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JPH06169972A - ポリオレフィン系医療容器用基材 - Google Patents

ポリオレフィン系医療容器用基材

Info

Publication number
JPH06169972A
JPH06169972A JP4329121A JP32912192A JPH06169972A JP H06169972 A JPH06169972 A JP H06169972A JP 4329121 A JP4329121 A JP 4329121A JP 32912192 A JP32912192 A JP 32912192A JP H06169972 A JPH06169972 A JP H06169972A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polypropylene
crystalline
polymer
polyolefin
transparency
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4329121A
Other languages
English (en)
Inventor
Osami Shinonome
修身 東雲
Shoji Ochiai
庄司 落合
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
Priority to JP4329121A priority Critical patent/JPH06169972A/ja
Priority to EP93302417A priority patent/EP0564206A2/en
Publication of JPH06169972A publication Critical patent/JPH06169972A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】医療用高圧蒸気滅菌に十分耐え得る耐熱性を備
え、さらに柔軟性、透明性等に優れたポリオレフィン系
医療容器用基材を提供することを目的とする。 【構成】結晶性ポリプロピレン及び/又は結晶性ポリブ
テン−1、又はこれらを主成分とする結晶性コポリマ
ー、ポリプロピレン系アモルファスポリマー、及びポリ
スチレン系若しくはポリオレフィン系熱可塑性エラスト
マーの重合体組成物からなるポリオレフィン系医療容器
用基材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は血液、医薬液等医療分野
において扱われる液体を保存する容器、搬送するチュー
ブ(連結管)等に適したポリオレフィン系医療容器用基
材に関する。
【従来の技術】採血、輸血、輸液等の医療において用い
られる容器やチューブの素材には安全性・衛生性の他種
々の性能が要求され、なかでも柔軟性、透明性、及び耐
熱性やこれらのバランスは重視される項目である。上記
用途のポリマー素材としては従来から軟質ポリ塩化ビニ
ル、及びエチレン−酢酸ビニルコポリマー、低密度ポリ
エチレンのごときポリエチレン系ポリマーが代表例であ
るが、軟質ポリ塩化ビニルでは可塑剤の溶出、着色、廃
棄処理等において問題を生じることがある。ポリエチレ
ン系の場合は柔軟性・透明性と耐熱性とのバランスに欠
け、低密度品は柔軟性・透明性が比較的よいが必然的に
融点が低くなるので耐熱性が低下し、通常100〜13
0℃で行われる高圧蒸気滅菌に耐えられず、ブロッキン
グ、失透(白化)、アバタ状のムラの発生、変形等が起
こりやすい。耐熱性を上げる方法として化学架橋、放射
線架橋等があるが製造工程の複雑化は免れ得ない。ま
た、ポリプロピレンも医療用容器に広く使われているポ
リマーであり、その良好な耐熱性はポリエチレンに比し
てはるかに有利である。しかしながらポリプロピレンも
透明な成形物を得難いポリマーであり、高剛性である
(柔軟性に乏しい)こともあって用途に制限を受ける。
上記の他ではポリブテン−1も比較的柔軟性があるポリ
オレフィンであり注目されるが、透明性が十分でない欠
点がある。
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
持つ上述のごとき諸問題が解決された医療容器用基材の
提供を課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリプロ
ピレン系あるいはポリブテン−1系ポリマーの柔軟性や
透明性の向上を検討した結果、特定の組成が目的に適う
ことを知り、本発明をなすに至った。すなわち本発明
は、結晶性ポリプロピレン及び/又は結晶性ポリブテン
−1、又はこれらを主成分とする結晶性コポリマー
(A),ポリプロピレン系アモルファスポリマー(B)
及びポリスチレン系若しくはポリオレフィン系熱可塑性
エラストマー(C)の重合体組成物からなるポレオレフ
ィン系医療容器用基材である。本発明における(A)の
うち結晶性ポリプロピレン又はこれを主成分とする結晶
性コポリマー(以下ポリプロピレン系結晶性ポリマーと
称す)は、通常立体規則性重合触媒を用いて得られるア
イソタクチック若しくはシンジオタクチックタイプのポ
リプロピレンを主成分とするポリマーである。これらは
適宜選択されるが、本発明の透明性向上の趣旨又医療容
器のソフト化要求に応えるにはコポリマー、特にランダ
ム性に富むコポリマーが有利である。コモノマーとして
はエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−
1、オクテン−1、デセンー1、ドデセンー1、4−メ
チルペンテン−1等の炭素原子数2〜12のα−オレフ
ィン類がよく、コモノマー量は3〜40モル%程度、よ
り好ましくは5〜30モル%程度が適当である。特に好
ましいポリプロピレン系結晶性ポリマーは,曲げ弾性率
(JISK7203)が6,000kg/cm2以下でビ
カット軟化点(JISK7206)が100℃以上のも
のであり、柔軟性、透明性、及び耐熱性のバランスの点
から好適である。そしてポリプロピレン系結晶性ポリマ
ーは成形性、成形物の力学的性質等から、温度230
℃、荷重5kgにおけるMFR(メルトフローレイト)
が0.3〜40、より好ましくは0.5〜30であるのが
よい。また、(A)のうち結晶性ポリブテン−1又はこ
れを主成分とする結晶性コポリマー(以下ポリブテン−
1系結晶性ポリマーと称す)はいわゆるアイソタクチッ
クポリブテン−1又はこれを主成分とするコポリマーを
意味し、通常公知の方法で製造されている。コポリマー
の場合用いられるコモノマーはエチレン、プロピレン、
ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチ
ルペンテン−1等のα−オレフィン類が好適である。こ
れらはポリブテン−1の柔軟性、透明性等の改良のため
に導入されるが、融点(ホモポリブテン−1の融点は1
25〜130℃)があまり低下すると耐熱性が悪くなる
ので共重合成分の導入量は10モル%程度以下、より好
ましくは5モル%以下に抑えるのがよい。そして成形性
や製品の力学的性質を考慮するとポリブテン−1系結晶
性ポリマーは温度190℃、荷重2,160gにおける
MFRが0.2〜30、より好ましくは0.5〜25のも
のがよい。なお、ポリプロピレン系結晶性ポリマーとポ
リブテン−1系結晶性ポリマーは任意の割合において相
溶性・混和性に優れるので(A)はこれら両方の成分か
ら構成されていても差し支えない。次に、本発明におけ
るポリプロピレン系アモルファスポリマー(B)は非晶
性のアタクチックポリプロピレン又はこれを主成分とす
るコポリマーであり、(A)で述べたポリプロピレン系
結晶性ポリマーの製造工程で副生するほか、ラジカル重
合等で製造され得る。コポリマーの場合は(A)におけ
るものと同様のコモノマーが用いられる。本発明で用い
られるポリプロピレン系アモルファスポリマーの性質と
しては、190℃における溶融粘度が300〜100,
000cps、より好ましくは500〜80,000c
ps、環球法で測定した軟化点が100〜160℃、よ
り好ましくは110〜150℃であることがよい。さら
に本発明における(C)としては、ポリスチレン系エラ
ストマーではポリスチレンとエチレン−プロピレンコポ
リマーとのブロックコポリマー(トリブロックタイプの
SEPSが好ましい)あるいはポリスチレンとエチレン
ブチレンコポリマーとのブロックコポリマー(トリブロ
ックタイプのSEBSが好ましい)、ポリオレフィン系
ではエチレン−プロピレンコポリマー(EP)が代表例
であり、これらは通常公知の方法で製造される。SEP
S、SEBSは通常それぞれポリスチレンとポリイソプ
レンとのブロックコポリマー(SIS)、ポリスチレン
とポリブタジエンとのブロックコポリマー(SBS)を
水素添加処理して製造される。そして良好な成形性、力
学的性質などを考慮すると、ポリスチレン含量が10〜
40重量%を占め、かつ温度230℃、荷重2,160gに
おけるMFRが0.1〜50、より好ましくは0.2〜4
0のものが好適である。一方、EPは必要に応じ第三成
分として5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロ
ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等が共重合された
ものが用いられ、ポリスチレン系エラストマーと同様の
事柄を考慮するとプロピレン含量が20〜40重量%
で、温度230℃、荷重2,160gにおけるMFRが
0.2〜10、さらに好ましくは0.5〜8程度のものを
選ぶのがよい。本発明の医療容器用基材は(A)、
(B)及び(C)の重合体組成物からなることが特徴で
あり、これらの組成割合は柔軟性、透明性、耐熱性、力
学的性質等への要求度、(A)、(B)あるいは(C)
の種類等によって適宜調節される。一般的には(A)、
(B)および(C)の重量割合((A):(B):
(C))は30〜80:10〜60:5〜50、より好
ましくは35〜75:15〜55:10〜45の範囲が
よい。次に本発明において医療容器とは血液、医薬液等
医療において扱われる液体を保存あるいは搬送する容器
(バッグを含む)やチューブを意味するが、かような製
品は通常公知の方法で得られる。容器の場合は、前記重
合体組成物を流動開始温度以上の温度、好ましくは15
0〜240℃、より好ましくは160〜220℃でTダ
イやチューブラーダイを介して押出し(キャスティング
ローラーやシートを水で冷却して結晶化を抑えることが
望ましい)、得られたフラット状のシート、チューブ状
のシート、パリソン等についてサーモフォーミング、ブ
ロー、延伸、裁断、熱シール等の手法を適宜活用して所
定の厚さ(好ましくは30〜500μm、より好ましく
は50〜400μm)や形状に加工すればよい。又、無
延伸状態、延伸状態いずれでもよい。チューブの場合は
押出し成形法が最適である。耐ブロッキング性を向上さ
せる目的で容器やチューブの内面あるいは外面を粗面化
(エンボス加工)することやスリップ剤・アンチブロッ
キング剤を添加することも差し支えなく、本発明の趣旨
を損なわない範囲で他の重合体、可塑剤、無機フィラ
ー、安定剤等を添加してもよい。又、必要に応じて例え
ばガスバリヤー性、ヒートシール性、力学的性質等の向
上のためポリエチレン、エチレン−アクリル酸メチルコ
ポリマー、エチレン−メタクリル酸メチルコポリマー、
エチレン−ビニルアルコールコポリマー、ポリブレン−
1(結晶性)、ポリプロピレン(結晶性)、ポリアクリ
ロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン6、ナイロ
ン12、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウ
レタン等と本発明における重合体組成物との積層体(多
層体)を形成させたものであってもよい事は言うまでも
ない。なお、本発明における重合体組成物は成形以前の
任意の工程で製造され、通常は2軸混練押出機や静的混
合機を用いて溶融混合することによって得られる。マス
ターバッチ法も採用され得る。本発明の基材は血液成分
保存容器としてまた生理食塩水、電解質液、デキストラ
ン製剤、マンニトール製剤、糖類製剤、アミノ酸製剤等
の容器として有用である。
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに具体的に
説明する。ここで使用したシート(フィルム)はすべて
無延伸物である。 (1)実験方法 組成物の調整:表1に示す(A)、(B)及び(C)
を原料とし、45mmφの2軸混練溶融押出機を用い、
170〜190℃で溶融混合して、表2に示す各種組成
のペレットを得た。 シートの調整:のペレットを65mmφのエクスト
ルーダー型溶融押出機に供給し、温度190℃でリップ
長400mm、リップ巾0.8mmのTダイから押出
し、15℃に保たれたキャスティングローラーで冷却
後、トリミングして厚さ約350μm、巾300mmの
シートを6m/分の速度で巻き取った。 シートの透明性の測定:で得られたシートについ
て、波長450nmにおける水中透過率を島津ダブルビ
ーム型自記分光光度計UV−300にて測定した。
シートの柔軟性の測定:で得られたシートをダンベル
状に裁断し、JISK7113に準じて引張弾性率を測
定し、柔軟性の尺度とした。 高圧蒸気滅菌テスト:で得られたシートを150m
m×250mmの大きさに裁断し、これを2枚重ねて熱
シールしてバッグを作製し、生理食塩水800mlを入
れて密封した。この薬液入り容器をレトルト型高圧蒸気
滅菌器に入れ、温度115℃、ゲージ圧1.8kg/c
2、時間30分の条件で処理した。室温まで冷却し、
48時間放置後のバッグの透明性、形状等の外観を検査
した。 重金属及び溶出物試験:日本薬局方一般試験法「輸液
用プラスチック容器試験法」に準じ、で得られたシー
トについて試験を行った。
【表1】
【表2】 (2)実験結果(表2参照) シートの押出し成形は順調で、いずれの組成において
も異物、発泡などは観察されず、均一性に富むシートが
得られた。 いずれの組成においても重金属及び溶出物は日本薬局
方に適合することが確認された。 高圧蒸気滅菌処理後の容器の外観は、いずれの組成に
おいても滅菌処理前とほとんど変わらなかった。 表2に組成とシートの光線透過率、引張弾性率との関
係を示すように、(A)、(B)及び(C)の重合体組
成物からなるシートが良好な透明性と柔軟性を有するこ
とがわかる。
【発明の効果】以上記述したごとく本発明の医療容器用
基材は、結晶性ポリプロピレンあるいは結晶性ポリブテ
ン−1がアモルファスポリプロピレンおよびポリスチレ
ン系若しくはポリオレフィン系エラストマーとのブレン
ドによって良好な透明性、柔軟性、耐熱性のある組成物
を与える効果を巧みに利用したものであり、成形性も良
好であり、その工業的価値は高いものがある。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年12月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ポリオレフィン系医療容器用基材
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は血液、医薬液等医療分野
において扱われる液体を保存する容器、搬送するチュー
ブ(連結管)等に適したポリオレフィン系医療容器用基
材に関する。
【0002】
【従来の技術】採血、輸血、輸液等の医療において用い
られる容器やチューブの素材には安全性・衛生性の他種
々の性能が要求され、なかでも柔軟性、透明性、及び耐
熱性やこれらのバランスは重視される項目である。上記
用途のポリマー素材としては従来から軟質ポリ塩化ビニ
ル、及びエチレン−酢酸ビニルコポリマー、低密度ポリ
エチレンのごときポリエチレン系ポリマーが代表例であ
るが、軟質ポリ塩化ビニルでは可塑剤の溶出、着色、廃
棄処理等において問題を生じることがある。ポリエチレ
ン系の場合は柔軟性・透明性と耐熱性とのバランスに欠
け、低密度品は柔軟性・透明性が比較的よいが必然的に
融点が低くなるので耐熱性が低下し、通常100〜13
0℃で行われる高圧蒸気滅菌に耐えられず、ブロッキン
グ、失透(白化)、アバタ状のムラの発生、変形等が起
こりやすい。耐熱性を上げる方法として化学架橋、放射
線架橋等があるが製造工程の複雑化は免れ得ない。ま
た、ポリプロピレンも医療用容器に広く使われているポ
リマーであり、その良好な耐熱性はポリエチレンに比し
てはるかに有利である。しかしながらポリプロピレンも
透明な成形物を得難いポリマーであり、高剛性である
(柔軟性に乏しい)こともあって用途に制限を受ける。
【0003】上記の他ではポリブテン−1も比較的柔軟
性があるポリオレフィンであり注目されるが、透明性が
十分でない欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
持つ上述のごとき諸問題が解決された医療容器用基材の
提供を課題としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリプロ
ピレン系あるいはポリブテン−1系ポリマーの柔軟性や
透明性の向上を検討した結果、特定の組成が目的に適う
ことを知り、本発明をなすに至った。すなわち本発明
は、結晶性ポリプロピレン及び/又は結晶性ポリブテン
−1、又はこれらを主成分とする結晶性コポリマー
(A),ポリプロピレン系アモルファスポリマー(B)
及びポリスチレン系若しくはポリオレフィン系熱可塑性
エラストマー(C)の重合体組成物からなるポレオレフ
ィン系医療容器用基材である。
【0006】本発明における(A)のうち結晶性ポリプ
ロピレン又はこれを主成分とする結晶性コポリマー(以
下ポリプロピレン系結晶性ポリマーと称す)は、通常立
体規則性重合触媒を用いて得られるアイソタクチック若
しくはシンジオタクチックタイプのポリプロピレンを主
成分とするポリマーである。これらは適宜選択される
が、本発明の透明性向上の趣旨又医療容器のソフト化要
求に応えるにはコポリマー、特にランダム性に富むコポ
リマーが有利である。
【0007】コモノマーとしてはエチレン、ブテン−
1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセ
ンー1、ドデセンー1、4−メチルペンテン−1等の炭
素原子数2〜12のα−オレフィン類がよく、コモノマ
ー量は3〜40モル%程度、より好ましくは5〜30モ
ル%程度が適当である。
【0008】特に好ましいポリプロピレン系結晶性ポリ
マーは,曲げ弾性率(JISK7203)が6,000
kg/cm2以下でビカット軟化点(JISK720
6)が100℃以上のものであり、柔軟性、透明性、及
び耐熱性のバランスの点から好適である。そしてポリプ
ロピレン系結晶性ポリマーは成形性、成形物の力学的性
質等から、温度230℃、荷重5kgにおけるMFR
(メルトフローレイト)が0.3〜40、より好ましく
は0.5〜30であるのがよい。
【0009】また、(A)のうち結晶性ポリブテン−1
又はこれを主成分とする結晶性コポリマー(以下ポリブ
テン−1系結晶性ポリマーと称す)はいわゆるアイソタ
クチックポリブテン−1又はこれを主成分とするコポリ
マーを意味し、通常公知の方法で製造されている。コポ
リマーの場合用いられるコモノマーはエチレン、プロピ
レン、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4
−メチルペンテン−1等のα−オレフィン類が好適であ
る。これらはポリブテン−1の柔軟性、透明性等の改良
のために導入されるが、融点(ホモポリブテン−1の融
点は125〜130℃)があまり低下すると耐熱性が悪
くなるので共重合成分の導入量は10モル%程度以下、
より好ましくは5モル%以下に抑えるのがよい。そして
成形性や製品の力学的性質を考慮するとポリブテン−1
系結晶性ポリマーは温度190℃、荷重2,160gに
おけるMFRが0.2〜30、より好ましくは0.5〜2
5のものがよい。
【0010】なお、ポリプロピレン系結晶性ポリマーと
ポリブテン−1系結晶性ポリマーは任意の割合において
相溶性・混和性に優れるので(A)はこれら両方の成分
から構成されていても差し支えない。
【0011】次に、本発明におけるポリプロピレン系ア
モルファスポリマー(B)は非晶性のアタクチックポリ
プロピレン又はこれを主成分とするコポリマーであり、
(A)で述べたポリプロピレン系結晶性ポリマーの製造
工程で副生するほか、ラジカル重合等で製造され得る。
コポリマーの場合は(A)におけるものと同様のコモノ
マーが用いられる。
【0012】本発明で用いられるポリプロピレン系アモ
ルファスポリマーの性質としては、190℃における溶
融粘度が300〜100,000cps、より好ましく
は500〜80,000cps、環球法で測定した軟化
点が100〜160℃、より好ましくは110〜150
℃であることがよい。
【0013】さらに本発明における(C)としては、ポ
リスチレン系エラストマーではポリスチレンとエチレン
−プロピレンコポリマーとのブロックコポリマー(トリ
ブロックタイプのSEPSが好ましい)あるいはポリス
チレンとエチレンブチレンコポリマーとのブロックコポ
リマー(トリブロックタイプのSEBSが好ましい)、
ポリオレフィン系ではエチレン−プロピレンコポリマー
(EP)が代表例であり、これらは通常公知の方法で製
造される。
【0014】SEPS、SEBSは通常それぞれポリス
チレンとポリイソプレンとのブロックコポリマー(SI
S)、ポリスチレンとポリブタジエンとのブロックコポ
リマー(SBS)を水素添加処理して製造される。そし
て良好な成形性、力学的性質などを考慮すると、ポリス
チレン含量が10〜40重量%を占め、かつ温度230
℃、荷重2,160gにおけるMFRが0.1〜50、より好
ましくは0.2〜40のものが好適である。
【0015】一方、EPは必要に応じ第三成分として5
−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエ
ン、1,4−ヘキサジエン等が共重合されたものが用い
られ、ポリスチレン系エラストマーと同様の事柄を考慮
するとプロピレン含量が20〜40重量%で、温度23
0℃、荷重2,160gにおけるMFRが0.2〜10、
さらに好ましくは0.5〜8程度のものを選ぶのがよ
い。
【0016】本発明の医療容器用基材は(A)、(B)
及び(C)の重合体組成物からなることが特徴であり、
これらの組成割合は柔軟性、透明性、耐熱性、力学的性
質等への要求度、(A)、(B)あるいは(C)の種類
等によって適宜調節される。一般的には(A)、(B)
および(C)の重量割合((A):(B):(C))は
30〜80:10〜60:5〜50、より好ましくは3
5〜75:15〜55:10〜45の範囲がよい。
【0017】次に本発明において医療容器とは血液、医
薬液等医療において扱われる液体を保存あるいは搬送す
る容器(バッグを含む)やチューブを意味するが、かよ
うな製品は通常公知の方法で得られる。容器の場合は、
前記重合体組成物を流動開始温度以上の温度、好ましく
は150〜240℃、より好ましくは160〜220℃
でTダイやチューブラーダイを介して押出し(キャステ
ィングローラーやシートを水で冷却して結晶化を抑える
ことが望ましい)、得られたフラット状のシート、チュ
ーブ状のシート、パリソン等についてサーモフォーミン
グ、ブロー、延伸、裁断、熱シール等の手法を適宜活用
して所定の厚さ(好ましくは30〜500μm、より好
ましくは50〜400μm)や形状に加工すればよい。
又、無延伸状態、延伸状態いずれでもよい。チューブの
場合は押出し成形法が最適である。耐ブロッキング性を
向上させる目的で容器やチューブの内面あるいは外面を
粗面化(エンボス加工)することやスリップ剤・アンチ
ブロッキング剤を添加することも差し支えなく、本発明
の趣旨を損なわない範囲で他の重合体、可塑剤、無機フ
ィラー、安定剤等を添加してもよい。
【0018】又、必要に応じて例えばガスバリヤー性、
ヒートシール性、力学的性質等の向上のためポリエチレ
ン、エチレン−アクリル酸メチルコポリマー、エチレン
−メタクリル酸メチルコポリマー、エチレン−ビニルア
ルコールコポリマー、ポリブレン−1(結晶性)、ポリ
プロピレン(結晶性)、ポリアクリロニトリル、ポリ塩
化ビニリデン、ナイロン6、ナイロン12、ポリメタキ
シリレンアジパミド、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリウレタン等と本発明に
おける重合体組成物との積層体(多層体)を形成させた
ものであってもよい事は言うまでもない。
【0019】なお、本発明における重合体組成物は成形
以前の任意の工程で製造され、通常は2軸混練押出機や
静的混合機を用いて溶融混合することによって得られ
る。マスターバッチ法も採用され得る。
【0020】本発明の基材は血液成分保存容器としてま
た生理食塩水、電解質液、デキストラン製剤、マンニト
ール製剤、糖類製剤、アミノ酸製剤等の容器として有用
である。
【0021】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに具体的に
説明する。ここで使用したシート(フィルム)はすべて
無延伸物である。
【0022】(1)実験方法 組成物の調整:表1に示す(A)、(B)及び(C)
を原料とし、45mmφの2軸混練溶融押出機を用い、
170〜190℃で溶融混合して、表2に示す各種組成
のペレットを得た。
【0023】シートの調整:のペレットを65mm
φのエクストルーダー型溶融押出機に供給し、温度19
0℃でリップ長400mm、リップ巾0.8mmのTダ
イから押出し、15℃に保たれたキャスティングローラ
ーで冷却後、トリミングして厚さ約350μm、巾30
0mmのシートを6m/分の速度で巻き取った。
【0024】シートの透明性の測定:で得られたシ
ートについて、波長450nmにおける水中透過率を島
津ダブルビーム型自記分光光度計UV−300にて測定
した。 シートの柔軟性の測定:で得られたシート
をダンベル状に裁断し、JISK7113に準じて引張
弾性率を測定し、柔軟性の尺度とした。
【0025】高圧蒸気滅菌テスト:で得られたシー
トを150mm×250mmの大きさに裁断し、これを
2枚重ねて熱シールしてバッグを作製し、生理食塩水8
00mlを入れて密封した。この薬液入り容器をレトル
ト型高圧蒸気滅菌器に入れ、温度115℃、ゲージ圧
1.8kg/cm2、時間30分の条件で処理した。室温
まで冷却し、48時間放置後のバッグの透明性、形状等
の外観を検査した。
【0026】重金属及び溶出物試験:日本薬局方一般
試験法「輸液用プラスチック容器試験法」に準じ、で
得られたシートについて試験を行った。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】(2)実験結果(表2参照) シートの押出し成形は順調で、いずれの組成において
も異物、発泡などは観察されず、均一性に富むシートが
得られた。
【0030】いずれの組成においても重金属及び溶出
物は日本薬局方に適合することが確認された。
【0031】高圧蒸気滅菌処理後の容器の外観は、い
ずれの組成においても滅菌処理前とほとんど変わらなか
った。
【0032】表2に組成とシートの光線透過率、引張
弾性率との関係を示すように、(A)、(B)及び
(C)の重合体組成物からなるシートが良好な透明性と
柔軟性を有することがわかる。
【0033】
【発明の効果】以上記述したごとく本発明の医療容器用
基材は、結晶性ポリプロピレンあるいは結晶性ポリブテ
ン−1がアモルファスポリプロピレンおよびポリスチレ
ン系若しくはポリオレフィン系エラストマーとのブレン
ドによって良好な透明性、柔軟性、耐熱性のある組成物
を与える効果を巧みに利用したものであり、成形性も良
好であり、その工業的価値は高いものがある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61J 1/00 370

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性ポリプロピレン及び/又は結晶性ポ
    リブテン−1、又はこれらを主成分とする結晶性コポリ
    マー(A)、ポリプロピレン系アモルファスポリマー
    (B)、及びポリスチレン系若しくはポリオレフィン系
    熱可塑性エラストマー(C)の重合体組成物からなるポ
    リオレフィン系医療容器用基材。
JP4329121A 1992-03-30 1992-12-09 ポリオレフィン系医療容器用基材 Pending JPH06169972A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08131515A (ja) * 1994-11-07 1996-05-28 Terumo Corp 医療用複室容器
JP2001030425A (ja) * 1999-07-19 2001-02-06 Gunze Kobunshi Corp 樹脂積層体
JP2005138506A (ja) * 2003-11-07 2005-06-02 Sumitomo Rubber Ind Ltd インクジェットプリンター用のインクチューブおよびその製造方法

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