JPH0712375B2 - 移植組成物及びその製造方法 - Google Patents
移植組成物及びその製造方法Info
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- JPH0712375B2 JPH0712375B2 JP61273156A JP27315686A JPH0712375B2 JP H0712375 B2 JPH0712375 B2 JP H0712375B2 JP 61273156 A JP61273156 A JP 61273156A JP 27315686 A JP27315686 A JP 27315686A JP H0712375 B2 JPH0712375 B2 JP H0712375B2
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- C08H1/06—Macromolecular products derived from proteins derived from horn, hoofs, hair, skin or leather
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- A—HUMAN NECESSITIES
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- A61L27/00—Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
- A61L27/14—Macromolecular materials
- A61L27/22—Polypeptides or derivatives thereof, e.g. degradation products
- A61L27/24—Collagen
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- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61F—FILTERS IMPLANTABLE INTO BLOOD VESSELS; PROSTHESES; DEVICES PROVIDING PATENCY TO, OR PREVENTING COLLAPSING OF, TUBULAR STRUCTURES OF THE BODY, e.g. STENTS; ORTHOPAEDIC, NURSING OR CONTRACEPTIVE DEVICES; FOMENTATION; TREATMENT OR PROTECTION OF EYES OR EARS; BANDAGES, DRESSINGS OR ABSORBENT PADS; FIRST-AID KITS
- A61F2310/00—Prostheses classified in A61F2/28 or A61F2/30 - A61F2/44 being constructed from or coated with a particular material
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は移植組成物及びその製造方法に関する。
本発明は、移植組成物において、 ヘキサメチレンジイソシアナートにより架橋した架橋ア
テロコラーゲンを水性分散液とすることにより、 容量保持性にすぐれ、低免疫原性であるのに加えて、細
胞毒性を示さない移植組成物を得ることができるように
したものである。
テロコラーゲンを水性分散液とすることにより、 容量保持性にすぐれ、低免疫原性であるのに加えて、細
胞毒性を示さない移植組成物を得ることができるように
したものである。
動物の皮膚、血管、角膜、腱、骨、歯などいわゆる結合
組織を構成している主要なタンパク質であるコラーゲン
は、体内でコラーゲン合成細胞によって生合成され、周
囲組織のコラーゲン線維組織に組み込まれ、時間の経過
とともに分子間架橋が生成され、不溶性コラーゲンに変
化していく。この不溶性コラーゲンは希酸水溶液によっ
ては溶解抽出が不可能である。しかし、この不溶性コラ
ーゲンは、タンパク質分解酵素例えばペプシンで処理す
ることによって分子間架橋が切断され、可溶性となって
溶解抽出が可能となる。このペプシン処理の際、コラー
ゲン分子の両末端に存在するテロペプチドと呼ばれる部
分が消化されて、テロペプチドが除去されたコラーゲン
となる。このコラーゲンをアテロコラーゲンと呼んでい
る。テロペプチドは通常のコラーゲンの抗原性の主要因
となっている。テロペプチドが除去うされたアテロコラ
ーゲンは抗原性を殆んどもたないため、医用材料として
利用する場合極めて好都合である。
組織を構成している主要なタンパク質であるコラーゲン
は、体内でコラーゲン合成細胞によって生合成され、周
囲組織のコラーゲン線維組織に組み込まれ、時間の経過
とともに分子間架橋が生成され、不溶性コラーゲンに変
化していく。この不溶性コラーゲンは希酸水溶液によっ
ては溶解抽出が不可能である。しかし、この不溶性コラ
ーゲンは、タンパク質分解酵素例えばペプシンで処理す
ることによって分子間架橋が切断され、可溶性となって
溶解抽出が可能となる。このペプシン処理の際、コラー
ゲン分子の両末端に存在するテロペプチドと呼ばれる部
分が消化されて、テロペプチドが除去されたコラーゲン
となる。このコラーゲンをアテロコラーゲンと呼んでい
る。テロペプチドは通常のコラーゲンの抗原性の主要因
となっている。テロペプチドが除去うされたアテロコラ
ーゲンは抗原性を殆んどもたないため、医用材料として
利用する場合極めて好都合である。
このアテロコラーゲンを水性分散液の状態で移植物質と
して組織の欠損部に注入し、周囲組織を切開することな
く組織欠損部を充填することが提案されている。その
際、免疫原性をさらに低下させるため及び耐吸収性(容
量保持性)を向上させるために、主としてグルタルアル
デヒドにより架橋されたアテロコラーゲンを用いること
が行われている。(特開昭58−170796号公報、特公昭60
−54288号公報)また、Frank DeLustroの“A compara
tive study of the biologic and immunologic
response to medical devices derived from der
mal collagen",Journal of Biomedical Materials
Research,Vol.10,20,109〜120(1986);R.F.Oliverら
のHistolo-gical studies of subcutaneous and i
ntraperi-toneal implants of tripsin-prepared d
ermal collagen ollografts in the rats",Clin.O
rthop Rel.Res.,115,291〜302(1976)及びM.J.Tavis
のGraft adherence to de-epithe-lialized surfac
es:A comparative study",Ann.Surg.,184,594〜600
(1976)の各報告には、グルタルアルデヒド架橋コラー
ゲンが未架橋コラーゲンに比べて移植物質として容量保
持性及び抗原性の点ですぐれていることが記載されてい
る。
して組織の欠損部に注入し、周囲組織を切開することな
く組織欠損部を充填することが提案されている。その
際、免疫原性をさらに低下させるため及び耐吸収性(容
量保持性)を向上させるために、主としてグルタルアル
デヒドにより架橋されたアテロコラーゲンを用いること
が行われている。(特開昭58−170796号公報、特公昭60
−54288号公報)また、Frank DeLustroの“A compara
tive study of the biologic and immunologic
response to medical devices derived from der
mal collagen",Journal of Biomedical Materials
Research,Vol.10,20,109〜120(1986);R.F.Oliverら
のHistolo-gical studies of subcutaneous and i
ntraperi-toneal implants of tripsin-prepared d
ermal collagen ollografts in the rats",Clin.O
rthop Rel.Res.,115,291〜302(1976)及びM.J.Tavis
のGraft adherence to de-epithe-lialized surfac
es:A comparative study",Ann.Surg.,184,594〜600
(1976)の各報告には、グルタルアルデヒド架橋コラー
ゲンが未架橋コラーゲンに比べて移植物質として容量保
持性及び抗原性の点ですぐれていることが記載されてい
る。
しかしながら、グルタルアルデヒドは重合し易く、した
がって、グルタルアルデヒドを架橋剤として用いて得ら
れた架橋アテロコラーゲンを生体に移植した場合、グル
タルアルデヒド重合物が生体内で長期間に亘って徐々に
解重合を起こし、生体に対して細胞毒性を示す傾向があ
った。
がって、グルタルアルデヒドを架橋剤として用いて得ら
れた架橋アテロコラーゲンを生体に移植した場合、グル
タルアルデヒド重合物が生体内で長期間に亘って徐々に
解重合を起こし、生体に対して細胞毒性を示す傾向があ
った。
本発明の目的は、生体内ですぐれた容量保持性と低抗原
性を示し、さらに細胞毒性のない移植組成物を提供する
ことである。
性を示し、さらに細胞毒性のない移植組成物を提供する
ことである。
前記の目的を達成するため、本発明者らはグルタルアル
デヒドに代わる架橋剤について種々検討を行った結果、
本発明を完成するに至った。
デヒドに代わる架橋剤について種々検討を行った結果、
本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、緩衝液により生理的な状態に調節され
たアテロコラーゲン含有水性分散液からなり、アテロコ
ラーゲンの60〜100重量%がヘキサメチレンジイソシア
ナートで架橋された架橋アテロコラーゲンであることを
特徴とする移植組成物に係る。
たアテロコラーゲン含有水性分散液からなり、アテロコ
ラーゲンの60〜100重量%がヘキサメチレンジイソシア
ナートで架橋された架橋アテロコラーゲンであることを
特徴とする移植組成物に係る。
本発明の移植組成物において、架橋アテロコラーゲンは
全アテロコラーゲンの60重量%以上であることが特に容
量保持性及び低免疫原性の点から必要である。この移植
組成物の全アテロコラーゲン量は25〜100mg/mlであるこ
とが好ましい。また、架橋アテロコラーゲンの粒径は約
50〜200μmであることが、細胞注射針による生体内へ
の注入には好適であるが、これ以上の粒径であっても適
当な注入装置による生体内への移植はもちろん可能であ
る。
全アテロコラーゲンの60重量%以上であることが特に容
量保持性及び低免疫原性の点から必要である。この移植
組成物の全アテロコラーゲン量は25〜100mg/mlであるこ
とが好ましい。また、架橋アテロコラーゲンの粒径は約
50〜200μmであることが、細胞注射針による生体内へ
の注入には好適であるが、これ以上の粒径であっても適
当な注入装置による生体内への移植はもちろん可能であ
る。
本発明はまた、前記移植組成物の製造方法に係り、この
方法は、 (a) アテロコラーゲンの酸性水溶液を中和して再構
成線維アテロコラーゲンを含有した水性分散液を得るこ
と、 (b) 水性分散液をアルコール置換により脱水して、
再構成線維アテロコラーゲン含有アルコール分散液を得
ること、 (c) アルコール分散液中の再構成線維アテロコラー
ゲンをヘキサメチレンジイソシアナートにより架橋させ
ること、 (d) アルコール分散液を過剰のアルコールで洗浄
し、遊離のヘキサメチレンジイソシアナートを除去する
こと、 (e) アルコール分散液を水置換により脱アルコール
を行って水性分散液とし、次いで、未架橋アテロコラー
ゲンが全アテロコラーゲン量の40重量%以下となるよう
に未架橋アテロコラーゲン水溶液を加えた後、緩衝液に
より生理的な状態に調節すること、 からなる。
方法は、 (a) アテロコラーゲンの酸性水溶液を中和して再構
成線維アテロコラーゲンを含有した水性分散液を得るこ
と、 (b) 水性分散液をアルコール置換により脱水して、
再構成線維アテロコラーゲン含有アルコール分散液を得
ること、 (c) アルコール分散液中の再構成線維アテロコラー
ゲンをヘキサメチレンジイソシアナートにより架橋させ
ること、 (d) アルコール分散液を過剰のアルコールで洗浄
し、遊離のヘキサメチレンジイソシアナートを除去する
こと、 (e) アルコール分散液を水置換により脱アルコール
を行って水性分散液とし、次いで、未架橋アテロコラー
ゲンが全アテロコラーゲン量の40重量%以下となるよう
に未架橋アテロコラーゲン水溶液を加えた後、緩衝液に
より生理的な状態に調節すること、 からなる。
再構成線維アテロコラーゲンをヘキサメチレンジイソシ
アナートで架橋する際、得られる架橋率は反応条件、特
に架橋剤濃度、反応の温度と時間の影響を受ける。反応
はアルコール(例、エタノール)中で通常、室温で0.5
〜72時間行われ、ヘキサメチレンジイソシアナートはコ
ラーゲン1g(乾燥重量)当り0.5〜500mgの量で使用さ
れ、反応混合物中での濃度は0.01〜0.5%が好ましい。
所望時間反応させた後、反応混合物を過剰のアルコール
で洗浄して反応を停止させ、この洗浄により遊離の架橋
剤を除去する。次いで水洗浄によりアルコールを水で置
換し、コラーゲン濃度が約30〜20mg/mlになるまで遠心
分離機により濃縮する。この濃縮物(水性分散液)をホ
モジナイザーといった粉砕機で、架橋アテロコラーゲン
を粉砕し、粒径50〜200μmの粒子とする。
アナートで架橋する際、得られる架橋率は反応条件、特
に架橋剤濃度、反応の温度と時間の影響を受ける。反応
はアルコール(例、エタノール)中で通常、室温で0.5
〜72時間行われ、ヘキサメチレンジイソシアナートはコ
ラーゲン1g(乾燥重量)当り0.5〜500mgの量で使用さ
れ、反応混合物中での濃度は0.01〜0.5%が好ましい。
所望時間反応させた後、反応混合物を過剰のアルコール
で洗浄して反応を停止させ、この洗浄により遊離の架橋
剤を除去する。次いで水洗浄によりアルコールを水で置
換し、コラーゲン濃度が約30〜20mg/mlになるまで遠心
分離機により濃縮する。この濃縮物(水性分散液)をホ
モジナイザーといった粉砕機で、架橋アテロコラーゲン
を粉砕し、粒径50〜200μmの粒子とする。
架橋アテロコラーゲン含有水性分散液は最終的にはリン
酸緩衝液、例えばKH2PO4-K2HPO4、KH2PO4-Na2NPO4及びN
aH2PO4-Na2HPO4の各組み合わせから成る群から選択され
た緩衝液を添加して、生理的な状態に調節されると共
に、全アテロコラーゲン濃度を25〜100mg/mlに調製され
る。
酸緩衝液、例えばKH2PO4-K2HPO4、KH2PO4-Na2NPO4及びN
aH2PO4-Na2HPO4の各組み合わせから成る群から選択され
た緩衝液を添加して、生理的な状態に調節されると共
に、全アテロコラーゲン濃度を25〜100mg/mlに調製され
る。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
実施例1 新鮮な仔牛の背部の皮を切り取り、その周縁部を切り落
とした後、この背部の水道水で洗浄して皮の外部に付着
している汚れを落とし、さらにパイロジエンフリー水で
洗浄した。こうして得られた皮を70%エタノールに浸漬
した後、カミソリを用いて毛根部を残さないように、毛
及び皮の上面に削ぎ落とした。このとき新たに現われた
真皮の表面に汚れが付着しないように注意する。一方、
皮の裏面もカミソリで削ぎ落とし、こうして仔牛皮の真
皮層のみを、汚染させないように取り出した。この真皮
層を70%アルコールに1夜浸漬後、過剰のアルコールを
除去した後、無菌的に粉砕した。次にパイロジエンフリ
ーの5%NaCl水で洗浄し、遠心脱水し、さらにパイロジ
エンフリー水で洗浄後、70%アルコールに1夜浸漬し
た。遠心脱液により過剰のアルコールを除去し、粉砕真
皮を無菌の溶解槽に入れ、パイロジエンフリー水を加
え、さらに、パイロジエンフリー水に溶解しかつ濾過除
菌したペプシンを加えた。この際、ペプシンは粉砕真皮
に対し0.5%(乾燥重量基準で)を加えた。また、粉砕
真皮の濃度を約0.5〜0.9%、pHをHClにより3に調節
し、温度を20℃に維持した。この溶解槽内の混合物を20
℃で3日間ゆるやかに撹拌処理し、真皮不溶性コラーゲ
ンを完全に溶解して、アテロコラーゲン溶液を得た。こ
のアテロコラーゲン溶液を孔径1μ、0.65μおよび0.45
μのフィルターで順次濾過し、得られた濾過溶液にNaOH
を加えてpHを11.0に調節してペプシンを失活させた。次
に、この溶液にHClを加えてpHを7.0に調節して、アテロ
コラーゲンを沈殿させ、遠心分離器にかけてこれを集め
た。得られたアテロコラーゲンをパイロジエンフリー水
で洗浄した後、pH3のパイロジエンフリー塩酸水に溶解
させ、次いでNaOHでpHを7に調節して再構成線維アテロ
コラーゲンを沈殿させて、分散液を得た。このアテロコ
ラーゲンのアミノ基を活性化するためさらに分散液にNa
OHを加えてpHを10.0に調整した。この水性分散液をエタ
ノール置換により脱水し、エタノール濃度が酒精度計で
95度以上を示すまで、エタノール置換を繰り返した。エ
タノール中のコラーゲン濃度が1%の分散液を調製し、
コラーゲン1g(乾燥重量)当り300mgのヘキサメチレン
ジイソシアナートを加え、20℃で20時間反応を行った。
反応後、分散液を過剰のエタノールで洗浄して遊離のヘ
キサメチレンジイソシアナートを除去した。次いで、分
散液のエタノールを水置換により除去し、遠心分離によ
りコラーゲン濃度40mg/mlまで濃縮した。次いで、この
濃縮物をガラスホモジナイザーで処理して、コラーゲン
を粒径約50〜100μmの粒子に粉砕した。この濃縮物に
含まれたコラーゲンの架橋率をTNBS法(2,4,6−トニト
ロベンゼンスルホン酸比色法)で測定したところ、69%
であった。粉砕処理後の濃縮物にリン酸緩衝液1MNa2HPO
4-NaH2PO4を加えて0.1MNa2HPO4-NaH2PO4、PH7.0及び全
コラーゲン濃度35mg/mlの移植組成物を得た。
とした後、この背部の水道水で洗浄して皮の外部に付着
している汚れを落とし、さらにパイロジエンフリー水で
洗浄した。こうして得られた皮を70%エタノールに浸漬
した後、カミソリを用いて毛根部を残さないように、毛
及び皮の上面に削ぎ落とした。このとき新たに現われた
真皮の表面に汚れが付着しないように注意する。一方、
皮の裏面もカミソリで削ぎ落とし、こうして仔牛皮の真
皮層のみを、汚染させないように取り出した。この真皮
層を70%アルコールに1夜浸漬後、過剰のアルコールを
除去した後、無菌的に粉砕した。次にパイロジエンフリ
ーの5%NaCl水で洗浄し、遠心脱水し、さらにパイロジ
エンフリー水で洗浄後、70%アルコールに1夜浸漬し
た。遠心脱液により過剰のアルコールを除去し、粉砕真
皮を無菌の溶解槽に入れ、パイロジエンフリー水を加
え、さらに、パイロジエンフリー水に溶解しかつ濾過除
菌したペプシンを加えた。この際、ペプシンは粉砕真皮
に対し0.5%(乾燥重量基準で)を加えた。また、粉砕
真皮の濃度を約0.5〜0.9%、pHをHClにより3に調節
し、温度を20℃に維持した。この溶解槽内の混合物を20
℃で3日間ゆるやかに撹拌処理し、真皮不溶性コラーゲ
ンを完全に溶解して、アテロコラーゲン溶液を得た。こ
のアテロコラーゲン溶液を孔径1μ、0.65μおよび0.45
μのフィルターで順次濾過し、得られた濾過溶液にNaOH
を加えてpHを11.0に調節してペプシンを失活させた。次
に、この溶液にHClを加えてpHを7.0に調節して、アテロ
コラーゲンを沈殿させ、遠心分離器にかけてこれを集め
た。得られたアテロコラーゲンをパイロジエンフリー水
で洗浄した後、pH3のパイロジエンフリー塩酸水に溶解
させ、次いでNaOHでpHを7に調節して再構成線維アテロ
コラーゲンを沈殿させて、分散液を得た。このアテロコ
ラーゲンのアミノ基を活性化するためさらに分散液にNa
OHを加えてpHを10.0に調整した。この水性分散液をエタ
ノール置換により脱水し、エタノール濃度が酒精度計で
95度以上を示すまで、エタノール置換を繰り返した。エ
タノール中のコラーゲン濃度が1%の分散液を調製し、
コラーゲン1g(乾燥重量)当り300mgのヘキサメチレン
ジイソシアナートを加え、20℃で20時間反応を行った。
反応後、分散液を過剰のエタノールで洗浄して遊離のヘ
キサメチレンジイソシアナートを除去した。次いで、分
散液のエタノールを水置換により除去し、遠心分離によ
りコラーゲン濃度40mg/mlまで濃縮した。次いで、この
濃縮物をガラスホモジナイザーで処理して、コラーゲン
を粒径約50〜100μmの粒子に粉砕した。この濃縮物に
含まれたコラーゲンの架橋率をTNBS法(2,4,6−トニト
ロベンゼンスルホン酸比色法)で測定したところ、69%
であった。粉砕処理後の濃縮物にリン酸緩衝液1MNa2HPO
4-NaH2PO4を加えて0.1MNa2HPO4-NaH2PO4、PH7.0及び全
コラーゲン濃度35mg/mlの移植組成物を得た。
本発明の移植組成物について、移植試験、細胞毒性試験
及びコラーゲン分散酵素(コラゲナーゼ)に対する安定
性試験を行った。
及びコラーゲン分散酵素(コラゲナーゼ)に対する安定
性試験を行った。
1)移植試験 前記実施例で得られた移植組成物を用いて矯正治療を必
要とする患者504人にスキンテストを行い、5人(1.0
%)に陽性反応が認められた。残りの499人にこの移植
組成物を用いて移植治療を行ったところ、アレルギー性
反応(赤斑)を現わした患者はわずかに3名(0.6%)
であった。
要とする患者504人にスキンテストを行い、5人(1.0
%)に陽性反応が認められた。残りの499人にこの移植
組成物を用いて移植治療を行ったところ、アレルギー性
反応(赤斑)を現わした患者はわずかに3名(0.6%)
であった。
一方、未架橋アテロコラーゲン水溶液を用いて同様の患
者608人にスキンテストを行い、24人(3.9%)に陽性反
応が認められた。残りの584人に未架橋アテロコラーゲ
ン水溶液を用いて移植治療を行ったところ、アレルギー
性反応(赤斑)を現わした患者は11人(1.9%)であっ
た。
者608人にスキンテストを行い、24人(3.9%)に陽性反
応が認められた。残りの584人に未架橋アテロコラーゲ
ン水溶液を用いて移植治療を行ったところ、アレルギー
性反応(赤斑)を現わした患者は11人(1.9%)であっ
た。
以上の結果から明らかな通り、本発明の移植組成物は未
架橋アテロコラーゲンに比べて免疫原性の低下が認めら
れる。
架橋アテロコラーゲンに比べて免疫原性の低下が認めら
れる。
2)細胞毒性試験 ヒト線維芽細胞のイン・ビトロ(in vitro)培養試験
を行った。培養皿に各種コラーゲン液を塗布し、風乾後
に培養皿1枚につき1×105個の細胞を播いて7日間培
養し、細胞数を数え、細胞形態の観察を行った。参考の
ため、全くコラーゲンを塗布しない培養皿を用いた試験
も行った。用いたアテロコラーゲンの種類及び結果を次
表に示した。
を行った。培養皿に各種コラーゲン液を塗布し、風乾後
に培養皿1枚につき1×105個の細胞を播いて7日間培
養し、細胞数を数え、細胞形態の観察を行った。参考の
ため、全くコラーゲンを塗布しない培養皿を用いた試験
も行った。用いたアテロコラーゲンの種類及び結果を次
表に示した。
以上の結果から明らかな通り、本発明の移植組成物には
細胞毒性は認められなかった。
細胞毒性は認められなかった。
3)コラーゲン分解酵素(コラゲナーゼ)に対する安定
性試験 生体内での容量保持性を示す尺度として、菌由来のコラ
ゲナーゼを用いて、前記実施例の移植組成物を処理した
ところ、約67.5%の架橋アテロコラーゲンが分解され
た。
性試験 生体内での容量保持性を示す尺度として、菌由来のコラ
ゲナーゼを用いて、前記実施例の移植組成物を処理した
ところ、約67.5%の架橋アテロコラーゲンが分解され
た。
一方、同じコラゲナーゼにより未架橋アテロコラーゲン
はほぼ100%が分解された。
はほぼ100%が分解された。
したがって、未架橋アテロコラーゲンに比べて架橋アテ
ロコラーゲンはコラーゲン分解酵素に対する安定性がす
ぐれているので、生体内での容量保持性も高いことがわ
かる。
ロコラーゲンはコラーゲン分解酵素に対する安定性がす
ぐれているので、生体内での容量保持性も高いことがわ
かる。
実施例2 実施例1の移植組成物を得る際に調製された、粒径約50
〜100μmの架橋アテロコラーゲン含有濃縮物に未架橋
アテロコラーゲン水溶液を、未架橋アテロコラーゲンの
量が全アテロコラーゲン量の20重量%となるように加え
た後、実施例1と同様にリン酸緩衝液を加えて移植組成
物を得た。
〜100μmの架橋アテロコラーゲン含有濃縮物に未架橋
アテロコラーゲン水溶液を、未架橋アテロコラーゲンの
量が全アテロコラーゲン量の20重量%となるように加え
た後、実施例1と同様にリン酸緩衝液を加えて移植組成
物を得た。
この移植組成物について、前記と同様の移植試験及び細
胞毒性試験を行い、実施例1と同様の結果が得られた。
胞毒性試験を行い、実施例1と同様の結果が得られた。
本発明は以上説明したように、アテロコラーゲンを含む
移植組成物において、アテロコラーゲンがヘキサメチレ
ンジイソシアナートで架橋されているために、すぐれた
容量保持性と抵抗原性を有する上に細胞毒性がないの
で、軟組織の強化並びに先天性異常及び後天性欠損の治
療や矯正治療などにおける移植物質としてすぐれた効果
を発揮する。
移植組成物において、アテロコラーゲンがヘキサメチレ
ンジイソシアナートで架橋されているために、すぐれた
容量保持性と抵抗原性を有する上に細胞毒性がないの
で、軟組織の強化並びに先天性異常及び後天性欠損の治
療や矯正治療などにおける移植物質としてすぐれた効果
を発揮する。
Claims (6)
- 【請求項1】緩衝液により生理的な状態に調節されたア
テロコラーゲン含有水性分散液からなり、アテロコラー
ゲンの60〜100重量%がヘキサメチレンジイソシアナー
トで架橋された架橋アテロコラーゲンであることを特徴
とする移植組成物。 - 【請求項2】分散液中の全アテロコラーゲン量が25〜10
0mg/mlであることを特徴とする特許請求の範囲第1項記
載の移植組成物。 - 【請求項3】架橋アテロコラーゲンの粒径が約50〜200
μmであることを特徴とする特許請求の範囲第1項又は
第2項記載の移植組成物。 - 【請求項4】緩衝液により生理的な状態に調節されたア
テロコラーゲン含有水性分散液からなり、アテロコラー
ゲンの60〜100重量%がヘキサメチレンジイソシアナー
トで架橋された架橋アテロコラーゲンである移植組成物
の製造方法において、 (a) アテロコラーゲンの酸性水溶液を中和して再構
成線維アテロコラーゲンを含有した水性分散液を得るこ
と、 (b) 水性分散液をアルコール置換により脱水して、
再構成線維アテロコラーゲン含有アルコール分散液を得
ること、 (c) アルコール分散液中の再構成線維アテロコラー
ゲンをヘキサメチレンジイソシアナートにより架橋させ
ること、 (d) アルコール分散液を過剰のアルコールで洗浄
し、遊離のヘキサメチレンジイソシアナートを除去する
こと、 (e) アルコール分散液を水置換により脱アルコール
を行って水性分散液とし、次いで、未架橋アテロコラー
ゲンが全アテロコラーゲン量の40重量%以下となるよう
に未架橋アテロコラーゲン水溶液を加えた後、緩衝液に
より生理的な状態に調節すること、 からなることを特徴とする移植組成物の製造方法。 - 【請求項5】生理的な状態に調節された水性分散液中の
全アテロコラーゲン量が25〜100mg/mlであることを特徴
とする特許請求の範囲第4項記載の方法。 - 【請求項6】架橋アテロコラーゲンの粒径が約50〜200
μmであることを特徴とする特許請求の範囲第4項又は
第5項記載の方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61273156A JPH0712375B2 (ja) | 1986-11-17 | 1986-11-17 | 移植組成物及びその製造方法 |
EP87309974A EP0268421A3 (en) | 1986-11-17 | 1987-11-11 | An implant composition and a method of preparing the same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61273156A JPH0712375B2 (ja) | 1986-11-17 | 1986-11-17 | 移植組成物及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63127761A JPS63127761A (ja) | 1988-05-31 |
JPH0712375B2 true JPH0712375B2 (ja) | 1995-02-15 |
Family
ID=17523889
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61273156A Expired - Lifetime JPH0712375B2 (ja) | 1986-11-17 | 1986-11-17 | 移植組成物及びその製造方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
EP (1) | EP0268421A3 (ja) |
JP (1) | JPH0712375B2 (ja) |
Families Citing this family (13)
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US5395620A (en) * | 1989-01-31 | 1995-03-07 | Coletica | Biodegradable microcapsules having walls composed of crosslinked atelocollagen and polyholoside |
US5256418A (en) * | 1990-04-06 | 1993-10-26 | Organogenesis, Inc. | Collagen constructs |
US5378469A (en) * | 1990-04-06 | 1995-01-03 | Organogenesis, Inc. | Collagen threads |
US5314874A (en) * | 1991-04-19 | 1994-05-24 | Koken Co., Ltd. | Intracorporeally injectable composition for implanting highly concentrated cross-linked atelocollagen |
GB9215002D0 (en) * | 1992-07-15 | 1992-08-26 | Univ Singapore | Method of fixing biological tissue |
US5676698A (en) * | 1993-09-07 | 1997-10-14 | Datascope Investment Corp. | Soft tissue implant |
JP3486758B2 (ja) * | 1994-06-24 | 2004-01-13 | 株式会社高研 | 注入可能な涙小管閉鎖剤 |
JP3799626B2 (ja) * | 1995-04-25 | 2006-07-19 | 有限会社ナイセム | 心臓血管修復材及びその製造方法 |
GB2329181B (en) * | 1997-09-11 | 2002-03-13 | Johnson & Johnson Medical | Bioabsorbable Wound Dressing Materials |
US8742091B2 (en) * | 2001-06-20 | 2014-06-03 | Dainippon Sumitomo Pharma Co., Ltd. | Method of promoting nucleic acid transfer |
KR20210048151A (ko) | 2019-10-23 | 2021-05-03 | 허동욱 | 중력 주조기 작동방법 |
CN115252898B (zh) * | 2022-08-19 | 2023-08-18 | 江苏西宏生物医药有限公司 | 一种长效微粒ⅰ型与ⅴ型胶原蛋白复合植入剂 |
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DE3020611C2 (de) * | 1980-05-30 | 1983-01-05 | Chemokol Gesellschaft zur Entwicklung von Kollagenprodukten, 5190 Stolberg | Verfahren zur Herstellung von Kollagenmaterial für chirurgische Zwecke |
US4424208A (en) * | 1982-01-11 | 1984-01-03 | Collagen Corporation | Collagen implant material and method for augmenting soft tissue |
GB8413319D0 (en) * | 1984-05-24 | 1984-06-27 | Oliver Roy Frederick | Biological material |
-
1986
- 1986-11-17 JP JP61273156A patent/JPH0712375B2/ja not_active Expired - Lifetime
-
1987
- 1987-11-11 EP EP87309974A patent/EP0268421A3/en not_active Withdrawn
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63127761A (ja) | 1988-05-31 |
EP0268421A2 (en) | 1988-05-25 |
EP0268421A3 (en) | 1988-08-03 |
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