JPH0751732A - 表面性状の優れた鋼板の熱間圧延方法 - Google Patents
表面性状の優れた鋼板の熱間圧延方法Info
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- JPH0751732A JPH0751732A JP20782193A JP20782193A JPH0751732A JP H0751732 A JPH0751732 A JP H0751732A JP 20782193 A JP20782193 A JP 20782193A JP 20782193 A JP20782193 A JP 20782193A JP H0751732 A JPH0751732 A JP H0751732A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 鋼板表面のスケール疵、赤スケールや制御冷
却での冷却むらが発生しない表面性状の優れた鋼板の熱
間圧延方法を提供することを目的とする。 【構成】 粗圧延開始前と仕上圧延開始前に衝突圧が38
kgf/cm2 以上の高圧水で少なくとも1回のデスケーリン
グを行い、さらに仕上圧延工程において、各パスの圧下
率が、圧下時のロールバイト内でスケール層の破壊が生
じないスケール層厚の限界値HSを与える圧下率よりも
大きくなるパススケジュールで熱間圧延する。 HS=a・γ2 +b・γ+c ただし、HS:スケール層厚の限界値 γ:圧下率 a、b、c:鋼種と圧延温度により定まる係数
却での冷却むらが発生しない表面性状の優れた鋼板の熱
間圧延方法を提供することを目的とする。 【構成】 粗圧延開始前と仕上圧延開始前に衝突圧が38
kgf/cm2 以上の高圧水で少なくとも1回のデスケーリン
グを行い、さらに仕上圧延工程において、各パスの圧下
率が、圧下時のロールバイト内でスケール層の破壊が生
じないスケール層厚の限界値HSを与える圧下率よりも
大きくなるパススケジュールで熱間圧延する。 HS=a・γ2 +b・γ+c ただし、HS:スケール層厚の限界値 γ:圧下率 a、b、c:鋼種と圧延温度により定まる係数
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼板の熱間圧延に関
し、さらに詳しくは、表面性状の優れた鋼板の熱間圧延
方法に関するものである。
し、さらに詳しくは、表面性状の優れた鋼板の熱間圧延
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延により製造される鋼板において
は、加熱および熱間圧延中に生成したスケールの一部が
熱間圧延途中のデスケーリングで除去されずに鋼板表面
に残存し、スケール疵になることがある。また、表面の
スケール層の一部あるいは全面が微粉状になった所謂赤
スケールが発生することがある。
は、加熱および熱間圧延中に生成したスケールの一部が
熱間圧延途中のデスケーリングで除去されずに鋼板表面
に残存し、スケール疵になることがある。また、表面の
スケール層の一部あるいは全面が微粉状になった所謂赤
スケールが発生することがある。
【0003】さらに、熱間圧延に引き続いて制御冷却を
行う場合、鋼板板面内のスケール層厚の不均一によって
冷却むら(制御冷却停止時の板面内の温度のばらつき)
が発生することがある。
行う場合、鋼板板面内のスケール層厚の不均一によって
冷却むら(制御冷却停止時の板面内の温度のばらつき)
が発生することがある。
【0004】こうした鋼板表面のスケールに起因した問
題点を解決するために、従来から圧延ラインに約 100〜
150kgf/cm2の高圧水によるデスケーリング装置を設置
し、これによって鋼板表面のスケールを剥離、除去しな
がら圧延を行っている。
題点を解決するために、従来から圧延ラインに約 100〜
150kgf/cm2の高圧水によるデスケーリング装置を設置
し、これによって鋼板表面のスケールを剥離、除去しな
がら圧延を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のデスケ
ーリング方法では、スケール疵になるような鋼板表面の
厚いスケール層は除去できたとしても、地鉄界面に生成
している薄いスケール層を完全に除去するに至っていな
いのが現状である。仮に、熱間圧延途中のデスケーリン
グにより地鉄界面の薄いスケール層も除去できたにして
も、その後の熱間圧延工程で新たなスケール層が鋼板表
面に生成する。
ーリング方法では、スケール疵になるような鋼板表面の
厚いスケール層は除去できたとしても、地鉄界面に生成
している薄いスケール層を完全に除去するに至っていな
いのが現状である。仮に、熱間圧延途中のデスケーリン
グにより地鉄界面の薄いスケール層も除去できたにして
も、その後の熱間圧延工程で新たなスケール層が鋼板表
面に生成する。
【0006】前述の赤スケールの発生や冷却むらを生じ
させる鋼板板面内のスケール層厚の不均一さには、地鉄
界面に残存する薄いスケール層や熱間圧延工程で新たに
生成するスケール層が大きく影響しており、これらのス
ケール層の生成を制御できることが強く望まれている。
させる鋼板板面内のスケール層厚の不均一さには、地鉄
界面に残存する薄いスケール層や熱間圧延工程で新たに
生成するスケール層が大きく影響しており、これらのス
ケール層の生成を制御できることが強く望まれている。
【0007】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたもので、鋼板板面内のスケール層の生成を制御
して圧延を行うことによって、鋼板表面のスケール疵の
発生防止は言うまでもなく、赤スケールや制御冷却での
冷却むらの発生を防止し得る表面性状の優れた鋼板の熱
間圧延方法を提供することを目的とする。
なされたもので、鋼板板面内のスケール層の生成を制御
して圧延を行うことによって、鋼板表面のスケール疵の
発生防止は言うまでもなく、赤スケールや制御冷却での
冷却むらの発生を防止し得る表面性状の優れた鋼板の熱
間圧延方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】加熱炉と粗圧延機間、お
よび仕上圧延機の前後面に高圧水デスケーリング装置を
有する熱間圧延ラインで鋼板を熱間圧延するに際し、粗
圧延開始前と仕上圧延開始前に前記高圧水デスケーリン
グ装置を用いて衝突圧が38kgf/cm2 以上の高圧水で少な
くとも1回のデスケーリングを行い、さらに仕上圧延工
程において、各パスの圧下率が、圧下時のロールバイト
内でスケール層の破壊が生じないスケール層厚の限界値
を与える圧下率よりも大きくなるパススケジュールで熱
間圧延する表面性状の優れた鋼板の熱間圧延方法であ
る。
よび仕上圧延機の前後面に高圧水デスケーリング装置を
有する熱間圧延ラインで鋼板を熱間圧延するに際し、粗
圧延開始前と仕上圧延開始前に前記高圧水デスケーリン
グ装置を用いて衝突圧が38kgf/cm2 以上の高圧水で少な
くとも1回のデスケーリングを行い、さらに仕上圧延工
程において、各パスの圧下率が、圧下時のロールバイト
内でスケール層の破壊が生じないスケール層厚の限界値
を与える圧下率よりも大きくなるパススケジュールで熱
間圧延する表面性状の優れた鋼板の熱間圧延方法であ
る。
【0009】また、各パスの圧下率が圧延機能力や鋼板
の形状確保の観点から制約される場合には、仕上圧延工
程において、少なくとも最終3パスの圧下率に対し、ス
ケール層の厚みが圧下時のロールバイト内で破壊が生じ
ない限界値以下になるように、前記高圧水デスケーリン
グ装置を用いて衝突圧が38kgf/cm2 以上の高圧水でスケ
ール層の厚みを制御して熱間圧延する請求項1記載の表
面性状の優れた鋼板の熱間圧延方法である。
の形状確保の観点から制約される場合には、仕上圧延工
程において、少なくとも最終3パスの圧下率に対し、ス
ケール層の厚みが圧下時のロールバイト内で破壊が生じ
ない限界値以下になるように、前記高圧水デスケーリン
グ装置を用いて衝突圧が38kgf/cm2 以上の高圧水でスケ
ール層の厚みを制御して熱間圧延する請求項1記載の表
面性状の優れた鋼板の熱間圧延方法である。
【0010】さらに、仕上圧延工程において、各パスの
圧下率に対して、圧下時のロールバイト内で破壊が生じ
ないスケール層厚の限界値HSを HS=a・γ2 +b・γ+c ただし、HS:スケール層厚の限界値 γ:圧下率 a、b、c:鋼種と圧延温度により定まる係数 から求める請求項1または請求項2記載の表面性状の優
れた鋼板の熱間圧延方法である。
圧下率に対して、圧下時のロールバイト内で破壊が生じ
ないスケール層厚の限界値HSを HS=a・γ2 +b・γ+c ただし、HS:スケール層厚の限界値 γ:圧下率 a、b、c:鋼種と圧延温度により定まる係数 から求める請求項1または請求項2記載の表面性状の優
れた鋼板の熱間圧延方法である。
【0011】
【作用】本発明に係わる熱間圧延ラインの構成を図3に
示す。高圧水デスケーリング装置1は、加熱炉5から抽
出された粗圧延開始直前の鋼板3に対してデスケーリン
グを行い、加熱工程で生じる鋼板表面の一次スケールを
除去するためのものである。高圧水デスケーリング装置
1で一次スケールを除去された鋼板3は粗圧延機6で粗
圧延され、仕上圧延工程に移る。粗圧延された鋼板4
は、高圧水デスケーリング装置2でデスケーリングされ
仕上圧延機7で仕上圧延される。高圧水デスケーリング
装置2は仕上圧延工程で鋼板4の表面に生成する二次ス
ケール層を制御するためのものである。
示す。高圧水デスケーリング装置1は、加熱炉5から抽
出された粗圧延開始直前の鋼板3に対してデスケーリン
グを行い、加熱工程で生じる鋼板表面の一次スケールを
除去するためのものである。高圧水デスケーリング装置
1で一次スケールを除去された鋼板3は粗圧延機6で粗
圧延され、仕上圧延工程に移る。粗圧延された鋼板4
は、高圧水デスケーリング装置2でデスケーリングされ
仕上圧延機7で仕上圧延される。高圧水デスケーリング
装置2は仕上圧延工程で鋼板4の表面に生成する二次ス
ケール層を制御するためのものである。
【0012】本発明者らは、高圧水デスケーリング装置
1において、一次スケールが完全に除去される高圧水8
の衝突圧について実験を行った。その結果、図1に示す
ように、衝突圧が38kgf/cm2 以上のデスケーリングを実
施することにより、1000〜1200℃の範囲に加熱されたと
きに鋼板3の表面に生じる一次スケールを完全に除去す
ることが可能となる。
1において、一次スケールが完全に除去される高圧水8
の衝突圧について実験を行った。その結果、図1に示す
ように、衝突圧が38kgf/cm2 以上のデスケーリングを実
施することにより、1000〜1200℃の範囲に加熱されたと
きに鋼板3の表面に生じる一次スケールを完全に除去す
ることが可能となる。
【0013】同様に、高圧水デスケーリング装置2は、
仕上圧延開始直前の鋼板4に対してデスケーリングを行
い、粗圧延工程で生じた鋼板表面の二次スケールを完全
に除去するものであり、その必要衝突圧は38kgf/cm2 以
上となることが実験で確認できている。したがって、高
圧水デスケーリング装置1、2の高圧水の衝突圧は38kg
f/cm2 以上とした。
仕上圧延開始直前の鋼板4に対してデスケーリングを行
い、粗圧延工程で生じた鋼板表面の二次スケールを完全
に除去するものであり、その必要衝突圧は38kgf/cm2 以
上となることが実験で確認できている。したがって、高
圧水デスケーリング装置1、2の高圧水の衝突圧は38kg
f/cm2 以上とした。
【0014】高圧水デスケーリング装置1および2を用
いて仕上圧延開始直前での鋼板表面のスケールを完全に
除去しても、仕上圧延途中において再び二次スケールが
生成する。この二次スケールの生成度合いが異なり仕上
圧延完了後の鋼板板面内のスケール層厚に差が生じたと
きは、制御冷却時の冷却むらを引き起こすことになる。
また、仕上圧延途中でスケール層の厚みが大きくなった
場合は、圧延によってスケール層が破壊し微粉状のスケ
ールすなわち赤スケールが発生する。
いて仕上圧延開始直前での鋼板表面のスケールを完全に
除去しても、仕上圧延途中において再び二次スケールが
生成する。この二次スケールの生成度合いが異なり仕上
圧延完了後の鋼板板面内のスケール層厚に差が生じたと
きは、制御冷却時の冷却むらを引き起こすことになる。
また、仕上圧延途中でスケール層の厚みが大きくなった
場合は、圧延によってスケール層が破壊し微粉状のスケ
ールすなわち赤スケールが発生する。
【0015】これらのことを解決するには、仕上圧延工
程で生成する二次スケール層においてその厚みを薄く、
かつ、均一になるように制御することが必要になり、本
発明者らが鋭意研究を重ねた結果、スケール層厚の均一
性の確保には、仕上圧延途中でのデスケーリングとデス
ケーリング水の沿い流れに起因する鋼板板面の温度むら
をなくすようにデスケーリング回数を低減すればよい、
さらに、赤スケールの原因となる圧延によるスケール層
の破壊挙動には、圧下時の圧下率とスケール層の厚みが
大きく関与しており、図2に示すように、圧下率が一定
の場合スケール層厚が厚いほど圧延によってスケール層
が破壊し易くなる、との知見を得た。
程で生成する二次スケール層においてその厚みを薄く、
かつ、均一になるように制御することが必要になり、本
発明者らが鋭意研究を重ねた結果、スケール層厚の均一
性の確保には、仕上圧延途中でのデスケーリングとデス
ケーリング水の沿い流れに起因する鋼板板面の温度むら
をなくすようにデスケーリング回数を低減すればよい、
さらに、赤スケールの原因となる圧延によるスケール層
の破壊挙動には、圧下時の圧下率とスケール層の厚みが
大きく関与しており、図2に示すように、圧下率が一定
の場合スケール層厚が厚いほど圧延によってスケール層
が破壊し易くなる、との知見を得た。
【0016】図2は、本発明者らが行った実験結果の一
例で、鋼種JIS SM490 のスラブを加熱し、 900℃で圧下
して、スラブ表面に生じた一次スケール層の破壊挙動を
図示したもので、スケール層厚が大きくなれは、スケー
ル層が破壊する圧下時の圧下率も大きくなることが明ら
かである。なお、図中の○印はスラブ法による計算値を
示す。
例で、鋼種JIS SM490 のスラブを加熱し、 900℃で圧下
して、スラブ表面に生じた一次スケール層の破壊挙動を
図示したもので、スケール層厚が大きくなれは、スケー
ル層が破壊する圧下時の圧下率も大きくなることが明ら
かである。なお、図中の○印はスラブ法による計算値を
示す。
【0017】この知見をもとにすれば、仕上圧延工程の
各パスにおける鋼板表面のスケール層厚の変化を予測
し、そのスケール層の厚みに対する圧下率が、圧下時の
ロールバイト内でスケール層の破壊が生じないスケール
層厚の限界値を与える圧下率よりも大きくなるようにパ
ススケジュールを設定し圧延を行うことによって、スケ
ール層は破壊せず赤スケールは発生しなくなる。このと
きはデスケーリングは不要である。
各パスにおける鋼板表面のスケール層厚の変化を予測
し、そのスケール層の厚みに対する圧下率が、圧下時の
ロールバイト内でスケール層の破壊が生じないスケール
層厚の限界値を与える圧下率よりも大きくなるようにパ
ススケジュールを設定し圧延を行うことによって、スケ
ール層は破壊せず赤スケールは発生しなくなる。このと
きはデスケーリングは不要である。
【0018】また、圧延機能力や鋼板の形状確保の観点
から各パスの圧下率が制約される場合には、各パスの圧
下率、特に最終3パスの圧下率に対して、スケール層が
圧下時のロールバイト内で破壊が生じない限界値以下の
厚みとなる場合にはデスケーリングを行わずに圧延し、
限界値を超える厚み(スケール層が破壊する厚み)のと
きには、前述の衝突圧が38kgf/cm2 以上のデスケーリン
グを実施しスケール層の厚みを薄くし、あるいはスケー
ル層を完全に除去して圧延することがスケールに係わる
問題の解決に有効であることが明らかである。
から各パスの圧下率が制約される場合には、各パスの圧
下率、特に最終3パスの圧下率に対して、スケール層が
圧下時のロールバイト内で破壊が生じない限界値以下の
厚みとなる場合にはデスケーリングを行わずに圧延し、
限界値を超える厚み(スケール層が破壊する厚み)のと
きには、前述の衝突圧が38kgf/cm2 以上のデスケーリン
グを実施しスケール層の厚みを薄くし、あるいはスケー
ル層を完全に除去して圧延することがスケールに係わる
問題の解決に有効であることが明らかである。
【0019】ここで、仕上圧延工程における二次スケー
ル層厚の変化は、すでに本発明者らが出願番号 平成4
年特許願第255877号に提案しているスケール層厚
の予測モデル式により高精度に予測することができる。
スケール層厚の予測モデル式は下記のとおりである。 t=[a・τ・exp〔b/(T+273)〕]C ただし、t:スケール層の厚み τ:空冷時間 T:鋼板表面温度 a、b、c:定数
ル層厚の変化は、すでに本発明者らが出願番号 平成4
年特許願第255877号に提案しているスケール層厚
の予測モデル式により高精度に予測することができる。
スケール層厚の予測モデル式は下記のとおりである。 t=[a・τ・exp〔b/(T+273)〕]C ただし、t:スケール層の厚み τ:空冷時間 T:鋼板表面温度 a、b、c:定数
【0020】さらに、各鋼種の各パスの圧下率に対する
スケール層厚の限界値(ロールバイト内でスケール層が
破壊しないためのスケール層厚の限界値)は、スラブ法
を用いて行った図2に示すロールバイト内でのスケール
層の変形挙動解析の結果と同様にして求めることがで
き、限界値のスケール層厚を与える一般式は、圧下率を
パラメータとする下記式で表される。 HS=a・γ2 +b・γ+c……………………………(1) ただし、HS:スケール層厚の限界値 γ:圧下率 a、b、c:鋼種と圧延温度により定まる係数
スケール層厚の限界値(ロールバイト内でスケール層が
破壊しないためのスケール層厚の限界値)は、スラブ法
を用いて行った図2に示すロールバイト内でのスケール
層の変形挙動解析の結果と同様にして求めることがで
き、限界値のスケール層厚を与える一般式は、圧下率を
パラメータとする下記式で表される。 HS=a・γ2 +b・γ+c……………………………(1) ただし、HS:スケール層厚の限界値 γ:圧下率 a、b、c:鋼種と圧延温度により定まる係数
【0021】以上のように、粗圧延開始直前と仕上圧延
開始直前に衝突圧が38kgf/cm2 以上の高圧水で少なくと
も1回のデスケーリングを行い、さらに、仕上圧延工程
では、スケール層厚の予測モデル式から仕上圧延工程で
の二次スケール層厚を求め、このスケール層厚に対し
て、上記(1) 式から求まる圧下時のロールバイト内でス
ケール層の破壊が生じない限界値を与える圧下率を求
め、この圧下率よりも大きな圧下率で圧延を行うこと、
あるいは、各パスの圧下率が圧延機能力や鋼板の形状確
保の観点から制約される場合には、仕上圧延工程におい
て、少なくとも最終3パスの圧下率に対し、上記(1) 式
から求まる圧下時のロールバイト内でスケール層の破壊
が生じないスケール層の厚みまでデスケーリングを実施
してスケール層の厚みを制御して圧延を行うことによっ
て、鋼板表面のスケール疵の発生防止は言うまでもな
く、赤スケールや制御冷却での冷却むらの発生を防止し
た表面性状の優れた鋼板を得ることができる。
開始直前に衝突圧が38kgf/cm2 以上の高圧水で少なくと
も1回のデスケーリングを行い、さらに、仕上圧延工程
では、スケール層厚の予測モデル式から仕上圧延工程で
の二次スケール層厚を求め、このスケール層厚に対し
て、上記(1) 式から求まる圧下時のロールバイト内でス
ケール層の破壊が生じない限界値を与える圧下率を求
め、この圧下率よりも大きな圧下率で圧延を行うこと、
あるいは、各パスの圧下率が圧延機能力や鋼板の形状確
保の観点から制約される場合には、仕上圧延工程におい
て、少なくとも最終3パスの圧下率に対し、上記(1) 式
から求まる圧下時のロールバイト内でスケール層の破壊
が生じないスケール層の厚みまでデスケーリングを実施
してスケール層の厚みを制御して圧延を行うことによっ
て、鋼板表面のスケール疵の発生防止は言うまでもな
く、赤スケールや制御冷却での冷却むらの発生を防止し
た表面性状の優れた鋼板を得ることができる。
【0022】
【実施例】本発明法の実施例を以下に説明する。厚さ27
0mm 、幅1500mm、長さ2500mmの鋼片(鋼板)を1150℃に
加熱後、表1に示す粗圧延開始直前および仕上圧延開始
直前のデスケーリング水の衝突圧、仕上圧延のパススケ
ジュールにおける圧下率の範囲、仕上圧延途中での強力
デスケーリングの実施タイミングにしたがって、板厚25
mm、板幅2000mm、板長さ20000mmの鋼板に熱間圧延し
た。熱間圧延完了後の鋼板については、一部は空冷後鋼
板表面状況を、一部は強制冷却して強制冷却後の冷却む
らを観察した。その結果を表1に併記した。なお、本発
明法では加熱炉と粗圧延機間および仕上圧延機の全面に
設置している高圧水によるデスケーリング装置のノズル
ヘッダを近接化することにより、従来10〜30kgf/cm2 で
あった衝突圧を38kgf/cm2 以上となるようにした。
0mm 、幅1500mm、長さ2500mmの鋼片(鋼板)を1150℃に
加熱後、表1に示す粗圧延開始直前および仕上圧延開始
直前のデスケーリング水の衝突圧、仕上圧延のパススケ
ジュールにおける圧下率の範囲、仕上圧延途中での強力
デスケーリングの実施タイミングにしたがって、板厚25
mm、板幅2000mm、板長さ20000mmの鋼板に熱間圧延し
た。熱間圧延完了後の鋼板については、一部は空冷後鋼
板表面状況を、一部は強制冷却して強制冷却後の冷却む
らを観察した。その結果を表1に併記した。なお、本発
明法では加熱炉と粗圧延機間および仕上圧延機の全面に
設置している高圧水によるデスケーリング装置のノズル
ヘッダを近接化することにより、従来10〜30kgf/cm2 で
あった衝突圧を38kgf/cm2 以上となるようにした。
【0023】表1に示す本発明法のNo.1および3
は、仕上圧延のパススケジュールにおける圧下率の範囲
が、スケール層厚の予測モデル式から求めたスケール層
厚をもとに、上記(1)式から求めた、圧下時のロールバ
イト内でスケール層の破壊が生じないスケール層厚の限
界値を与える圧下率よりも大きな圧下率(本実施例では
20%以上)であるため、スケール層は破壊せず、衝突圧
が38kgf/cm2 である強力デスケーリングも不要である。
したがって、No.1の鋼板表面はタイトな黒スケールで
あった。また、No.3は圧延完了後制御冷却を行って
いるが、スケール層が均一であるため、冷却むらが小さ
かった。
は、仕上圧延のパススケジュールにおける圧下率の範囲
が、スケール層厚の予測モデル式から求めたスケール層
厚をもとに、上記(1)式から求めた、圧下時のロールバ
イト内でスケール層の破壊が生じないスケール層厚の限
界値を与える圧下率よりも大きな圧下率(本実施例では
20%以上)であるため、スケール層は破壊せず、衝突圧
が38kgf/cm2 である強力デスケーリングも不要である。
したがって、No.1の鋼板表面はタイトな黒スケールで
あった。また、No.3は圧延完了後制御冷却を行って
いるが、スケール層が均一であるため、冷却むらが小さ
かった。
【0024】
【表1】
【0025】本発明法のNo.2は、仕上圧延のパスス
ケジュールにおける圧下率の範囲が、スケール層厚の予
測モデル式から求めたスケール層厚をもとに、上記(1)
式から求めた、圧下時のロールバイト内でスケール層の
破壊が生じないスケール層厚の限界値を与える圧下率よ
りも小さいため、最終2パス目の圧延開始直前に衝突圧
が38kgf/cm2 でる強力デスケーリングを実施し、スケー
ル層を完全に除去した。したがって、赤スケールは発生
せず、鋼板表面はタイトな黒スケールであった。
ケジュールにおける圧下率の範囲が、スケール層厚の予
測モデル式から求めたスケール層厚をもとに、上記(1)
式から求めた、圧下時のロールバイト内でスケール層の
破壊が生じないスケール層厚の限界値を与える圧下率よ
りも小さいため、最終2パス目の圧延開始直前に衝突圧
が38kgf/cm2 でる強力デスケーリングを実施し、スケー
ル層を完全に除去した。したがって、赤スケールは発生
せず、鋼板表面はタイトな黒スケールであった。
【0026】一方、比較例のNo.4および5は、粗圧
延開始直前および仕上圧延開始直前のデスケーリング水
の衝突圧が低いため、一次および二次スケールが完全に
除去されず、さらに、仕上圧延のパススケジュールにお
ける圧下率の範囲が、スケール層厚の予測モデル式から
求めたスケール層厚をもとに、上記(1)式から求めた、
圧下時のロールバイト内でスケール層の破壊が生じない
スケール層厚の限界値を与える圧下率よりも小さいにも
かかわらず、仕上圧延途中で強力デスケーリングを実施
してスケール層を完全に除去していない。したがって、
No.4はスケール層が破壊し、鋼板表面に全面赤スケ
ールが発生した。また、No.5は圧延完了後制御冷却
を行っているが、スケール層が均一でないため、冷却む
らが大きかった。
延開始直前および仕上圧延開始直前のデスケーリング水
の衝突圧が低いため、一次および二次スケールが完全に
除去されず、さらに、仕上圧延のパススケジュールにお
ける圧下率の範囲が、スケール層厚の予測モデル式から
求めたスケール層厚をもとに、上記(1)式から求めた、
圧下時のロールバイト内でスケール層の破壊が生じない
スケール層厚の限界値を与える圧下率よりも小さいにも
かかわらず、仕上圧延途中で強力デスケーリングを実施
してスケール層を完全に除去していない。したがって、
No.4はスケール層が破壊し、鋼板表面に全面赤スケ
ールが発生した。また、No.5は圧延完了後制御冷却
を行っているが、スケール層が均一でないため、冷却む
らが大きかった。
【0027】
【発明の効果】以上述べたことから明らかなように、本
発明によれば、鋼板表面のスケール疵の発生防止は言う
までもなく、赤スケールや制御冷却での冷却むらの発生
を防止した鋼板を得ることができる。
発明によれば、鋼板表面のスケール疵の発生防止は言う
までもなく、赤スケールや制御冷却での冷却むらの発生
を防止した鋼板を得ることができる。
【図1】高圧水デスケーリング装置の高圧水の衝突圧と
デスケーリング後の鋼板(鋼片)表面の一次スケールの
状況を示す図である。
デスケーリング後の鋼板(鋼片)表面の一次スケールの
状況を示す図である。
【図2】圧下時にロールバイト内でスケール層の破壊が
生じないスケール層厚の限界値と圧下率との関係を示す
図である。
生じないスケール層厚の限界値と圧下率との関係を示す
図である。
【図3】本発明に係わる熱間圧延ラインの構成を示す図
である。
である。
1…高圧水デスケーリング装置、2…高圧水デスケーリ
ング装置、3…鋼板、4…鋼板、5…加熱炉、6…粗圧
延機、7…仕上圧延機、8…高圧水。
ング装置、3…鋼板、4…鋼板、5…加熱炉、6…粗圧
延機、7…仕上圧延機、8…高圧水。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮脇 淳 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 大番屋 嘉一 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 藤野 隆也 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内
Claims (3)
- 【請求項1】 加熱炉と粗圧延機間、および仕上圧延機
の前後面に高圧水デスケーリング装置を有する熱間圧延
ラインで鋼板を熱間圧延するに際し、粗圧延開始前と仕
上圧延開始前に前記高圧水デスケーリング装置を用いて
衝突圧が38kgf/cm2 以上の高圧水で少なくとも1回のデ
スケーリングを行い、さらに仕上圧延工程において、各
パスの圧下率が、圧下時のロールバイト内でスケール層
の破壊が生じないスケール層厚の限界値を与える圧下率
よりも大きくなるパススケジュールで熱間圧延すること
を特徴とする表面性状の優れた鋼板の熱間圧延方法。 - 【請求項2】 仕上圧延工程において、少なくとも最終
3パスの圧下率に対し、スケール層の厚みが圧下時のロ
ールバイト内で破壊が生じない限界値以下になるよう
に、前記高圧水デスケーリング装置を用いて衝突圧が38
kgf/cm2 以上の高圧水でスケール層の厚みを制御して熱
間圧延することを特徴とする請求項1記載の表面性状の
優れた鋼板の熱間圧延方法。 - 【請求項3】 仕上圧延工程において、各パスの圧下率
に対して、圧下時のロールバイト内で破壊が生じないス
ケール層厚の限界値HSを HS=a・γ2 +b・γ+c ただし、HS:スケール層厚の限界値 γ:圧下率 a、b、c:鋼種と圧延温度により定まる係数 から求める請求項1または請求項2記載の表面性状の優
れた鋼板の熱間圧延方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20782193A JPH0751732A (ja) | 1993-08-23 | 1993-08-23 | 表面性状の優れた鋼板の熱間圧延方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20782193A JPH0751732A (ja) | 1993-08-23 | 1993-08-23 | 表面性状の優れた鋼板の熱間圧延方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0751732A true JPH0751732A (ja) | 1995-02-28 |
Family
ID=16546071
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20782193A Withdrawn JPH0751732A (ja) | 1993-08-23 | 1993-08-23 | 表面性状の優れた鋼板の熱間圧延方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0751732A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20040012083A (ko) * | 2002-07-31 | 2004-02-11 | 주식회사 포스코 | 열연강판의 스케일 생성조건에 따른 탈 스케일 방법 |
JP2017150051A (ja) * | 2016-02-26 | 2017-08-31 | Jfeスチール株式会社 | 曲げ性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 |
JP2017150052A (ja) * | 2016-02-26 | 2017-08-31 | Jfeスチール株式会社 | 靭性と延性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 |
-
1993
- 1993-08-23 JP JP20782193A patent/JPH0751732A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20040012083A (ko) * | 2002-07-31 | 2004-02-11 | 주식회사 포스코 | 열연강판의 스케일 생성조건에 따른 탈 스케일 방법 |
JP2017150051A (ja) * | 2016-02-26 | 2017-08-31 | Jfeスチール株式会社 | 曲げ性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 |
JP2017150052A (ja) * | 2016-02-26 | 2017-08-31 | Jfeスチール株式会社 | 靭性と延性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
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