JPH10140069A - 孔版印刷用エマルションインキ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水相中に水不溶性着色剤を含む油中水（Ｗ／
Ｏ）型エマルションインキにおいて、印刷濃度が高く、
にじみや裏抜けが少なく、かつ印刷後のインキの耐擦れ
性に優れ、裏移りが少ない孔版印刷用エマルションイン
キを提供する。 【解決手段】 前記油中水（Ｗ／Ｏ）型エマルションイ
ンキにおいて、油相中および／または水相中にワックス
成分を含有させる。ワックス成分はインキ全量に対して
0.5〜１０重量％とすることが望ましく、２５℃におけ
る針入度が0.1〜５０[10^-1mm]の範囲のものであること
が好ましく、予め水中に分散されてもよい。特に、前記
インキが体質顔料を含有している場合に有用である。体
質顔料をインキ全量に対して１〜５０重量％含有すると
よい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は孔版印刷用エマルシ
ョンインキに関し、さらに詳しくは、印刷濃度が高く、
耐擦れ性に優れ、裏移りの少ない孔版印刷用エマルショ
ンインキに関する。

【０００２】

【従来の技術】孔版印刷は、孔版印刷用原紙を用いて製
版を行い、製版により形成された原紙の穿孔部にインキ
を通過させて紙などの被印刷体に印刷を行うものであ
る。近年、孔版印刷用原紙の製版は、フラッシュやサー
マルヘッド等の熱エネルギーを利用して行なわれてお
り、版の作製が容易かつ短時間でできることから、孔版
印刷は幅広い分野で利用されている。従来、孔版印刷用
インキとしては、一般に油中水（Ｗ／Ｏ）型エマルショ
ンインキが使用されており、その油相成分中に着色剤で
ある顔料成分が含まれている（特開昭６１−２５５９６
７号公報、特開昭６４−１４２８４号公報、特開平４−
１３２７７７号公報等参照）。

【０００３】油中水（Ｗ／Ｏ）型エマルションインキ
は、紙などの被印刷体に印刷されると、まずエマルショ
ンの外相である油相成分が被印刷体に浸透し、次いで内
相である水相成分が浸透および／または飛散する。従来
のように、着色剤が油相中に含まれている油中水（Ｗ／
Ｏ）型エマルションインキでは、着色剤の多くは印刷用
紙表面に残らずに紙層深部まで浸透してしまうため、印
刷濃度が低下し、また、裏抜けが発生し易いという問題
があった。さらに、紙繊維に沿っても浸透するために滲
みが発生し易い、という問題があった。さらに油相中に
は、顔料の安定した分散と被印刷体への定着を良好にす
るために樹脂成分が含まれるが、この樹脂成分を添加す
るとインキの温度に対する粘度安定性が確保されにくく
なり、さらにインキの被印刷体への浸透速度が遅くなる
という欠点があった。

【０００４】これらの問題を解決するために、水不溶性
着色剤を水相中に含んだ油中水（Ｗ／Ｏ）型エマルショ
ンインキが提案されている（特開平７−１８８５９８号
公報参照）。この形態のエマルションインキでは、水不
溶性着色剤は水相成分中に含まれているため、印刷後、
着色剤は油相成分が浸透した被印刷体の深層部に浸透す
ることが制限され、拡散が抑制される。その結果、着色
剤は被印刷体の表面上に留まりそこで乾燥されるので、
印刷濃度が高く、裏抜けや滲みの少ない印刷物を得るこ
とができる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このようなイ
ンキを用いた場合、被印刷体表面に局在化した着色剤の
結着力が小さい時、印刷された用紙を積み重ねたり紙揃
えする際に印刷面が押し付けられたり擦られたりした場
合、印刷された着色剤が他の物体に転移して画像品質を
劣化させたり、所謂裏移りが発生するという問題があっ
た。

【０００６】裏移りを防止する方法としては、W/O型エ
マルションインキに融点５０〜１２０℃のワックス成分
を油相に添加することが提案されている（特開平６−１
７２６９１号公報）。しかし、このエマルションインキ
は油相中に着色剤を含有する従来のエマルションインキ
に関するものであり、上述のように、水相中に着色剤を
含有するエマルションインキによって印刷されて局在化
した着色剤の擦れや裏移りを防止する手段を開示するも
のではない。

【０００７】本発明の目的は、印刷濃度が高く、にじみ
や裏抜けが少なく、かつ印刷後のインキの耐擦れ性に優
れ、裏移りが少ない孔版印刷用エマルションインキを提
供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記目
的は、油相および水相を有する油中水（Ｗ／Ｏ）型エマ
ルションインキにおいて、前記水相中に水不溶性着色剤
を含有し、しかも前記油相中および／または水相中にワ
ックス成分を含有してなることを特徴とする孔版印刷用
エマルションインキによって達成される。本発明は、上
記油中水（Ｗ／Ｏ）型エマルションインキが体質顔料を
含有して高い印刷濃度が達成される場合において特に有
効である。

【０００９】本発明のＷ／Ｏ型エマルションインキは、
その水相中に水不溶性着色剤を含むことから、被印刷体
表面に残留する水不溶性着色剤が多くなるが、その油相
中および／または水相中にワックス成分を含有させたこ
とにより、インキの耐擦れ性が向上するため、印刷後の
インキが紙揃え等によって他の印刷用紙に擦られた場合
でも、画像品質が劣化しにくく、また裏移りが極めて少
なくなる。さらに、前記エマルションインキに体質顔料
を含有させた場合、流動性を持つ分散媒は、紙などの多
孔性被印刷体の深層部に浸透するが、分散質である体質
顔料は微粒子状であるため、多孔性被印刷体の深層部に
浸透することが制限される。その結果、被印刷体表面付
近に留まる着色顔料はより多くなり、印刷濃度はさらに
上昇し、かつ裏抜け、滲みが極めて少なくなる。

【００１０】本発明において、ワックス成分は油相中又
は水相中のどちらに含有させても良く、また油相中およ
び水相中の両方に含有させてもよい。油相および／また
は水相中に含有させるワックス成分の配合量は、インキ
全量に対して固形物換算で0.5〜１０重量％とすること
が望ましい。該配合量が0.5重量％未満では、耐擦れ性
の向上、裏移り防止に対する効果が小さいことが多い。
逆に、該配合量が１０重量％を越えると、耐擦れ性の向
上、裏移り防止に対する効果はあるが、版作成後に長期
放置した場合、版上の穿孔部位およびドラムメッシュで
インキが皮膜を作り、インキの通過を阻害することがあ
り好ましくない。

【００１１】さらに、ワックス成分としては、JIS K 22
35-1980による２５℃における針入度が0.1〜５０[10^-1m
m]の範囲のものを使用することが好ましい。針入度が0.
1未満のワックス成分を使用した場合には耐擦れ性の向
上、裏移り防止に対する効果はあるが、版作成後に長期
放置した場合、版上の穿孔部位およびドラムメッシュで
インキが皮膜を作りインキの通過を阻害することがあり
好ましくない。逆に針入度が５０を越えるワックス成分
を使用した場合には耐擦れ性の向上、裏移り防止に対す
る効果は少ない。

【００１２】本発明で用いられるワックス成分としては
公知のワックス類が用いられ、例えば、みつろう、キャ
ンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう等の動・
植物系天然ワックス、モンタンワックス、セシレンワッ
クス等の鉱物系天然ワックス、マイクロクリスタリンワ
ックス、パラフィンワックス等の石油系天然ワックス、
ポリエチレンワックス、脂肪酸、酸アミド、エステル、
ケトン等の合成ワックスが用いられる。また、例えば、
天然ワックスおよび合成ワックスを配合する等、上記ワ
ックスを併用して用いてもよいし、予め水中に分散され
たワックスであってもよい。

【００１３】本発明のエマルションインキには、さら
に、印刷濃度を高くするために、体質顔料を含有させて
もよい。体質顔料の配合量は、インキ全量に対して１〜
５０重量％とするのが好ましく、５〜２０重量％とする
のがより好ましい。該配合量が１重量％未満では印刷濃
度の向上、裏抜けおよび滲みに対する効果が小さいこと
が多い。逆に、該配合量が５０重量％超過では、印刷濃
度の向上、裏抜けおよび滲みに対する効果はあるが、孔
版印刷に不適な、すなわち、版の穿孔部からインキを吐
出させにくいインキとなる。

【００１４】本発明で用いる体質顔料としては、従来公
知のものが採用でき、水に不溶な微粒子であれば特に限
定はない。例えば、白土、タルク、クレー、ケイソウ
土、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アル
ミナホワイト、シリカ、カオリン、マイカ、水酸化アル
ミニウム等の無機微粒子、ポリアクリル酸エステル、ポ
リウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチ
レン、ポリシロキサン、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機微粒子またはこれら
の共重合体からなる微粒子が利用できる。

【００１５】本発明の油中水（Ｗ／Ｏ）型エマルション
インキは、通常、１０〜７０重量％の油相に、９０〜３
０重量％の水相を徐々に添加して乳化させることにより
製造することができる。

【００１６】本発明において、水相は、基本的に、水と
水不溶性着色剤とから構成される。水不溶性着色剤の平
均粒径は１０μｍ以下であり、３μｍ以下が好ましく、
最も好ましくは０．５μｍ以下である。平均粒径が１０
μｍを越えると油中水（Ｗ／Ｏ）型エマルションが崩壊
し易くなる。また水不溶性着色剤の添加量はエマルショ
ンインキ総量に対して１〜３０重量％が好ましく、２〜
１０重量％の範囲がより好ましい。

【００１７】水不溶性着色剤としては、各種色調の公知
の顔料や分散染料等が用いられるが、主溶媒である水と
の親和性が良好なものが好ましい。例えば、ファーネス
カーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラッ
ク、チャンネルブラック等のカーボンブラック類、コバ
ルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウ
ム、マンガン、ニッケル等からなる金属類、金属酸化物
及び硫化物、並びにベンガラ、黄土、群青、紺青等の無
機顔料、アゾ系、フタロシアニン系、染料系、縮合多環
系、ニトロ系、ニトロソ系、アルカリブルー、アニリン
ブラック等の有機顔料（例えばハンザイエロー、カーミ
ン６Ｂ、ジスアゾイエロー、シアニンブルー、フタロシ
アニンブルー、クロムファストレッド）、アゾ系、アン
トラキノン系、アゾメチン系、ニトロ系等の分散染料が
用いられる。

【００１８】本発明における水相中には、必要に応じて
水中油（Ｏ／Ｗ）型樹脂エマルションおよび／または水
溶性樹脂を含有させることができる。これらを水相に含
有させることにより、水不溶性着色剤の分散性と、用紙
等の被印刷体への水不溶性着色剤の固着性とを向上させ
ることができる。

【００１９】Ｏ／Ｗ型樹脂エマルションとしては、例え
ば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、ポリメタク
リル酸エステル、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸
エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩
化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化
ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタ
ン等の樹脂エマルションが用いられる。

【００２０】また、水溶性樹脂としては、例えば、ポリ
ビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニ
ルピロリドン、ポリエチレン−ポリビニルアルコール共
重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルエーテ
ル、ポリアクリルアミド、アラビアゴム、澱粉、水溶性
ポリウレタン等が用いられる。

【００２１】これらの水中油（Ｏ／Ｗ）型樹脂エマルシ
ョンおよび／または水溶性樹脂の添加量は、エマルショ
ンインキの総量に対して固形分換算で１〜２０重量％が
好ましく、２〜１０重量％の範囲がより好ましい。１重
量％未満では水相中の着色剤成分の分散性又は被印刷体
への固着性が十分得られず、また２０重量％を超えると
版作製後に長期放置した場合、版上の穿孔部分でインキ
が皮膜を作り、インキの通過を阻止することがあり、好
ましくない。

【００２２】さらに、水相成分には、水に対する水不溶
性着色剤の濡れ性や分散性等を改良するための分散剤と
して、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性
界面活性剤、非イオン界面活性剤、または高分子系、シ
リコーン系、フッ素系の界面活性剤、更には、特開平８
−３４９４４号公報に記載のような第３アミン化合物若
しくは特願平８−１７７５１８号に記載のような酸無水
物含有水溶性ポリマーを添加することが好ましい。

【００２３】なお、水相には、さらに、必要に応じて、
電解質、ｐＨ調整剤、湿潤剤、水蒸発抑制剤、凍結防止
剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤等の水溶性添加物を含
有させることができる。

【００２４】本発明における油相は、基本的に、不揮発
性溶剤又は難揮発性溶剤、揮発性溶剤、乳化剤などから
なる。

【００２５】不揮発性溶剤又は難揮発性溶剤としては、
モーターオイル、軽油、灯油、スピンドル油、マシン
油、流動パラフィン等の鉱物油系、オリーブ油、ナタネ
油、ヒマシ油、サラダ油、大豆油等の植物油が用いら
れ、また揮発性溶剤としては、公知の鉱物油系溶剤、植
物油系溶剤が用いられる。これらの使用割合（不揮発性
溶剤又は難揮発性溶剤／揮発性溶剤）は、油相と水相の
配合比率によって異なるが、重量比で５０〜９５／５〜
５０重量％の範囲が好ましい。

【００２６】乳化剤は、Ｗ／Ｏ型エマルションを構成す
るために用いられ、ＨＬＢ値が２〜１２の非イオン界面
活性剤が好ましく用いられる。例えば、ソルビタンモノ
ラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタン
モノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビ
タンモノイソステアレート等のソルビタン脂肪酸エステ
ル、グリセリルモノステアレート、デカグリセリルデカ
オレエート、ヘキサグリセリルペンタオレエート等の
（ポリ）グリセリン脂肪酸エステル、およびこれらの酸
化エチレン付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステ
ル、（ポリ）エチレングリコール脂肪酸エステル、高級
アルコール・脂肪酸・アルキルエーテル・アルキルフェ
ノール・（硬化）ヒマシ油の酸化エチレン付加物等が用
いられる。本発明の水相成分中には、水不溶性着色剤を
分散させるための界面活性剤やＯ／Ｗ型樹脂エマルショ
ンを構成するための界面活性剤が含まれている場合があ
り、これらの界面活性剤等との相互作用によってＷ／Ｏ
型エマルションが崩壊されないよう、乳化剤を適宜選択
することが好ましい。

【００２７】

【実施例】以下、本発明を、実施例により詳しく説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、例中の部は重量部を意味する。

【００２８】実施例１ 表１に示す配合により下記の方法でW/O型エマルション
インキを調製した。まず、イオン交換水、エチレングリ
コール、ファーネスカーボンブラックおよびポリビニル
ピロリドンを十分撹拌し、ボールミルで分散を行って水
相を調製した。次にワックスと＃４０モーターオイルを
加熱撹拌した後、日石５号ソルベント、ソルビタンモノ
オレエートを添加して再度撹拌して油相を調製した。こ
の油相中に前記水相を徐々に添加しながら撹拌機で乳化
を行い、油中水(W/O)型孔版印刷用エマルションインキ
を得た。

【００２９】実施例２〜５ 表１に示す配合とした以外は実施例１と同様にして油中
水(W/O)型孔版印刷用エマルションインキを得た。

【００３０】実施例６ 表１に示す配合により下記の方法でW/O型エマルション
インキを調製した。まず、イオン交換水、エチレングリ
コール、ファーネスカーボンブラックおよびポリビニル
ピロリドンを十分撹拌し、ボールミルで分散を行った。
これに水分散ポリエチレンワックスを加え再度撹拌し、
水相を調製した。次に、＃４０モーターオイル、日石５
号ソルベント、ソルビタンモノオレエートを添加し十分
撹拌して油相を調製した。この油相中に前記水相を徐々
に添加しながら撹拌機で乳化を行い、油中水(W/O)型孔
版印刷用エマルションインキを得た。

【００３１】実施例７ 表１に示す配合により下記の方法でW/O型エマルション
インキを調製した。まず、イオン交換水、エチレングリ
コール、ファーネスカーボンブラックおよびポリビニル
ピロリドンを十分撹拌し、ボールミルで分散を行った。
これに水分散ポリエチレンワックスを加え再度撹拌し、
水相を調製した。次に、ポリエチレンワックスと＃４０
モーターオイルを加熱撹拌した後、日石５号ソルベン
ト、ソルビタンモノオレエートを添加し再度撹拌して油
相を調製した。この油相中に前記水相を徐々に添加しな
がら撹拌機で乳化を行い、油中水(W/O)型孔版印刷用エ
マルションインキを得た。

【００３２】実施例８ 実施例１において調製したエマルションインキ１００部
に対し、体質顔料として炭酸カルシウム１０部を配合さ
せたインキを調製した。

【００３３】

【表１】

【００３４】比較例１ 表２に示す配合により下記の方法でW/O型エマルション
インキを調製した。まず、イオン交換水、エチレングリ
コール、ファーネスカーボンブラックおよびポリビニル
ピロリドンを十分撹拌し、ボールミルで分散を行い水相
を調製した。次に、＃４０モーターオイル、日石５号ソ
ルベント、ソルビタンモノオレエートを十分撹拌して油
相を調製した。この油相中に前記水相を徐々に添加しな
がら撹拌機で乳化を行い、油中水(W/O)型孔版印刷用エ
マルションインキを得た。

【００３５】比較例２ 比較例１において調製したエマルションインキ１００部
に対し、体質顔料として炭酸カルシウム１０部を配合さ
せたインキを調製した。

【００３６】

【表２】

【００３７】試験例 実施例１〜８および比較例１〜２で得られた油中水(W/
O)型孔版印刷用エマルションインキを用いて孔版印刷機
（リソグラフＳＲ７２００（登録商標）理想科学工業株
式会社製）により印刷を上質紙に行った。得られた印刷
物の印刷濃度、裏抜け、裏移り、滲みおよび耐擦れ性の
評価を以下の方法で行った。得られた結果を表３に示
す。

【００３８】（１）印刷濃度：印刷されたベタ部分の印
刷濃度をOD計（マクベス社製反射濃度計”ＲＤ９２
０”）で測定した。 （２）裏抜け：印刷されたベタ部分の裏面側の濃度をOD
計（同上）で測定した。 （３）裏移り：印刷物を１００枚重ね合わせ紙揃えを行
い、印刷面の裏側の汚れを目視で観察し、裏移りが無い
場合を○、裏移りが発生した場合を×で評価した。 （４）滲み：顕微鏡（８０倍）を用いてインキの付着し
た部分の滲み状態を観察し、滲みがほとんどない場合は
○、滲みが目立つ場合は×で評価した。 （５）耐擦れ性：紙揃えを行い印刷面に摩擦を加えた。
画像品質が変化しなかった場合を○、画像品質が劣化し
た場合を×で評価した。

【００３９】

【表３】

【００４０】表３から、実施例１〜８は、裏移りおよび
耐擦れ性の点で、比較例１〜２に比べて優れていること
がわかる。また、実施例８における印刷濃度は、実施例
１〜７および比較例１に比べて高く、比較例２よりも裏
移りおよび耐擦れ性の点で優れていることがわかる。

【００４１】

【発明の効果】本発明のＷ／Ｏ型エマルションインキ
は、その油相中および／または水相中にワックス成分を
含んでいるため、印刷後のインキの耐擦れ性に優れ、か
つ裏移りが抑制される。また、ワックス成分の配合量を
インキ全量に対して0.5〜１０重量％としたことから、
耐擦れ性および裏移り性に優れ、かつ、版上の穿孔部位
およびドラムメッシュでの目詰まりを発生することがな
い。さらに、ワックス成分の針入度が0.1〜５０[10^-1m
m]の範囲のものを採用することにより、耐擦れ性および
裏移り性の向上に大きな効果を与える。さらに該インキ
に体質顔料を含有させることにより、印刷濃度が高く、
しかも耐擦れ性に優れ、裏移りの少ない印刷物が得られ
る。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 油相および水相を有する油中水（Ｗ／
   Ｏ）型エマルションインキにおいて、前記水相中に水不
   溶性着色剤を含有し、しかも前記油相中および／または
   水相中にワックス成分を含有してなることを特徴とする
   孔版印刷用エマルションインキ。
2. 【請求項２】 前記ワックス成分をインキ全量に対して
   0.5〜１０重量％含有してなることを特徴とする請求項
   １に記載の孔版印刷用エマルションインキ。
3. 【請求項３】 前記ワックス成分は、２５℃における針
   入度が0.1〜５０[10^-1mm]の範囲のものである請求項１
   または２に記載の孔版印刷用エマルションインキ。
4. 【請求項４】 体質顔料を含有してなることを特徴とす
   る請求項１、２または３に記載の孔版印刷用エマルショ
   ンインキ。
5. 【請求項５】 前記体質顔料をインキ全量に対して１〜
   ５０重量％含有してなることを特徴とする請求項４に記
   載の孔版印刷用エマルションインキ。