JPH06182927A - Bh性および加工性に優れた軽量複合金属板 - Google Patents
Bh性および加工性に優れた軽量複合金属板Info
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- JPH06182927A JPH06182927A JP34286192A JP34286192A JPH06182927A JP H06182927 A JPH06182927 A JP H06182927A JP 34286192 A JP34286192 A JP 34286192A JP 34286192 A JP34286192 A JP 34286192A JP H06182927 A JPH06182927 A JP H06182927A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 鋼板に比べて軽く、かつ鋼板と同等レベルの
剛性を有し、さらにBH性と加工性に優れた鉄とAlか
らなる複合金属板を提供する。 【構成】 両表面が鉄、中心がAlの3層からなる複合
金属板であって、鉄層は化学成分がC:0.01〜0.055%、Si
≦0.1%、Mn:0.04〜0.5%、 P≦0.1%、 solAl:0.002〜0.
1%、 N≦0.006%、固溶C:0.0004〜0.0020% 、残部鉄及び
不可避的不純物よりなり、10μm〜50μmの整粒組
織を有し、Al層は化学成分が重量比で99%以上のA
lを有するか、或はMg,Mn,Si,Cr,Zn等を
含有するAl合金とし、各鉄層の厚さ(TFe)、複合金
属板の等価剛性厚さ(TO )、更にこれら厚さと複合金
属板の厚さT1 (mm)、アルミニウムの厚さTAl(mm)との
間に特定の関係をもたせた焼き付け硬化性および加工性
に優れた軽量複合金属板。
剛性を有し、さらにBH性と加工性に優れた鉄とAlか
らなる複合金属板を提供する。 【構成】 両表面が鉄、中心がAlの3層からなる複合
金属板であって、鉄層は化学成分がC:0.01〜0.055%、Si
≦0.1%、Mn:0.04〜0.5%、 P≦0.1%、 solAl:0.002〜0.
1%、 N≦0.006%、固溶C:0.0004〜0.0020% 、残部鉄及び
不可避的不純物よりなり、10μm〜50μmの整粒組
織を有し、Al層は化学成分が重量比で99%以上のA
lを有するか、或はMg,Mn,Si,Cr,Zn等を
含有するAl合金とし、各鉄層の厚さ(TFe)、複合金
属板の等価剛性厚さ(TO )、更にこれら厚さと複合金
属板の厚さT1 (mm)、アルミニウムの厚さTAl(mm)との
間に特定の関係をもたせた焼き付け硬化性および加工性
に優れた軽量複合金属板。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は従来薄鋼板が適用されて
いた用途に対し、同等の剛性を維持しつつ軽量化した複
合金属板を提供するものであって、深絞り等の加工を行
う用途に適し、特にプレス成形後において塗料の焼き付
けのため例えば170℃といった温度に置かれたとき硬
化し、プレス加工性と強度との両立性をさらに向上させ
た複合金属板に関するものである。
いた用途に対し、同等の剛性を維持しつつ軽量化した複
合金属板を提供するものであって、深絞り等の加工を行
う用途に適し、特にプレス成形後において塗料の焼き付
けのため例えば170℃といった温度に置かれたとき硬
化し、プレス加工性と強度との両立性をさらに向上させ
た複合金属板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の外板等の構造材料としての軽量
化は大きな課題となっており、その手段は種々指向され
ている。軽量化手段の一つに、従来鋼板を使用していた
部分にアルミニウムを使用する方法がある。しかし、ア
ルミニウムによる軽量化および強度は理論的には可能で
あるが、アルミニウムはそれ自体では剛性が小さいため
鋼に比べてかなり厚くしなくてはならない。このため軽
量化効果が減少し、コストの面でも不利になる。さら
に、アルミニウムやアルミニウム合金は加工性が鋼板に
比べて大幅に劣る。以上のようなことからアルミニウム
は限られた用途にしか使用できないのが現状である。
化は大きな課題となっており、その手段は種々指向され
ている。軽量化手段の一つに、従来鋼板を使用していた
部分にアルミニウムを使用する方法がある。しかし、ア
ルミニウムによる軽量化および強度は理論的には可能で
あるが、アルミニウムはそれ自体では剛性が小さいため
鋼に比べてかなり厚くしなくてはならない。このため軽
量化効果が減少し、コストの面でも不利になる。さら
に、アルミニウムやアルミニウム合金は加工性が鋼板に
比べて大幅に劣る。以上のようなことからアルミニウム
は限られた用途にしか使用できないのが現状である。
【0003】これらを解決するために両面が鉄層、中心
がアルミニウム層で構成される3層の複合板で鉄層が加
工後の焼き付け硬化性(以後BHと称する)を有する薄
板が有望と考えられる。アルミニウムと鉄とを複合化し
た板材はその製造が技術的に困難なため実用例は少な
い。しかし、爆着法で作るアルミニウム厚5mm、鋼板厚
15mmの厚板の実用例はあるが、薄板に関する実用例は
ない。
がアルミニウム層で構成される3層の複合板で鉄層が加
工後の焼き付け硬化性(以後BHと称する)を有する薄
板が有望と考えられる。アルミニウムと鉄とを複合化し
た板材はその製造が技術的に困難なため実用例は少な
い。しかし、爆着法で作るアルミニウム厚5mm、鋼板厚
15mmの厚板の実用例はあるが、薄板に関する実用例は
ない。
【0004】また、アルミニウムと鉄とを複合化した薄
板を製造する方法では重ね圧延法といわれるものが知ら
れている。例えば、特開昭63−157774号公報に
開示されているようにアルミニウム素材を350〜55
0℃程度に加熱し、鉄素材と温間で圧延し接合する方
法、特公昭56−52679号公報に開示されるように
鉄素材の表面にあらかじめアルミニウムメッキを施しこ
れを500℃程度に加熱しアルミニウム素材と温間で圧
延し接合する方法等がある。しかし、これらの方法で製
造された複合金属板は加工性が不充分であり、プレス成
形した後の焼き付け塗装による硬化もほとんどないとい
う問題がある。
板を製造する方法では重ね圧延法といわれるものが知ら
れている。例えば、特開昭63−157774号公報に
開示されているようにアルミニウム素材を350〜55
0℃程度に加熱し、鉄素材と温間で圧延し接合する方
法、特公昭56−52679号公報に開示されるように
鉄素材の表面にあらかじめアルミニウムメッキを施しこ
れを500℃程度に加熱しアルミニウム素材と温間で圧
延し接合する方法等がある。しかし、これらの方法で製
造された複合金属板は加工性が不充分であり、プレス成
形した後の焼き付け塗装による硬化もほとんどないとい
う問題がある。
【0005】一方、焼き付け塗装による硬化性を持った
鋼板単体についてはこれまでにも検討され、例えば特開
平2−197549号公報、特開昭63−247338
号公報に開示されるように鋼中のC,Ti或はNb量を
特定の範囲とし特定の条件で焼鈍することでこれが得ら
れることが見出されている。しかし、これらの方法で製
造した鋼板は総炭素量が少ないため焼き付け硬化量その
ものはあまり高いものは得られず、特開平2−1975
49号公報に開示されているように3kgf/mm2程度であ
るのが現状である。
鋼板単体についてはこれまでにも検討され、例えば特開
平2−197549号公報、特開昭63−247338
号公報に開示されるように鋼中のC,Ti或はNb量を
特定の範囲とし特定の条件で焼鈍することでこれが得ら
れることが見出されている。しかし、これらの方法で製
造した鋼板は総炭素量が少ないため焼き付け硬化量その
ものはあまり高いものは得られず、特開平2−1975
49号公報に開示されているように3kgf/mm2程度であ
るのが現状である。
【0006】従ってこのような鋼板とアルミニウムを複
合化できたとしても高い焼き付け硬化量を有する複合金
属板は期待できない。このように、充分な加工性および
焼き付け硬化性を持つ鉄とアルミニウムの複合板につい
てはこれまで知られていない。
合化できたとしても高い焼き付け硬化量を有する複合金
属板は期待できない。このように、充分な加工性および
焼き付け硬化性を持つ鉄とアルミニウムの複合板につい
てはこれまで知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから本
発明は良好な加工性を有し、さらにBHによる軽量化を
行うために4kgf/mm2 以上のBH量を持つ鉄とアルミニ
ウムの複合金属板を提供しようとするものである。
発明は良好な加工性を有し、さらにBHによる軽量化を
行うために4kgf/mm2 以上のBH量を持つ鉄とアルミニ
ウムの複合金属板を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために、鋼板およびアルミニウムの組成、状態
等を検討した結果、良好な加工性と焼き付け硬化性を持
つ鉄とアルミニウムの複合金属板を見出した。
解決するために、鋼板およびアルミニウムの組成、状態
等を検討した結果、良好な加工性と焼き付け硬化性を持
つ鉄とアルミニウムの複合金属板を見出した。
【0009】すなわち本発明は、両表面が鉄、中心がア
ルミニウムの3層からなる複合金属板であって、鉄層は
化学成分が重量比でC:0.01〜0.055%、S
i:0.1%以下、Mn:0.04〜0.5%、P:
0.1%以下、solAl:0.002〜0.1%、
N:0.006%以下、固溶C:0.0004〜0.0
020%、残部鉄および不可避的不純物よりなり、10
μm以上50μm以下の整粒組織を有し、アルミニウム
層は化学成分が重量比で99%以上のAlを含有するA
l材或はアルミニウム合金であり、各鉄層の厚さ
(TFe)はそれぞれ0.15mm以上、複合金属板の等価
剛性厚さ(TO )は0.4mm以上1.6mm以下で、さら
にこれら厚さと複合金属板の厚さT1 (mm)、アルミニ
ウムの厚さTAl(mm)との間に下記(1)式、(2)式
が成立することを特徴とする焼き付け硬化性および加工
性に優れた軽量複合金属板である。また、この複合金属
板を構成するアルミニウム層は上記成分にかわり6%以
下のMg、2%以下のMnの少なくとも一方を含有する
アルミニウム合金であることも特徴とする。また、さら
に上記成分に加えて0.5%以下のSi、0.5%以下
のCr、0.5%以下のZnの1または2以上を含有す
ることも特徴とする。
ルミニウムの3層からなる複合金属板であって、鉄層は
化学成分が重量比でC:0.01〜0.055%、S
i:0.1%以下、Mn:0.04〜0.5%、P:
0.1%以下、solAl:0.002〜0.1%、
N:0.006%以下、固溶C:0.0004〜0.0
020%、残部鉄および不可避的不純物よりなり、10
μm以上50μm以下の整粒組織を有し、アルミニウム
層は化学成分が重量比で99%以上のAlを含有するA
l材或はアルミニウム合金であり、各鉄層の厚さ
(TFe)はそれぞれ0.15mm以上、複合金属板の等価
剛性厚さ(TO )は0.4mm以上1.6mm以下で、さら
にこれら厚さと複合金属板の厚さT1 (mm)、アルミニ
ウムの厚さTAl(mm)との間に下記(1)式、(2)式
が成立することを特徴とする焼き付け硬化性および加工
性に優れた軽量複合金属板である。また、この複合金属
板を構成するアルミニウム層は上記成分にかわり6%以
下のMg、2%以下のMnの少なくとも一方を含有する
アルミニウム合金であることも特徴とする。また、さら
に上記成分に加えて0.5%以下のSi、0.5%以下
のCr、0.5%以下のZnの1または2以上を含有す
ることも特徴とする。
【数2】
【0010】
【作用】以下、本発明について詳細に説明する。鉄素材
中のC含有量は多いほど平均r値、延性は劣化し、降伏
強度が上昇し加工性は低下する。従って、C量は少ない
方がプレス加工性は良くなるためCは0.055%以下
とするのが良い。しかし、Cを0.010%より低くす
るためには脱炭コストが高くなるという問題がある。従
ってC量を0.055〜0.010%に限定した。
中のC含有量は多いほど平均r値、延性は劣化し、降伏
強度が上昇し加工性は低下する。従って、C量は少ない
方がプレス加工性は良くなるためCは0.055%以下
とするのが良い。しかし、Cを0.010%より低くす
るためには脱炭コストが高くなるという問題がある。従
ってC量を0.055〜0.010%に限定した。
【0011】Siは微量では問題はないが、含有量が多
くなると加工性を低下させる。従って0.1%以下でな
ければならない。
くなると加工性を低下させる。従って0.1%以下でな
ければならない。
【0012】Mnは鋼中に不可避的含有物として存在す
るSによる熱間脆性を防止するために必要な成分である
が、0.04%未満ではFeSが生成しその効果がな
い。また、0.5%を超えると加工性が劣化する。従っ
てMn量を0.04〜0.5%に限定した。
るSによる熱間脆性を防止するために必要な成分である
が、0.04%未満ではFeSが生成しその効果がな
い。また、0.5%を超えると加工性が劣化する。従っ
てMn量を0.04〜0.5%に限定した。
【0013】Pは多量に含有すると粒界に偏析して脆化
させ加工性低下の原因となる。従ってP量を0.1%以
下に限定した。
させ加工性低下の原因となる。従ってP量を0.1%以
下に限定した。
【0014】Alは鋼中の酸素量をコントロールするの
に必要な元素でありTiの添加前に脱酸材として添加す
る。鋼中の酸可溶性Alとして0.002%未満では脱
酸が充分に行われず、Tiの歩留り低下が著しい。しか
し、0.1%を超えると介在物が増加し鋼板の加工性が
低下する。従って、Al量を0.002〜0.1%に限
定した。
に必要な元素でありTiの添加前に脱酸材として添加す
る。鋼中の酸可溶性Alとして0.002%未満では脱
酸が充分に行われず、Tiの歩留り低下が著しい。しか
し、0.1%を超えると介在物が増加し鋼板の加工性が
低下する。従って、Al量を0.002〜0.1%に限
定した。
【0015】Nは鋼中に固溶すると加工性を著しく低下
させるためTiによりTiNとして固定されなければな
らない。また、生成したTiNの量も極力少ない方が良
い。従って、N量は0.0060%以下とする。
させるためTiによりTiNとして固定されなければな
らない。また、生成したTiNの量も極力少ない方が良
い。従って、N量は0.0060%以下とする。
【0016】固溶C量を特定した理由は加工後に行われ
る焼き付け塗装で複合金属板を硬化させるためであり本
発明の特徴とするものである。固溶Cが多いほど焼き付
け硬化量を高くすることができるが時効により加工性が
低下するという問題点がある。図1は表1に示す化学成
分の鋼板およびアルミニウム板よりなる両面が鋼板で中
心がアルミニウム板からなる複合金属板を図3に示す設
備によって製造する際に鋼板部の固溶C量を焼鈍条件を
変えることにより0.2〜30ppm の範囲で種々変えた
場合の焼き付け硬化量と製造後6カ月経過後のストレッ
チャーストレイン量におよぼす固溶C量の影響を示した
ものである。図1より明らかなように固溶C量が4〜2
0ppm の範囲であれば時効によるストレッチャーストレ
インは発生せずかつ4kgf/mm2 以上の高い焼き付け硬化
量を持つ複層鋼板となることがわかる。上記成分以外は
Feおよび不可避的不純物よりなるものである。
る焼き付け塗装で複合金属板を硬化させるためであり本
発明の特徴とするものである。固溶Cが多いほど焼き付
け硬化量を高くすることができるが時効により加工性が
低下するという問題点がある。図1は表1に示す化学成
分の鋼板およびアルミニウム板よりなる両面が鋼板で中
心がアルミニウム板からなる複合金属板を図3に示す設
備によって製造する際に鋼板部の固溶C量を焼鈍条件を
変えることにより0.2〜30ppm の範囲で種々変えた
場合の焼き付け硬化量と製造後6カ月経過後のストレッ
チャーストレイン量におよぼす固溶C量の影響を示した
ものである。図1より明らかなように固溶C量が4〜2
0ppm の範囲であれば時効によるストレッチャーストレ
インは発生せずかつ4kgf/mm2 以上の高い焼き付け硬化
量を持つ複層鋼板となることがわかる。上記成分以外は
Feおよび不可避的不純物よりなるものである。
【0017】
【表1】
【0018】上記成分の鉄素材の結晶粒径は良好な加工
性を持たせるためには、10μm以上50μm以下の整
粒でなければならない。図2は表1に示す化学成分の鋼
板およびアルミニウム板よりなる両面が鋼板で中心がア
ルミニウム板からなる複合金属板を図3に示す設備によ
って製造する際に、鋼板部分の焼鈍時間を変えることに
より複層鋼板の鋼板部分の平均結晶粒径を変えた場合の
複層鋼板の平均r値と伸びにおよぼす結晶粒径の影響を
示したものである。図2より明らかなように、平均結晶
粒径が10〜50μmで良好な平均r値、伸びが得られ
ることがわかる。なお、上記調査において組成を本発明
の範囲内で変更した場合でも良好な加工性および焼き付
け硬化性が得られることがわかった。また、上記複合金
属板中の鋼板の製造方法は特に限定されるものではな
く、熱延によって製造されたのでも良く、冷延焼鈍工程
を経て製造されたもので良い。次に、アルミニウム素材
の条件について述べる。アルミニウム素材の材質につい
ては純アルミニウム、アルミニウム合金のいずれでも良
い。アルミニウム合金の種類については限定するもので
はないが、6%以下のMg、2%以下のMnの少なくと
も一方を含有するアルミニウム合金が特に好ましい。こ
れらの合金成分は焼鈍状態でのアルミニウムの強度を上
昇させ、しかも絞り加工等の加工性もあまり損なわな
い。Mgの量が6%を超えたり、Mnの量が2%を超え
ると硬化が著しく、加工性を害するので、これら成分の
範囲は上記が適当である。また、さらに上記成分とあわ
せて0.5%以下のSi、0.5%以下のCr、0.5
%以下のZnの1または2を含有させると加工性を良好
に保ちながらさらに強度を上げることができる。しか
し、Si,Cr,Znの量は上記範囲を超えて添加する
と硬度が上がり過ぎ加工性を害するので上記範囲を限度
とする。上記成分のアルミニウム素材は、冷延ままの素
材でも焼鈍を行った素材のいずれでも良い。
性を持たせるためには、10μm以上50μm以下の整
粒でなければならない。図2は表1に示す化学成分の鋼
板およびアルミニウム板よりなる両面が鋼板で中心がア
ルミニウム板からなる複合金属板を図3に示す設備によ
って製造する際に、鋼板部分の焼鈍時間を変えることに
より複層鋼板の鋼板部分の平均結晶粒径を変えた場合の
複層鋼板の平均r値と伸びにおよぼす結晶粒径の影響を
示したものである。図2より明らかなように、平均結晶
粒径が10〜50μmで良好な平均r値、伸びが得られ
ることがわかる。なお、上記調査において組成を本発明
の範囲内で変更した場合でも良好な加工性および焼き付
け硬化性が得られることがわかった。また、上記複合金
属板中の鋼板の製造方法は特に限定されるものではな
く、熱延によって製造されたのでも良く、冷延焼鈍工程
を経て製造されたもので良い。次に、アルミニウム素材
の条件について述べる。アルミニウム素材の材質につい
ては純アルミニウム、アルミニウム合金のいずれでも良
い。アルミニウム合金の種類については限定するもので
はないが、6%以下のMg、2%以下のMnの少なくと
も一方を含有するアルミニウム合金が特に好ましい。こ
れらの合金成分は焼鈍状態でのアルミニウムの強度を上
昇させ、しかも絞り加工等の加工性もあまり損なわな
い。Mgの量が6%を超えたり、Mnの量が2%を超え
ると硬化が著しく、加工性を害するので、これら成分の
範囲は上記が適当である。また、さらに上記成分とあわ
せて0.5%以下のSi、0.5%以下のCr、0.5
%以下のZnの1または2を含有させると加工性を良好
に保ちながらさらに強度を上げることができる。しか
し、Si,Cr,Znの量は上記範囲を超えて添加する
と硬度が上がり過ぎ加工性を害するので上記範囲を限度
とする。上記成分のアルミニウム素材は、冷延ままの素
材でも焼鈍を行った素材のいずれでも良い。
【0019】なお、図3に示される通電加熱設備は素材
の鉄層1,3とアルミニウム層2とにそれぞれ通電ロー
ル11,12,13を設け、この通電と加圧を兼ねた2
本のロール4の間に連続的に送りこんで複合板5を製造
するものである。電源は低周波の交流電源、直流電源い
ずれも使用できる。電源21の電流は鉄層1の通電ロー
ル11から鉄層1とアルミニウム層2を通り、これの通
電ロール12に至る。同様に電源22の電流はアルミニ
ウム層2と鉄層3との直列回路を流れる。上記2つの電
源21,22の位相を適当に合わせておけばアルミニウ
ム層2の電流は2つの電源からの電流の和になる。この
場合、鉄層の方がアルミニウム層より電気抵抗が高いた
め鉄層とアルミニウム層が同程度の厚みであれば鉄層の
方が発熱は大きく高温になる。もし、鉄層の加熱温度が
目標の温度に達しない場合は、補助加熱用の設けられた
通電ロール14,15にそれぞれ補助加熱用電源23,
24から通電を行うことによって補助加熱を行う。鉄層
とアルミニウム層の接合を行う場合、図3のような2本
のロール間で外力を加える方式でも良く、プレスのよう
な方式でも良い。接合用素材の加熱方法も通電加熱、誘
導加熱、加熱炉による加熱等どのような方式でも良い。
の鉄層1,3とアルミニウム層2とにそれぞれ通電ロー
ル11,12,13を設け、この通電と加圧を兼ねた2
本のロール4の間に連続的に送りこんで複合板5を製造
するものである。電源は低周波の交流電源、直流電源い
ずれも使用できる。電源21の電流は鉄層1の通電ロー
ル11から鉄層1とアルミニウム層2を通り、これの通
電ロール12に至る。同様に電源22の電流はアルミニ
ウム層2と鉄層3との直列回路を流れる。上記2つの電
源21,22の位相を適当に合わせておけばアルミニウ
ム層2の電流は2つの電源からの電流の和になる。この
場合、鉄層の方がアルミニウム層より電気抵抗が高いた
め鉄層とアルミニウム層が同程度の厚みであれば鉄層の
方が発熱は大きく高温になる。もし、鉄層の加熱温度が
目標の温度に達しない場合は、補助加熱用の設けられた
通電ロール14,15にそれぞれ補助加熱用電源23,
24から通電を行うことによって補助加熱を行う。鉄層
とアルミニウム層の接合を行う場合、図3のような2本
のロール間で外力を加える方式でも良く、プレスのよう
な方式でも良い。接合用素材の加熱方法も通電加熱、誘
導加熱、加熱炉による加熱等どのような方式でも良い。
【0020】本発明においては複合金属板を構成する各
層の厚みの間に決った関係が必要である。まず、複合金
属板の表面、裏面の各鉄層の厚さ(TFe)はそれぞれ
0.15mm以上とする。この厚さ未満では鋼板の圧延が
工業的に困難だからである。また、複合金属板の等価剛
性鉄厚さ(TO )は0.40mm以上1.6mm以下とす
る。これは通常の単一の鋼板と仮定したときの剛性から
みた相当厚みであるが、プレス加工用鋼板の一般的使用
範囲からこのように定めた。
層の厚みの間に決った関係が必要である。まず、複合金
属板の表面、裏面の各鉄層の厚さ(TFe)はそれぞれ
0.15mm以上とする。この厚さ未満では鋼板の圧延が
工業的に困難だからである。また、複合金属板の等価剛
性鉄厚さ(TO )は0.40mm以上1.6mm以下とす
る。これは通常の単一の鋼板と仮定したときの剛性から
みた相当厚みであるが、プレス加工用鋼板の一般的使用
範囲からこのように定めた。
【0021】また、複合金属板の厚さ(T1 )と中心の
アルミニウム層の厚さ(TAl)と前記等価剛性鉄厚さ
(TO )との間には下記の式(1)を満たす必要があ
る。
アルミニウム層の厚さ(TAl)と前記等価剛性鉄厚さ
(TO )との間には下記の式(1)を満たす必要があ
る。
【数3】
【0022】この式の意味するところは所定の厚さの鋼
板と同等の剛性を得るには複合金属板の各層の厚さはど
れだけずつ必要かということである。板の曲げ剛性は板
厚中心面内の軸についての断面二次モーメントとヤング
率との積に比例する。鋼、アルミニウムのヤング率をそ
れぞれ21000kgf/mm2 、7000kgf/mm2 とする
と、これと断面二次モーメントの計算式とにより(1)
式が導かれる。
板と同等の剛性を得るには複合金属板の各層の厚さはど
れだけずつ必要かということである。板の曲げ剛性は板
厚中心面内の軸についての断面二次モーメントとヤング
率との積に比例する。鋼、アルミニウムのヤング率をそ
れぞれ21000kgf/mm2 、7000kgf/mm2 とする
と、これと断面二次モーメントの計算式とにより(1)
式が導かれる。
【0023】また、さらに前記等価剛性厚さ(TO )、
鉄層の厚さ(TFe)、アルミニウム層の厚さ(TAl)と
の間には下記の式(2)を満たす必要がある。
鉄層の厚さ(TFe)、アルミニウム層の厚さ(TAl)と
の間には下記の式(2)を満たす必要がある。
【数4】 (2)式において7.8と2.7はそれぞれ鉄とアルミ
ニウムの密度(g/cm3)であり、複合金属板とすること
により同等の剛性に鋼板と比較して5%以上の重量軽減
があることを意味する。すなわち、重量軽減効果が5%
未満では複合金属板にする目的が達成されたとは言えな
いからである。
ニウムの密度(g/cm3)であり、複合金属板とすること
により同等の剛性に鋼板と比較して5%以上の重量軽減
があることを意味する。すなわち、重量軽減効果が5%
未満では複合金属板にする目的が達成されたとは言えな
いからである。
【0024】以上のような鉄層とアルミニウム層を有す
る複合金属板とすることで焼き付け硬化性および加工性
に優れた軽量複合金属板とすることができる。
る複合金属板とすることで焼き付け硬化性および加工性
に優れた軽量複合金属板とすることができる。
【0025】
【実施例】以下に本発明の実施例を比較例と共に示す。
表2に示すような組成の鋼板およびアルミニウム板を使
用し、図3に示す通電加熱設備により両表面が鉄、中心
がアルミニウムの3層になるように重ね合わせると同時
に図3に示すように鉄層に接触する2本のロールによる
外力を加え、鉄層とアルミニウム層を連続的に接合し
た。鋼板部分の加熱温度、加熱時間を変えることにより
鋼板部分の結晶粒径および固溶C量を表2に示すように
種々変更した。試料番号(1)〜(14)は組成、鋼板
部分の結晶粒径および固溶Cのいずれも本発明範囲内の
ものであり、試料(15)〜(26)はいずれか一つ以
上が本発明範囲から外れたものである。
表2に示すような組成の鋼板およびアルミニウム板を使
用し、図3に示す通電加熱設備により両表面が鉄、中心
がアルミニウムの3層になるように重ね合わせると同時
に図3に示すように鉄層に接触する2本のロールによる
外力を加え、鉄層とアルミニウム層を連続的に接合し
た。鋼板部分の加熱温度、加熱時間を変えることにより
鋼板部分の結晶粒径および固溶C量を表2に示すように
種々変更した。試料番号(1)〜(14)は組成、鋼板
部分の結晶粒径および固溶Cのいずれも本発明範囲内の
ものであり、試料(15)〜(26)はいずれか一つ以
上が本発明範囲から外れたものである。
【0026】接合後、得られた複合金属板の各層の厚み
(表、裏の鉄層の厚みは同一)、等価剛性鉄厚み、軽量
化率および材質を表3に示す。表3からわかるように本
発明範囲の複合金属板は優れた焼き付け硬化性および加
工性を示す。
(表、裏の鉄層の厚みは同一)、等価剛性鉄厚み、軽量
化率および材質を表3に示す。表3からわかるように本
発明範囲の複合金属板は優れた焼き付け硬化性および加
工性を示す。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による鉄と
アルミニウムからなる複合金属板は優れた焼き付け硬化
性および加工性を有する。
アルミニウムからなる複合金属板は優れた焼き付け硬化
性および加工性を有する。
【図1】複合板の焼き付け硬化量および時効後のストレ
ッチャーストレイン量におよぼす鉄層の固溶炭素量の影
響を示す図。
ッチャーストレイン量におよぼす鉄層の固溶炭素量の影
響を示す図。
【図2】複合板のr値および伸びにおよぼす鉄層の結晶
粒径の影響を示す図。
粒径の影響を示す図。
【図3】複合板の製造に使用した装置の一例を示す図。
1,3 鉄層 2 アルミニウム層 4 ロール 5 複合板 11,12,13 通電ロール 14,15 補助用通電ロール 21,22 電源 23,24 補助加熱用電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 及川 初彦 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内
Claims (3)
- 【請求項1】 両表面が鉄、中心がアルミニウムの3層
からなる複合金属板であって、鉄層は化学成分が重量比
でC:0.01〜0.055%、Si:0.1%以下、
Mn:0.04〜0.5%、P:0.1%以下、sol
Al:0.002〜0.1%、N:0.006%以下、
固溶C:0.0004〜0.0020%、残部鉄および
不可避的不純物よりなり、10μm以上50μm以下の
整粒組織を有し、アルミニウム層は化学成分が重量比で
99%以上のAlを有するAl材或はアルミニウム合金
であり、各鉄層の厚さ(TFe)はそれぞれ0.15mm以
上、複合金属板の等価剛性厚さ(TO )は0.4mm以上
1.6mm以下で、さらにこれら厚さと複合金属板の厚さ
T1 (mm)、アルミニウムの厚さTAl(mm)との間に下
記(1)式、(2)式が成立することを特徴とする焼き
付け硬化性および加工性に優れた軽量複合金属板。 【数1】 - 【請求項2】 アルミニウム層はAl以外に重量比で6
%以下のMg、2%以下のMnの少なくとも一方を含有
するアルミニウム合金であることを特徴とする請求項1
記載の複合金属板。 - 【請求項3】 アルミニウム層はさらに0.5%以下の
Si、0.5%以下のCr、0.5%以下のZnの1ま
たは2以上を含有することを特徴とする請求項3記載の
複合金属板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34286192A JPH06182927A (ja) | 1992-12-22 | 1992-12-22 | Bh性および加工性に優れた軽量複合金属板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34286192A JPH06182927A (ja) | 1992-12-22 | 1992-12-22 | Bh性および加工性に優れた軽量複合金属板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06182927A true JPH06182927A (ja) | 1994-07-05 |
Family
ID=18357065
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34286192A Withdrawn JPH06182927A (ja) | 1992-12-22 | 1992-12-22 | Bh性および加工性に優れた軽量複合金属板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06182927A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11766743B2 (en) | 2018-12-17 | 2023-09-26 | Seiko Epson Corporation | Multi-layer steel plate and recording apparatus |
-
1992
- 1992-12-22 JP JP34286192A patent/JPH06182927A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11766743B2 (en) | 2018-12-17 | 2023-09-26 | Seiko Epson Corporation | Multi-layer steel plate and recording apparatus |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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