JP7591876B2 - 不飽和基含有環状ポリオレフィン - Google Patents
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Description
ところで、この低分子量ポリプロピレンは粘着性を有するため、ブロッキングが生じ、取扱性が悪いという問題点を有する(特許文献1[発明が解決しようとする課題])。
また、ポリオレフィン類に対しては、容易に被着材に塗工や積層できる性能も求められている。
即ち、本発明は以下の特徴を有する。
[3]モノマー単位1,000個あたりの、ビニル基及びビニリデン基の合計数が1~200である、[1]又は[2]に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィン。
[4]モノマー単位1,000個あたりの、ビニリデン基数が1~100である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィン。
[6]前記芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体が90%以上の水素化レベルをもつ、[1]~[4]のいずれか一項に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィン。
[7]前記環状ポリオレフィンを、不活性ガス中、300~400℃で0.5~10時間熱減成処理する、[1]~[6]のいずれか一項に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィンを製造する方法。
[9][1]~[6]のいずれか一項に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィンが、基材上に積層された、不飽和基含有環状ポリオレフィン含有積層体。
[10][8]に記載の有機溶媒-不飽和基含有環状ポリオレフィン混合物を基材に塗工した後、溶媒を除去して積層体を得る、不飽和基含有環状ポリオレフィン含有積層体の製造方法。
また、本発明の溶液又はスラリーは、金属、ガラス、プラスチック等の基材に塗工することができ、有機溶媒を除去することで、透明性を有し、且つ、良好な接着強度をもった塗膜となる。
さらに、本発明の不飽和基含有環状ポリオレフィンや積層体は、塩素化等を行なわないので、燃焼時に有毒ガスが発生しない。
以下において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
本発明は、環状ポリオレフィンの分子構造中にビニル基及び/又はビニリデン基を有する不飽和基含有環状ポリオレフィンである。
該環状ポリオレフィンとは、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーの水素化体、又は、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体及び共役ジエンモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体を有する水素化ブロックコポリマーをいう。
不飽和基含有環状ポリオレフィンのMwが上記下限以上であれば、材料強度が低下せず、接着性が低下しないので好ましい。また、Mwが上記上限以下であれば、有機溶媒への溶解性が低下しないので好ましい。
不飽和基含有環状ポリオレフィンのMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定によって決定され、その具体的な測定方法は実施例の項に記載する通りである。
不飽和基含有環状ポリオレフィンが有する不飽和基は、ビニル基及び/又はビニリデン基である。これらのうちでは、ビニリデン基が好ましい。
尚、本発明の不飽和基含有環状ポリオレフィンは、ビニル基、ビニリデン基以外の不飽和基を含有していてもよい。
不飽和基含有環状ポリオレフィンが有するビニル基数及びビニリデン基数は、1H-NMR測定結果より以下のように求めることでできる。
[((4.9~5.1ppm領域,5.7~5.9ppm領域のビニルシグナルの積分値の合計)/ビニル基の水素の数)×1,000]
/[((0.2~3.0ppm領域の主鎖由来のシグナルの積分値)/環状ポリオレフィンのモノマー単位の水素の数)]
[((4.69ppm,4.74ppmのビニリデンシグナルの積分値の合計)/ビニリデン基の水素の数)×1,000]
/[((0.2~3.0ppm領域の主鎖由来のシグナルの積分値)/環状ポリオレフィンのモノマー単位の水素の数)]
また、環状ポリオレフィンのモノマー単位の水素の数は、例えば、スチレン単位の水素化体の場合は14、ブタジエン単位の水素化体の場合は8を用いる。スチレン単位の水素化体とブタジエン単位の水素化体の比率は、実施例の項に記載するカーボンNMRによる測定によって算出される。
不飽和基含有環状ポリオレフィンが有する不飽和基数が上記下限以上であれば、不飽和基含有環状ポリオレフィンの有機溶媒への溶解性及び接着性の効果を十分に発現することができる。また、上記上限以下であれば、分子量が小さくならず、材料強度が低下しない。
不飽和基含有環状ポリオレフィンの環状ポリオレフィンが、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーの水素化体である場合、その水素化レベルとは、芳香族ビニルモノマー単位が水素化によって飽和される割合を示し、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、97%以上が更に好ましい。このように高レベルの水素化は、透明性のために好ましい。
前記水素化レベルは、プロトンNMRを用いて決定される。
本発明の不飽和基含有環状ポリオレフィンは、環状ポリオレフィン(a)を熱減成処理することで製造することができる。
例えば、環状ポリオレフィン(a)を窒素通気下で、300~400℃で0.5~10時間、熱減成する方法がある。
本発明の不飽和基含有環状ポリオレフィンの原料となる環状ポリオレフィン(a)は、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーの水素化体、又は、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体及び共役ジエンモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体を有する水素化ブロックコポリマーである。
ここで、環状ポリオレフィンの「環状」とは、芳香族ビニルモノマー単位が有する芳香族環の水素化により生じる脂環式構造のことをいう。
芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーの水素化体としては、例えば、ポリスチレンの水素化体、スチレン/α-メチルスチレン共重合体の水素化体、スチレン/ビニルナフタレン共重合体の水素化体が挙げられる。
これらの中では、ポリスチレンの水素化体が好ましい。
また、該水素化ブロックコポリマーは、前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位を少なくとも2個有すると共に、前記水素化共役ジエンポリマーブロック単位を少なくとも1個有するものである。
即ち、分子構造中には実質的にビニル基、ビニリデン基を含まないものであり、これによって熱減成前のポリマーと熱減成後のポリマーを区別することができる。
即ち、分子構造中には実質的にビニル基、ビニリデン基を含まないものであり、これによって熱減成前のポリマーと熱減成後のポリマーを区別することができる。
前記のArは、フェニル基又はアルキルフェニル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
共役ジエンモノマーとしては、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2-メチル-1,3ペンタジエンとその類似化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
そして、水素化ブロックコポリマーの好ましい一態様としては、スチレンとブタジエンの水素化トリブロック又はペンタブロックコポリマーを挙げることができ、他の如何なる官能基又は構造的変性剤も含まないことが好ましい。
水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の比率が上記下限以上であれば剛性が低下することがなく、上記上限以下であれば脆性が悪化することがない。
水素化共役ジエンポリマーブロック単位の比率が上記下限以上であれば脆性が悪化することがなく、上記上限以下であれば剛性が低下することがない。
Mwが上記下限以上であれば機械強度が低下せず、上記上限以下であれば得られる不飽和基含有環状ポリオレフィンの有機溶媒への溶解性が向上する。
本明細書のMwは、GPCの測定によって決定される。
このように高レベルの水素化は、透明性を発現させるために好ましい。
前記水素化レベルは、プロトンNMRを用いて決定される。
MFRは、ISO R1133に従って、測定温度230℃、測定荷重2.16kgの条件で測定した。
環状ポリオレフィン(a)としては、市販のものを用いることができ、具体的には三菱ケミカル(株)製:ゼラス(商標登録)が挙げられる。
本発明の不飽和基含有環状ポリオレフィンは、有機溶媒に溶解又は懸濁させて、溶液又はスラリーとすることができ、有機溶媒と不飽和基含有環状ポリオレフィンとの混合物(有機溶媒-不飽和基含有環状ポリオレフィン混合物)を得ることができる。
ここで溶液とは、上記不飽和基含有環状ポリオレフィンが有機溶媒中に溶解した状態を表す。即ち、不飽和基含有環状ポリオレフィンが有機溶媒中に分子分散した状態を表す。
また、スラリーとは、有機溶媒中に不飽和基含有環状ポリオレフィンの粒子が混ざりこんだ懸濁体を表す。
一般にポリオレフィン類は有機溶媒への溶解性が悪く、仮に溶けてもゲル化して塗工に適さないものであるが、本発明の不飽和基含有環状ポリオレフィンは、この点で特異的な性質を示すものである。
芳香族系の溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ブロモナフタレン等が挙げられ、脂肪族系の溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられ、脂環式の溶媒としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロデカン等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、取扱い性や留去の容易さの観点から、トルエン、シクロヘキサンが好ましい。
上記不飽和基含有環状ポリオレフィンの濃度が上記下限以上であれば、溶液粘度が適切となり塗工作業に好適である。また上記上限以下であれば、溶液粘度が適切であり、ゲル化が生じることもない。
上記の溶液又はスラリー中の不飽和基含有環状ポリオレフィンの濃度は、5~20質量%がより好ましい。
本発明の不飽和基含有環状ポリオレフィンの溶液又はスラリーには、その機能性の更なる向上を目的として、以上で挙げたもの以外の成分を含んでいてもよい。
このようなその他の成分としては、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂、硬化促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、カップリング剤、可塑剤、フラックス、難燃剤、着色剤、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤、無機フィラー、有機フィラー等が挙げられる。
このような樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン/α-オレフィン共重合樹脂、プロピレン/α-オレフィン共重合樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン/アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン/ビニルアルコール共重合体、アクリル系樹脂、石油樹脂、スチレン/共役ジエンブロック共重合樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂が挙げられる。
また前記エラストマー成分としては、例えば、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アクリル系エラストマー、ナイロン系エラストマーが挙げられる。
その他の樹脂成分やエラストマー成分の含有率は、全成分の80質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
本発明の不飽和基含有環状ポリオレフィンは、金属、ガラス及びプラスチック等の基材に対する接着強度が良好であり、べたつかない接着表面が得られ、金属、ガラス又はプラスチックとの積層体を得ることができる。
積層の方法は特に決まっておらず、熱プレス、溶融押出成形、インサートインジェクション成形等、公知の積層方法を用いることができる。
塗工の方法としてはバーコーター、ブレードコーター、ダイコーター、グラビアロールコーター、スプレーコート等の他、刷毛で塗工することも可能である。塗工の厚さは必要に応じて調整することができるが、通常1~100μmが好ましい。
塗工後に塗工表面より溶媒を留去することも可能である。通常はホットエアーの吹き付けによるものが好ましいが、減圧処理と加熱を組み合わせたり、同時に加圧プレスを行なうことも可能である。
これらは板状、フィルム状であってもその他の形状が付与されたものでもよく、単一素材であっても複合化されていてもよく、また単層であっても積層化されたものでもよい。
本発明の不飽和基含有環状ポリオレフィンは、透明であり、有機溶媒への溶解性に優れ、金属、ガラス及びプラスチックへの接着性に優れ、またこれを含む溶液も金属、ガラス及びプラスチックへ優れた接着性を与えるという効果を奏する。
このため、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能であり、特に、電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。
本発明の不飽和基含有環状ポリオレフィン、これを用いた溶液又はスラリーは、前述の電気・電子回路用積層板等の導電性金属層を含有する積層体としても好適に用いることができる。
この導電性金属層を含有する積層体は、本発明の不飽和基含有環状ポリオレフィンを含む層と導電性金属層とを積層したものであり、本発明の不飽和基含有環状ポリオレフィンを含む層と導電性金属層とを積層したものであれば、上記電気・電子回路以外に、キャパシタを有する回路等の積層体を含む。
尚、導電性金属層含有不飽和基含有環状ポリオレフィン積層体中には2種以上の不飽和基含有環状ポリオレフィンからなる層が形成されていてもよく、少なくとも1つの層において本発明の不飽和基含有環状ポリオレフィンが用いられていればよい。また、2種以上の導電性金属層が形成されていてもよい。
尚、以下の記載において「部」は「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表す。
・装置 :東ソー(株)製 GPC HLC-832GPC/HT
・検出器:MIRAN社製 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
・カラム:昭和電工(株)製 AD806M/S 3本(カラムの較正は東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/mL溶液)の測定を行ない、溶出体積と分子量の対数値を3次式で近似した。)
・測定温度:135℃
・濃度 :20mg/10mL
・注入量:0.2mL
・溶媒 :o-ジクロロベンゼン
・流速 :1.0mL/分
[カーボンNMRによる測定]
・装置:Bruker社製「AVANCE400分光計」
・溶媒:o-ジクロロベンゼン-h4/p-ジクロロベンゼン-d4混合溶媒
・濃度:0.3g/2.5mL
・測定:13C-NMR
・共鳴周波数:400MHz
・積算回数:3600
・フリップ角:45度
・データ取得時間:1.5秒
・パルス繰り返し時間:15秒
・測定温度:100℃
・1H照射:完全デカップリング
[プロトンNMRによる測定]
・装置:Bruker社製「AVANCE400分光計」
・溶媒:テトラクロロエタン
・濃度:0.045g/1.0mL
・測定:1H-NMR
・共鳴周波数:400MHz
・フリップ角:45度
・データ取得時間:4秒
・パルス繰り返し時間:10秒
・積算回数:64
・測定温度:80℃
・水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の水素化レベル:6.8~7.5ppmの積分値低減率
・水素化共役ジエンポリマーブロック単位の水素化レベル:5.7~6.4ppmの積分値低減率
[プロトンNMRによる測定]
・装置:Bruker社製「AVANCE400分光計」
・溶媒:テトラクロロエタン
・濃度:0.045g/1.0mL
・測定:1H-NMR
・共鳴周波数:400MHz
・フリップ角:45度
・データ取得時間:4秒
・パルス繰り返し時間:10秒
・積算回数:64
・測定温度:80℃
[プロトンNMRによる測定]
・装置:Bruker社製「AVANCE400分光計」
・溶媒:テトラクロロエタン
・濃度:0.045g/1.0mL
・測定:1H-NMR
・共鳴周波数:400MHz
・フリップ角:45度
・データ取得時間:4秒
・パルス繰り返し時間:10秒
・積算回数:64
・測定温度:80℃
・ビニル基数/ポリプロピレンのモノマー単位1,000個=
[((4.9~5.1ppm領域,5.7~5.9ppm領域のビニルシグナルの積分値の合計)/ビニル基の水素の数)×1,000]
/[((0.2~3.0ppm領域の主鎖由来のシグナルの積分値)/ポリプロピレンのモノマー単位の水素の数=6)]
・ビニリデン基数/ポリプロピレンのモノマー単位1,000個=
[((4.69ppm,4.74ppmのビニリデンシグナルの積分値の合計)/ビニリデン基の水素の数)×1,000]
/[((0.2~3.0ppm領域の主鎖由来のシグナルの積分値)/ポリプロピレンのモノマー単位の水素の数=6)]
<透明性>
プレス成形にて、成形温度200~250℃にて厚さ2mm×幅50mm×長さ80mmの平板を成形した。この板を用い、JIS K7105(1981)記載の測定法に準じてヘーズを測定した。
測定したヘーズの値をもって透明性の評価とした。
ヘーズ値は20%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、低いほど透明性が良好である。
100mLの試験管のそれぞれに2.5g及び5gのポリマーと50mL(43.1g)のトルエンを投入し、ゴム栓で封をした。
この試験管を60℃に調整した水槽に漬け、5分毎に10秒間手で振って攪拌し、1時間かけてポリマーを溶解させ、ポリマーの5.8%トルエン溶液及び11.6%トルエン溶液を作製した。
溶液の状態を目視で確認した。完全に溶解しているものを〇とし、溶解せず沈殿するものやゲル化するものを×とした。溶解しているものが良好である。
上記で得られた溶液を室温(25℃)で24時間放置させた後の溶液の状態を目視で確認した。溶解しているものを〇とし、析出し沈殿するものやゲル化するものを×とした。溶解しているものが良好である。
上記溶解性で〇のものに関して、60℃に調整した溶液をスポイトで1滴を、表面をアセトンで拭いて脱脂した金属板(アルミニウム板:JISH4000 A5052P 厚さ1mm×幅70mm×長さ150mm、ステンレス板:JISG4305 SUS304 BA 厚さ0.5mm×幅70mm×長さ150mm)に滴下し、溶液を厚さ50μmとなるようにワイヤーバーコーターで塗工した。
塗工面をドライヤーにて温風を10秒間吹き付けて溶媒を除去し、室温(25℃)にて15時間放置安定させた後、塗工面を3M社Scotch(登録商標)メンディングテープNo.810を張り付けた後に剥がし、塗膜の状態を観察し、接着性評価とした。
塗膜剥がれが無いものを〇とし、塗膜剥がれがあるものを×とした。塗膜剥がれが無いものは接着性が良好である。
[環状ポリオレフィン(a)]
〇a-1:
三菱ケミカル(株)製 ゼラス(商標登録)MC930
・密度(ASTM D792):0.94g/cm3
・MFR(230℃、2.16kg):1g/10分
・水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位:含有率65モル%、水素化レベル99.5%以上の水素化ポリスチレン
・水素化共役ジエンポリマーブロック単位:含有率35モル%、水素化レベル99.5%以上の水素化ポリブタジエン
・ブロック構造:ペンタブロック構造、合計水素化レベル:99.5%以上
・Mw:75000
・ビニル基及びビニリデン基の合計数/モノマー単位1,000個=0
・ビニル基数/モノマー単位1,000個=0
・ビニリデン基数/モノマー単位1,000個=0
[不飽和基含有環状ポリオレフィン(A)]
・A-1:
反応容器に環状ポリオレフィンa-1 100部を窒素雰囲気下に仕込み、気相部分に窒素を供給しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら360℃で70分間熱減成を行ない、A-1を得た。得られたA-1の分析結果は以下の通りであった。
・水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の水素化レベル99.5%以上
・Mw:8700
・ビニル基及びビニリデン基の合計数/モノマー単位1,000個=34
・ビニル基数/モノマー単位1,000個=0
・ビニリデン基数/モノマー単位1,000個=34
結果を表1に示す。
A-1の代わりにa-1を用いること以外は実施例1と同様にして、各種評価を実施した。結果を表1に示す。
[不飽和基を有するポリプロピレン(b)]
・b-1:
三洋化成工業(株)製 ビスコール(商標登録)660-P
b-1は分子構造中に脂環式構造を有さず、環状ポリオレフィンには該当しないポリプロピレンである。
・Mw:7000
・ビニル基及びビニリデン基の合計数/モノー単位1,000個=20
・ビニル基数/モノマー単位1,000個=0
・ビニリデン基数/モノマー単位1,000個=20
表1より、本発明に該当する実施例1は透明性、溶解性、溶液安定性、接着性の優れたものであることがわかった。
これに対して、比較例1は分子量が高いため、溶液安定性が劣り、分子構造中に不飽和基を含まないため接着性が劣ることがわかった。
比較例2は環状ポリオレフィンではないことから、透明性及び溶解性が乏しく、塗工することができなかった。
このため、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能であり、特に、電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として好適に使用できる。
Claims (17)
- 環状ポリオレフィンの分子構造中にビニル基及び/又はビニリデン基を有する不飽和基含有環状ポリオレフィンの製造方法であって、
該環状ポリオレフィンが、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーの水素化体のみ、又は、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体及び共役ジエンモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体を有する水素化ブロックコポリマーであり、
前記環状ポリオレフィンを、不活性ガス中、300~400℃で0.5~10時間熱減成処理する、不飽和基含有環状ポリオレフィンの製造方法。 - 重量平均分子量が1,000~40,000である、請求項1に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィンの製造方法。
- モノマー単位1,000個あたりの、ビニル基及びビニリデン基の合計数が1~200である、請求項1又は2に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィンの製造方法。
- モノマー単位1,000個あたりの、ビニリデン基数が1~100である、請求項1~3のいずれか一項に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィンの製造方法。
- 前記芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーの水素化体が90%以上の水素化レベルをもつ、請求項1~4のいずれか一項に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィンの製造方法。
- 前記芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体が90%以上の水素化レベルをもつ、請求項1~4のいずれか一項に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィンの製造方法。
- 環状ポリオレフィンの分子構造中にビニル基及び/又はビニリデン基を有する不飽和基含有環状ポリオレフィンが、基材上に積層された、不飽和基含有環状ポリオレフィン含有積層体であって、
該環状ポリオレフィンが、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーの水素化体のみ、又は、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体及び共役ジエンモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体を有する水素化ブロックコポリマーであり、
重量平均分子量が1,000~40,000である、不飽和基含有環状ポリオレフィン含有積層体。 - モノマー単位1,000個あたりの、ビニル基及びビニリデン基の合計数が1~200である、請求項7に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィン含有積層体。
- モノマー単位1,000個あたりの、ビニリデン基数が1~100である、請求項7又は8に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィン含有積層体。
- 前記芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーの水素化体が90%以上の水素化レベルをもつ、請求項7~9のいずれか一項に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィン含有積層体。
- 前記芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体が90%以上の水素化レベルをもつ、請求項7~9のいずれか一項に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィン含有積層体。
- 有機溶媒-不飽和基含有環状ポリオレフィン混合物を基材に塗工した後、溶媒を除去して積層体を得る、不飽和基含有環状ポリオレフィン含有積層体の製造方法であって、
前記有機溶媒-不飽和基含有環状ポリオレフィン混合物は、不飽和基含有環状ポリオレフィンを、有機溶媒に1~30質量%の濃度で溶解又は懸濁させた、不飽和基含有環状ポリオレフィン溶液又は不飽和基含有環状ポリオレフィンスラリーからなる混合物であり、
前記不飽和基含有環状ポリオレフィンが、環状ポリオレフィンの分子構造中にビニル基及び/又はビニリデン基を有するものであり、
前記環状ポリオレフィンが、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーの水素化体のみ、又は、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体及び共役ジエンモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体を有する水素化ブロックコポリマーである、不飽和基含有環状ポリオレフィン含有積層体の製造方法。 - 重量平均分子量が1,000~40,000である、請求項12に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィン含有積層体の製造方法。
- モノマー単位1,000個あたりの、ビニル基及びビニリデン基の合計数が1~200である、請求項12又は13に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィン含有積層体の製造方法。
- モノマー単位1,000個あたりの、ビニリデン基数が1~100である、請求項12~14のいずれか一項に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィン含有積層体の製造方法。
- 前記芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーの水素化体が90%以上の水素化レベルをもつ、請求項12~15のいずれか一項に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィン含有積層体の製造方法。
- 前記芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体が90%以上の水素化レベルをもつ、請求項12~15のいずれか一項に記載の不飽和基含有環状ポリオレフィン含有積層体の製造方法。
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