JPH10181630A - 車両用パイプ構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 組み付けが簡単にできしかもコストを低減で
きる車両用パイプ構造をを提供する。 【解決手段】 パイプ材２０を軸方向にプレス成形を行
って、そのパイプ材に径方向外方に張り出したフランジ
２２を形成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両用フレームの
クロスメンバ等の車両用パイプ構造に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、車両用フレームのサイドメンバに
クロスメンバを取り付け、図７（ａ），図７（ｂ）に示
すように、断面コ字状のサイドメンバ１に補強用サイド
メンバ２を溶接３し、そのサイドメンバ１と補強用サイ
ドメンバ２に形成した穴４，５にパイプからなるクロス
メンバ６を挿入し、そのクロスメンバ６をサイドメンバ
１，２に全周溶接７，８を行っている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このクロス
メンバ６の取付時の組付けを容易にするには、サイドメ
ンバ１，２の穴４，５の径Ｄを、クロスメンバ６の外径
ｄに対して２ｍｍ大きくなるよう、すなわちＤ＝ｄ＋２
となるようにその穴径を設定している。

【０００４】しかしながら、このように穴径を設定する
と、クロスメンバ６との溶接部にスキマを生じ、溶接欠
陥が発生しやすい。また穴４，５に組み付けたクロスメ
ンバ６は、その軸方向に移動自在なため位置決めが行え
ない問題がある。

【０００５】この弱点をカバーするために、補強用パッ
チ９を、予めクロスメンバ６に溶接１０にて取り付け、
その補強用パッチ９を補強用サイドメンバ２に溶接１１
して取り付けるようにしているが、この補強用パッチ９
を当てる、部品数，溶接箇所が増え、重量，コストが増
加する問題が生じる。

【０００６】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
し、組み付けが簡単にできしかもコストを低減できる車
両用パイプ構造を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項１の発明は、パイプ材を軸方向にプレス成形を
行って、そのパイプ材に径方向外方に張り出したフラン
ジを形成した車両用パイプ構造である。

【０００８】請求項２の発明は、フランジがクロスメン
バを構成するパイプ材の両端近傍に形成される請求項１
記載の車両用パイプ構造である。

【０００９】請求項３の発明は、成形後のフランジの外
径を、パイプ材の外径ｄの１．３〜１．４ｄとした請求
項１または２記載の車両用パイプ構造である。

【００１０】請求項４の発明は、フランジが、断面Ｕ字
状に屈曲されて形成された請求項１〜３いずれか記載の
車両用パイプ構造である。

【００１１】請求項５の発明は、フランジが、断面フレ
ア状に拡径されて形成された請求項１〜３いずれか記載
の車両用パイプ構造である。

【００１２】請求項６の発明は、フランジが、バルジ状
に拡径されて形成された請求項１〜３いずれか記載の車
両用パイプ構造である。

【００１３】請求項７の発明は、クロスメンバの穴にパ
イプ材を挿入し、そのフランジを穴周囲のクロスメンバ
に溶接した請求項２〜６いずれか記載の車両用パイプ構
造である。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の好適実施の形態を
添付図面に基づいて詳述する。

【００１５】図１（ａ）において、２０は、クロスメン
バを構成するパイプ材で、その両端（或いは端部）にプ
レス加工を施して図１（ｂ）に示すように断面Ｕ字状の
フランジ２２を形成したものである。

【００１６】このフランジ２２を形成したパイプ材２０
は、図２に示すようにサイドメンバ１と補強用サイドメ
ンバ２の穴２５，２６に挿入した後、パイプ材２０の先
端の周囲をサイドメンバ１に溶接２３し、またフランジ
２２の周囲を補強用サイドメンバ２の周囲に溶接２４し
て取り付ける。

【００１７】この場合、補強用サイドメンバ２の穴２６
は、フランジ２２を通さない程度の穴径であれば良く、
またサイドメンバ１の穴２５はパイプ材２０を密に嵌合
できる穴径としても支障がないため、結果として組み付
けが正確に行えると共にフランジ２２の外周を溶接２４
するため、溶接時の芯出しも正確にできる。

【００１８】このフランジ２２の径は、パイプ材２０の
外径ｄに対して１．３〜１．４の径とすることで、プレ
ス加工が支障なく、かつフランジ２２の溶接の際の溶接
長を大きく取れるので、溶接部の応力を下げることが可
能となる。またフランジ加工により、溶接結合部が、円
弧状となり応力集中が少なくなると共に最大応力部から
離すことができる。さらにサイドメンバ１の曲げ半径に
近くなることで取り付け部の面剛性を向上できる。

【００１９】図３は、パイプ材２０のフランジ２２のプ
レス加工の詳細を示したものである。 図において、３
０は上型、３１は下型で、その上下の型３０，３１でパ
イプ材２０のフランジ加工部２１を除いたパイプ材２０
の外周と内周（図示せず）を拘束し、パイプ材２０にプ
レス機で軸方向に圧縮荷重を加えると、拘束していない
フランジ加工部２１が座屈してフランジ２２を形成でき
る。また上型３０と下型３１のパイプ材２０を拘束する
拘束穴３２，３３の縁部３４，３５は、数ミリ（具体的
には２〜５ｍｍ）のアールに形成し、フランジ加工部２
１のプレス成形時に、この部分に座屈応力が集中しない
ようにした。

【００２０】このフランジ加工において、ＳＴＫＭ１３
Ａ相当（φ５０．８ｍｍ外径，肉厚ｔ＝２．６ｍｍ）の
パイプ材２０で、フランジ外径が最大φ＝７０．１ｍｍ
まで成形（１．３８倍）でき、フランジ外径が１．４倍
以上となるとフランジの軸対称性が悪くなるのみならず
フランジ径もほとんど増大せず形状が悪くなるばかりで
好ましくない、またフランジ外径が１．３以下では、フ
ランジ加工部２１の長さが短く、フランジ加工が困難と
なると共に応力割れが発生して好ましくない。よってフ
ランジ外径は、パイプ材２０の外径ｄの１．３〜１．４
倍がよいことが判った。また、パイプの肉厚（ｔ＝２．
６ｍｍ）が変わると上記の条件は変わるが、ｄ／ｔが略
一定であれば、上記条件を満たすことが判った。

【００２１】図４〜図６は本発明の他の実施の形態を示
したものである。

【００２２】図４（ａ）は、パイプ材２０の端部にフラ
ンジ２２ａを形成したものである。

【００２３】図４（ｂ）は、パイプ材２０に近接してフ
ランジ２２を形成し、その間で部材４０をカシメて支持
するようにしたもので、例えば部材４０をブレーキペダ
ルとし、そのブレーキペダルの回動支点をパイプ材２０
で支持するように構成したものである。

【００２４】図５（ａ），図５（ｂ）は、フランジ４２
の形状をフレア状に形成した例を示し、図５（ａ）はパ
イプ材２０の端部に、図５（ａ）はパイプ材２０の途中
に形成したものである。このフレアの加工は、型にフレ
ア状の受け溝を形成することでプレス加工が行える。

【００２５】図６（ａ）、図６（ｂ）は、フランジ４４
の形状をバルジ状に形成した例を示し、図６（ａ）は、
屈曲部４５の曲率を小さく断面山形状にフランジ４４を
形成した例を、図６（ｂ）は、屈曲部４６の曲率を大き
くして断面円弧状のフランジ４４を形成した例を示した
ものである。

【００２６】図５，図６の形態においては、パイプ材２
０をクロスメンバとして用いた場合、フランジ４２，４
４が補強用サイドメンバ２の内側に位置し、その穴２６
に挿入して嵌合する際にセンタリングしてパイプ材２０
を案内することが可能となり、組み付け時の芯出しが容
易となると共に局部応力の集中を防止でき、溶接性も向
上できる。

【００２７】

【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次のよう
な効果を発揮する。

【００２８】(1) パイプ材に直接フランジを形成するこ
とで、従来の補強用パッチを廃止でき、溶接箇所も少な
くでき、軽量化、低コスト化が図れる。

【００２９】(2) 補強用クロスメンバ穴径を大きくする
ことが可能となったので、クロスメンバ挿入作業性を向
上できる。

【００３０】(3) 溶接部の隙間を小さくできるので、溶
接部の強度，作業性が向上できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態を示す図である。

【図２】本発明の使用状態を示す説明図である。

【図３】本発明において、フランジ加工を行うための説
明図である。

【図４】本発明の他の実施の形態を示す図である。

【図５】本発明のさらに他の実施の形態を示す図であ
る。

【図６】本発明のさらに他の実施の形態を示す図であ
る。

【図７】従来例を示す図である。

【図８】他の従来例を示す図である。

【符号の説明】

２０ パイプ材 ２２ フランジ

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 パイプ材を軸方向にプレス成形を行っ
   て、そのパイプ材に径方向外方に張り出したフランジを
   形成したことを特徴とする車両用パイプ構造。
2. 【請求項２】 フランジがクロスメンバを構成するパイ
   プ材の両端近傍に形成される請求項１記載の車両用パイ
   プ構造。
3. 【請求項３】 成形後のフランジの外径を、パイプ材の
   外径ｄの１．３〜１．４ｄとした請求項１または２記載
   の車両用パイプ構造。
4. 【請求項４】 フランジが、断面Ｕ字状に屈曲されて形
   成された請求項１〜３いずれか記載の車両用パイプ構
   造。
5. 【請求項５】 フランジが、断面フレア状に拡径されて
   形成された請求項１〜３いずれか記載の車両用パイプ構
   造。
6. 【請求項６】 フランジが、バルジ状に拡径されて形成
   された請求項１〜３いずれか記載の車両用パイプ構造。
7. 【請求項７】 クロスメンバの穴にパイプ材を挿入し、
   そのフランジを穴周囲のクロスメンバに溶接した請求項
   ２〜６いずれか記載の車両用パイプ構造。