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JP2009302071A - 有機el素子及びそれに用いる基板 - Google Patents

有機el素子及びそれに用いる基板 Download PDF

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JP2009302071A
JP2009302071A JP2009224061A JP2009224061A JP2009302071A JP 2009302071 A JP2009302071 A JP 2009302071A JP 2009224061 A JP2009224061 A JP 2009224061A JP 2009224061 A JP2009224061 A JP 2009224061A JP 2009302071 A JP2009302071 A JP 2009302071A
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Kazuyoshi Inoue
一吉 井上
Hisayuki Kawamura
久幸 川村
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

【課題】特定の無機化合物を含有した電極層を利用し、透明性や耐久性に優れ、駆動電圧が低く、発光輝度が高い有機EL素子を提供することを目的とする。
【解決手段】陽極層10と有機発光層14と陰極層16とを順次に積層した有機エレクトロルミネッセンス素子100において、陽極層10と陰極層16との少なくとも一方が、A−1群から選択される少なくとも一つの無機化合物、及び、下記B−1群から選択される少なくとも一つの化合物、を含有している。ここでA−1群は、Si,Ge,Sn,Pb,Ga,In,Zn,Cd,Mgのカルコゲナイド、酸窒化物、又は窒化物である。B−1群はランタノイド系元素のカルコゲナイド、酸窒化物、又は窒化物である。このように特定の有機化合物からなる陽極層10等を備えることにより、透明性や耐久性に優れ、駆動電圧が低くとも、高い発光輝度が得られる有機EL素子を提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と称する場合もある)及び有機EL素子に用いる基板、さらにその製造方法に関する。さらに詳しく述べれば、民生用及び工業用の表示機器(ディスプレイ)あるいはプリンターヘッドの光源等に用いることに好適な有機EL素子及びその有機EL素子に用いる基板及びその製造方法に関する。
従来から、電極間に有機発光層を挟持した構造を有する有機EL素子が、以下に示す理由等から鋭意研究され、開発の対象とされている。
(1)完全固体素子であるため、取り扱いや製造が容易である。
(2)自己発光が可能であるため、発光部材を必要としない。
(3)視認性に優れているため、ディスプレイに好適である。
(4)フルカラー化が容易である。
しかしながら、有機発光層は、有機物であり、一般に電子や正孔を輸送しにくいため劣化しやすく、長期間使用すると経時変化によってリーク電流が生じやすいという問題が知られている。
このような問題に対して、従来から種々の工夫がされてきた。
例えば、後述する特許文献1には、陽極の仕事関数と正孔輸送層のイオン化エネルギーとの間のエネルギー差を小さくし、長寿命化を図った有機EL素子が示されている。このような目的を達成するために、陽極に、酸化錫インジウム(ITO:Indium Tin Oxide)よりも仕事関数が大きく、かつ、導電性である金属酸化物材料を用いることが特許文献1に記載されている。このような導電性金属酸化物としては、例えば、RuOx 、MoO3、V25が記載されており、これらの金属酸化物を用いた有機EL素子が特許文献1に開示されている。
また、この特許文献1においては、光透過率(%)を向上させるために、これらの導電性の金属酸化物材料からなる薄膜とITOとを積層した2層構造の陽極が提案されている。
また、下記特許文献2には、長期間の使用を可能にすべく、電極と有機発光層との間に、絶縁性薄膜層を備えた有機EL素子が開示されている。この特許文献2に開示された有機EL素子は、具体的には、陽極層と有機発光層との間、あるいは陰極層と有機発光層との間に、窒化アルミニウムや窒化タンタル等からなる絶縁性薄膜層を備えた構成を採用している。
また、下記特許文献3には、m−MTDATAやテトラアリールジアミン誘導体等を使用することのない低コストの有機EL素子を提供することを目的として、電極と有機発光層との間に、NiOにIn23 ,ZnO,SnO2又はB,P,C,N,Oの少なくとも一つを添加した無機材料層、あるいはNi1-xO(0.05≦x≦0.5)よりなる無機材料層を形成した有機EL素子が開示されている。
特許第2824411号公報(特開平9−63771号公報) 特開平8−288069号公報 特開平9−260063号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された有機EL素子は、RuOx、MoO、V等の金属酸化物材料を使用しても、正孔の移動性や耐久性がいまだ不充分であると考えられる。また、RuOx 、MoO、V等の金属酸化物材料は、光吸収係数の値が27000cm-1以上であり、大きな値を示す。これは、着色の程度が強いことを意味する。したがって、これらの金属酸化物材料からなる陽極層は、可視光域における光透過率(%)が、例えばITOの約1/9〜1/5という極端に低い値を示している。そのため、有機EL素子としては、発光効率が低かったり、外部に取り出せる光量が少ないという問題が存在する。また、これらの金属酸化物材料からなる薄膜とITOとを積層した2層構造の陽極を構成しても、光透過率(%)はITOの約1/2程度であり、いぜんとして値が低く、実用に供する値ではないという問題の存在が確認できた。また、この2層構造の陽極層を構成する場合、ITOや金属酸化物薄膜の厚さを所定範囲内の値にそれぞれ制限しなければならず、製造上の制約が大きいという問題も見られる。
また、上記特許文献2に開示された有機EL素子では、絶縁性薄膜層に窒化アルミニウムや窒化タンタル等を使用しているため、この部分(絶縁性薄膜層)で電圧のロス(電圧降下)があり、結果として駆動電圧が高くなりやすいという問題が見られた。
そこで、本願の発明者らは上記問題を鋭意検討したところ、有機EL素子の電極層に特定の無機化合物を組み合わせて使用することにより、透明性や耐久性に優れ、しかも、低電圧(例えば、直流10V以下)の駆動電圧を印加した場合でも優れた発光輝度が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、特定の無機化合物を含有した電極層を備えさせることによって、透明性や耐久性に優れるとともに、駆動電圧が低く、しかも発光輝度が高い有機EL素子を提供することを目的とする。さらに、本発明は、そのような有機EL素子を効率的に製造可能な有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下のような手段を採用する。
まず、本発明の有機EL素子用基板は、少なくとも電極層と基材からなる有機エレクトロルミネッセンス素子用基板であって、当該電極層が、下記A−1群から選択される少なくとも一つの化合物、及びB−1群から選択される少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用基板である。
ここで、A−1群とは、Si,Ge,Sn,Pb,Ga,In,Zn,Cd,Mgのカルコゲナイド(Chalcogenide)、酸窒化物、又は窒化物であり、B−1群とは、ランタノイド系元素のカルコゲナイド、酸窒化物又は窒化物である。
また、本発明の有機EL素子用基板の別の構成は、少なくとも電極層と基材からなる有機エレクトロルミネッセンス素子用基板であって、当該電極層が、A−2群から選択される少なくとも一つの化合物、及びB−2群から選択される少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用基板である。
ここで、A−2群とは、Ge,Sn,Pb,Ga,In,Zn,Cd,Mgのカルコゲナイド、酸窒化物、又は窒化物であり、B−2群とは、ランタノイド系元素のカルコゲナイドである。
本発明の有機EL素子用基板は、前記電極層が陽極層であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用基板である。
本発明の有機EL素子用基板は、前記電極層が陰極層であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用基板である。
これらの発明の構成によれば、A−1群の化合物と、B−1群の化合物とを組み合わせて使用するか、あるいはA−2群の化合物と、B−2群の化合物とを組み合わせて使用することにより、電極層のイオン化ポテンシャルを効率的に上昇させることができる。したがって、上記本発明の有機EL素子用基板を用いて有機EL素子を構成すれば、耐久性に優れるとともに、駆動電圧が低く、しかも発光輝度が高い有機EL素子を得ることができる。
また、このように構成した電極層は、エッチング特性にも優れているという特徴がある。さらに、このようにA−1群、A−2群、B−1群あるいはB−2群の少なくとも一つの群にSiのカルコゲナイド又はその窒化物を電極層に含むことにより、その電極層を形成する際の基材との間の密着力をより向上させることができ、しかも、電極層をより均一に形成することができる。なお、これらの無機化合物により陽極層を構成した場合には、正孔の注入性を考慮して、イオン化ポテンシャルを5.6eV以上の値とするのが好ましい。一方、陰極層を構成した場合には、電子の注入性を考慮して、イオン化ポテンシャルを4.0eV未満の値とするのが好ましい。
本発明で示した材料は、イオン化ポテンシャルが5.8eV以上にすることが可能であり、陽極の材料として極めて好適である。
また、本発明の有機EL素子用基板は、前記電極層が比抵抗値を1Ω・cm未満であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用基板である。
このような手段を採用れば、電極層の抵抗が高いことを原因として、表示画面中に発光ムラが生じる現象を防止することができる。
したがって、このように電極層の比抵抗値を制限することにより、電子や正孔の注入性を向上させることができ、さらに、有機EL素子の駆動電圧をより低いものとすることができる。なお、逆に、電極層の構成材料の比抵抗値が1Ω・cmを超える場合には、比抵抗値が1Ω・cm未満の構成材料からなる電極層との2層構造とすることが好ましい。
また、本発明の有機EL素子用基板は、前記A−1群又はA−2群の化合物が、Sn,In及びZnのカルコゲナイド又は窒化物のいずれかである有機エレクトロルミネッセンス素子用基板である。これらの化合物は、A−1群又はA−2群の化合物の中でも特に消光性が低く、発光輝度が高い有機EL素子を構成することができる。
また、本発明の有機EL素子用基板は、前記B−1群又はB−2群の化合物が、Ce、Nd、Sm、Eu、Tb及びHoの酸化物のいずれかである有機エレクトロルミネッセンス素子用基板である。これらの化合物を組み合わせて使用することにより、電極層におけるイオン化ポテンシャル及びバンドギャップエネルギーの値の調整がそれぞれ容易となる。
また、本発明の有機EL素子用基板は、前記電極層の全体量を100at.%としたときに、前記B−1群又はB−2群の化合物の含有量を0.5〜30at.%の範囲内の値としてなる有機エレクトロルミネッセンス素子用基板である。このような範囲内の値とすることにより、高い透明性(光透過率)を維持したまま、電極層におけるイオン化ポテンシャルの値の調整をより容易とすることができる。また、このように構成された電極層は、酸等によるエッチング特性が優れているという特徴がある。
また、本発明の有機EL素子用基板は、前記電極層の膜厚を1〜100nmの範囲内の値としてなる有機エレクトロルミネッセンス素子用基板である。このように構成することにより、より耐久性に優れるとともに、駆動電圧が低く、しかも発光輝度が高い有機EL素子を製造することができる。また、このような範囲の電極層の厚さであれば、有機EL素子の厚さが過度に厚くなることもない。
次に、有機EL素子にかかる本発明の構成を説明する。
まず、本発明の有機EL素子は、少なくとも陽極層と、有機発光層と、陰極層とを順次に積層した構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記陽極層及び陰極層、又は、いずれか一方の電極層が、下記A−1群から選択される少なくとも一つの化合物、及び、下記B−1群から選択される少なくとも一つの化合物、を含有してなる有機エレクトロルミネッセンス素子である。
ここで、A−1群とは、Si,Ge,Sn,Pb,Ga,In,Zn,Cd,Mgのカルコゲナイド、酸窒化物、又は窒化物であり、B−1群とは、ランタノイド系元素のカルコゲナイド、酸窒化物、又は窒化物である。
また、本発明の他の有機EL素子は、少なくとも陽極層と、有機発光層と、陰極層とを順次に積層した構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記陽極層及び陰極層、又は、いずれか一方の電極層が、下記A−2群から選択される少なくとも一つの無機化合物、及び、下記B−2群から選択される少なくとも一つの化合物、を含有してなる有機エレクトロルミネッセンス素子である。
ここで、A−2群とは、Ge,Sn,Pb,Ga,In,Zn,Cd,Mgのカルコゲナイド、酸窒化物、又は窒化物であり、B−2群とは、ランタノイド系元素のカルコゲナイドである。
このようにA−1群の化合物と、B−1群の化合物とを組み合わせて使用するか、あるいはA−2群の化合物と、B−2群の化合物とを組み合わせて使用することにより、電極層のイオン化ポテンシャルを効率的に上昇させることができる。したがって、耐久性に優れるとともに、駆動電圧が低く、しかも発光輝度が高い有機EL素子を得ることができる。また、このように構成した電極層は、エッチング特性にも優れているという特徴がある。さらに、このようにA−1群、A−2群、B−1群あるいはB−2群の少なくとも一つの群にSiのカルコゲナイド又はその窒化物を電極層に含むことにより、その電極層を形成する際の基材との間の密着力をより向上させることができ、しかも、電極層をより均一に形成することができる。
なお、これらの化合物により陽極層を構成した場合には、正孔の注入性を考慮して、イオン化ポテンシャルを5.6eV以上の値とするのが好ましい。一方、陰極層を構成した場合には、電子の注入性を考慮して、イオン化ポテンシャルを4.0eV未満の値とするのが好ましい。本発明で示した材料は、イオン化ポテンシャルが5.8eV以上にすることが可能であり、陽極材料として極めて好適である。
また、本発明の有機EL素子は、前記陽極層及び陰極層、又はいずれか一方の電極層、の比抵抗値を1Ω・cm未満の値としてなる有機エレクトロルミネッセンス素子である。このような構成によって、電極層の抵抗が高いことを原因とする表示画面内の発光ムラの発生を防止することができる。
したがって、このように電極層の比抵抗値を制限することにより、電子や正孔の注入性を向上させることができる。さらに、有機EL素子の駆動電圧をより低いものとすることができる。なお、逆に、電極層の構成材料の比抵抗値が1Ω・cmを超える場合には、比抵抗値が1Ω・cm未満の構成材料からなる電極層との2層構造とすることが好ましい。
また、本発明は、前記A−1群又はA−2群の化合物が、Sn,In及びZnのカルコゲナイド又は窒化物のいずれかである有機エレクトロルミネッセンス素子である。これらの化合物は、A−1群又はA−2群の化合物の中でも特に消光性が低いため、より発光輝度が高い有機エレクトロルミネッセンス素子を実現できる。
また、本発明は、前記B−1群又はB−2群の化合物が、Ce、Nd、Sm、Eu、Tb及びHoのいずれかの物質の酸化物である有機エレクトロルミネッセンス素子である。これらの化合物を組み合わせて使用することにより、電極層におけるイオン化ポテンシャル及びバンドギャップエネルギーの値の調整がそれぞれ容易となる。
また、本発明は、前記電極層の全体量を100at.%としたときに、前記B−1群又はB−2群の化合物の含有量を0.5〜30at.%の範囲内の値としてなる有機エレクトロルミネッセンス素子である。このような範囲内の値とすることにより、高い透明性(光透過率)を維持したまま、より容易に電極層におけるイオン化ポテンシャルの値の調整を行うことができる。また、このように構成された電極層は、酸等によるエッチング特性が優れているという特徴がある。
また、本発明は、前記電極層の膜厚を1〜100nmの範囲内の値としてなる有機エレクトロルミネッセンス素子である。このように構成することにより、より耐久性に優れるとともに、駆動電圧が低く、しかも発光輝度が高い有機EL素子を得ることができる。また、このような範囲の電極層の厚さであれば、有機EL素子の厚さが過度に厚くなることもない。
また、本発明は、前記陽極層と有機発光層との間、及び、前記陰極層と有機発光層との間、もしくはいずれか一方の間に、前記A−1群から選択される少なくとも一つの無機化合物及びB−1群から選択される少なくとも一つの化合物を含有する無機薄膜層、又は、前記A−2群から選択される少なくとも一つの化合物及びB−2群から選択される少なくとも一つの化合物を含有する無機薄膜層を設けてなる有機エレクトロルミネッセンス素子である。
このように無機薄膜層をさらに設けることにより、リーク電流を効率的に抑止することができ、有機EL素子の高効率化を図ることができ、しかも、耐久性も向上する。
なお、陽極層と有機発光層との間に無機薄膜層を設ける場合には、陽極層と無機薄膜層との組成を異なるようにすることが非常に好ましい。具体的には、陽極層に、A−1群化合物/B−1群化合物=70〜90at.%/0.5〜10at.%からなる化合物を使用した場合には、無機薄膜層には、A−1群化合物/B−1群化合物=50〜90at.%未満/10at.%超〜50at.%からなる化合物を使用することが好ましい。また、A−2及びB−2群の化合物を用いた場合も同様である。
また、本発明は、前記有機発光層が、下記一般式(化学式1)〜(化学式3)のいずれかの構造式で表されるスチリル基を有する芳香族化合物の少なくとも一つを含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子である。
Figure 2009302071
ここで、一般式(化学式1)中、Arは、炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar、Ar、及びArは、それぞれ水素原子又は炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar、Ar、Ar、及びArの少なくとも一つは芳香族基であり、縮合数nは、1〜6の整数である。
Figure 2009302071
ここで、一般式(化学式2)中、Arは、炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar及びArは、それぞれ水素原子又は炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar、Ar及びArの少なくとも一つはスチリル基で置換されており、縮合数mは、1〜6の整数である。
Figure 2009302071
ここで、一般式(化学式3)中、Ar及びAr14は、炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar〜r13は、それぞれ水素原子又は炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar〜Ar14の少なくとも一つはスチリル基で置換されており、縮合数p、q、r、sは、それぞれ0又は1である。
また、本発明は、これまで述べた有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、前記電極層をスパッタリング法により形成し、前記有機発光層を真空蒸着法により形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。このように形成すると、緻密で、均一な膜厚を有する正孔注入層や有機発光層を形成することができる。したがって、より均一な発光輝度を有する有機EL素子を提供することができる。
以上、詳細に説明したように、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子によれば、特定の有機化合物からなる陽極層等を備えることにより、透明性や耐久性に優れ、駆動電圧が低くとも、高い発光輝度が得られる有機EL素子を提供することができるようになった。また、特定の無機化合物からなる陽極層等は、優れたエッチング特性を有していることも確認された。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板によれば、このような良好な性能を示す有機エレクトロルミネッセンス素子を容易に製造することができる。
また、本発明の有機EL素子の製造方法によれば、上述した透明性や耐久性に優れ、駆動電圧が低くとも、高い発光輝度が得られる有機EL素子を効率的に提供することができるようになった。
第1の実施形態における有機EL素子の断面図である。 第2の実施形態における有機EL素子の断面図である。 第3の実施形態における有機EL素子の断面図である。 第4の実施形態における有機EL素子の断面図である。 第5の実施形態における真空蒸着装置の斜視図である。 第5の実施形態における真空蒸着装置の断面図である。 基板における測定点の説明に供する図である。 各化学物質を表す化学構造式の図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、参照する図面は、この発明が理解できる程度に各構成成分の大きさ、形状及び配置関係を概略的に示してあり、実際の素子等とは各部の比率は異なる。したがって、この発明は図示例にのみ限定されるものではない。また、図面では、断面を表すハッチングを省略する場合がある。
[第1の実施形態]
まず、図1を参照して、本発明の有機EL素子における第1の実施形態について説明する。図1は、有機EL素子100の断面図である。この図に示すように、有機EL素子100は、陽極層10、有機発光層14及び陰極層16を、基板(図示せず)上に順次に積層した構造である。
以下、第1の実施形態における特徴的な部分である陽極層10及び有機発光層14を中心に説明する。その他の構成部分、例えば、陰極層16等の構成や製法についてはごく簡単に説明するものとし、言及していない部分については、有機EL素子の分野において一般的に知られている各種の構成や製法を採ることができる。
なお、第1の実施形態においては、陽極層10を、以下に述べるA−1群又はA−2群(以下、これをA群と総称する)及びB−1群又はB−2群(以下、これをB群と総称する)からなる化合物から構成している。しかしながら、上記無機化合物の仕事関数を4.0eV未満の値とした上で、陰極層16を、上記無機化合物から構成しても良い。
(1)陽極層10の構成材料
第1の本実施の形態の陽極層10は、下記A−1群の無機化合物及びB−1群の化合物を組み合わせて含有する構成、又は、下記A−2群の無機化合物及びB−2群の化合物を組み合わせて含有する構成、のいずれかを採用している。ただし、A−1群の無機化合物及びB−1群の化合物の組み合わせと、A−2群の無機化合物及びB−2群の化合物の組み合わせと、の間にはその一部において重複している化合物がある。
A−1群:Si,Ge,Sn,Pb,Ga,In,Zn,Cd,Mgのカルコゲナイド、酸窒化物、又は窒化物
A−2群:Ge,Sn,Pb,Ga,In,Zn,Cd,Mgのカルコゲナイド、酸窒化物、又は窒化物
B−1群:ランタノイド系元素のカルコゲナイド、酸窒化物、又は窒化物
B−2群:ランタノイド系元素のカルコゲナイド
このように、A群とB群の2種の化合物を組み合わせる理由は、上述したように、いずれか一方(A群又はB群)のみの化合物(有機化合物又は無機化合物)では、イオン化ポテンシャルの値を効率的に上昇させることが困難なためである。具体的には、イオン化ポテンシャルを5.8eVを超える値まで上昇させることが困難となるためである。
したがって、A−1群の無機化合物及びB−1群の化合物を組み合わせ、又はA−2群の無機化合物及びB−2群の化合物を組み合わせて、陽極層10を構成することにより、イオン化ポテンシャルを極めて大きな値である5.8eV以上とすることができる。その結果、耐久性や透明性に優れるとともに、駆動電圧が低く(比抵抗が低い)、しかも発光輝度が高い有機EL素子を得ることができる。
また、A−1群の無機化合物及びB−1群の化合物を組み合わせた化合物、あるいはA−2群の無機化合物及びB−2群の化合物を組み合わせた化合物、は、酸、例えば、塩酸や蓚酸によるエッチング特性が優れているという特徴を有する。具体的には、酸処理部と、非処理部との境界における断面が平滑であり、当該酸処理部と、非処理部との領域を明確に区別することができる。よって、このような無機化合物で構成した電極層は、電極パターンのエッチング精度に優れており、微小電極や複雑な形状の電極であっても、断線や変形、あるいは抵抗値増加等が少なくなるという効果が得られる。
A群無機化合物
なお、より具体的なA−1群の無機化合物としては、SiOx (1≦x≦2),GeOx (1≦x≦2),SnO2 ,PbO,In23 ,ZnO,GaO,CdO,ZnS,ZnCe,CdSe,Inx Zny O(0.2≦x/(x+y)≦0.95),ZnOS,CdZnO,CdZnS,MgInO,CdInO,MgZnO,GaN,InGaN,MgZnSSe等が挙げられる。
また、具体的なA−2群の無機化合物としては、上記A−1群の無機化合物からSiOx (1≦x≦2)等を除いた化合物が挙げられる。ここで、もちろん、ZnOはZnの酸化物であり、ZnSはZnの硫化物をそれぞれ意味しているが、特に、本実施の形態では、ZnとO、ZnとSはそれぞれ1:1の比率で正規組成しているばかりでなく、それからはずれた比率の化合物も含む。
また、A−1群及びA−2群の無機化合物では、特に、Sn,In及びZnのカルコゲナイド又はこれらの窒化物が好ましい材料である。この理由も、一部上述したように、これらの化合物は、A−1群及びA−2群の無機化合物の中でも吸収係数が小さく、特に消光性が低く、透明性に優れているため、外部に取り出すことができる光量を多くすることができるためである。また、上述したGe,Sn,Zn及びCdのカルコゲナイドにおいては、特に、これらの酸化物であることがより好ましい。
B群化合物
また、具体的なB−1群の化合物としては、Ce23、CeO2、Pr11、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、Yb23、Lu23、CeN、PrN、NdN、SmN、EuN、GdN、TbN、DyN、HoN、ErN、TmN、YbN、LuN等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、具体的なB−2群の化合物としては、Ce23、CeO2、Pr11、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、Yb23、Lu23からなる群から選択した一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
これらのB−1群及びB−2群の化合物のうち、Ce、Nd、Sm、Eu、Tb及びHoの酸化物、すなわち、CeOx ,Nd2O3,Sm23,Eu23 ,Tb ,及びHo23 であることがより好ましい。この理由も、一部上述したように、これらの無機化合物を使用することにより、陽極層10におけるイオン化ポテンシャルの値をより効率的に上昇させることができるためである。
B群(B−1群又はB−2群)化合物の含有量
次に、B群(B−1群又はB−2群を単にB群と称する)の化合物の含有量について説明する。かかるB群の化合物の含有量を、陽極層10の全体量を100at.%としたときに、0.5〜30at.%の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、B群の化合物の含有量が0.5at.%未満となると、陽極層10のイオン化ポテンシャルの調整性が悪化するためである。具体的には、イオン化ポテンシャルを5.65〜6.40eVの範囲内に調整することが困難となる場合があるためである。一方、B群の化合物の含有量が30at.%を超えると、導電性が低下したり、着色したり、あるいは透明性(光透過率)が低下する場合があるためである。
したがって、陽極層10におけるイオン化ポテンシャルの値の調整性と、透明性等とのバランスがより良好となることから、B群の化合物の含有量を、陽極層の全体量を100at.%としたときに、0.8〜20at.%の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10at.%の範囲内の値とすることがよりさらに好ましい。
A群(A−1群又はA−2群)化合物の含有量
なお、A群(A−1群又はA−2群を単に、A群と称する)の無機化合物の含有量は、陽極層10をA群(A−1群又はA−2群)及びB群(B−1群又はB−2群)の化合物から構成する場合には、全体量である100at.%から、かかるB群の化合物の含有量を差し引いた値となる。したがって、B群の化合物の含有量が陽極層10の中で0.5〜30at.%の範囲内の値の場合は、A群の無機化合物の陽極層10中の含有量は、70〜99.5at.%の範囲内の値となる。
ただし、陽極層10内に、A群及びB群以外の化合物(第三成分)を含む場合には、当該第三成分の含有量を考慮して、A群の無機化合物の含有量を定めることが好ましい。
陽極層の膜厚及び構造
また、陽極層10の膜厚は、特に制限されるものではないが、具体的に、0.5〜1000nmの範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、陽極層10の膜厚が0.5nm未満となると、長期間使用した場合に、ピンホールが生じて、リーク電流が観察される場合があるためであり、一方、陽極層10の膜厚が1000nmを超えると、電極の透明性が低くなり、発光輝度が低下する場合があるためである。したがって、耐久性と駆動電圧の値等のバランスがより良好となるため、陽極層10の膜厚を1.0〜800nmの範囲内の値とするのがより一層好ましく、2.0〜300nmの範囲内の値とするのがさらにより一層好ましい。また、陽極層10の構造についても、特に制限されるものでなく、単層構造であっても、二層以上の複層構造であっても良い。したがって、より高い透明性(光透過率)やより高い導電性を得たい場合には、より透明性の高い導電電極層やより導電性の高い導電電極層、例えばITOやIn2 O3 −ZnO上に積層し、二層構造とすることもできる。
陽極層の比抵抗
次に、陽極層10の比抵抗について説明する。かかる比抵抗の値は特に制限されるものではないが、例えば、1Ω・cm未満の値とすることが好ましい。この理由は、比抵抗の値が1Ω・cm以上となると、画素内の発光の不均一性が生じるほか、製造する有機EL素子の駆動電圧が高くなる場合があるためである。したがって、より低い駆動電圧を達成するために、陽極層10の比抵抗を40mΩ・cm以下の値とするのがより好ましく、1mΩ・cm以下の値とするのがさらにより好ましい。なお、陽極層10の比抵抗の値は、四探針法抵抗測定機を用いて、表面抵抗を測定した上、別途膜厚を測定することにより、算出することができる。
陽極層の形成方法
次に、陽極層10を形成する方法について説明する。かかる形成方法は特に特定の方法に制限されるものではない。例えば、スパッタリング法、蒸着法、スピンコート法、キャスト法を用いたゾルゲル法、スプレイパイロリシス法、イオンプレーティング法等の方法を採ることができる。特に、高周波マグネトロンスパッタリング法を採ることが好ましい。具体的には、真空度1×10-7〜1×10-3Pa、成膜速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃の条件でスパッタリングすることが好ましい。
(2)有機発光層
次に、有機発光層の説明を行う。
有機発光層の構成材料
有機発光層14の構成材料として使用する有機発光材料は、以下の3つの機能を併せ持つことが好ましい。
(a)電荷の注入機能:電界印加時に陽極あるいは正孔注入層から正孔を注入することができるとともに、陰極層あるいは電子注入層から電子を注入することができる機能。
(b)輸送機能:注入された正孔及び電子を電界の力で移動させる機能。
(c)発光機能:電子と正孔の再結合の場を提供し、これらを発光につなげる機能。
ただし、上記(a)〜(c)の各機能全てを併せ持つことは、必ずしも必要ではなく、例えば正孔の注入輸送性が電子の注入輸送性より大きく優れているものの中にも有機発光材料として好適なものがある。したがって、有機発光層14における電子の移動が促進されて、有機発光層14の内部の中央付近で正孔と電子が再結合可能な材料であれば好適に使用することができる。
ここで、有機発光層14における再結合性を向上させるために、有機発光材料の電子移動度を、1×10-7cm2 /V・s以上の値とするのが好ましい。この理由は、1×10-7cm2 /V・s未満の値となると、有機EL素子における高速応答が困難となったり、発光輝度が低下する場合があるためである。したがって、有機発光材料の電子移動度を、1.1×10-7〜2×10-3cm2 /V・sの範囲内の値とするのがより好ましく、1.2×10-7-7〜1.0×10-3cm2 /V・sの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
また、有機発光層14における有機発光材料の正孔移動度よりも、電子移動度の値を小さくするのが好ましい。この関係が逆の場合には、有機発光層14に使用可能な有機発光材料が過度に制限される場合があり、また、発光輝度が低下する場合があるためである。一方、有機発光材料の電子移動度を、正孔移動度の値の1/1000よりも大きくすることが好ましい。電子移動度が過度に小さくなると、有機発光層14の内部の中央近傍で正孔と電子が再結合することが困難となり、やはり発光輝度が低下する場合があるためである。したがって、有機発光層14における有機発光材料の正孔移動度(μh )と電子移動度(μe )とが、μh /2>μe >μh /500の関係を満足するのがより好ましく、μh /3>μe >μh /100の関係を満足するのがさらに好ましい。
また、本第1の実施形態において、有機発光層14には、上述した一般式(1)〜(3)で表されるスチリル基を有する芳香族環化合物を使用することが好ましい。このようなスチリル基を有する芳香族環化合物を使用することにより、上述した有機発光層14における有機発光材料の電子移動度及び正孔移動度の条件を容易に満足することができる。一般式(1)〜(3)における炭素数が6〜40の芳香族基のうち、好ましい核原子数5〜40のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラニル、フェナンスリル、ピレニル、コロニル、ビフェニル、ターフェニル、ピローリル、フラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、オキサジアゾリル、ジフェニルアントラニル、インドリル、カルバゾリル、ピリジル、ベンゾキノリル等が挙げられる。
また、好ましい核原子数5〜40のアリーレン基としては、フェニレン、ナフチレン、アントラニレン、フェナンスリレン、ピレニレン、コロニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、ピローリレン、フラニレン、チオフェニレン、ベンゾチオフェニレン、オキサジアゾリレン、ジフェニルアントラニレン、インドリレン、カルバゾリレン、ピリジレン、ベンゾキノリレン等が挙げられる。なお、炭素数が6〜40の芳香族基は、さらに置換基により置換されていても良く、好ましい置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基(エチル基、メチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、炭素数1〜6のアルコキシ基(エトキシ基、メトキシ基、i−プロポキシ基、n−プロポキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロペントキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、核原子数5〜40のアリール基、核原子数5〜40のアリール基で置換されたアミノ基、核原子数5〜40のアリール基を有するエステル基、炭素数1〜6のアルキル基を有するエステル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子が挙げられる。
また、有機発光層14に、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤や、スチリルベンゼン系化合物、8−キノリノール誘導体を配位子とする金属錯体を併用することも好ましい。また、ジスチリルアリーレン骨格の有機発光材料、例えば4,4’一ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等をホストとし、当該ホストに青色から赤色までの強い蛍光色素、例えばクマリン系あるいはホストと同様の蛍光色素をドープしたものを併用することも好適である。
有機発光層の形成方法
次に、有機発光層14を形成する方法について説明する。かかる形成方法は特定の方法に限定されるものではない。例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、スパッタリング法等の方法を採用することができる。例えば、真空蒸着法により形成する場合は、蒸着温度50〜450℃、真空度1×10-7〜1×10-3Pa、成膜速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃の条件を採ることが好ましい。
また、結着剤と有機発光材料とを所定の溶剤に溶かして溶液状態とした後、これをスピンコート法等により薄膜化することによっても、有機発光層14を形成することができる。なお、有機発光層14は、形成方法や形成条件を適宜選択し、気相状態の材料化合物から沈着されて形成された薄膜や、溶液状態又は液相状態の材料化合物から固体化されて形成された膜である分子堆積膜とすることが好ましい。通常、この分子堆積膜は、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは、凝集構造や高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により十分に区別することができる。
有機発光層の膜厚
有機発光層14の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜適切な膜厚を選択することができるが、現実には5nm〜5μmの範囲内の値が好ましい場合が多い。この理由は、有機発光層の膜厚が5nm未満となると、発光輝度や耐久性が低下する場合があり、一方、有機発光層14の膜厚が5μmを超えると、印加電圧の値が高くなる場合が多いためである。したがって、発光輝度や印加電圧の値等とのバランスがより良好となることから、有機発光層14の膜厚を10nm〜3μmの範囲内の値とすることがより好ましく、20nm〜1μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)陰極層
陰極層16には、仕事関数の小さい(例えば、4.0eV未満の)金属、合金、電気電導性化合物又はこれらの混合物を使用することが好ましい。具体的には、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、リチウム、ナトリウム、セシウム、銀等の一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて使用することができる。また陰極層16の厚さも特に制限されるものではないが、10〜1000nmの範囲内の値とするのが好ましく、10〜200nmの範囲内の値とするのがより好ましい。
(4)その他
また、図1には示さないが、有機EL素子100への水分や酸素の侵入を防止するための封止層を、有機EL素子100全体を覆うように設けることも好ましい。好ましい封止層の材料としては、テトラフルオロエチレンと、少なくとも一種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体;共重合主鎖中に環状構造を有する合フッ素共重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン又はクロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体等が挙げられる。
さらに、好ましい封止層の材料としては、吸収率1%以上の吸水性物質;吸水率0.1%以下の防湿性物質;In,Sn,Pb,Au,Cu,Ag,Al,Ti,Ni等の金属;MgO,SiO,SiO22,GeO,NiO,CaO,BaO,Fe2O,Y23 ,TiO2 等の金属酸化物;MgF2 ,LiF,AlF3 ,CaF2 等の金属フッ化物;パーフルオロアルカン,パーフルオロアミン,パーフルオロポリエーテル等の液状フッ素化炭素;及び当該液状フッ素化炭素に水分や酸素を吸着する吸着剤を分散させた組成物等が挙げられる。
また、封止層の形成にあたっては、真空蒸着法、スピンコート法、スパッタリング法、キャスト法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励超イオンプレーティング法)、反応性スパッタリング法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法等を適宜採用することができる。
[第2の実施形態]
次に、図2を参照して、この発明の第2の実施形態について説明する。図2は、第2の実施形態における有機EL素子102の断面図であり、陽極層10、無機薄膜層12、有機発光層14及び陰極層16を、基板上(図示せず。)に順次に積層した構造を有していることを表している。このように無機薄膜層12を設けることにより、注入された正孔を効率的に輸送することができる。したがって、無機薄膜層12を設けることにより、有機EL素子102の低電圧駆動が可能となるとともに、耐久性も向上する。
なお、第2の実施形態の有機EL素子102における特徴的な事項は、陽極層10と、有機発光層14との間に、無機薄膜層12を挿入してあることである。
この点以外は、第1の実施形態の有機EL素子100と同一の構造を有している。
したがって、以下の説明は、主に、第2の実施形態における特徴的な部分である無機薄膜層12についてのものであり、その他の構成部分、例えば陰極層16等については、第1の実施形態と同様の構成であるので第1の実施の形態の説明を参照されたい。
まず、無機薄膜層12を構成する無機化合物としては、上述した陽極層10を構成するA群(A−1群又はA−2群)及びB群(B−1群又はB−2群)の化合物の組み合わせが挙げられる。したがって、かかるB群の化合物の含有量を、陽極層10と同様に、無機薄膜層の全体量を100at.%としたときに、0.5〜50at.%の範囲内の値とすることが好ましく、1.0〜40at.%の範囲内の値とすることがより好ましく、5.0〜30at.%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。また、その膜厚や形成方法についても、陽極層10と同様の構成とすることが好ましい。
ただし、陽極層10と有機発光層14との間に無機薄膜層12を設ける場合には、陽極層10と無機薄膜層14との組成を異ならせる必要がある。具体的に、陽極層10には、A群(A−1群又はA−2群)/B群(B−1群又はB−2群)=70〜90at.%/0.5〜10at.%からなる化合物を使用し、一方、無機薄膜層12には、A群(A−1群又はA−2群)/B群(B−1群又はB−2群)=50〜90at.%未満/10at.%超〜50at.%からなる無機化合物を使用することが好ましい。この理由は、B群(B−1群又はB−2群)の化合物量がこの範囲外となると、透明性が低下したり、比抵抗が大きくなり、電極として好ましくないためである。
[第3の実施形態]
次に、図3を参照して、この発明の第3の実施形態について説明する。図3は、第3の実施形態における有機EL素子104の断面図であり、陽極層10、無機薄膜層12、正孔輸送層13、有機発光層14及び陰極層16を、基板上(図示せず。)に順次に積層した構造を有していることを表している。
本第3の実施の形態においては、第1や第2の実施の形態に加え、正孔輸送層13をさらに設けることにより、注入された正孔を効率的に輸送することができる。したがって、正孔輸送層13を設けることにより、有機EL素子104の低電圧駆動が可能となるとともに、耐久性も向上する。
なお、本第3の実施形態の有機EL素子104は、無機薄膜層12と、有機発光層14との間に、正孔輸送層13を挿入してある点を除いては、第2の実施形態の有機EL素子102と同一の構造を有している。したがって、以下の説明は、第3の実施形態における特徴的な部分である正孔輸送層13を中心に行う。その他の構成部分、例えば陰極層16等については、第1及び第2の実施形態と同様の構成とすることができるので、上記第1及び第2の実施の形態の説明を参照されたい。
(1)正孔輸送層13の構成材料
正孔輸送層13は、有機化合物又は無機化合物で構成することが好ましい。このような有機材料としては、例えば、フタロシアニン化合物、ジアミン化合物、含ジアミンオリゴマー及び含チオフェンオリゴマー等を挙げることができる。また、好ましい無機化合物の材料としては、例えば、アモルファスシリコン(α−Si)、α−SiC、マイクロクリスタルシリコン(μC−Si)、μC−SiC、II−VI族化合物、III −V族化合物、非晶質炭素、結晶質炭素及びダイヤモンド等を挙げることができる。また、別種の無機材料として、酸化物、フッ化物及びチッ化物が挙げられ、より具体的には、Al23、SiO、SiOx (1≦x≦2)、GaN、InN、GaInN、GeOx (1≦x≦2)、LiF、SrO、CaO、BaO、MgF2、CaF2、UgF2、SiNx (1≦x≦4/3)等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。また、正孔移動度が1×106cm2/V・秒以上の値(印加電圧1×104〜1×106 V/cm)であり、かつ、イオン化ポテンシャルの値が5.5eV以下の値となるように構成材料を選択することが好ましい。
(2)正孔輸送層13の構造及び形成方法
また、正孔輸送層13は、一層構造に限らず、例えば、二層構造又は三層構造であっても良い。さらに、正孔輸送層13の膜厚についても特に制限されるものではないが、例えば0.5nm〜5μmの範囲内の値とするのが好ましい。また、正孔輸送層13の形成方法についても特に制限はなく種々の方法を採用可能である。しかし現実的には、正孔注入層の形成方法と同様の方法を採ることが好ましい。
[第4の実施形態]
次に、図4を参照して、この発明の第4の実施形態について説明する。図4は、第4の実施形態における有機EL素子106の断面図であり、陽極層10、無機薄膜層12、正孔輸送層13、有機発光層14、電子注入層15及び陰極層16を、基板上(図示せず。)に順次に積層した構造を有していることを表している。このように、本題4の実施の形態においては、電子注入層15を設けることにより、電子を効率的に注入する機能を発揮することができる。したがって、電子注入層15を設けることにより、電子の有機発光層14への移動が容易となり、有機EL素子106の応答性能が改善される。
なお、第4の実施形態における有機EL素子106の特徴的な点は、有機発光層14と陰極層16との間に、電子注入層15を挿入してある点である。この点除けば、第4の実施の形態の有機EL素子106は、第3の実施形態の有機EL素子104と同一の構造を有している。したがって、以下の説明は、第4の実施形態における特徴的な部分である電子注入層15を中心に行い、その他の構成部分については、上で述べた第1〜第3の実施の形態と同様の構成、もしくは有機EL素子の分野において一般的に公知な構成、を採用することができる。
(1)電子注入層の構成材料
電子注入層15は、有機化合物あるいは無機化合物から構成することが好ましい。特に、有機化合物から構成することにより、陰極からの電子の注入性や耐久性により優れた有機EL素子とすることができる。ここで、好ましい有機化合物としては、8―ヒドロキシキノリンやオキサジアゾール、あるいはこれらの誘導体、例えば、8―ヒドロキシキノリンを含む金属キレートオキシノイド化合物等が挙げられる。
また、電子注入層15を無機化合物で構成する場合、この無機化合物として、絶縁体又は半導体を使用することが好ましい。電子注入層15が絶縁体や半導体で構成されていれば、電流のリークを有効に防止して、電子注入性を向上させることができるのである。このような絶縁体としては、アルカリ金属カルコゲナイド(酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物)、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用するのが好ましい。電子注入層15がこれらのアルカリ金属カルコゲナイド等で構成されていれば、電子注入性をさらに向上させることができる点で好ましい。
具体的に、好ましいアルカリ金属カルコゲナイドとしては、例えば、Li2O、LiO、Na2S、Na2Se及びNaOが挙げられる。好ましいアルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、及びCaSeが挙げられる。また、好ましいアルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl及びNaCl等が挙げられる。また、好ましいアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF2、BaF2、SrF2、MgF2及びBeF2といったフッ化物や、フッ化物以外のハロゲン化物が挙げられる。
また、電子注入層15を半導体で構成する場合、好ましい半導体としては、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Li、Na、Cd、Mg、Si、Ta、Sb及びZnの少なくとも一つの元素を含む酸化物、窒化物又は酸化窒化物等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。また、電子注入層15を構成する無機化合物は、微結晶又は非晶質の絶縁性薄膜であることが好ましい。電子注入層15がこれらの絶縁性薄膜で構成されていれば、より均質な薄膜が形成されるために、ダークスポット等の画素欠陥を減少させることができる。なお、このような無機化合物としては、上述したアルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられる。
(2)電子親和力
また、第4の実施形態における電子注入層15の電子親和力は、1.8〜3.6eVの範囲内の値とすることが好ましい。電子親和力の値が1.8eV未満となると、電子注入性が低下し、駆動電圧の上昇,発光効率の低下をまねく傾向があり、一方で、電子親和力の値が3.6eVを超えると、発光効率の低い錯体が発生しやすくなったり、ブロッキング接合の発生を効率的に抑制することができる。したがって、電子注入層の電子親和力を、1.9〜3.0eVの範囲内の値とすることがより好ましく、さらに2.0〜2.5eVの範囲内の値とすることがより一層好ましい。また、電子注入層15と有機発光層14との電子親和力の差を1.2eV以下の値とすることが好ましく、0.5eV以下の値とすることがより好ましい。この電子親和力の差が小さいほど、電子注入層15から有機発光層14への電子注入が容易となり、応答性能が改善された有機EL素子106を構成することができる。
(3)エネルギーギャップ
また、第4の実施形態における電子注入層15のエネルギーギャップ(バンドギャップエネルギー)を2.7eV以上の値とすることが好ましく、3.0eV以上の値とすることがより好ましい。このように、エネルギーギャップの値を所定値以上、例えば2.7eV以上と大きな値とすることによって、正孔が有機発光層14を超えて電子注入層15に移動してしまうことを少なくすることができる。したがって、正孔と電子との再結合の効率が向上し、有機EL素子106の発光輝度が高まるとともに、電子注入層15自体が発光することを回避することができる。
(4)構造
次に、無機化合物からなる電子注入層15の構造について説明する。かかる電子注入層15の構造は特に制限されるものではなく、例えば、一層構造であっても良く、あるいは、二層構造又は三層構造であっても良い。また、電子注入層15の厚さについても特に制限はなく、状況により種々の厚みを採用することができる。現実的には、例えば0.1nm〜1000nmの範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、無機化合物からなる電子注入層15の厚さが0.1nm未満となると、電子注入性が低下したり、あるいは機械的強度が低下する場合があるためである。その一方、無機化合物からなる電子注入層15の厚さが1000nmを超えると、高抵抗となるため、有機EL素子106の応答性能が劣化、すなわち高速応答が困難となったり、あるいは成膜に長時間を要する場合があるためである。したがって、無機化合物からなる電子注入層15の厚さは0.5〜100nmの範囲内の値とするのがより好ましく、1〜50nmの範囲内の値とするのがより一層好ましい。
(5)形成方法
次に、電子注入層15を形成する方法について説明する。電子注入層15の形成方法については、均一な厚さを有する薄膜層として形成できれば特に制限があるものではない。例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、スッパリング法等、各種の方法を適用することができる。
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態は、複数の無機化合物を用いた場合であっても、構成材料の組成比が均一である、エッチング特性や透明性に優れた陽極層16が得られる。結果として、駆動電圧が小さく、しかも発光輝度や耐久性に優れた有機EL素子が効率的に得られる製造方法を提供するものである。すなわち、第5の実施形態においては、特定のターゲット及びスパッタリング法を用いて、陽極層16を形成することを第1の特徴としている。また、第5の実施形態は、例えば、複数の有機発光材料を用いた場合であっても、構成材料の組成比が均一な有機発光層14が得られる。結果として、駆動電圧が小さく、高い発光輝度が得られ、しかも耐久性に優れた有機EL素子が効率的に得られる製造方法を提供するものである。すなわち、第5の実施形態においては、特定の真空蒸着法を用いて、複数の有機化合物から有機発光層14を形成することを第2の特徴としている。
構成材料の組成比が均一であるという特性を有する有機EL素子を得るために、少なくとも陽極層10と有機発光層14とを、大気に露出せず、一貫した同一真空条件で形成することが好ましい。第5の実施形態においては、スパッタリング法を実施する真空槽と真空蒸着法を実施する真空槽とを共用していることを第3の特徴としている。その理由は、構成材料の組成比が均一な特性を有する有機EL素子を得るためである。そこで、第5の実施形態においては、一つの真空槽内に、スパッタリング法を実施するために必要な加熱装置及び、基板保持手段のみならず、真空蒸着法を実施するするために必要な加熱装置、蒸着源等を備えることにより、スパッタリング法を実施する真空管と真空蒸着法を実施する真空槽とを共有することができる。なお、第5の実施形態の変形例として、スパッタリング用の真空槽と真空蒸着用の真空槽とをそれぞれ別途に設け、それらを予め連結しておく構成も採用可能である。このような変形よれば、真空蒸着法を実施した後所定の搬送装置により基板をスパッタリング法用の真空槽内に移動させることによって、真空槽を共有する場合と同様の結果が得られる。また、本第5の実施の形態で説明する有機EL素子の構成は、理解の容易のため、第4の実施形態と同様としてある。
第5の実施形態において採用した製造方法によれば、下記に示す各層を、それぞれに対応する製法により形成した。
陽極層10: 高周波マグネトロンスパッタリング法
無機薄膜層12:高周波マグネトロンスパッタリング法
正孔輸送層13:真空蒸着法
有機発光層14:真空蒸着法
電子注入層15:真空蒸着法
陰極層16: 真空蒸着法
(1)陽極層及び無機薄膜層の形成
陽極層10及び無機薄膜層12を高周波マグネトロンスパッタリング法で形成するにあたり、A群(A−1群又はA−2群)及びB群(B−1群又はB−2群)の化合物からなるターゲットを用いることが好ましい。具体的には、ターゲットは、少なくともA群(A−1群又はA−2群)及びB群(B−1群又はB−2群)を所定割合で含んでいなければならない。また、原材料であるターゲット(平均粒子径1μm以下)は、溶液法(共沈法)(濃度:0.01〜10mol/リットル、溶媒:多価アルコール等、沈殿形成剤:水酸化カリウム等)、物理混合法(撹拌機:ボールミル、ビーズミル等、混合時間:1〜200時間)を用いることにより均一に混合された後、焼結(温度1200〜1500℃、時間10〜72時間、より好ましくは、24〜48時間)し、さらに成型(プレス成型やHIP成型等)して得られたものが好ましい。このときに、成型する際の昇温速度を1〜50℃/分の範囲内の値とするのがより好ましい。これらの方法により得られたターゲットは、構成材料の組成比が均一あるという特性を有しているという特徴がある。なお、スパッタリング条件だけで組成比等を調節することができることから、A群(A−1群又はA−2群)及びB群(B−1群又はB−2群)の化合物を、それ別個に、スパッタリングすることも好ましい。
また、スパッタリングの条件は、特に制限されるものでないが、アルゴン等の不活性ガス中、プラズマ出力をターゲットの表面積1cm2 あたり0.3〜4W、真空度1×10-7〜1×10-3Pa、成膜速度0.01〜50nm/秒、成膜時間5〜120分、基板温度−50〜300℃の条件を採ることが好ましい。このようなスパッタリング条件であれば経済的であり、また、均一な膜厚を有する緻密な陽極層16及び無機薄膜層12を形成することができるからである。
(2)有機発光層14の形成
図5及び図6を参照して、異なる蒸着材料を同時に蒸発させて有機発光層14を形成する方法を説明する。まず、真空蒸着装置201を用い、基板203に当該基板203を自転させるための回転軸線213Aを設定する。次に、蒸着源212A〜212Fをそれぞれ基板203の回転軸線213Aから離れた位置に配設し、基板203を自転させる。それと同時に、当該基板203に対向して配置した複数の蒸着源212A〜212Fから異なる蒸着材料を同時に蒸発させて蒸着を行う。このようにして、有機発光層14を得ることができる。
ここで、図5及び図6に示す真空蒸着装置201は、真空槽210と、この真空槽210内の上部に設置された基板203を固定するための基板ホルダ211と、この基板ホルダ211の下方に対向配置された蒸着材料を充填するための複数(6個)の蒸着源212A〜212Fとを含んで構成されている。この真空槽210は、排気手段(図示せず)により、内部を所定の減圧状態に維持できるようになっている。なお、蒸着源の数は、図面上6つ示されているが、これに限定されるものではなく、5つ以下であっても良く、あるいは7つ以上であっても良い。
また、基板ホルダ211は、基板203の周縁部を支持する保持部212を備え、真空槽210内で、基板203を水平に保持するように構成されている。この基板ホルダ211の上面の中央部分には、基板203を回転(自転)させるための回転軸部213が垂直方向に立設されている。この回転軸部213には、回転騒動手段であるモータ214が接続され、モータ214の回転動作により、基板ホルダ211に保持された基板203が、当該基板ホルダ211とともに回転軸部213を回転中心として自転するようになっている。すなわち、基板203の中心には、回転軸部213による回転軸線213Aが垂直方向に設定されている。
次に、このように構成された真空蒸着装置201を用いて、二種類の有機発光材料(ホスト材料とドーパント材料)から、有機発光層12を基板203上に成膜する方法について、具体的に説明する。まず、図5に示すような平面正方形状の基板203を用意し、この基板203を基板ホルダ211の保持部212に係止して水平な状態とする。この点、図5に示す基板203が水平状態に保持されているということは、基板203が基板ホルダ211の保持部212に係止して水平な状態であることを示している。
ここで、有機発光層12を成膜するにあたり、仮想円221上で、隣接する二つの蒸着源212B及び212Cに、ホスト材料とドーパント材料とをそれぞれ充填する。充墳の後、排気手段により真空槽210内を所定の真空度、例えば1.0×10-4Torrになるまで減圧する。次いで、蒸着源212B及び212Cを加熱して、各蒸着源212B及び212Cからそれぞれホスト材料とドーパント材料とを同時に蒸発させる。それと同時に、モータ214を回転騒動させて、基板203を回転軸線213Aに沿って所定速度、例えば1〜100rpmで回転させる。このようにして、基板203を自転させながらホスト材料とドーパント材料とを共蒸着して有機発光層12を成膜する。このとき、図6に示すように、蒸着源212B及び212Cは、基板203の回転軸線213Aから、水平方向に所定距離Mだけずれた位置に設けられているので、基板203の回転により、ホスト材料やドーパント材料等の蒸着材料における基板203への入射角度を規則的に変化させることができる。したがって、蒸着材料を基板203に対して一様に付着させることができ、電子注入層15の膜面内で、蒸着材料の組成比が均一である薄膜層を確実に成膜することができる。例えば、濃度ムラが±10%(モル換算)である薄膜層を成膜することができることである。また、このように蒸着を実施することにより、基板203を公転させなくても良いので、そのスペースや設備が不要になり、最小限のスペースで経済的に成膜を行うことができる。ここで、基板203を公転させるとは、基板以外に存在する回転軸の周りを回転させることをいい、自転させる場合よりも広い空間が必要となる。
また、同時蒸着を実施するにあたり、基板203の形状は特に限定されることはない。一例として、図5に示すように、基板203が短形平板状であり、基板203の辺の長さがそれぞれ同一である場合には、この基板203の回転軸線213Aを中心とする仮想円221の円周上に沿って複数の蒸着源212A〜212Fを配設し、仮想円221の半径をM、基板203の一辺の長さをLとしたときに、M>(1/2)×Lを満足ような短形平板状であることが望ましい。これに対し、基板203の辺の長さがそれぞれ同一でなく、異なる場合には、最も長い辺の長さをLとする。このように構成することにより、複数の蒸着源212A〜212Fから、基板203に対する蒸着材料の入射角度を互いに同一にできるので、蒸着材料の組成比をより容易に制御することができる。また、このように構成することにより、蒸着材料が、基板203に対して一定の入射角度を以て蒸発されるため、垂直に入射することがなくなり、膜面内における組成比の均一性を一層向上させることができる。
また、第5の実施形態の製造方法を実施するにあたり、図5に示すように、複数の蒸着源212A〜212Fを、基板203の回転軸線213Aを中心とする仮想円221の円周上に配設し、複数の蒸着源212A〜212Fの配設数(個数)をnとしたときに、各蒸着源212A〜212Fを、仮想円221の中心から360°/nの角度で配設することが好ましい。例えば、蒸着源212を6個配設する場合には、仮想円221の中心から60°の角度で配設することが好適である。このように配置すると、基板203の各部分に対して、複数の蒸着材料を順次重ねるように成膜できるので、膜の厚さ方向において、組成比が規則的に異なる薄膜層を容易に成膜することができる。
次に、上述した同時蒸着方法により成膜した有機発光層14における組成の均一性についてより詳細に説明する。一例として、ホスト材料としてAlqを用い、ドーパント材料としてCsを用い、図7に示す基板203を5rpmで回転させながら、厚さ約1000オングストローム(設定値)の薄膜層を以下の条件で同時蒸着した。
Alqの蒸着速度: 0.1〜0.3nm/s
Csの蒸着速度: 0.1〜0.3nm/s
Alq/Csの膜厚:1000オングストローム(設定値)
なお、Alqの化学構造式は図8に示されている。
次いで、図7に示すガラス基板203上の測定点(4A〜4M)における得られた薄膜層の膜厚を、触針式膜厚計を用いて測定するとともに、Cs/Al(Alq中のAl)組成比(原子比)をX線光電子分光装置(XPS)を用いて測定した。なお、図7に示すガラス基板203上の測定点(4A〜4M)は、基板203の表面を、予め16等分して、一辺の長さPが50mmの正方形の区画を設定し、これらの区画における任意の角部(13箇所)としたものである。得られた結果を表1に示す。
Figure 2009302071
一方、ガラス基板203を回転させないほかは、上記同時蒸着方法と同様の蒸着条件において、厚さ約1000オングストローム(設定値)の薄膜層を形成した。得られた薄膜層の測定点(4A〜4M)におけるの膜厚及びCs/Alの組成比(原子比)を測定し、結果を表2に示す。
Figure 2009302071
これらの結果から明らかなように、上述した同時蒸着方法によれば、基板203上の測定点(4A〜4M)にて、膜厚が1008〜1093オングストロームの範囲内という極めて均一な厚さで、かつ、Cs/Alの組成比(原子比)が1.0〜1.10の範囲内という極めて均一な組成比である薄膜層が得られることが確認された。一方、上述した同時蒸着方法と異なる製造方法を用いた場合、基板203上の測定点(4A〜4M)にて、膜厚が884〜1067オングストロームの範囲内の値であり、Cs/Alの組成比が0.6〜1.3の範囲内の値であることが確認された。
[実施例1]
(1)有機EL素子の製造準備(ターゲットの作成)
酸化インジウムと酸化セリウムとの粉末(平均粒子径1μm以下)を、Ce/(In+Ce)のモル比が0.05になるように、湿式ボールミル容器内に収容し、72時間にわたって混合粉砕した。次いで、得られた粉砕物を造粒してから、直径4インチ、厚さ5mmの寸法にプレス成形した。これを焼成炉に収容した後、1400℃の温度で、36時間加熱焼成し、陽極層10用のターゲット1を製造した。
(2)陽極層10の形成
次いで、高周波スパッタリング装置と真空蒸着装置における共用の真空槽内に厚さ1.1mm、縦25mm、横75mmの透明なガラス基板及び、得られたターゲット1を配置し、高周波スパッタリング装置を稼働して、厚さ75nmの透明電極膜を陽極層10として形成し基板を得た。なお、真空度を3×10-1Paまで減圧した状態で、アルゴンガスに酸素ガスを混入したガスを封入し、当該雰囲気中において、到達真空度5×10-4Pa、基板温度25℃、投入電力100W、成膜時間14分の条件で、スパッタリングした。以下、このガラス基板と陽極層10とを併せて基板とする。続いて、この基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、さらに、N2(窒素ガス)雰囲気中で乾燥させた後、UV(紫外線)及びオゾンを用いて10分間洗浄した。この状態で、基板における陽極層10のイオン化ポテンシャルの値をAC−1(理研計器社製)を用いて測定したところ、6.20eVであった。また、陽極層10を形成した基板の光透過率(波長550nm)を測定したところ、89%であった。
(3)真空蒸着装置における処理
真空槽の基板ホルダに基板を装着し、次いで、真空槽内を、1×10-6Torr以下の真空度になるまで減圧した後、基板の陽極層10及び無機薄膜層12上に、正孔輸送層13、有機発光層14、電子注入層15及び陰極層16を順次積層して有機EL素子を得た。なお、このとき、有機発光層14の形成から陰極層16の形成までの間は、一度も真空状態を破ることなく、同一真空条件であった。
まず、正孔輸送材料としてTBDBを60nm真空蒸着した。次に発光層としてDPVDPANとD1を真空下で40nm共蒸着した。このときのDPVDPANの蒸着速度:は40nm/sであり、D1の蒸着速度は 1nm/sであった。
なお、TBDBの化学構造式は、図8に示されている。また、DPVDPANの化学構造式も、図8に示されている。また、D1の化学構造式も、図8に示されている。
次いで、電子注入層としてAlqを20nm真空蒸着した。
最後に、Al及びLiを真空蒸着し、電子注入層15上に陰極層16を形成し、有機EL素子とした。このときのAlの蒸着速度は 1nm/sであり、Liの蒸着速度は 0.01nm/sであり、Al/Liの膜厚は200nmであった。
(4)有機EL素子の評価得られた有機EL素子における陰極層16をマイナス(−)電極、陽極層10をプラス(+)電極として、両電極間に4.8Vの直流電圧を印加した。このときの電流密度は2.0mA/cm2であり、発光輝度は164nit(cd/m2)であった。また、発光色は青色であることを確認した。さらに、耐久性評価として、10mA/cm2で定電流駆動したところ、1000時間以上経過後にも、特にリーク電流の発生は見られなかった。
Figure 2009302071
Figure 2009302071
[実施例2]
実施例1におけるターゲット1のかわりに、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化亜鉛と、酸化ネオジウムとからなる、インジウムのモル比(In/(In+Sn+Zn))が0.8であり、スズのモル比(Sn/(In+Sn+Zn))が0.1であり、亜鉛(Zn/(In+Sn+Zn))のモル比が0.1であるターゲット3を用いた。その他の製造条件は実施例1と同様にして有機EL素子を作成した。なお、陽極層10のイオン化ポテンシャルの値は、5.85eVであった。得られた有機EL素子に実施例1と同様に、電極間に5.3Vの直流電圧を印加したところ、電流密度の値は2.0mA/cm2であり、発光輝度は158nitであった。また、発光色は青色であることを確認した。
[実施例3]
実施例1におけるターゲット1のかわりに、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化亜鉛と、酸化サマリウムとからなる、インジウムのモル比(In/(In+Sn+Zn))が0.8であり、スズのモル比(Sn/(In+Sn+Zn))が0.1であり、亜鉛(Zn/(In+Sn+Zn))のモル比が0.1であり、かつ、金属全体におけるサマリウムのモル比(Sm/(In+Sn+Zn+Sm))が0.04であるターゲット4を用いた。その他の製造条件は実施例1と同様にして有機EL素子を作成した。なお、陽極層10のイオン化ポテンシャルの値は、5.95eVであった。得られた有機EL素子に実施例1と同様に、電極間に5.0Vの直流電圧を印加したところ、電流密度の値は2.0mA/cm2であり、発光輝度は168nitであった。また、発光色は青色であることを確認した。
[実施例4]
実施例1におけるターゲット1のかわりに、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化亜鉛と、酸化ユウロピウムとからなる、インジウムのモル比(In/(In+Sn+Zn))が0.8であり、スズのモル比(Sn/(In+Sn+Zn))が0.1であり、亜鉛(Zn/(In+Sn+Zn))のモル比が0.1であり、かつ、金属全体におけるユウロピウムのモル比(Eu/(In+Sn+Zn+Eu))が0.04であるターゲット5を用いた。その他の製造条件は実施例1と同様にして有機EL素子を作成した。なお、陽極層10のイオン化ポテンシャルの値は、5.80eVであった。得られた有機EL素子に実施例1と同様に、電極間に5.1Vの直流電圧を印加したところ、電流密度の値は2.0mA/cm2であり、発光輝度は165nitであった。また、発光色は青色であることを確認した。
[実施例5]
実施例1におけるターゲット1のかわりに、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化亜鉛と、酸化テルビウムとからなる、インジウムのモル比(In/(In+Sn+Zn))が0.8であり、スズのモル比(Sn/(In+Sn+Zn))が0.1であり、亜鉛(Zn/(In+Sn+Zn))のモル比が0.1であり、かつ、金属全体におけるテルビウムのモル比(Tb/(In+Sn+Zn+Tb))が0.06であるターゲット6を用いた。その他の製造条件は実施例1と同様にして有機EL素子を作成した。なお、陽極層10のイオン化ポテンシャルの値は、5.84eVであった。得られた有機EL素子に実施例1と同様に、電極間に5.1Vの直流電圧を印加したところ、電流密度の値は165mA/cm2であり、発光輝度は95nitであった。また、発光色は青色であることを確認した。
[実施例6]
実施例1におけるターゲット1のかわりに、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化亜鉛と、酸化ホルニウムとからなる、インジウムのモル比(In/(In+Sn+Zn))が0.8であり、スズのモル比(Sn/(In+Sn+Zn))が0.1であり、亜鉛(Zn/(In+Sn+Zn))のモル比が0.1であり、かつ、金属全体におけるホルニウムのモル比(Ho/(In+Sn+Zn+Ho))が0.12であるターゲット7を用いた。その他の製造条件は実施例1と同様にして有機EL素子を作成した。なお、陽極層10のイオン化ポテンシャルの値は、5.82eVであった。得られた有機EL素子に実施例1と同様に、電極間に5.1Vの直流電圧を印加したところ、電流密度の値は2.0mA/cm2であり、発光輝度は166nitであった。また、発光色は青色であることを確認した。
[実施例7]
実施例1におけるターゲット1のかわりに、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化亜鉛と、酸化セリウムとからなる、インジウムのモル比(In/(In+Sn+Zn))が0.8であり、スズのモル比(Sn/(In+Sn+Zn))が0.1であり、亜鉛(Zn/(In+Sn+Zn))のモル比が0.1であり、かつ、金属全体におけるセリウムのモル比(Ce/(In+Sn+Zn+Ce))が0.06であるターゲット8を用いた。その他の製造条件は実施例1と同様にして有機EL素子を作成した。なお、陽極層10のイオン化ポテンシャルの値は、5.98eVであった。得られた有機EL素子に実施例1と同様に、電極間に4.9Vの直流電圧を印加したところ、電流密度の値は2.0mA/cm2であり、発光輝度は164nitであった。また、発光色は青色であることを確認した。
[実施例8]
実施例1におけるターゲット1のかわりに、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化セリウムとからなる、インジウムのモル比(In/(In+Sn))が0.9であり、スズのモル比(Sn/(In+Sn))が0.1であるターゲット8を用いて75nmの膜厚に成膜した基板に、酸化亜鉛を主体とし、金属全体におけるセリウムのモル比(Ce/(Zn+Ce))が0.05であるターゲットを用いて20nmの膜厚を成膜した基板を用いた。その他の製造条件は実施例1と同様にして有機EL素子を作成した。なお、陽極層10のイオン化ポテンシャルの値は、6.18eVであり、透過率は79%であった。また、得られた有機EL素子に実施例1と同様に、電極間に4.8Vの直流電圧を印加した。このときの電流密度は2.0mA/cm2であり、発光輝度は162nit(cd/m2)であった。また、発光色は青色であることを確認した。さらに、耐久性評価として、10mA/cm2で定電流駆動したところ、1000時間以上経過後にも、特にリーク電流の発生は見られなかった。
[比較例1]
実施例1におけるターゲット1のかわりに、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化亜鉛とからなる、インジウムのモル比(In/(In+Sn+Zn))が0.6であり、スズのモル比(Sn/(In+Sn+Zn))が0.3であり、亜鉛(Zn/(In+Sn+Zn))のモル比が0.1であるターゲット9を用いた。その他は、実施例1と同様に有機EL素子を作成した。なお、陽極層10のイオン化ポテンシャルの値は、5.23eVであった。得られた有機EL素子に実施例1と同様に、電極間に6.0Vの直流電圧を印加したところ、電流密度の値は2.0mA/cm2であり、発光輝度は166nitであった。また、発光色は青色であることを確認した。
10 陽極層
12 無機薄膜層
13 正孔輸送層
14 有機発光層
15 電子注入層
16 陰極層
30 基板
100,102,104,106 有機EL素子
201 真空蒸着装置
203 基板
210 真空槽
211 基板ホルダ
212 保持部
212A、212B、212C、212D、212E、212F 蒸着源
213 回転軸部
213A 回転軸線
214 モータ
221 仮想円

Claims (19)

  1. 少なくとも電極層と基材からなる有機エレクトロルミネッセンス素子用基板であって、当該電極層が、下記A−1群から選択される少なくとも一つの化合物、及びB−1群から選択される少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用基板。
    A−1群:Si,Ge,Sn,Pb,Ga,In,Zn,Cd,Mgのカルコゲナイド、酸窒化物、又は窒化物。
    B−1群:ランタノイド系元素のカルコゲナイド、酸窒化物又は窒化物。
  2. 少なくとも電極層と基材からなる有機エレクトロルミネッセンス素子用基板であって、当該電極層が、下記A−2群から選択される少なくとも一つの化合物、及びB−2群から選択される少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用基板。
    A−2群:Ge,Sn,Pb,Ga,In,Zn,Cd,Mgのカルコゲナイド、酸窒化物、又は窒化物。
    B−2群:ランタノイド系元素のカルコゲナイド。
  3. 前記電極層が陽極層であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板。
  4. 前記電極層が陰極層であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板。
  5. 前記電極層が比抵抗値が1Ω・cm未満であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板。
  6. 前記A−1群又はA−2群の化合物が、Sn,In及びZnのカルコゲナイド又は窒化物のいずれかである請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板。
  7. 前記B−1群又はB−2群の化合物が、Ce、Nd、Sm、Eu、Tb及びHoの酸化物のいずれかである請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板。
  8. 前記電極層の全体量を100at.%としたときに、前記B−1群又はB−2群の化合物の含有量を0.5〜30at.%の範囲内の値としてなる請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板。
  9. 前記電極層の膜厚を1〜100nmの範囲内の値としてなる請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板。
  10. 少なくとも陽極層と、有機発光層と、陰極層とを順次に積層した構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記陽極層及び陰極層、又は、いずれか一方の電極層が、下記A−1群から選択される少なくとも一つの化合物、及び、下記B−1群から選択される少なくとも一つの化合物、を含有してなる有機エレクトロルミネッセンス素子。
    A−1群:Si,Ge,Sn,Pb,Ga,In,Zn,Cd,Mgのカルコゲナイド、酸窒化物、又は窒化物
    B−1群:ランタノイド系元素のカルコゲナイド、酸化窒素、又は窒化物。
  11. 少なくとも陽極層と、有機発光層と、陰極層とを順次に積層した構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記陽極層及び陰極層、又は、いずれか一方の電極層が、下記A−2群から選択される少なくとも一つの化合物、及び、下記B−2群から選択される少なくとも一つの化合物、を含有してなる有機エレクトロルミネッセンス素子。
    A−2群:Ge,Sn,Pb,Ga,In,Zn,Cd,Mgのカルコゲナイド、酸窒化物、又は窒化物
    B−2群:ランタノイド系元素のカルコゲナイド。
  12. 前記陽極層及び陰極層、又はいずれか一方の電極層、の比抵抗値を1Ω・cm未満の値としてなる請求項10又は11に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  13. 前記A−1群又はA−2群の化合物が、Sn,In及びZnのカルコゲナイド又は窒化物のいずれかである請求項10〜12のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  14. 前記B−1群又はB−2群の化合物が、Ce、Nd、Sm、Eu、Tb及びHoのいずれかの物質の酸化物である請求項12又は請求項13のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  15. 前記電極層の全体量を100at.%としたときに、前記B−1群又はB−2群の化合物の含有量を0.5〜30at.%の範囲内の値としてなる請求項10〜14のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  16. 前記電極層の膜厚を1〜100nmの範囲内の値としてなる請求項10〜15のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  17. 前記陽極層と有機発光層との間、及び、前記陰極層と有機発光層との間、もしくはいずれか一方の間に、前記A−1群から選択される少なくとも一つの化合物及びB−1群から選択される少なくとも一つの化合物を含有する無機薄膜層、又は、前記A−2群から選択される少なくとも一つの化合物及びB−2群から選択される少なくとも一つの化合物を含有する無機薄膜層を設けてなる請求項10〜16のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  18. 前記有機発光層が、下記一般式(化学式1)〜(化学式3)のいずれかの構造式で表されるスチリル基を有する芳香族化合物の少なくとも一つを含んでなる請求項10〜17のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2009302071
    ここで、一般式(化学式1)中、Arは、炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar、Ar、及びArは、それぞれ水素原子又は炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar、Ar、Ar、及びArの少なくとも一つは芳香族基であり、縮合数nは、1〜6の整数である。
    Figure 2009302071
    ここで、一般式(化学式2)中、Arは、炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar及びArは、それぞれ水素原子又は炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar、Ar及びArの少なくとも一つはスチリル基で置換されており、縮合数mは、1〜6の整数である。
    Figure 2009302071
    ここで、一般式(化学式3)中、Ar及びAr14は、炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar〜Ar13は、それぞれ水素原子又は炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar〜Ar14の少なくとも一つはスチリル基で置換されており、縮合数p、q、r、sは、それぞれ0又は1である。
  19. 請求項10〜18のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、前記電極層をスパッタリング法により形成し、前記有機発光層を真空蒸着法により形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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