JP2004075848A - 導電性含フッ素共重合体組成物及びそれを用いた積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性、燃料バリア性、熱可塑性樹脂との接着性に優れる成形物を与える導電性含フッ素共重合体組成物及びそれを用いた積層体の提供。
【解決手段】テトラフルオロエチレンに基づく重合単位(a)、エチレンに基づく重合単位(b)及び重合性不飽和結合を有するポリカルボン酸無水物に基づく重合単位(c)を含有し、(a)/(b)のモル比が20/80〜80/20であり、(c)/((a)+(b))のモル比が1/1000〜5/100である含フッ素共重合体(A)、及び導電性フィラー(B)を含有し、(A)/(B)が質量比で70/30〜99/1である導電性含フッ素共重合体組成物及びそれを用いた積層体。
【選択図】なし
【解決手段】テトラフルオロエチレンに基づく重合単位(a)、エチレンに基づく重合単位(b)及び重合性不飽和結合を有するポリカルボン酸無水物に基づく重合単位(c)を含有し、(a)/(b)のモル比が20/80〜80/20であり、(c)/((a)+(b))のモル比が1/1000〜5/100である含フッ素共重合体(A)、及び導電性フィラー(B)を含有し、(A)/(B)が質量比で70/30〜99/1である導電性含フッ素共重合体組成物及びそれを用いた積層体。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性、耐薬品性及び燃料バリア性に優れる成形物を与える導電性含フッ素共重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン系共重合体等のフッ素系重合体(フッ素樹脂ともいう)は、耐熱性、耐薬品性、耐候性、ガスバリア性等に優れた特性を有し、半導体産業や自動車産業等の種々の分野で使用されている。
【0003】
近年、タンク、ホース、チューブなどの部品、特に高温環境等の過酷な条件にさらされる自動車のエンジンルーム内で使用される燃料ホースへフッ素系重合体の適用が検討されている。燃料ホースとは、アルコールや芳香族炭化水素化合物を含むガソリン系燃料を移送するための配管用ホースである。
【0004】
特に、フッ素系重合体の層を含有する積層体からなる燃料ホースが検討されている。積層体の中で、燃料に直接接触する内層材料としては、燃料を透過しにくい燃料バリア性、及び燃料に含有されるエタノールやメタノール等の浸食性液体に対する耐薬品性を有することが必須であり、フッ素系重合体が適する。また、内層材料には、燃料が通過時に静電気が蓄積しないように帯電防止性も必要となる。
【0005】
一方、燃料ホースの外層材料としては、機械特性や耐久性に優れる熱可塑性樹脂が用いられ、通常、ポリアミド6、ポリアミド11及びポリアミド12等のポリアミド系樹脂が好適である。
【0006】
自動車からの燃料排出による大気汚染防止のため、燃料ホースからのガソリン透過量を制限する厳しい法規が制定され、これに対応するため燃料ホースの構成材料の燃料バリア性をさらに向上させることが要請されている。燃料ホースの構成材料として、フッ素系重合体の中でも燃料バリア性及び機械特性に優れるエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体が使用される。今後、法規制が一層厳しくなるに伴い、燃料バリア性をさらに向上させたフッ素系重合体の開発が要請されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような背景のもとに開発が要請されている、燃料バリア性、耐薬品性及び導電性に優れる成形物を与える導電性含フッ素共重合体組成物、及びその層を含有する積層体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位(a)、エチレンに基づく重合単位(b)及び重合性不飽和結合を有するポリカルボン酸無水物に基づく重合単位(c)を含有し、(a)/(b)のモル比が20/80〜80/20であり、(c)/((a)+(b))のモル比が1/1000〜5/100である含フッ素共重合体(A)、及び導電性フィラー(B)を含有し、(A)/(B)が質量比で70/30〜99/1であることを特徴とする導電性含フッ素共重合体組成物を提供する。
【0009】
また、本発明は、前記導電性含フッ素共重合体組成物の層を含有する積層体、前記導電性含フッ素共重合体組成物の層を最内層に有する積層ホースを提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における含フッ素共重合体(A)は、テトラフルオロエチレン(以下、TFEという。)に基づく重合単位(a)、エチレン(以下、Eという。)に基づく重合単位(b)及び重合性不飽和結合を有するポリカルボン酸無水物(以下、CMという。)に基づく重合単位(c)を含有する。
【0011】
TFEに基づく重合単位(a)とEに基づく重合単位(b)のモル比は20/80〜80/20であり、好ましくは50/50〜70/30である。(a)/(b)が小さすぎると含フッ素共重合体(A)の耐熱性、耐候性、耐薬品性、ガスバリア性、燃料バリア性等が低下し、大きすぎると機械的強度、溶融成形性等が低下する。この範囲にあると含フッ素共重合体(A)は、耐熱性、耐候性、耐薬品性、ガスバリア性、燃料バリア性、機械的強度、溶融成形性等に著しく優れる。
【0012】
CMに基づく重合単位(c)は、(c)/((a)+(b))のモル比が1/1000〜5/100であり、好ましくは3/1000〜3/100である。(c)/((a)+(b))が小さすぎると含フッ素共重合体(A)は含フッ素共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂との接着性が低く、大きすぎると燃料バリア性が低い。この範囲にあると含フッ素共重合体(A)は接着性及び燃料バリア性に優れる。
【0013】
CMとしては、重合性不飽和結合を有するポリカルボン酸無水物であれば特に限定されない。ここで、ポリカルボン酸無水物とは多官能性カルボン酸の無水物をいう。CMの具体例としては、無水マレイン酸(以下、MAnという。)、無水イタコン酸(以下、IAHという。)、無水シトラコン酸(以下、CAHという。)、ブテニル無水コハク酸等が挙げられる。中でもMAn、IAH及びCAHからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。より好ましくはIAH又はCAHである。
【0014】
上記において、ポリカルボン酸無水物は、その一部が重合前に加水分解されていてもよい。例えば、IAHは、IAHの一部が加水分解した、IAHとイタコン酸の混合物であってもよい。また、CAHは、CAHの一部が加水分解した、CAHとシトラコン酸の混合物であってもよい。また、含フッ素共重合体(A)中のCMに基づく重合単位一部が重合後に加水分解されていてもよい。これら重合前又は重合後の加水分解により生じた重合単位は、本発明において重合単位(c)の一部とみなす。例えば、重合単位(c)の量は、CMに基づく重合単位とCMの一部が加水分解された重合性不飽和結合を有するポリカルボン酸に基づく重合単位の合計量を表す。
【0015】
含フッ素共重合体(A)において、全重合単位に対する((a)+(b)+(c))は、65モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、75モル%以上が最も好ましい。なお、((a)+(b)+(c))は、(a)と(b)と(c)との合計を表す。
【0016】
本発明における含フッ素共重合体(A)は、上記(a)、(b)及び(c)にに加えて、さらにCH2=CX(CF2)nY(ここで、X、Yはそれぞれ独立に水素原子又はフッ素原子であり、nは2〜5の整数である。)で表されるモノマー(以下、FAEという。)に基づく重合単位(d)を含有することも好ましい。
【0017】
FAEに基づく重合単位(d)の含有量については、(d)/((a)+(b))がモル比で1/1000〜15/100であることが好ましい。この範囲にあると、含フッ素共重合体(A)は、強度、燃料バリア性、及び耐クラック性に優れ、ストレス下でもクラックが発生しにくい。(d)/((a)+(b))はモル比で、より好ましくは1/200〜7/100であり、最も好ましくは1/100〜5/100である。
【0018】
FAEとしては、CH2=CH(CF2)2F、CH2=CH(CF2)3F、CH2=CH(CF2)4F、CH2=CH(CF2)5F、CH2=CF(CF2)2F、CH2=CF(CF2)3F、CH2=CF(CF2)4F、CH2=CF(CF2)5F、CH2=CF(CF2)2H、CH2=CF(CF2)3H、CH2=CF(CF2)4H、CH2=CF(CF2)5H、CH2=CH(CF2)2H、CH2=CH(CF2)4H等が挙げられる。
【0019】
より好ましくは、nは2〜4で、Xは水素原子で、Yはフッ素原子である、CH2=CH(CF2)2F、CH2=CH(CF2)3F又はCH2=CH(CF2)4Fであり、最も好ましくは、nが2で、Xが水素原子で、Yがフッ素原子である、CH2=CH(CF2)2Fである。
【0020】
本発明において含フッ素共重合体(A)は、上記重合単位(a)、重合単位(b)、重合単位(c)及び重合単位(d)に加えて、それら以外のその他のモノマーに基づく重合単位(e)を含んでもよい。
【0021】
その他のモノマーとしては、プロピレン、ブテン等の炭化水素系オレフィン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等の不飽和結合に水素原子を有するフルオロオレフィン(ただし、FAEを除く。)、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)等の不飽和結合に水素原子を有しないフルオロオレフィン(ただし、TFEを除く。)、アルキルビニルエーテル、(フルオロアルキル)ビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、メチルビニロキシブチルカーボネート等のビニルエーテル、酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、(ポリフルオロアルキル)アクリレート、(ポリフルオロアルキル)メタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、ウンデシレン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸等が挙げられる。その他のモノマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
重合単位(e)を含有する場合は、その含有量は、(e)/((a)+(b))がモル比で1/10000〜15/100であることが好ましく、1/1000〜10/100であることがより好ましい。
【0023】
本発明の導電性含フッ素共重合体組成物は、含フッ素共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂と共押出して積層体を成形できるように、該熱可塑性樹脂の成形温度に近い成形温度を有することが好ましい。成形温度を最適化するため、重合単位(a)、重合単位(b)、重合単位(c)、必要に応じて含有される、重合単位(d)及び重合単位(e)の含有割合を上記組成範囲内で適宜調節することが好ましい。
【0024】
含フッ素共重合体(A)が重合単位(e)を含有すると、該熱可塑性樹脂との共押出し成形性及び積層体中の他の層との接着性を向上できるので好ましい。接着性の向上のためには、重合単位(e)が、エステル基、カーボネート基、水酸基、エポキシ基等官能基を有することが好ましい。
【0025】
本発明において、含フッ素共重合体(A)の高分子鎖の末端基として、エステル基、カーボネート基、水酸基、カルボキシル基、カルボニルフルオリド基等の、ポリアミド等の熱可塑性樹脂と反応できる官能基を有することも、積層体中の他の層との接着性が向上するので好ましい。該末端基は、含フッ素共重合体(A)の製造時に使用される、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤等を適宜選定することにより導入することが好ましい。
【0026】
本発明の含フッ素共重合体(A)の製造方法は特に制限はなく、一般に用いられているラジカル重合開始剤を用いる重合方法が用いられる。重合方法の例としては、塊状重合、フッ化炭化水素、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、炭化水素等の有機溶媒を使用する溶液重合、水性媒体及び必要に応じて適当な有機溶剤を使用する懸濁重合、水性媒体及び乳化剤を使用する乳化重合が挙げられる。
【0027】
ラジカル重合開始剤は、その半減期が10時間であり分解温度が0℃〜100℃のものが好ましく、20〜90℃のものがより好ましい。具体例としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の非フッ素系ジアシルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカ−ボネート等のペルオキシジカーボネート、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシアセテート等のペルオキシエステル、(Z(CF2)pCOO)2(ここで、Zは水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、pは1〜10の整数である。)で表される化合物等の含フッ素ジアシルペルオキシド、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物等が挙げられる。
【0028】
本発明において、ラジカル重合開始剤の使用量としては、仕込んだモノマーの100質量部に対して0.001〜10質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましい。
【0029】
本発明において、含フッ素共重合体(A)の分子量を制御するために、連鎖移動剤を使用することも好ましい。連鎖移動剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン等のクロロフルオロハイドロカーボン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等のハイドロカーボンが挙げられる。また、エステル基、カーボネート基、水酸基、カルボキシル基、カルボニルフルオリド基等の官能基を有する連鎖移動剤を用いると、反応性を有する末端基が導入されるので好ましい。該連鎖移動剤としては、酢酸、酢酸メチル、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
【0030】
本発明において、重合条件は特に限定されず、重合温度は0℃〜100℃が好ましく、20〜90℃がより好ましい。重合圧力は0.1〜10MPaが好ましく、0.5〜3MPaがより好ましい。重合時間は1〜30時間が好ましい。
【0031】
本発明における含フッ素共重合体(A)は、燃料バリア性に優れる。燃料バリア性の尺度として、JIS Z0208に規定されているカップ法に準拠し測定される燃料透過係数を使用することが好ましい。燃料透過係数が低いほど、燃料バリア性に優れることを示す。含フッ素共重合体(A)の燃料透過係数は3.5gmm/m2/24h以下が好ましく、3.0gmm/m2/24h以下がより好ましく、2.7gmm/m2/24h以下が最も好ましい。
【0032】
本発明の導電性含フッ素共重合体組成物は、含フッ素共重合体(A)及び導電性フィラー(B)を含有し、(A)/(B)が質量比で70/30〜99/1であり、さらに好ましくは85/15〜99/1である。この範囲にあると、導電性が充分で、引張り伸度に優れ、耐衝撃性にも優れる。
【0033】
本発明における導電性フィラー(B)としては、炭素系導電性フィラーが好ましい。
導電性フィラー(B)は、BET比表面積が50〜1000m2/gであり、かつDBP吸油量が100ml/100g〜1000ml/100gである炭素系導電性フィラーであることが好ましい。より好ましくは、BET比表面積が60〜600m2/gであり、かつDBP吸油量が150〜1000ml/100gである炭素系導電性フィラーである。BET比表面積が50m2/g未満であると導電性が低く、1000m2/gより大きいと導電性フィラーが凝集し成形品の表面平滑性が失われる傾向となる。DBP吸油量は100ml/100g未満であると導電性が低く、1000ml/100gより大きいと成形品の表面平滑性が失われる。この範囲にあると導電性が高く、成形品が表面平滑性に優れる。
【0034】
炭素系導電性フィラーとしては、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、アセチレンブラックやケッチェンブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。カーボンナノチューブは中空炭素マイクロファイバーとも呼ばれる。
【0035】
カーボンナノチューブ及びカーボンナノホーンとしては、直径が3.5〜70nmであり、かつアスペクト比が5〜200であることが好ましく、直径が5〜60nmであり、かつアスペクト比が5〜200であることがより好ましく、直径が10〜55nmであり、かつアスペクト比が10〜100であることが最も好ましい。この範囲にあると成形品が表面平滑性に優れる。
【0036】
カーボンブラックとしては、平均粒子径3.5〜70nmが好ましく、5〜50nmがより好ましく、10〜40nmであることが最も好ましい。この範囲にあると成形品が表面平滑性に優れる。
【0037】
炭素系導電性フィラーの体積固有抵抗は、1×10−4〜1×102Ω/cmが好ましく、1×10−4〜10Ω/cmがより好ましく、1×10−4〜1Ω/cmが最も好ましい。
【0038】
導電性フィラー(B)は単体として配合してもよく、あらかじめ少量の含フッ素共重合体(A)、以下に記載の、ポリフェニレンスルフィド樹脂(C)、ポリブチレン芳香族ポリエステル(D)等に分散させたマスターバッチとして配合してもよい。
【0039】
本発明の導電性含フッ素共重合体組成物が、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPSという。)(C)及び/又はポリブチレン芳香族ポリエステル(以下、PBPEという。)(D)を含有することも好ましい。PPS(C)及び/又はPBPE(D)を含有すると燃料バリア性に優れる。
【0040】
後述の方法で測定されるPPS(C)の溶融粘度は、100〜5000Pa・sが好ましく、200〜3000Pa・sがより好ましく、300〜2000Pa・sが最も好ましい。この範囲内にあると成形品が表面平滑性及び燃料バリア性に優れる。PPSとしては、脱イオン処理されたPPSが好ましい。また、加熱等により架橋や高分子量化したPPSも好ましい。
【0041】
PBPEとしては、ポリブチレンナフタレート(以下、PBNという。)、ポリブチレンテレフタレート等のブチレン鎖を有する芳香族ポリエステルが挙げられる。特に、柔軟性と燃料バリア性とに優れるPBNが好ましい。PBNは、分子中にエーテル系セグメント又はエステル系セグメントを含有してもよく、可塑剤等の添加剤を含有してもよい。可塑剤を含有すると融点が低下するので好ましい。可塑剤としては、ジメチルフタレート,ジブチルフタレート,ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル、トリクレジルホスフェート,クレジルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル、トルエンスルホンアミド等のスルホンアミド等が挙げられる。
【0042】
PBPE(D)の溶融粘度は、100〜5000Pa・sが好ましく、200〜3000Pa・sがより好ましく、300〜2000Pa・sが最も好ましい。この範囲内にあると成形品が表面平滑性及び燃料バリア性にも優れる。
【0043】
PPS(C)及び/又はPBPE(D)の含有量は、(A)/(C)及び/又は(D)が質量比で50/50〜99/1であることが好ましく、70/30〜99/1であることがより好ましく、80/20〜99/1であることが最も好ましい。この範囲にあると成形品は柔軟性及び燃料バリア性に優れる。
【0044】
本発明において、含フッ素共重合体(A)と導電性フィラー(B)とを混合する方法、及び必要に応じてPPS(C)及び/又はPBPE(D)をさらに混合する方法としては、溶融混錬が好ましい。
溶融混錬の装置としては、2軸押出し機、単軸押出し機、加圧ニーダー、コニーダー、ブラベンダー等が挙げられる。中でも、2軸押出し機は、剪断速度、滞留時間及び温度の制御が容易であるので好ましい。
【0045】
混錬条件としては、剪断速度が100〜1500sec−1、滞留時間が30秒〜10分、温度が200〜350℃が好ましい。より好ましくは、剪断速度が300〜1000sec−1、滞留時間が1分〜5分、温度が220〜310℃である。剪断速度が100sec−1未満であると成形品の表面平滑性が充分でなく、1500sec−1より大きいと導電性含フッ素共重合体組成物の溶融粘度が大きくなりすぎ、成形品の引張り伸度や耐ストレスクラック性が充分でない。滞留時間が30秒未満であると成形品の表面平滑性が充分でなく、10分より長いと成形品の引張り伸度、耐ストレスクラック性が充分でない。温度が200℃未満であると成形品の表面平滑性が充分でなく、350℃より高いと成形品の引張り伸度、耐ストレスクラック性が充分でない。混錬条件がこの範囲にあると、成形品が表面平滑性、引張り伸度及び耐ストレスクラック性に優れる。
【0046】
本発明の導電性含フッ素共重合体組成物の表面抵抗値は1×100〜1×109Ω/□が好ましく、1×100〜1×107Ω/□がより好ましく、1×100〜1×106Ω/□が最も好ましい。
【0047】
本発明の積層体は、導電性含フッ素共重合体組成物の層(P)を含有する。該積層体は、層(P)と含フッ素共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂の層(Q)とを含有することが好ましい。さらに、積層体は、(P)/(Q)からなる2層を含む2層以上の多層積層体であることがより好ましい。積層体としては、積層タンク、積層ホース、積層フィルム等が挙げられる。
【0048】
本発明の積層ホースは、導電性含フッ素共重合体組成物の層(P)を最内層に有する。燃料に接する最内層に層(P)を有する積層ホースは自動車用燃料ホースや燃料タンク等に使用すると燃料バリア性及び帯電防止性に優れる。
本発明において、導電性含フッ素共重合体組成物の層(P)と含フッ素共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂の層(Q)との剥離強度は、30N/cm以上が好ましく、40N/cm以上がより好ましい。
【0049】
本発明の積層体及び積層ホースは、導電性含フッ素共重合体組成物(A)、含フッ素共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂体及び必要に応じて含フッ素共重合体組成物又はグラフト化含フッ素共重合体組成物とを多層押出し成形して得ることが好ましい。一般に、多層押出し成形は、フィルム、タンク、ボトル、チューブ、ホース等の形状の積層体を得るために用いられる。
【0050】
多層押出し成形において、2機以上の押出し機の吐出口から出てくる溶融物は、溶融状態で接触しつつダイを通り積層体に成形される。押出し条件としては、スクリュ温度は100〜350℃、ダイ温度は200〜350℃が好ましい。スクリュ回転数は10〜200回転/分が好ましい。溶融物の押出し機内の滞留時間は1〜20分が好ましい。
【0051】
本発明の導電性含フッ素共重合体組成物との積層に用いられる、含フッ素共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミドMXD6(半芳香族系ポリアミド)等のポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレン/ビニルアルコール)、ポリアクリロニトリル、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリアリレエート等が挙げられる。
【0052】
該熱可塑性樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミドMXD6等のポリアミド類又はポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル類が好ましい。ポリアミド11、ポリアミド12又はポリブチレンナフタレートがより好ましく、ポリアミド11又はポリアミド12が最も好ましい。
【0053】
本発明の積層体の用途としては、自動車用燃料ホース、自動車用コルゲートチューブ、自動車用燃料タンク、産業用ホース、食品用ホース、耐候性フィルム、耐腐食性ライニング、耐候性ライニング、帯電防止用ロールカバー等が挙げられる。また、本発明の含フッ素共重合体組成物の用途としては、フッ素系重合体とフッ素系重合体以外の熱可塑性樹脂との接着材等が挙げられる。
【0054】
【実施例】
以下に実施例(例1〜5)及び比較例(例6、7)を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、導電性、燃料透過係数、IAH又はCAHの含有量及び溶融粘度は下記の方法によって測定した。
【0055】
[導電性]SAE J2260の導電性試験に準じて多層ホースの内面の導電性を測定した。温度25℃、湿度50%の室内にてホース両端に銅ピンを挿入し、抵抗計にて抵抗値を測定後、以下の計算式によって表面抵抗値を求め、導電性の尺度とした。表面抵抗が低いほど、導電性に優れることを示す。
表面抵抗値=Rπd/(L−2a)
ここで、Rは抵抗値、dはホース内径、Lはホース長さ、aは銅ピン挿入深さを表す。
【0056】
[燃料透過係数]JIS Z0208に規定されているカップ法に準拠して含フッ素共重合体(A)の燃料透過係数を測定した。燃料のE10(イソオクタン/トルエン/エタノール=50/50/10体積比)の9.5〜10gを透過面積28.26cm2のカップに入れ、プレス形成で得た厚さ100μmの含フッ素共重合体(A)のフィルムでカップ上部を覆い、60℃の恒温槽中に10日間保存した後の質量減少量を測定し、燃料透過係数を算出した。燃料透過係数が低いほど燃料バリア性に優れることを示す。
【0057】
[IAH又はCAHの含有量]含フッ素共重合体(A)をプレス成形して200μmのフィルムを得た。赤外吸収スペクトルにおいて、含フッ素共重合体(A)中のIAH又はCAHに基づく重合単位におけるC=O伸縮振動の吸収ピークはいずれも1870cm−1に現れる。その吸収ピークの吸光度を測定し、M=aLの関係式を用いてIAH又はCAHに基づく重合単位の含有量M(モル%)を決定した。ここで、Lは1870cm−1における吸光度で、aは係数である。aとしては、IAHをモデル化合物として決定したa=0.87を用いた。
【0058】
[溶融粘度]東洋精機社製キャピラリーレオメーター(バレル内径9.55mmφ、オリフィス孔径1.00mmφ、オリフィス長10.00mm)を用い、310±1℃に加熱したバレル中に試料35gを投入し5分間保持した後、剪断速度608sec−1の溶融粘度を測定した。
【0059】
[例1]
内容積が94リットルの撹拌機付き重合槽を脱気し、1−ヒドロトリデカフルオロヘキサンの67.2kg、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(旭硝子社製、以下、AK225cbという。)の4.5kg、IAHの33.3g、CH2=CH(CF2)4Fの527.3g、を仕込み、TFEの9.4kg、Eの0.6kgを圧入し、重合槽内を66℃に昇温し、重合開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレートの1%AK225cb溶液の433mLを仕込み、重合を開始させた。重合中圧力が一定になるようにTFE/Eの51/49モル比のモノマー混合ガスを連続的に仕込んだ。また、重合中に仕込むTFEとEの合計モル数に対して0.3モル%に相当する量のIAHを連続的に仕込んだ。重合開始5.5時間後、モノマー混合ガスの8.0kgを仕込んだ時点で、重合槽内温を室温まで降温するとともに常圧までパージした。
【0060】
得られたスラリ状の含フッ素共重合体1を、水の75kgを仕込んだ200Lの造粒槽に投入し、次いで撹拌しながら105℃まで昇温し溶媒を留出除去しながら造粒した。得られた造粒物を150℃で5時間乾燥することにより、8.3kgの含フッ素共重合体1の造粒物1が得られた。
【0061】
溶融NMR分析、フッ素含有量分析及び赤外吸収スペクトル分析の結果から、含フッ素共重合体1の組成はTFEに基づく重合単位/Eに基づく重合単位/IAHに基づく重合単位/CH2=CH(CF2)4Fに基づく重合単位のモル比で57.98/38.65/0.17/3.19であった。融点は221℃、溶融粘度は638Pa・sであった。
【0062】
造粒物1と直径10nm、DBP吸油量450ml/100g、BET比表面積250m2/gカーボンナノチューブ(以下、CNTという。)とを質量比で95/5の割合で混合し、同方向回転型2軸押出機を用いて、剪断速度500sec−1、混練部のシリンダー温度300℃、滞留時間5分で溶融混練し、導電性含フッ素共重合体組成物1のペレット1を作成した。導電性含フッ素共重合体組成物1の燃料透過係数は3.1gmm/m2/24hであった。
【0063】
二層共押出チューブ成形機を用い外層を形成するシリンダにポリアミド12(宇部興産社製、3030JLX2)を供給し、内層を形成するシリンダにペレット1を供給し、それぞれシリンダの輸送ゾーンに移送させた。ポリアミド12及び導電性含フッ素共重合体組成物1の輸送ゾーンにおける加熱温度をそれぞれ240℃及び260℃とした。多層押出しダイの温度を260℃として2層多層押出しをおこない、2層積層ホースを得た。積層ホースの外径は8mm、内径は6mm、厚さは1mmであり、ポリアミド12の外層及び導電性含フッ素共重合体組成物1の内層の厚みはそれぞれ0.85mm、0.15mmであった。
【0064】
得られたホースの表面抵抗値は4×105Ω/□であった。剥離強度の測定を試みたが、ポリアミド12の外層と導電性含フッ素共重合体組成物1の内層は強固に接着し剥離できず、内層が破断した。
【0065】
[例2]
重合前に1−ヒドロトリデカフルオロヘキサンの79.9kg、AK225cbの11.2kg、CH2=CH(CF2)4Fに換えてCH2=CHCF2CF3の562g、IAHに換えてCAHの97.0gを仕込む以外は例1と同様にして、含フッ素共重合体2の造粒物2の8.2kgを得た。重合時間は7.4時間であった。
【0066】
溶融NMR分析、フッ素含有量分析及び赤外吸収スペクトル分析の結果から、含フッ素共重合体2の組成は、TFEに基づく重合単位/Eに基づく重合単位/CAHに基づく重合単位/CH2=CHCF2CF3に基づく重合単位のモル比で57.91/38.61/0.29/3.19であった。融点は230℃、溶融粘度は590Pa・sであった。
【0067】
造粒物2を用いて例1と同様にして導電性含フッ素共重合体組成物2のペレット2を得た。導電性含フッ素共重合体組成物2の燃料透過係数は3.2gmm/m2/24hであった。
ペレット1に代えてペレット2を用いる以外は例1と同様にして2層積層ホースを得た。積層ホースの外径は8mm、内径は6mm、厚さは1mmであり、ポリアミド12の外層、導電性含フッ素共重合体組成物2の内層はそれぞれ0.85mm、0.15mmであり、表面抵抗値は4×106Ω/□であった。剥離強度の測定を試みたが、ポリアミド12の外層と導電性含フッ素共重合体組成物2の内層は強固に接着し剥離できず、内層が破断した。
【0068】
[例3]
例1の含フッ素共重合体1の造粒物1、CNT及びPPS(大日本インキ社製、LC−6、溶融粘度400Pa・s)とを質量比で90/5/5で混合し、同方向回転型2軸押出機を用いて、300℃、滞留時間5分で溶融混練し、導電性含フッ素共重合体組成物3のペレット3を作成した。導電性含フッ素共重合体組成物3の燃料透過係数は2.6gmm/m2/24hであった。
【0069】
外層を形成するシリンダに例1のポリアミド12を供給し、内層を形成するシリンダにペレット3を供給し、それぞれシリンダの輸送ゾーンに移送させた。ポリアミド12及びペレット3の輸送ゾーンにおける加熱温度をそれぞれ240℃及び300℃とした。共ダイの温度を260℃として2層多層押出しをおこない、2層積層ホースを得た。積層ホースの外径は8mm、内径は6mm、厚さは1mmであり、ポリアミド12の外層、導電性含フッ素共重合体組成物3の内層はそれぞれ0.85mm、0.15mmであり、表面抵抗値は1×106Ω/□であった。剥離強度の測定を試みたが、ポリアミド12の外層と導電性含フッ素共重合体組成物3の内層は強固に接着し剥離できず、内層が破断した。
【0070】
[例4]
例1の含フッ素共重合体1の造粒物1とCNTとPBN(ポリプラスチックス社製ジュラネックス500FP)を質量比で90/5/5で混合し、同方向回転型2軸押出機を用いて、剪断速度500sec−1、混練部のシリンダー温度300℃、滞留時間5分で溶融混練し、導電性含フッ素共重合体組成物4のペレット4を作成した。導電性含フッ素共重合体組成物4の燃料透過係数は2.5gmm/m2/24hであった。
【0071】
ペレット3に代えてペレット4を用いる以外は例3と同様にして2層積層ホースを得た。積層ホースの外径は8mm、内径は6mm、厚さは1mmであり、ポリアミド12の外層及び導電性含フッ素共重合体組成物4の内層はそれぞれ0.85mm及び0.15mmであり、表面抵抗値は1×106Ω/□であった。剥離強度の測定を試みたが、ポリアミド12の外層と導電性含フッ素共重合体組成物4の内層は強固に接着し剥離できず、内層が破断した。
【0072】
[例5]
例1の含フッ素共重合体1の造粒物1と平均粒径35nm、DBP吸油量160ml/100g、BET比表面積69m2/gのカーボンブラック(電気化学社製デンカブラック)とPBN(ポリプラスチックス社製ジュラネックス500FP)を質量比で74/13/13で混合し、同方向回転型2軸押出機を用いて、剪断速度500sec−1、混練部のシリンダ温度300℃、滞留時間5分で溶融混練し、導電性含フッ素共重合体組成物5のペレット5を作成した。導電性含フッ素共重合体組成物5の燃料透過係数は2.0gmm/m2/24hであった。
【0073】
ペレット1に代えてペレット5を用いる以外は例1と同様にして2層積層ホースを得た。積層ホースの外径は8mm、内径は6mm、厚さは1mmであり、ポリアミド12の外層及び導電性含フッ素共重合体組成物5の内層はそれぞれ0.85mm及び0.15mmであり、表面抵抗値は1×106Ω/□であった。剥離強度の測定した結果、内層と外層との剥離強度は45.0N/cmであった。
【0074】
[例6]
重合前に及び重合中にIAHを仕込まない他は例1と同様にして含フッ素共重合体3及び造粒物3の8.0kgを得た。重合時間は1.8時間であった。
【0075】
溶融NMR分析及びフッ素含有量分析の結果から、含フッ素共重合体3の組成はTFEに基づく重合単位/Eに基づく重合単位/CH2=CH(CF2)4Fに基づく重合単位のモル比で58.1/38.7/3.19であった。融点は219℃であった。
【0076】
造粒物1に代えて造粒物3を用いる以外例1と同様にして導電性含フッ素共重合体組成物6のペレット6を得た。導電性含フッ素共重合体組成物6の燃料透過係数は5.1gmm/m2/24hであった。
【0077】
ペレット3に代えてペレット6を用いる以外は例3と同様にして2層積層ホースを得た。積層ホースの外径は8mm、内径は6mm、厚さは1mmであり、ポリアミド12の外層、導電性含フッ素共重合体組成物6の内層はそれぞれ0.85mm、0.15mmであり、表面抵抗値は1×1012Ω/□であった。内層と外層とは接着しなかった。
【0078】
[例7]
例6の造粒物3と平均粒径85nm、DBP吸油量62ml/100g、BET比表面積28m2/gのカーボンブラック(三菱化学社製、ダイアブラックR)とPPS(呉羽化学社製、MZ200)とを質量比で70/17/13で混合し、同方向回転型2軸押出機を用いて、剪断速度500sec−1、混練部のシリンダ温度300℃、滞留時間5分で溶融混練し、導電性含フッ素共重合体組成物7のペレット7を作成した。導電性含フッ素共重合体組成物7の燃料透過係数は4.5gmm/m2/24hであった。
【0079】
ペレット3に代えてペレット7を用いる以外は例3と同様にして2層積層ホースを得た。積層ホースの外径は8mm、内径は6mm、厚さは1mmであり、ポリアミド12の外層、導電性含フッ素共重合体組成物7の内層はそれぞれ0.85mm、0.15mmであり、表面抵抗値は1×1012Ω/□であった。内層と外層とは接着しなかった。
【0080】
【発明の効果】
本発明の導電性含フッ素共重合体組成物は、導電性に優れ、燃料透過係数が低く、燃料バリア性に優れる。また、耐クラック性にも優れ、含フッ素共重合体以外の熱可塑性樹脂との接着性にも著しく優れる。
また、本発明の導電性含フッ素共重合体組成物は、含フッ素共重合体以外の熱可塑性樹脂との共押出し成形性に優れ、層間の剥離強度の高い積層体を与える。
本発明の導電性含フッ素共重合体組成物の層を最内層に有する積層ホースは、導電性に優れることから、特に自動車用燃料用ホース及び燃料タンク用途に適する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性、耐薬品性及び燃料バリア性に優れる成形物を与える導電性含フッ素共重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン系共重合体等のフッ素系重合体(フッ素樹脂ともいう)は、耐熱性、耐薬品性、耐候性、ガスバリア性等に優れた特性を有し、半導体産業や自動車産業等の種々の分野で使用されている。
【0003】
近年、タンク、ホース、チューブなどの部品、特に高温環境等の過酷な条件にさらされる自動車のエンジンルーム内で使用される燃料ホースへフッ素系重合体の適用が検討されている。燃料ホースとは、アルコールや芳香族炭化水素化合物を含むガソリン系燃料を移送するための配管用ホースである。
【0004】
特に、フッ素系重合体の層を含有する積層体からなる燃料ホースが検討されている。積層体の中で、燃料に直接接触する内層材料としては、燃料を透過しにくい燃料バリア性、及び燃料に含有されるエタノールやメタノール等の浸食性液体に対する耐薬品性を有することが必須であり、フッ素系重合体が適する。また、内層材料には、燃料が通過時に静電気が蓄積しないように帯電防止性も必要となる。
【0005】
一方、燃料ホースの外層材料としては、機械特性や耐久性に優れる熱可塑性樹脂が用いられ、通常、ポリアミド6、ポリアミド11及びポリアミド12等のポリアミド系樹脂が好適である。
【0006】
自動車からの燃料排出による大気汚染防止のため、燃料ホースからのガソリン透過量を制限する厳しい法規が制定され、これに対応するため燃料ホースの構成材料の燃料バリア性をさらに向上させることが要請されている。燃料ホースの構成材料として、フッ素系重合体の中でも燃料バリア性及び機械特性に優れるエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体が使用される。今後、法規制が一層厳しくなるに伴い、燃料バリア性をさらに向上させたフッ素系重合体の開発が要請されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような背景のもとに開発が要請されている、燃料バリア性、耐薬品性及び導電性に優れる成形物を与える導電性含フッ素共重合体組成物、及びその層を含有する積層体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位(a)、エチレンに基づく重合単位(b)及び重合性不飽和結合を有するポリカルボン酸無水物に基づく重合単位(c)を含有し、(a)/(b)のモル比が20/80〜80/20であり、(c)/((a)+(b))のモル比が1/1000〜5/100である含フッ素共重合体(A)、及び導電性フィラー(B)を含有し、(A)/(B)が質量比で70/30〜99/1であることを特徴とする導電性含フッ素共重合体組成物を提供する。
【0009】
また、本発明は、前記導電性含フッ素共重合体組成物の層を含有する積層体、前記導電性含フッ素共重合体組成物の層を最内層に有する積層ホースを提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における含フッ素共重合体(A)は、テトラフルオロエチレン(以下、TFEという。)に基づく重合単位(a)、エチレン(以下、Eという。)に基づく重合単位(b)及び重合性不飽和結合を有するポリカルボン酸無水物(以下、CMという。)に基づく重合単位(c)を含有する。
【0011】
TFEに基づく重合単位(a)とEに基づく重合単位(b)のモル比は20/80〜80/20であり、好ましくは50/50〜70/30である。(a)/(b)が小さすぎると含フッ素共重合体(A)の耐熱性、耐候性、耐薬品性、ガスバリア性、燃料バリア性等が低下し、大きすぎると機械的強度、溶融成形性等が低下する。この範囲にあると含フッ素共重合体(A)は、耐熱性、耐候性、耐薬品性、ガスバリア性、燃料バリア性、機械的強度、溶融成形性等に著しく優れる。
【0012】
CMに基づく重合単位(c)は、(c)/((a)+(b))のモル比が1/1000〜5/100であり、好ましくは3/1000〜3/100である。(c)/((a)+(b))が小さすぎると含フッ素共重合体(A)は含フッ素共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂との接着性が低く、大きすぎると燃料バリア性が低い。この範囲にあると含フッ素共重合体(A)は接着性及び燃料バリア性に優れる。
【0013】
CMとしては、重合性不飽和結合を有するポリカルボン酸無水物であれば特に限定されない。ここで、ポリカルボン酸無水物とは多官能性カルボン酸の無水物をいう。CMの具体例としては、無水マレイン酸(以下、MAnという。)、無水イタコン酸(以下、IAHという。)、無水シトラコン酸(以下、CAHという。)、ブテニル無水コハク酸等が挙げられる。中でもMAn、IAH及びCAHからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。より好ましくはIAH又はCAHである。
【0014】
上記において、ポリカルボン酸無水物は、その一部が重合前に加水分解されていてもよい。例えば、IAHは、IAHの一部が加水分解した、IAHとイタコン酸の混合物であってもよい。また、CAHは、CAHの一部が加水分解した、CAHとシトラコン酸の混合物であってもよい。また、含フッ素共重合体(A)中のCMに基づく重合単位一部が重合後に加水分解されていてもよい。これら重合前又は重合後の加水分解により生じた重合単位は、本発明において重合単位(c)の一部とみなす。例えば、重合単位(c)の量は、CMに基づく重合単位とCMの一部が加水分解された重合性不飽和結合を有するポリカルボン酸に基づく重合単位の合計量を表す。
【0015】
含フッ素共重合体(A)において、全重合単位に対する((a)+(b)+(c))は、65モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、75モル%以上が最も好ましい。なお、((a)+(b)+(c))は、(a)と(b)と(c)との合計を表す。
【0016】
本発明における含フッ素共重合体(A)は、上記(a)、(b)及び(c)にに加えて、さらにCH2=CX(CF2)nY(ここで、X、Yはそれぞれ独立に水素原子又はフッ素原子であり、nは2〜5の整数である。)で表されるモノマー(以下、FAEという。)に基づく重合単位(d)を含有することも好ましい。
【0017】
FAEに基づく重合単位(d)の含有量については、(d)/((a)+(b))がモル比で1/1000〜15/100であることが好ましい。この範囲にあると、含フッ素共重合体(A)は、強度、燃料バリア性、及び耐クラック性に優れ、ストレス下でもクラックが発生しにくい。(d)/((a)+(b))はモル比で、より好ましくは1/200〜7/100であり、最も好ましくは1/100〜5/100である。
【0018】
FAEとしては、CH2=CH(CF2)2F、CH2=CH(CF2)3F、CH2=CH(CF2)4F、CH2=CH(CF2)5F、CH2=CF(CF2)2F、CH2=CF(CF2)3F、CH2=CF(CF2)4F、CH2=CF(CF2)5F、CH2=CF(CF2)2H、CH2=CF(CF2)3H、CH2=CF(CF2)4H、CH2=CF(CF2)5H、CH2=CH(CF2)2H、CH2=CH(CF2)4H等が挙げられる。
【0019】
より好ましくは、nは2〜4で、Xは水素原子で、Yはフッ素原子である、CH2=CH(CF2)2F、CH2=CH(CF2)3F又はCH2=CH(CF2)4Fであり、最も好ましくは、nが2で、Xが水素原子で、Yがフッ素原子である、CH2=CH(CF2)2Fである。
【0020】
本発明において含フッ素共重合体(A)は、上記重合単位(a)、重合単位(b)、重合単位(c)及び重合単位(d)に加えて、それら以外のその他のモノマーに基づく重合単位(e)を含んでもよい。
【0021】
その他のモノマーとしては、プロピレン、ブテン等の炭化水素系オレフィン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等の不飽和結合に水素原子を有するフルオロオレフィン(ただし、FAEを除く。)、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)等の不飽和結合に水素原子を有しないフルオロオレフィン(ただし、TFEを除く。)、アルキルビニルエーテル、(フルオロアルキル)ビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、メチルビニロキシブチルカーボネート等のビニルエーテル、酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、(ポリフルオロアルキル)アクリレート、(ポリフルオロアルキル)メタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、ウンデシレン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸等が挙げられる。その他のモノマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
重合単位(e)を含有する場合は、その含有量は、(e)/((a)+(b))がモル比で1/10000〜15/100であることが好ましく、1/1000〜10/100であることがより好ましい。
【0023】
本発明の導電性含フッ素共重合体組成物は、含フッ素共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂と共押出して積層体を成形できるように、該熱可塑性樹脂の成形温度に近い成形温度を有することが好ましい。成形温度を最適化するため、重合単位(a)、重合単位(b)、重合単位(c)、必要に応じて含有される、重合単位(d)及び重合単位(e)の含有割合を上記組成範囲内で適宜調節することが好ましい。
【0024】
含フッ素共重合体(A)が重合単位(e)を含有すると、該熱可塑性樹脂との共押出し成形性及び積層体中の他の層との接着性を向上できるので好ましい。接着性の向上のためには、重合単位(e)が、エステル基、カーボネート基、水酸基、エポキシ基等官能基を有することが好ましい。
【0025】
本発明において、含フッ素共重合体(A)の高分子鎖の末端基として、エステル基、カーボネート基、水酸基、カルボキシル基、カルボニルフルオリド基等の、ポリアミド等の熱可塑性樹脂と反応できる官能基を有することも、積層体中の他の層との接着性が向上するので好ましい。該末端基は、含フッ素共重合体(A)の製造時に使用される、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤等を適宜選定することにより導入することが好ましい。
【0026】
本発明の含フッ素共重合体(A)の製造方法は特に制限はなく、一般に用いられているラジカル重合開始剤を用いる重合方法が用いられる。重合方法の例としては、塊状重合、フッ化炭化水素、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、炭化水素等の有機溶媒を使用する溶液重合、水性媒体及び必要に応じて適当な有機溶剤を使用する懸濁重合、水性媒体及び乳化剤を使用する乳化重合が挙げられる。
【0027】
ラジカル重合開始剤は、その半減期が10時間であり分解温度が0℃〜100℃のものが好ましく、20〜90℃のものがより好ましい。具体例としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の非フッ素系ジアシルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカ−ボネート等のペルオキシジカーボネート、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシアセテート等のペルオキシエステル、(Z(CF2)pCOO)2(ここで、Zは水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、pは1〜10の整数である。)で表される化合物等の含フッ素ジアシルペルオキシド、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物等が挙げられる。
【0028】
本発明において、ラジカル重合開始剤の使用量としては、仕込んだモノマーの100質量部に対して0.001〜10質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましい。
【0029】
本発明において、含フッ素共重合体(A)の分子量を制御するために、連鎖移動剤を使用することも好ましい。連鎖移動剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン等のクロロフルオロハイドロカーボン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等のハイドロカーボンが挙げられる。また、エステル基、カーボネート基、水酸基、カルボキシル基、カルボニルフルオリド基等の官能基を有する連鎖移動剤を用いると、反応性を有する末端基が導入されるので好ましい。該連鎖移動剤としては、酢酸、酢酸メチル、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
【0030】
本発明において、重合条件は特に限定されず、重合温度は0℃〜100℃が好ましく、20〜90℃がより好ましい。重合圧力は0.1〜10MPaが好ましく、0.5〜3MPaがより好ましい。重合時間は1〜30時間が好ましい。
【0031】
本発明における含フッ素共重合体(A)は、燃料バリア性に優れる。燃料バリア性の尺度として、JIS Z0208に規定されているカップ法に準拠し測定される燃料透過係数を使用することが好ましい。燃料透過係数が低いほど、燃料バリア性に優れることを示す。含フッ素共重合体(A)の燃料透過係数は3.5gmm/m2/24h以下が好ましく、3.0gmm/m2/24h以下がより好ましく、2.7gmm/m2/24h以下が最も好ましい。
【0032】
本発明の導電性含フッ素共重合体組成物は、含フッ素共重合体(A)及び導電性フィラー(B)を含有し、(A)/(B)が質量比で70/30〜99/1であり、さらに好ましくは85/15〜99/1である。この範囲にあると、導電性が充分で、引張り伸度に優れ、耐衝撃性にも優れる。
【0033】
本発明における導電性フィラー(B)としては、炭素系導電性フィラーが好ましい。
導電性フィラー(B)は、BET比表面積が50〜1000m2/gであり、かつDBP吸油量が100ml/100g〜1000ml/100gである炭素系導電性フィラーであることが好ましい。より好ましくは、BET比表面積が60〜600m2/gであり、かつDBP吸油量が150〜1000ml/100gである炭素系導電性フィラーである。BET比表面積が50m2/g未満であると導電性が低く、1000m2/gより大きいと導電性フィラーが凝集し成形品の表面平滑性が失われる傾向となる。DBP吸油量は100ml/100g未満であると導電性が低く、1000ml/100gより大きいと成形品の表面平滑性が失われる。この範囲にあると導電性が高く、成形品が表面平滑性に優れる。
【0034】
炭素系導電性フィラーとしては、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、アセチレンブラックやケッチェンブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。カーボンナノチューブは中空炭素マイクロファイバーとも呼ばれる。
【0035】
カーボンナノチューブ及びカーボンナノホーンとしては、直径が3.5〜70nmであり、かつアスペクト比が5〜200であることが好ましく、直径が5〜60nmであり、かつアスペクト比が5〜200であることがより好ましく、直径が10〜55nmであり、かつアスペクト比が10〜100であることが最も好ましい。この範囲にあると成形品が表面平滑性に優れる。
【0036】
カーボンブラックとしては、平均粒子径3.5〜70nmが好ましく、5〜50nmがより好ましく、10〜40nmであることが最も好ましい。この範囲にあると成形品が表面平滑性に優れる。
【0037】
炭素系導電性フィラーの体積固有抵抗は、1×10−4〜1×102Ω/cmが好ましく、1×10−4〜10Ω/cmがより好ましく、1×10−4〜1Ω/cmが最も好ましい。
【0038】
導電性フィラー(B)は単体として配合してもよく、あらかじめ少量の含フッ素共重合体(A)、以下に記載の、ポリフェニレンスルフィド樹脂(C)、ポリブチレン芳香族ポリエステル(D)等に分散させたマスターバッチとして配合してもよい。
【0039】
本発明の導電性含フッ素共重合体組成物が、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPSという。)(C)及び/又はポリブチレン芳香族ポリエステル(以下、PBPEという。)(D)を含有することも好ましい。PPS(C)及び/又はPBPE(D)を含有すると燃料バリア性に優れる。
【0040】
後述の方法で測定されるPPS(C)の溶融粘度は、100〜5000Pa・sが好ましく、200〜3000Pa・sがより好ましく、300〜2000Pa・sが最も好ましい。この範囲内にあると成形品が表面平滑性及び燃料バリア性に優れる。PPSとしては、脱イオン処理されたPPSが好ましい。また、加熱等により架橋や高分子量化したPPSも好ましい。
【0041】
PBPEとしては、ポリブチレンナフタレート(以下、PBNという。)、ポリブチレンテレフタレート等のブチレン鎖を有する芳香族ポリエステルが挙げられる。特に、柔軟性と燃料バリア性とに優れるPBNが好ましい。PBNは、分子中にエーテル系セグメント又はエステル系セグメントを含有してもよく、可塑剤等の添加剤を含有してもよい。可塑剤を含有すると融点が低下するので好ましい。可塑剤としては、ジメチルフタレート,ジブチルフタレート,ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル、トリクレジルホスフェート,クレジルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル、トルエンスルホンアミド等のスルホンアミド等が挙げられる。
【0042】
PBPE(D)の溶融粘度は、100〜5000Pa・sが好ましく、200〜3000Pa・sがより好ましく、300〜2000Pa・sが最も好ましい。この範囲内にあると成形品が表面平滑性及び燃料バリア性にも優れる。
【0043】
PPS(C)及び/又はPBPE(D)の含有量は、(A)/(C)及び/又は(D)が質量比で50/50〜99/1であることが好ましく、70/30〜99/1であることがより好ましく、80/20〜99/1であることが最も好ましい。この範囲にあると成形品は柔軟性及び燃料バリア性に優れる。
【0044】
本発明において、含フッ素共重合体(A)と導電性フィラー(B)とを混合する方法、及び必要に応じてPPS(C)及び/又はPBPE(D)をさらに混合する方法としては、溶融混錬が好ましい。
溶融混錬の装置としては、2軸押出し機、単軸押出し機、加圧ニーダー、コニーダー、ブラベンダー等が挙げられる。中でも、2軸押出し機は、剪断速度、滞留時間及び温度の制御が容易であるので好ましい。
【0045】
混錬条件としては、剪断速度が100〜1500sec−1、滞留時間が30秒〜10分、温度が200〜350℃が好ましい。より好ましくは、剪断速度が300〜1000sec−1、滞留時間が1分〜5分、温度が220〜310℃である。剪断速度が100sec−1未満であると成形品の表面平滑性が充分でなく、1500sec−1より大きいと導電性含フッ素共重合体組成物の溶融粘度が大きくなりすぎ、成形品の引張り伸度や耐ストレスクラック性が充分でない。滞留時間が30秒未満であると成形品の表面平滑性が充分でなく、10分より長いと成形品の引張り伸度、耐ストレスクラック性が充分でない。温度が200℃未満であると成形品の表面平滑性が充分でなく、350℃より高いと成形品の引張り伸度、耐ストレスクラック性が充分でない。混錬条件がこの範囲にあると、成形品が表面平滑性、引張り伸度及び耐ストレスクラック性に優れる。
【0046】
本発明の導電性含フッ素共重合体組成物の表面抵抗値は1×100〜1×109Ω/□が好ましく、1×100〜1×107Ω/□がより好ましく、1×100〜1×106Ω/□が最も好ましい。
【0047】
本発明の積層体は、導電性含フッ素共重合体組成物の層(P)を含有する。該積層体は、層(P)と含フッ素共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂の層(Q)とを含有することが好ましい。さらに、積層体は、(P)/(Q)からなる2層を含む2層以上の多層積層体であることがより好ましい。積層体としては、積層タンク、積層ホース、積層フィルム等が挙げられる。
【0048】
本発明の積層ホースは、導電性含フッ素共重合体組成物の層(P)を最内層に有する。燃料に接する最内層に層(P)を有する積層ホースは自動車用燃料ホースや燃料タンク等に使用すると燃料バリア性及び帯電防止性に優れる。
本発明において、導電性含フッ素共重合体組成物の層(P)と含フッ素共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂の層(Q)との剥離強度は、30N/cm以上が好ましく、40N/cm以上がより好ましい。
【0049】
本発明の積層体及び積層ホースは、導電性含フッ素共重合体組成物(A)、含フッ素共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂体及び必要に応じて含フッ素共重合体組成物又はグラフト化含フッ素共重合体組成物とを多層押出し成形して得ることが好ましい。一般に、多層押出し成形は、フィルム、タンク、ボトル、チューブ、ホース等の形状の積層体を得るために用いられる。
【0050】
多層押出し成形において、2機以上の押出し機の吐出口から出てくる溶融物は、溶融状態で接触しつつダイを通り積層体に成形される。押出し条件としては、スクリュ温度は100〜350℃、ダイ温度は200〜350℃が好ましい。スクリュ回転数は10〜200回転/分が好ましい。溶融物の押出し機内の滞留時間は1〜20分が好ましい。
【0051】
本発明の導電性含フッ素共重合体組成物との積層に用いられる、含フッ素共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミドMXD6(半芳香族系ポリアミド)等のポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレン/ビニルアルコール)、ポリアクリロニトリル、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリアリレエート等が挙げられる。
【0052】
該熱可塑性樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミドMXD6等のポリアミド類又はポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル類が好ましい。ポリアミド11、ポリアミド12又はポリブチレンナフタレートがより好ましく、ポリアミド11又はポリアミド12が最も好ましい。
【0053】
本発明の積層体の用途としては、自動車用燃料ホース、自動車用コルゲートチューブ、自動車用燃料タンク、産業用ホース、食品用ホース、耐候性フィルム、耐腐食性ライニング、耐候性ライニング、帯電防止用ロールカバー等が挙げられる。また、本発明の含フッ素共重合体組成物の用途としては、フッ素系重合体とフッ素系重合体以外の熱可塑性樹脂との接着材等が挙げられる。
【0054】
【実施例】
以下に実施例(例1〜5)及び比較例(例6、7)を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、導電性、燃料透過係数、IAH又はCAHの含有量及び溶融粘度は下記の方法によって測定した。
【0055】
[導電性]SAE J2260の導電性試験に準じて多層ホースの内面の導電性を測定した。温度25℃、湿度50%の室内にてホース両端に銅ピンを挿入し、抵抗計にて抵抗値を測定後、以下の計算式によって表面抵抗値を求め、導電性の尺度とした。表面抵抗が低いほど、導電性に優れることを示す。
表面抵抗値=Rπd/(L−2a)
ここで、Rは抵抗値、dはホース内径、Lはホース長さ、aは銅ピン挿入深さを表す。
【0056】
[燃料透過係数]JIS Z0208に規定されているカップ法に準拠して含フッ素共重合体(A)の燃料透過係数を測定した。燃料のE10(イソオクタン/トルエン/エタノール=50/50/10体積比)の9.5〜10gを透過面積28.26cm2のカップに入れ、プレス形成で得た厚さ100μmの含フッ素共重合体(A)のフィルムでカップ上部を覆い、60℃の恒温槽中に10日間保存した後の質量減少量を測定し、燃料透過係数を算出した。燃料透過係数が低いほど燃料バリア性に優れることを示す。
【0057】
[IAH又はCAHの含有量]含フッ素共重合体(A)をプレス成形して200μmのフィルムを得た。赤外吸収スペクトルにおいて、含フッ素共重合体(A)中のIAH又はCAHに基づく重合単位におけるC=O伸縮振動の吸収ピークはいずれも1870cm−1に現れる。その吸収ピークの吸光度を測定し、M=aLの関係式を用いてIAH又はCAHに基づく重合単位の含有量M(モル%)を決定した。ここで、Lは1870cm−1における吸光度で、aは係数である。aとしては、IAHをモデル化合物として決定したa=0.87を用いた。
【0058】
[溶融粘度]東洋精機社製キャピラリーレオメーター(バレル内径9.55mmφ、オリフィス孔径1.00mmφ、オリフィス長10.00mm)を用い、310±1℃に加熱したバレル中に試料35gを投入し5分間保持した後、剪断速度608sec−1の溶融粘度を測定した。
【0059】
[例1]
内容積が94リットルの撹拌機付き重合槽を脱気し、1−ヒドロトリデカフルオロヘキサンの67.2kg、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(旭硝子社製、以下、AK225cbという。)の4.5kg、IAHの33.3g、CH2=CH(CF2)4Fの527.3g、を仕込み、TFEの9.4kg、Eの0.6kgを圧入し、重合槽内を66℃に昇温し、重合開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレートの1%AK225cb溶液の433mLを仕込み、重合を開始させた。重合中圧力が一定になるようにTFE/Eの51/49モル比のモノマー混合ガスを連続的に仕込んだ。また、重合中に仕込むTFEとEの合計モル数に対して0.3モル%に相当する量のIAHを連続的に仕込んだ。重合開始5.5時間後、モノマー混合ガスの8.0kgを仕込んだ時点で、重合槽内温を室温まで降温するとともに常圧までパージした。
【0060】
得られたスラリ状の含フッ素共重合体1を、水の75kgを仕込んだ200Lの造粒槽に投入し、次いで撹拌しながら105℃まで昇温し溶媒を留出除去しながら造粒した。得られた造粒物を150℃で5時間乾燥することにより、8.3kgの含フッ素共重合体1の造粒物1が得られた。
【0061】
溶融NMR分析、フッ素含有量分析及び赤外吸収スペクトル分析の結果から、含フッ素共重合体1の組成はTFEに基づく重合単位/Eに基づく重合単位/IAHに基づく重合単位/CH2=CH(CF2)4Fに基づく重合単位のモル比で57.98/38.65/0.17/3.19であった。融点は221℃、溶融粘度は638Pa・sであった。
【0062】
造粒物1と直径10nm、DBP吸油量450ml/100g、BET比表面積250m2/gカーボンナノチューブ(以下、CNTという。)とを質量比で95/5の割合で混合し、同方向回転型2軸押出機を用いて、剪断速度500sec−1、混練部のシリンダー温度300℃、滞留時間5分で溶融混練し、導電性含フッ素共重合体組成物1のペレット1を作成した。導電性含フッ素共重合体組成物1の燃料透過係数は3.1gmm/m2/24hであった。
【0063】
二層共押出チューブ成形機を用い外層を形成するシリンダにポリアミド12(宇部興産社製、3030JLX2)を供給し、内層を形成するシリンダにペレット1を供給し、それぞれシリンダの輸送ゾーンに移送させた。ポリアミド12及び導電性含フッ素共重合体組成物1の輸送ゾーンにおける加熱温度をそれぞれ240℃及び260℃とした。多層押出しダイの温度を260℃として2層多層押出しをおこない、2層積層ホースを得た。積層ホースの外径は8mm、内径は6mm、厚さは1mmであり、ポリアミド12の外層及び導電性含フッ素共重合体組成物1の内層の厚みはそれぞれ0.85mm、0.15mmであった。
【0064】
得られたホースの表面抵抗値は4×105Ω/□であった。剥離強度の測定を試みたが、ポリアミド12の外層と導電性含フッ素共重合体組成物1の内層は強固に接着し剥離できず、内層が破断した。
【0065】
[例2]
重合前に1−ヒドロトリデカフルオロヘキサンの79.9kg、AK225cbの11.2kg、CH2=CH(CF2)4Fに換えてCH2=CHCF2CF3の562g、IAHに換えてCAHの97.0gを仕込む以外は例1と同様にして、含フッ素共重合体2の造粒物2の8.2kgを得た。重合時間は7.4時間であった。
【0066】
溶融NMR分析、フッ素含有量分析及び赤外吸収スペクトル分析の結果から、含フッ素共重合体2の組成は、TFEに基づく重合単位/Eに基づく重合単位/CAHに基づく重合単位/CH2=CHCF2CF3に基づく重合単位のモル比で57.91/38.61/0.29/3.19であった。融点は230℃、溶融粘度は590Pa・sであった。
【0067】
造粒物2を用いて例1と同様にして導電性含フッ素共重合体組成物2のペレット2を得た。導電性含フッ素共重合体組成物2の燃料透過係数は3.2gmm/m2/24hであった。
ペレット1に代えてペレット2を用いる以外は例1と同様にして2層積層ホースを得た。積層ホースの外径は8mm、内径は6mm、厚さは1mmであり、ポリアミド12の外層、導電性含フッ素共重合体組成物2の内層はそれぞれ0.85mm、0.15mmであり、表面抵抗値は4×106Ω/□であった。剥離強度の測定を試みたが、ポリアミド12の外層と導電性含フッ素共重合体組成物2の内層は強固に接着し剥離できず、内層が破断した。
【0068】
[例3]
例1の含フッ素共重合体1の造粒物1、CNT及びPPS(大日本インキ社製、LC−6、溶融粘度400Pa・s)とを質量比で90/5/5で混合し、同方向回転型2軸押出機を用いて、300℃、滞留時間5分で溶融混練し、導電性含フッ素共重合体組成物3のペレット3を作成した。導電性含フッ素共重合体組成物3の燃料透過係数は2.6gmm/m2/24hであった。
【0069】
外層を形成するシリンダに例1のポリアミド12を供給し、内層を形成するシリンダにペレット3を供給し、それぞれシリンダの輸送ゾーンに移送させた。ポリアミド12及びペレット3の輸送ゾーンにおける加熱温度をそれぞれ240℃及び300℃とした。共ダイの温度を260℃として2層多層押出しをおこない、2層積層ホースを得た。積層ホースの外径は8mm、内径は6mm、厚さは1mmであり、ポリアミド12の外層、導電性含フッ素共重合体組成物3の内層はそれぞれ0.85mm、0.15mmであり、表面抵抗値は1×106Ω/□であった。剥離強度の測定を試みたが、ポリアミド12の外層と導電性含フッ素共重合体組成物3の内層は強固に接着し剥離できず、内層が破断した。
【0070】
[例4]
例1の含フッ素共重合体1の造粒物1とCNTとPBN(ポリプラスチックス社製ジュラネックス500FP)を質量比で90/5/5で混合し、同方向回転型2軸押出機を用いて、剪断速度500sec−1、混練部のシリンダー温度300℃、滞留時間5分で溶融混練し、導電性含フッ素共重合体組成物4のペレット4を作成した。導電性含フッ素共重合体組成物4の燃料透過係数は2.5gmm/m2/24hであった。
【0071】
ペレット3に代えてペレット4を用いる以外は例3と同様にして2層積層ホースを得た。積層ホースの外径は8mm、内径は6mm、厚さは1mmであり、ポリアミド12の外層及び導電性含フッ素共重合体組成物4の内層はそれぞれ0.85mm及び0.15mmであり、表面抵抗値は1×106Ω/□であった。剥離強度の測定を試みたが、ポリアミド12の外層と導電性含フッ素共重合体組成物4の内層は強固に接着し剥離できず、内層が破断した。
【0072】
[例5]
例1の含フッ素共重合体1の造粒物1と平均粒径35nm、DBP吸油量160ml/100g、BET比表面積69m2/gのカーボンブラック(電気化学社製デンカブラック)とPBN(ポリプラスチックス社製ジュラネックス500FP)を質量比で74/13/13で混合し、同方向回転型2軸押出機を用いて、剪断速度500sec−1、混練部のシリンダ温度300℃、滞留時間5分で溶融混練し、導電性含フッ素共重合体組成物5のペレット5を作成した。導電性含フッ素共重合体組成物5の燃料透過係数は2.0gmm/m2/24hであった。
【0073】
ペレット1に代えてペレット5を用いる以外は例1と同様にして2層積層ホースを得た。積層ホースの外径は8mm、内径は6mm、厚さは1mmであり、ポリアミド12の外層及び導電性含フッ素共重合体組成物5の内層はそれぞれ0.85mm及び0.15mmであり、表面抵抗値は1×106Ω/□であった。剥離強度の測定した結果、内層と外層との剥離強度は45.0N/cmであった。
【0074】
[例6]
重合前に及び重合中にIAHを仕込まない他は例1と同様にして含フッ素共重合体3及び造粒物3の8.0kgを得た。重合時間は1.8時間であった。
【0075】
溶融NMR分析及びフッ素含有量分析の結果から、含フッ素共重合体3の組成はTFEに基づく重合単位/Eに基づく重合単位/CH2=CH(CF2)4Fに基づく重合単位のモル比で58.1/38.7/3.19であった。融点は219℃であった。
【0076】
造粒物1に代えて造粒物3を用いる以外例1と同様にして導電性含フッ素共重合体組成物6のペレット6を得た。導電性含フッ素共重合体組成物6の燃料透過係数は5.1gmm/m2/24hであった。
【0077】
ペレット3に代えてペレット6を用いる以外は例3と同様にして2層積層ホースを得た。積層ホースの外径は8mm、内径は6mm、厚さは1mmであり、ポリアミド12の外層、導電性含フッ素共重合体組成物6の内層はそれぞれ0.85mm、0.15mmであり、表面抵抗値は1×1012Ω/□であった。内層と外層とは接着しなかった。
【0078】
[例7]
例6の造粒物3と平均粒径85nm、DBP吸油量62ml/100g、BET比表面積28m2/gのカーボンブラック(三菱化学社製、ダイアブラックR)とPPS(呉羽化学社製、MZ200)とを質量比で70/17/13で混合し、同方向回転型2軸押出機を用いて、剪断速度500sec−1、混練部のシリンダ温度300℃、滞留時間5分で溶融混練し、導電性含フッ素共重合体組成物7のペレット7を作成した。導電性含フッ素共重合体組成物7の燃料透過係数は4.5gmm/m2/24hであった。
【0079】
ペレット3に代えてペレット7を用いる以外は例3と同様にして2層積層ホースを得た。積層ホースの外径は8mm、内径は6mm、厚さは1mmであり、ポリアミド12の外層、導電性含フッ素共重合体組成物7の内層はそれぞれ0.85mm、0.15mmであり、表面抵抗値は1×1012Ω/□であった。内層と外層とは接着しなかった。
【0080】
【発明の効果】
本発明の導電性含フッ素共重合体組成物は、導電性に優れ、燃料透過係数が低く、燃料バリア性に優れる。また、耐クラック性にも優れ、含フッ素共重合体以外の熱可塑性樹脂との接着性にも著しく優れる。
また、本発明の導電性含フッ素共重合体組成物は、含フッ素共重合体以外の熱可塑性樹脂との共押出し成形性に優れ、層間の剥離強度の高い積層体を与える。
本発明の導電性含フッ素共重合体組成物の層を最内層に有する積層ホースは、導電性に優れることから、特に自動車用燃料用ホース及び燃料タンク用途に適する。
Claims (6)
- テトラフルオロエチレンに基づく重合単位(a)、エチレンに基づく重合単位(b)及び重合性不飽和結合を有するポリカルボン酸無水物に基づく重合単位(c)を含有し、(a)/(b)のモル比が20/80〜80/20であり、(c)/((a)+(b))のモル比が1/1000〜5/100である含フッ素共重合体(A)、及び導電性フィラー(B)を含有し、(A)/(B)が質量比で70/30〜99/1であることを特徴とする導電性含フッ素共重合体組成物。
- 前記導電性フィラー(B)は、BET比表面積が50〜1000m2/gであり、かつDBP吸油量が100ml/100g〜1000ml/100gである炭素系導電性フィラーである請求項1に記載の導電性含フッ素共重合体組成物。
- 前記含フッ素共重合体(A)が、重合単位(a)、重合単位(b)及び重合単位(c)に加えて、さらにCH2=CX(CF2)nY(ここで、X、Yはそれぞれ独立に水素原子又はフッ素原子であり、nは2〜5の整数である。)で表されるモノマーに基づく重合単位(d)を含有し、(d)/((a)+(b))がモル比で1/1000〜15/100である請求項1又は2に記載の導電性含フッ素共重合体組成物。
- 前記導電性含フッ素共重合体組成物がポリフェニレンスルフィド樹脂(C)又はポリブチレン芳香族ポリエステル(D)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の導電性含フッ素共重合体組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の導電性含フッ素共重合体組成物の層を含有する積層体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の導電性含フッ素共重合体組成物の層を最内層に有する積層ホース。
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