JPH0543403U - 車両用灯具の光軸調整装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 球継手によって傾動操作力を伝動する方式の
前照灯の光軸調整装置を改良して、球継手の球状部材が
球面座から離脱するおそれが無いようにする。 【構成】 駆動杆９ａの先端付近に固着された球状部材
９ａ₁よりも、該駆動杆の先端を延長した形に図の左方
に突出させて、その最先端に頭部９ａ₂を固着する。上
記駆動杆の突出部にプッシュナット１２を嵌め合わせ
る。上記プッシュナット１２は予め、リフレクタ７に取
り付けられた球面座部材１１内に収納しておき、これに
駆動杆９ａの頭部９ａ₂を突き通して組み立てる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば自動車用前照灯の如く、車両に装備される照明用灯具の光軸 方向を調整する装置に関するものである。更に詳しくは、光軸を略水平に設置さ れている車両用灯具の、該光軸を上下に傾動せしめるように調整する装置に関す るものである。

【０００２】

【従来の技術】

自動車用の前照灯は、上向き過ぎであると対向車に眩惑を与えるので危険であ る。そうかと言って下向き過ぎであると走行方向前方の路上が旨く照明されない ので運転し難い。そこで自動車用前照灯は、これを車体に装着した状態で、その 光軸を若干上向き・下向きに調節する装置を設ける必要が有る。 前照灯は一般にランプハウジング内に凹面反射鏡を設けるとともに、該凹面反 射鏡の焦点付近に光源バルブを位置せしめた構造であり、前照灯の光軸とは前記 凹面反射鏡の対称軸の意である。従って、光軸を調整するには、 （イ）ランプハウジングと凹面反射鏡との関係位置を一定に保った侭で、該ラン プハウジングを上下に傾動させるか、 （ロ）ランプハウジングを車体に取り付けた侭で動かさず、凹面反射鏡を上下に 傾動させるか、 二つの方法が有る。 図６はランプハウジングを傾動させる方式の光軸調整装置の従来例を示す。 図７は凹面反射鏡を上下に傾動せしめる方式の光軸調整装置の従来例を示す。 （図６参照）１はランプハウジングで、その内面１ａは凹面反射鏡になってい る。Ｚ−Ｚは光軸、Ｆは焦点である。該焦点Ｆの近傍に光源バルブ２が設けられ る。３は前面レンズである。

【０００３】 前記ランプハウジング１を球継手４によって傾動自在に支承するとともに、該 ランプハウジング１にナット部材５を取り付け、これに螺合した雄ネジ部材６に よって上記ナット部材を光軸Ｚ−Ｚと略平行にネジ送り出来るように構成される 。これにより、上記雄ネジ部材６を回すと光軸Ｚ−Ｚが、前上がり（図において 左上がり），前下がり（左下がり）に往復傾動せしめられる。 （図７参照）ランプハウジング１′は車体に固定される。 上記ランプハウジング１′に対して、球継手４′を介して凹面反射鏡７が傾動 自在に支承されている。上記凹面反射鏡７に球継手８を介して、駆動ユニットの 駆動杆９ａが取り付けられている。 上記駆動ユニット９がリモートコントロールされて駆動杆９ａが図の左右方向 に前後進すると、凹面反射鏡７は球継手４′の回りに傾動せしめられ、光軸が調 整される。

【０００４】 図７（Ａ）に示したｂ部の拡大図を同図（Ｂ）に示す。駆動杆９ａの先端部に 球状部材９ａ₁が固着されていて、球面座１０ａを形成した部材１０が上記の球 状部材９ａ₁に嵌合して球継手８を構成している。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

図７に示した従来例の場合、球面座１０ａを有する部材１０は、その球面座に 球状部材９ａ₁を挟み込んだ形で凹面反射鏡７の孔に圧入されている。このため 駆動杆９ａが図の右方に動くとき、該球状部材９ａ₁と球面座を有する部材１０ とが抜け出して外れてしまうおそれが有る。こうした問題点は、ランプハウジン グを傾動させる方式の光軸調整装置（ユニット可動形）においても、凹面反射鏡 を傾動させる方式の光軸調整装置（リフレクタ可動形）においても生じる。また 電動式の駆動ユニットを用いて光軸方向を調整する方式の装置においても、手動 操作によって光軸方向を調整する方式の装置においても発生し得る。 本考案は上述の事情に鑑みて為されたものであって、ユニット可動形であると リフレクタ可動形であるとを問わず、また電動操作式であるか手動操作式である かに拘らず、傾動操作力を受ける球面座を有する部材と、傾動操作力を与える駆 動杆に固着された球状部材とを嵌合せしめてなる球継手を有する光軸調整装置を 適用の対象とし、上記の球面座を有する部材と駆動杆に固着された球状部材との 嵌合が離脱するおそれの無いように改良した車両用灯具の光軸調整装置を提供す ることを目的とする。単に離脱するおそれの無い球継手を構成するだけであって 装置の大形・大重量化，コスト上昇および組立所要工数の増加を認容するのであ れば、従来技術によって離脱しない球継手を構成することは可能であるが、本考 案は車両用灯具の光軸調整装置に普遍的に適用可能で、構造が簡単で、小形・軽 量に構成することができ、組立所要工数が少なく、しかも離脱するおそれの無い 球継手を備えた車両用灯具の光軸調整装置を提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために創作した本考案の基本的原理を略述すると、 球状部材を固着した駆動杆と、球面座を有する部材との抜け止め手段として 、プッシュナットを利用する。プッシュナットはメネジを有せず、バネ鋼板をプ レス加工して構成されたもので、中心孔に向けて切り起こされた複数の板バネ状 舌片を有していて、該中心孔に挿通された軸の表面に上記舌片の先端が食い込ん で抜け止めの作用をし、相手の軸がオネジであればナットに類似した作用もする 公知の部材である。上記のプッシュナットを予め球面座を有する部材の中に収納 しておけば、杆状の部材をワンタッチで挿通することができる。上記の杆状部材 に抜け止め用の段付部を設けておけば、抜け止め機能はいっそう確実となる。 上述の原理に基づく具体的構成として本考案は、ランプハウジング内に凹面反 射鏡を設けると共に、該反射鏡の焦点付近に光源バルブを位置せしめた車両用灯 具におけるランプハウジング及び反射鏡の少なくとも何れか一方を車両の固定部 材に対して傾動自在に支承すると共に、該何れか一方に球面座を有する部材を取 りつけ、かつ、駆動杆に固定した球状部材を上記球面座に嵌合した構造の光軸調 整装置において、 前記球状部材は前記駆動杆の先端近傍に、該先端から離間せしめて固定され、 上記駆動杆の、球状部材よりも先端の部分にプッシュナットが嵌め合わされ、 上記駆動杆の先端に、上記プッシュナットの抜け止め用の段付部が設けられ、 かつ、上記プッシュナットは、前記球面座を有する部材の中に収納されている ことを特徴とする。

【０００７】

【作用】

上記の構成によれば、駆動杆の最先端から若干後退した位置に球状部材が固着 されているので、該駆動杆の最先端付近は上記球状部材よりも若干突出している 。この突出部がプッシュナットに挿通されると、該プッシュナットが容易には抜 けなくなる。そして、このプッシュナットは球面座を有する部材の中に収納され ているので、上記球面座を有する部材と駆動杆とは離脱するおそれが無い。

【０００８】

【実施例】

図２は本考案に係る車両用灯具の光軸調整装置の１実施例を示す断面図である 。１′はランプハウジングであり、その中にリフレクタ７が傾動可能に支承され ている。該リフレクタ７の前面（図において左側面）は凹面反射鏡７ａになって おり、背面（図において左側面）にブラケット７ｂが一体成形されている。この ブラケット７ｂに対して、球面座１１ａを形成された合成樹脂製の球面座部材１ １が取り付けられている。上記球面座部材１１の取付構造については図１を参照 して後述する。９は駆動ユニット，９ａは駆動杆である。本例の駆動杆９ａは、 その先端（図において左端）に半球面状部を有する頭部９ａ₂が一体成形されて おり、この頭部から若干離間して球状部材９ａ₁が一体成形されている。 上記の球状部材９ａ₁は前記球面座１１ａと回動自在に嵌合して球継手を構成 している。前記の駆動杆９ａの先端部付近は球状部材９ａ₁よりも前方（図にお いて左方）に突出して、球状部材９ａ₁と頭部９ａ₂とを接続する突出杆状部９ａ ₄ となっている。一方、前記球面状部材１１内には予めプッシュナット１２が収 納されており、前記の頭部９ａ₂および突出杆状部９ａ₄を突き通されて、駆動杆 ９ａが図の左側に抜け出さないよう、抜け止め機能を果たしている。

【０００９】 上記の図２は、駆動杆９ａの軸心を通る垂直面による断面図である。該駆動杆 ９ａの軸心を通る水平面による断面を模式的に描いて図１に示す。本図１は構成 の理解に便なるごとく模式化してあるので、ハッチングの付し方や部材の縦横寸 法比など、厳密にはＪＩＳの製図法に従っていない。 球面座部材１１の外側面には１対の取付用溝１１ｂが設けられている。これに 対応して、リフレクタのブラケット７ｂの内側には１対の突条７ｃが一体成形さ れていて、前記の溝１１ｂに嵌合し、球面座部材１１を固定的に保持している。 上記球面座部材１１の３面図を図３に示す。前記の取付用の溝１１ｂは（Ａ）図 では隠れ線で表わされ、（Ｂ）図では実線で表わされ、（Ｃ）図では輪郭に現わ れている。上記図３のＡ−Ａ断面を図４（Ａ）に、Ｂ−Ｂ断面を図４（Ｂ）に、 それぞれ示す。前記の溝１１ｂは本図４（Ｂ）の輪郭に現われている。 図３および図４に示した１１ｃは前述（図２）のプッシュナットを収納するた めに空隙である。本実施例においては、別体に構成されたプッシュナットを球面 座部材１１の空隙１１ｃ内へ容易に挿入できるよう、該空隙１１ｃをトンネル状 に構成してある。すなわち、図４（Ｂ）は該トンネル状の空隙１１ｃを縦断した 形の断面図であってプッシュナットは矢印ｉ方向に挿入される。また図４（Ａ） は該トンネル状の空隙１１ｃを横断した形の断面図であってプッシュナットは紙 面と交わる方向に挿入されることになる。 上記の球面座部材１１にプッシュナット１２を挿入して収納した状態の正面図 を図５（Ａ）に示すとともに、そのＢ−Ｂ断面図を同図（Ｂ）に示し、Ｃ−Ｃ断 面図を同図（Ｃ）に示す。次に、上記図５（Ｂ），（Ｃ）両図と図１とを参照し つつ前記プッシュナット１２の組付方法について説明する。図５（Ｂ），（Ｃ） に示したように、球面座部材１１の空隙１１ｃの中へプッシュナット１２を挿入 し、駆動杆９ａの頭部を矢印ｊのごとく上記プッシュナット１２に突き通し、図 １に示したように球状部材９ａ₁を球面座１１ａに嵌合する。図５（Ｃ）に示し た切欠１１ｄは前記球状部材９ａ₁を嵌入するため球面座部材１１を撓み易くす るように設けたものである。 図２において駆動杆９ａを図の左右方向に前，後進させると、ブラケット７ｂ はリフレクタ７と一緒に傾動する。このため球面座部材１１は駆動杆９ａに対し て相対的に、球状部材９ａ₁を中心として往復円弧矢印Ｌ−Ｒのごとく回動する 。ただし、この往復円弧矢印Ｌ−Ｒは回動の方向を表わしたものであって回動角 を示しているものではない。上記の回動を円滑ならしめるよう、球面座部材１１ がプッシュナット１２の周囲に接している面を球面１１ｅに成形してある。本図 １は断面を描いてあるので上記の球面は円弧として表わされている。図３（Ｂ） には上記の球面１１ｅの一部が現われている。 図１のように組みつけられた状態でプッシュナット１２は駆動杆９ａの突出杆 状部９ａ₄を挟みつけており、反矢印ｊ方向に抜け出すことを防止しているが、 もし何らかの事情でプッシュナット１２が突出杆状部９ａ₄に対して滑っても、 頭部９ａ₂の段付部９ａ₃に引っ懸かるので抜け止め防止効果は確実である。駆動 杆９ａが球面座部材１１に対して抜け出し方向に移動しないので、球状部材９ａ ₁ が球面座１１ａから離脱するおそれが無い。また、上記球面座部材１１は、そ の溝１１ｂが突条７ｃと嵌合しているのでリフレクタのブラケット７ｂから脱出 するおそれが無い。

【００１０】 上述の実施例は、車体に対して固定されたランプハウジング１′に対してリフ レクタ７が形動せしめられる方式（リフレクタ可動形）の光軸調整装置に本考案 を適用した例であるが、上記と異なる実施例として（図示を省略するが）自動車 車体に対してランプハウジングを傾動させるユニット可動形の光軸調整装置にも 適用して同様の作用，効果が得られる。また、前記実施例は駆動ユニット９を用 いた電動操作式の光軸調整装置に本考案を適用した例であるが、手動操作式であ っても球継手を介して傾動操作力を伝動する光軸調整装置に対して本考案を適用 することができ、前記実施例におけると同様の作用，効果が得られる。

【００１１】

【考案の効果】

以上説明したように本考案はユニット可動形であるとリフレクタ可動形である とを問わず、また電動操作式であるか手動操作式であるかに拘らず、傾動操作力 を受ける球面座を有する部材と、傾動操作力を与える駆動杆に固着された球状部 材とを嵌合せしめてなる球継手を有する光軸調整装置を適用の対象とし、上記の 球面座を有する部材と駆動杆に固着された球状部材との嵌合が離脱するおそれが 無く、しかも前記球継手をワンタッチで組み立てることができるという優れた実 用的効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る車両用灯具の光軸調整装置の１実
施例を示し、要部を拡大して描いた模式的な断面図であ
る。

【図２】本考案に係る車両用灯具の光軸調整装置の１実
施例を示し、要部を描いた断面図である。

【図３】上記実施例における球面座部材の３面図であ
る。

【図４】上記実施例における球面座部材の断面図であ
る。

【図５】上記実施例におけるプッシュナットを組みこん
だ状態の球面座部材を示す説明図である。

【図６】ユニット可動形光軸調整装置の従来例を示す断
面図である。

【図７】リフレクタ可動形光軸調整装置の従来例を示す
断面図である。

【符号の説明】

１…ランプハウジング、１ａ…凹面反射鏡、１′…ラン
プハウジング、２…光源バルブ、３…前面レンズ、４，
４′…球継手、５…ナット部材、６…雄ネジ部材、７…
リフレクタ、７ａ…凹面反射鏡、７ｂ…ブラケット、７
ｃ…突条、８…球継手、９…駆動ユニット、９ａ…駆動
杆、９ａ₁…球状部材、９ａ₂…頭部、９ａ₃…段付部、
９ａ₄…突出杆状部、１０…球面座を有する部材、１１
…球面座部材、１１ａ…球面座、１１ｂ…溝、１１ｃ…
空隙、１２…プッシュナット。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ランプハウジング内に凹面反射鏡を設け
   ると共に、該反射鏡の焦点付近に光源バルブを位置せし
   めた車両用灯具におけるランプハウジング及び反射鏡の
   少なくとも何れか一方を車両の固定部材に対して傾動自
   在に支承すると共に、該何れか一方に球面座を有する部
   材を取りつけ、かつ、駆動杆に固定した球状部材を上記
   球面座に嵌合した構造の光軸調整装置において、 前記球状部材は前記駆動杆の先端近傍に、該先端から離
   間せしめて固定され、 上記駆動杆の、球状部材よりも先端の部分にプッシュナ
   ットが嵌め合わされ、 上記駆動杆の先端に、上記プッシュナットの抜け止め用
   の段付部が設けられ、 かつ、上記プッシュナットは、前記球面座を有する部材
   の中に収納されていることを特徴とする、車両用灯具の
   光軸調整装置。