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JP4453316B2 - 有機発光装置およびその製造方法、ならびに表示装置 - Google Patents

有機発光装置およびその製造方法、ならびに表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence;以下、単に「EL」という。)現象を利用して発光する有機発光装置およびその製造方法、ならびに有機発光装置を利用して映像を表示する表示装置に関する。
近年、フラットパネルディスプレイの1つとして、有機EL現象を利用して映像を表示する有機ELディスプレイが注目されている。この有機ELディスプレイは、有機発光素子自体の発光現象を利用しているために視野角が広く、かつ消費電力が低い点において優れている。特に、有機ELディスプレイは、例えば、高精細度の高速ビデオ信号に対して十分な応答性を有するものと考えられており、映像分野等において実用化に向けて開発が進められている。
有機ELディスプレイは、主に、有機発光素子およびその有機発光素子を駆動させるための駆動素子(TFT;Thin Film Transistor)が設けられた駆動パネルと封止パネルとが対向配置され、これらの駆動パネルと封止パネルとが有機発光素子を挟むように接着層を介して貼り合わされた構成を有している。有機発光素子は、2つの電極層の間に発光層を含む層が挟まれた構成を有しており、この発光層を含む層は、光の発生源としての発光層と共に、その発光層以外の層として正孔輸送層や電子輸送層などを含んで構成されている。この有機ELディスプレイの表示方式としては、例えば、発光層において発生した光を一方の電極層(封止パネルに近い側の電極層)を経由して放出するトップエミッション型と、他方の電極層(駆動パネルに近い側の電極層)を経由して放出するボトムエミッション型とが知られている。
この有機ELディスプレイにおいて、有機発光素子を利用してフルカラーの映像を表示する機構としては、既にいくつかの機構が技術化されている。具体的には、例えば、光の3原色に対応する3色の光、すなわち赤色(R;Red )の光、緑色(G;Green )の光および青色(B;Blue)の光を別々に発生可能な3種類の発光層を蒸着して塗り分けることにより3つの有機発光素子を形成し、これらの3つの有機発光素子に基づいて3色の画素を構成する表示機構が技術化されている。また、例えば、白色光を発生させる3つの有機発光素子を使用し、色変換用のカラーフィルタを利用して各白色光を3色(R,G,B)の光に変換することにより映像を表示する表示機構が技術化されている。この場合には、カラーフィルタの色変換機能を確保するために、フィルタ濃度を高めにしたり、あるいはフィルタ厚を厚めに設計する必要がある。
なお、有機ELディスプレイの表示機構に関しては、他の関連技術もいくつか提案されている。具体的には、例えば、有機発光素子から放出される光の放出効率を向上させるために、発光層を含む層のうち、その発光層以外の層の厚さを各色ごとに異ならせる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この有機ELディスプレイでは、発光層以外の層の厚さの差異、すなわち光の放出過程における光路長の差異に基づき、光の干渉現象を利用して各色ごとに光の放出効率が向上する。
特開平2000−323277号公報
また、例えば、上記した関連技術と同様に光の放出効率を向上させるために、発光層以外の層の厚さを各色ごとに一定にした上で、電極層(透明電極)の厚さを各色ごとに異ならせる技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。この有機ELディスプレイでは、電極層の厚さの差異に基づき、光の干渉現象を利用して各色ごとに光の放出効率が向上する。
特開2003−142277号公報
また、例えば、電極層(透明電極)を低抵抗化するために、その電極層に金属薄膜(例えば50nm以下の厚さの銀(Ag))を挿入する技術が知られている(例えば、特許文献3参照。)。この有機ELディスプレイでは、金属薄膜の導電特性を利用して、電極層が低抵抗化される。
特開2002−334792号公報
また、例えば、高輝度の白色光を効率よく発生させるために、青色の光を発生させる青色発光層と、緑色の光を発生させる緑色発光層と、赤色の光を発生させる赤色発光層とを積層することにより発光層を構成する技術が知られている(例えば、特許文献4参照。)。この有機ELディスプレイでは、青色発光層、緑色発光層および赤色発光層が積層されることにより構成された発光層の構成的特徴に基づき、白色光が高輝度化すると共に、その白色光の発生効率が向上する。
特開平10−003990号公報
ところで、有機ELディスプレイの普及を図るためには、例えば、表示性能の確保と製造可能性の確保とを両立する必要がある。しかしながら、上記した従来の有機ELディスプレイでは、主に表示機構や製造手法に起因して、表示性能の確保と製造可能性の確保とを両立することが困難であるという問題があった。
具体的には、3種類の発光層を蒸着して塗り分けることにより3つの有機発光素子が形成された従来の有機ELディスプレイでは、例えば、各有機発光素子において発生した3色(R,G,B)の光をそのまま利用することが可能なため、光の利用損失が少ないという表示性能面において利点を有しているが、3種類の発光層を蒸着して塗り分けるためにマスク(例えばメタルマスク)が必要なため、このメタルマスクの大型化が困難な点に起因して、ディスプレイサイズの大型化が困難であるという製造可能性面において欠点を有している。一方、カラーフィルタを使用して白色光を3色(R,G,B)の光に変換する従来の有機ELディスプレイでは、例えば、各発光層が互いに同一の材質であり、メタルマスクを使用した発光層の塗り分けが不要であるため、ディスプレイサイズの大型化を図ることが可能であるという製造可能性面において利点を有しているが、高濃度かつ厚めのカラーフィルタを使用して白色光を3色の光に変換する過程において光が吸収されやすいため、光の利用損失が大きくなるという表示性能面において欠点を有している。
なお、従来の有機ELディスプレイに関しては、一連の関連技術として上記したように、主に表示性能面のみにおいて改善を図るためにいくつかの提案がなされている現状にあるため、有機ELディスプレイが普及しつつある今日の市場動向を考慮すれば、製造可能性面において未だ改善の余地があると言える。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、表示性能の確保と製造可能性の確保とを両立することが可能な表示発光装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、本発明の有機発光装置を容易かつ安定に製造することが可能な有機発光装置の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の第3の目的は、本発明の表示発光装置を備えた表示装置を提供することにある。
本発明に係る有機発光装置は、下部電極層と上部電極層との間に発光層を含む層が挟まれた構成を有する赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子を備え、下部電極層が発光層を含む層から遠い側から順に反射層およびバリア層が積層された積層単位を有すると共に、その積層単位が1または2以上繰り返された積層構造を含み、発光層が赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子の間において互いに等しい色の光を発生し、赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子が発光層において発生した光を反射層のうちの最上層の共振端面と上部電極層との間において共振させたのちその上部電極層を経由してそれぞれ赤色の光、緑色の光および青色の光を放出し、反射層およびバリア層の積層方向における共振端面の位置ならびに下部電極層における積層単位の数が赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子のうちの少なくとも2つの間において互いに異なっており、バリア層のうちの最上層の厚さが赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子の間において互いに異なっているものである。
また、本発明に係る有機発光装置の製造方法は、下部電極層と上部電極層との間に発光層を含む層が挟まれた構成を有する赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子を備えた有機発光装置の製造工程が、発光層を含む層から遠い側から順に反射層およびバリア層が積層された積層単位を有すると共に、その積層単位が1または2以上繰り返された積層構造を含むように下部電極層を形成する工程を含み、発光層が赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子の間において互いに等しい色の光を発生し、赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子が発光層において発生した光を反射層のうちの最上層の共振端面と上部電極層との間において共振させたのちその上部電極層を経由してそれぞれ赤色の光、緑色の光および青色の光を放出し、反射層およびバリア層の積層方向における共振端面の位置ならびに下部電極層における積層単位の数が赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子のうちの少なくとも2つの間において互いに異なり、バリア層のうちの最上層の厚さが赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子の間において互いに異なるようにしたものである。
さらに、本発明に係る表示装置は、下部電極層と上部電極層との間に発光層を含む層が挟まれた構成を有する赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子を備え、下部電極層が発光層を含む層から遠い側から順に反射層およびバリア層が積層された積層単位を有すると共に、その積層単位が1または2以上繰り返された積層構造を含み、発光層が赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子の間において互いに等しい色の光を発生し、赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子が発光層において発生した光を反射層のうちの最上層の共振端面と上部電極層との間において共振させたのちその上部電極層を経由してそれぞれ赤色の光、緑色の光および青色の光を放出し、反射層およびバリア層の積層方向における共振端面の位置ならびに下部電極層における積層単位の数が赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子のうちの少なくとも2つの間において互いに異なっており、バリア層のうちの最上層の厚さが赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子の間において互いに異なっているものである。
本発明に係る有機発光装置では、下部電極層が発光層を含む層から遠い側から順に反射層およびバリア層が積層された積層単位を有すると共にその積層単位が1または2以上繰り返された積層構造を含んでいると共に、反射層のうちの最上層の共振端面の位置ならびに下部電極層における積層単位の数が赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子のうちの少なくとも2つの間において互いに異なっており、かつ、バリア層のうちの最上層の厚さが赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子の間において互いに異なっている。この場合には、発光層から赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子の間において互いに等しい色の光を発生させることにより、バリア層の厚さの差異に基づく共振長の差異に起因した光の干渉現象を利用して赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子からそれぞれ赤色の光、緑色の光および青色の光が放出される。
また、本発明に係る有機発光装置の製造方法では、発光層を含む層から遠い側から順に反射層およびバリア層が積層された積層単位を有すると共にその積層単位が1または2以上繰り返された積層構造を含むように下部電極層を形成すると共に、反射層のうちの最上層の共振端面の位置ならびに下部電極層における積層単位の数が赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子のうちの少なくとも2つの間において互いに異なり、かつ、バリア層のうちの最上層の厚さが赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子の間において互いに異なるようにした。この場合には、下部電極層を継続的に再現性よく形成するために、既存の薄膜プロセスしか使用せず、新規かつ煩雑な製造プロセスを使用しない。
さらに、本発明に係る表示装置では、本発明の有機発光装置を備えているため、表示装置を製造する上でメタルマスクを使用して発光層を塗り分ける必要がないと共に、発光層において発生した光をカラーフィルタで色変換する必要がない。これにより、ディスプレイサイズの大型化を図ることが可能になると共に、光の利用効率を確保することが可能になる。
本発明に係る有機発光装置によれば、下部電極層が発光層を含む層から遠い側から順に反射層およびバリア層が積層された積層単位を有すると共にその積層単位が1または2以上繰り返された積層構造を含んでいると共に、反射層のうちの最上層の共振端面の位置ならびに下部電極層における積層単位の数が赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子のうちの少なくとも2つの間において互いに異なっており、かつ、バリア層のうちの最上層の厚さが赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子の間において互いに異なっている。よって、赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子からそれぞれ赤色の光、緑色の光および青色の光を放出することが可能になるため、この有機発光装置を利用して、表示性能の確保と製造可能性の確保とを両立することが可能な表示装置を構成することができる。
また、本発明に係る有機発光装置の製造方法によれば、既存の薄膜プロセスのみを使用して、発光層を含む層から遠い側から順に反射層およびバリア層が積層された積層単位を有すると共にその積層単位が1または2以上繰り返された積層構造を含むように下部電極層を形成すると共に、反射層のうちの最上層の共振端面の位置ならびに下部電極層における積層単位の数が赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子のうちの少なくとも2つの間において互いに異なり、かつ、バリア層のうちの最上層の厚さが赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子の間において互いに異なる有機発光装置を製造することが可能である。よって、有機発光装置を容易かつ安定に製造することができる。
さらに、本発明に係る表示装置によれば、本発明の有機発光装置を備え、ディスプレイサイズの大型化を図ることが可能になると共に光の利用効率を確保することが可能になるため、表示性能の確保と製造可能性の確保とを両立することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る表示装置としての有機ELディスプレイの構成について説明する。図1は、有機ELディスプレイの断面構成を表している。
この有機ELディスプレイは、有機EL現象を利用して映像を表示するものであり、例えば、図1に示したように、有機発光素子30およびその有機発光素子30を駆動させるための駆動素子(TFT;Thin Film Transistor)12が設けられた有機発光装置としての駆動パネル10と封止パネル50とが対向配置され、これらの駆動パネル10と封止パネル50とが有機発光素子30を挟むように接着層60を介して貼り合わされた構成を有している。この有機ELディスプレイは、例えば、有機発光素子30において発生した光Eを上方、すなわち封止パネル50から外部に放出するトップエミッション型構造を有している。
駆動パネル10は、基体としての駆動用基板11に、上記した有機発光素子30として3つの有機発光素子30R,30G,30Bが設けられた構成を有している。この駆動パネル10は、具体的には、例えば、駆動用基板11の一面に、TFT12として3つのTFT121,122,123と、層間絶縁層13と、各TFT121〜123ごとに2組ずつ設けられた配線14と、有機発光素子30(30R,30G,30B)が配設される下地領域としての平坦化層15と、上記した有機発光素子30(30R,30G,30B)、補助配線40および層内絶縁層17と、保護層20とがこの順に積層された構成を有している。
駆動用基板11は、有機発光素子30およびTFT12を支持するためのものであり、例えば、ガラスなどの絶縁性材料により構成されている。
TFT12(121,122,123)は、有機発光素子30(30R,30G,30B)を駆動させて発光させるためのものである。このTFT12は図示しないゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を含んで構成されており、そのゲート電極は走査回路(図示せず)に接続され、ソース電極およびドレイン電極はいずれも層間絶縁層13に設けられた接続孔(図示せず)を通じて配線14に接続されている。なお、TFT12の構成は特に限定されず、例えば、ボトムゲート型であってもよいし、あるいはトップゲート型であってもよい。
層間絶縁層13は、各TFT121〜123間を電気的に分離するためのものであり、例えば、酸化シリコン(SiO2 )やPSG(Phospho-Silicate Glass)などの絶縁性材料により構成されている。
配線14は、信号線として機能するものであり、例えば、アルミニウム(Al)またはアルミニウム銅合金(AlCu)などの導電性材料により構成されている。
平坦化層15は、有機発光素子30が配設される下地領域を平坦化し、その有機発光素子30を構成する一連の層を高精度に形成するためのものであり、例えば、ポリイミドまたはポリベンゾオキサゾールなどの有機絶縁性材料や、酸化シリコン(SiO2 )などの無機絶縁性材料により構成されている。
有機発光素子30(30R,30G,30R)は映像表示用の光Eを発生するものであり、具体的には、後述する発光層を含む層18において発生した所定の色(波長)の光を光の3原色に対応する3色(R;Red ,G;Green ,B;Blue)の光に変換して放出するものである。有機発光素子30Rは、赤色の光ERを放出するものであり、駆動用基板11に近い側から順に、第1の電極層としての下部電極層16Rと、発光層を含む層18と、第2の電極層としての上部電極層19とが積層された構成を有している。有機発光素子30Gは、緑色の光EGを放出するものであり、駆動用基板11に近い側から順に、第1の電極層としての下部電極層16Gと、発光層を含む層18と、上部電極層19とが積層された構成を有している。有機発光素子30Bは、青色の光EBを放出するものであり、駆動用基板11に近い側から順に、第1の電極層としての下部電極層16Bと、発光層を含む層18と、上部電極層19とが積層された構成を有している。これらの有機発光素子30R,30G,30Bは、例えば、各TFT121〜123にそれぞれ対応して配置されており、下部電極層16R,16G,16Bは、いずれも平坦化層15に設けられた接続孔(図示せず)を通じて各TFT121〜123ごとに設けられた配線14に接続されている。なお、有機発光素子30R,30G,30Bの詳細な構成に関しては後述する(図2および図3参照)。
補助配線40は、図示しない電源と上部電極層19との間の抵抗の差異を緩和することにより3つの有機発光素子30R,30G,30B間の抵抗差を低減させるためのものであり、その上部電極層19と電気的に接続されている。この補助配線40は、有機発光素子30R,30G,30Bと同一階層に配設されており、例えば、その有機発光素子30Rとほぼ同様の構成を有している。なお、補助配線40の詳細な構成に関しては後述する(図2参照)。
層内絶縁層17は、有機発光素子30R,30G,30Bおよび補助配線40間を電気的に分離すると共に、各有機発光素子30R,30G,30Bから放出される光E(ER,EG,EB)の放出範囲を規定するためのものであり、有機発光素子30R,30G,30Bおよび補助配線40の周囲に配設されている。この層内絶縁層17は、例えば、ポリイミドまたはポリベンゾオキサゾールなどの有機絶縁性材料や酸化シリコン(SiO2 )などの無機絶縁性材料により構成されており、その厚さは約600nmである。
保護層20は、有機発光素子30を保護するためのものであり、例えば、酸化シリコン(SiO2 )や窒化シリコン(SiN)などの光透過性の誘電材料により構成されたパッシベーション膜である。
封止パネル50は、封止用基板51の一面にカラーフィルタ52が設けられた構成を有している。
封止用基板51は、カラーフィルタ52を支持すると共に、有機発光素子30R,30G,30Bから放出された光ER,EG,EBを透過して外部に放出可能とするためのものであり、例えば、ガラスなどの絶縁性材料により構成されている。
カラーフィルタ52は、有機発光素子30R,30G,30Bからそれぞれ放出された光ER,EG,EBを有機ELディスプレイの外部へ導くと共に、その有機ELディスプレイの内部へ外光が侵入して各有機発光素子30R,30G,30Bや補助配線40において反射した際に、その反射光を吸収することによりコントラストを確保するためのものである。このカラーフィルタ52は、各有機発光素子30R,30G,30Bに対応して配置された3つの領域、すなわち赤色領域52R、緑色領域52Gおよび青色領域52Bを含んで構成されており、これらの赤色領域52R、緑色領域52Gおよび青色領域52Bは、例えば、それぞれ赤色、緑色および青色の顔料が混入された樹脂により構成されている。
接着層60は、駆動パネル10と封止パネル50とを貼り合わせるためのものであり、例えば、熱硬化型樹脂などの接着性材料により構成されている。
なお、図1では、図示を簡略化するために3つのTFT12(TFT121〜123)および1組の有機発光素子30(3つの有機発光素子30R,30G,30B)のみを示したが、実際には駆動用基板11に複数のTFT12がマトリックス状に設けられており、この複数のTFT12に対応して複数組の有機発光素子30が配置されている。
次に、図1および図2を参照して、有機発光素子30R,30G,30Bおよび補助配線40の詳細な構成について説明する。図2は、有機発光素子30R,30G,30Bおよび補助配線40の断面構成を拡大して模式的に表している。
有機発光素子30R,30G,30Bは、例えば、図2に示したように、互いに異なる総厚を有する積層構造を有している。これらの有機発光素子30R,30G,30Bのうちの下部電極層16R,16G,16Bは、それぞれ発光層を含む層18から遠い側から順に、その発光層を含む層18において発生した光を上部電極層19との間で共振させるための端面(共振端面)PR1,PG1,PB1を有する反射層162R,162G,162Bと、これらの反射層162R,162G,162Bを保護するためのバリア層163R,163G,163Bとが積層された積層構造を含んで構成されている。具体的には、下部電極層16R,16G,16Bは、例えば、発光層を含む層18から遠い側から順に「下部電極構成層」と「上部電極構成層」とが積層された積層単位Uを有し、この積層単位Uが1または2以上繰り返された積層構造を含んで構成されている。この「下部電極構成層」とは、後述するように、実質的に共振機能を担う「真の反射層(反射層162R,162G,162B)」と、実質的に共振機能を担わない「模擬的な反射層」との双方を含む概念の層であり、「上部電極構成層」も同様に、実質的に保護機能を担う「真のバリア層(バリア層163R,163G,163B)」と、実質的に保護機能を担わない「模擬的なバリア層」との双方を含む概念の層である。
第1の有機発光素子としての有機発光素子30Rは、例えば、上記したように、駆動用基板11に近い側から順に、下部電極層16Rと、発光層を含む層18と、上部電極層19とが積層された構成を有している。この下部電極層16Rは、例えば、上記した積層単位Uを2つ含み、すなわち発光層を含む層18から遠い側から順に、密着層161Rと、下部電極構成層162R1と、上部電極構成層163R1と、下部電極構成層162R2と、上部電極構成層163R2とが積層された構成を有しており、下部電極構成層162R1,162R2のうちの最上層(下部電極構成層162R2)が「真の反射層162R」であり、上部電極構成層163R1,163R2のうちの最上層(上部電極構成層163R2)が「真のバリア層163R」である。このバリア層163Rは、例えば、下層としての下部バリア層163RXと、上層としての上部バリア層163RYとがこの順に積層された構成を有している。この有機発光素子30Rは、上記したように、発光層を含む層18において発生した光を反射層162Rと上部電極層19との間で共振させる共振構造(一種の狭帯域フィルタ)を有しており、反射層162Rと上部電極層19との間の光学的距離L(LR)は、例えば、下記の数2の関係を満たしている。特に、有機発光素子30Rは、発光層を含む層18において発生した光を赤色の光ERに変換するものであり、より具体的には、例えば、トップエミッション型の有機ELディスプレイでは、発光層を含む層18において発生した光を反射層162Rと上部電極層19との間で共振させたのちに上部電極層19を経由して放出するものである。
(数2)
(2LR)/λ+Φ/(2π)=mR
(式中、LR,λ,Φ,mRは、LRが反射層162R(反射層162のうちのバリア層163Rに隣接する第1の端面としての端面(共振端面)PR1)と上部電極層19(上部電極層19のうちの発光層を含む層18に隣接する第2の端面としての端面PR2)との間の光学的距離、λが放出したい光のスペクトルのピーク波長、Φが反射層(端面PR1)および上部電極層(端面PR2)で生じる反射光の位相シフト、mRが0または整数(例えばmR=0)をそれぞれ表している。)
密着層161Rは、駆動用基板11、より具体的にはその駆動用基板11の一面に設けられた平坦化層15に対する反射層162Rおよびバリア層163Rの密着性を高めるためのものである。この密着層161Rは、例えば、クロム(Cr)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)およびモリブデン(Mo)を含む群のうちの少なくとも1種の金属、その金属の合金、その金属酸化物またはその金属窒化物などにより構成されており、その厚さは約1nm〜300nmである。これらの「合金」、「金属酸化物」および「金属窒化物」としては、例えば、合金としてインジウム錫合金(InSn)、インジウム亜鉛合金(InZn)、アルミニウムネオジム合金(AlNd)およびアルミニウム銅合金ケイ素化物(AlCuSi)、金属酸化物として酸化インジウム錫(ITO;Indium Tin Oxide)、酸化インジウム亜鉛(IZO;Indium Zinc Oxide )または酸化クロム(Cr23 )、金属窒化物として窒化チタン(TiN)などが挙げられる。特に、密着層161Rは、例えば、密着性や導電性に優れたITOやIZOにより構成されているのが好ましい。この密着層161Rの厚さは、例えば、上記したように導電性に優れたITOやIZOにより構成されている場合には約1nm〜300nmが好ましい上、さらにITOの表面平坦性を考慮すれば約3nm〜50nmがより好ましく、一方、ITOやIZOよりも導電性が劣る酸化クロムにより構成されている場合には、配線14と下部電極層16Rとの間の接続抵抗が大きくなりすぎることを防止する上で約1nm〜20nmが好ましい。
反射層162R(下部電極構成層162R2)は、発光層を含む層18において発生した光を上部電極層19との間で共振させるための反射層として機能するものであり、例えば、銀(Ag)または銀を含む合金により構成されている。この銀を含む合金としては、例えば、銀と共に、パラジウム(Pd)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)および金(Au)を含む群のうちの少なくとも1種を含む合金、具体的には銀パラジウム銅合金(AgPdCu)などが挙げられる。この反射層162Rの厚さは、例えば、トップエミッション型の有機ELディスプレイでは上部電極層19の厚さよりも厚くなっており、約100nm〜300nmである。なお、下部電極構成層162R1は、実質的に共振機能を担わない模擬層であり、例えば、反射層162R(下部電極構成層162R2)と同様の材料により構成されている。
バリア層163R(上部電極構成層163R2)は、例えば、反射層162R(下部電極構成層162R2)よりも仕事関数が大きい材料により構成されており、その厚さは約1nm〜200nmである。具体的には、バリア層163Rは、例えば、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ガリウム(Ga)およびアルミニウム(Al)を含む群のうちの少なくとも1種の金属、その金属の合金、その金属酸化物、またはその金属窒化物を含む光透過性材料により構成されている。これらの「合金」、「金属酸化物」および「金属窒化物」としては、例えば、合金としてインジウム錫合金やインジウム亜鉛合金、金属酸化物としてITO、IZO、酸化インジウム(In2 3 )、酸化錫(SnO2 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化チタン(TiO2 )および酸化クロム(CrO2 )、金属窒化物として窒化チタンや窒化クロム(CrN)などが挙げられる。このバリア層163Rのうちの下部バリア層163RXは、例えばITOにより構成されており、上部バリア層163RYは、例えばIZOにより構成されている。なお、上部電極構成層163R1は、実質的に保護機能を担わない模擬層であり、例えば、バリア層163R(上部電極構成層163R2)と同様の材料により構成されている。
第2の有機発光素子としての有機発光素子30Gは、例えば、バリア層163Gの構成が異なる点を除き、有機発光素子30Rとほぼ同様の構成を有している。すなわち、有機発光素子30Gは、例えば、上記したように、駆動用基板11に近い側から順に、下部電極層16Gと、発光層を含む層18と、上部電極層19とが積層された構成を有している。この下部電極層16Gは、例えば、上記した積層単位Uを2つ含み、すなわち発光層を含む層18から遠い側から順に、密着層161Gと、下部電極構成層162G1と、上部電極構成層163G1と、下部電極構成層162G2と、上部電極構成層163G2とが積層された構成を有しており、下部電極構成層162G1,162G2のうちの最上層(下部電極構成層162G2)が「真の反射層162G」であり、上部電極構成層163G1,163G2のうちの最上層(上部電極構成層163G2)が「真のバリア層163G」である。このバリア層163Gは、例えば、有機発光素子30Rのうちのバリア層163Rとは異なり、単層構造を有している。なお、下部電極層16Gのうちの下部電極構成層162G1,162G2の材質は、例えば、下部電極層16Rのうちの下部電極構成層162R1,162R2と同様であり、上部電極構成層163G1,163G2の材質は、例えば、上部電極構成層163R1,163R2と同様である。
この有機発光素子30Gは、有機発光素子30Rと同様に、発光層を含む層18において発生した光を反射層162Gと上部電極層19との間で共振させる共振構造を有しており、反射層162Gと上部電極層19との間の光学的距離L(LG)は、例えば、下記の数3の関係を満たしている。特に、有機発光素子30Gは、発光層を含む層18において発生した光を緑色の光EGに変換するものであり、より具体的には、例えば、トップエミッション型の有機ELディスプレイでは、発光層を含む層18において発生した光を反射層162Gと上部電極層19との間で共振させたのちに上部電極層19を経由して放出するものである。
(数3)
(2LG)/λ+Φ/(2π)=mG
(式中、LG,Φ,mGは、LGが反射層162G(反射層162Gのうちのバリア層163Gに隣接する第1の端面としての端面(共振端面)PG1)と上部電極層19(上部電極層19のうちの発光層を含む層18に隣接する第2の端面としての端面PG2)との間の光学的距離、Φが反射層162G(端面PG1)および上部電極層19(端面PG2)で生じる反射光の位相シフト、mGが0または整数(例えばmG=0)をそれぞれ表している。)
第3の有機発光素子としての有機発光素子30Bは、例えば、上記したように、駆動用基板11に近い側から順に、下部電極層16Bと、発光層を含む層18と、上部電極層19とが積層された構成を有している。この下部電極層16Bは、例えば、上記した積層単位Uを1つ含み、すなわち発光層を含む層18から遠い側から順に、密着層161Bと、下部電極構成層162B1と、上部電極構成層163B1とが積層された構成を有しており、その下部電極構成層162B1が「真の反射層162B」であり、上部電極構成層163B1が「真のバリア層163B」である。なお、下部電極層16Bのうちの下部電極構成層162B1の材質は、例えば、下部電極層16Rのうちの下部電極構成層162R1,162R2と同様であり、上部電極構成層163B1の材質は、例えば、上部電極構成層163R1,163R2と同様である。
この有機発光素子30Bは、有機発光素子30Rと同様に、発光層を含む層18において発生した光を反射層162Bと上部電極層19との間で共振させる共振構造を有しており、反射層162Bと上部電極層19との間の光学的距離L(LB)は、例えば、下記の数4の関係を満たしている。特に、有機発光素子30Bは、発光層を含む層18において発生した光を青色の光EBに変換するものであり、より具体的には、例えば、トップエミッション型の有機ELディスプレイでは、発光層を含む層18において発生した光を反射層162Bと上部電極層19との間で共振させたのちに上部電極層19を経由して放出するものである。
(数4)
(2LB)/λ+Φ/(2π)=mB
(式中、LB,Φ,mBは、LBが反射層162B(反射層162Bのうちのバリア層163Bに隣接する第1の端面としての端面(共振端面)PB1)と上部電極層19(上部電極層19のうちの発光層を含む層18に隣接する第2の端面としての端面PB2)との間の光学的距離、Φが反射層162B(端面PB1)および上部電極層19(端面PB2)で生じる反射光の位相シフト、mBが0または整数(例えばmB=0)をそれぞれ表している。)
確認までに、図2では、有機発光素子30R,30G,30B間の構成の差異を見やすくするために、発光層を含む層18および上部電極層19を双方を各有機発光素子30R,30G,30Bごとに分離して示しているが、実際には、例えば、図1および図2に示したように、発光層を含む層18は、有機発光素子30Rのうちの下部電極層16R(バリア層163R)上、有機発光素子30Gのうちの下部電極層16G(バリア層163G)上、ならびに有機発光素子30Bのうちの下部電極層16B(バリア層163B)上の全てを経由するように連続的に延在していると共に、上部電極層19は、発光層を含む18を覆うように連続的に延在しており、すなわち発光層を含む層18および上部電極層19の双方は、いずれも各有機発光素子30R,30G,30Bにより共有されている。なお、発光層を含む18の詳細な構成に関しては後述する(図3参照)。
上部電極層19は、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)を含む群のうちの少なくとも1種の金属、またはその金属を含む合金などにより構成されている。この「金属を含む合金」としては、例えば、マグネシウム銀合金(MgAg)などが挙げられる。この上部電極層19の厚さは、例えば、トップエミッション型の有機ELディスプレイでは反射層162R,162G,162Bの厚さよりも薄くなっており、約1nm〜20nmである。特に、上部電極層19は、上記したように有機発光素子30R,30G,30Bがいずれも共振構造を有している点に基づき、発光層を含む18において発生した光を反射層162R,162G,162Bとの間で共振させるために反射させると共に必要に応じて共振後の光ER,EG,EBを外部に放出させるために透過させる半透過反射層として機能するものである。
図2に示したように、反射層162R,162G,162Bのうちの共振端面PR1,PG1,PB1の積層方向(図中の上下方向)における位置(高さ)は、3つの有機発光素子30R,30G,30Bのうちの少なくとも2つ間において互いに異なっている。具体的には、共振端面PR1,PG1,PB1の位置は、例えば、有機発光素子30R,30G間において互いに一致していると共に、それらの有機発光素子30R,30Gと有機発光素子30Bとの間で互いに異なっており、すなわち共振端面PR1,PG1の位置は共振端面PB1の位置よりも高くなっている。
また、各有機発光素子30R,30G,30Bのうちの発光層を含む層18の厚さHR,HG,HBは、例えば、3つの有機発光素子30R,30G,30B間において互いに等しくなっている(HR=HG=HB)。この発光層を含む層18は、例えば、有機層であり、3つの有機発光素子30R,30G,30B間において互いに等しい色(波長)の光を発生させるものである。
特に、バリア層163R,163G,163Bの厚さDR,DG,DBは、3つの有機発光素子30R,30G,30B間において互いに異なっており、具体的には、3つの有機発光素子30R,30G,30Bから放出される3色の光ER,EG,EBに対応して互いに異なっている。すなわち、厚さDR,DG,DBは、3つの有機発光素子30R,30G,30Bが発光層を含む層18において発生した光をそれぞれ赤色の光ER、緑色の光EGおよび青色の光EBに変換して放出可能となるように設定されており、具体的には、3つの有機発光素子30R,30G,30Bから放出される赤色の光ER、緑色の光EGおよび青色の光EBに対応して順に薄くなっている(DR>DG>DB)。上記した「発光層を含む層18において発生した光を赤色の光ER、緑色の光EGおよび青色の光EBに変換して放出する」とは、例えば、図2に示したように、発光層を含む層18中の点NR,NG,NBにおいて発生した光が反射層162R,162G,162Bと上部電極層19との間で共振したのちにその上部電極層19を経由して放出される過程において、3つの有機発光素子30R,30G,30B間の共振長が互いに異なることに起因する光の干渉現象を利用して、NR,NG,NBにおいて発生した際に互いに同一の波長を有していた光の波長を放出時に各有機発光素子30R,30G,30Bごとに異ならせ、すなわち有機発光素子30Rにおいて赤色に対応する波長、有機発光素子30Gにおいて緑色に対応する波長、ならびに有機発光素子30Bにおいて青色に対応する波長にそれぞれシフトさせることにより、最終的に赤色の光ER、緑色の光EGおよび青色の光EBを生成するという意味である。
補助配線40は、配線抵抗を極力低下させるため、例えば、図2に示したように、発光層を含む層18を含んでいない点を除き、有機発光素子30R,30G,30Bのうちの最も総厚が大きい素子、すなわち有機発光素子30Rと同様の積層構成を有している。
次に、図1〜図3を参照して、発光層を含む18の詳細な構成について説明する。図3は、発光層含む層18の断面構成を拡大して模式的に表している。
発光層を含む層18は、例えば、上記したように、有機発光素子30R,30G,30Bにより共有され、すなわち有機発光素子30R,30G,30B間において共通の構成を有しており、所定の色(波長)の光として白色光を発生させるものである。この発光層を含む層18は、例えば、図2および図3に示したように、下部電極層16R,16G,16Bに近い側から順に、正孔輸送層181と、発光層182と、電子輸送層183とが積層された構成を有している。この発光層182は、例えば、正孔輸送層181に近い側から順に、赤色の光を発生させる赤色発光層182Rと、緑色の光を発生させる182Gと、青色の光を発生させる182Bとが積層された構成を有しており、すなわち赤色発光層182R、緑色発光層182Gおよび青色発光層182Bからそれぞれ発生した赤色の光、緑色の光および青色の光を合成することにより、結果として白色光を発生させるようになっている。
正孔輸送層181は、発光層182へ注入される正孔の注入効率を高めるためのものであり、例えば、正孔注入層としての機能も兼ねている。この正孔輸送層181は、例えば、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)またはα−ナフチルフェニルジアミン(αNPD)などの正孔輸送性材料により構成されており、その厚さは約40nmである。
赤色発光層182Rは、下部電極層16R,16G,16Bから正孔輸送層181を経由して注入された正孔の一部と上部電極層19から電子輸送層183を経由して注入された電子の一部とを再結合させることにより、赤色の光を発生させるものである。この赤色発光層182Rは、例えば、赤色発光材料(蛍光性または燐光性)、正孔輸送性材料、電子輸送性材料および両電荷(正孔,電子)輸送性材料を含む群のうちの少なくとも1種により構成されており、その厚さは約5nmである。この赤色発光層182Rの具体的な構成材料としては、例えば、2,6−ビス[(4’―メトキシジフェニルアミノ)スチリル]−1,5−ジシアノナフタレン(BSN)が約30重量%混合された4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)などが挙げられる。
緑色発光層182Gは、赤色発光層182Rにおいて再結合されなかった正孔と電子とを再結合させることにより、緑色の光を発生させるものである。この緑色発光層182Gは、例えば、緑色発光材料(蛍光性または燐光性)、正孔輸送性材料、電子輸送性材料および両電荷輸送性材料を含む群のうちの少なくとも1種により構成されており、その厚さは約10nmである。この緑色発光層182Gの具体的な構成材料としては、例えば、クマリン6が約5重量%混合されたDPVBiなどが挙げられる。
青色発光層182Bは、赤色発光層182Rや緑色発光層182Gにおいて再結合されなかった正孔と電子とを再結合させることにより、青色の光を発生させるものである。この青色発光層182Bは、例えば、青色発光材料(蛍光性または燐光性)、正孔輸送性材料、電子輸送性材料および両電荷(正孔,電子)輸送性材料を含む群のうちの少なくとも1種により構成されており、その厚さは約30nmである。この青色発光層182Bの具体的な構成材料としては、例えば、4,4’−ビス[2,{4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)が約2.5重量%混合されたDPVBiなどが挙げられる。
電子輸送層183は、発光層182へ注入される電子の注入効率を高めるためのものであり、例えば、電子注入層としての機能も兼ねている。この電子輸送層183は、例えば、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3 )により構成されており、その厚さは約20nmである。
次に、図1〜図3を参照して、有機ELディスプレイの動作について説明する。
この有機ELディスプレイでは、図1に示したように、TFT12(121〜123)を利用して3つの有機発光素子30R,30G,30Bが駆動され、すなわち下部電極層16R,16G,16Bと上部電極層19との間にそれぞれ電圧が印加されると、図3に示したように、発光層を含む層18のうちの発光層182において、正孔輸送層181から供給された正孔と電子輸送層183から供給された電子とが再結合することにより、白色光が発生する。この白色光は、赤色発光層182Rにおいて発生した赤色の光と、緑色発光層182Gにおいて発生した緑色の光と、青色発光層182Bにおいて発生した青色の光とが合成された合成光である。
この白色光は、図2に示したように、有機発光素子30R,30G,30Bから映像表示用の光Eとして有機ELディスプレイの外部へ放出される過程において、各有機発光素子30R,30G,30B間の共振長が互いに異なることに起因する光の干渉現象を利用して波長変換され、すなわち有機発光素子30R,30G,30Rにおいてそれぞれ赤色の光ER、緑色の光EGおよび青色の光EBに変換される。これにより、図1に示したように、有機発光素子30R,30G,30Bからそれぞれ赤色の光ER、緑色の光EGおよび青色の光EBが放出されるため、これらの3色の光ER,EG,EBに基づいて映像が表示される。
なお、有機発光素子30R,30G,30Bから光ER,EG,EBが放出される際には、図2に示したように、各有機発光素子30R,30G,30Bにおいて、発光層を含む層18において発生した光が下部電極層16R,16G,16Bのうちの反射層162R,162G,162Bと上部電極層19との間で共振されるため、その光が多重干渉を起こす。これにより、最終的に有機発光素子30R,30G,30Bから放出される光ER,EG,EBの半値幅が減少し、色純度が向上する。
次に、図1〜図11を参照して、図1〜図3に示した有機ELディスプレイの製造方法について説明する。図4〜図11は有機ELディスプレイの主要部(下部電極層16R,16G,16B)の製造工程を説明するためのものであり、いずれも図2に対応する断面構成を表している。なお、図4〜図11に示した領域SR,SG,SBは、それぞれ後工程において有機発光素子30R,30G,30Bが形成されることとなる領域を表している。
以下では、まず、図1〜図3を参照して、有機ELディスプレイ全体の製造工程について簡単に説明したのち、図1〜図11を参照して、本発明に係る有機発光装置の製造方法が適用される有機ELディスプレイの主要部の形成工程について説明する。なお、有機ELディスプレイのうちの一連の構成要素の材質、厚さおよび構造的特徴については既に詳述したので、それらの説明を適宜省略するものとする。
この有機ELディスプレイは、スパッタリングなどの成膜技術、フォトリソグラフィなどのパターニング技術、ならびにドライエッチングやウェットエッチングなどのエッチング技術を含む既存の薄膜プロセスを使用して製造可能である。すなわち有機ELディスプレイを製造する際には、まず、図1に示したように、駆動用基板11の一面に、複数のTFT12(TFT121〜123)をマトリックス状にパターン形成し、引き続きTFT121〜123およびその周辺の駆動用基板11を覆うように層間絶縁層13を形成したのち、各TFT121〜123ごとに2組ずつ配線14をパターン形成する。続いて、配線14およびその周辺の層間絶縁層13を覆うように平坦化層15を形成することにより、後工程において有機発光素子30R,30G,30Bが形成されることとなる下地領域を平坦化する。続いて、平坦化層15上に、各TFT121〜123の配設位置に対応して1組の有機発光素子30(30R,30G,30B)をパターン形成する。具体的には、下部電極層16R、発光層を含む層18および上部電極層19をこの順に積層させることにより有機発光素子30Rを形成し、下部電極層16G、発光層を含む層18および上部電極層19をこの順に積層することにより有機発光素子30Gを形成し、下部電極層16B、発光層を含む層および上部電極層19をこの順に積層することにより有機発光素子30Bを形成する。これらの有機発光素子30R,30G,30Bを形成する際には、例えば、図1に示したように、下部電極層16R,16G,16B上を経由して連続的に延在し、各有機発光素子30R,30G,30Bにより共有されるように発光層を含む層18および上部電極層19を形成すると共に、図1および図2に示したように、下部電極層16R,16G,16Bのうちの一部を構成する密着層161R,161G,161Bを駆動用基板11、より具体的には駆動基板11を覆うように設けられた平坦化層15上に形成して密着させるようにする。続いて、上部電極層19を覆うように保護層20を形成することにより、駆動パネル10を形成する。
続いて、封止用基板51の一面に、有機発光素子30R,30G,30Bに対応して赤色領域52R、緑色領域52Gおよび青色領域52Bを含むカラーフィルタ52を形成することにより、封止パネル50を形成する。
最後に、接着層60を使用して、駆動用基板11と封止用基板51との間に有機発光素子30R,30G,30Bが挟まれるように駆動パネル10と封止パネル50とを貼り合わせることにより、有機ELディスプレイが完成する。
この有機ELディスプレイの主要部である下部電極層16R,16G,16Bを形成する際には、まず、図4に示したように、例えばスパッタリングを使用して、図1に示した駆動用基板11、より具体的には駆動用基板11に設けられた平坦化層15を覆うように、密着層161(厚さ=約20nm)と、第1の下部電極構成層としての下部電極構成層1621(厚さ=約100nm)と、第1の上部電極構成層としての上部電極構成層1631(厚さ=約1nm〜20nm)と、第2の下部電極構成層としての下部電極構成層1622(厚さ=約100nm)と、第2の上部電極構成層としての上部電極構成層1632(厚さ=約20nm〜60nm)と、第3の上部電極構成層としての上部電極構成層1633(厚さ=約50nm〜100nm)とをこの順に形成して積層させる。これらの密着層161、下部電極構成層1621,1622および上部電極構成層1631〜1633は、いずれも最終的にエッチング処理を使用してパターニングされることにより、下部電極層16R,16G,16Bのそれぞれの一部を構成することとなる準備層である。密着層161および上部電極構成層1631〜1633を形成する際には、形成材料として上記した金属、金属酸化物、金属窒化物または金属化合物を使用し、例えば、密着層161および上部電極構成層1631,1632としてITOを使用し、上部電極構成層1633としてIZOを使用する。また、下部電極構成層1621,1622を形成する際には、形成材料として上記した銀や銀を含む合金を使用し、例えば、銀パラジウム銅合金(AgPdCu)を使用する。特に、ITOよりなる上部電極構成層1632を形成する際には、例えば、後工程においてIZOよりなる上部電極構成層1633をウェットエッチングする際に、上部電極構成層1632がエッチング処理の進行を停止させるストップ層として機能し得るように、その上部電極構成層1632を高温下で成膜するか、あるいは成膜後にアニールし、ITOを結晶化させる。なお、スパッタリングを使用して密着層161、下部電極構成層1621,1622および上部電極構成層1631〜1633を形成して積層させる際には、例えば、これらの一連の層を同一の真空環境中において連続的に形成する。
上部電極構成層1631〜1633を形成する際には、特に、上記にて図2を参照して説明したように、3つの有機発光素子30R,30G,30Bにおいて光の干渉現象を利用して白色光を互いに異なる3色の光ER,EG,EBに変換するために必要な共振長を確保し得るように、各上部電極構成層1631〜1633の厚さを設定する。具体的には、例えば、有機発光素子30Rにおいて白色光を赤色の光ERに変換するために必要な共振長を確保し得るように上部電極構成層1632,1633の総厚を設定し、有機発光素子30Gにおいて白色光を緑色の光EGに変換するために必要な共振長を確保し得るように上部電極構成層1632の厚さを設定し、有機発光素子30Bにおいて白色光を青色の光EBに変換するために必要な共振長を確保し得るように上部電極構成層1631の厚さを設定する。
なお、密着層161、下部電極構成層1621,1622および上部電極構成層1631〜1633の形成条件は、例えば、以下の通りである。すなわち、スパッタリングガスとしては、密着層161および上部電極構成層1631,1632を形成するためにアルゴン(Ar)に酸素(O2 )が0.3%混合された混合ガスを使用し、下部電極構成層1621,1622を形成するためにアルゴンガスを使用し、上部電極構成層1633を形成するためにアルゴンに酸素が1.0%混合された混合ガスを使用する。また、スパッタリング条件としては、いずれの場合においても圧力=0.5Pa、DC出力=500Wとする。
続いて、上部電極構成層1633上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜(図示せず)を形成したのち、フォトリソグラフィ処理を使用してフォトレジスト膜をパターニングすることにより、図4に示したように、上部電極構成層1633のうち、有機発光素子30Rが形成されることとなる第1の領域としての領域SR上に、例えばフォトレジスト膜よりなる第1のマスクとしてのエッチングマスク71をパターン形成する。
続いて、エッチングマスク71と共にウェットエッチングを使用し、上部電極構成層1633をエッチングしてパターニングすることにより、図5に示したように、上部電極構成層1633のうち、エッチングマスク71により被覆されていた部分以外の部分を選択的に除去し、領域SRに上部電極構成層1633を残存させると共に、その領域SRの周辺領域に上部電極構成層1632を露出させる。このウェットエッチング処理を行う際には、エッチャントとして、例えば、IZOよりなる上部電極構成層1633に対して高いエッチング性を示し、かつ結晶化ITOよりなる上部電極構成層1632に対して低いエッチング性を示すものを使用し、具体的にはリン酸(H3 PO4 )と硝酸(HNO3 )と酢酸(CH3 COOH)との混酸、あるいはシュウ酸(C224 )を使用する。このウェットエッチング処理時には、上記したように、エッチャントに対して耐性を有する上部電極構成層1632がストップ層として機能し、上部電極構成層1633のエッチングが完了した時点でエッチング処理の進行が停止するため、そのエッチング処理が上部電極構成層1632まで及ぶことが防止される。
続いて、図6に示したように、上部電極構成層1632の露出面のうち、有機発光素子30Gが形成されることとなる第2の領域としての領域SG上に、例えばフォトレジスト膜よりなる第2のマスクとしてのエッチングマスク72をパターン形成する。なお、エッチングマスク72を形成する際には、例えば、必要に応じて、エッチングマスク72を形成する前に使用済みのエッチングマスク71を一旦除去したのち、そのエッチングマスク72を形成すると同時にエッチングマスク71を改めて形成し直すようにする。
続いて、エッチングマスク71,72と共にドライエッチングを使用し、下部電極構成層1622および上部電極構成層1632を連続的にエッチングしてパターニングすることにより、図7に示したように、上部電極構成層1632を最後までエッチングすると共に、下部電極構成層1622を途中までエッチングする。こののち、引き続きエッチングマスク71,72と共にウェットエッチングを使用して下部電極構成層1622をエッチングしてパターニングすることにより、図8に示したように、下部電極構成層1622を最後までエッチングし、領域SR,SGに下部電極構成層1622および上部電極構成層1632を残存させると共に、それらの領域SR,SGの周辺領域に上部電極構成層1631を露出させる。このウェットエッチング処理を行う際には、エッチャントとして、例えば、銀サマリウム銅合金よりなる下部電極構成層1622に対して高いエッチング性を示し、かつ結晶化ITOよりなる上部電極構成層1631に対して低いエッチング性を示すものを使用し、具体的にはリン酸と硝酸と酢酸との混酸を使用する。このウェットエッチング処理時には、エッチャントに対して耐性を有する上部電極構成層1631がストップ層として機能し、下部電極構成層1622のエッチングが完了した時点でエッチング処理の進行が停止するため、そのエッチング処理が上部電極構成層1631まで及ぶことが防止される。
続いて、図9に示したように、上部電極構成層1631の露出面のうち、有機発光素子30Bが形成されることとなる第3の領域としての領域SB上に、例えばフォトレジスト膜よりなる第3のマスクとしてのエッチングマスク73をパターン形成する。なお、エッチングマスク73を形成する際には、例えば、必要に応じて、エッチングマスク73を形成する前に使用済みのエッチングマスク71,72を一旦除去したのち、そのエッチングマスク73を形成すると同時にエッチングマスク71,72を改めて形成し直すようにする。
続いて、エッチングマスク71〜73と共にドライエッチングを使用し、密着層161、下部電極構成層1621および上部電極構成層1631を連続的にエッチングしてパターニングすることにより、図10に示したように、密着層161、下部電極構成層1621および上部電極構成層1631のうち、エッチングマスク71〜73により被覆されていた部分以外の部分を選択的に除去し、領域SR,SG,SBに密着層161、下部電極構成層1621および上部電極構成層1631を残存させる。このエッチング処理により、密着層161、下部電極構成層1621,1622および上部電極構成層1631〜1633が各領域SR,SG,SBごとに分離され、具体的には、領域SRにおいて密着層161、下部電極構成層1621、上部電極構成層1631、下部電極構成層1622および上部電極構成層1632,1633の6層構造が残存し、領域SGにおいて密着層161、下部電極構成層1621、上部電極構成層1631、下部電極構成層1622および上部電極構成層1632の5層構造が残存し、領域SBにおいて密着層161、下部電極構成層1621および上部電極構成層1631の3層構造が残存する。なお、エッチング処理時には、エッチングマスク71〜73自体もエッチングされるため、それらのエッチングマスク71〜73の厚さが目減りする。
最後に、エッチングマスク71〜73を除去することにより、図11に示したように、上記した密着層161、下部電極構成層1621,1622および上部電極構成層1631〜1633の残存構造により、図2に示した下部電極層16R,16G,16Bが完成する。具体的には、赤色の光ERを放出する有機発光素子30Rが形成されることとなる領域SRでは、密着層161R、下部電極構成層162R1、上部電極構成層163R1、反射層162Rとしての下部電極構成層162R2、ならびにバリア層163Rとしての上部電極構成層163R2(下部バリア層163RX,上部バリア層163RY)がこの順に積層された6層構造を有する下部電極層16Rが形成される。また、緑色の光EGを放出する有機発光素子30Gが形成されることとなる領域SGでは、密着層161G、下部電極構成層162G1、上部電極構成層163G1、反射層162Gとしての下部電極構成層162G2、ならびにバリア層163Gとしての上部電極構成層163G2がこの順に積層された5層構造を有する下部電極層16Gが形成される。さらに、青色の光EBを放出する有機発光素子30Bが形成されることとなる領域SBでは、密着層161B、反射層162Bとしての下部電極構成層162B1、ならびにバリア層163Bとしての上部電極構成層163B1がこの順に積層された3層構造を有する下部電極層16Bが形成される。この際、下部電極層16R,16G,16Bのうちのバリア層163R,163G,163Bは、その厚さが領域SR,SG,SB間において互いに異なり、より具体的には領域SR,SG,SBの順に薄くなるように形成される。
なお、参考までに、例えば、図2に示した補助配線40は、上記した下部電極層16Rの形成工程を利用して、有機発光素子30Rの形成手順と同様の手順を経て並列的に形成可能である。
本実施の形態に係る有機ELディスプレイでは、図1および図2に示したように、有機発光素子30R,30G,30Bのうちの下部電極層16R,16G,16Bが、発光層を含む層18から遠い側から順に反射層162R,162G,162Bおよびバリア層163R,163G,163Bが積層された積層構造を含み、これらの反射層162R,162G,162Bのうちの共振端面PR1,PG1,PB1の積層方向における位置が有機発光素子30R,30Gと有機発光素子30Bとの間において互いに異なっている上、バリア層163R,163G,163B(下部バリア層163RX,上部バリア層163RY)の厚さDR,DG,DBが各有機発光素子30R,30G,30B間において互いに異なるようにしたので(DR>DG>DB)、例えば、「有機ELディスプレイの動作」として上記したように、厚さDR,DG,DB間の差異に基づく有機発光素子30R,30G,30B間の共振長の差異に起因した光の干渉現象を利用して、発光層を含む層18においた発生した白色光を3色の光、すなわち赤色の光ER、緑色の光EGおよび青色の光EBに変換することが可能となる。したがって、本実施の形態では、これらの3色の光ER,EG,EBを利用して映像を表示することができる。
特に、本実施の形態では、上記した表示機構を構築可能な構造的特徴に基づき、上記「背景技術」の項において説明した従来の有機ELディスプレイとは異なり、以下で説明するように、表示性能面および製造可能性面の双方において利点を有する。
すなわち、製造可能性面に関しては、3色(R,G,B)の光を放出するために、各色の光を別々に発生可能な3種類の発光層を利用する構成的要因に起因して、これらの3種類の発光層を蒸着する際にメタルマスクを使用して塗り分けが必要であった従来の有機ELディスプレイとは異なり、図2および図3に示したように、3色の光ER,EG,EBを放出するために単色の光(白色光)を発生可能な1種類の発光層182を利用し、すなわち各有機発光素子30R,30G,30B間において発光層182が共通化しており、メタルマスクを使用して発光層182を塗り分ける必要がないため、ディスプレイサイズの大型化を図ることが可能である。
一方、表示性能面に関しては、白色光を発生させる発光層を利用した上で、色変換用の高濃度かつ厚めのカラーフィルタのみを利用して白色光を3色(R,G,B)の光に変換していた従来の有機ELディスプレイとは異なり、カラーフィルタのみを使用して色変換を行う代わりに、図1および図2に示したように、カラーフィルタ52と共に、上記した厚さDR,DG,DB間の差異に基づく有機発光素子30R,30G,30B間の共振長の差異に起因した光の干渉現象を併用して白色光を3色の光ER,EG,EBに変換しているため、カラーフィルタ52が低濃度かつ薄めで済む。この結果、色変換時にカラーフィルタ52の光吸収に起因して光の利用損失が大きくなることを防止し、すなわち光の利用効率を確保することが可能である。
したがって、本実施の形態では、表示性能面および製造可能性面の双方において利点を有することが可能になるため、表示性能の確保と製造可能性の確保とを両立することができる。この場合には、特に、製造面において、メタルマスクを使用した発光層182の塗り分けが不要となる点に基づき、その塗り分け作業時にパーティクルが混入して発光層182に欠陥が生じることを防止することができる。
また、本実施の形態では、有機発光素子30R,30G,30Bがそれぞれ反射層162R,162G,162Bを含み、これらの反射層162R,162G,162Bと上部電極層19との間で光を共振させる共振構造を有するようにしたので、「有機ELディスプレイの動作」として上記したように、光ER,EG,EBの色純度が向上する。したがって、各光ER,EG,EBのいずれに関しても高ピーク強度および狭波長幅の良質なスペクトルを確保し、色再現性に優れた映像を表示することができる。この場合には、特に、高反射性の銀または銀を含む合金を使用して反射層162R,162G,162Bを構成すれば、共振される光の利用効率が高まるため、表示性能をより向上させることができる。
また、本実施の形態では、バリア層163R,163G,163Bが上記したように有機発光素子30R,30G,30B間において共振長に差異を設ける機能を果たす上、反射層162R,162G,1621を保護する機能も果たすため、それらの反射層162R,162G,162Bが大気中の酸素や硫黄成分と反応して酸化または腐食したり、あるいは有機ELディスプレイの製造工程中において使用された薬液などと反応して腐食することを防止することができる。
また、本実施の形態では、下部電極層16R,16G,16Bが、平坦化層15に対する反射層162R,162G,162Bおよびバリア層163R,163G,163Bの密着性を高めるための密着層161R,161G,161Bを含んで構成されているため、これらの下部電極層16R,16G,16Bを平坦化層15に強固に固定することができる。
また、本実施の形態では、反射層162R,162G,162Bよりも仕事関数が大きい材料を使用してバリア層163R,163G,163Bを構成したので、発光層182への正孔の注入量を増加させることができる。
また、本実施の形態では、3つの有機発光素子30R,30G,30Bと共に補助配線40を備えるようにしたので、この補助配線40を利用して3つの有機発光素子30R,30G,30B間の抵抗差を緩和し、各有機発光素子30R,30G,30Bの電気的状態をほぼ均一化することができる。
本実施の形態に係る有機ELディスプレイの製造方法では、反射層162R,162G,162Bのうちの共振端面PR1,PG1,PB1の積層方向における位置が有機発光素子30R,30Gと有機発光素子30Bとの間で互いに異なっている上、バリア層163R,163G,163Bの厚さが3つの有機発光素子30R,30G,30B間において互いに異なっているような特徴的な構成を有する下部電極層16R,16G,16Bを形成するために、既存の薄膜プロセスしか使用せず、新規かつ煩雑な製造プロセスを使用しない。しかも、その既存の薄膜プロセスのみを使用した上で、下部電極層16R,16G,16Bを継続的に再現性よく形成することが可能である。したがって、本実施の形態では、下部電極層16R,16G,16Bを備えた有機ELディスプレイを容易かつ安定に製造することができる。
特に、本実施の形態では、エッチャントに対して互いに異なる耐性を有する材料を使用して上部電極構成層1631〜1633を形成し、具体的には、上部電極構成層1633をウェットエッチングするためのエッチャントに対して耐性を有する材料を使用して上部電極構成層1632を形成すると共に、同様に上部電極構成層1632をウェットエッチングするためのエッチャントに対して耐性を有する材料を使用して上部電極構成層1631を形成するようにしたので、上部電極構成層1633をエッチングする際に上部電極構成層1632がエッチング処理を停止させるためのストップ層として機能すると共に、同様に上部電極構成層1632をエッチングする際に上部電極構成層1631がストップ層として機能する。したがって、エッチング処理が不必要な箇所にまで及ぶことを防止することが可能になるため、下部電極層16R,16G,16Bを高精度に形成することができる。
また、本実施の形態では、スパッタリングを使用して密着層161、下部電極構成層1621,1622、ならびに上部電極構成層1631〜1633を形成して積層させる際に、これらの一連の層を同一の真空環境中において連続的に形成するようにしたので、これらの一連の層を複数の真空環境中、すなわち真空環境と大気圧環境とを経由しながら形成する場合とは異なり、各層間に大気圧環境中の異物が混入することを防止し、その各層間の界面を清浄に保つことができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図12は本実施の形態に係る表示装置としての有機ELディスプレイの断面構成を表しており、図13は図12に示した有機発光素子30R,30G,30Bおよび補助配線40の断面構成を拡大して模式的に表している。なお、図12および図13では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の要素に同一の符号を付している。
本実施の形態に係る有機ELディスプレイは、有機発光素子30R,30G,30Bの並び順および下部電極層26R,26G,26Bの構成が異なる点を除いて、上記第1の実施の形態において説明した有機ELディスプレイ(図1〜図3)とほぼ同様の構成を有している。
有機発光素子30R,30G,30Bの並び順は、例えば、右から左に向かって有機発光素子30R,30G,30Bが順に配列されていた上記第1の実施の形態(図1参照)とは異なり、図12に示したように、左から右に向かって有機発光素子30R,30G,30Bが順に配列されている。
有機発光素子30R,30G,30Bのうちの下部電極層26R,26G,26Bは、例えば、図12および図13に示したように、上記第1の実施の形態と同様に互いに異なる総厚の積層構造を有し、より具体的には積層単位Uが1または2以上繰り返された積層構造を含んで構成されている。
第1の有機発光素子としての有機発光素子30Bは、例えば、駆動用基板11に近い側から順に、下部電極層26Bと、発光層を含む層18と、上部電極層19とが積層された構成を有している。この下部電極層16Bは、例えば、上記した積層単位Uを3つ含み、すなわち発光層を含む層18から遠い側から順に、密着層261Bと、下部電極構成層262B1と、上部電極構成層263B1と、下部電極構成層262B2と、上部電極構成層263B2と、下部電極構成層262B3と、上部電極構成層263B3とが積層された構成を有しており、下部電極構成層262B1〜262B3のうちの最上層(下部電極構成層262B3)が「真の反射層262B」であり、上部電極構成層263B1〜263B3のうちの最上層(上部電極構成層263B3)が「真のバリア層263B」である。なお、密着層261B、下部電極構成層262B1〜262B3および上部電極構成層263B1〜263B3の構成材料は、上記第1の実施の形態において説明した密着層161B、下部電極構成層162B1および上部電極構成層163B1の構成材料とそれぞれ同様である。
第2の有機発光素子としての有機発光素子30Gは、例えば、駆動用基板11に近い側から順に、下部電極層26Gと、発光層を含む層18と、上部電極層19とが積層された構成を有している。この下部電極層16Gは、例えば、上記した積層単位Uを2つ含み、すなわち発光層を含む層18から遠い側から順に、密着層261Gと、下部電極構成層262G1と、上部電極構成層263G1と、下部電極構成層262G2と、上部電極構成層263G2とが積層された構成を有しており、下部電極構成層262G1,262G2のうちの最上層(下部電極構成層262G2)が「真の反射層262G」であり、上部電極構成層263G1,263G2のうちの最上層(上部電極構成層263G2)が「真のバリア層263G」である。なお、密着層261G、下部電極構成層262G1,262G2および上部電極構成層263G1,263G2の構成材料は、上記第1の実施の形態において説明した密着層161G、下部電極構成層162G1,162G2および上部電極構成層163G1,163G2の構成材料とそれぞれ同様である。
第3の有機発光素子としての有機発光素子30Rは、例えば、駆動用基板11に近い側から順に、下部電極層26Rと、発光層を含む層18と、上部電極層19とが積層された構成を有している。この下部電極層16Rは、例えば、上記した積層単位Uを1つ含み、すなわち発光層を含む層18から遠い側から順に、密着層261Rと、下部電極構成層262R1と、上部電極構成層263R1とが積層された構成を有しており、その下部電極構成層262R1が「真の反射層262R」であり、上部電極構成層263R1が「真のバリア層263R」である。なお、密着層261R、下部電極構成層262R1および上部電極構成層263R1の構成材料は、上記第1の実施の形態において説明した密着層161R、下部電極構成層162R1,162R2および上部電極構成層163R1,163R2の構成材料とそれぞれ同様である。
図13に示したように、反射層262B,262G,262Rのうちの共振端面PB1,PG1,PR1の積層方向(図中の上下方向)における位置(高さ)は、3つの有機発光素子30B,30G,30Rのうちの少なくとも2つ間において互いに異なっている。具体的には、共振端面PB1,PG1,PR1の位置は、例えば、有機発光素子30B,30R,30G間において互いに異なっており、すなわち共振端面PR1,PG1,PB1の順に高くなっている。また、バリア層263B,263G,263Rの厚さDB,DG,DRは、3つの有機発光素子30B,30G,30R間において互いに異なっており、具体的には3つの有機発光素子30B,30G,30Rから放出される3色の光EB,EG,ERに対応して順に厚くなっている(DB<DG<DR)。
図14〜図22は有機ELディスプレイのうちの下部電極層26B,26G,26Rの製造工程を説明するためのものであり、いずれも図13に対応する断面構成を表している。なお、図14〜図22では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の要素に同一の符号を付している。
下部電極層26B,26G,26Rを形成する際には、まず、図14に示したように、例えばスパッタリングを使用して、図12に示した駆動用基板11、より具体的には駆動用基板11に設けられた平坦化層15を覆うように、密着層261(厚さ=約20nm)と、第1の下部電極構成層としての下部電極構成層2621(厚さ=約100nm)と、第1の上部電極構成層としての上部電極構成層2631(厚さ=約50nm〜200nm)と、第2の下部電極構成層としての下部電極構成層2622(厚さ=約100nm)と、第2の上部電極構成層としての上部電極構成層2632(厚さ=約20nm〜60nm)と、第3の下部電極構成層としての下部電極構成層2623(厚さ=約100nm)と、第3の上部電極構成層としての上部電極構成層2633(厚さ=約1nm〜20nm)とをこの順に形成して積層させる。これらの密着層261、下部電極構成層2621〜2623および上部電極構成層2631〜2633は、いずれも最終的にエッチング処理を使用してパターニングされることにより、下部電極層26B,26G,26Rの一部を構成することとなる準備層である。密着層261および上部電極構成層2631〜2633を形成する際には、形成材料として上記第1の実施の形態において説明した金属、金属酸化物、金属窒化物または金属化合物を使用し、例えばITOを使用する。下部電極構成層2621〜2623を形成する際には、形成材料として上記第1の実施の形態において説明した銀や銀を含む合金を使用し、例えば銀パラジウム銅合金を使用する。特に、ITOよりなる上部電極構成層2631,2632を形成する際には、例えば、後工程において銀サマリウム銅合金よりなる下部電極構成層2622,2623をウェットエッチングする際に、上部電極構成層2631,2632がエッチング処理の進行を停止させるストップ層として機能し得るように、それらのバリア層2631,2632を高温下で成膜するか、あるいは成膜後にアニールし、ITOを結晶化させる。なお、スパッタリングを使用して密着層261、下部電極構成層2621〜2623および上部電極構成層2631〜2633を形成して積層させる際には、例えば、これらの一連の層を同一の真空環境中において連続的に形成する。
上部電極構成層2631〜2633を形成する際には、特に、上記にて図13を参照して説明したように、3つの有機発光素子30B,30G,30Rにおいて光の干渉現象を利用して白色光を互いに異なる3色の光EB,EG,ERに変換するために必要な共振長を確保し得るように、各上部電極構成層2631〜2633の厚さを設定し、具体的には、例えば、有機発光素子30Bにおいて白色光を青色の光EBに変換するために必要な共振長を確保し得るように上部電極構成層2633の厚さを設定し、有機発光素子30Gにおいて白色光を緑色の光EGに変換するために必要な共振長を確保し得るように上部電極構成層2632の厚さを設定し、有機発光素子30Rにおいて白色光を赤色の光ERに変換するために必要な共振長を確保し得るように上部電極構成層2631の厚さを設定する。
なお、密着層261、下部電極構成層2621〜2623および上部電極構成層2631〜2633の形成条件は、例えば、以下の通りである。すなわち、スパッタリングガスとしては、密着層261および上部電極構成層2631〜2633を形成するためにアルゴンに酸素が0.3%混合された混合ガスを使用し、下部電極構成層2621〜2623を形成するためにアルゴンガスを使用する。また、スパッタリングの処理条件としては、いずれの場合においても圧力=0.5Pa、DC出力=500Wとする。
続いて、図14に示したように、上部電極構成層2633のうち、有機発光素子30Bが形成されることとなる第1の領域としての領域SB上に、例えばフォトレジスト膜よりなる第1のマスクとしてのエッチングマスク81をパターン形成する。
続いて、エッチングマスク81と共にドライエッチングを使用し、下部電極構成層2623および上部電極構成層2633を連続的にエッチングしてパターニングすることにより、図15に示したように、上部電極構成層2633を最後までエッチングすると共に、下部電極構成層2623を途中までエッチングする。こののち、引き続きエッチングマスク81と共にウェットエッチングを使用して下部電極構成層2623をエッチングしてパターニングすることにより、図16に示したように、下部電極構成層2623を最後までエッチングし、領域SBに下部電極構成層2623および上部電極構成層2633を残存させると共に、その領域SBの周辺領域に上部電極構成層2632を露出させる。このウェットエッチング処理を行う際には、エッチャントとして、例えば、銀サマリウム銅合金よりなる下部電極構成層2623に対して高いエッチング性を示し、かつ結晶化ITOよりなる上部電極構成層2632に対して低いエッチング性を示すものを使用し、具体的にはリン酸と硝酸と酢酸との混酸を使用する。このウェットエッチング処理時には、エッチャントに対して耐性を有する上部電極構成層2632がストップ層として機能し、下部電極構成層2623のエッチングが完了した時点でエッチング処理の進行が停止するため、そのエッチング処理が上部電極構成層2632まで及ぶことが防止される。
続いて、図17に示したように、上部電極構成層2632の露出面のうち、有機発光素子30Gが形成されることとなる第2の領域としての領域SG上に、例えばフォトレジスト膜よりなる第2のマスクとしてのエッチングマスク82をパターン形成する。なお、エッチングマスク82を形成する際には、例えば、必要に応じて、エッチングマスク82を形成する前に使用済みのエッチングマスク81を一旦除去したのち、そのエッチングマスク82を形成すると同時にエッチングマスク81を改めて形成し直すようにする。
続いて、エッチングマスク81,82と共にドライエッチングを使用し、下部電極構成層2622および上部電極構成層2632を連続的にエッチングしてパターニングすることにより、図18に示したように、上部電極構成層2632を最後までエッチングすると共に、下部電極構成層2622を途中までエッチングする。こののち、引き続きエッチングマスク81,82と共にウェットエッチングを使用して下部電極構成層2622をエッチングしてパターニングすることにより、図19に示したように、下部電極構成層2622を最後までエッチングし、領域SB,SGに下部電極構成層2622および上部電極構成層2632を残存させると共に、それらの領域SB,SGの周辺領域に上部電極構成層2631を露出させる。このウェットエッチング処理を行う際には、例えば、先の工程において下部電極構成層2623をエッチングした場合と同様のエッチャントを使用する。このウェットエッチング処理時には、上部電極構成層2631がストップ層として機能するため、エッチング処理が上部電極構成層2631まで及ぶことが防止される。
続いて、図20に示したように、上部電極構成層2631の露出面のうち、有機発光素子30Rが形成されることとなる第3の領域としての領域SR上に、例えばフォトレジスト膜よりなる第3のマスクとしてのエッチングマスク83をパターン形成する。なお、エッチングマスク83を形成する際には、例えば、必要に応じて、エッチングマスク83を形成する前に使用済みのエッチングマスク81,82を一旦除去したのち、そのエッチングマスク83を形成すると同時にエッチングマスク81,82を改めて形成し直すようにする。
続いて、エッチングマスク81〜83と共にドライエッチングを使用し、密着層261、下部電極構成層2621および上部電極構成層2631を連続的にエッチングしてパターニングすることにより、図21に示したように、密着層261、下部電極構成層2621および上部電極構成層2631のうち、エッチングマスク81〜83により被覆されていた部分以外の部分を選択的に除去し、領域SR,SG,SBに密着層261、下部電極構成層2621および上部電極構成層2631を残存させる。なお、エッチング処理時には、エッチングマスク81〜83自体もエッチングされるため、それらのエッチングマスク81〜83の厚さが目減りする。
最後に、エッチングマスク81〜83を除去することにより、図22に示したように、上記した密着層261、下部電極構成層2621,2622および上部電極構成層2631〜2633の残存構造により、図13に示した下部電極層26R,26G,26Bが完成する。具体的には、青色の光EBを放出する有機発光素子30Bが形成されることとなる領域SBでは、密着層261B、下部電極構成層262B1、上部電極構成層263B1、下部電極構成層262B2、上部電極構成層263B2、反射層262Bとしての下部電極構成層262B3、ならびにバリア層263Bとしての上部電極構成層263B3がこの順に積層された7層構造を有する下部電極層26Bが形成される。また、緑色の光EGを放出する有機発光素子30Gが形成されることとなる領域SGでは、密着層261G、下部電極構成層262G1、上部電極構成層263G1、反射層262Gとしての下部電極構成層262G2、ならびにバリア層263Gとしての上部電極構成層263G2がこの順に積層された5層構造を有する下部電極層26Gが形成される。さらに、赤色の光ERを放出する有機発光素子30Rが形成されることとなる領域SRでは、密着層261R、反射層262Rとしての下部電極構成層262R1、ならびにバリア層263Rとしての上部電極構成層263R1がこの順に積層された3層構造を有する下部電極層26Rが形成される。この際、下部電極層26B,26G,26Rのうちのバリア層263B,263G,263Rは、その厚さが領域SB,SG,SR間において互いに異なり、より具体的には領域SB,SG,SRの順に厚くなるように形成される。
なお、参考までに、例えば、図13に示した補助配線40は、上記した下部電極層26Bの形成工程を利用して、有機発光素子30Bの形成手順と同様の手順を経て、並列的に形成可能である。
本実施の形態に係る有機ELディスプレイでは、図12および図13に示したように、反射層262B,262G,262Rのうちの共振端面PB1,PG1,PR1の積層方向における位置が3つの有機発光素子30B,30G,30R間において互いに異なる上、バリア層263B,263G,263Rの厚さDB,DG,DRが各有機発光素子30B,30G,30R間において互いに異なるようにしたので(DB<DG<DR)、上記した第1の実施の形態と同様の作用により、発光層を含む層18においた発生した白色光を3色の光EB,EG,ERに変換して映像を表示することが可能となり、表示性能の確保と製造可能性の確保とを両立することができる。
また、本実施の形態に係る有機ELディスプレイの製造方法では、反射層262B,262G,262Rのうちの共振端面PB1,PG1,PR1の積層方向における位置が3つの有機発光素子30R,30G,30B間において互いに異なっている上、バリア層263B,263G,263Rの厚さが3つの有機発光素子30R,30G,30B間において互いに異なっているような特徴的な構成を有する下部電極層26R,26G,26Bを形成するために、既存の薄膜プロセスしか使用せず、しかもその既存の薄膜プロセスのみを使用して下部電極層26R,26G,26Bを継続的に再現性よく形成することが可能なため、有機ELディスプレイを容易かつ安定に製造することができる。
なお、本実施の形態に係る有機ELディスプレイに関する上記以外の構成、機能、動作、作用および効果、ならびに有機ELディスプレイの製造方法に関する上記以外の工程は、上記第1の実施の形態と同様である。
以上、いくつかの実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、それらの実施の形態と同様の効果を得ることが可能な限りにおいて自由に変形可能である。
具体的には、例えば、上記各実施の形態では、図3に示したように、発光層182において白色光を発生させるために、その発光層182を赤色発光層182R、緑色発光層182Gおよび青色発光層182Bが積層された3層構造として構成したが、必ずしもこれに限られるものではなく、白色光を発生させることが可能な限りにおいて、発光層182の構成は自由に変更可能である。この発光層182に関する上記した3層構造以外の構造としては、例えば、(1)白色光を発生可能な白色発光材料を使用した単層構造や、(2)赤色発光材料、緑色発光材料および青色発光材料が混合された混合材料を使用した単層構造や、(3)赤色発光材料および緑色発光材料が混合された混合材料よりなる混合発光層と、緑色発光材料および青色発光材料が混合された混合材料よりなる他の混合発光層とが積層された2層構造などが挙げられる。これらのいずれの場合においても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記各実施の形態では、発光層182において白色光を発生させるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、各有機発光素子30R,30G,30B間の共振長の差異を利用して発光層182において発生した光を3色の光ER,EG,EBに変換することが可能な限り、発光層182において発生させる光の色は自由に変更可能である。この場合においても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記各実施の形態では、3つの有機発光素子30R,30G,30Bのうちの最も総厚が大きな素子、具体的には第1の実施の形態では有機発光素子30R、あるいは第2の実施の形態では有機発光素子30Bとほぼ同様の構造を有するように補助配線40を構成したが、必ずしもこれに限られるものではなく、補助配線40を利用して3つの有機発光素子30R,30G,30B間の抵抗差を緩和することが可能な限り、その補助配線40の構成は自由に変更可能である。一例を挙げれば、第1の実施の形態(図2参照)において、例えば、バリア層163Rのうちの上部バリア層163RYが絶縁性材料により構成されているために、その絶縁性の上部バリア層163RYの存在に起因して有機発光素子30Rと同様の構造を有する補助配線40の抵抗、より具体的には上部電極層19との間の接合抵抗が大きくなってしまう場合には、その有機発光素子30Rに代えて有機発光素子30Gまたは30Bとほぼ同様の構造を有するように補助配線40を構成してもよい。この場合においても、有機発光素子30Rよりも有機発光素子30G,30Bの抵抗が低ければ、それらの有機発光素子30Gまたは30Bと同様の構造を有する補助配線40を利用して、3つの有機発光素子30R,30G,30B間の抵抗差を緩和することができる。
また、上記各実施の形態では、各有機発光素子30R,30G,30Bを構成するバリア層163R,163G,163B(または263R,263G,263B)の厚さDR,DG,DBの間にDR>DG>DBの関係が成立している場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、上記各実施の形態と同様の効果を得ることが可能な限り、厚さDR,DG,DBの間の関係は自由に変更可能である。この点に関してより詳細に説明すれば、上記各実施の形態において説明したDR>DG>DBの関係は、一連の数式(数2〜数4)中のmR,mG,mBの間にmR=mG=mBの関係(例えばmR=mG=mB=0)が成立している場合に成立するものであり、これらのmR,mG,mBの値の設定によっては厚さDR,DG,DB間の関係が変更し得る。一例を挙げれば、mR,mG,mBの間にmR(=mG)≠mBの関係(例えばmR=mG=0,mB=1)の関係が成立している場合には、厚さDR,DG,DBの間にDB>DR>DGの関係が成立することとなる。
また、上記各実施の形態では、本発明の有機発光装置を表示装置としての有機ELディスプレイに適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、本発明の有機発光装置を有機ELディスプレイ以外の他の表示装置に適用するようにしてもよい。もちろん、本発明の有機発光装置は、例えば、表示装置以外の他の装置にも適用することが可能である。この「表示装置以外の他の装置」としては、例えば、照明装置などが挙げられる。これらの場合においても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
本発明に係る有機発光装置およびその製造方法、ならびに有機発光装置を備えた表示装置は、例えば、有機ELディスプレイおよびその製造方法に適用することが可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る有機ELディスプレイ(トップエミッション型)の断面構成を表す断面図である。 図1に示した有機発光素子および補助配線の断面構成を拡大して模式的に表す断面図である。 図2に示した発光層を含む層の断面構成を拡大して模式的に表す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る有機ELディスプレイの製造工程を説明するための断面図である。 図4に続く工程を説明するための断面図である。 図5に続く工程を説明するための断面図である。 図6に続く工程を説明するための断面図である。 図7に続く工程を説明するための断面図である。 図8に続く工程を説明するための断面図である。 図9に続く工程を説明するための断面図である。 図10に続く工程を説明するための断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る有機ELディスプレイ(トップエミッション型)の断面構成を表す断面図である。 図12に示した有機発光素子および補助配線の断面構成を拡大して模式的に表す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る有機ELディスプレイの製造工程を説明するための断面図である。 図14に続く工程を説明するための断面図である。 図15に続く工程を説明するための断面図である。 図16に続く工程を説明するための断面図である。 図17に続く工程を説明するための断面図である。 図18に続く工程を説明するための断面図である。 図19に続く工程を説明するための断面図である。 図20に続く工程を説明するための断面図である。 図21に続く工程を説明するための断面図である。
符号の説明
10…駆動パネル、11…駆動用基板、12(121〜123)…TFT、13…層間絶縁層、14…配線、15…平坦化層、16R,16G,16B,26R,26G,26B…下部電極層、17…層内絶縁層、18…発光層を含む層、19…上部電極層、20…保護層、30(30B,30G,30R)…有機発光素子、40…補助配線、50…封止パネル、51…封止用基板、52…カラーフィルタ、52R…赤色領域、52G…緑色領域、52B…青色領域、60…接着層、71〜73,81〜83…エッチングマスク、161,161R,161G,161B,261,261R,261G,261B…密着層、162R,162G,162B,262R,262G,262B…反射層、163R,163G,163B,263R,263G,263B…バリア層、162R1,162R2,162G1,162G2,162B1,262R1,262G1,262G2,262B1,262B2,262B3…下部電極構成層、163R1,163R2,163G1,163G2,163B1,263R1,263G1,263G2,263B1,263B2,263B3…上部電極構成層、163RX…下部バリア層、163RY…上部バリア層、181…正孔輸送層、182…発光層、182R…赤色発光層、182G…緑色発光層、182B…青色発光層、183…電子輸送層、DR,DG,DB,HR,HG,HB…厚さ、E…光(映像表示用の光)、ER…赤色の光、EG…緑色の光、EB…青色の光、LR,LG,LB…光学的距離、PR1,PR2,PG1,PG2,PB1,PB2…端面(PR1,PG1,PB1…共振端面)、SB,SG,SR…領域、U…積層単位。


























Claims (31)

  1. 下部電極層と上部電極層との間に発光層を含む層が挟まれた構成を有する赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子を備え、
    前記下部電極層は、前記発光層を含む層から遠い側から順に反射層およびバリア層が積層された積層単位を有すると共に、その積層単位が1または2以上繰り返された積層構造を含み、
    前記発光層は、前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子の間において互いに等しい色の光を発生し、
    前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子は、前記発光層において発生した光を前記反射層のうちの最上層の共振端面と前記上部電極層との間において共振させたのち、その上部電極層を経由してそれぞれ赤色の光、緑色の光および青色の光を放出し、
    前記反射層および前記バリア層の積層方向における前記共振端面の位置、ならびに前記下部電極層における前記積層単位の数は、前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子のうちの少なくとも2つの間において互いに異なっており、
    前記バリア層のうちの最上層の厚さは、前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子の間において互いに異なっている
    有機発光装置。
  2. 前記下部電極層は、前記赤色有機発光素子および前記緑色有機発光素子において第1反射層、第1バリア層、第2反射層および第2バリア層を含むと共に、前記青色有発光素子において第1反射層および第2バリア層を含み、
    前記赤色有機発光素子および前記緑色有機発光素子は、前記第2反射層と前記上部電極層との間において光を共振させると共に、前記青色有機発光素子は、前記第1反射層と前記上部電極層との間において光を共振させ、
    前記共振端面の位置は、前記赤色有機発光素子と前記緑色有機発光素子との間において互いに一致していると共に、前記赤色有機発光素子および前記緑色有機発光素子と前記青色有機発光素子との間において互いに異なっており、
    前記赤色有機発光素子における前記第2バリア層の厚さ、前記緑色有機発光素子における前記第2バリア層の厚さ、および前記青色有機発光素子における前記第1バリア層の厚さは、この順に薄くなっている、請求項1記載の有機発光装置。
  3. 前記下部電極層は、前記赤色有機発光素子において第1反射層、第1バリア層、第2反射層、第2バリア層、第3反射層および第3バリア層を含み、前記緑色有機発光素子において第1反射層、第1バリア層、第2反射層および第2バリア層を含み、前記青色有機発光素子において第1反射層および第1バリア層を含み、
    前記赤色有機発光素子は、前記第3反射層と前記上部電極層との間において光を共振させ、前記緑色有機発光素子は、前記第2反射層と前記上部電極層との間において光を共振させ、前記青色有機発光素子は、前記第1反射層と前記上部電極層との間において光を共振させ、
    前記共振端面の位置は、前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子の間において互いに異なっており、
    前記赤色有機発光素子における前記第3バリア層の厚さ、前記緑色有機発光素子における前記第2バリア層の厚さ、前記青色有機発光素子における前記第1バリア層の厚さは、この順に厚くなっている、請求項1記載の有機発光装置。
  4. 前記発光層を含む層の厚さは、前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子の間において互いに等しくなっている、請求項1記載の有機発光装置。
  5. 前記発光層を含む層は、有機層である、請求項1記載の有機発光装置。
  6. 前記発光層は、前記下部電極層に近い側から順に、赤色の光を発生させる赤色発光層と、緑色の光を発生させる緑色発光層と、青色の光を発生させる青色発光層とが積層された構成を有している、請求項1記載の有機発光装置。
  7. さらに、前記下部電極層と電気的に接続され、前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子の間の抵抗差を緩和するための補助配線を備え、この補助配線は、前記赤色有機発光素子における前記下部電極層と同一の積層構造を含んでいる、請求項1記載の有機発光装置。
  8. 前記バリア層の厚さは、1nm以上200nm以下の範囲内である、請求項1記載の有機発光装置。
  9. 前記バリア層は、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ガリウム(Ga)およびアルミニウム(Al)を含む群のうちの少なくとも1種の金属、その金属の合金、その金属酸化物、またはその金属窒化物を含む光透過性材料により構成されている、請求項1記載の有機発光装置。
  10. 前記バリア層は、酸化インジウム錫(ITO;Indium Tin Oxide)、酸化インジウム亜鉛(IZO;Indium Zinc Oxide )、酸化インジウム(In2 3 )、酸化錫(SnO2 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化チタン(TiO2 )および酸化クロム(CrO2 )を含む群のうちの少なくとも1種の金属酸化物を含む光透過性材料により構成されている、請求項1記載の有機発光装置。
  11. 前記バリア層は、前記反射層よりも仕事関数が大きい材料により構成されている、請求項1記載の有機発光装置。
  12. 前記反射層は、銀(Ag)または銀を含む合金により構成されている、請求項1記載の有機発光装置。
  13. 前記反射層は、銀(Ag)と共に、パラジウム(Pd)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)および金(Au)を含む群のうちの少なくとも1種の金属を含んでいる、請求項1記載の有機発光装置。
  14. さらに、前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子を支持するための基体を備え、前記下部電極層は、さらに、前記基体に対する前記反射層および前記バリア層の密着性を高めるための密着層を含んでいる、請求項1記載の有機発光装置。
  15. 前記密着層は、クロム(Cr)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)およびモリブデン(Mo)を含む群のうちの少なくとも1種の金属、その金属の合金、その金属酸化物、またはその金属窒化物により構成されている、請求項14記載の有機発光装置。
  16. 前記基体に、前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子が配設される下地領域を平坦化するための平坦化層が設けられており、前記密着層は、前記平坦化に対する密着性を高めるためのものである、請求項14記載の有機発光装置。
  17. 前記反射層のうちの最上層と前記上部電極層との間の光学的距離Lは、下記の数1の関係を満たしている、請求項1記載の有機発光装置。
    (数1)
    (2L)/λ+Φ/(2π)=m
    (式中、L,λ,Φ,mは、Lが反射層(最上層のうちのバリア層に隣接する第1の端面)と上部電極層(上部電極層のうちの発光層を含む層に隣接する第2の端面)との間の光学的距離、λが放出したい光のスペクトルのピーク波長、Φは反射層(第1の端面)および上部電極層(第2の端面)で生じる反射光の位相シフト、mが0または整数をそれぞれ表している。)
  18. 前記反射層の厚さは100nm以上300nm以下の範囲内、前記上部電極層の厚さは1nm以上20nm以下の範囲内である、請求項1記載の有機発光装置。
  19. 下部電極層と上部電極層との間に発光層を含む層が挟まれた構成を有する赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子を備えた有機発光装置の製造工程が、
    前記発光層を含む層から遠い側から順に反射層およびバリア層が積層された積層単位を有すると共に、その積層単位が1または2以上繰り返された積層構造を含むように、前記下部電極層を形成する工程を含み、
    前記発光層が、前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子の間において互いに等しい色の光を発生し、
    前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子が、前記発光層において発生した光を前記反射層のうちの最上層の共振端面と前記上部電極層との間において共振させたのち、その上部電極層を経由してそれぞれ赤色の光、緑色の光および青色の光を放出し、
    前記反射層および前記バリア層の積層方向における前記共振端面の位置、ならびに前記下部電極層における前記積層単位の数が、前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子のうちの少なくとも2つの間において互いに異なり、
    前記バリア層のうちの最上層の厚さが、前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子の間において互いに異なるようにする
    有機発光装置の製造方法。
  20. 前記下部電極層を形成する工程は、
    第1反射層、第1バリア層、第2反射層、第2バリア層および第3バリア層をこの順に形成して積層させる工程と、
    この第3バリア層のうち、前記赤色有機発光素子が形成されることとなる赤色領域上に、第1のマスクをパターン形成する工程と、
    この第1のマスクを使用し、前記第3バリア層をエッチングしてパターニングすることにより、前記赤色領域に前記第3バリア層を残存させると共に、その赤色領域の周辺領域に前記第2バリア層を露出させる工程と、
    この第2バリア層の露出面のうち、前記緑色有機発光素子が形成されることとなる緑色領域上に、第2のマスクをパターン形成する工程と、
    前記第1および第2のマスクを使用し、前記第2反射層および前記第2バリア層を連続的にエッチングしてパターニングすることにより、前記赤色領域および前記緑色領域にそれぞれ前記第2反射層および前記第2バリア層を残存させると共に、それらの赤色領域および緑色領域の周辺領域に前記第1バリア層を露出させる工程と、
    この第1バリア層の露出面のうち、前記青色有機発光素子が形成されることとなる青色領域上に、第3のマスクをパターン形成する工程と、
    前記第1、第2および第3のマスクを使用し、前記第1反射層および前記第1バリア層を連続的にエッチングしてパターニングすることにより、前記赤色領域、前記緑色領域および前記青色領域にそれぞれ前記第1反射層および前記第1バリア層を残存させる工程と、を含み、
    前記赤色有機発光素子および前記緑色有機発光素子が、前記第2反射層と前記上部電極層との間において光を共振させると共に、前記青色有機発光素子が、前記第1反射層と前記上部電極層との間において光を共振させ、
    前記赤色有機発光素子における前記第2バリア層および前記第3バリア層の厚さ、前記緑色有機発光素子における前記第2バリア層の厚さ、ならびに前記青色有機発光素子における前記第1バリア層の厚さが、この順に薄くなるようにする
    請求項19記載の有機発光装置の製造方法。
  21. 前記第2反射層をウェットエッチングするためのエッチャントに対して耐性を有する材料を使用して前記第1バリア層を形成し、
    前記第2反射層および前記第2バリア層をエッチングする工程において、ドライエッチングを使用して前記第2バリア層を最後までエッチングすると共に前記第2反射層を途中までエッチングしたのち、ウェットエッチングを使用して前記第2反射層を最後までエッチングする
    請求項20記載の有機発光装置の製造方法。
  22. 前記下部電極層を形成する工程は、
    第1反射層、第1バリア層、第2反射層、第2バリア層、第3反射層および第3バリア層をこの順に形成して積層させる工程と、
    この第3バリア層のうち、前記赤色有機発光素子が形成されることとなる赤色領域上に、第1のマスクをパターン形成する工程と、
    この第1のマスクを使用し、前記第3反射層および前記第3バリア層を連続的にエッチングしてパターニングすることにより、前記赤色領域に前記第3反射層および前記第3バリア層を残存させると共に、その赤色領域の周辺領域に前記第2バリア層を露出させる工程と、
    この第2バリア層の露出面のうち、前記緑色有機発光素子が形成されることとなる緑色領域上に、第2のマスクをパターン形成する工程と、
    前記第1および第2のマスクを使用し、前記第2反射層および前記第2バリア層を連続的にエッチングしてパターニングすることにより、前記赤色領域および前記緑色領域にそれぞれ前記第2反射層および前記第2バリア層を残存させると共に、それらの赤色領域および緑色領域の周辺領域に前記第1バリア層を露出させる工程と、
    この第1バリア層のうち、前記青色有機発光素子が形成されることとなる青色領域上に、第3のマスクをパターン形成する工程と、
    前記第1、第2および第3のマスクを使用し、前記第1反射層および前記第1バリア層を連続的にエッチングしてパターニングすることにより、前記赤色領域、前記緑色領域および前記青色領域にそれぞれ前記第1反射層および前記第1バリア層を残存させる工程と、を含み、
    前記赤色有機発光素子が、前記第3反射層と前記上部電極層との間において光を共振させ、前記緑色有機発光素子が、前記第2反射層と前記上部電極層との間において光を共振させ、前記青色有機発光素子が、前記第1反射層と前記上部電極層との間において光を共振させ、
    前記赤色有機発光素子における前記第3バリア層の厚さ、前記緑色有機発光素子における前記第2バリア層の厚さ、ならびに前記青色有機発光素子における前記第1バリア層の厚さが、この順に厚くなるようにする
    請求項19記載の有機発光装置の製造方法。
  23. 前記第2反射層をウェットエッチングするためのエッチャントに対して耐性を有する材料を使用して前記第1バリア層を形成すると共に、前記第3反射層をウェットエッチングするためのエッチャントに対して耐性を有する材料を使用して前記第2バリア層を形成し、
    前記第2反射層および前記第2バリア層、ならびに前記第3反射層および前記第3バリア層をそれぞれエッチングする工程において、ドライエッチングを使用して前記第2バリア層または前記第3バリア層を最後までエッチングすると共に前記第2反射層または前記第3反射層を途中までエッチングしたのち、ウェットエッチングを使用して前記第2反射層または前記第3反射層を最後までエッチングする
    請求項22記載の有機発光装置の製造方法。
  24. インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ガリウム(Ga)およびアルミニウム(Al)を含む群のうちの少なくとも1種の金属、その金属の合金、その金属酸化物、またはその金属窒化物を含む光透過性材料を使用して、前記バリア層を形成する、請求項19記載の有機発光装置の製造方法。
  25. 酸化インジウム錫(ITO;Indium Tin Oxide)、酸化インジウム亜鉛(IZO;Indium Zinc Oxide )、酸化インジウム(In2 3 )、酸化錫(SnO2 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化チタン(TiO2 )および酸化クロム(CrO2 )を含む群のうちの少なくとも1種の金属酸化物を含む光透過性材料を使用して、前記バリア層を形成する、請求項19記載の有機発光装置の製造方法。
  26. 銀(Ag)または銀を含む合金を使用して、前記反射層を形成する、請求項19記載の有機発光装置の製造方法。
  27. 銀(Ag)と共に、パラジウム(Pd)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)および金(Au)を含む群のうちの少なくとも1種の金属を含むように、前記反射層を形成する、請求項19記載の有機発光装置の製造方法。
  28. 前記下部電極層を形成する工程において、さらに、前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子を支持するための基体に、その基体に対する前記反射層および前記バリア層の密着性を高めるための密着層を形成する、請求項19記載の有機発光装置の製造方法。
  29. クロム(Cr)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)およびモリブデン(Mo)を含む群のうちの少なくとも1種の金属、その金属の合金、その金属酸化物、またはその金属窒化物を含むように、前記密着層を形成する、請求項28記載の有機発光装置の製造方法。
  30. さらに、前記基体に、前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子が形成されることとなる下地領域を平坦するための平坦化層を形成する工程を含み、この下地層に、前記密着層を形成する、請求項28記載の有機発光装置の製造方法。
  31. 下部電極層と上部電極層との間に発光層を含む層が挟まれた構成を有する赤色有機発光素子、緑色有機発光素子および青色有機発光素子を備え、
    前記下部電極層は、前記発光層を含む層から遠い側から順に反射層およびバリア層が積層された積層単位を有すると共に、その積層単位が1または2以上繰り返された積層構造を含み、
    前記発光層は、前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子の間において互いに等しい色の光を発生し、
    前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子は、前記発光層において発生した光を前記反射層のうちの最上層の共振端面と前記上部電極層との間において共振させたのち、その上部電極層を経由してそれぞれ赤色の光、緑色の光および青色の光を放出し、
    前記反射層および前記バリア層の積層方向における前記共振端面の位置、ならびに前記下部電極層における前記積層単位の数は、前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子のうちの少なくとも2つの間において互いに異なっており、
    前記バリア層のうちの最上層の厚さは、前記赤色有機発光素子、前記緑色有機発光素子および前記青色有機発光素子の間において互いに異なっている
    ことを特徴とする表示装置。
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