JPH09254146A - 硬質脆性材料の切断ないし溝入れ加工方法 - Google Patents
硬質脆性材料の切断ないし溝入れ加工方法Info
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- JPH09254146A JPH09254146A JP9325096A JP9325096A JPH09254146A JP H09254146 A JPH09254146 A JP H09254146A JP 9325096 A JP9325096 A JP 9325096A JP 9325096 A JP9325096 A JP 9325096A JP H09254146 A JPH09254146 A JP H09254146A
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- processing
- abrasive grain
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- Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
- Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)
- Polishing Bodies And Polishing Tools (AREA)
- Processing Of Stones Or Stones Resemblance Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 硬質脆性材料の切断加工や溝入れ加工に適用
される加工方法に関し、従来、切削効率が良いとされて
いた固定砥粒方式より更に加工能率を向上させるのに好
適な工具形状や加工条件を提供する。 【解決手段】 固定砥粒12を薄板金属母材11の表面
に電着したメッキ層13で保持した直線ブレード状の固
定砥粒工具1を用い、加工部に前記固定砥粒工具のメッ
キ層13からの固定砥粒の突出高さHより小径の遊離砥
粒32を混合した加工液を供給しながら加工を行うこと
を特徴とする。固定砥粒12にはダイヤモンド砥粒を用
い、メッキ層13としてはニッケルメッキ層が適してい
る。また、ワークにブレード状工具1の切込み方向の相
対振動を加えながら加工を行うことにより、加工能率を
更に向上させ、切り曲がりも防止できる。上記方法によ
ると、多数のワークを連続加工するときの加工能率が大
幅に向上する。
される加工方法に関し、従来、切削効率が良いとされて
いた固定砥粒方式より更に加工能率を向上させるのに好
適な工具形状や加工条件を提供する。 【解決手段】 固定砥粒12を薄板金属母材11の表面
に電着したメッキ層13で保持した直線ブレード状の固
定砥粒工具1を用い、加工部に前記固定砥粒工具のメッ
キ層13からの固定砥粒の突出高さHより小径の遊離砥
粒32を混合した加工液を供給しながら加工を行うこと
を特徴とする。固定砥粒12にはダイヤモンド砥粒を用
い、メッキ層13としてはニッケルメッキ層が適してい
る。また、ワークにブレード状工具1の切込み方向の相
対振動を加えながら加工を行うことにより、加工能率を
更に向上させ、切り曲がりも防止できる。上記方法によ
ると、多数のワークを連続加工するときの加工能率が大
幅に向上する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体装置の製
造に用いられるセラミックスやシリコンなどの硬質脆性
材料の切断加工や溝入れ加工に適用される加工方法に関
するもので、ブレードないしワイヤ状の母材表面に砥粒
を固定した固定砥粒工具を用いて硬質脆性材料を加工す
る方法に関するものである。
造に用いられるセラミックスやシリコンなどの硬質脆性
材料の切断加工や溝入れ加工に適用される加工方法に関
するもので、ブレードないしワイヤ状の母材表面に砥粒
を固定した固定砥粒工具を用いて硬質脆性材料を加工す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子素子の材料として用いられるシリコ
ンなどは、金属に比べてはるかに固くかつ脆い。このよ
うな硬質脆性材料を精度良く加工する加工方法として、
ダイヤモンド砥粒などを用いる砥粒加工が広く行われて
いる。砥粒加工には、砥粒を有していない工具を用い、
加工具に砥粒(遊離砥粒)を混合した加工液を供給しな
がら行う遊離砥粒方式と、砥粒を固定した工具を用いて
加工を行う固定砥粒方式とがある。従来は工具及び装置
が安価な遊離砥粒方式が主流であったが、近時は加工能
率において優れる固定砥粒方式のものが注目されてい
る。工具形状は主としてブレードないしワイヤで、リン
グ状ブレードの内周を用いる内周刃切断や、並置した複
数本のブレードやワイヤを用いるマルチソー等がよく用
いられている。
ンなどは、金属に比べてはるかに固くかつ脆い。このよ
うな硬質脆性材料を精度良く加工する加工方法として、
ダイヤモンド砥粒などを用いる砥粒加工が広く行われて
いる。砥粒加工には、砥粒を有していない工具を用い、
加工具に砥粒(遊離砥粒)を混合した加工液を供給しな
がら行う遊離砥粒方式と、砥粒を固定した工具を用いて
加工を行う固定砥粒方式とがある。従来は工具及び装置
が安価な遊離砥粒方式が主流であったが、近時は加工能
率において優れる固定砥粒方式のものが注目されてい
る。工具形状は主としてブレードないしワイヤで、リン
グ状ブレードの内周を用いる内周刃切断や、並置した複
数本のブレードやワイヤを用いるマルチソー等がよく用
いられている。
【0003】一方、ラップ盤のラップの表面の修正加工
(ドレッシング)において、固定砥粒をメッキ層で固定
した修正砥石を用い、ラップの表面に遊離砥粒を混合し
た加工液を供給しながらドレッシングを行う方法が、こ
の発明の発明者らによって提唱されている(特開平8−
19959号)。しかし硬質脆性材料の砥粒加工方法と
して従来用いられていたものは、上記固定砥粒方式と遊
離砥粒方式のものであり、硬質脆性材料の切断ないし溝
入れ加工において、固定砥粒と遊離砥粒とを併用する加
工方法は知られていない。
(ドレッシング)において、固定砥粒をメッキ層で固定
した修正砥石を用い、ラップの表面に遊離砥粒を混合し
た加工液を供給しながらドレッシングを行う方法が、こ
の発明の発明者らによって提唱されている(特開平8−
19959号)。しかし硬質脆性材料の砥粒加工方法と
して従来用いられていたものは、上記固定砥粒方式と遊
離砥粒方式のものであり、硬質脆性材料の切断ないし溝
入れ加工において、固定砥粒と遊離砥粒とを併用する加
工方法は知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明の発明者ら
は、固定砥粒と遊離砥粒とを併用した加工を硬質脆性材
料の切断ないし溝入れ加工に応用したところ、従来の固
定砥粒による切断ないし溝入れ加工より加工能率、特に
多数個のワークを連続加工するときの加工能率が大幅に
向上することを見出した。
は、固定砥粒と遊離砥粒とを併用した加工を硬質脆性材
料の切断ないし溝入れ加工に応用したところ、従来の固
定砥粒による切断ないし溝入れ加工より加工能率、特に
多数個のワークを連続加工するときの加工能率が大幅に
向上することを見出した。
【0005】そこでこの発明は、従来遊離砥粒方式より
切削効率が良いとされていた固定砥粒方式より更に加工
能率を向上させることができる硬質脆性材料の切断ない
し溝入れ加工方法を得ることを課題としており、そのた
めに好適な工具形状や加工条件を提供することを課題と
している。
切削効率が良いとされていた固定砥粒方式より更に加工
能率を向上させることができる硬質脆性材料の切断ない
し溝入れ加工方法を得ることを課題としており、そのた
めに好適な工具形状や加工条件を提供することを課題と
している。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の硬質脆性材料
の切断ないし溝入れ加工方法は、固定砥粒12を薄板金
属母材11の表面に電着したメッキ層13で保持した直
線ブレード状の固定砥粒工具1を用い、加工部に前記固
定砥粒工具のメッキ層13からの固定砥粒の突出高さH
より小径の遊離砥粒32を混合した加工液を供給しなが
ら加工を行うことを特徴とするものである。
の切断ないし溝入れ加工方法は、固定砥粒12を薄板金
属母材11の表面に電着したメッキ層13で保持した直
線ブレード状の固定砥粒工具1を用い、加工部に前記固
定砥粒工具のメッキ層13からの固定砥粒の突出高さH
より小径の遊離砥粒32を混合した加工液を供給しなが
ら加工を行うことを特徴とするものである。
【0007】固定砥粒12にはダイヤモンド砥粒を用
い、砥粒を保持するメッキ層13としてはニッケルメッ
キ層が適している。また、ワークにブレード状工具1の
切込み方向の相対振動を加えながら切断ないし溝入れを
行うことにより、加工能率を更に向上させ、切り曲がり
も防止できる。
い、砥粒を保持するメッキ層13としてはニッケルメッ
キ層が適している。また、ワークにブレード状工具1の
切込み方向の相対振動を加えながら切断ないし溝入れを
行うことにより、加工能率を更に向上させ、切り曲がり
も防止できる。
【0008】
【作用】加工の最初の段階では主として固定砥粒12が
切削を行い、固定砥粒方式と同等の加工能率を実現す
る。繰り返し加工を行ったために固定砥粒12の切刃が
磨耗してくると、メッキ層13からの固定砥粒32の突
出高さが低くなり、メッキ層表面とワーク3との間の間
隙が狭くなり、その狭くなった間隙に加工液中の遊離砥
粒32が保持されるようになるので、固定砥粒12の切
削力の低下を遊離砥粒32が補うようになり、複数個の
ワークの加工を行った後の加工能率が、従来の固定砥粒
方式のものに比べて大幅に向上する。またある程度の幅
を有するブレード状工具を用いるので、ワイヤのように
早期に工具が切断することがなく、多数のワークを連続
的に能率良く加工することが可能である。
切削を行い、固定砥粒方式と同等の加工能率を実現す
る。繰り返し加工を行ったために固定砥粒12の切刃が
磨耗してくると、メッキ層13からの固定砥粒32の突
出高さが低くなり、メッキ層表面とワーク3との間の間
隙が狭くなり、その狭くなった間隙に加工液中の遊離砥
粒32が保持されるようになるので、固定砥粒12の切
削力の低下を遊離砥粒32が補うようになり、複数個の
ワークの加工を行った後の加工能率が、従来の固定砥粒
方式のものに比べて大幅に向上する。またある程度の幅
を有するブレード状工具を用いるので、ワイヤのように
早期に工具が切断することがなく、多数のワークを連続
的に能率良く加工することが可能である。
【0009】固定砥粒を用いた硬質脆性材料の切断ない
し溝入れ加工において、ワークに切込み方向の振動を加
えながら切断を行うことにより、加工精度および加工能
率を向上させることができ、切り曲がりの防止にも有効
であることが知られている。この技術を本発明方法にも
採用することが可能で、特にワークにブレード状工具の
切込み方向(図1ないし3の上下方向)の振動を加えな
がら加工を行うことにより、簡単な構造の加工装置で加
工能率や加工精度を更に向上させることが可能である。
し溝入れ加工において、ワークに切込み方向の振動を加
えながら切断を行うことにより、加工精度および加工能
率を向上させることができ、切り曲がりの防止にも有効
であることが知られている。この技術を本発明方法にも
採用することが可能で、特にワークにブレード状工具の
切込み方向(図1ないし3の上下方向)の振動を加えな
がら加工を行うことにより、簡単な構造の加工装置で加
工能率や加工精度を更に向上させることが可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下図面を参照してこの発明の実
施の形態を説明する。加工に用いた工具1は、図2、3
に示すように、薄く細長い(厚さ0.5mm、図の上下
方向の幅50mm)帯状鋼板からなる母材11の下辺部
に、ダイヤモンド砥粒12をニッケルメッキ層13で固
定した切刃14を設けたものである。
施の形態を説明する。加工に用いた工具1は、図2、3
に示すように、薄く細長い(厚さ0.5mm、図の上下
方向の幅50mm)帯状鋼板からなる母材11の下辺部
に、ダイヤモンド砥粒12をニッケルメッキ層13で固
定した切刃14を設けたものである。
【0011】図4は母材11へのダイヤモンド砥粒の電
着装置を示したもので、メッキ槽21内のメッキ液にダ
イヤモンド砥粒23を充填した砥粒ケース22を浸漬
し、この砥粒ケースに下辺を砥粒23に埋没した状態で
保持された母材11にニッケルメッキを行うことによ
り、母材11の下辺にダイヤモンド砥粒23を固定す
る。砥粒ケース22の側面には開口24が設けてあり、
この開口には布25が張られ、メッキ液を通過させると
ともに、砥粒23が流出するのを防止している。開口2
4の両側には、電極となるニッケル板26が配置されて
いる。
着装置を示したもので、メッキ槽21内のメッキ液にダ
イヤモンド砥粒23を充填した砥粒ケース22を浸漬
し、この砥粒ケースに下辺を砥粒23に埋没した状態で
保持された母材11にニッケルメッキを行うことによ
り、母材11の下辺にダイヤモンド砥粒23を固定す
る。砥粒ケース22の側面には開口24が設けてあり、
この開口には布25が張られ、メッキ液を通過させると
ともに、砥粒23が流出するのを防止している。開口2
4の両側には、電極となるニッケル板26が配置されて
いる。
【0012】このようにして製作された工具ブレード1
の側面図を図2に、拡大端面図を図3に示す。ダイヤモ
ンド砥粒12は、その母材11側の部分をニッケルメッ
キ層13に埋設されて固定された状態となっている。固
定したダイヤモンド砥粒は、140〜170番(粒径8
8〜105μm)の粗さのものである。
の側面図を図2に、拡大端面図を図3に示す。ダイヤモ
ンド砥粒12は、その母材11側の部分をニッケルメッ
キ層13に埋設されて固定された状態となっている。固
定したダイヤモンド砥粒は、140〜170番(粒径8
8〜105μm)の粗さのものである。
【0013】なおブレード1には、図4の装置で砥粒を
電着する前と後とに予備メッキと後メッキを行ってい
る。後メッキはブレードに固定された砥粒の基部をメッ
キ層に深く埋め込んで、砥粒の固定を確実にするのに有
効である。
電着する前と後とに予備メッキと後メッキを行ってい
る。後メッキはブレードに固定された砥粒の基部をメッ
キ層に深く埋め込んで、砥粒の固定を確実にするのに有
効である。
【0014】このようにして製作したブレード1を、回
転すべりこ機構で往復動する工具台に張架して、幅25
mmのソーダガラスを繰り返し加工(溝入れ)した結果
を図5に示す。加工荷重はブレード1本当たり7.35
N、ブレードのストロークは110mm、往復回転数は
100rpmであり、8分間の加工を行ってその加工量
(切込み深さ、単位mm)から加工能率(mm/mi
n)を算出した。切削部に供給する加工液は、30重量
%の遊離砥粒を含む加工液(スラリー)であり、加工能
率の差を比較するための従来方法の加工には、加工液と
して水道水を用いた。なお遊離砥粒を含む加工液として
は、遊離砥粒の粗さが1500番(粒径約10μ、図5
の白丸印)、1000番(約15μ、黒丸印)、800
番(約18μ、半黒白丸印)及び600番(約25μ、
白三角印)の四種類を用いた。また水道水を用いた従来
方法の結果は図の黒三角印である。
転すべりこ機構で往復動する工具台に張架して、幅25
mmのソーダガラスを繰り返し加工(溝入れ)した結果
を図5に示す。加工荷重はブレード1本当たり7.35
N、ブレードのストロークは110mm、往復回転数は
100rpmであり、8分間の加工を行ってその加工量
(切込み深さ、単位mm)から加工能率(mm/mi
n)を算出した。切削部に供給する加工液は、30重量
%の遊離砥粒を含む加工液(スラリー)であり、加工能
率の差を比較するための従来方法の加工には、加工液と
して水道水を用いた。なお遊離砥粒を含む加工液として
は、遊離砥粒の粗さが1500番(粒径約10μ、図5
の白丸印)、1000番(約15μ、黒丸印)、800
番(約18μ、半黒白丸印)及び600番(約25μ、
白三角印)の四種類を用いた。また水道水を用いた従来
方法の結果は図の黒三角印である。
【0015】図5より固定砥粒と遊離砥粒の両方を用い
る加工方法(以下「混合方式」という)と固定砥粒のみ
による加工方法(以下「固定砥粒方式」という)を比較
してみると、加工回数1回目の加工能率は3.75mm
/分前後であまり差はないが、加工回数が増えるに従っ
て、固定砥粒方式は混合方式に比べて加工能率が急激に
減少し、約40回で加工能率は0.125mm/分以下
となっている。これに対し混合方式は、加工能率の減少
が緩やかで加工回数80回前後でほぼ一定値となり、そ
れ以後はその値を保ち続ける。混合方式では遊離砥粒が
加工部に介在しているため、固定砥粒が目詰まりをする
ことがなく、また固定砥粒が遊離砥粒のホルダとしての
作用を果たすため、固定砥粒方式に比べて加工能率の減
少が軽減されると考えられる。
る加工方法(以下「混合方式」という)と固定砥粒のみ
による加工方法(以下「固定砥粒方式」という)を比較
してみると、加工回数1回目の加工能率は3.75mm
/分前後であまり差はないが、加工回数が増えるに従っ
て、固定砥粒方式は混合方式に比べて加工能率が急激に
減少し、約40回で加工能率は0.125mm/分以下
となっている。これに対し混合方式は、加工能率の減少
が緩やかで加工回数80回前後でほぼ一定値となり、そ
れ以後はその値を保ち続ける。混合方式では遊離砥粒が
加工部に介在しているため、固定砥粒が目詰まりをする
ことがなく、また固定砥粒が遊離砥粒のホルダとしての
作用を果たすため、固定砥粒方式に比べて加工能率の減
少が軽減されると考えられる。
【0016】また、混合方式において、加工液に混合し
た遊離砥粒の粒度が相違しても、1回目はあまり差がな
いが、それ以後は遊離砥粒径が大きいほど加工能率の減
少が緩やかである。遊離砥粒の粒径が大きくなると、砥
粒1個当たりの加工量が増大する。また固定砥粒が摩耗
したとき、図1(a)から(c)に示すように、工具の
メッキ層13と加工物3との間の間隙31(メッキ層か
らの固定砥粒の突出高さ)に存在している遊離砥粒32
が固定砥粒12によって保持されやすくなるとともに、
当該隙間に保持された遊離砥粒32が加工に大きく寄与
するためと考えられる。
た遊離砥粒の粒度が相違しても、1回目はあまり差がな
いが、それ以後は遊離砥粒径が大きいほど加工能率の減
少が緩やかである。遊離砥粒の粒径が大きくなると、砥
粒1個当たりの加工量が増大する。また固定砥粒が摩耗
したとき、図1(a)から(c)に示すように、工具の
メッキ層13と加工物3との間の間隙31(メッキ層か
らの固定砥粒の突出高さ)に存在している遊離砥粒32
が固定砥粒12によって保持されやすくなるとともに、
当該隙間に保持された遊離砥粒32が加工に大きく寄与
するためと考えられる。
【0017】図1は工具1に固定されたダイヤモンド砥
粒12が摩耗するに従って、加工液中の遊離砥粒32が
工具のニッケルメッキ層13と加工物3との間に保持さ
れやすくなる様子を示したもので、切削回数が少ない
(a)の状態では、メッキ層13の表面と工作物3の表
面との間の隙間31が大きく、遊離砥粒32は加工液と
ともに遊動して、あまり加工能率に寄与しないのに対
し、固定砥粒12が摩耗した同図(c)の状態では、メ
ッキ層13の表面と加工物3の表面との間の隙間31が
狭くなり、この隙間に加工液中の遊離砥粒32が保持さ
れて、加工能率に寄与することが理解される。このよう
な遊離砥粒32の作用は、遊離砥粒32の粒径が大きい
ほど有効であるが、ニッケルメッキ層13からの固定砥
粒12の突出高さHより遊離砥粒32の粒径が大きい
と、固定砥粒12の切削作用が阻害されるため、加工能
率は却って低下する。
粒12が摩耗するに従って、加工液中の遊離砥粒32が
工具のニッケルメッキ層13と加工物3との間に保持さ
れやすくなる様子を示したもので、切削回数が少ない
(a)の状態では、メッキ層13の表面と工作物3の表
面との間の隙間31が大きく、遊離砥粒32は加工液と
ともに遊動して、あまり加工能率に寄与しないのに対
し、固定砥粒12が摩耗した同図(c)の状態では、メ
ッキ層13の表面と加工物3の表面との間の隙間31が
狭くなり、この隙間に加工液中の遊離砥粒32が保持さ
れて、加工能率に寄与することが理解される。このよう
な遊離砥粒32の作用は、遊離砥粒32の粒径が大きい
ほど有効であるが、ニッケルメッキ層13からの固定砥
粒12の突出高さHより遊離砥粒32の粒径が大きい
と、固定砥粒12の切削作用が阻害されるため、加工能
率は却って低下する。
【0018】このように、従来の固定砥粒方法の切断な
いし溝入れ加工とこの発明の方法(上記混合方式)によ
る切断ないし溝入れ加工とを比較すると、切断初期にお
ける加工能率は余り差がないが、1本の工具を繰り返し
使用したときの加工能率の低下の度合いに顕著な差があ
り、連続的に多数の硬質脆性材料を切断するときの加工
能率は、この発明の方法が従来の固定砥粒方式よりはる
かに高能率である。
いし溝入れ加工とこの発明の方法(上記混合方式)によ
る切断ないし溝入れ加工とを比較すると、切断初期にお
ける加工能率は余り差がないが、1本の工具を繰り返し
使用したときの加工能率の低下の度合いに顕著な差があ
り、連続的に多数の硬質脆性材料を切断するときの加工
能率は、この発明の方法が従来の固定砥粒方式よりはる
かに高能率である。
【0019】図6は粒度1500番の遊離砥粒を含む加
工液を用いた加工において、工具の前述した後メッキを
30分(図6の白丸印)、40分(黒丸印)及び50分
(半黒白丸印)行った三種類工具について加工回数(横
軸)と加工能率(縦軸)との関係を測定したものであ
る。図6より明らかなように、後メッキを長く行ったも
の、すなわちメッキ層が厚いものの方が全般的に加工能
率が向上している。このことは、メッキ層の厚さの厚
い、従ってメッキ層の表面と加工物の表面との間の間隙
が狭い後メッキを多く行った工具が、図1の(a)と
(c)の対比で行った説明と同様に、メッキ層表面と加
工物の間での遊離砥粒の保持性が良く、従って加工能率
が向上すると考えられ、前述した遊離砥粒の作用の考察
と合致する。
工液を用いた加工において、工具の前述した後メッキを
30分(図6の白丸印)、40分(黒丸印)及び50分
(半黒白丸印)行った三種類工具について加工回数(横
軸)と加工能率(縦軸)との関係を測定したものであ
る。図6より明らかなように、後メッキを長く行ったも
の、すなわちメッキ層が厚いものの方が全般的に加工能
率が向上している。このことは、メッキ層の厚さの厚
い、従ってメッキ層の表面と加工物の表面との間の間隙
が狭い後メッキを多く行った工具が、図1の(a)と
(c)の対比で行った説明と同様に、メッキ層表面と加
工物の間での遊離砥粒の保持性が良く、従って加工能率
が向上すると考えられ、前述した遊離砥粒の作用の考察
と合致する。
【0020】
【発明の効果】以上の試験結果に示されたように、硬質
脆性材料の切断ないし溝入れ加工において、切刃部分に
固定砥粒をメッキ層で固定した直線ブレード状の固定砥
粒工具を用い、加工部に工具に固定した砥粒の突出高さ
より小さい粒径の遊離砥粒を含む加工液を供給して加工
を行うことにより、複数個の加工を行った後の工具の加
工能率が従来の固定砥粒方式での加工能率に比べてはる
かに高くなり、また1本の工具で能率良く加工を行うこ
とができるワークの個数も増大するという効果が得られ
る。なお、母材にワイヤを用いたものは、工具寿命が短
く、多数のワークを切断する前にワイヤ切れを起こして
しまうので、この発明の方法の工具には適さない。
脆性材料の切断ないし溝入れ加工において、切刃部分に
固定砥粒をメッキ層で固定した直線ブレード状の固定砥
粒工具を用い、加工部に工具に固定した砥粒の突出高さ
より小さい粒径の遊離砥粒を含む加工液を供給して加工
を行うことにより、複数個の加工を行った後の工具の加
工能率が従来の固定砥粒方式での加工能率に比べてはる
かに高くなり、また1本の工具で能率良く加工を行うこ
とができるワークの個数も増大するという効果が得られ
る。なお、母材にワイヤを用いたものは、工具寿命が短
く、多数のワークを切断する前にワイヤ切れを起こして
しまうので、この発明の方法の工具には適さない。
【図1】この発明方法における遊離砥粒の作用を示す模
式図
式図
【図2】固定砥粒工具の側面図
【図3】固定砥粒工具の拡大断面図
【図4】工具への砥粒の電着装置の説明図
【図5】加工試験結果を示すグラフ
【図6】後メッキ時間と加工能率の関係を示すグラフ
1 工具 11 母材 12 タイヤモンド砥粒 13 ニッケルメッキ層 32 遊離砥粒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B24D 3/06 B24D 3/06 B B28D 7/02 B28D 7/02
Claims (3)
- 【請求項1】 硬質脆性材料の切断ないし溝入れ加工方
法において、固定砥粒(12)を薄板金属母材(11)の表面に
電着したメッキ層(13)で保持した直線ブレード状の固定
砥粒工具(1) を用い、加工部に前記固定砥粒工具のメッ
キ層(13)からの固定砥粒の突出高さ(H) より小径の遊離
砥粒(32)を混合した加工液を供給しながら加工を行うこ
とを特徴とする、硬質脆性材料の切断ないし溝入れ加工
方法。 - 【請求項2】 固定砥粒(12)がダイヤモンド砥粒であ
り、この固定砥粒を保持するメッキ層(13)がニッケルメ
ッキ層である、請求項1記載の硬質脆性材料の切断ない
し溝入れ加工方法。 - 【請求項3】 ワークにブレード状工具(1) の切込み方
向の相対振動を加えながら加工を行うことを特徴とす
る、請求項1又は2記載の硬質脆性材料の切断ないし溝
入れ加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9325096A JPH09254146A (ja) | 1996-03-22 | 1996-03-22 | 硬質脆性材料の切断ないし溝入れ加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9325096A JPH09254146A (ja) | 1996-03-22 | 1996-03-22 | 硬質脆性材料の切断ないし溝入れ加工方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09254146A true JPH09254146A (ja) | 1997-09-30 |
Family
ID=14077268
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9325096A Pending JPH09254146A (ja) | 1996-03-22 | 1996-03-22 | 硬質脆性材料の切断ないし溝入れ加工方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09254146A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100492987B1 (ko) * | 1997-10-13 | 2005-09-08 | 삼성전자주식회사 | 연마패드 콘디셔너 |
CN102357930A (zh) * | 2011-08-18 | 2012-02-22 | 江苏神龙光电科技有限公司 | 一种光伏硅材料金刚石带锯条及其加工方法 |
CN106363693A (zh) * | 2016-10-14 | 2017-02-01 | 南京航空航天大学 | 一种用于铣削纤维增强复合材料的刀具 |
-
1996
- 1996-03-22 JP JP9325096A patent/JPH09254146A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100492987B1 (ko) * | 1997-10-13 | 2005-09-08 | 삼성전자주식회사 | 연마패드 콘디셔너 |
CN102357930A (zh) * | 2011-08-18 | 2012-02-22 | 江苏神龙光电科技有限公司 | 一种光伏硅材料金刚石带锯条及其加工方法 |
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