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JPH11282383A - 電極基板およびその製造方法 - Google Patents

電極基板およびその製造方法

Info

Publication number
JPH11282383A
JPH11282383A JP447199A JP447199A JPH11282383A JP H11282383 A JPH11282383 A JP H11282383A JP 447199 A JP447199 A JP 447199A JP 447199 A JP447199 A JP 447199A JP H11282383 A JPH11282383 A JP H11282383A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silver
oxide layer
electrode
amorphous
thin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP447199A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenzo Fukuyoshi
健蔵 福吉
Yukihiro Kimura
幸弘 木村
Koji Imayoshi
孝二 今吉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP447199A priority Critical patent/JPH11282383A/ja
Publication of JPH11282383A publication Critical patent/JPH11282383A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた光学特性(透過率、反射率)、低い電気
的接続抵抗、良好なパターニング性、および高い信頼性
を全て兼ね備えた導電膜が形成された電極基板を提供す
る。 【解決手段】基板と多層導電膜とを具備する表示装置用
電極基板であって、前記多層導電膜は、銀系薄膜との界
面における銀の動きを抑制する非晶質ないし非晶質様な
酸化物からなる下側非晶質酸化物層と、銀系薄膜と、銀
系薄膜との界面における銀の動きを抑制する非晶質ない
し非晶質様な酸化物からなる上側非晶質酸化物層とを備
え、少なくとも前記上側非晶質酸化物層の膜厚は20n
m以下であることを特徴とする表示装置用電極基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置もし
くはEL(エレクトロルミネッセンス)等に用いられる
表示装置用電極基板、太陽電池用透明電極もしくは反射
電極、電磁波シールド膜、または、反射防止膜等に応用
可能な、酸化物にて銀系薄膜を挟持した多層構成の導電
膜からなる電極を基板上に配設した電極基板に係わり、
中でも特に、耐湿性に富み、電気的接続抵抗が低く、高
信頼性かつ高性能の導電膜を有する電極基板に関し、ま
た、導電膜の構成をほぼ同じとしつつ、銀系薄膜の膜厚
を調整することで、透過型または反射型としうる応用範
囲の広い導電膜を有した電極基板に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス基板上、プラスチック基板上また
は、半導体素子を形成した基板上に、所定の電極形状パ
ターンとした光を透過する透明導電膜を配設した電極板
は、液晶ディスプレイ等の各種表示装置の表示用電極
や、表示装置の表示画面から直接に入力を行える入出力
電極等に広く使用されている。
【0003】図4は、液晶表示装置に用いる透明電極板
41の一例を示す断面説明図である。図4に示すよう
に、透明電極板41は少なくとも、ガラス基板40と、
このガラス基板40上の画素部位に設けられ画素毎にそ
の透過光を、例えばR(赤)色、G(緑)色、B(青)
色にそれぞれ着色するカラーフィルター42層と、上記
ガラス基板40上の画素と画素との間の部位(画素間部
位)に設けられ、この画素間部位からの光透過を防止す
る遮光膜47と、上記カラーフィルター42層の全面に
設けられた保護層45と、この保護層45上に成膜され
た透明電極43と、この透明電極43上に成膜された配
向膜44とでその主要部が構成されている。
【0004】そして、上記透明電極43は、スッパタリ
ングにより成膜された後に所定のパターン形状にエッチ
ング加工された、透明導電被膜により構成されている。
この透明導電被膜としては、その高い導電性に着目し
て、酸化インジウム中に酸化錫を添加したITO薄膜が
広く利用されている。ITO薄膜の比抵抗はおよそ2.
4×10-4Ω・cm程度であり、透明電極として通常に
利用される240nm程度の膜厚の場合、その面積抵抗
はおよそ10Ω/□程度である。
【0005】また、透明導電被膜としてはこの他にも、
酸化錫薄膜、酸化錫に酸化アンチモンを添加して構成さ
れる薄膜(ネサ膜)、または、酸化亜鉛に酸化アルミニ
ウムを添加して構成される薄膜等が知られている。しか
し、これらはいずれも上記ITO薄膜よりその導電性が
劣り、また、酸やアルカリ等に対する耐薬品性あるいは
耐水性等が不十分なため一般には普及していない。
【0006】一方、1982年日本で開催された第7回
ICVMにおいて、熱線反射膜として銀薄膜の表裏面に
ITO薄膜又は酸化インジウム薄膜(IO薄膜)を積層
させて構成される3層構造の透明導電膜が提案されてい
る。この3層構造の透明導電膜はおよそ5Ω/□程度の
低い面積抵抗率を有しており、その高い導電性を生かし
て上記透明電極への応用が期待された。
【0007】また、液晶表示装置は、バックライトとし
て光源(ランプ)を内蔵する透過型液晶表示装置が一般
的である。しかし、これら透過型液晶表示装置は、バッ
クライト用ランプによる消費電力が大きく、電池駆動の
場合は使用時間が短いため、本来液晶表示装置が有すべ
き携帯用としての特徴を活かしきれていないという問題
があった。このため、近年、外光を利用する(すなわ
ち、バックライト用ランプを内蔵しない)反射型の液晶
表示装置の開発が活発となっている。
【0008】図5は、反射型液晶表示装置50の概略構
成の一例を示している。同図において、当該反射型液晶
表示装置50は、反射電極板51と透明電極板52とか
らなる一対の基板を、透明電極505と透明電極507
とが液晶509を挟んで対向するように、シール材51
0によって配設している。前記反射電極板51は、反射
膜502およびカラーフィルター503がガラス等の背
面基板501に順次積層され、さらに、当該カラーフィ
ルター503の保護および当該カラーフィルター503
表面を平坦化する保護層504と、ITO等の透明電極
505が順次積層された構成になっている。なお、カラ
ーフィルター503は、例えばR(赤)色、G(緑)
色、B(青)色等に着色された光透過性の画素(以下、
単に画素と記す)が、所定のパターンに従って複数形成
されているものである。また、反射膜502は、液晶駆
動用の電極を兼ねた、反射電極として用いる場合もあ
る。
【0009】次いで、透明電極板52は、ガラス基板等
である透明基板511の一方の面側に偏光膜508を配
置し、他方の面側にTFT(薄膜トランジスタ)506
と接続した透明電極507を、周期的に配置した構成に
なっている。
【0010】従来、図5に示す、背面基板501に形成
する反射膜502として、アルミニウム薄膜が広く利用
されていた。これは、アルミニウムが可視域の光の反射
率が高い金属であることによる。しかし、近年、液晶表
示装置の表示品位の向上が要求されているものであり、
アルミニウム薄膜の反射率は、必ずしも満足すべきもの
とはいえなくなってきている。また、アルミニウムは、
液晶やガラス基板と接触した場合、反射率が低下すると
いう問題もあった。
【0011】このため、反射膜の素材として銀を用いる
ことが提案されているものである。銀は、アルミニウム
と比較すると、光の反射率がおよそ10%程度優れてい
るといえる。
【0012】しかし銀は、ガラスやプラスチック等を素
材とする基板に対し密着力が低く、銀薄膜として基板上
に形成した場合、基板から剥がれやすいという問題があ
る。また、純度の高い銀にて基板上に形成された銀薄膜
は、熱と酸素の影響で凝集、白濁しやすく、そのため、
光の反射率や透過率が低下しやすいという問題もある。
加えて、銀薄膜が露出し、直接外気と触れる構成では、
銀薄膜の表面に硫化銀や酸化銀が形成されて変色すると
いう欠点も有しているものである。さらに、ガラス基板
等の基板上に銀薄膜を形成すると、当該基板からのアル
カリ金属の拡散により銀が白濁し反射率や透過率が低下
するという問題もあった。
【0013】銀薄膜を用いた場合に生じる上述した問題
点や欠点を補う技術として、銀薄膜を酸化物(酸化物
層)にて挟持する3層構成の導電膜とする技術が提案さ
れている。しかし、この技術では、エッチング液を用い
て導電膜を所定のパターン形状に加工する場合、エッチ
ングによるダメージ(特に、銀薄膜と酸化物層との界面
へのダメージ)を受け、特に上側の酸化物層が剥がれや
すくなるという問題がある。加えて、この3層構成の導
電膜にて透過型の透明電極を形成する場合、光学特性の
最適化のため、上側酸化物層(銀薄膜上に形成する酸化
物層)を非晶質状態とし、また、40nm前後の厚めの
膜厚にて上下の酸化物層を各々形成する必要が生じるも
のである。すなわち、上側酸化物層を非晶質状態とせ
ず、酸化物層に結晶やグレインがあった場合、その粒界
を銀が移動しやすく、この3層構成の導電膜の信頼性を
大きく低下させてしまうためである。
【0014】酸化物として安定な非晶質の膜とするため
には、異種の酸化物を混合した混合酸化物層とすること
が望ましいが、その場合、この導電膜に対する電気的な
接続抵抗が大きくなり、導電膜として好ましくないもの
となる。さらに上述した、銀薄膜と酸化物層との界面へ
のダメージがあるため、耐湿性等の信頼性が大きく低下
し、実用レベルにまで至っていなかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の問題
点に鑑みなされたもので、優れた光学特性(透過率、反
射率)、低い電気的接続抵抗、良好なパターニング性、
および高い信頼性を全て兼ね備えた導電膜が形成された
電極基板を得ようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を行い、本発明に至ったものであ
る。なお、以下の記述において、下側非晶質酸化物層と
は銀系薄膜形成前に基板上に形成する酸化物層とし、銀
系薄膜形成後銀系薄膜上に積層形成する酸化物層を上側
非晶質酸化物層もしくは上側酸化物層としている。
【0017】すなわち、請求項1に係わる発明は、基板
と所定のパターン形状とした多層導電膜とを具備する表
示装置用電極基板であって、前記多層導電膜は、銀系薄
膜との界面における銀の動きを抑制する非晶質ないし非
晶質様な酸化物からなる下側非晶質酸化物層と、銀系薄
膜と、銀系薄膜との界面における銀の動きを抑制する非
晶質ないし非晶質様な酸化物からなる上側非晶質酸化物
層とを備え、少なくとも前記上側非晶質酸化物層の膜厚
は20nm以下であることを特徴とする表示装置用電極
基板としたものである。
【0018】さらに、請求項2に係わる発明において
は、基板と所定のパターン形状とした多層導電膜とを具
備する表示装置用電極基板であって、前記多層導電膜
は、銀系薄膜との界面における銀の動きを抑制する非晶
質ないし非晶質様な酸化物からなる下側非晶質酸化物層
と、銀系薄膜と、上側酸化物層とを備え、前記上側酸化
物層は、銀系薄膜との界面における銀の動きを抑制する
膜厚が20nm以下の非晶質ないし非晶質様な上側非晶
質酸化物と、酸化物層とを備えていることを特徴とする
表示装置用電極基板としたものである。
【0019】このような構成によれば、前記上側非晶質
酸化物層および下側非晶質酸化物層は、前記銀系薄膜と
の界面における銀の動きを抑制する機能(いわば、銀の
動きを固定する錨としての役割)を有し、高温、高湿下
での銀の動きを原因とする凝集、白濁、及びこれに伴う
反射率あるいは透過率の低下等を抑制することができ
る。
【0020】この点につき、さらに説明する。銀は動き
やすく、銀系薄膜の表面が空気(air)中に露出した
状態で熱を加えると、例えば200℃〜300℃程度の
加熱の場合、銀系薄膜の表面へ拡散、移動した銀原子が
再結晶化し成長することで大きな結晶塊となる。これに
より銀表面に凝集、白濁が生じ、銀系薄膜の反射率もし
くは透過率が低下する。ここで、銀系薄膜の表面(ミク
ロ的にいえば、再結晶前の微細な個々の銀結晶の表面)
に、スパッタリング等の成膜手段で数分子の酸化物の核
を植え込んだとする。その場合、植え込まれた酸化物の
核が銀原子の移動を抑制する錨の役割を果たし、銀原子
の銀系薄膜表面への拡散を防ぐことになり、銀系薄膜表
面での銀原子の再結晶化を抑え、銀系薄膜の光学特性の
劣化を防止することになる。すなわち、銀系薄膜の表面
に酸化物の核を植え込むことで、例えば液晶表示装置の
製造の際に加熱処理が行われても、銀系薄膜の光学特性
が劣化することを防止できることになる。
【0021】この、銀系薄膜の表面に植え込んだ酸化物
の核の並びが、前記上側非晶質酸化物層および下側非晶
質酸化物層である。すなわち、前記上側非晶質酸化物層
および下側非晶質酸化物層は、銀系薄膜との界面におけ
る銀の動きを錨のように固定する固定層といえる。従っ
て、前記下側非晶質酸化物層は下側の固定層、前記上側
非晶質酸化物層は上側の固定層としての機能を有する。
なお、信頼性の観点から、固定層は、銀系薄膜と電気化
学的性質(例えば、腐蝕電位)が近いことが望ましく、
また、銀の粒界拡散を防ぐため、非晶質(アモルファ
ス)もしくは非晶質様(アモルファスライク)であるこ
とが望ましい。さらに、当該固定層は、銀系薄膜と密着
力が高いものであることが望ましい。
【0022】また、固定層となる非晶質酸化物は、透明
で耐アルカリ性に富む材質であることが望ましく、成膜
後に所定のパターン形状に加工することを考慮し、エッ
チングに用いる酸等のエッチャントに可溶であることが
望ましい。なお、本発明に係わる液晶表示装置用電極基
板を液晶駆動用の電極基板として用いる場合は、導電性
の酸化物を基材とした混合酸化物が固定層の材料として
望ましい。
【0023】本発明に係わる多層導電膜は、前記固定層
としての機能を有する上側非晶質酸化物層および下側非
晶質酸化物層にて銀系薄膜を挟持した3層構成であって
もよく、または、多層導電膜に反射、透過という所定の
光学特性を持たせるため、銀系薄膜を挟持する上側非晶
質酸化物層もしくは下側非晶質酸化物層の銀系薄膜と接
する面とは反対側の面に酸化物層(例えば、透明な酸化
物層)を積層した構成であってもよい。当該多層導電膜
の構成は、本発明に係わる液晶表示装置用電極基板の用
途に応じて適宜選択して構わない。
【0024】次いで、前記固定層としての役割を持つ上
側非晶質酸化物層および下側非晶質酸化物層の膜厚は、
耐熱耐湿性のみを対象とすれば、1nm前後でも固定層
としての役割(すなわち、界面における銀の動きを抑制
する、いわば銀の動きを固定する錨(アンカー)として
の役割)を果たすのに十分といえる。非晶質酸化物層
(固定層)の膜厚が薄いほうが、非晶質酸化物層(固定
層)を所定のパターン形状とするために行われるエッチ
ングに要する時間が短縮でき、銀系薄膜と酸化物との界
面へのダメージが小さくなるため、非晶質酸化物層(固
定層)の膜厚は薄いほど良いといえる。しかし、膜厚1
nm前後では、成膜時の膜厚のバラつきや、アルカリ液
等を用いた洗浄の際に生じる膜の流れ落ち等を考慮する
とやや不安定といえる。このため、非晶質酸化物層(固
定層)の膜厚は2nm以上として形成したほうが好まし
い。
【0025】ここで、非晶質酸化物層(固定層)の膜厚
の上限は、成膜後に所定のパターン形状とするために行
われるエッチングの際に銀系薄膜と酸化物との界面に受
けるダメージの程度、および、光学特性(透過率、反射
率)の二つの要因を考慮して決定することが望ましいと
いえるが、本発明者らは、エッチング時に受ける銀系薄
膜と酸化物との界面でのダメージの程度をまず考慮した
ものである。
【0026】すなわち、本発明者らは、エッチングによ
るダメージの程度を、信頼性の一つの大きな指標である
高温、高湿下での接続抵抗の変化の程度で判断すること
が適当であることを見いだした。このため、耐久性試験
にて行われる一般的な条件(温度70℃〜90℃、湿度
90%〜95%の雰囲気中に1000時間放置を行う)
下にて、非晶質酸化物層(固定層)の膜厚を種々に変化
させて接続抵抗の変化を試した。その結果、非晶質酸化
物層(固定層)の膜厚を20nm以下、さらに好ましく
は10nm以下とすれば接続抵抗の安定性が得られるこ
とを見いだした。
【0027】なお、酸化物層および銀系薄膜の材料や、
下地となる層(例えば、基板等)の表面状態にもよる
が、非晶質酸化物層(固定層)の膜厚が2〜10nmの
範囲では、酸化物は均質な膜になることなく島状に着膜
し、また、光学的には、ボイドを含み、バルクより低屈
折率の膜になる。その場合、本発明の電極基板を反射型
とすると、非晶質酸化物層(固定層)の屈折率が低いた
め、高い反射率を得ることが可能となる。
【0028】本発明の電極基板に形成する多層導電膜
は、非晶質酸化物層(固定層)で挟持する銀系薄膜の膜
厚を例えば100〜200nm程度、あるいはこれより
厚く形成することにより、実用上良好な反射電極とな
る。ここで本発明者らは、光学特性の観点より、銀系薄
膜を使用した反射型電極板と、従来のアルミニウム薄膜
を使用した反射型電極板との反射率の比較を行った。上
述したように、銀系薄膜の耐熱耐湿性を確保するために
は、20nm以下の非晶質酸化物層(固定層)の形成が
必要となる。反射率という光学特性でこの膜厚を検討す
ると、次のようになる。すなわち、銀はアルミニウムよ
り10%程度反射率の高い良好な金属といえるが、酸化
物である固定層の膜厚、あるいは合金元素の銀への添加
量によっては、短波長側の反射率が低下しやすいもので
ある。
【0029】アルミニウムの430nm(ブルー域の波
長)での反射率は約85%程度である。このため、本発
明者らは、本発明の電極基板では、430nmの波長で
アルミニウムより高い反射率を確保することを目標とし
た。本発明者らは多くの検討をした結果、膜厚(単位は
nm)と屈折率との積である光学的膜厚の値にて、非晶
質酸化物層(固定層)の光学的膜厚が20nm以下であ
れば、430nmの波長で反射率85%以上をほぼ確保
できることを見いだしたものである。すなわち、請求項
3に係わる発明は、上側非晶質酸化物層が、膜厚と屈折
率との積である光学的膜厚の値を20nm以下とした酸
化物層であることを特徴とする表示装置用電極基板とし
たものである。このような構成によれば、当該電極板を
反射型とした場合、前記上側非晶質酸化物層(上側の固
定層)の屈折率を低くすることができ、反射率を向上さ
せることができる。
【0030】次いで、本発明の電極基板に形成する多層
導電膜は、非晶質酸化物層(固定層)で挟持する銀系薄
膜の膜厚を例えば7〜25nm程度の範囲で形成するこ
とにより、実用上良好な透明電極となる。しかし、この
銀系薄膜を挟持する非晶質酸化物層(固定層)の膜厚が
20nm以下の場合、銀系薄膜からの光の反射成分が強
くなり、十分な透過率を確保できない。屈折率が2前後
の酸化物で銀系薄膜を挟持する3層構成の導電膜では、
酸化物の膜厚をおよそ40〜45nm程度に設定しない
と高い透過率を確保しにくい。このため、本発明に係わ
る電極基板を透過型として用いる場合、固定層上に酸化
物層を積層し、所定の光学特性(例えば、透過率)とす
ることが望ましい。
【0031】本発明者らは、こうした一般的な構成部材
の膜厚、屈折率を最適化して利用する形の電極基板を提
案するものである。
【0032】すなわち、請求項4に係わる発明は、上側
非晶質酸化物層または、上側非晶質酸化物層と酸化物層
とが積層された上側酸化物層の上に保護層を備え、上側
非晶質酸化物層または上側酸化物層と保護層との合計の
光学的膜厚が70nm以上であることを特徴とする表示
装置用電極基板としたものである。このような構成によ
れば、当該電極板を透過型とした場合、電極板の透過率
を向上させることができる。
【0033】さらに、本発明者らは、本発明の表示装置
用電極基板を透過型とし、屈折率の異なる酸化物層を積
層した多層の酸化物層で銀系薄膜を挟持する構成とした
場合、銀系薄膜に接する側の酸化物層の屈折率を高くし
ないと、電極基板の透過率を高くしにくいことを見いだ
した。
【0034】すなわち、請求項5に係わる発明は、保護
層が、上側非晶質酸化物層と等しい、もしくは、上側非
晶質酸化物層より低い屈折率の酸化物層であることを特
徴とする表示装置用電極基板としたものである。また、
請求項6に係わる発明は、下側非晶質酸化物層が、下側
非晶質酸化物層と等しい、もしくは、下側非晶質酸化物
層より低い屈折率の酸化物よりなる下引き層を含む構成
であることを特徴とする表示装置用電極基板としたもの
である。このような構成によれば、当該表示装置用電極
基板を透過型とした場合、上側非晶質酸化物層および下
側非晶質酸化物層の屈折率が高くなり、その結果、より
電極基板の透過率を向上させることができる。
【0035】ここで、保護層の材料として、耐薬品性、
耐熱性、耐光性等に優れた材料を用いることにより高信
頼性の電極基板を提供することができる。なお、上述し
た下引き層は、基板の材質がソーダガラスであった場
合、基板からのアルカリ金属の拡散を防ぐアルカリバリ
ヤー層の役目を有する。また、基板と下側非晶質酸化物
層との密着性が低いものであった場合、下引き層は、接
着層の役目も兼ねることになる。
【0036】また、従来の銀系薄膜を酸化物で挟持する
3層構成の導電膜では、動きやすい銀を安定化させるた
め、3at%(原子パーセント)を超える合金元素を銀に
添加し、このため導電性の低下等を生じていた。しか
し、本発明においては、銀系薄膜を固定層で挟持した形
態とするため銀の動きが少なくなり、銀への合金元素の
添加量を減らしても、フォトリソグラフィー等の製造プ
ロセスでも安定して基板を流せ、かつ、パターン形成
後、保護層の形成を行うことができる。すなわち、本発
明の電極基板では、合金元素の銀への添加量を最小限に
抑えることが可能になり、その結果、導電膜の性能をよ
り高いものにすることができるものである。
【0037】すなわち、請求項7に係わる発明は、銀系
薄膜が、銀に、白金、パラジウム、金、銅、ニッケルか
ら1種以上選択された金属を合わせて3at%(原子パー
セント)以下添加した銀合金からなることを特徴とする
表示装置用電極基板としたものである。
【0038】上述したように、本発明においては、非晶
質酸化物層(固定層)で銀系薄膜を挟持し、また、少な
くとも上側非晶質酸化物層の膜厚を20nm以下とした
構成としており、導電膜を所定の電極形状とする際、フ
ォトリソグラフィーのプロセスを流すことができるた
め、エッチング加工を行いやすく、また、非晶質酸化物
層(固定層)と銀系薄膜との界面部位へのエッチングに
よるダメージを生じることなく、高い精度でパターン加
工できるようになる。
【0039】従って、請求項8に係わる発明は、基板
と、銀の動きを抑制する非晶質もしくは非晶質様な酸化
物よりなる非晶質酸化物層にて銀系薄膜を挟持した多層
構成の導電膜とを具備する表示装置用電極基板の製造方
法において、下側非晶質酸化物層と、銀系薄膜と、膜厚
20nm以下の上側非晶質酸化物層とを少なくとも積層
形成した後にパターン加工して電極とする工程と、電極
として最適の光学特性となるよう膜厚を調節した保護層
を前記電極上に積層着膜する工程とを少なくとも有する
ことを特徴とする表示装置用電極基板の製造方法とした
ものである。
【0040】ここで、表示装置を構成した際、本発明の
電極基板と、対向する基板とが、電気的短絡を生じると
正常な動作をなさなくなる。このため、本発明の電極基
板と、対向する基板との電気的短絡を防止し、表示装置
の動作の以上をなくすため、保護層は電気的絶縁性を有
することが望ましい。しかるに、形成された電極パター
ン各々については外部と電気的接続をとる必要がある
が、電極基板上に保護層を形成する際、外部との電気的
接続を行なう電極パターン部位にまで保護層を形成する
と、電気的接続が行えなくなるため、外部との電気的接
続を必要とする電極パターン部位には保護層を形成しな
いことが望ましい。従って、請求項9に係わる発明は、
保護層が電気的絶縁材料であり、かつ、前記電極の電気
的接続をとる部位を除き、保護に十分な膜厚にて電極上
に保護層を積層することを特徴とする表示装置用電極基
板の製造方法としたものである。
【0041】次いで、請求項10に係わる発明は、多層
導電膜を所定の電極パターンとするパターン加工手段
が、フォトレジストを用いたフォトリソグラフィー法で
あり、かつ、フォトリソグラフィー法のプロセスにて電
極のパターンを形成した後にフォトレジストを除去する
際、電気的接続をとる電極部位のレジストを残し、これ
を保護層を積層着膜する際のマスクとして用い、しかる
後、レジストを除去することで、電気的接続をとる電極
部位を保護層より露出させたことを特徴とする表示装置
用電極基板の製造方法としたものであり、また、請求項
11に係わる発明は、多層導電膜を所定の電極パターン
とするパターン加工手段が、マスクスパッタリング法で
あることを特徴とする表示装置用電極基板の製造方法と
したものである。
【0042】このような構成によって、選択的に電極基
板上に保護層を形成する方法を、フォトレジストを用い
たフォトグラフィー法とすれば、高精度なパターン形状
を有する保護層の形成が可能となり、液晶表示装置等の
高精細なものに向いた製造方法とすることができ、ま
た、マスクスパッタ法とすれば、前記フォトグラフィー
法よりやや精度を落として簡便に保護層を形成すること
ができ、太陽電池のような比較的粗いパターンに向いた
製造方法とすることができる。
【0043】次いで、本発明の表示装置用電極基板に用
いる基板は、透明である必要はなく、表示装置の用途に
応じて、白色、黒色、またはその他の色に着色された基
板であっても構わない。さらに、基板自体が、電気回路
の形成された基板、太陽電池が形成されたシリコンウェ
ファー基板、または、耐熱性有機フィルムであっても良
く、アモルファスシリコン、ポリシリコン、または、M
IM(ダイオード素子)等の半導体素子が形成された基
板であっても良い。
【0044】さらには、偏光素子、回折格子、ホログラ
ム、光散乱膜、λ/4波長板、位相差フィルム、マイク
ロレンズ、またはカラーフィルター等を、本発明の表示
装置用電極基板上に直接もしくは間接的に形成しても良
い。
【0045】また、本発明に係わる導電膜は低抵抗であ
るため、TFT(薄膜トランジスタ)やMIM等の素子
の信号線やバスラインに使用でき、これらと画素電極と
に同時に用いることが出来る。
【0046】本発明を構成する、非晶質酸化物層(固定
層)、上側酸化物層、および下側酸化物層は、透明で耐
アルカリ性に富む材料であることが望ましく、エッチン
グ液を用いて所定のパターンに加工形成する場合には、
エッチングに用いる酸等のエッチャントに可溶であるこ
とが必要である。さらにまた、その酸化物の望まれる光
学的特性、中でも特に屈折率は、本発明の電極基板に形
成する電極が反射型であるか、あるいは透過型であるか
によって異なる。すなわち、反射型であった場合、電極
が高い反射率を得るためには上側非晶質酸化物層(上側
の固定層)の屈折率は低い方が良い。また、透過型であ
った場合には、上側非晶質酸化物層(上側の固定層)、
上側非晶質酸化物層の上に形成する透明な酸化物層、お
よび下側非晶質酸化物層(下側の固定層)の屈折率はい
ずれも高い方が、電極は高い透過率を確保できる。
【0047】また、下引き層は、基板と下側非晶質酸化
物層(下側の固定層)との密着性の良い材料から選択す
れば良く、例えばSiO2 等があげられる。また、基板
としてソーダガラスを使用する場合、下引き層や下側非
晶質酸化物層(下側の固定層)は、アルカリバリヤー層
を兼ねても良い。
【0048】次いで、保護層は、耐薬品性や耐絶縁性等
を有する信頼性(耐久性)の高い材料から選択されるの
が望ましいが、酸化物以外に、窒化物、有機樹脂、フッ
素樹脂、テフロン樹脂、あるいはシリコン樹脂等を用い
ても良く、あるいはこれらに透明顔料を混ぜた塗膜を用
いても良い。さらに、保護層上に反射防止膜や撥水層を
積層しても良い。
【0049】なお、太陽電池向けに本発明の電極基板を
用いる場合(この場合、基板上にアモルファスシリコン
等の半導体素子が形成されている)、高信頼性(高耐久
性)を確保する上で、十分に厚く保護層を形成しても良
い。さらには、一般的にオーバーコートと呼称される、
液晶基板上に形成される層の形成手段に用いられるゾル
ゲル法にて、保護層を形成しても良い。さらに、当該保
護層は、強誘電性液晶や反強誘電性液晶、あるいはTF
T等、液晶の駆動上高い誘電率が好ましいときは、高い
誘電率の材料にて形成しても構わない。
【0050】次いで、本発明にかかる電極板を液晶表示
装置等に使用する場合、多層膜を構成する酸化物層の材
料は、屈折率、導電性の観点から、以下のものが使用可
能である。すなわち、低屈折率の酸化物にしたければ、
例えば、SiO2 、MgO、Al 2 3 、GeO2 、B
2 3 等や軽元素の酸化物があげられる。また、高屈
折率の酸化物にしたければ、TiO2 、CeO2 、Zr
2 、HfO2 、Nb2 5 、Ta2 5 等が使用可能
である。導電性を考慮する場合は、導電性酸化物であ
る、In2 3 、SnO2 、ZnO等があげられる。ま
た、上記以外の酸化物、あるいは、酸素の付加数を調整
した上記の酸化物等を2種以上選択して混合した混合酸
化物を、上側非晶質酸化物層(上側の固定層)や、上側
の酸化物層、下側非晶質酸化物層(下側の固定層)とし
て用いても良い。
【0051】なお、In2 3 、ZnOを基材とした混
合酸化物を用いれば、容易にエッチッグ加工を行うこと
ができる。また、混合酸化物にZnOやMgO等の酸に
溶けやすい酸化物を少量添加し、混合酸化物の酸化還元
電位を銀系薄膜に近づけることで、本発明の電極基板に
形成した電極パターンの形状や電極の信頼性をさらに向
上させることも可能である。
【0052】さらに、屈折率の観点から、本発明の電極
基板に用いる銀系薄膜の厚み方向の中央部位に、高屈折
率の層を挿入することであっても構わない。透過型の導
電膜であった場合、銀系薄膜の間に高屈折率の層を挿入
することで、より低反射率の導電膜とすることが出来
る。なお、このとき、透過率が向上する場合もある。
【0053】本発明の電極基板は、導電膜の形成後、あ
るいは、エッチングによる所定のパターンの形成後に熱
処理(いわゆる、アニール処理)を施すことにより、よ
り一層の信頼性向上を得ることが可能である。
【0054】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態の例
につき、図面に基づいて説明する。(実施例1)図1
は、実施例1に係わる電極基板の概略構成図を示してい
る。図1において、本実施例1に係わる電極基板9は、
厚さ0.7mmのガラス基板10(コーニング社製、1
737材)と、ガラス基板10上に順次積層形成した、
厚み29nmの下引き層1、厚み10nmの下側非晶質
酸化物層2(下側の固定層)、厚み15nmの銀系薄膜
3、厚み10nmの上側非晶質酸化物層4(上側の固定
層)、および厚み29nmの保護層5とで、その主要部
が構成されている。なお、本実施例1に係わる電極基板
9は、銀系薄膜3の膜厚が15nm(7〜25nm程度
の範囲内)であることから、光透過型の電極基板であ
る。
【0055】本実施例1に係わる電極基板9は、以下の
製造プロセスにて作成したものである。すなわち、ま
ず、洗浄したガラス基板10を真空槽(スパッタリング
装置)内に収納し、真空引きした。次いで、スッパタリ
ングの手法で、下引き層1を成膜する。次いで、ガラス
基板10を真空槽(スパッタリング装置)より取り出
し、300℃で1時間加熱しアニール処理を施す。次い
で、ガラス基板10を真空槽(スパッタリング装置)内
に収納し、真空引きする。次に、スッパタリングの手法
で、下側非晶質酸化物層2、銀系薄膜3、上側非晶質酸
化物層4を連続して積層成膜した。次いで、ガラス基板
10を真空槽(スパッタリング装置)から取り出し、フ
ォトリソグラフの手法で、上側非晶質酸化物層4上に所
定の形状パターン(例えば平面視でストライプ状のパタ
ーン)としたレジストパターンを形成した。次いで、硝
酸および硝酸鉄を合わせて1重量%含む硫酸系エッチャ
ントをエッチング液として用い、レジストパターンより
露出した部位にある下側非晶質酸化物層2、銀系薄膜
3、上側非晶質酸化物層4の3層を同時にエッチング除
去した。次いで、図1中に示す、表示面16に相当する
レジストパターン部位に再露光を行った(このとき、端
子部17部位には露光は行わない)後、この表示面16
部位のレジストパターンを有機アルカリ液にて除去し
た。
【0056】次いで、真空槽(スパッタリング装置)を
用いて保護層5をガラス基板10の全面に成膜した。そ
の後、再度基板に露光を行った後、有機アルカリ液にて
端子部17部位にあるレジストパターンを除去し、しか
る後、200℃の温度で基板を1時間加熱するアニール
処理(加熱処理)を行い、本実施例1の電極基板9を得
た。
【0057】上述した製造プロセスにより、端子部17
部位では、膜厚の薄い上側非晶質酸化物層4を介して銀
系薄膜3と低い接続抵抗にて外部と電気的接続がとれ
る。また、表示面16上の保護層5は、良好な絶縁性の
保護層となり(この保護層5は、STN等の液晶表示装
置にあっては、対向基板との電気的な短絡を防止する膜
となるものである)、電気的に信頼性の高い電極板を実
現することができる。
【0058】上述した製造プロセスにおいて、下引き層
1と保護層5は、各々、酸化錫、酸化セリウム、および
酸化ガリウムよりなる混合酸化物のスッパタリングター
ゲットを用いて成膜したものである。スパッタリングタ
ーゲットの組成は、金属原子換算の原子パーセント(酸
素原子はノーカウントとする)にて、錫80at%(原
子パーセント)、セリウム10at%(原子パーセン
ト)、ガリウム10at%(原子パーセント)とした。
【0059】次いで、下側非晶質酸化物層2および上側
非晶質酸化物層4の成膜には、酸化インジウム、酸化セ
リウム、酸化スズ、および酸化チタンよりなる混合酸化
物のスッパタリングターゲットを用いたものであり、そ
の組成は、金属原子換算の原子パーセント(酸素原子は
ノーカウントとする)にて、インジウム88at%、セ
リウム8.5at%、スズ3.0at%、チタン0.5
at%とした。さらに、銀系薄膜3の成膜に用いた銀合
金ターゲットは、銀98.5at%、金1at%、銅
0.5at%の組成とした。
【0060】本発明者らは、上述した保護層5(あるい
は下引き層1)および、下側非晶質酸化物層2(あるい
は上側非晶質酸化物層4)と同じ材料で、各々膜厚10
0nmの膜を成膜し、その膜の屈折率を測定した。その
結果、550nmの波長のところで、前者の屈折率は
2.06であり、後者の屈折率は2.10であった。
【0061】一方、膜厚29nmの保護層5(もしくは
下引き層1)の光学的膜厚と、膜厚10nmの上側非晶
質酸化物層4(もしくは下側非晶質酸化物層2)の光学
的膜厚を合計した光学的膜厚は、(29×2.06+1
0×2.10)=(59.74+21.0)=80.7
4であった。これらの光学的特性の下、電極基板9の波
長550nmにおける透過率は、保護層5の形成された
表示面16部位では96%(ガラス基板10単体をリフ
ァレンス(基準)とする)と、高い透過率であることを
確認できた。
【0062】従って、下引き層1、保護層5、下側非晶
質酸化物層2、上側非晶質酸化物層4の各層が、上述し
た材料、および当該材料の組成、膜厚を有すれば、上記
各屈折率及び各光学的膜厚となり、その結果、高い透過
率である電極基板を実現できた。また、この銀系薄膜3
を挟持する下側非晶質酸化物層2、上側非晶質酸化物層
4は共に非晶質であり、銀系薄膜3との界面における銀
の動きを原因とする凝集、白濁、及びこれに伴う銀系薄
膜3の透過率の低下等を抑制することができる。
【0063】なお本実施例1では、保護層5(もしくは
下引き層1)の光学的膜厚と、膜厚10nmの上側非晶
質酸化物層4(もしくは下側非晶質酸化物層2)の光学
的膜厚の合計値を80.74nmとしたが、当該値が、
70nm以上であれば同様の効果をうることができる。
【0064】(実施例2)図2は、実施例2に係わる電
極基板の概略構成図である。図2において、電極基板1
9は、厚さ0.7mmのガラス基板20(日本板硝子
(株)社製、Hコート品)の上に、SiO2 よりなる膜
厚40nmの下引き層21を形成した後、順次、膜厚2
0nmの下側非晶質酸化物層22(下側の固定層)、膜
厚150nmの銀系薄膜23、膜厚7nmの上側非晶質
酸化物層24(上側の固定層)を積層し主要部を構成し
たものである。なお、本実施例2に係わる電極基板19
は、銀系薄膜の膜厚が150nm(100〜200nm
程度の範囲内)であることから、光反射型の電極基板で
ある。
【0065】本実施例2に係わる電極基板19は、以下
の製造プロセスにて作成したものである。すなわち、ま
ず、洗浄したガラス基板20を真空槽(スパッタリング
装置)内に収納し、真空引きした。次いで、スッパタリ
ングの手法で、下引き層21を成膜する。次いで、ガラ
ス基板20を真空槽(スパッタリング装置)より取り出
し、300℃で1時間加熱しアニール処理を施す。
【0066】次いで、ガラス基板20を真空槽(スパッ
タリング装置)内に収納し、真空引きする。次いで、ス
パッタリングの手法で、下側非晶質酸化物層22、銀系
薄膜23、上側非晶質酸化物層24を連続して積層成膜
した。次いで、ガラス基板20を真空槽から取り出し、
フォトリソグラフの手法で、上側非晶質酸化物層24上
に所定の形状パターン(例えば平面視でストライプ状の
パターン)としたレジストパターンを形成した。次い
で、硝酸および硝酸鉄を合わせて1重量%含む硫酸系エ
ッチャントをエッチング液として用い、レジストパター
ンより露出した部位にある下側非晶質酸化物層22、銀
系薄膜23、上側非晶質酸化物層24の3層を同時にエ
ッチング除去した。
【0067】次いで、レジストパターン全面に再露光を
行った後、有機アルカリ液にてレジストパターンを除去
した。しかる後、200℃の温度で基板を1時間加熱す
るアニール処理(加熱処理)を行い、本実施例2に係わ
る電極基板19を得た。
【0068】上記製造プロセスにおいて、下引き層21
は、酸化珪素(SiO2 )のスパッタリングターゲット
を用いて成膜したものであり、下引き層21は、アルカ
リバリアー層としての機能を有している。また、下側非
晶質酸化物層22は、下引き層21と銀系薄膜23の密
着層の役目も有する。
【0069】下側非晶質酸化物層22、上側非晶質酸化
物層24の成膜に用いた混合酸化物ターゲットは酸化イ
ンジウム、酸化セリウムおよび、酸化錫で構成したもの
で、その組成は、金属原子換算の原子パーセント(酸素
原子はノーカウントとする)にて、77at%、セリウ
ム20at%、錫3at%とした。さらに、銀系薄膜2
3の成膜に用いた銀合金ターゲットは、銀98.5at
%、金1at%、銅0.5at%の組成とした。
【0070】本発明者らは、上記材料及び組成の上側非
晶質酸化物層24の屈折率を測定したところ、550n
mの波長で1.447、430nmの波長で1.488
であった。この上側非晶質酸化物層24は、膜厚7nm
と薄く(上部に酸化物の積層も無いため)、バルクの屈
折率より低い値となった。
【0071】また、銀系薄膜23と上側非晶質酸化物層
24との積層膜の反射率を、硫酸バリウムをリファレン
ス(基準)として、積分球にて上側非晶質酸化物層24
側から測定したところ、波長550nmで96%、波長
430nmで88%と、高い反射率であった。また、膜
厚7nm、屈折率1.447(波長550nm)の上側
非晶質酸化物層24の光学的膜厚は、7×1.447=
10.129nmであった。なお、本実施例2に係わる
上記上側非晶質酸化物層24の光学的膜厚(膜厚と屈折
率の積の値)は10.129nmであったが、同様の効
果を得るための光学的膜厚の閾値は、20nm以下であ
ると考えられる。
【0072】次いで、信頼性の確認を行うため、本実施
例1に係わる電極基板9および、本実施例2に係わる電
極基板19を各々、温度70℃、湿度95%の雰囲気と
した高温高湿槽中に1000時間保管して変化を調べ
た。その結果、光学的特性(透過率、あるいは、反射
率)および、電極パターンの密着性に変化は見られず、
信頼性(耐久性)は極めて良好であった。従って、電極
基板9、電極基板19によれば、耐久性のある電極を実
現できる。
【0073】また、本実施例1に係わる電極基板9およ
び、本実施例2に係わる電極基板19の耐熱性を確認す
るために、電極基板9および、電極基板19に、温度2
50℃で1時間加熱、あるいは、温度300℃で1時間
加熱を行い、電極基板9および、電極基板19の耐熱性
を調べた。その結果、耐久性と同じく変化は観察され
ず、良好な耐熱性を有していることが分かった。従っ
て、電極基板9、電極基板19によれば、耐久性のある
電極を実現できる。
【0074】さらに、本実施例1に係わる電極基板9お
よび、本実施例2に係わる電極基板19の耐アルカリ性
を確認するために、電極基板9および、電極基板19
を、各々、液温40℃のアルカリ水溶液(NaOHを1
重量%含む)に10分間浸漬して、耐アルカリ性を調べ
たが、共に変化は観察されず、本実施例に係わる電極基
板9および、電極基板19は、実用上十分な耐アルカリ
性を有することが示された。従って、電極基板9、電極
基板19によれば、耐アルカリ性のある電極を実現でき
る。
【0075】また、この銀系薄膜23を挟持する下側非
晶質酸化物層22、上側非晶質酸化物層24は共に非晶
質であり、銀系薄膜23との界面における銀の動きを原
因とする凝集、白濁、及びこれに伴う銀系薄膜23の反
射率の低下等を抑制することができる。
【0076】以上のように、本実施例に係わる電極基板
(すなわち、本発明の電極基板)は、高い信頼性と高い
光学的特性を持つことが示されたものである。
【0077】次いで、STN等の液晶表示装置における
電気的な実装を考慮して、本実施例1に係わる電極基板
9及び本実施例2に係わる電極基板19の接続抵抗を測
ったところ(評価は、ベリリウム−銅合金の針を当てて
測定)、およそ0.5〜1Ω程度であり、これは通常使
用される透明電極(ITO)より低い接続抵抗であっ
た。従って、本実施例1に係わる電極基板9及び本実施
例2に係わる電極基板19は、接続抵抗の面でも優れて
いることが分かった。
【0078】(実施例3)図3は、実施例3に係わる電
極基板の概略構成図を示している。図3において、本実
施例3に係わる電極基板30は、SiO2 (酸化珪素)
層が表面にコートされ、アルカリバリア機能を有するソ
ーダガラス基板31上に積層膜37を形成している。積
層膜37は、下側非晶質酸化物層32(下側の固定
層)、銀系薄膜33及び上側酸化物層34から構成さ
れ、上側酸化物層34は、上側非晶質酸化物層35(上
側の固定層)と、上側非晶質酸化物層35に積層した非
晶質酸化物層36との多層となっている。また、下側非
晶質酸化物層32の膜厚は25nm、銀系薄膜33の膜
厚は15nm、上側非晶質酸化物層35の膜厚は10n
m、非晶質酸化物層36の膜厚は30nmとした。従っ
て、本実施例3に係わる電極基板30は、銀系薄膜33
の膜厚が15nm(7〜25nm程度の範囲内)である
ことから、光透過型の電極基板である。
【0079】ここで、下側非晶質酸化物層32は、酸化
セリウムを主材とし、これに酸素原子を数に含めない金
属原子のみのat%(原子パーセント)にて、酸化ニオ
ブを15at%添加した混合酸化物で形成した。また、
上側非晶質酸化物層35は、酸化インジウム、酸化セリ
ウム、酸化スズ及び酸化チタンからなる混合酸化物と
し、その組成は、酸素原子を含めない金属原子のみのa
t%(原子パーセント)にて、酸化インジウムを88a
t%(原子パーセント)、酸化セリウムを8.5at
%、酸化スズを3.0at%、酸化チタンを0.5at
%とした。
【0080】非晶質酸化物層36は、酸化セリウムを主
材とし、これに酸素原子を数に含めない金属原子のみの
at%(原子パーセント)にて、酸化ニオブを15at
%添加した混合酸化物とした。銀系薄膜33は、銀に金
及び銅を添加した銀合金にて形成したもので、その組成
は、銀98.5at%(原子パーセント)、金1.0a
t%、銅0.5at%とした。
【0081】次いで、本実施例3に係わる電極基板30
は、以下の製造プロセスにて製造した。まず、ソーダガ
ラス基板31に脱脂、洗浄、乾燥処理を行った後、ソー
ダガラス基板31をスパッタリング装置内に投入し、装
置内を真空引きした。
【0082】スパッタリング装置内の真空度が5×10
-4Paとなった段階でAr(アルゴン)ガス及びO
2 (酸素)ガスを導入し、スパッタリング装置内のガス
圧を0.35Paに調整した。このとき、導入ガス中の
2 (酸素)は、導入ガス中のO 2 %で10%(例え
ば、導入Arガス100SCCMに対し、導入O2 ガス
を10SCCMの割合)とするよう調整した。
【0083】次に、上記ガスを導入後、上記組成とした
混合酸化物(酸化セリウムおよび酸化ニオブ)ターゲッ
トに電圧を印加し、RF(高周波)スパッタリングにて
ソーダガラス基板31に下側非晶質酸化物層32を形成
した。
【0084】下側非晶質酸化物層32の形成が終了した
段階で放電及びガスの導入を停止し、スパッタリング装
置内を真空度5×10-4Paまで排気した。次に、スパ
ッタリング装置内にArガスを導入し、ガス圧を0.4
Paとなるよう調整し、上記組成とした銀合金(銀、
金、銅)ターゲットに電圧を印加し、DC(直流)スパ
ッタリングにて銀系薄膜33を形成した。
【0085】銀系薄膜33の形成が終了した段階で放電
及びガスの導入を停止し、スパッタリング装置内を真空
度5×10-4Paまで排気した。スパッタリング装置内
の真空度が5×10-4Paとなった段階でAr(アルゴ
ン)ガス及びO2 (酸素)ガスを導入し、スパッタリン
グ装置内のガス圧を0.35Paに調整した。このと
き、導入ガス中のO2 (酸素)は、導入ガス中のO 2
で0.75%(例えば、導入Arガス100SCCMに
対し、導入O2 ガスを0.75SCCMの割合)とする
よう調整した。
【0086】次に、上記ガスを導入後、上記組成とした
混合酸化物(酸化インジウム及び酸化セリウム)ターゲ
ットに電圧を印加し、DC(直流)スパッタリングにて
銀系薄膜33上に上側非晶質酸化物層35を形成した。
【0087】次に、スパッタリング装置よりソーダガラ
ス基板31を搬出し、ソーダガラス基板31に以下に記
すフォトリソプロセスを行った。まず、ソーダガラス基
板31上に、光感光性樹脂(ポジ型レジスト)をスピン
コーターにて膜厚1μmにて塗布した後、オーブンにて
90℃、20分間の乾燥を行った。次に、所定のパター
ン(例えば、平面視でストライプ状のパターン)を有す
る露光用フォトマスクを用い、露光装置にて光感光性樹
脂にパターン露光を行った後、アルカリ現像液(水酸化
カリウム10重量%)にて現像を行った。これにより、
パターン露光された光感光性樹脂部位を溶解し、所定の
部位に光感光性樹脂を残存させた。次いで、再びオーブ
ンにて90℃、20分間の乾燥を行った。
【0088】次いで、硫酸、硝酸、及び酢酸を混合した
エッチング液を用い、液温40℃のエッチング液中に約
30秒間ソーダガラス基板31を浸漬し、光感光性樹脂
より露出した積層膜部位をエッチングした。なお、エッ
チングの際に下側非晶質酸化物層32はエッチングされ
ず成膜時の状態で膜状に残留していたが、上記組成とし
た下側非晶質酸化物層32は導電性を持たないため、膜
状に残留しても電極パターンに電気的短絡をもたらすこ
とはない。エッチング後に基板全体に光照射した後、ア
ルカリ剥膜液(水酸化カリウム1重量%)を用い、光感
光性樹脂パターンを剥膜した。
【0089】次に、ソーダガラス基板31を再度スパッ
タリング装置内に投入した後、装置内を真空引きし、上
記組成とした混合酸化物(酸化セリウム及び酸化ニオ
ブ)ターゲットに電圧を印加し、RF(高周波)スパッ
タリングにてソーダガラス基板31に非晶質酸化物層3
6を形成した。なお、このときのスパッタリング装置内
の雰囲気は、上述した下側非晶質酸化物層32の形成時
と同様とした(すなわち、ArとO2 の混合ガスのガス
圧を0.35Paとし、O2 %を10%とした)。次
に、非晶質酸化物層36を形成した後、スパッタリング
装置より搬出したソーダガラス基板31に、180℃、
1時間の乾燥を行い、図3の電極基板30を得た。な
お、上述したスパッタリング成膜中、基板への加熱は行
わず、成膜は真空を保ったまま連続して行った。
【0090】本実施例3で得られた電極基板30の透過
率は、可視域の波長(400〜700nm)で70%以
上と高透過率であり、また、面積抵抗値は2.7Ω/□
と低抵抗であった。従って、本実施例3に係わる電極基
板30は、高透過率であり、低抵抗である電極基板を実
現できる。さらに、この銀系薄膜33を挟持する下側非
晶質酸化物層32、上側非晶質酸化物層35はともに非
晶質であるから、銀系薄膜33との界面における銀の動
きを原因とする凝集、白濁、及びこれに伴う銀系薄膜3
3の透過率の低下等を抑制することができる。また、非
晶質酸化物層36は、本実施例3においては非晶質であ
るとした。しかし、当該酸化物層は、屈折率の調節によ
る透過性の向上、銀系薄膜の保護機能を果たすものであ
るから、同様の機能を有するものであれば、非晶質に限
定されるものではない。なお、本実施例3に係わる非晶
質酸化物層36は導電性を持たず、保護層の役目を有す
る。また、本実施例3で得られた積層膜37は、透明電
極として形成したものであり、エッチングの際のサイド
エッチングが小さく抑えられているものである。
【0091】
【発明の効果】上述したように、本発明により、透過型
の電極基板においては高い透過率であり、また、反射型
の電極基板においては高い反射率の電極基板を高信頼性
にて提供することが可能となる。さらに本発明において
は、光学特性の変化が少なく、電気的接続においても接
続抵抗が低く、また、良好なパターニング性を有する電
極基板を実用レベルで提供することが可能である。
【0092】本発明においては、銀の移動を抑制する非
晶質酸化物層(固定層)を極めて薄く形成しているた
め、電極基板の耐熱性の確保とともに、電極基板の製造
の際に、高精度のパターン加工を可能としている。な
お、非晶質酸化物層(固定層)を厚く形成した場合、エ
ッチングの際にパターン形状が悪くなるものである。さ
らに本発明においては、電極上に絶縁膜としての機能を
有する保護層を、光学的特性を最適化する形で積層する
ことが出来るため、従来の電極基板に必要とされたオー
バーコートと呼称される絶縁膜の形成プロセスを省略で
き、製造工程を簡略化することが出来るというメリット
も有するものである。
【0093】本発明の電極基板に形成する、銀の移動を
抑制する非晶質酸化物層(固定層)は、膜厚20nm以
下、さらに好ましくは膜厚2〜10nmの極めて薄い膜
厚ながら、この固定層により電極基板は300℃付近ま
での耐温耐熱性を有することとなる。また、通常の銀の
薄膜では、表面に硫化銀や酸化銀が形成され、その反射
率または透過率が低下してしまうものであるが、本発明
においては、銀系薄膜の経時変化による変色が生じず、
安定性が高く品質の良い電極基板の提供が可能となる。
【0094】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる電極基板の一実施例の要部を示
す断面説明図。
【図2】本発明に係わる電極基板の他の実施例の要部を
示す断面説明図。
【図3】本発明に係わる電極基板のその他の実施例の要
部を示す断面説明図。
【図4】液晶表示装置に用いる透明電極板の一例を示す
断面説明図。
【図5】反射型液晶表示装置の一例の要部を示す断面説
明図。
【符号の説明】
1、21 下引き層 2、22、32 下側非晶質酸化物層 3、23、33 銀系薄膜 4、24、35 上側非晶質酸化物層 5 保護層 9、19、30 電極基板 10、20、31 基板 16 表示面 17 端子部 34 上側酸化物層 36 酸化物層 37 積層膜 40 基板 41、51、52 電極板 42、503 カラーフィルター 43 透明電極 44 配向膜 45、504 保護層 47 遮光膜 50 液晶表示装置 501 背面基板 502 反射膜 505、507 透明電極 506 TFT 508 偏光膜 509 液晶 510 シール材 511 基板

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板と所定のパターン形状とした多層導電
    膜とを具備する表示装置用電極基板であって、前記多層
    導電膜は、銀系薄膜との界面における銀の動きを抑制す
    る非晶質ないし非晶質様な酸化物からなる下側非晶質酸
    化物層と、銀系薄膜と、銀系薄膜との界面における銀の
    動きを抑制する非晶質ないし非晶質様な酸化物からなる
    上側非晶質酸化物層とを備え、少なくとも前記上側非晶
    質酸化物層の膜厚は20nm以下であることを特徴とす
    る表示装置用電極基板。
  2. 【請求項2】基板と所定のパターン形状とした多層導電
    膜とを具備する表示装置用電極基板であって、前記多層
    導電膜は、銀系薄膜との界面における銀の動きを抑制す
    る非晶質ないし非晶質様な酸化物からなる下側非晶質酸
    化物層と、銀系薄膜と、上側酸化物層とを備え、前記上
    側酸化物層は、銀系薄膜との界面における銀の動きを抑
    制する膜厚が20nm以下の非晶質ないし非晶質様な上
    側非晶質酸化物と、酸化物層とを備えていることを特徴
    とする表示装置用電極基板。
  3. 【請求項3】上側非晶質酸化物層は、膜厚と屈折率との
    積である光学的膜厚の値を20nm以下とした酸化物層
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の表示
    装置用電極基板。
  4. 【請求項4】上側非晶質酸化物層または上側酸化物層の
    上に保護層を備え、上側非晶質酸化物層または上側酸化
    物層と保護層との合計の光学的膜厚が70nm以上であ
    ることを特徴とする請求項1、2または3に記載の表示
    装置用電極基板。
  5. 【請求項5】保護層が、上側非晶質酸化物層と等しい、
    もしくは、上側非晶質酸化物層より低い屈折率の酸化物
    層であることを特徴とする請求項1、2、3または4に
    記載の表示装置用電極基板。
  6. 【請求項6】下側非晶質酸化物層が、下側非晶質酸化物
    層と等しい、もしくは、下側非晶質酸化物層より低い屈
    折率の酸化物よりなる下引き層を含む構成であることを
    特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の表示
    装置用電極基板。
  7. 【請求項7】銀系薄膜が、銀に、白金、パラジウム、
    金、銅、ニッケルから1種以上選択された金属を合わせ
    て3at%(原子パーセント)以下添加した銀合金からな
    ることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6
    に記載の表示装置用電極基板。
  8. 【請求項8】基板と、銀の動きを抑制する非晶質もしく
    は非晶質様な酸化物よりなる非晶質酸化物層にて銀系薄
    膜を挟持した多層構成の導電膜とを具備する表示装置用
    電極基板の製造方法において、 下側非晶質酸化物層と、銀系薄膜と、膜厚20nm以下
    の上側非晶質酸化物層とを少なくとも積層形成した後に
    パターン加工して電極とする工程と、電極として最適の
    光学特性となるよう膜厚を調節した保護層を前記電極上
    に積層着膜する工程とを少なくとも有することを特徴と
    する表示装置用電極基板の製造方法。
  9. 【請求項9】保護層が電気的絶縁材料であり、かつ、前
    記電極の電気的接続をとる部位を除き、保護に十分な膜
    厚にて電極上に保護層を積層することを特徴とする請求
    項8に記載の表示装置用電極基板の製造方法。
  10. 【請求項10】多層導電膜を所定の電極パターンとする
    パターン加工手段が、フォトレジストを用いたフォトリ
    ソグラフィー法であり、かつ、フォトリソグラフィー法
    のプロセスにて電極のパターンを形成した後にフォトレ
    ジストを除去する際、電気的接続をとる電極部位のレジ
    ストを残し、これを保護層を積層着膜する際のマスクと
    して用い、しかる後、レジストを除去することで、電気
    的接続をとる電極部位を保護層より露出させたことを特
    徴とする請求項8または9に記載の表示装置用電極基板
    の製造方法。
  11. 【請求項11】多層導電膜を所定の電極パターンとする
    パターン加工手段が、マスクスパッタリング法であるこ
    とを特徴とする請求項8または9に記載の表示装置用電
    極基板の製造方法。
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