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JP2005222829A - 電解質および電池 - Google Patents

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JP2005222829A
JP2005222829A JP2004030364A JP2004030364A JP2005222829A JP 2005222829 A JP2005222829 A JP 2005222829A JP 2004030364 A JP2004030364 A JP 2004030364A JP 2004030364 A JP2004030364 A JP 2004030364A JP 2005222829 A JP2005222829 A JP 2005222829A
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lithium
electrolyte
secondary battery
positive electrode
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Akira Ichihashi
明 市橋
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Sony Corp
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Abstract

【課題】 サイクル特性を向上させることができる電解質およびそれを用いた電池を提供する。
【解決手段】 正極13と負極14とが電解質層16を介して積層されている。電解質層16は、電解液と高分子化合物とを含むゲル状の電解質により構成されている。電解液はα−メチレン−γ−ブチロラクトンを含んでいる。α−メチレン−γ−ブチロラクトンは充電時などに分解して負極14の表面に被膜を形成するので、負極14における電解質などの副反応を抑制することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電解質およびそれを用いた電池に関する。
近年、携帯電話,PDA(personal digital assistant;個人用携帯型情報端末機器)あるいはノート型コンピュータに代表される携帯型電子機器の小型化および軽量化が精力的に進められ、その一環として、それらの駆動電源である電池、特に二次電池のエネルギー密度の向上が強く望まれている。
高エネルギー密度を得ることができる二次電池としては、例えば、負極に炭素材料などのリチウム(Li)を吸蔵および離脱することが可能な材料を用いたリチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池では、負極材料中に吸蔵されたリチウムが必ずイオン状態であるように設計されるため、エネルギー密度は負極材料中に吸蔵することが可能なリチウムイオン数に大きく依存する。よって、リチウムイオン二次電池では、リチウムイオンの吸蔵量を高めることによりエネルギー密度を更に向上させることができると考えられる。しかし、現在リチウムイオンを最も効率的に吸蔵および離脱することが可能な材料とされている黒鉛の吸蔵量は、1g当たりの電気量換算で372mAhと理論的に限界があり、最近では精力的な開発活動により、その限界値まで高められつつある。
高エネルギー密度を得ることができる二次電池としては、また、負極にリチウム金属を用い、負極反応にリチウム金属の析出および溶解反応のみを利用したリチウム金属二次電池がある。リチウム金属二次電池は、リチウム金属の理論電気化学当量が2054mAh/cm3 と大きく、リチウムイオン二次電池で用いられる黒鉛の2.5倍にも相当するので、リチウムイオン二次電池を上回る高いエネルギー密度を得られるものと期待されている。これまでも、多くの研究者等によりリチウム金属二次電池の実用化に関する研究開発がなされてきた(例えば、非特許文献1参照。) 。
更に、近年では、負極にリチウムを吸蔵および離脱することが可能な材料を用い、その表面にリチウム金属を析出させることにより、負極の容量がリチウムの吸蔵および離脱による容量成分と、リチウムの析出および溶解による容量成分とを含むようにした二次電池も開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
これらの二次電池では、これまでもサイクル特性を向上させるために、電解質に種々の添加剤を添加することが検討されてきた(例えば、特許文献2参照。)。
リチウム バッテリーズ(Lithium Batteries ),ジェーン− ポール ガバノ(Jean-Paul Gabano)編, アカデミック・プレス(Academic Press), 1983, ロンドン(London), ニューヨーク(New York) 国際公開第WO 01/22519 A1号パンフレット 特開2003−197259号公報
しかしながら、リチウム金属二次電池、並びにリチウムの析出・溶解および吸蔵・離脱を利用した二次電池では、リチウムイオン二次電池に比べてサイクル特性が低く、更なる改善が求められていた。また、リチウムイオン二次電池についても、携帯型電子機器の利用に伴い、更なる寿命の延長が求められていた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、サイクルによる容量劣化を抑制することができる電解質およびそれを用いた電池を提供することにある。
本発明による電解質は、α−メチレン−γ−ブチロラクトンを含有する溶媒を含むものである。
本発明による電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、電解質は、α−メチレン−γ−ブチロラクトンを含有する溶媒を含むものである。
本発明の電解質によれば、α−メチレン−γ−ブチロラクトンを含むようにしたので、例えば電池に用いた場合には、α−メチレン−γ−ブチロラクトンが反応することにより負極の表面に被膜を形成することができる。よって、負極における副反応を抑制することができ、充放電サイクルによる容量劣化を抑制することができる。
特に、α−メチレン−γ−ブチロラクトンの含有量を溶媒において0.05質量%以上10質量%以下とすれば、より高い効果を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の一構成例を分解して表すものである。この二次電池は、いわゆるラミネートフィルム型といわれるものであり、巻回電極体10をフィルム状の外装部材20の内部に封入した構成を有している。巻回電極体10には、正極リード11および負極リード12が取り付けられている。正極リード11および負極リード12は、電気化学的にも化学的にも安定でかつ導通がとれる材料、例えばアルミニウム、銅あるいはニッケルなどの金属材料により構成されている。
外装部材20は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に張り合わせた矩形状のラミネートフィルムにより構成されている。外装部材20は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体10とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材20と正極リード11および負極リード12との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム21が挿入されている。密着フィルム21は、正極リード11および負極リード12に対して密着性を有する材料により構成され、例えば、正極リード11および負極リード12が上述した金属材料により構成される場合には、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されることが好ましい。
なお、外装部材20Aは、上述したラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図2は図1に示した巻回電極体10の断面構造の一部を拡大して表すものである。巻回電極体10は、正極13と負極14とをセパレータ15および電解質層16を介して積層し、巻回したものである。
正極13は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体13Aの両面に正極活物質層13Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極集電体13Aの片面のみに正極活物質層13Bを設けるようにしてもよい。正極集電体13Aは、例えばアルミニウム箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
正極活物質層13Bは、例えば、正極活物質として、軽金属であるリチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料を含んで構成されている。リチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物,リチウムリン酸化物,リチウム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物が適当であり、2種以上を混合して用いてもよい。特に、エネルギー密度を高くするには、一般式Lix MIO2 あるいはLiy MIIPO4 で表されるリチウム複合酸化物あるいはリチウムリン酸化物が好ましい。なお、式中、MIおよびMIIは1種類以上の遷移金属を表し、例えば、コバルト(Co),ニッケル(Ni),マンガン(Mn),鉄(Fe),アルミニウム(Al),バナジウム(V)およびチタン(Ti)のうちの少なくとも1種が好ましい。xおよびyの値は電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10の範囲内の値である。Lix MIO2 で表されるリチウム複合酸化物の具体例としては、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2 )、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2 )、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(Liz Niv Co1-v 2 ;zおよびvは例えば0<z<1、0.7<v<1.02である)、あるいはスピネル型結晶構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2 4 )などが挙げられる。また、Liy MIIPO4 で表されるリチウムリン酸化物の具体例としては、LiFePO4 などが挙げられる。
正極活物質層13Bは、また、例えば導電剤を含んでおり、必要に応じて更に結着剤を含んでいてもよい。導電剤としては、例えば、黒鉛,カーボンブラックあるいはケッチェンブラックなどの炭素材料が挙げられ、1種または2種以上が混合して用いられる。また、炭素材料の他にも、導電性を有する材料であれば金属材料あるいは導電性高分子材料などを用いるようにしてもよい。結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム,フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンゴムなどの合成ゴム、またはポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられ、1種または2種以上が混合して用いられる。
負極14は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体14Aの片面に負極活物質層14Bが設けられた構成を有している。負極集電体14Aは、例えば、銅箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
負極活物質層14Bは、負極活物質として、軽金属であるリチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、必要に応じて、例えば正極活物質層13Bと同様の結着剤を含んでいてもよい。なお、本明細書において軽金属の吸蔵・離脱というのは、軽金属イオンがそのイオン性を失うことなく電気化学的に吸蔵・離脱されることを言う。これは、吸蔵された軽金属が完全なイオン状態で存在する場合のみならず、完全なイオン状態とは言えない状態で存在する場合も含む。これらに該当する場合としては、例えば、黒鉛に対する軽金属イオンの電気化学的なインタカレーション反応による吸蔵が挙げられる。また、金属間化合物を含む合金への軽金属の吸蔵、あるいは合金の形成による軽金属の吸蔵も挙げることができる。
リチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料としては、例えば、黒鉛,難黒鉛化性炭素あるいは易黒鉛化性炭素などの炭素材料が挙げられる。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好な充放電サイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。
黒鉛としては、例えば、真密度が2.10g/cm3 以上のものが好ましく、2.18g/cm3 以上のものであればより好ましい。なお、このような真密度を得るには、(002)面のC軸結晶子厚みが14.0nm以上であることが必要である。また、(002)面の面間隔は0.340nm未満であることが好ましく、0.335nm以上0.337nm以下の範囲内であればより好ましい。
黒鉛は、天然黒鉛でも人造黒鉛でもよい。人造黒鉛であれば、例えば、有機材料を炭化して高温熱処理を行い、粉砕・分級することにより得られる。高温熱処理は、例えば、必要に応じて窒素(N2 )などの不活性ガス気流中において300℃〜700℃で炭化し、毎分1℃〜100℃の速度で900℃〜1500℃まで昇温してこの温度を0時間〜30時間程度保持し仮焼すると共に、2000℃以上、好ましくは2500℃以上に加熱し、この温度を適宜の時間保持することにより行う。
出発原料となる有機材料としては、石炭あるいはピッチを用いることができる。ピッチには、例えば、コールタール,エチレンボトム油あるいは原油などを高温で熱分解することにより得られるタール類、アスファルトなどを蒸留(真空蒸留,常圧蒸留あるいはスチーム蒸留),熱重縮合,抽出,化学重縮合することにより得られるもの、木材還流時に生成されるもの、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラートまたは3,5−ジメチルフェノール樹脂がある。これらの石炭あるいはピッチは、炭化の途中最高400℃程度において液体として存在し、その温度で保持されることで芳香環同士が縮合・多環化し、積層配向した状態となり、そののち約500℃以上で固体の炭素前駆体、すなわちセミコークスとなる(液相炭素化過程)。
有機材料としては、また、ナフタレン,フェナントレン,アントラセン,トリフェニレン,ピレン,ペリレン,ペンタフェン,ペンタセンなどの縮合多環炭化水素化合物あるいはその誘導体(例えば、上述した化合物のカルボン酸,カルボン酸無水物,カルボン酸イミド)、またはそれらの混合物を用いることができる。更に、アセナフチレン,インドール,イソインドール,キノリン,イソキノリン,キノキサリン,フタラジン,カルバゾール,アクリジン,フェナジン,フェナントリジンなどの縮合複素環化合物あるいはその誘導体、またはそれらの混合物を用いることもできる。
なお、粉砕は、炭化,仮焼の前後、あるいは黒鉛化前の昇温過程の間のいずれで行ってもよい。これらの場合には、最終的に粉末状態で黒鉛化のための熱処理が行われる。但し、嵩密度および破壊強度の高い黒鉛粉末を得るには、原料を成型したのち熱処理を行い、得られた黒鉛化成型体を粉砕・分級することが好ましい。
例えば、黒鉛化成型体を作製する場合には、フィラーとなるコークスと、成型剤あるいは焼結剤となるバインダーピッチとを混合して成型したのち、この成型体を1000℃以下の低温で熱処理する焼成工程と、焼成体に溶融させたバインダーピッチを含浸させるピッチ含浸工程とを数回繰り返してから、高温で熱処理する。含浸させたバインダーピッチは、以上の熱処理過程で炭化し、黒鉛化される。ちなみに、この場合には、フィラー(コークス)とバインダーピッチとを原料にしているので多結晶体として黒鉛化し、また原料に含まれる硫黄や窒素が熱処理時にガスとなって発生することから、その通り路に微小な空孔が形成される。よって、この空孔により、リチウムの吸蔵・離脱反応が進行し易しくなると共に、工業的に処理効率が高いという利点もある。なお、成型体の原料としては、それ自身に成型性、焼結性を有するフィラーを用いてもよい。この場合には、バインダーピッチの使用は不要である。
難黒鉛化性炭素としては、(002)面の面間隔が0.37nm以上、真密度が1.70g/cm3 未満であると共に、空気中での示差熱分析(differential thermal analysis ;DTA)において700℃以上に発熱ピークを示さないものが好ましい。
このような難黒鉛化性炭素は、例えば、有機材料を1200℃程度で熱処理し、粉砕・分級することにより得られる。熱処理は、例えば、必要に応じて300℃〜700℃で炭化した(固相炭素化過程)のち、毎分1℃〜100℃の速度で900℃〜1300℃まで昇温し、この温度を0〜30時間程度保持することにより行う。粉砕は、炭化の前後、あるいは昇温過程の間で行ってもよい。
出発原料となる有機材料としては、例えば、フルフリルアルコールあるいはフルフラールの重合体,共重合体、またはこれらの高分子と他の樹脂との共重合体であるフラン樹脂を用いることができる。また、フェノール樹脂,アクリル樹脂,ハロゲン化ビニル樹脂,ポリイミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,ポリアミド樹脂,ポリアセチレンあるいはポリパラフェニレンなどの共役系樹脂、セルロースあるいはその誘導体、コーヒー豆類、竹類、キトサンを含む甲殻類、バクテリアを利用したバイオセルロース類を用いることもできる。更に、水素原子(H)と炭素原子(C)との原子数比H/Cが例えば0.6〜0.8である石油ピッチに酸素(O)を含む官能基を導入(いわゆる酸素架橋)させた化合物を用いることもできる。
この化合物における酸素の含有率は3%以上であることが好ましく、5%以上であればより好ましい。酸素の含有率は炭素材料の結晶構造に影響を与え、これ以上の含有率において難黒鉛化性炭素の物性を高めることができ、負極14の容量を向上させることができるからである。ちなみに、石油ピッチは、例えば、コールタール,エチレンボトム油あるいは原油などを高温で熱分解することにより得られるタール類、またはアスファルトなどを、蒸留(真空蒸留,常圧蒸留あるいはスチーム蒸留),熱重縮合,抽出あるいは化学重縮合することにより得られる。また、酸化架橋形成方法としては、例えば、硝酸,硫酸,次亜塩素酸あるいはこれらの混酸などの水溶液と石油ピッチとを反応させる湿式法、空気あるいは酸素などの酸化性ガスと石油ピッチとを反応させる乾式法、または硫黄,硝酸アンモニウム,過硫酸アンモニア,塩化第二鉄などの固体試薬と石油ピッチとを反応させる方法を用いることができる。
なお、出発原料となる有機材料はこれらに限定されず、酸素架橋処理などにより固相炭化過程を経て難黒鉛化性炭素となり得る有機材料であれば、他の有機材料でもよい。
難黒鉛化性炭素としては、上述した有機材料を出発原料として製造されるものの他、特開平3−137010号公報に記載されているリン(P)と酸素と炭素とを主成分とする化合物も、上述した物性パラメータを示すので好ましい。
リチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料としては、また、リチウムと合金を形成可能な金属元素の単体、合金あるいは化合物、またはリチウムと合金を形成可能な半金属元素の単体、合金あるいは化合物が挙げられる。これらは高いエネルギー密度を得ることができるので好ましく、特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れた充放電サイクル特性を得ることができるのでより好ましい。なお、本明細書において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなるものも含める。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
このような金属元素あるいは半金属元素としては、スズ(Sn),鉛(Pb),アルミニウム,インジウム(In),ケイ素(Si),亜鉛(Zn),アンチモン(Sb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),マグネシウム(Mg),ホウ素(B),ガリウム(Ga),ゲルマニウム(Ge),ヒ素(As),銀(Ag),ジルコニウム(Zr),イットリウム(Y)またはハフニウム(Hf)が挙げられる。これらの合金あるいは化合物としては、例えば、化学式Mas Mbt Liu 、あるいは化学式Map Mcq Mdr で表されるものが挙げられる。これら化学式において、Maはリチウムと合金を形成可能な金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、MbはリチウムおよびMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、Mcは非金属元素の少なくとも1種を表し、MdはMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表す。また、s、t、u、p、qおよびrの値はそれぞれs>0、t≧0、u≧0、p>0、q>0、r≧0である。
中でも、長周期型周期表における14族の金属元素あるいは半金属元素の単体、合金または化合物が好ましく、特に好ましいのはケイ素あるいはスズ、またはこれらの合金あるいは化合物である。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
このような合金あるいは化合物について具体的に例を挙げれば、LiAl,AlSb,CuMgSb,SiB4 ,SiB6 ,Mg2 Si,Mg2 Sn,Ni2 Si,TiSi2 ,MoSi2 ,CoSi2 ,NiSi2 ,CaSi2 ,CrSi2 ,Cu5 Si,FeSi2 ,MnSi2 ,NbSi2 ,TaSi2 ,VSi2 ,WSi2 ,ZnSi2 ,SiC,Si3 4 ,Si2 2 O,SiOv (0<v≦2),SnOw (0<w≦2),SnSiO3 ,LiSiOあるいはLiSnOなどがある。
リチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料としては、更に、他の金属化合物あるいは高分子材料が挙げられる。他の金属化合物としては、酸化鉄,酸化ルテニウムあるいは酸化モリブデンなどの酸化物や、あるいはLiN3 などが挙げられ、高分子材料としてはポリアセチレン,ポリアニリンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
また、この二次電池では、充電の過程において、開回路電圧(すなわち電池電圧)が過充電電圧よりも低い時点で負極14にリチウム金属が析出し始めるようになっている。つまり、開回路電圧が過充電電圧よりも低い状態において負極14にリチウム金属が析出しており、負極14の容量は、リチウムの吸蔵・離脱による容量成分と、リチウム金属の析出・溶解による容量成分とを含み、かつその和で表される。従って、この二次電池では、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料とリチウム金属との両方が負極活物質として機能し、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料はリチウム金属が析出する際の基材となっている。
なお、過充電電圧というのは、電池が過充電状態になった時の開回路電圧を指し、例えば、日本蓄電池工業会(電池工業会)の定めた指針の一つである「リチウム二次電池安全性評価基準ガイドライン」(SBA G1101)に記載され定義される「完全充電」された電池の開回路電圧よりも高い電圧を指す。また換言すれば、各電池の公称容量を求める際に用いた充電方法、標準充電方法、もしくは推奨充電方法を用いて充電した後の開回路電圧よりも高い電圧を指す。具体的には、この二次電池では、例えば開回路電圧が4.2Vの時に完全充電となり、開回路電圧が0V以上4.2V以下の範囲内の一部においてリチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料の表面にリチウム金属が析出している。
これにより、この二次電池では、高いエネルギー密度を得ることができると共に、充放電サイクル特性および急速充電特性を向上させることができるようになっている。これは、負極14にリチウム金属を析出させるという点では負極にリチウム金属あるいはリチウム合金を用いた従来のリチウム二次電池と同様であるが、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料にリチウム金属を析出させるようにしたことにより、次のような利点が生じるためであると考えられる。
第1に、従来のリチウム二次電池ではリチウム金属を均一に析出させることが難しく、それが充放電サイクル特性を劣化させる原因となっていたが、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料は一般的に表面積が大きいので、この二次電池ではリチウム金属を均一に析出させることができることである。第2に、従来のリチウム二次電池ではリチウム金属の析出・溶解に伴う体積変化が大きく、それも充放電サイクル特性を劣化させる原因となっていたが、この二次電池ではリチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料の粒子間の隙間にもリチウム金属が析出するので体積変化が少ないことである。第3に、従来のリチウム二次電池ではリチウム金属の析出・溶解量が多ければ多いほど上記の問題も大きくなるが、この二次電池ではリチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料によるリチウムの吸蔵・離脱も充放電容量に寄与するので、電池容量が大きいわりにはリチウム金属の析出・溶解量が小さいことである。第4に、従来のリチウム二次電池では急速充電を行うとリチウム金属がより不均一に析出してしまうので充放電サイクル特性が更に劣化してしまうが、この二次電池では充電初期においてはリチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料にリチウムが吸蔵されるので急速充電が可能となることである。
これらの利点をより効果的に得るためには、例えば、開回路電圧が過充電電圧になる前の最大電圧時において負極14に析出するリチウム金属の最大析出容量は、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料の充電容量能力の0.05倍以上3.0倍以下であることが好ましい。リチウム金属の析出量が多過ぎると従来のリチウム二次電池と同様の問題が生じてしまい、少な過ぎると充放電容量を十分に大きくすることができないからである。また、例えば、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料の放電容量能力は、150mAh/g以上であることが好ましい。リチウムの吸蔵・離脱能力が大きいほどリチウム金属の析出量は相対的に少なくなるからである。なお、負極材料の充電容量能力は、例えば、リチウム金属を対極として、この負極材料を負極活物質とした負極について0Vまで定電流・定電圧法で充電した時の電気量から求められる。負極材料の放電容量能力は、例えば、これに引き続き、定電流法で10時間以上かけて2.5Vまで放電した時の電気量から求められる。
セパレータ15は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン,ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜はショート防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。特に、ポリエチレンは、100℃以上160℃以下の範囲内においてシャットダウン効果を得ることができ、かつ電気化学的安定性にも優れているので、セパレータ15を構成する材料として好ましい。また、ポリプロピレンも好ましく、他にも化学的安定性を備えた樹脂であればポリエチレンあるいはポリプロピレンと共重合させたり、またはブレンド化することで用いることができる。
電解質層16は、例えば、電解液と、この電解液を保持する高分子化合物とを含むいわゆるゲル状の電解質により構成されている。電解液は、例えば、非水溶媒などの溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含有している。
溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシド、燐酸トリメチル、およびこれらの化合物の水素基の一部または全部をフッ素基に置換したものが挙げられる。
中でも、溶媒には、環状炭酸エステルあるいは鎖状炭酸エステルの一方、または両方を含むようにすることが好ましく、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、およびエチルメチルカーボネートのうちの少なくとも1種を含むようにすることが好ましい。優れた充放電容量および充放電サイクル特性を得ることができるからである。
また、溶媒には、化1で表されるα−メチレン−γ−ブチロラクトンを含むようにすることが好ましい。α−メチレン−γ−ブチロラクトンは、例えば充電の際に分解して負極14の表面に被膜を形成し、負極14における電解質などの反応を抑制することができるからである。なお、γ−ブチロラクトンあるいはγ−バレロラクトンはこのような機能を持たない。α−メチレン−γ−ブチロラクトンの溶媒における含有量は、0.05質量%以上10質量%以下とすることが好ましい。この範囲内においてより高い効果を得ることができるからである。
Figure 2005222829
電解質塩としては、例えば、LiAsF6 ,LiPF6 ,LiBF4 ,LiClO4 ,LiB(C6 5 4 ,LiCH3 SO3 ,LiCF3 SO3 ,LiN(CF3 SO2 2 ,LiN(C2 5 SO2 2 ,LiN(C4 9 SO2 )(CF3 SO2 ),LiC(CF3 SO2 3 ,LiAlCl4 ,LiSiF6 ,LiClあるいはLiBrなどのリチウム塩が挙げられ、いずれか1種または2種以上を混合して用いてもよい。
電解質塩の含有量は、溶媒に対して0.5mol/kg以上3.0mol/kg以下の範囲内であることが好ましい。この範囲外ではイオン伝導度の極端な低下により十分な電池特性が得られなくなる虞があるからである。
高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンあるいはポリカーボネートが挙げられる。特に、電気化学的安定性の点からは、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、あるいはポリエチレンオキサイドの構造を持つ高分子化合物を用いることが望ましい。電解液に対する高分子化合物の添加量は、両者の相溶性によっても異なるが、通常、電解液の5質量%〜50質量%程度が好ましい。
また、電解質層16は、電解液を高分子化合物に代えて無機伝導体または高分子化合物と無機伝導体との混合物に保持させたものにより構成されてもよい。無機伝導体としては、例えば、窒化リチウム,ヨウ化リチウムあるいは水酸化リチウムの多結晶、ヨウ化リチウムと三酸化二クロムとの混合物、またはヨウ化リチウムと硫化チリウムと亜硫化二リンとの混合物などを含むものが挙げられる。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、この正極合剤スラリーを正極集電体12Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型し、正極活物質層13Bが形成された正極集電体12Aを所定の形状に打ち抜くことにより正極13を作製する。
次いで、例えば、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、この負極合剤スラリーを負極集電体14Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して負極活物質層14Bを形成し、負極14を作製する。その際、正極活物質層13Bと負極活物質層14Bとの容量の割合、具体的には正極活物質とリチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料との割合を調整し、上述したように充電の途中で負極14にリチウム金属が析出するようにする。
続いて、正極集電体13Aに正極リード11を取り付け、負極集電体14Aに負極リード12を取り付ける。そののち、電解液および高分子化合物を混合した塗布液を正極活物質層13Bおよび負極活物質層14Bの上に塗布して電解質層16を形成し、例えば、セパレータ15、正極13、セパレータ15、負極14の順に積層して巻回し、巻回電極体10を形成する。次いで、巻回電極体10を外装部材20の間に挟み込み、減圧雰囲気中において外装部材20を巻回電極体10に圧着させると共に、外装部材20の外縁部同士を熱融着などにより密着させる。なお、正極リード11および負極リード12と外装部材20との間には、密着フィルム21を挟み込んで密着させる。これにより図1に示した二次電池が完成する。
この二次電池は次のように作用する。
この二次電池では、充電を行うと、正極活物質層13Bからリチウムイオンが離脱し、電解質層16を介して、まず、負極活物質層14Bに含まれるリチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料に吸蔵される。更に充電を続けると、開回路電圧が過充電電圧よりも低い状態において、充電容量がリチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料の充電容量能力を超え、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料の表面にリチウム金属が析出し始める。そののち、充電を終了するまで負極14にはリチウム金属が析出し続ける。
次いで、放電を行うと、まず、負極14に析出したリチウム金属がイオンとなって溶出し、電解質層16を介して、正極活物質層13Bに吸蔵される。更に放電を続けると、負極活物質層14B中のリチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料に吸蔵されたリチウムイオンが離脱し、電解質層16を介して正極活物質層13Bに吸蔵される。よって、この二次電池では、従来のいわゆるリチウム二次電池およびリチウムイオン二次電池の両方の特性、すなわち高いエネルギー密度および良好な充放電サイクル特性が得られる。
また、本実施形態では、電解質層16にα−メチレン−γ−ブチロラクトンを含んでいるので、負極14の表面にα−メチレン−γ−ブチロラクトンよる安定な被膜が形成される。
このように本実施の形態によれば、α−メチレン−γ−ブチロラクトンを含むようにしたので、サイクル特性を向上させることができる。
特に、α−メチレン−γ−ブチロラクトンの溶媒における含有量を0.05質量%以上10質量%以下とすれば、より高い効果を得ることができる。
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態に係る二次電池は、負極活物質層14Bがリチウム金属により構成されていることを除き、第1の実施の形態と同様の構成を有している。また、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。よって、図1を参照し、対応する構成要素には同一の符号付してその詳細な説明を省略する。
この二次電池では、負極活物質としてリチウム金属を用いており、負極14の容量がリチウムの析出および溶解による容量成分により表される。負極活物質層14Bは、充放電により析出・溶解を繰り返すものであり、組み立て時からすでに負極集電体14Aに設けられていてもよいが、組み立て後に充電により形成されてもよい。また、負極集電体14Aは設けなくてもよい。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極活物質層13Bからリチウムイオンが離脱し、電解質層16を介して負極14にリチウム金属となって析出する。放電を行うと、例えば、負極14からリチウム金属がリチウムイオンとなって溶出し、電解質層16を介して正極活物質層13Bに吸蔵される。
このように本実施の形態によれば、α−メチレン−γ−ブチロラクトンを含むようにしたので、負極活物質としてリチウムを利用するいわゆるリチウム金属二次電池においても、サイクル特性を向上させることができる。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態に係る二次電池は、正極活物質層13Bと負極活物質層14Bとの容量の割合を調整し、充電の途中で負極14にリチウム金属が析出しないように構成されていることを除き、第1の実施の形態と同様の構成を有している。また、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。よって、図1を参照し、対応する構成要素には同一の符号付してその詳細な説明を省略する。
この二次電池では、負極活物質としてリチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料を用いており、負極14の容量がリチウムの吸蔵および離脱による容量成分により表される。
この二次電池では、充電を行うと、正極活物質層13Bからリチウムイオンが離脱し、電解質層16を介して負極活物質層14Bに吸蔵され、放電を行うと、負極活物質層14Bからリチウムイオンが離脱し、電解質層16を介して正極活物質層13Bに吸蔵される。
このように本実施の形態によれば、α−メチレン−γ−ブチロラクトンを含むようにしたので、いわゆるリチウムイオン二次電池においても、負極14の表面に形成される被膜により、電解質の分解反応などを抑制することができ、サイクル特性をより向上させることができる。
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
(実施例1−1)
負極の容量が、リチウムの吸蔵・離脱による容量成分により表される図1に示した構造のリチウムイオン二次電池を作製した。ここでは、図1を参照し、図1に示した符号を用いて説明する。
まず、正極活物質としてリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2 )を用い、このリチウム・コバルト複合酸化物と、導電剤であるグラファイトと、結着剤であるポリフッ化ビニリデンとを混合して正極合剤を調製した。次いで、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとしたのち、アルミニウム箔よりなる正極集電体12Aに均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層13Bを形成し、正極13を作製した。
また、負極活物質として、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料である人造黒鉛を用意し、この人造黒鉛と、結着剤であるポリフッ化ビニリデンとを混合して負極合剤を調製した。次いで、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとしたのち、銅箔よりなる負極集電体14Aに均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して負極活物質層14Bを形成し、負極14を作製した。その際、リチウム・コバルト複合酸化物の量と、人造黒鉛の量とを調節して、負極活物質層14Bの容量が正極活物質層の容量の11/10となるようにし、負極14にリチウム金属が析出しないようにした。
続いて、正極集電体13Aに正極リード11を取り付けると共に、負極集電体14Aに負極リードを取り付け、正極活物質層13Bおよび負極活物質層14Bの上に電解質層16を形成した。電解質層16は、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとを6:4の質量比で混合し、これにα−メチレン−γ−ブチロラクトンを1質量%の含有量となるように添加した溶媒に対して、電解質塩であるLiPF6 を0.7mol/kgの含有量で溶解させて電解液を調製し、この電解液をヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとの共重合体に保持させたゲル状の電解質により形成した。共重合体におけるヘキサフルオロプロピレンの割合は、6.9質量%とした。
次いで、セパレータ15、正極13、セパレータ15、負極14の順に積層して巻回し、巻回電極体10を形成したのち、巻回電極体10を外装部材20の間に封入した。これにより図1に示したラミネートフィルム型の二次電池を作製した。
実施例1−1に対する比較例1−1として、電解液にα−メチレン−γ−ブチロラクトンを添加しないことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。また、実施例1−1に対する比較例1−2〜1−4として、α−メチレン−γ−ブチロラクトンに代えて、γ−ブチロラクトン,γ−バレロラクトンあるいはγ−メチレン−γ−ブチロラクトンのいずれかを添加したことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例1−1および比較例1−1〜1−4の二次電池について、充放電試験を行い、サイクル特性を調べた。充放電試験では、23℃で負荷1Cの定電流定電圧充電を上限4.2Vまで2.5時間行ったのち、負荷1Cの定電流放電を終止電圧3.0Vまで行うという工程を1サイクルとし、100サイクル繰り返した。なお、1Cとは理論容量を1時間で放電しきる電流値をいう。サイクル特性としては、100サイクル目の放電容量の1サイクル目の放電容量に対する容量維持率、すなわち(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100を求めた。その結果を表1に示す。なお、表1において、実施例1−1で電解液に添加したα−メチレン−γ−ブチロラクトンは、比較例1−1との比較において添加物として示した。
また、実施例1−1および比較例1−1〜1−4の二次電池について、上述した条件で1サイクル充放電を行ったのち再度完全充電させたものを解体し、目視および 7Li核磁気共鳴分光法により、負極活物質層14Bにリチウム金属が析出しているか否かを調べたところ、リチウム金属の析出は認められなかった。すなわち、負極14の容量は、リチウムの吸蔵・離脱による容量成分により表されることが確認された。
Figure 2005222829
表1に示したように、α−メチレン−γ−ブチロラクトンを添加した実施例1−1によれば、添加していない比較例1−1、およびγ−ブチロラクトン,γ−バレロラクトンあるいはγ−メチレン−γ−ブチロラクトンを添加した比較例1−2〜1−4に比べて、高い容量維持率が得られた。すなわち、電解質にα−メチレン−γ−ブチロラクトンを含むようにすれば、より効果的にサイクル特性を向上させることができることが分かった。
(実施例2−1〜2−7)
α−メチレン−γ−ブチロラクトンの含有量を表2に示したように変えたことを除き、他は実施例2−1と同様にして二次電池を作製した。実施例3−1〜3−7の二次電池についても、実施例1−1と同様にしてサイクル特性を評価した。その結果を実施例1−1および比較例1−1の結果と共に表2に示す。
Figure 2005222829
表2に示したように、サイクル特性は、溶媒におけるα−メチレン−γ−ブチロラクトンの含有量を増加させると向上し、極大値を示したのち低下する傾向が見られた。すなわち、α−メチレン−γ−ブチロラクトンの含有量は、溶媒において0.05質量%以上10質量%以下とすれば、より好ましいことが分かった。
(実施例3−1)
負極の容量が、リチウムの吸蔵・離脱による容量成分と、リチウムの析出・溶解による容量成分とを含み、かつその和により表されるように、正極活物質であるリチウム・コバルト複合酸化物の量と、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料である人造黒鉛の量とを調節したことを除き、実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。具体的には、人造黒鉛による容量がリチウム・コバルト複合酸化物による容量の2/3となるようにした。
また、実施例3−1に対する比較例3−1として、α−メチレン−γ−ブチロラクトンを添加しないことを除き、他は実施例3−1と同様にして二次電池を作製した。実施例3−1および比較例3−1の二次電池についても、実施例1−1と同様にしてサイクル特性を評価した。その結果を表3に示す。
また、実施例3−1および比較例3−1の二次電池について、上述した条件で1サイクル充放電を行ったのち再度完全充電させたものを解体し、目視および 7Li核磁気共鳴分光法により、負極活物質層14Bにリチウム金属が析出しているか否かを調べた。更に、上述した条件で2サイクル充放電を行い、完全放電させたものを解体し、同様にして、負極活物質層14Bにリチウム金属が析出しているか否かを調べた。
その結果、実施例3−1および比較例3−1の二次電池では、完全充電状態においては負極活物質層14Bにリチウム金属の存在が認められ、完全放電状態においてはリチウム金属の存在が認められなかった。すなわち、負極14の容量は、リチウムの吸蔵・離脱による容量成分と、リチウム金属の析出・溶解による容量成分とを含み、かつその和により表されることが確認された。
Figure 2005222829
表3に示したように、実施例1−1と同様に、α−メチレン−γ−ブチロラクトンを添加した実施例3−1によれば、添加していない比較例3−1に比べて、高い容量維持率を得ることができた。また、表3と表1と比較すれば分かるように、実施例3−1の方が、実施例1−1よりも、比較例3−1,1−1に対する改善の程度が大きかった。
すなわち、負極14の容量が軽金属の吸蔵・離脱による容量成分と、軽金属の析出・溶解による容量成分とを含み、かつその和により表される二次電池においても、電解質にα−メチレン−γ−ブチロラクトンを含むようにすれば、サイクル特性を向上させることができ、より大きな効果を得られることが分かった。
なお、α−メチレン−γ−ブチロラクトンの添加量については、この二次電池についても実施例2−1〜2−7と同様の結果が得られる。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例においては、電解質層16を正極13および負極14の上に形成したのちに正極13と負極14とをセパレータ15を介して巻回する場合について説明したが、正極13および負極14を巻回したのちに、これに電解液と高分子化合物の原料であるモノマーとを含む電解質組成物を含浸させ、モノマーを重合させてゲル状の電解質を形成するようにしてもよい。
また、上記実施の形態および実施例においては、電解液を高分子化合物などの保持体に保持させた電解質を用いる場合について説明したが、電解液のみを用いるようにしてもよい。この場合、外装部材には缶を用いることが好ましい。
更に、上記実施の形態および実施例においては、正極13および負極14を巻回する場合について説明したが、正極および負極を折り畳んだりあるいは積み重ねるようにしてもよい。また、ラミネートフィルム型の二次電池に限らず、円筒型、楕円型、多角形型、コイン型、ボタン型、角型あるいは大型などの他の形状を有する二次電池についても本発明を適用することができる。更に、二次電池に限らず、一次電池についても適用することができる。
加えて、上記実施の形態および実施例においては、電極反応物質の軽金属としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他のアルカリ金属、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、またはアルミニウムなどの他の軽金属、またはリチウムあるいはこれらの合金を用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。その際、軽金属を吸蔵および離脱することが可能な負極材料、正極材料、非水溶媒、あるいは電解質塩などは、その軽金属に応じて選択される。但し、軽金属としてリチウムまたはリチウムを含む合金を用いるようにすれば、現在実用化されているリチウムイオン二次電池との電圧互換性が高いので好ましい。なお、軽金属としてリチウムを含む合金を用いる場合には、電解質中にリチウムと合金を形成可能な物質が存在し、析出の際に合金を形成してもよく、また、負極にリチウムと合金を形成可能な物質が存在し、析出の際に合金を形成してもよい。
本発明の第1ないし第3の実施の形態に係る二次電池の構成を表す斜視図である。 図1に示した二次電池における巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。
符号の説明
10…巻回電極体、11…正極リード、12…負極リード、13…正極、13A…正極集電体、13B…正極活物質層、14…負極、14A…負極集電体、14B…負極活物質層、15…セパレータ、16…電解質層、20…外装部材、21…密着フィルム。

Claims (5)

  1. α−メチレン−γ−ブチロラクトンを含有する溶媒を含むことを特徴とする電解質。
  2. 前記α−メチレン−γ−ブチロラクトンの含有量は、前記溶媒において0.05質量%以上10質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の電解質。
  3. 正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
    前記電解質は、α−メチレン−γ−ブチロラクトンを含有する溶媒を含むことを特徴とする電池。
  4. 前記負極の容量は、軽金属の吸蔵および離脱による容量成分と、軽金属の析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和により表されることを特徴とする請求項3記載の電池。
  5. 前記α−メチレン−γ−ブチロラクトンの含有量は、前記溶媒において0.05質量%以上10質量%以下であることを特徴とする請求項3記載の電池。
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