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JPH10136977A - 組織付属器官様構造体を含む人工組織およびその製造方法 - Google Patents

組織付属器官様構造体を含む人工組織およびその製造方法

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Publication number
JPH10136977A
JPH10136977A JP8298661A JP29866196A JPH10136977A JP H10136977 A JPH10136977 A JP H10136977A JP 8298661 A JP8298661 A JP 8298661A JP 29866196 A JP29866196 A JP 29866196A JP H10136977 A JPH10136977 A JP H10136977A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tissue
cells
collagen
appendage
collagen gel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8298661A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidekazu Takahashi
秀和 高橋
Tomonori Kitano
友紀 北野
Takuya Ishibashi
石橋  卓也
Yoshihisa Kawamura
川村  良久
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP8298661A priority Critical patent/JPH10136977A/ja
Publication of JPH10136977A publication Critical patent/JPH10136977A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Prostheses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 医薬品、化粧品の薬効試験、安全性試験、ま
たは生体材料として利用するのに適した組織付属器官様
構造体を含む人工組織およびその製造方法の提供。 【解決手段】 収縮剤細胞を含むコラーゲンマトリック
ス層と、組織付属器官を構成する細胞を少なくとも1種
含むコラーゲンマトリックス層が、少なくとも2層重層
してなる支持体の一部に、組織付属器官様構造体を有
し、さらに、該支持体の少なくとも1方の表面上に上皮
細胞層を有することを特徴とする組織付属器官様構造体
を含む人工組織およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医薬品、化粧品の薬
効試験、安全性試験、または生体材料として利用するの
に適した組織付属器官様構造体を含む人工組織およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より医薬品、化粧品など人体に直
接、適用される物質については、その開発段階において
種々の薬効試験、薬理試験、安全性試験が行われてい
る。通常、これらの試験では、マウス、ラットなどを用
いた動物実験が行われているが、経費、時間、データの
信頼性などの問題に加え、最近では動物愛護の観点か
ら、動物実験の見直しが求められている。これを受け、
様々な動物実験代替法が開発されている。これらの方法
のうち、培養細胞を用いた細胞試験では、単層に培養し
た単一種類の細胞が用いられることが多い。しかし、体
内では単一種類の細胞が孤立して存在しているわけでは
なく、種々の細胞が相互に作用して、それぞれの細胞の
生存と機能保持を行っている。そこで、より生体に近い
結果を得るには、多種類の細胞の相互作用を重視し、細
胞の三次元配列をも考慮したモデル系を用いる必要があ
る。また、さらに高次な組織間の作用を検出する場合
は、複数の組織器官を含んだ、より高次な人工組織モデ
ル系を構築する必要がある。
【0003】また、臨床の場においては、創傷、熱傷の
被覆材として、また整形用移植器材として、人工材料を
用いた種々の人工組織の開発が行われ、適用されてき
た。しかし、これらは人工物であるがゆえ、生体適合性
や治癒後の形状等の点において問題が指摘されている。
これを受け、近年の細胞生物学の進歩に伴い、人工組織
作製のため積極的に細胞培養技術を応用しようとする試
みが行われつつある。
【0004】このような状況により、現在までに種々の
細胞培養技術を応用した人工組織や、その製造方法が開
発されてきた。例えば、人工皮膚を例に挙げると、繊維
芽細胞をコラーゲンゲル内で培養し、ゲルが収縮した後
に、そのゲルの上に表皮角化細胞を播種、培養したもの
(米国特許第4,485,096 号明細書)、やナイロンメッシ
ュに繊維芽細胞を播種、培養してメッシュ空孔が繊維芽
細胞の分泌物により埋まった時点でその上に表皮角化細
胞を播種、培養したもの(Slivka,S.R.,et al.J. Inves
t. Dermatol. 96:544A, 1991 )、あるいはコラーゲン
スポンジに繊維芽細胞を播種、培養した後、フィルム状
のコラーゲンスポンジを重ね、さらに表皮角化細胞を播
種、培養したもの(特開平6-292568号公報)などがあ
る。
【0005】一方、生体内において各種組織器官は、一
般的に種々の組織付属器官を伴っている。例えば、皮膚
は表皮層、真皮層を主な構成要素とするが、それ以外に
毛包や汗腺、皮脂腺といった皮膚器官を有している。し
かしながら、前記人工皮膚は繊維芽細胞と表皮角化細胞
の2種類の細胞によって構成されているため、真皮層及
び表皮層に類似した構造は認められるものの、毛包や汗
腺等の皮膚器官や毛細血管、筋肉、脂肪などの皮下組織
は存在せず、これら組織付属器官をも含めた人工組織を
構築するには至っていない。よって、このような人工組
織では組織付属器官を標的とした薬効性試験、安全性試
験を行うことはできず、また、移植材として適用しても
組織付属器官の再生は困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、かかる従
来の問題点を解消すべく組織付属器官様構造体を含む人
工組織及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討を行った結果、収縮剤細胞を含
むコラーゲンゲルと、組織付属器官を構成する細胞を少
なくとも1種含むコラーゲンゲルを少なくとも2層重層
し、培養した後、該コラーゲンゲル表面上に上皮細胞を
播種し、培養し、組織付属器官様構造体を形成させる方
法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は収縮剤細胞を含むコラ
ーゲンマトリックス層と、組織付属器官を構成する細胞
を少なくとも1種含むコラーゲンマトリックス層が、少
なくとも2層重層してなる支持体の一部に組織付属器官
様構造体を有し、さらに、該支持体の少なくとも1方の
表面上に上皮細胞層を有することを特徴とする組織付属
器官様構造体を含む人工組織である。
【0009】また、本発明は収縮剤細胞を含むコラーゲ
ンマトリックス層と、組織付属器官を構成する細胞を少
なくとも1種含むコラーゲンマトリックス層を少なくと
も2層重層し、培養した後、該重層したコラーゲンマト
ッリクス層の少なくとも1方の表面に上皮細胞を播種
し、培養し、組織付属器官様構造体を形成させることを
特徴とする組織付属器官様構造体を含む人工組織の製造
方法である。
【0010】
【発明の実施態様】本発明における組織付属器官とは、
本体となる組織に属した器官を指す。例えば、皮膚組織
については、毛包、皮脂腺、乳腺、汗腺、爪などの皮膚
器官や、皮下脂肪などの皮下組織がそれに当たる。さら
に、組織の維持に関わる毛細血管、末梢神経なども組織
付属器官に含まれる。また、組織付属器官を構成する細
胞とは、生体内で組織付属器官を構成している細胞を指
し、具体的には、毛乳頭細胞、皮脂腺細胞、乳腺細胞な
どであり、また血管内皮細胞もこれに含まれる。本発明
における組織付属器官様構造体とは、かかる組織付属器
官に形態的および/あるいは生化学的に類似した性質を
有する組織構造物を指す。該構造体は上記組織付属器官
を構成する細胞と上皮細胞との相互作用により、内因的
に形態変化、分化誘導が起こり、培養により成形したも
のである。
【0011】本発明おけるコラーゲンマトリックス層と
は、コラーゲン繊維の格子からなる細胞の支持体を意味
する。コラーゲンマトリックスは、ゲル状あるいはスポ
ンジ状の形状を有するが、本発明においてはコラーゲン
ゲルを用いることにより、細胞との混合、培養が好適に
行うことができる。
【0012】本発明における、収縮剤細胞とはコラーゲ
ンマトリックス中のコラーゲン繊維と結合し、その生長
によりコラーゲン繊維を再配列させ、かかる作用により
コラーゲンマトリクスを収縮させる性質を有する細胞で
ある。このような収縮剤細胞としては、例えば、繊維芽
細胞、平滑筋細胞、横紋筋細胞などが挙げられる。
【0013】本発明における上皮細胞とは、生体内にお
いて上皮組織を構成する細胞を指し、具体的には、表皮
角化細胞、食道上皮細胞、粘膜上皮細胞などが挙げられ
る。
【0014】本発明の人工組織は収縮剤細胞を含むコラ
ーゲンマトリックス層と、組織付属器官を構成する細胞
を少なくとも1種含むコラーゲンマトリックス層が、少
なくとも2層重層してなる支持体の一部に、組織付属器
官様構造体を有し、さらに、該支持体の少なくとの1方
の表面、好ましくは組織付属器官を構成する細胞を少な
くとも1種含むコラーゲンマトリックスの表面上に上皮
細胞層を有する。前者であるコラーゲンマトリックス層
には、収縮剤細胞が、好ましくは0.1〜10×107
個/cmの濃度で含まれる。また、その形状は、100
〜1000μm程度の厚さを有する平板状の形態を示
す。後者であるコラーゲンマトリックス層には、組織付
属器官を構成する細胞が少なくとも1種、好ましくは
0.1〜10×107 個/cmの濃度で含まれる。ま
た、その形状は、10〜100μm程度の厚さを有する
平板状の形態を示す。
【0015】本発明において、組織付属器官様構造体は
少なくとも2層重層してなる支持体の一部に存在する。
少なくとも2層重層してなる支持体の一部とは、該支持
体の組織付属器官を構成する細胞を少なくとも1種含む
コラーゲンマトリックス層中または収縮剤細胞を含むコ
ラーゲンマトリックス層と組織付属器官を構成する細胞
を少なくとも1種含むコラーゲンマトリックス層の界面
部分に位置する部位を指す。このような状態に位置する
組織付属器官様構造体は、好ましくは1〜50個/cm
2 の密度で存在する。
【0016】本発明において、上皮細胞層は該支持体の
少なくとの1方の表面、好ましくは組織付属器官を構成
する細胞を少なくとも1種含むコラーゲンマトリックス
の表面上に存在する。
【0017】本発明における製法は、収縮剤細胞を含む
コラーゲンマトリックス層と、組織付属器官を構成する
細胞を少なくとも1種含むコラーゲンマトリックス層を
少なくとも2層重層し、培養した後、該重層したコラー
ゲンマトリックス層の少なくとも1方の表面に上皮細胞
を播種し、培養し、組織付属器官様構造体を形成させる
ことを特徴とする組織付属器官様構造体を含む人工組織
の製造方法である。本発明における組織付属器官様構造
体を含む人工組織は、具体的には、例えば以下の方法に
よっても得られる。すなわち、 a.少なくとも1種の収縮剤細胞を含む第1細胞群、コ
ラーゲン溶液および栄養培地を混合し、これを鋳型容器
中でゲル化させることにより、第1コラーゲンゲル層を
形成させ、 b.組織付属器官を構成する細胞を少なくとも1種含む
第2細胞群、コラーゲン溶液および栄養培地を混合し、
ゲル化した該第1コラーゲンゲル上に重層し、ゲル化さ
せることにより、第2コラーゲンゲル層を形成させ、 c.該工程aと該工程bを少なくとも1回以上繰り返す
ことにより、多層状のコラーゲンゲルを作製し、 d.該収縮剤細胞が該多層状のコラーゲンゲルを収縮せ
しめるに充分な条件下に維持させ、 e.該収縮したコラーゲンゲル層の少なくとも1方の表
面に上皮細胞を播種し、 f.該収縮したコラーゲンゲルに含まれた細胞群と該上
皮細胞との生長により、組織付属器官様構造体を形成す
るに充分な条件下に維持する、ことにより得る。
【0018】第1細胞群には、収縮剤細胞以外に、必要
により、各種動物細胞を含んでも構わない。これら本発
明に用いられる細胞は、動物から適当な組織を摘出し、
これを源に培地中で培養を行うことによって得る。起源
とする動物としては、特に限定しないが、ヒトあるいは
ラット等が挙げられる。また、これら細胞を、商業的に
販売されている製品として得ても良い。
【0019】本発明におけるコラーゲン溶液とは、コラ
ーゲン分子が分散あるいは溶解している酸性の水溶液で
ある。コラーゲン溶液の調製方法としては、例えば動物
の腱や尾などを源として酸性条件下で抽出操作を行うこ
とにより調製される。コラーゲン溶液中のコラーゲンの
濃度は、好ましくは0.3〜3mg/mlに調整する。
また、このコラーゲン溶液は商業的に販売されている製
品として得ても良い。また、本発明における栄養培地と
は、細胞の維持に必要な培地成分を有し、かつコラーゲ
ン溶液のpHをゲル化させるに充分な量まで上昇せしめ
る塩基を含むものである。例えば、適当なpHを有する
基礎培地などが挙げられる。また、必要であればこれに
血清成分を加える。
【0020】これら各要素(少なくとも1種の収縮剤細
胞を含む第1細胞群、コラーゲン溶液および栄養培地)
を良く混合し、鋳型容器中にてゲル化させる。各要素の
混合は、コラーゲンがゲル化する前に素早く行うことが
好ましい。ゲル化に用いる鋳型容器としては特に限定し
ないが、平坦な底面を有する円筒形や角形の容器を用い
ることができる。また、細胞への栄養分の供給などの見
地から、底面は多孔性の基材である方が好ましい。この
混合溶液をゲル化させる方法としては、例えばコラーゲ
ン溶液に栄養培地を加えてpHを上げ、さらに10〜4
0℃、より好ましくは20〜37℃で保温し、この状態
でしばらく静置する。この条件において、コラーゲン分
子は会合し、コラーゲン繊維が形成され、ゼリー状のゲ
ルができる。これにより、第1コラーゲンゲル層を形成
させる。
【0021】第2細胞群に含まれる細胞としては、生体
において付属器官を構成する細胞、例えば毛乳頭細胞、
内皮細胞、乳腺細胞、神経細胞などから選択する。ま
た、必要であれば、適宜、その他の細胞を含んでも構わ
ない。これら第2細胞群を他の要素(コラーゲン溶液お
よび栄養培地)と良く混合した後、ゲル化した第1コラ
ーゲンゲル層の上に重層し、これをゲル化させる。ま
た、必要であれば、さらにコラーゲンゲルを重層する。
【0022】かかる工程により得られた多層状のコラー
ゲンゲルを、適当な条件下で培養すると、収縮剤細胞の
作用により、コラーゲン繊維の再配列が起き、水溶液が
圧出され、コラーゲンゲルが収縮する。コラーゲンゲル
を培養する方法としては、例えば10%牛血清含有ダル
ベッコ変法イーグル培地にて培養を行う。この条件で、
数時間の内に収縮が始まり、時間が経るごとに収縮が増
す。こうして約3〜20日間、好ましくは5〜7日間培
養することにより、コラーゲン繊維が密に集積し、三次
元的に細胞が封入されたコラーゲンマトリックスが形成
される。こうして収縮したコラーゲンゲルが形成され
る。
【0023】収縮したコラーゲンゲル層の少なくとの1
方の表面、好ましくは組織付属器官を構成する細胞を少
なくとも1種含むコラーゲンゲルマトリックスに上皮細
胞を播種する方法としては、特に限定しないが、細胞懸
濁液を直接、収縮したコラーゲンゲル表面上にのせ、細
胞がかかるゲル上で伸展するまで静置することにより行
う。これを適当な条件下に維持、培養すると、コラーゲ
ンゲルに含まれる細胞群と上皮細胞との相互作用によ
り、内因的に形態変化、分化誘導が起こり、組織付属器
官様構造体が形成される。これは、発生学的な器官形成
と類似した作用によるものと考えられる。該構造物を形
成させる培養条件としては、使用した細胞に応じて適
宜、選択する必要があるが、収縮したコラーゲンゲル表
面上の上皮細胞を空気中で露出させた状態で培養するエ
アーリキッドインターフェイス培養法などがあげられ
る。
【0024】本発明方法により、例えば、第1コラーゲ
ンゲル層に繊維芽細胞を、第2コラーゲンゲル層に毛乳
頭細胞を封入し、上皮細胞として表皮角化細胞を播種
し、培養した場合、毛包様の構造体および/あるいは毛
幹様の構造体を含んだ培養皮膚モデルが作製される。
【0025】
【実施例】次に、本発明を具体的に実施例にて説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。参考例1 コラーゲンゲル層の作製 オルガノジェネシス社から購入したヒト繊維芽細胞を1
0%牛血清含有ダルベッコ変法イーグル培地(DME
M)にて培養し、コンフレントに達した後、同培地にて
細胞を回収し、繊維芽細胞懸濁液を得た。毛乳頭細胞
は、実体顕微鏡下でラット頬髭毛包より毛乳頭を分離
し、コラーゲンでコート処理した35mmプラスチック
シャーレ(コーニング社製)を用い、10%牛血清含有
DMEM培地にて培養を行し、遊走した毛乳頭細胞がコ
ンフレントに達したところで継代した。実験には、7〜
8継代目のものを用いて行い、同培地にて細胞を回収
し、毛乳頭細胞懸濁液を得た。
【0026】コラーゲンゲル層の作製方法はベルらの方
法(Bell,E., et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 76,12
74-,1979)に準じて行った。すなわち、4℃にて9容量
のコラーゲン溶液(オルガノジェネシス社製)に1容量
の10倍濃度のイーグル最小必須培地(EMEM、ギブ
コ社製)を加え、重曹をpHが中性付近になるまで攪拌
しながら加えた。さらに10%量の牛血清を加えた後、
上記繊維芽細胞懸濁液を、最終細胞濃度が2.5×10
4 個/mlになるようゆっくり加え、良く攪拌した。か
かる混合溶液を6穴プレートに入ったトランスウェル
(コースター社製)の内側に3mlずつ加え、室温にて
15分間静置し、ゲル化させ繊維芽細胞を含む第1コラ
ーゲンゲル層を作製した。続いて、4℃にて9容量の氷
冷したコラーゲン溶液(オルガノジェネシス社製)に1
容量の10倍濃度のEMEM(ギブコ社製)を加え、重
曹をpHが中性付近になるまで攪拌しながら加えた。さ
らに10%量の牛血清を加えた後、上記毛乳頭細胞懸濁
液を、最終細胞濃度が0.5〜1×105 個/mlにな
るようゆっくり加え、良く攪拌した。これをゲル化した
第1コラーゲンゲル層の上に0.5ml重層し、さらに
15分以上室温にて静置させることによりゲル化させ、
毛乳頭細胞を含む第2コラーゲンゲル層を作製した。か
かる多層状のコラーゲンゲルに10%牛血清含有DME
M培地を静かに添加し、37℃、10%CO2 下で5〜
7日間培養し、コラーゲンゲルを収縮させた。
【0027】実施例1 組織付属器官様構造体を含む人
工組織の作製 表皮角化細胞の播種および培養はベルらの方法(Parent
eau,N.L., et al., J.Cellular Biochem., 45,245-,199
1 )に準じて行った。すなわち、オルガノジェネシス社
から購入したヒト表皮角化細胞をCa無添加DMEM:
ハムF12培地=3:1を基礎とするエピダーマリゼー
ション(Epidemalization) 用培地(東洋紡製)に懸濁
し、培地を抜き去ったコラーゲンゲルの表面に、前記表
皮角化細胞懸濁液を、該細胞が0.5〜1×105 個/
cm2 になるように添加した。次いで、同培地を静かに
添加し、37℃、10%CO2 下で3〜5日間培養し、
表皮角化細胞を充分伸展させた。次に、Ca無添加DM
EM:ハムF12培地=1:1を基礎とする維持(Maint
enance) 用培地(東洋紡製)を、第1コラーゲンゲル層
および第2コラーゲンゲル層(真皮層)が培養液下で、
かつ第2コラーゲンゲル層上の表皮角化細胞が空気中に
出るように添加し、37℃、10%CO2 下で10〜1
5日間培養して、組織付属器官様構造体を含む人工組織
を作製した。
【0028】実施例2 組織付属器官様構造体の確認 実施例1にて得られた人工組織をホルマリン固定し、切
片作製後、HE染色を行った。得られた組織切片像を図
1および図3に示す。図1では組織付属器官様構造体と
して、毛乳頭細胞が毛包様細胞塊に成長し、毛包状の球
状塊を形成し、皮膚に非常によく似た構造を持つ培養物
が得られた。図2は図1中の組織を説明する模式図であ
る。図3では第2コラーゲンゲル(真皮層)部に細胞が
表皮層部に組織付属器官様構造体として、毛乳頭細胞が
成長した毛幹様の角化した領域があるのが確認された。
図4は図3中の組織を説明する模式図である。
【0029】
【発明の効果】本発明は、生体組織と形態的におよび/
あるいは生化学的に類似した組織付属器官様構造体を含
む人工組織を提供することができる。よって、これを動
物実験代替のモデル系として利用することにより、より
生体に近いかたちで、薬効試験や安全性試験を行うこと
ができる。さらに、移植用の生体材料としても用いるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】毛包様構造体を含む人工皮膚のHE染色像を示
した図面に代わる写真である。
【図2】図1中の組織を説明する模式図である。
【図3】毛幹様の構造体を含む人工皮膚のHE染色像を
示した図面に代わる写真である。
【図4】図2中の組織を説明する模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川村 良久 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社敦賀バイオ研究所内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 収縮剤細胞を含むコラーゲンマトリック
    ス層と、組織付属器官を構成する細胞を少なくとも1種
    含むコラーゲンマトリックス層が、少なくとも2層重層
    してなる支持体の一部に組織付属器官様構造体を有し、
    さらに、該支持体の少なくとも1方の表面上に上皮細胞
    層を有することを特徴とする組織付属器官様構造体を含
    む人工組織。
  2. 【請求項2】 コラーゲンマトリックス層がコラーゲン
    ゲル層である請求項1記載の組織付属器官様構造体を含
    む人工組織。
  3. 【請求項3】 収縮剤細胞が繊維芽細胞であり、かつ上
    皮細胞が表皮角化細胞である請求項1記載の組織付属器
    官様構造体を含む人工組織。
  4. 【請求項4】 組織付属器官様構造物が皮膚付属器官様
    構造物である請求項1項記載の組織付属器官様構造体を
    含む人工組織。
  5. 【請求項5】 組織付属器官を構成する細胞が毛乳頭細
    胞である請求項1項記載の組織付属器官様構造体を含む
    人工組織。
  6. 【請求項6】 組織付属器官様構造物が毛包様構造物で
    ある請求項1項記載の組織付属器官様構造体を含む人工
    組織。
  7. 【請求項7】 繊維芽細胞を含むコラーゲンゲル層と、
    毛乳頭細胞を含むコラーゲンゲル層が、少なくとも2層
    重層してなる支持体からなり、該支持体中の毛乳頭細胞
    を含むコラーゲンゲル層中または収縮剤細胞を含むコラ
    ーゲンゲル層と毛乳頭細胞を含むコラーゲンゲル層の界
    面部分に、毛包様構造物を有し、さらに、上記毛乳頭細
    胞を含むコラーゲンゲル層表面上に表皮角化細胞層を有
    する組織付属器官様構造体を含む人工組織。
  8. 【請求項8】 収縮剤細胞を含むコラーゲンマトリック
    ス層と、組織付属器官を構成する細胞を少なくとも1種
    含むコラーゲンマトリックス層を少なくとも2層重層
    し、培養した後、該重層したコラーゲンマトッリクス層
    の少なくとも1方の表面に上皮細胞を播種し、培養し、
    組織付属器官様構造体を形成させることを特徴とする組
    織付属器官様構造体を含む人工組織の製造方法。
  9. 【請求項9】 コラーゲンマトリックス層がコラーゲン
    ゲル層である請求項8記載の組織付属器官様構造体を含
    む人工組織の製造方法。
  10. 【請求項10】 収縮剤細胞が繊維芽細胞であり、かつ
    上皮細胞が表皮角化細胞である請求項8記載の組織付属
    器官様構造体を含む人工組織の製造方法。
  11. 【請求項11】 形成される組織付属器官様構造物が皮
    膚付属器官様構造物である請求項8記載の組織付属器官
    様構造体を含む人工組織の製造方法。
  12. 【請求項12】 組織付属器官を構成する細胞が毛乳頭
    細胞である請求項8の組織付属器官様構造体を含む人工
    組織の製造方法。
  13. 【請求項13】 形成される組織付属器官様構造物が毛
    包様構造物である請求項8記載の組織付属器官様構造体
    を含む人工組織の製造方法。
  14. 【請求項14】 下記工程からなる組織付属器官様構造
    体を含む人工組織の製造方法。 a.少なくとも1種の収縮剤細胞を含む第1細胞群、コ
    ラーゲン溶液および栄養培地を混合し、これを鋳型容器
    中でゲル化させることにより、第1コラーゲンゲル層を
    形成させ、 b.組織付属器官を構成する細胞を少なくとも1種含む
    第2細胞群、コラーゲン溶液および栄養培地を混合し、
    ゲル化した該第1コラーゲンゲル層の上に重層し、ゲル
    化させることにより、第2コラーゲンゲル層を形成さ
    せ、 c.該工程aと該工程bを少なくとも1回以上繰り返す
    ことにより、多層状のコラーゲンゲルを作製し、 d.該収縮剤細胞が該多層状のコラーゲンゲルを収縮せ
    しめるに充分な条件下に維持させ、 e.該収縮したコラーゲンゲル層の少なくとも1方の表
    面に上皮細胞を播種し、 f.該収縮したコラーゲンゲルに含まれた細胞群と該上
    皮細胞との生長により、組織付属器官様構造体を形成す
    るに充分な条件下に維持する。
JP8298661A 1996-11-11 1996-11-11 組織付属器官様構造体を含む人工組織およびその製造方法 Pending JPH10136977A (ja)

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