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JPH07104259A - 液晶表示素子の製造方法 - Google Patents

液晶表示素子の製造方法

Info

Publication number
JPH07104259A
JPH07104259A JP25198293A JP25198293A JPH07104259A JP H07104259 A JPH07104259 A JP H07104259A JP 25198293 A JP25198293 A JP 25198293A JP 25198293 A JP25198293 A JP 25198293A JP H07104259 A JPH07104259 A JP H07104259A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
crystal display
heat
display element
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP25198293A
Other languages
English (en)
Inventor
Noriaki Onishi
憲明 大西
Nobuaki Yamada
信明 山田
Shuichi Kanzaki
修一 神崎
Wataru Horie
亘 堀江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP25198293A priority Critical patent/JPH07104259A/ja
Publication of JPH07104259A publication Critical patent/JPH07104259A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 表示品位が向上され、絵素毎に液晶領域と高
分子材料の領域とを作成する相分離を容易に行うことが
できる液晶表示素子の製造方法を提供する。 【構成】 ライン状に変換されたレーザー光20を、液
晶セル19に於いて最も端にあるライン状の非絵素部2
2に5分間照射し、さらにつぎの非絵素部22でも同様
に5分間照射した。これにより、前記混合物18中の各
非絵素部22に相当する部分の熱硬化性樹脂を硬化させ
高分子壁24を形成した。この一連の操作を、一方向に
平行な全ての非絵素部22に対して順次行い、次にその
一方向と垂直な他方向に平行な全ての非絵素部25にも
同様の一連の操作を行い、熱硬化性樹脂を硬化させた。
このようにして、多孔体である高分子壁24を形成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示素子の製造方
法に関し、さらに詳しくは、液晶領域が高分子材料から
なる高分子壁に区切られた液晶表示素子に於て、液晶領
域内の液晶及び高分子材料が、配向状態によりTN(Tw
isted Nematic)、STN(Surper Twisted Nemati
c)、ECB(Electrically Conrtoled Birefringenc
e)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)などの
従来モード、又は、液晶領域(液晶ドメイン)が絵素内
で放射状に配向しているモードの液晶表示素子の製造方
法に関する。また、本発明は、併せて、液晶滴と前記高
分子壁との界面で起こる光の散乱を表示に利用した表示
モードの液晶表示素子の製造方法にも適用することがで
きる。
【0002】
【従来の技術】現在、液晶を利用した表示素子として、
多くのモードの液晶表示素子が利用されている。例え
ば、電気光学効果を利用した表示素子としてネマティッ
ク液晶を用いたTN(Twisted Nematic)型や、STN
(Surper Twisted Nematic)型のものが実用化されてい
る。また、強誘電性液晶(FLC;Ferroelectric Liqu
idCrystal)を用いた液晶表示素子も提案されている。
これらは、偏光板を要するものであり、また基板上の配
向膜に対して配向処理を必要とするものである。一方、
偏光板を要さず、液晶散乱を利用して表示を行う液晶表
示素子として、動的散乱(DS)効果および相転移(P
C)効果を利用した液晶表示素子がある。
【0003】最近、偏光板を要さず、しかも配向処理を
不要とする液晶表示素子として、液晶の複屈折率を利用
し、透明または白濁状態を電気的にコントロールして表
示を行う液晶表示素子が提案されている。この液晶表示
素子は、基本的には、電圧を印加して液晶の配向が揃う
ときに液晶分子の常光屈折率と支持媒体(ポリマー)の
屈折率とを一致させ透明状態を表示し、電圧無印加時に
は、液晶分子の配向の乱れによる光散乱状態を利用して
表示を行うものである。
【0004】他の従来技術として、特表昭61−502
128号公報等に、液晶と光又は熱硬化性樹脂とを混合
し樹脂を重合硬化することにより、樹脂中に局所的に液
晶を析出させ、樹脂中に液晶滴を相分離により形成させ
る方法が開示されている。
【0005】また、ホトマスクを使用して表示素子の表
示エリアを限定する方法が、特開平2−153318に
開示されている。この先行技術に於て、ホトマスクで各
液晶滴の形状を制御するものではなく、電極間に電圧を
印加しながら硬化させた透明部と未硬化部とを分離し、
ホトマスクを除去した後、未硬化部を硬化させ散乱部と
している。該表示素子の作成後、液晶層に電場を加える
ことにより、ホトマスクのパターンどうりに散乱してい
た部分が透明になり全体が透明になる表示素子であり、
基本的に単独絵素を考慮したものである。
【0006】強誘電液晶を用いた液晶素子に於て、自発
分極を発現させるためにSmC*(スメクティックC*
相を利用しており、規則性がネマティック相に比べ、よ
り結晶に近い状態であるため、衝撃性に弱いことが問題
となっている。この問題を解決するために、強誘電性液
晶を高分子中に分散させる事が考えられた来たが、高分
子中で配向処理を行うことが難しく実用化に至っていな
い。高分子中で強誘電性液晶を配向させる方法として、
強誘電性液晶を高分子中に分散させフィルム状に加工し
てから一方向に延伸処理を行うことにより該液晶を配向
させる方法が特開昭63−2647241〜26472
42に開示されている。
【0007】しかし、この方法において、液晶と高分子
との界面が一つの絵素内に数多く存在し、入射してくる
直線偏光光が散乱して、一部の光を脱偏光するため、液
晶表示素子の黒レベルを低下させコントラストが低下す
る。この問題は、他の偏光板を用いるモード(TN、S
TE、ECB等)に対しても同様に起こる。さらに、F
LCの耐衝撃性を向上する目的で、配向処理した基板材
料にホトリソグラフィーを利用して高分子壁を作成して
表示素子を作成してから、基板間に液晶材料を注入する
方法が、特開昭59−201021、特開平3−192
334に開示されている。しかし、本方法では、各絵素
毎に独立した液晶領域を作成することができず、かつ、
液晶層厚であるセル厚を厳密に制御することが困難であ
った。また、光照射による相分離法に於て、大面積に、
しかも、均一セル厚で液晶表示素子を作成することが困
難であるという問題点を有していた。
【0008】また、最近、これらの技術を利用して、T
N−TFT(薄膜トランジスタ素子)液晶表示素子の視
角特性を改善する目的で、特開平4−338923、特
開平4−212928に、液晶の散乱状態−透明状態を
制御する制御素子を、偏光軸が互いに直交した偏光板間
に配置することにより視角特性が改善されることが開示
されている。しかし、該液晶表示素子では、散乱による
偏光光の脱偏光により表示を行うものであり、原理的に
TN型液晶表示素子の50%の明るさを確保するのが限
界であり、実際の報告(Japan Display
’92 S−17、pp631)に於て、明るさがT
Nの1/3であると報告されている。
【0009】図12は、従来技術の液晶表示素子1の断
面図である。従来の液晶表示素子1は、一対のガラス基
板2、3の上にそれぞれ表示電極及び配向膜(図示せ
ず)を形成し、配向膜には一方向に沿ってラビング処理
などの配向処理を行う。これらのガラス基板2、3間に
液晶を注入して液晶層4を形成する。この様な構成の液
晶表示素子の各ガラス基板2、3毎の前記表示電極に対
して、駆動回路5によって駆動電圧を印加し、表示駆動
を行う。
【0010】図12(1)は、中間調表示状態を示す図
であり、図12(2)は、表示状態を示す図である。こ
のような液晶表示素子1の場合、駆動電圧を印加してい
ない状態では、液晶分子6は、ガラス基板2、3の表面
と平行に配向している。前記表示電極に駆動電圧を印加
すると、液晶分子6は次第に立ち上がり、図12(1)
に示されるように、液晶分子6が同一方向に傾斜してい
る中間調の表示状態を経て、図12(2)の表示状態に
到達する。ここで、前記中間調表示状態に於いて、液晶
表示素子1の法線方向から比較的角度をあけた矢符A方
向及び矢符B方向から液晶表示素子1を見た場合、液晶
分子6の見かけ上の屈折率異方性Δnが、見る方向によ
って異なる。従って、液晶表示素子1を見る方向によっ
て、コントラストが異なり、白黒表示が反転する場合が
あるの不具合を生じる。また、カラー表示を行う場合に
は、液晶表示素子1を見る方向によって色調が異なると
いう不具合がある。
【0011】この様な問題点を解決しようとする以下の
ような他の従来技術がある。特開平5−27242に、
TN液晶表示素子内の液晶分子の規則正しい配列を、高
分子材料からなるほぼ網目状の構成物(以下、高分子マ
トリクスと記すことがある)で乱すことにより、液晶の
配向状態をドメインごとにランダムにし、これにより視
角特性を改善する方法が開示されている。しかし、この
方法は、ほぼ絵素毎に配置されるべき液晶領域の位置を
正確に限定することができない。このため、複数の絵素
を有する液晶表示装置に於いて、絵素毎に液晶領域を配
置することができず、液晶表示素子の光線透過率が低い
という問題点を有している。さらに、液晶ドメインをラ
ンダムに配列させた場合、視角によっては白黒あるいは
色調が反転する反転現象などの極端な視角特性の悪化は
見られないが、電圧飽和時の液晶表示素子を、該液晶表
示素子の垂直方向から角度を持たせて光線透過率を測定
すると数%の光の漏れが観測される。従って、表示の際
のコントラストが低いという問題点を有している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、いずれ
の従来技術も、表示のコントラストが低く、また、表示
画像の明度が低いなど、表示品質が低いという問題点を
有している。
【0013】本発明は、この様な問題点を解決すべくな
されたものであり、高分子で区切られ液晶領域を有する
液晶表示素子、あるいは強誘電性液晶を用いる液晶表示
素子、あるいは光散乱型の液晶表示素子において、絵素
に於ける液晶領域の高分子材料に対する割合を増大し、
表示の際のコントラスト及び表示画像の明度を向上して
表示品位が向上され、絵素毎に液晶領域と高分子材料の
領域とを作成する相分離を容易に行うことができる液晶
表示素子の製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、本発明者らは、部分的に強弱を有する熱パターン
あるいは熱パターンと光とを併用して印加することで重
合相分離せしめることにより、高分子材料に区切られた
液晶領域を選択的に形成し、液晶領域内の液晶ドメイン
が放射状またはランダムに配向した構造となる液晶表示
素子の製造方法について鋭意検討して本発明に到達し
た。
【0015】すなわち、本発明の液晶表示素子の製造方
法は、少なくとも一方が透光性である一対の基板間に、
液晶材料と重合性樹脂組成物と重合開始剤との混合物を
注入する注入工程と、該混合物に局所的に強弱のパター
ンを有する熱、あるいは熱と光とを併用して印加する印
加工程とを含み、該印加工程によって該混合物中の重合
性樹脂組成物を重合させ、該液晶材料と該重合性樹脂組
成物とを相分離せしめ、高分子材料によって区切られた
液晶領域を形成するようにしており、そのことによっ
て、上記目的が達成される。
【0016】本発明に於て、前記熱の印加が、熱ビーム
による熱またはコヒーレントな光ビームの熱効果によっ
て行われ、前記混合物に於て該重合性樹脂組成物の重合
と前記相分離とを進行させる場合がある。
【0017】本発明に於て、前記熱の印加が、熱ビーム
による熱またはコヒーレントな光ビームを線順次で照射
することによって行われる場合がある。
【0018】本発明に於て、前記熱の印加が、熱ビーム
による熱またはコヒーレントな光ビームを点順次で照射
することによって行われる場合がある。
【0019】本発明に於て、少なくともいずれか一方の
基板に遮光性材料からなるブラックマスクが形成されて
いる前記一対の基板に対する前記熱の印加が、該ブラッ
クマスクを高周波誘導加熱して発生する熱を用いる場合
がある。
【0020】本発明に於て、前記ブラックマスクは、コ
バルトニッケル等の磁性体から成る場合がある。
【0021】本発明に於て、前記ブラックマスクは、磁
性体粒子を混合した樹脂からなる場合がある。
【0022】本発明に於て、前記樹脂は、アクリル系樹
脂あるいはポリイミド樹脂である場合がある。
【0023】
【作用】以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0024】本発明は、液晶と光硬化性樹脂との均一混
合物に部分的に強弱を有する熱パターンあるいは熱と光
とを併用した物理的刺激のパターンを印加することによ
り、絵素毎に液晶領域と高分子材料の領域とを作成する
相分離を効率的に起こさせるような液晶表示素子の製造
方法に関するものである。本発明に於いて、上記液晶表
示素子作成の具体的な方法に関して、第1の方法とし
て、これらのレーザー光を含む熱ビームをビームエキス
パンダーによって一本の直線状にして基板の最も端側か
ら高分子を硬化させたい部分のみをラインスキャンさせ
る方法が挙げられる。第2の方法としては、レーザーに
よって基板の最も端側から高分子を硬化させたい部分の
みをポイントスキャンさせる方法が挙げられる。第3の
方法としては、高周波誘導加熱によって、絵素の配列に
対応した遮光領域の配列パターンを有するブラックマス
クを加熱して、ブラックマスクと重なった部分の高分子
に局所的に熱を印加し硬化させる方法が挙げられる。
【0025】上記高周波誘導加熱の原理から、少なくと
も磁性体材料を含む材料から形成されるブラックマスク
に高周波磁場を印加すると、ブラックマスクの磁性体部
分にヒステリシス損と渦電流によるジュール熱とが発生
して、ブラックマスクが昇温され、前記高分子材料中の
ブラックマスクと接触している部分が加熱される。ブラ
ックマスクを液晶表示素子の対向電極上やTFT等のア
クティブマトリクス素子上に作成した液晶表示素子にお
いて、ブラックマスクが、直接、重合性樹脂と液晶との
混合物に接しているので、ブラックマスクからの熱が、
直接、重合性樹脂と液晶との混合物に伝達され、熱伝達
効率の良好な加熱を行うことができる。また、本発明に
よるこのような熱印加方法によると、熱パターンを構成
するために、既に設けられているブラックマスクに加
え、新たなブラックマスクをガラス基板の上から絵素領
域を被わないように貼り合わせる必要がない。
【0026】従って、該新たなブラックマスクをガラス
基板に貼り合わせるときに生じる前記絵素領域との位置
ズレが解消される。また、新たに、ブラックマスクを貼
り合わせる工程が不必要となるので、製造上の歩留まり
が向上され、製造コストが削減される。また、コイル卷
数N、コイル電流I、周波数fを適度に調整することに
より、加熱温度も希望の温度にすることもできる。さら
に、高周波誘導による加熱は、短時間で起こるので、製
造時間の大幅な短縮ができ、製造効率の向上と製造コス
トの削減とが可能である。
【0027】これらの方法を選択することで、高分子材
料の硬化点(反応点)を適宜限定することができ、高分
子領域内への液晶成分の混入や、また逆に液晶成分内へ
の高分子成分の混入も抑制することができるという利点
がある。
【0028】本発明の方法により作成された液晶表示素
子において、液晶領域内に液晶ドメインが放射状または
ランダムに配向した構造を有している。これにより、駆
動電圧印加時に液晶分子の立ち上がり方向が、ほぼ全方
位に向くために、視野角特性が改善されることになる。
すなわち、電圧印加時に液晶分子と高分子材料からなる
高分子壁との相互作用により、液晶分子が各高分子壁方
向に傾斜するために、液晶分子の見かけ上の屈折率が、
液晶表示素子を見る任意の視角に於いてほぼ同じ状態と
なり、液晶表示素子の視角特性が改善される。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明は、
これに限定されるものではない。
【0030】(実施例1)図1は、本発明の一実施例の
液晶表示素子11の製造工程を説明する斜視図であり、
図2は、前記製造工程を説明する断面図である。液晶表
示素子11は、本実施例に於いて、以下のような製造工
程で製造される。フリントガラス(日本板硝子株式会社
製、板厚1.1mm、300mm角)からなる2枚のガ
ラス基板12、13上に、ITO(酸化インジュウムお
よび酸化スズの混合物、膜厚50nm)で複数の帯状電
極(電極幅200μm、電極間50μm、電極数100
0×1000)14、15をそれぞれ形成する。この一
組のガラス基板12、13に、配向膜塗料であるポリイ
ミド(SE−150:日産化学(株))をスピンコート
法で塗布し、熱硬化後、一方向にナイロン布を用いてラ
ビング処理を行い、配向膜16、17をそれぞれ形成し
た。
【0031】上記配向処理を行った2枚の基板12、1
3を、各帯状電極14、15が相互に直交するように組
合せ、例として径6μmの球状、円筒状、繊維状などの
スペーサーにより配向膜16、17の間隔であるセル厚
を均一に保持し、周縁部をシール材23によってシール
して表示セルを構成した。次いで、熱重合性樹脂とし
て、脂肪族系エポキシ樹脂デナコールEX−314(ナ
ガセ化成工業社製)0.12gと、硬化促進剤エポミッ
クQ−610(三井石油化学社製)0.006gと、液
晶材料として、ZLI−3700−000(メルク社
製)にCN(コレステリックノナネート)を0.3重量
%添加した液晶材料との混合物0.75gを、均一に混
合した後、作成した表示セルに該混合物18を注入し
て、液晶セル19を構成した。
【0032】その後、液晶セル19に対して、図2のよ
うにレーザー熱ビームとして用いられるHe−Cdレー
ザー光(以下、レーザー光)20を、ビームエキスパン
ダー21によってライン状に変換する。ライン状に変換
されたレーザー光20を、液晶セル19に於いて最も端
にあるライン状の非絵素部22に5分間照射し、さらに
つぎの非絵素部22でも同様に5分間照射した。これに
より、前記混合物18中の各非絵素部22に相当する部
分の熱硬化性樹脂を硬化させ高分子壁24を形成した。
【0033】この一連の操作を、一方向に平行な全ての
非絵素部22に対して順次行い、次にその一方向と垂直
な他方向に平行な全ての非絵素部25にも同様の一連の
操作を行い、熱硬化性樹脂を硬化させた。このようにし
て、ガラス基板12、13の間でほぼ格子状をなし、多
孔体である高分子壁24を形成した。また、格子状をな
す高分子壁24によって、ほぼ各絵素毎に液晶が囲まれ
て液晶領域26がそれぞれ形成されていることが確認さ
れた。
【0034】形成された多孔体の高分子壁24の断面を
SEM(走査型電子顕微鏡)で、以下のようにして観察
した。まず、液晶表示素子11を分断し、液体窒素中で
各ガラス基板12、13を相互に剥離し、ガラス基板1
2、13の表面からアセトンで液晶材料を洗い流した。
その後に残存する高分子壁24の水平断面を観察した。
これによると、帯状電極14、15と同じ規則性、即
ち、絵素と同じ規則性で、かつ、絵素と同程度の大きさ
で、均一に配列された高分子壁24が形成されているこ
とが確認された。
【0035】作成された液晶表示素子11の電気光学特
性の一つであるコントラストは、40であった。該コン
トラストの測定は、光を液晶表示素子11に透過させて
測定する方法を採用した。また、コントラストは、電圧
無印加時の光の透過率と飽和電圧を加えた時の光の透過
率との比によって表現した。また、作成した液晶表示素
子11を壁などに立てかけた時の表示むらは観測されな
かった。この立てかけたときの表示むらは、視角により
表示コントラストが異なる液晶表示素子の視角依存性、
液晶表示素子の表面に於けるざらつき、或は表示の白黒
反転などによる表示むら等に起因して発生する。
【0036】本実施例の製造方法により作成された液晶
表示素子11において、各絵素毎に液晶領域26内に液
晶ドメインが放射状またはランダムに配向した構造を有
していることが確認された。
【0037】図3(1)は、中間調表示状態を示す図で
あり、図3(2)は、表示状態を示す図である。本実施
例の液晶表示素子11の場合、駆動電圧を印加していな
い状態では、液晶領域26の液晶分子27は、ガラス基
板12、13の表面と平行に配向している。前記表示電
極に駆動回路28によって駆動電圧を印加すると、液晶
分子27が同一方向に傾斜している図3(1)の中間調
の表示状態を経て、図3(2)の表示状態に到達する。
ここで、駆動電圧の印加時に、前記液晶分子27は次第
に立ち上がり、前記中間調表示状態に於いて、図3
(1)に示されるように、飽和電圧印加時に液晶分子2
7と高分子壁24との相互作用により、液晶分子27が
各方向の高分子壁24方向に傾斜して行く。これによ
り、液晶分子27の見かけ上の屈折率が、方向Aと方向
Bとの各位置でほぼ同じ状態となる。これにより、駆動
電圧印加時に液晶分子の立ち上がり方向が、ほぼ全方位
に向くために、視野角特性が改善されることになる。
【0038】従って、本実施例によって、前記液晶領域
26内の液晶ドメインが放射状またはランダムに配向し
た構造となる液晶表示素子11が作成できる。
【0039】さらに、作成した液晶表示素子11の電気
光学特性のうち、視角特性を図4に示す。図4は、印加
電圧と光透過率との関係を視角を変化させて測定したグ
ラフである。光透過率は、液晶表示素子11に、絵素領
域だけ光を透過し各絵素の間に於いて光が遮断されるカ
ラーフィルターつきブラックマスクを設け、2枚の偏光
板を、各偏光板の偏光面が相互に平行となるように、該
液晶表示素子11に貼り合わせ、この様な液晶表示素子
に光が通過した状態を、光透過率100%として測定し
た。さらに、測定方向は、液晶表示素子11の法線方向
から測定した場合と、該法線方向から40°傾いた円錐
面のうち、偏光板の偏光面から45°になる4つの方向
から測定を行った。図3から、本実施例の液晶表示素子
11は、コントラストが視角方向により逆転する反転現
象や視角方向によるコントラスト変化が少ない優れた特
性を有していることが分かる。
【0040】このようにして作成された液晶表示素子1
1は、単純マトリクス駆動、TFT、MIMなどのアク
ティブ素子を用いるアクティブ駆動などの駆動法で駆動
できる。本発明において、液晶表示素子の駆動方法は、
特に限定されない。
【0041】(実施例2)図5は、本発明の実施例2の
液晶表示素子11aを製造する製造方法を説明する斜視
図であり、図6は、本実施例の製造方法を説明する断面
図である。本実施例は、前記実施例1と類似し、対応す
る部分には同一の参照符号を付す。本実施例に於いて、
2枚のガラス基板12、13上に、蒸着法により膜厚約
100nmのITO膜を形成し、ウエットエッチング法
によりそれぞれ複数の直線状電極14、15を形成し
た。前記のガラス基板12、13の電極14、15上に
膜厚約50nmのポリイミド膜をスピンコート法により
塗布し、200℃で1時間焼成して硬化させた。更に、
ポリイミド膜に対して一方向にラビング処理を行い、配
向膜16、17を形成した。
【0042】前記ラビング処理は、2枚のガラス基板1
2、13の電極14、15を向かい合わせ、電極14、
15が互いに直交するようにガラス基板12、13を組
み合わせた時に、各ガラス基板12、13に於けるラビ
ング方向が相互に平行になるように行われた。このガラ
ス基板12、13の少なくとも一方の上に、例として径
1.7μmのSiOビーズを散布し、2枚のガラス基板
12、13を貼り合わせ、周縁部をシール材23でシー
ルし表示セルを構成した。
【0043】作成した表示セルに、実施例1と同様の熱
重合性樹脂と、液晶材料ZLI−4237−000(メ
ルク社製)の0.75gとの混合物18aを、常圧で該
混合物が等方性液体相を示す状態で注入して、液晶セル
19aを構成した。その後、熱ビームとしてレーザービ
ームを図5及び図6に示されるように、非絵素部22に
沿ってガラス基板12、13の端側からポイントスキャ
ンして照射した。詳しくは、He−Cdレーザーを用
い、ガラス基板12、13の端にある非絵素部22にま
ずスポットを当て、そこから該非絵素部22上を、1m
m/minのスピードでスキャンした。
【0044】熱ビーム照射後、液晶と高分子は相分離を
起こし、レーザー光の照射部に高分子壁24が形成さ
れ、一方、絵素部には高分子壁24が形成されていない
ことが確認された。従って、本実施例で製造された液晶
表示素子11aは、前記実施例1で述べた効果と同様な
効果を達成することができる。更に、作成された液晶表
示素子11aを用い、以下の圧力試験と落下試験とから
なる耐衝撃性信頼試験を行った。圧力試験に於いて、
0.5mm/minのスピードで5kgf/cm2の圧
力を加えた時に、圧力印加部で一部配向の乱れが認めら
れ、落下試験に於いて、5cmの高さから液晶表示素子
11aを床面に落下させた。その結果に於いて、液晶領
域26に於ける配向の乱れは認められないことが確認さ
れた。これにより、本実施例で製造された液晶表示素子
11bは、対衝撃性が格段に向上されていることが確認
された。
【0045】(実施例3)図7は本発明の実施例3の製
造方法で製造される液晶表示素子11bの断面図であ
り、図8は、液晶表示素子11bの一方のガラス基板の
平面図であり、図9は、液晶表示素子11bの他方のガ
ラス基板の平面図であり、図10は本実施例の製造方法
を説明する断面図である。本実施例は、前記各実施例に
類似し、対応する部分には同一の参照符号を付す。本実
施例の液晶表示素子11bは、以下のようにして製造さ
れる。
【0046】フリントガラス(日本板硝子株式会社製、
板厚1.1mm、300mm角)からなる一対のガラス
基板12、13上に、ITO(酸化インジュウムおよび
酸化スズの混合物、膜厚50nm)で、それぞれ直線状
の複数の電極(電極幅200μm、電極間50μm、電
極数1000×1000)14、15を形成する。例と
して、ガラス基板12に於いて、複数の電極14の間に
対応する領域に、コバルトニッケルをめっきで50μm
幅の線状に格子状に形成し、遮光性ブラックマトリクス
29を形成し、マトリクス基板を構成した。上記ガラス
基板12上の直線状電極14と同一形状の直線状電極1
5がITOをパターンニングしてガラス基板13上に形
成されてなる対向基板と前記マトリクス基板とを、各直
線状電極14、15が相互に直交するように組み合わ
せ、径6μmのスペーサーにより前記セル厚を保持し、
周縁部をシール材23でシールして表示セルを構成し
た。
【0047】次いで、作成した表示セルに熱重合性樹脂
として、脂肪族系エポキシ樹脂デナコールEX−314
(ナガセ化成工業社製)0.12gと、硬化促進剤エポ
ミックQ−610(三井石油化学社製)0.006g
と、液晶材料として、ZLI−3700−000(メル
ク社製)にCN(コレステリックノナネート)を0.3
%添加した混合物0.75gとを均一に混合して得られ
る混合物18bを注入し、液晶セル19bを構成した。
【0048】次に、液晶セル19bの一方側に巻数Nの
コイル30を固定して、例として周波数f=400kH
zでコイル電流Iの高周波電流を流し、高周波誘導加熱
を行った。以下に、高周波誘導加熱の原理を説明する。
高周波磁場の中に磁性体または金属をおくと、ヒステリ
シス損と渦電流によるシュール熱とによって、きわめて
短時間に発熱する。ヒステリシス損と渦電流によるジュ
ール熱とは、前記数1及び数2で表される。このような
発熱の原理から、金属材料から形成されるブラックマス
ク29にコイル30を用いて高周波磁場を印加すると、
ブラックマスク29にヒステリシス損と渦電流によるジ
ュール熱とが発生して、ブラックマスク29が昇温さ
れ、前記混合物26中のブラックマスク29と接触して
いる部分が加熱され、図10に示すような高分子壁24
が形成される。
【0049】本実施例に於いて、ブラックマスク29
が、直接、前記混合物26に接しているので、ブラック
マスク29からの熱が、直接、混合物26に伝達され、
熱伝達効率の良好な加熱を行うことができる。また、本
実施例に於けるこのような熱印加方法によると、熱パタ
ーンを構成するために、既に設けられているブラックマ
スク29に加え、新たなブラックマスクをガラス基板の
上から絵素を被わないように貼り合わせる必要がない。
【0050】従って、該新たなブラックマスクをガラス
基板に貼り合わせるときに生じる前記絵素との位置ズレ
が解消される。また、新たに、ブラックマスクを貼り合
わせる工程が不必要となるので、製造上の歩留まりが向
上され、製造コストが削減される。また、コイル卷数
N、コイル電流I、コイル電流の周波数fを適度に調整
することにより、加熱温度を適宜調整することもでき
る。さらに、高周波誘導による加熱は、短時間で起こる
ので、製造時間の大幅な短縮ができ、製造効率の向上と
製造コストの削減とが可能である。
【0051】本実施例に於いて、これらの製造方法を選
択することによって、高分子材料の硬化点(反応点)を
適宜限定することができ、高分子領域内への液晶成分の
混入や、また逆に液晶成分内への高分子成分の混入も抑
制することができるという利点がある。
【0052】本実施例に適用される重合性樹脂素子組成
物として、熱によって重合硬化するアクリル系樹脂、メ
タクリル系樹脂、エボキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂等
が好ましい。一方、本実施例に用いられる液晶材料につ
いて、加工時に熱および光重合反応を伴うため、耐化学
反応性に優れた液晶が好ましい。具体的には、化合物
中、フッ素原子などの官能基を有する液晶である。より
具体的には、ZLI−4801−000、ZLI−48
01−001、ZLI−4792(メルク社製)などで
ある。
【0053】本実施例に於いて、作成された液晶表示素
子11bの視角特性を測定した結果を図11に示す。本
実施例に於いて、視角特性の測定は、2枚の偏光板を前
記液晶表示素子11bの長辺に対して、各偏光板の偏光
軸を相互に逆方向にそれぞれ45°傾けて、各偏光板の
偏光軸が相互にクロスニコルになるように、液晶表示素
子11bの表裏に貼り、液晶表示素子11bの法線方向
と、該法線方向から40°傾けた3時方向、6時方向、
9時方向、12時方向の光の透過率を、印加電圧を変化
させて測定した。その結果、どの方向に於いても、従来
技術のTN型液晶表示素子に於いて発生していた表示の
反転現象や電圧飽和時の透過率の増加似よるコントラス
トの低下は見られず、視野角が格段に広範囲になるとい
う特性が得られた。
【0054】この視野角の測定後、製造された前記液晶
表示素子11bの各ガラス基板12、13を相互に剥離
し、各ガラス基板12、13の表面に付着している液晶
をアセトンで溶解して除去した後のガラス基板12、1
3の表面のブラックマスク29を観察した。ブラックマ
スク29の上に前記ガラス基板12、13の間に亘って
高分子壁24が形成され、ブラックマスク29が形成さ
れていない領域には前記高分子壁24が形成されていな
いことが確認された。
【0055】以上のようにして、前記各実施例に於い
て、高分子壁24で区切られた液晶領域26を有する液
晶表示素子、あるいは強誘電性液晶を用いる液晶表示素
子、あるいは光散乱型の液晶表示素子において、絵素に
於ける液晶領域26の高分子壁24に対する占有面積の
割合を増大することができる。これにより、表示の際の
コントラスト及び表示画像の明度が向上されて表示品位
が向上される。更に、絵素毎に液晶領域26と高分子壁
24の領域とを作成する相分離を、前述したようにレー
ザー光の照射及びコイル30とブラックマスク29とを
用いる高周波誘導加熱で行うことができ、液晶表示素子
11、11a、11bの製造工程を格段に簡略化するこ
とができ、更に製造時間を格段に短縮することができ
る。
【0056】本実施例に於いて、前記ブラックマスク2
9は、磁性体粒子を混合した樹脂から形成されてもよ
い。このとき、前記樹脂は、アクリル系樹脂あるいはポ
リイミド樹脂を用いるようにしてもよい。
【0057】以下に、本発明の変形例に付いて説明す
る。
【0058】本発明に於いて、熱パターンを印加する方
法として、例えばレーザー光のようなコヒーレントな光
源を用いて、レーザー光を照射することによるレーザー
熱硬化を利用することが好ましい。レーザーの種類とし
ては、色素レーザー(BBQレーザーなど)、He-Cdレ
ーザー、YAGレーザー、エキシマレーザーなどの固体
レーザーや気体レーザーなどを単独あるいは組み合わせ
て使用できる。
【0059】また、レーザー光のようなコヒーレントな
光源を用いた場合、光の干渉縞を利用して、照射対象物
に於ける深さ方向の照射パターンの制御が可能となる。
なお、これらのレーザー光がもつ熱的効果と光学的効果
とを組み合わせて利用することがより一層好ましい。そ
の他にも、熱ビームを熱伝導率の異なる適当なパターン
を介して照射する方法なども有効である。
【0060】さらに、上記液晶表示素子作成の具体的な
方法に関して、第1の方法として、これらのレーザー光
を含む熱ビームをビームエキスパンダーによって一本の
直線状にして基板の最も端側から高分子を硬化させたい
部分のみをラインスキャンさせる方法が挙げられる。第
2の方法としては、レーザーによって基板の最も端側か
ら高分子を硬化させたい部分のみをポイントスキャンさ
せる方法が挙げられる。第3の方法としては、高周波誘
導加熱によって、絵素の配列に対応した遮光領域の配列
パターンを有するブラックマスクを加熱して、ブラック
マスクと重なった部分の高分子に局所的に熱を印加し硬
化させる方法が挙げられる。
【0061】上記高周波誘導加熱の原理を説明する。高
周波磁場の中に磁性体または金属をおくと、ヒステリシ
ス損と渦電流によるジュール熱とによって、きわめて短
時間に発熱する。ヒステリシス損と渦電流によるジュー
ル熱とは次式で表される。
【0062】
【数1】ヒステリシス損(W)=n・f・Bm1.6・V n;ヒステリシス係数 f;周波数(Hz) Bm;最大磁束密度(wb/m2) V;被加熱物の体積
【0063】
【数2】 ジュール熱=K・N2・I2・(P・μ・f)1/2 K;比定数 N;コイル巻数 I;コイル電流 P;固有抵抗(μΩ・cm) μ;材料の実効透磁率 このような発熱の原理から、少なくとも磁性体材料を含
む材料から形成されるブラックマスクに高周波磁場を印
加すると、ブラックマスクの磁性体部分にヒステリシス
損と渦電流によるジュール熱とが発生して、ブラックマ
スクが昇温され、前記高分子材料中のブラックマスクと
接触している部分が加熱される。
【0064】ブラックマスクを液晶表示素子の対向電極
上やTFT等のアクティブマトリクス素子上に作成した
液晶表示素子において、ブラックマスクが、直接、重合
性樹脂と液晶との混合物に接しているので、ブラックマ
スクからの熱が、直接、重合性樹脂と液晶との混合物に
伝達され、熱伝達効率の良好な加熱を行うことができ
る。また、本発明によるこのような熱印加方法による
と、熱パターンを構成するために、既に設けられている
ブラックマスクに加え、新たなブラックマスクをガラス
基板の上から絵素領域を被わないように貼り合わせる必
要がない。
【0065】従って、該新たなブラックマスクをガラス
基板に貼り合わせるときに生じる前記絵素領域との位置
ズレが解消される。また、新たに、ブラックマスクを貼
り合わせる工程が不必要となるので、製造上の歩留まり
が向上され、製造コストが削減される。従来、熱パター
ンを構成するためのブラックマスクは、熱硬化による高
分子のマトリクスを作成した後に、ガラス基板から取り
除く必要があった。
【0066】また、コイル卷数N、コイル電流I、周波
数fを適度に調整することにより、加熱温度も希望の温
度にすることもできる。
【0067】さらに、高周波誘導による加熱は、短時間
で起こるので、製造時間の大幅な短縮ができ、製造効率
の向上と製造コストの削減とが可能である。
【0068】これらの方法を選択することで、高分子材
料の硬化点(反応点)を適宜限定することができ、高分
子領域内への液晶成分の混入や、また逆に液晶成分内へ
の高分子成分の混入も抑制することができるという利点
がある。
【0069】プレポリマー(モノマー、オリゴマー)と
して使用する重合性樹脂素子組成物として、本発明の方
法に適応する際には、熱によって重合硬化するアクリル
系樹脂、メタクリル系樹脂、エボキシ系樹脂、ポリイミ
ド系樹脂等が好ましい。これらの重合体は、最終的に液
晶滴を支えるポリマーマトリクスを形成する物質であり
その選定は重要である。特に、TFT駆動を行う場合、
液晶表示素子内の液晶、ポリマーに電気絶縁性が要求さ
れ、未硬化状態でもモノマーの比抵抗が1×1012Ω・
cm以上必要である。
【0070】一方、液晶材料については、常温付近で液
晶状態を示す有機物混合体であって、ネマチック液晶
(2周波駆動用液晶、誘電率異方性△ε<0の液晶を含
む)、コレステリック液晶(特に、可視光に選択反射特
性を有する液晶)、もしくはスメクチック液晶、強誘電
性液晶、デスコティック液晶などが含まれる。これらの
液晶は、混合しても良く、特に、ネマティック液晶もし
くは、コレステリック液晶の添加されたネマチック液
晶、強誘電性液晶が特性上好ましい。更に好ましくは、
加工時に熱および光重合反応を伴うため耐化学反応性に
優れた液晶が好ましい。また、前記FLC型液晶やST
N型液晶等、液晶材料の初期配向規制力の影響が重要な
場合は、従来から用いられているモードの液晶を、高分
子マトリクスで区分した構成の液晶表示素子を用いるよ
うにしてもよい。具体的には、化合物中、フッ素原子な
どの官能基を有する液晶である。より具体的には、ZL
I−4801−000、ZLI−4801−001、Z
LI−4792(メルク社製)などである。
【0071】本発明で作成された素子を、2枚の偏光板
で挟むことにより、コントラストが高く駆動電圧の印加
に対する透過光量変化の急峻な、従来から使用されてき
た表示素子(TN、STN、ECB、強誘電性液晶素子
など)を高分子中に局所的に形成し、液晶材料が高分子
材料によって囲まれて液晶層が疑似固体化された液晶素
子を作成することができる。
【0072】なお、本発明の方法により作成された液晶
表示素子において、液晶領域内に液晶ドメインが放射状
またはランダムに配向した構造を有している。これによ
り、駆動電圧印加時に液晶分子の立ち上がり方向が、ほ
ぼ全方位に向くために、視野角特性が改善されることに
なる。すなわち、電圧印加時に液晶分子と高分子材料か
らなる高分子壁との相互作用により、液晶分子が各高分
子壁方向に傾斜するために、液晶分子の見かけ上の屈折
率が、液晶表示素子を見る任意の視角に於いてほぼ同じ
状態となり、液晶表示素子の視角特性が改善される。
【0073】本方法により、具体的には、液晶領域内の
液晶ドメインが放射状またはランダムに配向した構造と
なる液晶表示素子が作成できる。このようにして、作成
された液晶表示素子は、単純マトリクス駆動、TFT、
MIM(金属ー絶縁膜ー金属構造のスイッチング素子)
などのアクティブ素子を用いるアクティブ駆動などの駆
動法で駆動される。但し、本発明において、液晶表示素
子の駆動方法は、特に限定されない。
【0074】
【発明の効果】本発明の製造方法に従えば、従来の液晶
表示素子において達成されなかった液晶と高分子材料の
相分離方法をホトマスクを使わずに簡単な手法で行うこ
とができ、また液晶と高分子を相互に取り込むことなく
分離することができ、かつ、高分子材料に区切られた液
晶領域を有する大画面の表示素子を作成することができ
るようになる。従って、製造される液晶表示素子の表示
品質を向上することができ、製造工程が格段に簡略化さ
れ、かつ短縮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の製造方法を説明する斜視図
である。
【図2】本実施例の製造方法を説明する断面図である。
【図3】本実施例によって製造される液晶表示素子の中
間調状態を示す断面図である。
【図4】実施例1の液晶表示素子の視角特性を表す図で
ある。
【図5】本発明の実施例2の製造方法を説明する斜視図
である。
【図6】実施例2を説明する断面図である。
【図7】本発明の実施例3で製造される液晶表示素子の
断面図である。
【図8】本実施例の液晶表示素子の一方の基板の平面図
である。
【図9】実施例3の他方の基板の平面図である。
【図10】実施例3の製造方法の原理を示す図である。
【図11】実施例3で作成された液晶表示素子の透過率
特性を示す図である。
【図12】従来のTN型液晶表示素子の中間調状態を示
す断面図である。
【符号の説明】
11、11a、11b 液晶表示素子 12、13 ガラス基板 14、15 電極 18 混合物 20 レーザー光 24 高分子壁 29 ブラックマスク 26 液晶領域 27 液晶分子 30 加熱用コイル 31 磁力線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀江 亘 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方が透光性である一対の基
    板間に、液晶材料と重合性樹脂組成物と重合開始剤との
    混合物を注入する注入工程と、 該混合物に局所的に強弱のパターンを有する熱、あるい
    は熱と光とを併用して印加する印加工程とを含み、 該印加工程によって該混合物中の重合性樹脂組成物を重
    合させ、該液晶材料と該重合性樹脂組成物とを相分離せ
    しめ、高分子材料によって区切られた液晶領域を形成す
    る液晶表示素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記熱の印加が、熱ビームによる熱また
    はコヒーレントな光ビームの熱効果によって行われ、前
    記混合物に於て該重合性樹脂組成物の重合と前記相分離
    とを進行させる請求項1に記載の液晶表示素子の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記熱の印加が、熱ビームによる熱また
    はコヒーレントな光ビームを線順次で照射することによ
    って行われる請求項1または2のいずれかに記載の液晶
    表示素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記熱の印加が、熱ビームによる熱また
    はコヒーレントな光ビームを点順次で照射することによ
    って行われる請求項1または2のいずれかに記載の液晶
    表示素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 少なくともいずれか一方の基板に遮光性
    材料からなるブラックマスクが形成されている前記一対
    の基板に対する前記熱の印加が、該ブラックマスクを高
    周波誘導加熱して発生する熱を用いる請求項1に記載の
    液晶表示素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ブラックマスクは、コバルトニッケ
    ル等の磁性体から成る請求項5に記載の液晶表示素子の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 前記ブラックマスクは、磁性体粒子を混
    合した樹脂からなる請求項5に記載の液晶表示素子の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 前記樹脂は、アクリル系樹脂あるいはポ
    リイミド樹脂である請求項7に記載の液晶表示素子の製
    造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100322660B1 (ko) * 1998-06-30 2002-02-07 마찌다 가쯔히꼬 액정표시장치 및 그 제조방법

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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