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JPH0748543A - 低屈折率膜形成用塗料、および帯電防止・反射防止膜付き透明積層体および陰極線管 - Google Patents

低屈折率膜形成用塗料、および帯電防止・反射防止膜付き透明積層体および陰極線管

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Publication number
JPH0748543A
JPH0748543A JP19653593A JP19653593A JPH0748543A JP H0748543 A JPH0748543 A JP H0748543A JP 19653593 A JP19653593 A JP 19653593A JP 19653593 A JP19653593 A JP 19653593A JP H0748543 A JPH0748543 A JP H0748543A
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JP
Japan
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refractive index
antistatic
film
index film
coating material
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Application number
JP19653593A
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Noboru Kinoshita
暢 木下
Kenji Takahashi
賢次 高橋
Tsuneo Yanagisawa
恒夫 柳澤
Masaru Uehara
賢 上原
Hirotsugu Katou
博貢 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
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Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=16359361&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JPH0748543(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Sumitomo Osaka Cement Co Ltd filed Critical Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 十分な反射防止機能を有する低屈折率膜形成
用塗料、透明基材上に帯電防止・反射防止膜付き透明積
層体、陰極線管を得る。 【構成】 低屈折率膜形成用塗料は、シリコンアルコキ
シドと非水溶媒と多孔質シリカとを分散含有してなる。
帯電防止・反射防止膜付き透明積層体が、透明基材上に
帯電防止・高屈折率膜形成用塗料を施して帯電防止・高
屈折率膜を形成し、その上に低屈折率膜を形成してな
る。帯電防止・高屈折率膜形成用塗料は、アンチモンド
ープ酸化錫微粉末と黒色系着色導電性微粉末とからなる
固形成分と高沸点・高表面張力を有する溶媒とを含む。
低屈折率膜は、低屈折率膜形成用塗料から形成する。帯
電防止・反射防止膜付き陰極線管1が、その表示面2に
上記帯電防止・高屈折率膜3、次いで低屈折率膜4を形
成してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低屈折率膜形成用塗
料、および帯電防止・反射防止膜付き透明積層体および
帯電防止・反射防止膜付き陰極線管に関するものであ
る。更に詳しく述べるならば、本発明は、ディスプレイ
ー装置の表示面、その表面カバー材料、窓ガラス、ショ
ーウィンドー用ガラス、TVブラウン管の表示面、液晶
装置の表示面、計器のカバーガラス、時計のカバーガラ
ス、または陰極線管の画像表示面などのように、静電気
帯電防止および/または映り込みの防止を必要とする透
明基材表面の塗装から得られる帯電防止・高屈折率膜と
低屈折率膜との組み合わせによる帯電防止・反射防止膜
付き透明積層体、および少なくとも画像表示面がこの透
明積層体で形成され、帯電防止、電磁波遮蔽、反射防
止、画像コントラスト向上等の各機能が付加された陰極
線管、および低屈折率膜形成用塗料に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に画像表示用透明基材、例えばTV
ブラウン管の画像表示部には静電気が帯電しやすく、こ
の静電気によってほこりが表示面に付着するという問題
点が知られている。また、上記画像表示面に、外部の光
が反射し、あるいは外部影像が映り込み、表示面の画像
を不明瞭にするなどの問題点も知られている。上記の問
題点を解決するために、従来、透明基材の表面に、アン
チモンをドープした酸化錫微粉末とシリコンアルコキシ
ドの加水分解生成物(以下「シリカゾル」という)との
非水性溶媒分散液を塗布・乾燥して帯電防止膜を形成
し、前記帯電防止膜上に、それよりも屈折率の低い低屈
折率膜を形成することが行われている。即ち、前述のア
ンチモンドープ酸化錫微粉末と上記のシリカゾルとの混
合物を含む非水分散液からなる塗料を用いて帯電防止膜
を形成し、その上にシリカゾルの非水分散液からなる塗
料を塗布して低屈折率膜を形成するものである。
【0003】また、上記TVブラウン管やコンピュータ
ーのディスプレイ等を構成する陰極線管は、赤色・緑色
・青色に発光する蛍光面に、電子銃からの電子ビームを
射突することによって文字・画像等を映出するものであ
る。この陰極線管は、高電圧で電子ビームを発射するた
めに電磁波が輻射され、人体や周囲の機器に悪影響を及
ぼす場合がある。また、電子ビームが蛍光体に射突する
ときには、表示面に静電気が発生する。これらの問題点
を解決するために、従来は、酸化インジウム等の透明導
電性酸化物膜をスパッタ法や蒸着法等で形成したフェー
スプレートを表示面の前面に張り付けて電磁波遮蔽を行
ったり、また、前記アンチモンドープ酸化錫とシリカゾ
ル系バインダーの分散液を表示面にコーティングするこ
とにより透明導電性膜を形成し、表示面の帯電防止を行
ったりしている。さらに、次式によって示されるよう
に、画像コントラストを上げる目的で、前記帯電防止コ
ーティング液に染料などの着色剤を含有させて、帯電防
止、高コントラスト化を図った陰極線管も考案されてい
る。 Cr=(πB/RTgL)+1 Cr:コントラスト B:蛍光面輝度 Tg:ガラスの光透過率 L:外光照度 R :蛍光面反射率 また、前記着色帯電防止コーティング液をスプレーによ
り表示面に吹き付けて、凹凸のある膜を形成し、光散乱
により反射防止効果を付与させた陰極線管も提案されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の帯電防
止膜の屈折率は、n=1.50〜1.54程度であっ
て、シリコンアルコキシドの加水分解生成物(シリカゾ
ル)により形成される前記低屈折率膜の屈折率との差が
小さく、従って、従来の帯電防止膜と低屈折率膜との組
合せによる反射防止効果は十分なものではなかった。ま
た、前述した酸化インジウム等の透明導電膜をスパッタ
法や蒸着法等で形成したフェースプレートを表示面に張
り付ける方法で得られる陰極線管は、非常に高価であ
る。一方、着色帯電防止液をコーティングする方法によ
って得られる帯電防止・光フィルター付き陰極線管で
は、導電性が不足しているために、十分な電磁波遮蔽効
果が得られず、更には、着色帯電防止コーティング液を
スプレーする方法によって形成される帯電防止・光フィ
ルター・反射防止機能付き陰極線管の場合は、形成され
た膜の凹凸により、画像の解像度が著しく低下するとい
う問題があった。また、シリカゾルの非分散液からなる
低屈折率膜形成用塗料を塗布して形成した低屈折率膜に
あっては、帯電防止・反射防止膜付き透明積層体の反射
防止機能が不十分であった。
【0005】本発明は上記問題を解決するために、十分
な反射防止機能を有する低屈折率膜形成用塗料、およ
び、透明基材の面上に、帯電防止性にすぐれた帯電防止
・反射防止膜付き透明積層体、特に帯電防止・高屈折率
膜とその上に形成された低屈折率膜とを有する透明積層
体ならびに少なくとも表示面がこの透明積層体で形成さ
れた帯電防止・反射防止機能付き陰極線管を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、シリコン
アルコキシドと非水溶媒と多孔質シリカとを分散含有し
てなる低屈折率膜形成用塗料を提供することにより解決
できる。 これらシリコンアルコキシドと非水溶媒と多
孔質シリカとを含む低屈折率膜形成用塗料を塗布・乾燥
し、これを焼付け処理することによって低屈折率膜を形
成することができる。また、前記の課題は、透明基材
と、この透明基材の表面上にアンチモンドープ酸化錫微
粉末および黒色系導電性微粉末からなる固形成分と溶媒
とを含む帯電防止・高屈折率膜形成用塗料から形成され
た帯電防止・高屈折率膜と、この膜上に形成され、か
つ、その屈折率よりも0.1以上低い屈折率を有する低
屈折率膜とが積層されてなる帯電防止・反射防止膜付き
透明積層体を提供することによって解決できる。なお、
前記溶媒として、高沸点・高表面張力を有する溶媒、ま
たは、高分子分散剤を含む水性分散液等の溶媒が好まし
い。
【0007】上記における低屈折率膜は、シリコンアル
コキシドと非水溶媒とを含む低屈折率膜形成用塗料から
形成するのが好ましい。ここで、低屈折率膜は、低屈折
率膜形成用塗料を前記帯電防止・高屈折率膜上に塗布、
乾燥し、これに焼付処理を施すことにより製造される。
上記における低屈折率膜の低屈折率膜形成用塗料は、多
孔質シリカを分散含有してなるものであることが好まし
い。上記における多孔質シリカは、0.3〜100nm
の平均粒子径で、1.2〜1.4の屈折率を有するもの
であることが好ましい。
【0008】さらに前記の課題は、アンチモンドープ酸
化錫微粉末および黒色系着色導電性微粉末からなる固形
成分と高沸点・高表面張力を有する溶媒とを有する第一
層膜と、この第一層膜上に、シリコンアルコキシドを加
水分解して得られるシリカゾルを分散含有してなる第二
層膜とが、少なくとも表示面上に形成されてなる帯電防
止・反射防止膜付き陰極線管を提供することによって解
決できる。上記における黒色系着色導電性微粉末は、カ
ーボンブラック、黒鉛、チタンブラックのうちの少なく
とも一つであることが好ましい。
【0009】帯電防止・反射防止膜付き透明積層体また
は陰極線管に用いられる、アンチモンドープ酸化錫微粉
末と黒色系導電性微粉末とからなる固形成分が緻密に充
填されてなる帯電防止・高屈折率膜は、アンチモンドー
プ酸化錫微粉末と黒色系着色導電性微粉末からなる固形
成分と高沸点・高表面張力を有する溶媒とを含む分散液
からなる塗料を透明基材の面上に、または陰極線管の少
なくとも表示面上に塗布・乾燥して形成することができ
る。
【0010】
【作用】本発明の低屈折率膜形成用塗料では、シリコン
アルコキシドと非水溶媒と多孔質シリカとを含むので、
これらを塗布・乾燥し、これを焼付け処理することによ
って低屈折率膜を形成することができる。こうして得ら
れた低屈折率膜は、十分な反射防止機能を有する。ま
た、本発明の帯電防止・反射防止膜付き透明積層体にお
いて、前記の高沸点・高表面張力の溶媒は、帯電防止・
高屈折率膜形成用塗料を透明基材上に塗布した後乾燥さ
せる工程において、他の高揮発性溶媒が存在したとして
もそれが蒸発したあと、溶媒が高沸点のため、乾燥直前
まで膜中に残留する。そして、この溶媒が高表面張力で
あるため、これが蒸発する際に、固形成分の粒子同士を
引き付け合い、それにより膜内粒子の充填性が向上し、
最密充填に近い状態となる。このため、粒子間の空隙が
著しく低減し、高い粒子密度による高屈折率化と、導電
性粒子の接触増大により導電性が向上し、その結果、優
れた帯電防止効果がもたらされる。黒色系着色導電性微
粉末は、導電性のみならず、強い光吸収性を有するの
で、これにより表示面における画像の高コントラスト化
がもたらされる。
【0011】次に、本発明を詳しく説明する。本発明の
低屈折率膜形成用塗料は、シリコンアルコキシドと非水
溶媒と多孔質シリカとを分散含有してなる。このシリコ
ンアルコキシドは、テトラアルコキシシラン系化合物、
アルキルトリアルコキシシラン系化合物、ジアルキルジ
アルコキシシラン系化合物などから選ぶことができる。
また、非水溶媒は、アルコール系化合物、エステル系化
合物、およびケトン系化合物などから選ぶことができ
る。これらは単一種で用いてもよく、2種以上の混合物
として用いても良い。上記塗料を、帯電防止・高屈折率
膜上に塗布、乾燥し、これを焼き付け処理すると、シリ
コンアルコキシド加水分解生成物はシリカとなる。シリ
カの屈折率は、n=1.46であり、アンチモンドープ
酸化錫の屈折率よりも低いが、帯電防止・高屈折率膜と
の屈折率差を大きくするためには、シリカよりも屈折率
が低く、かつ透明性の高い物質との併用が好ましい。
【0012】上記のシリコンアルコキシド含有塗料中
に、多孔質シリカ(n=1.2〜1.4)微粉末が含ま
れる。この多孔質シリカの含有率には、格別の制限はな
く、対応する帯電防止・高屈折率膜の組成に応じて適宜
に対応することができるが、一般にはシリコンアルコキ
シドの重量(SiO2)に対して0.01〜60%の範
囲内にあることが好ましい。この多孔質シリカは、0.
3〜100nmの平均粒径を有していることが好まし
い。この平均粒径が100nmを越えると、得られる低
屈折率膜において、レイリー散乱によって光が乱反射さ
れ、低屈折率膜が白っぽく見え、その透明性が低下する
ことがある。
【0013】また、前記多孔質シリカの平均粒径が0.
3nm未満であると、微粒子が凝集しやすく、したがっ
て塗料中における微粒子の均一分散が困難になり、塗料
の粘度が過大になるなどの問題が生ずる。また、塗料の
粘度を低下させるために、溶媒の使用量を増大すると、
塗料中の多孔質シリカ及びシリコンアルコキシドの濃度
が低下するという問題を生ずる。
【0014】前記多孔質シリカは、シリコンのアルコキ
シドをアルカリの存在下において、加水分解させたり、
シリコンのアルコキシドを高分子、例えば、ポリビニル
アルコール、セルロースの存在下において加水分解させ
ることなどにより製造することができる。また、多孔質
シリカ微粉末は、粉末状で使用してもよく、分散された
ゾル状で使用してもよい。粉末状の多孔質シリカを使用
したときの形状は、球状、針状、板状、および鎖状等の
いずれであってもよい。
【0015】次に、本発明の帯電防止・反射防止膜付き
透明積層体について説明する。この透明積層体は、透明
基材と、この透明基材の表面上に形成された帯電防止・
高屈折率膜と、この膜上に形成された低屈折率膜とを有
する。透明基材は、ガラス材料、およびプラスチック材
料などから選ぶことができる。帯電防止・高屈折率膜
は、アンチモンドープ酸化錫微粉末および黒色系導電性
微粉末からなる固形成分と高沸点・高表面張力を有する
溶媒とを含む帯電防止・高屈折率膜形成用塗料から形成
されている。
【0016】アンチモンドープ酸化錫微粉末において、
酸化錫は、気相法(当該化合物をガス化し、これを気相
法で冷却し固化する)、CVD法(成分元素をガス化
し、気相においてこれらを反応させ、生成物を冷却固化
する)または炭酸塩(シュウ酸塩)法(当該金属元素の
炭酸塩(シュウ酸塩)から気相中で変成し、冷却固化す
る)のいずれの既知方法によって製造されたものであっ
てもよい。また、成分元素の塩化物の水溶液と塩基性化
合物の水溶液とを混合反応させ、目的化合物の超微粒子
ゾルを製造する酸アルカリ法、又は、それから溶媒を除
去する水熱法などもアンチモンドープ酸化錫微粉末の製
造に用いることができる。上記水熱法においては、微粒
子の成長、球状化、または表面改質が可能である。ま
た、その微粒子の形状に格別の制限はなく、球状、針
状、板状、および鎖状などのいずれであってもよい。
【0017】酸化錫に対するアンチモンのドープ方法お
よび、ドープされているアンチモンの量には、格別の制
限はないが、一般に、酸化錫の重量に対して1〜5%で
あることが好ましい。これによって、酸化錫微粉末は、
その帯電防止効果、電磁波遮蔽効果などをいっそう増進
させることができる。
【0018】アンチモンドープ酸化錫微粉末は、1〜1
00nmの平均粒径を有するものであることが好まし
い。この平均粒径が1nm未満であると、通電性が低下
し、かつ粒子が凝集しやすくなり、塗料中において均一
な分散が困難になり、塗料の粘度が増大し、この粘度を
下げるために多量の分散溶媒の添加が必要になり、この
ため塗料中のアンチモンドープ酸化錫微粉末の濃度が過
度に低くなる場合がある。また、アンチモンドープ酸化
錫微粉末の平均粒径が100nmを越えると、得られる
帯電防止・高屈折率膜において、レイリー散乱によって
光が著しく乱反射され、白く見えるようになって透明度
が低下する。
【0019】黒色系着色導電性微粉末は、黒色、灰色、
黒灰色、黒褐色等の色調を有し、且つ、導電性を有する
微粉末であればよい。例えば、カーボンブラック、チタ
ンブラック、金属シリコン、硫化スズ、硫化水銀、金属
コバルト、金属タングステン等の酸化物微粉末、金属微
粉末等が使用できる。特に、ケッチェンブラック、ファ
ーネスブラック、黒鉛粉末等のカーボンブラック微粉末
が好ましい。
【0020】使用するカーボンブラックの粒径について
は、特に制限はないが、塗料の分散安定性の点から1μ
m以下の粒径のものを使用するのが好ましい。また、カ
ーボンブラック微粉末を分散させるために、陰イオン界
面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び
非イオン界面活性剤等の分散剤も使用できる。
【0021】帯電防止・高屈折率膜形成用塗料の固形成
分におけるアンチモンドープ酸化錫微粉末と黒色系着色
導電性微粉末との重量割合は、アンチモンドープ酸化錫
微粉末70〜99重量部に対して黒色系着色導電性微粉
末30〜1重量部とすることが好ましい。黒色系着色導
電性微粉末の含有割合が30/70重量部を越えると、
黒色系着色導電性微粉末の含有量が過度となり、得られ
る膜の透明性が著しく低下し、ディスプレー装置の表示
面上に積層膜を形成した場合に、視認性が極めて悪くな
る。また、1/99重量部未満では、得られる帯電防止
・高屈折率膜の導電性が上がらず、また、光吸収がほと
んど生じないために、帯電防止・高屈折率膜の上に低屈
折率膜を形成しても、従来と同等の帯電防止・反射防止
効果しか得られず、帯電防止・反射防止膜として不十分
なものになる。
【0022】帯電防止・高屈折率膜形成用塗料に用いら
れる溶媒としては、水および水可溶性の有機溶媒等を用
いることができるが、特に、高沸点・高表面張力を有す
る溶媒を用いることが好ましい。水可溶性の有機溶剤と
しては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパ
ノール、nープロパノール、nーブタノール、2ーブタ
ノール、isoーブタノール、tertーブタノール等
のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ーnー
プロピル、酢酸ーisoプロピル等の酢酸エステル類、
ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン
等のケトン類、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、
ブチルセルソルブ等のグリコールエーテル類が挙げられ
る。
【0023】また、溶媒として、水溶媒を用いる場合に
ついては、高分子分散剤を添加することが望ましい。以
下、高分子分散剤について説明する。この高分子分散剤
は、アンチモンドープ酸化錫微粉末と黒色系着色導電性
微粉末とからなる微粉末混合物100重量部に対し、
0.01〜0.5重量部添加するのが好ましい。なぜな
ら、高分子分散剤の量が0.5重量部を越えると、分散
剤の吸着層の厚みが大きくなり過ぎて粒子間の接触が妨
げられ、これにより得られる帯電防止・高屈折率膜層の
導電性が上がらず、また、この膜層上に低屈折率膜層を
形成しても、従来と同等の帯電防止・反射防止効果しか
得られなくなるからである。一方、0.01重量部未満
では、微粒子の分散が不十分となって微粒子が凝集して
しまい、得られる帯電防止・高屈折膜層の導電性が上が
らず、したがってこの膜層上に低屈折率膜層を形成して
も十分な帯電防止・反射防止効果が得られなくなるから
であり、さらには粒子の凝集のため、膜の曇り度(ヘー
ズ)が高くなるからである。
【0024】高分子分散剤としては、カルボン酸あるい
はスルホン酸の基を有する陰イオン性のもの、具体的に
は高分子系ポリカルボン酸塩、ポリスチレンスルホン酸
塩、ナフタレンスルホン酸縮合物塩が使用され、これら
の高分子分散剤を単一種で使用しても、あるいは2種以
上混合して使用してもよい。なお、このような高分子分
散剤と、従来用いていた陰イオン界面活性剤とを併用し
てもよいが、従来の洗剤等に含まれる陰イオン性界面活
性剤のみでは、高分子分散剤ほど分散性が上がらず、そ
の結果、第1層の緻密化、高屈折率化が十分に達成でき
ず、さらに、発泡性が強く、また表面張力を低下させ過
ぎるため、低屈折率膜層を形成させる際濡れ性が悪くな
り、本発明の目的を達成し得ない。
【0025】このようなアンチモンドープ酸化錫微粉末
と黒色系着色導電性微粉末と高分子分散剤との混合物か
ら本発明の塗料を得るには、該混合物を水中にて超音波
ホモジナイザーやサンドミル等を用いた通常の方法で混
合分散させ、水性分散液を形成することによって得る。
このような水性分散液からなる帯電防止・高屈折率膜形
成用塗料あっては、アンチモンドープ酸化錫微粉末とカ
ーボンブラック微粉末とに高分子分散剤を添加したこと
から、該高分子分散剤がアンチモンドープ酸化錫微粉末
およびカーボンブラック微粉末の表面に吸着し、これら
微粉末の分散性を著しく向上させることができる。した
がって、この塗料が塗布・乾燥された際、粒子の凝集が
防がれ、膜の充填率が上昇して最密充填に近い状態が作
り出され、これにより粒子間の接触がより良好となり、
優れた帯電防止効果が得られる。また、粒子間の空隙が
著しく低減することにより、従来にない高屈折率を得る
ことができる。
【0026】高沸点・高表面張力を有する溶媒につい
て:本発明に用いられる高沸点・高表面張力を有する溶
媒としては、沸点が150℃以上であり、表面張力が4
0dyne/cm以上の物性を有するものが好適に使用でき
る。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレン
グリコール等であり、これらの溶媒を2種類以上混合し
て使用しても差し支えない。その他の溶媒を併用するこ
ともできるが、この場合は目的とする導電性、高屈折率
性を損なわずに、成膜性を良好にするものを、分散液中
の溶媒の割合や種類を変えた予備実験によって適宜選定
し採用する必要がある。
【0027】アンチモンドープ酸化錫微粉末と黒色着色
導電性微粉末からなる固形成分と高沸点・高表面張力を
有する溶媒とを含む分散液において、この分散液中に高
沸点・高表面張力を有する溶媒が、分散液100重量部
中、0.1〜10重量部含まれることが好ましい。高沸
点・高表面張力を有する溶媒が、分散液中で10重量部
を越えると、溶媒の蒸発時間が長過ぎたり、乾燥不良を
きたす場合がある。そのため、この膜上に低屈折率膜を
塗布した時、層間で混合が起こり、二層膜が設計通り成
膜されず、十分な導電性、反射防止特性が得られない。
一方、0.1重量部未満では、粒子同士の引き付けが十
分でなく、膜内粒子の充填性が向上せず、膜の緻密化、
高屈折率化が十分に達成されない。そのため、得られる
帯電防止・高屈折率膜の導電性が上がらず、またこの膜
上に低屈折率膜を形成しても、従来と同等程度の帯電防
止・反射防止効果しか得られない。
【0028】また、アンチモンドープ酸化錫微粉末やカ
ーボンブラック微粉末を基材上に固定するため、濡れ改
良剤として、シリコーンオイル、シリコンアルコキシド
加水分解物等の無機系バインダーや、アクリル樹脂、ウ
レタン樹脂、エポキシ樹脂等の有機系バインダーを添加
しても良い。但し、この場合は、目的とする導電性、高
屈折率を得るために(添加剤)/(導電粉末)の重量比
を変えた予備テストを行ない、適宜選定する必要があ
る。なお、前記添加剤およびバインダーは、カーボンブ
ラック粒子以外の黒色系着色導電性微粉末においても使
用することができる。
【0029】以下に、黒色系着色導電性微粉末としてカ
ーボンブラック微粉末を使用した帯電防止・高屈折率膜
形成用塗料について説明する。従来の、黒色系着色導電
性微粉末を含まない帯電防止膜形成用塗料においては、
アンチモンドープ酸化錫微粉末のみによって、帯電防止
・高屈折率膜の導電化・高屈折率化が図られていた。し
かし、本発明において、アンチモンドープ酸化錫微粉末
に、さらにより高導電性でかつ光吸収能のあるカーボン
ブラック微粉末を混合すること、即ち、導電性微粒子
(ATO)+黒色系導電性微粒子、言い換えれば2重の
導電性微粒子の添加によって、より優れた2重の帯電防
止性が得られることになる。
【0030】また、帯電防止・高屈折率膜形成用塗料中
に高沸点・高表面張力を有する溶媒が添加されているの
で、この塗料を基板上に塗布し乾燥させる工程におい
て、他の高揮発性溶媒が存在したとしてもそれが蒸発し
たあと、高沸点・高表面張力を有する溶媒が膜中に乾燥
直前まで残留する。そしてこの溶媒が蒸発する際には、
高表面張力であるため、粒子同士を引き付け合い、それ
により膜の充填性を向上させ、最密充填に近い状態を作
り出す。これにより、粒子の接触をより良好にさせる効
果がある。更に、粒子間の空隙を著しく低減させる効果
がある。そのため、固形成分が緻密に充填されてなる膜
が得られ、今まで以上の帯電防止効果と高屈折率化が実
現される。
【0031】このため、帯電防止・高屈折率膜形成用塗
料を用いて得られる帯電防止・高屈折率膜は、極めて優
れた帯電防止効果および電磁波遮蔽効果を示す。そし
て、前記帯電防止・高屈折率膜は、n(屈折率)=1.
6〜2.0という高屈折率を具有する。
【0032】また、特に本発明の透明積層体にあって
は、基材面での反射光を低減させるために、上記の帯電
防止・高屈折率膜の上に屈折率差0.1以上、好ましく
は0.15以上の低屈折率膜を設ける。これにより、極
めて優れた反射防止性をも具現すことになる。これは、
低屈折率膜表面からの反射光と帯電防止・高屈折率膜の
界面からの反射光とが干渉によって打ち消しあい、さら
に高屈折率膜に存在するカーボンブラック粒子により、
帯電防止・高屈折率膜内に侵入する外光が吸収されるか
らである。これによって、反射防止効果を従来以上に高
めることができる。
【0033】本発明の積層体において、透明基材上に形
成される帯電防止・高屈折率膜の厚さ、または重量に格
別の制限はないが、一般に0.05〜0.5μmの厚さ
を有することが好ましい。
【0034】本発明の塗料を用いて形成された帯電防止
・高屈折率膜の上には、低屈折率膜が形成される。低屈
折率膜は、帯電防止・高屈折率膜表面における空隙を充
填し、乱反射を抑制し、その耐摩耗性を向上させるのに
有効なものである。低屈折率膜は、シリコンアルコキシ
ドを含む非水溶媒溶液からなる塗料を、帯電防止・高屈
折率膜上に塗布乾燥し、これに焼付処理を施して形成す
ることができる。
【0035】この低屈折率膜の厚さに格別の制限はない
が、0.05〜0.5μmの厚さを有することが好まし
い。上記の範囲の厚さを有する低屈折率膜は、比較的薄
いものであるので、帯電防止・高屈折率膜の導電性によ
り、膜全体として実用上十分な帯電防止及び電磁波遮蔽
性が得られる。
【0036】本発明の陰極線管は、前記透明積層体の応
用例であって、陰極線管の前面の画像表示面(フェース
パネル)にアンチモンドープ酸化錫と、それより更に高
導電性で、光吸収能のあるカーボンブラック微粉末、黒
鉛微粉末、チタンブラック微粉末のうちの少なくとも一
つを同時に存在させた固形成分を含む第一層目の高屈折
率膜を形成し、その上に、シリコンアルコキシドを加水
分解して得られるシリカゾルを含有してなる第二層の低
屈折率膜を形成してなるものである。
【0037】前記塗料により形成された第一層目の膜で
は、アンチモンドープ酸化錫に、さらに高導電性の黒色
系着色導電性微粉末が添加されたことによって、帯電防
止効果の他に、電磁波シールド効果、さらに光吸収によ
る画像の高コントラスト化効果を付与することができ
る。また、第一層目の膜上に、それより低屈折率の第二
層目の膜を形成したことによって、第一層目と第二層目
との組み合わせによる光学的反射防止効果を付与するこ
とができる。
【0038】上記第一層目の膜形成用塗料としては、上
述のように、焼成法、水熱法、等の公知の方法により形
成されたアンチモンドープ酸化錫微粉末とファーネスブ
ラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、黒
鉛微粉末、チタンブラック等の黒色系着色導電性微粉末
からなる固形成分と高沸点・高表面張力を有する溶剤と
を水中、あるいは有機溶剤中で超音波ホモジナイザーや
サンドミル等の通常の方法で混合分散したものが用いら
れる。また、必要に応じて分散剤を添加しても良い。
【0039】ここで、アンチモンドープ酸化錫微粉末と
黒色系着色導電性微粉末からなる固形成分と高沸点・高
表面張力を有する溶媒との混合比率に関しては、前述の
ように高沸点・高表面張力を有する溶媒を入れ過ぎる
と、乾燥時間が長過ぎたり、乾燥不良のため第二層膜が
設計通り成膜されず、十分な導電性、反射防止特性が得
られないといった不具合が生ずる。また、黒色系着色導
電性微粉末を入れ過ぎると、膜の光透過率が著しく低下
し、その結果陰極線の輝度が著しく低下するといった不
具合が生ずる。そこで、所望の帯電防止、電磁波遮蔽、
反射防止、高コントラスト化性能をバランスよく発揮さ
せるためには、重量比で、アンチモンドープ酸化錫微粉
末/黒色系着色導電性微粉末=99/1〜70/30、
高沸点・高表面張力溶媒/塗料=0.1/100〜10
/100とすることが好ましい。
【0040】次いで、第二層目の低屈折率膜形成用塗料
としては、表面硬度、屈折率の点から、シリコンアルコ
キシドを加水分解して得られるシリカゾルを含む塗料を
用いてもよい。具体的には、テトラメトキシシラン、テ
トラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のシ
リコンアルコキシドをメタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル等の
エステル類、ジエチルエーテル等のエーテル類、ケトン
類、アルデヒド類、エチルセロソルブ等の1種又は2種
以上の混合溶媒に加え、それに水と塩酸、硝酸、硫酸、
リン酸等の酸を加えて加水分解してシリカゾルを生成し
た溶液を第二層目の低屈折率膜形成用塗料として用いる
ことができる。これら塗料の塗布方法としては、スピン
コート法、スプレー法、ディップ法等が適用できるが、
陰極線管上に膜厚の均一な膜を形成する場合には、スピ
ンコート法が好ましい。
【0041】本発明により得られる上記帯電防止・高屈
折率膜と低屈折率膜との組合せ膜をブラウン管等の表示
体面上に形成すると、反射防止による視認性ばかりでな
く、表示体面が黒色を有しているために、画像のコント
ラストも向上し、それによっても、視認性の優れた表示
体とすることができる。また、低屈折率膜の外表面に、
さらに凹凸のある低屈折率膜を形成した3層構造とする
ことにより、反射像の輪郭が不明瞭になることを防止す
る防げん効果を付与することもできる。これにより、光
学干渉による反射防止に、黒色化による画像コントラス
トの向上、さらには防げん効果を加えることによって、
視認性の優れた表示体とすることができる。
【0042】
【実施例】次に、本発明の実施例を述べる。 (実施例1) (1)帯電防止・高屈折率膜形成用塗料(A)を下記の
ように調製した。 (カーボンブラック/アンチモンドープ酸化錫=5/9
5重量比)1.9gのアンチモンドープ酸化錫微粉末
(住友セメント社製)と、0.1gのカーボンブラック
微粉末(三菱化成社製:MA−100)と、2.0gの
プロピレングリコールと、10.0gのブチルセロソル
ブと、水86.0gとを混合した後、超音波ホモジナイ
ザー(セントラル科学貿易社製:ソニファイヤー45
0)で10分間分散させて、均一な分散液とした。 (2)低屈折率膜形成用塗料(a)を下記のように調製
した。0.6gのテトラエトキシシランと、0.6gの
0.1N塩酸と、96.8gのエチルアルコールと、多
孔質シリカ微分末2.0gとを混合して均一な溶液とし
た。 (3)透明積層体の製造 ガラス基板の面温40℃において、前記塗料(A)をス
ピンコート法により塗布し、50℃の温風により1分間
乾燥した。0.1μmの厚さを有する帯電防止・高屈折
率層が形成された。次に、このガラス基板の帯電防止・
高屈折率膜上に40℃の温度において、塗料(a)をス
ピンコート法により塗布し、50℃の温風により乾燥
し、これに150℃、20分間の焼き付け処理を施し
て、厚さ0.1μmの低屈折率膜を形成した。 (4)評価 ここに得られた透明積層体の全光線透過率、ヘーズ、表
面抵抗値(表面抵抗計による)、表面反射率(入射角5
度の正反射治具を用いて、分光光度計により測定した波
長550nmの光反射率の片面値)、および密着性(消
しゴムテスト、荷重1kg20回往復による)を測定し
た。評価結果を表1に示す。
【0043】(実施例2)実施例1と同様な操作を行
い、下記の調製した塗料(b)を用いた。100gのテ
トラメトキシシランと530gのメタノールとを混合
し、この混合液に室温で23.5gのアンモニア水を添
加し、24時間撹拌した。その後、24時間還流してア
ンモニアを除去してさらに濃縮し、平均粒子径が10n
mの多孔質シリカゾル(固形分20重量%)を得た。こ
の多孔質シリカ/バインダーの量比を変化させて反射防
止膜を作製し、その時の屈折率と多孔質シリカ濃度との
関係から、多孔質シリカ100%の値を外挿し、屈折率
が1.25の多孔質シリカを得た。この2.0gの多孔
質シリカゾル(約10nm)を0.6gのテトラエトキ
シシランとともに0.6gの0.1N塩酸、96.8g
のエチルアルコール溶液に混合し、均一に分散させ塗料
(b)とした。得られた透明積層体の評価結果を表1に
示す。
【表1】
【0044】(比較例1)実施例1と同様な操作を行
い、ただし帯電防止・高屈折率膜形成用塗料の組成を、
カーボンブラック/アンチモンドープ酸化錫=0/10
0(重量比)、すなわち、カーボンブラック微粉末を含
まないもの、10gのブチルセロソルブ、水88gとし
た。また、低屈折率膜層には、多孔質シリカ微粉末を含
まないものとした。得られた透明積層体の評価結果を表
2に示す。
【0045】(比較例2)実施例1と同様な操作を行
い、ただし帯電防止・高屈折率膜形成用塗料の組成を、
カーボンブラック(0.8g)/アンチモンドープ酸化
錫(1.2g)=40/60(重量比)、4.0gのホ
ルムアミド、10.0gのブチルセロソルブ、水84.
0gとした。また、低屈折率膜層には、多孔質シリカ微
粉末を含まないものとした。得られた透明積層体の評価
結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】表1、2に示す評価結果から明らかなよう
に、透明基材と、70〜99重量部のアンチモンドープ
酸化錫微粉末と30〜1重量部のカーボンブラック微粉
末からなる固形成分と塗料100重量部中に高沸点・高
表面張力を有する溶媒が0.1〜10重量部含まれてな
る帯電防止・高屈折率膜形成用塗料から形成された帯電
防止・高屈折率膜と、この帯電防止・高屈折率膜の上に
形成され、かつその屈折率よりも0.1以上低い屈折率
を有する低屈折率膜とを含んでなる帯電防止・反射防止
膜付き透明積層体は、ディスプレー装置の表示面、その
表面カバー材料、窓ガラス、ショーウィンドー用ガラ
ス、TVブラウン管の表示面、液晶装置の表示面、計器
のカバーガラス、時計のカバーガラス、およびCRTの
前面映像面として、充分な光透過性を有すると共に、表
面抵抗および反射率が低く、充分実用性のある帯電防止
機能および反射防止機能を有するものであることが確認
された。
【0048】また、上記低屈折率膜に、シリコンアルコ
キシドと非水溶媒と多孔質シリカとを分散含有させるこ
とにより、帯電防止・反射防止膜付き透明積層体の反射
防止機能を向上させることができることも確認できた。
【0049】以下に本発明の陰極線管の実施例について
説明する。 (実施例3)以下の組成を有する塗料を調製した。 1.第一層目膜形成用塗料 アンチモンドープ酸化錫微粉末(住友セメント社製) 1.9g カーボンブラック微粉末(三菱化成社製:MA−100) 0.1g プロピレングリコール 2.0g ブチルセロソルブ 10.0g 水 86.0g 2.第二層目膜形成用塗料 テトラエトキシシラン 0.6g 0.1N塩酸 0.6g エチルアルコール 96.8g 多孔質シリカ 2.0g 3.陰極線管への膜形成方法 上記第一層目膜形成用塗料を、17インチTVブラウン
管(陰極線管)のフェースパネル(画像表示面)の前面
に、面温40℃において、スピンコート法(150rp
m×30sec)によりコートし、陰極線管のフェース
パネル上に第一層膜を形成した。次いで、上記第二層膜
形成用塗料を、上記と同様にしてスピンコート法(15
0rpm×30sec)によりコートし、第一層膜上に
第二層膜を形成した。その後、このパネルを160℃の
炉中に30分間入れて焼き付けし、フェースパネル上に
被膜を形成した。
【0050】上記により得られた陰極線管を図1に示
す。図1において、符号1は陰極線管を示している。こ
の陰極線管1は、そのフェースパネル2の前面に第一層
膜3が形成され、この第一層膜3の上に第二層膜4が形
成されている。なお、符号5は陰極線管のネックを示
し、符号6は電子銃を示す。得られた陰極線管につい
て、表面抵抗率、全光線透過率、反射率、密着性(消し
ゴムテスト)の評価を行った。その結果を表4に示す。
【0051】(比較例3)実施例3と同様な操作を行
い、ただし実施例6の第一層目膜形成用塗料からカーボ
ンブラック微粉末を除いた塗料を用いて、比較例3の陰
極線管を得た。得られた陰極線管について、実施例3と
同様な評価を行った。その結果を表3に示す。
【0052】
【表3】
【0053】表3に示すように、実施例3の陰極線管の
フェースパネルは、表面抵抗および反射率が比較例3の
ものよりも低く、充分な帯電防止効果、電磁波シールド
効果、反射防止効果を有するものであることが確認され
た。表3では実施例3の全光線透過率が比較例3に比べ
て低く表示されているが、これは実際の画像表示におい
て画面を暗くするものではなく、画像コントラストを向
上させるものであることが認められた。
【0054】
【発明の効果】本発明の低屈折率膜形成用塗料は、シリ
コンアルコキシドが非水溶媒中に均一に分散されるの
で、帯電防止・高屈折率用膜の上に均一にシリコンアル
コキシドを分散させて積層させることができる。この塗
料に多孔質シリカを分散含有させるので、十分は反射防
止機能を有する低屈折率膜を製造でき、これを用いて帯
電防止・反射防止膜付き透明積層体の反射防止機能を向
上させることができる。
【0055】本発明に係わる帯電防止・反射防止膜付き
透明積層体は、透明基材上に帯電防止性に優れ屈折率が
高い膜を容易に形成することを可能にするものであっ
て、特に、帯電防止・高屈折率膜形成用塗料を用いて得
られた帯電防止・高屈折率膜に低屈折率膜を組み合わせ
ることによって、実用的性能の優れた帯電防止・反射防
止膜付き透明積層体が得られる。すなわち、アンチモン
ドープ酸化錫微粉末と、黒色系着色導電性微粉末からな
る固形成分と高沸点・高表面張力を有する溶媒とを含む
分散液からなる帯電防止・高屈折率膜形成用塗料、すな
わち2種の導電性微粒子を含有し、乾燥工程において、
粒子同士の接触を向上させる溶媒を配合した帯電防止・
高屈折率膜形成用塗料を用いることにより、高い帯電防
止機能および高い屈折率を有する帯電防止・高屈折率膜
を得ることができる。そして、この帯電防止・高屈折率
膜と低屈折率膜とを組み合わせることにより、優れた帯
電防止性および反射防止性を有する帯電防止・反射防止
膜付き透明積層体を得ることができる。
【0056】また、本発明の陰極線管は、画像表示面の
前面に、特に第一層膜中に、アンチモンドープ酸化錫微
粉末と、それより高導電性の黒色系着色導電性微粉末と
を同時に存在させ、さらに高沸点・高表面張力を有する
溶媒を添加した塗料を用いることにより、粒子間の接触
を良好にし、同時に粒子間の空隙を著しく減少させ、さ
らにその第一層膜上に、シリカ系の第二層膜(低屈折率
膜)を形成することによって、TVブラウン管等の陰極
線管に、帯電防止効果、電磁波シールド効果、反射防止
効果、高コントラスト化効果を付与することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例6の陰極線管の断面図。
【符号の説明】
1…陰極線管、2…画像表示面、3…第一層膜、4…第
二層膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C09D 1/00 PCJ (72)発明者 上原 賢 千葉県船橋市豊富町585番地 住友セメン ト株式会社中央研究所内 (72)発明者 加藤 博貢 千葉県船橋市豊富町585番地 住友セメン ト株式会社中央研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコンアルコキシドと非水溶媒と多孔
    質シリカとを分散含有してなる低屈折率膜形成用塗料。
  2. 【請求項2】 透明基材と、この透明基材の表面上にア
    ンチモンドープ酸化錫微粉末および黒色系導電性微粉末
    からなる固形成分と溶媒とを含む帯電防止・高屈折率膜
    形成用塗料から形成された帯電防止・高屈折率膜と、こ
    の膜上に形成され、かつ、その屈折率よりも0.1以上
    低い屈折率を有する低屈折率膜とが積層されてなる帯電
    防止・反射防止膜付き透明積層体。
  3. 【請求項3】 透明基材と、この透明基材の表面上にア
    ンチモンドープ酸化錫微粉末および黒色系導電性微粉末
    からなる固形成分と高分子分散剤を含む水性分散液から
    なる帯電防止・高屈折率膜形成用塗料から形成された帯
    電防止・高屈折率膜と、この膜上に形成され、かつ、そ
    の屈折率よりも0.1以上低い屈折率を有する低屈折率
    膜とが積層されてなる帯電防止・反射防止膜付き透明積
    層体。
  4. 【請求項4】 透明基材と、この透明基材の表面上にア
    ンチモンドープ酸化錫微粉末および黒色系導電性微粉末
    からなる固形成分と高沸点・高表面張力を有する溶媒と
    を含む帯電防止・高屈折率膜形成用塗料から形成された
    帯電防止・高屈折率膜と、この膜上に形成され、かつ、
    その屈折率よりも0.1以上低い屈折率を有する低屈折
    率膜とが積層されてなる帯電防止・反射防止膜付き透明
    積層体。
  5. 【請求項5】 前記低屈折率膜は、シリコンアルコキシ
    ドと非水溶媒とを含む低屈折率膜形成用塗料から形成さ
    れてなる請求項4記載の帯電防止・反射防止膜付き透明
    積層体。
  6. 【請求項6】 前記低屈折率膜の原料となる低屈折率膜
    形成用塗料は、多孔質シリカを分散含有してなる請求項
    4、または5記載の帯電防止・反射防止膜付き透明積層
    体。
  7. 【請求項7】 前記低屈折率膜形成用塗料に含まれる多
    孔質シリカが、0.3〜100nmの平均粒子径で、
    1.2〜1.4の屈折率を有してなる請求項6記載の帯
    電防止・反射防止膜付き透明積層体。
  8. 【請求項8】 アンチモンドープ酸化錫微粉末および黒
    色系着色導電性微粉末からなる固形成分と高沸点・高表
    面張力を有する溶媒とを含む帯電防止・高屈折率膜形成
    用塗料から形成された第一層膜と、この第一層膜上に、
    シリコンアルコキシドを加水分解して得られるシリカゾ
    ルを分散含有してなる第二層膜とが、少なくとも表示面
    上に形成されてなる帯電防止・反射防止膜付き陰極線
    管。
  9. 【請求項9】 前記黒色系着色導電性微粉末が、カーボ
    ンブラック、黒鉛、チタンブラックの少なくとも一つで
    ある請求項8記載の帯電防止・反射防止膜付き陰極線
    管。
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