講談社現代新書作品一覧

自壊する保守
講談社現代新書
緊急出版
安倍元首相の死からわずか3年
なぜ自民党はかくも凋落したのか?
長らく日本を支配してきた自民党政治が揺らぎつつある。参院選の結果を受けて、今後の政治状況はどう変わっていくのか? 第一線で活躍してきた政治ジャーナリストが混迷を続ける政治状況を読み解く「政治ミステリー」
「戦後レジーム」の破壊の先に待ち受ける未来とは
本書の内容
はじめに
第1章 安倍晋三の「遺産」
第2章 「新たな保守」の正体
第3章 戦後レジームと岸信介
第4章 保守本流の崩壊
第5章 アベノミクスと奇跡の復活
第6章 歪められた言語空間
第7章 保守の終焉
終章 「戦争実感」の喪失と「行き過ぎ」への警鐘

カウンセリングとは何か 変化するということ
講談社現代新書
人生の変わる場所──。
カウンセリングが、いま社会へとひらかれる。臨床心理学の歴史に打ち立てられた、新たな金字塔。
■精神分析、ユング心理学、認知行動療法、家族療法、人間性心理学──
バラバラに乱立する心理学を俯瞰し、メタな原論が示される。
■身体を動かす、世界を動かす、からだを動かす、視点を動かす、心を揺らす──
カウンセリングは聞くだけじゃない。アクティブに5つの介入がなされる。
■いかに生き延びるか、いかに生きるか──
カウンセリングには二つのゴールがある。生活を守ることと、人生をちゃんと生きること。
「カウンセリングとは、近代の根源的なさみしさのなかで、人が可能な限り、正直に、率直に、ほんとうの話をすることを試み続ける場所である。」──「5章 カウンセリングとは何だったのか──終わりながら考える」より
【目次】
まえがき ふしぎの国のカウンセリング
第1章 カウンセリングとは何か──心に突き当たる
第2章 謎解きとしてのカウンセリング──不幸を解析する
第3章 作戦会議としてのカウンセリング──現実を動かす
第4章 冒険としてのカウンセリング──心を揺らす
第5章 カウンセリングとは何だったのか──終わりながら考える
あとがき 運命と勇気、そして聞いてもらうこと

秀吉を天下人にした男 羽柴秀長 大大名との外交と領国統治
講談社現代新書
この一冊で、大河ドラマ『豊臣兄弟!』がもっと面白くなる!
もし、この弟がいなかったら?
旧織田勢力と外様大大名を統合し、羽柴政権の中核を担った「補佐役」。
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』の時代考証が明かす、おどろきの政治手腕とは?
秀吉唯一の実弟にして名代。
秀長は、外様大大名をどのように「指南」し、首都大坂近郊の領国をいかに統治したか。
徹底的に蒐集した史料をもとに、これまでほとんど知られていなかった、その実像に迫る!
【本書より】
あらためて秀長が果たした役割をみてみると、その大きさに驚かざるをえない。まさに秀長がいたからこそ、秀吉の「天下一統」は実現されたとしか思えなくなる。秀吉も一代で天下人に成り上がるほど有能な人物であったとみなされるが、それを支えた秀長も、相当に有能な人物であったことが認識される。何よりも秀吉の指示・意向を、見事に実現する能力は、他に取って代わることのできないものといえ、秀長がいたからこそ、秀吉は一代で「天下一統」を遂げ得た、と思わざるをえない。
それだけに秀長の死去は、政権にとって惜しまれる事態であったに違いない。よく一般的に、秀長が早くに死去しなかったなら、羽柴政権の行く末も変わったであろう、といわれることがあるが、いま秀長が政権において果たしてきた役割の大きさとその内容を把握できたうえでみてみると、それはその通りであったと思わざるをえない。秀長の死後、その代わりを担った存在はみられていない。なかでも、外様大大名への「指南」、奉行衆に対する調停、秀吉への意見、といった内容について、秀長のようにすべてを担った存在はみられていない。――「おわりに」より

宗教の本質
講談社現代新書
人間にとって
宗教とは何なのか?
浄土真宗の僧侶にして宗教学者の釈徹宗氏。
批評家・随筆家にしてキリスト者の若松英輔氏。
「信仰」に造詣の深い当代きっての論客二人が、
3年半にわたって交わした珠玉の往復書簡。
〈本書の内容〉
第一章 信じる
第二章 発声する
第三章 歩く
第四章 読む
第五章 施す
第六章 名づける
第七章 塔と像
第八章 境界
第九章 笑い
第十章 共同体
第十一章 死者
宗教には、心身をなげうって跳ばねば見えない領域がある
――釈
聖と俗の境界は「聖なるもの」のなかに存在する
――若松
「イエス・キリストは決して笑わなかった」というのは本当か?
――釈
必要なのは、根源的な認識とそれに基づく真の意味での共同体ではないか
――若松
先立っていった人の人生は、縁のある人の人生に混在して、血肉化していく
――釈
死者の実在は、生者の記憶や生者の存在に依存しない
――若松

ほんとうの中国 日本人が知らない思考と行動原理
講談社現代新書
中国人は何を考え、どう行動するのか?
日本を代表する中国ウォッチャーが鋭く答える。
中国人と日本人。なにかとすれ違う背景には、日本人が知らない中国人特有の思考と行動原理が背景にあった。
・大陸が生み出す研ぎ澄まされたリスク感覚
・勝者がすべてを総取りする「超」弱肉強食社会
・日常生活は、他者との絶え間ない「闘争」
・中国人は性悪説で考える。騙すの悪いのではなく、騙される方が悪い
・すべてにおいて「カネ」優先。お金は「自分の命」と同等かそれ以上
・「愛社精神」「絆」は、中国人には理解できない
本書の構成
目 次
プロローグ
第一章 中国の骨格である基本原理
1・1 島に住む日本人と大陸に住む中国人
1・2 大きいものへの憧れ
1・3 大ざっぱな気質
1・4 中原の民
第二章 孤独で寂しく、不安な中国人
2・1 「孤独な中国人」と龍
2・2 ハイリスク社会
2・3 不信の「DNA」
2・4 「我」の概念
2・5 無関心社会
第三章 負け犬に同情は不要 中国残酷ものがたり
3・1 「一人勝ち」社会
3・2 即断即決のトップダウン
3・3 誰もがトップを目指す
3・4 「逃げる・かわすというDNA」
第四章 中国人は何を信じているのか
4・1 三つの口
4・2 「カネ教徒」
4・3 変形した仏教
4・4 儒教は宗教ではない
4・5 ナチュラルな道教
第五章 中国を動かす「国家の論理」
5・1 「武」の概念
5・2 皇帝制度と中国式民主
5・3 中華思想と冊封体制
5・4 漢方外交
第6章 中国人は一つではない
6・1 中華料理にみる多様性
6・2 出身地が変われば人も変わる(北方編)
6・3 出身地が変われば人も変わる(南方編)
6・4 埋めがたい世代間ギャップ
6・5 Z世代の現実
6・6 日本は中国人の「逃避地」である
プロローグ
参考文献

世界は知財でできている
講談社現代新書
我々はこれまでとはまったく別の世界に生きている。
文章、画像、動画、音楽など、これまで人間しか作ることができないと考えられていたものを、簡単な指示を出すだけでAI(人工知能)が易々と作り出すようになった。実際に、インターネットはいつの間にかたくさんのAI生成物であふれている。
AI生成物について「そのまま使っても大丈夫なのか?」「他人の権利を侵害しないだろうか?」と不安になっている方も少なくないだろう。そう考えてしまうのは、AIが何かを作り出す際、人間が生み出したものをいわゆる「元ネタ」として利用していることを理解しているからに他ならない。本書のテーマである「知財」とは、ひっきりなしに目に飛び込んでくる文字、映像、なにげなく耳に入ってくる音楽など、AIの学習対象となり得る「元ネタ」の情報を含むものである。
そのほか、ふだん使用している服や靴、机やいす、テレビやスマホはもちろん、街中にあるビルやモニュメントなども「知財」に関係している。このように日常には「知財」があふれているが、そもそも「知財」とは何であろうか?
本書は「知財」を巡る現状と今後の方向性に関する最新知識を楽しく学んでいただくことで、一般の読者の皆さんの「知財」のリテラシーをアップグレードしてもらうことを目指したものである。様々な「知財」について網羅的に取り上げながら、我々が新しい時代にどう備えていくべきかについても解き明かしていきたい。
「 知財トラブル 」の地雷を 踏まないための基礎知識
あなたはわかりますか?
●AI 生成物に著作権はあるのか
●無制限にAI に学習をさせてもよいのか
●「○○風画像」はクリエイターの権利を侵害するのか
●『鬼滅の刃』の着物の柄の模倣は許されるのか
●流行語は商標登録できるのか
●「声」に権利はあるのか
●Vチューバーにはどんな権利があるのか

〈国防〉の日本近現代史 幕末から「台湾有事」まで
講談社現代新書
この国は何から何を守ろうとしてきたのか?
不平士族の反乱、日清・日露戦争、太平洋戦争、朝鮮戦争、60年安保、東日本大震災――。
ロングセラー『日本軍と日本兵』の著者が、150年におよぶ軍事と日本社会の関係をわかりやすく解説!
●明治政府の「徴兵制」と民衆たち
●士族や農民たちを抑え込んだ内なる〈国防〉
●明治の指導者たちは朝鮮半島をどのように見ていたのか
●海軍と陸軍、それぞれの思惑
●帝国国防方針の想定敵国
●米騒動に対する武力行使
●銃後国民の「口封じ」と国防婦人会
●なぜ早く降伏できなかったのか
●本土決戦が実現していたら、国民の生命は…
●日本政府が「戦争放棄」を受け入れた理由
●朝鮮戦争と「基地国家」日本
●60年安保と自衛隊の「歴史」研究
●非核三原則と日米密約
●冷戦終結後の海外「派兵」
●大規模災害や無差別テロも国防の課題に

「あの戦争」は何だったのか
講談社現代新書
日本はどこで間違えたのか?
掲げた理想はすべて誤りだったのか?
「大東亜」は日本をどう見ていたか?
戦後80年、今こそ問い直す「私たちにとっての戦争」とは。
『「戦前」の正体』の著者が、右でも左でもない「われわれの物語」を編みなおす
現代人のための新・日本近現代史!
「日本の過ちばかりを糾弾することでも、日本の過去を無条件に称賛することでもない。過ちを素直に認めながら、そこに潜んでいた“正しさの可能性”を掘り起こす、言い換えれば「小さく否定し、大きく肯定する」語りを試みることである。それこそが、われわれの未来につながる歴史叙述ではないだろうか。
本書は、そのようにしてあの戦争を現在につながる大きな流れへと接続し、「われわれ」の物語を創出するための試みである。」 ――「はじめに」より
【本書の構成】
はじめに
第一章 あの戦争はいつはじまったのか――幕末までさかのぼるべき?
第二章 日本はどこで間違ったのか――原因は「米英」か「護憲」か
第三章 日本に正義はなかったのか――八紘一宇を読み替える
第四章 現在の「大東亜」は日本をどう見るのか――忘れられた「東条外交」をたどる
第五章 あの戦争はいつ「終わる」のか――小さく否定し大きく肯定する
おわりに
【本書の内容】
●日中戦争を「支那事変」と呼んだ背景
●「ペリーこそ戦犯」と主張した石原莞爾
●「アジア・太平洋戦争」か、それとも「大東亜戦争」か
●米英との「協調外交」は可能だったのか
●南部仏印進駐という「大失敗」
●近衛文麿の「知られざる慧眼」
●東条英機による「史上初のアジア外遊」
●「油田地帯」パレンバンの現状
●ジオラマ化された「日本の強制労働」
●南京大虐殺記念館の「意外な実態」
●「大東亜共栄圏はプロパガンダ」か ……ほか

なぜ社会は変わるのか はじめての社会運動論
講談社現代新書
社会はひとりでに変わっていくわけではない。そこには必ず「変えた」人たちがいる。
デモにストライキ、不買運動…社会運動はどのようにして起きるのか。
気鋭の社会学者による、日本初となる社会運動論の入門書!
【目次】
第一章 社会運動とはなにか
第二章 集合行動論
人々は怒り・不平・不満から立ち上がる?
第三章 フリーライダー問題から資源動員論へ
資源と組織が運動を制する
第四章 政治過程論/動員構造論
既存のつながり、政治側の動向、「成功しそう」と思えるかどうか
第五章 政治的機会構造論
政治の側の「聞く耳」を計測する
第六章 フレーム分析
社会運動の「伝え方」と「受け取り方」
第七章 新しい社会運動論
マイノリティによる私的な領域を通じた運動
第八章 社会運動と文化論
資源でも組織でも政治的機会でもなく
第九章 2000年代の社会運動論
MTTの理論と経験運動論
第十章 社会は社会運動であふれている

戦争特派員は見た 知られざる日本軍の現実
講談社現代新書
「状況芳しくなく、腹は決まっています」
「これが最後の通信になるかもしれません」
「足の悪い者や病人は濁流の中に呑まれて行く」
最前線、爆弾投下、連絡員の死、検閲……
何が写され、何が写されなかったのか?
兵士からは見えなかった〈もうひとつの戦場〉
「太平洋戦争勃発の際、ハワイでの奇襲攻撃は知っていても、その数時間前に日本軍の銀輪部隊(自転車部隊)がマレー半島を南下し、戦争勃発の引き金となった事実は、少なくとも日本では風化された記憶になっている。
一方で、戦争の被害を被ったマレーシアやシンガポールでは、こうした戦争の記憶は、学校や博物館だけでなく、家庭内でも継承され続けている。戦争に関する記憶のギャップは著しい。
世界で戦争や紛争が続く中、私たちにとって「戦後」とは何なのだろうか。
果たして、戦争の記憶を継承することはできるのか。
特派員たちは現場で何を見たのか。
ひとりひとりの仕事と人生を追うことで、知られざる「戦争の実態」が見えてくる」――「プロローグ」より
【目次】
第一章 戦争は報道を変えたか
第二章 特派員の叫びは新聞社首脳の耳に届いたか
第三章 戦時下中国で記者が取材したこととは?
第四章 帝国日本の周縁で何が起きていたか
第五章 南方で軍と新聞社は何をしていたのか
第六章 「不許可」写真は何を写していたか/写していなかったか

物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために
講談社現代新書
物語はなぜ苦しいのか?「物語」が過剰に要求される現代社会で、「人生とはかくあるべきだ」という押しつけに抗う。
新進気鋭の美学者による「次世代の哲学」。
【推薦の声、続々!】
〇永井玲衣氏(哲学者・『水中の哲学者たち』『世界の適切な保存』)
わたしたちは何のために哲学するのか。
それは、もっと世界に出会うため、もっと広々とした場所に行くため、もっと可能性にめまいをおぼえるためなのかもしれない。難波さんは、考えれば考えるほど、自由になっていくみたいだ。
〇田村正資氏(哲学者・『問いが世界をつくりだす』「あいまいな世界の愛し方」『群像』)
ずっと、アイデンティンティを見つけなければと思っていた。
でも、アイデンティティという名の物語に囚われていただけだったのかもしれない。難波さんの本はそんな僕に「世界を見くびるな。そこから出てこい!」と語りかけてくれる。
【抜粋】
清涼飲料水の広告の少女はいつもドラマティックな青春を謳歌しているし、「推し」はファンの期待した筋書きどおりに振る舞うし、就活面接では挫折経験を「美談」として語らねばならない。
私は端的にこう思う。何かがおかしい、と。
人々はあまりにも強い物語の引力に引き寄せられて、もはや物語に支配されつつあるのではないか、と私は危惧し始めた。
だから、私はこれから、物語に対抗したいと思う。何かしらの物語が私たちの幸福を奪うのだとしたら、もはやそんな物語は廃棄されるべきだろう。私はよき物語を愛している。それゆえ、物語を批判したいと思う。愛するということは、支配されるわけでもなく、支配するわけでもなく、独特のバランスのなかで惹かれ合い、反発し合うことなのだと考えている。
第一部の「物語篇」では、物語化の持つ魔力と危うさを論じていく。第二部の「探究篇」では、物語の危険を避け、物語を相対化できるような思考を「遊び」を手がかりに探索していこう。その中で、改めて物語との向き合い方がみえてくるはずだ。
物語化批判、そして、遊びの哲学を始めよう。
【内容紹介】
〇 誤解を生む「自分語り」(第1章 物語批判の哲学)
〇「感情的だ!」という批判をする人こそ、実はもっとも「感情的」(同上)
〇 アイデンティティは服のように「着替えられる」(同上)
〇 人生を「攻略」しようとする人が陥る「視野狭窄」(第2章 ゲーム批判の哲学)
〇 なぜ人は「考察」と「陰謀論」にハマってしまうのか(第3章 パズル批判の哲学)
〇 真のギャンブラーが欲しいのは「お金」ではない(第4章 ギャンブル批判の哲学)
〇 残酷だけど創造的な「おもちゃ的生き方」(第5章 おもちゃ批判の哲学)

「書くこと」の哲学 ことばの再履修
講談社現代新書
読み終えると、なぜか「書ける自分」に変わっている!
37年間、書くことで生きてきた著者が明かす、技術よりも大事な思考と実践。
書くことは考えることーーあなたはなぜ「書けない」のか?
千葉雅也氏、推薦!
「より自由に書くための基礎理論がここにある。
僕も何度も読み返すことになるだろう。
何かを書こうとするすべての人にお薦めする」
<本書の内容>
第一部 「書けなさ」から脱出するためのマインドセット/マインドハック
第一講 日本語を「外国語」として学びなおすこと
第二講 「ことばにできないもの」はどこにあるのか?
第三講 書いてはならない?
第四講 上手な文章、下手な文章
第五講 ことばの多様性
第六講 ロジックとレトリック
第七講 話し言葉と書き言葉
第八講 反射神経について
第九講 スローライティング
第十講 ことばと思考
第二部 書き終えるまで
第十一講 書き始めるまえに
第十二講 書き始めるために
第十三講 書き進めるために
第十四講 書き続けるために
第十五講 書き終えるために
第十六講 書き終えたあとに
補講一 人称について
補講二 外国語について
「書くこと」の倫理について──あとがきを兼ねた補講三

となりの陰謀論
講談社現代新書
トランプは「闇の政府」と戦っている!?
オバマもバイデンもすでに処刑された!?
陰謀論はどこで生まれるのか。
そして、なぜ信じてしまうのか。
現代世界を蝕む病の正体を、気鋭のメディア研究者が明かす!
「陰謀論を生み出し増殖させるのは、人間の中にある「この世界をシンプルに把握したい」という欲望と、何か大事なものが「奪われる」という感覚です。これらの欲望や感覚は一部特定の人間だけが持つというよりは、社会状況に応じて誰の中にも芽生えてくるものだからです。
本書を通じて、陰謀論が誰にでも関わりのある身近な問題であり、それゆえ現代社会の抱える根源的な諸課題と深いところでつながっていることへと思いを馳せてもらえるのであれば、筆者としては望外の喜びです。
陰謀論は非常識な「彼ら/彼女ら」の問題ではなく、現代を生きる「われわれ」自身の問題であることに気づくことが、「陰謀論が支配する社会」という最悪のシナリオを回避するための肝心な一歩だと思います。」 ――「はじめに」より
【本書の構成】
はじめに
第一章 陰謀論とは何か
第二章 陰謀論が生む「パラレルワールド」
第三章 「陰謀論政治」はなぜ生まれるのか
第四章 陰謀論を過小評価してはならない
おわりに
【本書の内容】
・「パラレルワールド化」する世界
・陰謀論は「誰もが持っている」
・トランプとヒトラーの手法の共通点
・陰謀論を拡散する「意外な犯人」
・秘密結社「フリーメイソン」と陰謀論
・アメリカの「不正選挙陰謀論」はなぜ拡散したか?
・自尊心を支える「陰謀論的思考」
・トランプが惨敗した「屈辱の夜」
・アメリカの病を映し出す「あるベストセラー」
・日本に忍び寄る「陰謀論政治」のあやうさ
・「陰謀論による支配」を回避するために
・馬鹿げた陰謀論ほど恐ろしい効果を生む ……ほか

新しい階級社会 最新データが明かす<格差拡大の果て>
講談社現代新書
「中流幻想」ははるか彼方の過去の夢。1980年前後に始まった日本社会の格差拡大は、もはや後戻りができないまでに固定化され、いまや「新しい階級社会」が成立した。前著『新・日本の階級社会』により、日本社会の実態を客観的な調査データに基づいて明らかにしてみせた著者が、2022年の新たな調査を元に提示する衝撃の第2弾。

宮内庁長官 象徴天皇の盾として
講談社現代新書
戦後の日本国憲法下では天皇は政治的権能を失い、側近が政治的影響力を及ぼすことはなくなった。内大臣は廃止され、侍従長も純粋な天皇の秘書役となる。侍従職は御璽・国璽を管理するが、天皇の国事行為に関与することはありえなくなった。オクはまさしく政治の舞台から退場し、宮中の奥に収まったのだ。
(中略)
敗戦後しばらくは天皇に反発する国民も少なくなかったが、世論の大多数は天皇制を支持した。政治的権能は失ったが、精神的権威としての天皇は存続した。天皇は戦後の日本社会でも大きな存在でありつづけた。昭和の戦前戦中期に軍などの勢力にその権威が利用されたように、日本国憲法の下でも内閣その他の政治勢力によって天皇の権力(形式的ではあるが)と権威が利用される危険性は残ったのだ。
昭和の亡国の歴史をくりかえさないためにも、天皇の政治利用は絶対に阻止しなければならない。ある特定の政治勢力に利用されていると国民が受け止めれば、国民統合の象徴としての信頼と権威は瓦解し、天皇制の存続も危うくなる。
そのための「盾」として、重要な役割を担うことになったのがオモテを仕切る宮内庁長官である。宮内庁は内閣の下にある官庁だが、天皇を政治的、恣意的に利用しようとする動きがあれば、内閣といえどもその指示に抵抗しなければならない。ある局面では政府から超然とする必要があり、その気概が求められる。宮内庁長官はむずかしい職務である。
(中略)
象徴天皇制での宮内庁長官は2025(令和7)年初めの時点で歴代10人を数える。
(中略)
象徴天皇制が実施されておおよそ80年。この間に生じたさまざまな課題にたいして、各時代の長官はどう対処してきたのか。それを俯瞰することで、象徴天皇制の形成過程とあるべき姿が浮かび上がってくると思う。(プロローグより)

移動と階級
講談社現代新書
【話題沸騰!発売たちまち5刷!】
【日経新聞、読売新聞、産経新聞、週刊東洋経済などで書評掲載!】
この世界には「移動できる人」と「移動できない人」がいる。
日本人は移動しなくなったのか?
人生は移動距離で決まるのか?
なぜ「移動格差」が生まれているのか?
通勤・通学、買い物、旅行、引っ越し、観光、移民・難民、気候危機……
日常生活から地球規模の大問題まで、移動から見えてくる〈分断・格差・不平等〉
独自調査データと豊富な研究蓄積から「移動階級社会」の実態に迫る!
【本書のおもな内容】
●「移動が成功をもたらす」は本当なのか?
●半数弱は自分を「自由に移動できない人間」だと思っている
●5人に1人は移動の自由さに満足していない
●3人に1人が他人の移動を「羨ましい」と思っている
●移動は「無駄な時間」なのか?
●移動は誰のものか?――ジェンダー不平等という問題
●格差解消に向けた「5つの方策」とは?……ほか
【目次】
第1章 移動とは何か?
第2章 知られざる「移動格差」の実態
第3章 移動をめぐる「7つの論点」
第4章 格差解消に向けた「5つの観点と方策」
「移動」をもっと考えるためのブックリスト

進化という迷宮 隠れた「調律者」を追え
講談社現代新書
「進化は再現不可能な一度限りの現象なのか? それとも同じような環境条件では同じような適応が繰り返し発生するのか?」進化のあり方をめぐって、進化生物学者の間で20世紀から大論争を繰り広げられてきた命題をめぐるサイエンスミステリー。圧倒的なまでの筆力で進化生物学の醍醐味を伝える。『歌うカタツムリ』(第71回毎日出版文化賞)『ダーウィンの呪い』(2024年新書大賞10位)で注目される進化学者による書き下ろし最新作です。
第一章 生命史の動画
太陽系外惑星に人類はいるか/ワンダフル・ライフ/自然の実験と調律者
第二章 旅のはじまり
赤い海岸/悪夢のような世界/偶然の連鎖/とっておきの研究/子供に見える大人/進化古生物学と形の科学/美しい研究計画/白い砂丘
第三章 自然の実験
コンコルド効果/過去へ/失われた世界/隠れた多様性/表と裏
第四章 シュタインハイムの奇跡
師には見えぬ世界/化石で描いた初めての系統樹/消えた先住者/外を見て内を知る/進化ではない変化とDNA配列が変化しない進化
第五章 進化の速度と様式
新人類/古生物学の革命/ぺダンティックな仮説/適応の景色/大巧は拙なるが若し
第六章 湖底の財宝
我とともに来たり、我とともに滅ぶべし/誰もやってないから/湖で起きる種分化/魔法形質/異型精子/進化の規則
第七章 生命の樹を探す魔法
真犯人は誰だ/手段は目的になりうる/ディスプレイの向こう側/小は大を兼ねるか
第八章 ホビットと巨人 206
巨大化の謎/学園に潜む巨大生物/島嶼の規則/庭の探検/醜い者たちの神/巨鳥モア/古生代の覇者/トンボのサイズ理論/ユニークで一般的
第九章 妖精と怪物
キウイの卵/スパンドレル/制約と進化可能性/恐竜の親指/白い妖精/森の怪物/ウスリーの森
第十章 火山島
カミと進化/ジェネラリストとスペシャリスト/伝説の島/霧の中/天界の森
第十一章 緑のドラゴン
鉄人とマイマイ/魔の島/新世界での進化/殻のトレードオフ
第十二章 貝と魔物
孤独な存在/未来の創始者/受け継がれた遺産/魔物の進化/調律者の正体
第十三章 未来への旅
引き継いでいくもの/進化ふたたび/緑の未来

外国語独習法
講談社現代新書
教科書選びから単語暗記まで、なぜ私たちは語学に躓いてしまうのか。
スラスラ読めてコツが身につく、「ここまでやればいい」がわかる。
100の言語をあやつる若き天才学者による、外国語学習の決定書!
どんな言語にも使える!
挫折知らずの
外国語独習50のルールを大公開!
【本書の主な内容】
●ウサギではなく意識してカメになる
●机に座る勉強からはもう卒業する
●「和訳だけ、作文だけ」の教科書はNG
●巻末の語彙集と変化表はマスト
●教科書の一周目は「速く浅く」
●ノートは書き散らすためにある
●文型優先型と活用優先型を知る
●「文の中心は動詞」が鉄則
●写経は最強の暗記法と心得る
●フレーズ音読で暗記効果アップ
●発音の鍵、「サンディ」を制する
【目次】
はじめに
第1章 世界の言語地図
第2章 外国語習得の心構え
第3章 教材はこうやって選ぶ
第4章 独習の秘訣~文法編~
第5章 独習の秘訣~読解、暗記編~
第6章 独習の秘訣~会話・発音、発展編~
終章 多言語学習のすすめ

内務省 近代日本に君臨した巨大官庁
講談社現代新書
なんだ? この怪物は……
現在の警察庁+総務省+国土交通省+厚生労働省+都道府県知事+消防庁…
あまりに大きすぎたために、全体像をつかむことができなかった内務省。
気鋭の研究者たちが集結し、その歴史から組織・人までがわかる決定版がついに誕生!
民主主義の敵か、近代日本の立て役者か――。人々の生活全般を所管し、他の省庁を圧倒した「省庁の中の省庁」は、いかに生まれ、いかに衰退していったのか。近代日本の政治と行政のあゆみを辿りながら、現代日本の淵源ともいうべき巨大すぎる官庁の実像を描き出す。
この省庁を知らずして、近代日本は語れない!
本書の内容
はじめに――なぜ、今、内務省を取り上げるのか 清水唯一朗
序 論 内務省――政治と行政のはざまで 清水唯一朗
通史編
第一章 「省庁の中の省庁」の誕生――明治前期 小幡圭祐
第二章 内務省優位の時代――明治後期~大正期 若月剛史
第三章 政党政治の盛衰と内務省――昭和戦前期 手塚雄太
第四章 内務省の衰退とその後――戦中~戦後期 米山忠寛
テーマ編
第一章 近代日本を支えた義務としての「自治」――地方行政 中西啓太
第二章 戦前の「国家と宗教」――神社宗教行政 小川原正道
第三章 権力の走狗か、民衆の味方か――警察行政 中澤俊輔
第四章 感染症とどう向き合ってきたか――衛生行政 市川智生
第五章 河川・道路政策の展開と特質――土木行政 柏原宏紀
第六章 救貧・慈善から「社会事業」へ――社会政策 松沢裕作
第七章 内務省の議会史?――内務省と帝国議会 原口大輔
第八章 国民統合をめぐる攻防――内務省と軍部 大江洋代
第九章 災害を防ぐ、備える――防災行政 吉田律人
第十章 省内外にひろがる土木技術者のネットワーク――港湾行政 稲吉 晃
コラム
1 内務省の官業払下げ 谷川みらい
2 内務省の人事と官僚の生き様――水野錬太郎と福原鐐二郎 松谷昇蔵
3 選挙権なき女性の政治参加――政治家の妻の視点から 手塚雄太
4 内務省とそのアーカイブズ 下重直樹
5 「人見植夫」――雑誌『斯民』に登場したシドニー・ウェッブ 白木澤涼子
6 府県課長のイスにこだわった井上友一 木下順
7 文化・芸術と検閲――演劇検閲のあり方から 藤井なつみ
8 社会の発見――田子一民 渡部亮
9 内務省出身者と政治教育 西田彰一
10 内務省と植民地 李炯植
11 北海道と沖縄 塩出浩之

なぜヒトだけが幸せになれないのか
講談社現代新書
【シリーズ累計25万部突破! 「幸せに生きる」ための生物学講義】
『生物はなぜ死ぬのか』では死の意味を、『なぜヒトだけが老いるのか』では老いの意味を生物学的に考察してきた著者によるシリーズ最新作。第三弾となる本書のテーマは「幸せ」。
生物の中でも、ヒトは「ある変化」を機に幸せに生きにくくなったという。その理由とはなにか。幸せに生きる方法はないのか。生物学から「ヒトが生きる意味」を考える。
生物学的な価値観から「幸せ」=「死からの距離が保てている状態」と定義してみます。この定義に当てはめて現状を考えると、何がヒトの幸せの妨げになっているのかが見えてきました。意外なことにその原因の一つは、私たちの細胞一つ一つに存在する「遺伝子」にあったのです。ーー「はじめに」より
・ヒトだけに見られる「遺伝子と環境の不適合」
・幸せは「死からの距離感」で決まる
・進化的に見た生物の「幸せ」とは
・生物学的視点から考える「リーダーの四つの条件」
・移動をやめて格差が生まれた
・ヒトはテクノロジーの使い方が上手くない
・豊かさと幸せは一致しない
・地方に住むと「幸せ」になれる?
・ため込まないことの幸せ
・「幸せ」は遺伝子に刻まれている
・長生き以外の「幸せ」の要因
・ヒトは絶滅の危機にある? ……ほか
◆おもな内容
第1章 進化からみた生きものの幸せ
第2章 ヒトの幸せとは一体なにか
第3章 「幸せ」は遺伝子に刻まれている
第4章 なぜヒトは「幸せ」になれないのか?
第5章 テクノロジーはヒトを「幸せ」にするのか
第6章 「幸せ」になるために――生物学的幸福論