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JPH0995519A - 不飽和ポリエステル樹脂の成形方法 - Google Patents

不飽和ポリエステル樹脂の成形方法

Info

Publication number
JPH0995519A
JPH0995519A JP27660895A JP27660895A JPH0995519A JP H0995519 A JPH0995519 A JP H0995519A JP 27660895 A JP27660895 A JP 27660895A JP 27660895 A JP27660895 A JP 27660895A JP H0995519 A JPH0995519 A JP H0995519A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester resin
unsaturated polyester
molding
smc
pressure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP27660895A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Nagase
敏夫 永瀬
Atsushi Tsukamoto
淳 塚本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP27660895A priority Critical patent/JPH0995519A/ja
Publication of JPH0995519A publication Critical patent/JPH0995519A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短時間で作製が可能で、かつ貯蔵安定性が良
好である上、離型フィルムの剥離性の良い不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物からなるSMCにより、低温かつ低圧
下で簡便に安定な品質の成形品が得られる成形方法を提
供すること。 【解決手段】 熱可塑性樹脂粉末を有効成分とする不飽
和ポリエステル樹脂組成物からなるSMCを第一の成形
型内面に敷設し、その上に弾性素材からなるバッグを置
き、次いで第二の成形型又は耐圧板を被ってから該バッ
グを、40〜100℃の空気で0.1〜10kgf/c
2 (ゲージ圧)に加圧する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物の新規な成形方法に関する。さらに詳しく
は、本発明は、短時間で増粘して得られるシートモール
ディングコンパウンド(以下、SMCと略記する。)を
用いる低温低圧で行う成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、不飽和ポリエステル樹脂をベース
にしたSMCは、強化プラスチック加工業界において、
省力化や量産化、あるいは作業環境の改善などの要求を
取り入れた機械成形用の新しい工業材料として、着実に
その需要を伸ばしてきた。SMCは、一般に、不飽和ポ
リエステル樹脂、液状重合性単量体、硬化剤、無機充填
剤、離型剤、難燃剤、顔料などを混合した液状分散体
に、増粘剤(シート化剤)としてアルカリ土類金属の酸
化物や水酸化物を添加し、さらに靭性付与のために、該
液状分散体100重量部当たり、ガラス繊維等の補強材
20〜50重量部程度を含有させた組成物を、離型フィ
ルムでサンドウィッチして経時増粘させてシート状にし
たものをいう。このシートは、さらに成形現場に移動さ
れ、金型内に通常積層して敷設し、加熱成形されて最終
形状の成形品となる。この際、成形は通常100〜18
0℃、30〜100kgf/cm2 (ゲージ圧)の高
温、高圧の条件でプレスして行われる。硬化して得られ
る成形品は約7〜10%の容積収縮をきたすので、その
改良法として熱可塑性樹脂を低収縮化剤として添加する
ことが行われている(特公昭46−14541号公報、
特開平6−32809号公報など)。こうして成形技術
が改善され、不飽和ポリエステル樹脂は一層用いられる
ようになったものの、高圧に耐える金型が高価であり、
また高温、高圧の諸設備も制約となって少量製品又は大
型製品に広く適用することができずにいた。
【0003】このため、低温(40〜100℃)及び/
又は低圧(0.1〜10kgf/cm2 )で成形加工で
きる不飽和ポリエステル樹脂の成形方法が検討された。
例えば、低温で成形する場合には低温分解型の硬化剤を
採用し、また、低圧で成形する場合には、充填剤や難燃
剤として配合する金属酸化物や無機水酸化物の添加量、
あるいは補強材として使用するガラス繊維の混入率を低
減させるなどの配合調整を行って、SMCの加熱時の粘
度を下げる工夫がされた。しかしながら、前記の低温成
形が可能なSMCを作製するために使用する低温分解型
硬化剤が、SMCを作製しやすいように増粘剤として添
加されるアルカリ土類金属の酸化物などと反応して硬化
を促進するので、短期間にプレス成形まで実施するか、
又は成形する時までSMCを低温で貯蔵する必要があっ
た。このような問題を解決するために、アルカリ土類金
属の酸化物などを減量しようとすると、下記に記す種々
の問題が生じる。すなわち、例えば低圧成形する場合
に、不飽和ポリエステル樹脂組成物を低圧で流れるよう
にアルカリ土類金属の酸化物などを減量させる必要があ
るが、その場合にはSMCの粘度上昇が不十分となるの
で、SMCシートをサンドウィッチしている離型フィル
ムが剥離しにくいという問題が生ずる。そのため離型フ
ィルムの付いた状態で成形し、成形後に離型フィルムを
除去するという煩雑な操作が必要となる。しかも離型フ
ィルムつきでの成形であることから複数のSMCシート
を積層して厚ものを成形することは困難である。また、
少量であってもアルカリ土類金属酸化物が存在すると、
硬化剤との反応が室温で徐々に進行し続けるため、SM
Cの貯蔵安定性は悪く、使用期間が制限されることを免
れなかった。また、同様に粘度低下の目的でガラス繊維
の混入量を低減させようとすると、得られる成形品の強
度が下がるという問題が生じる。
【0004】不飽和ポリエステル樹脂の低温下又は/及
び低圧下の成形方法としてはハンドレイアップ法、スプ
レーアップ法等の安価な型材を使用する方法があるが、
これらは成形品の品質が作業者の技量に依存する不安定
さがある上、重合性単量体の蒸気やガラス繊維の微粉が
立ち込める作業環境の悪さがあるので安定大量生産には
向かない。また、従来からの不飽和ポリエステル樹脂を
使用した加圧バッグ成形の方法では、バッグの素材から
の制約上、数kgf/cm2 (ゲージ圧)以下の低い圧
力しかかけられないので、液状の不飽和ポリエステル樹
脂組成物を使用しなければ成形できなかった。そのため
有機液体からの蒸気が漂って作業環境が劣悪になり、改
善の方法の出現が待たれていた。近年、不飽和ポリエス
テル樹脂組成物が出現したので、SMCを用いる中低圧
での型成形が可能になり、高品質、高生産性を追求でき
るようになった。しかし、上型(第一の型)及び下型
(第二の型)を揃えるプレス成形機は設備費が高いとい
う問題を有しており、簡便な加圧成形方法の開発が望ま
れていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、短時間で作製が可能でかつ貯蔵安定性が
良好である上、離型フィルムの剥離性の良いSMCを用
いて、低温及び低圧で行うことのできる不飽和ポリエス
テル樹脂の成形方法を提供することを目的としてなされ
たものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、低温、低
圧での不飽和ポリエステル樹脂の成形方法を開発すべく
鋭意研究を重ねた結果、従来増粘剤として慣用されてき
たアルカリ土類金属の酸化物などの代わりに、良好な加
工粘度を形成しうる組成及び粒子径をもつ特定の熱可塑
性樹脂の微粉末を用い、このものと液状重合性単量体及
び硬化剤を、不飽和ポリエステル樹脂に配合してなる特
定の粘度挙動を有する組成物は、低温及び低圧での流動
性、成形性に優れ、これが加圧バッグでプレス可能であ
ることを見い出し、この知見に基づいて本発明を完成す
るに至った。すなわち、本発明は、(1)(A)不飽和
ポリエステル樹脂、(B)熱可塑性樹脂粉末を有効成分
とする増粘剤、(C)液状重合性単量体、(D)硬化剤
及び(E)補強材を含有する不飽和ポリエステル樹脂組
成物からなるシートモールディングコンパウンドを第一
の成形型の内側に敷設し、次いで弾性素材からなるバッ
グを置き、第二の成形型又は耐圧板で被ってから該バッ
グを40〜100℃の流体で0.1〜10kgf/cm
2 (ゲージ圧)に加圧することを特徴とする不飽和ポリ
エステル樹脂の成形方法、及び、(2)(A)不飽和ポ
リエステル樹脂、(B)熱可塑性樹脂粉末を有効成分と
する増粘剤、(C)液状重合性単量体、(D)硬化剤及
び(E)補強材を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成
物からなるシートモールディングコンパウンドを第一の
成形型の内側に敷設し、次いで弾性素材からなるシート
を置き、第二の成形型又は耐圧板で被ってから該シート
と該第二の成形型又は耐圧板とで形成される空間を40
〜100℃の流体で0.1〜10kgf/cm2 (ゲー
ジ圧)に加圧することを特徴とする不飽和ポリエステル
樹脂の成形方法、を提供するものである。
【0007】本発明に使用する組成物において、(A)
成分として用いられる不飽和ポリエステル樹脂について
は特に制限はなく、従来一般の不飽和ポリエステル樹脂
成形品に慣用されている公知の不飽和ポリエステル樹脂
を使用することができる。この不飽和ポリエステル樹脂
は、α,β−不飽和カルボン酸類又は場合により飽和カ
ルボン酸を含むα,β−不飽和カルボン酸類とアルコー
ルとから得られたものである。α,β−不飽和カルボン
酸類としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マ
レイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ク
ロロマレイン酸、あるいはこれらのジメチルエステル類
などが挙げられる。これらのα,β−不飽和カルボン酸
類はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合
わせて用いてもよい。また、飽和カルボン酸としては、
例えば、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレ
フタル酸、ヘット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、アジ
ピン酸、セバチン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
これらの飽和カルボン酸はそれぞれ単独で用いてもよい
し、2種以上を組み合わせて用いてもよい。一方、アル
コールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレン
グリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタン
ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ペンタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサン
ジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリ
メチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリンモノア
リルエーテル、水素化ビスフェノールA、2,2−ビス
(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン
などのジオール類、トリメチロールプロパンなどのトリ
オール類、ペンタエリスリトールなどのテトラオール類
などが挙げられる。これらのアルコールはそれぞれ単独
で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0008】従来、SMCを作製するための増粘剤とし
て慣用しているアルカリ土類金属の酸化物などを使用す
る場合には、(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂の分
子量は約2,500以上である必要があった。しかし本
発明においては、熱可塑性樹脂粉末を有効成分とする増
粘剤を用いることにより、1,000〜2,500の分
子量の不飽和ポリエステル樹脂でも十分高粘度化できる
のでSMCにすることが可能である。この場合、SMC
シートの加熱成形時の流動性が特に優れ、低圧での成形
が可能となる。
【0009】本発明においては、(A)成分の不飽和ポ
リエステル樹脂は、場合により、耐薬品性改善などのた
めにエポキシアクリレート樹脂で、あるいはインサート
加工などでの接着性改善などのためにウレタンアクリレ
ート樹脂の一部を置換することができる。このような目
的で使用するエポキシアクリレート樹脂としては、例え
ば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノール
F型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、
ノボラック型エポキシ樹脂などにアクリル酸やメタクリ
ル酸を付加させたものを挙げることができる。また、ウ
レタンアクリレート樹脂としては、例えば、特公昭55
−30527号公報、特公昭60−26132号公報及
び特公昭60−26133号公報に開示されたエチレン
グリコールの両端にトリレンジイソシアネートを付加さ
せ、さらに2−ヒドロキシエチルメタクリレートを両末
端に付加させたものなどが挙げられる。通常、上記不飽
和ポリエステル樹脂は、(C)成分の液状重合性単量体
に溶解した状態で使用される。
【0010】本発明において(B)成分として用いられ
る熱可塑性樹脂粉末を有効成分とする増粘剤は、アクリ
ル酸エステル、メタクリル酸エステル及び芳香族ビニル
化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体
単位を50重量%以上含有する樹脂粉末が好ましい。こ
の含有量が50重量%未満では、本発明の目的が十分に
達せられないおそれがある。上記アクリル酸エステルと
しては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレ
ート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリ
レート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレ
ート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリ
レート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルア
クリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オ
クチルアクリレートなどが挙げられ、メタクリル酸エス
テルとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリ
レート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメ
タクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシ
ルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2
−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタク
リレートなどが挙げられる。これらの中で、エチルアク
リレートやメチルメタクリレートが好適である。また、
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルス
チレン、ジビニルベンゼン及びこれらの単量体のベンゼ
ン核に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基な
どが置換された単量体、例えば、ビニルトルエンやイソ
ブチルスチレンなどが挙げられる。これらの中ではスチ
レンが好適である。前記単量体は1種用いてもよいし、
2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】次に、この(B)成分の樹脂粉末は、50
重量%未満の割合で共重合可能な他の単量体単位を含有
していてもよく、共重合可能な他の単量体としては、例
えば、アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシ
アン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ミ
リスチン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニル
などのビニルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、
2−エチルプロペン酸、クロトン酸、桂皮酸などの不飽
和モノカルボン酸類;マレイン酸、イタコン酸、フマル
酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸などの不飽和ポリ
カルボン酸類;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ
エチル、イタコン酸モノブチルなどの不飽和ポリカルボ
ン酸のモノエステル類;ブタジエン、イソプレン、1,
3−ペンタジエン、シクロペンタジエンなどの共役ジエ
ン系化合物;1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジ
エン、エチリデンノルボルネンなどの非共役ジエン系化
合物などが挙げられる。さらに、該樹脂を増粘剤として
使用する際の溶解性の調整を行うために、該樹脂を構成
する重合体を適当に架橋してもよい。この架橋により増
粘性の調整も可能である。この架橋のための単量体とし
ては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポ
キシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−アミノ
エチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メ
タ)アクリレート、2−アミノブチル(メタ)アクリレ
ート、(メタ)アクリルアミド、N−2−アミノエチル
(メタ)アクリルアミド、N−2−アミノプロピル(メ
タ)アクリルアミド、N−3−アミノプロピル(メタ)
アクリルアミド、エチレン基数が1〜14のポリエチレ
ングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパ
ントリメタクリレート、トリアリルトリメリテート、ジ
アリルフタレート、アリルグリシジルエーテル、トリア
リルイソシアヌレートなど単量体が挙げられる。上記記
共重合可能な他の単量体は1種用いてもよいし、2種以
上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明に使用す
る不飽和ポリエステル樹脂組成物の増粘性を制御する目
的で、樹脂粒子表面の重合体間をイオン架橋してもよ
い。イオン架橋は、例えば、カルボキシル基を含有する
重合体を表面に持つ樹脂粒子に金属カチオンを添加して
カルボキシル基間を架橋するものである。イオン架橋は
溶媒の樹脂粒子への浸透を抑える作用がある一方で、共
有結合による架橋構造とは異なり、高温では分子運動の
増大により解離するので成形加工時は何らの架橋も存在
しない重合体の挙動をとらせることが可能である。
【0012】この(B)成分の樹脂粉末はSMC作製用
増粘剤として使用されるもので、液状重合性単量体
(C)成分との混合により(C)成分を吸収膨潤して、
不飽和ポリエステル樹脂組成物を、50℃以下の所定の
温度内で制御された良好な加工粘度を呈するようにする
ものである。そのためには前述の好適な組成の選択に加
えて、適正な粒子径と粒子形状及び表面状態を有するこ
とが好ましい。粒子径については、平均単一粒子径が
0.2〜40μmの範囲にあることが好ましい。平均単
一粒子径が0.2μm未満では微細すぎて(C)成分で
ある液状重合性単量体の室温での吸収速度が速く、粘度
が短時間で高くなりすぎてガラス繊維などを混合しにく
くなる。また、平均単一粒子径が40μmを越えると、
粒子の比表面積が小さくなるので十分な増粘性を得るの
に必要な量が過大になって成形品の強度を低下させる虞
がある。ガラス繊維などの補強材を、例えば(A)成分
100重量部当たり30重量部以上配合するには、粘度
を一定時間低く保たなければ補強材を均一に入れられな
くなる。一方、補強剤を混合した後はSMCに適した粘
度へ上昇せしめる必要がある。このような場合、補強材
添加前は例えば、約50μmの大きい樹脂粉末を主体に
用い、補強材添加後は0.2〜5μm程度の小さな粒子
径の樹脂粉末を添加する等の操作が可能であるが、粒子
径の選定はそれらの重量基準の平均粒子径が1〜40μ
mにおさまるようにすることが好ましい。また、樹脂粉
末の形状は球形が好ましい。不規則形状のものを配合す
ると粘度が高くなり過ぎるので少量しか添加できず、少
量では粘着性があって疑似硬化現象を呈さないので、S
MCにした場合の離型フィルムの剥離性が低下する。粒
子の表面状態は平滑なものが、同様に粘度管理の関係で
も望ましい。表面に付着した重合副資材の界面活性剤や
分散剤の種類や量によっても、増粘効果が左右されるこ
とがある。
【0013】熱可塑性樹脂粉末(B)が備えるべき液状
重合性単量体の吸収膨潤性の度合は、不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物が特定の粘度及び貯蔵安定性を呈する程度
が好ましい。すなわち、本発明に使用される組成物は、
調製後40℃にて24時間経過した時点での粘度(25
℃で測定)が100万〜5,000万cpsであること
が好ましい。この範囲を逸脱するとSMCを作製するの
が困難となる。また、組成物調整時の粘度測定後30℃
にて30日間経過した時点での粘度(25℃で測定)
が、前記24時間経過した時点での粘度の5倍以下であ
ることが好ましい。5倍を超えると、SMC化したシー
トの貯蔵安定性が悪化し、柔軟性が低下して、経時後の
取り扱いや成形が困難となる。熱可塑性樹脂粉末(B)
が液状重合性単量体を吸収するだけで膨潤しないもの、
又は膨潤の度合いが小さいものであっては、組成物の粘
度は低くなって上記の特定の数値を示さないので好まし
くない。
【0014】この(B)成分の樹脂粉末は、重量平均重
合度が1,000〜150,000の範囲にあることが
望ましい。重量平均重合度が上記範囲を逸脱すると上記
の粘度挙動を有するSMCをつくり難い。また、該樹脂
粉末が前記の架橋性単量体を添加して共重合された場合
に架橋の度合が高すぎると、SMCシート形成の時間が
長びく。架橋の度合としては、該樹脂粉末を溶剤に溶解
した際の不溶解のゲル成分が50重量%以下となる程度
であることが好ましい。
【0015】このような樹脂粉末の製造方法については
特に制限はなく、従来ポリ塩化ビニルやポリメチルメタ
クリレートなどの微細樹脂粉末の製造に用いられている
方法、例えば、微細懸濁重合法、乳化重合法、播種乳化
重合法、懸濁重合法などを採用することができるが、こ
れらの方法の中で、特に粒子径が極微細とならずにかつ
球形のものが得られる重合法が好適である。例えば、微
細懸濁重合、即ち、ラジカル重合開始剤として油溶性開
始剤を用い、重合開始前に単量体油滴の粒径を均質化処
理によって予め液滴径を調節し、均質分散重合させる方
法が、平均単一粒子径0.2〜5μm程度の粒子を得る
重合法として好適である。この油溶性のラジカル重合開
始剤としては、例えば、ジベンゾイルパーオキシド、ジ
−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、
ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどの有機過
酸化物;2,2′−アゾビスイソブチロニトリルなどの
アゾ化合物などを使用することができる。これらの触媒
は1種又は2種以上を組み合わせて使用することがで
き、その使用量は、単量体の種類と量及び仕込方式など
によって適宜選ばれるが、通常使用単量体100重量部
当たり、0.001〜5.0重量部の範囲で選択するこ
とができる。また、この微細懸濁重合法や懸濁重合法に
おいては、通常、界面活性剤や分散剤が用いられる。界
面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸エステルナト
リウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジヘ
キシルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン性界面
活性剤類;ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテル類などのノニオン性界面活性剤類;セチ
ルピリジニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウ
ムブロミドなどのカチオン性界面活性剤などが挙げられ
る。また、分散剤としてはポリビニルアルコール、メチ
ルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられ
る。これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わ
せて用いてもよく、その使用量は、通常使用単量体10
0重量部当たり、0.05〜5重量部、好ましくは0.
2〜4.0重量部の範囲で適宜選択することができる。
例えば、微細懸濁重合法の場合には、まず水性媒体中
に、油溶性触媒、単量体、界面活性剤及び所望に応じて
用いられる高級脂肪酸類や高級アルコール類などの重合
助剤、その他の添加剤を加えプレミックスし、ホモジナ
イザーにより均質化処理して、油滴の粒径調節を行う。
ホモジナイザーとしては、例えば、コロイドミル、振動
攪拌機、二段式高圧ポンプ、ノズルやオリフィスからの
高圧噴出、超音波攪拌などが挙げられる。さらに、油滴
の粒径の調節は、均質化処理時の剪断力の制御、重合中
の攪拌条件、反応装置の形式、界面活性剤や添加剤の量
などにより影響されるが、これらは簡単な予備実験によ
り、適当な条件を選択することができる。
【0016】一方、懸濁重合法においても、ラジカル重
合開始剤として油溶性開始剤を用い、通常、前述の分散
剤或いはさらに必要に応じて前述の界面活性剤を組み合
わせたものを予め溶解した水性媒体中において、所定の
剪断力を有する攪拌機で単量体の液滴粒子の大きさを制
御しながら加熱し、重合反応せしめて球形の重合体粒子
を得るもので、この際の粒子径は、通常、平均5〜80
μmの範囲となる。重合反応終了後、生成した重合体粒
子を含有するスラリーから、遠心濾過して、流動床乾燥
炉を経て、重合体を粉末として取り出す。この重合体の
分子量(重量平均重合度)は反応温度や分子量調節剤に
より所望の値に調節することができる。
【0017】熱可塑性樹脂粉末(B)は、前記の組成の
重合体をシェル層に有するコア/シェル型の構造であっ
てもよい。特に、コア成分がガラス転移点−30℃以
下、好ましくは−40℃以下の(メタ)アクリル酸エス
テル系重合体及び/又はジエン系重合体であると、成形
品の機械的強度及び弾性率が大きく向上するので好まし
い。本発明においては、この(B)成分の樹脂粉末は、
前記(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂100重量部
に対し、20〜120重量部が好ましく、より好ましく
は25〜100重量部、さらに好ましくは30〜90重
量部の割合で配合される。この配合量が20重量部未満
では組成物の粘度が低くなって、SMCを作製しにくい
傾向があり、120重量部を越えると粘度が高くなりす
ぎてガラス繊維などの混入が困難となるおそれがある。
【0018】本発明においては、(C)成分として液状
重合性単量体が配合される。該単量体は、通常、不飽和
ポリエステル樹脂(A)の溶媒としても使われる、常
温、常圧で液状のものである。(C)成分として好まし
いものは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル、芳香族ビニル化合物及び芳香族アリル化合物の中か
ら選ばれた少なくとも1種の液状重合性単量体である。
この液状重合性単量体は、加工時に(D)成分の硬化剤
により前記(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂と架橋
反応を起こす。アクリル酸エステルとしては、例えば、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピ
ルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチ
ルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブ
チルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキ
シルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−
エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレー
トなどが挙げられ、メタクリル酸エステルとしては、例
えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、
n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレ
ート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタク
リレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチル
ヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレー
ト、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチ
ロールプロパントリメタクリレートなどが挙げられる。
また、芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチル
スチレン、α−クロロスチレン、ジクロロスチレン、ジ
ビニルベンゼンなどが挙げられる。また、芳香族アリル
化合物としては、ジアリルフタレート、ジアリルイソフ
タレート、トリアリルトリメリテートなどが使用可能で
ある。これらの液状重合性単量体の中で、芳香族ビニル
化合物、中でもスチレンが好適である。この(C)成分
の液状重合性単量体は1種用いてもよいし、2種以上を
組み合わせて用いてもよく、また、その配合量は、前記
(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対
し、30〜120重量部が好ましく、より好ましくは4
0〜100重量部の範囲で選ばれる。この配合量が30
重量部未満では組成物の粘度が高くなって、SMC作製
が困難になり易く、また、120重量部を越えると最終
成形品が脆くなる傾向がみられる。
【0019】本発明においては、(D)成分として硬化
剤が用いられる。この硬化剤は、加熱等により分解して
ラジカルを発生し、前記(A)成分の不飽和ポリエステ
ル樹脂に前記(C)成分の液状重合性単量体を架橋、重
合して、組成物全体を硬化させる作用を有するものであ
る。その具体例としては、t−ブチルパーオキシベンゾ
エート、ベンゾイルパーオキシド、メチルエチルケトン
パーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルパー
オキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルヒ
ドロパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、1,1−
ジ−t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルシ
クロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカー
ボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パー
オキシカーボネートなどの有機過酸化物などを挙げるこ
とができる。また、所望により硬化安定剤を前記硬化剤
と組み合わせて用いることができ、この硬化安定剤とし
ては、例えば、ヒドロキノン、ナフトキノン、t−ブチ
ルカテコールなどが挙げられる。(D)成分の硬化剤は
1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても
よく、その配合量は、前記(A)成分の不飽和ポリエス
テル樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部が好ま
しく、更に好ましくは0.5〜3重量部の範囲で選ばれ
る。この配合量が0.1重量部未満であると成形時の硬
化が不十分になるおそれがあり、5重量部を越えるると
組成物の貯蔵安定性が低下する可能性がある。(E)成
分の補強材としては、例えば、ガラス繊維、ポリエステ
ル繊維、フェノール繊維、ポリビニルアルコール繊維、
芳香族ポリアミド繊維(ケブラー繊維、デュポン社製商
品名)、ナイロン繊維、炭素繊維などの、FRP(Fi
berReinforced Plastics)の製
造に慣用されているものが挙げられる。これらの補強材
の形態としては、例えば、チョップドストランド、チョ
ップドストランドマット、ロービング、織物状などが挙
げられる。これらの補強材は、組成物の粘度や得られる
成形品の強度などを考慮して適宜選ばれる。
【0020】(A)、(B)、(C)及び(D)成分か
らなる不飽和ポリエステル樹脂組成物に、補強材(E)
成分を加えることにより、十分な機械的強度を備えた成
形品を与えることのできるポリエステル樹脂成形材料と
することができる。チョップドストランドの長さは、通
常、5〜60mmである。短い方が加熱された際、成形
材料が流動しやすい反面、成形品の機械的強度は低下す
る。本発明においては、本発明の目的が損なわれない範
囲で、従来SMC用不飽和ポリエステル樹脂組成物に慣
用されている各種添加剤、例えば、低収縮化剤、無機充
填剤、離型剤などを、所望に応じ配合することができ
る。低収縮化剤としては、例えば、ポリスチレン、ポリ
エチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、
ポリ酢酸ビニル、ポリカプロラクタム、飽和ポリエステ
ル、スチレン−アクリロニトリル共重合体などの熱可塑
性樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−
ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体などのゴム状重合体などが挙げられる。これらの
低収縮化剤の添加量は、不飽和ポリエステル樹脂100
重量部に対し、通常、4〜10重量部で、通常、(C)
成分の液状重合性単量体に添加して溶液の状態で用いら
れる。
【0021】無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、マイカ、タル
ク、カオリン、クレー、セライト、アスベスト、バーラ
イト、バライタ、シリカ、ケイ砂、ドロマイト石灰石、
セッコウ、アルミニウム微粉、中空バルーン、アルミ
ナ、ガラス粉、水酸化アルミニウム、寒水石、酸化ジル
コニウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、二酸化モリ
ブデンなどが挙げられる。これらの無機充填剤は、作業
性や得られる成形品の強度、外観、経済性などを考慮し
て適宜選ばれるが、通常、炭酸カルシウムや水酸化アル
ミニウムがよく用いられる。従来SMC化剤(増粘剤)
として慣用されてきたアルカリ土類金属の酸化物又は水
酸化物などを使用する場合には、それらSMC化剤のみ
では十分な増粘効果が得られ難いため、通常は(A)成
分の不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対して、1
00重量部前後の多量の炭酸カルシウムなどの無機充填
剤を併用する必要があった。しかし、本発明に係る熱可
塑性樹脂粉末を有効成分とする増粘剤を用いた場合に
は、これら無機充填剤なしでもSMCを形成することが
可能で、この結果、SMCシートの加熱成形時の流動性
がよくなり、さらに成形品の透明性や着色性も優れたも
のとなる。離型剤としては、例えば、ステアリン酸など
の高級脂肪酸、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩、
あるいはアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。こ
の離型剤は、前記(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂
100重量部に対し、通常、0.5〜5重量部の割合で
用いられる。これらの他に、硬化促進剤、着色剤、消泡
剤、減粘剤などを必要に応じて用いることができる。
【0022】本発明に使用する不飽和ポリエステル樹脂
組成物は、従来の不飽和ポリエステル樹脂組成物と同様
な手順で調製することができるし、独自の手順で調製す
ることもできる。本発明に使用する不飽和ポリエステル
樹脂組成物を従来法により調製するには、予め不飽和ポ
リエステル樹脂(A)を液状重合性単量体(C)の全部
又は一部に溶解し、これに、例えば、プラネタリーミキ
サー、ニーダー、ディスパーなどの公知の混合機を用い
て、残りの(B)、(C)、(D)などの各成分を一括
して十分に攪拌混合する。次いで、(E)成分の補強材
を添加するが、その添加部位は、通常、上記(A)、
(B)、(C)及び(D)成分の混合物を、SMCマシ
ーンにおいて圧延する工程の手前である。 補強材を初
期から混合すると、組成物の粘度が高くなりすぎてシー
ト状に圧延することが困難になるためである。本発明に
係るSMCの独自の調製法として、増粘剤の樹脂粉末を
補強材添加の前もしくは後又は同時に添加する方法を採
ることもできる。即ち、混合機にて(A)、(C)およ
び(D)成分を混合後、該混合物をSMCマシーンの圧
延工程にける際、(B)成分と(E)成分とを前後し
て、又は同時に添加して圧延するのである。かかる方法
によれば、混合機にて調製された不飽和ポリエステル樹
脂、液状重合性単量体及び硬化剤を含む初期混合物は、
粘度上昇がほとんど無いので、従来のような混合に続け
てSMCを即時に作製せねばならないという時間の制約
はない。従って、10時間半減期が80℃以上の硬化剤
を使用すれば数週間は使用可能である。一方、粘度の低
い本発明に係る独自の調整法の初期混合物は、補強材が
混入されていないので離型フィルム上に塗布し易く、そ
れでいて塗布面の上に増粘剤樹脂粉末及び補強材が散布
されれば、塗布された同混合物中に容易に分散して塗布
層の粘度は急速に上昇するので、これを圧延することに
より所望の半硬質の性状を備えたSMCを直ちに作製す
ることができる。
【0023】本発明方法を図1及び図2により説明す
る。本発明においては、低温、低圧成形が可能な上記の
SMCを用いて加圧バッグ方式で成形加工を行う。加圧
バッグ方式は例えばボート、浴槽等の成形目的物の外面
形状を内面にもつ第一の成形型1(しばしば下型)の内
面にSMCを敷設し、そのSMC層3の上に弾性素材か
らなるバッグ4(加圧バッグともいう)又はシート6
(加圧シートともいう)を置き、次いで給気管7を有す
る蓋状の耐圧板2で被ってからバッグ4を加圧する。又
はシート6と耐圧板2とで形成される空間を加圧する。
耐圧板の代わりに第二の成形型(しばしば上型、図示せ
ず)を用いることもできる。その場合は第二の成形型の
内面にもSMCを敷設することも可能である。上記の加
圧の方法は、40〜100℃の流体、即ち、空気、水蒸
気、水等の気体又は液体を、0.1〜10kgf/cm
2 (ゲージ圧)の圧力により、SMC層3の上面を膨張
したバッグ4又はシート6を密着させて押える。これに
よりSMC層3の表面を平滑にすると共に、SMC層3
の厚みの均一化を図ることができる。バッグ4又はシー
ト6とSMC層3との間には例えばポリオレフィン製等
の離型フィルム8を介在させると、成形後バッグやシー
トをSMC層から剥し易いので好ましい。加圧バッグ又
は加圧シートは、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重
合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴ
ム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴ
ム、ポリウレタン、ポリアミド等の伸縮可能な弾性素材
からなるものである。加圧バッグ又は加圧シートの厚み
は、成形型の大きさ、形状、及び弾性素材の弾性や剛性
等を勘案して適宜選定される。
【0024】本発明における成形圧力、即ち、加圧バッ
グの圧力又は加圧シートと耐圧板もしくは第二の成形型
とでできる空間の圧力は0.1〜10kgf/cm
2 (ゲージ圧)、好ましくは1〜5kgf/cm2 (ゲ
ージ圧)である。0.1kgf/cm2 未満では押える
力が弱すぎてSMC層表面の平滑性が低下したり、垂直
部位の肉厚が下部で過度に厚くなったりする。また、1
0kgf/cm2 より高くてもかけたエネルギーに見合
う効果がなく、又、バッグが損傷し易い。成形品の樹脂
層に気泡が目立たぬようにするには圧力は3kgf/c
2 (ゲージ圧)以上にすることが好ましい。また、成
形型に接する成形品表面に気泡を混入させない方法とし
て、予め成形型の内面にゲルコートを塗布しておくこと
も有効である。本発明における成形温度は40〜100
℃、好ましくは60〜80℃である。40℃より低いと
SMCの粘度が高すぎて成形品の型面の忠実度が低下
し、100℃より高いとバッグや成形型が損傷し易い。
本発明には、加圧バッグに、又は加圧シートと耐圧板も
しくは第二の成形型とでできる空間に、加熱された空
気、水蒸気、水等の流体を通すのでSMCに熱が直に伝
わり、熱効率が良いという利点がある。加圧バッグ方式
による不飽和ポリエステル樹脂の成形は従来から行われ
ているが、それはガラス繊維製マットを成形型内面に当
てがいながら液状重合性単量体等を混合した不飽和ポリ
エステル樹脂の高粘度溶液を含浸させながら塗布して樹
脂塗布層を形成してから100〜180℃に加熱して成
形するものであった。即ちハンドレイアップ法等で見ら
れる作業環境の悪さを有し、品質上も樹脂塗布層の流下
による偏肉がしばしば起る問題を有していた。本発明に
おいてはSMCのシートを成形型の内面に貼る作業で良
く、しかも2〜15枚積層して厚みを調整することがで
き、上記の作業面、品質面の問題を解決し得たことに加
え、加熱温度の低下や熱効率の良さによる低エネルギー
化もなし得た。
【0025】以下に本発明の態様を記す。 (1)(A)不飽和ポリエステル樹脂、(B)熱可塑性
樹脂粉末を有効成分とする増粘剤、(C)液状重合性単
量体、(D)硬化剤及び(E)補強材を含有する不飽和
ポリエステル樹脂組成物からなるシートモールディング
コンパウンドを第一の成形型の内側に敷設し、次いで弾
性素材からなるバッグを置き、第二の成形型又は耐圧板
で被ってから該バッグを40〜100℃の流体で0.1
〜10kgf/cm2 (ゲージ圧)に加圧することを特
徴とする不飽和ポリエステル樹脂の成形方法。 (2)(A)不飽和ポリエステル樹脂100重量部当
り、(B)熱可塑性樹脂粉末を有効成分とする増粘剤2
0〜120重量部、(C)液状重合性単量体30〜12
0重量部、(D)硬化剤及び(E)補強材を含有する不
飽和ポリエステル樹脂組成物からなるシートモールディ
ングコンパウンドを第一の成形型の内側に敷設し、次い
で弾性素材からなるバッグを置き、第二の成形型又は耐
圧板で被ってから該バッグを40〜100℃の流体で
0.1〜10kgf/cm2 (ゲージ圧)に加圧するこ
とを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂の成形方法。 (3)(A)不飽和ポリエステル樹脂、(B)熱可塑性
樹脂粉末を有効成分とする増粘剤、(C)液状重合性単
量体、(D)硬化剤及び(E)補強材を含有する不飽和
ポリエステル樹脂組成物からなるシートモールディング
コンパウンドを第一の成形型の内側に敷設し、次いで弾
性素材からなるシートを置き、第二の成形型又は耐圧板
で被ってから該シートと該第二の成形型又は耐圧板とで
形成される空間を40〜100℃の流体で0.1〜10
kgf/cm2 (ゲージ圧)に加圧することを特徴とす
る不飽和ポリエステル樹脂の成形方法。 (4)(A)不飽和ポリエステル樹脂100重量部当
り、(B)熱可塑性樹脂粉末を有効成分とする増粘剤2
0〜120重量部、(C)液状重合性単量体30〜12
0重量部、(D)硬化剤及び(E)補強材を含有する不
飽和ポリエステル樹脂組成物からなるシートモールディ
ングコンパウンドを第一の成形型の内側に敷設し、次い
で弾性素材からなるシートを置き、第二の成形型又は耐
圧板で被ってから該シートと該第二の成形型又は耐圧板
とで形成される空間を40〜100℃の流体で0.1〜
10kgf/cm2 (ゲージ圧)に加圧することを特徴
とする不飽和ポリエステル樹脂の成形方法。 (5)厚み0.3〜5mmのシートモールディングコン
パウンドを2〜15枚積層して敷設することを特徴とす
る上記(1)〜(4)の不飽和ポリエステル樹脂の成形
方法。
【0026】
【実施例】本発明の不飽和ポリエステル樹脂の成形方法
を実施例により説明するが、本発明はこれに限定される
ものではない。下記の方法により評価を行った。 (1)粘度 粘度の測定は、分取した不飽和ポリエステル樹脂組成物
2サンプルを24時間目までは40℃で貯蔵し、24時
間目と24時間以降30日目まで30℃で貯蔵したもの
を各々粘度測定前に25℃の恒温槽に入れ、1時間置い
てから25℃、相対湿度60%の雰囲気で測定した。粘
度計は、HAAKE社製回転型粘度計Rheo Str
ess RS−100型を用いた。 (2)離型フィルムの剥離性 SMCを40℃で24時間養生した後、25℃、相対湿
度60%の雰囲気下に1時間置いて、離型フィルムを手
で剥がす際の状況で次により評定した。 ○:容易に剥離して、剥離フィルム側にSMC成分の付
着がない。 △:やや剥離しにくいが、剥離フィルム側へのSMC成
分の付着がない。 ×:剥離しにくいか、または剥離が容易でも剥離フィル
ム側にSMC成分が付着する。 (3)平均単一粒子径 (平均単一粒子径が10μm以下の場合)熱可塑性樹脂
粉末0.2gを水100mlに添加して超音波で分散し
た試料を用い、透過型電子顕微鏡の10,000倍の観
察写真を撮り、単一粒子800±100個の長さを測定
して個数基準の長さ平均値を求めた。
【0027】実施例1 ボート形状の容器の成形型(図1)1の内面にシリコー
ンワックス等の離型剤を塗り、その上に表1の組成物1
からなる、たて400mm×よこ500mm×厚み1m
mのSMCを5層積層して未硬化のSMC層3を形成し
た。耐圧板2をかぶせる際に空間部に給気ホース付きの
シリコーンゴム製加圧バッグ4を設置する。次いで60
℃に型を加熱しつつ給気ホース5から60℃の空気をバ
ッグ4に送り込む。バッグ4は膨張してSMC層3に密
着しつつ成形型1の内面に2kgf/cm2 (ゲージ
圧)の一様の圧力で押さえつけられた。10分後圧力を
抜き、成形品を型から外したところ、成形型内面に忠実
な外面を有する、ボート形状の丈夫な成形品が得られ
た。 実施例2 本発明は図2のようにポリウレタン製の加圧シート6を
用いて、耐圧板2の給気管7から加圧空気を送り込む態
様であっても同様な成形が可能である。図2は表1の組
成物2からなる、たて400mm×よこ5000mm×
厚み1mmのSMCを用い、成形型1の内面に3層に積
層し、その上にポリプロピレン製離型フィルム8を介在
させてポリウレタンシート6を置き、次いで型を50℃
に加熱しつつ50℃、1kgf/cm2 (ゲージ圧)の
空気を給気管から送った。ポリウレタンシートが膨張し
てSMC層に密着しつつ成形型の内面に1kgf/cm
2(ゲージ圧)の圧力で押しつけた。得られた成形品
は、成形型内面に忠実な外面を有する、ボート形状の丈
夫な容器であった。
【0028】
【表1】
【0029】〔注〕 1)不飽和ポリエステル樹脂1:プロピレングリコール
/ネオペンチルグリコール/イソフタル酸/フマル酸=
15/35/20/30モル%のランダム共重合体、数
平均分子量3,300。 2)不飽和ポリエステル樹脂2:プロピレングリコール
/エチレングリコール/無水フタル酸/フマル酸=30
/20/30/20モル%のランダム共重合体、数平均
分子量2,100。 3)ゼオンF−320:ポリメチルメタクリレート樹脂
粉末、平均単一粒径1.9μm、重量平均重合度30,
000、日本ゼオン(株)製。 4)パーキュアO:硬化剤、t−ブチルパーオキシ−2
−エチルヘキサノエート、半減期65℃×24時間、日
本油脂(株)製。 5)パーカドックス16:硬化剤、ビス−4−t−ブチ
ルシクロヘキシルパーオキシジカーボネート、半減期4
0℃×10時間、化薬アクゾ(株)製。 6)ステアリン酸:離型剤、堺化学工業(株)製。 7)NS−100:充填剤、炭酸カルシウム、日東粉化
工業(株)製。
【0030】
【発明の効果】本発明により、短時間でSMC化が可能
で、かつ貯蔵安定性が良く、離型フィルムの剥離性の良
い不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いて、SMCによ
る低温低圧の加圧バッグ方式による簡便な成形が可能に
なった。
【0031】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例に係る不飽和ポリエス
テル樹脂の成形方法を示す成形器の断面図である。
【図2】図2は本発明の他の一実施例に係る不飽和ポリ
エステル樹脂の成形方法を示す成形器の断面図である。
【符号の説明】 1 第一の成形型 2 耐圧板 3 SMC層 4 弾性素材からなるバッグ 5 給気ホース 6 弾性素材からなるシート 7 給気管 8 離型フィルム

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)不飽和ポリエステル樹脂、(B)
    熱可塑性樹脂粉末を有効成分とする増粘剤、(C)液状
    重合性単量体、(D)硬化剤及び(E)補強材を含有す
    る不飽和ポリエステル樹脂組成物からなるシートモール
    ディングコンパウンドを第一の成形型の内側に敷設し、
    次いで弾性素材からなるバッグを置き、第二の成形型又
    は耐圧板で被ってから該バッグを40〜100℃の流体
    で0.1〜10kgf/cm2 (ゲージ圧)に加圧する
    ことを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂の成形方法。
  2. 【請求項2】 (A)不飽和ポリエステル樹脂、(B)
    熱可塑性樹脂粉末を有効成分とする増粘剤、(C)液状
    重合性単量体、(D)硬化剤及び(E)補強材を含有す
    る不飽和ポリエステル樹脂組成物からなるシートモール
    ディングコンパウンドを第一の成形型の内側に敷設し、
    次いで弾性素材からなるシートを置き、第二の成形型又
    は耐圧板で被ってから該シートと該第二の成形型又は耐
    圧板とで形成される空間を40〜100℃の流体で0.
    1〜10kgf/cm2 (ゲージ圧)に加圧することを
    特徴とする不飽和ポリエステル樹脂の成形方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100427555B1 (ko) * 2001-02-21 2004-04-27 주식회사 엘지화학 코어층을 가지는 쉬트 몰딩 콤파운드 방수판 및 그 제조방법
US6974784B1 (en) 1999-03-16 2005-12-13 Dainippon Ink And Chemicals, Inc. Sheet-form photocurable material
WO2023112439A1 (ja) * 2021-12-16 2023-06-22 株式会社レゾナック 成形材料、音響整合部材、及び超音波センサ

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