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JP2006291065A - 高分子組成物およびそれからなる高分子フィルム並びに高分子電解質膜 - Google Patents

高分子組成物およびそれからなる高分子フィルム並びに高分子電解質膜 Download PDF

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Abstract

【課題】 固体高分子形燃料電池、直接液体形燃料電池、直接メタノール形燃料電池、に有用なプロトン伝導性とメタノール遮断性を両立した高分子電解質膜、並びに、それを得るための高分子組成物および高分子フィルムを提供する。
【解決手段】 下記(A)及び(B)の構成成分からなる高分子組成物、およびそれからなる高分子フィルムとする。
(A)ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテルおよび変性ポリフェニレンエーテルからなる群から選択される少なくとも1種の高分子化合物
(B)リン片状チタン酸
さらに上記高分子化合物に加えてプロトン伝導性基を有する高分子電解質膜とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高分子組成物およびそれからなる高分子フィルム並びに高分子電解質膜に関する。
高分子電解質膜は、固体高分子形燃料電池、湿度センサー、ガスサンサー、エレクトクロミック表示素子などの電気化学素子の主要な構成材料である。これら電気化学素子のなかでも、固体高分子形燃料電池は、将来の新エネルギー技術の柱として期待されている。プロトン伝導性を有する高分子電解質膜を使用する固体高分子形燃料電池(PEFC)は、低温における作動、小型軽量化が可能などの特徴から、自動車などの移動体、家庭用コージェネレーションシステム、および民生用小型携帯機器などへの適用が検討されている。とくに、メタノールを燃料とする直接メタノール形燃料電池(DMFC)は、単純な構造と燃料供給やメンテナンスの容易さ、さらには高エネルギー密度などの特徴を有し、リチウムイオン二次電池代替として、携帯電話やノート型パソコンなどの小型携帯機器への応用が期待されている。
実用的な安定性を有する高分子電解質膜として、ナフィオン(Nafion)(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜が開発され、PEFCをはじめとする多くの電気化学素子への応用が提案されている。パーフルオロカーボンスルホン酸膜は、高いプロトン伝導度を有し、耐酸性、耐酸化性などの化学的安定性に優れている。しかし、製造が困難で、非常に高価であるという欠点がある。さらに、小型携帯機器用燃料電池の燃料として有望視されているメタノールなどの水素含有液体などの透過(クロスオーバーともいう)が大きく、いわゆる化学ショート反応が起こる。これにより、カソード電位が低下するだけでなく、燃料効率の低下が起こり、セル特性低下の主要因となっている。従って、このようなパーフルオロカーボンスルホン酸膜を直接液体形燃料電池や直接メタノール形燃料電池の高分子電解質膜として用いるには課題が多い。
このような背景から、製造が容易で、より安価な高分子電解質膜として、芳香族系高分子化合物のスルホン化物などが種々提案されている。しかし、高いプロトン伝導度が要求されるPEFCの高分子電解質膜として使用するには、プロトン伝導度が不充分である。また、それを改善するために、スルホン酸基などのプロトン伝導性置換基の導入量を増やすと、機械的特性の低下(強度低下、伸び低下)や、水溶性になったり、膜の吸水率が上昇して著しく膨潤するなどハンドリング性が著しく損なわれる。また、小型携帯機器用燃料電池の燃料として有望なメタノールに対しても、これと同様の傾向を示し、その使用が制限される恐れがある。
例えば、特許文献1には、スルホン化ポリフェニレンサルファイドなどのスルホン化芳香族系高分子からなる高分子電解質膜の製造方法が開示されている。この高分子電解質膜の製造方法においては、スルホン化剤としてクロロスルホン酸、溶媒としてジクロロメタンを使用することが記載されているが、高いプロトン伝導度を得るためにスルホン酸基などのプロトン伝導性置換基の導入量を増やすと、メタノールの透過が大きくなることが容易に想定される。このように、直接メタノール形燃料電池の高分子電解質膜には、プロトン伝導度を低下させずにメタノール透過を抑制することが要求されているが、プロトン伝導度とメタノール遮断性がトレードオフの関係にあり、これらの特性を両立させることは難しい。
また、特許文献2には層状/網状ケイ酸塩が含有するプロトン伝導性複合体が記載されている。しかし、ケイ酸塩ではメタノール遮断性等の効果が充分でない場合があり、前述したのと同様に、プロトン伝導度とメタノール遮断性の特性を両立させることは難しいという問題点があった。
国際公開第02/062896号パンフレット 特表2003−501516号公報
本発明の目的は、上記問題を鑑みてなされたものであり、固体高分子形燃料電池、直接液体形燃料電池、直接メタノール形燃料電池に有用な高分子組成物、高分子フィルム、および、高分子電解質膜を提供することである。
本発明の高分子組成物は、固体高分子形燃料電池、直接液体形燃料電池、直接メタノール形燃料電池、に用いる高分子電解質膜の材料であって、
(A)ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテルおよび変性ポリフェニレンエーテルからなる群から選択される少なくとも1種の高分子化合物、
および、
(B)リン片状チタン酸、の構成からなることが、化学的安定性、並びに、水素およびメタノールなどの燃料遮断性や酸化剤の遮断性、に優れる材料が得られ好ましい。
前記リン片状チタン酸は、層状チタン酸塩を酸または温水で処理して層状チタン酸とし、ついで層間膨潤作用を有する有機塩基性化合物を層間挿入して得られるナノシート化層状チタン酸であることが、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテルおよび変性ポリフェニレンエーテルからなる群から選択される少なくとも1種の高分子化合物に対する分散性が良好となること、燃料遮断性および酸化剤遮断性に優れることから好ましい。
前記層状チタン酸塩は、一般式AXYZTi[2-(Y+Z)]4(式中、AおよびMは互いに異なる1〜3価の金属を示し、□はTiの欠陥部位を示す。Xは0<X<1.0を満たす正の実数であり、YおよびZは0<Y+Z<1を満たす0または正の実数である)で表されるものが好ましい。
さらに、前記層状チタン酸塩は、K0.50.8Li0.27Ti1.733.854で表されることが、工業的入手の容易さや有機塩基性化合物の層間挿入のし易さから好ましい。
また、本発明の高分子フィルムは、固体高分子形燃料電池、直接液体形燃料電池、直接メタノール形燃料電池、に用いる高分子電解質膜の材料であって、前述した高分子組成物からなることが、化学的安定性、並びに、水素およびメタノールなどの燃料遮断性や酸化剤の遮断性、に優れる材料となり好ましい。
また、本発明の高分子電解質膜は、固体高分子形燃料電池、直接液体形燃料電池、直接メタノール形燃料電池、に用いる高分子電解質膜であって、前述した高分子組成物に加えて、プロトン伝導性基を有することが、化学的安定性、並びに、水素およびメタノールなどの燃料遮断性や酸化剤の遮断性、に加えて、優れたプロトン伝導性が発現可能となり好ましい。
本発明によれば、高いプロトン伝導性と優れたメタノール遮断性を両立することが可能な高分子電解質膜、並びに、それを得るための高分子組成物および高分子フィルムを提供できる。
本発明に係る高分子組成物について具体的に説明する。本発明の高分子化合物は、固体高分子形燃料電池、直接液体形燃料電池、直接メタノール形燃料電池、に用いる高分子電解質膜の材料であって、
(A)ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテルおよび変性ポリフェニレンエーテルからなる群から選択される少なくとも1種の高分子化合物、
および、
(B)リン片状チタン酸、
の構成からなるものが好ましい。
ここで、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテルおよび変性ポリフェニレンエーテルは、単独、あるいは、それらの誘導体、あるいは、2種以上の共重合体、あるいは、必要に応じて2種以上を混合したものを使用しても良い。これらの高分子化合物は、リン片状チタン酸塩の分散性、高分子電解質膜を得る際に調製する高分子フィルムの機械的特性やハンドリング性などの諸物性、プロトン伝導性を付与するために導入するスルホン酸基などのプロトン伝導性置換基の導入のし易さ、高分子電解質膜としてのプロトン伝導性や水素やメタノールなどの含水素液体の遮断性、などが優れるため好ましい。中でもポリフェニレンサルファイドは、得られる高分子電解質膜の耐加水分解性や耐酸化性に代表される化学的安定性などが優れるため、より好ましい。
本発明で使用するリン片状チタン酸は、層状チタン酸塩を酸または温水で処理して層状チタン酸とし、ついで層間膨潤作用を有する有機塩基性化合物を層間挿入して得られるナノシート化層状チタン酸であることが、前記高分子化合物に分散しやすくなり好ましい。
層状チタン酸塩は、例えば、国際公開第99/11574号公報に開示の方法に従い、炭酸カリウムと炭酸リチウムと二酸化チタンをK/Li/Ti=3/1/6.5(モル比)で混合して摩砕し、800℃で焼成することによりK0.80.27Ti1.734が得られる。
さらには、特許第3062497号公報に開示の方法に従い、アルカリ金属またはアルカリ金属のハロゲン化物もしくは硫酸塩をフラックスとし、フラックス/原料の重量比が0.1〜2.0となるように混合した混合物を700〜1200℃で焼成することにより得られる一般式AXYZTi2-(Y+Z)4(式中A及びMは互いに異なる1〜3価の金属、□はTiの欠陥部位を示す。Xは0<X<1.0を満たす正の実数であり、Y及びZはそれぞれ0<Y+Z<1.0を満たす0または正の実数である。)で表される層状チタン酸塩が挙げられる。上記一般式におけるAは、価数1〜3価の金属であり、好ましくは、K、Rb、及びCsから選ばれる少なくとも一種であり、Mは、金属Aとは異なる価数1〜3価の金属であり、好ましくは、Li、Mg、Zn、Cu、Fe、Al、Ga、Mn、及びNiから選ばれる少なくとも一種である。具体的な例としては、
0.80Li0.27Ti1.734
Rb0.75Ti1.75Li0.254
Cs0.70Li0.23Ti1.774
Ce0.700.18Ti1.834
Ce0.70Mg0.35Ti1.654
0.8Mg0.4Ti1.64
0.8Ni0.4Ti1.64
0.8Zn0.4Ti1.64
0.8Cu0.4Ti1.64
0.8Fe0.8Ti1.24
0.8Mn0.8Ti1.24
0.76Li0.22Mg0.05Ti1.734
0.67Li0.2Al0.07Ti1.734等が挙げられる。
また、国際公開第03/037797号公報に開示された方法に従い、K0.80.27Ti1.734を酸洗後、焼成して得られるK0.50.7Li0.27Ti1.733.853.95が挙げられる。
層状チタン酸は、例えば、前記層状チタン酸塩を酸処理し、交換可能な金属カチオンを水素イオンまたはヒドロニウムイオンで置換することにより得られる。酸処理に使用する酸は、特に限定されるものではなく、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの鉱酸、あるいは有機酸でも良い。
ナノシート化層状チタン酸は、例えば、前記層状チタン酸に層間膨潤作用を有する有機塩基性化合物を作用させることにより得られる。層間膨潤作用を有する有機塩基性化合物としては、公知のものが適用でき、例えばアミン系、アンモニウム系、リン系等が列挙できる。より具体的には、ジステアリルジメチルアンモニウム、オクタデシルアミン、オクタデシルアミントリメチルアンモニウム、アルキルメチルビスヒドロキシエチルアンモニウム、12−アミノドデカン酸、1,2−ジメチル−3−ヘキサデシルイミダゾリウム、ドデシルトリブチルフォスフォニウム、ヘキサデシルトリブチルフォスフォニウム、ドデシルトリフェニルフォスフォニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム、アルキルメチルビス(ヒドロキシエチル)アンモニウムなどが例示できる。
層間膨潤作用のある有機塩基性化合物を作用させるためには、酸処理または温水処理後の層状チタン酸を水系媒体に分散させた懸濁液に、撹拌下、塩基性化合物または塩基性化合物を水系媒体で希釈したものを加えれば良い。あるいは塩基性化合物の水系溶液に、撹拌下、該層状チタン酸、またはその懸濁液を加えても良い。
水系媒体または水系溶液とは、水、水に可溶な溶媒、または水と水に可溶な溶媒との混合溶媒、あるいはその溶液を意味する。
水に可溶な溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、プロピレンカーボネート等のエステル類を挙げることができる。
塩基性化合物の添加量は、層状チタン酸塩のイオン交換容量の0.3〜10当量、好ましくは0.5〜2当量とするのがよい。ここで、イオン交換容量とは、交換可能な金属カチオン量であり、例えば層状チタン酸塩が一般式AXYZTi2-(Y+Z)4で表される場合、Aの価数をm、Mの価数をnとするときのmX+nYで表される値をいう。
本発明の高分子組成物において、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテルおよび変性ポリフェニレンエーテルからなる群から選択される少なくとも1種の高分子化合物とリン片状チタン酸の混合方法は、高分子化合物やリン片状チタン酸の性状などに応じて適宜選択可能である。例えば、リン片状チタン酸を高分子化合物の原料モノマーやオリゴマーと溶媒中で混合し、重合してリン片状チタン酸の分散した高分子化合物を得る方法や、リン片状チタン酸を高分子と溶液中で混合し、リン片状チタン酸の分散した高分子化合物を得る方法や、リン片状チタン酸と高分子化合物とを溶融混練して、リン片状チタン酸の分散した高分子化合物を得る方法などが列挙できる。このとき、リン片状チタン酸が高分子化合物中に分散しやすいように溶融混練を複数回行っても良いし、事前に所望の組成比よりもリン片状チタン酸を高分子化合物に対して多く混ぜたマスターバッチを作製し、これと高分子化合物を溶融混練しても良い。またフィルム作製時にリン片状チタン酸と高分子を混合しても良い。本発明においては、溶融混練法でリン片状チタン酸と高分子化合物を混合することが、簡便かつ溶剤を使用せず環境負荷の低減の点からも好ましい。具体的には、プラストミルや二軸押出機などで前記高分子化合物の溶融状態で前記リン片状チタン酸を混合して目的の高分子組成物を得る方法などが例示できる。
使用するリン片状チタン酸は、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテルおよび変性ポリフェニレンエーテルなどへの分散性、高分子電解質膜としての水素やメタノールなどの含水素液体の遮断性などに優れる、前記ナノシート化層状チタン酸であることが好ましい。
本発明の高分子フィルムは、固体高分子形燃料電池、直接液体形燃料電池、直接メタノール形燃料電池、に用いる高分子電解質膜の材料であって、上述した方法などで得られる高分子組成物を使用することが、リン片状チタン酸塩の分散性、高分子フィルムの機械的特性やハンドリング性などの諸物性、スルホン酸基などのプロトン伝導性置換基の導入のし易さ、高分子電解質膜としてのプロトン伝導性や水素やメタノールなどの含水素液体などの燃料遮断性、得られる高分子電解質膜の耐加水分解性や耐酸化性に代表される化学的安定性などが優れるため好ましい。本発明の高分子フィルムの製造方法としては、公知の方法が適用できる。例えば、インフレーション法、Tダイ法、カレンダー法、キャスト法、切削法、エマルション法、ホットプレス法、などが適用可能なものとして列挙できる。また、分子配向などを制御するため二軸延伸などの後処理を施したり、結晶化度を制御するための熱処理を施しても構わない。この中でもインフレーション法、Tダイ法、カレンダー法に代表される溶融押出法は生産性が高く好ましい。
本発明の高分子フィルムの厚さは、用途に応じて任意の厚さを選択することが可能である。フィルム内部まで均一にプロトン伝導性基、特にスルホン酸基を導入することや、得られる高分子電解質膜の内部抵抗を低減することを考慮した場合、原料フィルム厚みは薄い程良い。一方、燃料遮断性、酸化剤遮断性、およびハンドリング性などを考慮すると、フィルム厚みは薄すぎると好ましくない。これらを考慮すると、高分子フィルムの厚みは、1.2〜350μmであるのが好ましい。前記フィルムの厚さが1.2μmより薄いと、製造が困難であるとともに、加工時にシワになったり、破損が生じるなどハンドリング性がわるくなる傾向があり、350μmをこえると、フィルム内部まで均一にスルホン化するのが困難になるとともに、得られた高分子電解質膜の内部抵抗も大きくなり、プロトン伝導度が低下する恐れがある。
本発明の高分子電解質膜は、固体高分子形燃料電池、直接液体形燃料電池、直接メタノール形燃料電池、に用いるものであって、前述の高分子組成物に加えて、プロトン伝導性置換基を有するものである。本発明に使用可能なプロトン伝導性置換基としては、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられる。これらの中でも、置換基の導入の容易さや得られた高分子電解質膜のプロトン伝導度に代表される特性を考慮すると、スルホン酸基および/またはスルホン酸基を含む置換基であることが好ましい。
本発明においてスルホン酸基とは、下記式(1)で表わされるスルホン酸基や下記一般式(2)で表わされるスルホン酸基を含む置換基をいう。
Figure 2006291065
[式中、Rはアルキレン、ハロゲン化アルキレン、アリーレン、ハロゲン化アリーレンからなる群から選択される少なくとも1種の結合単位からなる2価の有機基、またはエーテル結合を含んでいてもよい]
以下プロトン伝導性基の好ましい例としてのスルホン酸基の導入を例にして説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
スルホン化剤としては、クロロスルホン酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、三酸化硫黄−トリエチルフォスフェート、濃硫酸、トリメチルシリルクロロサルフェート、トリメチルベンゼンスルホン酸などの公知のスルホン化剤などが使用できる。工業的入手の容易さ、スルホン酸基の導入の容易さや得られる高分子電解質膜の特性を考慮すると、クロロスルホン酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、濃硫酸からなる群から選択させる少なくとも1種であることことが好ましい。とくに本発明においては、スルホン酸基の導入の容易さや得られた膜の特性、工業的入手の容易さなどから、クロロスルホン酸を使用するのがより好ましい。
また、反応系を適正化することによって、フリーデル−クラフツ反応にしたがって、塩化アルミニウムなどの触媒存在下で、プロパンサルトンや1,4−ブタンサルトンなどの環状含硫黄化合物と炭化水素系高分子化合物中の芳香族単位を接触させて、スルホプロピル基やスルホブチル基などのスルホン酸基を含む置換基を導入する方法なども使用することができる。
さらに、本発明の高分子電解質膜は、前記高分子組成物からなる高分子フィルムと、スルホン化剤とを溶媒存在下で接触させて製造することが好ましい。前記溶媒としては例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、1−クロロプロパン、1−ブロモプロパン、1−ヨードプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、1−ヨードブタン、2−ヨードブタン、1−ヨード−2−メチルプロパン、1−クロロペンタン、1−ブロモペンタン、1−ヨードペンタン、1−クロロヘキサン、1−ブロモヘキサン、1−ヨードヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン、ヨードシクロヘキサンなどが列挙できる。本発明においては、炭素数2以下のハロゲン化物を使用するのと比較して、沸点が高く、揮発しにくいため、溶媒の揮発防止や揮発した溶媒の回収のためなどの付帯設備が必要とならず、付帯設備に係る製造コストを低減することが可能となることから、炭素数3以上のハロゲン化物を使用するのが好ましく、1−クロロプロパン、1−ブロモプロパン、1−ヨードプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、1−ヨードブタン、2−ヨードブタン、1−ヨード−2−メチルプロパン、1−クロロペンタン、1−ブロモペンタン、1−ヨードペンタン、1−クロロヘキサン、1−ブロモヘキサン、1−ヨードヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン、ヨードシクロヘキサンなどが例示できる。特に使用する溶媒の扱いやすさ、得られる高分子電解質膜の特性を考慮すると、1−クロロプロパン、1−ブロモプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、1−クロロペンタン、1−ブロモペンタン、1−クロロヘキサン、1−ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサンおよびブロモシクロヘキサンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。更に工業的な入手のし易さから1−クロロプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロペンタン、1−クロロヘキサン、クロロシクロヘキサンから選択される少なくとも1種であることが好ましい。前記溶媒のなかでも、工業的入手の容易さや得られる高分子電解質膜の特性などの点から、1−クロロブタンが好ましい。
スルホン化剤の使用量としては、前記高分子化合物中の芳香族単位に対して、0.5〜30当量、さらには0.5〜15当量であるのが好ましい。スルホン化剤の使用量が、0.5当量よりも少ない場合には、スルホン酸基の導入量が少なくなったり、導入に要する時間が長くなるなどの傾向がある。一方、30当量を超える場合には、高分子フィルムが化学的に劣化し、得られる高分子電解質膜の機械的強度が低下し、ハンドリングが困難となったり、スルホン酸基の導入量が多くなりすぎて、メタノール遮断性が低下するなど、かえって高分子電解質膜の実用的な特性が損なわれる傾向がある。
溶媒中のスルホン化剤の濃度は、スルホン酸基の目標とする導入量や反応条件(温度・時間)を勘案して適宜設定すればよい。具体的には、0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましい範囲は、0.2〜5重量%である。0.1重量%より低いとスルホン化剤と高分子化合物中の芳香族単位とが接触しにくくなり、所望のスルホン酸基が導入できなかったり、導入するのに時間がかかりすぎたりする傾向がある。一方、10重量%をこえるとスルホン酸基の導入が不均一となったり、得られた高分子電解質膜の機械的特性が損なわれる傾向がある。
また、接触させる際の反応温度、反応時間についてはとくに限定はないが、0〜100℃、さらには10〜30℃、0.5時間以上、さらには2〜100時間の範囲で設定するのが好ましい。反応温度が、0℃より低い場合は、設備上冷却等の措置が必要になるとともに、反応に必要以上の時間がかかる傾向があり、100℃をこえると反応が過度に進行したり、副反応を生じたりして、膜の特性を低下させる傾向がある。また、反応時間が、0.5時間より短い場合は、スルホン化剤と高分子化合物中の芳香族単位との接触が不充分となり、所望のスルホン酸基が導入しにくくなる傾向があり、反応時間が100時間をこえる場合は、生産性が著しく低下する傾向を示すとともに、膜特性の大きな向上は期待できなくなる傾向がある。実際には、使用するスルホン化剤や溶媒などの反応系、目標とする生産量などを考慮して、所望の特性を有する高分子電解質膜を効率的に製造することができるように設定すればよい。
本発明の高分子電解質膜の製造方法は、上記のスルホン酸基の導入工程の後、未反応のスルホン化剤や溶媒の除去を行うため、水洗することが好ましい。このとき、スルホン酸基の導入工程後の高分子電解質膜を回収することなく、連続的に水洗を行い、適切な条件で乾燥を実施し、高分子電解質膜を得ることが好ましい。また、水洗の代わりに、水酸化ナトリウム水溶液などで中和洗浄した後、酸処理を行って、高分子電解質膜を得ても良い。
また、本発明の製造方法により製造される高分子電解質膜を製造する際に、その高分子膜に、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、抗菌剤、滑剤、表面活性剤、各種有機フィラーなどの添加剤を適量含有させてもよい。
本発明の高分子電解質膜のイオン交換容量は、好ましくは0.3ミリ当量/g以上であり、より好ましくは0.5ミリ当量/g以上であり、さらに好ましくは1.0ミリ当量/g以上である。イオン交換容量が、0.3ミリ当量/gよりも低い場合には、所望のプロトン伝導度を発現しない恐れがあり、好ましくない。
本発明の高分子電解質膜の、室温におけるプロトン伝導度は、好ましくは1.0×10-3S/cm以上であり、より好ましくは1.0×10-2S/cm以上である。プロトン伝導度が1.0×10-3S/cmよりも低い場合には、本発明の高分子電解質膜を固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池の電解質膜として使用した場合に、充分な発電特性を示さない恐れがある。
本発明の高分子電解質膜の厚みは、用途に応じて任意の厚みが選択可能である。膜の内部抵抗を低減することを考慮した場合、実用的な機械的強度を有する範囲で、固体高分子形燃料電池の電解質膜に使用する場合には、燃料および酸化剤の遮断性を有する範囲で、それぞれ薄いほどよい。電解質膜としての特性は、イオン交換容量やプロトン伝導度が同等であれば、厚みが薄くなるほど、膜としての抵抗値が低くなる。したがって、膜の厚みは、好ましくは5〜200μmであり、より好ましくは20〜150μmである。この厚みが、5μmより薄い場合は、使用時にピンホールの発生や膜割れが生じやすくなる傾向がある。また、固体高分子形燃料電池の電解質膜として使用した場合に、燃料や酸化剤の遮断性が不充分となり、性能低下の要因となる傾向がある。さらに直接メタノール形燃料電池の電解質膜として使用した場合には、メタノール遮断性が不充分となり、メタノール透過による性能低下の要因となる傾向がある。一方、200μmを超える場合は、高分子電解質膜の抵抗が大きくなり、性能低下の要因となる傾向がある。
本発明の製造方法で得られるスルホン化高分子膜は、プロトン伝導性、化学的・熱的安定性、機械的特性を備えており、固体高分子形燃料電池やメタノールなどのアルコール類を使用する直接アルコール形燃料電池に使用可能な燃料電池用膜として好ましい。実際に、燃料電池用膜として使用する場合には、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜で適用されている公知の方法で、触媒や電極を膜上に接合し、これらと燃料および酸化剤の供給路、集電体から燃料電池セルが構成することができる。また、必要な出力を得るため、セルを複数枚配置して、スタックを構成し、使用することもできる。燃料としては、純水素、メタノール・天然ガス・ガソリンなどの改質水素ガス、メタノールなどのアルコール類、ジメチルエーテルなどが使用可能である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(実施例1)
(ナノシート化層状チタン酸Aの調製)
炭酸カリウム27.64g、炭酸リチウム4.91g、二酸化チタン69.23g及び塩化カリウム74.56gを乾式で粉砕混合した原料を1100℃にて4時間焼成した。焼成後の試料を10kgの純水に浸して20時間撹拌後に分離、水洗したものを110℃で乾燥した。得られた白色粉末は、層状チタン酸塩K0.8Li0.27Ti1.734であり、平均長径44μmであった。
この層状チタン酸塩65gを脱イオン水1kgに分散し、35%塩酸28gを添加した。1.5時間攪拌した後、分離、水洗して、KイオンとLiイオンを水素イオンまたはヒドロニウムイオンに交換した層状チタン酸とした。Kイオンの交換率72当量%、Liイオンの交換率99当量%以上であった。XRD分析により、層間距離は9.2Åであった。
この層状チタン酸50gをさらに脱イオン水4kgに分散し、80℃に加熱撹拌しながら、ドデシルトリフェニルホスホニウム・ブロマイド130gを脱イオン水500gに溶解させたものを添加した。一時間加熱撹拌を続けた後、濾過して取り出した。80℃の脱イオン水で十分洗浄した後、空気中40℃で乾燥した。さらに、減圧下に160℃で12時間乾燥し、平均長径42μmのナノシート化層状チタン酸を得た。XRD分析により層間距離は23.7Åであり、ドデシルトリフェニルホスホニウムが層間挿入されていることを確認した。TG/DTAでの熱分解減量により、有機分は34.7wt%であった。
(高分子組成物の調製)
ポリフェニレンサルファイド樹脂(大日本インキ化学工業社製:ML320p)97重量部と上記方法で得られたナノシート化層状チタン酸A 3重量部を混合し、二軸押出機にて290℃で溶融押出し、高分子組成物のペレット(灰分1.5重量%)を得た。
(高分子フィルムの作製)
上記方法で得られた高分子組成物のペレットを、Tダイ法によって290℃で溶融押出成形し、高分子フィルムを作製した。
(高分子電解質膜の調製)
ガラス容器に、1−クロロブタン147g、クロロスルホン酸1.47gを秤量し、クロロスルホン酸溶液を調製した。この溶液に上記方法で作製した高分子フィルム0.34gを浸漬し、室温で20時間、放置した(クロロスルホン酸添加量は、ポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して4当量)。室温で20時間放置後に、高分子フィルムを回収し、イオン交換水で中性になるまで洗浄した。
洗浄後の高分子フィルムを23℃に調温した恒温恒湿器内で、相対湿度98%、80%、60%および50%の湿度調節下で、それぞれ30分間放置してフィルムを乾燥し、高分子電解質膜(厚み:90μm)を調製した。
この高分子電解質膜の各種特性を下記方法で測定した。結果を表1に示す。
Figure 2006291065
(イオン交換容量の測定方法)
高分子電解質膜(約10mm×40mm、厚み:任意)を塩化ナトリウム飽和水溶液に浸漬し、ウォーターバス中で60℃、3時間反応させる。室温まで冷却した後、サンプルをイオン交換水で充分に洗浄し、フェノールフタレイン溶液を指示薬として、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、イオン交換容量を算出した。
(プロトン伝導度)
イオン交換水中に保管した高分子電解質膜(10mm×40mm)を取り出し、試験体表面の水をろ紙で拭き取った。電極間距離30mmとなるよう、試験体表面に電極を設置し、2極非密閉系のテフロン(登録商標)製に装着した。25℃で電圧0.2Vの条件で、交流インピーダンス法(周波数:42Hz〜5MHz)により、膜表面の電極間の抵抗を測定し、プロトン伝導度を算出した。
(メタノール透過係数)
ビードレックス社製膜透過実験装置を使用して、イオン交換水と64重量%メタノール水溶液を高分子電解質膜で隔離して設置した。所定時間経過後にイオン交換水側に透過したメタノール量をガスクロマトグラフで定量した。これからメタノール透過速度を下記式(3)で算出し膜のメタノール透過係数を求めた。
Figure 2006291065
(実施例2)
(ナノシート化層状チタン酸Bの調製)
炭酸カリウム27.64g、炭酸リチウム4.91g、二酸化チタン69.23gを乾式で粉砕混合した原料を1050℃にて4時間焼成した。焼成後の試料を10kgの純水に浸して20時間撹拌後に分離、水洗したものを110℃で乾燥した。得られた層状チタン酸塩の10.9%水スラリー79.2Lを調整し、10%硫酸水溶液4.7kgを加えて2時間攪拌し、スラリーのpHを7.0に調整した。分離、水洗したものを110℃で乾燥した後、600℃で12時間焼成した。得られた白色粉末は、層状チタン酸塩K0.6Li0.27Ti1.733.9であり、平均長径28μmであった。
この層状チタン酸塩を用いて、有機塩基性化合物をオクタデシルジメチルベンジルアンモニウム・クロライドに変更する以外は実施例1と同様の方法で処理を行い、平均長径27μmのナノシート化層状チタン酸を得た。XRD分析により層間距離は24.7Åであり、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムが層間挿入されていることを確認した。TG/DTAでの熱分解減量により、有機分は41.5wt%であった。
(高分子組成物の調製)
ポリフェニレンサルファイド樹脂(大日本インキ化学工業社製:ML320p)93重量部と上記方法で得られたナノシート化層状チタン酸B 7重量部を混合し、二軸押出機にて290℃で溶融押出し、高分子組成物のペレット(灰分3.0重量%)を得た。
(高分子フィルムの作製)
上記方法で得られた高分子組成物のペレットを、Tダイ法によって290℃で溶融押出成形し、高分子フィルムを作製した。
(高分子電解質膜の調製)
ガラス容器に、1−クロロブタン129g、クロロスルホン酸1.29gを秤量し、クロロスルホン酸溶液を調製した。この溶液に上記方法で作製した高分子フィルム0.30gを浸漬し、室温で20時間、放置した(クロロスルホン酸添加量は、ポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して4当量)。室温で20時間放置後に、高分子フィルムを回収し、イオン交換水で中性になるまで洗浄した。
洗浄後の高分子フィルムを23℃に調温した恒温恒湿器内で、相対湿度98%、80%、60%および50%の湿度調節下で、それぞれ30分間放置してフィルムを乾燥し、高分子電解質膜(厚み:89μm)を調製した。
この高分子電解質膜の各種特性を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
高分子電解質膜として、デュポン社のナフィオン115(登録商標)を使用した。
この高分子電解質膜の各種特性を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
(高分子フィルムの作製)
ナノシート化層状チタン酸を使用せずに、ポリフェニレンサルファイド樹脂(大日本インキ化学工業社製:ML320p)のみを使用した以外は、実施例1と同様にして高分子フィルムを作製した。
(高分子電解質膜の調製)
ガラス容器に、1−クロロブタン133g、クロロスルホン酸1.66gを秤量し、クロロスルホン酸溶液を調製した。この溶液に上記方法で作製した高分子フィルム0.31gを浸漬し、室温で20時間、放置した(クロロスルホン酸添加量は、ポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して5当量)。室温で20時間放置後に、高分子フィルムを回収し、イオン交換水で中性になるまで洗浄した。
洗浄後の高分子フィルムを23℃に調温した恒温恒湿器内で、相対湿度98%、80%、60%および50%の湿度調節下で、それぞれ30分間放置してフィルムを乾燥し、高分子電解質膜(厚み:101μm)を調製した。
この高分子電解質膜の各種特性を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
実施例1、2と比較例1の比較から、本発明の高分子電解質膜は燃料電池用の高分子電解質膜として公知であるデュポン社製ナフィオン(登録商標)と同等以上のプロトン伝導度を有し、燃料電池用の高分子電解質膜として有用であることが示された。
また、実施例1、2と比較例1、2の比較から、本発明の高分子電解質膜はメタノール透過係数が低く、メタノール遮断性に優れることが明らかとなり、直接液体形燃料電池や直接メタノール形燃料電池の高分子電解質膜として有用であることが示された。

Claims (6)

  1. 固体高分子形燃料電池、直接液体形燃料電池、直接メタノール形燃料電池、に用いる高分子電解質膜の材料であって、
    (A)ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテルおよび変性ポリフェニレンエーテルからなる群から選択される少なくとも1種の高分子化合物、
    および、
    (B)リン片状チタン酸、
    の構成からなる高分子組成物。
  2. 前記リン片状チタン酸が、層状チタン酸塩を酸または温水で処理し、ついで層間膨潤作用を有する有機塩基性化合物を層間挿入して得られるナノシート化層状チタン酸であることを特徴とする請求項1記載の高分子組成物。
  3. 前記層状チタン酸塩が、一般式AXYZTi[2-(Y+Z)]4(式中、AおよびMは互いに異なる1〜3価の金属を示し、□はTiの欠陥部位を示す。Xは0<X<1.0を満たす正の実数であり、YおよびZは0<Y+Z<1を満たす0または正の実数である)で表されることを特徴とする請求項1又は2に記載の高分子組成物。
  4. 前記層状チタン酸塩が、K0.50.8Li0.27Ti1.733.854で表される請求項1又は2に記載の高分子組成物。
  5. 固体高分子形燃料電池、直接液体形燃料電池、直接メタノール形燃料電池、に用いる高分子電解質膜の材料であって、前記請求項1〜4のいずれかに記載の高分子組成物からなる高分子フィルム。
  6. 固体高分子形燃料電池、直接液体形燃料電池、直接メタノール形燃料電池、に用いる高分子電解質膜であって、前記請求項1〜4のいずれかに記載の高分子組成物に加えて、プロトン伝導性基を有することを特徴とする高分子電解質膜。
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