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JPH0912594A - ステロイド骨格を有する化合物類及びそれらによるゴキブリ拘束物質の製造方法ならびにステロイド骨格を有する新規化合物 - Google Patents

ステロイド骨格を有する化合物類及びそれらによるゴキブリ拘束物質の製造方法ならびにステロイド骨格を有する新規化合物

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Publication number
JPH0912594A
JPH0912594A JP7166197A JP16619795A JPH0912594A JP H0912594 A JPH0912594 A JP H0912594A JP 7166197 A JP7166197 A JP 7166197A JP 16619795 A JP16619795 A JP 16619795A JP H0912594 A JPH0912594 A JP H0912594A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
isomer
represented
mixture
epoxy
cockroach
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7166197A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Mori
謙治 森
Masayuki Sakuma
正幸 佐久間
Toru Nakayama
亨 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Earth Corp
Original Assignee
Earth Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Earth Chemical Co Ltd filed Critical Earth Chemical Co Ltd
Priority to JP7166197A priority Critical patent/JPH0912594A/ja
Publication of JPH0912594A publication Critical patent/JPH0912594A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 実用的なゴキブリ拘束物質を提供すること、
および、新規なステロイド配糖体を提供すること。 【構成】 スティグマステロール、デヒドロデオキシア
ンドロステロールあるいはコレステロールなどから出発
し、ゴキブリ拘束物質となるものを含むハロゲン化ステ
ロイド配糖体を製造する反応過程において、6α−及び
6β−ハロステロイドの混合物から(6α−の)α異性
体を分離し、回収したβ異性体をα異性体に異性化させ
て、最終製品のハロゲン化ステロイド配糖体の収率を向
上し、ゴキブリ拘束物質の価格を下げること、およびデ
ヒドロデオキシアンドロステロールから新規なハロゲン
化ステロイド配糖体を合成したこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハロゲン化されたステ
ロイド配糖体の製造方法に関し、特に該製造方法による
ゴキブリ拘束物質の製造方法に関し、また本発明の製造
方法による新規なハロゲン化されたステロイド配糖体に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりゴキブリを防除するために使用
されるゴキブリ誘引剤や毒餌剤において、ゴキブリが誘
引剤や毒餌剤に集まりやすくするために、また前記誘引
剤や毒餌剤を摂食するようにするために種々の誘引物質
を併用することが検討され、そのため種々の誘引物質の
開発研究が行われている。
【0003】害虫誘引剤に関する公知文献としては、例
えば、バニリン、ピペロールなどが直翅目、すなわちゴ
キブリ、コオロギ、バッタ、キリギリス、カマキリ、カ
マドウなどに対して誘引性があることを記載した特公昭
54−11367号公報があり、またその他ゴキブリ誘
引剤としてはアロエまたはユーカリ植物およびその抽出
物、炭素数7ないし9のケトン、エチルバニリン、イソ
バニリン、ピペロナールアセトン、2,6−ノナジエナ
ール、ボルニルアセテート、ペリプラノン類などが挙げ
られる。
【0004】また最近ではトリメチルアミン、ジエチル
アミン、イソブチルアミンなどのアルキルアミン類や2
−ジメチルアミノエタノール、1−ジメチルアミノ−2
−メチル−2−プロパノールなどのアミノアルコール類
がゴキブリに対して高い誘引性を示すことが報告されて
いる(特開平6−25279号公報)。しかしこれらの
誘引物質は効果の持続性に乏しい。
【0005】最近、前記したアルキルアミン類やアミノ
アルコール類などのゴキブリ誘引物質に下記ヘキソピラ
ノース基などがβ結合で付加され、6位がハロゲン化さ
れたステロイド骨格を有するゴキブリ拘束物質を配合し
てなるゴキブリ集合フェロモンがゴキブリの誘引に持続
性のある優れた効果を示すことを提案している(特開平
6−25279号公報)。
【0006】また、前記6位がハロゲン化されたステロ
イド骨格に、グルコピラノース基がβ結合で付加した、
ブラッテラスタノシドAおよびB(Blattellastanoside
A and B) の合成方法が報告されている。(Liebigs An
n. Chem. 1993,665-670)しかしながら、前記ブラッテラ
スタノシドAおよびBの合成方法は収率が低いので、ゴ
キブリ拘束物質として実用することには問題であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来のゴキブリ拘束物
質としての前記ブラッテラスタノシドAおよびBのよう
なステロイド配糖体の製造方法における問題点を解決
し、実用的なゴキブリ拘束物質を提供すること、およ
び、新規なステロイド配糖体を提供することが本発明の
課題である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するために鋭意検討を行った結果、下記の収率の高いス
テロイド骨格を有する化合物類(ステロイド配糖体類)
の製造方法を見出し、ステロイド骨格を有するゴキブリ
拘束物質であるブラッテラスタノシドA及びその類縁化
合物の収率の高い製造方法を提供して前記課題を解決し
た。
【0009】すなわち、収率の高い本発明のステロイド
配糖体類の製造方法は、 {1}下記一般式2で表される中間化合物を有機溶媒
中、触媒存在下に脱水することにより、下記一般式3で
表される中間化合物のβ異性体とエピマー化した下記一
般式4で表される中間化合物のα異性体との混合物を
得、さらに前記α異性体をβ−エポキシアルコール化
し、常法によりβ−ヘキソピラノース基を付加して下記
一般式5で表されるステロイド骨格を有する化合物類を
得る製造方法において、前記混合物から前記一般式4で
表される中間化合物のα異性体を分離した後、回収した
前記一般式3で表される中間化合物のβ異性体を有機溶
媒中、触媒存在下にエピマー化することにより、その大
半を前記中間化合物のα異性体に異性化させ、得られた
異性体混合物から前記中間化合物のα異性体を分離する
回収・異性化過程を少なくとも1回実施した後、前記中
間化合物のα異性体をβ−エポキシアルコール化するこ
とを特徴とする一般式5で表されるステロイド骨格を有
する化合物類の製造方法である。ここで有機溶媒とは、
一般式2で表される中間体を溶解するものであれば特に
限定されないが、好ましくはクロロホルム、ジクロロメ
タンである。
【0010】
【化6】
【0011】(式中Rは水素原子、または炭素数が1〜
12の鎖状または分枝状アルキル基を表し、Xはハロゲ
ン原子を表す。)
【0012】
【化7】
【0013】(式中Rは水素原子、または炭素数が1〜
12の鎖状または分枝状アルキル基を表し、Xはハロゲ
ン原子を表す。)
【0014】なお、前記{1}に記載した前記一般式5
で表されるステロイド骨格を有する化合物類を得るに
は、下記一般式1で表される化合物を出発原料として製
造するのが好ましい製造方法である。
【0015】
【化8】
【0016】(式中Rは水素原子、または炭素数が1〜
12の鎖状または分枝状アルキル基を表し、Xはハロゲ
ン原子を表す。)
【0017】また、スティグマスタンを用いて下記化学
式1で表されるβ−シトステロールを製造し、該β−シ
トステロールから下記プロセスを経て高い収率でゴキブ
リ拘束物質であり、下記化学式2で表わされるブラッテ
ラスタノシドAを得た。(化学式2で表わされるブラッ
テラスタノシドAは、また、第1表に記載される化合物
Eである。) すなわち、{2}下記化学式1で表されるβ−シトステ
ロールから6β−クロロ−5α−ヒドロキシ−5α−ス
ティグマスタン−3−オンに導き、6β−クロロ−5α
−ヒドロキシ−5α−スティグマスタン−3−オンを有
機溶媒中、触媒存在下に脱水して、エピマー化したα異
性体の6α−クロロスティグマスタ−4−エン−3−オ
ンとβ異性体の6β−クロロスティグマスタ−4−エン
−3−オンの混合物を得、さらに前記α異性体をβ−エ
ポキシアルコール化し、常法によりβ−ヘキソピラノー
ス基を付加して下記化学式2で表されるブラッテラスタ
ノシドAとするゴキブリ拘束物質の製造方法において、
前記α異性体とβ異性体との混合物からα異性体を分離
した後、回収した前記β異性体を有機溶媒中、触媒存在
下にエピマー化することによりその大半を前記α異性体
に異性化させ、得られた混合物からα異性体を分離する
回収・異性化過程を少なくとも1回実施した後、前記α
異性体をβ−エポキシアルコール化することを特徴とす
るゴキブリ拘束物質の製造方法である。
【0018】
【化9】
【0019】さらにまた、下記化学式3で表わされるコ
レステロールを用いて下記プロセスを経て高い収率でブ
ラッテラスタノシドAとは別の下記化学式4で表わされ
るゴキブリ拘束物質を得た。(この化合物はまた、第1
表に記載される化合物Aである。) すなわち、{3}下記化学式3で表されるコレステロー
ルから6β−クロロ−5α−ヒドロキシ−5α−コレス
タン−3−オンに導き、6β−クロロ−5α−ヒドロキ
シ−5α−コレスタン−3−オンを有機溶媒中、触媒存
在下に脱水して、エピマー化したα異性体の6α−クロ
ロコレスタ−4−エン−3−オンとエピマー化していな
いβ異性体の6β−クロロコレスタ−4−エン−3−オ
ンの混合物を得、さらに前記α異性体をβ−エポキシア
ルコール化し、常法によりβ−ヘキソピラノース基を付
加して下記化学式4で表される6α−クロロ−4β,5
−エポキシ−5β−コレスタン−3β−イル β−D−
グルコピラノシドとするゴキブリ拘束物質の製造方法に
おいて、前記α異性体とβ異性体との混合物からα異性
体を分離した後、回収した前記β異性体を有機溶媒中、
触媒存在下にエピマー化することによりその大半を前記
α異性体に異性化させ、得られた混合物からα異性体を
分離する回収・異性化過程を少なくとも1回実施した
後、前記α異性体をβ−エポキシアルコール化すること
を特徴とするゴキブリ拘束物質の製造方法である。
【0020】コレステロール(天然に産生する原料)か
ら下記化学式4で表わされる6α−クロロ−4β,5−
エポキシ−5β−コレスタン−3β−イル β−D−グ
ルコピラノシドを製造する前記{3}のゴキブリ拘束物
質の製造方法は、前記スティグマスタン(天然に産生す
る原料)から出発し前記化学式1で表わされるβ−シト
ステロールを製造し、このβ−シトステロールを前記
{2}の方法により前記化学式2で表わされるブラッテ
ラスタノシドAとするゴキブリ拘束物質の製造方法より
も工程が短く、総合収率も良いので優れた製造方法であ
る。
【0021】
【化10】
【0022】また、下記化学式6で表されるステロイド
骨格を有する化合物を出発物質として新規なステロイド
配糖体を開発した。すなわち、{4}下記化学式5で表
される6α−クロロ−4β、5−エポキシ−5β−アン
ドロスタン−3β−イル β−D−グルコピラノシドで
ある。(この化合物はまた、第1表に記載される化合物
Bである。)
【0023】
【化11】
【0024】
【化12】
【0025】前記脱水反応を触媒する触媒としては、塩
化水素、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素、過塩素酸などの
無機酸、または、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンス
ルホン酸、シュウ酸などの有機酸あるいはナトリウムエ
トキシド、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、ブチ
ルリチウムなどの塩基が挙げられ、好ましくは塩化水
素、塩酸である。
【0026】前記{1}に記載の前記一般式5で表され
るステロイド骨格を有する化合物類の製造のプロセスを
図3及び図4に示す。また、前記の文献、すなわち Lie
bigsAnn. Chem. 1993,665-670 に記載されているβ−
シトステロールから前記ブラッテラスタノシドAを製造
するプロセスを図1及び図2に示す。
【0027】先ず以下に Liebigs Ann. Chem. 1993,665
-670 の記載に従って、図1及び図2に記載したブラッ
テラスタノシドAの合成プロセスを説明する。市販のス
ティグマステロールから導かれるβ−シトステロール
(2)は前記一般式1で表される化合物のRが炭素数が
10の分枝状アルキル基である。このβ−シトステロー
ル(2)をメチレンクロライド中でメタクロロ過安息香
酸(MCPBA)によってエポキシ化すると、5α,6
α−エポキシスティグマスタン−3β−オールと5β,
6β−エポキシスティグマスタン−3β−オールの4対
1混合物〔図中(3)で表される化合物で以下(3)の
ように略記する〕となる。化合物(3)を混合物のま
ま、クロロホルムに溶解し氷冷下に塩化水素のクロロホ
ルム溶液を添加し、反応後クロロホルムと過剰の塩化水
素を除去し、アセトンとメチレンクロライドに再溶解
し、この溶液にジョーンズ試薬を添加して酸化すると6
α−クロロ−5−ヒドロキシ−5α−スティグマスタン
−3−オンすなわちクロロケトール(4)となる。
【0028】このクロロケトール(4)を酢酸中の塩酸
と加熱して脱水すると炭素−6の位置でエピマー化して
α結合の塩素原子を有するα,β−不飽和ケトン(5)
となる。このα,β−不飽和ケトン(5)を水素化リチ
ウムトリターシャリーブトキシアルミニウムで還元する
と炭素−3の位置にβ結合の水酸基をもつものが生成
し、このアリルアルコール的性質の化合物(10)を過
酸化水素あるいはメタクロロ過安息香酸(MCPBA)
など有機過酸によりエポキシ化すると、6α−クロロ−
4β,5−エポキシ−5β−スティグマスタン−3β−
オールすなわち化合物(7)となる。この化合物(7)
は精製するのが困難であるので、アセチル化してからク
ロマト分離して精製する。精製して得た化合物(6)は
ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL)
で還元すると化合物(7)に定量的に戻る。化合物
(7)をアセトブロモ−D−グルコース(8)を用いる
ケーニッヒ−クノール法によってβ−グルコース化し、
最終的にテトラヒドロフラン−メタノール−ナトリウム
メトキシド系で脱アセチル化して、目的のブラッテラス
タノシドA(1)が得られる。
【0029】前記β−シトステロール(2)から10ス
テップを経てブラッテラスタノシドA(1)が得られる
プロセスの総合収率は16%であると記載されている。
この総合収率16%という値は、ブラッテラスタノシド
Aを実用化するには低い収率である。
【0030】本発明は、図3及び図4に示すように、前
記一般式1で表される化合物(10)をメタクロロ過安
息香酸によるエポキシ化を行い一般式で示される化合物
(11)を得、化合物(11)を有機溶媒中のハロゲン
化水素などの酸で処理し、続いてジョーンズ酸化を経
て、前記一般式2で表される中間化合物(12)が得ら
れる。(前半の反応プロセス)
【0031】本発明においては、前記中間化合物(1
2)をクロロホルムなどの有機溶媒中、触媒存在下に脱
水することにより、前記一般式3で表される中間化合物
のβ異性体(13)と前記一般式4で表される中間化合
物のエピマー化したα異性体(14)が得られる。 得
られた混合物からシリカゲルを用いたクロマト分離を行
い中間化合物のα異性体を分離する。残部の中間化合物
のβ異性体(13)を前記と同様に処理すると中間化合
物のβ異性体(13)の大半がα異性体(14)に異性
化する。この事実を見出したことが本発明の特徴であ
る。本発明のこの回収・異性化過程は2回あるいはそれ
以上繰り返すことができ、それによってβ異性体(1
3)からα異性体(14)への変換率は向上する。(本
発明の中間反応プロセス)
【0032】続いて、中間化合物α異性体(14)を水
素化リチウムトリターシャリーブトキシアルミニウムで
還元すると炭素−3の位置に水酸基をもつものが生成
し、このアリルアルコールをメタクロロ過安息香酸(M
CPBA)でエポキシ化すると一般式で示される化合物
(15)が得られる。化合物(15)を乾燥ベンゼンと
乾燥ニトロメタンの混合溶媒に溶解し、テトラアセチル
−α−D−グルコピラノシルブロミド(8)またはテト
ラアセチル−α−D−ガラクトピラノシルブロミドなど
をシアン化第2水銀あるいは臭化水銀などの水銀塩と共
に20〜150℃、好ましくは80〜100℃で30分
から10時間、好ましくは1〜2時間反応させ(ケーニ
ッヒ−クノール法という)炭素−3位のβ位の水酸基に
ヘキソピラノース基を付加し、最後に脱アセチル化を行
い、目的物を得る。(後半の反応プロセス)
【0033】図1(図2)と図3(図4)を比較する
と、図3の前記一般式2で表される中間化合物(12)
を得るまでの前半の反応プロセスおよび前記一般式4で
表される中間化合物α異性体(14)を分離した後、さ
らにβ−エポキシアルコール化し、常法によりβ−ヘキ
ソピラノース基を付加し、前記一般式5で表されるステ
ロイド骨格を有する化合物類を製造する後半の反応プロ
セスは、図1(図2)に示す前記ブラッテラスタノシド
Aの合成プロセスの一部と同様である。
【0034】本発明の特徴は、前記中間反応プロセスを
行うこと、すなわち、エピマー化していない中間化合物
のβ異性体(13)を回収、エピマー化させることによ
って、中間化合物のα異性体(14)の収率を向上させ
ることにある。
【0035】本発明において、前記一般式1で表される
化合物においてRが炭素数10の分枝状アルキル基であ
るもの、すなわち前記β−シトステロール(2)は、市
販のスティグマステロールを用い、これをステールとモ
ゼティヒの4段階反応によって合成することができる[
J.Org.Chem.28,571(1963)]。前記β−シトステロール
(2)を用いて本発明の前記{2}に記載の方法によっ
て合成したブラッテラスタノシドA(ゴキブリの優れた
拘束物質として知られている。)を総合収率25%とい
う高収率で得ることができる。
【0036】また、前記一般式1で表される化合物にお
いてRが炭素数8の分枝状アルキル基であるものはコレ
ステロールであり、前記{3}に記載の方法によって前
記ブラッテラスタノシドAと同様にゴキブリの優れた拘
束物質であるものが安価に合成できる。また、前記一般
式1で表される化合物においてRが水素原子であるもの
は、デヒドロエピアンドロステロンをジエチレングリコ
ールと苛性カリの存在下にヒドラジンを作用させて還元
して合成することができる。前記一般式1のRが水素原
子であるものから本発明の前記{4}に記載の方法によ
って合成したものは従来合成されていない新規な物質で
ある。
【0037】前記したように、β−シトステロール
(3)を用いて Liebigs Ann. Chem. 1993,665-670 に
記載の方法によっては、ブラッテラスタノシドAは総合
収率16%と低いのは、クロロケタール(4)を酢酸
中、前記触媒中、例えば塩酸で脱水すると炭素−6の位
置でエピマー化して得られる目的とする6α−クロロス
ティグマスタ−4−エン−3−オンの収率が低いためで
ある。
【0038】これに対して、本発明の方法では、前記本
発明の回収・異性化過程を2回以上繰り返すことによっ
て目的とする6α−クロロスティグマスタ−4−エン−
3−オン(α異性体)の収率を従来の約1.5倍に向上
させることができたためブラッテラスタノシドAを総合
収率25%という高収率で得ることができる。
【0039】なお、本発明の方法では、 Liebigs Ann.
Chem. 1993,665-670 に記載の方法で得られた化合物
(7)すなわち、6α−クロロ−4β,5−エポキシ−
5β−スティグマスタン−3β−オールを精製するため
に一旦アセチル化してからクロマト分離して精製するプ
ロセスは必要でなく、6α−クロロ−4β,5エポキシ
−5β−スティグマスタン−3β−オール〔本発明では
化合物(15)〕に直接β−テトラアセチル−D−ヘキ
ソピラノース基を付加させても何ら支障はないため極め
て経済的である。
【0040】以下に新規なステロイド配糖体である前記
化学式5で表される6α−クロロ−4β、5−エポキシ
−5β−アンドロスタン−3β−イル β−D−グルコ
ピラノシド(第1表、化合物B)の製造方法の詳細を述
べる(図4及び図5参照)。ジエチレングリコール(4
00ml)にデヒドロエピアンドロステロン(13.0
0g,45.0mmol)、KOH(23.60g,
0.42mol)およびヒドラジン一水和物(44.0
ml,0.88mol)を加え、120℃に1時間加熱
した後、外温を230℃まで上げて、水およびヒドラジ
ンを留去し、生成したヒドラゾンを分解した。
【0041】反応終了後、反応混合物を水(2l)に注
ぎ、析出した結晶を回収、水洗した後、乾燥させ、アセ
トンから再結晶してアンドロスタ−4−エン−3β−オ
ール〔17〕を得た。
【0042】アンドロスタ−4−エン−3β−オール
(17)(10.50g,38.3mmol)の塩化メ
チレン(300ml)溶液に0℃でm−クロロ過安息香
酸(55%純度,11.50g,36.7mmol)の
塩化メチレン(50ml)溶液を滴下した。室温で1時
間攪拌反応させた。反応液を10%亜硫酸ナトリウム水
溶液、5%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和重曹水、そ
して飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで
乾燥した。溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー〔120g,n−ヘキサン/酢酸エチ
ル(5/1〜3/1)〕で精製し、5α,6α−エポキ
シアンドロスタン−3β−オール(αエポキシ体)を5
β,6β−エポキシアンドロスタン−3β−オール(β
エポキシ体)との(α/β=4/1)の混合物(18)
として得た。このものは、これ以上精製することなくα
エポキシ体とβエポキシ体の混合物(18)のまま次の
反応に用いた。
【0043】前記エポキシアンドロスタン−3β−オー
ルのαエポキシ体とβエポキシ体の混合物(18)の1
0.00g(34.4mmol)のクロロホルム(50
0ml)溶液に氷冷下、乾燥塩化水素ガスを飽和になる
まで通じ、その温度にて1時間攪拌・反応させた。反応
後、溶媒を減圧下に留去した後、残留物を塩化メチレン
(200ml)とアセトン(400ml)の混合溶媒に
溶かし、ジョーンズ(JONES)試薬40mlを氷冷
下に加え、1時間反応させた。反応後、2−プロパノー
ル(40ml)を加え、45分間反応させた後、減圧下
に溶媒を留去した。残渣に水(500ml)を加え、析
出した結晶を回収、水洗、乾燥した。このものをヘキサ
ンで洗浄した後、エタノールから再結晶して目的物6β
−クロロ−5α−ヒドロキシ−5αアンドロスタン−3
−オン(19)を得た。
【0044】クロロケトール(19)(前記6β−クロ
ロ−5α−ヒドロキシ−5α−アンドロスタン−3−オ
ンの200g、6.15ml)をクロロホルム(200
ml)に溶かし、無水硫酸マグネシウム(5.00g)
および濃塩酸(3.0ml)を加え、室温にて、1.5
時間反応させた。反応後、不溶物を濾別し、濾液を水、
10%炭酸ナトリウム、水そして飽和食塩水にて順次洗
浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を留去
した後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
〔SiO2 ,60g(nヘキサン/酢酸エチル(30/
1〜20/1)〕で精製し、さらにジイソプロピルエー
テルから再結晶して、目的物(21)(6α−クロロア
ンドロスタ−4−エン−3−オン(0.59g)と異性
体(20)との混合物(1.01g)を得た。この混合
物を再度前記と同じ操作を行い目的物(6α−クロロア
ンドロスタ−4−エン−3−オン 0.44g)と異性
体との混合物(0.31g)を得た。前記の操作により
得られた6α−クロロアンドロスタ−4−エン−3−オ
ン(21)は合計1.41g(収率74.1%)であっ
た。
【0045】水素化リチウムトリターシャリーブトキシ
アルミニウム(2.69g,10.58mmol)の乾
燥テトラヒドロフラン(300ml)の懸濁液に、氷冷
下クロロエノン(21)(2.50g,8.14mmo
l)の乾燥テトラヒドロフラン(50ml)の溶液を滴
下し、2.5時間反応させた。反応後過剰の水素化物を
1N−塩酸にて分解した後、酢酸エチル(200ml)
を加え飽和食塩水で洗浄した。ついで、有機層を無水硫
酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に有機溶媒を留去
した残渣をジクロロメタン(300ml)に溶かし、水
冷下にm−クロロ過安息香酸(2.80g,55%純
度,8.90mmol)のジクロロメタン(100m
l)溶液を加え、2時間反応させた。反応後10%亜硫
酸ナトリウム水溶液、5%チオ硫酸ナトリウム水溶液、
水、10%重曹水溶液、水そして飽和食塩水で順次洗浄
した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を留去した
残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ〔SiO2
90g(nヘキサン/酢酸エチル(10/1〜5/
1)〕で精製した後、さらにn−ヘキサンから再結晶し
て、目的物(6α−クロロ−4β、5−エポキシ−5β
−アンドロスタン−3β−オール(22)を得た(1.
88g,収率71.2%)。
【0046】アグリコン(22)(0.80g 2.4
6mmol)を乾燥ベンゼン(75ml)と乾燥ニトロ
メタン(75ml)に溶解させ、アルゴン気流中、11
0℃に加熱して、溶媒を約75mlまで濃縮した後、室
温まで冷却した。このものにテトラアセチル−α−D−
グルコピラノシルブロシド(2.02g,4.92mm
ol)およびシアン化第2水銀(1.21g,4.92
mmol)を加え、90℃にて1.5時間反応させた。
反応後、室温まで冷却した後、酢酸エチル(200m
l)を加え、有機層を飽和重曹水、水、そして飽和食塩
水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た後、濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー〔SiO2 ,90g、nヘキサン/酢酸エ
チル10/1〜5/1〕及びメタノールから再結晶精製
して、目的物(6α−クロロ−4β、5−エポキシ−5
β−アンドロスタン−3β−イル 2,3,4,6−テ
トラアセチル−β−D−グルコピラノシド(23)
(1.10g,収率68.3%)を得た。
【0047】前記テトラアセチル体(23)から目的と
する新規ステロイド配糖体(B)は、以下のように合成
される。テトラアセチル体(23)をテトラヒドロフラ
ンとメタノールの1:1混合溶媒に溶解し、28%ナト
リウムメトキシドのメタノール溶液をゆっくり加えた
後、室温で1時間反応させた。反応後、氷冷下に10%
クエン酸水溶液をゆっくり加え中和した。有機溶媒を減
圧下室温で留去した残渣を常法により処理し、シリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー〔SiO2 ,30g、クロ
ロホルム/メタノール20/1〕で精製した後、さらに
95%エタノールから再結晶して目的の6α−クロロ−
4β、5−エポキシ−5β−アンドロスタン−3β−イ
ル β−D−グルコピラノシド(B)を得た。
【0048】6α−クロロ−4β、5−エポキシ−5β
−アンドロスタン−3β−イル β−D−グルコピラノ
シド(B)の物性値は以下の通りである。 融点 : 219〜220℃ 比旋光度(23℃,D線):−58.9(c=1.03
5,エタノール) 赤外線極大吸収位置(KBr):3450(s,0−
H),2950(s),1510(m),1445
(m),1360(m),1205(m)1155
(m),1065(s,C−O),1010(s,C−
O),900(m),760(m)cm-1 プロトンNMR(300MHz) 溶媒:重クロロホルム 内部標準:TMS δ;0.71(3H,S,18−H),0.91〜1.
80(m) 1.04(3H,S,19−H),2.26(1H,b
r.d,J=8.7Hz),2.53(1H,br.
s),3.42(3H,br.s),3.62(2H,
br.s),3.77〜3.92(m),4.23(1
H,br.s,3−H),4.38〜4.51(m),
4.60(1H,d,J=7.3Hz,1´−H),
4.67(1H,br.s),5.04(1H,br.
s),炭素13 NMR(75MHz) 溶媒:重クロロホルム δ;17.5,18.9,20.6,21.6,23.
7,25.6,30.2,36.3,38.6,40.
3,41.1,42.2,48.7,53.9,56.
2,58.6,62.2,67.7,70.1,72.
2,73.8,75.9,76.5,102.0, 元素分析値 : C2539ClO7 (分子量487.
0);計算値 炭素61.65 水素8.07;実測値
炭素61.22 水素8.09
【0049】ここで、本発明の新規物質を合成する際の
本発明の中間物質の前記α異性体である、6α−クロロ
アンドロスタ−4−エン−3−オン(21)の他の合成
方法について記載する。 (i)クロロケトール(19)(0.50g,1.54
mmol)をアセトニトリル(20ml)に濃塩酸
(1.2ml)を加え、室温で5時間反応させた後、α
異性体を分離し、回収した前記本発明の中間物質の前記
β異性体を再度前記反応条件で処理することにより、そ
の大半を前記中間化合物のα異性体に異性化する回収・
転移過程(以下前記回収・転移過程と略称する)を3回
実施して目的の化合物(21)を合計0.24g(5
1.8%)を得る。
【0050】(ii)クロロケトール(19)(0.50
g,1.54mmol)をジオキサン(20ml)中
で、p−トルエンスルホン酸(1.6g)で12時間室
温下に処理した後、前記回収・転移過程を3回実施して
目的の化合物(21)を得る。 (iii)クロロケトール(19)(0.50g,1.54
mmol)をアセトン(20ml)中で60%過塩素酸
(1.8ml)で24時間室温下に処理した後、前記回
収・転移過程を3回実施して目的の化合物(21)を得
る。
【0051】(iv)クロロケトール(19)(0.50
g,1.54mmol)をテトラヒドロフラン(20m
l)中で濃硫酸(1.1ml)で10時間室温下に処理
した後、前記回収・転移過程を3回実施して目的の化合
物(21)を得る。前記(i)〜(iv)の合成方法で得
た目的の化合物(21)の融点、比旋光度の物性値及び
赤外線極大吸収、プロトンNMR及び炭素13NMRの
スペクトルデータは、前記物性及びスペクトルデータと
一致する。
【0052】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるこ
とはない。第1表に本発明の方法により合成した化合物
を掲載した。このうちB,C及びEは既に本文中に説明
したものである。
【0053】
【表1】
【0054】実施例1 化合物A(6α−クロロ−4β、5−エポキシ−5β−
コレスタン−3β−イル β−D−グルコピラノシド)
の合成について説明する。(図6及び図7参照) コレステロール(24)(38.60g,100.0m
mol)の塩化メチレン溶液(60ml)に氷冷下でm
−クロロ過安息香酸(55%純度,37.64g,12
0.0mmol)の塩化メチレン(400ml)溶液を
加えた後、1時間反応させた。反応液を10%亜硫酸ナ
トリウム水溶液、5%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和
重曹水、そして飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥した。溶媒を留去した残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィーで精製して目的物5α,6α
−エポキシコレスタン−3β−オール(25)を5β,
6β−エポキシコレスタン−3β−オールとの混合物
(4/1)として得た(39.05g,収率97%)。
【0055】前記エポキシアルコールの混合物(25)
(25.00g,62.1mmol)をクロロホルム
(600ml)溶液に氷冷下、乾燥塩化水素ガスを飽和
になるまで通じ1時間攪拌・反応させた。反応後、溶媒
を留去した残渣を塩化メチレン(200ml)とアセト
ン(400ml)の混合溶媒に溶かし、ジョーンズ(J
ONES)試薬47mlを氷冷下に加え、1時間反応さ
せた。次に2−プロパノール(25ml)を30分間反
応させた後、減圧下に大部分の有機溶媒を留去した残渣
に水を加え、析出した結晶を回収、水洗、乾燥した後、
エタノールから再結晶して目的物6β−クロロ−5α−
ヒドロキシ−5αコレスタン−3−オン(26)を得た
(19.54g,収率72%)。
【0056】クロロケトール(26)(5.00g,1
1.4ml)をクロロホルム(500ml)に溶解し、
無水硫酸マグネシウム(12.50g)および濃塩酸
(7.5ml)を加え、室温にて、1.5時間反応させ
た後、常法とおり処理して、6α−クロロコレスタ−4
−エン−3−オン(28)とそのβ異性体を得た。この
混合物について、本発明の前記回収・異性化過程と同様
の過程を2回実施して6α−クロロコレスタ−4−エン
−3−オン(28)を得た(3.57g,収率74.5
%)。
【0057】6α−クロロコレスタ−4−エン−3−オ
ン(28)(2.50g,5.96mmol)を乾燥テ
トラヒドロフラン(100ml)中で水素化リチウムト
リターシャリーブトキシアルミニウムで還元した後、得
られた粗生成物をm−クロロ過安息香酸(2.06g,
6.56mmol)とジクロロメタン(150ml)中
で反応させ、得られた生成物をシリカゲカラムクロマト
グラフィで精製して6α−クロロ−4β、5−エポキシ
−5β−コレスタン−3β−オール(29)を得た
(1.85g,収率70.9%)。
【0058】前記(29)(1.50g,3.43mm
ol)を乾燥ベンゼンと乾燥ニトロメタンの1:1混合
溶媒(200ml)に溶解し、この溶液にテトラアセチ
ル−α−D−グルコピラノシルブロシド(8)(2.8
2g,6.82mmol)およびシアン化第2水銀
(1.73g,6.82mmol)を加え、90℃にて
1.5時間反応させた後、後処理し、次いでシリカゲル
カラムクロマトグラフィーとメタノールから再結晶にて
精製して、目的物(6α−クロロ−4β、5−エポキシ
−5β−アンドロスタン−3β−イル 2,3,4,6
−テトラアセチル−β−D−グルコピラノシド(30)
(1.87g,収率71%)を得た。
【0059】前記(30)(0.77g,1.00mm
ol)をテトラヒドロフラン(40ml)とメタノール
(40ml)の混合溶媒に溶解し、28%ナトリウムメ
トキシドのメタノール溶液(0.96ml)で処理した
後、氷冷下に10%クエン酸水溶液で中和し、有機溶媒
を減圧下室温で留去した残渣を常法通り処理し、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後、さらに9
5%エタノールから再結晶して目的の6α−クロロ−4
β、5−エポキシ−5β−アンドロスタン−3β−イル
β−D−グルコピラノシド(第1表の化合物A)を得
た(0.55g,収率92%)。
【0060】実施例2 化合物D(4β、5−エポキシ−6α−フルオロ−5β
−スティグマスタン−3β−イル β−D−グルコピラ
ノシド)の合成について説明する。(図7及び図8参
照) エポキシアルコール(3)(2.00g,4.6
7mmol)をベンゼン(50ml)とエーテル(50
ml)の混合溶媒に溶かし、三フッ化ホウ素エーテル錯
体(1.7ml,3eq)をゆっくりと、氷冷下に加え
た後、無水硫酸マグネシウム(2.0g)を添加し、次
いで、46%フッ化水素酸(0.5ml,9.34mm
ol)を氷冷下に加えた後、10分間反応させた。反応
後、水を加え、次いで有機層を飽和重曹水、水、そして
飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムにて乾
燥した。有機溶媒を留去した残渣をアセトンと塩化メチ
レンの混合溶媒に溶解させ、氷冷下にジョーンズ試薬を
ゆっくりと滴下した後、その温度にて、1時間反応させ
た。反応後、2−プロパノールを加え、しばらく攪拌し
た後、減圧下に、大部分の有機溶媒を留去した残渣に水
を加え、析出した結晶を回収した。得られた粗生成物を
エタノールから再結晶して、目的物フルオロケトール
(31)(1.29g,収率62.0%)を得た。
【0061】フルオロケトール(31)(4.50g,
10.0mmol)を無水硫酸マグネシウム(24.0
g)の存在下、クロロホルム(500ml)中にて、濃
塩酸(6.7ml)で処理して6α−フルオロスティグ
マスタ−4−エン−3−オン(32)とそのβ異性体と
の混合物を得た。この混合物について本発明の前記回収
・異性化過程と同様の過程を3回実施して6α−フルオ
ロスティグマスタ−4−エン−3−オン(32)(3.
85g,収率89.3%)を得た。
【0062】前記(32)を乾燥テトラヒドロフラン
(170ml)中で、水素化トリターシャリーブトキシ
アルミニウム(2.68g,10.58mmol)で還
元した後、得られた粗生成物をジクロロメタン中m−ク
ロロ過安息香酸(2.68g,55%純度,8.95m
mol)と反応させ、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーで精製して4β、5−エポキシ−6α−フルオロ−
5β−スティグマスタン−3β−オール(33)(2.
91g,収率79.9%)を得た。
【0063】前記(33)(1.68g,3.74mm
ol)を乾燥ベンゼン(90ml)と乾燥ニトロメタン
(90ml)の1:1混合溶媒に溶解し、このものにテ
トラアセチル−α−D−グルコピラノシルブロミド
(3.07g,7.48mmol)およびシアン化第2
水銀(1.88g,7.48mmol)を加え、90℃
にて1.5時間反応させ室温まで冷却した後、シリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー、次いでメタノールから再
結晶精製して、目的物(4β、5−エポキシ−6α−フ
ルオロ−5β−スティグマスタン−3β−イル 2,
3,4,6−テトラアセチル−β−D−グルコピラノシ
ド(2.21g,収率68.7%)を得た。
【0064】前記化合物(0.97g,1.24mmo
l)をテトラヒドロフラン(50ml)とメタノール
(50ml)の1:1混合溶媒に溶解し、28%ナトリ
ウムメトキシドのメタノール溶液(1.2ml)を室温
で1時間反応させ後、氷冷下に10%クエン酸水溶液を
ゆっくり加え中和し、次いで有機溶媒を減圧下室温で留
去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー〔S
iO2 ,30g、クロロホルム/メタノール20/1〕
で精製した後、さらに95%エタノールから再結晶して
目的の4β、5−エポキシ−6α−フルオロ−5β−ス
ティグマスタン−3β−イル β−D−グルコピラノシ
ド(化合物D)(0.51g,収率67.1%)を得
た。
【0065】実施例3 化合物C(4β、5−エポキシ−6α−クロロ−5β−
スティグマスタン−3β−イル β−D−ガラクトピラ
ノシド)の合成について説明する。(図9参照) 6α
−クロロ−4β,5エポキシ−5β−スティグマスタン
−3β−オール(7)(1.35g,2.91mmo
l)〔前記7の化合物で、前記一般式(16)(図3)
で表した化合物のRが炭素数10、Xが塩素であるもの
と同じである。〕を乾燥ベンゼン(90ml)と乾燥ニ
トロメタン(90ml)の1:1混合溶媒に溶解し、こ
のものにテトラアセチル−α−D−ガラクトピラノシル
ブロミド(2.39g,5.81mmol)およびシア
ン化第2水銀(1.47g,5.81mmol)を加
え、90℃にて1.5時間反応させ室温まで冷却した
後、常法通り処理して、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィー、次いでメタノールから再結晶精製して目的物
(4β、5−エポキシ−6α−クロロ−5β−スティグ
マスタン−3β−イル 2,3,4,6−テトラアセチ
ル−β−D−ガラクトピラノシド(35)(1.76
g,収率76.1%)を得た。
【0066】前記(35)(1.00g,1.26mm
ol)をテトラヒドロフラン(50ml)とメタノール
(50ml)の1:1混合溶媒に溶解し、28%ナトリ
ウムメトキシドのメタノール溶液(1.2ml)を室温
で1時間反応させ後、氷冷下に10%クエン酸水溶液を
ゆっくり加え中和し、次いで有機溶媒を減圧下室温で留
去した残渣を常法通り処理して、シリカゲルカラムクロ
マトグラフィー〔SiO2 ,30g、クロロホルム/メ
タノール20/1〕で精製した後、さらに95%エタノ
ールから再結晶して目的の4β、5−エポキシ−6α−
クロロ−5β−スティグマスタン−3β−イル β−D
−ガラクトピラノシド(化合物C)(0.40g,収率
51.2%)を得た。
【0067】
【発明の効果】本発明の方法により、市販のスティグマ
ステロールを用い、ゴキブリの優れた拘束物質として知
られているブラッテラスタノシドAを総合収率25%と
いう従来よりも著しく高収率で合成することができる。
このブラッテラスタノシドAはアルキルアミン類やアミ
ノアルコール類などのゴキブリ誘引物質に配合して、極
めて優れたゴキブリ駆除効果をもつゴキブリ集合フェロ
モンとするこができる。
【0068】また、コレステロールを用い、本発明の方
法により合成した化学式2で表されるステロイド骨格を
有する化合物(第1表のAの化合物)は、ブラッテラス
タノシドAよりも安価に製造でき、しかもゴキブリ誘引
物質としての効果が認められている。また、本発明の方
法によりはじめて合成された化学式3で表されるステロ
イド骨格を有する新規物質(第1表のCの化合物)をは
じめその他の類縁体も誘引物質としての開発が期待され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブラッテラスタノシドAを合成する従来のプロ
セスを示す説明図である。
【図2】ブラッテラスタノシドAを合成する従来のプロ
セスを示す説明図である。
【図3】本発明のステロイド骨格を有する化合物を合成
する一般的なプロセスの1例を示す説明図である。
【図4】本発明のステロイド骨格を有する化合物を合成
する一般的なプロセスの1例を示す説明図(図3)の継
続部分、及び本発明のステロイド骨格を有する化合物を
合成するプロセスの他の例を示す説明図である。
【図5】本発明のステロイド骨格を有する化合物を合成
するプロセスの他の例を示す説明図(図4)の継続部分
である。
【図6】本発明のステロイド骨格を有する化合物を合成
するプロセスのいま一つ別の例を示す説明図である。
【図7】本発明のステロイド骨格を有する化合物を合成
するプロセスのいま一つ別の例を示す説明図(図6)の
継続部分、及び本発明のステロイド骨格を有する化合物
を合成するプロセスの更に別の例を示す説明図である。
【図8】本発明のステロイド骨格を有する化合物を合成
するプロセスの更に別の例を示す説明図である。(図7
の継続部分である。
【図9】本発明のステロイド骨格を有する化合物を合成
するプロセスの更に別の例を示す説明図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式2で表される中間化合物を有
    機溶媒中、触媒存在下に脱水することにより、下記一般
    式3で表される中間化合物のβ異性体とエピマー化した
    下記一般式4で表される中間化合物のα異性体との混合
    物を得、さらに前記α異性体をβ−エポキシアルコール
    化し、常法によりβ−ヘキソピラノース基を付加して下
    記一般式5で表されるステロイド骨格を有する化合物類
    を得る製造方法において、前記混合物から前記一般式4
    で表される中間化合物のα異性体を分離した後、回収し
    た前記一般式3で表される中間化合物のβ異性体を有機
    溶媒中、触媒存在下にエピマー化することにより、その
    大半を前記中間化合物のα異性体に異性化させ、得られ
    た異性体混合物から前記中間化合物のα異性体を分離す
    る回収・異性化過程を少なくとも1回実施した後、前記
    中間化合物のα異性体をβ−エポキシアルコール化する
    ことを特徴とする一般式5で表されるステロイド骨格を
    有する化合物類の製造方法。 【化1】 (式中Rは水素原子、または炭素数が1〜12の鎖状ま
    たは分枝状アルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表
    す。) 【化2】 (式中Rは水素原子、または炭素数が1〜12の鎖状ま
    たは分枝状アルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表
    す。)
  2. 【請求項2】 下記化学式1で表されるβ−シトステロ
    ールから6β−クロロ−5α−ヒドロキシ−5α−ステ
    ィグマスタン−3−オンに導き、6β−クロロ−5α−
    ヒドロキシ−5α−スティグマスタン−3−オンを有機
    溶媒中、触媒存在下に脱水して、エピマー化したα異性
    体の6α−クロロスティグマスタ−4−エン−3−オン
    とβ異性体の6β−クロロスティグマスタ−4−エン−
    3−オンの混合物を得、さらに前記α異性体をβ−エポ
    キシアルコール化し、常法によりβ−ヘキソピラノース
    基を付加して下記化学式2で表されるブラッテラスタノ
    シドAとするゴキブリ拘束物質の製造方法において、前
    記α異性体とβ異性体との混合物からα異性体を分離し
    た後、回収した前記β異性体を有機溶媒中、触媒存在下
    にエピマー化することによりその大半を前記α異性体に
    異性化させ、得られた混合物からα異性体を分離する回
    収・異性化過程を少なくとも1回実施した後、前記α異
    性体をβ−エポキシアルコール化することを特徴とする
    ゴキブリ拘束物質の製造方法。 【化3】
  3. 【請求項3】 下記化学式3で表されるコレステロール
    から6β−クロロ−5α−ヒドロキシ−5α−コレスタ
    ン−3−オンに導き、6β−クロロ−5α−ヒドロキシ
    −5α−コレスタン−3−オンを有機溶媒中、触媒存在
    下に脱水して、エピマー化したα異性体の6α−クロロ
    コレスタ−4−エン−3−オンとエピマー化していない
    β異性体の6β−クロロコレスタ−4−エン−3−オン
    の混合物を得、さらに前記α異性体をβ−エポキシアル
    コール化し、常法によりβ−ヘキソピラノース基を付加
    して下記化学式4で表される6α−クロロ−4β,5−
    エポキシ−5β−コレスタン−3β−イル β−D−グ
    ルコピラノシドとするゴキブリ拘束物質の製造方法にお
    いて、前記α異性体とβ異性体との混合物からα異性体
    を分離した後、回収した前記β異性体を有機溶媒中、触
    媒存在下にエピマー化することによりその大半を前記α
    異性体に異性化させ、得られた混合物からα異性体を分
    離する回収・異性化過程を少なくとも1回実施した後、
    前記α異性体をβ−エポキシアルコール化することを特
    徴とするゴキブリ拘束物質の製造方法。 【化4】
  4. 【請求項4】 下記化学式5で表される6α−クロロ−
    4β、5−エポキシ−5β−アンドロスタン−3β−イ
    ル β−D−グルコピラノシド。 【化5】
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008048714A (ja) * 2006-08-24 2008-03-06 Eiji Horiuchi アロエでゴキブリ出ない
JP2016523934A (ja) * 2014-06-04 2016-08-12 正源堂(天津▲濱▼海新区)生物科技有限公司 エルゴステロール系化合物、並びにその製造方法及び使用

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