JPH0442168B2 - - Google Patents
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- JPH0442168B2 JPH0442168B2 JP63113385A JP11338588A JPH0442168B2 JP H0442168 B2 JPH0442168 B2 JP H0442168B2 JP 63113385 A JP63113385 A JP 63113385A JP 11338588 A JP11338588 A JP 11338588A JP H0442168 B2 JPH0442168 B2 JP H0442168B2
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Description
[産業上の利用分野]
本発明は樹脂シートを繊維によつて補強した繊
維補強シート状プリプレグの製造方法及びその装
置に関する。 本発明の繊維補強シート状プリプレグは例えば
積層材料等の工業用素材として利用されるもので
ある。 [従来の技術] 繊維に熱可塑性樹脂を含浸させて繊維補強組成
物を製造する方法としては、特開昭61−229534
号、特開昭61−229535号、特開昭61−229536号公
報に記載されているように、繊維シート(経糸の
みのもの、経糸と緯糸からなる織布など)を、熱
可塑性樹脂が塗膜として表面に塗布されている塗
布ロールに案内して、該塗布ロール面に塗布され
ている熱可塑性樹脂を繊維シートに転移させ、次
いで、この繊維シートの表面及び裏面を加熱ロー
ルに接触させて、樹脂の含浸度を高める方法が知
られている。 [発明が解決しようとする課題] 上記した従来の方法による装置では、塗布ロー
ルに接触する繊維シートの裏面にはベルト等の空
気遮蔽部材が存在せず解放状態にある。 又、塗布ロール及びそれに隣接する各加熱ロー
ルが間を置いて水平方向に並設されているため、
塗布ロールには押出直後の樹脂が連続して供給さ
れ、且つ連続的に繊維シートに塗布されることに
よつて隣接する加熱ロールへ移行する。このため
当該塗布ロール表面の樹脂の劣化は連続的に移行
しているように見えるので見掛け上少ないが、塗
布ロールに隣接する加熱ロール表面への押出直後
の樹脂の移行は繊維シートによつてのみ行われる
ためその量は極めて少ない。上記理由から当該加
熱ロール表面に転写された樹脂は隣接する加熱ロ
ールに殆ど移行することなくそのまま滞留するこ
とになる。従つて、これら加熱ロール表面に転写
された樹脂は押出直後の樹脂と置換されることな
く当該加熱ロールに高温且つ空気に接触した状態
で滞留することとなる。当該加熱ロールに転写さ
れた樹脂を完全に除去することは極めて困難なた
め、上記滞留した樹脂は運転時間と共に樹脂の熱
劣化、酸化劣化による架橋やゲル化が進行して遂
には運転が不可能となるという問題がある。 また得られたシート中の樹脂は前記した様に熱
劣化、酸化劣化している為に十分な強度物性を保
持しておらずシートの性能劣化をも引き起す等の
問題がある。 そこで本発明は、安定した連続運転が可能であ
り、且つ樹脂劣化の少ない高性能な繊維補強シー
ト状プリプレグの製造方法及びその装置を提供す
ることを目的とする。 [課題を解決するための手段] 本発明の上記目的は、請求項1〜17に記載の
発明によつて達成される。即ち、本発明の主な特
徴は繊維シートを、熱可塑性樹脂の軟化点以上に
加熱され且つ該熱可塑性樹脂塗膜を有し、且つ加
熱ロールに面圧接された一対のベルト間に通過さ
せることにある。 [作用] 一対のベルトは連続しており、含浸された繊維
シートが、該含浸部出口においてベルトと離脱す
る時に若干の樹脂が該ベルト表面に転写され、例
え冷却固化されたとしても、該ベルトが含浸部入
口へ再び戻つた時には、固化した転写樹脂は再加
熱されて溶融され、且つ大量の押出直後の樹脂と
融合する為、樹脂がベルト間で滞留することがな
い。このため、従来のロール塗布の場合に問題と
なつていた運転時間と共に樹脂の熱劣化、酸化劣
化、ゲル化を引き起すことがなく、結局長時間の
連続運転が可能となる。 また前記したように熱劣化・酸化劣化等を引き
起こさないため、高性能なシートが得られる。 [発明の構成] 本発明の適用において、樹脂を含浸させる対象
となる繊維シートには、経糸のみでシート状に並
べられたものや、経糸と緯糸で織られた織布等を
含む。 本発明において、繊維シートを構成する複数の
連続繊維とは、繊維を構成するフイラメントの集
合体であるロービング、ヤーン、トウという名称
で知られているものを複数本用いるもので、フイ
ラメントが充分長くて、使用する条件下で溶融熱
可塑性樹脂塗膜に接して引張るのに充分な強さを
有するものである。好ましい材料としては、ガラ
ス繊維、炭素繊維、高弾性の合成樹脂繊維が挙げ
られるが、無機繊維の炭化ケイ素繊維やアルミナ
繊維、チタン繊維、ボロン繊維、ステンレス等の
金属繊維を用いることもできる。 合成樹脂繊維は、含浸させる熱可塑性樹脂との
接着性を有するように表面処理されていることが
好ましく、更に使用する熱可塑性樹脂の溶融温度
で強度等の性能が変化しないことが必要である。
合成樹脂繊維としては、例えばアラミド繊維(登
録商標「ケブラー」等)が挙げられる。 前記ガラス繊維や炭素繊維は、使用する熱可塑
性樹脂に合せて樹脂との接着性を向上させるため
に繊維表面にシラン系やチタン系のカプリング剤
等の表面処理剤を塗布することが好ましい。ま
た、含浸時に生涯とならない範囲内でロービング
やトウが取扱い時にほぐれないように集束剤を用
いることができる。 上記の連続繊維は、複数本が、例えば機械方向
の一方向に並列に配列され、互いに交叉しないよ
うに制御されて巾方向に広げられ、適当な厚みに
調節されて織機の経糸のようなシート状に形成さ
れる。具体的には連続繊維は複数のボビンに巻か
れており、各々のボビンから適当な張力をかけな
がら繊維が繰出され、機械方向の適当な巾で一列
に篩の目の如き形状を有した整列器を通してシー
ト状に配列されることが好ましい。 シートの厚みは用いた繊維(ロービングやト
ウ)の太さにも依存するが、ロービングやトウの
巾方向の配列、密度によつて制御できる。厚み精
度は含浸状態のバラツキに影響するため、目標厚
みに対して±10%以内が好ましい。特に厚みの制
限はないが、厚みは10μmより大きくすれば繊維
の破断を防止でき、一方1000μmより薄くすると
樹脂の含浸度が高くなりボイドが少なく成形欠陥
が生じない。 繊維をシート状に配列する際に、繊維のフイラ
メントが案内ローラとか整列器を通過するときの
摩擦によつて破断することを防ぐために、作業環
境の湿度を高めることは有効である。 かくして得られたシートは各ロービングやトウ
が交叉しないように各ロービングやトウに均一な
張力が付与されることが必要である。 上記繊維シートは後述の実施例に示す様に複数
の連続繊維を引き揃えてもよいが、予め一方向に
必要本数の連続繊維を経糸の如くワープビームに
巻き付けた所謂ビームドヤーンを用いることも可
能である。上記ビームドヤーンは連続繊維を織布
と成す時の経糸用として広く用いられている。 本発明において、織布とは上記の連続繊維を用
いて布状に加工されたものをいい、繊維の織り方
は任意である。従つて本発明に用いられる織布に
は、一般に平織、朱子織、綾織、杉綾織と呼ばれ
る織り方によつて得られたものを含むことは勿
論、さらにマツト状不織布及び該マツト状不織布
にニードルパンチ加工したもの等も含む。 繊維シートに熱可塑性樹脂を含浸させることに
おいて、用いられる熱可塑性樹脂は、ポリスチレ
ン、ポリ塩化ビニル、高密度ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタ
レート等が用いられるが、これらに限定されな
い。 なお、本発明により得られた樹脂シート(プリ
プレグ)を構造強度を必要とする用途に用いる場
合、樹脂の性能として弾性率が高く引張り強さが
大きいものが好ましく、具体例として、ポリエー
テルスルフオン、ポリサルフオン、ポリフエニレ
ンサルフアイド、熱可塑性ポリイミド、ポリエー
テルイミド(商標「ULTEM」)、ポリエーテルエ
ーテルケトン等の高グレードのエンジニアリング
樹脂が好適である。 これらの樹脂を用いる場合、予め乾燥を行うの
が好ましく、また繊維との接着向上の目的で樹脂
にチタン系等のカプリング剤を添加することは更
に好ましい。 熱可塑性樹脂は、例えば押出機の内部で溶融さ
れ、その先端に設けられたダイから押出され、予
め加熱された、例えば下ベルトの表面に塗布され
る。樹脂温度は均一な樹脂塗膜が形成される様、
各々の樹脂特性に応じて決められるものである。
樹脂塗膜の巾は繊維シートの巾と同等以上であれ
ばよく、塗膜の厚みは繊維シートの厚みに対応し
た適当な厚みに調節される。この厚みは最終的に
得られた繊維補強シート中の樹脂含有量の設定目
標値によつて実験的に決められる値である。塗膜
厚みは10〜1000μmが好ましく、より好ましくは
20〜200μmである。一方、厚み精度は巾方向の
前記した樹脂含有量に大きく影響するために、設
定厚みに対し±10%が好ましく、更に好ましくは
±5%以内がよい。 このように塗膜の厚み精度を向上させる塗布方
法として、通常の方法を用いることができる。 かくして繊維シートは樹脂塗膜を付与された、
例えば下ベルトを介してロールに圧接され、繊維
に樹脂の含浸が開始される。樹脂塗膜が繊維シー
トを構成するフイラメント間を通り、繊維シート
の裏面まて達することによって含浸が達成される
ものであるから、繊維シートのベルト、ひいては
ロールへの接触圧は該シートが樹脂塗膜を押し分
けて下ベルト表面に達し得る程度であれば十分で
あり、この接触圧は繊維シートにかけられる張力
で調節される。この張力が強過ぎると繊維シート
の各フイラメント間を樹脂塗膜が通らずに、繊維
シートの巾方向に押し分けられてしまうので、張
力は使用する樹脂の粘度に応じて決められねばな
らない。 本発明において樹脂の粘度は、500〜50000ポイ
ズが好ましく、より好ましくは、1000〜5000ポイ
ズである。 また本発明において繊維シート(又は織布)に
かける張力は、繊維シート1〜10000g/本が好
ましく、より好ましくは10〜5000g/本である。
また織布の場合の張力は5〜100000g/cm幅が好
ましく、より好ましくは50〜20000g/cm幅であ
る。 樹脂を塗布された繊維シートは、次いで、上側
と下側のベルトに挟さまれた状態で搬送され、例
えば1個又は2個以上の加熱ロールに圧接され、
含浸効率を向上させた後、冷却されて引取られ
る。これらの加熱ロールの温度は含浸させる樹脂
の軟化点以上である。 本明細書において軟化点とはメルトインデツク
ス測定機を用い荷重5Kgで測定し得る最低の温度
をいう。 繊維シートは、仮に最初に下ベルトに接した面
を表面とするならば、次の加熱ロールには上ベル
トを介して裏面を、又次の加熱ロールでは下ベル
トを介して表面をという様に、交互に表面、裏面
を下、上ベルト介してロールに圧接させながら、
表面又は裏面に存在する樹脂が下又は上ベルトを
介して該複数ロールにより表面から裏面へ、次い
で裏面から表面へと交互の方向に繊維シートのフ
イラメント間を流れる様に繊維シートをベルトを
介してロールに圧接させることが好ましく、この
様にすることによつて含浸度を向上させることが
できる。 本発明において、ロールの本数は用いる樹脂の
特性によつて決定されるべきであり、使用する樹
脂の種類によつて加熱するロールの本数を必要数
に調節することは極めて有効な手段である。 本発明の適用において、ベルト表面に付着した
樹脂をドクター板等で除去することは、樹脂含有
量の調節及び繊維シートの表面を平滑にする効果
があり、好ましいことである。又、当該樹脂は溶
融、固化状態の何れの状態でも除去できるが樹脂
の特性に応じてその状態を決定すべきである。 次に、樹脂を含浸した繊維シートの冷却につい
ては、特に結晶性樹脂の場合その冷却速度により
結晶化度及び結晶粒度が影響されるので、使用す
る樹脂により冷却速度を調節することにより、繊
維シート内の樹脂の結晶化度及び結晶粒度を制御
することが好ましい。冷却速度の調節方法として
は、含浸部と引取機の間に加熱帯を設けて、該加
熱帯に温度勾配をつけることにより徐冷したり、
あるいは、冷却空気の如き冷却媒体を直接繊維シ
ートに吹付けて急冷する方法等を採用し得る。 一方、上述のような含浸樹脂の溶融状態で該繊
維シートを該含浸部から離脱させる場合、含浸樹
脂の種類によつて冷却時、空気等の接触により、
樹脂部が劣化することがある。この場合、樹脂含
浸部内に該ベルトを前記熱可塑性樹脂の軟化点未
満に冷却するための冷却装置を設けるとさらに好
ましい。 この場合、熱可塑性樹脂を含浸させた繊維シー
トは、次いで該ベルトに挾まれた状態で該樹脂の
軟化点未満に冷却された後、引取部に引取られ
る。 冷却方法としては、大気中で徐冷する方法、上
下ベルトを空気噴射、水等により強制冷却する方
法等が挙げられる。前記冷却の際、加圧下、例え
ば一対もしくは複数対の冷却ニツプロール等で該
上下ベルトを挾み該上下ベルトを介して繊維シー
トを加圧した状態で冷却することは繊維シートの
外観向上、脱泡の面から好ましく、又該ベルトか
らの繊維シートの離型性向上にも寄与する。 該ベルト表面に運転前又は運転中に離型処理を
施すことは繊維シートの離型性向上の面から特に
好ましい。 次に本発明の詳細を図面に示した代表的実施態
様にて説明する。 先ず、本発明を複数の連続繊維からなる繊維シ
ートに適用した例を説明する。 第1図に示す如く、本発明法を実施するための
製造装置は繊維繰出部1、供給部2、樹脂含浸部
3及び引取部4とから成る。 繰出部 繊維繰出部1は、複数の連続繊維を供給する手
段、例えば複数のボビン6と、繊維繰出時の張力
を調節する機構、例えば第2図に示す張力調節用
ブレーキベルト64を有する。 繊維繰出部1においては、架台5に取付けられ
た複数のボビン6に巻かれた連続繊維7は必要な
繊維数だけ繰り出される。ボビン6は第2図に示
す如く、ボビン本体61が軸62に固定され、軸
62が軸受63に回転可能に取付けられている。
軸62には、ボビン6より繊維が繰り出される張
力を調節するための張力調節用ブレーキベルト6
4が取付けられている。 供給部 供給部2は、ボビン本体61より繰り出される
連続繊維7をガイドロール8で水平に並べ、整列
器9により任意の繊維間隔及び任意の幅に整列し
て、繊維シート10を形成する機能を有する。整
列器9は第3図及び第4図に示す如く、額縁状の
枠に多数の鋼線91を張ったもので、連続繊維7
は該鋼線91の隙間を1本ずつ通ることにより整
列させられる。該整列器9は軸受92を有し、第
4図に示す如く、矢印の方向に角度を変え得る構
造を有し、この角度変更により連続繊維7も各々
の間隔を調整して繊維シート10の巾と厚みを調
整することができる。93は整列器9の任意の角
度を選択した後固定する止めネジである。 次に繊維シート10はブレーキ12を有する張
力調整ロール11により巾全体に亘り均一な張力
に制御され、樹脂含浸部3へ供給される。張力調
整ロール11の表面は摩擦抵抗による張力調整が
行い易いように材質としてゴム等を用いることが
好ましい。張力は特に規制はなく、繊維シート1
0が樹脂含浸部3の含浸過程において繊維間の乱
れがない程度であればよい。なお、張力調整ロー
ル11は繰出部1におけるボビン6全部について
均一な張力調整が可能であれば用いなくてもよ
い。 樹脂含浸部 樹脂含浸部3は、一対のベルト、即ち上ベルト
14と下ベルト15を有し、繊維シートの搬送系
中心に沿って、入口方向から第1加熱ロール(入
口加熱ロール)17、第2加熱ロール18及び下
プルロール(出口ロール)19が並設されてい
る。該第1加熱ロール17の上方には第1ニツプ
ロール20が、下プルロール19の上方には上プ
ルロール22が各々並設されている。21は上ベ
ルト張力調整ロール、23は加熱された樹脂供給
ロール、24は下ベルト張力調整ロールである。
13は樹脂供給用ダイ、16は駆動用モーターで
ある。 ベルトの加熱手段としては、加熱されているロ
ール17,18,19,22,23の熱を、これ
らのロールと面圧接するベルトに熱伝導させる方
式が用いられる。 出口ロール19と22の間の間隔を調整するこ
とにより得られる繊維補強シート状プリプレグの
厚みを調整することが可能である。 なお、上下のベルト14,15には表面に付着
した樹脂塗膜をかき落すスクレーパー(図示せ
ず)が設けられることが好ましく、両ベルトが常
に清浄な表面で樹脂及び繊維シート10に接触す
ることにより繊維シート10への樹脂含浸量が変
動しない様になつていることが好ましい。 以上の構成を有する樹脂含浸部3に繊維シート
10が入ると、押出機(図示せず)で可塑化され
た熱可塑性樹脂をダイ13を経由して表面に該樹
脂の薄膜が塗布された下ベルト15と接触し、且
つ該ベルト15を介して加熱ロール17に圧接さ
れて該樹脂を含浸し、次いで上ベルト14を介し
て加熱ロール18に、さらに下ベルト15を介し
てプルロール(加熱ロール)19に圧接される。
このようにして樹脂含浸が十分に行われる。 本発明の樹脂含浸部は、高速下における含浸効
果を向上させる観点から、第6図のように改良す
ることができる。なお第6図の実施態様は、第1
図の樹脂含浸部に第3加熱ロール50及び第4加
熱ロール51が付加されている。 先ず改良の第1は、樹脂含浸部3の入口に第1
樹脂含浸促進ロール30を設けることである。 該ロール30の設けられる位置は、第1加熱ロ
ール17に繊維シートがより強く圧接される位置
が好ましく、樹脂の粘度や第1加熱ロール17と
第2加熱ロール18の間のテンシヨン方向等によ
つて好ましい位置を決定することができる。 図示の実施態様においては、第1加熱ロール1
7の上端より下がつた位置に設けられ、該第1加
熱ロール17を中心にしてロール30の設けられ
た側で図面上左下り、第2加熱ロール18の設け
られた側で図面上右下がりの各テンシヨンが作用
するように構成されている。 ロール30と第1加熱ロール17の中心間距離
は、特に限定されないが、図示の如き近接されて
いることが好ましい。該ロール30と第1加熱ロ
ール17が少し離れて設けられる場合には、該両
ロール30と17の間に該ロール30と協同作用
を呈する他のロールを介在させることもできる。
該ロール30には、第1加熱ロール17に近接又
は離隔するためのロール位置調整機構が設けられ
ていることが好ましい。 繊維シート10の含浸部3への導入方向は、通
常図示の如き水平方向であるが、これに限定され
ず、水平を維持した状態で前上り又は前下がり等
のいずれであつてもよく、その場合に該シート1
0に本発明の作用効果を損なわない範囲で複数の
ガイドロールが介在していてもよいことはもとよ
りである。また該シート10が前上りで導入され
る場合には、該ロール30とロール17間におけ
るシート10の傾斜と同一或いは略同一の場合も
あり得、その場合に該ロール30は該シート10
に介在しているガイドロールと協同作用を呈する
こともありうる。 なお該ロール30の径(大きさ)は限定されな
い。 以上のような第1樹脂含浸促進ロール30を設
けると、高速搬送下でも繊維シート10への樹脂
含浸を促進させることができ、且つ含浸の初期段
階で繊維内空気を脱気でき、良品質の製品を得る
ことができる。 改良の第2は、樹脂含浸部3の出口に出口含浸
促進ロール31設けることである。 該ロール31の位置は、図示の実施態様におい
ては出口ロール(下プルロール)19の上端より
下がつた位置で、繊維シート10を該出口ロール
19に圧接可能な位置が好ましい。該ロール31
には該ロール19に近接又は離隔するためのロー
ル位置調整機構が設けられていることが好まし
い。 ロール31と出口ロール19は近傍にあればよ
く、その中心距離は、特に限定されないが、図示
の如き近接されていることが好ましい。該ロール
31と出口ロール19が少し離れて設けられる場
合には、該ロール31と出口ロール19の間に該
ロール31と協同作用を呈する他のロールを介在
させることもできる。 繊維シート10の含浸部3からの導出方向は、
通常図示の如き水平方向であるが、これに限定さ
れず、巻取位置によつては前上り又は前下がり等
のいずれであつてもよく、その場合に該シート1
0に本発明の作用効果を損なわない範囲で複数の
ガイドロールが介在していてもよいことはもとよ
りである。 また該シート10が出口ロール19から前下り
で導出される場合には、その導出傾斜がそのロー
ル31と出口ロール19の間におけるシート10
の傾斜と同一或いは略同一の場合もあり得、その
場合に該ロール31は該シート10に介在してい
る他のガイドロールと協同作用を呈することもあ
りうる。 なお該ロール31の形状はフラツト型に限定さ
れず、断面湾曲型等であつてもよく、また該ロー
ル31の径(大きさ)も限定されない。 以上のような出口含浸促進ロール31を設けた
場合には、高速下でも樹脂含浸度のバラツキをな
くし、繊維シート間の繊維方向に割れ目(所謂ス
プリツト)を発生させないという効果がある。 第3の改良は、第2加熱ロール18、第3加熱
ロール50及び第4加熱ロール51(これらの中
間加熱ロールと称する)の各々に含浸促進ロール
32,33,34を接設することである。 該第2加熱ロール18及び第4加熱ロール51
は本実施態様では上方にテンシヨンをかけるもの
であり、該含浸促進ロール32,34は各々第2
及び第4加熱ロール18,51の下方に接設され
ることが好ましい。同様に含浸促進ロール33は
第3加熱ロール50の上方に接設させることが好
ましい。 含浸促進ロール32,33,34の大きさは特
に限定されない。 含浸促進ロール32,33,34の設けられる
位置は、加熱ロール18,50,51の真下或い
は真上に限定されず、幾分前後(左右)に偏つて
いてもよい。 以上の含浸促進ロール32,33,34を設け
ることにより、搬送の高速化をはかつても繊維シ
ート10への樹脂含浸のバラツキをなくすことが
でき、かつ製品厚みの調整ができる。 第4の改良は、ロール21とロール22の間及
びロール19とロール24の間に各々蛇行調整ロ
ール35,36を設けることである。 該ロール35と36は、ロール21,24が図
面上上下方向の移動によつてテンシヨンを調整す
るのに対し、ロールの一端のみを図面上左右方向
に移動することによつてベルトの蛇行を調整す
る。 該ロール35と36を左右方向へ移動させる手
段は特に限定されず、例えば各種スライダ等を用
いることができる。 なお、該ロール35と36は、図示しないがベ
ルト14,15の外側に接する位置に設けられ、
該ベルト14と15を外側から押圧し蛇行を調整
するようにしてもよく、この場合にロール35,
36の材質はアルミニウム等の柔らかいものが好
ましい。また、該ロール35,36は、ロール2
0とロール21の間、ロール23とロール24の
間に各々設けられてもよい。 なおまた、ロール35,36以外に該ロール3
5,36と同方向又は異方向に移動可能な一又は
二以上のロールを付加してもよい。 又、ロール19,22或いはロール17,20
の各々のロールの一端だけを左右方向に移動させ
ることにより、当該蛇行調整機能を上記ロールに
付与させてもよい。 以上の蛇行調整ロール35,36を設けると、
テンシヨンロールのみだつた場合に生じるおそれ
があつたベルトの蛇行を防止できる。 第5の改良は、出口ロール19の1つ手前のロ
ール51の前方のベルトBxの張力を、該1つ手
前のロール51の後方のベルトByの張力より大
きくするための張力調整手段Tを設けることであ
る。 該張力調整手段Tは、例えば出口ロール19に
直結された駆動モーター16と、該出口ロール1
9の1つ手前のロール51に直結された変速機1
6Aとからなり、該出口ロール19の1つ手前の
ロール51の回転数を異ならしめる構成、即ち該
変速機16Aの駆動力をロール51に伝達するよ
うに構成することが好ましい。 変速機16Aとしては、連続的又は段階的に変
化させることが可能なものであればよく、自動、
半自動、手動式のいずれでもよい。また変速方式
は例えばベルト式、歯車式等のいずれであつても
よい。変速機の調整範囲は特に限定される訳では
ないが、駆動モーター回転(数)の10〜95%が好
ましい。 本発明においては、出口ロール19の回転を速
くし、その一つ手前のロール51の回転を遅くす
るように、変速機16Aの変速度合を調整するこ
とが好ましい。 上下出口ロール(上下プルロール)19及び2
2に駆動力を伝達するには、駆動モーター16に
連結された駆動ギヤ19Aを設け、且つ該駆動ギ
ヤ19Aに連結されたギヤ22Aを設け、該駆動
ギヤ19Aから出口ロール19に、ギヤ22Aか
らロール22に伝達するようにすることができ
る。 また、第3加熱ロール50と第4加熱ロール5
1は各々のギヤ50Aと51Aが噛み合つてい
る。 以上のように各ロールが駆動源と連結された結
果、ロール50,51,19,22は駆動ロール
として機能し、かつロール17,18,20,2
1,23,24,32,33,34,35,36
が従動ロールとして機能する。 尚、ロール35,36については出口上下ロー
ル19,22より若干速く駆動することも可能で
あり、この場合、前述の蛇行調整機能をさらに向
上し得る。 本実施態様においては、出口ロール19に対し
て一つの手前のロール51の回転を変化(制御を
含む)させることにより、ロール51の前後のベ
ルトのテンシヨンに変化をもたせる点に特徴を有
するものである。 以上のように出口ロールと該ロールの一つ手前
のロールとの回転を異ならしめる減速機構付の駆
動源を設けると、各ロール間のベルトにかかるテ
ンシヨンを自由に変えることができ、ベルトテン
シヨンを出口から入口に向つて順次弱くした場合
には、ベルトの開きを防止し、外気の吸入による
樹脂劣化を防止することができる。 冷却部 上記のようにして樹脂を含浸された繊維シート
10は、冷却部に設けられる冷却装置26内を通
過する間に樹脂軟化点未満に冷却される。 冷却装置26内は使用した樹脂に応じた冷却速
度で冷却可能に構成することができる。冷却速度
の制御方法としては、冷却装置の入口から出口に
向つてヒーター、熱風、冷風等を用いて温度勾配
をつけることが好ましい。 該冷却装置26は第1図に示す如く、樹脂含浸
部3の後工程に設けられてもよいが、これに限定
されず、第7図に示すように樹脂含浸部3内に設
けることもできる。 第7図に示す冷却装置26は、その詳細を示す
第8図によれば、1対又は複数対のロール261
で構成されており、下ロール群262は水槽26
3に貯えられた水により冷却される。又上ロール
群264は、ノズル265から散布される水によ
り冷却される。これらのロール表面に石綿のごと
く保水性のある部材を取付けることは冷却効率の
面から好ましい。 これら冷却された下、上ロール群262,26
4により該上下ベルト14,15が冷却されるこ
とにより、繊維シート10が冷却される。下、上
ロール群262,264は第9図に示すボルト・
ナツト266を締付けることによりロール群のニ
ツプ力を任意に調節することができる。 このような樹脂含浸部内での冷却を行うと、該
冷却時においても空気との接触をなくし酸化劣化
の防止の完全化をはかることができる。 また、上下ベルトを介した冷却にすると、冷却
媒体による繊維シートないし織布の汚れの心配が
ないため、コスト的に安い水冷等をも採用でき、
プロセス的汎用性が高いという効果を有する。 以上の第7図の実施態様を更に改良して第10
図のように構成すると、第6図の実施例と同様に
高速含浸が可能となる。 なお、第7図及び第10図において第1図又は
第6図に示す符号と同一の符号の部位は同一構成
であるため、その説明を省略する。 第7図及び第10図において、ロール50は加
熱されるが、ロール19及び22は加熱しない。
冷却後に加熱することは好ましくないからであ
る。 引取部 このようにして冷却された繊維シート10は引
取部4の引取ロール27で張力をかけながら引取
られ、巻取軸29に巻き取られる。なお、28は
引取ロール27及び巻取軸29用のモーターであ
る。 以上、本発明の実施態様について説明したが、
これらに限定されるものではなく、例えば第1図
に示す繊維繰出部1の代わりに繊維シートセツト
部としてビームドヤーンを用い、該ビームドヤー
ドを架台にセツトし、該ビームドヤーンから繊維
シートを供給し、以下同様に処理することも可能
である。この場合、繊維に適度のテンシヨンがか
かる様ビームドヤーンの回転を制御することは好
ましいことである。 以上の実施態様は、本発明を複数の連続繊維か
ら得られた繊維シートに適用した場合を示すもの
であるが、本発明を織布(シート)に適用する場
合には、第5図に示す繰出部1に織布原反セツト
部1Aを設け、該セツト部1Aに織布原反をセツ
トし、該織布を織布供給部2Aを介して前記の樹
脂含浸部3に供給して、上記実施態様と同様に含
浸せしめることができる。 また以上の実施態様では、ダイ13からの樹脂
の供給を下ベルト15に対して行ったが、これら
に限定されず、ダイ13からの樹脂の供給を上ベ
ルト14に対して行つてもよい。その場合、ロー
ル配置及びテンシヨン方向は図示の例における繊
維シート10の搬送系中心を境にして天地(上
下)逆にすることにより、略同様の作用効果を呈
することが可能である。 なお第5図において、第1図に示す符号と同一
の符号の部位は同一構成であるため、その説明を
省略する。また樹脂含浸部3及び引取部4は実施
例1と同一であるので図示を省略した。 [実施例] 以下、本発明を実施例により説明する。 実施例 1 第1図に示した装置の各部の仕様がボビン数
100個、押出機30mmφ、ロール17〜24の巾400
mm、ロール径240mmφ、上下ベルト14,15の
厚み0.5mm、巾350mmであるものを用いた。 連続繊維は炭素繊維(ベスフアイトHTA−7
−3000)を用い、熱可塑性樹脂としてポリエーテ
ルエーテルケトン(ICI社、VICTREX PEEK)
を用いた。このポリエーテルエーテルケトンの粘
度は温度380℃で剪断速度100sec-1において、
7000ポイズのものであつた。 前記100個のボビンから繰り出された連続繊維
を整列させて15cmの巾の繊維シートと成した。一
方、押出機で380℃に加熱溶融されたポリエーテ
ルエーテルケトンを、コートハンガーダイから
400℃に加熱された第23ロール上で50cm/分の速
度で移動する下ベルトに塗膜厚60μmで塗布し
た。150Kgの張力をかけられた前記繊維シートは
上下ベルト14,15に挟まれた状態で400℃に
加熱されたロール17,18,19,20,22
間を第1図に示した状態で通過させて繊維シート
内のポリエーテルエーテルケトンを含浸せしめ、
140℃に保つた徐冷炉内で徐冷した後、引取機で
巻取つた。 上記運転を連続的に24時間運転を行つたが、樹
脂の熱、酸化劣化による架橋やゲル化の現象もな
く順調に運転することができた。 得られたシートは樹脂量が35重量%で厚み0.13
mmであり、且つ繊維に乱れがなく繊維間にボイド
のないものであつた。又、得られたシート中の樹
脂分子量保持率を測定した所95%であつた。尚、
ここで言う樹脂分子量保持率とは加熱前の樹脂分
子量を100とした時の相対分子量パーセントであ
る。 比較例 特開昭61−229535号の実施例1に示された装置
及び製造条件で当該シートを得た。ロール上の樹
脂は運転時間とともに熱、酸化劣化によるゲル化
が進行し約3時間後には樹脂の流動が困難となり
含浸不能、繊維フイラメントの破断の為、運転不
能となつた。 得られたシートは樹脂量が36重量%で厚み0.13
mmであつた。又、繊維に乱れがなく繊維間にボイ
ドのないものであつたがシート中の樹脂分子量保
持率を測定した所、80%であり含浸時に樹脂劣化
を起こしていることが判る。 実施例 2〜4 実施例1において樹脂の種類及び操作条件を表
1に示す如く変化させて樹脂含浸シートを得た。
維補強シート状プリプレグの製造方法及びその装
置に関する。 本発明の繊維補強シート状プリプレグは例えば
積層材料等の工業用素材として利用されるもので
ある。 [従来の技術] 繊維に熱可塑性樹脂を含浸させて繊維補強組成
物を製造する方法としては、特開昭61−229534
号、特開昭61−229535号、特開昭61−229536号公
報に記載されているように、繊維シート(経糸の
みのもの、経糸と緯糸からなる織布など)を、熱
可塑性樹脂が塗膜として表面に塗布されている塗
布ロールに案内して、該塗布ロール面に塗布され
ている熱可塑性樹脂を繊維シートに転移させ、次
いで、この繊維シートの表面及び裏面を加熱ロー
ルに接触させて、樹脂の含浸度を高める方法が知
られている。 [発明が解決しようとする課題] 上記した従来の方法による装置では、塗布ロー
ルに接触する繊維シートの裏面にはベルト等の空
気遮蔽部材が存在せず解放状態にある。 又、塗布ロール及びそれに隣接する各加熱ロー
ルが間を置いて水平方向に並設されているため、
塗布ロールには押出直後の樹脂が連続して供給さ
れ、且つ連続的に繊維シートに塗布されることに
よつて隣接する加熱ロールへ移行する。このため
当該塗布ロール表面の樹脂の劣化は連続的に移行
しているように見えるので見掛け上少ないが、塗
布ロールに隣接する加熱ロール表面への押出直後
の樹脂の移行は繊維シートによつてのみ行われる
ためその量は極めて少ない。上記理由から当該加
熱ロール表面に転写された樹脂は隣接する加熱ロ
ールに殆ど移行することなくそのまま滞留するこ
とになる。従つて、これら加熱ロール表面に転写
された樹脂は押出直後の樹脂と置換されることな
く当該加熱ロールに高温且つ空気に接触した状態
で滞留することとなる。当該加熱ロールに転写さ
れた樹脂を完全に除去することは極めて困難なた
め、上記滞留した樹脂は運転時間と共に樹脂の熱
劣化、酸化劣化による架橋やゲル化が進行して遂
には運転が不可能となるという問題がある。 また得られたシート中の樹脂は前記した様に熱
劣化、酸化劣化している為に十分な強度物性を保
持しておらずシートの性能劣化をも引き起す等の
問題がある。 そこで本発明は、安定した連続運転が可能であ
り、且つ樹脂劣化の少ない高性能な繊維補強シー
ト状プリプレグの製造方法及びその装置を提供す
ることを目的とする。 [課題を解決するための手段] 本発明の上記目的は、請求項1〜17に記載の
発明によつて達成される。即ち、本発明の主な特
徴は繊維シートを、熱可塑性樹脂の軟化点以上に
加熱され且つ該熱可塑性樹脂塗膜を有し、且つ加
熱ロールに面圧接された一対のベルト間に通過さ
せることにある。 [作用] 一対のベルトは連続しており、含浸された繊維
シートが、該含浸部出口においてベルトと離脱す
る時に若干の樹脂が該ベルト表面に転写され、例
え冷却固化されたとしても、該ベルトが含浸部入
口へ再び戻つた時には、固化した転写樹脂は再加
熱されて溶融され、且つ大量の押出直後の樹脂と
融合する為、樹脂がベルト間で滞留することがな
い。このため、従来のロール塗布の場合に問題と
なつていた運転時間と共に樹脂の熱劣化、酸化劣
化、ゲル化を引き起すことがなく、結局長時間の
連続運転が可能となる。 また前記したように熱劣化・酸化劣化等を引き
起こさないため、高性能なシートが得られる。 [発明の構成] 本発明の適用において、樹脂を含浸させる対象
となる繊維シートには、経糸のみでシート状に並
べられたものや、経糸と緯糸で織られた織布等を
含む。 本発明において、繊維シートを構成する複数の
連続繊維とは、繊維を構成するフイラメントの集
合体であるロービング、ヤーン、トウという名称
で知られているものを複数本用いるもので、フイ
ラメントが充分長くて、使用する条件下で溶融熱
可塑性樹脂塗膜に接して引張るのに充分な強さを
有するものである。好ましい材料としては、ガラ
ス繊維、炭素繊維、高弾性の合成樹脂繊維が挙げ
られるが、無機繊維の炭化ケイ素繊維やアルミナ
繊維、チタン繊維、ボロン繊維、ステンレス等の
金属繊維を用いることもできる。 合成樹脂繊維は、含浸させる熱可塑性樹脂との
接着性を有するように表面処理されていることが
好ましく、更に使用する熱可塑性樹脂の溶融温度
で強度等の性能が変化しないことが必要である。
合成樹脂繊維としては、例えばアラミド繊維(登
録商標「ケブラー」等)が挙げられる。 前記ガラス繊維や炭素繊維は、使用する熱可塑
性樹脂に合せて樹脂との接着性を向上させるため
に繊維表面にシラン系やチタン系のカプリング剤
等の表面処理剤を塗布することが好ましい。ま
た、含浸時に生涯とならない範囲内でロービング
やトウが取扱い時にほぐれないように集束剤を用
いることができる。 上記の連続繊維は、複数本が、例えば機械方向
の一方向に並列に配列され、互いに交叉しないよ
うに制御されて巾方向に広げられ、適当な厚みに
調節されて織機の経糸のようなシート状に形成さ
れる。具体的には連続繊維は複数のボビンに巻か
れており、各々のボビンから適当な張力をかけな
がら繊維が繰出され、機械方向の適当な巾で一列
に篩の目の如き形状を有した整列器を通してシー
ト状に配列されることが好ましい。 シートの厚みは用いた繊維(ロービングやト
ウ)の太さにも依存するが、ロービングやトウの
巾方向の配列、密度によつて制御できる。厚み精
度は含浸状態のバラツキに影響するため、目標厚
みに対して±10%以内が好ましい。特に厚みの制
限はないが、厚みは10μmより大きくすれば繊維
の破断を防止でき、一方1000μmより薄くすると
樹脂の含浸度が高くなりボイドが少なく成形欠陥
が生じない。 繊維をシート状に配列する際に、繊維のフイラ
メントが案内ローラとか整列器を通過するときの
摩擦によつて破断することを防ぐために、作業環
境の湿度を高めることは有効である。 かくして得られたシートは各ロービングやトウ
が交叉しないように各ロービングやトウに均一な
張力が付与されることが必要である。 上記繊維シートは後述の実施例に示す様に複数
の連続繊維を引き揃えてもよいが、予め一方向に
必要本数の連続繊維を経糸の如くワープビームに
巻き付けた所謂ビームドヤーンを用いることも可
能である。上記ビームドヤーンは連続繊維を織布
と成す時の経糸用として広く用いられている。 本発明において、織布とは上記の連続繊維を用
いて布状に加工されたものをいい、繊維の織り方
は任意である。従つて本発明に用いられる織布に
は、一般に平織、朱子織、綾織、杉綾織と呼ばれ
る織り方によつて得られたものを含むことは勿
論、さらにマツト状不織布及び該マツト状不織布
にニードルパンチ加工したもの等も含む。 繊維シートに熱可塑性樹脂を含浸させることに
おいて、用いられる熱可塑性樹脂は、ポリスチレ
ン、ポリ塩化ビニル、高密度ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタ
レート等が用いられるが、これらに限定されな
い。 なお、本発明により得られた樹脂シート(プリ
プレグ)を構造強度を必要とする用途に用いる場
合、樹脂の性能として弾性率が高く引張り強さが
大きいものが好ましく、具体例として、ポリエー
テルスルフオン、ポリサルフオン、ポリフエニレ
ンサルフアイド、熱可塑性ポリイミド、ポリエー
テルイミド(商標「ULTEM」)、ポリエーテルエ
ーテルケトン等の高グレードのエンジニアリング
樹脂が好適である。 これらの樹脂を用いる場合、予め乾燥を行うの
が好ましく、また繊維との接着向上の目的で樹脂
にチタン系等のカプリング剤を添加することは更
に好ましい。 熱可塑性樹脂は、例えば押出機の内部で溶融さ
れ、その先端に設けられたダイから押出され、予
め加熱された、例えば下ベルトの表面に塗布され
る。樹脂温度は均一な樹脂塗膜が形成される様、
各々の樹脂特性に応じて決められるものである。
樹脂塗膜の巾は繊維シートの巾と同等以上であれ
ばよく、塗膜の厚みは繊維シートの厚みに対応し
た適当な厚みに調節される。この厚みは最終的に
得られた繊維補強シート中の樹脂含有量の設定目
標値によつて実験的に決められる値である。塗膜
厚みは10〜1000μmが好ましく、より好ましくは
20〜200μmである。一方、厚み精度は巾方向の
前記した樹脂含有量に大きく影響するために、設
定厚みに対し±10%が好ましく、更に好ましくは
±5%以内がよい。 このように塗膜の厚み精度を向上させる塗布方
法として、通常の方法を用いることができる。 かくして繊維シートは樹脂塗膜を付与された、
例えば下ベルトを介してロールに圧接され、繊維
に樹脂の含浸が開始される。樹脂塗膜が繊維シー
トを構成するフイラメント間を通り、繊維シート
の裏面まて達することによって含浸が達成される
ものであるから、繊維シートのベルト、ひいては
ロールへの接触圧は該シートが樹脂塗膜を押し分
けて下ベルト表面に達し得る程度であれば十分で
あり、この接触圧は繊維シートにかけられる張力
で調節される。この張力が強過ぎると繊維シート
の各フイラメント間を樹脂塗膜が通らずに、繊維
シートの巾方向に押し分けられてしまうので、張
力は使用する樹脂の粘度に応じて決められねばな
らない。 本発明において樹脂の粘度は、500〜50000ポイ
ズが好ましく、より好ましくは、1000〜5000ポイ
ズである。 また本発明において繊維シート(又は織布)に
かける張力は、繊維シート1〜10000g/本が好
ましく、より好ましくは10〜5000g/本である。
また織布の場合の張力は5〜100000g/cm幅が好
ましく、より好ましくは50〜20000g/cm幅であ
る。 樹脂を塗布された繊維シートは、次いで、上側
と下側のベルトに挟さまれた状態で搬送され、例
えば1個又は2個以上の加熱ロールに圧接され、
含浸効率を向上させた後、冷却されて引取られ
る。これらの加熱ロールの温度は含浸させる樹脂
の軟化点以上である。 本明細書において軟化点とはメルトインデツク
ス測定機を用い荷重5Kgで測定し得る最低の温度
をいう。 繊維シートは、仮に最初に下ベルトに接した面
を表面とするならば、次の加熱ロールには上ベル
トを介して裏面を、又次の加熱ロールでは下ベル
トを介して表面をという様に、交互に表面、裏面
を下、上ベルト介してロールに圧接させながら、
表面又は裏面に存在する樹脂が下又は上ベルトを
介して該複数ロールにより表面から裏面へ、次い
で裏面から表面へと交互の方向に繊維シートのフ
イラメント間を流れる様に繊維シートをベルトを
介してロールに圧接させることが好ましく、この
様にすることによつて含浸度を向上させることが
できる。 本発明において、ロールの本数は用いる樹脂の
特性によつて決定されるべきであり、使用する樹
脂の種類によつて加熱するロールの本数を必要数
に調節することは極めて有効な手段である。 本発明の適用において、ベルト表面に付着した
樹脂をドクター板等で除去することは、樹脂含有
量の調節及び繊維シートの表面を平滑にする効果
があり、好ましいことである。又、当該樹脂は溶
融、固化状態の何れの状態でも除去できるが樹脂
の特性に応じてその状態を決定すべきである。 次に、樹脂を含浸した繊維シートの冷却につい
ては、特に結晶性樹脂の場合その冷却速度により
結晶化度及び結晶粒度が影響されるので、使用す
る樹脂により冷却速度を調節することにより、繊
維シート内の樹脂の結晶化度及び結晶粒度を制御
することが好ましい。冷却速度の調節方法として
は、含浸部と引取機の間に加熱帯を設けて、該加
熱帯に温度勾配をつけることにより徐冷したり、
あるいは、冷却空気の如き冷却媒体を直接繊維シ
ートに吹付けて急冷する方法等を採用し得る。 一方、上述のような含浸樹脂の溶融状態で該繊
維シートを該含浸部から離脱させる場合、含浸樹
脂の種類によつて冷却時、空気等の接触により、
樹脂部が劣化することがある。この場合、樹脂含
浸部内に該ベルトを前記熱可塑性樹脂の軟化点未
満に冷却するための冷却装置を設けるとさらに好
ましい。 この場合、熱可塑性樹脂を含浸させた繊維シー
トは、次いで該ベルトに挾まれた状態で該樹脂の
軟化点未満に冷却された後、引取部に引取られ
る。 冷却方法としては、大気中で徐冷する方法、上
下ベルトを空気噴射、水等により強制冷却する方
法等が挙げられる。前記冷却の際、加圧下、例え
ば一対もしくは複数対の冷却ニツプロール等で該
上下ベルトを挾み該上下ベルトを介して繊維シー
トを加圧した状態で冷却することは繊維シートの
外観向上、脱泡の面から好ましく、又該ベルトか
らの繊維シートの離型性向上にも寄与する。 該ベルト表面に運転前又は運転中に離型処理を
施すことは繊維シートの離型性向上の面から特に
好ましい。 次に本発明の詳細を図面に示した代表的実施態
様にて説明する。 先ず、本発明を複数の連続繊維からなる繊維シ
ートに適用した例を説明する。 第1図に示す如く、本発明法を実施するための
製造装置は繊維繰出部1、供給部2、樹脂含浸部
3及び引取部4とから成る。 繰出部 繊維繰出部1は、複数の連続繊維を供給する手
段、例えば複数のボビン6と、繊維繰出時の張力
を調節する機構、例えば第2図に示す張力調節用
ブレーキベルト64を有する。 繊維繰出部1においては、架台5に取付けられ
た複数のボビン6に巻かれた連続繊維7は必要な
繊維数だけ繰り出される。ボビン6は第2図に示
す如く、ボビン本体61が軸62に固定され、軸
62が軸受63に回転可能に取付けられている。
軸62には、ボビン6より繊維が繰り出される張
力を調節するための張力調節用ブレーキベルト6
4が取付けられている。 供給部 供給部2は、ボビン本体61より繰り出される
連続繊維7をガイドロール8で水平に並べ、整列
器9により任意の繊維間隔及び任意の幅に整列し
て、繊維シート10を形成する機能を有する。整
列器9は第3図及び第4図に示す如く、額縁状の
枠に多数の鋼線91を張ったもので、連続繊維7
は該鋼線91の隙間を1本ずつ通ることにより整
列させられる。該整列器9は軸受92を有し、第
4図に示す如く、矢印の方向に角度を変え得る構
造を有し、この角度変更により連続繊維7も各々
の間隔を調整して繊維シート10の巾と厚みを調
整することができる。93は整列器9の任意の角
度を選択した後固定する止めネジである。 次に繊維シート10はブレーキ12を有する張
力調整ロール11により巾全体に亘り均一な張力
に制御され、樹脂含浸部3へ供給される。張力調
整ロール11の表面は摩擦抵抗による張力調整が
行い易いように材質としてゴム等を用いることが
好ましい。張力は特に規制はなく、繊維シート1
0が樹脂含浸部3の含浸過程において繊維間の乱
れがない程度であればよい。なお、張力調整ロー
ル11は繰出部1におけるボビン6全部について
均一な張力調整が可能であれば用いなくてもよ
い。 樹脂含浸部 樹脂含浸部3は、一対のベルト、即ち上ベルト
14と下ベルト15を有し、繊維シートの搬送系
中心に沿って、入口方向から第1加熱ロール(入
口加熱ロール)17、第2加熱ロール18及び下
プルロール(出口ロール)19が並設されてい
る。該第1加熱ロール17の上方には第1ニツプ
ロール20が、下プルロール19の上方には上プ
ルロール22が各々並設されている。21は上ベ
ルト張力調整ロール、23は加熱された樹脂供給
ロール、24は下ベルト張力調整ロールである。
13は樹脂供給用ダイ、16は駆動用モーターで
ある。 ベルトの加熱手段としては、加熱されているロ
ール17,18,19,22,23の熱を、これ
らのロールと面圧接するベルトに熱伝導させる方
式が用いられる。 出口ロール19と22の間の間隔を調整するこ
とにより得られる繊維補強シート状プリプレグの
厚みを調整することが可能である。 なお、上下のベルト14,15には表面に付着
した樹脂塗膜をかき落すスクレーパー(図示せ
ず)が設けられることが好ましく、両ベルトが常
に清浄な表面で樹脂及び繊維シート10に接触す
ることにより繊維シート10への樹脂含浸量が変
動しない様になつていることが好ましい。 以上の構成を有する樹脂含浸部3に繊維シート
10が入ると、押出機(図示せず)で可塑化され
た熱可塑性樹脂をダイ13を経由して表面に該樹
脂の薄膜が塗布された下ベルト15と接触し、且
つ該ベルト15を介して加熱ロール17に圧接さ
れて該樹脂を含浸し、次いで上ベルト14を介し
て加熱ロール18に、さらに下ベルト15を介し
てプルロール(加熱ロール)19に圧接される。
このようにして樹脂含浸が十分に行われる。 本発明の樹脂含浸部は、高速下における含浸効
果を向上させる観点から、第6図のように改良す
ることができる。なお第6図の実施態様は、第1
図の樹脂含浸部に第3加熱ロール50及び第4加
熱ロール51が付加されている。 先ず改良の第1は、樹脂含浸部3の入口に第1
樹脂含浸促進ロール30を設けることである。 該ロール30の設けられる位置は、第1加熱ロ
ール17に繊維シートがより強く圧接される位置
が好ましく、樹脂の粘度や第1加熱ロール17と
第2加熱ロール18の間のテンシヨン方向等によ
つて好ましい位置を決定することができる。 図示の実施態様においては、第1加熱ロール1
7の上端より下がつた位置に設けられ、該第1加
熱ロール17を中心にしてロール30の設けられ
た側で図面上左下り、第2加熱ロール18の設け
られた側で図面上右下がりの各テンシヨンが作用
するように構成されている。 ロール30と第1加熱ロール17の中心間距離
は、特に限定されないが、図示の如き近接されて
いることが好ましい。該ロール30と第1加熱ロ
ール17が少し離れて設けられる場合には、該両
ロール30と17の間に該ロール30と協同作用
を呈する他のロールを介在させることもできる。
該ロール30には、第1加熱ロール17に近接又
は離隔するためのロール位置調整機構が設けられ
ていることが好ましい。 繊維シート10の含浸部3への導入方向は、通
常図示の如き水平方向であるが、これに限定され
ず、水平を維持した状態で前上り又は前下がり等
のいずれであつてもよく、その場合に該シート1
0に本発明の作用効果を損なわない範囲で複数の
ガイドロールが介在していてもよいことはもとよ
りである。また該シート10が前上りで導入され
る場合には、該ロール30とロール17間におけ
るシート10の傾斜と同一或いは略同一の場合も
あり得、その場合に該ロール30は該シート10
に介在しているガイドロールと協同作用を呈する
こともありうる。 なお該ロール30の径(大きさ)は限定されな
い。 以上のような第1樹脂含浸促進ロール30を設
けると、高速搬送下でも繊維シート10への樹脂
含浸を促進させることができ、且つ含浸の初期段
階で繊維内空気を脱気でき、良品質の製品を得る
ことができる。 改良の第2は、樹脂含浸部3の出口に出口含浸
促進ロール31設けることである。 該ロール31の位置は、図示の実施態様におい
ては出口ロール(下プルロール)19の上端より
下がつた位置で、繊維シート10を該出口ロール
19に圧接可能な位置が好ましい。該ロール31
には該ロール19に近接又は離隔するためのロー
ル位置調整機構が設けられていることが好まし
い。 ロール31と出口ロール19は近傍にあればよ
く、その中心距離は、特に限定されないが、図示
の如き近接されていることが好ましい。該ロール
31と出口ロール19が少し離れて設けられる場
合には、該ロール31と出口ロール19の間に該
ロール31と協同作用を呈する他のロールを介在
させることもできる。 繊維シート10の含浸部3からの導出方向は、
通常図示の如き水平方向であるが、これに限定さ
れず、巻取位置によつては前上り又は前下がり等
のいずれであつてもよく、その場合に該シート1
0に本発明の作用効果を損なわない範囲で複数の
ガイドロールが介在していてもよいことはもとよ
りである。 また該シート10が出口ロール19から前下り
で導出される場合には、その導出傾斜がそのロー
ル31と出口ロール19の間におけるシート10
の傾斜と同一或いは略同一の場合もあり得、その
場合に該ロール31は該シート10に介在してい
る他のガイドロールと協同作用を呈することもあ
りうる。 なお該ロール31の形状はフラツト型に限定さ
れず、断面湾曲型等であつてもよく、また該ロー
ル31の径(大きさ)も限定されない。 以上のような出口含浸促進ロール31を設けた
場合には、高速下でも樹脂含浸度のバラツキをな
くし、繊維シート間の繊維方向に割れ目(所謂ス
プリツト)を発生させないという効果がある。 第3の改良は、第2加熱ロール18、第3加熱
ロール50及び第4加熱ロール51(これらの中
間加熱ロールと称する)の各々に含浸促進ロール
32,33,34を接設することである。 該第2加熱ロール18及び第4加熱ロール51
は本実施態様では上方にテンシヨンをかけるもの
であり、該含浸促進ロール32,34は各々第2
及び第4加熱ロール18,51の下方に接設され
ることが好ましい。同様に含浸促進ロール33は
第3加熱ロール50の上方に接設させることが好
ましい。 含浸促進ロール32,33,34の大きさは特
に限定されない。 含浸促進ロール32,33,34の設けられる
位置は、加熱ロール18,50,51の真下或い
は真上に限定されず、幾分前後(左右)に偏つて
いてもよい。 以上の含浸促進ロール32,33,34を設け
ることにより、搬送の高速化をはかつても繊維シ
ート10への樹脂含浸のバラツキをなくすことが
でき、かつ製品厚みの調整ができる。 第4の改良は、ロール21とロール22の間及
びロール19とロール24の間に各々蛇行調整ロ
ール35,36を設けることである。 該ロール35と36は、ロール21,24が図
面上上下方向の移動によつてテンシヨンを調整す
るのに対し、ロールの一端のみを図面上左右方向
に移動することによつてベルトの蛇行を調整す
る。 該ロール35と36を左右方向へ移動させる手
段は特に限定されず、例えば各種スライダ等を用
いることができる。 なお、該ロール35と36は、図示しないがベ
ルト14,15の外側に接する位置に設けられ、
該ベルト14と15を外側から押圧し蛇行を調整
するようにしてもよく、この場合にロール35,
36の材質はアルミニウム等の柔らかいものが好
ましい。また、該ロール35,36は、ロール2
0とロール21の間、ロール23とロール24の
間に各々設けられてもよい。 なおまた、ロール35,36以外に該ロール3
5,36と同方向又は異方向に移動可能な一又は
二以上のロールを付加してもよい。 又、ロール19,22或いはロール17,20
の各々のロールの一端だけを左右方向に移動させ
ることにより、当該蛇行調整機能を上記ロールに
付与させてもよい。 以上の蛇行調整ロール35,36を設けると、
テンシヨンロールのみだつた場合に生じるおそれ
があつたベルトの蛇行を防止できる。 第5の改良は、出口ロール19の1つ手前のロ
ール51の前方のベルトBxの張力を、該1つ手
前のロール51の後方のベルトByの張力より大
きくするための張力調整手段Tを設けることであ
る。 該張力調整手段Tは、例えば出口ロール19に
直結された駆動モーター16と、該出口ロール1
9の1つ手前のロール51に直結された変速機1
6Aとからなり、該出口ロール19の1つ手前の
ロール51の回転数を異ならしめる構成、即ち該
変速機16Aの駆動力をロール51に伝達するよ
うに構成することが好ましい。 変速機16Aとしては、連続的又は段階的に変
化させることが可能なものであればよく、自動、
半自動、手動式のいずれでもよい。また変速方式
は例えばベルト式、歯車式等のいずれであつても
よい。変速機の調整範囲は特に限定される訳では
ないが、駆動モーター回転(数)の10〜95%が好
ましい。 本発明においては、出口ロール19の回転を速
くし、その一つ手前のロール51の回転を遅くす
るように、変速機16Aの変速度合を調整するこ
とが好ましい。 上下出口ロール(上下プルロール)19及び2
2に駆動力を伝達するには、駆動モーター16に
連結された駆動ギヤ19Aを設け、且つ該駆動ギ
ヤ19Aに連結されたギヤ22Aを設け、該駆動
ギヤ19Aから出口ロール19に、ギヤ22Aか
らロール22に伝達するようにすることができ
る。 また、第3加熱ロール50と第4加熱ロール5
1は各々のギヤ50Aと51Aが噛み合つてい
る。 以上のように各ロールが駆動源と連結された結
果、ロール50,51,19,22は駆動ロール
として機能し、かつロール17,18,20,2
1,23,24,32,33,34,35,36
が従動ロールとして機能する。 尚、ロール35,36については出口上下ロー
ル19,22より若干速く駆動することも可能で
あり、この場合、前述の蛇行調整機能をさらに向
上し得る。 本実施態様においては、出口ロール19に対し
て一つの手前のロール51の回転を変化(制御を
含む)させることにより、ロール51の前後のベ
ルトのテンシヨンに変化をもたせる点に特徴を有
するものである。 以上のように出口ロールと該ロールの一つ手前
のロールとの回転を異ならしめる減速機構付の駆
動源を設けると、各ロール間のベルトにかかるテ
ンシヨンを自由に変えることができ、ベルトテン
シヨンを出口から入口に向つて順次弱くした場合
には、ベルトの開きを防止し、外気の吸入による
樹脂劣化を防止することができる。 冷却部 上記のようにして樹脂を含浸された繊維シート
10は、冷却部に設けられる冷却装置26内を通
過する間に樹脂軟化点未満に冷却される。 冷却装置26内は使用した樹脂に応じた冷却速
度で冷却可能に構成することができる。冷却速度
の制御方法としては、冷却装置の入口から出口に
向つてヒーター、熱風、冷風等を用いて温度勾配
をつけることが好ましい。 該冷却装置26は第1図に示す如く、樹脂含浸
部3の後工程に設けられてもよいが、これに限定
されず、第7図に示すように樹脂含浸部3内に設
けることもできる。 第7図に示す冷却装置26は、その詳細を示す
第8図によれば、1対又は複数対のロール261
で構成されており、下ロール群262は水槽26
3に貯えられた水により冷却される。又上ロール
群264は、ノズル265から散布される水によ
り冷却される。これらのロール表面に石綿のごと
く保水性のある部材を取付けることは冷却効率の
面から好ましい。 これら冷却された下、上ロール群262,26
4により該上下ベルト14,15が冷却されるこ
とにより、繊維シート10が冷却される。下、上
ロール群262,264は第9図に示すボルト・
ナツト266を締付けることによりロール群のニ
ツプ力を任意に調節することができる。 このような樹脂含浸部内での冷却を行うと、該
冷却時においても空気との接触をなくし酸化劣化
の防止の完全化をはかることができる。 また、上下ベルトを介した冷却にすると、冷却
媒体による繊維シートないし織布の汚れの心配が
ないため、コスト的に安い水冷等をも採用でき、
プロセス的汎用性が高いという効果を有する。 以上の第7図の実施態様を更に改良して第10
図のように構成すると、第6図の実施例と同様に
高速含浸が可能となる。 なお、第7図及び第10図において第1図又は
第6図に示す符号と同一の符号の部位は同一構成
であるため、その説明を省略する。 第7図及び第10図において、ロール50は加
熱されるが、ロール19及び22は加熱しない。
冷却後に加熱することは好ましくないからであ
る。 引取部 このようにして冷却された繊維シート10は引
取部4の引取ロール27で張力をかけながら引取
られ、巻取軸29に巻き取られる。なお、28は
引取ロール27及び巻取軸29用のモーターであ
る。 以上、本発明の実施態様について説明したが、
これらに限定されるものではなく、例えば第1図
に示す繊維繰出部1の代わりに繊維シートセツト
部としてビームドヤーンを用い、該ビームドヤー
ドを架台にセツトし、該ビームドヤーンから繊維
シートを供給し、以下同様に処理することも可能
である。この場合、繊維に適度のテンシヨンがか
かる様ビームドヤーンの回転を制御することは好
ましいことである。 以上の実施態様は、本発明を複数の連続繊維か
ら得られた繊維シートに適用した場合を示すもの
であるが、本発明を織布(シート)に適用する場
合には、第5図に示す繰出部1に織布原反セツト
部1Aを設け、該セツト部1Aに織布原反をセツ
トし、該織布を織布供給部2Aを介して前記の樹
脂含浸部3に供給して、上記実施態様と同様に含
浸せしめることができる。 また以上の実施態様では、ダイ13からの樹脂
の供給を下ベルト15に対して行ったが、これら
に限定されず、ダイ13からの樹脂の供給を上ベ
ルト14に対して行つてもよい。その場合、ロー
ル配置及びテンシヨン方向は図示の例における繊
維シート10の搬送系中心を境にして天地(上
下)逆にすることにより、略同様の作用効果を呈
することが可能である。 なお第5図において、第1図に示す符号と同一
の符号の部位は同一構成であるため、その説明を
省略する。また樹脂含浸部3及び引取部4は実施
例1と同一であるので図示を省略した。 [実施例] 以下、本発明を実施例により説明する。 実施例 1 第1図に示した装置の各部の仕様がボビン数
100個、押出機30mmφ、ロール17〜24の巾400
mm、ロール径240mmφ、上下ベルト14,15の
厚み0.5mm、巾350mmであるものを用いた。 連続繊維は炭素繊維(ベスフアイトHTA−7
−3000)を用い、熱可塑性樹脂としてポリエーテ
ルエーテルケトン(ICI社、VICTREX PEEK)
を用いた。このポリエーテルエーテルケトンの粘
度は温度380℃で剪断速度100sec-1において、
7000ポイズのものであつた。 前記100個のボビンから繰り出された連続繊維
を整列させて15cmの巾の繊維シートと成した。一
方、押出機で380℃に加熱溶融されたポリエーテ
ルエーテルケトンを、コートハンガーダイから
400℃に加熱された第23ロール上で50cm/分の速
度で移動する下ベルトに塗膜厚60μmで塗布し
た。150Kgの張力をかけられた前記繊維シートは
上下ベルト14,15に挟まれた状態で400℃に
加熱されたロール17,18,19,20,22
間を第1図に示した状態で通過させて繊維シート
内のポリエーテルエーテルケトンを含浸せしめ、
140℃に保つた徐冷炉内で徐冷した後、引取機で
巻取つた。 上記運転を連続的に24時間運転を行つたが、樹
脂の熱、酸化劣化による架橋やゲル化の現象もな
く順調に運転することができた。 得られたシートは樹脂量が35重量%で厚み0.13
mmであり、且つ繊維に乱れがなく繊維間にボイド
のないものであつた。又、得られたシート中の樹
脂分子量保持率を測定した所95%であつた。尚、
ここで言う樹脂分子量保持率とは加熱前の樹脂分
子量を100とした時の相対分子量パーセントであ
る。 比較例 特開昭61−229535号の実施例1に示された装置
及び製造条件で当該シートを得た。ロール上の樹
脂は運転時間とともに熱、酸化劣化によるゲル化
が進行し約3時間後には樹脂の流動が困難となり
含浸不能、繊維フイラメントの破断の為、運転不
能となつた。 得られたシートは樹脂量が36重量%で厚み0.13
mmであつた。又、繊維に乱れがなく繊維間にボイ
ドのないものであつたがシート中の樹脂分子量保
持率を測定した所、80%であり含浸時に樹脂劣化
を起こしていることが判る。 実施例 2〜4 実施例1において樹脂の種類及び操作条件を表
1に示す如く変化させて樹脂含浸シートを得た。
【表】
表1から明らかな様に、本発明によれば何れの
樹脂を用いてもほとんど樹脂劣化のない良好な含
浸シートが得られることが判る。 実施例 5 第5図(省略した部分は第1図参照)に示した
装置の各部の仕様が、押出機30mmφ、ロール17〜
24の巾400mm、ロール径240mmφ、上下ベルト1
4,15の厚み0.5mm、巾350mmであるものを用い
た。 連続繊維は、炭素繊維平織織布(ベスフアイト
W−1103)で巾200mmに調整した。又、熱可塑性
樹脂は実施例1と同じポリエーテルエーテルケト
ンを用いた。 前記織布を織布原反セツト部1Aに上架し、張
力調整ロールにて引取方向に30Kgの張力をかけ
た。 一方、押出機で、380℃に加熱溶融されたポリ
エーテルエーテルケトンを、コートハンガーダイ
から400℃に加熱された第23ロール上で50cm/分
の速度で移動する下ベルトに塗膜厚60μmで塗布
した。張力をかけられた前記織布10は上下ベル
ト14,15に挾まれた状態で400℃に加熱され
たロール17,18,19,20,22間を第5
に示した状態で通過させて織布のポリエーテルエ
ーテルケトンを含浸せしめ、140℃に保つた徐冷
炉内で徐冷した後、引取部で巻取つた。 上記運転を連続的に24時間運転を行つたが、樹
脂の熱、酸化劣化によるゲル化の現象もなく順調
に運転することができた。 得られた繊維補強樹脂シートは樹脂量が35重量
%厚み0.13mmであり、且つ繊維に乱れがなく繊維
間にボイドのないものであつた。又得られた繊維
補強樹脂シート中の樹脂分子量保持率を測定した
所95%であつた。 実施例 6〜15 第1図における樹脂含浸部を第6図に示した装
置に代えた各部の仕様は、ボビン数100個、押出
機30mmφ、ロール17,18,19,20,2
1,22,23,24,50,51の巾400mm、
ロール径240mmφ、上下ベルト14及び15の厚
み0.5mm、巾350mmであるものを用いた。ただしロ
ール30,32,33,34,35,36及び出
口含浸促進ロール31、減速機16Aについては
表2のように変化させるた。 また含浸促進ロール30はロール巾400mm、ロ
ール径100mmφのものを用い、さらに含浸促進ロ
ール32,33,34はロール巾400mm、ロール
径120mmのものを用いた。 ロール19と51の回転数は、表2のように設
定した。なお減速機16Aとしてパウダークラツ
チを用いた。 連続繊維は炭素繊維(ベスフアイトHTA−7
−3000)を用い、熱可塑性樹脂として表2に示す
ものを用いた。 前記100個のボビンから繰り出された連続繊維
を整列させて15cmの巾の繊維シートと成した。一
方、押出機で溶融された表2に示す樹脂をコート
ハンガーダイから表2に示す如く加熱されたロー
ル23上で75cm/分の速度で移動する下ベルト1
5に塗膜厚を表2の厚さに塗布した。150Kgの張
力をかけられた前記繊維シートは上下ベルト1
4,15に挟まれた状態で表2に示す如く加熱さ
れたロール17,18,20,50,51,1
9,22間を第1図、第6図に示した状態で通過
させて繊維シート内の表2に示す樹脂を含浸せし
めた。 次いで表2に示す温度に保つた冷却装置で徐冷
した後、引取機で巻取つた。 上記運転を連続的に24時間運転を行つたが、樹
脂の熱、酸化劣化によるゲル化の現象が全く見ら
れず順調に運転することができた。 表2に上述の実験条件及びその結果を示した。 なお表中の※は下記の通りであり。 ※3減速機16Aが無い場合は、ロール17,
18,50,51を駆動するための駆動用モ
ーターを駆動用モーター16と別に設けた。 ※4ボイド率: 樹脂含浸シートの比重、繊維含有重量百分率か
ら求めた値。
樹脂を用いてもほとんど樹脂劣化のない良好な含
浸シートが得られることが判る。 実施例 5 第5図(省略した部分は第1図参照)に示した
装置の各部の仕様が、押出機30mmφ、ロール17〜
24の巾400mm、ロール径240mmφ、上下ベルト1
4,15の厚み0.5mm、巾350mmであるものを用い
た。 連続繊維は、炭素繊維平織織布(ベスフアイト
W−1103)で巾200mmに調整した。又、熱可塑性
樹脂は実施例1と同じポリエーテルエーテルケト
ンを用いた。 前記織布を織布原反セツト部1Aに上架し、張
力調整ロールにて引取方向に30Kgの張力をかけ
た。 一方、押出機で、380℃に加熱溶融されたポリ
エーテルエーテルケトンを、コートハンガーダイ
から400℃に加熱された第23ロール上で50cm/分
の速度で移動する下ベルトに塗膜厚60μmで塗布
した。張力をかけられた前記織布10は上下ベル
ト14,15に挾まれた状態で400℃に加熱され
たロール17,18,19,20,22間を第5
に示した状態で通過させて織布のポリエーテルエ
ーテルケトンを含浸せしめ、140℃に保つた徐冷
炉内で徐冷した後、引取部で巻取つた。 上記運転を連続的に24時間運転を行つたが、樹
脂の熱、酸化劣化によるゲル化の現象もなく順調
に運転することができた。 得られた繊維補強樹脂シートは樹脂量が35重量
%厚み0.13mmであり、且つ繊維に乱れがなく繊維
間にボイドのないものであつた。又得られた繊維
補強樹脂シート中の樹脂分子量保持率を測定した
所95%であつた。 実施例 6〜15 第1図における樹脂含浸部を第6図に示した装
置に代えた各部の仕様は、ボビン数100個、押出
機30mmφ、ロール17,18,19,20,2
1,22,23,24,50,51の巾400mm、
ロール径240mmφ、上下ベルト14及び15の厚
み0.5mm、巾350mmであるものを用いた。ただしロ
ール30,32,33,34,35,36及び出
口含浸促進ロール31、減速機16Aについては
表2のように変化させるた。 また含浸促進ロール30はロール巾400mm、ロ
ール径100mmφのものを用い、さらに含浸促進ロ
ール32,33,34はロール巾400mm、ロール
径120mmのものを用いた。 ロール19と51の回転数は、表2のように設
定した。なお減速機16Aとしてパウダークラツ
チを用いた。 連続繊維は炭素繊維(ベスフアイトHTA−7
−3000)を用い、熱可塑性樹脂として表2に示す
ものを用いた。 前記100個のボビンから繰り出された連続繊維
を整列させて15cmの巾の繊維シートと成した。一
方、押出機で溶融された表2に示す樹脂をコート
ハンガーダイから表2に示す如く加熱されたロー
ル23上で75cm/分の速度で移動する下ベルト1
5に塗膜厚を表2の厚さに塗布した。150Kgの張
力をかけられた前記繊維シートは上下ベルト1
4,15に挟まれた状態で表2に示す如く加熱さ
れたロール17,18,20,50,51,1
9,22間を第1図、第6図に示した状態で通過
させて繊維シート内の表2に示す樹脂を含浸せし
めた。 次いで表2に示す温度に保つた冷却装置で徐冷
した後、引取機で巻取つた。 上記運転を連続的に24時間運転を行つたが、樹
脂の熱、酸化劣化によるゲル化の現象が全く見ら
れず順調に運転することができた。 表2に上述の実験条件及びその結果を示した。 なお表中の※は下記の通りであり。 ※3減速機16Aが無い場合は、ロール17,
18,50,51を駆動するための駆動用モ
ーターを駆動用モーター16と別に設けた。 ※4ボイド率: 樹脂含浸シートの比重、繊維含有重量百分率か
ら求めた値。
【表】
【表】
実施例 16
第1図の繰出部1、供給部2を第5図の様に変
更した装置を用いて実施した。尚、樹脂含浸部の
各仕様は実施例6と同じであつた。 連続繊維は炭素繊維平織織布(ベスフアイトW
−1103)を巾200mmに調整したものを用いた。又、
熱可塑性樹脂は実施例6と同じポリエーテルエー
テルケトンを用いた。 前記織布を繰出部1に上架し、張力調整ロール
にて引取方向に30Kgの張力をかけた。次いで実施
例6と同じ条件で含浸後、徐冷炉内で徐冷して樹
脂含浸シートを得た。得られた樹脂含浸シートは
厚み0.13mm、ボイド率0.4%、樹脂分子量保持率
98%のものであつた。 実施例 17 第1図に示す樹脂含浸部及び冷却装置を第7図
のように変更した装置を用いて、実施例1と同様
に含浸、冷却、巻取を行つた。 上記運転を連続的に24時間運転を行つたが、樹
脂の熱、酸化劣化によるゲル化の現象が全く見ら
れず順調に運転することができた。 得られたシートは樹脂量が35重量%で厚み0.13
mmであり、且つ繊維に乱れがなく繊維間にボイド
のないものであつた。又得られたシート中の樹脂
分子量保持率を測定した所97%であつた。 実施例 18〜20 実施例17において樹脂の種類及び操作条件を表
3に示す如く変化させて樹脂含浸シートを得た。
更した装置を用いて実施した。尚、樹脂含浸部の
各仕様は実施例6と同じであつた。 連続繊維は炭素繊維平織織布(ベスフアイトW
−1103)を巾200mmに調整したものを用いた。又、
熱可塑性樹脂は実施例6と同じポリエーテルエー
テルケトンを用いた。 前記織布を繰出部1に上架し、張力調整ロール
にて引取方向に30Kgの張力をかけた。次いで実施
例6と同じ条件で含浸後、徐冷炉内で徐冷して樹
脂含浸シートを得た。得られた樹脂含浸シートは
厚み0.13mm、ボイド率0.4%、樹脂分子量保持率
98%のものであつた。 実施例 17 第1図に示す樹脂含浸部及び冷却装置を第7図
のように変更した装置を用いて、実施例1と同様
に含浸、冷却、巻取を行つた。 上記運転を連続的に24時間運転を行つたが、樹
脂の熱、酸化劣化によるゲル化の現象が全く見ら
れず順調に運転することができた。 得られたシートは樹脂量が35重量%で厚み0.13
mmであり、且つ繊維に乱れがなく繊維間にボイド
のないものであつた。又得られたシート中の樹脂
分子量保持率を測定した所97%であつた。 実施例 18〜20 実施例17において樹脂の種類及び操作条件を表
3に示す如く変化させて樹脂含浸シートを得た。
【表】
ベルトの温度を計つたものである。
表3から明らかな様に、本発明によれば何れの
樹脂を用いてもほとんど樹脂劣化のないより良好
な含浸シートが得られることが判る。 実施例 21 第1図の繰出部1、供給部2を第5図の様に変
更した装置を用いて実施した。尚、樹脂含浸部の
各仕様は実施例17と同じであつた。 連続繊維は炭素繊維平織織布(ベスフアイトW
−1103)を巾200mmに調整したものを用いた。又、
熱可塑性樹脂は実施例17と同じポリエーテルエー
テルケトンを用いた。 前記織布を繰出部1Aに上架し、張力調整ロー
ルにて引取方向に30Kgの張力をかけた。次いで実
施例17と同じ条件で含浸後、徐冷炉内で徐冷して
樹脂含浸シートを得た。 得られたシートは樹脂量が35重量%、厚み0.13
mmであり、且つ繊維に乱れがなく、繊維間にボイ
ドのないものであつた。又、得られたシート中の
樹脂分子量保持率を測定した所97%であつた。 [発明の効果] 本発明によれば、安定した連続運転が可能であ
り、且つ樹脂劣化の少ない高性能な繊維補強シー
ト状プリプレグの製造方法及びその装置を提供す
ることができる。
表3から明らかな様に、本発明によれば何れの
樹脂を用いてもほとんど樹脂劣化のないより良好
な含浸シートが得られることが判る。 実施例 21 第1図の繰出部1、供給部2を第5図の様に変
更した装置を用いて実施した。尚、樹脂含浸部の
各仕様は実施例17と同じであつた。 連続繊維は炭素繊維平織織布(ベスフアイトW
−1103)を巾200mmに調整したものを用いた。又、
熱可塑性樹脂は実施例17と同じポリエーテルエー
テルケトンを用いた。 前記織布を繰出部1Aに上架し、張力調整ロー
ルにて引取方向に30Kgの張力をかけた。次いで実
施例17と同じ条件で含浸後、徐冷炉内で徐冷して
樹脂含浸シートを得た。 得られたシートは樹脂量が35重量%、厚み0.13
mmであり、且つ繊維に乱れがなく、繊維間にボイ
ドのないものであつた。又、得られたシート中の
樹脂分子量保持率を測定した所97%であつた。 [発明の効果] 本発明によれば、安定した連続運転が可能であ
り、且つ樹脂劣化の少ない高性能な繊維補強シー
ト状プリプレグの製造方法及びその装置を提供す
ることができる。
第1図は本発明の一実施態様を示す概略側面
図、第2図は連続繊維を巻付けられたボビンの取
付け構造を示す断面図、第3図は連続繊維を集め
配列して繊維シートと成す整列器の正面図、第4
図は同上の平面図(全体の半分だけ繊維シートを
表している)、第5図は本発明を織布に適用する
場合の一例を示す要部側面図、第6図は樹脂含浸
部を改良した一例を示す概略側面図、第7図は樹
脂含浸部の他の例を示す側面図、第8図は冷却装
置の概略断面図、第9図は同じく概略側面図、第
10図は樹脂含浸部の他の例を示す詳細図であ
る。
図、第2図は連続繊維を巻付けられたボビンの取
付け構造を示す断面図、第3図は連続繊維を集め
配列して繊維シートと成す整列器の正面図、第4
図は同上の平面図(全体の半分だけ繊維シートを
表している)、第5図は本発明を織布に適用する
場合の一例を示す要部側面図、第6図は樹脂含浸
部を改良した一例を示す概略側面図、第7図は樹
脂含浸部の他の例を示す側面図、第8図は冷却装
置の概略断面図、第9図は同じく概略側面図、第
10図は樹脂含浸部の他の例を示す詳細図であ
る。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 熱可塑性樹脂の軟化点以上に加熱された一対
のベルトの少なくとも一方のベルトに前記熱可塑
性樹脂を塗布すると共に該塗膜を対向する一対の
ベルト間に導入し、繊維シートを該一対のベルト
間を通過させることにより繊維に熱可塑性樹脂を
含浸させて繊維補強シート状プリプレグを製造す
る方法。 2 繊維シートが、複数の連続繊維を一方向に揃
えて経糸の如くに形成されたシートであることを
特徴とする請求項1記載の繊維補強シート状プリ
プレグの製造方法。 3 繊維シートが織布であることを特徴とする請
求項1記載の繊維補強シート状プリプレグの製造
方法。 4 繊維シートが一対のベルト間を通過した後、
冷却されることを特徴とする請求項1記載の繊維
補強シート状プリプレグの製造方法。 5 繊維シートが一対のベルト間で樹脂含浸後、
該ベルト間で冷却されることを特徴とする請求項
1記載の繊維補強シート状プリプレグの製造方
法。 6 繊維シートを供給する手段と、熱可塑性樹脂
の軟化点以上に加熱された加熱ロールを有するロ
ール群に支持された一対のベルトと、ベルトの少
なくとも一方に熱可塑性樹脂塗膜を付与するため
の手段を有する樹脂含浸部と、樹脂含浸部を通過
した後引取りを行う引取部とを有することを特徴
とするシート状プリプレグの製造装置。 7 繊維を供給するための複数のボビンを有する
る繊維供給部と、繊維繰出時の張力を調節する機
構と、繊維を一方向に揃える機構とを具備してい
ることを特徴とする請求項6記載の繊維補強シー
ト状プリプレグの製造装置。 8 予め一方向に必要本数の連続繊維をワープビ
ームに経糸の如く巻き付けたビームドヤーンをセ
ツトする手段を具備していることを特徴とする請
求項6記載の繊維補強シート状プリプレグの製造
装置。 9 織布を供給する手段を具備していることを特
徴とする請求項6記載の繊維補強シート状プリプ
レグの製造装置。 10 樹脂含浸部と引取部との間に前記熱可塑性
樹脂を該樹脂の軟化点未満に冷却するための冷却
部を有することを特徴とする請求項6記載の繊維
補強シート状プリプレグの製造装置。 11 樹脂含浸部内に前記熱可塑性樹脂を該樹脂
の軟化点未満に冷却するための冷却部を有するこ
とを特徴とする請求項6記載の繊維補強シート状
プリプレグの製造装置。 12 樹脂含浸部の入口に有する入口加熱ロール
の近傍に設けられ、繊維シートを該入口加熱ロー
ルに圧接せしめる樹脂含浸促進ロールを有するこ
とを特徴とする請求項6記載の繊維補強シート状
プリプレグの製造装置。 13 樹脂含浸部の出口に有する出口加熱ロール
の近傍に設けられ、繊維シートを該出口加熱ロー
ルに圧接せしめる樹脂含浸促進ロールを有するこ
とを特徴とする請求項6記載の繊維補強シート状
プリプレグの製造装置。 14 入口加熱ロールと出口加熱ロールの中間に
配置された中間加熱ロールに接設され、繊維シー
トを該中間加熱ロールに圧接せしめる樹脂含浸促
進ロールを有することを特徴とする請求項6記載
の繊維補強シート状プリプレグの製造装置。 15 一対のベルトの張力を調整する手段を具備
することを特徴とする請求項6記載の繊維補強シ
ート状プリプレグの製造装置。 16 張力調整手段がベルトを支持する複数のロ
ールと、出口ロールの一つ手前のロールの前方ベ
ルトの張力(Bx)を、一つの手前のロールの後
方ベルトの張力(By)より大きくするための張
力調整手段であることを特徴とする請求項15記
載の繊維補強シート状プリプレグの製造装置。 17 繊維シートを供給する手段と、熱可塑性樹
脂の軟化点以上に加熱された入口ロール・出口ロ
ール・中間ロールに支持されている一対のベルト
と、熱可塑性樹脂塗膜を少なくとも一方のベルト
に塗布するための押出機とダイとを具備する樹脂
含浸部と、入口ロールの近傍に設けられている第
1樹脂含浸促進ロールと、中間ロールに接設され
ている樹脂含浸促進ロールと、出口ロールの近傍
に設けられている出口含浸促進ロールと、出口ロ
ールの一つ手前のロールの前方ベルトの張力
(Bx)を一つ手前のロールの後方ベルトの張力
(By)より大きくするための張力調整手段と、熱
可塑性樹脂の含浸されたシートを冷却する手段
と、ベルト間を通過した熱可塑性樹脂含浸繊維シ
ートを巻き取る手段、とを具備したことを特徴と
する繊維補強シート状プリプレグの製造装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
1988
- 1988-05-09 JP JP63113385A patent/JPH0248907A/ja active Granted
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