JPH11103678A - 硝酸態窒素濃度低下剤 - Google Patents
硝酸態窒素濃度低下剤Info
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Abstract
を育てることができる葉面散布剤および肥料を提供する
こと。 【解決手段】親水性溶媒を用いて褐藻から抽出した抽出
物、カルシウム化合物、有機酸およびリン酸化合物を含
有することを特徴とする、作物中の硝酸態窒素濃度低下
剤。
Description
酸態窒素濃度を低下させることができる組成物に関す
る。より詳細には、本発明は、親水性溶媒を用いて褐藻
から抽出した抽出物、カルシウム化合物、有機酸および
リン酸化合物を含有することを特徴とする葉面散布剤お
よび肥料に関する。
ます高まりつつあり、特に安全性の高い食品を求める傾
向は一段と強まりつつある。野菜や果物などの作物は、
収穫までに使用した肥料や農薬の影響を極めて受けやす
いことから、安全性を損なわない範囲で施肥および投薬
を行うことが必要とされている。
素が健康を害するおそれがあることが指摘されるように
なった。硝酸態窒素は、NO3 -として存在している窒素
をいう。硝酸態窒素は体内において容易に亜硝酸塩に変
化し、血液中のヘモグロビンと強く結合して、ヘモグロ
ビンの酸素運搬能を阻害する作用を示す。このため、硝
酸態窒素を多量に含有する作物を食べると、酸欠を起こ
すことがある。現に、硝酸態窒素を多量に含むホウレン
ソウを生のまま食べた乳児がブルーベビー現象と呼ばれ
る酸欠状態に陥って死亡する事件が起きている。また、
硝酸態窒素は、蛋白質と結合して発癌性物質を生成する
との報告もある。
窒素系肥料に含まれている。作物は生長段階において窒
素源を必要とすることから、実りある作物を育てるため
には窒素系肥料の使用は欠かせない。土壌に施肥された
肥料中に含まれる硝酸態窒素は、植物の根から吸収され
たのち、硝酸還元を受けて作物の代謝系に取り込まれ
る。根から吸収された硝酸態窒素は直ちに代謝系に取り
込まれることはないため、植物体内には絶えず硝酸態窒
素が存在している。したがって、植物体内に幾らかの硝
酸態窒素が存在することは、植物が生長するうえで避け
られないものであるとされている。
と、収穫した作物の硝酸態窒素量を減らすことは、従来
技術下では相反するものとされていた。事実、収穫時の
作物中の硝酸態窒素量を減らすために収穫前の窒素系肥
料の施肥量を少なくすると、収穫した作物の甘度や実り
低下したり、収穫量が減るなどの弊害が生じる。このた
め、従来技術下では、硝酸態窒素量が少なくてかつ実り
ある作物を育てることはできなかった。
酸態窒素量が少なくて、かつ、実りある作物を育てるこ
とができる葉面散布剤および肥料を提供することを目的
とした。また、本発明は、収穫前に簡単な方法で適用す
ることによって、安全でおいしい作物を育てることがで
きる葉面散布剤および肥料を提供することを目的とし
た。
に鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、親水性溶媒を
用いて褐藻から抽出した抽出物をカルシウム化合物、有
機酸およびリン酸化合物と組み合わせて作物に適用する
ことによって、硝酸態窒素濃度が低くて実りある作物を
育てることができることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、親水性溶媒を用いて褐藻から抽出
した抽出物、カルシウム化合物、有機酸およびリン酸化
合物を含有することを特徴とする、作物中の硝酸態窒素
濃度低下剤を提供するものである。
用すれば、土壌に適用する窒素系肥料の使用量を減らす
ことなく、作物中の硝酸態窒素濃度を大幅に低下させる
ことができる。従来技術下では、収穫する作物中の硝酸
態窒素濃度を低くするために、収穫前に施肥する肥料の
窒素濃度を下げることが不可欠であるとされていたが、
本発明の硝酸態窒素濃度低下剤を使用すればその必要は
なくなる。したがって、収穫前の窒素不足による作物の
生育不良や味の劣化を有効に回避し、おいしい作物を収
穫することができる。
育てた作物は、硝酸態窒素濃度が低いために安全性が非
常に高い。例えば、従来技術下で収穫したホウレンソウ
の場合は、硝酸態窒素濃度が夏どり物で平均770pp
m、その他の季節物で平均880ppmであることが知
られている。これに対して、本発明の硝酸態窒素濃度低
下剤を収穫の3週間前から週1回の割合で適用したとき
は、100ppmに過ぎない。
質指標」(日本土壌肥料学雑誌第52巻第4号(199
1年))には、ホウレンソウの硝酸含量と収穫量の関係
が記載されている。それによると、ホウレンソウ中の硝
酸態窒素濃度が560ppm(NO3濃度で2500p
pm)を下回ると収量が低下することが記載されてい
る。このことは、収穫するホウレンソウの硝酸態窒素濃
度を560ppm以下に制御しようとすると、ホウレン
ソウの収量が減ってしまうことを意味している。これに
対して、本発明の硝酸態窒素濃度低下剤を適用したホウ
レンソウは、硝酸態窒素濃度が560ppmよりも低い
にもかかわらず、収量は減らず、むしろ増える傾向にあ
る。しかも、収穫されたホウレンソウは色が良く、味も
良好であり、商品価値は極めて高い。このように、硝酸
態窒素濃度が低くて実りのよい作物は、本発明の硝酸態
窒素濃度低下剤を使用することによって初めて収穫する
ことができるようになったものである。
(WHO)の合同食品添加物専門家委員会では、食品添
加物としての硝酸塩の摂取許容量を硝酸ナトリウムに換
算して5mg以下(体重1kg,1日あたり)と定めて
いる。従来技術下で収穫したものであれば、体重50k
gの人がわずか50gの生ホウレンソウを食べただけで
許容量を超過してしまう。本発明の硝酸態窒素濃度低下
剤を適用したものであれば、よりたくさんのホウレンソ
ウを食べることができる。このため、本発明によれば、
安全で生食可能なサラダ用ホウレンソウを市場に提供す
ることができる。
と、硝酸態窒素濃度が下がるだけでなく、病害虫に対す
る耐性が高まる。このため、ホウレンソウ、キャベツ、
トマト、白菜に起こる根腐れ病;トマトの尻腐れ病;大
根、トマト、キュウリ、ホウレンソウ、白菜に起こるベ
ト病;これらの作物病が原因で起こる黄化症などを有効
に防ぐことができる。その結果、作物の収量増加にもつ
ながる。
収穫した作物は、糖度が高く、食感および食味が優れて
いる。例えば、スイカに適用した場合には、シャリシャ
リとしたスイカ独特の歯ざわりが強化され、保水性の向
上によりみずみずしさが改善される。また、総じてえぐ
味が低減し、香りが向上し、酸味が低下する傾向にある
ため、収穫した作物の品質は高い。さらに、組織が密に
なって巻きが向上する効果があるため、例えばにんにく
などは比較的大きなにんにく片が内側に向けて密に締ま
った良好なかたちを有しており、商品としての価値が高
い。
3週間前から週1回ずつ適用するだけで効果があること
から、適用作業が極めて簡単で経済的である。しかも、
葉面に散布する場合は、空中散布方式を採れば短時間で
作業を終了することができる。したがって、本発明の硝
酸態窒素濃度低下剤は、収穫作物の品質、適用時の労
力、経済性のすべてを満足するものであり、有用性が極
めて高い。
藻類に属する植物種であればその種類は問わない。本発
明で使用することができる褐藻類に属する植物として、
コンブ、カジメ、アラメ、ワカメ、ヒジキ、ホンダワ
ラ、レッソニア、ダービリア、エクロニアを例示するこ
とができる。この中でも、レッソニアを使用するのが好
ましい。本発明では、親水性溶媒を用いて褐藻から抽出
した抽出物を使用する。本発明で使用することができる
親水性溶媒として、エタノール、メタノール、プロピル
アルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ア
セトニルメタノール、グリセリン、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコー
ル、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、
ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドを例示す
ることができる。これらの溶媒は、単独で使用してもよ
いし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なる褐藻を細分化して抽出するのが、抽出効率を上げる
ために好ましい。抽出の際の褐藻と親水性溶媒の割合
は、適宜決定することができるが、通常は褐藻原料1重
量部に対して親水性溶媒1〜100重量部の範囲内で使
用する。抽出温度もとくに制限されないが、一般に常温
から60℃程度の温度範囲内で抽出する。好ましい温度
範囲は、35〜40℃である。褐藻と親水性溶媒はよく
混合した後に、互いに分離する必要がある。分離は、例
えば濾過、遠心分離などによって行うことができる。濾
過によって分離する場合は、吸引または圧縮(圧搾)す
るのが好ましい。このようにして調製した褐藻の親水性
溶媒抽出物は、原則として溶媒を留去してから他の成分
と混合する。ただし、親水性溶媒として水などを用いた
場合には、水溶液のまま他の成分と混合することによっ
て硝酸態窒素濃度低下剤を調製してもよい。
ウム化合物、有機酸、リン酸化合物をはじめとする成分
と混合することによって硝酸態窒素濃度低下剤にする。
本発明で使用するカルシウム化合物は、天然から抽出し
たものであっても、工業的手段を経て提供されたもので
あってもよい。例えば、乳酸カルシウム、酸化カルシウ
ム、炭酸カルシウムなどを例示することができる。本発
明では、溶解性の高いカルシウム化合物を使用するのが
好ましい。最も好ましいのは、乳酸カルシウムである。
物に適用したときにカルシウム供給源として機能する。
カルシウム化合物を褐藻の親水性溶媒抽出物と組み合わ
せることによって、硝酸態窒素濃度をより有効に低減さ
せることができる。また、作物の糖度や日持ちをさらに
良くすることもできる。また、作物の生長を抑制し収穫
後の品質劣化を促すエチレンの発生を抑制することもで
きる。カルシウム化合物の使用量は、褐藻の親水性溶媒
抽出物100重量部に対して0.2〜10重量部、より
好ましくは0.5〜3重量部である。
の親水性溶媒抽出物とカルシウム化合物の他に、有機酸
とリン酸化合物が必須成分として含まれている。本発明
で使用する有機酸は、作物に障害を与えないものの中か
ら選択することができる。例えば、酢酸、クエン酸、酒
石酸、乳酸、リンゴ酸、ギ酸などを使用することができ
る。中でも好ましい有機酸は、酢酸である。有機酸を使
用することによって、カルシウムをはじめとするミネラ
ルを有効に溶解させることができる。このため、本発明
の硝酸態窒素濃度低下剤を適用したときに、これらのミ
ネラルが速やかに作物に吸収される。また、有機酸を使
用することによって、pHが低下するために、硝酸態窒
素濃度低下剤の腐敗を防止することもできる。有機酸の
使用量は、褐藻の親水性溶媒抽出物100重量部に対し
て1〜20重量部、より好ましくは3〜10重量部であ
る。
ン酸化合物であっても、無機リン酸化合物であってもよ
い。例えば、過リン酸石灰、熔成リン肥、焼成リン肥、
リン酸石灰などを使用することができる。中でも好まし
いリン酸化合物は、過リン酸石灰である。リン酸化合物
は、硝酸態窒素を消化するためのエネルギーを供給する
ことができる。このため、褐藻の水溶性溶媒抽出物と組
み合わせることによって、有効に作物中の硝酸態窒素量
を減らすことができる。リン酸化合物の使用量は、褐藻
の親水性溶媒抽出物100重量部に対して0.5〜15
重量部、より好ましくは2〜5重量部である。
必須成分の他に以下に記載する成分をさらに混合しても
よい。たとえば、ミネラルをさらに加えることができ
る。添加するに際しては、多くのミネラルをバランスよ
く添加するのが望ましい。このため、貝化石のように種
々のミネラルを含有する混合物を使用するのが好まし
い。貝化石は、珪酸およびカルシウムを主成分とする混
合物であり、鉄、マグネシウム、リン、窒素、マンガ
ン、亜鉛、銅、ニッケル、コバルトなどの様々なミネラ
ルを豊富に含んでいる。貝化石の使用量は、褐藻の親水
性溶媒抽出物100重量部に対して2〜30重量部、よ
り好ましくは4〜20重量部である。
態窒素濃度低下剤を使用することによって、作物の機能
を正常に維持することができる。とくに、収穫前に本発
明の硝酸態窒素濃度低下剤を初めて適用すると、それに
対応するために作物の機能調節機構が働くが、そのとき
に機能バランスを維持するためにもミネラルを適用して
おくのが好ましい。ミネラルの中でも、特にモリブデン
は有用である。ミネラルの使用量は、褐藻の親水性溶媒
抽出物100重量部に対して0.001〜0.5重量
部、より好ましくは0.01〜0.1重量部である。
は、アミノ酸を添加しておくのが好ましい。アミノ酸
は、作物の組織を形成するために必須の成分である。生
長に必要なアミノ酸はすでに根から吸収しているが、さ
らに本発明の硝酸態窒素濃度低下剤にも添加しておくこ
とによって、効率よくアミノ酸を利用させることができ
る。使用することができるアミノ酸として、メチオニ
ン、アルギニン、シスチン、ヒスチジン、リジン、スレ
オニン、トリプトファン、グルタミン、イソロイシン、
アスパラギン、バリン、グリシン、チロシン、ロイシ
ン、セリンを例示することができる。中でも、メチオニ
ンを使用するのが好ましい。アミノ酸の使用量は、褐藻
の親水性溶媒抽出物100重量部に対して0.5〜15
重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
類を添加することができる。特に、本発明の硝酸態窒素
濃度低下剤を葉面散布剤として使用するときには、多糖
類を使用するのが好ましい。多糖類を使用すれば、葉面
に散布したときに葉面に対する付着性が向上するため
に、硝酸態窒素濃度低下剤が葉面上を流れ落ちるのを防
ぐことができる。特に、雨が降っているときにはその効
果を有効に発揮する。また、多糖類を使用すれば、葉面
に被膜を形成することができるため、有害な微生物によ
る汚染から防御することもできる。本発明で使用するこ
とができる多糖類として、アルギン酸ナトリウム、アル
ギン酸プロピレングリコールエステル、アラビアガム、
ウェランガム、カードラン、カシアガム、キサンタンガ
ム、キトサン、グァーガム、サイリウムシードガム、ジ
ェランガム、タマリンドシードガム、デキストラン、フ
ァーセレラン、プルラン、ペクチン、ヒアルロン酸、ヒ
アルロン酸ナトリウムを例示することができる。多糖類
の使用量は、褐藻の親水性溶媒抽出物100重量部に対
して0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜3
重量部である。
は、ホウ素化合物を使用することができる。ホウ素化合
物はホウ酸イオンとして作物に吸収され、リグニンやペ
クチンによる細胞壁の形成に関与する。本発明で使用す
ることができるホウ素化合物として、ホウ酸、ホウ酸ア
ンモニウムを例示することができる。ホウ素化合物の使
用量は、褐藻の親水性溶媒抽出物100重量部に対して
0.1〜6重量部、好ましくは0.5〜5重量部であ
る。
は、糖類および糖アルコールを使用することもできる。
特に本発明の硝酸態窒素濃度低下剤を葉面散布剤として
使用するときには、糖類および糖アルコールを使用する
のが好ましい。糖類および糖アルコールは、葉面からの
ミネラルの吸収を促進する作用を示す。本発明で使用す
ることができる糖類として、ショ糖、ブドウ糖、果糖、
乳糖、キシロースを例示することができる。また、本発
明で使用することができる糖アルコールとして、ソルビ
トール、マルチトール、キシリトールを例示することが
できる。糖類および糖アルコールの使用量は、褐藻の親
水性溶媒抽出物100重量部に対して1〜40重量部、
好ましくは5〜25重量部である。さらに、本発明の硝
酸態窒素濃度低下剤には、必要に応じて着色剤、防腐剤
などを添加することができる。
葉面散布剤や肥料として使用することができる。好まし
いのは葉面散布剤として使用する場合である。本発明の
硝酸態窒素濃度低下剤を葉面に適用する場合には、水溶
液として適用するのが一般的である。葉面に適用するに
際しては、散布するのが一般的であるが、はけなどを用
いて葉面に塗ることによって適用しても構わない。ま
た、本発明の硝酸態窒素濃度低下剤を乾燥して固体粉末
化したうえで葉面に適用し、雨が降ったときに溶解して
機能を発揮することができるようにしてもよい。
適用する肥料として使用する場合には、液体または固体
として適用することができる。好ましいのは液体として
適用して土壌潅水する場合である。特に、ミネラルが不
足した土壌には効果的である。最も好ましいのは、本発
明の硝酸態窒素濃度低下剤を、葉面散布するとともに土
壌潅水する方法である。これによって、根張り、茎径の
生育、葉面肥厚化、果実や根菜の肥大化を促すことがで
きる。
土こうじやぼかし肥料などと組み合わせて使用すると効
果的である。土こうじは、放線菌などの微生物を添加し
た土壌改良剤であるが、特に珪藻土を含むアルギン酸抽
出残渣を使用したものを併用するのが好ましい。好まし
い土こうじとして、アルギン酸抽出後の褐藻残渣、活性
汚泥、米糠、有効微生物からなる混合物を発酵させたも
のを例示することができる。このような土こうじを併用
することによって、土壌に有効な微生物を存在させるこ
とができる。また、光合成の効果を増強し、土壌の団粒
化を促進し、特に根こぶ病の発生を防ぐことができる。
を含むアルギン酸抽出後の褐藻残渣、活性汚泥、米糠、
魚骨粉、木炭、油粕、海藻、おから等を混合して、有効
微生物により発酵させたものを例示することができる。
このようにして調製したぼかし肥料には、肥料成分であ
る窒素、リン酸、カリウムおよび微量ミネラルの他に、
土壌にとって有効な微生物が豊富に含まれている。その
微生物は有機質を分解するために、ぼかし肥料は即効性
と持続性を兼ね備えている。ぼかし肥料は、化学肥料と
異なって栄養成分の過剰吸収を防ぐことができる点で有
用である。ぼかし肥料と土こうじは機能が異なるため、
施肥する土壌の状態によっていずれを使用すべきかを決
定するのが好ましい。また、土こうじとぼかし肥料を両
方使用しても構わない。
に説明する。以下の実施例に示す成分、割合、操作順序
等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更するこ
とができる。したがって、本発明の範囲は以下の実施例
に示す具体例に制限されるものではない。
5kgを約5cm四方のチップ状に切断し、水/エタノ
ール混合溶媒(体積比1:1)45kgを添加して常温
で20分間攪拌した。その後、濾過することによって不
溶性成分を除去し、褐藻抽出物を得た。この褐藻抽出物
を、以下の表に示す各成分と混合することによって、本
発明の硝酸態窒素濃度低下剤(葉面散布剤)を調製し
た。
することによって、本発明の硝酸態窒素濃度低下剤(葉
面散布剤)を調製した。
することによって、本発明の硝酸態窒素濃度低下剤(肥
料)を調製した。
素濃度低下剤を葉面散布したときの作物中の硝酸態窒素
濃度の変化について、以下の手順で検討を行った。収穫
3週間前のホウレンソウ、馬鈴薯、にんにく、タマネ
ギ、長ネギ、トマトおよび春菊をそれぞれ2群に分け、
一方の群には実施例1で調製した硝酸態窒素濃度低下剤
を水で200倍に希釈して週1回(計3回)ずつ葉面に
散布した。散布は噴霧器を用いて葉面がしっとりと潤う
程度に行った。また、もう一方の群には硝酸態窒素濃度
低下剤を散布しない対照群とした。試験開始から3週間
後に各作物を収穫し、作物中の硝酸態窒素濃度をコンパ
クトイオンメーター((株)堀場製作所製)を用いて測
定した。結果は以下の表に示すとおりであった。
態窒素濃度低下剤を葉面散布したときに硝酸態窒素濃度
が顕著に低下していることが明らかである。
素濃度低下剤を葉面散布したときの作物の糖度と日持ち
の変化について、以下の手順で検討を行った。収穫3週
間前のホウレンソウ、スイカ、マスクメロン、雑メロ
ン、タマネギ、長ネギ、馬鈴薯、にんにく、トマト、ゴ
ボウ、ニンジン、大根、レタス、春菊および白菜を用い
て、試験例1と同じ方法によって葉面散布を行った。試
験開始から3週間後に各作物を収穫し、作物中の糖度を
糖度計(DaikiDIK−820A,Brix0−5
0)を用いて測定した。また、収穫した作物を常温で静
置して日持ちを試験した。日持ち日数は、収穫後の作物
の萎れや腐敗などの変質の程度が一定の状態に達するま
での日数を目視によって確認することによって決定し
た。糖度測定結果および日持ち試験結果は、それぞれ表
5および表6に示すとおりであった。また、収穫した作
物の収穫直後の状態を観察した結果を表7に示した。
織がしまることによって歯ざわりが改善されている状態
を示している。例えば、スイカの場合は、シャリシャリ
としたスイカ独特の歯ざわりが強化され、保水性の向上
によりみずみずしさが改善されている。また、表7にお
ける「食味向上」は、主としてその作物に特有の味が強
化され、おいしさが改善されている状態を示している。
具体的には、えぐ味が低減し、香りが向上し、歯ざわり
が改善されており、酸味が低下している状態を指す。例
えば、マスクメロンの場合は、マスクメロンの甘みと香
りが程よく強化されており、商品価値が多いに高まって
いる。また、馬鈴薯の場合は、料理したときのてりが良
くなるという長所も見られる。
の締まりが良くなっている状態を示している。例えば、
にんにくの場合は、比較的大きなにんにく片が互いに内
側に向けて密にしまっている構造をしている。未処理対
照群の場合は、小さなにんにく片がゆるやかにまとまっ
ているだけであるため、商品価値が低い。
れば、作物中に含まれる硝酸態窒素濃度を有効に低下さ
せることができる。また、本発明の硝酸態窒素濃度低下
剤を適用すれば、糖度が高くて日持ちが良い作物を提供
することができる。このため、本発明を利用すれば、安
全で商品価値の高い作物を収穫して市場に提供すること
ができる。また、本発明の硝酸態窒素濃度低下剤は、収
穫前に集中的に適用するだけで十分な効果を示すことか
ら、手間がかからず経済的でもある。したがって、本発
明の硝酸態窒素濃度低下剤は、農業分野における利用価
値が極めて高いものと期待される。
Claims (11)
- 【請求項1】親水性溶媒を用いて褐藻から抽出した抽出
物、カルシウム化合物、有機酸およびリン酸化合物を含
有することを特徴とする、作物中の硝酸態窒素濃度低下
剤。 - 【請求項2】カルシウム化合物が、乳酸カルシウムであ
ることを特徴とする請求項1の硝酸態窒素濃度低下剤。 - 【請求項3】有機酸が酢酸であることを特徴とする請求
項1の硝酸態窒素濃度低下剤。 - 【請求項4】リン酸化合物が過リン酸石灰であることを
特徴とする請求項1の硝酸態窒素濃度低下剤。 - 【請求項5】アミノ酸をさらに含有することを特徴とす
る請求項1の硝酸態窒素濃度低下剤。 - 【請求項6】アミノ酸がメチオニンであることを特徴と
する請求項5の硝酸態窒素濃度低下剤。 - 【請求項7】ミネラルをさらに含有することを特徴とす
る請求項1の硝酸態窒素濃度低下剤。 - 【請求項8】ミネラルがモリブデンであることを特徴と
する請求項7の硝酸態窒素濃度低下剤。 - 【請求項9】葉面散布剤であることを特徴とする請求項
1の硝酸態窒素濃度低下剤。 - 【請求項10】多糖類をさらに含有することを特徴とす
る請求項9の硝酸態窒素濃度低下剤。 - 【請求項11】肥料であることを特徴とする請求項1の
硝酸態窒素濃度低下剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9274446A JP2793583B1 (ja) | 1997-10-07 | 1997-10-07 | 硝酸態窒素濃度低下剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9274446A JP2793583B1 (ja) | 1997-10-07 | 1997-10-07 | 硝酸態窒素濃度低下剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2793583B1 JP2793583B1 (ja) | 1998-09-03 |
JPH11103678A true JPH11103678A (ja) | 1999-04-20 |
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ID=17541809
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9274446A Expired - Fee Related JP2793583B1 (ja) | 1997-10-07 | 1997-10-07 | 硝酸態窒素濃度低下剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2793583B1 (ja) |
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