JPH0941070A - 相手攻撃性の低い耐摩耗性焼結合金軸受 - Google Patents
相手攻撃性の低い耐摩耗性焼結合金軸受Info
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- JPH0941070A JPH0941070A JP21804295A JP21804295A JPH0941070A JP H0941070 A JPH0941070 A JP H0941070A JP 21804295 A JP21804295 A JP 21804295A JP 21804295 A JP21804295 A JP 21804295A JP H0941070 A JPH0941070 A JP H0941070A
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- Japan
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- sintered alloy
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- low
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 相手攻撃性の低い耐摩耗性焼結合金軸受を提
供する。 【解決手段】 焼結合金軸受を、重量%で、Fe:40
〜60%、Sn:0.1〜5%、C:0.1〜2%、
S:0.05〜1%、BN:0.05〜3%を含有し、
さらに必要に応じてMoS2 :0.5〜2%を含有し、
残りがCuと不可避不純物からなる組成、Cu−Sn系
合金の素地に、フェライト相が分散分布し、かつ前記フ
ェライト相内にはS成分を核として成長した遊離黒鉛が
分散分布し、さらに前記素地とフェライト相の界面部
に、BN、またはBNとMoS2 が分布した組織、およ
び9%以下の気孔率を有する低気孔Cu−Fe−Sn系
焼結合金で構成する。
供する。 【解決手段】 焼結合金軸受を、重量%で、Fe:40
〜60%、Sn:0.1〜5%、C:0.1〜2%、
S:0.05〜1%、BN:0.05〜3%を含有し、
さらに必要に応じてMoS2 :0.5〜2%を含有し、
残りがCuと不可避不純物からなる組成、Cu−Sn系
合金の素地に、フェライト相が分散分布し、かつ前記フ
ェライト相内にはS成分を核として成長した遊離黒鉛が
分散分布し、さらに前記素地とフェライト相の界面部
に、BN、またはBNとMoS2 が分布した組織、およ
び9%以下の気孔率を有する低気孔Cu−Fe−Sn系
焼結合金で構成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、相手材である回
転軸に対するなじみ性にすぐれ、かつ自己潤滑性にもす
ぐれているので、苛酷な条件下での実用に際しても、き
わめて低い相手攻撃性で、すぐれた耐摩耗性を示す焼結
合金軸受に関するものである。
転軸に対するなじみ性にすぐれ、かつ自己潤滑性にもす
ぐれているので、苛酷な条件下での実用に際しても、き
わめて低い相手攻撃性で、すぐれた耐摩耗性を示す焼結
合金軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般に各種駆動装置には、相手材
である回転軸の支持部材として焼結合金軸受が用いられ
ており、この焼結合金軸受が、重量%で(以下、組成に
関する%は重量%を示す)、Fe:40〜60%、S
n:0.1〜5%、C:0.1〜2%を含有し、残りが
Cuと不可避不純物からなる組成、並びに図3に組織拡
大模写図で示されるように、Cu−Sn系合金の素地に
パーライト相が分散分布した組織を有し、さらに9%以
下の気孔率を有する低気孔Cu−Fe−Sn系焼結合金
で構成されていることも良く知られるところである。
である回転軸の支持部材として焼結合金軸受が用いられ
ており、この焼結合金軸受が、重量%で(以下、組成に
関する%は重量%を示す)、Fe:40〜60%、S
n:0.1〜5%、C:0.1〜2%を含有し、残りが
Cuと不可避不純物からなる組成、並びに図3に組織拡
大模写図で示されるように、Cu−Sn系合金の素地に
パーライト相が分散分布した組織を有し、さらに9%以
下の気孔率を有する低気孔Cu−Fe−Sn系焼結合金
で構成されていることも良く知られるところである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の駆動装置
の高性能化および小型化、さらに高出力化はめざまし
く、これに伴ない、駆動装置の構造部材である回転軸の
回転は高速化し、かつこれへの負荷は高荷重となる傾向
にあるが、上記の従来焼結合金軸受においては、これを
構成する低気孔Cu−Fe−Sn系焼結合金が、図3に
示される通り素地中に存在するパーライト相が原因で、
相手材である回転軸に対するなじみ性が低く、さらに自
己潤滑性も十分でなく、したがって高速回転および高荷
重条件では相手攻撃性が強く現われ、かつ摩耗進行も加
速されるようになるのが避けられないのが現状である。
の高性能化および小型化、さらに高出力化はめざまし
く、これに伴ない、駆動装置の構造部材である回転軸の
回転は高速化し、かつこれへの負荷は高荷重となる傾向
にあるが、上記の従来焼結合金軸受においては、これを
構成する低気孔Cu−Fe−Sn系焼結合金が、図3に
示される通り素地中に存在するパーライト相が原因で、
相手材である回転軸に対するなじみ性が低く、さらに自
己潤滑性も十分でなく、したがって高速回転および高荷
重条件では相手攻撃性が強く現われ、かつ摩耗進行も加
速されるようになるのが避けられないのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、特になじみ性および自己潤滑性
のすぐれた焼結合金軸受を開発すべく、特に上記の従来
焼結合金軸受に着目し研究を行なった結果、上記の従来
焼結合金軸受を構成する低気孔Cu−Fe−Sn系焼結
合金に、合金成分としてSと窒化ほう素(以下、BNで
示す)、望ましくは六方晶窒化ほう素(以下、hBNで
示す)を含有させると、前記S成分が核となって遊離黒
鉛が析出し、この遊離黒鉛の成長をBN成分が促進する
ように作用することから、前記低気孔Cu−Fe−Sn
系焼結合金は、図1に組織拡大模写図で示される通り、
Cu−Sn系合金の素地に、硬質のパーライト相に代っ
て主体がFeのフェライト相が分散分布し、このフェラ
イト相内の粒界にそってS成分が核となって成長した微
細な遊離黒鉛が分散分布し、かつフェライト相と素地の
界面部にBN成分が分布した組織をもつようになり、こ
の結果の低気孔Cu−Fe−Sn系焼結合金は、軟質の
フェライト相と遊離黒鉛によってすぐれたなじみ性と自
己潤滑性をもち、さらに前記低気孔Cu−Fe−Sn系
焼結合金に硫化モリブデン(以下、MoS2 で示す)を
含有させると、同じく図2の組織拡大模写図で示される
通り、フェライト相と素地の界面部にBN成分と共に分
布して自己潤滑性が一段と向上したものになることか
ら、焼結合金軸受として高速回転および高荷重条件での
実用に際しても相手攻撃性が著しく低く、かつすぐれた
耐摩耗性を発揮するという研究結果を得たのである。
上述のような観点から、特になじみ性および自己潤滑性
のすぐれた焼結合金軸受を開発すべく、特に上記の従来
焼結合金軸受に着目し研究を行なった結果、上記の従来
焼結合金軸受を構成する低気孔Cu−Fe−Sn系焼結
合金に、合金成分としてSと窒化ほう素(以下、BNで
示す)、望ましくは六方晶窒化ほう素(以下、hBNで
示す)を含有させると、前記S成分が核となって遊離黒
鉛が析出し、この遊離黒鉛の成長をBN成分が促進する
ように作用することから、前記低気孔Cu−Fe−Sn
系焼結合金は、図1に組織拡大模写図で示される通り、
Cu−Sn系合金の素地に、硬質のパーライト相に代っ
て主体がFeのフェライト相が分散分布し、このフェラ
イト相内の粒界にそってS成分が核となって成長した微
細な遊離黒鉛が分散分布し、かつフェライト相と素地の
界面部にBN成分が分布した組織をもつようになり、こ
の結果の低気孔Cu−Fe−Sn系焼結合金は、軟質の
フェライト相と遊離黒鉛によってすぐれたなじみ性と自
己潤滑性をもち、さらに前記低気孔Cu−Fe−Sn系
焼結合金に硫化モリブデン(以下、MoS2 で示す)を
含有させると、同じく図2の組織拡大模写図で示される
通り、フェライト相と素地の界面部にBN成分と共に分
布して自己潤滑性が一段と向上したものになることか
ら、焼結合金軸受として高速回転および高荷重条件での
実用に際しても相手攻撃性が著しく低く、かつすぐれた
耐摩耗性を発揮するという研究結果を得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、Fe:40〜60%、 S
n:0.1〜5%、C:0.1〜2%、 S:
0.05〜1%、BN:0.05〜3%、を含有し、さ
らに必要に応じて、MoS2 :0.5〜2%、を含有
し、残りがCuと不可避不純物からなる組成、Cu−S
n系合金の素地に、フェライト相が分散分布し、かつ前
記フェライト相内にはS成分を核として成長した遊離黒
鉛が分散分布し、さらに前記素地とフェライト相の界面
部に、BN、またはBNとMoS2 が分布した組織、お
よび9%以下の気孔率、を有する低気孔Cu−Fe−S
n系焼結合金で構成してなる、相手攻撃性の低い耐摩耗
性焼結合金軸受に特徴を有するものである。
なされたものであって、Fe:40〜60%、 S
n:0.1〜5%、C:0.1〜2%、 S:
0.05〜1%、BN:0.05〜3%、を含有し、さ
らに必要に応じて、MoS2 :0.5〜2%、を含有
し、残りがCuと不可避不純物からなる組成、Cu−S
n系合金の素地に、フェライト相が分散分布し、かつ前
記フェライト相内にはS成分を核として成長した遊離黒
鉛が分散分布し、さらに前記素地とフェライト相の界面
部に、BN、またはBNとMoS2 が分布した組織、お
よび9%以下の気孔率、を有する低気孔Cu−Fe−S
n系焼結合金で構成してなる、相手攻撃性の低い耐摩耗
性焼結合金軸受に特徴を有するものである。
【0006】つぎに、この発明の焼結合金軸受におい
て、これを構成する低気孔Cu−Fe−Sn系焼結合金
の成分組成および気孔率を上記の通りに限定した理由を
説明する。 (a) Fe Fe成分には、素地に分散分布するフェライト相を形成
してなじみ性を向上させる作用があるが、その割合が4
0%未満では相対的にフェライト相の割合が少なくなり
すぎて、所望の耐摩耗性を確保することができず、一方
その割合が60%を越えると、相対的に素地の割合が少
なくなりすぎて強度が低下するようになることから、そ
の割合を40〜60%、望ましくは45〜55%と定め
た。
て、これを構成する低気孔Cu−Fe−Sn系焼結合金
の成分組成および気孔率を上記の通りに限定した理由を
説明する。 (a) Fe Fe成分には、素地に分散分布するフェライト相を形成
してなじみ性を向上させる作用があるが、その割合が4
0%未満では相対的にフェライト相の割合が少なくなり
すぎて、所望の耐摩耗性を確保することができず、一方
その割合が60%を越えると、相対的に素地の割合が少
なくなりすぎて強度が低下するようになることから、そ
の割合を40〜60%、望ましくは45〜55%と定め
た。
【0007】(b) Sn Sn成分には、Cuに固溶して素地のCu−Sn系合金
を形成し、強度を向上させる作用があるが、その割合が
0.1%未満では所望の強度を確保することができず、
一方その割合が5%を越えると素地に脆化傾向が現わ
れ、相手攻撃性が増すようになることから、その割合を
0.1〜5%、望ましくは1.5〜3.5%と定めた。
を形成し、強度を向上させる作用があるが、その割合が
0.1%未満では所望の強度を確保することができず、
一方その割合が5%を越えると素地に脆化傾向が現わ
れ、相手攻撃性が増すようになることから、その割合を
0.1〜5%、望ましくは1.5〜3.5%と定めた。
【0008】(c) C C成分には、SとBN成分の作用でフェライト相内の粒
界に微細な遊離黒鉛として析出し、かつ成長して自己潤
滑性を向上させる作用があるが、その割合が0.1%未
満では遊離黒鉛の分布割合が少なすぎて所望の自己潤滑
性を確保することができず、一方その割合が2%を越え
ると完全な黒鉛化が困難になり、セメンタイトが析出す
るようになって相手攻撃性が高くなることから、その割
合を0.1〜2%、望ましくは0.5〜1.5%と定め
た。
界に微細な遊離黒鉛として析出し、かつ成長して自己潤
滑性を向上させる作用があるが、その割合が0.1%未
満では遊離黒鉛の分布割合が少なすぎて所望の自己潤滑
性を確保することができず、一方その割合が2%を越え
ると完全な黒鉛化が困難になり、セメンタイトが析出す
るようになって相手攻撃性が高くなることから、その割
合を0.1〜2%、望ましくは0.5〜1.5%と定め
た。
【0009】(d) S S成分は、上記の通り遊離黒鉛の析出には不可欠の成分
であり、したがってその割合が0.05%未満では黒鉛
化が不十分となって所望の自己潤滑性が得られず、その
分セメンタイトが析出して相手攻撃性を増すようにな
り、一方その割合が1%を越えると急激に脆化し、強度
が低下するようになることから、その割合を0.05〜
1%、望ましくは0.1〜0.7%と定めた。
であり、したがってその割合が0.05%未満では黒鉛
化が不十分となって所望の自己潤滑性が得られず、その
分セメンタイトが析出して相手攻撃性を増すようにな
り、一方その割合が1%を越えると急激に脆化し、強度
が低下するようになることから、その割合を0.05〜
1%、望ましくは0.1〜0.7%と定めた。
【0010】(e) BN BN成分には、Cu−Sn系合金の素地とフェライト相
の界面部に分布して、フェライト相内の粒界にS成分を
核として析出した遊離黒鉛を成長させる、いいかえれば
パーライト相のセメンタイトを黒鉛化して前記パーライ
ト相をフェライト相と遊離黒鉛にする作用があるが、そ
の割合が0.05%未満では黒鉛化が不十分で、残留パ
ーライトによる相手攻撃性は避けられず、かつ所望の自
己潤滑性も得られず、一方その割合が3%を越えると焼
結性が低下し高強度を確保することができなくなること
から、その割合を0.05〜3%、望ましくは1〜3%
と定めた。
の界面部に分布して、フェライト相内の粒界にS成分を
核として析出した遊離黒鉛を成長させる、いいかえれば
パーライト相のセメンタイトを黒鉛化して前記パーライ
ト相をフェライト相と遊離黒鉛にする作用があるが、そ
の割合が0.05%未満では黒鉛化が不十分で、残留パ
ーライトによる相手攻撃性は避けられず、かつ所望の自
己潤滑性も得られず、一方その割合が3%を越えると焼
結性が低下し高強度を確保することができなくなること
から、その割合を0.05〜3%、望ましくは1〜3%
と定めた。
【0011】(f) MoS2 MoS2 成分には、上記の通りBNと共に素地とフェラ
イト相の界面部に分布して自己潤滑性を一段と向上させ
る作用があるので必要に応じて含有されるが、その割合
が0.5%未満では前記作用に所望の効果が得られず、
一方その割合が2%を越えると強度が急激に低下するよ
うになることから、その割合を0.5〜2%、望ましく
は1〜2%と定めた。
イト相の界面部に分布して自己潤滑性を一段と向上させ
る作用があるので必要に応じて含有されるが、その割合
が0.5%未満では前記作用に所望の効果が得られず、
一方その割合が2%を越えると強度が急激に低下するよ
うになることから、その割合を0.5〜2%、望ましく
は1〜2%と定めた。
【0012】(g) 気孔率 気孔率が9%を越えると、軸受の強度か低下し、特に高
強度が要求される場合に対応することができなくなるこ
とから、気孔率を9%以下、望ましくは7%以下と定め
た。
強度が要求される場合に対応することができなくなるこ
とから、気孔率を9%以下、望ましくは7%以下と定め
た。
【0013】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の焼結合金軸受
を実施例により具体的に説明する。原料粉末として、粒
度:−100メッシュのアトマイズFe−S合金(S:
0.3%含有)粉末、同−100メッシュのアトマイズ
Fe粉末、同−150メッシュの電解Cu粉末、同−1
00メッシュのSn粉末、同−100メッシュのCu−
Sn合金(Sn:9%含有)粉末、同−150メッシュ
のりん片状黒鉛粉末、同−100メッシュのhBN粉
末、および同−100メッシュのMoS2 粉末を用意
し、これら原料粉末を表1,2に示される配合組成に配
合し、これに潤滑剤として0.4%のステアリン酸亜鉛
を添加してV型ミキサーにて30分間混合した後、3.
5〜5ton/cm2 の範囲内の所定の圧力で圧粉体にプレス
成形し、この圧粉体を、アンモニア分解ガス雰囲気中、
850〜950℃の範囲内の所定温度に30分間保持の
条件で焼結して、同じく表1,2に示される気孔率およ
び配合組成と実質的に同一の成分組成をもった低気孔C
u−Fe−Sn系焼結合金で構成され、いずれも外径:
16mmφ×内径:8mmφ×長さ:8mmの寸法を有する本
発明焼結合金1〜15、および従来焼結合金軸受1〜7
をそれぞれ製造した。なお、本発明焼結合金軸受1〜1
5はいずれも図1または図2に示される組織を有し、ま
た従来焼結合金軸受1〜7はいずれも図3に示される組
織を有するものであった。
を実施例により具体的に説明する。原料粉末として、粒
度:−100メッシュのアトマイズFe−S合金(S:
0.3%含有)粉末、同−100メッシュのアトマイズ
Fe粉末、同−150メッシュの電解Cu粉末、同−1
00メッシュのSn粉末、同−100メッシュのCu−
Sn合金(Sn:9%含有)粉末、同−150メッシュ
のりん片状黒鉛粉末、同−100メッシュのhBN粉
末、および同−100メッシュのMoS2 粉末を用意
し、これら原料粉末を表1,2に示される配合組成に配
合し、これに潤滑剤として0.4%のステアリン酸亜鉛
を添加してV型ミキサーにて30分間混合した後、3.
5〜5ton/cm2 の範囲内の所定の圧力で圧粉体にプレス
成形し、この圧粉体を、アンモニア分解ガス雰囲気中、
850〜950℃の範囲内の所定温度に30分間保持の
条件で焼結して、同じく表1,2に示される気孔率およ
び配合組成と実質的に同一の成分組成をもった低気孔C
u−Fe−Sn系焼結合金で構成され、いずれも外径:
16mmφ×内径:8mmφ×長さ:8mmの寸法を有する本
発明焼結合金1〜15、および従来焼結合金軸受1〜7
をそれぞれ製造した。なお、本発明焼結合金軸受1〜1
5はいずれも図1または図2に示される組織を有し、ま
た従来焼結合金軸受1〜7はいずれも図3に示される組
織を有するものであった。
【0014】ついで、この結果得られた各種の焼結合金
軸受のそれぞれを、合成油を真空浸油した状態で、図4
に概略正面図で示されるラジアル式摩擦試験機の支持治
具1に嵌め込み、これにS45C(炭素鋼)製回転軸3
を25μmのクリアランスで挿通し、前記回転軸3に焼
結合金軸受2、支持治具1、およびボールベアリング4
を介して20kgf/cm2 の高荷重Wをかけた状態で前記回
転軸を10,000rpm の回転数で高速回転させ、10
0時間運転の摩耗試験を行ない、試験後、焼結合金軸受
および回転軸の最大摩耗深さを測定した。この測定結果
を表1,2に示した。
軸受のそれぞれを、合成油を真空浸油した状態で、図4
に概略正面図で示されるラジアル式摩擦試験機の支持治
具1に嵌め込み、これにS45C(炭素鋼)製回転軸3
を25μmのクリアランスで挿通し、前記回転軸3に焼
結合金軸受2、支持治具1、およびボールベアリング4
を介して20kgf/cm2 の高荷重Wをかけた状態で前記回
転軸を10,000rpm の回転数で高速回転させ、10
0時間運転の摩耗試験を行ない、試験後、焼結合金軸受
および回転軸の最大摩耗深さを測定した。この測定結果
を表1,2に示した。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【発明の効果】表1,2に示される結果から、本発明焼
結合金軸受1〜15は、いずれも高速回転および高荷重
運転の苛酷な条件にもかかわらず、基本的に素地中に分
散分布するフェライト相とこれに分散分布する微細な遊
離黒鉛によってすぐれたなじみ性と自己潤滑性を具備す
ることから、相手材である回転軸の摩耗少なく、すなわ
ち低い相手攻撃性で、すぐれた耐摩耗性を示すのに対し
て、従来焼結合金軸受1〜7においては、素地中に分散
分布する硬質のパーライト相が原因で、上記の苛酷な条
件下では著しく高い相手攻撃性を示すばかりでなく、な
じみ性にも劣るので偏摩耗が発生し易いことが明らかで
ある。上述のように、この発明の焼結合金軸受は、相手
材である回転軸に対するなじみ性にすぐれ、かつ自己潤
滑性にもすぐれているので、苛酷な条件下でも、きわめ
て低い相手攻撃性で、すぐれた耐摩耗性を長期に亘って
発揮するのである。
結合金軸受1〜15は、いずれも高速回転および高荷重
運転の苛酷な条件にもかかわらず、基本的に素地中に分
散分布するフェライト相とこれに分散分布する微細な遊
離黒鉛によってすぐれたなじみ性と自己潤滑性を具備す
ることから、相手材である回転軸の摩耗少なく、すなわ
ち低い相手攻撃性で、すぐれた耐摩耗性を示すのに対し
て、従来焼結合金軸受1〜7においては、素地中に分散
分布する硬質のパーライト相が原因で、上記の苛酷な条
件下では著しく高い相手攻撃性を示すばかりでなく、な
じみ性にも劣るので偏摩耗が発生し易いことが明らかで
ある。上述のように、この発明の焼結合金軸受は、相手
材である回転軸に対するなじみ性にすぐれ、かつ自己潤
滑性にもすぐれているので、苛酷な条件下でも、きわめ
て低い相手攻撃性で、すぐれた耐摩耗性を長期に亘って
発揮するのである。
【図1】本発明焼結合金軸受を構成する低気孔Cu−F
e−Sn系焼結合金の組織拡大模写図である。
e−Sn系焼結合金の組織拡大模写図である。
【図2】本発明焼結合金軸受を構成する低気孔Cu−F
e−Sn系焼結合金の組織拡大模写図である。
e−Sn系焼結合金の組織拡大模写図である。
【図3】従来焼結合金軸受を構成する低気孔Cu−Fe
−Sn系焼結合金の組織拡大模写図である。
−Sn系焼結合金の組織拡大模写図である。
【図4】ラジアル式摩擦試験機を示す概略正面図であ
る。
る。
1 支持治具 2 焼結合金軸受 3 回転軸 4 ボールベアリング 5 ロードセル
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、 Fe:40〜60%、 Sn:0.1〜5%、 C:0.1〜2%、 S:0.05〜1%、 窒化ほう素:0.05〜3%、を含有し、残りがCuと
不可避不純物からなる組成、 Cu−Sn系合金の素地に、フェライト相が分散分布
し、かつ前記フェライト相内にはS成分を核として成長
した遊離黒鉛が分散分布し、さらに前記素地とフェライ
ト相の界面部に窒化ほう素が分布した組織、 および9%以下の気孔率、を有する低気孔Cu−Fe−
Sn系焼結合金で構成したことを特徴とする相手攻撃性
の低い耐摩耗性焼結合金軸受。 - 【請求項2】 重量%で、 Fe:40〜60%、 Sn:0.1〜5%、 C:0.1〜2%、 S:0.05〜1%、 窒化ほう素:0.05〜3%、 硫化モリブデン:0.5〜2%、を含有し、残りがCu
と不可避不純物からなる組成、 Cu−Sn系合金の素地に、フェライト相が分散分布
し、かつ前記フェライト相内にはS成分を核として成長
した遊離黒鉛が分散分布し、さらに前記素地とフェライ
ト相の界面部に窒化ほう素と硫化モリブデンが分布した
組織、 および9%以下の気孔率、を有する低気孔Cu−Fe−
Sn系焼結合金で構成したことを特徴とする相手攻撃性
の低い耐摩耗性焼結合金軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21804295A JPH0941070A (ja) | 1995-08-03 | 1995-08-03 | 相手攻撃性の低い耐摩耗性焼結合金軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21804295A JPH0941070A (ja) | 1995-08-03 | 1995-08-03 | 相手攻撃性の低い耐摩耗性焼結合金軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0941070A true JPH0941070A (ja) | 1997-02-10 |
Family
ID=16713743
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21804295A Withdrawn JPH0941070A (ja) | 1995-08-03 | 1995-08-03 | 相手攻撃性の低い耐摩耗性焼結合金軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0941070A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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