JP2004360530A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】機関への入力である点火時期St(t)を取得する入力取得手段と、機関からの出力であるトルクTq(t)を取得する出力取得手段と、点火時期St(t)及びトルクTq(t)と、以降の機関出力であるトルクTq(t+d)との相関関係を規定する規格化手段と、上記相関関係を任意の頻度で更新する更新手段と、点火時期St(t)及びトルクTq(t)と上記相関関係に基づいてトルクTq(t+d)を制御する制御手段と、を備える。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は内燃機関の制御装置に関し、特に、機関出力を制御する装置に適用して好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来から、内燃機関の点火時期を可変してトルクを制御する方法が知られている。例えば、特開平9−189281号公報には、筒内圧から図示平均有効圧を算出し、点火時期を可変することで図示平均有効圧を制御する方法が記載されている。
【0003】
また、特開昭59−18266号公報、特開昭59−18267号公報、特開昭59−18268号公報には、システムを状態方程式で数式化し、オブザーバーを使ってフィードバック制御のゲインを調整する方法が記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−189281号公報
【特許文献2】
特開昭59−18266号公報
【特許文献3】
特開昭59−18267号公報
【特許文献4】
特開昭59−18268号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−189281号公報に記載された方法は、時系列的に算出された図示平均有効圧の差分に基づいて点火時期を進角側または遅角側へ変更しているが、点火時期の調整量を具体的に取得する手段が設けられていない。従って、点火時期の制御は試行錯誤的となり目標値への最適な制御を行うことは困難である。
【0006】
また、特開昭59−18266号公報等に記載された方法では、システムを状態方程式で数式化した後は、数式が固定されてしまうため、システムの経時変化、に対応して制御内容を変更することはできない。従って、現在のシステムの状態に応じた柔軟な制御を行うことは困難である。
【0007】
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、経時変化などシステムの状態が変動した場合であっても内燃機関を最適に制御することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、機関への入力を取得する入力取得手段と、機関からの出力を取得する出力取得手段と、前記機関への入力及び前記機関からの出力と、以降の機関出力との相関関係を規定する規格化手段と、前記相関関係を任意の頻度で更新する更新手段と、前記機関への入力及び前記機関からの出力と前記相関関係とに基づいて、以降の機関出力を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記規格化手段は、前記機関への入力及び前記機関からの出力と、以降の機関出力との関係を定めた係数を取得する手段を含むことを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、前記更新手段は、前記機関への入力及び前記機関からの出力に基づいて、前記係数を任意の頻度で更新することを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第2又は第3の発明において、前記係数の値に基づいて異常判定を行う異常判定手段を更に備えたことを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、第1〜第4の発明のいずれかにおいて、前記制御手段は、制御の過程における前記機関への入力又は前記機関からの出力の変化率を可変する可変手段を含むことを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、第1〜第5の発明のいずれかにおいて、前記機関への入力は、点火時期、燃料噴射量又は吸入空気量であることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいてこの発明のいくつかの実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。なお、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる内燃機関の制御装置及びその周辺の構造を説明するための図である。内燃機関10には吸気通路12および排気通路14が連通している。吸気通路12は、上流側の端部にエアフィルタ16を備えている。エアフィルタ16には、吸気温THA(すなわち外気温)を検出する吸気温センサ18が組みつけられている。また、排気通路14には排気浄化触媒32が配置されている。
【0016】
エアフィルタ16の下流には、エアフロメータ20が配置されている。エアフロメータ20の下流には、スロットルバルブ22が設けられている。スロットルバルブ22の近傍には、スロットル開度TAを検出するスロットルセンサ24と、スロットルバルブ22が全閉となることでオンとなるアイドルスイッチ26とが配置されている。
【0017】
スロットルバルブ22の下流には、サージタンク28が設けられている。また、サージタンク28の更に下流には、内燃機関10の吸気ポートに燃料を噴射するための燃料噴射弁30が配置されている。
【0018】
内燃機関10の各気筒は点火プラグ31およびピストン34を備えている。ピストン34には、その往復運動によって回転駆動されるクランク軸36が連結されている。車両駆動系と補機類(エアコンのコンプレッサ、オルタネータ、トルクコンバータ、パワーステアリングのポンプ等)は、このクランク軸36の回転トルクによって駆動される。クランク軸36の近傍には、クランク軸36のトルクTq(t)を検出するためのトルクセンサ38が取り付けられている。また、エンジン10のシリンダブロックには、冷却水温を検出する水温センサ42が取り付けられている。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の制御装置はECU(Electronic Control Unit)40を備えている。ECU40には、上述した各種センサ、燃料噴射弁30および点火プラグ31に加えて、車速SPDを検出する車速センサ44などが接続されている。ECU40は、点火プラグ31に対して点火時期St(t)を指示する。
【0020】
次に、本実施形態の制御装置における処理の具体的内容について説明する。図2は、本実施形態の制御装置におけるシステムの構成を示す模式図である。図2に示すように、本実施形態の制御装置は、入力を点火時期St(t)とし、トルクTq(t)を出力する。この際、点火時期St(t)から直接トルクTq(t)を出力しても良いし、図2に示すように、点火時期St(t)を入力として図示平均有効圧P(t)を算出し、図示平均有効圧P(t)と比例関係にあるトルクTq(t)を比例係数kを用いて算出しても良い。
【0021】
以下の(1)式は、図2のシステムを最小二乗法でモデル化(規格化)したものである。(1)式は、図2の比例定数k=1として比例係数kによる演算を省略したものであり、点火時期StとトルクTqの関係を直接的に示している。
【0022】
【数1】
【0023】
(1)式は、現在の時刻tまでに求められたトルクTq(t)、Tq(t−1)、Tq(t−2)・・・、及び点火時期St(t)、St(t−1)、St(t−2)・・・に基づいて、次の時刻(t+d)でのトルクTq(T+d)を算出するものである。ここで、tの単位は、例えば[秒]とする。dはシステムの遅れであって簡易的にはd=1とすることができる。また、fk、gk(k=0,1,2・・・)はそれぞれ所定の係数であり、各係数fk、gkによって図2のシステムの特性が決定される。現在の時刻tまでのトルクTq(t)、Tq(t−1)、Tq(t−2)・・・はトルクセンサ38によって検出される。また、現在の時刻tまでの点火時期St(t)、St(t−1)、St(t−2)・・・は、ECU40から点火プラグ31に指示された値である。現在の時刻tまでのトルクTq(t)、Tq(t−1)、Tq(t−2)・・・、点火時期St(t)、St(t−1)、St(t−2)・・・、及び各係数fk、gk(k=0,1,2・・・)はECU40に記憶されている。
【0024】
ここで、図2のシステムから出力される目標トルクをTq_targetとし、評価関数Eを以下の(2)式で表すこととする。評価関数Eは、時刻T+dでのトルクTq(T+d)をTq_targetへ収束させることを規定した関数である。
【0025】
【数2】
【0026】
(2)式の右辺を0に限りなく近づけると、右辺の[ ]内が0に近づく。従って、{Tq_target−Tq(T+d)}、{Tq(t)−Tq(T−1)}、{St(t)−St(T−1)}の各項がそれぞれ0に近づくことになる。すなわち、評価関数E→0とすることで、時刻T+dでのトルクTq(T+d)を目標トルクTq_targetとする制御が可能となる。
【0027】
また、(2)式の右辺において、係数γ1,γ2は、トルクTqと点火時期Stの応答性を決定する係数である。係数γ1,γ2を適宜に選択することで、トルクTqと点火時期Stの応答性を変更することができる。
【0028】
例えば、評価関数E→0として時刻T+dでのトルクTq(T+d)を目標トルクTq_targetに制御する際に、トルク変動を最小限に抑えた状態で制御を行う場合は、係数γ1の値をより大きな値に設定する。これにより、Tq(t)−Tq(T−1)の変動が評価関数Eの変動へ与える影響が大きくなるため、E→0とする場合はTq(t)−Tq(T−1)の変動を抑えることができる。従って、例えば変速時などトルク変化率を最小とするスムーズな制御が要求される場合は、係数γ1の値を大きく設定することで、トルク変動を抑えた状態で目標トルクTq_targetへの制御が可能となる。
【0029】
反対に、急加速時など、トルク増量が要求され、トルク変動を許容した制御を行う場合は、係数γ1の値をより小さい値に設定すればよい。特に、トルク変動を考慮することなく単にトルクTq(T+d)を目標トルクTq_targetに制御したい場合はγ1=0とする。
【0030】
同様に、評価関数E→0として時刻T+dでのトルクTq(T+d)を目標トルクTq_targetに制御する際に、点火時期の変動を最小限に抑えた状態で制御を行う場合は、係数γ2の値をより大きな値に設定する。これにより、St(t)−St(T−1)の変動、すなわち点火時期の変動を最小限に抑えた制御を実現できる。反対に、点火時期の変動を許容した制御を行う場合は、係数γ2の値をより小さい値に設定すればよく、点火時期の変動を考慮することなく単にトルクTq(T+d)を目標トルクTq_targetに制御したい場合はγ2=0とする。従って、係数γ1,γ2を最適な値に設定することで、運転状態に応じた最適な制御を実現できる。
【0031】
このように、評価関数E→0とすることで、時刻T+dでのトルクTq(T+d)を目標トルクTq_targetとする制御が可能となる。一方、図2のシステムにおけるトルクTqと点火時期Stとの間には(1)式の関係があり、(2)式の右辺=0として、すなわち右辺の[ ]内を0として(1)式へ代入し、St(t)について解くと以下の(3)式が得られる。(3)式は、時刻T+dでのトルクTq(T+d)を目標トルクTq_targetへ適応制御するものであり、時刻tでの最適な点火時期St(t)を算出する式である。
【0032】
【数3】
【0033】
(3)式によれば、過去に求められたトルクTq(t), Tq(T−1), Tq(T−2)・・・、および点火時期St(t), St(T−1), St(T−2)・・・に基づいて現在の時刻tにおける最適な点火時期St(t)を算出することができる。そして、点火時期をSt(t)に設定することで、時刻T+dでのトルクTq(T+d)を目標トルクTq_targetとする制御が可能となる。(3)式によれば、時刻T+dにおいてトルクTq(T+d)を確実に目標トルクTq_targetとすることができるため、ゲイン調整などの試行錯誤を行うことなく目標トルクへの制御が可能となる。この際、トルクまたは点火時期の変化率に要求がある場合は、上述したようにγ1,γ2の値を適宜選択することで、トルク、点火時期の応答性を最適に設定した上で点火時期St(t)を算出することができる。従って、(3)式によれば、様々な制約条件を(2)式の評価関数Eに含ませることにより、最適な制御を実現することができる。
【0034】
例えば、トルクTqを最大トルクTqmaxに制御する場合は、(3)式において目標トルクTq_targetをTqmaxに設定する。これにより、(3)式から最大トルクTqmaxを出力するために最適な点火時期St(t)を算出することができる。この場合において、トルクTqを最大トルクTqmaxへ制御する過程のトルク変動を許容して制御を行う場合は、係数γ1=0とすれば良い。これにより、トルク変動を考慮することなく最適な点火時期St(t)を即座に算出することができる。
【0035】
(3)式から点火時期St(t)を求める場合は、各係数f0, f1, f2・・・, g0, g1, g2・・・を予め取得しておく必要がある。各係数f0, f1, f2・・・, g0, g1, g2・・・を求める場合は、各係数f0, f1, f2・・・, g0, g1, g2・・・を未知数とし、未知数の数に相当する数の(1)式を連立して解くことにより求めることができる。この際、(1)式に過去に取得されたトルクTqおよび点火時期Stを代入することにより、異なる時刻で得られた複数の(1)式を設定する。例えば、(1)式でd=1, t=t−1とすると以下の(4)式が得られ、同様に(1)式でd=1, t=t−2とすると以下の(5)式が得られる。(4)式において、Tq(t), Tq(t−1), Tq(T−2), Tq(T−3)・・・, St(t−1), St(T−2), St(T−3)・・・はECU40で既に取得され、記憶されている。同様に(5)式においても各トルクTq、点火時期Stの値はECU40に記憶されている。従って、(1)式のtを異なる値に設定することで、必要な数の(1)式を連立方程式として設定することができ、その解を求めることで各係数f0, f1, f2・・・, g0, g1, g2・・・の値を算出することができる。
【0036】
【数4】
【0037】
各係数f0, f1, f2・・・, g0, g1, g2・・・は、過去に取得された各トルクTq、点火時期Stと、時刻t+dにおけるトルクTq(T+d)との関係を定める係数であり、点火時期StからトルクTqを求める図2に示すシステムの状態を反映するものである。本実施形態の制御装置は、上述した方法により各係数f0, f1, f2・・・, g0, g1, g2・・・を一定期間毎に算出し、常に最新の値に更新する。これにより、システムの最新の状態を取得することができ、システムの状態に応じて高精度にトルクTq(T+d)を制御することが可能となる。
【0038】
そして、各係数f0, f1, f2・・・, g0, g1, g2・・・を最新の値に更新することで、システムに経時変化が生じた場合であっても、その経時変化が各係数f0, f1, f2・・・, g0, g1, g2・・・に反映されることとなる。従って、本実施形態の制御装置によれば、機関の摺動部分における摩擦係数、燃料の性状、点火プラグの劣化など、様々な要因に起因する経時変化が生じた場合であっても、最新の各係数f0, f1, f2・・・, g0, g1, g2・・・を用いて演算を行うことにより、トルクTq(T+d)を正確に算出することが可能となる。
【0039】
また、各係数f0, f1, f2・・・, g0, g1, g2・・・を更新していく過程で、各係数のいずれかに異常値が表れた場合には、システムに異常が生じたものと判定することも可能となる。例えば、各係数に対して異常判定のしきい値を設定しておくことで、更新した値がしきい値を超えた場合に異常が生じたものと判定できる。従って、本実施形態の制御装置によれば、各係数f0, f1, f2・・・, g0, g1, g2・・・を更新しながらその値を監視することで、システムの異常判定を行うことが可能となる。
【0040】
図1に示すように、本実施形態の制御装置はトルクセンサ38を備えているため、図2に示す比例係数kを用いることなく、上述したように点火時期St(t)とトルクTq(t)との関係を直接的に求めることができる。筒内に燃焼圧センサを設けている場合は、図2に示すように燃焼圧センサの検出値から図示平均有効圧P(t)を求めた後、比例係数kを用いてトルクTq(t)を算出すれば良い。この場合において、比例係数kは例えばマップ等から取得する。
【0041】
各係数f0, f1, f2・・・, g0, g1, g2・・・は、最小二乗法によるトルクモデルから求めることもできる。以下、(6)式〜(12)式に基づいて、最小二乗法によるトルクモデルから各係数f0, f1, f2・・・, g0, g1, g2・・・を算出する方法を説明する。ここでは、図2に示すトルクモデルが(1)式を簡略化した以下の(6)式で表されるものとして、最小二乗法により各係数f0, f1, g0, g1を推定する方法を説明する。(6)式において、遅れdは2に設定している。
【0042】
【数5】
【0043】
(6)式の各係数f0, f1, g0, g1は、係数S0(t−1), S1(t−1), S2(t−1), S3(t−1)を用いて以下の(7)式から推定することができる。
【0044】
【数6】
【0045】
(7)式において、ΔY,k0は、以下の(8)式、(9)式で示される。
【0046】
【数7】
【0047】
また、(7)式中のS0(t−1), S1(t−1), S2(t−1), S3(t−1)は、4×4対称行列Aを以下の(10)式とした場合に、(11)式で示される。
【0048】
【数8】
【0049】
ここで、行列Aの更新は以下の(12)式より行われる。(12)式において、λは固定値である。
【0050】
【数9】
【0051】
最小二乗法によるトルクモデルから各係数f0, f1, g0, g1を算出した場合、連立方程式により各係数f0, f1, g0, g1を算出する場合と比較して、計測データ(トルクTq(t), Tq(T−1), Tq(T−2)・・・、点火時期St(t), St(T−1), St(T−2)・・・)の誤差が各係数f0, f1, g0, g1の算出精度に与える影響が小さくなる。従って、(6)式〜(12)式に基づいて、最小二乗法によるトルクモデルから各係数f0, f1, g0, g1を算出することで、各係数f0, f1, g0, g1の算出精度をより高めることができる。
【0052】
以上説明したように実施の形態1によれば、各係数f0, f1, f2・・・, g0, g1, g2・・・に基づいて最適な点火時期を算出することにより、出力が目標のトルクとなるように機関を制御することが可能となる。また、各係数f0, f1, f2・・・, g0, g1, g2・・・を更新することにより、最新のシステムの状態に応じた制御を行うことができ、各係数f0, f1, f2・・・, g0, g1, g2・・・の値に基づいて異常判定を行うことも可能となる。
【0053】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態1では点火時期Stをシステムの入力としてトルクTqを目標値へ制御したが、実施の形態2では点火時期St以外の要素も入力してトルクTqを目標値へ制御するものである。
【0054】
図3は、実施の形態2にかかる内燃機関の制御装置のシステム構成を示す模式図である。図3に示すように、実施の形態3では点火時期St(t)の他に燃料噴射量Fi(t)を入力してトルクTqを制御する。
【0055】
以下の(13)式は、図3のシステムを最小二乗法で表したものであり、実施の形態1の(1)式に対応する。(13)式においては、図3の比例定数k=1として比例係数kによる演算を省略したものであり、点火時期St及び燃料噴射量Fi(t)と、トルクTqとの関係を直接的に示している。
【0056】
【数10】
【0057】
(1)式と同様に、(13)式においてdはシステムの遅れ、fk、gk、hk(k=0,1,2・・・)はそれぞれ係数を示している。現在の時刻tまでの燃料噴射量Fi(t)、Fi(t−1)、Fi(t−2)は、ECU40から燃料噴射弁30へ指示された値である。実施の形態1と同様に、現在の時刻tまでのトルクTq(t)、Tq(t−1)、Tq(t−2)、点火時期St(t)、St(t−1)、St(t−2)、燃料噴射量Fi(t)、Fi(t−1)、Fi(t−2)及び各係数fk、gk、hk(k=0,1,2・・・)はECU40に記憶されている。そして、図3のシステムから出力される目標トルクをTq_targetとすると、実施の形態2の評価関数Eは以下の(14)式で表される。
【0058】
【数11】
【0059】
実施の形態1と同様に、時刻(t)での最適な点火時期St(t)、燃料噴射量Fi(t)は、(14)式の右辺=0として(13)式に代入し、St(t)またはFi(t)について解くと以下の(15)式、(16)式が得られる。(15)式は、時刻T+dでのトルクTq(T+d)を目標トルクTq_targetに制御する場合に、時刻tでの最適な点火時期St(t)を算出する式である。また、(16)式は、時刻T+dでのトルクTq(T+d)を目標トルクTq_targetに制御する場合に、時刻tでの最適な燃料噴射量Fi(t)を算出する式である。
【0060】
【数12】
【0061】
実施の形態1と同様に、例えば最大トルクを求める場合はTq_target=Tqmaxとし、かつγ1=0に設定する。そして、点火時期St(t)の制御により最大トルクを実現する場合は、(15)式から最適な点火時期St(t)を求めることができる。また、燃料噴射量Fi(t)の制御により最大トルクを実現する場合は(16)式から最適な燃料噴射量Fi(t)を求めることができる。また、実施の形態1と同様に、(15)式、(16)式のγ1、γ2、γ3を調整することで、トルクの変化率、点火時期の変化率、燃料噴射量の変化率の応答性、すなわち制御のスムーズさを可変することができる。
【0062】
以上説明したように実施の形態2によれば、点火時期St(t)、または燃料噴射量Fi(t)を制御することにより、トルクTq(t)を目標トルクTq_targetへ制御することが可能となる。従って、複数の入力に基づいてトルクTq(t)を制御することが可能となり、例えば点火時期St(t)の最適化によって目標トルクTq_targetを実現することに支障がある場合は、燃料噴射量Fi(t)の最適化によって目標トルクTq_targetを実現することも可能となる。
【0063】
なお、実施の形態2において、入力を更に増やしても良い。例えば、吸入空気量Ga(t)などを更に入力として追加しても、同様の制御を行うことができる。
【0064】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0065】
第1の発明によれば、機関への入力及び機関からの出力と、以降の機関出力との相関関係を任意の頻度で更新するようにしたため、機関に経時変化が生じた場合であっても、以降の機関出力を正確に制御することが可能となる。
【0066】
第2の発明によれば、機関への入力及び機関からの出力と、以降の機関出力との関係を定めた係数を取得するようにしたため、この係数を用いて以降の機関出力を確実に制御することが可能となる。
【0067】
第3の発明によれば、機関への入力及び機関からの出力に基づいて、係数を任意の頻度で更新するようにしたため、機関に経時変化が生じた場合であっても、以降の機関出力を正確に制御することが可能となる。
【0068】
第4の発明によれば、係数の値に基づいて異常判定を行うことが可能となり、機関出力の制御の信頼性を高めることが可能となる。
【0069】
第5の発明によれば、機関出力を制御する際の入力または出力の変化率を可変することができるため、機関の運転状態に応じた最適な制御が可能となる。
【0070】
第6の発明によれば、点火時期、燃料噴射量又は吸入空気量に基づいて機関出力を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1,2にかかる内燃機関の制御装置及びその周辺の構造を説明するための図である。
【図2】実施の形態1にかかる制御装置におけるシステムの構成を示す模式図である。
【図3】実施の形態2にかかる制御装置におけるシステムの構成を示す模式図である。
【符号の説明】
20 エアフロメータ
30 燃料噴射弁
31 点火プラグ
38 トルクセンサ
40 ECU
Claims (6)
- 機関への入力を取得する入力取得手段と、
機関からの出力を取得する出力取得手段と、
前記機関への入力及び前記機関からの出力と、以降の機関出力との相関関係を規定する規格化手段と、
前記相関関係を任意の頻度で更新する更新手段と、
前記機関への入力及び前記機関からの出力と前記相関関係とに基づいて、以降の機関出力を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記規格化手段は、前記機関への入力及び前記機関からの出力と、以降の機関出力との関係を定めた係数を取得する手段を含むことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
- 前記更新手段は、前記機関への入力及び前記機関からの出力に基づいて、前記係数を任意の頻度で更新することを特徴とする請求項2記載の内燃機関の制御装置。
- 前記係数の値に基づいて異常判定を行う異常判定手段を更に備えたことを特徴とする請求項2又は3記載の内燃機関の制御装置。
- 前記制御手段は、制御の過程における前記機関への入力又は前記機関からの出力の変化率を可変する可変手段を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
- 前記機関への入力は、点火時期、燃料噴射量又は吸入空気量であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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JP2003158613A JP2004360530A (ja) | 2003-06-03 | 2003-06-03 | 内燃機関の制御装置 |
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JP2003158613A JP2004360530A (ja) | 2003-06-03 | 2003-06-03 | 内燃機関の制御装置 |
Publications (1)
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JP (1) | JP2004360530A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008077376A (ja) * | 2006-09-21 | 2008-04-03 | Toyota Motor Corp | シミュレーション装置、シミュレーション方法及びシミュレーションプログラム |
-
2003
- 2003-06-03 JP JP2003158613A patent/JP2004360530A/ja active Pending
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