以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る表示装置としての有機ELディスプレイの構成について説明する。図1は、有機ELディスプレイの断面構成を表している。
この有機ELディスプレイは、有機EL現象を利用して映像を表示するものであり、例えば、図1に示したように、有機発光素子30およびその有機発光素子30を駆動させるための駆動素子(TFT;Thin Film Transistor)12が設けられた有機発光表示装置としての駆動パネル10と封止パネル50とが対向配置され、これらの駆動パネル10と封止パネル50とが有機発光素子30を挟むように接着層60を介して貼り合わされた構成を有している。この有機ELディスプレイは、例えば、有機発光素子30において発生した光Eを上方、すなわち封止パネル50から外部に放出するトップエミッション型構造を有している。
駆動パネル10は、基体としての駆動用基板11に、上記した有機発光素子30として3つの有機発光素子30R,30G,30Bが設けられた構成を有している。この駆動パネル10は、具体的には、例えば、駆動用基板11の一面に、TFT12として3つのTFT121,122,123と、層間絶縁層13と、各TFT121〜123ごとに2組ずつ設けられた配線14と、有機発光素子30R,30G,30Bが配設される下地領域としての平坦化層15と、上記した有機発光素子30R,30G,30B、補助配線40および層内絶縁層17と、保護層20とがこの順に積層された構成を有している。
駆動用基板11は、有機発光素子30およびTFT12を支持するためのものであり、例えば、ガラスなどの絶縁性材料により構成されている。
TFT12(121,122,123)は、有機発光素子30(30R,30G,30B)を駆動させて発光させるためのものである。このTFT12は図示しないゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を含んで構成されており、そのゲート電極は走査回路(図示せず)に接続され、ソース電極およびドレイン電極はいずれも層間絶縁層13に設けられた接続孔(図示せず)を通じて配線14に接続されている。なお、TFT12の構成は特に限定されず、例えば、ボトムゲート型であってもよいし、あるいはトップゲート型であってもよい。
層間絶縁層13は、各TFT121〜123間を電気的に分離するためのものであり、例えば、酸化シリコン(SiO2 )やPSG(Phospho-Silicate Glass)などの絶縁性材料により構成されている。
配線14は、信号線として機能するものであり、例えば、アルミニウム(Al)またはアルミニウム銅合金(AlCu)などの導電性材料により構成されている。
平坦化層15は、有機発光素子30が配設される下地領域を平坦化し、その有機発光素子30を構成する一連の層を高精度に形成するためのものであり、例えば、ポリイミドまたはポリベンゾオキサゾールなどの有機絶縁性材料や、酸化シリコン(SiO2 )などの無機絶縁性材料により構成されている。
有機発光素子30(30R,30G,30R)は映像表示用の光Eを放出するものであり、具体的には、後述する発光層を含む層18において発生した所定の色(波長)の光を光の3原色に対応する3色(R;Red ,G;Green ,B;Blue)の光に変換して放出するものである。有機発光素子30Rは、赤色の光ERを放出するものであり、駆動用基板11に近い側から順に、第1の電極層としての下部電極層16Rと、発光層を含む層18と、第2の電極層としての上部電極層19とが積層された構成を有している。有機発光素子30Gは、緑色の光EGを放出するものであり、駆動用基板11に近い側から順に、第1の電極層としての下部電極層16Gと、発光層を含む層18と、上部電極層19とが積層された構成を有している。有機発光素子30Bは、青色の光EBを放出するものであり、駆動用基板11に近い側から順に、第1の電極層としての下部電極層16Bと、発光層を含む層18と、上部電極層19とが積層された構成を有している。これらの有機発光素子30R,30G,30Bは、例えば、各TFT121〜123にそれぞれ対応して配置されており、下部電極層16R,16G,16Bは、いずれも平坦化層15に設けられた接続孔(図示せず)を通じて各TFT121〜123ごとに設けられた配線14に接続されている。なお、有機発光素子30R,30G,30Bの詳細な構成に関しては後述する(図2および図3参照)。
補助配線40は、図示しない電源と上部電極層19との間の抵抗の差異を緩和することにより有機発光素子30の抵抗差を低減させるためのものであり、その上部電極層19と電気的に接続されている。この補助配線40は、有機発光素子30R,30G,30Bと同一階層に配設されており、例えば、その有機発光素子30Rとほぼ同様の積層構成を有している。なお、補助配線40の詳細な構成に関しては後述する(図2参照)。
層内絶縁層17は、有機発光素子30R,30G,30Bおよび補助配線40間を電気的に分離すると共に、各有機発光素子30R,30G,30Bから放出される光E(ER,EG,EB)の放出範囲を規定するためのものであり、有機発光素子30R,30G,30Bおよび補助配線40の周囲に配設されている。この層内絶縁層17は、例えば、ポリイミドまたはポリベンゾオキサゾールなどの有機絶縁性材料や酸化シリコン(SiO2 )などの無機絶縁性材料により構成されており、その厚さは約600nmである。
保護層20は、有機発光素子30を保護するためのものであり、例えば、酸化シリコン(SiO2 )や窒化シリコン(SiN)などの光透過性の誘電材料により構成されたパッシベーション膜である。
封止パネル50は、封止用基板51の一面にカラーフィルタ52が設けられた構成を有している。
封止用基板51は、カラーフィルタ52を支持すると共に、有機発光素子30R,30G,30Bから放出された光ER,EG,EBを透過して外部に放出可能とするためのものであり、例えば、ガラスなどの絶縁性材料により構成されている。
カラーフィルタ52は、有機発光素子30R,30G,30Bからそれぞれ放出された光ER,EG,EBを有機ELディスプレイの外部へ導くと共に、その有機ELディスプレイの内部へ外光が侵入して有機発光素子30や補助配線40において反射した際に、その反射光を吸収することによりコントラストを確保するためのものである。このカラーフィルタ52は、各有機発光素子30R,30G,30Bに対応して配置された3つの領域、すなわち赤色領域52R、緑色領域52Gおよび青色領域52Bを含んで構成されており、これらの赤色領域52R、緑色領域52Gおよび青色領域52Bは、例えば、それぞれ赤色、緑色および青色の顔料が混入された樹脂により構成されている。
接着層60は、駆動パネル10と封止パネル50とを貼り合わせるためのものであり、例えば、熱硬化型樹脂などの接着性材料により構成されている。
なお、図1では、図示を簡略化するために3つのTFT12(TFT121〜123)および1組の有機発光素子30(3つの有機発光素子30R,30G,30B)のみしか示していないが、実際には駆動用基板11に複数のTFT12がマトリックス状に設けられており、これらの複数のTFT12に対応して複数組の有機発光素子30が配置されている。
次に、図1および図2を参照して、有機発光素子30R,30G,30Bおよび補助配線40の詳細な構成について説明する。図2は、有機発光素子30R,30G,30Bおよび補助配線40の断面構成を拡大して模式的に表している。
有機発光素子30R,30G,30Bは、例えば、図2に示したように、互いに異なる総厚を有する積層構成を有している。
第1の有機発光素子としての有機発光素子30Bは、上記したように、駆動用基板11に近い側から順に、下部電極層16Bと、発光層を含む層18と、上部電極層19とが積層された構成を有している。この下部電極層16Bは、駆動用基板11に近い側から順に、駆動用基板11、より具体的には駆動用基板11の一面に設けられた平坦化層15との密着性を高めるための密着層161Bと、発光層を含む層18において発生した光を上部電極層19との間で共振させるための共振層162Bと、この共振層162Bを保護するためのバリア層163Bとが積層された構成を有している。特に、バリア層163Bは、単層構造(バリア層163B1)を有している。この有機発光素子30Bは、上記したように、発光層を含む層18において発生した光を共振層162Bと上部電極層19との間で共振させる共振構造(一種の狭帯域フィルタ)を有しており、共振層162Bと上部電極層19との間の光学的距離L(LB)は、例えば、下記の数2の関係を満たしている。特に、有機発光素子30Bは、発光層を含む層18において発生した光を青色の光EBに変換するものであり、より具体的には、例えば、トップエミッション型の有機ELディスプレイでは、共振層162Bと上部電極層19との間で共振させた光EBを上部電極層19を経由して放出するものである。
(数2)
(2LB)/λ+Φ/(2π)=mB
(式中、LB,λ,Φ,mBは、LBが共振層162B(共振層162Bのうちのバリア層163Bに隣接する第1の端面としての端面PB1)と上部電極層19(上部電極層19のうちの発光層を含む層18に隣接する第2の端面としての端面PB2)との間の光学的距離、λが放出したい光のスペクトルのピーク波長、Φが共振層162B(端面PB1)および上部電極層19(端面PB2)で生じる反射光の位相シフト、mBが0または整数(例えばmB=0)をそれぞれ表している。)
密着層161Bは、例えば、クロム(Cr)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)およびモリブデン(Mo)を含む群のうちの少なくとも1種の金属、その金属の合金、その金属酸化物、またはその金属窒化物などにより構成されており、その厚さは約1nm〜300nmである。これらの「合金」、「金属酸化物」および「金属窒化物」としては、例えば、合金としてインジウム錫合金(InSn)、インジウム亜鉛合金(InZn)、アルミニウムネオジム合金(AlNd)およびアルミニウム銅合金ケイ素化物(AlCuSi)、金属酸化物として酸化インジウム錫(ITO;Indium Tin Oxide)や酸化インジウム亜鉛(IZO;Indium Zinc Oxide )、金属窒化物として窒化チタン(TiN)などが挙げられる。特に、密着層161Bは、例えば、密着性や導電性に優れたITOやIZOにより構成されているのが好ましい。この密着層161Bの厚さは、例えば、上記したように導電性に優れたITOやIZOにより構成されている場合には、約1nm〜300nmが好ましい上、さらにITOの表面平坦性を考慮すれば約3nm〜50nmがより好ましく、一方、ITOやIZOよりも導電性が劣る酸化クロム(Cr2 O3 )により構成されている場合には、配線14と下部電極層16Bとの間の接続抵抗が大きくなりすぎることを防止する上で約1nm〜20nmが好ましい。
共振層162Bは、発光層を含む層18において発生した光を上部電極層19との間で共振させるための反射層として機能するものであり、例えば、銀(Ag)または銀を含む合金により構成されている。この銀を含む合金としては、例えば、銀と共に、パラジウム(Pd)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)および金(Au)を含む群のうちの少なくとも1種を含む合金、具体的には銀パラジウム銅合金(AgPdCu)などが挙げられる。この共振層162Bの厚さは、例えば、トップエミッション型の有機ELディスプレイでは上部電極層19の厚さよりも厚くなっており、約100nm〜300nmである。
バリア層163B(163B1)は、例えば、共振層162Bよりも仕事関数が大きい材料により構成されており、その厚さは約1nm〜100nmである。具体的には、バリア層163Bは、例えば、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ガリウム(Ga)およびアルミニウム(Al)を含む群のうちの少なくとも1種の金属、その金属の合金、その金属酸化物、またはその金属窒化物を含む光透過性材料により構成されている。これらの「合金」、「金属酸化物」および「金属窒化物」としては、例えば、合金としてインジウム錫合金やインジウム亜鉛合金、金属酸化物としてITO、IZO、酸化インジウム(In2 O3 )、酸化錫(SnO2 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化チタン(TiO2 )および酸化クロム(CrO2 )、金属窒化物として窒化チタンや窒化クロム(CrN)などが挙げられる。
第2の有機発光素子としての有機発光素子30Gは、バリア層163Gの構成が異なる点を除き、有機発光素子30Bとほぼ同様の構成を有している。すなわち、有機発光素子30Gは、上記したように、駆動用基板11に近い側から順に、下部電極層16Gと、発光層を含む層18と、上部電極層19とが積層された構成を有しており、この下部電極層16Gは、駆動用基板11に近い側から順に、密着層161Gと、共振層162Gと、バリア層163Gとが積層された構成を有している。特に、バリア層163Gは、例えば、バリア層163B1と同様の厚さを有する下部バリア層163G1と、上部バリア層163G2とがこの順に積層された2層構造を有している。これらの下部バリア層163G1および上部バリア層163G2は、例えば、互いに同一の材質であってもよいし、互いに異なる材質であってもよい。この有機発光素子30Gは、有機発光素子30Bと同様に、発光層を含む層18において発生した光を共振層162Gと上部電極層19との間で共振させる共振構造を有しており、共振層162Gと上部電極層19との間の光学的距離L(LG)は、例えば、下記の数3の関係を満たしている。特に、有機発光素子30Gは、発光層を含む層18において発生した光を緑色の光EGに変換するものであり、より具体的には、例えば、トップエミッション型の有機ELディスプレイでは、共振層162Gと上部電極層19との間で共振させた光EGを上部電極層19を経由して放出するものである。
(数3)
(2LG)/λ+Φ/(2π)=mG
(式中、LG,Φ,mGは、LGが共振層162G(共振層162Gのうちのバリア層163Gに隣接する第1の端面としての端面PG1)と上部電極層19(上部電極層19のうちの発光層を含む層18に隣接する第2の端面としての端面PG2)との間の光学的距離、Φが共振層162G(端面PG1)および上部電極層19(端面PG2)で生じる反射光の位相シフト、mGが0または整数(例えばmG=0)をそれぞれ表している。)
第3の有機発光素子としての有機発光素子30Rは、バリア層163Rの構成が異なる点を除き、有機発光素子30Bとほぼ同様の構成を有している。すなわち、有機発光素子30Rは、上記したように、駆動用基板11に近い側から順に、下部電極層16Rと、発光層を含む層18と、上部電極層19とが積層された構成を有しており、この下部電極層16Rは、駆動用基板11に近い側から順に、密着層161Rと、共振層162Rと、バリア層163Rとが積層された3層構成を有している。特に、バリア層163Rは、例えば、バリア層163B1と同様の厚さを有する下部バリア層163R1と、下部バリア層163G1と同様の厚さを有する中間バリア層163R2と、上部バリア層163R3とがこの順に積層された3層構造を有している。これらの下部バリア層163R1、中間バリア層163R2および上部バリア層163R3は、例えば、互いに同一の材質であってもよいし、互いに異なる材質であってもよい。この有機発光素子30Rは、有機発光素子30Bと同様に、発光層を含む層18において発生した光を共振層162Rと上部電極層19との間で共振させる共振構造を有しており、共振層162Rと上部電極層19との間の光学的距離L(LR)は、例えば、下記の数4の関係を満たしている。特に、有機発光素子30Rは、発光層を含む層18において発生した光を緑色の光ERに変換するものであり、より具体的には、例えば、トップエミッション型の有機ELディスプレイでは、共振層162Rと上部電極層19との間で共振させた光ERを上部電極層19を経由して放出するものである。
(数4)
(2LR)/λ+Φ/(2π)=mR
(式中、LR,Φ,mRは、LRが共振層162R(共振層162Rのうちのバリア層163Rに隣接する第1の端面としての端面PR1)と上部電極層19(上部電極層19のうちの発光層を含む層18に隣接する第2の端面としての端面PR2)との間の光学的距離、Φが共振層162R(端面PR1)および上部電極層19(端面PR2)で生じる反射光の位相シフト、mRが0または整数(例えばmR=0)をそれぞれ表している。)
なお、有機発光素子30Gを構成する密着層161G、共振層162Gおよびバリア層163G(下部バリア層163G1,上部バリア層163G2)、ならびに有機発光素子30Rを構成する密着層161R、共振層162Rおよびバリア層163R(下部バリア層163R1,中間バリア層163R2,上部バリア層163R3)の機能や材質等は、有機発光素子30Bを構成する密着層161B、共振層162Bおよびバリア層163B(163B1)とそれぞれ同様である。
確認までに、図2では、有機発光素子30R,30G,30B間の構成の差異を見やすくするために、発光層を含む層18および上部電極層19の双方を各有機発光素子30R,30G,30Bごとに分離して示しているが、実際には、例えば、図1および図2に示したように、発光層を含む層18は、有機発光素子30Rのうちの下部電極層16R(バリア層163R)上、有機発光素子30Gのうちの下部電極層16G(上部バリア層163G2)上、ならびに有機発光素子30Bのうちの下部電極層16B(上部バリア層163B3)上の全てを経由するように連続的に延在していると共に、上部電極層19は、発光層を含む18を覆うように連続的に延在しており、すなわち発光層を含む層18および上部電極層19の双方は、いずれも各有機発光素子30R,30G,30Bにより共有されている。なお、発光層を含む18の詳細な構成に関しては後述する(図3参照)。
上部電極層19は、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)を含む群のうちの少なくとも1種の金属、またはその金属を含む合金などにより構成されている。この「金属を含む合金」としては、例えば、マグネシウム銀合金(MgAg)などが挙げられる。この上部電極層19の厚さは、例えば、トップエミッション型の有機ELディスプレイでは共振層162R,162G,162Bの厚さよりも薄くなっており、約1nm〜10nmである。特に、上部電極層19は、上記したように有機発光素子30R,30G,30Bが共振構造を有している点に基づき、発光層を含む18において発生した光を共振層162R,162G,162Bとの間で共振させるために反射させると共に必要に応じて共振後の光ER,EG,EBを外部に放出させるために透過させる半透過反射層として機能するものである。
図2に示したように、発光層を含む層18の厚さHR,HG,HBは、3つの有機発光素子30R,30G,30B間において互いに等しくなっている(HR=HG=HB)。この発光層を含む層18は、3つの有機発光素子30R,30G,30B間において互いに等しい色(波長)の光を発生させるものである。
特に、バリア層163R,163G,163Bの厚さDR,DG,DBは、3つの有機発光素子30R,30G,30B間において互いに異なっており、具体的には、3つの有機発光素子30R,30G,30Bから放出される3色の光ER,EG,EBに対応して互いに異なっている。すなわち、厚さDR,DG,DBは、3つの有機発光素子30R,30G,30Bが発光層を含む層18において発生した光をそれぞれ赤色の光ER、緑色の光EGおよび青色の光EBに変換して放出可能となるように設定されており、具体的には、3つの有機発光素子30R,30G,30Bから放出される赤色の光ER、緑色の光EGおよび青色の光EBに対応して順に薄くなっている(DR>DG>DB)。上記した「発光層を含む層18において発生した光を赤色の光ER、緑色の光EGおよび青色の光EBに変換して放出する」とは、図2に示したように、発光層を含む層18中の点NR,NG,NBにおいて発生した光が共振層162R,162G,162Bと上部電極層19との間で共振したのちにその上部電極層19を経由して放出される過程において、3つの有機発光素子30R,30G,30B間の共振長が互いに異なることに起因する光の干渉現象を利用して、NR,NG,NBにおいて発生した際に互いに同一の波長を有していた光の波長を放出時に各有機発光素子30R,30G,30Bごとに異ならせ、すなわち有機発光素子30Rにおいて赤色に対応する波長、有機発光素子30Gにおいて緑色に対応する波長、ならびに有機発光素子30Bにおいて青色に対応する波長にそれぞれシフトさせることにより、最終的に赤色の光ER、緑色の光EGおよび青色の光EBを生成するという意味である。
補助配線40は、例えば、図2に示したように、発光層を含む18を含んでいない点を除き、有機発光素子30R,30G,30Bのうちの最も総厚が大きい素子、すなわち有機発光素子30Rと同様の積層構成を有している。
次に、図1〜図3を参照して、発光層を含む18の詳細な構成について説明する。図3は、発光層含む層18の断面構成を拡大して模式的に表している。
発光層を含む層18は、例えば、上記したように、有機発光素子30R,30G,30Bにより共有され、すなわち各有機発光素子30R,30G,30B間において共通の構成を有しており、所定の色(波長)の光として白色光を発生させるものである。この発光層を含む層18は、例えば、図2および図3に示したように、下部電極層16R,16G,16Bに近い側から順に、正孔輸送層181と、発光層182と、電子輸送層183とが積層された構成を有している。この発光層182は、例えば、正孔輸送層181に近い側から順に、赤色の光を発生させる赤色発光層182Rと、緑色の光を発生させる182Gと、青色の光を発生させる182Bとが積層された構成を有しており、すなわち赤色発光層182R、緑色発光層182Gおよび青色発光層182Bからそれぞれ発生した赤色の光、緑色の光および青色の光を合成することにより、結果として白色光を発生させるようになっている。
正孔輸送層181は、発光層182へ注入される正孔の注入効率を高めるためのものであり、例えば、正孔注入層としての機能も兼ねている。この正孔輸送層181は、例えば、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)またはα−ナフチルフェニルジアミン(αNPD)などの正孔輸送性材料により構成されており、その厚さは約40nmである。
赤色発光層182Rは、下部電極層16R,16G,16Bから正孔輸送層181を経由して注入された正孔の一部と上部電極層19から電子輸送層183を経由して注入された電子の一部とを再結合させることにより、赤色の光を発生させるものである。この赤色発光層182Rは、例えば、赤色発光材料(蛍光性または燐光性)、正孔輸送性材料、電子輸送性材料および両電荷(正孔,電子)輸送性材料を含む群のうちの少なくとも1種により構成されており、その厚さは約5nmである。この赤色発光層182Rの具体的な構成材料としては、例えば、2,6−ビス[(4’―メトキシジフェニルアミノ)スチリル]−1,5−ジシアノナフタレン(BSN)が約30重量%混合された4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)などが挙げられる。
緑色発光層182Gは、赤色発光層182Rにおいて再結合されなかった正孔と電子とを再結合させることにより、緑色の光を発生させるものである。この緑色発光層182Gは、例えば、緑色発光材料(蛍光性または燐光性)、正孔輸送性材料、電子輸送性材料および両電荷輸送性材料を含む群のうちの少なくとも1種により構成されており、その厚さは約10nmである。この緑色発光層182Gの具体的な構成材料としては、例えば、クマリン6が約5重量%混合されたDPVBiなどが挙げられる。
青色発光層182Bは、赤色発光層182Rや緑色発光層182Gにおいて再結合されなかった正孔と電子とを再結合させることにより、青色の光を発生させるものである。この青色発光層182Bは、例えば、青色発光材料(蛍光性または燐光性)、正孔輸送性材料、電子輸送性材料および両電荷(正孔,電子)輸送性材料を含む群のうちの少なくとも1種により構成されており、その厚さは約30nmである。この青色発光層182Bの具体的な構成材料としては、例えば、4,4’−ビス[2,{4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)が約2.5重量%混合されたDPVBiなどが挙げられる。
電子輸送層183は、発光層182へ注入される電子の注入効率を高めるためのものであり、例えば、電子注入層としての機能も兼ねている。この電子輸送層183は、例えば、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3 )により構成されており、その厚さは約20nmである。
次に、図1〜図3を参照して、有機ELディスプレイの動作について説明する。
この有機ELディスプレイでは、図1に示したように、TFT12(121〜123)を利用して3つの有機発光素子30R,30G,30Bが駆動され、すなわち下部電極層16R,16G,16Bと上部電極層19との間にそれぞれ電圧が印加されると、図3に示したように、発光層を含む層18のうちの発光層182において、正孔輸送層181から供給された正孔と電子輸送層183から供給された電子とが再結合することにより、白色光が発生する。この白色光は、赤色発光層182Rにおいて発生した赤色の光と、緑色発光層182Gにおいて発生した緑色の光と、青色発光層182Bにおいて発生した青色の光とが合成された合成光である。
この白色光は、図2に示したように、有機発光素子30R,30G,30Bから映像表示用の光Eとして有機ELディスプレイの外部へ放出される過程において、各有機発光素子30R,30G,30B間の共振長が互いに異なることに起因する光の干渉現象を利用して波長変換され、すなわち有機発光素子30R,30G,30Rにおいてそれぞれ赤色の光ER、緑色の光EGおよび青色の光EBに変換される。これにより、図1に示したように、有機発光素子30R,30G,30Bからそれぞれ赤色の光ER、緑色の光EGおよび青色の光EBが放出されるため、これらの3色の光ER,EG,EBに基づいて映像が表示される。
なお、有機発光素子30R,30G,30Bから光ER、EG,EBが放出される際には、図2に示したように、各有機発光素子30R,30G,30Bにおいて、発光層を含む層18において発生した光が下部電極層16R,16G,16Bのうちの共振層612R,162G,162Bと上部電極層19との間で共振されるため、その光が多重干渉を起こす。これにより、最終的に有機発光素子30R,30G,30Bから放出される光ER,EG,EBの半値幅が減少し、色純度が向上する。
次に、図1〜図9を参照して、図1〜図3に示した有機ELディスプレイの製造方法について説明する。図4〜図9は有機ELディスプレイの主要部(下部電極層16R,16G,16B)の製造工程を説明するためのものであり、いずれも図2に対応する断面構成を表している。なお、図4〜図9に示した領域SR,SG,SBは、それぞれ後工程において有機発光素子30R,30G,30Bが形成されることとなる領域を表している。
以下では、まず、図1〜図3を参照して、有機ELディスプレイ全体の製造工程について簡単に説明したのち、図1〜図9を参照して、本発明に係る有機発光装置の製造方法が適用される有機ELディスプレイの主要部の形成工程について説明する。なお、有機ELディスプレイのうちの一連の構成要素の材質、厚さおよび構造的特徴については既に詳述したので、それらの説明を適宜省略するものとする。
この有機ELディスプレイは、スパッタリングなどの成膜技術、フォトリソグラフィなどのパターニング技術、ならびにドライエッチングやウェットエッチングなどのエッチング技術を含む既存の薄膜プロセスを使用して製造可能である。すなわち、有機ELディスプレイを製造する際には、図1に示したように、まず、駆動用基板11の一面に、複数のTFT12(TFT121〜123)をマトリックス状にパターン形成し、引き続きTFT121〜123およびその周辺の駆動用基板11を覆うように層間絶縁層13を形成したのち、各TFT121〜123ごとに2組ずつ配線14をパターン形成する。続いて、配線14およびその周辺の層間絶縁層13を覆うように平坦化層15を形成することにより、後工程において有機発光素子30R,30G,30Bが形成されることとなる下地領域を平坦化する。続いて、平坦化層15上に、各TFT121〜123の配設位置に対応して1組の有機発光素子30(30R,30G,30B)をパターン形成する。具体的には、下部電極層16R、発光層を含む層18および上部電極層19をこの順に積層させることにより有機発光素子30Rを形成し、下部電極層16G、発光層を含む層18および上部電極層19をこの順に積層することにより有機発光素子30Gを形成し、下部電極層16B、発光層を含む層および上部電極層19をこの順に積層することにより有機発光素子30Bを形成する。これらの有機発光素子30R,30G,30Bを形成する際には、例えば、図1に示したように、下部電極層16R,16G,16B上を経由して連続的に延在し、各有機発光素子30R,30G,30Bにおいて共有されるように発光層を含む層18および上部電極層19を形成すると共に、図1および図2に示したように、下部電極層16R,16G,16Bのうちの一部を構成する密着層161R,161G,161Bを駆動用基板11、より具体的には駆動基板11を覆うように設けられた平坦化層15上に形成して密着させるようにする。続いて、上部電極層19を覆うように保護層20を形成することにより、駆動パネル10を形成する。
続いて、封止用基板51の一面に、有機発光素子30R,30G,30Bに対応して赤色領域52R、緑色領域52Gおよび青色領域52Bを含むカラーフィルタ52を形成することにより、封止パネル50を形成する。
最後に、接着層60を使用して、駆動用基板11と封止用基板51との間に有機発光素子30R,30G,30Bが挟まれるように駆動パネル10と封止パネル50とを貼り合わせることにより、有機ELディスプレイが完成する。
この有機ELディスプレイの主要部である下部電極層16R,16G,16Bを形成する際には、まず、図4に示したように、例えばスパッタリングを使用して、図1に示した駆動用基板11、より具体的には駆動用基板11に設けられた平坦化層15を覆うように、密着層161(厚さ=約20nm)と、共振層162(厚さ=約100nm)と、第1のバリア層部分としてのバリア層部分1631(厚さ=T1)とをこの順に形成して積層させる。これらの密着層161、共振層162およびバリア層部分1631は、いずれも最終的にエッチング処理を使用してパターニングされることにより、下部電極層16R,16G,16Bのそれぞれの一部を構成することとなる準備層である。密着層161およびバリア層部分1631を形成する際には、形成材料として上記した金属、金属酸化物、金属窒化物または金属化合物を使用し、例えばITOを使用する。また、共振層162を形成する際には、形成材料として上記した銀や銀を含む合金を使用し、例えば銀パラジウム銅合金(AgPdCu)を使用する。この場合には、特に、上記にて図2を参照して説明したように、有機発光素子30Bにおいて光の干渉現象を利用して白色光を青色の光EBに変換するために必要な共振長を厚さT1に基づいて確保し得るように、そのバリア層部分1631の厚さT1を設定する。
なお、密着層161、共振層162およびバリア層部分1631の形成条件は、例えば、以下の通りである。すなわち、スパッタリングガスとしては、密着層161およびバリア層部分1631を形成するためにアルゴン(Ar)に酸素(O2 )が0.3%混合された混合ガスを使用し、共振層162を形成するためにアルゴンガスを使用する。また、スパッタリング条件としては、いずれの場合においても圧力=約0.5Pa、DC出力=約500Wとする。
続いて、バリア層部分1631上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜(図示せず)を形成したのち、フォトリソグラフィ処理を使用してフォトレジスト膜をパターニングすることにより、図5に示したように、バリア層部分1631のうち、有機発光素子30Bが形成されることとなる第1の領域としての領域SB上に、例えばフォトレジスト膜よりなる第1のマスクとしてのエッチングマスク71をパターン形成する。
続いて、図5に示したように、例えばスパッタリングを使用して、エッチングマスク71およびその周辺のバリア層部分1631を覆うように、第2のバリア層部分としてのバリア層部分1632(厚さ=T2)を形成する。このバリア層部分1632は、最終的に下部電極層16R,16Gのそれぞれの一部を構成することとなる準備層である。このバリア層部分1632を形成する際には、上記にて図2を参照して説明したように、有機発光素子30Gにおいて光の干渉現象を利用して白色光を緑色の光EGに変換するために必要な共振長を厚さ(T1+T2)に基づいて確保し得るように、そのバリア層部分1632の厚さT2を設定する。なお、バリア層部分1632の形成材料としては、例えば、バリア層部分1631の形成材料と同様のものを使用する。
続いて、図6に示したように、バリア層部分1632のうち、有機発光素子30Gが形成されることとなる第2の領域としての領域SG上に、例えばフォトレジスト膜よりなる第2のマスクとしてのエッチングマスク72をパターン形成する。
続いて、図6に示したように、例えばスパッタリングを使用して、エッチングマスク72およびその周辺のバリア層部分1632を覆うように、第3のバリア層部分としてのバリア層部分1633(厚さ=T3)を形成する。このバリア層部分1633は、最終的に下部電極層16Rの一部を構成することとなる準備層である。このバリア層部分1633を形成する際には、上記にて図2を参照して説明したように、有機発光素子30Rにおいて光の干渉現象を利用して白色光を赤色の光ERに変換するために必要な共振長を厚さ(T1+T2+T3)に基づいて確保し得るように、そのバリア層部分1633の厚さT3を設定する。なお、バリア層部分1633の形成材料としては、例えば、バリア層部分1631,1632の形成材料と同様のものを使用する。
続いて、図7に示したように、バリア層部分1633のうち、有機発光素子30Rが形成されることとなる第3の領域としての領域SR上に、例えばフォトレジスト膜よりなる第3のマスクとしてのエッチングマスク73をパターン形成する。
続いて、一連のエッチングマスク71〜73を使用し、密着層161、共振層162およびバリア層部分1631〜1633を連続的にエッチングしてパターニングすることにより、図8に示したように、密着層161、共振層162およびバリア層部分1631〜1633のうち、エッチングマスク71〜73により被覆されていた部分以外の部分を選択的に除去する。このエッチング処理により、密着層161、共振層162およびバリア層部分1631〜1633が各領域SR,SG,SBごとに分離され、具体的には、領域SBにおいて密着層161、共振層162およびバリア層部分1631の3層構造が残存し、領域SGにおいて密着層161、共振層162およびバリア層部分1631,1632の4層構造が残存し、領域SRにおいて密着層161、共振層162およびバリア層部分1631〜1633の5層構造が残存する。なお、エッチング処理時には、エッチングマスク71〜73自体もエッチングされるため、それらのエッチングマスク71〜73の厚さが目減りする。
最後に、エッチングマスク71〜73を除去することにより、図9に示したように、上記した密着層161、共振層162およびバリア層部分1631〜1633の残存構造により、図2に示した下部電極層16R,16G,16Bが完成する。具体的には、青色の光EBを放出する有機発光素子30Bが形成されることとなる領域SBでは、密着層161B、共振層162Bおよびバリア層163B(163B1)が積層された積層構造を有する下部電極層16Bが形成され、このバリア層163Bは、バリア層部分1631(バリア層163B1)よりなる単層構造として形成される。また、緑色の光EGを放出する有機発光素子30Gが形成されることとなる領域SGでは、密着層161G、共振層162Gおよびバリア層163Gが積層された積層構造を有する下部電極層16Gが形成され、このバリア層163Gは、バリア層部分1631(下部バリア層163G1),1632(上部バリア層163G2)よりなる2層構造として形成される。さらに、赤色の光ERを放出する有機発光素子30Rが形成されることとなる領域SRでは、密着層161R、共振層162Rおよびバリア層163Rが積層された積層構造を有する下部電極層16Rが形成され、このバリア層163Rは、バリア層部分1631(下部バリア層163R1),1632(中間バリア層163R2),1633(上部バリア層163R3)よりなる3層構造として形成される。
なお、上記した厚さT1,T2,T3は、最終的に有機発光素子30R,30G,30Bにおいてそれぞれ赤色の光ER、緑色の光EGおよび青色の光EBを放出させることが可能な限り、自由に設定可能である。一例を挙げれば、発光層を含む層18の総厚=約40nm〜70nmの場合には、T1,T2,T3=約2nm〜100nmである。より具体的な例を挙げれば、発光層を含む層18の総厚=約50nm〜60nmの場合には、T1=約2nm〜20nm、(T1+T2)=約20nm〜50nm、(T1+T2+T3)=約50nm〜80nmである。参考までに、例えば、図1に示した補助配線40は、有機発光素子30Rと形成手順と同様の手順を経て、並列的に形成可能である。
本実施の形態に係る有機ELディスプレイでは、図1および図2に示したように、有機発光素子30R,30G,30Bのうちの下部電極層16R,16G,16Bが、駆動用基板11に近い側から順に密着層161R,161G,161B、共振層162R,162G,162Bおよびバリア層163R,163G,163Bが積層された構成を有し、これらのバリア層163R,163G,163Bの厚さDR,DG,DBが各有機発光素子30R,30G,30B間において互いに異なるようにしたので(DR>DG>DB)、例えば、「有機ELディスプレイの動作」として上記したように、厚さDR,DG,DB間の差異に基づく有機発光素子30R,30G,30B間の共振長の差異に起因した光の干渉現象を利用して、発光層を含む層18においた発生した白色光を3色の光、すなわち赤色の光ER、緑色の光EGおよび青色の光EBに変換することが可能となる。したがって、本実施の形態では、これらの3色の光ER,EG,EBを利用して映像を表示することができる。
特に、本実施の形態では、上記した表示機構を構築可能な構造的特徴に基づき、上記「背景技術」の項において説明した従来の有機ELディスプレイとは異なり、以下で説明するように、表示性能面および製造可能性面の双方において利点を有する。
すなわち、製造可能性面に関しては、3色(R,G,B)の光を放出するために、各色の光を別々に発生可能な3種類の発光層を利用する構成的要因に起因して、これらの3種類の発光層を蒸着する際にメタルマスクを使用して塗り分けが必要であった従来の有機ELディスプレイとは異なり、図2に示したように、3色の光ER,EG,EBを放出するために単色の光(白色光)を発生可能な1種類の発光層182を利用し、すなわち各有機発光素子30R,30G,30B間において発光層182が共通化しており、メタルマスクを使用して発光層182を塗り分ける必要がないため、ディスプレイサイズの大型化を図ることが可能である。
一方、表示性能面に関しては、白色光を発生させる発光層を利用した上で、色変換用の高濃度かつ厚めのカラーフィルタのみを利用して白色光を3色(R,G,B)の光に変換していた従来の有機ELディスプレイとは異なり、カラーフィルタのみを使用して色変換を行う代わりに、図1および図2に示したように、カラーフィルタ52と共に、上記した厚さDR,DG,DB間の差異に基づく有機発光素子30R,30G,30B間の共振長の差異に起因した光の干渉現象を併用して白色光を3色の光ER,EG,EBに変換しているため、カラーフィルタ52が低濃度かつ薄めで済む。この結果、色変換時にカラーフィルタ52の光吸収に起因して光の利用損失が大きくなることを防止し、すなわち光の利用効率を確保することが可能である。
したがって、本実施の形態では、表示性能面および製造可能性面の双方において利点を有することが可能になるため、表示性能の確保と製造可能性の確保とを両立することができる。この場合には、特に、製造面において、メタルマスクを使用した発光層182の塗り分けが不要となる点に基づき、その塗り分け作業時にパーティクルが混入して発光層182に欠陥が生じることを防止することもできる。
また、本実施の形態では、有機発光素子30R,30G,30Bがそれぞれ共振層162R,162G,162Bを含み、これらの共振層162R,162G,162Bと上部電極層19との間で光を共振させる共振構造を有するようにしたので、「有機ELディスプレイの動作」として上記したように、光ER,EG,EBの色純度が向上する。したがって、各光ER,EG,EBのいずれに関しても高ピーク強度および狭波長幅の良質なスペクトルを確保し、色再現性に優れた映像を表示することができる。この場合には、特に、高反射性の銀または銀を含む合金を使用して共振層162R,162G,162Bを構成すれば、共振される光の利用効率が高まるため、表示性能をより向上させることができる。
また、本実施の形態では、バリア層163R,163G,163Bが上記したように有機発光素子30R,30G,30B間において共振長に差異を設ける機能を果たす上、共振層162R,162G,162Bを保護する機能も果たすため、それらの共振層162R,162G,162Bが大気中の酸素や硫黄成分と反応して酸化または腐食したり、あるいは有機ELディスプレイの製造工程中において使用された薬液などと反応して腐食することを防止することができる。
また、本実施の形態では、下部電極層16R,16G,16Bが平坦化層15との密着性を高めるための密着層161R,161G,161Bを含んで構成されているため、これらの下部電極層16R,16G,16Bを平坦化層15に強固に固定することができる。
また、本実施の形態では、共振層162R,162G,162Bよりも仕事関数が大きい材料を使用してバリア層163R,163G,163Bを構成したので、発光層182への正孔の注入量を増加させることができる。
本実施の形態に係る有機ELディスプレイの製造方法では、バリア層163R,163G,163Bの厚さDR,DG,DBが各有機発光素子30R,30G,30B間において互いに異なるような特徴的な構成を有する下部電極層16R,16G,16Bを形成するために、既存の薄膜プロセスしか使用せず、新規かつ煩雑な製造プロセスを使用しない。しかも、その既存の薄膜プロセスのみを使用した上で、下部電極層16R,16G,16Bを継続的に再現性よく形成することが可能である。したがって、本実施の形態では、下部電極層16R,16G,16Bを備えた有機ELディスプレイを容易かつ安定に製造することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態に係る表示装置としての有機ELディスプレイは、下部電極層16R,16G,16Bの形成工程が異なる点を除いて、上記第1の実施の形態において説明した有機ELディスプレイの構成(図1〜図3)と同様の構成を有しており、その有機ELディスプレイの製造工程と同様の製造工程を使用して製造可能である。この有機ELディスプレイでは、特に、例えば、下部電極層16R,16G,16Bのうちのバリア層163R,163G,163Bを高精度に形成するために、バリア層部分1631が酸化錫(SnO2 )または酸化クロム(CrO)により構成され、バリア層部分1632がITOにより構成され、バリア層部分1633がIZOにより構成されているのが好ましい。
図10〜図17は有機ELディスプレイのうちの下部電極層16R,16G,16Bの製造工程を説明するためのものであり、いずれも図2に対応する断面構成を表している。なお、図10〜図17では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の要素に同一の符号を付している。
下部電極層16R,16G,16Bを形成する際には、まず、図10に示したように、例えばスパッタリングを使用して、平坦化層15を覆うように、密着層161(厚さ=約20nm)と、共振層162(厚さ=約100nm)と、第1のバリア層部分としてのバリア層部分1631(厚さ=T1)と、第2のバリア層部分としてのバリア層部分1632(厚さ=T2)と、第3のバリア層部分としてのバリア層部分1633(厚さ=T3)とをこの順に形成して積層させる。密着層161およびバリア層部分1631〜1633の形成材料としては、いずれに関しても上記第1の実施の形態において説明した金属、金属酸化物、金属窒化物または金属化合物を使用し、例えば、密着層161およびバリア層部分1632としてITO、バリア層部分1631として酸化錫(SnO2 )、バリア層部分1633としてIZOをそれぞれ使用する。また、共振層162の形成材料としては、上記第1温実施の形態において説明した銀や銀を含む合金を使用し、例えば銀パラジウム銅合金(AgPdCu)を使用する。このバリア層部分1631〜1633を形成する際には、上記にて図2を参照して説明したように、有機発光素子30R,30G,30Bにおいてそれぞれ光の干渉現象を利用して白色光を赤色の光ER、緑色の光EGおよび青色の光EBに変換するために必要な共振長を確保し得るように、厚さT1〜T3をそれぞれ設定する。特に、ITOよりなるバリア層部分1632を形成する際には、例えば、後工程においてIZOよりなるバリア層部分1633をウェットエッチングする際に、バリア層部分1632がエッチング処理の進行を停止させるストップ層として機能し得るように、そのバリア層部分1632を高温下で成膜するか、あるいは成膜後にアニールし、結晶化させる。なお、スパッタリングを使用して密着層161、共振層162、バリア層部分1631〜1633を形成して積層させる際には、例えば、これらの一連の層を同一の真空環境中において連続的に形成する。
なお、密着層161、共振層162およびバリア層部分1631〜1633の形成条件は、例えば、以下の通りである。すなわち、スパッタリングガスとしては、密着層161およびバリア層部分1632を形成するためにアルゴン(Ar)に酸素(O2 )が0.3%混合された混合ガスを使用し、共振層162を形成するためにアルゴンガスを使用し、バリア層部分1631を形成するためにアルゴン(Ar)に酸素(O2 )が0.5%混合された混合ガスを使用し、バリア層部分1633を形成するためにアルゴン(Ar)に酸素(O2 )が1.0%混合された混合ガスを使用する。また、スパッタリング条件としては、いずれの場合においても圧力=約0.5Pa、DC出力=約500Wとする。
続いて、図11に示したように、バリア層部分1633のうち、有機発光素子30Rが形成されることとなる第1の領域としての領域SR上に、例えばフォトレジスト膜よりなる第1のマスクとしてのエッチングマスク81をパターン形成する。
続いて、エッチングマスク81と共にウェットエッチングを使用し、バリア層部分1633をエッチングしてパターニングすることにより、図12に示したように、バリア層部分1633のうち、エッチングマスク81により被覆されていた部分以外の部分を選択的に除去し、領域SRにバリア層部分1633を残存させると共に、その領域SBの周辺領域にバリア層部分1632を露出させる。このウェットエッチング処理を行う際には、エッチャントとして、例えば、リン酸(H3 PO4 )と硝酸(HNO3 )と酢酸(CH4 COOH)との混酸、あるいはシュウ酸(C2 H2 O4 )を使用する。このウェットエッチング処理時には、上記したように、エッチャントに対して耐性を有する結晶化ITOよりなるバリア層部分1632がストップ層として機能し、バリア層部分1633のエッチングが完了した時点でエッチング処理の進行が停止するため、そのエッチング処理がバリア層部分1632まで及ぶことが防止される。
続いて、図13に示したように、バリア層部分1632の露出面のうち、有機発光素子30Gが形成されることとなる第2の領域としての領域SG上に、例えばフォトレジスト膜よりなる第2のマスクとしてのエッチングマスク82をパターン形成する。なお、エッチングマスク82を形成する際には、例えば、必要に応じて、エッチングマスク82を形成する前に使用済みのエッチングマスク81を一旦除去したのち、そのエッチングマスク82を形成すると同時にエッチングマスク81を改めて形成し直すようにする。
続いて、エッチングマスク81,82と共にウェットエッチングを使用し、バリア層部分1632をエッチングしてパターニングすることにより、図14に示したように、バリア層部分1632のうち、エッチングマスク81,82により被覆されていた部分以外の部分を選択的に除去し、領域SR,SGにバリア層部分1632を残存させると共に、それらの領域SR,SGの周辺領域にバリア層部分1631を露出させる。このウェットエッチング処理を行う際には、エッチャントとして、例えば、塩酸(HCl)、塩酸を含む酸、あるいはフッ酸と硝酸との混酸を使用する。このウェットエッチング処理時には、上記したバリア層部分1632と同様に、エッチャントに対して耐性を有する酸化錫よりなるバリア層部分1631がストップ層として機能し、バリア層部分1632のエッチングが完了した時点でエッチング処理の進行が停止するため、そのエッチング処理がバリア層部分1631まで及ぶことが防止される。
続いて、図15に示したように、バリア層部分1631の露出面のうち、有機発光素子30Bが形成されることとなる第3の領域としての領域SB上に、例えばフォトレジスト膜よりなる第3のマスクとしてのエッチングマスク83をパターン形成する。なお、エッチングマスク83を形成する際には、例えば、必要に応じて、エッチングマスク83を形成する前に使用済みのエッチングマスク81,82を一旦除去したのち、そのエッチングマスク83を形成すると同時にエッチングマスク81,82を改めて形成し直すようにする。
続いて、エッチングマスク81〜83と共にドライエッチングを使用し、密着層161、共振層162およびバリア層部分1631を連続的にエッチングしてパターニングすることにより、図16に示したように、密着層161、共振層162およびバリア層部分1631のうち、エッチングマスク81〜83により被覆されていた部分以外の部分を選択的に除去する。このエッチング処理により、密着層161、共振層162およびバリア層部分1631が各領域SR,SG,SBごとに分離され、具体的には、領域SRにおいて密着層161、共振層162およびバリア層部分1631〜1633よりなる5層構造が残存し、領域SGにおいて密着層161、共振層162およびバリア層部分1631,1632よりなる4層構造が残存し、領域SBにおいて密着層161、共振層162およびバリア層部分1631よりなる3層構造が残存する。なお、エッチング処理時には、エッチングマスク81〜83自体もエッチングされるため、それらのエッチングマスク81〜83の厚さが目減りする。
最後に、エッチングマスク81〜83を除去することにより、図17に示したように、上記した密着層161、共振層162およびバリア層部分1631〜1633の残存構造により、上記第1の実施の形態において図9に示した場合と同様に、図2に示した下部電極層16R,16G,16Bが完成する。
本実施の形態に係る有機ELディスプレイの製造方法においても、既存の薄膜プロセスのみを使用して下部電極層16R,16G,16Bを継続的に再現性よく形成することが可能であるため、上記第1の実施の形態と同様に、有機ELディスプレイを容易かつ安定に製造することができる。
特に、本実施の形態では、エッチャントに対して互いに異なる耐性を有する材料を使用してバリア層部分1631〜1633を形成し、具体的には、バリア層部分1633をウェットエッチングするためのエッチャントに対して耐性を有する材料を使用してバリア層部分1632を形成すると共に、同様にバリア層部分1632をウェットエッチングするためのエッチャントに対して耐性を有する材料を使用してバリア層部分1631を形成するようにしたので、バリア層部分1633をエッチングする際にバリア層部分1632がエッチング処理を停止させるためのストップ層として機能すると共に、同様にバリア層部分1632をエッチングする際にバリア層部分1631がストップ層として機能する。したがって、エッチング処理が不必要な箇所にまで及ぶことを防止することが可能になるため、下部電極層16R,16G,16Bを高精度に形成することができる。
また、本実施の形態では、スパッタリングを使用して密着層161、共振層162、バリア層部分1631〜1633を形成して積層させる際に、これらの一連の層を同一の真空環境中において連続的に形成するようにしたので、これらの一連の層を複数の真空環境中、すなわち真空環境と大気圧環境とを経由しながら形成する場合とは異なり、各層間に大気圧環境中の異物が混入することを防止し、その各層間の界面を清浄に保つことができる。
なお、本実施の形態に係る有機ELディスプレイに関する動作、作用および効果は、上記第1の実施の形態と同様である。
以上、いくつかの実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、それらの実施の形態と同様の効果を得ることが可能な限りにおいて自由に変形可能である。
具体的には、例えば、上記各実施の形態では、図3に示したように、発光層182において白色光を発生させるために、その発光層182を赤色発光層182R、緑色発光層182Gおよび青色発光層182Bが積層された3層構造として構成したが、必ずしもこれに限られるものではなく、白色光を発生させることが可能な限りにおいて、発光層182の構成は自由に変更可能である。この発光層182に関する上記した3層構造以外の構造としては、例えば、(1)白色光を発生可能な白色発光材料を使用した単層構造や、(2)赤色発光材料、緑色発光材料および青色発光材料が混合された混合材料を使用した単層構造や、(3)赤色発光材料および緑色発光材料が混合された混合材料よりなる混合発光層と、緑色発光材料および青色発光材料が混合された混合材料よりなる他の混合発光層とが積層された2層構造などが挙げられる。これらのいずれの場合においても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記各実施の形態では、発光層182において白色光を発生させるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、各有機発光素子30R,30G,30B間の共振長の差異を利用して発光層182において発生した光を3色の光ER,EG,EBに変換することが可能な限り、発光層182において発生させる光の色は自由に変更可能である。この場合においても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記各実施の形態では、各有機発光素子30R,30G,30Bを構成するバリア層163R,163G,163Bの厚さDR,DG,DBの間にDR>DG>DBの関係が成立している場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、上記各実施の形態と同様の効果を得ることが可能な限り、厚さDR,DG,DBの間の関係は自由に変更可能である。この点に関してより詳細に説明すれば、上記各実施の形態において説明したDR>DG>DBの関係は、一連の数式(数2〜数4)中のmR,mG,mBの間にmR=mG=mBの関係(例えばmR=mG=mB=0)が成立している場合に成立するものであり、これらのmR,mG,mBの値の設定によっては厚さDR,DG,DB間の関係が変更し得る。一例を挙げれば、mR,mG,mBの間にmR(=mG)≠mBの関係(例えばmR=mG=0,mB=1)の関係が成立している場合には、厚さDR,DG,DBの間にDB>DR>DGの関係が成立することとなる。この場合には、特に、最も厚いバリア層163Bの厚さが約100nm以上となり得る。
また、上記各実施の形態では、図1および図2に示したように、本発明をトップエミッション型の有機ELディスプレイに適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図18および図19に示したように、本発明をボトムエミッション型の有機ELディスプレイに適用するようにしてもよい。図18はボトムエミッション型の有機ELディスプレイの断面構成を表しており、図19は図18に示した有機ELディスプレイを構成する有機発光素子30R,30G,30Bおよび補助配線40の断面構成を拡大して模式的に表している。この有機ELディスプレイは、主に、図18に示したように、(1)TFT12(121〜123)が有機発光素子30(30R,30G,30B)の配設位置に対応しないようにずれて配置され、(2)カラーフィルタ52が駆動用基板11とTFT12および層間絶縁層13との間に配設されていると共に、図19に示したように、(3)共振層162R,162G,162Bの厚さが上部電極層19の厚さよりも薄くなっている点を除き、図1に示したトップエミッション型の有機ELディスプレイとほぼ同様の構成を有している。この有機ELディスプレイでは、有機発光素子30R,30G,30Bは、共振層162R,162G,162Bと上部電極層19との間で共振させた光ER,EG,EBを下部電極層16R,16G,16Bを経由して放出するようになっている。この場合の共振層162R,162G,162Bの厚さは約1nm〜50nmであり、上部電極層19の厚さは約100nm〜300nmである。なお、ボトムエミッション型の有機ELディスプレイでは、例えば、図18に示したように保護層20、接着層60および封止パネル50(封止用基板51)を備える代わりに、脱酸素材を含む中空構造の封止キャップを備える場合もある。このボトムエミッション型の有機ELディスプレイにおいても、上記各実施の形態において説明したトップエミッション型の有機ELディスプレイと同様の効果を得ることができる。
また、上記各実施の形態では、本発明の有機発光装置を表示装置としての有機ELディスプレイに適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、本発明の有機発光装置を有機ELディスプレイ以外の他の表示装置に適用するようにしてもよい。もちろん、本発明の有機発光装置は、例えば、表示装置以外の他の装置にも適用することが可能である。この「表示装置以外の他の装置」としては、例えば、照明装置などが挙げられる。これらの場合においても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
10…駆動パネル、11…駆動用基板、12(121〜123)…TFT、13…層間絶縁層、14…配線、15…平坦化層、16R,16G,16B…下部電極層、17…層内絶縁層、18…発光層を含む層、19…上部電極層、20…保護層、30(30R,30G,30B)…有機発光素子、40…補助配線、50…封止パネル、51…封止用基板、52…カラーフィルタ、52R…赤色領域、52G…緑色領域、52B…青色領域、60…接着層、161,161R,161G,161B…密着層、71〜73,81〜83…エッチングマスク、162,162R,162G,162B…共振層、163R(163R1),163G,163B…バリア層、163G1,163B1…下部バリア層、163B2…中間バリア層、163G2,163B3…上部バリア層、181…正孔輸送層、182…発光層、182R…赤色発光層、182G…緑色発光層、182B…青色発光層、183…電子輸送層、1631〜1633…バリア層部分、DR,DG,DB,HR,HG,HB…厚さ、E…光(映像表示用の光)、ER…赤色の光、EG…緑色の光、EB…青色の光、LR,LG,LB…光学的距離、PR1,PG1,PB1,PR2,PG2,PB2…端面、SR,SG,SB…領域。