態のポリオレフィン組成物に溶融状態で液状の低揮発性溶媒を混練し、均一なポリオレフィン組成物の高濃度溶液としたのち、これをダイスにより成型し、冷却してゲル状シートとし、延伸することにより得られる。
低揮発性溶媒としては、例えば、ノナン,デカン,デカリン,p−キシレン,ウンデカンあるいは流動パラフィンなどの低揮発性脂肪族または環式の炭化水素を用いることができる。ポリオレフィン組成物と低揮発性溶媒との配合割合は、両者の合計を100質量%として、ポリオレフィン組成物が10質量%以上80質量%以下、更には15質量%以上70質量%以下であることが好ましい。ポリオレフィン組成物が少なすぎると、成型時にダイス出口で膨潤あるいはネックインが大きくなり、シート成形が困難となるからである。一方、ポリオレフィン組成物が多すぎると、均一な溶液を調製することが難しいからである。
ポリオレフィン組成物の高濃度溶液をダイスにより成型する際には、シートダイスの場合、ギャップは例えば0.1mm以上5mm以下とすることが好ましい。また、押し出し温度は140℃以上250℃以下、押し出し速度は2cm/分以上30cm/分以下とすることが好ましい。
冷却は、少なくともゲル化温度以下まで行う。冷却方法としては、冷風,冷却水,その他の冷却媒体に直接接触させる方法、または冷媒で冷却したロールに接触させる方法などを用いることができる。なお、ダイスから押し出したポリオレフィン組成物の高濃度溶液は、冷却前あるいは冷却中に1以上10以下、好ましくは1以上5以下の引取比で引き取ってもよい。引取比が大きすぎると、ネックインが大きくなり、また延伸する際に破断も起こしやすくなり、好ましくないからである。
ゲル状シートの延伸は、例えば、このゲル状シートを加熱し、テンター法、ロール法、圧延法あるいはこれらを組み合わせた方法により、二軸延伸で行うことが好ましい。その際、縦横同時延伸でも、逐次延伸のいずれでもよいが、特に、同時二次延伸が好ましい。延伸温度は、ポリオレフィン組成物の融点に10℃を加えた温度以下、更には結晶分散温度以上融点未満とすることが好ましい。延伸温度が高すぎると、樹脂の溶融により延伸による効果的な分子鎖配向ができず好ましくないからであり、延伸温度が低すぎると、樹脂の軟化が不十分となり、延伸の際に破膜しやすく、高倍率の延伸ができないからである。
なお、ゲル状シートを延伸したのち、延伸した膜を揮発溶剤で洗浄し、残留する低揮発性溶媒を除去することが好ましい。洗浄したのちは、延伸した膜を加熱あるいは送風により乾燥させ、洗浄溶媒を揮発させる。洗浄溶剤としては、例えば、ペンタン,ヘキサン,ヘブタンなどの炭化水素、塩化メチレン,四塩化炭素などの塩素系炭化水素、三フッ化エタンなどのフッ化炭素、またはジエチルエーテル,ジオキサンなどのエーテル類のように易揮発性のものを用いる。洗浄溶剤は用いた低揮発性溶媒に応じて選択され、単独あるいは混合して用いられる。洗浄は、揮発性溶剤に浸漬して抽出する方法、揮発性溶剤を振り掛ける方法、あるいはこれらを組み合わせた方法により行うことができる。この洗浄は、延伸した膜中の残留低揮発性溶媒がポリオレフィン組成物100質量部に対して1質量部未満となるまで行う。
セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。
溶媒としては、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの環状の炭酸エステルを用いることができ、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンのうちの一方、特に両方を混合して用いることが好ましい。サイクル特性を向上させることができるからである。
溶媒としては、また、これらの環状の炭酸エステルに加えて、炭酸ジエチル,炭酸ジメチル,炭酸エチルメチルあるいは炭酸メチルプロピルなどの鎖状の炭酸エステルを混合して用いることが好ましい。高いイオン伝導性を得ることができるからである。
溶媒としては、更にまた、2,4−ジフルオロアニソールあるいは炭酸ビニレンを含むこと好ましい。2,4−ジフルオロアニソールは放電容量を向上させることができ、また、炭酸ビニレンはサイクル特性を向上させることができるからである。よって、これらを混合して用いれば、放電容量およびサイクル特性を向上させることができるので好ましい。
これらの他にも、溶媒としては、炭酸ブチレン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシドあるいはリン酸トリメチルなどが挙げられる。
なお、これらの非水溶媒の少なくとも一部の水素をフッ素で置換した化合物は、組み合わせる電極の種類によっては、電極反応の可逆性を向上させることができる場合があるので、好ましい場合もある。
加えて、溶媒としては、化7に示したサルファイト構造を有する化合物(亜硫酸エステル系化合物)を含むことが好ましい。サルファイト構造を有する化合物を含むことにより、正極21の表面に被膜を形成することができ、正極21表面の電気化学的安定性を向上させることができるからである。
Figure 2006302757
化7に示したサルファイト構造を有する化合物としては、例えば、化8に示した環状のサルファイトあるいは化9に示した鎖状のサルファイトが挙げられる。
Figure 2006302757
(式中、R1は炭化水素基、または任意の1以上の原子よりなる分子構造を表す。)
Figure 2006302757
(式中、R2,R3は、炭化水素基、または任意の1以上の原子よりなる分子構造を表す。R2,R3は同一であっても、異なっていてもよい。)
環状のサルファイトとしては、例えば、化10に示したエチレンサルファイト、または、化11に示したエリスリタンサルファイト(II)などに代表される化12に示した環状の化合物が挙げられる。
Figure 2006302757
Figure 2006302757
Figure 2006302757
(式中、R4,R5は炭化水素基、または任意の1以上の原子よりなる分子構造を表し、XはO,N,P,またはP=Oを含む分子構造を表す。R4,R5は同一であっても、異なっていてもよい。)
鎖状のサルファイトとしては、例えば、ジメチルサルファイト(CH3 OSOOCH3 )、ジエチルサルファイト(C2 5 OSOOC2 5 )、ジプロピルサルファイト(C3 7 OSOOC3 7 )、ジブチルサルファイト(C4 9 OSOOC4 9 )、メチルエチルサルファイト(CH3 OSOOC2 5 )、メチルプロピルサルファイト(CH3 OSOOC3 7 )、メチルブチルサルファイト(CH3 OSOOC4 9 )、エチルプロピルサルファイト(C2 5 OSOOC3 7 )およびエチルブチルサルファイト(C2 5 OSOOC4 9 )が挙げられる。
これらサルファイト構造を有する化合物の含有量は、溶媒全体に対して0.01質量%以上20質量%以下の範囲内であることが好ましい。0.01質量%よりも少ないと、電解質の化学的安定性を十分に向上させることができず、20質量%を超えると、サルファイト構造を有する化合物の分解反応が電極特性に与える影響が大きくなり、電池特性の劣化を引き起してしまうからである。
電解質塩としては、例えばリチウム塩が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。リチウム塩としては、LiPF6 ,LiBF4 ,LiAsF6 ,LiClO4 ,LiB(C6 5 4 ,LiCH3 SO3 ,LiCF3 SO3 ,LiN(SO2 CF3 2 ,LiC(SO2 CF3 3 ,LiAlCl4 ,LiSiF6 ,LiCl, ジフルオロ[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウム,リチウムビスオキサレートボレート,あるいはLiBrなどが挙げられる。中でも、LiPF6 は高いイオン伝導性を得ることができると共に、サイクル特性を向上させることができるので好ましい。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、例えば、正極集電体21Aに正極活物質層21Bを形成し正極21を作製する。正極活物質層21Bは、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製したのち、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとし、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより形成する。
また、例えば、負極集電体22Aに負極活物質層22Bを形成し負極22を作製する。負極活物質層22Bは、例えば、気相法、液相法、焼成法、または塗布のいずれにより形成してもよく、それらの2以上を組み合わせてもよい。気相法、液相法または焼成法により形成する場合には、形成時に負極活物質層22Bと負極集電体22Aとが界面の少なくとも一部において合金化することがあるが、更に、真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行い、合金化するようにしてもよい。
なお、気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法を用いることができ、具体的には、真空蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,レーザーアブレーション法,熱CVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法あるいはプラズマCVD法等が利用可能である。液相法としては電解鍍金あるいは無電解鍍金等の公知の手法が利用可能である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼成法,反応焼成法あるいはホットプレス焼成法が利用可能である。塗布の場合には、正極21と同様にして形成することができる。
続いて、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。そののち、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12,13で挟み電池缶11の内部に収納する。正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14,安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1に示した二次電池が形成される。
この二次電池では、充電を行うと、正極活物質層21Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して、負極活物質層22Bに含まれるリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料に吸蔵される。次いで、放電を行うと、負極活物質層22B中のリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料に吸蔵されたリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極活物質層21Bに吸蔵される。ここでは、溶媒に化7に示したサルファイト構造を有する化合物を含んでいるので、正極21の表面に被膜が形成され、完全充電時における開回路電圧を高くしても、正極21の表面の電気化学的安定性が改善される。
このように本実施の形態では、一対の正極21および負極22当たりの完全充電時における開回路電圧を4.25V以上6.00V以下の範囲内としたので、高いエネルギー密度を得ることができる。また、溶媒に化7に示したサルファイト構造を有する化合物を含むようにしたので、正極21の表面に被膜を形成することができ、正極21の表面の電気化学的安定性を向上させることができる。よって、エネルギー密度を高くすることができると共に、サイクル特性を向上させることができる。
特に、化7に示したサルファイト構造を有する化合物の含有量を、溶媒に対して0.01質量%以上20質量%以下の範囲内とするようにすれば、サイクル特性をより向上させることができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る二次電池は、負極の容量が電極反応物質であるリチウムの析出および溶解による容量成分により表される、いわゆるリチウム金属二次電池である。
この二次電池は、負極活物質層22Bの構成が異なることを除き、他は第1の実施の形態に係る二次電池と同様の構成および効果を有している。したがって、図1および図2を参照し、対応する構成要素には同一の符号を付して同一の部分の説明は省略する。
負極活物質層22Bは、負極活物質であるリチウム金属により形成されており、高いエネルギー密度を得ることができるようになっている。この負極活物質層22Bは、組み立て時から既に有するように構成してもよいが、組み立て時には存在せず、充電時に析出したリチウム金属により構成するようにしてもよい。また、この負極活物質層22Bを集電体としても利用し、負極集電体22Aを削除するようにしてもよい。
この二次電池は、負極22を負極集電体22Aのみ、またはリチウム金属のみ、または負極集電体22Aにリチウム金属を貼り付けて負極活物質層22Bを形成したものとしたことを除き、他は第1の実施の形態に係る二次電池と同様にして製造することができる。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、電解液を介して、負極集電体22Aの表面にリチウム金属となって析出し、図2に示したように、負極活物質層22Bを形成する。放電を行うと、例えば、負極活物質層22Bからリチウム金属がリチウムイオンとなって溶出し、電解液を介して正極21に吸蔵される。ここでは、溶媒に化7に示したサルファイト構造を有する化合物を含んでいるので、正極21の表面に被膜が形成され、完全充電時における開回路電圧を高くしても、正極21の表面の電気化学的安定性が改善される。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る二次電池は、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出による容量成分と、リチウムの析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和により表されるものである。
この二次電池は、負極活物質層の構成が異なることを除き、他は第1あるいは第2の二次電池と同様の構成および効果を有しており、同様にして製造することができる。よって、ここでは、図1および図2を参照し、同一の符号を用いて説明する。なお、同一部分についての詳細な説明は省略する。
負極活物質層22Bは、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の充電容量を正極21の充電容量よりも小さくすることにより、充電の過程において、開回路電圧(すなわち電池電圧)が過充電電圧よりも低い時点で負極22にリチウム金属が析出し始めるようになっている。従って、この二次電池では、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料とリチウム金属との両方が負極活物質として機能し、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料はリチウム金属が析出する際の基材となっている。
また、この二次電池は、完全充電時における開回路電圧(すなわち電池電圧)を4.25V以上6.00V以下の範囲内とした場合に、同じ正極活物質であっても、完全充電時における開回路電圧が4.20Vの電池よりも、正極活物質における単位質量当たりのリチウムの放出量が多くなるので、この放出された負極22におけるリチウムの吸蔵量と析出量とが最適化されるように、正極活物質と負極活物質との量が調整されている。これにより高いエネルギー密度が得られるようになっている。
なお、本明細書において電極反応物質の吸蔵および放出とは、電極反応物質のイオンがそのイオン性を失うことなく電気化学的に吸蔵および放出されることを言う。これは、吸蔵された電極反応物質が完全なイオン状態で存在する場合のみならず、完全なイオン状態とは言えない状態で存在する場合も含む。これらに該当する場合としては、例えば、黒鉛に対する電極反応物質のイオンの電気化学的なインタカレーション反応による吸蔵が挙げられる。また、金属間化合物を含む合金への電極反応物質の吸蔵、あるいは合金の形成による電極反応物質の吸蔵も挙げることができる。
また、過充電電圧というのは、電池が過充電状態になった時の開回路電圧を指し、例えば、日本蓄電池工業会(電池工業会)の定めた指針の一つである「リチウム二次電池安全性評価基準ガイドライン」(SBA G1101)に記載され定義される「完全充電」された電池の開回路電圧よりも高い電圧を指す。また換言すれば、各電池の公称容量を求める際に用いた充電方法、標準充電方法、もしくは推奨充電方法を用いて充電した後の開回路電圧よりも高い電圧を指す。
これにより、この二次電池では、高いエネルギー密度を得ることができると共に、サイクル特性および急速充電特性を向上させることができるようになっている。この二次電池は、負極22にリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料を用いるという点では従来のリチウムイオン二次電池と同様であり、また、負極22にリチウム金属を析出させるという点では従来のリチウム金属二次電池と同様であるが、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料にリチウム金属を析出させるようにしたことにより、次のような利点が生じる。
第1に、従来のリチウム金属二次電池ではリチウム金属を均一に析出させることが難しく、それがサイクル特性を劣化させる原因となっていたが、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料は一般的に表面積が大きいので、この二次電池ではリチウム金属を均一に析出させることができることである。第2に、従来のリチウム金属二次電池ではリチウム金属の析出・溶解に伴う体積変化が大きく、それもサイクル特性を劣化させる原因となっていたが、この二次電池ではリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の粒子間の隙間にもリチウム金属が析出するので体積変化が少ないことである。第3に、従来のリチウム金属二次電池ではリチウム金属の析出・溶解量が多ければ多いほど上記の問題も大きくなるが、この二次電池ではリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料によるリチウムの吸蔵および放出も充放電容量に寄与するので、電池容量が大きいわりにはリチウム金属の析出・溶解量が小さいことである。第4に、従来のリチウム金属二次電池では急速充電を行うとリチウム金属がより不均一に析出してしまうのでサイクル特性が更に劣化してしまうが、この二次電池では充電初期においてはリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料にリチウムが吸蔵されるので急速充電が可能となることである。
これらの利点をより効果的に得るためには、例えば、開回路電圧が過充電電圧になる前の最大電圧時において負極22に析出するリチウム金属の最大析出容量は、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の充電容量能力の0.05倍以上3.0倍以下であることが好ましい。リチウム金属の析出量が多過ぎると従来のリチウム二次電池と同様の問題が生じてしまい、少な過ぎると充放電容量を十分に大きくすることができないからである。また、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の放電容量能力は、150mAh/g以上であることが好ましい。リチウムの吸蔵および放出する能力が大きいほどリチウム金属の析出量は相対的に少なくなるからである。なお、負極材料の充電容量能力は、例えば、リチウム金属を対極として、この負極材料を負極活物質とした負極について0Vまで定電流・定電圧法で充電した時の電気量から求められる。負極材料の放電容量能力は、例えば、これに引き続き、定電流法で10時間以上かけて2.5Vまで放電した時の電気量から求められる。
この二次電池では、充電を行うと、正極21からリチウムイオンが放出され、電解液を介して、まず、負極22に含まれるリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料に吸蔵される。更に充電を続けると、開回路電圧が過充電電圧よりも低い状態において、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の表面にリチウム金属が析出し始める。そののち、充電を終了するまで負極22にはリチウム金属が析出し続ける。次いで、放電を行うと、まず、負極22に析出したリチウム金属がイオンとなって溶出し、電解液を介して、正極21に吸蔵される。更に放電を続けると、負極22中のリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料に吸蔵されたリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極21に吸蔵される。ここでは、溶媒に化7に示したサルファイト構造を有する化合物を含んでいるので、正極21の表面に被膜が形成され、完全充電時における開回路電圧が高くても、正極21の表面の電気化学的安定性が改善される。
(第4の実施の形態)
図3は、本発明の第4の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化が可能となっている。
正極リード31および負極リード32は、それぞれ、外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード31および負極リード32は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図4は、図3に示した巻回電極体30のI−I線に沿った断面構造を表すものである。巻回電極体30は、正極33と負極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
正極33は、正極集電体33Aの片面あるいは両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有している。負極34は、負極集電体34Aの片面あるいは両面に負極活物質層34Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層34Bの側が正極活物質層33Bと対向するように配置されている。正極集電体33A,正極活物質層33B,負極集電体34A,負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ上述した正極集電体21A,正極活物質層21B,負極集電体22A,負極活物質層22Bおよびセパレータ23と同様である。
電解質層36は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル状の電解質層36は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液(すなわち溶媒および電解質塩など)の構成は、第1ないし第3の実施の形態に係る二次電池と同様である。高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル,ポリフッ化ビニリデン,フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体,ポリテトラフルオロエチレン,ポリヘキサフルオロプロピレン,ポリエチレンオキサイド,ポリプロピレンオキサイド,ポリフォスファゼン,ポリシロキサン,ポリ酢酸ビニル,ポリビニルアルコール,ポリメタクリル酸メチル,ポリアクリル酸,ポリメタクリル酸,スチレン−ブタジエンゴム,ニトリル−ブタジエンゴム,ポリスチレンあるいはポリカーボネートが挙げられる。特に電気化学的な安定性の点からはポリアクリロニトリル,ポリフッ化ビニリデン,ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドが好ましい。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、正極33および負極34のそれぞれに、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層36を形成する。そののち、正極集電体33Aの端部に正極リード31を溶接により取り付けると共に、負極集電体34Aの端部に負極リード32を溶接により取り付ける。次いで、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して巻回電極体30を形成する。最後に、例えば、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図3および図4に示した二次電池が完成する。
また、この二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述したようにして正極33および負極34を作製し、正極33および負極34に正極リード31および負極リード32を取り付けたのち、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成する。次いで、この巻回体を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。続いて、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材40の内部に注入する。
電解質用組成物を注入したのち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次いで、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層36を形成し、図3および図4に示した二次電池を組み立てる。
この二次電池の作用および効果は、第1ないし第3の実施の形態に係る二次電池と同様である。
更に、本発明の具体的な実施例について、詳細に説明する
(実施例1−1〜1−7)
負極22の容量が、リチウムの吸蔵および放出による容量成分により表される電池、すなわちリチウムイオン二次電池を作製した。その際、電池は、図1に示したものとした。
まず、正極活物質を作製した。市販の硝酸ニッケル,硝酸コバルト,および硝酸マンガンを水溶液として、NiとCoとMnとのモル比率がそれぞれ0.50、0.20、0.30となるように混合したのち、十分に攪拌しながら、この混合溶液にアンモニア水を滴下して複合水酸化物を得た。この複合水酸化物と水酸化リチウムとを混合し、酸素気流中、850℃で10時間焼成したのち、粉砕して、正極活物質としてのリチウム複合酸化物粉末を得た。得られたリチウム複合酸化物粉末について、原子吸光分析(ASS;atomic absorption spectrometry)により分析を行ったところ、LiNi0.50Co0.20Mn0.302 の組成が確認された。また、レーザー回折法により粒子径を測定したところ、平均粒径は13μmであった。更に、X線回折測定を行ったところ、ICDD(International Center for Diffraction Data)カードの09−0063に記載されたLiNiO2 のパターンに類似しており、LiNiO2 と同様の層状岩塩構造を形成していることが確認された。更にまた、走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)により観察したところ、0.1μm〜5μmの1次粒子が凝集した球状の粒子が観察された。
得られたLiNi0.50Co0.20Mn0.302 粉末と、炭酸リチウム粉末とを、LiNi0.50Co0.20Mn0.302 粉末:炭酸リチウム粉末=95:5の質量比で混合し、この混合物と、導電剤であるアモルファス性炭素粉末(ケッチェンブラック)と、結着剤であるポリフッ化ビニリデンとを、混合物:アモルファス性炭素粉末:ポリフッ化ビニリデン=94:3:3の質量比で混合して正極合剤を調製した。続いて、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとし、厚み20μmの帯状アルミニウム箔よりなる正極集電体21Aの両面に均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し正極21を作製した。正極21の厚みは150μmとなるようにした。そののち、正極集電体21Aの一端にアルミニウム製の正極リード25を取り付けた。
また、負極活物質として、平均粒子径が30μm、比表面積が0.8g/cm3 である球状黒鉛粉末と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンとを、球状黒鉛粉末:ポリフッ化ビニリデン=90:10の質量比で混合して負極合剤を調製した。続いて、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとし、厚み15μmの帯状銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に均一に塗布し、加熱プレス成型して負極活物質層22Bを形成し負極22を作製した。負極22の厚みは160μmとなるようにした。そののち、負極集電体22Aの一端にニッケル製の負極リード26を取り付けた。なお、負極22の容量がリチウムの吸蔵および放出による容量成分により表されるように、正極21と負極22との電気化学当量比を設計した。
正極21および負極22をそれぞれ作製したのち、微多孔性セパレータ23を用意し、負極22,セパレータ23,正極21,セパレータ23の順に積層してこの積層体を渦巻状に多数回巻回し、ジェリーロール型の巻回電極体20を作製した。
巻回電極体20を作製したのち、巻回電極体20を一対の絶縁板12,13で挟み、負極リード26を電池缶11に溶接すると共に、正極リード25を安全弁機構15に溶接して、巻回電極体20をニッケルめっきした鉄製の電池缶11の内部に収納した。そののち、電池缶11の内部に電解液4.0gを減圧方式により注入した。
電解液には、溶媒として炭酸エチレンと炭酸ジメチルとを、炭酸エチレン:炭酸ジメチル=35:60の質量比で混合した溶媒に、化7に示したサルファイト構造を有する化合物としてエチレンサルファイトを添加し、更に、電解質塩としてLiPF6 を1.5mol/kgとなるように溶解させたものを用いた。その際、エチレンサルファイトの含有量は、溶媒に対して5質量%となるようにした。
電池缶11の内部に電解液を注入したのち、表面にアスファルトを塗布したガスケット17を介して電池蓋14を電池缶11にかしめることにより、実施例1−1〜1−7について直径14mm、高さ65mmの円筒型二次電池を得た。
得られた実施例1−1〜1−7の二次電池について、次のようにして定格容量およびサイクル特性を測定した。
まず、500mAの定電流で電池電圧が表1に示したように4.25V,4.30V,4.35V,4.40V,4.45V,4.50V,または4.55Vに達するまで定電流充電を行ったのち、4.25V,4.30V,4.35V,4.40V,4.45V,4.50V,または4.55Vのままの定電圧で5時間定電圧充電を行い、完全充電状態とした。引き続き、300mAの定電流で電池電圧が2.75Vに達するまで定電流放電を行い、完全放電状態とした。この充放電を繰返し、2サイクル目の放電容量を定格容量とした。また、サイクル特性は、定格容量(2サイクル目の放電容量)に対する500サイクル目の放電容量維持率(500サイクル目の放電容量/定格容量)×100(%)とした求めた。それらの結果を表1に示す。
実施例1−1〜1−7に対する比較例1−1として、実施例1−1〜1−7と同様にして二次電池を作製し、完全充電時の開回路電圧を4.20Vとなるように、実施例1−1〜1−7と同様にして定格容量およびサイクル特性を測定した。また、比較例1−2〜1−4として、化7に示したサルファイト構造を有する化合物であるエチレンサルファイトを添加しなかったことを除き、他は実施例1−1〜1−7と同様にして二次電池を作製し、完全充電時の開回路電圧を4.20V,4.25Vまたは4.40Vとなるように、実施例1−1〜1−7と同様にして定格容量およびサイクル特性を測定した。その際、充電は、500mAの定電流で電池電圧が4.20V,4.25Vまたは4.40Vに達するまで定電流充電を行ったのち、4.20V,4.25Vまたは4.40Vのままの定電圧で5時間定電圧充電を行った。それらの結果を表1に示す。
Figure 2006302757
表1から分かるように、溶媒にエチレンサルファイトを含む実施例1−1,1−4によれば、これを含まない比較例1−3,1−4よりも、それぞれ放電容量維持率が向上した。また、溶媒にエチレンサルファイトを含む実施例1−2,1−3,1−5〜1−7についても、実施例1−1,1−4と同様に高い容量維持率が得られた。更に、完全充電時の開回路電圧を4.20Vとした比較例1−1,1−2によれば、溶媒にエチレンサルファイトを含むことによる放電容量維持率向上の効果はなかった。
すなわち、完全充電時における開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内の電池において、溶媒に化7に示したサルファイト構造を有する化合物を含むようにすれば、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
(実施例2−1〜2−5)
エチレンサルファイトの含有量を、溶媒に対して0.01質量以上20質量%以下の範囲内で変化させたことを除き、他は実施例1−4と同様にして二次電池を作製した。
得られた実施例2−1〜2−5の二次電池について、実施例1−4と同様にして定格容量およびサイクル特性を測定した。それらの結果を表2に示す。
Figure 2006302757
表2から分かるように、放電容量維持率は、エチレンサルファイトの含有量が増大するに伴い上昇し、極大値を示したのち低下した。すなわち、化7に示したサルファイト構造を有する化合物の含有量は、溶媒に対して0.01質量%以上20質量%以下の範囲内とすることが好ましいことが分かった。
(実施例3−1〜3−6)
化7に示したサルファイト構造を有する化合物として、ジメチルサルファイト(CH3 OSOOCH3 )、ジエチルサルファイト(C2 5 OSOOC2 5 )、エチルプロピルサルファイト(C2 5 OSOOC3 7 )、ジプロピルサルファイト(C3 7 OSOOC3 7 )、ジブチルサルファイト(C4 9 OSOOC4 9 )、またはエリスリタンサルファイト(II)を用いたことを除き、他は実施例1−4と同様にして二次電池を作製した。
得られた実施例3−1〜3−6の二次電池について、実施例1−4と同様にして定格容量およびサイクル特性を測定した。それらの結果を表3に示す。
Figure 2006302757
表3から分かるように、実施例1−4と同様の結果が得られた。すなわち、溶媒に化7に示したサルファイト構造を有する他の化合物を含むようにした場合にも、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
(実施例4−1)
負極22の容量が、リチウムの吸蔵および放出による容量成分と、リチウムの析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和により表される電池を作製した。その際、負極22の厚みを100μmとなるようにしたことを除き、他は実施例1−4と同様にして二次電池を作製した。なお、負極22の容量がリチウムの吸蔵および放出による容量成分とリチウムの析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和により表されるように、正極21と負極22との充電容量を設計した。また、完全充電時の開回路電圧が4.40Vとなるように正極活物質と負極活物質との量を調整した。
実施例4−1に対する比較例4−1として、化7に示したサルファイト構造を有する化合物であるエチレンサルファイトを添加しなかったことを除き、他は実施例4−1と同様にして二次電池を作製した。
得られた実施例4−1および比較例4−1の二次電池について、実施例1−4と同様にして定格容量およびサイクル特性を測定した。それらの結果を表4に示す。
Figure 2006302757
また、これらとは別に、同様に作製した実施例4−1および比較例4−1の二次電池を2個ずつ用意し、解体してリチウム金属が析出しているか否かを調べたところ、完全充電時には、負極22の表面にリチウム金属が析出していることが確認された。また、完全放電時には負極22の表面からリチウム金属が消失していた。すなわち、負極22の容量は、リチウムの吸蔵および放出による容量成分と、リチウムの析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和により表されることが確認された。
表4から分かるように、溶媒に化7に示したサルファイト構造を有する化合物を含むようにすれば、負極22の容量が、リチウムの吸蔵および放出による容量成分と、リチウムの析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和により表され、更に、完全充電時の開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内である二次電池の場合にも、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
(実施例5−1,5−2)
負極活物質として、平均粒子径が3μmのケイ素粉末を用いて負極22を作製したことを除き、他は実施例1−4と同様にして実施例5−1の二次電池を作製した。また、負極活物質にスズを用い、銅箔よりなる負極集電体22Aの上に無電解鍍金法によりスズよりなる前駆層を形成し、真空中、200℃の条件で1時間熱処理を行うことにより負極活物質層22Bを形成し、負極22を作製したことを除き、他は実施例1−4と同様にして実施例5−2の二次電池を作製した。その際、実施例5−2では、負極22の厚みが100μmとなるようにした。なお、負極22の容量がリチウムの吸蔵および放出による容量成分により表されるように、正極21と負極22との電気化学当量比を設計した。
実施例5−1,5−2に対する比較例5−1,5−2として、化7に示したエチレンサルファイト構造を有する化合物であるエチレンサルファイトを添加しなかったことを除き、他は実施例5−1,5−2と同様にして二次電池を作製した。
得られた実施例5−1,5−2および比較例5−1,5−2の二次電池について、実施例1−4と同様にして定格容量およびサイクル特性を測定した。それらの結果を表5に示す。
Figure 2006302757
表5から分かるように、溶媒に化7に示したサルファイト構造を有する化合物を含むようにすれば、負極22に、他の負極活物質を用い、完全充電時の開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内である二次電池の場合にも、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
(実施例6−1,6−2)
正極活物質として、平均粒子径が10μmのコバルト酸リチウム(LiCoO2 )を用いたことを除き、他は実施例1−4と同様にして実施例6−1の二次電池を作製した。また、正極活物質として、LiNi0.50Co0.20Mn0.302 の半分の量を、コバルト酸リチウム(LiCoO2 )に代えたことを除き、他は実施例1−4と同様にして実施例6−2の二次電池を作製した。
実施例6−1,6−2に対する比較例6−1,6−2として、化7に示したサルファイト構造を有する化合物であるエチレンサルファイトを添加しなかったことを除き、他は実施例6−1,6−2と同様にして二次電池を作製した。
得られた実施例6−1,6−2および比較例6−1,6−2の二次電池について、実施例1−4と同様にして定格容量およびサイクル特性を測定した。それらの結果を表6に示す。
Figure 2006302757
表6から分かるように、溶媒に化7に示したサルファイト構造を有する化合物を含むようにすれば、他の正極活物質を用い、完全充電時の開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内である二次電池の場合にも、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
(実施例7−1)
図3および図4に示した二次電池を作製した。まず、実施例1−4と同様にして正極33および負極34を作製した。そののち、正極33および負極34の一端に正極リード31および負極リード32を取り付けた。
次いで、電解液と、高分子化合物であるポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体とを、混合溶剤に溶解し、前駆溶液を作製した。その際、電解液と高分子化合物との質量比は、電解液:高分子化合物=92:8とした。また、電解液は、溶媒として炭酸エチレンと炭酸プロピレンと炭酸ビニレンとを、炭酸エチレン:炭酸プロピレン:炭酸ビニレン=46:46:4の質量比で混合した溶媒に、化7に示したサルファイト構造を有する化合物としてエチレンサルファイトを添加し、更に、電解質塩としてLiPF6 を1.0mol/kgとなるように溶解させたものを用いた。エチレンサルファイトの含有量は、溶媒に対して5質量%となるようにした。
続いて、得られた前駆溶液を正極33および負極34にコーティング装置を用いて塗布し、混合溶剤を揮発させて厚み5μmの電解質層36を形成した。
そののち、正極33と負極34とを、電解質層36が形成された面が対向するように、厚み9μmのポリエチレンからなるセパレータ35を介して積層し、巻回して巻回電極体30を形成した。
得られた巻回電極体30を防湿性アルミラミネートフィルムよりなる外装部材40に真空封入することにより、厚み3.8mm、幅3.4cm、高さ5cmの二次電池を作製した。
実施例7−1に対する比較例7−1として、化7に示したサルファイト構造を有する化合物であるエチレンサルファイトを添加しなかったことを除き、他は実施例7−1と同様にして二次電池を作製した。
得られた実施例7−1および比較例7−1の二次電池について、実施例1−4と同様にして定格容量およびサイクル特性を測定した。それらの結果を表7に示す。
Figure 2006302757
表7から分かるように、溶媒に化7に示したサルファイト構造を有する化合物を含むようにすれば、ゲル状の電解質を用い、更に、完全充電時の開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内である二次電池の場合にも、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例においては、電極反応物質としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他の1A族元素、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などの2A族元素、またはアルミニウムなどの他の軽金属、またはリチウムあるいはこれらの合金を用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。その際、負極活物質には、上記実施の形態で説明したような負極材料を同様にして用いることができる。
また、上記実施の形態および実施例においては、巻回構造を有する二次電池について説明したが、本発明は、正極および負極を折り畳んだりあるいは積み重ねた構造を有する二次電池についても同様に適用することができる。加えて、いわゆるコイン型,ボタン型あるいは角型などの二次電池についても適用することができる。また、二次電池に限らず、一次電池についても適用することができる。
本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。 図1に示した二次電池における巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 本発明の他の実施の形態に係る二次電池の構成を表す分解斜視図である。 図3で示した巻回電極体のI−I線に沿った断面図である。
符号の説明
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構,15A…ディスク板、16…熱感抵抗素子、17…ガスケット、20,30…巻回電極体、21,33…正極、21A,33A…正極集電体、21B,33B…正極活物質層、22,34…負極、22A,34A…負極集電体、22B,34B…負極活物質層、23,35…セパレータ、24…センターピン、25,31…正極リード、26,32…負極リード、36…電解質層、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム。

Claims (12)

  1. 正極および負極と共に、溶媒を含む電解質を備えた電池であって、
    一対の正極および負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内であり、
    前記溶媒は、化1に示したサルファイト構造を有する化合物を含む
    ことを特徴とする電池。
    Figure 2006302757
  2. 前記サルファイト構造を有する化合物の含有量は、溶媒に対して0.01質量%以上20質量%以下の範囲内である
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
  3. 前記サルファイト構造を有する化合物は、化2に示した環状のサルファイトおよび化3に示した鎖状のサルファイトからなる群のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
    Figure 2006302757
    (式中、R1は炭化水素基、または任意の1以上の原子よりなる分子構造を表す。)
    Figure 2006302757
    (式中、R2,R3は、炭化水素基、または任意の1以上の原子よりなる分子構造を表す。)
  4. 前記サルファイト構造を有する化合物は、化4に示したエチレンサルファイトを含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
    Figure 2006302757
  5. 前記サルファイト構造を有する化合物は、化5に示した環状のサルファイトを含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
    Figure 2006302757
    (式中、R4,R5は炭化水素基、または任意の1以上の原子よりなる分子構造を表し、XはO,N,P,またはP=Oを含む分子構造を表す。)
  6. 前記サルファイト構造を有する化合物は、化6に示したエリスリタンサルファイト(II)を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
    Figure 2006302757
  7. 前記正極は、化7に示したリチウム複合酸化物を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
    Figure 2006302757
    (式中、M1は、コバルト(Co),マグネシウム(Mg),アルミニウム(Al),ホウ素(B),チタン(Ti),バナジウム(V),クロム(Cr),鉄(Fe),銅(Cu),亜鉛(Zn),ジルコニウム(Zr),モリブデン(Mo),スズ(Sn),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。f,g,h,jおよびkは、0.8≦f≦1.2、0<g<0. 5、0≦h≦0. 5、g+h<1、−0. 1≦j≦0. 2、0≦k≦0.1の範囲内の値である。)
  8. 前記負極は、炭素材料を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
  9. 前記負極は、黒鉛を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
  10. 前記負極は、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む負極材料を含有することを特徴とする請求項1記載の電池。
  11. 前記負極は、ケイ素(Si)およびスズのうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料を含有することを特徴とする請求項1記載の電池。
  12. 前記負極の容量は、電極反応物質の吸蔵および放出による容量成分と、電極反応物質の析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和で表される
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009026675A (ja) * 2007-07-23 2009-02-05 Hitachi Maxell Ltd 非水二次電池およびこれを用いた電子機器
WO2013146512A1 (ja) * 2012-03-29 2013-10-03 三洋電機株式会社 非水電解質二次電池
CN108987809A (zh) * 2018-08-09 2018-12-11 珠海市赛纬电子材料股份有限公司 一种锂离子电池非水电解液及使用该电解液的锂离子电池

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