JPH10251752A - 磁気特性に優れる熱延電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
磁気特性に優れる熱延電磁鋼板の製造方法Info
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- JPH10251752A JPH10251752A JP9059085A JP5908597A JPH10251752A JP H10251752 A JPH10251752 A JP H10251752A JP 9059085 A JP9059085 A JP 9059085A JP 5908597 A JP5908597 A JP 5908597A JP H10251752 A JPH10251752 A JP H10251752A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 熱間圧延で十分な歪を付与して集合組織を改
善することにより、特別な仕上げ焼鈍処理を施さなくて
も、熱間圧延のままで磁気特性の良好な電磁鋼板を得
る。 【解決手段】 C:0.005 wt%以下、Si:0.1 〜1.85wt
%、Al:1.0 wt%以下、Mn:1.5 wt%以下を含み、残部
はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、γ
単相域または(α+γ)2相域に加熱保持し、熱間粗圧
延後、それに引き続く熱間仕上げ圧延を、最終スタンド
の圧下率:30%以上80%以下の条件で実施し、ついで 6
00℃以上の温度でコイルに巻き取って再結晶自己焼鈍さ
せる。
善することにより、特別な仕上げ焼鈍処理を施さなくて
も、熱間圧延のままで磁気特性の良好な電磁鋼板を得
る。 【解決手段】 C:0.005 wt%以下、Si:0.1 〜1.85wt
%、Al:1.0 wt%以下、Mn:1.5 wt%以下を含み、残部
はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、γ
単相域または(α+γ)2相域に加熱保持し、熱間粗圧
延後、それに引き続く熱間仕上げ圧延を、最終スタンド
の圧下率:30%以上80%以下の条件で実施し、ついで 6
00℃以上の温度でコイルに巻き取って再結晶自己焼鈍さ
せる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、磁気特性に優れ
た無方向性熱延電磁鋼板の製造方法に関し、特に熱間圧
延工程に工夫を加えることによって、製造工程の簡略化
と共に、磁気特性の向上を図ろうとするものである。
た無方向性熱延電磁鋼板の製造方法に関し、特に熱間圧
延工程に工夫を加えることによって、製造工程の簡略化
と共に、磁気特性の向上を図ろうとするものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、無方向性電磁鋼板は、含けい素
鋼スラブを、熱間圧延後、必要に応じて熱延板焼鈍を施
し、ついで酸洗後、1回または2回の冷間圧延を施した
のち、仕上げ焼鈍を施し、さらに絶縁皮膜を被成して、
製品としている。かような無方向性電磁鋼板について、
熱延のみで製品とする技術も過去にないではないが、従
来の技術は、リバースの重ね圧延により最終板厚とし、
酸洗後、仕上げ焼鈍を施すもので、製造性が悪いだけで
なく、磁気特性とくに磁束密度が極めて低いことから、
現在では実施されていない。
鋼スラブを、熱間圧延後、必要に応じて熱延板焼鈍を施
し、ついで酸洗後、1回または2回の冷間圧延を施した
のち、仕上げ焼鈍を施し、さらに絶縁皮膜を被成して、
製品としている。かような無方向性電磁鋼板について、
熱延のみで製品とする技術も過去にないではないが、従
来の技術は、リバースの重ね圧延により最終板厚とし、
酸洗後、仕上げ焼鈍を施すもので、製造性が悪いだけで
なく、磁気特性とくに磁束密度が極めて低いことから、
現在では実施されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したとおり、熱間
圧延後に冷間圧延を施して得られる冷延電磁鋼板は、磁
気特性には優れるものの、製造工程が複雑で製造コスト
が嵩む傾向がある。また、熱延電磁鋼板は、製造性が悪
い上に磁束密度が極めて低いという問題があった。従来
の熱延電磁鋼板の製造では、熱間圧延は単に板厚を薄く
するためだけに施されており、電磁鋼板に適した集合組
織の形成という観点からは検討されていなかった。ま
た、熱間圧延機の能力にも限界があり、従来の熱間圧延
では再結晶の駆動力となる十分な歪を付与することがで
きなかった。
圧延後に冷間圧延を施して得られる冷延電磁鋼板は、磁
気特性には優れるものの、製造工程が複雑で製造コスト
が嵩む傾向がある。また、熱延電磁鋼板は、製造性が悪
い上に磁束密度が極めて低いという問題があった。従来
の熱延電磁鋼板の製造では、熱間圧延は単に板厚を薄く
するためだけに施されており、電磁鋼板に適した集合組
織の形成という観点からは検討されていなかった。ま
た、熱間圧延機の能力にも限界があり、従来の熱間圧延
では再結晶の駆動力となる十分な歪を付与することがで
きなかった。
【0004】この発明は、上記の問題を有利に解決する
もので、熱間圧延で十分な歪を付与して集合組織を改善
することにより、特別な仕上げ焼鈍処理を施さなくて
も、磁気特性の良好な製品を得ることができる熱延電磁
鋼板の有利な製造方法を提案することを目的とする。
もので、熱間圧延で十分な歪を付与して集合組織を改善
することにより、特別な仕上げ焼鈍処理を施さなくて
も、磁気特性の良好な製品を得ることができる熱延電磁
鋼板の有利な製造方法を提案することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上記
の目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、以下に述べ
る知見を得た。 1.熱間圧延時に残留する粗大スラブ鋳造フェライト組
織は、熱間圧延において十分な再結晶駆動力が得られ
ず、高温での特別な焼鈍処理を施さなければ再結晶しな
い場合には、熱間圧延のみでは未再結晶伸展粒となり、
磁気特性を劣化させる。これを解決するには、粗圧延前
のスラブ加熱を、γ単相域または(α+γ)2相域で行
うことが有効である。
の目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、以下に述べ
る知見を得た。 1.熱間圧延時に残留する粗大スラブ鋳造フェライト組
織は、熱間圧延において十分な再結晶駆動力が得られ
ず、高温での特別な焼鈍処理を施さなければ再結晶しな
い場合には、熱間圧延のみでは未再結晶伸展粒となり、
磁気特性を劣化させる。これを解決するには、粗圧延前
のスラブ加熱を、γ単相域または(α+γ)2相域で行
うことが有効である。
【0006】2.スラブ加熱温度を上記の適正条件とし
ても、板厚中心部にフェライト圧延組織が残留している
場合があるが、この原因は、粗圧延後および仕上げ圧延
の前段においてγ→α変態で再結晶したフェライト粒が
仕上げ後段において十分な再結晶駆動力を与えられず、
仕上げ熱延後に再結晶せずに圧延組織として残ることに
よる。この問題を解決するためには、仕上げ熱延の後段
を強圧下にすることが有効で、かような強圧下により、
粗圧延後および仕上げ圧延の前段においてγ→α変態で
再結晶したフェライト粒に十分な熱延歪を与えることが
でき、ひいては熱延後のコイル巻き取り自己焼鈍で再結
晶させることができる。
ても、板厚中心部にフェライト圧延組織が残留している
場合があるが、この原因は、粗圧延後および仕上げ圧延
の前段においてγ→α変態で再結晶したフェライト粒が
仕上げ後段において十分な再結晶駆動力を与えられず、
仕上げ熱延後に再結晶せずに圧延組織として残ることに
よる。この問題を解決するためには、仕上げ熱延の後段
を強圧下にすることが有効で、かような強圧下により、
粗圧延後および仕上げ圧延の前段においてγ→α変態で
再結晶したフェライト粒に十分な熱延歪を与えることが
でき、ひいては熱延後のコイル巻き取り自己焼鈍で再結
晶させることができる。
【0007】3.しかも、上記の方法で熱延された鋼板
の集合組織は、無方向性電磁鋼板に有利な組織となって
いる。この発明は、上記の知見に立脚するものである。
の集合組織は、無方向性電磁鋼板に有利な組織となって
いる。この発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0008】すなわち、この発明は、C:0.005 wt%以
下、Si:0.1 〜1.85wt%、Al:1.0 wt%以下、Mn:1.5
wt%以下を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成
になる鋼スラブを、γ単相域または(α+γ)2相域に
加熱保持し、熱間粗圧延後、それに引き続く熱間仕上げ
圧延を、最終スタンドの圧下率:30%以上80%以下の条
件で実施し、ついで 600℃以上の温度でコイルに巻き取
って再結晶自己焼鈍させることを特徴とする、板厚が
1.2mm以下の磁気特性に優れる熱延電磁鋼板の製造方法
(第1発明)である。
下、Si:0.1 〜1.85wt%、Al:1.0 wt%以下、Mn:1.5
wt%以下を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成
になる鋼スラブを、γ単相域または(α+γ)2相域に
加熱保持し、熱間粗圧延後、それに引き続く熱間仕上げ
圧延を、最終スタンドの圧下率:30%以上80%以下の条
件で実施し、ついで 600℃以上の温度でコイルに巻き取
って再結晶自己焼鈍させることを特徴とする、板厚が
1.2mm以下の磁気特性に優れる熱延電磁鋼板の製造方法
(第1発明)である。
【0009】また、この発明は、C:0.005 wt%以下、
Si:0.1 〜1.85wt%、Al:1.0 wt%以下、Mn:1.5 wt%
以下を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成にな
る鋼スラブを、γ単相域または(α+γ)2相域に加熱
保持し、熱間粗圧延後、それに引き続く熱間仕上げ圧延
を、最終3パスのトータル圧下率:50%以上90%以下で
かつ、最終スタンドの圧下率:10%以上の条件で実施
し、ついで 600℃以上の温度でコイルに巻き取って再結
晶自己焼鈍させることを特徴とする、板厚が 1.2mm以下
の磁気特性に優れる熱延電磁鋼板の製造方法(第2発
明)である。
Si:0.1 〜1.85wt%、Al:1.0 wt%以下、Mn:1.5 wt%
以下を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成にな
る鋼スラブを、γ単相域または(α+γ)2相域に加熱
保持し、熱間粗圧延後、それに引き続く熱間仕上げ圧延
を、最終3パスのトータル圧下率:50%以上90%以下で
かつ、最終スタンドの圧下率:10%以上の条件で実施
し、ついで 600℃以上の温度でコイルに巻き取って再結
晶自己焼鈍させることを特徴とする、板厚が 1.2mm以下
の磁気特性に優れる熱延電磁鋼板の製造方法(第2発
明)である。
【0010】上記した第1発明または第2発明では、熱
間仕上げ圧延後の再結晶自己焼鈍において、 500〜900
℃の温度範囲で10時間以下の保温処理を施すことが好ま
しい(第3発明)。
間仕上げ圧延後の再結晶自己焼鈍において、 500〜900
℃の温度範囲で10時間以下の保温処理を施すことが好ま
しい(第3発明)。
【0011】この発明に従い、熱間圧延とくに熱間仕上
げ圧延条件を制御すれば、鋼板中に十分な歪が導入され
て圧延組織が効果的に改善され、その後に特別な仕上げ
焼鈍処理を施さなくても、コイル巻取り後の自己焼鈍に
よって、所期した目的が有利に達成されるのである。
げ圧延条件を制御すれば、鋼板中に十分な歪が導入され
て圧延組織が効果的に改善され、その後に特別な仕上げ
焼鈍処理を施さなくても、コイル巻取り後の自己焼鈍に
よって、所期した目的が有利に達成されるのである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明を具体的に説明す
る。まず、この発明において、素材の成分組成を上記の
範囲に限定した理由について説明する。 C:0.005 wt%以下 Cは、磁気特性の面からは有害な成分であり、 0.005wt
%を超えて多量に含有されると磁気時効を生じ、磁気特
性が劣化するので、C含有量は 0.005wt%以下に限定し
た。
る。まず、この発明において、素材の成分組成を上記の
範囲に限定した理由について説明する。 C:0.005 wt%以下 Cは、磁気特性の面からは有害な成分であり、 0.005wt
%を超えて多量に含有されると磁気時効を生じ、磁気特
性が劣化するので、C含有量は 0.005wt%以下に限定し
た。
【0013】Si:0.1 〜1.85wt% Siは、固有抵抗を高めることにより、鉄損を低減する有
用な成分であり、この効果を十分に発揮させるためには
少なくとも 0.1wt%を必要とするが、1.85wt%を超えて
多量に含有されると鋼はα単相鋼となり、この発明にお
いて主要な項目であるγ単相域または(α+γ)2相域
における加熱が不可能となるので、Si含有量は 0.1〜1.
85wt%の範囲に限定した。
用な成分であり、この効果を十分に発揮させるためには
少なくとも 0.1wt%を必要とするが、1.85wt%を超えて
多量に含有されると鋼はα単相鋼となり、この発明にお
いて主要な項目であるγ単相域または(α+γ)2相域
における加熱が不可能となるので、Si含有量は 0.1〜1.
85wt%の範囲に限定した。
【0014】Al:1.0 wt%以下 Alは、鋼の脱酸とAl介在物低減に寄与するだけでなく、
Siと同様、固有抵抗を高めて鉄損を向上させる上でも有
効な成分であるが、Siと同様、フェライトホーマーであ
り、しかもコストの上昇も招くので、 1.0wt%を上限と
した。
Siと同様、固有抵抗を高めて鉄損を向上させる上でも有
効な成分であるが、Siと同様、フェライトホーマーであ
り、しかもコストの上昇も招くので、 1.0wt%を上限と
した。
【0015】Mn:1.5 wt%以下 Mnは、磁気特性を高める上で有用な成分であるが、含有
量が 1.5wt%より多くなるとコストの上昇を招くので、
上限を 1.5wt%とした。その他、有害な不純物元素は、
極力低減するのが望ましく、特にS,NおよびO等は
0.005wt%以下まで低減するのが望ましい。
量が 1.5wt%より多くなるとコストの上昇を招くので、
上限を 1.5wt%とした。その他、有害な不純物元素は、
極力低減するのが望ましく、特にS,NおよびO等は
0.005wt%以下まで低減するのが望ましい。
【0016】上記の好適成分組成範囲に調整された溶鋼
は、好ましくは連続鋳造によってスラブとしたのち、熱
間圧延に先立ち、加熱処理が施される。この加熱処理
は、熱間圧延前に粗大なスラブ鋳造フェライト粒を消失
させるために行うものであり、従ってスラブ加熱温度は
γ相が出る温度以上、すなわちγ単相域または(α+
γ)2相域とする必要がある。
は、好ましくは連続鋳造によってスラブとしたのち、熱
間圧延に先立ち、加熱処理が施される。この加熱処理
は、熱間圧延前に粗大なスラブ鋳造フェライト粒を消失
させるために行うものであり、従ってスラブ加熱温度は
γ相が出る温度以上、すなわちγ単相域または(α+
γ)2相域とする必要がある。
【0017】ついで、粗圧延後、仕上げ圧延を行うが、
この仕上げ熱延後に十分に再結晶させ、磁気特性を向上
させるためには、仕上げ圧延最終スタンドの圧下率を30
%以上80%以下とするか、または後段3パスのトータル
の圧下率を50%以上90%以下でかつ、最終スタンドの圧
下率を10%以上とする必要がある。というのは、この発
明では、熱間仕上げ圧延の後段において鋼板に十分な量
の歪エネルギーを付与することが重要であるところ、最
終スタンドの圧下率が30%未満であったり、または最終
スタンドの圧下率が10%以上30%未満の場合に後段3パ
スのトータルの圧下率を50%未満であったり、後段3パ
スのトータルの圧下率は50%以上であっても最終スタン
ドの圧下率が10%未満の場合には、再結晶に必要な十分
な歪エネルギーが与えられず、磁気特性の改善が期待で
きないからである。なお、各圧下率の上限は、鋼板の通
板性および製造コストの面から上記のとおりに規定し
た。
この仕上げ熱延後に十分に再結晶させ、磁気特性を向上
させるためには、仕上げ圧延最終スタンドの圧下率を30
%以上80%以下とするか、または後段3パスのトータル
の圧下率を50%以上90%以下でかつ、最終スタンドの圧
下率を10%以上とする必要がある。というのは、この発
明では、熱間仕上げ圧延の後段において鋼板に十分な量
の歪エネルギーを付与することが重要であるところ、最
終スタンドの圧下率が30%未満であったり、または最終
スタンドの圧下率が10%以上30%未満の場合に後段3パ
スのトータルの圧下率を50%未満であったり、後段3パ
スのトータルの圧下率は50%以上であっても最終スタン
ドの圧下率が10%未満の場合には、再結晶に必要な十分
な歪エネルギーが与えられず、磁気特性の改善が期待で
きないからである。なお、各圧下率の上限は、鋼板の通
板性および製造コストの面から上記のとおりに規定し
た。
【0018】ついで、上記の仕上げ圧延後、コイルに巻
き取り再結晶自己焼鈍を施すわけであるが、巻き取り温
度が 600℃に満たないと十分に再結晶せず、磁気特性の
向上が望めないので、巻き取り温度は 600℃以上とし
た。仕上げ圧延後の自己焼鈍時における保温処理におい
て、温度が 500℃未満だと十分に再結晶し難く、一方 9
00℃より高温および10時間より長くすると、製造コスト
が上昇するので、このコイル巻き取りによる自己焼鈍は
500〜900 ℃の温度範囲における10時間以下の保温処理
とすることが望ましい。
き取り再結晶自己焼鈍を施すわけであるが、巻き取り温
度が 600℃に満たないと十分に再結晶せず、磁気特性の
向上が望めないので、巻き取り温度は 600℃以上とし
た。仕上げ圧延後の自己焼鈍時における保温処理におい
て、温度が 500℃未満だと十分に再結晶し難く、一方 9
00℃より高温および10時間より長くすると、製造コスト
が上昇するので、このコイル巻き取りによる自己焼鈍は
500〜900 ℃の温度範囲における10時間以下の保温処理
とすることが望ましい。
【0019】また、この発明において、板厚を 1.2mm以
下に限定したのは、これ以上厚くなると渦電流損失が増
大し、鉄損が劣化するからである。
下に限定したのは、これ以上厚くなると渦電流損失が増
大し、鉄損が劣化するからである。
【0020】
実施例1 表1に示す成分組成になる鋼スラブを、1100℃に加熱
し、熱間粗圧延後、熱間仕上げ圧延の最終スタンドの圧
下率を32%として板厚:0.8 mmに仕上げ、ついで650 ℃
の温度でコイルに巻き取り自己再結晶焼鈍させた。ま
た、従来例として、同一成分のスラブを、1100℃に加熱
し、熱間圧延で板厚:2.0 mmの熱延板とし、ついで1回
の冷延圧延により板厚:0.8 mmに仕上げたのち、仕上げ
焼鈍を施した。かくして得られた無方向性電磁鋼板の磁
気特性について調査した結果を、表2に示す。
し、熱間粗圧延後、熱間仕上げ圧延の最終スタンドの圧
下率を32%として板厚:0.8 mmに仕上げ、ついで650 ℃
の温度でコイルに巻き取り自己再結晶焼鈍させた。ま
た、従来例として、同一成分のスラブを、1100℃に加熱
し、熱間圧延で板厚:2.0 mmの熱延板とし、ついで1回
の冷延圧延により板厚:0.8 mmに仕上げたのち、仕上げ
焼鈍を施した。かくして得られた無方向性電磁鋼板の磁
気特性について調査した結果を、表2に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】表2から明らかなように、この発明に従う
熱延電磁鋼板は、従来例である冷延電磁鋼板と比べて、
同等もしくはそれ以上の優れた磁気特性を有していた。
熱延電磁鋼板は、従来例である冷延電磁鋼板と比べて、
同等もしくはそれ以上の優れた磁気特性を有していた。
【0024】実施例2 Si以外の成分はそれぞれ、C:0.003 wt%、Al:0.21wt
%、Mn:0.25wt%、S:0.003 wt%、N:0.004 wt%、
O:0.005 wt%に調整し、Si量を 0.1wt%から2.5wt%
まで変化させた各種のスラブを、1120℃に加熱し、熱間
粗圧延後、最終3パスの圧下率:58%、最終スタンドの
圧下率:16%の条件で板厚:0.8 mmに仕上げたのち、70
0 ℃の温度でコイルに巻き取り自己焼鈍させた。得られ
た鋼板の磁気特性について調べた結果を、図1に示す。
同図から明らかなように、Siが 0.1〜1.85wt%の範囲で
あれば良好な磁気特性が得られている。
%、Mn:0.25wt%、S:0.003 wt%、N:0.004 wt%、
O:0.005 wt%に調整し、Si量を 0.1wt%から2.5wt%
まで変化させた各種のスラブを、1120℃に加熱し、熱間
粗圧延後、最終3パスの圧下率:58%、最終スタンドの
圧下率:16%の条件で板厚:0.8 mmに仕上げたのち、70
0 ℃の温度でコイルに巻き取り自己焼鈍させた。得られ
た鋼板の磁気特性について調べた結果を、図1に示す。
同図から明らかなように、Siが 0.1〜1.85wt%の範囲で
あれば良好な磁気特性が得られている。
【0025】実施例3 表3に示す成分組成になる鋼スラブを、表4に示す温度
で加熱し、熱間粗圧延後、表4に示す条件で仕上げ圧延
を施して板厚:0.8 mmに仕上げたのち、コイルに巻き取
った。得られた鋼板の磁気特性を表4に示す。
で加熱し、熱間粗圧延後、表4に示す条件で仕上げ圧延
を施して板厚:0.8 mmに仕上げたのち、コイルに巻き取
った。得られた鋼板の磁気特性を表4に示す。
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】表4から明らかなように、この発明に従う
条件で製造した適合例はいずれも、比較例に比べて磁気
特性が優れている。この点、コイル巻き取り温度がこの
発明の適正範囲から外れたNo.2, 7, 13、および熱延圧
下率がこの発明の適正範囲から外れたNo.3, 8はそれぞ
れ、磁気特性が劣化している。また、成分組成が適正範
囲から外れた No.14, 15は、スラブ加熱を、γ単相域ま
たは(α+γ)2相域で行えなかった例であり、鉄損は
良好であったものの磁束密度が著しく劣っている。さら
に、成分、熱延圧下率、コイル巻き取り温度ともこの発
明範囲であるが、加熱温度がα単相域であったNo.10
は、やはり磁気特性が劣化している。
条件で製造した適合例はいずれも、比較例に比べて磁気
特性が優れている。この点、コイル巻き取り温度がこの
発明の適正範囲から外れたNo.2, 7, 13、および熱延圧
下率がこの発明の適正範囲から外れたNo.3, 8はそれぞ
れ、磁気特性が劣化している。また、成分組成が適正範
囲から外れた No.14, 15は、スラブ加熱を、γ単相域ま
たは(α+γ)2相域で行えなかった例であり、鉄損は
良好であったものの磁束密度が著しく劣っている。さら
に、成分、熱延圧下率、コイル巻き取り温度ともこの発
明範囲であるが、加熱温度がα単相域であったNo.10
は、やはり磁気特性が劣化している。
【0029】実施例4 C:0.003wt %、Si:1.15wt%、Al:0.27wt%、Mn:0.
23wt%、S:0.002 wt%、N:0.002 wt%、O:0.0018
wt %を含有し、残部は実質的にFeの組成になる鋼スラ
ブ(Ac1点:996 ℃)を、1130℃に加熱し、熱間粗圧延
後、熱間仕上げ圧延を最終3パスの圧下率:53%、最終
段圧下率:13%の条件で実施して、板厚:0.8 mmに仕上
げ、ついで表5に示す温度でコイルに巻き取った後、各
種条件にて保温を実施した。得られた製品板のこの磁気
測定結果を表5に併記する。
23wt%、S:0.002 wt%、N:0.002 wt%、O:0.0018
wt %を含有し、残部は実質的にFeの組成になる鋼スラ
ブ(Ac1点:996 ℃)を、1130℃に加熱し、熱間粗圧延
後、熱間仕上げ圧延を最終3パスの圧下率:53%、最終
段圧下率:13%の条件で実施して、板厚:0.8 mmに仕上
げ、ついで表5に示す温度でコイルに巻き取った後、各
種条件にて保温を実施した。得られた製品板のこの磁気
測定結果を表5に併記する。
【0030】
【表5】
【0031】表5から明らかなように、この発明に従う
適合例はいずれも、比較例に比べて磁気特性が優れてお
り、特に好適な保温を施されたものは、磁気特性がさら
向上するばかりでなく、コイル外周部の磁気特性の劣化
もなく、歩留りの向上が図られる。ここに、コイル外周
部とは、コイル状に巻き取った最外周1〜2層を意味
し、通常、コイル巻取り後ただちに温度降下して、コイ
ル巻取り自己焼鈍による再結晶が不良になる可能性があ
る部分である。
適合例はいずれも、比較例に比べて磁気特性が優れてお
り、特に好適な保温を施されたものは、磁気特性がさら
向上するばかりでなく、コイル外周部の磁気特性の劣化
もなく、歩留りの向上が図られる。ここに、コイル外周
部とは、コイル状に巻き取った最外周1〜2層を意味
し、通常、コイル巻取り後ただちに温度降下して、コイ
ル巻取り自己焼鈍による再結晶が不良になる可能性があ
る部分である。
【0032】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、熱間圧延後
に特別な仕上げ焼鈍を施すことなく、熱間圧延のままで
磁気特性に特に優れた電磁鋼板を得ることができ、冷延
工程および焼鈍工程の大幅な省略により、大幅な製造コ
ストの低減、省エネルギーが達成できる。
に特別な仕上げ焼鈍を施すことなく、熱間圧延のままで
磁気特性に特に優れた電磁鋼板を得ることができ、冷延
工程および焼鈍工程の大幅な省略により、大幅な製造コ
ストの低減、省エネルギーが達成できる。
【図1】Si含有量と磁気特性との関係を示したグラフで
ある。
ある。
Claims (3)
- 【請求項1】C:0.005 wt%以下、 Si:0.1 〜1.85wt%、 Al:1.0 wt%以下、 Mn:1.5 wt%以下を含み、残部はFeおよび不可避的不純
物の組成になる鋼スラブを、γ単相域または(α+γ)
2相域に加熱保持し、熱間粗圧延後、それに引き続く熱
間仕上げ圧延を、最終スタンドの圧下率:30%以上80%
以下の条件で実施し、ついで 600℃以上の温度でコイル
に巻き取って再結晶自己焼鈍させることを特徴とする、
板厚が 1.2mm以下の磁気特性に優れる熱延電磁鋼板の製
造方法。 - 【請求項2】C:0.005 wt%以下、 Si:0.1 〜1.85wt%、 Al:1.0 wt%以下、 Mn:1.5 wt%以下を含み、残部はFeおよび不可避的不純
物の組成になる鋼スラブを、γ単相域または(α+γ)
2相域に加熱保持し、熱間粗圧延後、それに引き続く熱
間仕上げ圧延を、最終3パスのトータル圧下率:50%以
上90%以下でかつ、最終スタンドの圧下率:10%以上の
条件で実施し、ついで 600℃以上の温度でコイルに巻き
取って再結晶自己焼鈍させることを特徴とする、板厚が
1.2mm以下の磁気特性に優れる熱延電磁鋼板の製造方
法。 - 【請求項3】 熱間仕上げ圧延後の再結晶自己焼鈍にお
いて、 500〜900 ℃の温度範囲で10時間以下の保温処理
を施すことを特徴とする、請求項1または2記載の板厚
が 1.2mm以下の磁気特性に優れる熱延電磁鋼板の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9059085A JPH10251752A (ja) | 1997-03-13 | 1997-03-13 | 磁気特性に優れる熱延電磁鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9059085A JPH10251752A (ja) | 1997-03-13 | 1997-03-13 | 磁気特性に優れる熱延電磁鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10251752A true JPH10251752A (ja) | 1998-09-22 |
Family
ID=13103161
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9059085A Withdrawn JPH10251752A (ja) | 1997-03-13 | 1997-03-13 | 磁気特性に優れる熱延電磁鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10251752A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003527483A (ja) * | 2000-03-16 | 2003-09-16 | ティッセンクルップ シュタール アクチェンゲゼルシャフト | 無方向性電磁鋼板の製造方法 |
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JP2019052360A (ja) * | 2017-09-19 | 2019-04-04 | 新日鐵住金株式会社 | 無方向性電磁鋼板及びその製造方法 |
-
1997
- 1997-03-13 JP JP9059085A patent/JPH10251752A/ja not_active Withdrawn
Cited By (13)
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