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JP2001220543A - 紫外線吸収コーティング材樹脂組成物とそれを用いた塗装品 - Google Patents

紫外線吸収コーティング材樹脂組成物とそれを用いた塗装品

Info

Publication number
JP2001220543A
JP2001220543A JP2000032328A JP2000032328A JP2001220543A JP 2001220543 A JP2001220543 A JP 2001220543A JP 2000032328 A JP2000032328 A JP 2000032328A JP 2000032328 A JP2000032328 A JP 2000032328A JP 2001220543 A JP2001220543 A JP 2001220543A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
component
resin composition
coating material
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000032328A
Other languages
English (en)
Inventor
Toru Tatebayashi
徹 館林
Takeyuki Yamaki
健之 山木
Koichi Takahama
孝一 高濱
Kazuhiro Kono
和浩 河野
Koji Mori
浩司 森
Atsuo Akata
充生 赤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Otsuka Chemical Co Ltd
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Chemical Co Ltd
Matsushita Electric Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Otsuka Chemical Co Ltd, Matsushita Electric Works Ltd filed Critical Otsuka Chemical Co Ltd
Priority to JP2000032328A priority Critical patent/JP2001220543A/ja
Publication of JP2001220543A publication Critical patent/JP2001220543A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外線を長時間照射しても紫外線吸収能が低
下しにくい塗膜が得られる紫外線吸収コーティング材樹
脂組成物とそれを用いた塗装品を提供する。 【解決手段】 紫外線吸収コーティング材樹脂組成物
は、オルガノシランのシリカ分散オリゴマーと、紫外線
吸収基を有する(メタ)アクリル酸エステルが共重合し
てなるアクリル樹脂と、シラノール基含有ポリオルガノ
シロキサンと、硬化触媒とを含む。塗装品は、基材の表
面に上記紫外線吸収コーティング材樹脂組成物の塗布硬
化被膜を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコーン系コー
ティング材に紫外線吸収剤を導入した紫外線吸収コーテ
ィング材樹脂組成物に関し、特に、紫外線吸収能力が低
下しにくい塗膜が得られる紫外線吸収コーティング材樹
脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、紫外線吸収剤をシリコーン系コー
ティング材に導入した紫外線吸収コーティング材樹脂組
成物に関しては、長時間紫外線を照射すると、紫外線吸
収剤自身の劣化やマイグレーション等により、その紫外
線吸収能力が低化し、長期耐久性に欠けるという問題が
あり、その改善が求められている。長期耐久性を改善す
る例として、特開昭58−213075号公報に開示さ
れているように、末端に一般式−Si(OR7 3で表
される官能基(ここでR7 は同一種又は異種の置換もし
くは非置換で1価炭化水素基を表す)を付与した紫外線
吸収剤を合成し、この紫外線吸収剤とシリコーン系コー
ティング材とを反応させ、紫外線吸収剤をシリコーンに
固定化する方法が提案されている。しかし、この特定の
官能基を付与した紫外線吸収剤は入手が困難であるとい
う問題がある。この方法とは異なる他の長耐久性を改善
する例として、特開平9−143404号公報に開示さ
れているように、紫外線吸収剤をシリコーンに容易に固
定化する方法が提案されている。しかし、この紫外線吸
収コーティング材は促進耐候試験機(サンシャインスー
パーロングライフウェザーメーター)により1200時
間の促進試験を行った結果、紫外線吸収能の低化率は5
〜6%であるが、2000時間の促進試験の結果は紫外
線吸収能の低化率は30%以上となる。これは、10年
・20年の高寿命が必要とされている建築部材や屋外部
材では未だ耐候性が十分とは言えず、市場の要求を満た
していない。そこで入手が容易でかつ長期耐久性をより
改善する手段が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記事情に鑑み、本発
明の課題は、紫外線を長時間照射しても紫外線吸収能が
低下しにくい塗膜が得られる紫外線吸収コーティング材
樹脂組成物と、それを用いた塗装品を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の紫外線
吸収コーティング材樹脂組成物は、下記(A)、
(B)、(C)および(D)成分を含む。 (A)成分: 一般式R1 m SiX4-m …(I) で表される(ここでR1 は同一または異種の置換もしく
は非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、mは
0〜3の整数、Xは加水分解性基を示す)加水分解性オ
ルガノシランを、有機溶媒、水またはそれらの混合溶媒
に分散されたコロイダルシリカ中、水の存在下で部分加
水分解してなる、オルガノシランのシリカ分散オリゴマ
ー(以下、これを「シリカ分散オリゴマー(A)」と称
することがある)。 (B)成分: 一般式CH2 =CR2 (COOR3 ) …(II) で表される(ここでR2 は水素原子および/またはメチ
ル基を示す)モノマーであって、R3 が水素原子である
か、あるいは、置換もしくは非置換で炭素数1〜9の1
価炭化水素基である第1の(メタ)アクリル酸エステル
と、R3 がアルコキシシリル基、ハロゲン化シリル基お
よびこれらのうちの少なくとも一方を含む炭化水素基か
らなる群の中から選ばれる少なくとも1種の基、また
は、シロキシ基である第2の(メタ)アクリル酸エステ
ルと、R3 が紫外線吸収基を含む炭化水素基である第3
の(メタ)アクリル酸エステルとを少なくとも含むモノ
マー類が共重合してなるアクリル樹脂(以下、これを
「アクリル樹脂(B)」と称することがある;なお、本
明細書中、(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸
エステルおよびメタクリル酸エステルのいずれか一方ま
たは両方を指す)。 (C)成分: 平均組成式R4 a Si(OH)b (4-a-b)/2 …(III) で表され(ここでR4 は同一または異種の置換もしくは
非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、a およ
びbはそれぞれ0. 2≦a≦2、0. 0001≦b≦
3、a+b<4の関係を満たす数である)、分子中にシ
ラノール基を含有するポリオルガノシロキサン(以下、
これを「(シラノール基含有)ポリオルガノシロキサン
(C)」と称することがある)。
【0005】(D)成分:硬化触媒(以下、これを「硬
化触媒(D)」と称することがある)。請求項2に記載
の紫外線吸収コーティング材樹脂組成物は、請求項1に
記載の紫外線吸収コーティング材樹脂組成物において、
前記(C)成分の有するR4 がフェニル基である。請求
項3に記載の紫外線吸収コーティング材樹脂組成物は、
請求項1または2に記載の紫外線吸収コーティング材樹
脂組成物において、さらに下記(E)成分を含む。 (E)成分: 一般式CH2 =CR5 (COOR6 ) …(IV) で表される(ここでR5 は水素原子および/またはメチ
ル基を示す)モノマーであって、R6 が置換もしくは非
置換で炭素数1〜9の1価炭化水素基である第1の(メ
タ)アクリル酸エステルと、R6 がエポキシ基、グリシ
ジル基およびこれらのうちの少なくとも一方を含む炭化
水素基からなる群の中から選ばれる少なくとも1種の基
である第2の(メタ)アクリル酸エステルと、R6 がア
ルコキシシリル基および/またはハロゲン化シリル基を
含む炭化水素基である第3の(メタ)アクリル酸エステ
ルとを少なくとも含むモノマー類が共重合してなるアク
リル樹脂(以下、これを「アクリル樹脂(E)」と称す
ることがある)。
【0006】請求項4に記載の紫外線吸収コーティング
材樹脂組成物は、請求項1から3までのいずれかに記載
の紫外線吸収コーティング材樹脂組成物において、前記
(B)成分が、1000〜10000の範囲内の重量平
均分子量を有する。請求項5に記載の紫外線吸収コーテ
ィング材樹脂組成物は、請求項1から4までのいずれか
に記載の紫外線吸収コーティング材樹脂組成物におい
て、前記(B)成分の配合量が、前記(A)、(C)成
分の合計固形分100重量部に対して0. 1〜100重
量部の割合である。請求項6に記載の塗装品は、基材の
表面に、請求項1から5までのいずれかに記載の紫外線
吸収コーティング材樹脂組成物の塗布硬化被膜からなる
紫外線吸収塗装層を備える。
【発明の実施の形態】本発明の紫外線吸収コーティング
材樹脂組成物の(A)成分として用いられるシリカ分散
オリゴマーは、該組成物の硬化被膜形成に際して、硬化
反応に預かる官能基としての加水分解性基(X)を有す
るベースポリマーの主成分である。これは、たとえば、
有機溶媒又は水(有機溶媒と水との混合溶媒でもよい)
に分散されたコロイダルシリカに、前記一般式(I)で
表される加水分解性オルガノシランの1種あるいは2種
以上を加え、水(コロイダルシリカ中に予め含まれてい
た水および/または別途添加された水)で加水分解性オ
ルガノシランを部分加水分解することで得られる。
【0007】前記一般式(I)で表される加水分解性オ
ルガノシラン中の基R1 としては、同一または異種の置
換もしくは非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基であ
れば特に限定はされないが、たとえば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;2
−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、3−フ
ェニルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、トリ
ル基等のアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニ
ル基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,
3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化
水素基;γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシド
キシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチ
ル基、γ−メルカプトプロピル基等の置換炭化水素基等
を例示することができる。これらの中でも、合成の容易
さ或いは入手の容易さから炭素数1〜4のアルキル基お
よびフェニル基が好ましい。
【0008】前記一般式(I)中、加水分解性基Xとし
ては、特に限定はされないが、たとえば、アルコキシ
基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ
基、アミノキシ基、アミド基等が挙げられる。これらの
中でも、入手の容易さおよびシリカ分散オリゴマー
(A)を調製しやすいことから、アルコキシ基が好まし
い。前記加水分解性オルガノシランの具体例としては、
前記一般式(I)中のmが0〜3の整数であるモノ−、
ジ−、トリ−、テトラ−の各官能性のアルコキシシラン
類、アセトキシシラン類、オキシムシラン類、エノキシ
シラン類、アミノシラン類、アミノキシシラン類、アミ
ドシラン類などが挙げられる。これらの中でも、入手の
容易さおよびシリカ分散オリゴマー(A)を調製しやす
いことから、アルコキシシラン類が好ましい。
【0009】アルコキシシラン類のうち、特に、m=0
のテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシ
ラン、テトラエトキシシランなどが例示でき、m=1の
オルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ
イソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、
フェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオ
ロプロピルトリメトキシシランなどが例示できる。ま
た、m=2のジオルガノジアルコキシシランとしては、
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキ
シシラン、メチルフェニルジメトキシシランなどが例示
でき、m=3のトリオルガノアルコキシシランとして
は、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシ
ラン、トリメチルイソプロポキシシラン、ジメチルイソ
ブチルメトキシシランなどが例示できる。さらに、一般
にシランカップリング剤と呼ばれるオルガノシラン化合
物もアルコキシシラン類に含まれる。
【0010】これらの前記一般式(I)で表される加水
分解性オルガノシランの内、好ましくは50モル%以
上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは
70モル%以上は、m=1で表される三官能性のもので
ある。これが、50モル%未満では、十分な塗膜硬度が
得られないと共に、塗膜の乾燥硬化性が劣りやすい傾向
がある。シリカ分散オリゴマー(A)中のコロイダルシ
リカは、紫外線吸収コーティング材樹脂組成物の塗布硬
化被膜の硬度を高くし、平滑性と耐クラック性を改善す
る効果がある。コロイダルシリカとしては、特に限定は
されないが、たとえば、水分散性あるいはアルコールな
どの非水系の有機溶媒分散性コロイダルシリカが使用で
きる。一般に、このようなコロイダルシリカは、固形分
としてのシリカを20〜50重量%含有しており、この
値からシリカ配合量を決定できる。また、水分散性コロ
イダルシリカを使用する場合には、固形分以外の成分と
して存在する水は、前記加水分解性オルガノシランの加
水分解に用いることができるとともに、紫外線吸収コー
ティング材樹脂組成物の硬化剤として用いることができ
る。水分散性コロイダルシリカは、通常、水ガラスから
作られるが、市販品として容易に入手することができ
る。また、有機溶媒分散性コロイダルシリカは、前記水
分散性コロイダルシリカの水を有機溶媒と置換すること
で容易に調製することができる。このような有機溶媒分
散性コロイダルシリカも水分散性コロイダルシリカと同
様に市販品として容易に入手することができる。有機溶
媒分散性コロイダルシリカにおいて、コロイダルシリカ
が分散している有機溶媒の種類は、特に限定はされない
が、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノ
ール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族
アルコール類;エチレングリコール、エチレングリコー
ルモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエ
チルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレ
ングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル等のジエチレングリコール誘導体;およびジアセトン
アルコール等を挙げることができ、これらからなる群よ
り選ばれた1種もしくは2種以上を使用することができ
る。これらの親水性有機溶媒と併用して、トルエン、キ
シレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシ
ムなども用いることができる。
【0011】シリカ分散オリゴマー(A)中のコロイダ
ルシリカは、前述の効果があるが、配合量が多すぎる
と、紫外線吸収コーティング材樹脂組成物の硬化被膜が
硬くなりすぎて同被膜のクラックの発生を招来する原因
となる恐れがある。そのため、シリカ分散オリゴマー
(A)中において、コロイダルシリカは、シリカを固形
分として、好ましくは5〜95重量%、より好ましくは
10〜90重量%、さらに好ましくは20〜85重量%
の範囲内で含有される。この含有量が5重量%未満であ
ると、所望の被膜硬度が得られなくなる傾向がある。一
方、95重量%を越えると、コロイダルシリカの均一分
散が困難となって(A)成分がゲル化等の不都合を招来
したり、クラックの発生を招来しやすくなったりするこ
とがある。なお、(A)成分の固形分とは、(A)成分
が硬化して固形化した際に生成する成分を指しており、
たとえば、(A)成分を室温で48時間放置して得られ
る固形分である。
【0012】シリカ分散オリゴマー(A)を調製する際
に用いられる水の量は、前記加水分解性オルガノシラン
が持つ加水分解性基(X)1モル当量当たり、好ましく
は0.001〜0.5モルの範囲内、より好ましくは
0.01〜0.4モルの範囲内である。水の使用量が
0.001モル未満であると、十分な部分加水分解物が
得られず、その結果、塗膜強度が不十分となる傾向があ
り、0.5モルを超えると、部分加水分解物の安定性が
悪くなる傾向がある。ここで、加水分解性オルガノシラ
ンの部分加水分解反応における水の上記使用量は、水を
全く含まないコロイダルシリカ(たとえば、分散媒とし
て有機溶媒のみを用いたコロイダルシリカ)を用いた場
合は別途に添加された水の量であり、水を含むコロイダ
ルシリカ(たとえば、コロイダルシリカの分散媒として
水のみまたは有機溶媒と水との混合溶媒を用いたコロイ
ダルシリカ)を用いた場合は、コロイダルシリカ中に予
め含まれていた水および別途添加の水のうちの少なくと
もコロイダルシリカ中に予め含まれていた水の量であ
る。水の量がコロイダルシリカ中に予め含まれていた水
だけで上記使用量に足りるならば別途に水を添加しなく
てもよいのであるが、水の量がコロイダルシリカ中に予
め含まれていた水だけでは上記使用量に足りない場合
は、別途に水を上記使用量に達するまで添加する必要が
ある。その場合、上記水の使用量は、コロイダルシリカ
中に予め含まれていた水と別途添加された水の合計量で
ある。なお、コロイダルシリカ中に予め含まれていた水
だけで上記使用量に足りる場合でも、別途に水を添加し
てもよく、その場合も、上記水の使用量は、コロイダル
シリカ中に予め含まれていた水と別途添加された水の合
計量である。なお、この合計量が上記好ましい範囲の上
限(加水分解性基(X)1モル当量当たり0.5モル)
を超えないように別途に水を添加することが好ましい。
【0013】加水分解性オルガノシランを部分加水分解
する方法は、特に限定されず、たとえば、加水分解性オ
ルガノシランとコロイダルシリカとを混合すればよい
(コロイダルシリカに水が全く含まれていないかあるい
は必要量含まれていない場合はここで水を添加配合す
る)。その際、部分加水分解反応は常温で進行するが、
部分加水分解反応を促進させるために、必要に応じ、加
温(たとえば、60〜100℃)するか、あるいは、触
媒を用いてもよい。この触媒としては、特に限定はされ
ないが、たとえば、塩酸、酢酸、ハロゲン化シラン、ク
ロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻
酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレ
イン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸など
の有機酸および無機酸等の1種または2種以上を用いる
ことができる。
【0014】(A)成分は、その性能を長期にわたり安
定して得るために、液のpHを、好ましくは2.0〜
7.0、より好ましくは2.5〜6.5、さらに好まし
くは3.0〜6.0にすると良い。pHがこの範囲外で
あると、特に水の使用量が加水分解性基(X)1モル当
量当たり0.3モル以上の条件下で(A)成分の性能持
続性の低下が著しい。(A)成分のpHが上記範囲外に
あるときは、この範囲より酸性側であれば、アンモニ
ア、エチレンジアミン等の塩基性試薬を添加してpHを
調整すれば良く、塩基性側であれば、塩酸、硝酸、酢酸
等の酸性試薬を用いてpHを調整すればよい。しかし、
その調整方法は特に限定されるものではない。
【0015】本発明の紫外線吸収コーティング材樹脂組
成物の前記(B)成分として用いられるアクリル樹脂
(共重合体)(B)の構成モノマーである前記第1〜第
3の(メタ)アクリル酸エステルのうち、第3の(メ
タ)アクリル酸エステルは、前記一般式(II)中のR3
として紫外線吸収基を有し、この紫外線吸収基がアクリ
ル樹脂(B)の高分子骨格中に固定されるため、従来の
単純添加型紫外線吸収剤と比較して、マイグレーション
しにくい。さらに、第2の(メタ)アクリル酸エステル
は、紫外線吸収コーティング材樹脂組成物の塗膜硬化時
にアクリル樹脂(B)と(A)成分及び(C)成分との
間に化学結合を形成し、これによりアクリル樹脂(B)
が塗膜中に固定化される。その結果、高耐久性の紫外線
吸収塗膜が得られる。
【0016】アクリル樹脂(B)を構成するモノマーの
一つである第1の(メタ)アクリル酸エステルは、それ
を表す前記式(II)中のR3 が、水素原子であるか、あ
るいは、置換または非置換で炭素数1〜9の1価の炭化
水素基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s
ec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、2−エチルヘキシル、へプチル基、オクチル
基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシ
ル基などのシクロアルキル基;2−フェニルエチル基、
2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基など
のアラルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール
基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,
3−トリフルオロプロピル基などのハロゲン化炭化水素
基;2−ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基な
どのヒドロキシ炭化水素基;などであるものの内の少な
くとも1種である。
【0017】アクリル樹脂(B)の別の構成モノマーで
ある第2の(メタ)アクリル酸エステルは、それを表す
前記式(II)式中のR3 が、アルコキシシリル基(例え
ば、トリエトキシシリル基、ジエトキシメチルシリル基
等)、ハロゲン化シリル基(例えば、トリクロロシリル
基、ジクロロメチルシリル基等)、これらアルコキシシ
リル基および/またはハロゲン化シリル基を含む炭化水
素基(例えば、トリメトキシシリルプロピル基、ジメト
キシメチルシリルプロピル基、モノメトキシジメチルシ
リルプロピル基、トリエトキシシリルプロピル基、ジエ
トキシメチルシリルプロピル基、エトキシジメチルシリ
ルプロピル基、トリクロロシリルプロピル基、ジクロロ
メチルシリルプロピル基、クロロジメチルシリルプロピ
ル基、クロロジメトキシシリルプロピル基、ジクロロメ
トキシシリルプロピル基等)、あるいは、シロキシ基
(例えば、トリス(トリメチルシロキシ)シリル基、ポ
リジエチルシロキシ基、ポリジメチルシロキシ基等)で
あるものの内の少なくとも1種である。
【0018】アクリル樹脂(B)のさらに別の構成モノ
マーである第3の(メタ)アクリル酸エステルは、それ
を表す前記式(II)式中のR3 が紫外線吸収基を含む炭
化水素基であるものの少なくとも一種である。該紫外線
吸収基としては、特に限定はされないが、例えば、ヒド
ロキシフェニルベンゾトリアゾール基等のベンゾトリア
ゾール基;ヒドロキシベンゾフェノン基等のベンゾフェ
ノン基;サリシレート基;蓚酸アニリド基;ジフェニル
シアノアクアレート基;ヒドロキシフェニルトリアジン
基等のトリアジン基;サリチル酸基;シアノアクリレー
ト基;パラアミノ安息香酸基等が挙げられる。これら紫
外線吸収基の中でも、ヒドロキシフェニルベンゾトリア
ゾール基、ヒドロキシベンゾフェノン基及びヒドロキシ
フェニルトリアジン基からなる群の中から選ばれた少な
くとも1種が、紫外線のエネルギーを吸収して塗膜に無
害な熱エネルギーに変換する作用が長く継続する点で好
ましい。上記紫外線吸収基を含有する第3の(メタ)ア
クリル酸エステルの具体例としては、特に限定はされな
いが、例えば、紫外線吸収基がベンゾトリアゾール系の
ものを例示すれば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−
(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−
ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−
(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−5−ク
ロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロ
キシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェ
ニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒド
ロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフ
ェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2
−(2’−ヒドロキシ−3 ’−tert−ブチル−5 ’−
(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−2 H−
ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3 ’−
tert−ブチル−5 ’−(メタ)アクリロイルオキシエチ
ルフェニル)−5−クロロ−2 H−ベンゾトリアゾール
等が、また、ベンゾフェノン系としては、2−ヒドロキ
シ−4−{2−(メタ)アクリロイルオキシ}エトキシ
ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−{2−(メタ)
アクリロイルオキシ}ブトキシベンゾフェノン、2,
2’−ジヒドロキシ−4−{2−(メタ)アクリロイル
オキシ}エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4
−{2−(メタ)アクリロイルオキシ}エトキシ−4’
−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン等が、ト
リアジン系では、2, 4−ジフェニル−6−[ 2−ヒド
ロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)] −
S−トリアジン、2, 4−ビス(2−メチルフェニル)
−6−[ 2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキ
シエトキシ) ]−S−トリアジン、2, 4−ビス(2−
メトキシフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−(2
−アクリロイルオキシエトキシ)] −S−トリアジン、
2, 4−ビス(2−エチルフェニル)−6−[ 2−ヒド
ロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)] −
S−トリアジン、2, 4−ビス(2−エトキシフェニ
ル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイル
オキシエトキシ)] −S−トリアジン、2, 4−ジフェ
ニル−6−[ 2−ヒドロキシ−4−(2−メタアクリロ
イルオキシエトキシ)] −S−トリアジン、2, 4−ビ
ス(2−メトキシフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−
4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)] −S−ト
リアジン、2, 4−ビス(2−エチルフェニル)−6−
[ 2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエ
トキシ)] −S−トリアジン、2, 4−ビス(2−エト
キシフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−(2−メ
タクリロイルオキシエトキシ)] −S−トリアジン、
2, 4−ビス(2, 4−ジメトキシフェニル)−6−[
2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエト
キシ)] −S−トリアジン、2, 4−ビス(2, 4−ジ
メチルフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−(2−
アクリロイルオキシエトキシ)] −S−トリアジン、
2, 4−ビス(2, 4−ジエトキシルフェニル)−6−
[ 2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエト
キシ)] −S−トリアジン、2, 4−ビス(2, 4−ジ
エチルフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−(2−
アクリロイルオキシエトキシ)] −S−トリアジン等が
それぞれ挙げられる。
【0019】これらの紫外線吸収基を含有する第3の
(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ単独で使用し
ても2種以上併用しても良いし、また場合によっては重
合側鎖を有するヒンダードアミン系安定剤と共重合して
も良い。アクリル樹脂(B)は、上記第1、第2及び第
3の(メタ)アクリル酸エステル中、それぞれ少なくと
も1種、合計少なくとも3種を含む(メタ)アクリル酸
エステルの共重合体であり、上記第1、第2及び第3の
(メタ)アクリル酸エステルの中から選ばれたさらに1
種あるいは2種以上のモノマーが共重合されていても良
く、あるいは上記以外の(メタ)アクリル酸エステルの
中から選ばれたさらに1種あるいは2種以上のモノマー
が共重合反応した共重合体であっても構わない。
【0020】アクリル樹脂(B)の構成モノマーとして
用いられる第2の(メタ)アクリル酸エステルは、紫外
線吸収コーティング材樹脂組成物の塗膜硬化時にアクリ
ル樹脂(B)が(A)成分及び(C)成分と化学結合を
するのを担うものあって、これによりアクリル樹脂
(B)が塗膜中に固定化される。また、この第2の(メ
タ)アクリル酸エステルは、アクリル樹脂(B)と
(A)成分及び(C)成分との相溶性を改善する効果も
ある。アクリル樹脂(B)の分子量は、アクリル樹脂
(B)と(A)成分及び(C)成分との相溶性に大きく
関わる。そのため、アクリル樹脂(B)は、好ましくは
1000〜50000、より好ましくは1000〜20
000、さらに好ましくは1000〜10000の範囲
内のポリスチレン換算重量平均分子量を有する。アクリ
ル樹脂(B)のポリスチレン換算重量平均分子量が50
000を超えると、相分離し、塗膜が白化することがあ
る。上記分子量が1000未満だと、塗膜の靭性が下が
り、クラックが発生しやすくなる傾向がある。
【0021】紫外線吸収コーティング材樹脂組成物中、
アクリル樹脂(B)の配合量は、硬化被膜の状態で、十
分に紫外線吸収する量であれば、とくに限定はされない
が、たとえば、前記(A)、(C)成分の合計固形分1
00重量部に対して、好ましくは0. 1〜100重量
部、より好ましくは1〜90重量部、さらに好ましくは
5〜80重量部の割合である。0. 1重量部未満である
と、十分な紫外線吸収効果が現れない傾向がある。10
0重量部を越えると、塗膜の硬化阻害を引き起こしてし
まう傾向がある。アクリル樹脂(B)の合成方法は、た
とえば、公知の有機溶媒中での溶液重合、乳化重合、懸
濁重合によるラジカル重合法、あるいはアニオン重合
法、カチオン重合法等を用いることができるが、これら
に限定するものではない。
【0022】溶液重合によるラジカル重合法において
は、例えば公知の方法で、前記第1、第2及び第3の
(メタ)アクリル酸エステル単量体を反応容器中で有機
溶媒に溶解し、さらにラジカル重合開始剤を加え、窒素
気流下加熱し反応させる。このとき用いられる有機溶媒
は、所望の共重合体が得られるものである限り、特に限
定されるものではないが、たとえば、トルエン、キシレ
ン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、エチレングリコールモノブチル
エーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、
酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等が使われ
る。また、ラジカル重合開始剤は特に限定するものでは
ないが、例えば、クメンヒドロペルオキシド、第3ブチ
ルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ第3
ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチ
ル、過酸化ラウロイル、アゾビスイソブチロニトリル、
過酸化水素−Fe2+塩、過硫酸塩−NaHSO3 、クメ
ンヒドロペルオキシド−Fe2+塩、過酸化ベンゾイル−
ジメチルアニリン、過酸化物−トリエチルアルミニウム
などが用いられる。分子量をコントロールするために
は、連鎖移動剤を添加することも可能である。連鎖移動
剤としては、特に限定するわけではないが、たとえば、
モノエチルハイドロキノン、P−ベンゾキノンなどのキ
ノン類;メルカプトアセチックアシッド−エチルエステ
ル、メルカプトアセチックアシッド−n−ブチルエステ
ル、メルカプトアセチックアシッド−2−エチルヘキシ
ルエステル、メルカプトシクロヘキサン、メルカプトシ
クロペンタン、2−メルカプトエタノールなどのチオー
ル類;ジ−3−クロロベンゼンチオール、p−トルエン
チオール、ベンゼンチオールなどのチオフェノール類;
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのチオ
ール誘導体;フェニルピクリルヒドラジン;ジフェニル
アミン;第3ブチルカテコールなどが使える。
【0023】本発明の紫外線吸収コーティング材樹脂組
成物の(C)成分であるシラノール基含有ポリオルガノ
シロキサン(C)は、硬化反応に預かる官能性基として
の加水分解性基を有するベースポリマーである前記
(A)成分と縮合反応して硬化被膜中に3次元架橋を形
成するための架橋剤であり、前記(A)成分の硬化収縮
による歪みを吸収してクラック発生を防止する効果のあ
る成分である。シラノール基含有ポリオルガノシロキサ
ン(C)を表す前記平均組成式(III)中のR4 として
は、特に限定はされず、前記式(I)中のR1 と同じも
のが例示されるが、好ましくは、炭素数1〜4のアルキ
ル基、フェニル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピ
ル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−アミノプロ
ピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの置
換炭化水素基、より好ましくはメチル基およびフェニル
基である。特に、フェニル基が、(B)成分との相溶性
の点で好ましく、その含有割合は、特に限定はされない
が、たとえば、R4としてフェニル基を全R4 基に対し
て5から50モル%の割合で含有することが好ましい。
フェニル基の含有割合が5モル%未満では、(B)成分
との相溶性の向上効果が小さく、塗膜が白化や剥離する
ことがある。フェニル基の含有割合が50モル%を越え
ると硬化が遅くなりすぎる場合がある。
【0024】また、前記式(III) 中、aおよびbはそれ
ぞれ前記の関係を満たす数であり、aが0.2未満また
はbが3を超えると、硬化被膜にクラックを生じる等の
不都合がある。また、aが2を超え且つ4以下の場合ま
たはbが0.0001未満では硬化が十分進行しないと
いう不都合が生じる。シラノール基含有ポリオルガノシ
ロキサン(C)は、特に限定されるわけではないが、た
とえば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシ
ラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロ
シラン、もしくは、これらに対応するアルコキシシラン
の1種もしくは2種以上の混合物を公知の方法により大
量の水で加水分解することにより得ることができる。シ
ラノール基含有ポリオルガノシロキサン(C)を得るた
めに、アルコキシシランを用いて公知の方法で加水分解
した場合、加水分解されないアルコキシ基が微量に残る
場合がある。すなわち、シラノール基と極微量のアルコ
キシ基とが共存するようなポリオルガノシロキサンが得
られることもあるが、本発明においては、このようなポ
リオルガノシロキサンを用いても差し支えない。
【0025】紫外線吸収コーティング材樹脂組成物の
(D)成分として用いられる硬化触媒(D)は、前記
(A)〜(C)成分相互の縮合反応を促進し、塗布被膜
を硬化させる成分である。この硬化触媒(D)として
は、特に限定はされないが、たとえば、アルキルチタン
酸塩類;オクチル酸錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウ
レート、ジオクチル錫ジマレエート等のカルボン酸金属
塩類;ジブチルアミン−2−ヘキソエート、ジメチルア
ミンアセテート、エタノールアミンアセテート等のアミ
ン塩類;酢酸テトラメチルアンモニウム等のカルボン酸
第4級アンモニウム塩;テトラエチルペンタミン等のア
ミン類、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン等のアミン系シランカ
ップリング剤;p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩
酸等の酸類;アルミニウムアルコキシド、アルミニウム
キレート等のアルミニウム化合物;酢酸リチウム、蟻酸
リチウム、蟻酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化カ
リウム等のアルカリ金属塩;テトライソプロピルチタネ
ート、テトラブチルチタネート、チタニウムテトラアセ
チルアセトネート等のチタニウム化合物;メチルトリク
ロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルモノ
クロロシラン等のハロゲン化シラン類等が挙げられる。
しかし、これらの他に、前記(A)〜(C)成分相互の
縮合反応の促進に有効なものであれば特に制限はない。
【0026】本発明の紫外線吸収コーティング材樹脂組
成物中、(A)成分および(C)成分の配合割合は、特
に限定はされないが、たとえば、全縮合化合物換算固形
分基準で述べると、(A)成分と(C)成分の合計10
0重量部に対し、(A)成分0.5〜99.5重量部、
(C)成分99.5〜0.5重量部が好ましく、(A)
成分2.5〜97.5重量部、(C)成分97.5〜
2.5重量部がより好ましく、(A)成分5〜95重量
部、(C)成分95〜5重量部がさらに好ましい。
(A)成分が0.5重量部未満である((C)成分が9
9.5重量部を超える)と、常温硬化性に劣り、また、
十分な被膜硬度が得られない傾向がある。一方、(A)
成分が99.5重量部を超える((C)成分が0.5重
量部未満である)と、硬化性が不安定であり、かつ、良
好な塗膜が得られないことがある。
【0027】本発明の紫外線吸収コーティング材樹脂組
成物中、(D)成分の配合割合は、特に限定はされない
が、たとえば、(A)成分の全縮合化合物換算固形分と
(C)成分の全縮合化合物換算固形分との合計100重
量部に対し、好ましくは0.0001〜10重量部の範
囲内、より好ましくは0.0005〜8重量部の範囲
内、さらに好ましくは0.0007〜5重量部の範囲内
である。(D)成分の配合量が0.0001重量部未満
では常温硬化性が低下し、また、十分な被膜硬度が得ら
れない傾向がある。10重量部を超えると、硬化被膜の
耐熱性や耐候性が低下したり、硬化被膜の硬度が高くな
りすぎてクラックを生じたりする恐れがある。
【0028】本発明にかかる紫外線吸収コーティング材
樹脂組成物は、(A)成分に含まれるオルガノシランの
オリゴマーの有する加水分解性基と(C)成分に含まれ
るポリオルガノシロキサンの有するシラノ−ル基とが硬
化触媒(D)の存在下で、常温放置もしくは低温加熱す
ることにより縮合反応して硬化被膜を形成する。従っ
て、このような本発明の紫外線吸収コーティング材樹脂
組成物は、従来の湿気硬化タイプのコ−テイング材とは
異なり、常温で硬化するときにも湿度の影響をほとんど
受けない。また、加熱処理により縮合反応を促進して硬
化被膜を形成することもできる。
【0029】また、本発明の紫外線吸収コーティング材
樹脂組成物は、加熱硬化だけでなく、常温硬化も可能で
あるため、広い乾燥硬化条件範囲あるいは温度範囲での
使用が可能である。従って、熱を均等にかけにくい形状
を持つ基材、大きな寸法を持つ基材または耐熱性に劣る
基材等に対しても塗装ができるのみでなく、屋外等で塗
装作業を行ったりする場合等のように熱をかけにくい場
合でも塗装できることから、その産業的価値が高い。本
発明の紫外線吸収コーティング材樹脂組成物は、以下に
述べる理由で、さらに(E)成分としてアクリル樹脂
(E)を含むことが好ましい。すなわち、アクリル樹脂
(E)は、本発明の組成物の塗布硬化被膜の靭性を改善
する効果を持ち、これによりクラックの発生を防止して
厚膜化を可能にする。また、アクリル樹脂(E)は、前
記アクリル樹脂(B)の相溶性を補佐する。さらに、ア
クリル樹脂(E)は、本発明の組成物の塗布硬化被膜の
3次元骨格となる(A)成分と(C)成分との縮合架橋
物に取り込まれて該縮合架橋物をアクリル変性にする。
前記縮合架橋物がアクリル変性されると、基材に対する
本発明の組成物の塗布硬化被膜の密着性が向上する。
【0030】アクリル樹脂(E)の構成モノマーの一つ
である第1の(メタ)アクリル酸エステルは、それを表
す前記式(IV)中のR6 が置換または非置換で炭素数1
〜9の1価の炭化水素基、たとえば、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基
等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基
等のシクロアルキル基;2−フェニルエチル基、2−フ
ェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基等のアラル
キル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;クロロ
メチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフ
ルオロプロピル基等のハロゲン化炭化水素基;2−ヒド
ロキシエチル基等のヒドロキシ炭化水素基;等であるも
のの内の少なくとも1種である。
【0031】アクリル樹脂(E)の別の構成モノマーで
ある第2の(メタ)アクリル酸エステルは、それを表す
前記式(IV)中のR6 がエポキシ基、グリシジル基およ
びこれらのうちの少なくとも一方を含む炭化水素基(た
とえば、γ−グリシドキシプロピル基等)からなる群の
中から選ばれる少なくとも1種の基であるものの内の少
なくとも1種である。アクリル樹脂(E)のさらに別の
構成モノマーである第3の(メタ)アクリル酸エステル
は、それを表す前記式(IV)中のR6 がアルコキシシリ
ル基および/またはハロゲン化シリル基を含む炭化水素
基、たとえば、トリメトキシシリルプロピル基、ジメト
キシメチルシリルプロピル基、モノメトキシジメチルシ
リルプロピル基、トリエトキシシリルプロピル基、ジエ
トキシメチルシリルプロピル基、エトキシジメチルシリ
ルプロピル基、トリクロロシリルプロピル基、ジクロロ
メチルシリルプロピル基、クロロジメチルシリルプロピ
ル基、クロロジメトキシシリルプロピル基、ジクロロメ
トキシシリルプロピル基等であるものの内の少なくとも
1種である。
【0032】アクリル樹脂(E)は、上記第1、第2、
第3の(メタ)アクリル酸エステル中、それぞれ少なく
とも1種、合計少なくとも3種を含む(メタ)アクリル
酸エステルの共重合体であり、上記第1、第2、第3の
(メタ)アクリル酸エステルの中から選ばれたさらに1
種あるいは2種以上、あるいは上記以外の(メタ)アク
リル酸エステルの中から選ばれたさらに1種あるいは2
種以上を含む共重合体であっても構わない。上記第1の
(メタ)アクリル酸エステルは、(A)成分及び(C)
成分とアクリル樹脂(B)との相溶性を改善するための
成分であり、紫外線吸収コーティング材樹脂組成物の塗
布硬化被膜の靭性を改善する効果もある。このために
は、R 6 の置換あるいは非置換炭化水素基が、ある程度
以上の体積を持つことが望ましく、炭素数が2以上であ
ることが好ましい。
【0033】第2の(メタ)アクリル酸エステルは、本
発明の組成物の塗布硬化被膜と基材との密着性を向上さ
せるための成分である。第3の(メタ)アクリル酸エス
テルは、本発明の組成物の塗膜硬化時に、アクリル樹脂
(E)と(A)成分および(C)成分との間に化学結合
を形成させるための成分であり、これによりアクリル樹
脂(E)が塗布硬化被膜中に固定化される。また、第3
の(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル樹脂(E)
と(A)成分および(C)成分との相溶性を改善する効
果もある。アクリル樹脂(E)の分子量は、アクリル樹
脂(E)と(A)成分および(C)成分との相溶性に大
きく関わる。そのため、アクリル樹脂(E)は、好まし
くは1000〜50000、より好ましくは1000〜
20000の範囲内のポリスチレン換算重量平均分子量
を有する。アクリル樹脂(E)のポリスチレン換算重量
平均分子量が50000を超えると、相分離し、塗膜が
白化することがある。上記分子量が1000未満だと、
塗膜の靭性が下がり、クラックが発生しやすくなる傾向
がある。
【0034】第2の(メタ)アクリル酸エステルは、共
重合体中の単量体モル比率で2%以上であることが望ま
しい。2%未満では、塗膜の密着性が不十分となる傾向
がある。第3の(メタ)アクリル酸エステルは、共重合
体中の単量体モル比率で2〜50%の範囲であることが
望ましい。2%未満においては、アクリル樹脂(E)と
(A)成分および(C)成分との相溶性が悪く、塗膜が
白化することがある。また、50%を超えると、アクリ
ル樹脂(E)と(A)成分および(C)成分との結合密
度が高くなり過ぎ、アクリル樹脂本来の目的である靭性
の改善が見られなくなる傾向がある。
【0035】紫外線吸収コーティング材樹脂組成物中、
アクリル樹脂(E)の配合量は、特に限定はされない
が、たとえば、前記(A)、(C)成分の合計固形分1
00重量部に対して、好ましくは0.1〜100重量
部、より好ましくは1〜90重量部、さらに好ましくは
5〜80重量部の割合である。0.1重量部未満である
と、このアクリル樹脂(E)の前記配合効果の発現が弱
くなる傾向がある。100重量部を超えると、塗膜の硬
化阻害を引き起こしてしまう傾向がある。アクリル樹脂
(E)の合成方法は、特に限定はされず、たとえば、前
記アクリル樹脂(B)の合成方法と同様の方法を用いる
ことができる。
【0036】本発明の紫外線吸収コーティング材樹脂組
成物は、必要に応じ、顔料、染料等の着色剤をさらに含
むことにより、調色可能である。使用できる顔料として
は、特に限定はされないが、たとえば、カーボンブラッ
ク、キナクリドン、ナフトールレッド、シアニンブル
ー、シアニングリーン、ハンザイエロー等の有機顔料;
酸化チタン、硫酸バリウム、弁柄、複合金属酸化物等の
無機顔料がよく、これらの群から選ばれる1種あるいは
2種以上を組み合わせて使用しても差し支えない。顔料
の分散は、特に限定はされず、通常の方法、たとえば、
ダイノーミール、ペイントシェーカー等により顔料粉を
直接分散させる方法等でよい。その際、分散剤、分散助
剤、増粘剤、カップリング剤等の使用が可能である。顔
料の添加量は、顔料の種類により隠蔽性が異なるので特
に限定はされないが、たとえば、塗料全量中での全縮合
化合物換算固形分100重量部に対して、好ましくは5
〜80重量部、より好ましくは10〜70重量部であ
る。顔料の添加量が5重量部未満の場合は隠蔽性が悪く
なる傾向があり、80重量部を超えると塗膜の平滑性が
悪くなることがある。
【0037】使用できる染料としては、特に限定はされ
ないが、たとえば、アゾ系、アントラキノン系、インジ
コイド系、硫化物系、トリフェニルメタン系、キサンテ
ン系、アリザリン系、アクリジン系、キノンイミン系、
チアゾール系、メチン系、ニトロ系、ニトロソ系等の染
料が挙げられる。これらの群から選ばれる1種あるいは
2種以上を組み合わせて使用しても差し支えない。染料
の添加量は、染料の種類により隠蔽性が異なるので特に
限定はされないが、たとえば、塗料全量中での全縮合化
合物換算固形分100重量部に対して、好ましくは5〜
80重量部、より好ましくは10〜70重量部である。
染料の添加量が5重量部未満の場合は隠蔽性が悪くなる
傾向があり、80重量部を超えると塗膜の平滑性が悪く
なることがある。
【0038】なお、レベリング剤、金属粉、ガラス粉、
抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等も、本発明の効果
に悪影響を与えない範囲内で紫外線吸収コーティング材
樹脂組成物に含まれていてもよい。本発明の紫外線吸収
コーティング材樹脂組成物は、取り扱いの容易さから必
要に応じて各種有機溶媒で希釈して使用できるし、ま
た、同有機溶媒で希釈したものであってもよい。有機溶
媒の種類は、シリコーンレジンの各成分の有する1価炭
化水素基の種類、または、シリコーンレジンの各成分の
分子量の大きさ等に応じて適宜選定することができる。
このような有機溶媒としては、特に限定はされないが、
たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族ア
ルコール類;エチレングリコール、エチレングリコール
モノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチ
ルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレン
グリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル
等のジエチレングリコール誘導体;および、トルエン、
キシレン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メ
チルエチルケトオキシム、ジアセトンアルコール等を挙
げることができ、これらからなる群より選ばれた1種も
しくは2種以上を使用することができる。有機溶媒での
希釈割合は特に制限はなく、必要に応じて希釈割合を適
宜決定すれば良い。
【0039】紫外線吸収コーティング材樹脂組成物を塗
布する方法は、特に限定されるものではなく、たとえ
ば、刷毛塗り、スプレー、浸漬(ディッピング)、ロー
ル、フロー、カーテン、ナイフコート、スピンコート等
の通常の各種塗布方法を選択することができる。紫外線
吸収コーティング材樹脂組成物の塗膜の硬化方法につい
ては、公知の方法を用いればよく、特に限定はされな
い。また、硬化の際の温度も特に限定はされず、所望さ
れる硬化被膜性能や、基材の耐熱性等に応じて常温〜加
熱温度の広い範囲をとることができる。
【0040】紫外線吸収コーティング材樹脂組成物から
形成される塗布硬化被膜の厚みは、特に制限はなく、た
とえば、1〜50μm程度であればよいが、塗膜の各種
機能をより効果的に発揮させるとともに、塗布硬化被膜
が長期的に安定に密着、保持され、かつ、クラックや剥
離が発生しないためには、5〜20μmが好ましく、5
〜10μmがより好ましい。本発明の紫外線吸収コーテ
ィング材樹脂組成物が塗布される基材(本発明の塗装品
に用いられる基材でもある)としては、特に限定はされ
ないが、たとえば、無機質基材、有機質基材、無機有機
複合基材、および、これらのうちのいずれかの表面に少
なくとも1層の無機物被膜および/または少なくとも1
層の有機物被膜を有する塗装基材等が挙げられる。
【0041】無機質基材としては、特に限定はされない
が、たとえば、金属基材;ガラス基材;ホーロー;水ガ
ラス化粧板、無機質硬化体等の無機質建材;セラミック
ス等が挙げられる。金属基材としては、特に限定はされ
ないが、たとえば、非鉄金属〔たとえば、アルミニウム
(JIS−H4000等)、アルミニウム合金(ジュラ
ルミン等)、銅、亜鉛等〕、鉄、鋼〔たとえば、圧延鋼
(JIS−G3101等)、溶融亜鉛めっき鋼(JIS
−G3302等)、(圧延)ステンレス鋼(JIS−G
4304、G4305等)等〕、ブリキ(JIS−G3
303等)、その他の金属全般(合金含む)が挙げられ
る。
【0042】ガラス基材としては、特に限定はされない
が、たとえば、ナトリウムガラス、パイレックスガラ
ス、石英ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。前
記ホーローとは、金属表面にガラス質のホーローぐすり
を焼き付け、被覆したものである。その素地金属として
は、たとえば、軟鋼板、鋼板、鋳鉄、アルミニウム等が
挙げられるが、特に限定はされない。ホーローぐすりも
通常のものを用いればよく、特に限定はされない。前記
水ガラス化粧板とは、たとえば、ケイ酸ソーダをスレー
トなどのセメント基材に塗布し、焼き付けた化粧板など
を指す。
【0043】無機質硬化体としては、特に限定はされな
いが、たとえば、繊維強化セメント板(JIS−A54
30等)、窯業系サイディング(JIS−A5422
等)、木毛セメント板(JIS−A5404等)、パル
プセメント板(JIS−A5414等)、スレート・木
毛セメント積層板(JIS−A5426等)、石膏ボー
ド製品(JIS−A6901等)、粘土瓦(JIS−A
5208等)、厚形スレート(JIS−A5402
等)、陶磁器質タイル(JIS−A5209等)、建築
用コンクリートブロック(JIS−A5406等)、テ
ラゾ(JIS−A5411等)、プレストレストコンク
リートダブルTスラブ(JIS−A5412等)、AL
Cパネル(JIS−A5416等)、空洞プレストレス
トコンクリートパネル(JIS−A6511等)、普通
煉瓦(JIS−R1250等)等の無機材料を硬化、成
形させた基材全般を指す。
【0044】セラミックス基材としては、特に限定はさ
れないが、たとえば、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ
素、窒化ケイ素等が挙げられる。有機質基材としては、
特に限定はされないが、たとえば、プラスチック、木、
木材、紙等が挙げられる。プラスチック基材としては、
特に限定はされないが、たとえば、ポリカーボネート樹
脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、エポ
キシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性もしくは熱可塑
性プラスチック、および、これらのプラスチックをナイ
ロン繊維等の有機繊維で強化した繊維強化プラスチック
(FRP)等が挙げられる。
【0045】無機有機複合基材としては、特に限定はさ
れないが、たとえば、上記プラスチックをガラス繊維、
カーボン繊維等の無機繊維で強化した繊維強化プラスチ
ック(FRP)等が挙げられる。特に、本発明の紫外線
吸収コーティング材樹脂組成物は、それを塗布して得ら
れる硬化被膜が紫外線を吸収するため、紫外線照射によ
るプラスチック基材その他の被塗布物品の劣化、変色、
塗膜剥離等を防止する効果等が得られる。前記塗装基材
を構成する有機物被膜としては、特に限定はされない
が、たとえば、アクリル系、アルキド系、ポリエステル
系、エポキシ系、ウレタン系、アクリルシリコーン系、
塩化ゴム系、フェノール系、メラミン系等の有機樹脂を
含むコーティング材の硬化被膜等が挙げられる。特に、
本発明の紫外線吸収コーティング材樹脂組成物は、その
塗布硬化被膜が紫外線を吸収するため、上記プラスチッ
ク基材の場合と同様に、紫外線照射による有機塗装基材
の劣化、変色、塗膜剥離等を防止する効果等が得られ
る。
【0046】前記塗装基材を構成する無機物被膜として
は、特に限定はされないが、たとえば、シリコーン樹脂
等の無機樹脂を含むコーティング材の硬化被膜等が挙げ
られる。本発明の紫外線吸収コーティング材樹脂組成物
を基材に塗布する際に、基材の材質や表面状態によって
は、そのまま本発明の紫外線吸収コーティング材樹脂組
成物を塗布すると密着性や耐候性が得にくい場合がある
ので、必要に応じ、基材の表面に、本発明の紫外線吸収
コーティング材樹脂組成物の塗布硬化被膜を形成させる
前に予めプライマー層を形成させておいてもよい。プラ
イマー層としては、有機、無機を問わず、特に限定はさ
れないが、有機プライマー層の例としては、ナイロン樹
脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、有機
変性シリコーン樹脂(たとえば、アクリルシリコーン樹
脂等)、塩化ゴム樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹
脂、ポリエステル樹脂およびメラミン樹脂からなる群の
中から選ばれた少なくとも1種の有機樹脂を固形分とし
て10重量%以上含有する有機プライマー組成物の硬化
樹脂層等が挙げられ、無機プライマー層の例としては、
シリコーン樹脂等の無機樹脂を固形分として90重量%
以上含有する無機プライマー組成物の硬化樹脂層等が挙
げられる。
【0047】プライマー層の厚みは、特に限定はされな
いが、たとえば、0.1〜50μmが好ましく、0.5
〜10μmがより好ましい。この厚みが薄すぎると密着
性や耐候性が得られない恐れがあり、厚すぎると乾燥時
に発泡等の恐れがある。なお、表面に上記のような有機
プライマー層および/または無機プライマー層を少なく
とも1層有する基材は、前記塗装基材の範疇に含まれ
る。すなわち、前記塗装基材が表面に有する前記被膜は
上記プライマー層であってもよいのである。また、プラ
イマー層には、必要に応じ、調色のために顔料、染料等
の着色剤が含まれていてもよい。使用可能な着色剤とし
ては、紫外線吸収コーティング材樹脂組成物に添加可能
なものとして前述したものが挙げられる。プライマー層
への着色剤の配合量の好ましい数値範囲についても、前
述の、紫外線吸収コーティング材樹脂組成物の場合と同
様である。ただし全縮合化合物換算固形分100重量部
に対してではなくて、プライマー組成物全量中での全樹
脂固形分100重量部に対して規定される。
【0048】基材の形態については、特に限定はされ
ず、たとえば、フィルム状、シート状、板状、繊維状等
が挙げられる。また、基材は、これらの形状の材料の成
形体、または、これらの形状の材料もしくはその成形体
の少なくとも1つを一部に備えた構成体等であってもよ
い。基材は、上述した各種材料単独からなるものでもよ
いし、上述した各種材料のうちの少なくとも2つを組み
合わせてなる複合材料または上述した各種材料のうちの
少なくとも2つを積層してなる積層材料でもよい。本発
明の紫外線吸収コーティング材樹脂組成物および塗装品
は、その塗膜が紫外線吸収能を有するため、紫外線照射
による各種基材その他の被塗布物品の劣化、変色、塗膜
剥離等を防止する効果等が得られるとともに、これらの
効果が長時間の紫外線照射でも低下しにくい。そのた
め、本発明の紫外線吸収コーティング材樹脂組成物の塗
布硬化被膜を各種材料または物品の少なくとも一部に装
備させることにより、たとえば、下記の用途に好適に用
いることができる。
【0049】建物関連の部材または物品、たとえば、外
装材(たとえば、外壁材、平板瓦・日本瓦・金属瓦等の
瓦等)、塩ビ雨とい等の樹脂製雨とい・ステンレス雨と
い等の金属製雨とい等の雨とい、門およびそれに用いる
ための部材(たとえば、門扉・門柱・門塀等)、フェン
ス(塀)およびそれに用いるための部材、ガレージ扉、
ホームテラス、ドア、柱、カーポート、駐輪ポート、サ
インポスト、宅配ポスト、配電盤・スイッチ等の配線器
具、ガスメーター、インターホン、テレビドアホン本体
およびカメラレンズ部、電気錠、エントランスポール、
縁側、換気扇吹き出し口、建物用ガラス等;窓(たとえ
ば、採光窓、天窓、ルーバー等の開閉窓等)およびそれ
に用いるための部材(たとえば、窓枠、雨戸、ブライン
ド等)、自動車、鉄道車両、航空機、船舶、機械装置、
道路周辺部材(たとえば、防音壁、トンネル内装板、各
種表示装置、ガードレール、車止め、高欄、交通標識の
標識板および標識柱、信号機、ポストコーン等)、広告
塔、屋外または屋内用照明器具およびそれに用いるため
の部材(たとえば、ガラス、樹脂、金属およびセラミッ
クスからなる群の中から選ばれた少なくとも1種の材料
からなる部材等)、太陽電池用ガラス、農業用ビニール
およびガラスハウス、エアコン用室外機、VHF・UH
F・BS・CS等のアンテナ等。
【0050】なお、本発明の紫外線吸収コーティング材
樹脂組成物を上記の各種材料または物品の少なくとも一
部に直接塗布し、硬化させてもよいが、これに限定され
ず、たとえば、本発明の紫外線吸収コーティング材樹脂
組成物をフィルム基材の表面に塗布し、硬化させてなる
紫外線吸収フィルムを上記の各種材料または物品の少な
くとも一部に貼るようにしてもよい。このようなフィル
ムの基材の材質としては、たとえば、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレー
ト(PBT)樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、フ
ッ素樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂およびそれらの
複合樹脂等の樹脂が挙げられるが、特に限定はされな
い。
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて
詳細に説明する。実施例及び比較例中、特に断らない限
り「部」はすべて「重量部」を、「%」はすべて「重量
%」を表す。また、分子量はGPC(ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー)により、測定機種名HLC8
020(東ソー株式会社製)を用いて、標準ポリスチレ
ンで検量線を作成し、その換算値として測定したもので
ある。なお、本発明は下記実施例に限定されない。
【0051】実施例及び比較例に先立ち、それらに用い
る各成分を以下のようにして調製した。 (A成分の調製例): <調製例A−1>撹拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー及び温度計をつけたフラスコ中に、イソプロパノール
(以下、「IPA」と称する)分散コロイダルシリカゾ
ル(商品名「IPA−ST」、粒子径10〜20nm、
固形分30%、水分0.5%、日産化学工業(株)製)
100部と、メチルトリメトキシシラン68部と、水1
0.8部とを投入し、撹拌しながら65℃で約5時間か
けて部分加水分解反応を行った後、冷却することによ
り、オルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液を得
た。これをA−1と称する。このものは、室温で48時
間放置したときの全縮合化合物換算固形分が36%であ
った。
【0052】 A−1の調製条件: ・加水分解性基1モル当量に対する水のモル数 0.4モル ・(A−1)成分のシリカ分含有量 47.3% ・m=1の加水分解性オルガノシランのモル% 100モル% <調製例A−2>撹拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー及び温度計をつけたフラスコ中に、キシレン・n−ブ
タノール混合溶媒分散コロイダルシリカゾル(商品名
「XBA−ST」、粒子径10〜20nm、固形分30
%、水分0.2%、日産化学工業(株)製)100部
と、メチルトリメトキシシラン68部とを投入し、撹拌
しながら65℃で約5時間かけて部分加水分解反応を行
った後、冷却することにより、オルガノシランのシリカ
分散オリゴマー溶液を得た。これをA−2と称する。こ
のものは、室温で48時間放置したときの全縮合化合物
換算固形分が36%であった。
【0053】 A−2の調製条件: ・加水分解性基1モル当量に対する水のモル数 0.007モル ・(A−2)成分のシリカ分含有量 47.3% ・m=1の加水分解性オルガノシランのモル% 100モル% (B成分の調製例): <調製例B−1>撹拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー、滴下ロート、窒素ガス導入・排出口および温度計を
取り付けたフラスコ中、窒素気流下で、n−ブチルメタ
クリレート(BMA)1. 58部、トリメトキシシリル
プロピルメタクリレート(SMA)1. 24部、2−
(2−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニ
ル)−2H−ベンゾトリアゾール(商品名:RUVA−
93、大塚化学株式会社製)2. 43部、さらに連鎖移
動剤としてγ−メルカプトプロピルメトキシシラン0.
0392部をトルエン8. 49部に溶解した反応溶液
に、アゾビスイソブチロニトリル0. 025部がトルエ
ン3部に溶解したものを滴下し、70℃で2時間反応さ
せた。これにより、重量平均分子量Mw=1000のア
クリル樹脂の40%トルエン溶液を得た。これをB−1
と称する。
【0054】B−1の調製条件: ・単量体モル比率 BMA/SMA/RUVA−93=
5/2/3 ・重量平均分子量 1000 ・固形分含有量 40% <調製例B−2>撹拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー、滴下ロート、窒素ガス導入・排出口および温度計を
取り付けたフラスコ中、窒素気流下で、n−ブチルメタ
クリレート(BMA)1. 58部、トリメトキシシリル
プロピルメタクリレート(SMA)1. 24部、2−
(2−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニ
ル)−2H−ベンゾトリアゾール(商品名:RUVA−
93、大塚化学株式会社製)2. 43部、さらに連鎖移
動剤としてγ−メルカプトプロピルメトキシシラン0.
784部をトルエン8. 49部に溶解した反応溶液に、
アゾビスイソブチロニトリル0. 025部がトルエン3
部に溶解したものを滴下し、70℃で2時間反応させ
た。これにより、重量平均分子量Mw=8000のアク
リル樹脂の40%トルエン溶液を得た。これをB−2と
称する。
【0055】B−2の調製条件: ・単量体モル比率 BMA/SMA/RUVA−93=
5/2/3 ・重量平均分子量 8000 ・固形分含有量 40% <調製例B−3>撹拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー、滴下ロート、窒素ガス導入・排出口および温度計を
取り付けたフラスコ中、窒素気流下で、2−エチルヘキ
シルメタクリレート(EHMA)3.24重量部、トリ
ス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレー
ト(SMA−2)2.43部および2−(2−ヒドロキ
シ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベン
ゾトリアゾール(商品名:RUVA−93、大塚化学株
式会社製)2. 43重量部を7.1重量部のトルエンに
溶解した反応溶液を90℃まで加熱した後、アゾビスブ
チロニトリル0.4重量部を2.6重量部のトルエンに
溶解したものを滴下し、90℃でさらに4時間反応させ
ることにより、重量平均分子量Mw=5000のアクリ
ル樹脂の40%トルエン溶液を得た。これをB−3と称
する。
【0056】B−3の調製条件: ・単量体モル比率 EHMA/SMA−2/RUVA−
93=4/3/3 ・重量平均分子量 5000 ・固形分含有量 40% <調製例B−4>撹拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー、滴下ロート、窒素ガス導入・排出口および温度計を
取り付けたフラスコ中、窒素気流下で、2−エチルヘキ
シルメタクリレート(EHMA)2.43重量部、トリ
メトキシシリルプロピルメタクリレート(SMA)3.
24部、2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエ
チルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(商品名:
RUVA−93、大塚化学株式会社製)2. 43重量
部を7.1重量部のトルエンに溶解した反応溶液を90
℃まで加熱した後、アゾビスブチロニトリル0.4重量
部を2.6重量部のトルエンに溶解したものを滴下し、
90℃でさらに4時間反応させることにより、重量平均
分子量Mw=5000のアクリル樹脂の40%トルエン
溶液を得た。これをB−4と称する。
【0057】B−4の調製条件: ・単量体モル比率 EHMA/SMA/RUVA−93
=3/4/3 ・重量平均分子量 5000 ・固形分含有量 40% <調製例B−5>撹拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー、滴下ロート、窒素ガス導入・排出口および温度計を
取り付けたフラスコ中、窒素気流下で、メチルメタクリ
レート(MMA)4.86重量部、トリメトキシシリル
プロピルメタクリレート(SMA)0.81部、2−
(2−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニ
ル)−2H−ベンゾトリアゾール(商品名:RUVA−
93、大塚化学株式会社製)2.43重量部を7.1重
量部のトルエンに溶解した溶液を90℃まで加熱した
後、アゾビスブチロニトリル0.4重量部を2.6重量
部のトルエンに溶解したものを滴下し、90℃でさらに
4時間反応させることにより、重量平均分子量Mw=5
000のアクリル樹脂の40%トルエン溶液を得た。こ
れをB−5と称する。
【0058】B−5の調製条件: ・単量体モル比率 MMA /SMA/RUVA−93
=6/1/3 ・重量平均分子量 5000 ・固形分含有量 40% <調製例B−6>撹拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー、滴下ロート、窒素ガス導入・排出口および温度計を
取り付けたフラスコ中、窒素気流下で、メチルメタクリ
レート(MMA)4.86重量部、トリメトキシシリル
プロピルメタクリレート(SMA)0.81部、2−
(2−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニ
ル)−2H−ベンゾトリアゾール(商品名:RUVA−
93、大塚化学株式会社製)2.43重量部、1,2,
2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレ
ート(商品名;MARK LA−82、アデカ・アーガ
ス化学(株)製)0.08重量部を7.1重量部のトル
エンに溶解した反応溶液を90℃まで加熱した後、アゾ
ビスブチロニトリル0.4重量部を2.6重量部のトル
エンに溶解したものを滴下し、90℃でさらに4時間反
応させることにより、重量平均分子量Mw=5000の
アクリル樹脂の40%トルエン溶液を得た。これをB−
6と称する。
【0059】B−6の調製条件: ・単量体モル比率 MMA/SMA/RUVA−93/
LA−82=6/1/3/0.1 ・重量平均分子量 5000 ・固形分含有量 40% <調製例B−7>撹拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー、滴下ロート、窒素ガス導入・排出口および温度計を
取り付けたフラスコ中、窒素気流下で、メチルメタクリ
レート(MMA)4.86重量部、トリメトキシシリル
プロピルメタクリレート(SMA)0.81部、2−ヒ
ドロキシ−4−(メタクリロキシエチルエトキシ)ベン
ゾフェノン(商品名:ULS−611、一方社油脂工業
(株)製)2.43重量部を7.1重量部のトルエンに
溶解した反応溶液を90℃まで加熱した後、アゾビスブ
チロニトリル0.4重量部を2.6重量部のトルエンに
溶解したものを滴下し、90℃でさらに4時間反応させ
ることにより、重量平均分子量Mw=5000のアクリ
ル樹脂の40%トルエン溶液を得た。これをB−7と称
する。
【0060】B−7の調製条件: ・単量体モル比率 MMA/SMA/ULS−611=
6/1/3 ・重量平均分子量 5000 ・固形分含有量 40% <調整例B−8>撹拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー、滴下ロート、窒素ガス導入・排気孔及び温度計を取
り付けたフラスコ中、窒素気流下で、メチルメタクリレ
ート(MMA)4.86重量部、トリメトキシシリルプ
ロピルメタクリレート(SMA)0.81重量部、2,
4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−ア
クリロイルオキシエトキシ)]−s−トリアジン(T−
UVA)2.43重量部を7.1重量部のトルエンに溶
解した反応溶液を90℃まで加熱した後、アゾビスブチ
ロニトリル0.4重量部を2.6重量部のトルエンに溶
解したものを滴下し、90℃でさらに4時間反応させる
ことにより、重量平均分子量Mw=5000のアクリル
樹脂の40%トルエン溶液を得た。これをB−8と称す
る。
【0061】B−8の調整条件: ・単量体重量比率 MMA/SMA/T−UVA=6/
1/3 ・重量平均分子量 5000 ・固形分含有量 40% <調製例TINUVIN(比較例用)>ベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤として、下記一般式化1で表される
ベンゾトリアゾール誘導体の−R7 が−C(CH3 3
であり、−R8 が−C2 4 COOC8 17であるベン
ゾトリアゾール系紫外線吸収剤(商品名「TINUVI
N384」、CIBA−GAIGY社製)2.6部を使
用するようにした。この紫外線吸収剤は、本発明の紫外
線吸収コーティング材樹脂組成物の(B)成分として用
いられるアクリル樹脂(B)とは異なり、単体の紫外線
吸収剤として使用するものとする。この成分の40%ト
ルエン溶液をTINUVIN(比較用)と称する。
【0062】
【化1】
【0063】<調製例B−9(比較例用)>撹拌機、加
温ジャケット、コンデンサー、滴下ロート、窒素ガス導
入・排出口および温度計を取り付けたフラスコ中、窒素
気流下で、n−ブチルメタクリレート(BMA)2. 2
1部、2−(2−ヒドロキシ−5ーメタクリロキシエチ
ルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(商品名:R
UVA−93、大塚化学株式会社製)2. 43部、さら
に連鎖移動剤としてγ−メルカプトプロピルメトキシシ
ラン0. 784部をトルエン8. 49部に溶解した反応
液に、アゾビスイソブチロニトリル0. 025部がトル
エン3部に溶解したものを滴下し、70℃で2時間反応
させることにより、重量平均分子量Mw=1000のア
クリル樹脂の40%トルエン溶液を得た。これをB−9
(比較用)と称する。
【0064】B−9(比較用)の調製条件 ・単量体モル比率 BMA/SMA/RUVA−93=
7/0/3 ・重量平均分子量 1000 ・固形分含有量 40% (C成分の調製例): <調製例C−1>撹拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー、滴下ロート及び温度計を取り付けたフラスコ中にメ
チルトリクロロシラン149. 5部(1モル)とトルエ
ン150部を秤取り、その混合溶液中に、撹拌しなが
ら、1%塩酸水溶液108部を20分かけて滴下してメ
チルトリクロロシランを60℃で加水分解した。滴下終
了から40分後に撹拌を止め、反応液を分液ロートに移
し静置して2層に分離させた。下層の塩酸水を分液除去
し、後に残ったトルエンの樹脂溶液中に残存している塩
酸を水洗除去し、さらにトルエンを減圧除去した後、残
留物をイソプロピルアルコールで希釈することにより、
重量平均分子量(Mw)約2000のシラノール基含有
ポリオルガノシロキサンのイソプロピルアルコール溶液
を得た。これをC−1と称する。この溶液C−1中の全
縮合化合物換算固形分は40%である。また、C−1中
のシラノール基含有ポリオルガノシロキサンは前記平均
組成式(III) を満たすものであることが確認されてい
る。
【0065】<調製例C−2(フェニル基含有)>撹拌
機、加温ジャケット、コンデンサー、滴下ロート及び温
度計を取り付けたフラスコ中に水1000部、アセトン
50部を秤取り、その混合溶液中に、メチルトリクロロ
シラン44.8部(0.3モル)およびフェニルトリク
ロロシラン84.6部(0.4モル)がトルエン200
部に溶解したものを撹拌下に滴下しながら60℃で加水
分解した。滴下終了から40分後に撹拌を止め、反応液
を分液ロートに移し静置して2層に分離させた。塩酸を
含んだ下層の液を分液除去し、後に残ったポリオルガノ
シロキサンのトルエン溶液中に残存している水と塩酸を
減圧ストリッピングにより過剰のトルエンと共に留去す
ることにより、重量平均分子量(Mw)約3000のシ
ラノール基含有ポリオルガノシロキサンのトルエン溶液
を得た。これをC−2と称する。この溶液C−2中の全
縮合化合物換算固形分は60%である。また、C−2中
のシラノール基含有ポリオルガノシロキサンは前記平均
組成式(III) を満たすものであることが確認されてい
る。 (D成分):N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピ
ルメチルジメトキシシランを用いた。これをD−1と称
する。 (E成分の調製例): <調製例E−1>撹拌機、加温ジャケット、コンデンサ
ー、滴下ロート、窒素ガス導入・排出口および温度計を
取り付けたフラスコ中、窒素気流下で、n−ブチルメタ
クリレート(BMA)5.69部、トリメトキシシリル
プロピルメタクリレート(SMA)1.24部、グリシ
ジルメタクリレート(GMA)0.71部、さらに連鎖
移動剤としてγ−メルカプトプロピルメトキシシラン
0.784部をトルエン8.49部に溶解した反応液
に、アゾビスイソブチロニトリル0.025部がトルエ
ン3部に溶解したものを滴下し、70℃で2時間反応さ
せることにより、重量平均分子量Mw=1000のアク
リル樹脂の40%トルエン溶液を得た。これをE−1と
称する。
【0066】E−1の調製条件: ・単量体モル比率 BMA/SMA/GMA=8/1/
1 ・重量平均分子量 1000 ・固形分含有量 40% 以上のようにして得られた各成分を用い、以下の実施例
および比較例を行った。 (実施例1〜16及び比較例1〜3):表1〜4に示す
成分((D)成分以外)を同表に示す割合で混合し、次
に(D)成分として前記に示すものを同表に示す割合で
混合した。その後、得られた混合物のいずれもイソプロ
ピルアルコールで固形分20%になるように希釈するこ
とにより、各実施例の紫外線吸収コーティング材樹脂組
成物及び各比較例の比較用紫外線吸収コーティング材樹
脂組成物を得た。
【0067】次に、エタノールで洗浄した石英板上に上
記で得られた各紫外線吸収コーティング材樹脂組成物
を、硬化被膜厚で約10μmになるように塗布し、80
℃で30分間硬化させることにより、紫外線吸収層を有
する石英版を得た。この紫外線吸収層を有する石英版に
ついて、紫外線吸収能の低下率を下記の試験方法で評価
し、その結果を表1〜4に示した。 (紫外線吸収能の低下率の試験方法):試験サンプルに
対して、促進耐候性試験機(スガ試験機社製、商品名
「サンシャインスーパーロングライフウェザーメータ
ー」、型番WEL−SUN−HC型)により2000時
間の促進耐候性試験を行って、紫外線吸収能の低下につ
いての促進試験を行った。促進耐候性試験前後の試験サ
ンプルの紫外線吸収率を分光特性試験機を用いて測定
し、下記式より紫外線吸収能の低下率を算出した。
【0068】紫外線吸収能の低化率=(1−促進耐候試
験後の紫外線吸収率/促進耐候試験前の紫外線吸収率)
×100 但し、紫外線吸収率の範囲は300nm〜380nmと
した。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】表1〜4の結果から、実施例は、比較例に
比べ、いずれも紫外線吸収能の低下率が少ないことが確
認できた。
【0074】
【発明の効果】請求項1から5までのいずれかに記載の
紫外線吸収コーティング材樹脂組成物は、その塗布硬化
被膜形成の際、紫外線吸収能を有する前記(B)成分が
該被膜のマトリックス樹脂骨格中に固定されるととも
に、マトリックス樹脂と紫外線吸収成分との相溶性も向
上されているため、従来の単純添加型紫外線吸収剤と比
較して、紫外線吸収成分がマイグレーションしにくいの
で、長時間紫外線を照射しても紫外線吸収能が低下しに
くい塗布硬化被膜を形成することができる。請求項2に
記載の紫外線吸収コーティング材樹脂組成物では、前記
(C)成分の有するR4 がフェニル基であるため、前記
(B)成分と前記(C)成分との相溶性が向上する。
【0075】請求項3に記載の紫外線吸収コーティング
材樹脂組成物では、さらに前記(E)成分を含むため、
塗布硬化被膜の靭性、基材に対する該被膜の密着性、前
記(B)成分の相溶性等が向上する。請求項4に記載の
紫外線吸収コーティング材樹脂組成物では、前記(B)
成分が前記所定範囲の重量平均分子量を有するため、
(B)成分が相分離して塗膜が白化するのを防止でき
る。請求項5に記載の紫外線吸収コーティング材樹脂組
成物では、前記(B)成分の配合量が前記所定の割合で
あるため、塗膜の硬化阻害を引き起こすことなく、充分
な紫外線吸収効果を発現することができる。
【0076】請求項6に記載の塗装品は、上記請求項1
から5までのいずれかに記載の紫外線吸収コーティング
材樹脂組成物の塗布硬化被膜からなる紫外線吸収塗装層
を備えたものであるため、上記紫外線吸収コーティング
材樹脂組成物や、それから形成される紫外線吸収塗膜に
由来する上記の優れた各種特性や利点を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山木 健之 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 高濱 孝一 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 河野 和浩 徳島市川内町加賀須野463 大塚化学株式 会社徳島研究所内 (72)発明者 森 浩司 徳島市川内町加賀須野463 大塚化学株式 会社徳島研究所内 (72)発明者 赤田 充生 大阪市中央区大手通3丁目2番27号 大塚 化学株式会社内 Fターム(参考) 4J038 CG032 CG142 CL002 DL021 DL041 DL052 GA03 HA446 JC32 MA14 NA19

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(A)、(B)、(C)および(D)
    成分を含む紫外線吸収コーティング材樹脂組成物。 (A)成分: 一般式R1 m SiX4-m …(I) で表される(ここでR1 は同一または異種の置換もしく
    は非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、mは
    0〜3の整数、Xは加水分解性基を示す)加水分解性オ
    ルガノシランを、有機溶媒、水またはそれらの混合溶媒
    に分散されたコロイダルシリカ中、水の存在下で部分加
    水分解してなる、オルガノシランのシリカ分散オリゴマ
    ー。 (B)成分: 一般式CH2 =CR2 (COOR3 ) …(II) で表される(ここでR2 は水素原子および/またはメチ
    ル基を示す)モノマーであって、R3 が水素原子である
    か、あるいは、置換もしくは非置換で炭素数1〜9の1
    価炭化水素基である第1の(メタ)アクリル酸エステル
    と、R3 がアルコキシシリル基、ハロゲン化シリル基お
    よびこれらのうちの少なくとも一方を含む炭化水素基か
    らなる群の中から選ばれる少なくとも1種の基、また
    は、シロキシ基である第2の(メタ)アクリル酸エステ
    ルと、R3 が紫外線吸収基を含む炭化水素基である第3
    の(メタ)アクリル酸エステルとを少なくとも含むモノ
    マー類が共重合してなるアクリル樹脂。 (C)成分: 平均組成式R4 a Si(OH)b (4-a-b)/2 …(III) で表され(ここでR4 は同一または異種の置換もしくは
    非置換で炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、a およ
    びbはそれぞれ0. 2≦a≦2、0. 0001≦b≦
    3、a+b<4の関係を満たす数である)、分子中にシ
    ラノール基を含有するポリオルガノシロキサン。(D)
    成分:硬化触媒。
  2. 【請求項2】前記(C)成分の有するR4 がフェニル基
    である、請求項1に記載の紫外線吸収コーティング材樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】さらに下記(E)成分を含む請求項1また
    は2に記載の紫外線吸収コーティング材樹脂組成物。 (E)成分: 一般式CH2 =CR5 (COOR6 ) …(IV) で表される(ここでR5 は水素原子および/またはメチ
    ル基を示す)モノマーであって、R6 が置換もしくは非
    置換で炭素数1〜9の1価炭化水素基である第1の(メ
    タ)アクリル酸エステルと、R6 がエポキシ基、グリシ
    ジル基およびこれらのうちの少なくとも一方を含む炭化
    水素基からなる群の中から選ばれる少なくとも1種の基
    である第2の(メタ)アクリル酸エステルと、R6 がア
    ルコキシシリル基および/またはハロゲン化シリル基を
    含む炭化水素基である第3の(メタ)アクリル酸エステ
    ルとを少なくとも含むモノマー類が共重合してなるアク
    リル樹脂。
  4. 【請求項4】前記(B)成分が、1000〜10000
    の範囲内の重量平均分子量を有する、請求項1から3ま
    でのいずれかに記載の紫外線吸収コーティング材樹脂組
    成物。
  5. 【請求項5】前記(B)成分の配合量が、前記(A)、
    (C)成分の合計固形分100重量部に対して0. 1〜
    100重量部の割合である、請求項1から4までのいず
    れかに記載の紫外線吸収コーティング材樹脂組成物。
  6. 【請求項6】基材の表面に、請求項1から5までのいず
    れかに記載の紫外線吸収コーティング材樹脂組成物の塗
    布硬化被膜からなる紫外線吸収塗装層を備えた塗装品。
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