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JP2003160676A - 芳香族ポリアミドフィルム及び磁気記録媒体 - Google Patents

芳香族ポリアミドフィルム及び磁気記録媒体

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JP2003160676A
JP2003160676A JP2001360341A JP2001360341A JP2003160676A JP 2003160676 A JP2003160676 A JP 2003160676A JP 2001360341 A JP2001360341 A JP 2001360341A JP 2001360341 A JP2001360341 A JP 2001360341A JP 2003160676 A JP2003160676 A JP 2003160676A
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Japan
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film
aromatic polyamide
magnetic
magnetic recording
recording medium
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JP2001360341A
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Masanori Sueoka
雅則 末岡
Akimitsu Tsukuda
佃  明光
Nobuaki Ito
伸明 伊藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スリット性が良く、磁気記録媒体のベースフ
ィルムとして使用した場合、繰り返し走行した際の端部
の変形を抑制することが可能な芳香族ポリアミドフイル
ムおよび磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 長手方向のヤング率をEMD、幅方向のヤ
ング率をETD、厚み方向の熱膨張係数αNDした時、
MD、ETD、及びαNDが下記式(1)、(2)、(3)
を同時に充たしている芳香族ポリアミドフィルム EMD≧ETD (1) ETD≧8GPa (2) 10≦αND≦300(×10-6/℃) (3)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】芳香族ポリアミドフイルム及
びそれを用いた磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、芳香族ポリアミドフィルム
は、工業材料として広く用いられている。特に、デジタ
ル記録技術の進歩、コンピュータの外部メモリへの展開
などにより、磁気テープの薄膜化及び高密度記録化の要
求が強くなり、優れた耐熱性、機械特性及び寸法安定性
を有する芳香族ポリアミドフィルムが磁気テープ用ベー
スフィルムして用いられることが多くなってきた。
【0003】磁気テープは近年の高容量化に伴ってデー
タの記録密度が飛躍的に向上している。このため、わず
かな寸法変化がデータ欠落の原因となり、ベースフィル
ムには高い剛性、寸法安定性が求められている。一方、
ハード側からも、位置情報を記録したサーボを用いて寸
法変化に対応しようとする試みがなされている。この様
なサーボをフィルム表面に形成する工程では、走行中の
フィルムの幅方向の揺れを抑制するためにガイド等で強
力に規制している。また、磁気テープとして使用する際
にも、サーボを正確に読みとれるように、幅方向の揺れ
は従来以上に強力に規制されるように設計される傾向に
ある。従って、フィルム端部に強力な力が加わり、従来
の芳香族ポリアミドフィルムでは変形が生じて巻きぶと
り等の問題が生じた。この原因を追及したところ、スリ
ット性に起因する断面形状以外にガイドとの摩擦熱によ
る熱変形が原因であることが明らかとなった。
【0004】芳香族ポリアミドフィルムをベースフィル
ムとして使用した例として、例えば、特開昭62−62
424号公報では、幅方向のヤング率が700kg/m
2以上で、長手方向のヤング率が幅方向のヤング率の
1.2倍以上の磁気記録媒体が記載されており、特開昭
62−70022号公報には、延伸されたフイルムの状
態で長さ方向と横方向のヤング率の和が3,500〜1
1,000kg/mm 2である芳香族ポリアミドフイル
ムが記載されている。しかし、これらはいずれもフィル
ムを構成するポリマー分子鎖の面方向の配向に着目して
おり、スリット性の改善は期待されるものの、厚み方向
の分子鎖の制御は十分とはいえない。特に、剛性を上げ
るために延伸倍率を高くすると、分子鎖が面方向に強く
配向しすぎて熱が加わると厚み方向に緩和しやすくなっ
たり、ネックダウン(延伸時に延伸に対する直角方向の
幅が縮む現象)が大きくて部分的に分子構造にゆがみが
生じ熱による厚み方向の変形が起こり易くなることがあ
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来の問題を解決し、スリット性が良く、磁気記録媒体の
ベースフィルムとして使用した場合、繰り返し走行した
際の端部の変形を抑制することが可能な芳香族ポリアミ
ドフイルムおよび磁気記録媒体を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的は、長手方向
(MD)のヤング率をEMD、幅方向(TD)のヤング率
をETD、厚み方向の熱膨張係数αNDとしたとき、EMD
TDおよびαNDが下記式(1)〜(3)を同時に満足し
ている芳香族ポリアミドフィルムにより達成される。
【0007】 EMD≧ETD (1) ETD≧8GPa (2) 10≦αND≦300(×10-6/℃) (3)
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に使用される芳香族ポリア
ミドとしては、次の式(6)及び/又は式(7)で表さ
れる繰り返し単位を有するものが好ましい。 式(6):
【0009】
【化1】 式(7):
【0010】
【化2】 ここで、Ar1、Ar2、Ar3の基としては、例えば、
【0011】
【化3】 等が挙げられ、X、Yの基は、−O−、−CH2−、−
CO−、−CO2−、−S−、−SO2−、−C(C
32−等から選ばれるが、これらに限定されるもので
はない。
【0012】更に、これらの芳香環上の水素原子の一部
が、フッ素や臭素、塩素等のハロゲン基(特に塩素)、
ニトロ基、メチルやエチル、プロピル等のアルキル基
(特にメチル基)、メトキシやエトキシ、プロポキシ等
のアルコキシ基等の置換基で置換されているものが、吸
湿率を低下させ、湿度変化による寸法変化が小さくなる
ため好ましい。また、重合体を構成するアミド結合中の
水素が他の置換基によって置換されていてもよい。
【0013】本発明に用いられる芳香族ポリアミドは、
上記の芳香環がパラ配向性を有しているものが、全芳香
環の80モル%以上、より好ましくは90モル%以上を
占めていることが好ましい。ここでいうパラ配向性と
は、芳香環上主鎖を構成する2価の結合手が互いに同軸
または平行にある状態をいう。このパラ配向性が80モ
ル%未満の場合、フィルムの剛性および耐熱性が不十分
となる場合がある。更に、芳香族ポリアミドが式(8)
で表される繰り返し単位を60モル%以上含有する場
合、延伸性及びフィルム物性が特に優れることから好ま
しい。 式(8):
【0014】
【化4】 本発明に使用される芳香族ポリアミドを、芳香族ジ酸ク
ロリドと芳香族ジアミンから得る場合には、N−メチル
−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホ
ルムアミド等の非プロトン性有機極性溶媒中での溶液重
合により合成するとよい。
【0015】この時、低分子量物の生成を抑制するた
め、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避
けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好まし
い。また、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネ
シウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウム等
を添加してもよい。
【0016】単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族
ジアミンとを用いると塩化水素が副生するが、これを中
和する場合には周期律表I族かII族のカチオンと水酸
化物イオン、炭酸イオン等のアニオンとからなる塩に代
表される無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロ
ピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、ト
リエタノールアミン、ジエタノールアミン等の有機の中
和剤を使用するとよい。また、基材フィルムの湿度特性
を改善する目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢
酸クロリド、アニリン等を重合の完了した系に添加し、
ポリマの末端官能基を封鎖してもよい。
【0017】本発明のフィルムを得るためにはポリマー
の固有粘度(ポリマ0.5gを硫酸中で100mlの溶
液として30℃で測定した値)は、0.5以上であるこ
とが好ましい。
【0018】製膜原液としては、中和後のポリマ溶液を
そのまま用いてもよいし、一旦、ポリマを単離後、溶剤
に再溶解したものを用いてもよい。溶剤としては、取り
扱いやすいことからN−メチル−2−ピロリドン、ジメ
チルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の有機極性
溶媒が好ましいが、濃硫酸、濃硝酸、ポリリン酸等の強
酸性溶媒を用いてもかまわない。製膜原液中のポリマ濃
度は2〜20重量%の範囲内にあることが好ましい。
【0019】また、表層となる芳香族ポリアミドには、
フィルムの物性を損なわない程度に滑剤、酸化防止剤そ
の他の添加剤等がブレンドされていることが好ましい。
【0020】例えば、適度な粗さを持たせる目的でフィ
ルム中に粒子を存在させることが好ましい。粒子の種類
としては、SiO2、TiO2、Al23、CaSO4
BaSO4、CaCO3、カーボンブラック、ゼオライト
その他の金属微粉末などの無機粒子や、シリコン粒子、
ポリイミド粒子、架橋共重合体粒子、架橋ポリエステル
粒子、架橋ポリスチレン粒子、テフロン(登録商標)粒
子などの有機高分子などがあるが、芳香族ポリアミドフ
ィルムの耐熱性を活かす点から耐熱性の優れた無機粒子
の方がより好ましい。粒子径としては、用途によって選
択の幅があるが、0.01〜2μmの範囲内、より好ま
しくは0.05〜1μmの範囲内にあることが好まし
い。また、含有量としては、フィルム表面の滑りを良く
するため、0.01〜10重量%の範囲内、より好まし
くは0.1〜5重量%の範囲内にあることが好ましい。
例えば、磁気記録媒体に使用する場合には、平均粒径が
0.01〜0.5μmの範囲内にある無機粒子を0.1
〜3重量%の範囲内で含有することが、電磁変換特性と
走行性、耐久性を両立させる上で好ましい。フィルム表
面の滑りが適当でない場合、製膜工程や加工工程におい
て、フィルムとロールが接触した時に、微小な異物があ
った場合でも傷の原因となりやすい。最終フィルムの表
面粗さも、含有粒子と同様に用途により適切な設計がな
されるべきであるが、例えば磁気記録媒体に使用される
場合には、中心線深さRpで2〜500nmの範囲内、
より好ましくは3〜300nmの範囲内、中心線平均粗
さRaで0.1〜100nmの範囲内、より好ましくは
0.2〜50nmの範囲内、十点平均粗さRzで2〜5
00nmの範囲内、より好ましくは3〜400nmの範
囲内にあることがフィルムに傷が付きにくくなるため好
ましい。
【0021】上記のように調製された製膜原液は、乾式
法、乾湿式法、湿式法等によりフィルム化が行なわれる
が、高品位なフィルムが得られることから乾湿式法が好
ましい。
【0022】まず、乾湿式法を例にとって説明する。
【0023】上記製膜原液を口金からドラム、エンドレ
スベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでか
かる薄膜層から溶媒を飛散させ、支持体から剥離可能な
重合体シートを得る。ここで言う重合体シートとは、ポ
リマー以外に溶剤、溶解助剤等を含む自己支持性を持つ
フィルム又はシートのことを言う。この時の乾燥温度
は、フィルム表面の平滑性が良くなることから80〜2
00℃が好ましい。また、重合体シートの溶剤含有量は
20〜70重量%であることが好ましい。溶剤含有量が
70重量%を越えると重合体シートの自己支持性が不十
分で延伸性に斑が生じ易く、20重量%未満ではポリマ
ーが部分的に析出して延伸性に斑が生じ易くなったり、
フィルムの伸度が低下することがある。この様に延伸性
に斑があるとフィルムの厚みや物性に斑が発生し易くな
り好ましくない。フィルムの厚みや物性がより均一にな
ることから、重合体シートの溶剤含有量は30〜70重
量%がより好ましく、30〜60重量%が更に好まし
い。
【0024】この重合体シート中に含まれる溶剤の組成
に関しては、上記の有機極性溶媒及び/又は強酸性溶媒
が、10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、
更に好ましくは30重量%以上含まれることが、高倍率
に延伸した場合にもフィルムが破れにくいことから好ま
しい。
【0025】この様にして支持体から剥離された重合体
シートは、次いで、延伸区間がフィルム幅に対して45
%以下になるように設定された延伸機を用いて、70〜
250℃に加熱して長手方向に延伸される。延伸区間が
45%を超える場合、大きくネックダウンすることによ
り、フィルム厚み方向の構造が乱れてスリット性が悪化
したり、αNDが本発明の規定の範囲を超える場合があ
る。また、延伸時の加熱温度が70℃未満の場合、重合
体シートが充分に柔軟化されていないために延伸応力が
大きくなり、250℃を超える場合は、溶剤の蒸発が進
行しすぎて延伸応力が大きくなり、いずれもネックダウ
ンが大きくなる原因となる。ネックダウンをより抑制で
きることから、延伸区間はフィルム幅の35%以下が好
ましく、25%以下が更に好ましい。また、延伸時の温
度は100〜200℃であることがより好ましく、12
0〜170℃であることが更に好ましい。加熱方法とし
ては、熱風を用いる方法、高温のロールに接触させて加
熱する方法、赤外線を用いる方法等が挙げられる。延伸
方法としては、ロールを用いてロール間の周速度を変え
ることによって延伸する方法、チャックで把持して延伸
する方法等が挙げられるが、重合体シートが溶媒を含ん
で破れやすいことから、ロールを用いる方法が好まし
い。
【0026】次いで、長手方向の延伸工程を終えた重合
体シートは、湿式工程に導入され、脱塩、脱溶媒などが
行なわれる。湿式工程を通さずにそのまま熱処理を行う
と、表面が大きくあれたり、カ−ルが発生することがあ
るため好ましくない。更に、湿式工程導入時には、溶媒
の抽出によりネックダウンが発生するため、長手方向に
95〜98%リラックスをかけることが好ましい。湿式
工程導入後のネックダウン(湿式工程導入後フィルムの
口金幅に対する減少率(%))は30%以下に保つこと
が本発明の要件を充たすために好ましく、25%以下が
より好ましい。
【0027】湿式工程を経たフィルムは水分の乾燥、熱
処理が行なわれる。熱処理温度は200〜400℃の範
囲にあることが好ましい。より好ましくは、240〜3
200℃である。熱処理温度が200℃未満の場合、フ
ィルムのヤング率の低下やα NDが大きくなることがあ
り、400℃を越えるとフィルムの結晶化が進みすぎて
硬くて脆いフィルムとなることがあり好ましくない。
【0028】また、熱処理の際に、幅方向に延伸を行
う。延伸倍率は長手方向延伸倍率をR MD、長手方向延伸
倍率をRTDとした時、 RTD≦RMD/(1−N/100) となるように延伸することにより、ヤング率が式1の関
係を満たすために好ましい(Nは湿式工程導入後フィル
ムの口金幅に対する減少率(%)を表す)。更に面倍率
(RMDとRTDの積)は、1.3〜5倍であることが好ま
しい。1.3倍未満では、剛性が十分でなく、5倍を越
えると脆いフィルムとなりやすい。
【0029】また、延伸あるいは熱処理の後はフィルム
を徐冷する事が有効であり、50℃/秒以下の速度で冷
却する事が有効である。
【0030】乾式法は、乾湿式法から湿式工程を省いた
製膜法であり、その他の工程は乾湿式法と同じ要件を満
たす必要がある。ただし、湿式工程がないために乾燥工
程で除去できない無機塩等は製膜原液から予め除去して
おく必要がある。
【0031】次に、湿式法について説明する。
【0032】製膜原液を口金からドラム、エンドレスベ
ルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、凝固浴中に導
入し、溶媒や溶解助剤等の添加物を除去する。この時、
できるだけ穏やかに脱溶媒を実施するために、凝固浴に
は、重合溶媒等の良溶媒と水等の貧溶媒の混合溶媒を用
いることが好ましい。また、貧溶媒に塩化カルシウム、
塩化マグネウシム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸
リチウム等の無機塩を加えて調製された浴を用いてもよ
い。溶媒の抽出された重合体シートは、支持体から剥離
され、以下乾湿式法と同様の方法で製膜される。剥離時
の重合体シートのヤング率や延伸条件は乾湿式法と同様
の要件を満たす必要がある。更に、湿式法では、重合体
シート中に含まれる溶剤として貧溶媒も存在するが、良
溶媒である有機極性溶媒及び/又は強酸性溶媒が10重
量%以上、より好ましくは20重量%以上、更に好まし
くは30重量%以上含有されると高倍率に延伸した場合
にも破れにくいことからより好ましい。
【0033】なお本発明法で製造されるフィルムは、積
層フィルムであってもよい。例えば2層の場合には、重
合した芳香族ポリアミド溶液を二分し、それぞれに異な
る粒子等を添加した後積層する。更に、3層以上の場合
も同様である。これら積層の方法としては、周知の方
法、例えば、口金内での積層や、複合管での積層や、一
旦1層を形成しておいてその上に他の層を形成する方法
等がある。
【0034】次に、本発明の製造法によって得られる芳
香族ポリアミドフィルムの物性について説明する。
【0035】本発明の芳香族ポリアミドフィルムの厚み
は、2〜5μmの範囲内にあることが好ましい。フィル
ムの厚みが2μm未満であるとハンドリングが難しく実
用的でなく、5μmを超えると高容量の磁気テープなど
にした場合、1巻当たりに巻き取れる量が低下する。よ
り好ましくは2〜4.75μmの範囲内、更に2.5〜
4.5μmの範囲内である。
【0036】本発明の芳香族ポリアミドフィルムのヤン
グ率は、長手方向のヤング率をEMD、幅方向のヤング率
をETDとしたとき、EMD≧ETD及びETD≧8GPaを満
たす必要がある。EMDがETDより小さい場合、フィルム
を構成するポリマー分子鎖が幅方向により配向している
ためスリット性が悪化し端部が変形しやすくなる。スリ
ット性からは長手方向の配向が大きいほど好ましいが、
あまり大きすぎるとヤング率のバランスが崩れて幅方向
の剛性が大きく低下したり割けやすくなるため、ETD×
1.02≦EMD≦ETD×1.15の関係を満たすことが
より好ましく、ETD×1.02≦EMD≦ETD×1.08
の関係を満たすことが更に好ましい。また、ETDが8G
Pa未満の場合、剛性が不十分で薄膜化に適さない。薄
膜化により適していることから、ETDは10GPa以上
がより好ましく、12GPa以上が更に好ましい。ヤン
グ率は全て、テンシロンを用いて引っ張り速度300m
m/分で引張り、伸度と延伸応力がなす曲線の初期勾配
から求めた。
【0037】本発明の芳香族ポリアミドフィルムの厚み
方向の熱膨張係数αNDは、10≦α ND≦300(×10
-6/℃)を満足している。αNDが300(×10-6
℃)を超えると、磁気テープとした時にガイドとの摩擦
熱による熱変形が大きく、巻きぶとり等の原因となる。
一方、αNDが10(×10-6/℃)未満の場合、巻きず
れ等の原因となる。磁気テープとした時の巻き姿がより
良くなることから、10≦αND≦100(×10-6
℃)がより好ましく、50≦αND≦100(×10 -6
℃)であることが更に好ましい。αNDは、レーザー熱膨
張計を用い、昇温・降温速度:1℃/分で、20〜15
0℃の範囲を測定してその変化量から求めた。
【0038】また、本発明の芳香族ポリアミドフィルム
の伸度は全ての方向において5%以上であることが好ま
しい。伸度が5%未満の場合、フィルムが脆くなり切れ
やすくなることがあり好ましくない。伸度は10%以
上、特に20%以上であるとテープに加工した際に適度
な柔軟性を持つことができるのでより好ましい。
【0039】本発明の芳香族ポリアミドフィルムの吸湿
率は、5%以下、より好ましくは3%以下、更に好まし
くは2%以下であると湿度変化による寸法変化を抑制す
ることができるので好ましい。
【0040】本発明の芳香族ポリアミドフィルムの20
0℃、10分間での熱収縮率は0.5%以下が好まし
く、より好ましくは0.3%以下であると温度変化によ
るテープの寸法変化が小さいので好ましい。これはM
D、TDいずれの方向にもあてはまる。少なくとも一方
でもよい。
【0041】本発明のフィルムは、フレキシブルプリン
ト基板、感熱転写リボン、コンデンサー等の用途にも用
いることができるが、磁気記録媒体のベースフィルムと
して特に有用であり、磁気記録媒体用ベースフィルムと
して用いる場合には、片面または両面に磁性層を設けて
磁気記録媒体とする。
【0042】磁気記録媒体の好ましい用途としては、例
えば8mm、デジタルビデオカセット等の民生用、プロ
用、D−1、2、3等の放送局用、DDS−2、3、
4、QIC、データ8mm、DLTなどのデータストレ
ージ用等があり、特に、データ欠落等の信頼性が重視さ
れるデータストレージ用途に好適に用いることができ
る。
【0043】本発明の磁気記録媒体の磁性層形成方法と
しては、塗布、蒸着、イオンプレーティング、スパッタ
リング、クラスターイオンビーム等が挙げられる。
【0044】塗布法では、非磁性層用塗布液をベースフ
ィルム上に塗布後、形成された塗布層(非磁性層)が湿
潤状態にあるうちにこの上に磁性層用塗布液を塗布す
る、所謂ウエット・オン・ウエット方式による塗布方法
を利用して形成されたものであることが好ましい。この
ウエット・オン・ウエット方式による塗布方法として
は、例えば以下の方法を挙げることができる。 (1)グラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、ある
いはエクストルージョン塗布装置などを用いて、支持体
上にまず非磁性層を形成し、該非磁性層が湿潤状態にあ
るうちに、支持体加圧型エクストルージョン塗布装置に
より、磁性層を形成する方法(特開昭60−23817
9号公報、特公平1−46186号公報、特開平2−2
65672号公報参照)。 (2)二つの塗布液用スリットを備えた単一の塗布ヘッ
ドからなる塗布装置を用いて支持体上に磁性層、及び非
磁性層をほぼ同時に形成する方法(特開昭63−880
80号公報、特開平2−17921号公報、特開平2−
265672号各公報参照)。 (3)バックアップローラ付きエクストルージョン塗布
装置を用いて、支持体上に磁性層及び非磁性層をほぼ同
時に形成する方法(特開平2−174965号公報参
照)。
【0045】本発明において、非磁性層及び磁性層は、
同時重層塗布方法を利用して形成することが好ましい。
上記非磁性層の厚さは、1.5〜1.8μmの範囲にあ
ることが好ましい。また磁性層の厚みは、0.1〜0.
4μmの範囲にあることが好ましい。
【0046】本発明の磁気記録媒体において前記非磁性
支持体上に設けられる非磁性層は、非磁性粉末及び結合
剤を主体とする実質的に非磁性の層である。この非磁性
層は、その上の磁性層の電磁変換特性に影響を与えない
ように実質的に非磁性であることが必要であるが、磁性
層の電磁変換特性に影響を与えない程度に少量の磁性粉
末が含まれていても特に問題とはならない。また非磁性
層には、通常はこれらの成分以外に潤滑剤が含まれてい
る。
【0047】非磁性層で用いられる非磁性粉末として
は、例えば、非磁性無機粉末、カーボンブラックを挙げ
ることができる。非磁性無機粉末は、比較的硬いものが
好ましく、モース硬度が5以上(更に好ましくは、6以
上)のものが好ましい。これらの非磁性無機粉末の例と
しては、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、
炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、
コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化チタ
ン、二酸化珪素、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、及び硫酸バリウムを挙げることが
できる。これらは単独でまたは組合せて使用することが
できる。これらのうちでは、酸化チタン、α−アルミ
ナ、α−酸化鉄、又は酸化クロムが好ましい。本発明で
使用できる非磁性無機粉末の平均粒子径は、0.01〜
1.0(好ましくは、0.01〜0.5、特に、0.0
2〜0.1)μmの範囲にあることが好ましい。また非
磁性粉末のうち、3〜25重量%(好ましくは、3〜2
0重量%)は、モース硬度が5以上(好ましくは、6以
上)の所謂研磨剤として機能し得るものを使用すること
が好ましい。
【0048】蒸着法は、例えば、斜め蒸着あるいは垂直
蒸着法によって形成され、Co、Ni、Fe等を主体と
する金属薄膜またはそれらの合金を主体とする金属薄膜
が使用可能である。例示すれば、Co、Ni、Fe等の
強磁性金属やFe−Co、Co−Ni、Fe−Co−N
i、Fe−Cu、Co−Au、Co−Pt、Mn−B
i、Mn−Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−C
r、Fe−Co−Cr、Co−Ni−Cr、Fe−Co
−Ni−Cr等の強磁性合金が挙げられる。これらは、
単層膜であっても多層膜であっても良い。
【0049】また、蒸着の方法としては、真空下で強磁
性材料を加熱蒸発させ、フィルム上に堆積する真空蒸着
法が好ましいが、強磁性材料の蒸発を放電中で行うイオ
ンプレーティング法、アルゴンを主成分とする雰囲気中
でグロー放電を起こし、生じたアルゴンイオンでターゲ
ット表面の原子を叩き出すスパッタリング法等、いわゆ
るPVD技術を使用してもよい。磁性薄膜形成後には、
カール対策として、150℃〜250℃の熱処理が好ま
しく施される。また、金属磁性薄膜からなる磁性層の表
面に、磁気記録媒体の耐久性や耐候性を高める目的で、
スパッタリング法やCVD法により硬質炭素膜を必要に
応じて設けてもよいし、更に、潤滑層を設けることによ
り、磁性材料の粒子状突起の形状に基づく走行性を更に
高めることも可能である。潤滑剤としては、例えば、脂
肪酸及び脂肪酸エステルを挙げることができる。
【0050】本発明の磁気記録媒体のベースフィルムの
他方の側には、バックコート層が設けられていることが
好ましい。このバックコート層は基本的に非磁性粉末と
結合材とから構成され、非磁性粉末としてカーボンブラ
ックが含まれることが好ましい。更に、無機質粉末とし
て、炭酸カルシウム、及びモース硬度5〜9の無機質粉
末が含有されていることが好ましい。
【0051】バックコート層では、カーボンブラック
は、平均粒子サイズの異なる二種類のものを使用するこ
とが好ましい。この場合、その平均粒子サイズは、10
〜20mμの微粒子状カーボンブラックと平均粒子サイ
ズが230〜300mμの粗粒子状カーボンブラックを
使用することが好ましい。一般に、上記のような微粒子
状のカーボンブラックの添加により、バックコート層の
表面電気抵抗を低く設定でき、また光透過率も低く設定
できる。磁気記録の装置によっては、テープの光透過率
を利用し、動作の信号に使用しているものが多くあるた
め、このような場合には特に微粒子状のカーボンブラッ
クの添加は有効になる。また微粒子状カーボンブラック
は一般に潤滑剤の保持力に優れ、潤滑剤併用時、摩擦係
数の低減化に寄与する。一方、粒子サイズが230〜3
00mμの粗粒子状カーボンブラックは、固体潤滑剤と
しての機能を有しており、またバック層の表面に微小突
起を形成し、接触面積を低減化して、摩擦係数の低減化
に寄与する。しかし粗粒子状カーボンブラックは、過酷
な走行系では、テープ摺動により、バックコート層から
の脱落が生じ易くなり、エラー比率の増大につながる欠
点を有している。
【0052】本発明で用いることができる微粒子状カー
ボンブラックの具体的な商品としては、以下のものを挙
げることができる。“RAVEN2000B”(18m
μ)、“RAVEN1500B”(17mμ)(以上、
コロンビアカーボン社製)、“BP800”(17m
μ)(キャボット社製)、“PRINNTEX90”
(14mμ)、“PRINTEX95”(15mμ)、
“PRINTEX85”(16mμ)、“PRINTE
X75”(17mμ)(以上、デグサ社製)、#395
0(16mμ)(三菱化成工業(株)製)。また粗粒子
カーボンブラックの具体的な商品の例としては、“サー
マルブラック”(270mμ)(カーンカルブ社製)、
“RAVEN MTP”(275mμ)(コロンビアカ
ーボン社製)を挙げることができる。
【0053】バックコート層において、平均粒子サイズ
の異なる二種類のものを使用する場合、10〜20mμ
の微粒子状カーボンブラックと230〜300mμの粗
粒子状カーボンブラックの含有比率(重量比)は、前
者:後者=98:2〜75:25の範囲が好ましく、更
に好ましくは、95:5〜85:15である。また、バ
ックコート層におけるカーボンブラック(微粒子状と粗
粒子状を加えた場合においては、その全量)の含有量
は、後述する結合剤100重量部に対して、通常30〜
80重量部の範囲であり、好ましくは、45〜65重量
部の範囲である。
【0054】
【実施例】以下の実施例における物性の測定、効果の評
価は次の方法に従って行った。 (1)ヤング率 25℃、60%RHにおいて、ロボットテンシロンRT
A−100(オリエンテック社製)を用いて測定した。
試長の幅が10mm、チャック間の長さが50mmとな
るようにセットし、引っ張り速度は300mm/分で引
張試験を5回行い、平均値を求めた。 (2)厚み方向熱膨張係数 フィルムを幅方向に3等分しそれぞれの中央部分から7
mm角の切片を切り出し、以下の条件で測定して平均値
を求めた。
【0055】 装置:真空理工株式会社製 レーザー熱膨張計LIX−1型 データ処理:東レリサーチセンター製データ処理システム “THADAP−TEX” 測定モード:再昇温測定 昇温・降温速度:1℃/分 測定温度範囲:20〜150℃ 測定雰囲気:ヘリウム中 負荷加重:17g 測定n数:2回 (3)端部の変形 実施例に記載の方法で制作した磁気テープを、DLT8
000ドライブを用いて、走行スピード3.2m/秒で
2m前進後1m戻す動作を50時間続けた後、端部を観
察した。100mおきに長さ10cmのサンプルを切り
出し、水平な台の上に置いて、水平面から最も変形度の
大きい部分の高さを測定し平均値を求めた。評価は、以
下の基準で行い、△以上が実用範囲内である。
【0056】 ○:変形度が1mm未満 △:変形度が1〜2mm ×:変形度が2mmを超える (4)走行耐久性 DLT8000ドライブを用いたECMA規格規定のT
M1にて10,000P(パス)の評価を行った。エラ
ーレート上昇による走行ストップが生じたパス回数で評
価した。△以上が実用範囲である。
【0057】 ○:10,000Pまでストップ無し △:5,000〜10,000Pでストップ X:50,00P未満でストップ 以下に実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものでないことは言う
までもない。なお、以下の実施例に記載の「部」は「重
量部」を表す。 [実施例1] 〈ポリマー原液の調整〉脱水したN−メチル−2−ピロ
リドンに、85モル%に相当する2−クロルパラフェニ
レンジアミンと15モル%に相当する4,4’−ジアミ
ノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに98.5モ
ル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加
し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行
い、ポリマー濃度が11重量%の芳香族ポリアミド溶液
を得た。 〈芳香族ポリアミドフィルムの製造〉このポリマー原液
を幅830mmの口金から表面が鏡面状の速度8.0m
/分で回転しているステンレス製ベルト上に最終フィル
ムの中間層厚みが4μmとなるように流延した。この流
延されたポリマー溶液を最初160℃、次いで180℃
の熱風でそれぞれ1分間ずつ加熱して溶媒を蒸発させ剥
離した。剥離した重合体シートの溶剤含有率は40重量
%であった。この重合体シートを延伸区間220mmの
2組のニップロールを備えた延伸機で80℃に加熱しな
がら長手方向に1.25倍延伸した。この時のネックダ
ウンは5.1%であった。次に、水槽内へ長手方向に9
8%のリラックスをかけながら2分間通して残存溶媒と
中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この工程まで
のネックダウンの合計は13.2%であった。この後、
テンター中で、温度280℃、風速5m/秒の熱風下で
TDに1.44倍延伸と熱処理を行った。 〈磁気テープの製造〉 〈非磁性層形成用成分〉 非磁性粉末 酸化チタンTiO2(ルチル型) 90部 (TiO2含有量:90%以上、平均一次粒子径:0.035μm、BET法 による比表面積:40m2/g、pH:7.0、DBP吸油量:27〜38g/ 100g、モース硬度:6.0、表面処理剤:A123 ) カーボンブラック(三菱カーボン(株)製) 10部 (平均一次粒子径:16mμ、DBP吸油量:80ml/100g、pH:8 .0、BET法による比表面積:250m2 /g、揮発分:1.5%) 極性基(−SO3Na基、エポキシ基含有)含有塩化ビニル樹脂 12部 (MR−110、日本ゼオン(株)製) 極性基(−SO3Na基)含有ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 (ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI=0.9/2 .6/1(重量比)、−SO3Na基含有量:1×10-4モル/g) ポリイソシアネート 3部 (コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製) ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 2部 オレイン酸 1部 メチルエチルケトン 150部 シクロヘキサノン 50部 〈磁性層形成用成分〉 強磁性金属粉末(組成/Fe:Ni=70:80(原子比))100部 (保磁力(Hc):2,300エルステッド(Oe)、BET法による比表面 積:57m2/g、結晶子サイズ:180オングストローム、飽和磁化量(σs ):141emu/g、粒子サイズ(平均長軸径):0.08μm、針状比:7 .5、pH:9.6、水溶性Na:5ppm、水溶性Ca:10ppm、水溶性 Fe:10ppm) 磁性体表面処理剤(フェニルホスホン酸) 3部 極性基(−SO3Na基)含有塩化ビニル系共重合体 10部 (−SO3Na基含有量:5×10-6モル/g、重合度350、エポキシ基含 有量:モノマー単位で3.5重量%、 MR−110、日本ゼオン(株)製) 極性基(−SO3Na基)含有ポリエステルポリウレタン樹脂 2.5部 (ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI=0.9/2 .6/1(重量比)、−SO3Na基含有量:1×10-4モル/g) ポリイソシアネート 2.5部 (コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製) α−アルミナ(粒子サイズ:0.3μm) 10部 三酸化二クロム 1部 カーボンブラック(粒子サイズ:0.10μm) 3部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 2部 オレイン酸 1部 メチルエチルケトン 150部 シクロヘキサノン 50部 上記非磁性層又は磁性層を形成する各成分をそれぞれ連
続ニーダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させ
た。得られたそれぞれの分散液にポリイソシアネート
(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)を非
磁性層の分散液には2.5部、磁性層の分散液には3部
を加え、更にそれぞれに酢酸ブチル40部を加え、1μ
mの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁
性層形成用塗布液および磁性層形成用塗布液をそれぞれ
調製した。 〈バックコート層形成用成分〉 微粒子状カーボンブラック粉末 100部 (キャボット社製、“BP−800”、平均粒子サイズ:17mμ) 粗粒子状カーボンブラック粉末 10部 (カーンカルブ社製、“サーマルブラック”、平均粒子サイズ:270mμ) 炭酸カルシウム 80部 (白石工業(株)製、平均粒子サイズ:40mμ) α−アルミナ 5部 (住友化学工業(株)製、“HIT55”、平均粒子サイズ:200mμ、モ ース硬度:8.5) ニトロセルロース樹脂 140部 ポリウレタン樹脂 15部 ポリイソシアネート樹脂 40部 ポリエステル樹脂 5部 分散剤:オレイン酸銅 5部 銅フタロシアニン 5部 硫酸バリウム 5部 メチルエチルケトン 2200部 酢酸ブチル 300部 トルエン 600部 上記バックコート層を形成する各成分を連続ニーダで混
練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた
分散液を1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて
濾過し、バックコート層形成用塗布液を調製した。 〈磁性層の形成〉得られた非磁性層形成用塗布液と磁性
層形成用塗布液を、乾燥後の非磁性層の厚さが1.7μ
mとなるように、またこの上に乾燥後の磁性層の厚さが
0.2μmとなるように長尺状のベースフィルム上に同
時重層塗布を行った。次いで、両層がまだ湿潤状態にあ
るうちに、3,000ガウスの磁束密度を持つコバルト
磁石と1,500ガウスの磁束密度を持つソレノイドを
用いて配向処理を行った。その後乾燥を行い、非磁性層
及び磁性層を設けた。その後、芳香族ポリアミド支持体
の他方の側(磁性層とは反対側)に、上記バックコート
層形成用塗布液を乾燥後の厚さが、0.5μmとなるよ
うに塗布し、乾燥してバックコート層を設けて、支持体
の一方の面に非磁性層と磁性層とが、そして他方の面に
バックコート層がそれぞれ設けられた磁気記録積層体ロ
ールを得た。得られた磁気記録積層体ロールを金属ロー
ルのみから構成される7段のカレンダー処理機(温度8
5℃、線圧300kg/cm2)に通してカレンダー処
理を行い、次いで12.7mm幅にスリットした。得ら
れたテープ(本発明に従う磁気テープ)をDLT用カー
トリッジに555m巻き込み、データストレージ装置を
製造した。
【0058】ベースフィルム及び磁気テープの特性を表
1にまとめた(以下の実施例、比較例も同様)。 [実施例2]熱処理温度を320℃に変更して製膜した
他は実施例1と同様にしてフィルムおよびテープを製造
した。 [実施例3]実施例1において、延伸温度を130℃、
長手方向延伸倍率を1.6倍、幅方向延伸倍率を2.0
倍に変更して製膜した他は実施例1と同様にしてフィル
ムおよびテープを製造した。 [実施例4]実施例1において、延伸温度を130℃、
長手方向延伸倍率を1.6倍、幅方向延伸倍率を2.0
倍、熱処理温度を300℃に変更して製膜した他は実施
例1と同様にしてフィルムおよびテープを製造した。 [実施例5]実施例1において、延伸温度を130℃、
長手方向延伸倍率を1.6倍、幅方向延伸倍率を2.1
倍、熱処理温度を300℃に変更して製膜した他は実施
例1と同様にしてフィルムおよびテープを製造した。 [比較例1]実施例1において、長手方向延伸倍率を
1.15倍、幅方向延伸倍率を1.45倍に変更して製
膜した他は実施例1と同様にしてフィルムおよびテープ
を製造した。
【0059】横方向の配向が強く成りすぎ、端部の変形
が悪化した。 [比較例2]実施例1において、長手方向延伸倍率を
1.15倍、幅方向延伸倍率を1.25倍、熱処理温度
を180℃に変更して製膜した他は実施例1と同様にし
てフィルムおよびテープを製造した。
【0060】αNDが大きくなり、端部の変形が悪化し
た。 [比較例3]実施例1において、延伸区間を420m
m、長手方向延伸倍率を1.6倍、幅方向延伸倍率を
2.0倍に変更して製膜した他は実施例1と同様にして
フィルムおよびテープを製造した。
【0061】ネックダウンが大きくなった結果、αND
大きくなり、端部の変形が悪化した。 [比較例4]実施例1において、長手方向延伸倍率を
1.6倍、幅方向延伸倍率を2.0倍、水槽導入時に長
手方向に1.05倍に変更して製膜した他は実施例1と
同様にしてフィルムおよびテープを製造した。
【0062】ネックダウンが大きくなった結果、αND
大きくなり、端部の変形が悪化した。 [比較例5]実施例1において、2−クロルパラフェニ
レンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテ
ルの添加量をそれぞれ50モル%に変更して製膜した他
は実施例1と同様にしてフィルムおよびテープを製造し
た。
【0063】ヤング率が低下した結果、走行耐久性が低
下した。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、
フィルムを構成するポリマー分子鎖の配向及び熱による
厚み方向の寸法変化を規定することにより、スリット性
が良く、磁気記録媒体のベースフィルムとして使用した
場合、繰り返し走行した際の端部の変形を抑制すること
が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA54 AF20Y AF62Y AH14 BA02 BB02 BB06 BC01 5D006 CB03 CB07 FA02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向のヤング率をEMD、幅方向のヤ
    ング率をETD、厚み方向の熱膨張係数をαNDとしたと
    き、EMD、ETDおよびαNDが下記式(1)〜(3)を同
    時に満足している芳香族ポリアミドフィルム。 EMD≧ETD (1) ETD≧8GPa (2) 10≦αND≦300(×10-6/℃) (3)
  2. 【請求項2】 EMDおよびETDが下記式(4)を満足し
    ている、請求項1に記載の芳香族ポリアミドフィルム。 ETD×1.02≦EMD≦ETD×1.15 (4)
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の芳香族ポリア
    ミドフィルムの少なくとも片面に磁性層を設けてなる磁
    気記録媒体。
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