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JPH11106526A - 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム及びその製造方法 - Google Patents

金属板ラミネート用ポリエステルフィルム及びその製造方法

Info

Publication number
JPH11106526A
JPH11106526A JP9265435A JP26543597A JPH11106526A JP H11106526 A JPH11106526 A JP H11106526A JP 9265435 A JP9265435 A JP 9265435A JP 26543597 A JP26543597 A JP 26543597A JP H11106526 A JPH11106526 A JP H11106526A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
metal plate
acid
polyester resin
polyester film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9265435A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiji Fujita
英二 藤田
Masanobu Hioki
正信 日置
Yukiko Inui
由起子 乾
Yoshihiro Umemura
吉弘 梅村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP9265435A priority Critical patent/JPH11106526A/ja
Publication of JPH11106526A publication Critical patent/JPH11106526A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】機械特性や耐熱性に優れ、比較的低温で熱圧着
可能で、レトルト処理時に発生する白粉の主原因物質で
あるCTETの含有率が低く、しかも、加工性に優れ、
蓋材として適用しても巻き締め性やフェザリング性にも
優れ、レトルト処理でもウォータースポットが発生し難
い金属板ラミネート用フィルム及び製造法を提供する。 【解決手段】酸成分が全酸成分に対してテレフタル酸6
0〜95モル%、イソフタル酸40〜5モル%で、グリ
コール成分が主としてエチレングリコールよりなり、
(a)フィルムを構成するポリエステル樹脂の極限粘度
が0.45〜1.0dl/g。(b)融点Tm が240
〜253℃の範囲に一つだけ有する。(c)ポリエステ
ル樹脂の結晶部分に由来する融解熱の和〔ΔHm〕が1
5〜35J/g。(d)面配向度が0.11〜0.1
6。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィルムラミネー
ト金属板の構成材料として有用なフィルム及びその製造
方法、さらにはこのラミネート金属板を用いて製造した
金属缶体及び缶蓋材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】飲食料の包装容器の一形態である金属缶
は、機械的強度に優れ、密閉性にも優れることから内容
物の長期保存が可能であり、また、内容物を高温で充填
しそのまま密封したり、レトルト処理等の殺菌処理も容
易に行えるため、包装容器としての安全衛生性に対する
信頼性も高く、更に、加温状態で内容物が保存できた
り、使用後の缶体の分別・回収が比較的容易であるとい
う多くの長所を有するため、近年、様々な種類の内容物
が充填され多量に使用されている。
【0003】飲食料用金属缶の内面及び外面には、内容
物の風味を保つと同時に、金属缶の腐食を防止するた
め、あるいは缶外面の美粧性の向上、印刷面の保護等を
目的として、従来より、熱硬化性樹脂を主成分とする溶
剤型塗料が塗布されてきた。しかし、このような塗装缶
においては、次のような問題がある。 (イ)内容物を充填、密封した後にレトルト処理等の加
温処理を施すと、塗膜中の残存溶剤等の低分子量物質が
内容物中に移行し、内容物の風味が著しく低下する。
(フレーバー性に劣る) (ロ)缶蓋部の小径化や缶体の薄肉化に伴い、これまで
以上に塗膜の加工性や耐衝撃性が要求され、一方ではレ
トルト処理後に塗膜が白化したり、塗膜が剥離する等の
問題に対する耐レトルト性が要求されるが、これらの性
能を満足させる塗膜を得ることが難しい。 (ハ)有機溶剤を多量に使用し、また、塗膜の乾燥、焼
付けに多量の熱エネルギーが必要である。
【0004】このような塗装缶に対して、最近、単層も
しくは複層のプラスチックフィルムを金属板にラミネー
トしたフィルムラミネート金属板を用いて製造した金属
缶が注目されている。特にポリエステルフィルムは、機
械的強度、加工性、耐熱性に優れ、ピンホールやクラッ
ク等が発生しにくく、内容物の風味が損なわれにくく
(フレーバー性に優れる)、比較的安価であるという長
所があり、積極的に実用化が進められている。
【0005】プラスチックフィルムを金属板にラミネー
トする方法としては、プラスチックフィルム、あるいは
金属板の少なくとも一方に予め接着層を設けておき、熱
接着する方法や、熱接着性のプラスチックフィルムを用
いて金属板とを熱圧着させる方法等がある。前者の方法
のように、未硬化の熱硬化性樹脂を有機溶剤に溶解した
溶液からなる接着剤を用いた場合には、前記の(イ)及
び(ハ)の問題や、接着層とフィルムとの間に界面が生
成するためラミネート金属板の加工性やラミネート缶の
耐衝撃性に問題がある。一方、後者の方法を用いた場合
には、上記の(イ)〜(ハ)の問題は解決し、金属缶の
生産性も向上する。
【0006】ポリエステル樹脂フィルムを金属板にラミ
ネートしたラミネート金属板は、3ピース缶(以下、3
P缶と略す)、或いは2ピース缶(以下、2P缶と略
す)の胴部の材料として実用化されているが、金属缶体
を構成する蓋材への適用は進んでいないのが現状であ
る。特に、蓋材の外面に積層されたフィルムに要求され
る主な特性としては、金属板への接着性、ラミネー
ト金属板から蓋材を成形する際の成形性(プレス及びカ
ーリング加工性)、蓋材と胴部材とを巻き締めて密着
させる巻き締め工程において、巻き締めロールと高速回
転しながら高荷重で接触する際にフィルムに傷が発生し
ないこと(以下、巻き締め性と略す)、レトルト処理
時に、ポリエステル樹脂の低分子量物に由来すると考え
られる白粉が発生したり、スチームが凝縮して生成した
水滴の付着した部分が白い斑点(ウォータースポット)
となるような外観変化が生じないこと、さらにラミネ
ート金属板をイージーオープン蓋(EOE)材として適
用する場合に、タブの開栓の際に金属板に追随してフィ
ルムも切断されて金属板からフィルムが剥離したり、切
断部にフィルムの残片が認められないこと(フェザリン
グ性)等を挙げることができる。
【0007】特開平5−331302号公報、特開平7
−145252号公報には、レトルト時のウォータース
ポットが発生し難いポリエステルフィルムが開示されて
おり、特公平7−80253号公報にはEOE用に好適
なフィルムが開示されている。しかしながらいずれの場
合にも、上記の要求性能のうちで最も解決が困難と思わ
れる巻き締め性に関する詳細な記載はなく、上記の〜
の要求性能のすべてを満足するための技術はこれまで
に知られておらず、当業者にとっては、特に過酷な加工
が施される巻き締め工程に十分に耐えられるフィルム及
びそのフィルムを積層してなる蓋材の開発が強く望まれ
るところであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱圧着によ
り金属板にラミネートすることが可能であり、しかも優
れた巻き締め性を有するだけでなく、上記〜の要求
性能のすべてを満足するポリエステルフィルム及びこの
フィルムを金属板に積層してなる金属缶体及び蓋材を提
供することを課題とする。また、本発明はこのようなポ
リエステルフィルムの製造方法を提供することをもその
課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定の化
学構造及び物性を有する二軸延伸ポリエステルフィルム
を用いることにより、優れた巻き締め性が発現し、本発
明の課題が解決されることを見出し本発明に到達した。
【0010】すなわち、本発明の要旨は、次の通りであ
る。 (1)酸成分が、全酸成分に対してテレフタル酸60〜
95モル%、イソフタル酸40〜5モル%であり、グリ
コール成分が主としてエチレングリコールよりなる、下
記(a)〜(d)の特性を満足する金属板ラミネート用
二軸延伸ポリエステルフィルム。 (a)フィルムを構成するポリエステル樹脂の極限粘度
が0.45〜1.0dl/g。 (b)融点Tm が240〜253℃の範囲に一つだけ有
する。 (c)ポリエステル樹脂の結晶部分に由来する融解熱の
和〔ΔHm〕が15〜35J/g。 (d)面配向度が0.11〜0.16。 (2)PETとイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフ
タレートを混合し、押出機にて溶融押出して得られた未
延伸シートの両端を把持し、温度40〜120℃で予熱
した後、温度50〜130℃で縦及び横方向にそれぞれ
2〜4倍の延伸倍率で二軸延伸した後、120〜200
℃で熱固定することを特徴とする上記(1)のポリエス
テルフィルムの製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0012】本発明の金属板ラミネート用二軸延伸ポリ
エステルフィルムは、酸成分が、全酸成分に対してテレ
フタル酸60〜95モル%、イソフタル酸40〜5モル
%であり、グリコール成分が主としてエチレングリコー
ルよりなるポリエステルからなる。テレフタル酸成分の
割合が60モル%未満の場合には、得られるフィルムの
配向結晶化がしにくくなり、その結果として特に延伸工
程での操業性が悪化するという問題が発生する。また、
得られたフィルムを蓋材用の材料として適用した場合
に、フェザリング性に劣るという問題がある。また、テ
レフタル酸成分の割合が95モル%を超えると、金属板
への熱圧着に高温を要したり、巻き締め性に劣るという
不都合を生じる。全酸成分に対するテレフタル酸成分の
割合は70〜90モル%、さらには75〜88モル%が
好ましい。
【0013】本発明におけるフィルムを構成するポリエ
ステル樹脂の極限粘度は0.45〜1.0dl/g、好
ましくは0.50〜0.90dl/g、さらに好ましく
は0.55〜0.80dl/gである。フィルムの極限
粘度が0.45dl/g未満では実用に供することので
きる機械的強度を有したフィルムを得ることが難しく、
1.0dl/gを超えるとフィルムの金属板への熱圧着
性が損なわれる。
【0014】本発明の二軸延伸フィルムの示差走査熱量
(DSC)測定による融点Tm は一つだけ認められ、T
m は240〜253℃、好ましくは240〜250℃、
さらに好ましくは243〜250℃の範囲である。フィ
ルムを構成するポリエステル樹脂の組成が上記の条件を
満足しても、フィルムのTm が2つ以上存在したり、2
53℃を超える場合は、フィルム中のポリエステル樹脂
が不均一であったり結晶性が高いため、得られるフィル
ムは熱圧着性や成形性、さらには捲き締め性が低下する
という問題が生じる。また、後述するように、PETと
イソフタル酸共重合PETを混合し、溶融押出して未延
伸シートを製造する場合には、未延伸シートにフローマ
ークと呼ばれる不規則な模様が発生したり、延伸時の切
断が多発してフィルム製造時の操業性が損なわれる場合
がある。一方、Tm が240℃未満の場合には、フィル
ムの配向結晶化が不十分となり、このフィルムを蓋材に
適用した場合に耐レトルト性(特にウォータースポッ
ト)に劣り、フェザリング性にも劣る場合がある。
【0015】本発明のフィルムは、その結晶部分に由来
する融解熱〔ΔHm〕が15〜35J/g、好ましくは
18〜33J/g、さらに好ましくは20〜30J/g
であることが必要である。35J/gを超えると、金属
板との接着性が低下したり、このフィルムを積層したラ
ミネート金属板の巻き締め性が低下する場合がある。ま
た、ΔHmが15J/g未満の場合には、樹脂組成物が
配向結晶化し難くなるため均一な延伸フィルムとなりに
くく、またこのフィルムを用いて蓋材を作成した場合
に、レトルト処理時にウォータースポットが発生し易く
なる。
【0016】また、本発明のフィルムの面配向度fは
0.11〜0.16でなければならない。ここで、f
は、下記式により定義されるものである。 f={(nx +ny )/2}−nz ただし、nx 、ny はフィルムの面方向の屈折率の最大
値及び最小値であり、nz はフィルムの厚さ方向の屈折
率を示す。面配向度が0.11未満の場合は、フィルム
の機械特性や耐熱性が十分でなく、金属板との熱圧着時
にフィルムが収縮を起こすという問題を生じる。また面
配向度が0.16を超えると、金属板との熱圧着性が低
下したり、ラミネート金属板を用いて蓋材を成形する際
に、フィルムにミクロクラックが発生したり破断し易い
という問題を生じる。
【0017】本発明において用いられるポリエステル樹
脂原料としては、本発明における構成成分割合を満足す
る共重合ポリエステルを用いることができるが、PET
とイソフタル酸共重合PETを上記構成成分割合を満足
するように混合した樹脂を溶融押出する方法(ブレンド
法)を用いることにより本発明における特性を有するフ
ィルムを容易にしかもより安定に製造することができ
る。たとえば、原料として上記構成成分割合を満足する
共重合ポリエステルを出発原料として用いた場合には、
樹脂の乾燥工程においてブロッキングを生じてハンドリ
ングの問題が生じたり、又、配向結晶化しにくいためフ
ィルムを延伸する工程でネッキングや溶断が発生しやす
いという問題が生じることがある。
【0018】上記のブレンド法において用いられるPE
Tは、テレフタル酸成分とエチレングリコール成分より
実質的に構成され、溶融重縮合反応、好ましくは引き続
いて固相重合反応を施すことによって得られるものであ
る。固相重合反応を施すことにより、樹脂中の低分子量
物、特にテレフタル酸−エチレングリコール環状3量体
(CTET)の含有量を著しく低減させることができ
る。我々は、CTETがレトルト処理時に発生する白粉
の原因となることを確認しており、このような固相重合
反応によって得られたPETとイソフタル酸共重合PE
Tを上記構成成分の割合となるように混合した原料を用
いることにより、得られるフィルム中のCTETの含有
量を著しく低減させることができるため白粉の発生を防
ぐことができるのでそのメリットは非常に大きい。
【0019】PETの製法としては公知の方法を適用す
ることができる。たとえば、ビス(β−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレート及びその低重合体の存在するエステ
ル化反応槽に、テレフタル酸とエチレングリコール及び
必要に応じて他の共重合成分のスラリーを連続的に供給
し、温度250℃で3〜8時間程度反応させて、エステ
ル化反応率95%付近のエステル化物を連続的に得る。
次いで、これを重合缶に移送し、二酸化ゲルマニウム、
三酸化アンチモン等の触媒の存在下に、1.3hPa以
下の減圧下、温度250〜280℃で所望の極限粘度の
ポリエステル樹脂が得られるまで溶融重縮合反応を行え
ばよい。また、固相重合反応については、目標とするよ
りも低い極限粘度の段階で溶融重縮合反応を終了し、得
られた樹脂を塊状で180〜235℃の雰囲気となるよ
うに不活性気流を流すか、或いは減圧状態で2〜20時
間処理することによって行われる。
【0020】PETは、本発明の効果が損なわれない範
囲で適宜他の成分を共重合してもよい。共重合成分とし
ては酸成分として、イソフタル酸、(無水)フタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コ
ハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデ
カンジカルボン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イ
タコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の脂肪族ジカル
ボン酸、(無水)ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ
テレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸、炭素数20〜6
0のダイマー酸、p−ヒドロキシ安息香酸、乳酸、β−
ヒドロキシ酪酸、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカ
ルボン酸や、(無水)トリメリット酸、トリメシン酸、
(無水)ピロメリット酸等の多官能カルボン酸を挙げる
ことができる。また、共重合成分としてのアルコール成
分としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパン
ジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグ
リコール、分子量が200〜2,000のポリエチレン
グリコール、同ポリプロピレングリコール、同ポリテト
ラメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジ
エタノール等の脂環族ジオール、ビスフェノールAやビ
スフェノールSのエチレンオキシドあるいはプロピレン
オキシド付加物等の芳香族ジオール、トリメチロールプ
ロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多官能
アルコール等を挙げることができる。PETは重合時に
ジエチレングリコール成分(DEG)が副生し、この構
造を樹脂骨格中に含むが、DEGを含む共重合成分の合
計は、全酸成分の5モル%以下、さらには3モル%以下
が好ましい。5モル%を越えるとPETの結晶性が損な
われて本発明の目的とするフィルムの性能が得られない
ので好ましくない。
【0021】本発明において用いられるイソフタル酸共
重合PETも、PETと同様の溶融重縮合反応によって
得ることができる。イソフタル酸共重合PETは、全酸
成分の5モル%以下、さらに好ましくは3モル%以下の
他の成分と共重合してもよい。他の共重合成分の割合が
5モル%を超えると、PETとの相溶性が低下したり、
巻き締め性やフェザリング性が悪化したりする 。
【0022】本発明のフィルム中のCTETの含有率は
0.6重量%以下であることが好ましい。金属缶体の蓋
材には、レトルト時に白粉が発生しないことが要求され
るが、フィルム中の低分子量物の総量と白粉発生量との
間には明瞭な関係はなく、低分子量物中のCTETが白
粉の主な原因物質であり、CTETの含有率を0.6重
量%以下とすることにより上記の問題を防止することが
可能となる。フィルム中のCTETの含有率を0.6重
量%以下に抑える方法としては、固相重合を施したPE
Tを用いるか、固相重合PETの添加量をなるべく高め
ることにより達成できる。
【0023】本発明の金属板ラミネート用フィルムの製
造方法としては、フラット式もしくはチューブラー式製
膜法等の公知の方法により製造することができるが、厚
みムラの少ないフィルムを製造するためにはフラット式
が好ましく、延伸方法としては同時、或いは逐次2段の
二軸延伸法を用いることができる。
【0024】フラット式二軸延伸法により本発明のフィ
ルムを製造する場合には、例えば、目標とする組成とな
るように配合したPETと共重合PETからなる樹脂組
成物を、Tダイを備えた押出機を用いて、温度230〜
280℃で溶融混合し、Tダイよりシート状に押し出
し、これを40℃以下に温度調節されたキャスティング
ロール上に密着させて急冷し、所望の厚みの未延伸シー
トを得る。原料の樹脂組成物の溶融混合を十分にするた
めに、予め溶融混練した原料を用いてもよい。樹脂組成
物の混練の程度は、押出機のスクリュー形状、押出温度
や樹脂の滞留時間等によって決定されるが、必要以上に
滞留時間を長くしたり、押出温度を高くするとCTET
が発生することがある。
【0025】次に、未延伸シートをクリップで両端を把
持してシート上下面より温度40〜120℃の熱風を吹
付けて予熱し、温度50〜130℃の雰囲気下で縦及び
横方向にそれぞれ2〜4倍程度に二軸延伸する。その
後、縦方向及び/又は横方向の弛緩率を数%として、1
20〜200℃で数秒〜十数秒間熱処理してフィルムを
熱固定した後、室温まで冷却し、20〜500m/mi
nの速度で巻き取って所望の厚みのフィルムとする。予
熱温度が40℃未満、或いは延伸温度が50℃未満で
は、延伸応力が高くなり、ネッキングが発生し易く、一
方、予熱温度が120℃、或いは延伸温度が130℃を
超えると、溶断したり、フィルムの結晶化が進んで白化
し、フィルムの面配向度が低くなるという不都合を生じ
ることがある。また、熱固定温度が120℃未満では、
十分な機械特性や耐熱性を有するフィルムを得ることが
できず、200℃を超えると、得られるフィルムの金属
板への熱圧着性が低下する。また、延伸倍率についても
上記範囲からはずれると、面配向度fが0.11〜0.
16のフィルムを得るのが難しくなる。
【0026】延伸後の熱処理方法としては、従来より公
知の方法を採用することができ、例えば、延伸フィルム
に熱風を吹き付ける方法、延伸フィルムに赤外線を照射
する方法、延伸フィルムにマイクロ波を照射する方法等
が挙げられるが、均一に精度良く加熱できる点で、延伸
フィルムに熱風を吹き付ける方法が好適である。また、
特公昭35−11774号公報、特公昭43−5557
号公報等に開示されているように、延伸工程から熱固定
工程の中間に熱緩衝帯を設けてもよい。
【0027】本発明のフィルムには、シリカ、アルミ
ナ、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バ
リウム等の無機滑剤、もしくはシリコーン粒子等の有機
滑剤から選ばれた1種もしくは2種以上の平均粒径2.
5μm以下の滑剤を必要量添加してフィルム表面にスリ
ップ性を付与させ、フィルム製造時や金属板との熱圧着
時の工程通過性を改善させることができる。また、二酸
化チタン、硫酸バリウム、シリコーン化合物等を高濃度
(たとえば10〜30重量%)添加して隠蔽性を付与
し、缶胴部や蓋材の外観を向上させることができる。さ
らに、フィルムには着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、
消泡剤、難燃剤等を含有させることもできる。
【0028】本発明のフィルムは、厚みが5〜50μ
m、好ましくは8〜25μm、さらに好ましくは10〜
20μmである。厚みが5μm未満では加工時に破れ等
が生じ易くなり、50μmを超えると巻き締め性が悪化
する。
【0029】また、本発明のフィルムには、金属板との
密着性を向上させるために、共押出法やラミネート加
工、あるいはコーティング加工により接着層を設けるこ
とができる。接着層は乾燥膜厚で0.5μm以下が好ま
しい。
【0030】また、金属板と熱圧着するフィルムの反対
面には、金属缶体の外観や印刷性を向上させたり、フィ
ルムの耐熱性や耐レトルト性等を向上させるために1種
もしくは2種以上の樹脂層を設けることができる。これ
らの層は、共押出法やラミネートあるいはコーティング
加工により設けることができる。
【0031】本発明のフィルムと金属板をラミネートす
る方法としては、金属板を予め所定温度まで予熱してお
き、これとフィルムとを温度制御可能なロールによって
圧接して熱圧着させた後、冷却することにより連続的に
製造される。金属板の加熱方法としては、ヒーターロー
ル伝熱方式、誘導加熱方式、抵抗加熱方式、熱風伝達方
式等があげられ、特に、設備費及び設備の簡素化を考慮
した場合、ヒーターロール伝熱方式が好ましい。また、
ラミネート後の冷却方法については、水等の冷媒中に浸
漬する方法や冷却ロールと接触させる方法を用いること
ができる。本発明では、ラミネート条件は特に限定され
るものではないが、特に蓋材用として用いる場合には、
ラミネート工程中にフィルムを過度に非晶化するのは避
けるべきである。これは、非晶化した部分がレトルト処
理時に一部、結晶化してウォータースポットを発生させ
たり、フェザリング性を悪化させたりするためである。
好ましいラミネート条件としては、フィルムを構成する
樹脂組成物の融点Tmに対して〔Tm −50℃〕〜〔Tm
−10℃〕に加熱された金属板に、室温〜〔Tm −1
00℃〕に調整されたロールによって線圧5〜100k
g/cmでフィルムを圧接して熱圧着させた後、冷水中
で急冷する方法を例示することができる。
【0032】本発明において用いられる金属板として
は、シート状又は帯状の鋼板及びアルミニウム板、ある
いはそれらの表面に種々のめっき処理や化成処理を施し
たものが好適である。特に表層にクロム水和酸化物皮
膜、或いは、下層が金属クロム、上層がクロム水和酸化
物の二層構造をもつ皮膜を有したものは、フィルムとの
接着性に優れる。また、鋼板表面に錫、ニッケル、亜
鉛、アルミニウム等の一種又は二種以上の複層めっき、
合金めっきを施し、その上層にクロム水和酸化物皮膜、
或いは、上記の二層構造をもつ皮膜を形成させたもの、
具体的には、ぶりき、ティンフリースチール(TF
S)、ニッケルめっき鋼板、極薄錫めっき鋼板(LT
S)等を用いることができる。アルミニウム板として
は、純アルミニウム、Al−Mn系合金、Al−Mg系
合金にクロメート処理、リン酸塩処理、陽極酸化処理、
ベーマイト処理等を施したもの、或いはそれらの表層に
クロム水和酸化物皮膜や上記2層構造を有する皮膜を形
成させたもの等を用いることができる。
【0033】以上のようにして得られたラミネート金属
板を蓋材として用いる場合には、プレス成形、カーリン
グ成形、EOEの場合にはタブ設置のためのスコア加工
やリベット加工等の成形、及び樹脂ライニングが施され
る。本発明のポリエステルフィルムは、金属缶体の外面
に積層されるが、缶体の内面に積層してもよい。
【0034】上記の蓋材成形加工をした後に、フィルム
の残留応力を緩和させるために熱処理を施す場合には、
下記(e)〜(h)の特性を満たすことが好ましい。 (e)フィルムを構成するポリエステル樹脂の極限粘度
が0.45〜1.0dl/g。 (f)融点Tm が240〜253℃の範囲に一つだけ有
する。 (g)ポリエステル樹脂の結晶部分に由来する融解熱の
和〔ΔHm〕が10〜35J/g。 (h)面配向度が0.05〜0.16。 上記のいずれかの条件を満足しない場合には、巻き締め
性、耐レトルト性、フェザリング性のいずれかの性能が
劣り、特に、〔ΔHm〕が10J/g未満、面配向度が
0.05未満の場合には、レトルト処理時にウォーター
スポットが発生したり、フェザリング性が低下する。
【0035】本発明のフィルムを用いた金属缶体及び蓋
材は、耐レトルト性にも優れているため、ビール、果
汁、炭酸飲料や、コーヒー、緑茶、紅茶、加工食品等を
充填するのに適している。
【0036】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。なお、実施例及び比較例に用いた各特性値の
分析方法、測定方法は次の通りである。
【0037】ポリエステル樹脂の組成:封管中230℃
で3時間メタノール分解を行った後、ガスクロマトグラ
ム分析に供し、定量分析を行った。
【0038】樹脂の極限粘度〔η〕:フェノール/1,
1,2,2−テトラクロロエタンの等重量混合溶媒を用
い、20℃で測定した。単位はdl/g。
【0039】フィルムの面配向度f:アタゴ光学社製、
アッベ式屈折計を用い、次式より求めた。 f={(nx +ny )/2}−nz ただし、nx 、ny はフィルムの面方向の屈折率の最大
値及び最小値であり、nz はフィルムの厚さ方向の屈折
率を示す。屈折率は、アッベ式屈折計の接眼側に偏光板
アナライザーを取り付け、単色光NaD線により、マウ
ント液としてヨウ化メチレンを用い、温度25℃で測定
した値である。なお、測定に用いたフィルムの幅は20
cmであり、フィルムの中央部及び両端から各3cmの
部分を測定し、その平均値を面配向度とした。蓋材のフ
ィルムについては、蓋材10個を測定してその平均値を
面配向度とした。
【0040】フィルムの熱特性:フィルム及び蓋材のフ
ィルムから、それぞれ10〜12mgの試料を採取し、
パーキンエルマー社製DSC−7を用いて、昇温速度2
0℃/minの条件で、25〜280℃まで昇温して測
定した。ポリエステルの融点Tmは、融解ピークのピー
クトップの温度とした。なお、例えば特開平4−117
427号公報等に記載されている、フィルムの製造時に
行う熱固定処理に由来するサブピークが認められる場合
には、これを除外した。ポリエステルの結晶部分に由来
する融解熱〔ΔHm〕は、昇温中の結晶化等の要因を考
慮し、フィルム自体が本来有する結晶部分のみに由来す
る融解熱を算出した。
【0041】フィルムのCTET量:フィルムより、所
定量の試料を採取し、これをヘキサフルオロイソプロパ
ノール/クロロホルムの等容積比混合溶媒に溶解した
後、撹拌しながらアセトニトリル中に滴下して樹脂を沈
澱させた。次に、これをメンブランフィルターで濾過
し、得られた濾液を高速液体クロマトグラフ(ウォータ
ーズ社製、600E)を用いて分析した。なお、予めC
TETと内部標準物質との検量曲線を作成しておき、こ
れに基づいてフィルム中に含まれるCTETの含有率を
求めた。
【0042】ラミネート性:ラミネート後の状況につい
て、次の基準に従って目視で評価した。 ○:金属とラミネートしたフィルムに傷やしわ等の欠陥
がなく、良好に熱圧着されている部分が全面積の98%
以上。 △:上記の部分が全面積の80%以上、98%未満。 ×:上記の部分が全面積の80%未満。
【0043】接着性:上記のラミネート性が○或いは△
と判断されたラミネート金属板から幅18mmの短冊状
試験片を切り出した。なお、金属板の端部にはフィルム
をラミネートせず、ラミネートされた部分の長さが8c
m以上確保されるようにした。島津製作所社製オートグ
ラフを用いて、フィルムを10mm/ninの速度で1
80゜剥離試験を行い剥離強力を測定し、次の基準に従
って評価した。 ○:11枚のうち10枚以上の試験片の剥離強力が30
0gf以上か、300gf以上でフィルムが破断。 △:5〜9枚の試験片の剥離強力が300gf以上か、
300gf以上でフィルムが破断。 ×:剥離強力、或いはフィルムが破断した場合はその破
断強度が300gf以上の試験片が4枚以下。
【0044】成形性:ラミネート金属板をプレス機(大
沼鉄工所社製,NFL−25)及びカーリング機(東京
堂機械社製)を用いて、202径蓋材を成形し、フィル
ムの剥離、切れ、クラック等の損傷の有無を目視及び蛍
光顕微鏡(倍率80倍)で観察し、次の基準に従って評
価した。 ○:蓋材100個のうち、95個以上が損傷なし。 △:蓋材100個のうち、80〜94個が損傷なし。 ×:蓋材100個のうち、21個以上に何らかの損傷が
認められる。
【0045】耐レトルト性:上記のようにして得られた
蓋材をオートクレーブ(トミー精工社製、BS325)
に入れ、125℃のスチーム中で30分間、レトルト処
理を施した後、フィルムの外観についてウォータースポ
ット及び白粉の発生状況を目視観察し、次の基準に従っ
て耐レトルト性の指標とした。 ○:良好。 △:フィルム表面積の5%未満に、ウォータースポット
又は白粉がみられた。 ×:フィルム表面積の5%以上に、ウォータースポット
又は白粉がみられた。
【0046】巻き締め性:蓋材の内面に樹脂ライニング
(塩ビゾル)を施した後、巻き締め機(中條製缶社製,
半自動シーマー)及び市販の190g3P缶(溶接缶)
を用いて、巻き締めを行った。巻き締め工程は、微妙な
条件の違いによってもフィルムに傷が発生したり発生し
なかったりするため、各条件で作成された蓋材100個
ずつを用意し、それらをランダムに並べ、連続して巻き
締めを行い、次の基準に従って評価した。 ○:蓋材100個のうち、95個以上に損傷なし。 △:蓋材100個のうち、80〜94個に損傷なし。 ×:蓋材100個のうち、21個以上に何らかの損傷が
認められる。
【0047】フェザリング性:アルミニウム板(505
2H34材)を用いて得たラミネート金属板からステイ
オンタブ(SOT)タイプのEOEを各100個得た。
そして、10人の人に各10個ずつ開栓してもらい、切
断面を目視で観察し、次の基準に従って評価した。 ○:EOE100個のうち、95個以上がフィルムの剥
離やひげ状物等の異常が認められない。 △:EOE100個のうち、80〜94個がフィルムの
剥離やひげ状物等の異常が認められない。 ×:EOE100個のうち、21個以上にフィルムの剥
離やひげ状物等の異常が認められる。
【0048】(ポリエステル樹脂の製造) ポリエステル樹脂A:少量のビス( β- ヒドロキシエチ
ル) テレフタレート及びその低重合体の存在下にテレフ
タル酸( TPA) 及びエチレングリコール( EG) のモ
ル比が1/1.6のスラリー、及び平均粒径1.0μm
のシリカを均一に分散したEG溶液をエステル化反応槽
に仕込み、250℃、4.9×105 Paの条件で系内
を撹拌し、エステル化反応率95.2%のエステル化物
を得た。次に、これを重縮合反応槽に移送し、全酸成分
に対して2×10-2モル%の二酸化ゲルマニウムを添加
して系内を撹拌しながら280℃まで昇温し、その後、
1時間を要して系内を60Paまで減圧にし、この状態
を保って更に1.5時間撹拌を続けた。次に、系内を窒
素気流によって常圧に戻し、ストランド状に払い出した
後に水冷し、ペレタイザーにより、ペレット状のポリエ
ステル樹脂Aを得た。ポリエステル樹脂Aを十分に乾燥
した後に分析した結果を表1に示す。なお、ペレットの
灰分を分析した結果、シリカの含有率は0.01重量%
であった。
【0049】ポリエステル樹脂B:ポリエステル樹脂A
を、70℃で2時間予備乾燥し、130℃で十分に結晶
化させた後、220℃まで昇温し、系内を78Paの減
圧状態に保って8時間、固相重合を施してポリエステル
樹脂Bを得た。分析結果を表1に示す。
【0050】ポリエステル樹脂C〜G及びJ:ポリエス
テル樹脂A或いはBと同様にして各種の共重合ポリエス
テル樹脂C〜G及びJを得た。なお、イソフタル酸(I
PA)共重合PETの場合にはモル比が1/2のIPA
/EGスラリーを用いてエステル化反応を行った。ま
た、ジエチレングリコール(DEG)共重合PETの場
合には、所定量のDEGを重縮合反応開始時に系内に添
加した。得られた各樹脂の分析結果を表1に示す。な
お、いずれの樹脂も平均粒径1.0μmのシリカを0.
01重量%含有していた。
【0051】ポリエステル樹脂H:十分に乾燥したポリ
エステル樹脂B及びEを等重量比でドライブレンドし、
これを2軸押出機(池貝鉄工所社製、PCM45)を用
いて270℃で溶融混合し、ストランド状に押出し(吐
出量350g/min)、水冷後、ペレット化し、ポリ
エステル樹脂Hを得た。
【0052】ポリエステル樹脂I:上記ポリエステル樹
脂Hを得る方法において、ポリエステル樹脂Eを十分に
乾燥せずに溶融混合してポリエステル樹脂Iを得た。
【0053】
【表1】
【0054】実施例1 (フィルムaの製造)十分に乾燥したポリエステル樹脂
Bを75重量部と、ポリエステル樹脂Eを25重量部と
をドライブレンドし、Tダイを備えた押出機(75mm
径、L/D=45の緩圧縮タイプの単軸スクリュー)を
用いて、270℃、吐出量500g/minでシート状
に押し出した。続いて、これを表面温度18℃に調節さ
れたキャスティングロール上に密着させて急冷し、厚み
100μmの未延伸シートを得た。この未延伸シートの
端部を、テンター式延伸機のクリップで把持し、60℃
の予熱ゾーンを走行させた後、温度70℃で縦方向(M
D)に3倍延伸し、引き続いて80℃の予熱ゾーンを走
行させた後、温度100℃で横方向(TD)に3.5倍
延伸した。次に、TDの弛緩率を5%として160℃で
熱固定処理した後、室温まで冷却し、50m/minの
速度で巻き取って厚み10μmのフィルムを得た。得ら
れたフィルムをスリットし、幅20cmのロール状のフ
ィルムaを得た。次に、このフィルムを用いて各種の特
性評価を行った結果を表2に示す。
【0055】(蓋材の製造)板厚0.19mm、板幅2
2cmのロール状のTFS(テンパー度T−4)を、誘
導加熱ロールにより208℃に加熱し、その両面に上記
のロール状のフィルムaを、表面温度50℃に調整され
た1対のシリコーンロールを用いてニップ長が20m
m、ライン速度20m/minの条件でラミネートした
後(ラミネート時間0.06秒)、3sec後に氷水中
に浸漬冷却してラミネート金属板を得た。得られたラミ
ネート金属板、及びこのラミネート金属板を用いて蓋材
を製造した際の各種の評価結果を表2に示す。なお、E
OEのフェザリング性の評価は、市販のロール状のアル
ミニウム(5052H34,0.26mm厚)を用い、
ヒーターロールでこれを加熱した以外は上記と同様の操
作でラミネートした。
【0056】実施例2 70℃の予熱ゾーンを走行させた後、温度90℃でMD
に3倍、TDに3.3倍に同時二軸延伸した以外は実施
例1と同じ条件でフィルムb及びラミネート金属板を得
た。フィルムbの特性及びラミネート金属板、及びこの
ラミネート金属板を用いて蓋材を製造した際の各種の評
価結果を表2に示す。
【0057】実施例3〜10及び比較例1〜9 表2、3に示したように、ポリエステル樹脂の種類及び
配合比、フィルムの製造条件を変更し同時二軸延伸方法
によりフィルムを製造した。得られたフィルムを用いて
実施例1と同じ条件でラミネート金属板を試作し、その
性能評価を行った。得られた結果を表2及び3に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】比較例10 十分に乾燥したポリエステル樹脂Bを55重量部と、ポ
リエステル樹脂Gを45重量部とをドライブレンドし、
実施例1と同様にして厚み180μmの未延伸シートを
得た。次に、この未延伸シートを様々な条件でMD、T
D共に3倍延伸することを試みたが、延伸時に破断が頻
発して均一な厚みを有するフィルムを連続して製造する
ことはできなかった。
【0061】比較例11 ポリエステル樹脂Iを用いて、実施例2と同様にして厚
み10μmのフィルムを得た。しかし、このフィルムは
脆く、手で簡単に破断させることができ、実用に供する
ことができる物ではなかった。そこで、厚みを種々変更
して延伸フィルムを作成したが同様の結果であった。得
られたフィルムの極限粘度は、いずれも0.45dl/
g未満であった。
【0062】実施例11〜13及び比較例12〜16 上記の各種フィルムを用い、金属板へのラミネート温度
を変更した場合の評価結果を表4に示す。なお、蓋材成
形後のフィルムの極限粘度及び融点は、いずれもラミネ
ート処理前のフィルムと変わらない値であった。
【0063】
【表4】
【0064】
【発明の効果】本発明よれば、(1) 機械特性や耐熱性に
優れ、(2) 比較的低温で熱圧着可能であり、広範囲のラ
ミネート条件が適用でき、(3) レトルト処理時に発生す
る白粉の主原因物質であるCTETの含有率が低く、し
かも、(4) ラミネート後の各種の成形に対する加工性に
優れ、蓋材として適用された場合にも、(5) 巻き締め性
やフェザリング性にも優れ、(6) レトルト処理を施して
もウォータースポットが発生し難いという多くの長所を
有する金属板ラミネート用フィルム及びその製造方法を
提供することが可能となる。特に、フィルムラミネート
金属板がこれまで蓋材として利用できなかった主原因で
ある巻き締め性に対して、本発明はこれを克服するフィ
ルム処方を見いだし、しかも、他の要求性能も同時に満
足するフィルムの製造方法を見いだした点において、本
発明によって初めてフィルムラミネート金属板が蓋材と
して適用できる可能性が生まれたといえる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 67/02 C08L 67/02 // B29K 67:00 B29L 7:00 (72)発明者 梅村 吉弘 京都府宇治市宇治小桜23 ユニチカ株式会 社中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸成分が、全酸成分に対してテレフタル
    酸60〜95モル%、イソフタル酸40〜5モル%であ
    り、グリコール成分が主としてエチレングリコールより
    なる、下記(a)〜(d)の特性を満足する金属板ラミ
    ネート用二軸延伸ポリエステルフィルム。 (a)フィルムを構成するポリエステル樹脂の極限粘度
    が0.45〜1.0dl/g。 (b)融点Tm が240〜253℃の範囲に一つだけ有
    する。 (c)ポリエステル樹脂の結晶部分に由来する融解熱の
    和〔ΔHm〕が15〜35J/g。 (d)面配向度が0.11〜0.16。
  2. 【請求項2】 フィルム中に含まれるテレフタル酸−エ
    チレングリコール環状3量体の含有量が0.6重量%以
    下である請求項1記載のポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のフィルムと金属板
    を積層したラミネート金属板、及びそれを用いた金属缶
    体及び缶蓋材。
  4. 【請求項4】 ポリエチレンテレフタレート(PET)
    とイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートを混
    合し、押出機にて溶融押出して得られた未延伸シートの
    両端を把持し、温度40〜120℃で予熱した後、温度
    50〜130℃で縦及び横方向にそれぞれ2〜4倍の延
    伸倍率で二軸延伸した後、120〜200℃で熱固定す
    ることを特徴とする請求項1又は2記載のポリエステル
    フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 PETが固相重合を施したものである請
    求項4記載のポリエステルフィルムの製造方法。
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