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JPH1142083A - 5−アミノレブリン酸生産微生物及びこれを用いた5−アミノレブリン酸の製造法 - Google Patents

5−アミノレブリン酸生産微生物及びこれを用いた5−アミノレブリン酸の製造法

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JPH1142083A
JPH1142083A JP14552898A JP14552898A JPH1142083A JP H1142083 A JPH1142083 A JP H1142083A JP 14552898 A JP14552898 A JP 14552898A JP 14552898 A JP14552898 A JP 14552898A JP H1142083 A JPH1142083 A JP H1142083A
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JP
Japan
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aminolevulinic acid
producing
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acid
culture
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JP14552898A
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JP3026190B2 (ja
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Seiji Nishikawa
誠司 西川
Susumu Tanaka
享 田中
Tomotoshi Kaminaga
智稔 神永
Kikuo Watanabe
喜久男 渡辺
Shinya Miyaji
伸也 宮地
Keitaro Watanabe
圭太郎 渡辺
Yasushi Hotta
康司 堀田
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Cosmo Research Institute
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Cosmo Research Institute
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Publication date
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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 溶存酸素濃度が0.70〜6.60ppm
である好気培養条件下で、5−アミノレブリン酸合成酵
素活性が2〜7(n mol/min/mgタンパク)である5−
アミノレブリン酸生産微生物、及びこれを培養し、得ら
れた培養物から5−アミノレブリン酸を採取する5−ア
ミノレブリン酸の製造法。 【効果】 5−アミノレブリン酸を工業的に有利に製造
し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、5−アミノレブリ
ン酸を高濃度で生産・蓄積することのできる微生物及び
これを用いた5−アミノレブリン酸の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】5−ア
ミノレブリン酸は、テトラピロール化合物の前駆体とし
て広く生物圏に存在し、生体中で重要な役割を果たして
いる化合物である。5−アミノレブリン酸は、除草剤、
殺虫剤、植物成長調節剤、植物の光合成増強剤等として
優れた作用を示し、しかも人畜に対して毒性を示さず、
分解性が高いため環境への残留性もないなど、優れた特
性を有する天然化合物である(特開昭61−50281
4号公報、特開平2−138201号公報等参照)。
【0003】しかし、5−アミノレブリン酸は、生産コ
ストが高く、上記用途に使用するには実用性に欠けると
いう問題がある(CHEMICAL WEEK/OCTOBER, 29, 198
4)。
【0004】このため、多くの化学合成法が検討されて
いる(例えば、特開平2−76841号公報参照)が、
未だ十分な方法は開発されていない。
【0005】一方、ロドバクテリウム(Rhodobacteriu
m)属、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)
属、メタノバクテリウム(Methanobacterium)属、メタ
ノサルシナ(Methanosarcina)属等の微生物を用いた5
−アミノレブリン酸の製造方法も検討されている。しか
し、プロピオニバクテリウム属、メタノバクテリウム
属、メタノサルシナ属等(特開平5−184376号等
参照)を用いる方法では生産量が非常に低く、満足でき
るものではない。
【0006】ロドバクテリウム属、ロドシュードモナス
(Rhodopseudomonas)属等の紅色非硫黄細菌の微生物
は、5−アミノレブリン酸を代謝中間体とするテトラピ
ロール化合物の合成能力が高いことが知られている。し
かしながら、これらの微生物を使用すると、生成した5
−アミノレブリン酸は、テトラピロール化合物に代謝さ
れてしまい、望ましい量の5−アミノレブリン酸が蓄積
されないという問題があった。
【0007】このように生体内において5−アミノレブ
リン酸の生合成は複雑に制御を受けているため、5−ア
ミノレブリン酸を高濃度に蓄積する菌株を作出すること
は容易ではない。
【0008】これに対し、グルコースを炭素源とし、5
−アミノレブリン酸を最大14.3mM蓄積することが可
能なロドバクテリウム属変異株を用いる方法が提案され
ている(特開平8−168391号)。しかし、この方
法は、培養中の溶存酸素濃度を低濃度に保つ必要があ
り、空気に窒素ガスを混合し培養槽内に通気することが
必要であり、工業的に有利な方法とは言えないものであ
った。なお、この方法では、グルコースを炭素源として
好気的に5−アミノレブリン酸を蓄積させようとする場
合、酸素が必要となる。従って、酸素が十分に存在する
条件下でも微生物がこれを消費することにより、溶存酸
素濃度が下がり、5−アミノレブリン酸が効率よく生産
されることも考えられる。しかし、この微生物を用い比
較的高い溶存酸素条件下で、効率良く5−アミノレブリ
ン酸を生産することは不可能であった。
【0009】従って本発明の目的は、溶存酸素濃度が比
較的高い条件下でも窒素ガス等の導入が不要で、5−ア
ミノレブリン酸を効率よく生産し得る微生物及びこれを
用いた5−アミノレブリン酸の製造法を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】斯かる実情に鑑み本発明
者は、5−アミノレブリン酸を効率よく生産する微生物
を得るべく鋭意研究を行った結果、グリシン、レブリン
酸等の添加量を適切に変化させ、多数の突然変異株を評
価することができる極めて効率のよい5−アミノレブリ
ン酸生産微生物を選抜する方法を見出し、この方法によ
り、溶存酸素濃度が比較的高くとも5−アミノレブリン
酸を高濃度で蓄積する微生物を見出し本発明を完成し
た。更に本発明者は、培地に糖類、グリシン、レブリン
酸、鉄分等を適切に添加し、培養液中の溶存酸素、酸化
還元電位を制御することにより、5−アミノレブリン酸
の生産量を向上させることができることを見出し本発明
を完成した。
【0011】すなわち本発明は、溶存酸素濃度が0.7
0〜6.60ppm である好気培養条件下で、5−アミノ
レブリン酸合成酵素活性が2〜7(n mol/min/mgタン
パク)である5−アミノレブリン酸生産微生物を提供す
るものである。
【0012】また、本発明は、該5−アミノレブリン酸
生産微生物を培養し、得られた培養物から5−アミノレ
ブリン酸を採取することを特徴とする5−アミノレブリ
ン酸の製造法を提供するものである。
【0013】更に本発明は、鉄成分を5〜500μM含
有する培地中で5−アミノレブリン酸生産微生物を培養
し、得られた培養物から5−アミノレブリン酸を採取す
ることを特徴とする、5−アミノレブリン酸の製造法を
提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の5−アミノレブリン酸生
産微生物は、例えば、紅色非硫黄細菌の野性株又はその
変異株等を親株として、これを変異処理後、溶存酸素濃
度が0.70〜6.60ppm である条件下で、5−アミ
ノレブリン酸合成酵素活性が2〜7(n mol/min/mgタ
ンパク)好ましくは、溶存酸素濃度が1.46〜5.8
6で5−アミノレブリン酸合成酵素活性が3.5〜5.
6である株を選抜することにより得られる。
【0015】より具体的には、次の方法により得られ
る。
【0016】まず、親株が増殖し得る液体培地を試験管
中に調製し、滅菌した後、親株を接種し、振とう培養す
る。そして増殖した菌体を緩衝液で洗浄後、変異操作を
行う。
【0017】この変異操作としては、通常の変異手段を
用いることができる。例えば、紫外線、電離放射線等の
物理的変異原を寒天培地上の親株に照射したり、エチル
メタンスルホネート(EMS)、N−メチル−N′−ニ
トロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)、エチルニト
ロソ尿素(ENU)等のアルキル化剤、ブロモデオキシ
ウリジン(BrdUrd)等の塩基アナログなどの化学
的変異原を添加した緩衝液中で親株を培養する方法を用
いることができる。
【0018】上記のような変異手段によって処理した菌
体を、更に緩衝液で洗浄し、寒天培地等に撒き、培養す
る。なお、この培養により生育した変異株の中から、上
記の性質を示す菌株を選抜するには、以下のような工程
にて行う。
【0019】得られた変異株を試験管等で培養し、菌体
増殖後、レブリン酸とグリシンを添加する。これらを添
加後培養液中の5−アミノレブリン酸蓄積量を測定し
て、5−アミノレブリン酸の生産量が多い株を選抜すれ
ばよい。また、より多くの微生物を培養し、評価するた
めには、マイクロタイタープレートを用いることが効率
的で好ましい。更に5−アミノレブリン酸の測定をエー
リッヒ反応により行えば、5−アミノレブリン酸の蓄積
量が視覚的に認識できるので効率的に選抜を行うことが
できる。
【0020】選抜は、まず一回の変異処理で得られた変
異株群およそ15,000株から、5−アミノレブリン
酸の生産性の高い株を1〜100株程度選び、次いで、
これらの株を試験管や寒天プレート上で継代し、生育度
や生産性の安定な菌株を更に選ぶことにより行われる。
このときも、エーリッヒ反応やマイクロタイタープレー
トを用いることが好ましい。
【0021】ここで得られた菌株を更に親株として、上
記変異操作及び選抜を繰り返す。変異を重ね5−アミノ
レブリン酸の生産性が高まるにつれて、最適なレブリン
酸の添加濃度が変化することがあるので、レブリン酸の
添加濃度は適宜変更することが好ましい。このようにし
て変異育種を重ね、好気条件で5−アミノレブリン酸を
著量蓄積する能力を備えた菌株は、5−アミノレブリン
酸の代謝関連酵素のうち5−アミノレブリン酸合成酵素
が増強されているという特徴を持っている。また、培養
液中の溶存酸素濃度が2ppm を超えるような条件であっ
ても、同属の光合成細菌の野性株に観られるような5−
アミノレブリン酸合成酵素活性の抑制が起こりにくくな
っている。
【0022】上記方法で最初に用いる親株としては、紅
色非硫黄細菌の野性株又はその変異株を用いることが好
ましく、特に好気条件下で、グルコース等の安価な炭素
源で良く生育し、バクテリオクロロフィル等のテトラピ
ロール合成能の高い菌株を用いることが好ましい。この
ような好ましい菌株としては、ロドバクテリウム属のも
の、特にロドバクター・スフェロイデス(Rhodobactor
sphaeroides)又はこれらの変異株が挙げられ、具体的
には、ロドバクター・スフェロイデス CR−002株
(FERM P−15312)等が好ましい親株として
挙げられる。
【0023】また、上記の変異、選抜によって得られる
菌株としても、ロドバクテリウム属、特にロドバクター
・スフェロイデスの変異株が好ましく、具体的には、ロ
ドバクター・スフェロイデス CR−0072009と
命名され、FERM P−16217として寄託された
ものが好ましい。この菌株は前記ロドバクター・スフェ
ロイデス CR−002株の変異、選抜を繰り返し行い
得られたもので、5−アミノレブリン酸を著量蓄積し得
る菌株である。
【0024】ロドバクター・スフェロイデス CR−0
072009株は、上記の通りロドバクター・スフェロ
イデス CR−002株を起源として変異処理によって
得られたものであるから、その菌学的性質の多くは、C
R−002株と同様である。以下、ロドバクター・スフ
ェロイデス CR−0072009株の菌学的性質につ
いて説明する。
【0025】 a形態的特徴 ・細胞の大きさ形 0.5×1〜2.5μm、桿菌、数個の細胞が長軸 方向に連なる ・胞子の有無 なし b寒天培地における生育状況 ・表1の培地において 円形のコロニー、光沢があり、赤褐色 c生理学的性質 ・グラム染色性 − ・硝酸塩の還元 + ・オキシダーゼ + ・グルコース発酵性 − ・生育の範囲 pH4.0から9.0、10℃から40℃ d化学分類学的性質 ・DNAのG/C含量(モル%) 68 ・キノンタイプ Q−10 ・カロチノイド +(主要成分:クロロキサンチン、メチルク ロロキサンチン) ・バクテリオクロロフィル + eその他生育条件など ・光合成生育 表1の培地で極めて微弱。起源菌は光合成細 菌であるが光合成生育能が低下している。 ・グルコースの資化性(好気的) + ・酢酸ナトリウムの資化性(好気的) + ・5−アミノレブリン酸脱水酵素活性 好気培養で、起源菌(CR−002株) に比べて1/3以下
【0026】以下、本発明の5−アミノレブリン酸生産
微生物を用いた5−アミノレブリン酸の生産条件につい
て、ロドバクター・スフェロイデス CR−00720
09株を用いた場合を中心に説明する。5−アミノレブ
リン酸の生産条件については、通常の微生物培養条件を
適用することができる。例えば、炭素源としてグルコー
ス等の糖類、あるいは酢酸、リンゴ酸、コハク酸等の酸
類を用いることができ、特に糖類が価格の面で有利であ
る。また、窒素源としては、硫安、塩安等のアンモニア
態窒素化合物、硝酸ナトリウム等の硝酸態窒素化合物等
の無機窒素源;グリシン、尿素、ポリペプトン、酵母エ
キス、カザミノ酸等の有機窒素源を用いることができ
る。このうち、グリシンを添加することが、5−アミノ
レブリン酸の生産向上のため好ましい。グリシンの添加
量は、通常10〜1000mMとなるような範囲が好まし
く、特に10〜400mMの範囲が好ましい。またグリシ
ンの1回当りの添加量は10〜200mMが好ましく、こ
れを数回添加することが好ましい。また、培地には、必
要により、ビタミン類、無機塩類等の成分を添加しても
よい。
【0027】ロドバクテリウム属、ロドシュードモナス
属等の紅色非硫黄細菌に属する微生物は、一般に5−ア
ミノレブリン酸デヒドラターゼを有し、生成した5−ア
ミノレブリン酸を代謝してしまうことが知られている。
しかし、本発明の菌株は、5−アミノレブリン酸デヒド
ラターゼ活性が顕著に低下しているため、レブリン酸等
の5−アミノレブリン酸デヒドラターゼ阻害剤を添加し
なくとも5−アミノレブリン酸を菌体外に蓄積し得る
が、わずかな量の阻害剤を添加すると5−アミノレブリ
ン酸生産能の向上に効果的である。この場合、その添加
量は0.01〜20mM、特に0.1〜10mMの範囲が好
ましい。培養条件としては、ロドバクター・スフェロイ
デスCR−0072009株が生育可能な条件はすべて
用いることができるが、一般には、培養温度は10〜4
0℃、特に20〜35℃とするのが好ましく、培地のpH
は4〜9、特に5〜8とすることが好ましい。なお、培
養時にpHが変化する場合には、水酸化ナトリウム、アン
モニア、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液や、塩酸、
硫酸、リン酸等の酸で上記範囲に調整することが好まし
い。
【0028】5−アミノレブリン酸の生産は、微生物の
増殖と同時に行うことができるが、独立しても行うこと
ができる。この場合に使用する微生物は、増殖菌体、休
止菌体のいずれでもよく、そのまま5−アミノレブリン
酸の生産に使用できるが、遠心分離機等の装置により集
菌し、培地やリン酸緩衝液等の適当な溶液に再懸濁させ
るなど、菌濃度を高くして用いることもできる。
【0029】また、更に5−アミノレブリン酸の生産性
を向上させるには、培養液中の溶存酸素量を0.001
〜2ppm 、酸化還元電位を−220mVから50mVの範囲
で制御することが望ましく、更に望ましくは、それぞれ
0.001〜1ppm 、−200mVから0mVの範囲であ
る。このときの制御方法としては、攪拌回転数や通気量
を変化させる方法、糖類や酵母エキスなどを添加して微
生物の呼吸を活発化する方法、あるいはそれらを組み合
わせて行うことができる。
【0030】また、更に安定的に溶存酸素あるいは酸化
還元電位を制御するには、微生物の生育速度を上げ、呼
吸活性を安定化させるべく培地中に鉄成分を含有せしめ
ることが有効である。ここで用いる鉄成分は、その塩が
好ましく、この場合の鉄の価数は特に制限はない。鉄成
分としては、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、クエン酸鉄等が
挙げられる。また、培地成分として用いられる酵母エキ
スやコーンスティープリカー等の天然成分中に必要量の
鉄分が含まれている場合は、これを鉄成分として用いる
ことができる。鉄成分は、培地中に鉄として5〜500
μMとなるように添加することが好ましい。これが5μ
M未満であると生育促進効果及び呼吸活性を安定化させ
る効果が得られず、500μMを超えると微生物の生育
が阻害されることがある。特に好ましい鉄成分の濃度と
しては、10〜300μMであり、更に好ましい濃度と
しては20〜200μMである。
【0031】生産された5−アミノレブリン酸はイオン
交換法、クロマト法、抽出法等の常法によって必要に応
じて分離・精製することができる。
【0032】
【発明の効果】本発明の微生物は、5−アミノレブリン
酸の生産性に優れ、これを用いた5−アミノレブリン酸
の製造方法は、溶存酸素濃度が比較的高くとも窒素ガス
導入等の必要がなく、工業的に有利に5−アミノレブリ
ン酸を製造することができる。
【0033】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を説明するが、こ
れらは単に例示の目的で掲げるものであり、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0034】実施例1 表1に示すグルタメート・グルコース培地(培地1)1
0mlを21mmφの試験管に分注し、121℃で15分間
滅菌した後、放冷した。これにロドバクター・スフェロ
イデスCR−002株(FERM P−15312)の
一白金耳を植菌後、30℃、暗所にて2日間振とう培養
した。
【0035】別の21mmφの試験管に培地1を10ml分
注して、上記と同様にして滅菌した。これに、上記の培
養液0.5mlを植え継ぎ、32℃の条件下暗所にて18
時間振とう培養した。
【0036】
【表1】
【0037】この培養液を洗浄のため3000gにて5
分間遠心分離し、その上清を捨て、遠心分離前と同量の
トリス・マレイン酸緩衝液(pH6.0)に懸濁させた。
この洗浄操作を更に2度繰り返した。この後、再び30
00gにて5分間遠心分離し、その上清を捨て、100
μg/mlのNTGを含むトリス・マレイン酸(pH6.
0)に懸濁させ、室温にて80分間静置培養した。この
ようにして変異処理した菌を、上記と同様の方法で3回
洗浄した後、滅菌した培地1を分注した試験管に植え継
ぎ、暗所32℃にて2日間振とう培養した。培地1に寒
天15g/Lを添加し、121℃で15分間滅菌して調
製した寒天プレートに、上記の培養液を希釈して塗布
し、暗所32℃で4日間培養した。これにより、約15
000株のコロニーを得た。
【0038】次に、滅菌済みの96穴マイクロプレート
に1ウエル当り0.2mlの滅菌済みの培地1を分注し、
上記の約15000株の変異株をそれぞれ植菌した。こ
れを、30℃、暗所にてマイクロプレートシェイカーを
用いて振とう培養し、48時間後、各ウエルにグリシ
ン、レブリン酸が最終濃度それぞれ30mMとなるように
添加した。更に24時間上記と同じ条件下で振とう培養
した。
【0039】各ウエルの5−アミノレブリン酸は以下の
ように検出した(エイリッヒ反応)。 (1)各ウエルから培養液を別のマイクロタイタープレ
ートに採取し、1%のアセチルアセトンを含む1Mの酢
酸緩衝液0.1mlを添加し、シールで蓋をして、100
℃、15分インキュベートした後、マイクロタイタープ
レートを氷中で急冷した。 (2)次に、2%のp−ジメチルアミノベンズアルデヒ
ド、16%の過塩素酸を含む酢酸溶液を0.1ml添加
し、室温で15分後、エイリッヒ反応による赤紫の呈色
を観察し、 (3)このとき、反応液を一部取りTLC分析によって
5−アミノレブリン酸に由来しない赤紫の呈色を示す菌
株を排除し、5−アミノレブリン酸生産の高い変異株6
株を選抜した。
【0040】上記6株を培地1試験管にて暗所、30℃
にて48時間培養し、培地1の組成の寒天プレート上に
塗布し、コロニーを形成させた。次に、滅菌済みの96
穴マイクロプレートに1ウエル当り0.2mlの滅菌済み
の培地1を分注し、上記の各コロニーに由来した60個
のコロニーを任意に選び、それぞれ植菌した。これを、
32℃、暗所にてマイクロプレートシェイカーを用いて
振とう培養し、48時間後、各ウエルにグリシンが、最
終濃度30mMとなるように添加し、上記60コロニーの
20コロニーずつについて、レブリン酸を30、15、
1mM添加した。更に24時間上記と同じ条件下で振とう
培養し、各ウエルから培養液を採取しエイリッヒ反応に
より、5−アミノレブリン酸の生産性及びレブリン酸の
至適濃度を調べた。この操作を3回繰り返し、生産性の
高さ及びコロニー間の生産性のバラツキを指標にして、
CR−002株より安定的に生産性の高い変異株1株を
分離した。これをCR−150株と名付けた。レブリン
酸の至適濃度は30mMであった。30mMのレブリン酸を
添加した場合のエーリッヒ反応の553nmの吸光度をマ
イクロプレートリーダーを用いて、5−アミノレブリン
酸の蓄積量を定量したところ、CR−002株が0.0
1mMであるのに対してCR−150株は0.1mMであっ
た。
【0041】実施例2 用いる菌株をCR−150株として実施例1と同様に操
作を行い、約15000株の変異株を誘導した。実施例
1と同様に選抜試験を行い、CR−150株にくらべて
生産性の向上した変異株CR−268株を得た。マイク
ロプレートリーダーを用いてエーリッヒ反応の553nm
の吸光度により5−アミノレブリン酸の蓄積量を定量し
たところ、CR−268株は0.3mMであった。
【0042】実施例3 用いる菌株をCR−268株として実施例1と同様に操
作を行い、約15000株の変異株を誘導した。実施例
1と同様に選抜試験を行い、CR−268株にくらべて
生産性の向上した変異株CR−368株を得た。マイク
ロプレートリーダーを用いてエーリッヒ反応の553nm
の吸光度により5−アミノレブリン酸の蓄積量を定量し
たところ、CR−368株は0.5mMであった。
【0043】実施例4 用いる菌株をCR−368株として実施例1と同様に操
作を行い、約15000株の変異株を誘導した。実施例
1と同様に選抜試験を行い、CR−368株にくらべて
生産性の向上した変異株CR−405株を得た。マイク
ロプレートリーダーを用いてエーリッヒ反応の553nm
の吸光度により5−アミノレブリン酸の蓄積量を定量し
たところ、CR−405株は1.0mMであった。
【0044】実施例5 用いる菌株をCR−405株として実施例1と同様に操
作を行い、約15000株の変異株を誘導した。加える
レブリン酸濃度を15mMとする以外は実施例1と同様に
選抜試験を行い、CR−405株にくらべて生産性の向
上した変異株CR−502株を得た。マイクロプレート
リーダーを用いてエーリッヒ反応の553nmの吸光度に
より5−アミノレブリン酸の蓄積量を定量したところ、
CR−405株が1.2mMであったのに対して、CR−
502株は2.1mMであった。
【0045】実施例6 用いる菌株をCR−502株として実施例1と同様に操
作を行い、約15000株の変異株を誘導した。加える
レブリン酸濃度を1mMとする以外は実施例1と同様に選
抜試験を行い、CR−502株にくらべて生産性の向上
した変異株CR−660株を得た。マイクロプレートリ
ーダーを用いてエーリッヒ反応の553nmの吸光度によ
り5−アミノレブリン酸の蓄積量を定量したところ、C
R−502株が2.4mMであったのに対して、CR−6
60株は3.3mMであった。
【0046】実施例7 用いる菌株をCR−660株として実施例1と同様に操
作を行い、約15000株の変異株を誘導した。加える
レブリン酸濃度を1mMとする以外は実施例1と同様に選
抜試験を行い、CR−660株にくらべて生産性の向上
した変異株CR−0072001、CR−007200
2、CR−0072009株を得た。マイクロプレート
リーダーを用いてエーリッヒ反応の553nmの吸光度に
より5−アミノレブリン酸の蓄積量を定量したところ、
CR−0072001、CR−0072002、CR−
0072009株はそれぞれ5.9、5.6、4.6mM
であった。
【0047】実施例8 実施例7で得た変異株CR−0072001、CR−0
072002、CR−0072009株を、培地1を2
00ml調製した500ml容の浸透フラスコに植菌し、暗
所、32℃で48時間往復振とう培養した。培養後、5
000gで10分間遠心して菌体を集め、それぞれ湿菌
体重量が0.5g/10mlとなるように下記培地2で懸
濁させ、21mmの試験管に3mlずつ分注した。このよう
にして得られた試験管を暗所、32℃で往復振とう培養
し、20時間後の培養液中の5−アミノレブリン酸を岡
山らの方法(CLINICAL CHEMISTRY,
Vol.36,No.8,p−1494,1990)で
測定した。その結果、CR−0072001、CR−0
072002、CR−0072009株はそれぞれ1
9.0、21.5、31.0mMであった。
【0048】
【表2】
【0049】実施例9 変異株CR−0072009株を、培地3を50ml調製
した300ml容のバッフル付三角フラスコに植菌し、暗
所、32℃で48時間回転振とう培養した。これを3L
容の発酵槽に1.8Lの培地3を調製したところへ全量
植菌し、32℃、通気量0.36L/分、400rpm で
攪拌培養した。硫酸と水酸化ナトリウムを用いてpHを
6.5〜6.6に制御しながら培養を続け、培養40時
間後、レブリン酸0.210g、グリシン8.1g、酵
母エキス(日本製薬社製、D−3)18gを添加し、攪
拌回転数を325rpm にして、硫酸と水酸化ナトリウム
を用いてpH6.3から6.4に保ちながら培養を続け
た。更に12時間、26時間、38時間後にグリシンを
8.1gづつ添加した。レブリン酸添加後50時間で培
養を止めた。この培養液中の5−アミノレブリン酸を岡
山らの方法(CLINICAL CHEMISTRY,
Vol.36,No.8,p−1494,1990)で
定量したところ60mMであった。このときのレブリン酸
添加後の培養液内の溶存酸素濃度の平均値は、0.01
ppm であった。また、レブリン酸添加後の培養液内の酸
化還元電位は、−180mVから−50mVの範囲で推移し
ていた。
【0050】
【表3】
【0051】実施例10 変異株CR−0072009株を、培地3を50ml調製
した300ml容のバッフル付三角フラスコに植菌し、暗
所、32℃で48時間回転振とう培養した。これを3L
容の発酵槽に1.8Lの培地3を調製したところへ全量
植菌し、32℃、通気量0.36L/分、400rpm で
攪拌培養した。硫酸と水酸化ナトリウムを用いてpHを
6.5〜6.6に制御しながら培養を続け、培養40時
間後、レブリン酸0.210g、グリシン8.1g、酵
母エキス18gを添加し、通気量を0.72L/分、攪
拌回転数600rpm にして、硫酸と水酸化ナトリウムを
用いてpH6.3から6.4に保ちながら培養を続けた。
更に12時間、24時間、38時間後にグリシンを8.
1gずつ添加した。レブリン酸添加後50時間で培養を
止めた。この培養液中の5−アミノレブリン酸を岡山ら
の方法(CLINICAL CHEMISTRY,Vo
l.36,No.8,p−1494,1990)で定量
したところ13mMであった。このときのレブリン酸添加
後の培養液内の溶存酸素濃度の平均値は、2.3ppm で
あった。また、レブリン酸添加後の培養液内の酸化還元
電位は、50mVから70mVの範囲で推移していた。
【0052】実施例11 変異株CR−0072009株を、培地3を50ml調製
した300ml容のバッフル付三角フラスコに植菌し、暗
所、32℃で48時間回転振とう培養した。これを3L
容の発酵槽に1.8Lの培地3を調製したところへ全量
植菌し、32℃、通気量0.36L/分、400rpm で
攪拌培養した。硫酸と水酸化ナトリウムを用いてpHを
6.5〜6.6に制御しながら培養を続け、培養40時
間後、レブリン酸0.210g、グリシン8.1g、酵
母エキス18gを添加し、通気量を0.18L/分、攪
拌回転数を200rpm にして、硫酸と水酸化ナトリウム
を用いてpH6.0から6.5に保ちながら培養を続け
た。更に12時間、24時間後にグリシンを8.1gず
つ添加した。レブリン酸添加後50時間で培養を止め
た。この培養液中の5−アミノレブリン酸を岡山らの方
法(CLINICAL CHEMISTRY,Vol.
36,No.8,p−1494,1990)で定量した
ところ15mMであった。このときのレブリン酸添加後の
培養液内の溶存酸素濃度は、検出限界以下であった。ま
た、レブリン酸添加後の培養液内の酸化還元電位は、−
220mVから−180mVの範囲で推移していた。実施例
7に示されるごとくRhodobacter spha
eroidesCR−002株を起源菌として変異を重
ねて得られたCR−0072009株は、グルコースや
グリシンなど安価な原料を用いて飛躍的に高い濃度で5
−アミノレブリン酸を生産することのできる菌株であ
り、本菌株を用いれば工業的に5−アミノレブリン酸を
製造することが可能である。また、実施例10、11か
らわかるように、生産性を高めるには、レブリン酸添加
後の培養液内の溶存酸素濃度を2.0ppm 以下、あるい
は培養液内の酸化還元電位を−220mVから50mVの範
囲で制御することが望ましく、これは、攪拌回転数を低
下させることによって容易に行うことができる。
【0053】実施例12 培地3を50ml調製した300ml容のバッフル付三角フ
ラスコ3つを調製し、それぞれに変異株CR−0072
009株を植菌し、暗所、32℃で48時間回転振とう
培養した。これを3基の3L容の発酵槽に1.8Lの培
地3を調製したものへそれぞれ全量植菌し、32℃で培
養した。硫酸と水酸化ナトリウムを用いてpHを6.5〜
6.6に制御しながら、通気量0.36L/分とし、攪
拌数を400rpm とし、うち1基については培養25時
間後に攪拌回転数を250rpm とし、それぞれ90時間
まで培養を続けた。培養中、溶存酸素濃度、5−アミノ
レブリン酸合成酵素活性を測定した。5−アミノレブリ
ン酸合成酵素活性は以下のように測定した。
【0054】培養液を約30mlサンプリングし、遠心分
離により菌体を集めた。集めた菌体をリン酸緩衝液(5
0mM、pH7.2)で洗浄後、同じ組成の緩衝液5mlに再
懸濁し、常法によりフレンチプレスにて、菌体を破砕し
10000gで30分間遠心分離して、得られた上清を
5−アミノレブリン酸合成酵素粗酵素液とした。
【0055】リン酸緩衝液(50mM、pH7.2)の1ml
中にグリシン50mMと、ピリドキサールリン酸0.1mM
とEDTA1mMを含み、更に上記の粗酵素液を蛋白量換
算で1.0mg/mlとなるように加え酵素反応液を調製し
た。これにスクシニル−CoAが0.2mMの濃度で含有
するように加え、37℃でインキュベートした。15分
後、10vol%トリクロロ酢酸を1ml加えて反応を停止
させた。これを3500rpm で10分間遠心分離し、上
清を1mlとり、1%のアセチルアセトンを含む1M酢酸
緩衝液(pH4.7)2mlを加え100℃、15分反応さ
せて直ちに氷冷した。3.5mlのエイリッヒ試薬を加え
15分後の553nmの吸光度からピロール化合物生成量
を測定し、酵素反応による5−アミノレブリン酸生成量
(a)を算出した。次の数1の式によって5−アミノレ
ブリン酸生成速度を求め、これを5−アミノレブリン酸
合成酵素活性とした。培養液中の溶存酸素濃度と、その
ときの5−アミノレブリン酸合成酵素活性の関係を図1
及び表4に示す。尚、図1中溶存酸素濃度10%は0.
7ppm に、溶存酸素濃度90%は6.6ppm に相当す
る。
【0056】
【数1】
【0057】比較例1 用いる菌株をCR−002株とする以外は実施例10と
同様に行った。結果を図1及び表4に示す。図1からわ
かるように、CR−0072009株は培養液中の溶存
酸素濃度が2ppm を超えるような条件であっても、光合
成細菌の野性株に観られるような5−アミノレブリン酸
合成酵素活性の抑制が起こりにくくなっている。
【0058】
【表4】
【0059】実施例13 実施例9で用いた培地3(表3)に含まれる酵母エキス
に代え別のメーカーの酵母エキスB(オリエンタル酵母
社製、B−2)5.0g/Lを含有する培地を用い以下
の実験を行った。実施例9と同様、変異株CR−007
2009株を300ml容のバッフル付三角フラスコで4
8時間培養した培養液を、3L容の発酵槽中で、1.8
Lの酵母エキスBで調製した培地3へ全量植菌し、32
℃、通気量0.36L/分、400rpm で攪拌培養し、
レブリン酸0.210g、グリシン8.1g、酵母エキ
スB18gを添加し、攪拌回転数を325rpm に低下さ
せ培養を続けた。レブリン酸添加後、およそ4時間の間
は溶存酸素が0.5ppm を推移したが、5時間後溶存酸
素が上昇し始めた。6時間後これが4ppm まで上昇し、
5−アミノレブリン酸の生成が10mMで停止した。これ
に、塩化第二鉄が20μMとなるように添加したとこ
ろ、添加後2時間以内に溶存酸素が再び0.5ppm 以下
となり、5−アミノレブリン酸の生成が再開したので、
更に12時間、26時間、38時間後にグリシンを8.
1gずつ添加した。レブリン酸添加後50時間で培養を
止めた。この培養液中の5−アミノレブリン酸を岡山ら
の方法(CLINICAL CHEMISTRY,Vo
l.36,No.8,p−1494,1990)で定量
したところ40mMであった。
【0060】実施例13から明らかなように鉄分の添加
が呼吸を回復させる効果があることがわかる。
【0061】参考例 実施例9で用いた酵母エキス、実施例13で用いた酵母
エキスB、更に下記実施例で用いる別のメーカーの酵母
エキスC(オリエンタル酵母社製、工業用酵母エキス)
に含まれる鉄分をICPmass法にて調べたところ、酵母
エキス1gあたり、それぞれ73μg、25μg、15
5μgであった。この鉄分量からそれぞれの酵母エキス
を用いて調製した培地3に含まれる鉄分は、それぞれ
6.64、2.27、14.1μMであることがわか
る。これより、実施例9では5−アミノレブリン酸を生
産している時点で培養液中に20μMの鉄分が含まれて
おり、実施例13の鉄添加以前の培地では6.8μM、
鉄添加後は、26.8μMの鉄分が含まれていることが
わかる。
【0062】実施例14 培地3の酵母エキスに代え上記酵母エキスCを3g/L
として調製した培地に塩化第二鉄を表5に示す濃度にな
るよう添加した培地50mlを調製した300ml容のバッ
フル付三角フラスコに変異株CR−0072009株
〔21mmφの試験管中酵母エキスC10mlで48時間培
養した培養液1ml(660nmの光学密度で0.2)〕を
植菌し、暗所、32℃で回転振とう培養した。酵母エキ
ス中に含まれる鉄分とあわせると表5に示す量の鉄分を
含んでいる。培養30時間後の菌体濃度を660nmの光
学密度で測定した結果を表5に示す。
【0063】
【表5】
【0064】表5から明らかなように、適切な鉄分の添
加が生育速度を上昇させる効果があることがわかる。
【0065】実施例15 培地3の酵母エキスに代え上記酵母エキスCを3g/L
として調製した培地に更に20μMの塩化第二鉄を添加
した培地50mlを調製した300ml容のバッフル付三角
フラスコに変異株CR−0072009株〔21mmφの
試験管中酵母エキスC10mlで48時間培養した培養液
1ml(660nmの光学密度で0.2)〕を植菌し、暗
所、32℃で48時間回転振とう培養した。これを3L
容の発酵槽に1.8Lの上記塩化第二鉄添加培地を調製
したところへ全量植菌し、32℃、通気量0.36L/
分、400rpm で攪拌培養した。培養24時間後、レブ
リン酸0.210g、グリシン8.1g、酵母エキスC
9gを添加し、攪拌回転数を325rpm にして、硫酸と
水酸化ナトリウムを用いてpH6.3から6.4に保ちな
がら培養を続けた。更に12時間、26時間、38時間
後にグリシンを8.1gずつ添加した。レブリン酸添加
後50時間で培養を止めた。この培養液中の5−アミノ
レブリン酸を岡山らの方法(CLINICAL CHE
MISTRY,Vol.36,No.8,p−149
4,1990)で定量したところ55mMであった。この
ときのレブリン酸添加後の培養液内の溶存酸素濃度の平
均値は、0.01ppm であった。また、レブリン酸添加
後の培養液内の酸化還元電位は、−180mVから−50
mVの範囲で推移していた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 溶存酸素と5−アミノレブリン酸合成酵素活
性との関係を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年9月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の5−アミノレブリン酸生
産微生物は、例えば、紅色非硫黄細菌の野性株又はその
変異株等を親株として、これを変異処理後、溶存酸素濃
度が0.70〜6.60ppmである条件下で、5−ア
ミノレブリン酸合成酵素活性が2〜7(n mol/m
in/mgタンパク)好ましくは、溶存酸素濃度が1.
46〜5.86ppmで5−アミノレブリン酸合成酵素
活性が3.5〜5.6n mol/min/mgタンパ
ク)である株を選抜することにより得られる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】また、上記の変異、選抜によって得られる
菌株としても、ロドバクテリウム属、特にロドバクター
・スフェロイデスの変異株が好ましく、具体的には、ロ
ドバクター・スフェロイデス CR−0072009と
命名され、FERM BP−6320として寄託された
ものが好ましい。この菌株は前記ロドバクター・スフェ
ロイデス CR−002株の変異、選抜を繰り返し行い
得られたもので、5−アミノレブリン酸を著量蓄積し得
【書類名】 受託番号変更届
【提出日】 平成10年9月29日
【旧寄託機関の名称】 工業技術院生命工学工業技
術研究所
【旧受託番号】 FERM P−16217
【新寄託機関の名称】 工業技術院生命工学工業技
術研究所
【新受託番号】 FERM BP−6320
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:01) (72)発明者 神永 智稔 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 渡辺 喜久男 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 宮地 伸也 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 渡辺 圭太郎 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 堀田 康司 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶存酸素濃度が0.70〜6.60ppm
    である好気培養条件下で、5−アミノレブリン酸合成酵
    素活性が2〜7(n mol/min/mgタンパク)である5−
    アミノレブリン酸生産微生物。
  2. 【請求項2】 ロドバクテリウム(Rhodobacterium)属
    に属するものである請求項1記載の5−アミノレブリン
    酸生産微生物。
  3. 【請求項3】 ロドバクター・スフェロイデス(Rhodob
    acter sphaeroides)又はその変異株である請求項1又
    は2記載の5−アミノレブリン酸生産微生物。
  4. 【請求項4】 ロドバクター・スフェロイデス(Rhodob
    acter sphaeroides)CR−0072009と命名さ
    れ、FERM P−16217として寄託されたもので
    ある請求項1〜3のいずれか1項記載の5−アミノレブ
    リン酸生産微生物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の微生
    物を培養し、得られた培養物から5−アミノレブリン酸
    を採取することを特徴とする5−アミノレブリン酸の製
    造法。
  6. 【請求項6】 培養が、レブリン酸又はグリシンを添加
    した培地で行われるものである請求項5記載の5−アミ
    ノレブリン酸の製造法。
  7. 【請求項7】 グリシンの添加量が200mM/回以下で
    ある請求項6記載の5−アミノレブリン酸の製造法。
  8. 【請求項8】 培養が、培養液中の溶存酸素濃度を0.
    001〜2ppm とするか又は酸化還元電位を−220〜
    50mVとした条件で行われるものである請求項5〜7い
    ずれか1項記載の5−アミノレブリン酸の製造法。
  9. 【請求項9】 鉄成分を5〜500μM含有する培地中
    で5−アミノレブリン酸生産微生物を培養し、得られた
    培養物から5−アミノレブリン酸を採取することを特徴
    とする、5−アミノレブリン酸の製造法。
  10. 【請求項10】 5−アミノレブリン酸生産微生物が、
    請求項1〜4のいずれか1項記載の微生物である請求項
    9記載の5−アミノレブリン酸の製造法。
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