WO2005002595A1

WO2005002595A1 - 点眼用組成物

Info

Publication number: WO2005002595A1
Application number: PCT/JP2004/008739
Authority: WO
Inventors: Sadayasu Tanikawa; Sayuri Fukuchi
Original assignee: Menicon Co., Ltd.
Priority date: 2003-07-03
Filing date: 2004-06-22
Publication date: 2005-01-13
Also published as: JP4850513B2; JPWO2005002595A1

Abstract

　ドライアイの症状を長時間に亘って有利に解消することが出来ると共に、コンタクトレンズ装用時においては、コンタクトレンズへのタンパク質の付着や蓄積を効果的に抑制して、優れた使用感を実現する点眼用組成物を提供することを解決課題とし、水系媒体中に、アルギン酸及び／又はその塩、ジェランガム、及びペクチンからなる群より選ばれた少なくとも１種以上の化合物と、非イオン性界面活性剤とを、必須の構成成分として組み合わせて含有せしめると共に、点眼用組成物の張度を、塩化ナトリウム換算で、０．５ｗ／ｖ％以上、０．９ｗ／ｖ％未満となるように調整した。

Description

明細書

点眼用組成物

技術分野

[0001] 本発明は、点眼用組成物に係り、特に、コンタクトレンズ装用時には、タンパク質の付着が有利に防止され得ると共に、ドライアイの症状を効果的に改善し得る、使用感に優れた点眼用組成物に関するものである。

^景技術

[0002] よく知られているように、装用中のコンタクトレンズは、常に、汚れの付着し易い状態にある。そして、コンタクトレンズに付着する汚れとしては、主に、脂質、タンパク質、微生物の 3種類が挙げられる。また、近年のソフトコンタクトレンズの主流は、イオン性ポリマー力なるソフトコンタクトレンズであるところから、このようなコンタクトレンズにおいて、最も問題となる汚れは、タンパク質であると考えられている。何故なら、コンタクトレンズ表面はマイナスチャージを帯びてレ、る一方、タンパク質はプラスチャージを帯びており、それらの静電的な相互作用によって、タンパク質がコンタクトレンズに付着し易くなつているからである。

[0003] そして、タンパク質等の汚れがコンタクトレンズに蓄積されると、レンズ素材の劣化や装用感の悪化が惹起され、更には、蓄積した汚れが、細菌 ·真菌を始めとする微生物の栄養源ともなり得ると言われている。また、汚れの蓄積は、巨大乳頭結膜炎ゃァレルギ一性結膜炎の原因となることも、知られている。

[0004] 一方、近年においては、コンタクトレンズ装用者が増加し、また、コンタクトレンズの長時間に亘る装用等が原因で、ドライアイとなり、乾燥感、装用中のコンタ外レンズのゴロツキ（異物感）等の不快感を訴えるコンタクトレンズ装用者が多く見られるようになってきている。そのような乾燥感ゃ不快感の原因としては、涙液に含まれるタンパク質が装用中のコンタ外レンズに付着すること、涙液の浸透圧の上昇に起因して角膜上皮障害が起きること等が挙げられる。し力ながら、従来型の点眼液は、涙液と同じ浸透圧に調整されており、そのような点眼液を点眼しても、上昇した涙液の浸透圧を効果的に減少することは出来ず、近年、増加しているドライアイへの効果を得ることは難しかった。また、例え乾燥感を低減することが出来たとしても、それは単に一時的なものに過ぎず、点眼を繰り返すことにって、涙液成分が洗い流されてしまい、結果的に、眼が乾燥するという悪循環を引き起こしていたのである。

[0005] このため、コンタクトレンズへのタンパク質の付着'蓄積を防止し、且つドライアイの症状を有利に解消することが可能な点眼液が、コンタクトレンズ装用者はもとより、処方者からも望まれている。

[0006] なお、タンパク質のコンタクトレンズへの付着を防止するために、例えば、特許文献 1には、点眼剤ではなレ、ものの、タンパク質付着抑制防止効果を有する有効成分として、クェン酸塩等が配合された洗浄溶液を用いたコンタクトレンズの洗浄方法が記載されている。し力、しながら、クェン酸等は、マイナスチャージを強く帯びていると共に、比較的に低分子であるところから、細胞毒性が強いと共に、コンタクトレンズに吸着し易ぐまた、それが蓄積されることにより眼障害を起こし易いといった問題を内在している。また、そのようなクェン酸を洗浄剤として含有する液剤を点眼したとしても、角膜上における滞留時間が短ぐ効果を充分に得ることが出来ない。

[0007] さらに、特許文献 2や特許文献 3には、アルギン酸やアルギン酸塩を含むコンタクトレンズ用剤が提案され、アルギン酸等によって、洗浄性が向上して、タンパク質汚れが付着し難くなることが明らかにされている。し力ながら、これらの公報には、ドライアイの症状を解消するための手立てについては、何等の記載もない。

[0008] 特許文献 1：特表平 8 - 503084号公報

特許文献 2：特開平 7 - 157747号公報

特許文献 3：特開 2001 - 228445号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0009] ここにおいて、本発明は、力かる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、ドライアイの症状を長時間に亘つて有利に解消することが出来ると共に、コンタクトレンズ装用時においては、コンタクトレンズへのタンパク質の付着や蓄積を効果的に抑制して、優れた使用感を実現する点眼用組成物を提供することにめる。課題を解決するための手段

[0010] そして、本発明者らは、そのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、アルギン酸、アルギン酸塩、ジヱランガム、及びぺクチンのうちの少なくとも 1つと、非ィォン性界面活性剤とを組み合わせ、且つ、張度乃至は浸透圧を、通常の涙液の張度乃至は浸透圧よりも低くなるように調整することで、ドライアイの症状が長時間に亘って有利に解消乃至は緩和され得ると共に、コンタクトレンズ装用時には、コンタクトレンズによる異物感の発生や、コンタクトレンズへのタンパク質の付着が効果的に防止され得ることを、見出したのである。

[0011] 従って、本発明は、力かる知見に基づいて完成されたものであって、その第一の態様とするところは、水系媒体中に、アルギン酸及び/又はその塩、ジヱランガム、及びぺクチンからなる群より選ばれた少なくとも 1種以上の化合物と、非イオン性界面活性剤とを含み、且つ張度が、塩ィ匕ナトリウム換算で、 0. 5w/v%以上、 0. 9w/v% 未満であることを特徴とする点眼用組成物にある。

[0012] また、本発明に従う点眼用組成物における第二の態様によれば、前記アルギン酸及び/又はその塩、ジエランガム、及びぺクチンからなる群より選ばれた少なくとも 1 種以上の化合物が、 0. 001w/w%- 10. Ow/wの割合で含有される。

[0013] さらに、本発明の第三の態様によれば、前記非イオン性界面活性剤が、 0. Olw/ w%— 5. OwZw%の割合で含有されることとなる。

[0014] カロえて、本発明の第四の態様によれば、前記非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレン—ポリオキシプロピレンブロックコポリマー又はポリオキシエチレンソルビタンモノォレートを好適に用いることが出来る。

[0015] また、本発明に従う点眼用組成物の第五の態様によれば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース力 S、更に含有せしめられていること力 S、望ましい。

[0016] さらに、本発明の第六の望ましい態様によれば、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、 0. 01w/w%— 5. Ow/w%の割合で含有される。

[0017] 力 Qえて、本発明に従う点眼用組成物の第七の態様によれば、前記非イオン性界面活性剤として、その 0. lw/w%含有水溶液における表面張力力 25°Cにて、 55m ,m以下であるものが、好適に用いられることとなる。 [0018] また、本発明に従う点眼用組成物における第八の態様によれば、防腐剤、殺菌剤、粘稠化剤、浸透圧調整剤、キレート化剤、清涼化剤、界面活性剤 (但し、非イオン性界面活性剤を除く）、消炎剤、抗アレルギー剤、アミノ酸類及びビタミン類のうちの少なくとも 1種力更に、含有せしめられることが、望ましい。

[0019] さらに、本発明の第九の態様によれば、上記した点眼用組成物は、タンパク質の付着を効果的に抑制し得る機能を有し、且つ、コンタクトレンズに対して悪影響を及ぼすものでもないところから、点眼剤の中でも、特に、コンタクトレンズの装用下において点眼を実施する、コンタクトレンズ用点眼剤として、使用されることが望ましい。発明の効果

[0020] すなわち、本発明の第一の態様においては、ァニオン性の多糖類であるアルギン酸及び/又はその塩、ジエランガム、及びぺクチンのうちの少なくとも 1種が用いられているところから、プラスチャージを帯びたタンパク質力装用中のコンタクトレンズに付着し難くなり、これにてタンパク質の付着 ·蓄積の防止が有利に実現されるのである。また、これらの化合物は、高分子であるところから、コンタクトレンズの材料内部に取り込まれ難ぐコンタクトレンズの物性や形状に悪影響を与えることもない。

[0021] また、これらアルギン酸及び Z又はその塩、ジヱランガム、及びぺクチンは、涙液中の Ca²⁺イオンの如き陽イオンによってゲル化（高粘度化）する特徴を有しており、このゲル化（高粘度化）により、点眼後、角膜上での滞留時間が長くなつて、本発明に従う点眼用組成物による効果が長時間に亘つて持続するようになる。このため、本発明に従う点眼用組成物に、例えば、薬剤が配合されている場合には、かかる薬剤が角膜上に滞留して、その接触時間が長くなるといった利点も得られる。

[0022] しかも、アルギン酸及び/又はその塩、ジヱランガム、及びぺクチンのうちの少なくとも 1種の化合物が、非イオン性界面活性剤と組み合わされて、用いられているところから、ムチン層との相互作用により、ムチン層保護の役割を果たすアルギン酸及び/ 又はその塩、ジエランガム、及びぺクチンのうちの少なくとも 1種の化合物を、角膜及び結膜全体に均一に分布させることが出来る。このため、ムラを生じることなく、均一なゲルイ匕が可能となり、点眼後、ォキユラーサーフェスにおいて、均一なゲル状の膜が形成されるようになる。これにより、ムラに起因する視力不安定等を招来することなぐ乾燥感ゃ不快感等の症状が有利に解消され得るようになるのである。なお、涙液は、角膜側から順に、ムチン層、水液層、油層の 3層構造になっているのであるが、特に、ムチン層が、眼の乾燥感ゃ眼病の発生に影響を与えると、言われている。

[0023] カロえて、本発明における点眼用組成物は、その張度（浸透圧）が、通常の涙液の張度、即ち、塩ィ匕ナトリウム換算で、 0. 9wZv% (285m〇smZkg程度）よりも低く設定されているところから、ドライアイによって上昇された涙液の浸透圧が適度に低減せしめられ、乾燥感が有利に低減されるようになってレ、るのである。

[0024] これにより、本発明に従う点眼用組成物にあっては、ドライアイの症状を極めて効果的に、長時間に亘つて解消することが出来、以て、従来に比してより一層優れた使用感が得られることとなる。また、コンタクトレンズ装用時においては、コンタクトレンズへのタンパク質の付着や蓄積も有利に抑制され得る。

[0025] また、本発明の第二、第三の態様においては、各成分による効果が、それぞれ、効果的に実現されることとなる。

[0026] さらに、本発明の第四の態様においては、眼刺激性が極めて低ぐコンタクトレンズへの吸着の恐れが極めて低いポリオキシエチレン一ポリオキシプロピレンブロックコポリマーやポリオキシエチレンソルビタンモノォレートが採用されるところから、安全性が更に高度に確保される。

[0027] 加えて、本発明の第五の態様に従って、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有せしめれば、その粘稠化作用により、湿潤性や保湿性が有利に向上されて、眼の潤い効果が得られると共に、点眼用組成物の有効成分による効果がより一層持続することとなって、更に優れた使用感が実現される。また、ヒドロキシプロピルメチルセル口ースの界面活性作用も発揮されて、より均一なゲルイ匕が実現され得ると共に、洗浄効果も有利に得られるようになる。また、本発明の第六の態様においては、ヒドロキシプ口ピルメチルセルロースによる効果力効果的に実現されることとなる。

[0028] また、本発明の第七の態様においては、非イオン性界面活性剤による効果が更に効果的に発現されることとなる。

[0029] さらに、本発明の第八の態様においては、含有せしめる成分に応じた更なる機能が、点眼用組成物に付加されることとなる。 [0030] カロえて、本発明の第九の態様において、コンタクトレンズ用点眼剤として用いれば、アルギン酸及び/又はその塩、ジヱランガム、及びぺクチンのうちの少なくとも 1種の化合物による、コンタクトレンズへのタンパク質付着防止作用も発現されて、本発明に従う点眼用組成物の機能を最大限に発揮することが可能となる。

発明を実施するための最良の形態

[0031] ところで、力かる本発明に従う点眼用組成物は、水系媒体を主体とし、その中に、必須の成分として、（A)アルギン酸及び/又はその塩、ジヱランガム、及びべクチンからなる群より選ばれた少なくとも 1種以上の化合物と、（B)非イオン性界面活性剤とを組み合わせて含有し、また、張度を、特定の値となるように、具体的には、通常の涙液の張度よりも低いものとなるように調整したところに、大きな特徴を有している。

[0032] より具体的には、本発明に従う点眼用組成物は、その張度（浸透圧）が、塩化ナトリゥム換算で、 0. 5w/v%以上 0. 9w/v%未満となるように、換言すれば、塩化ナトリゥム濃度が 0. 5w/v%以上 0. 9w/v%未満の範囲にある塩化ナトリウム水溶液の張度と同じになるように、調整されることとなる。このように、涙液の通常の張度 (塩ィ匕ナトリウム換算で、 0. 9w/v%)よりも低い張度を有する点眼用組成物を点眼することにより、ドライアイによる涙液の張度の上昇が有利に改善されて、乾燥感ゃ不快感が効果的に低減されるようになると共に、優れた使用感が得られる。なお、かかる張度が、塩化ナトリウム換算で、 0. 5w 。未満の場合は、張度が低すぎて、却って眼刺激が惹起せしめられる恐れがあり、また、 0. 9w/v%以上の場合は、眼の乾燥感の低減効果が低レ、。上述せる如き範囲の中でも、塩ィ匕ナトリウム換算で、 0. 8w/ v%程度の張度となるように調整されることが、より望ましぐこのような張度を採用することによって、ドライアイの症状がより一層改善されることとなる。

[0033] ところで、本発明で必須成分として用いられる A成分のうち、アルギン酸は、 D—マンヌロン酸と L—グルロン酸の 2種類のゥロン酸からなる直鎖状多糖類であり、その塩としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等が挙げられる。また、ジェランガムは、菌体シユードモナス 'エロデァ（Pseudomonas elodea)が、ブドウ糖を炭素源として、好気性発酵により菌体外に産出される、 D-グノレコース、 D—グルクロン酸、 L-ラムノースとを構成糖とする多糖類である。更に、ぺクチンは、 D-ガラタツロン酸力 4結合によって直鎖状に結合している多糖類である。このように、アルギン酸及び/又はその塩、ジヱランガム、及びべクチンは、何れも、カルボキシル基を有するァニオン性の高分子多糖類であり、本発明においては、これらのうちの 1種若しくは 2種以上が、適宜に選択されて、用いられる。

[0034] そして、力かる A成分は、タンパク質付着防止剤として、作用を奏することとなる。より具体的には、上記した A成分は、コンタクトレンズ素材よりも大きなマイナスチャージを有しているところから、涙液中のタンパク質は、力、かる A成分に引き寄せられ、これにより、装用中のコンタクトレンズへのタンパク質汚れの付着、蓄積が極めて効果的に抑制され得るようになつている。しかも、かかる A成分は、高分子化合物であるところから、コンタクトレンズの内部に取り込まれ難ぐコンタクトレンズの物性や形状に悪影響を与えることもない。

[0035] また、アルギン酸及び Z又はその塩、ジヱランガム、及びぺクチンは、何れも、 Ca²⁺ 等の陽イオンによって、部分的にイオン架橋し、ゲル化（高粘度化)する特徴を有しており、本発明において、ゲル化剤としての作用をも奏することとなる。つまり、アルギン酸及び/又はその塩、ジエランガム、及びぺクチンのうちの少なくとも 1種以上の化合物を含有する点眼用組成物を点眼すれば、涙液中に存在するカルシウムイオン等によって、ォキユラーサーフェスにおいて、ゲル化（高粘度ィ匕）が起こるのである。そして、このゲル化（高粘度化）により、点眼用組成物の滞留時間が有利に長くされるのでめる。

[0036] さらに、上記した A成分の含有量としては、適宜に設定されるものの、その含有量が少なくなり過ぎると、ォキユラーサーフェスにおいて、ゲル化が充分に起こらず、ゲル化による効果を得ることが出来なくなる恐れがあるのに対し、逆に、余りにも多くなり過ぎると、眼刺激が惹起されたり、ゲル形成が強くなり過ぎて、点眼後の視力が不安定になる恐れがあるところから、点眼用組成物中に、好ましくは 0. 001w/w%- 10. Ow/w、より好ましくは 0. lw/w%-5. Ow/w%の範囲で含有されることが望ましレ、。

[0037] 一方、本発明の必須成分の他の一つとして用いられる（B)非イオン性界面活性剤としては、生体への安全性が高ぐ尚且つ眼科的に許容され得るものであれば、何れも、有利に用いることが出来るのであるが、低分子の非イオン性界面活性剤は、コンタクトレンズの内部に取り込まれ易レ、ところから、高分子の非イオン性界面活性剤が、望ましレ、。それら高分子非イオン性界面活性剤の中でも、特に、眼への刺激が極めて低ぐまた、コンタクトレンズへの吸着の可能性がより低ぐより安全であるという理由力、ら、ポリオキシエチレン一ポリオキシプロピレンブロックコポリマーやポリオキシェチレンソルビタンモノォレート（ポリソルベート 80)力特に有利に用いられるのである。

[0038] そして、そのような B成分を用いることによって、眼の乾燥感に影響があるとされるムチン層との相互作用によりムチン層保護の役割を果たす A成分を、角膜及び結膜全体に均一に分布せしめることが可能となる。これによつて、ォキユラーサーフェスにおいて、均一なゲル状の膜 (ゲル層）が形成されることとなる。また、このように、均一なゲル層が形成されるところから、像のゆがみ等の視力不安定を招来することなぐ乾燥感ゃ不快感の症状が有利に解消され得るようになるのである。

[0039] また、コンタクトレンズ装用時には、力かる非イオン性界面活性剤により、点眼用組成物の有効成分が、コンタクトレンズの裏側（ベースカーブ側）まで、つまり、角膜とコンタクトレンズの間にまで充分に行きわたると共に、角膜上やコンタクトレンズに付着した眼脂汚れ等も有利に除去されることとなる。さらに、コンタクトレンズ表面の水濡れ性も向上して、目のカスミゃコンタクトレンズの曇り、異物感等の種々の症状の発生も有利に防止され得るようになる。

[0040] さらに、上記した B成分には、表面張力の異なるものが、種々存在しているのである力それらの中でも、特に、非イオン性界面活性剤を 0. lw/w%含有する水溶液における表面張力が、 25°Cにおいて、 55mN/m以下、より好ましくは、 50mN/m以下であるものが、好適に採用されることとなる。何故なら、かかる表面張力が 55mN/ mを超えるようなものを用いると、界面活性能が低いところから、所望とする効果を充分に得ることが出来なくなる恐れがあるからである。また、下限としては、特に制限されるものではないものの、涙液油層の破壊が懸念されることから、 35mNZm以上であること力 S、望ましレ、。なお、そのような低い表面張力を実現する非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、商業的に入手が可能なプル口ニック、プノレロニック R、テトロニック、テトロニック R (以上、独国： BASF社製）、具体的には、ポロクサマー 18 8、ポロクサマー 237、ポロクサマー 338、ポロクサマー 407、テトロニック 704、テトロニック 904、テ卜ロニック 908、テトロニック 1107、テ卜ロニック 1304、ポリソノレべ一卜 80 として市販の各種製品等が挙げられ、それらのうちの 1種若しくは 2種以上を適宜に選択して用いることが出来る。

[0041] さらに、上記した B成分の含有量としては、その含有量が少なくなり過ぎると、ォキュラーサーフェスにおいて、 A成分のゲル化時に、均一なゲル層を形成することが出来なくなる恐れがある一方、余りにも多くなり過ぎると、眼刺激が惹起されたり、コンタクトレンズ規格への影響等、眼に対する安全性に問題が発生する恐れがあるところから、点眼用組成物中に、好ましくは 0. 01w/w%-5. 0w/w%、より好ましくは 0. 05 w/w%— 1. 0wZw%の範囲で含有されることが望ましい。

[0042] ところで、本発明に従う点眼用組成物においては、前記した A成分及び B成分に加えて、更に、（C)ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有せしめると、その粘稠化作用により、湿潤性や保湿性が有利に向上されて、眼が潤うと共に、点眼用組成物の有効成分による効果がより一層持続することとなって、更に優れた使用感が得られる。また、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの界面活性効果により、均一なゲル化、洗浄効果も得られるようになる。なお、そのような C成分としては、生体への安全性が高ぐ尚且つ眼科的に許容され、し力もコンタクトレンズの形状や物性に対して影響のないものであれば、何れも、有利に用いられ得る。

[0043] また、かかる C成分の含有量としては、少な過ぎると、添加による効果を充分に得ることが出来なくなると共に、多過ぎると、点眼用組成物の粘度が高くなり過ぎて、使用感の低下を招来するところから、好ましくは 0. 01w/w%— 5· 0w/w%、更に好ましくは 0. 05w/w%- l . 0w/w%の範囲で、設定されることが望ましい。

[0044] 而して、本発明に従う点眼用組成物は、上述の如き成分の他にも、更に必要に応じて、一般的な点眼剤において用いられている各種の添加成分のうちの 1種乃至は 2 種以上が、適宜に選択されて、通常の添加割合において添加せしめられていても、何等差し支えないのである。なお、そのような添加成分は、生体への安全性が高ぐ尚且つ眼科的に充分に許容され、し力コンタクトレンズの形状又は物性に対する影響のないものであることが好ましぐまた、そういった要件を満たす量的範囲内で用いられることが望ましいのであり、これによつて、本発明の効果を何等阻害することなぐその添加成分に応じた各種の機能を点眼用組成物に対して有利に付与することが出来るのである。

[0045] そして、例えば、本発明の点眼用組成物において、眼やコンタクトレンズの消毒効果乃至は殺菌効果、更には、点眼用組成物の防腐 ·保存効果を有利に発現させるためには、防腐効力乃至は殺菌効力を有する防腐剤や殺菌剤が添加せしめられる。なお、そのような防腐剤や殺菌剤としては、一般に、防腐乃至は殺菌効力と共に、眼やコンタクトレンズへの適合性に優れたもの、更には、アレルギー等の障害の要因となり難いものが望ましぐ公知の各種のものの中から、適宜なものが選定されて、単独で或いは複数を組み合わせて用いられることとなる。

[0046] 因みに、防腐剤としては、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸或いはその塩、パラォキシ安息香酸ェチル、パラォキシ安息香酸ブチル、パラォキシ安息香酸プロピル、パラォキシ安息香酸メチル、クロロブタノール、過ホウ酸或いは過ホゥ酸ナトリウムのような過ホウ酸塩等が挙げられる。一方、殺菌剤としては、例えば、ポリへキサメチレンビグアニド（PHMB)等のビグアニド系殺菌剤ゃポリクオタ二ゥム等の 4級アンモニゥム塩系殺菌剤等を挙げることが出来る。なお、このような防腐剤や殺菌剤を用いない場合には、特に、本発明に従う点眼用組成物を、 1回で使い切るシングノレドーズタイプとして用いたり、特開 2002-80055号公報に開示されている如きフィルター付き吐出容器を使用するマルチドーズタイプとして用いることも可能である

[0047] また、本発明に従う点眼用組成物にあっては、上記 C成分を添加することによって、粘度調整が可能であるものの、 C成分以外の粘稠化剤乃至は増粘剤を添加せしめることも可能である。なお、そのような粘稠化剤乃至は増粘剤としては、例えば、コンドロィチン硫酸、ヒアノレロン酸、ダルコン酸及びそれらの塩等の多糖類、ムコ多糖類、へテロ多糖類等の種々のガム類；ポリビュルアルコール、ポリ— N—ビュルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド等の合成有機高分子化合物；ヒドロキシェチノレセノレロース、カノレボキシメチノレセノレロース、メチノレセノレ口ース等のセルロース誘導体;スターチ誘導体等を挙げることが出来る。 [0048] さらに、本発明に従う点眼用組成物にあっては、その張度乃至は浸透圧が、前述せる如き値となるように、浸透圧調整剤が適宜に添加せしめられる。なお、そのような張度乃至は浸透圧の調整に用いられる浸透圧調整剤としては、塩ィ匕ナトリウム、塩ィ匕カリウム、糖類、糖アルコール、及び多価アルコール若しくはそのエーテル又はそのエステルからなる群より選ばれた少なくとも 1種以上の化合物力 S、一般に、用いられることとなる。

[0049] カロえて、点眼用組成物にあっては、その pH値が大きくなり過ぎても、逆に小さくなり過ぎても、眼に対して刺激を与えたり、眼障害を招来する恐れがあるところから、通常、そのような点眼用組成物の pH値は、適当な _PH調整剤や緩衝剤等の添加によって、 5. 3-8. 5程度、中でも 7. 0付近に調整されることが望ましい。なお、そのような p Hの調整のために用いられる pH調整剤としては、水酸化ナトリウムや塩酸等が利用される一方、点眼用組成物の pHを前記した範囲に有効に且つ眼に対して安全な範囲に保っための緩衝剤としては、従来から公知の各種のものの中から、適宜に選択されて、用いられることとなる。具体的には、例えば、リン酸、ホウ酸、カルボン酸、ォキシカルボン酸等の酸や、その塩（例えば、ナトリウム塩等）、更には Good-Buffer

、し力もコンタクトレンズに対する影響を少なくすることが出来るという理由から、挙げることが出来る。

[0050] また、コンタクトレンズ、特にソフトコンタクトレンズには、一般に、涙液からの汚れとして、カルシウム等が沈着乃至は吸着する可能性があることから、そのようなカルシウム等の沈着乃至は吸着を防止するべぐ点眼用組成物には、キレー H匕剤も、また、有利に添加せしめられることとなる。そのようなキレートイ匕剤としては、例えば、エチレンジァミン四酢酸 (EDTA)及びその塩、例えばエチレンジァミン四酢酸 · 2ナトリウム（E DTA- 2Na)、エチレンジァミン四酢酸 · 3ナトリウム（EDTA' 3Na)等が挙げられる。

[0051] さらに、本発明に従う点眼用組成物には、前述せる如き（B)非イオン性界面活性剤以外にも、本発明の作用'効果を損なわない濃度において、従来から公知のァニォン系界面活性剤や、両性界面活性剤、カチオン系界面活性剤等の界面活性剤が、添加、含有せしめられても良い。

[0052] 更にまた、点眼時に爽快感を与えたり、コンタクトレンズ装用時の異物感ゃ痒みを解消すること等を目的として、メントール、ボルネオール、カンフル、ゲラニオール、ュ一カリ油、ベルガモット油、ウイキヨゥ油、ハツ力油、ローズ油、クールミント等の清涼化剤を添加せしめることも、可能である。

[0053] この他にも、本発明に従う点眼用組成物には、ストレスやコンタクトレンズの装用等に起因する眼内の炎症を抑えるために、グリチルリチン酸及びその塩、 ε—アミノカプロン酸、アラントイン、ァズレンスルホン酸ナトリウム等の消炎剤を添加せしめたり、ビタミン Α類（パルミチン酸レチノール、 j3—カロチン等を含む）、ビタミン B

2、B

6、B 12、酢酸 d—ひ—トコフエロール等のビタミン E類、パンテノール等のビタミン類や、クロモグリク酸、クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、ぺミロラストカリウム等の抗アレルギー剤、ァスパラギン酸及びその塩、アミノエチルスルホン酸、アルギニン、ァラニン、リジン、グノレタミン酸等のアミノ酸類の各種添加成分を、目的とする点眼用組成物の用途に応じて、適宜、添加することが可能である。

[0054] ところで、力かる本発明に従う点眼用組成物は、上述の如き成分を、従来と同様に、適当な水系媒体中にそれぞれ適量において添加、含有せしめることにより、調製されることとなるのである力それに際して用いられる水系媒体としては、水道水や精製水、蒸留水等の水そのものの他にも、水を主体とする溶液であれば、生体への安全性が高ぐ尚且つ眼科的に充分に許容され得るものである限り、何れも利用することが可能であることは、言うまでもないところである。

[0055] また、上述の如き成分を含有せしめてなる、本発明に従う点眼用組成物を調製するにあたっては、何等特殊な方法を必要とせず、通常の水溶液を調製する場合と同様に、水系媒体中に各成分を溶解させることにより、容易に得ることが出来るものである

[0056] そして、以上のようにして得られる本発明に従う点眼用組成物を用いて、ドライアイ等の症状の眼に対して処方するに際しては、従来から公知の点眼剤乃至は点眼薬と同様に、適量を点眼せしめれば良い。そして、本発明に従う点眼用組成物が眼に投与されると、涙液中のカルシウムイオン等によって、ゲル化（高粘度化）が起こり、ォキユラーサーフェスにおいて、均一なゲル層が形成され得ると共に、涙液の浸透圧が適度に調整されることとなる。この結果、眼の不快感ゃ乾燥感等が極めて効果的に改善されて、ドライアイの症状が有利に解消され得ると共に、優れた使用感が実現され得るのである。なお、本発明に従う点眼用組成物は、コンタクトレンズに対して、何等悪影響を及ぼすものではないところから、点眼に際しては、コンタクトレンズの装用の有無が何等問われることはないのである。特に、コンタクトレンズ装用時に点眼すれば、有効成分がコンタクトレンズの裏側にも回り込んで浸透して、優れたコンタクトレンズ装用感が実現されると共に、コンタクトレンズへのタンパク質の付着が極めて有利に防止され得て、本発明に従う点眼用組成物の機能が最大限に発揮されることとなる。

[0057] なお、力かる点眼用組成物を、コンタクトレンズ用点眼剤として用いた際に、その対象とするコンタクトレンズとしては、その種類が何等限定されるものではなぐ例えば、非含水、低含水、高含水等の全てに分類されるソフトコンタクトレンズ、及びハードコンタクトレンズがその対象となり得るのであって、コンタクトレンズの材質等力本発明の適用に際して何等問われることはなレ、。

実施例

[0058] 以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。

[0059] 先ず、滅菌精製水に対して、所定の添加成分を、下記表 1， 2に示される各種割合においてそれぞれ添加せしめることにより、 pHが 7. 3程度とされた各種点眼用組成物（実施例 1一 13、比較例 1一 8)を、それぞれ調製した。なお、かかる点眼用組成物の調製に際しては、非イオン性界面活性剤として、ポロクサマー 407 (BASF社製）又はポリソルベート 80 (日光ケミカルズ社製）を用いる一方、ァニオン性の多糖類として、アルギン酸ナトリウム（(株)キミ力製キミ力アルギン）、ジエランガム（三晶株式会社製ケノレコゲル AFT)、又はべクチン (和光純薬工業 (株)製試薬）を用いた。また、浸透圧調整剤としては、塩ィ匕ナトリウム、塩ィ匕カリウム、及びプロピレングリコールを用い、粘稠化剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース (信越化学工業株式会社製メトローズ 60SH—4000)を用レ、た。その他、緩衝剤としては、ホウ酸及びホウ砂を、キレートイ匕剤としては、ェデト酸ニナトリウムを、清涼化剤としては、 1-メントールを、更に、防腐剤としては、ソルビン酸カリウムを、それぞれ、適宜用いた。そして、得られた各点眼用組成物について、 pHと浸透圧を測定し、得られた結果を下記表 1， 2に併せ示すと共に、後述する乾燥感低減効果試験、使用感調查試験及び涙濡れ性評価試験を行なった。

[0060] <乾燥感低減効果試験 >

酸素透過性ハードコンタクトレンズ装用者 10名、ソフトコンタクトレンズ装用者 10名、及びコンタクトレンズを装用していなレ、 VDT作業従事者 10名よりなる、合計 30名のボランティアに対して、以下の如き官能試験を行なった。具体的には、ボランティアに対して、 1ヶ月の連続した試験期間中に、 1回当たり 1一 3滴の点眼用組成物を 1日に 3— 6回の頻度にて点眼し、ボランティア自らが試験期間中の各点眼用組成物による乾燥感の低減効果を評価し、それぞれの点眼用組成物に対する評価を集計した。そして、集計した結果を、下記の基準にて判定し、その判定結果を、下記表 1， 2に示した。

◎:コンタクトレンズ装用時や VDT作業による乾燥感が顕著に軽減され、且つその軽減効果が持続したと回答した人の割合が 75%以上の場合。

△:コンタクトレンズ装用時や VDT作業による乾燥感が顕著に軽減され、且つその軽減効果が持続したと回答した人の割合が 50%以上 75%未満の場合。

X：コンタクトレンズ装用時や VDT作業による乾燥感が顕著に軽減され、且つその軽減効果が持続したと回答した人の割合が 50%未満の場合。

[0061] <使用感調查試験 >

上記乾燥感低減効果試験と同様に、 1ヶ月間、合計 30名のボランティアに対して、官能試験を行なった。そして、ボランティア自らが試験期間中の各点眼用組成物による使用感を評価し、それぞれの点眼用組成物に対する評価を集計した。そして、集計した結果を、下記の基準にて判定し、その判定結果を、下記表 1， 2に示した。 ◎:点眼後の注し L、地及び視力に満足していると答えた人の割合が 75%以上の場

△：点眼後の注し L、地及び視力に満足していると答えた人の割合が 50%以上 75% 未満の場合。

X：点眼後の注し L、地及び視力に満足していると答えた人の割合が 50%未満の場

[0062] <涙濡れ性評価試験 >

30名のボランティアに対して、各点眼用組成物を、それぞれ、点眼した。そして、角膜表面を、細隙灯顕微鏡にて観察し、涙液層破壊時間（BUT:tear breakup time)を測定し、下記評価基準により評価を行なって、その結果を、下記表 1 , 2に示した。より具体的には、フルォレセイン染色後、ボランティアに数回瞬目させ、次いで、開瞼を指示して、完全な瞬目の後、角膜上皮の涙液層が最初に破壊されるまでの時間を、コバルトフィルターを用いて測定した。

◎： BUTが 15秒以上である。

△ : BUTが 10秒以上 15秒未満である。

X： BUTが 10秒未満である。

[0063] [表 1]

実施例

1 2 3 4 5 6リ 7 Q 。ロウ廿 "7— 407 0.20 0.20 0 20 n i n 0 20 n 20 Ω 90 0 on ホ 'I*。りソルへート 80

アルキ"ン酸ナ 1ゥム 0.20 0.20 o i nリ 0 25 0 10

シエラン力"ム 005 o in

へ-クチン n m 含

有プロピレンゲリコール 0.50 0.50 1.00 1.00 1.00 1.00 割

ムメトロ—ス' 60SH-4000 0.10 0.10

口

—ホウ酸 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50

W

/ホウ砂 0.055 0.055 0.055 0.055 0.055 0.055 0.055 0.055 0.055

W EDTA 2Na 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01

% 0.01 0.01

NaCI 0.20 0.40 0.40 0.20 0.40 一 ― - 一

KCI 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05

卜メントール 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 ソルビン酸カリウム 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 精製水 *¹ 適夏 m. m 適量 mm 適直 MM 適量適量 pH 7.38 7.35 7.39 7.37 7.35 7.35 7.36 7.36 7.35 浸透圧 [mOsm/kg] 259 256 255 261 258 250 263 263 267 乾燥感低減効果 ◎ ◎ ◎ ® ◎ ◎ ◎ © ◎ 使用感調査結果 ◎ ◎ ◎ ® ◎ ◎ ◎ ◎ 涙濡れ性 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

*1 ： quantum sufficit 100 (全体量を 100w/w%にするのに充分な量）

[0065] 力、かる表 1の結果より明らかなように、実施例 1一 13に係る点眼用組成物にあっては、乾燥感低減効果、使用感調査結果及び涙濡れ性が、何れも、◎となっており、ドライアイの症状が効果的に改善され得ると共に、使用感に優れたものとなっていること力認められる。一方、表 2の結果より、比較例 1一 8に係る点眼用組成物にあっては、乾燥感低減効果、使用感調査結果及び涙濡れ性が、 X若しくは△となっている

[0066] より具体的には、前記した Α成分と Β成分が同量において配合されていても、浸透圧が低く設定されている実施例の方力乾燥感等が有利に低減されている。また、 B 成分が配合されない場合には、乾燥感の低減効果が芳しくなぐまた、 A成分のゲル化が均一に行われ難いところから、視力の揺らぎ、ボケ等が生じて、不快感が発生し、使用感も良くないものであった。

[0067] <タンパク質付着防止効果の評価 >

コンタクトレンズとして、ジョンソン'エンド 'ジョンソン株式会社製ワンデーアキュビュ一 (B.C. 9.0/P -3.00/Dia 14.2)を準備する一方、点眼用組成物として、上記で得られた実施例 1， 6, 8及び比較例 3, 6に係る点眼用組成物を、それぞれ、準備した。

[0068] そして、コンタクトレンズを、生理食塩水の約 100mlに 1時間浸漬した後、かかる生理食塩水から取り出して、市販の紙で軽く水分を切った。そして、点眼用組成物の各 10mlに、取り出したコンタクトレンズを、それぞれ、 5枚ずつ、 15分間浸漬した。次いで、力、かる各点眼用組成物からコンタクトレンズを取り出し、市販の紙で軽く水分を取り除いた後、下記表 3に示される組成のタンパク液 (脂質を除いた FDA人工涙液の 2 倍希釈液）の 10mlに浸漬した。そして、このコンタクトレンズが浸漬されたタンパク液を、攪拌機を用いて攪拌しながら、一定時間毎（20分後、 60分後、 120分後、 150 分後）に、 200 μ 1ずつ、液をサンプリングして、高速液体クロマトグラフィー分析を行なレ、、タンパク質付着量の経時的変化を調べた。そして、下記表 4に、 150分後におけるタンパク質の付着量を示した。

[0069] [表 3]

[0070] [表 4] レンズ 1故A当ナ Jの々、々暂 "差暴「 Lm^{| f} 'SffJl

実施例 1 0.472

実施例 6 0.501

実施例 8 0.498

比較例 3 0.886

比較例 6 0.952 力、かる表 4の結果より明らかなように、 A成分が配合された実施例 1 , 6 8に係る点眼用組成物に浸漬したコンタクトレンズにあっては、 A成分が配合されていない比較例 3, 6のものに比して、タンパク質の付着が有利に抑制されていることが、分かる。

Claims

請求の範囲

[1] 水系媒体中に、アルギン酸及び Z又はその塩、ジヱランガム、及びぺクチンからなる群より選ばれた少なくとも 1種以上の化合物と、非イオン性界面活性剤とを含み、且つ張度が、塩ィ匕ナトリウム換算で、 0. 5wZv%以上、 0. 9wZv%未満であることを特徴とする点眼用組成物。

[2] 前記アルギン酸及び/又はその塩、ジヱランガム、及びぺクチンからなる群より選ばれた少なくとも 1種以上の化合物力 0. 001w/w%— 10. Ow/wの割合で含有されている請求項 1に記載の点眼用組成物。

[3] 前記非イオン性界面活性剤が、 0. 01w/w%— 5. Ow/w%の割合で含有されている請求項 1又は請求項 2に記載の点眼用組成物。

[4] 前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン一ポリオキシプロピレンブロックコポリマー又はポリオキシエチレンソルビタンモノォレートである請求項 1乃至請求項 3 の何れかに記載の点眼用組成物。

[5] ヒドロキシプロピルメチルセルロース力 S、更に含有せしめられている請求項 1乃至請求項 4の何れかに記載の点眼用組成物。

[6] 前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース力 0. 01w/w%— 5. OwZw%の割合で含有されている請求項 5に記載の点眼用組成物。

[7] 前記非イオン性界面活性剤として、その 0. lw/w%含有水溶液における表面張力が、 25°Cにて、 55mN/m以下であるものが用いられている請求項 1乃至請求項

6の何れかに記載の点眼用組成物。

[8] 防腐剤、殺菌剤、粘稠化剤、浸透圧調整剤、キレート化剤、清涼化剤、界面活性剤

(但し、非イオン性界面活性剤を除く）、消炎剤、抗アレルギー剤、アミノ酸類及びビタミン類のうちの少なくとも 1種力更に、含有せしめられている請求項 1乃至請求項 7 の何れかに記載の点眼用組成物。

[9] コンタクトレンズの装用下において点眼を実施する、コンタクトレンズ用点眼剤として

、使用されることを特徴とする請求項 1乃至請求項 8の何れかに記載の点眼用組成物。