[go: up one dir, main page]

JPH07166371A - 耐食性、耐パウダリング性、耐低温衝撃剥離性、摺動性及びリン酸塩処理性にすぐれるZn−Ni系合金めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

耐食性、耐パウダリング性、耐低温衝撃剥離性、摺動性及びリン酸塩処理性にすぐれるZn−Ni系合金めっき鋼板及びその製造方法

Info

Publication number
JPH07166371A
JPH07166371A JP31184593A JP31184593A JPH07166371A JP H07166371 A JPH07166371 A JP H07166371A JP 31184593 A JP31184593 A JP 31184593A JP 31184593 A JP31184593 A JP 31184593A JP H07166371 A JPH07166371 A JP H07166371A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
layer
resistance
plating
steel sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31184593A
Other languages
English (en)
Inventor
Hirohiko Sakai
裕彦 堺
Masatoshi Iwai
正敏 岩井
Hiroaki Nakano
博昭 中野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP31184593A priority Critical patent/JPH07166371A/ja
Publication of JPH07166371A publication Critical patent/JPH07166371A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroplating And Plating Baths Therefor (AREA)
  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】例えば、自動車のフード、フェンダー、ドア
等、所謂自動車外板といわれている部品に好適に用いる
ことができる耐食性、耐パウダリング性、耐低温衝撃剥
離性、摺動性及びリン酸塩処理性にすぐれるZn−Ni
系合金めっき鋼板及びその製造方法を提供することにあ
る。 【構成】鋼板上にNi又はCoを単独にて、又はNi及
びCoを合金として、0.01〜1.0g/m2の範囲の付着
量にて電気めっきしてなる第1層、その上にNi含有率
11〜13%のγ相単相のZn−Ni合金めっき層から
なる第2層、更に、その上にP付着量にして1〜10mg
/m2のリン酸化合物層からなる第3層を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、自動車のフー
ド、フェンダー、ドア等、所謂自動車外板といわれてい
る部品に好適に用いることができる耐食性、耐パウダリ
ング性、耐低温衝撃剥離性、摺動性及びリン酸塩処理性
にすぐれるZn−Ni系合金めっき鋼板及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】上述したように、Zn−Ni系合金めっ
き鋼板は、自動車外板に広く用いられているが、このよ
うな自動車外板に用いられるZn−Ni系合金めっき鋼
板は、単に、耐食性にすぐれるのみではなく、プレス加
工時にめっき層が粉状になって剥離するパウダリング現
象が起こり難い耐パウダリング性が要求され、更に、プ
レス加工時に鋼板がプレス金型にうまく流入して、鋼板
の破断を起こさない摺動性、塗装前処理であるリン酸塩
処理にて「むら」や「すけ」のない均一な表面状態に仕
上がるリン酸塩処理性、塗装後、冬季の高速道路を高速
走行中に飛び石によりチッピングを受けたときに塗膜が
めっき層から剥離しない耐低温衝撃剥離性等も要求され
る。
【0003】一般に、Zn−Ni合金めっきは、Ni含
有率が11〜13%の範囲にあるときに、耐食性と耐パ
ウダリング性が最もすぐれるので、現在、Ni含有率を
11〜13%の範囲としたZn−Ni系合金めっき鋼板
が広く製造され、用いられている。しかし、これら従来
からのZn−Ni系合金めっき鋼板は、他方において、
耐低温衝撃剥離性、摺動性及びリン酸塩処理性が必ずし
も安定せず、ときとして、プレス時に破断が起こり、ま
た、リン酸塩処理の「むら」が発生して、自動車の製造
工程を混乱させる場合がある。
【0004】そこで、本発明者らは、その原因を調査し
たところ、Ni含有率が11〜13%の範囲にあるZn
−Ni合金電気めっきは、めっき層の相構造がγ相(N
5Zn21)単相の場合と、γ相以外にη相(Zn中に
Niが固溶した相)も析出した2相構造を採る場合とが
あること、そして、このように、めっき層にη相が析出
した場合には、耐低温衝撃剥離性、耐パウダリング性及
びリン酸塩処理性は良好であるものの、他方において、
耐食性と摺動性が不良であることを見出した。
【0005】Zn−Ni合金電気めっきにおいては、2
元平衡状態図にあるδ相(NiZn 8 )は出現せず、N
i含有率が増加するにつれて、η相+γ相の2相構造か
らγ相単相に変化する。このη相が消滅するNi含有率
(以下、η相消減点という。)は10%強といわれてい
るが、本発明者らが調査した結果、そのめっき条件によ
って、η相消減点が11%から13%の間で変動するこ
とを見出した。
【0006】具体的には、耐低温衝撃剥離性と耐パウダ
リング性の向上策として効果のあるNi及び/又はCo
のプレめっき(予備めっき)を行うと、η相消減点が上
昇すること、めっき中の不純物イオンであるPb2+が含
有された状態にてめっきすることによってη相消減点が
低下することが明らかとなった。このようにして、本発
明者らは、Ni及び/又はCoのプレめっきを行い、P
2+が含有されない状態にてNi含有率11〜13%の
範囲にてZn−Ni合金めっきを行うことによって、Z
n−Ni合金めっきはγ相単相となり、前述した種々の
要求特性のうち、リン酸塩処理性以外は満たされること
となり、そこで、残されたリン酸塩処理性も、めっき後
にその表面を可溶性リン酸イオンを含有する処理液中に
て浸漬処理又は陽極電解処理することによって、改善し
得ることを見出し、更に、この可溶性リン酸イオンを含
有する処理液中にて行う浸漬処理又は陽極電解処理は、
めっき層の摺動性をも一層向上させることを見出して、
本発明に至つたものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のZn
−Ni合金めっき鋼板における上述した問題を解決する
ためになされたものであって、耐食性、耐低温衝撃剥離
性、耐パウダリング性、摺動性及びリン酸塩処理性にす
ぐれるZn−Ni系合金めっき鋼板及びその製造方法を
提供することを目的とし、特に、本発明は、上記特性に
すぐれ、従って、自動車外板として好適に用いることが
できるZn−Ni系合金めっき鋼板及びその製造方法を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による耐食性、耐
パウダリング性、耐低温衝撃剥離性、摺動性及びリン酸
塩処理性にすぐれるZn−Ni系合金めっき鋼板は、鋼
板上にNi又はCoを単独にて、又はNi及びCoを合
金として、0.01〜1.0g/m2の範囲の付着量にて電気
めっきしてなる第1層、その上にNi含有率11〜13
%のγ相単相のZn−Ni合金めっき層からなる第2
層、更にその上にP換算にて1〜10mg/m2のリン酸化
合物層からなる第3層を有することを特徴とするもので
ある。
【0009】本発明によるかかるZn−Ni系合金めっ
き鋼板は、本発明に従って、鋼板上にNi又はCoを単
独にて、又はNi及びCoを合金として、0.01〜1.0
g/m2の範囲の付着量にて電気めっきした後、めっき浴
中のNi2+/Zn2+比を1.2〜2.0の範囲とし、且つ、
浴中のPb2+濃度を1.0ppm以下としためっき浴に
て、電流密度50〜200A/dm2 にてZn−Ni合金
めっきを行い、その後、更に、可溶性リン酸イオンを含
有する処理液中にて浸漬処理又は陽極電解処理すること
によって得ることができる。
【0010】本発明の方法に従って、Zn−Ni系合金
めっき鋼板を製造するに際して、素材の鋼板は、必要に
応じ、脱脂、酸洗を実施した後、Ni又はCoを単独に
て、又はNi及びCoを合金として、0.1〜1.0g/m2
の付着量にて電気プレめっき(予備めっき)し、これを
第1層とする。
【0011】このプレめっきは、γ単相のZn−Ni合
金電気めっきの欠点である耐低温衝撃剥離性と耐パウダ
リング性とを改善すると共に、このようなプレめっき層
を鋼板上に第1層として形成することによって、この後
に引続いて行なわれるZn−Ni合金電気めっきにおい
て、η相を析出し難くすることができる。
【0012】この目的のためには、プレめっき層は、N
i又はCoの単独めっきであるか、又はNi及びCoの
合金めっきである必要がある。特に、本発明によれば、
Coを5〜20重量%含有するNi−Co合金は、Ni
又はCoの単一金属をプレめっきする場合に比べて、一
層、耐低温衝撃剥離性改善の効果が大きいと共に、耐食
性向上の効果もある。
【0013】本発明においては、上記Ni若しくはCo
の単独めっき、又はNi及びCoの合金めっきは、その
付着量が0.01〜1.0g/m2の範囲であることが必要で
ある。上記めっき付着量が0.01g/m2よりも少ないと
きは、耐低温衝撃剥離性と耐パウリング性の改善効果を
有効に得ることができず、他方、付着量が1.0g/m2
越えても、耐低温衝撃剥離性と耐パウリング性の改善効
果が飽和する。
【0014】本発明の方法によれば、このように、鋼板
にプレめっきを施した後、Zn−Ni系合金電気めっき
を行って、第2層としてのZn−Ni系合金電気めっき
層を形成する。本発明によれば、Zn−Ni合金めっき
は、Ni含有率が11〜13%で、且つ、γ相単相であ
ることが必要である。
【0015】Zn−Ni合金電気めっきにおけるNi含
有率が11%よりも少ないときは、めっき層の耐食性が
十分でない。一方、Ni含有率が13%を越えるとき
は、めっき層の耐低温衝撃剥離性や耐パウリング性が劣
化する。
【0016】Zn−Ni合金電気めっきがγ単相からな
るのではなく、めっき層にγ相と共にη相が残存すると
きは、めっき層が耐食性において劣るのみならず、摺動
性にも劣る。このように、Zn−Ni合金電気めっき層
にη相が残存するときに、めっき層の耐食性が劣化する
理由は、かかる2相構造となることによって、γ相とη
相との間でミクロセルが多数形成されるからである。ま
た、めっき層の摺動性が劣化するのは、γ相に比べて、
η相は硬度が小さく、焼付きを起こしやすいので、プレ
ス加工の際に、局部的に高面圧となるビード部等にて摩
擦係数が著しく増加するためである。
【0017】このように、Ni含有率11〜13%の範
囲にて、そのめっき相構造をγ相単層に保つためには、
既に述べたように、めっき前にNi及び/又はCoのプ
レめっきを行うと共に、これに引き続いて、Zn−Ni
合金めっきを行うに際して、そのめっき浴中のPb2+
1ppm以下とすることが必要である。Ni及び/又は
Coのプレめっきがγ相の析出を促進し、η相の析出を
抑制する理由は不明であるが、Ni及び/又はCoのプ
レめっき層上にγ相がエピタキシャル成長しやすいため
と推測される。
【0018】Zn−Ni合金めっきを行うに際して、そ
のめっき浴中にPb2+が存在するときは、η相が析出し
やすくなる理由もまた、不明である。しかし、Zn−N
i合金めっき浴中にPb2+が存在するとき、めっき層中
へNiが析出しやすくなるので、同じめっき層中のNi
含有率のZn−Niをめっきするために、浴中のNi 2+
/Zn2+をPb2+がない場合に比べて、低くする必要が
あることを考え合わせると、次のように推測される。
【0019】即ち、被めっき物表面には、先ず、析出電
位の最も貴なPb2+が析出するが、浴中のPb2+は微量
であるので、Pbは鋼板表面に局所的に析出する。この
Pb析出サイトは、Niが析出しやすいために、γ相Z
n−Niが析出するので、その周囲のめっき液中はPb
2+及びNi2+が減少する。このためにPb析出サイトの
周囲では、η相が析出しやすくなり、最終的にはγ相と
η相の2相構造となりやすい。このようなPb2+の影響
は、その濃度が1ppmを越えるときに出現するので、
めっき浴中のPb2+濃度を1ppm以下とする必要があ
るのである。
【0020】めっき浴中のPb2+濃度を1ppm以下と
するには、陽極に鉛以外の材料、例えば、酸化イリジウ
ムや白金を用いるか、又は炭酸ストロンチウム、炭酸バ
リウム等を浴に添加し、これらが硫酸塩として沈澱する
際にPb2+を共沈させるか、又はめっき浴中に金属イオ
ンを補給するのに、ZnやNiの金属を溶解させ、その
際にPb2+を金属表面に置換析出させる等の手段を適宜
に採用すればよい。
【0021】更に、本発明に従って、めっき浴中のPb
2+濃度を1ppm以下とすることによって、めっき層中
へのPb析出も抑制されるため、耐食性が向上するとい
う効果もある。本発明によれば、めっき浴中のPb2+
度を1ppm以下としたときに、Ni含有率11〜13
%のZn−Ni合金めっきを製造するための好ましい条
件は、めっき浴中のNi2+/Zn2+比を1.2〜2.0の範
囲とし、電流密度50〜200A/dm2 にてめっきする
ことである。
【0022】本発明によれば、上述したようにして、N
i及び/又はCoをプレめっきした後に、γ相単相のZ
n−Ni合金めっきを施すことによって、耐食性、耐低
温衝撃剥離性、摺動性及び耐パウダリング性にすぐれる
Zn−Ni合金めっきを得ることができる。しかし、リ
ン酸塩処理性は、上記のみによっては、改善されない。
γ相単相のZn−Ni合金めっきがγ+η相の2相の場
合に比べて、リン酸塩処理性に劣る理由は、次のように
考えられる。
【0023】一般に、リン酸塩処理は、被処理物を溶解
するアノード反応と水素イオンを還元するカソード反応
の二つの反応が起こり、水素イオンが減少することによ
り、リン酸塩溶液の平衡が破れて、不溶性のリン酸塩化
合物が沈澱するため、被処理物表面にリン酸塩結晶が析
出する反応である。従って、リン酸塩処理性が良好であ
るためには、被処理物であるZn−Ni合金層が円滑に
アノード反応で溶解する必要がある。γ+η相の2相の
場合には、2相間の腐食電位の差によって、リン酸塩処
理時にη相が優先的に溶解するので、リン酸塩処理性は
良好であるが、γ相単相の場合には、電位の不均一が生
じ難いので、アノード反応が起こり難く、その結果とし
て、リン酸塩処理性が悪い。
【0024】そこで、本発明によれば、Zn−Niめっ
きの後、更に、めっき表面を可溶性リン酸化合物を含有
する処理液中にて浸漬処理又は陽極電解処理することに
よって、リン酸塩処理性を改善することができる。上記
処理において用いる可溶性リン酸化合物としては、例え
ば、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸等の縮合リ
ン酸、亜リン酸、次亜リン酸、これらのナトリウム塩、
カリウム塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。
なかでも、オルトリン酸、リン酸水素二ナトリウム、リ
ン酸水素一ナトリウム及びこれらの混合物が溶解度及び
価格の点から好ましく用いられる。
【0025】上記浸漬処理又は陽極電解処理において、
処理温度は、限定されるものではないが、通常、常温乃
至60℃が好ましく、また、処理時間も、限定されるも
のではないが、通常、2〜3秒で十分である。陽極電解
処理の場合には、電流密度1〜20A/dm2 で、単位面
積当りの通電量が1〜50クーロン/dm2 となるように
通電時間を設定すればよい。
【0026】本発明の方法によれば、このような処理に
よって、Zn−Ni合金めっき上に、P換算にて、1〜
10mg/m2にてリン酸化合物層からなる第3層が形成さ
れる。このリン酸化合物からなる被膜は極めて薄いの
で、Zn−Ni合金めっきの表面を不連続的に被覆して
いるにすぎないが、このことが表面の不均一化を促し、
アノード反応を促進して、リン酸塩処理性の良好でない
γ相単相からなるZn−Ni合金めっきのリン酸塩処理
性を改善する。
【0027】また、このリン酸化合物層は、プレス加工
時の摺動性を一層、向上させる効果がある。プレス加工
時に摺動性が問題となるのは、ビード部等の面圧が特に
高い部分である。ここでは、金型の圧力によって、めっ
き層が潰されて、めっき層と金型の間の油膜が切れ、め
つき層が金型と焼付くことによって、摩擦係数が急激に
増大して、遂には鋼板の破断に至る。めっき層が硬いγ
相単相であることは、同じ面圧でも、めっき層の潰され
る率が少なくなるために、摺動にとっては有利である
が、めっき層上に更に薄いリン酸化化合物層が形成され
るときは、油膜が切れた場合でも、このリン酸化合物層
の存在によって、金型とめっき層との直接接触が防止さ
れ、焼付きがより起こり難くなるのである。
【0028】本発明においては、上記リン酸化合物層
は、P換算にて、付着量が1〜10mg/m2の範囲である
ことが必要である。リン酸化合物層の付着量がP換算に
て1mg/m2よりも少ないときは、摺動性及びリン酸塩処
理性の向上が認められず、他方、10mg/m2を越えて
も、摺動性の向上が飽和するのみならず、リン酸化合物
層がめっき層を均一に連続して被覆するようになるの
で、却って、リン酸塩処理性が低下する。
【0029】上述したようにして得られた本発明による
Zn−Ni系合金めつき鋼板は、そのままにて、又は塗
油して、自動車外板として用いることができるが、ま
た、引続いて、その片面又は両面にクロメート処理と有
機被膜処理を施した後、使用に供してもよい。ここに、
本発明によるZn−Ni系合金電気めっき鋼板は、有機
被膜処理の下地としても、すぐれている。
【0030】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。板厚0.8mmの冷延鋼板を2%オルソケイ酸ナトリウ
ム中で電解脱脂し、3%硫酸で酸洗した後、次の条件に
よって、Niプレめっき又はNi−10%Coプレめっ
きを実施した。
【0031】 めっき浴組成:硫酸ニッケル 200g/1 硫酸ナトリウム 50g/1 (硫酸コバルト 10g/1(Ni−10%Coプレめ
っきの場合のみ) めっき浴pH:1.5 めっき浴温度:50℃ 電流密度: 10A/dm2 めっき付着量は通電量により調整した。
【0032】上記プレめっきに引続いて、Zn−Ni合
金めっきを次の条件にて実施した。 めっき浴組成:硫酸ニッケル 250g/1 硫酸亜鉛 160g/1 硫酸ナトリウム 60g/1 (浴中Ni2+/Zn2+比は1.56)浴中のPb2 濃度
は、めっき前に炭酸ストロンチウムを0.1g/1添加す
ることによって、0.1ppm以下に抑えた。 めっき浴pH:1.5 めっき浴温度:60℃ 電流密度: 100A/dm2 めっき付着量は通電量により調整した。
【0033】尚、比較例として、Pb2+濃度を5ppm
添加して、Zn−Ni合金めっきを行った。この場合
は、浴組成を下記のように変更した以外は、実施例と同
様に行った。 めっき浴組成:硫酸ニッケル 200g/1 硫酸亜鉛 200g/1 硫酸ナトリウム 60g/1
【0034】このようにして、Zn−Ni合金めっきを
行った後、鋼板を水洗し、この後、更に、めっき表面を
可溶性リン酸化合物を含有する処理液中にて浸漬処理又
は陽極電解処理した。条件は以下のとおりである。 処理浴組成:リン酸 20g/1 リン酸水素二ナトリウム 100g/1 処理浴温度:40℃ 処理時間: 浸漬処理の場合 5秒 陽極電解処理の場合 10A/dm2 で3秒間
【0035】このようにして、処理した後、鋼板を水洗
し、乾燥させた後、下記のような評価試験を実施した。 (耐食性)塩水噴霧試験(JIS Z 2371)を行
い、赤錆がその表面の1%に発生するまでの時間で評価
した。 (摺動性)処理後の鋼板について円筒深絞り試験を行
い、その限界絞り比(LDR)にて評価した。円筒深絞
り条件は以下のとおりである。 ポンチ径: 50mm ボンチ肩半径:0.8mm しわ抑え力: 600kgf 潤滑: 防錆油(ノックスラスト550(日本パ
ーカライジング社製)2g/m2塗布
【0036】(パウダリング性)上記摺動性の評価の試
験と同様にして、円筒深絞り(絞り比1.8)を行った試
料の縦壁部にセロテープを貼り、引き剥がしたときにテ
ープに付着した粉状めっき層を酸にて溶解し、定量分析
した。
【0037】(耐低温衝撃剥離性)自動車用3コート塗
装(膜厚90μm)した試料について、次の条件にて飛
び石試験を行い、塗膜がめっき層と素地鋼板との界面か
ら剥離した部分の最大径で評価した。 試験装置:グラベローター 空気圧 ;4kgf/cm2 石の種類;花崗岩 石の径 :7.9〜11.1mm 石の量 :500g/回 試験温度:−20℃
【0038】(リン酸塩処理性)浸漬法リン酸亜鉛処理
(パルボンドDP−4000、日本パーカライジング社
製)を行った。評価は、外観を次の4段階で評価した。 ◎:むらなし ○:むら殆どなし △:むらあり ×:むら著しい 以上について、めっき条件及びめっき層構成を表1に示
し、また、以上の処理鋼板の性能評価結果を表2に示
す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】表1及び表2から明らかなように、本発明
による実施例1〜5においては、耐食性が赤錆発生40
0時間以上、耐パウリング性がめっき剥離量1g/m2
下、耐低温衝撃剥離性が最大剥離径4mm以下、摺動性が
LDR2.2以上、リン酸塩処理の外観がむらなしとすべ
て良好である。これに対して、比較例1によるプレめっ
きなしのものでは、耐パウリング性と耐低温衝撃剥離性
が悪く、比較例2に示すように、Pb2+を5ppm含有
するめっき浴にてめっきしたγ+η2相のめっき鋼板で
は、耐食性、耐パウリング性及び耐低温衝撃剥離性が不
良である。比較例3に示すように、Zn−Ni合金めっ
き後に可溶性リン酸溶液による処理を行わなかった場合
は、リン酸塩処理にてむらが発生する。
【0042】プレめっきも可溶性リン酸溶液による処理
も行わない比較例4及び5は、いずれの評価項目におい
ても、実施例に比べて劣ることが明らかである。
【0043】
【発明の効果】以上のように、本発明によるZn−Ni
系合金めっき鋼板は、鋼板上にNi又はCoの単独から
なるか、又はNi−Co合金からなるプレめっき層と、
Ni含有率11〜13%のγ相単相のZn−Ni合金め
っき層とをこの順序にて有すると共に、更に、その上に
リン酸化合物層からなる極めて薄い不連続層を有し、耐
食性、耐パウダリング性、耐低温衝撃剥離性、摺動性及
びリン酸塩処理性にすぐれる。従って、本発明によるこ
のようなZn−Ni系合金めっき鋼板は、自動車のフー
ド、フェンダー、ドア等、自動車外板用として好適に用
いることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板上にNi又はCoを単独にて、又はN
    i及びCoを合金として、0.01〜1.0g/m2の範囲の
    付着量にて電気めっきしてなる第1層、その上にNi含
    有率11〜13%のγ相単相のZn−Ni合金めっき層
    からなる第2層、更にその上に、P換算にて、1〜10
    mg/m2のリン酸化合物層からなる第3層を有することを
    特徴とする耐食性、耐パウダリング性、耐低温衝撃剥離
    性、摺動性及びリン酸塩処理性にすぐれるZn−Ni系
    合金めっき鋼板。
  2. 【請求項2】電気めっき層がCoを5〜20重量%含有
    するNi−Co合金電気めっき層である請求項1記載の
    Zn−Ni系合金めっき鋼板。
  3. 【請求項3】鋼板上にNi又はCoを単独にて、又はN
    i及びCoを合金として、0.01〜1.0g/m2の範囲の
    付着量にて電気めっきした後、めっき浴中のNi2+/Z
    2+比を1.2〜2.0の範囲とし、且つ、めっき浴中のP
    2+濃度を1.0ppm以下としためっき浴中にて、電流
    密度50〜200A/dm2 にてZn−Ni合金めっきを
    行い、その後、更に、可溶性リン酸イオンを含有する処
    理液中にて浸漬処理又は陽極電解処理することを特徴と
    する耐食性、耐パウダリング性、耐低温衝撃剥離性、摺
    動性及びリン酸塩処理性にすぐれるZn−Ni系合金め
    っき鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】電気めっき層がCoを5〜20重量%含有
    するNi−Co合金電気めっき層である請求項3記載の
    Zn−Ni系合金めっき鋼板の製造方法。
JP31184593A 1993-12-13 1993-12-13 耐食性、耐パウダリング性、耐低温衝撃剥離性、摺動性及びリン酸塩処理性にすぐれるZn−Ni系合金めっき鋼板及びその製造方法 Pending JPH07166371A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31184593A JPH07166371A (ja) 1993-12-13 1993-12-13 耐食性、耐パウダリング性、耐低温衝撃剥離性、摺動性及びリン酸塩処理性にすぐれるZn−Ni系合金めっき鋼板及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31184593A JPH07166371A (ja) 1993-12-13 1993-12-13 耐食性、耐パウダリング性、耐低温衝撃剥離性、摺動性及びリン酸塩処理性にすぐれるZn−Ni系合金めっき鋼板及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07166371A true JPH07166371A (ja) 1995-06-27

Family

ID=18022104

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31184593A Pending JPH07166371A (ja) 1993-12-13 1993-12-13 耐食性、耐パウダリング性、耐低温衝撃剥離性、摺動性及びリン酸塩処理性にすぐれるZn−Ni系合金めっき鋼板及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07166371A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010270353A (ja) * 2009-05-19 2010-12-02 Nippon Steel Corp 光沢外観と耐食性に優れためっき鋼材および製造方法
JP2012001816A (ja) * 2009-10-28 2012-01-05 Jfe Steel Corp 熱間プレス部材
WO2012018014A1 (ja) * 2010-08-04 2012-02-09 Jfeスチール株式会社 熱間プレス用鋼板および熱間プレス用鋼板を用いた熱間プレス部材の製造方法
JP2013019039A (ja) * 2011-07-14 2013-01-31 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp 美麗な電気亜鉛めっき鋼帯

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010270353A (ja) * 2009-05-19 2010-12-02 Nippon Steel Corp 光沢外観と耐食性に優れためっき鋼材および製造方法
JP2012001816A (ja) * 2009-10-28 2012-01-05 Jfe Steel Corp 熱間プレス部材
WO2012018014A1 (ja) * 2010-08-04 2012-02-09 Jfeスチール株式会社 熱間プレス用鋼板および熱間プレス用鋼板を用いた熱間プレス部材の製造方法
JP4883240B1 (ja) * 2010-08-04 2012-02-22 Jfeスチール株式会社 熱間プレス用鋼板およびそれを用いた熱間プレス部材の製造方法
US9023488B2 (en) 2010-08-04 2015-05-05 Jfe Steel Corporation Steel sheet for hot pressing and method of manufacturing hot-pressed part using steel sheet for hot pressing
JP2013019039A (ja) * 2011-07-14 2013-01-31 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp 美麗な電気亜鉛めっき鋼帯

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0047987B2 (en) Cationic electrodeposition lacquer-coated steel material
US4904544A (en) Zn-based composite-plated metallic material and plating method
EP0125658A1 (en) Corrosion resistant surface-treated steel strip and process for making
EP0497302A1 (en) Process for direct zinc electroplating of aluminum strip
US4857154A (en) Method for producing a Zn-series electroplated steel sheet
JPH04147953A (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH07166371A (ja) 耐食性、耐パウダリング性、耐低温衝撃剥離性、摺動性及びリン酸塩処理性にすぐれるZn−Ni系合金めっき鋼板及びその製造方法
JPH0121234B2 (ja)
JP2509940B2 (ja) Zn―Ni系合金めっき鋼板の製造方法
JPH0841681A (ja) Ni−Zn系合金めっき鋼板の製法
JPS62294198A (ja) 自動車用防錆鋼板並びにその製造方法
JP2740661B2 (ja) 燐酸塩処理性の優れたZn―Ni系合金電気めっき鋼板
JPS58104194A (ja) 高耐食性電気亜鉛めつき鋼板およびその製造方法
JP3068307B2 (ja) 耐食性と耐剥離性に優れたZn−Cr−Al系溶融めっき鋼材およびその製造方法
JPH025839B2 (ja)
JP2619542B2 (ja) 上層鉄系電気めっきの均一性に優れた溶融亜鉛系2層めっき鋼板の製造方法
JP2528944B2 (ja) 化成処理性ならびに耐食性に優れたZn系合金電気めっき鋼板の製造方法
JPH0142359B2 (ja)
JPS58141397A (ja) 高耐食性表面処理鋼板およびその製造方法
JPH01165791A (ja) 耐錆性,耐食性に優れた表面処理鋼板とその製造方法
JPH0611919B2 (ja) 塗装後の耐食性に優れた冷延鋼板
JPH11106941A (ja) 耐水2次密着性に優れたZn−Ni系めっき鋼板
JPS58133395A (ja) 片面亜鉛系電気メツキ鋼板の非メツキ面の後処理方法
JPH0148356B2 (ja)
JPS6358235B2 (ja)