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JP2000344913A - 芳香族ポリアミドフィルムおよび磁気記録媒体 - Google Patents

芳香族ポリアミドフィルムおよび磁気記録媒体

Info

Publication number
JP2000344913A
JP2000344913A JP2000078658A JP2000078658A JP2000344913A JP 2000344913 A JP2000344913 A JP 2000344913A JP 2000078658 A JP2000078658 A JP 2000078658A JP 2000078658 A JP2000078658 A JP 2000078658A JP 2000344913 A JP2000344913 A JP 2000344913A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
aromatic polyamide
recording medium
magnetic recording
polyamide film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000078658A
Other languages
English (en)
Inventor
Akimitsu Tsukuda
佃  明光
Masanori Sueoka
雅則 末岡
Mitsuhiro Horiuchi
光弘 堀内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2000078658A priority Critical patent/JP2000344913A/ja
Publication of JP2000344913A publication Critical patent/JP2000344913A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】出力特性と走行耐久性に優れた芳香族ポリアミ
ドフィルムを提供する。 【解決手段】少なくとも片面の深さ3〜300nmの窪
みが20×104〜1×109個/mm2存在することを
特徴とする芳香族ポリアミドフィルム。又、窪み深さの
標準偏差/平均窪み深さが0.5以下であり、高さ10
mm以上の突起が0.1万〜30万個/mm存在し、
かつ高さ100mm以上の粒大突起が0〜300個/1
00cmであることを特徴とする芳香族ポリアミドフ
ィルム。及び、上記芳香族ポリアミドフィルムを非磁性
支持体に用いることを特徴とする、磁気記録媒体。上記
磁気記録媒体は磁気抵抗型再生ヘッド(MRヘッド)を
有するシステムに使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリアミド
フィルム、詳しくは、表面に均一な窪みを多数有する芳
香族ポリアミドフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒
体に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミドフィルムは、その優れ
た耐熱性、機械特性を活かして種々な用途に検討されて
いる。特にパラ配向系の芳香族ポリアミドフィルムは剛
性、強度等の機械特性が他のポリマーより優れているた
め、薄物化に非常に有利であり、プリンターリボン、磁
気テープ、コンデンサー、太陽電池等の用途が考えられ
ている。芳香族ポリアミドフィルムの加工工程、例え
ば、磁気記録媒体用途における塗布型あるいは金属薄膜
型磁性層形成工程、あるいは感熱転写用途における感熱
転写層塗布などの工程における加工速度の増大に伴い、
芳香族ポリアミドフィルムには、一層良好な走行性、耐
摩耗性、塗剤の付着性等の表面特性が要求されつつあ
る。こうした要請に対して、従来から芳香族ポリアミド
フィルムの表面形成法については種々の検討が為されて
きた。例えば、フィルム表面に微細な突起を形成するた
めに、フィルム中に無機粒子を含有させた芳香族ポリア
ミドフィルム(例えば、特開昭60ー127523号公
報、特開昭60ー201914号公報)や、表面突起形
成のための粒子を含有する薄膜層を基層に積層した芳香
族ポリアミドフィルム(例えば、特開平3ー11951
2号公報)などである。
【0003】しかしながら、上記のような従来の、表面
突起を積極的に形成した芳香族ポリアミドフィルムには
基本的に以下の3つの大きな問題がある。
【0004】第1に、どのような形態にしろ突起を多数
形成することにより、例えば、磁気記録媒体に使用した
ときにヘッドとのスペーシングが大きくなり、出力特性
が低下してしまう点である。逆にスペーシングを小さく
するために、突起高さを小さくするあるいは、突起個数
を減少させた場合、摩擦性が悪化し、走行中にヘッドと
貼り付いて、最後には磁性層を破壊してしまうことがあ
る。このジレンマを解消するために、これまでは、なる
べく均一な高さの微細突起を多数付与することを目標と
して検討が進められてきたが、表面突起に頼る限り、上
記課題の本質的な解決は図ることが困難である。
【0005】第2に、突起が多数存在することにより、
フィルムと磁性層、バックコート層との密着力、また、
磁性層上の塗布膜(例えば、金属薄膜型磁性層上に付与
される潤滑剤膜)との密着力が必ずしも十分でない点で
ある。
【0006】第3に、加工工程において、あるいは最終
製品の使用段階において、ガイドロールやガイドピン上
を走行させることが多いが、含有粒子により形成された
突起は相当硬いため、ガイドの表面が削られ、発生した
粉がガイドやフィルムに付着する、あるいは逆にフィル
ム表面の突起が削れやすくなるという問題を生じやす
い。特に、フィルムが繰り返し走行、高速走行される場
合に、この問題は顕著となる。
【0007】更に、近年、磁気記録の高密度化の要請に
従い高感度再生ヘッドである磁気抵抗型ヘッド(以下、
MRヘッドと略す)が採用されつつある。MRヘッドは
従来の誘導型ヘッドに較べて極めて感度が高いため、記
録信号が微小であっても再生可能であり、高密度記録に
不可欠なヘッドとなると予測されている。一方、MRヘ
ッドは、従来ヘッドに較べ薄膜でかつ軟材料を用いてい
るため、従来型ヘッドに較べ格段に厳しい削れ(摩耗)
の抑制が求められる。このヘッド摩耗は、ヘッドとテー
プの摺動によりベースフィルムに起因するテープの表面
突起がヘッド表面を削っていく現象であり、MRヘッド
実用化においての最大の課題である。殊に、ヘリカルス
キャン方式では、ヘッドとテープの接触圧力が大きいた
め削れが一層発生しやすくなる。従来、ヘッドとの摩擦
を低下させるためフィルム表面に高硬度、急峻、微細突
起を形成してきたが、ヘッド摩耗の観点からは全て不利
な方向に作用することとなり、摩耗を抑制し、且つ、ス
ペーシングが小さく、適度な摩擦をも表面設計が求めら
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、従来の表面突起形成による弊害を除去して、
特に磁気記録媒体用途として出力特性と走行耐久性に優
れた芳香族ポリアミドフィルムを提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも片
面に深さ3〜300nmの窪みが20×104〜1×1
9個/mm2存在することを特徴とする芳香族ポリアミ
ドフィルムである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の芳香族ポリアミドとは、
次の一般式(I)および/または一般式(II)で表わ
される繰り返し単位を50モル%以上含むものが好まし
く、70モル%以上からなるものがより好ましい。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】 ここで、Ar1,Ar2、Ar3は 例えば、
【0013】
【化3】 などが挙げられる。
【0014】X、Yは、 −O−,−CH2−,−CO−,−SO2−、−S−,−
C(CH32− 等から選ばれるが、これらに限定されるものではない。
更にこれらの芳香環上の水素原子の一部が、フッ素、塩
素、臭素などのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、お
よびメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基
(特にメチル基)、メトキシ基、エトキシ基、プロポキ
シ基、イソプロポキシ基などのアルコキシ基などの置換
基で置換されているものも含み、また、重合体を構成す
るアミド結合中の水素が他の置換基によって置換されて
いるものも含む。
【0015】特性面からは上記の芳香環がパラ配向位で
結合されたものが、全芳香環の50%以上、好ましくは
75%以上を占める重合体が、フィルムの剛性が高く耐
熱性も良好となるため好ましい。ここで言うパラ配向位
とは結合位が直線となるものである。また芳香環上の水
素原子の一部がハロゲン基(特に塩素)で置換された芳
香環が全体の30%以上であると耐湿性が向上し、吸湿
による寸法変化、剛性低下などの特性が改善されるため
に好ましい。
【0016】本発明の芳香族ポリアミドは、一般式
(I)および/または一般式(II)で表される繰り返
し単位を50モル%以上含むものであって、50モル%
未満は他の繰り返し単位が共重合、またはブレンドされ
ていても差し支えない。
【0017】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、そ
の少なくとも片面に深さ3〜300nm以下の窪みが2
0×104〜1×109個/mm2以上存在するものであ
る。深さ3〜300nmの窪みが多数個存在することに
より、磁気記録媒体としたときに出力特性を低下させな
いままに、走行・耐久性を向上させることが可能とな
り、更にMRヘッドを搭載したシステムに使用される場
合、耐摩耗性を飛躍的に向上させることが可能となる。
これまでのフィルムは、表面に多数の微細突起を付与す
ることにより走行・耐久性を確保してきたが、その反面
磁気ヘッドとのスペーシングが必然的に発生し、出力が
その分低下する。更に、微細突起は一般的に硬く、急峻
であるため、ヘッド削れが不可避であり、特に耐摩耗性
への要求が厳しいMRヘッドに適用する場合は、ヘッド
との接触圧力を低下させる必要があった。しかしながら
ヘッドとの接触圧力を低下させるとスペーシングが更に
大きくなり、出力が低下する。この出力低下(スペーシ
ングロス)は、スペーシングに比例し、また記録波長に
反比例するため、高密度記録のため記録波長が短くなれ
ばなるほど影響が大きくなる。これに対し、本発明の芳
香族ポリアミドフィルムでは、窪みにより走行・耐久性
を確保しているため、ヘッドとのスペーシングが極めて
小さく出力低下を最小限に抑えることが可能であり、更
に摩耗も極めて良好となる。窪み深さが3nm未満で
は、走行・耐久性を確保することが困難であり、また、
300nmより深いと磁性層形成時にヌケが発生する場
合がある。また、窪み個数が20×104個mm2未満で
は、走行・耐久性向上の効果が顕著に現れず、109
/mm2を超えると、窪み以外の部分が突起状となるた
め、ヘッドが摩耗しやすくなることがある。窪み個数
は、より好ましくは200×10 4〜1×108個/mm
2であり、この範囲内でMRヘッドの摩耗が非常に減少
するので良い。さらに好ましくは、200×104〜2
×107個/mm2であり、一層好ましくは、300×1
4〜2×107個/mm2である。
【0018】また、平均窪み深さは、4〜200nmで
あることが、フィルムの加工性、磁気記録媒体としたと
きの出力特性と走行耐久性を両立させる観点から好まし
い。平均深さが4nm未満であると、滑り性が悪化する
ことがあり、テープとヘッドのスティッキングにより摩
耗性が悪化することがある。また、200nmを超える
と出力特性が低下することがある。より好ましくは、5
〜100nmであり、更に好ましくは、10〜40nm
である。
【0019】本発明の芳香族ポリアミドフィルムにおい
て、上記窪みの平均径は0.02〜0.5μmであるこ
とが好ましい。窪みの平均径が0.02μm未満である
と磁気記録媒体とした場合に走行・耐久性が低下する場
合があり、また、テープとヘッドのスティッキングによ
り摩耗性が悪化することがある。平均径が0.5μmを
超えると、ノイズが発生し、出力特性が低下することが
ある。好ましくは、平均径0.03〜0.4μmであ
り、より好ましくは0.04〜0.3μmである。
【0020】本発明の芳香族ポリアミドフィルムにおい
て、上記窪み深さの標準偏差/平均窪み深さは0.5以
下であることが好ましい。0.5以下であると、多数に
形成される窪み深さの均一性が高くなるため、加工性が
良好となり、また、磁気記録媒体としたときに磁性層が
均一に形成されるため出力が向上し、更にノイズが極め
て低くなる。0.5を超えると、不均一な深さの窪みが
多くなりフィルム加工時にしわが発生したり、また、磁
気記録媒体としたときに磁性層が均一に形成されないた
めに出力特性の低下、また、ヘッド摩耗を招くことがあ
る。より好ましくは、0.3以下であり、更に好ましく
は0.15以下である。標準偏差/平均窪み深さの下限
は、特に限定されないが、フィルムの生産性との両立を
考慮した場合、0.005程度である。
【0021】本発明の芳香族ポリアミドフィルムにおい
て、深さ0.5μm以上の窪みは4000個/mm2
満であることが好ましい。本発明のフィルムは、1〜5
μmと言った薄膜で使用されることが期待されるので、
深さ0.5μm以上の窪みが4000個/mm2以上に
なると、フィルムの寸法安定性が損なわれることがあ
り、更に磁気記録媒体としたときに磁性層のヌケが発生
することがある。深さ0.5μm以上の窪みは、より好
ましくは2000個/mm2未満であり、更に好ましく
は500個/mm2未満である。下限については、実用
特性上問題がでないレベルである10-2個/mm2程度
である。
【0022】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、上
述した多数の均一窪みの形成により目的を達成できるも
のであるが、加工時のハンドリング性、または磁気記録
媒体としたときの走行耐久性を更に向上させるために、
少量の突起が形成されていても差し支えない。突起高さ
と個数については、フィルムが供される加工機械や磁気
記録媒体、システムにより適切に選択されるべきもので
あるが、特に高密度磁気記録媒体に使用されるときは、
出力と走行耐久性を両立させるために、高さ10nm以
上の突起を0.1〜30万個/mm2に制御することが
好ましい。より好ましくは、0.3〜10万個/mm2
であり、更に好ましくは0.5〜7万個/mm2であ
る。
【0023】また、上記突起の高さが60nm以上の突
起個数が、2.5万個/mm2以下であると、磁気記録
媒体としたときの出力特性が向上するので好ましい。よ
り好ましくは、1.0万個/mm2以下であり、更に好
ましくは0.3万個/mm2以下である。
【0024】この目的を達成するために本発明のフィル
ムには、粒子を含有させていても良い。粒子としては、
有機粒子、無機粒子何れでも差し支えなく、例えば架橋
ポリビニルベンゼン、アクリル、架橋ポリスチレン、ポ
リエステル、ポリイミド、ポリアミド、フッ素樹脂など
の有機高分子からなる粒子、コロイダルシリカ、酸化チ
タン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カル
シウム、カーボンブラック、ゼオライト等の無機粒子、
あるいは上記高分子粒子に他の有機物で被覆等の各種処
理を施した上記有機高分子粒子、あるいは表面に上記の
有機高分子で被覆等の各種処理を施した無機粒子等が挙
げられる。粒子径としては、5〜100nmのものが好
ましく、より好ましくは10〜50nm,更に好ましく
は15〜30nmであり、単分散粒子を用いることが好
ましい。また、これらの中から、複数の粒子を組み合わ
せて用いても良く、また大きさの異なる粒子を組み合わ
せて使用しても差し支えない。粒子の含有量は、用途に
より適切に設計されるものであるが、フィルム、特に磁
気記録媒体用途に用いる場合には0. 0001〜1.0
重量%とするのが好ましく、より好ましくは0.001
〜0.2重量%、更に好ましくは0.005〜0.1重
量%である。更に、窪みの均一性の効果を損なわないた
めには、突起高さの均一性も重要であり、そのために、
粒子形状としては球形粒子が好ましく、また粒径の均一
なものを使用することが望ましい。詳しくは平均粒子径
をDとした時の粒径分布の相対標準偏差σ(標準偏差/
平均粒子径)が、σ≦0.3を充たすことが好ましく、
より好ましくはσ≦0.15である。
【0025】本発明のフイルムは、上記組成物を主要成
分とするが、本発明の目的を阻害しない範囲で、酸化防
止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、核生成剤等の無
機または有機の添加剤がブレンドされていてもよい。
【0026】本発明のフィルムは、厚みが1〜20μm
の薄膜フィルムである場合に、本発明の効果をより奏す
ることができるので好ましい。より好ましくは1〜10
μm、更に好ましくは、1〜5μmである。
【0027】本発明のフィルムは、少なくとも一方向の
引張りヤング率が7GPa以上であることが、近年ます
ます顕著になってきている基材フィルムの薄膜化を達成
するため好ましい。例えば磁気テープの出力は、テープ
とヘッドとのヘッドタッチ性の向上に伴って上がるが、
そのために基材フィルムの高ヤング率化が求められる。
記録法方が固定ヘッド式の場合は長手方向の、ヘリカル
スキャン方式の場合は幅方向のヤング率が特に必要であ
り、基材フィルムのいずれの方向も7GPa未満であれ
ば、いずれの記録方式を採用しても高出力が得られない
ので好ましくない。尚、本発明のフィルムの少なくとも
一方向のヤング率は、より好ましくは9GPa以上、更
に好ましくは11GPa以上である。ヤング率が高すぎ
るとフィルムが脆くなるおそれがあるため、通常上限と
しては35GPa程度である。尚、全ての方向のヤング
率が7GPa以上であることが好ましいのは言うまでも
ない。これらの特性を充たすためには、本発明の有機高
分子体が芳香族ポリアミドであって、更にその芳香環が
パラ配向性を有しているものが、好ましくは全芳香環の
50%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましく
は80%以上、一層好ましくは90%以上をしめている
ことである。
【0028】該フィルムの少なくとも一方向の伸度は1
0%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは
30%以上であると適度な柔軟性を持つので好ましい。
伸度の上限は他の物性とのバランスにより決定される
が、通常90%程度である。
【0029】該フィルムの吸湿率は、5%以下、より好
ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下であると、
磁気記録媒体用途にて湿度変化によるテープの伸縮が抑
えられ、良好な出力特性を保てるので好ましい。また、
吸湿率を大幅に低下させようとした場合に他のフィルム
特性を損なう可能性があるため、下限としては0.3%
程度である。
【0030】該フィルムの200℃、10分間での熱収
縮率は3%以下が好ましく、より好ましくは1.5%以
下であると、磁気記録媒体用途にて温度変化によるテー
プの伸びが抑えられ、良好な出力特性を保てるので好ま
しい。
【0031】本発明のフィルムの少なくとも片面、特に
磁性層が形成される面は無欠点性の高い面であること
が、磁気記録媒体などの用途に使用される場合好まし
い。すなわち該フィルムの磁性層を形成する面(以下、
A面と略す)において、高さ100nm以上の粗大突起
個数が、0〜300個/100cm2 以下であることが
好ましく、より好ましくは0〜250個/100c
2、更に好ましくは0〜150個/100cm2であ
る。
【0032】デジタルビデオテ−プや、コンピューター
用のバックアップテープでは、この範囲を越えるような
欠点の多い面では、電磁変換特性の一つであるドロップ
アウトが多くなることがあり、また再生ヘッドの摩耗が
大きくなることがあるので、到底本発明の用途に供する
ことは出来ない。上記の式を満足するため、粒子塗布時
において所定の濾過精度を有するフィルタ−を通過せし
めて塗剤中に存在する粗大異物を除去する方法が好まし
い。ここで濾過精度とは、粒子をポリマ−あるいは溶媒
などに分散し、フィルタ−を通過させた時に、丁度95
%フィルタ−上に補足された粒子の粒径として定義す
る。当然この濾過精度の値が小さくなるほど、より小さ
な異物の除去が可能となる。本発明のフィルタ−の濾過
精度としては1000nm以下、好ましくは600nm
以下、さらに好ましくは300nm以下である。更に原
料中の異物の低減、ポリマー調製時の未溶解物の低減、
添加粒子の凝集低減を行うことが好ましい。
【0033】尚、上記粗大突起の個数は、上記と反対側
の面(以下、B面と略す)についても充たされることが
更に好ましい。
【0034】粗大突起個数を上記範囲に制御するために
は、上述のようにポリマーの清浄化、製造プロセス全域
の清浄化等も必要であるが、ポリマーに含有させる粒子
量を低減させることも有効である。すなわち、外部から
添加する粒子を使用する場合、粒子凝集を皆無にするこ
とは非常に難しく、また、フィルターで捕捉することも
困難な場合が多い。本発明の芳香族ポリアミドフィルム
は、本質的に粒子を不要とするあるいは極めて少量とす
ることが可能であるため粗大突起を低減することに関し
て極めて有効な方法となる。
【0035】本発明のフィルムは、Aノおける測定面積
0.002mm2での3次元表面粗さSRa1と測定面
積1.0mm2での3次元表面粗さSRa2が下記式を
満足することが好ましい。
【0036】0.8≦SRa2/SRa1≦2.5 SRa2/SRa1が2.5を超えると、フィルム表面
に凹凸状のうねりが発生し、磁気テープとした場合にヘ
ッドタッチが不安定となり出力低下、データの欠落等が
発生することがある。一方、SRa2/SRa1が0.
8未満であると、磁気テープの走行性の低下やロール状
に巻いた際のブロッキングを起こすことがある。SRa
2/SRa1は、より好ましくは下式の範囲内である。
【0037】1.1≦SRa2/SRa1≦1.8 尚、上記SRa2/SRa1の範囲は、A面と反対側の
面のB面についても充たされることが更に好ましい。ま
た、上記の特性は熱処理後のフィルムにおいても充たさ
れることが好ましい。
【0038】SRa2/SRa1を上記の範囲に制御す
るためには、例えば以下の方法が有効である。すなわち
該フィルムの製造工程において、エンドレスベルト等か
ら剥離したフィルムに接触するロール面を鏡面加工する
方法や、フィルムの溶媒抽出や乾燥が急激に起こるのを
防ぐために、例えば溶媒抽出の工程での温度をー10〜
50℃の範囲とする方法、およびエンドレスベルト等か
ら剥離する際のフィルム中のポリマー濃度を30〜70
重量%とする方法、テンターでの乾燥および熱処理を実
施する前段階で50〜100℃の温度にフィルムを予熱
する方法、あるいは上記方法の組み合わせなどが挙げら
れる。
【0039】本発明のフィルムは、フレキシブルプリン
ト基板、コンデンサー、プリンタリボン、音響振動板、
太陽電池のベースフィルムなど種々の用途に好ましく用
いられるが、少なくとも片面に磁性層を設けた磁気記録
媒体として用いられると、加工時においては、その平滑
性故に磁性塗料の塗布性に優れ、また、製品時において
は、滑り性が良好となるため高出力、高耐久性、無欠点
性を兼ね備えた磁気記録媒体となるため特に好ましい。
【0040】磁気記録媒体の形態は、ディスク状、カー
ド状、テープ状等特に限定されないが、本発明の芳香族
ポリアミドフィルムの優れた表面性、高ヤング率を活か
した薄膜化に対応するため、芳香族ポリアミドフィルム
からなる支持体の厚みが6.5μm以下、幅が2.3〜
13mm、長さが100m/巻以上、磁気記録媒体とし
ての記録密度(非圧縮時)が8キロバイト/mm2以上
の長尺、高密度の磁気テープとした時に表面形状を規制
すること、また高い剛性を持つことによる優れた効果を
より一層奏することができるので特に好ましい。ここで
定義する記録密度とは、1カセットあたりの全記録容量
を使用されている磁気テープの(長さ×幅)で除したも
のである。磁気テープに代表される磁気記録媒体には近
年ますます小型化、高容量化の要請が高いが、高容量化
を実施する上で以下のポイントがある。一つは、支持体
の厚さを薄くして長尺化により全体としての記録容量を
向上させる方法であり、今一つは、トラック幅の狭幅
化、記録波長の短波長化などにより単位面積当たりの記
録容量を向上させる方法であり、一般的にはこれらを併
用する方向にある。支持体の厚みを薄くする場合には、
支持体の剛性が高いことがもちろん必要であるが、支持
体が厚いときに較べてヘッドタッチ、ひいては電磁変換
特性に関わる支持体表面の寄与が大きくなる。すなわち
テープが厚い場合は走行テンション、ヘッドへのタッチ
圧は高く設定できるため、支持体表面が無規制なもので
あってもヘッドに安定に接することができるのに対し、
テープの薄膜化を行った場合、走行テンションやヘッド
のタッチ圧は低くせざるを得ず、従って支持体表面が本
発明のように規制されたものでないと、ヘッドへの密着
性、走行性が不均一、不安定なものとなるためトラック
の位置ずれやシグナルの欠落を発生しやすくなる。ま
た、データ転送速度の高速化の要請により、従来以上に
ヘッドとテープの相対速度が大きくなる傾向にあるが、
それによる摩擦熱を必要以上に発生させないためにも、
製品においては適度な粗さを持つ本発明のフィルムは極
めて有効である。以上のように本発明のフィルムは、こ
うした高容量化の要請に対し好適に応えることのできる
磁気テープとすることができる。支持体の厚みは、より
好ましくは5.5μm以下、更に好ましくは4.5μm
以下であり、磁気記録媒体としての記録密度は好ましく
は25キロバイト/mm2以上、更に好ましくは34キ
ロバイト/mm2以上である。
【0041】また本発明の磁気記録媒体は、民生用、プ
ロ用、D−1,D−2,D−3等の放送局用、デジタル
ビデオカセット、DDS−2,3,4、データ8mm、
QIC,AIT、DLT、LTO等のデータストレージ
用途に好適に用いることができるが、データ欠落等の信
頼性が最も重視されるデータストレージ用途に最適に用
いることができる。
【0042】また磁性層の形成法は、酸化鉄、メタル粉
等の磁性粉を熱硬化性、熱可塑性あるいは放射線硬化性
などのバインダーと混練し塗布、乾燥を行う塗布法、N
i、Co,Cr,Fe、γ−Fe23などの金属または
それらの合金を蒸着、スパッタリング、イオンプレーテ
ィング法などにより基材フィルム上に直接磁性金属薄膜
層を形成する乾式法のいずれの方式も採用できる。乾式
法を採用した場合、得られた磁気記録媒体の更なる耐久
性向上、滑り性付与を目的としてダイアモンド・ライク
・コーティングのような保護層、更にその上に潤滑層が
形成されることがある。
【0043】更に磁性層の厚みが0.15μm以下であ
ると本発明のフィルムの表面性の寄与が大きくなり、出
力特性、走行耐久性が磁性層の特別な工夫なく良好とな
るため好ましい。より好ましくは0.1μm以下であ
る。下限については、磁性層耐久性を損なわないため、
0.03μm程度である。
【0044】また、本発明の磁気記録媒体は、記録また
は/および再生ヘッドとしてMRヘッドを用いるシステ
ムに供された場合、その効果を十全に発揮することがで
きる。すなわち、本発明の磁気記録媒体は、ベースフィ
ルムの均一窪みにより走行耐久性を発現しているため、
極めて摩耗しやすいMRヘッドの摩耗を最小限に抑える
ことが可能となる。更に、ヘッドとのスペーシングも小
さくなるため、出力特性が向上する。
【0045】本発明の芳香族ポリアミドフィルムの特徴
を最大限に活かすための、本発明の磁気記録媒体の最も
好ましい実施様態としては、上記より、厚み0.15μ
m以下の金属薄膜型磁性層を有し、その上に保護層、潤
滑層が設けられた磁気記録媒体であって、再生ヘッドが
MRヘッドであるシステムに用いられるものである。
【0046】また、磁化方式については、水平磁化、垂
直磁化のいずれをも問わず、更に光記録テープにも好適
に使用できる。
【0047】該フィルムは、単層であっても、多層であ
っても差し支えない。芳香族ポリアミドを用いる場合、
例えば2層の場合には、重合した芳香族ポリアミド溶液
を二分し、少なくとも一方に本発明で使用するポリマー
を積層する。さらに3層以上の場合も同様である。これ
ら積層の方法としては、周知の方法たとえば、口金内で
の積層、複合管での積層や、一旦1層を形成しておいて
その上に他の層を形成する方法などがある。多層の場
合、本発明のフィルム表面が少なくとも一面の最外層に
積層されることが好ましく、更にその積層厚みが0.3
μm以上であると本発明の効果を十分に奏することがで
きるので好ましい。
【0048】次に本発明のフィルムの製造法について記
すが、これに限定されるものではない。
【0049】まず、ポリマーであるが、前述した芳香族
ポリアミドに、後述する異種重合体を含有せしめること
が好ましい。
【0050】まず芳香族ポリアミドであるが、酸クロリ
ドとジアミンから得る場合には、N−メチルピロリドン
(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメ
チルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極
性溶媒中で、溶液重合したり、水系媒体を使用する界面
重合などで合成される。この時、低分子量物の生成を抑
制するため、反応を阻害するような水、その他の物質の
混入は避けるべきであり、効率的な攪拌手段をとること
が好ましい。また、原料の当量性は重要であるが、製膜
性を損なう恐れのある時は、適当に調整することができ
る。また、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネ
シウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムな
どを添加しても良い。
【0051】単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族
ジアミンを用いると塩化水素が副生するが、これを中和
する場合には、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭
酸リチウムなどの周期律表I族かII族のカチオンと水
酸化物イオン、炭酸イオンなどのアニオンからなる塩に
代表される無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プ
ロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、
トリエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミンなどの有機
の中和剤が使用される。また、基材フィルムの湿度特性
を改善する目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢
酸クロリド、アニリン等を重合の完了した系に添加し、
ポリマ−の末端を封鎖しても良い。また、イソシアネー
トとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機極性溶媒
中、触媒の存在下で行なわれる。
【0052】これらのポリマ溶液はそのまま異種重合体
とのブレンド用原液として使用してもよく、あるいはポ
リマを一度単離してから上記の有機溶媒や、硫酸等の無
機溶剤に再溶解してブレンド用原液を調製してもよい。
【0053】また、添加させる異種重合体とは、前述の
芳香族ポリアミド以外の繰り返し単位を有する一種以上
の重合体である。異種重合体の含有量は、目的により最
適となるよう決定されるが、芳香族ポリアミドの優れた
機械特性、耐熱性を損なわないため、均一窪みを形成さ
せるために、芳香族ポリアミドと異種重合体の総量に対
し、0.1重量%以上30重量%未満であることが好ま
しい。該重量分率が0.1%未満の場合、窪み深さおよ
び個数が本発明の範囲に満たない場合がある。また、3
0%以上の場合は、表面が大きくうねり実用に適さない
だけではなく、フイルムの機械特性が劣化することがあ
る。異種重合体の含有量は、用いられる芳香族ポリアミ
ドと異種重合体の種類、溶解性、分子量、成形体のサイ
ズ等により適切な設計が為されるべきであるが、より好
ましくは、0.5〜8重量%であり、更に好ましくは、
1〜6重量%である。
【0054】かかる異種重合体の種類は、目的の表面を
設計するために適宜選定され、特に限定されるものでは
ないが、芳香族ポリアミドの溶解性パラメーターδa、
含有される異種重合体の溶解性パラメーターδbとした
ときに、下式を充たすことが、本発明の目的を達成する
上で好ましい。
【0055】50(MJ/m31/2≦δa≦70(MJ
/m31/2 2(MJ/m31/2≦|δa−δb|≦20(MJ/m
31/2 ここで言う溶解性パラメーターとは、Fedorsの方
法により計算される値である(計算方法は、例えば、Pr
operties of Polymers, chapter 7(D.W.Van Kreveren
著、1976、Elsevier)等に示されている)。芳香族ポリ
アミド、異種重合体の構造によっては、含有される化学
種のパラメーターが求められていないためFedors
の方法で計算できないものもあるが、その場合は近似の
化学種を用いることで代用する(例えば、−SO2−に
ついてのパラメーターはないが、−S−と、−O−,−
O−の値を用いて代用することとする)。溶解性パラメ
ーターは、異種ポリマー間の相溶性の目安となるパラメ
ーターであり、δa、δbが上記の範囲であると、分散
相の大きさが規制され、好ましく表面突起が本願発明の
範囲を充たすことができる。|δa−δb|は、より好
ましくは、 2(MJ/m31/2≦|δa−δb|≦16(MJ/m
31/2 であり、更に好ましくは、 2(MJ/m31/2≦|δa−δb|≦12(MJ/m
31/2 である。
【0056】また、芳香族ポリアミド本来の耐熱性、機
械特性を充分に発揮させるためには異種重合体も耐熱性
に優れることが好ましく、ガラス転移温度、またはガラ
ス転移温度が明確でない場合は、JIS−D648に記
載の熱変形温度が、150℃以上、より好ましくは、2
00℃以上であることが好ましい。
【0057】このような異種重合体の例としては、ポリ
スルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスルフィドスル
ホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミ
ド、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキ
シド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリイミドまたはその前
駆体であるポリアミド酸、ポリフッ化ビニリデン、ポリ
メチルメタアクリレート、ポリスチレン、ポリビニルア
ルコール等が挙げられるが、形成される表面突起の均一
性、耐熱性の点から、ポリスルホン、ポリエーテルスル
ホン、ポリスルフィドスルホンなどの芳香族ポリスルホ
ン系重合体、芳香族ポリエーテルイミド系重合体、ポリ
フェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシドなど
のポリフェニレンオキシド系重合体、ポリエーテルケト
ン、ポリエーテルエーテルケトンなどの芳香族ポリケト
ン系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳
香族ポリエステル系重合体、ポリイミドまたはその前駆
体であるポリアミド酸を用いる芳香族ポリイミド系重合
体等から選ばれる少なくとも一種の重合体を含有するこ
とが好ましい。この中で特に好ましいのは、芳香族ポリ
スルホン系重合体である。ここでいう芳香族ポリスルホ
ン系重合体とは、ビスフェノ−ルAのナトリウム塩と、
4,4’−ジクロロジフェニルスルホンとの重縮合、4
−(4−クロロフェニルスルホニル)フェノ−ルのカリ
ウム塩の重縮合などにより製造されるポリスルホンに代
表される、繰り返し単位中に少なくとも1個のスルホン
基−SO2−を有する芳香族ポリスルホン系重合体であ
り、具体的には、下式で表される繰り返し単位を有する
公知の芳香族ポリスルホン系重合体が挙げられ、これら
を2種以上用いても差し支えない。
【0058】
【化4】 ここで、nは正の整数であり、5〜1000のものが耐
熱性および有機溶媒への溶解性の点で好ましい。また、
この中でも特に、
【0059】
【化5】 が均一な突起を形成できる点で好ましい。
【0060】また、上記化学式において、樹脂の耐熱性
を向上させる等の目的により、その芳香環上の水素原子
の一部が、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン基(特に
塩素)、ニトロ基、およびメチル基、エチル基、プロピ
ル基などのアルキル基(特にメチル基)、メトキシ基、
エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基などのア
ルコキシ基などの置換基で置換されていても良い。
【0061】上記の芳香族ポリスルホン系重合体は、重
量分率で0.1%以上10%未満、より好ましくは0.
5〜8%、更に好ましくは、1〜6%含有させることが
望ましい。芳香族ポリスルホン系重合体は、芳香族ポリ
アミドとは完全には相溶しないものであるが、本発明者
らは、ポリマ−溶液とした場合、芳香族ポリスルホン系
重合体が少量であれば相溶性が良好で、この混合溶液か
ら後述のように注意深く製膜すれば、芳香族ポリアミド
と芳香族ポリスルホン系重合体との相分離により均一な
窪みが形成されることを見出したのである。該重量分率
が0.1%未満の場合、窪みの高さおよび個数が十分で
ないことがある。また、10%以上の場合は、表面が大
きくうねり実用に適さないだけではなく、フイルムの機
械特性が劣化することがある。
【0062】芳香族ポリアミドと異種重合体とのブレン
ド方法としては、芳香族ポリアミドの重合前あるいは重
合後に、ペレット、粉末状の異種重合体を直接あるい
は、溶剤に溶解させて添加しても構わないが、芳香族ポ
リアミドと異種重合体とを溶剤に溶解させた状態でブレ
ンドし、成型用原液とすることが好ましい。芳香族ポリ
アミドと異種重合体を溶解させる溶剤は、それぞれ異な
ったものでも構わないが、コスト、生産性等の工業的メ
リットを勘案すると同種の溶剤が好ましい。このような
溶剤としては、N−メチルー2ーピロリドン、ジメチル
アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチレン
ホスホルアミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチル
スルホンなどの有機溶媒や濃硫酸等の鉱酸が挙げられ
る。
【0063】また、上記工程中に無機あるいは有機粒子
を添加しても良い。
【0064】本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得る
ためにはポリマの固有粘度(ポリマ0.5gを硫酸中で
100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.
5以上であることが好ましい。
【0065】次に本発明のフィルムの成形法につき、芳
香族ポリアミドの場合を例にとって説明する。
【0066】上記のように調製された製膜原液は、濾過
精度が6000nm以下のフィルターによって濾過され
た後、いわゆる溶液製膜法によりフィルム化が行なわれ
る。溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法がある
が、本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得るには、相
分離による表面突起形成を制御しやすい点で、乾湿式法
または乾式法が好ましい。乾湿式法で製膜する場合は該
原液を口金からドラム、エンドレスベルト等の支持体上
に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を
飛散させ薄膜が自己保持性をもつまで乾燥する。本発明
の芳香族ポリアミド系フィルムを得るには、この乾燥工
程条件が重要なポイントの1つであり、得られるフィル
ムの表面性に大きな影響を与える。すなわち、原液キャ
スト時の支持体温度Tb(℃)とキャストフィルム上に
導入される熱風温度Ta(℃)が、下式を充たす範囲で
あると異種重合体が、均一に、且つ望ましい大きさで相
分離を発生するために、均一な表面窪みを持つ本発明の
芳香族ポリアミド系フィルムを好適に得ることが可能と
なる。
【0067】20≦Ta−Tb Ta−Tbが20℃未満では、相分離構造が顕著に現れ
ないため、充分な窪みを形成できないことがあり、より
好ましくは40℃以上であり、更に好ましくは50℃以
上である。Ta−Tbの上限は極端な乾燥斑が発生しな
い範囲として100℃程度である。支持体としてエンド
レスベルトを使用する場合、エンドレスベルト上下の加
熱温度を調整すること、あるいは、フィルム剥離後にエ
ンドレスベルトを冷却することで、ポリマーキャスト時
の温度差を好適に付与できる。
【0068】また、この乾燥工程で用いられるドラム、
エンドレスベルトの表面欠点頻度を制御することでベル
ト接触面の表面性を制御できる。好ましくは径が30μ
m以上の表面欠点頻度が0.001〜0.02個/mm
2、より好ましくは0.002〜0.015個/mm2
ある。
【0069】こうして自己支持性を得たフィルムは、次
いで湿式工程に導入される。湿式浴は一般に水系媒体か
らなるものであり、水の他に有機、無機の溶剤や無機塩
等を含有していてもよい。該浴温度は通常0〜100℃
で使用され、湿式浴を通すことでフィルム中に含有され
た塩類、溶媒の抽出が行なわれる。ここで湿式浴に導入
されるときのフィルムは未だ充分な表面硬度を持ってい
ないため、湿式浴媒体にコンタミ等があるとフィルム表
面の付着し表面性が悪化する。このため湿式浴に使用さ
れる媒体は、濾過精度6000nm以下、好ましくは5
000nm以下、更に好ましくは3000nm以下のフ
ィルターを通して供給される必要がある。これら湿式浴
全体を通過する時間はフィルムの厚みにもよるが10秒
〜30分である。さらに必要に応じフィルムの長手方向
に延伸が行なわれる。
【0070】フィルムは次いでテンターに導入され乾燥
および/または熱処理が行なわれるが、かかる乾燥およ
び/または熱処理条件が本発明の芳香族ポリアミドフィ
ルムを得るための重要な条件の1つである。乾燥および
/または熱処理は、一般にスリット状あるいは円筒状の
ノズルから熱風をフィルム面に吹き付けることにより行
われるが、最高温度が異種重合体のガラス転移温度
(℃)をTgとして、(Tg+50℃)以上で行われる
と本発明のフィルムを達成する上で好ましい。最高温度
はより好ましくは、(Tg+100℃)を超える条件で
あり、更に好ましくは(Tg+120℃)を超える条件
である。また、突起深さを本発明の範囲に規制するため
には、上記ノズルの風速を8m/秒から50m/秒の範
囲、より好ましくは、13m/秒を超え、40m/秒以
下の範囲に規制することが好ましい。また、上記最高温
度による乾燥および/または熱処理は、テンター中であ
れば何れの時点で行われても良い。例えば、一旦乾燥後
最高温度による熱処理を行っても良く、また、最高温度
による処理後、更にそれ以下の温度で熱処理を加えても
良い。
【0071】以上のように形成されるフィルムはその製
膜工程中で、延伸が行なわれるが、延伸倍率は面倍率で
0.8〜4.0(面倍率とは延伸後のフィルム面積を延
伸前のフィルムの面積で除した値で定義する。1以下は
リラックスを意味する。)の範囲内にあることが好まし
い。面倍率が0.8未満であると、フィルム表面が大き
くうねり、実用に適さないことがある。また、延伸倍率
が4.0より高いと、平均突起径が本発明の範囲を外れ
ることがある。より好ましくは1.2〜1.8である。
【0072】また、延伸あるいは熱処理後のフィルムを
徐冷する事が有効であり、50℃/秒以下の速度で冷却
する事が有効である。
【0073】次に、本発明に関連する種々の特性値につ
いて、その測定法および評価基準を説明する。
【0074】(1)窪みの深さ、突起高さ、個数につい
て A.AFMによる測定 原子間力顕微鏡(AFM)を用いて以下の条件で、場所
を変えて測定を10回行う。 装置:NanoScopeIII AFM(Digital Instruments社製) カンチレバー:シリコン単結晶 走査モード :タッピングモード 走査範囲 :5μm×5μm 走査速度 :0.5Hz 測定環境 :温度 25℃、相対湿度 55%。
【0075】B.解析 各測定において、平坦面(0nm)を基準面として、高
さと突起個数との関係を求め、突起高さおよびその個数
を測定し、10回の各測定の平均値をとる。また、各測
定において、平坦面を中心面として面対称処理させるこ
とにより、窪みプロファイルが、突起状プロファイルと
して得られる。このプロファイルについて、個数、高さ
を測定し、10回の各測定の平均値を窪みの深さ、個数
とする。
【0076】(2)窪みの平均径、標準偏差/平均窪み
深さ 上記(1)Aの測定結果を用いて、以下のように測定す
る。まず、窪みをランダムに選び、それぞれの窪みの長
径に沿った断面像を表示させる。この断面像について、
窪みの深さおよび幅を測定し、その窪みの深さ、最大径
とする。次に同窪みの短径についても同様の径測定を行
い、長径と短径の平均値をその窪みの径とする。上記測
定を、ランダムに選んだ100個の窪みについて行い、
その平均値を窪み深さ、窪みの平均径とする。更に、窪
み深さについて標準偏差をとり、標準偏差/窪み深さを
計算する。尚、上記(1)の突起高さについては、走査
電子顕微鏡にてシャドーイング(5°)をかけた像を倍
率30000倍以上で観察し、影の長さより高さ5nm
以上の突起をカウントすることにより、突起個数を求め
ても良い。また、それぞれの突起の(長径+短径)/2
をその突起の径としても良い。
【0077】(3)引張りヤング率・伸度 フィルムを幅10mm、長さ150mmに切断し、チャ
ック間距離100mmにして引張速度300mm/分、
チャート速度500mm/分、温度23℃、相対湿度6
5%の条件下にて、インストロングタイプの引張試験装
置にて引っ張る。得られた荷重ー伸び曲線の立ち上がり
部の接線より引張りヤング率を求める。またフィルム破
断時の長さからチャック間距離を減じたものをチャック
間距離で除したものに100を乗じて伸度とした。
【0078】(4)3次元表面粗さ 小坂製作所(株)製の微細形状測定器ET−30HKを
用いて測定した。検出には光触針(HIPOSS,商品
名)を用い、フィルム表面に真空下でアルミ蒸着を施し
た後に測定する。測定条件を以下に記す。 イ.SRa1(測定面積0.002mm2) ・長手方向の測定長 0.02mm ・幅方向の測定長 0.10mm ・カットオフ値 0.08mm ロ.SRa2(測定面積1.0mm2) ・長手方向の測定長 0.50mm ・幅方向の測定長 2.00mm ・カットオフ値 0.08mm。
【0079】(5)粗大突起個数について フィルム表面50cm2以上の範囲を実体顕微鏡にて偏
光下に観察し異物、粒子などの粗大突起をマーキングす
る。その突起高さは多重干渉法あるいは、レーザー顕微
鏡により求め、高さ100nm以上の個数を100cm
2当たりの個数に換算した。
【0080】(6)含有粒子の平均粒子径 電子顕微鏡にて粒子を観察し、粒子の画像(粒子によっ
てできる光の濃淡)をイメ−ジアナライザ−(たとえば
ケンブリッジインストルメンタル製QTM900)に結
び付け、観察箇所を変えて粒子数5000個以上で次の
数値処理を行い、それによって求めた数平均径Dを平均
粒子径とする。 D=ΣDi/N ここで、Diは粒子の円相当径、Nは個数である。
【0081】(7)含有粒子の相対標準偏差 上記(6)の方法で測定された個々の粒子径Di、平均
粒子径D、粒子総数Nから計算される標準偏差σ(=
{Σ(Di−D)2/N})を平均粒子径Dで割った値
(σ/D)で表わした。
【0082】(8)含有粒子の含有量 粒子は溶解させない溶媒を選択し、フィルムの必要部分
を溶解させ、粒子を遠心分離し、粒子の全体重量に対す
る比率(重量%)をもって粒子含有量とする。場合によ
っては赤外分光法の併用も有効である。
【0083】(9)出力特性 非磁性支持体(フィルム)に対して、連続斜め蒸着法
で、厚さ90nmのCo−O磁性層を形成した。次に磁
性層上にスパッタ法により、厚さ5nmのダイヤモンド
ライクコーティング膜を形成し、更に、その上に、有機
物防錆剤0.1重量%を溶液をグラビアロールを用いて
塗布し、100℃のドライヤーで乾燥させた。その後
に、潤滑剤としてパーフルオロ・ポリエーテル誘導体よ
りなる有機物を主体とした0.5重量%溶液を同様にグ
ラビアロールにて塗布乾燥させた。次に、非磁性支持体
の反対面にカーボンを主体とし、結合剤として酢酸ビニ
ル系を使用した厚さ0.3μmのバックコート層を形成
した。以上のようにして得られた磁気記録媒体原反を幅
8mm、長さ250mに裁断して、カセットに組み込み
磁気テープとした。
【0084】このテープを、市販のAIT−1ドライブ
の再生ヘッドを、FeNiからなるヘッドギャップ0.
2μm、素子深さ3μmのMRヘッドに変更したドライ
ブにかけ、S/N比を求めた。尚、市販のAIT−1テ
ープを比較測定し、そのS/N比を基準とし、以下の判
定を行った。 ◎:+2dB以上 ○:+1dB以上、+2dB未満 △:−1dB以上、+1dB未満 ×:−1dB未満。
【0085】(10)ヘッド摩耗量 (9)で得られた磁気テープを上記ドライブにかけ、1
時間×1000回のシャトルを行わせた後、MR素子の
摩耗量を測定した。摩耗量により、以下の判定を行っ
た。ここで、摩耗量2.0nm未満が実用限界である。 ◎:0.5nm未満 ○:0.5nm以上、1.0nm未満 △:1.0nm以上、2.0nm未満 ×:2.0nm以上。
【0086】(11)走行耐久性 (10)で行ったシャトルテスト後の出力特性を測定
し、(9)で測定した初期出力との差(シャトルテスト
後S/N比−初期S/N比)を求め、以下の基準で判定
した。 ○:−0.5dB以上 △:−1.5dB以上、−0.5dB未満 ×:−1.5dB未満。
【0087】
【実施例】次に実施例に基づき本発明を説明するが、こ
れらに限定されるものではない。
【0088】実施例1 N−メチルー2ーピロリドン(以下、NMPと略す)に
芳香族ジアミン成分として85モル%に相当する2−ク
ロルパラフェニレンジアミンと、15モル%に相当する
4、4’−ジアミノジフェニルエ−テルとを溶解させ、
これに99モル%に相当する2−クロルテレフタル酸ク
ロリドを添加し、2時間撹拌して重合を完了した。これ
を水酸化リチウムで中和して、ポリマ濃度10重量%、
粘度3000ポイズの芳香族ポリアミド溶液(以下、溶
液Aとする)を得た。
【0089】一方、ポリエーテルスルホン(住友化学
(株)製スミカエクセルPES−7600P、固有粘度
0.78dl/g、Tg=225℃、以下、PESと略
す)をNMPに10重量%溶解させ、PESの含有量が
芳香族ポリアミドとPESの合計量に対し5重量%含有
されるように溶液Aとブレンドし、50℃で3時間充分
に混合した芳香族ポリアミド溶液(以下、溶液Bとす
る)を得た。
【0090】また、溶液Aに粒径150nm、相対標準
偏差0.10のコロイダルシリカをポリマーに対して
0.45重量%添加した芳香族ポリアミド溶液(以下、
溶液Cとする)を得た。
【0091】次いで、溶液B、Cをそれぞれ濾過精度5
000nm、1000nmのフィルタ−を通した後、複
合管を用いて溶液Cがベルトに接触するように、径が3
0μm以上の表面欠点の頻度が0.005個/mm2
エンドレスベルト上にキャスト時溶液温度60℃で流延
した。B,Cの積層比率は最終フィルムにおいて、1/
1となるように積層した。
【0092】この時のキャスト時の支持体温度(Tb)
は120℃、熱風温度(Ta)は155℃であった。ベ
ルトから剥離されたフィルムは、続いて40℃の水浴中
に2.5分間浸漬後、テンターに導入し、160℃で1
0秒乾燥を行い、風速18m/秒の350℃の熱風によ
り熱処理を行い、厚さ4.3μmの芳香族ポリアミドフ
ィルムを得た。また、製膜中に長手方向に1.2倍、幅
方向に1.5倍の延伸を行った。
【0093】このフィルムの引張りヤング率は、長手、
幅方向それぞれ12.8GPa、18.6GPaであ
り、伸度はそれぞれ58%、35%であり、A面側(ベ
ルト非接触面)の粗大突起個数は、80個/100cm
2、Ra2/Ra1は1.03であった。
【0094】このフィルムの表面特性、磁気テープ性能
を表1に記すが、出力、摩耗性、走行耐久性いずれにも
極めて優れた磁気テープ性能を発揮した。
【0095】実施例2 テンターでの熱処理を温度400℃、風速32m/sで
行うほかは実施例1と同様にして、厚さ4.3μmの芳
香族ポリアミドフィルムを得た。
【0096】このフィルムの引張りヤング率は、長手、
幅方向それぞれ11.0GPa、15.3GPaであ
り、伸度はそれぞれ64%、39%であり、A面側(ベ
ルト非接触面)の粗大突起個数は、96個/100cm
2、Ra2/Raは1.05であった。
【0097】このフィルムの表面特性、磁気テープ性能
を表1に記す。実施例1に比較してやや特性は低下する
が、極めて優れた磁気テープ性能を発揮した。
【0098】実施例3 Tgが250℃、固有粘度が0.93dl/gのジメチ
ルポリエーテルスルホンを用いて溶液Bを調製する以外
は実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィルムを得
た。
【0099】このフィルムの引張りヤング率は、長手、
幅方向それぞれ12.8GPa、18.7GPaであ
り、伸度はそれぞれ60%、32%であり、A面側(ベ
ルト非接触面)の粗大突起個数は、104個/100c
2、Ra2/Ra1は1.03であった。
【0100】このフィルムの表面特性、磁気テープ性能
を表1に記す。出力、摩耗性、走行耐久性に優れた磁気
テープ性能が得られた。
【0101】実施例4 ポリエーテルスルホンのブレンド量を芳香族ポリアミド
に対して、15重量%とした以外は実施例1と同様にし
て、芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0102】このフィルムの引張りヤング率は、長手、
幅方向それぞれ10.2GPa、13.2GPaであ
り、伸度はそれぞれ57%、38%であり、A面側(ベ
ルト非接触面)の粗大突起個数は、84個/100cm
2、Ra2/Ra1は1.16であった。
【0103】このフィルムの表面特性、磁気テープ性能
を表1に記す。実施例1と比較して、窪み個数がやや少
なく、平均深さ、径が大きいため、出力、摩耗性が低く
なったが、実用可能なレベルであった。
【0104】実施例5 実施例1で用いた溶液Bに、粒径60nm、相対標準偏
差0.06のコロイダルシリカをポリマーに対し0.0
3重量%添加して、充分分散させたポリマーを用いる他
は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィルムを
得た。
【0105】このフィルムの引張りヤング率は、長手、
幅方向それぞれ12.5GPa、18.3GPaであ
り、伸度はそれぞれ49%、26%であり、A面側(ベ
ルト非接触面)の粗大突起個数は、184個/100c
2、Ra2/Ra1は1.07であった。
【0106】このフィルムの表面特性、磁気テープ性能
を表1に記す。実施例1に比較して若干摩耗性が低下し
ているが、優れた磁気テープ性能を発揮した。
【0107】実施例6 ポリエーテルイミド(日本GEプラスチック(株)製、
ultem−2000、Tg=255℃)を芳香族ポリ
アミドに対して4重量%ブレンドし、テンターでの熱処
理を温度380℃で行う以外は、実施例1と同様にして
芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0108】このフィルムの引張りヤング率は、長手、
幅方向それぞれ11.1GPa、15.9GPaであ
り、伸度はそれぞれ62%、33%であり、A面側(ベ
ルト非接触面)の粗大突起個数は、320個/100c
2、Ra2/Ra1は1.21であった。
【0109】このフィルムの表面特性、磁気テープ性能
を表1に記す。窪み深さのバラツキがあり、深い窪みが
多いので、磁気テープ特性はやや低いが、実用可能レベ
ルであった。
【0110】実施例7 固有粘度0.36dl/gのポリエーテルスルホンを芳
香族ポリアミドに対して2.2重量%添加する以外は、
実施例1と同様にして厚さ4.3μmの芳香族ポリアミ
ドフィルムを得た。
【0111】このフィルムの引張りヤング率は、長手、
幅方向それぞれ12.9GPa、18.8GPaであ
り、伸度はそれぞれ60%、34%であり、A面側(ベ
ルト非接触面)の粗大突起個数は92個/100cm2
であった。
【0112】このフィルムの表面特性、磁気テープ特性
を表1に記す。出力は高いが、摩耗性、走行耐久性はや
や低くなったが、実用可能レベルであった。
【0113】比較例1 溶液Aに、粒径100nm、相対標準偏差0.10のコ
ロイダルシリカをポリマーに対し、0.35重量%添加
して、充分分散させ、溶液A/溶液Cの積層フィルムと
する以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミドフ
ィルムを得た。
【0114】このフィルムの引張りヤング率は、長手、
幅方向それぞれ12.6GPa、18.0GPaであ
り、伸度はそれぞれ53%、37%であり、A面側(ベ
ルト非接触面)の粗大突起個数は、276個/100c
2 、Ra2/Ra1は1.22であった。 このフ
ィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記す。摩耗
性、走行耐久性に劣ったものであった。
【0115】比較例2 溶液A/溶液Cを積層し、実施例1と同様に芳香族ポリ
アミドフィルムを得た。次にこのフィルムのA面に、水
/アルコール溶媒に分散させた粒径20nm、相対標準
偏差0.05のコロイダルシリカスラリーに水溶性ポリ
エステル樹脂を加えた塗液をメタリングバーで塗布し、
130℃のドライヤーで乾燥させて、厚さ4.4μmの
芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0116】このフィルムの引張りヤング率は、長手、
幅方向それぞれ12.0GPa、17.5GPaであ
り、伸度はそれぞれ55%、36%であり、A面側(ベ
ルト非接触面)の粗大突起個数は、128個/100c
2 、 Ra2/Ra1は1.08 であった。
【0117】このフィルムの表面特性、磁気テープ性能
を表1に記す。出力は高いが、摩耗性、走行耐久性に欠
けるものであった。
【0118】比較例3 分子量100000のポリスチレンを3重量%ブレンド
する以外は、実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド
フィルムを得た。
【0119】このフィルムの引張りヤング率は、長手、
幅方向それぞれ12.4GPa、18.2GPaであ
り、伸度はそれぞれ46%、22%であり、A面側(ベ
ルト非接触面)の粗大突起個数は、116個/100c
2 、Ra2/Ra1は1.16であった。
【0120】このフィルムの表面特性、磁気テープ性能
を表1に記す。窪みは存在するが少なくまた不均一なた
め、特に、出力、走行耐久性に劣ったものであった。
【0121】比較例4 テンターでの熱処理を温度220℃、風速7m/sで行
う以外は実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィル
ムを得た。
【0122】このフィルムの引張りヤング率は、長手、
幅方向それぞれ11.6GPa、19.1GPaであ
り、伸度はそれぞれ45%、24%であり、A面側(ベ
ルト非接触面)の粗大突起個数は、88個/100cm
2、Ra2/Ra1は1.25であった。
【0123】このフィルムの表面特性、磁気テープ性能
を表1に記す。出力は良好であったが、摩耗が大きく実
用不可であった。
【0124】比較例5 溶液Aと溶液Cを積層し、実施例1と同様に製膜して厚
さ4.3μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。この
フィルムのA面(ベルト非接触面:溶液A)に連続的に
サンドブラストを行い、水洗、乾燥した。
【0125】このフィルムのヤング率は、長手、幅方向
それぞれ12.6GPa、18.1GPaであり、伸度
はそれぞれ21%、14%であり、A面側の粗大突起個
数は420個/100cm2であった。
【0126】このフィルムの表面特性、磁気テープ特性
を表1に記すが、窪みは形成されているものの個数が少
なく、不均一であったため特性の劣ったものであった。
【0127】
【表1】
【0128】
【発明の効果】本発明のフィルムは、従来の表面形成の
コンセプトとは異なり、均一窪みを多数形成するもので
あり、表面突起形成による弊害を除去し、加工性に優れ
たフィルムを提供することが可能となる。本発明のフィ
ルムは、磁気記録媒体分野、電気電子分野、包装分野等
のいずれの用途にも好適に用いることができるが、特
に、出力特性と走行耐久性が要求される磁気記録媒体に
おいて、全く新たな高性能ベースフィルムとして使用さ
れることが好ましい。特に、MRヘッドを用いるシステ
ムにおいて、極めて好適な磁気記録媒体として使用する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 C08L 77:00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも片面に深さ3〜300nmの窪
    みが20×104〜1×109個/mm2存在することを
    特徴とする芳香族ポリアミドフィルム。
  2. 【請求項2】上記窪みの平均径が0.02〜0.5μm
    である請求項1に記載の芳香族ポリアミドフィルム。
  3. 【請求項3】上記窪み深さの平均窪み深さが4〜200
    nmであって、かつ、窪み深さの標準偏差/平均窪み深
    さが0.5以下である請求項1または2に記載の芳香族
    ポリアミドフィルム。
  4. 【請求項4】深さ0.5μm以上の窪みが4000個/
    mm2未満存在する請求項1〜3のいずれかL載の芳香族
    ポリアミドフィルム。
  5. 【請求項5】高さ10nm以上の突起が0.1万〜30
    万個/mm2存在する請求項1〜4のいずれかに記載の
    芳香族ポリアミドフィルム。
  6. 【請求項6】高さ100nm以上の粗大突起が0〜30
    0個/100cm2であることを特徴とする請求項1〜
    5のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルム。
  7. 【請求項7】非磁性支持体の少なくとも片面に磁性層を
    設けた磁気記録媒体において、非磁性支持体が請求項1
    〜6のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルムであ
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】磁性層の厚みが0.15μm以下である請
    求項7に記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】磁気記録再生システムにおいて再生ヘッド
    が磁気抵抗型ヘッドであるシステムに使用されることを
    特徴とする請求項7または8に記載の磁気記録媒体。
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Cited By (3)

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JP2002269719A (ja) * 2001-03-12 2002-09-20 Sony Corp 磁気記録媒体
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WO1998008892A1 (fr) * 1996-08-29 1998-03-05 Toray Industries, Inc. Objet moule en resine de polyamide aromatique, procede pour la preparation de cet objet, et support d'enregistrement magnetique prepare a l'aide de cet objet

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