本出願は、キメラ抗体-T細胞受容体(TCR)構築物(caTCR)及びキメラシグナル伝達受容体(CSR)構築物を含む免疫細胞(T細胞など)に関する。caTCRは、標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含む。CSRは、標的リガンドに特異的に結合するリガンド結合ドメインと、免疫細胞に刺激シグナルを提供することが可能な共刺激免疫細胞シグナル伝達ドメインと、を含み、機能的な一次免疫細胞シグナル伝達配列を含まない。標的抗原及び標的リガンドは、疾患細胞表面上のMHC提示疾患関連抗原ペプチドなどの、細胞表面に発現するタンパク質、又はペプチド及びMHCタンパク質を含む複合体(本明細書では「pMHC複合体」若しくは「pMHC」と呼ばれる)であり得る。caTCRは、T細胞受容体活性化を制御する天然に存在する機構によって調節され、CSRを介したシグナル伝達は、caTCRによって媒介される免疫応答を増強することができる。
本発明者らは、caTCR及びCSR構築物を含む一連の新規T細胞を開発した。これらは、標的細胞結合に応答して、CSRの非存在下でcaTCRのみを発現する細胞と比較して増加したサイトカイン発現を伴って標的を持つ腫瘍細胞に対する強力な細胞傷害性を示した。これらの細胞内にCSRを含めることにより、caTCRのみを発現する細胞と比較して、脱顆粒、増殖、及び生存率を更に向上させる。
したがって、本出願は、標的抗原に特異的なcaTCRと標的リガンドに特異的なCSRとを含む免疫細胞を提供し、このcaTCRは、標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、CSRは、a)標的リガンドに特異的に結合するリガンド結合ドメインと、免疫細胞に刺激シグナルを提供することができる共刺激免疫細胞シグナル伝達ドメインとを含み、b)機能的な一次免疫細胞シグナル伝達配列を含まない。caTCRは、抗原結合モジュール及び/又はTCRMの変動を有する多数のフォーマットのうちのいずれかをとることができる。例えば、caTCRは、Fab、Fab’、a(Fab’)2、Fv、及びscFvからなる群から選択される部分を含む抗原結合モジュールと、膜貫通ドメイン、連結ペプチド、及び細胞内ドメインのうちの1つ以上における変異型を含む、α/β又はγ/δのTCRに由来する1つ以上の配列を含むTCRMとを含むことができる。図1を参照されたい。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。CSRは同様に、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、及びscFvからなる群から選択される部分を含むリガンド結合モジュールを有することができる。いくつかの実施形態では、標的抗原と標的リガンドは同一である。いくつかの実施形態では、caTCRの抗原結合モジュール及びCSRのリガンド結合モジュールは同一であるか、又はCDR若しくは可変ドメインなどの抗原特異性を付与する同一の配列を含む。いくつかの実施形態では、標的抗原と標的リガンドは異なる。
更に他の態様では、a)caTCR及びCSRをコードしている1つ以上の核酸、b)caTCR及びCSRをコードする1つ以上の核酸を含む免疫細胞、並びにc)i)caTCR及びCSRを含むか、又はii)caTCR及びCSRをコードする1つ以上の核酸を含む免疫細胞を含む組成物が提供される。組成物は、医薬組成物であり得る。
また、治療目的のためにcaTCR及びCSRを含む免疫細胞を作製及び使用する方法、並びにそのような方法に有用なキット及び製品も提供される。CaTCR及びCSRを含む免疫細胞を使用して疾患を治療する方法が更に提供される。
定義
「抗体」又は「抗体部分」という用語は、完全長抗体及びその抗原結合断片を含む。完全長抗体は、2つの重鎖及び2つの軽鎖を含む。軽鎖及び重鎖の可変領域は、抗原結合に関与する。両方の鎖の可変領域は、一般に、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる3つの高度に可変のループ(LC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む軽鎖(LC)CDR、HC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む重鎖(HC)CDR)を含む。本明細書に開示される抗体及び抗原結合断片のCDRの境界は、Kabat、Chothia、又はAl-Lazikani(Al-Lazikani 1997、Chothia 1985、Chothia 1987、Chothia 1989、Kabat 1987、Kabat 1991)の慣例によって定義又は同定することができる。重鎖又は軽鎖の3つのCDRは、フレームワーク領域(FR)として知られる隣接する区間の間に介在し、CDRよりも高度に保存され、超可変ループを支持する足場を形成する。重鎖及び軽鎖の定常領域は、抗原結合に関与しないが、様々なエフェクター機能を示す。抗体は、それらの重鎖の定常領域のアミノ酸配列に基づいてクラスに割り当てられる。抗体の5つの主要なクラス又はアイソタイプは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμ重鎖の存在によって特徴付けられるIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMである。いくつかの主要な抗体のクラスは、lgG1(γ1重鎖)、lgG2(γ2重鎖)、lgG3(γ3重鎖)、lgG4(γ4重鎖)、lgA1(α1重鎖)、又はlgA2(α2重鎖)などのサブクラスに分類される。
本明細書で使用するとき、「抗原結合断片」という用語は、例えば、ダイアボディ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、二重特異性dsFv(dsFv-dsFv’)、ジスルフィド安定化ダイアボディ(ds diabody)、一本鎖抗体分子(scFv)、scFv二量体(二価ダイアボディ)、1つ以上のCDRを含む抗体の一部から形成される多重特異性抗体、ラクダ化単一ドメイン抗体、ナノボディ、ドメイン抗体、二価ドメイン抗体、又は抗原に結合するが完全な抗体構造を含まない任意の他の抗体断片を含む、抗体断片を指す。抗原結合断片は、親抗体又は親抗体断片(例えば、親scFv)が結合するのと同一の抗原に結合することができる。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、1つ以上の異なるヒト抗体からフレームワーク領域に移植された特定のヒト抗体からの1つ以上のCDRを含み得る。
本明細書で使用するとき、第1の抗体部分が第2の抗体部分の標的抗原結合を、第1の抗体部分の等モル濃度の存在下で、又はその逆で、少なくとも約50%(少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%のいずれかなど)阻害するとき、第1の抗体部分は、標的抗原との結合について、第2の抗体部分と「競合する」。それらの交差競合に基づく抗体を「ビニング」するためのハイスループットプロセスは、PCT公開WO03/48731に記載されている。
本明細書で使用するとき、用語「特異的に結合する」又は「~に特異的である」は、標的と抗体又は抗体部分との間の結合などの、測定可能かつ再現性のある相互作用を指し、これは、生物分子を含む分子の異種集団の存在下での、標的の存在を判定する。例えば、標的(エピトープであり得る)に特異的に結合する抗体部分は、他の標的に対するその結合よりも、この標的に、より高い親和性で、より強い結合活性で、より容易に、及び/又はより長時間結合する抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗原に特異的に結合する抗体部分は、抗原の1つ以上の抗原決定基(例えば、細胞表面抗原又はペプチド/MHCタンパク質複合体)と、他の標的に対する結合親和性の少なくとも約10倍である結合親和性で反応する。
「T細胞受容体」又は「TCR」という用語は、T細胞の表面上で対をなすαβ鎖又はγδ鎖から構成されるヘテロ二量体受容体を指す。各α、β、γ、及びδ鎖は、相補性決定領域(CDR)を介して抗原認識を付与する可変ドメイン(V)である2つのIg様ドメインと、後に続く、連結ペプチド及び膜貫通(TM)領域によって細胞膜に固定される定常ドメイン(C)とで構成される。TM領域は、CD3シグナル伝達器の不変サブユニットと結合する。Vドメインのそれぞれは、3つのCDRを有する。これらのCDRは、主要組織適合複合体(pMHC)によりコードされるタンパク質に結合する抗原ペプチド間の複合体と相互作用する(Davis and Bjorkman(1988)Nature,334,395-402、Davis et al.(1998)Annu Rev Immunol,16,523-544、Murphy(2012),xix,868 p.)。
「TCR関連シグナル伝達分子」という用語は、TCR-CD3複合体の一部である細胞質の免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)を有する分子を指す。TCR関連シグナル伝達分子には、CD3γε、CD3δε、及びζζ(CD3ζ又はCD3ζζとしても知られる)が含まれる。
CD3を発現する細胞に関して本明細書で使用するとき、「活性化」は、細胞増殖及びサイトカイン産生を含むがこれらに限定されない、CD3シグナル伝達経路の下流のエフェクター機能の検出可能な増加を誘導するのに十分に刺激されている細胞の状態を指す。
タンパク質の一部を指すとき、「モジュール」という用語は、タンパク質を構成する1つ以上のポリペプチドの構造的及び/又は機能的に関連する部分を含むことを意味する。例えば、二量体受容体の膜貫通モジュールは、膜にまたがる受容体の各ポリペプチド鎖の部分を指し得る。モジュールはまた、単一のポリペプチド鎖の関連部分を指すことができる。例えば、単量体受容体の膜貫通モジュールは、膜にまたがる受容体の単一のポリペプチド鎖の部分を指し得る。モジュールはまた、ポリペプチドの単一部分のみを含んでもよい。
本明細書で使用するとき、「単離された核酸」という用語は、ゲノム、cDNA、若しくは合成起源の核酸、又はこれらのいくつかの組み合わせを意味することを意図し、「単離された核酸」は、その起源のために、(1)「単離された核酸」が天然に見出されるポリヌクレオチドの全て又は一部とは関連していないか、(2)天然では連結していないポリヌクレオチドに作動可能に連結されているか、又は(3)より大きい配列の一部として天然では発生しない。
本明細書で使用されるとき、「CDR」又は「相補性決定領域」という用語は、重鎖ポリペプチドと軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内で見られる非連続抗原結合部位を意味することを意図する。これらの特定の領域は、Kabat et al.,J.Biol.Chem.252:6609-6616(1977)、Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,「Sequences of proteins of immunological interest」(1991)、Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)、Al-Lazikani B.et al.,J.Mol.Biol.,273:927-948(1997)、MacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996)、Abhinandan and Martin,Mol.Immunol.,45:3832-3839(2008)、Lefranc M.P.et al.,Dev.Comp.Immunol.,27:55-77(2003)、及びHonegger and Pluckthun,J.Mol.Biol.,309:657-670(2001)に記載されており、定義は、互いに比較したときにアミノ酸残基の重複又はサブセットを含む。それにもかかわらず、抗体のCDR又はその移植された抗体若しくは変異型を指すためのいずれかの定義の適用は、本明細書で定義され使用される用語の範囲内にあることが意図されている。上に引用した参考文献の各々によって定義されるCDRを包含するアミノ酸残基は、比較として以下の表1に記述されている。CDR予測アルゴリズム及びインターフェースは、当該技術分野で公知であり、例えば、Abhinandan and Martin,Mol.Immunol.,45:3832-3839(2008)、Ehrenmann F.et al.,Nucleic Acids Res.,38:D301-D307(2010)、及びAdolf-Bryfogle J.et al.,Nucleic Acids Res.,43:D432-D438(2015)を含む。本段落で引用される参考文献の内容は、本発明で使用するためにその全体が参照により本明細書に組み込まれ、本特許請求の範囲の請求項の1つ以上に包含可能である。
1残基の付番は、前出のKabatらの命名法に従う。
2残基の付番は、前出のChothiaらの命名法に従う。
3残基の付番は、前出のMacCallumらの命名法に従う。
4残基の付番は、前出のLefrancらの命名法に従う。
5残基の付番は、前出のHonegger及びPluckthunの命名法に従う。
「キメラ抗体」という用語は、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が、特定の種由来の抗体中又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一であるか又は相同であり、鎖の残余の部分が、別の種由来の抗体中又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一であるか又は相同である抗体を指し、また、本発明の生物活性を示す限り、そのような抗体の断片を指す(米国特許第4816567号、及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984)を参照されたい)。
抗体又は抗体部分に関する「半合成」という用語は、抗体又は抗体部分が、1つ以上の天然に存在する配列及び1つ以上の天然に存在しない(すなわち、合成の)配列を有することを意味する。
抗体又は抗体部分に関する「完全合成」という用語は、抗体又は抗体部分が、固定された天然に存在するVH/VLフレームワークの対を有するが、重鎖及び軽鎖の両方の6つ全てのCDRの天然に存在しない(すなわち、合成の)配列を有することを意味する。
非ヒト(例えばげっ歯動物)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体に由来する最小限の配列を含むキメラ抗体である。ほとんどの部分において、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、レシピエントの超可変領域(HVR)由来の残基が、所望の抗体の特異性、親和性、及び能力を有する、マウス、ラット、ウサギ、又は非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域由来の残基と置き換えられている。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)の残基が、対応する非ヒト残基で置換されている。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体内にない残基を含み得る。これらの改変は、抗体の性能を更に改良するためになされる。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つの可変領域の実質的に全て、典型的には2つの可変領域を含み、全て又は実質的に全ての超可変ループは非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全て又は実質的に全てのFRは、ヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体はまた、所望により、免疫グロブリンの定常領域(Fc)の少なくとも一部を、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれを含む。更なる詳細については、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988)、及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照されたい。
「相同性」は、2つのポリペプチド間又は2つの核酸分子間の配列類似性又は配列同一性を指す。2つの比較された配列の両方の位置が、同一の塩基又はアミノ酸の単量体のサブユニットによって占められているとき、例えば、2つのDNA分子のそれぞれの位置がアデニンによって占められている場合、分子は、その位置において「相同」である。2つの配列間の「相同性パーセント」又は「配列同一性パーセント」は、配列同一性の一部として任意の保存的置換を考慮して、2つの配列によって共有される一致するか又は相同である位置の数を比較された位置の数で割り100を乗じた関数である。例えば、2つの配列中の位置の10個のうち6個が一致又は相同である場合、2つの配列は60%相同である。例として、DNA配列ATTGCC及びTATGGCは、50%の相同性を共有する。一般に、2つの配列がアライメントされて最大相同性を与えるときに比較が実施される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアライメントは、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、Megalign(DNASTAR)、又はMUSCLEソフトウェアなどの公けに入手可能なコンピューターソフトウェアを使用して、当該技術分野の範囲内にある様々な方法で達成できる。当業者は、比較されている配列の全長にわたって最大のアライメントを得るのに必要な任意のアルゴリズムを含む、アライメント測定用の適切なパラメーターを決定することができる。しかしながら、本明細書の目的のために、配列比較コンピュータプログラムMUSCLEを使用してアミノ酸配列同一性%の値が生成される(Edgar,R.C.,Nucleic Acids Research 32(5):1792-1797,2004、Edgar,R.C.,BMC Bioinformatics 5(1):113,2004)。
ヒトIgG Fc領域の「CH1ドメイン」(「H1」ドメインの「C1」とも呼ばれる)は、通常、アミノ酸約118~アミノ酸約215(EU付番システム)まで延びている。
別段の定めがない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いに縮重したバージョンである、同一のアミノ酸配列をコードする、全てのヌクレオチド配列を含む。タンパク質又はRNAをコードするヌクレオチド配列という語句はまた、タンパク質をコードするヌクレオチド配列がいくつかのバージョンではイントロン(複数可)を含み得る程度まで、イントロンを含んでもよい。
「作動可能に連結された」という用語は、制御配列と異種核酸配列との間の機能的結合を指し、後者の発現をもたらす。例えば、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的な関係を有して配置されるとき、第1の核酸配列は第2の核酸配列と作動可能に連結されている。例えば、プロモーターがコード配列の転写又は発現に影響を及ぼす場合、プロモーターは、コード配列に作動可能に連結されている。一般に、作動可能に連結されたDNA配列は連続しており、必要に応じて2つのタンパク質コード領域を結合するために、同一のリーディングフレーム内にある。
「誘導可能なプロモーター」という用語は、1つ以上の特定のシグナルを付加又は除去することによって活性を調節することができるプロモーターを指す。例えば、誘導可能なプロモーターは、特定の条件のセット、例えば、プロモーターを活性化させる及び/又はプロモーターの抑制を緩和する誘導剤又は条件の存在下で、作動可能に連結された核酸の転写を活性化し得る。
本明細書で使用するとき、「治療」又は「治療する」は、臨床結果を含めて有益な又は所望の結果を得るための方法である。本発明の目的のために、有益な又は所望の臨床結果には、以下のうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない:疾患がもたらす1つ以上の症状を軽減すること、疾患の範囲を縮小させること、疾患を安定させること(例えば、疾患の悪化を防止する若しくは遅らせること)、疾患の拡散(例えば、転移)を防止する若しくは遅らせること、疾患の再発を防止する若しくは遅らせること、疾患の進行を遅らせる若しくは減速させること、疾患状態を寛解させること、疾患の寛解(部分又は完全)をもたらすこと、疾患を治療するために必要な1つ以上の他の投薬の用量を減らすこと、疾患の進行を遅らせること、生活の質を向上若しくは改善させること、体重増加を向上すること、及び/又は生存期間を延ばすこと。また、「治療」に包含されるのは、疾患の病理学的結果の低減である(例えば、がんにおける腫瘍体積など)。本発明の方法は、治療のこれらの態様のうちのいずれか1つ以上を企図する。
「再発(recurrence)」、「再発する(relapse)」、又は「再発した(relapsed)」という用語は、疾患の消失の臨床評価後のがん又は疾患の再発を指す。遠位の転移又は局所的再発の診断は、再発と見なすことができる。
「難治性」又は「耐性」という用語は、治療に応答していないがん又は疾患を指す。
本明細書に開示されるとき、caTCR又はcaTCRを含む組成物の「有効量」は、具体的に記載された目的を実行するのに十分な量である。「有効量」は、経験的に、及び記載された目的に関連する既知の方法によって決定することができる。
「治療有効量」という用語は、本明細書に開示されるcaTCRを含むcaTCR又は組成物の、個体における疾患又は障害を「治療する」ために有効である量を指す。がんの場合、本明細書に開示される治療有効量のcaTCR又はcaTCRを含む組成物は、がん細胞の数を低減することができ、腫瘍のサイズ又は重量を低減することができ、末梢臓器へのがん細胞浸潤を阻害する(すなわち、ある程度遅延させ、好ましくは停止させる)ことができ、腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度遅延させ、好ましくは停止させる)ことができ、ある程度、腫瘍増殖を阻害することができ、及び/又はがんに関連する症状のうちの1つ以上をある程度緩和することができる。本明細書に開示されるcaTCR又はcaTCRを含む組成物は、存在するがん細胞の増殖を防止、及び/又は存在するがん細胞を殺傷し得る程度で、細胞増殖抑制性及び/又は細胞傷害性であり得る。いくつかの実施形態では、治療有効量は、増殖抑制量である。いくつかの実施形態では、治療有効量は、患者の無増悪生存率を改善する量である。ウイルス感染などの感染性疾患の場合、本明細書に開示される治療有効量のcaTCR又はcaTCRを含む組成物は、病原体によって感染された細胞の数を低減することができ、病原体由来抗原の産生又は放出を低減することができ、病原体の未感染細胞への拡散を阻害する(すなわち、ある程度遅らせ、好ましくは停止する)ことができ、及び/又は感染に関連する1つ以上の症状をある程度緩和することができる。いくつかの実施形態では、治療有効量は、患者の生存期間を延長する量である。
本明細書で使用されるとき、「医薬的に許容される」又は「薬理的に適合される」は、生物学的又は非生物学的に望ましくないものではない物質を意味し、例えば、その物質を、望ましくない生物学的影響をほとんど起こさずに、又は、それが含有される組成物の他の任意の構成成分と悪い相互作用をせずに、患者に投与される医薬組成物中に組み込むことができる。医薬的に許容される担体又は賦形剤は、好ましくは、必要な毒性学的及び製造的検査基準を満たしており、並びに/又は、U.S.Food and Drug administrationが作成したInactive Ingredient Guideに含まれている。
本明細書に記載の本発明の実施形態は、実施形態「からなる」及び/又は「から本質的になる」を含むことを理解されたい。
本明細書に記載の「約」のついた値又はパラメーターへの言及は、値又はパラメーター自体を対象とする変化を含む(及び記載する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。
本明細書で使用するとき、「~されない」などの否定(not)を伴うある値又はパラメーターへの言及は、その値又はパラメーター「以外」が肯定されることを一般に意味し、記載する。例えば、「方法は、タイプXの癌を治療するのに使用されない」は、「方法は、X以外のタイプの癌を治療するのに使用される」を意味する。
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」で使用するとき、単数形の「a」、「or」、及び「the」は、文脈から単数であることが明確に読み取れる場合を除き、対象の複数形も含まれるものとする。
caTCR+CSR免疫細胞
本発明は、本明細書に記載されるcaTCR及びCSRのいずれかによるcaTCR及びCSRを表面に提示する免疫細胞(T細胞など)を提供する(そのような免疫細胞は、本明細書において「caTCR+CSR免疫細胞」とも呼ばれる)。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、caTCR及びCSRをコードする核酸を含み、caTCR及びCSRは、核酸から発現し、免疫細胞表面に局在化する。いくつかの実施形態では、免疫細胞はT細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、caTCRのTCR-TMが由来するTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞はαβ T細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCR δ及びγ鎖に由来する配列を含み、又は、T細胞は、γδ T細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCR α及びβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、免疫細胞の内因性のTCRサブユニットのうちの1つ又は両方の発現を遮断又は減少させるように改変される。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、TCR α及び/又はβ鎖の発現を遮断又は減少させるように改変されたαβ T細胞であるか、又は免疫細胞は、TCR γ及び/又はδ鎖の発現を遮断又は減少させるように改変されたγδ T細胞である。遺伝子発現を破壊する細胞の改変としては、例えば、RNA干渉(例えば、siRNA、shRNA、miRNA)、遺伝子編集(例えば、CRISPR又はTALEN系遺伝子ノックアウト)などを含む、当該技術分野において既知の任意のそのような技術が挙げられる。
例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるcaTCRのいずれかによるcaTCRをコードする核酸と、本明細書に記載されるCSRのいずれかによるCSRとを含む免疫細胞(T細胞など)が提供され、caTCR及びCSRは、核酸から発現し、免疫細胞表面に局在化する。いくつかの実施形態では、核酸は、caTCRの第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1のcaTCR核酸配列と、caTCRの第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第2のcaTCR核酸配列と、CSRのCSRポリペプチド鎖をコードするCSR核酸配列とを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のcaTCR核酸配列並びにCSR核酸配列はそれぞれ、異なるベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、核酸配列の一部又は全ては、同一のベクターに含まれる。ベクターは、例えば、哺乳類発現ベクター、並びにウイルスベクター(レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、及びレンチウイルス由来のものなど)からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、ベクターのうちの1つ以上は、免疫細胞の宿主ゲノムに組み込まれる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のcaTCR核酸配列並びにCSR核酸配列はそれぞれ、異なるプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては、同一の配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、核酸配列の一部又は全ては、単一のプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては誘導可能である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかによるcaTCRと本明細書に記載のCSRのいずれかによるCSRとを発現する、caTCR+CSR免疫細胞(T細胞など)が提供され、このcaTCR+CSR免疫細胞は、a)caTCRの第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1のcaTCR核酸配列と、b)caTCRの第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第2のcaTCR核酸配列と、c)CSRのCSRポリペプチド鎖をコードするCSR核酸配列とを含み、第1及び第2のcaTCRポリペプチド鎖が、第1及び第2のcaTCR核酸配列から発現してcaTCRを形成し、CSRポリペプチド鎖が、CSR核酸から発現してCSRを形成し、caTCR及びCSRは、免疫細胞の表面に局在化する。いくつかの実施形態では、第1のcaTCR核酸配列は、第1のベクター(レンチウイルスベクターなど)に含まれ、第2のcaTCR核酸配列は、第2のベクター(レンチウイルスベクターなど)に含まれ、CSR核酸配列は、第3のベクター(レンチウイルスベクターなど)に含まれる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のcaTCR核酸配列並びにCSR核酸配列の一部又は全ては、同一のベクター(レンチウイルスベクターなど)に含まれる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のcaTCR核酸配列並びにCSR核酸配列のそれぞれは、個別に、プロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、核酸配列の一部又は全ては、単一のプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては、同一の配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては誘導可能である。いくつかの実施形態では、ベクターの一部又は全ては、ウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、caTCRのTCR-TMが由来するTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞はαβ T細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCR δ及びγ鎖に由来する配列を含み、又は、免疫細胞は、γδ T細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCR α及びβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、その内因性のTCRサブユニットのうちの1つ又は両方の発現を遮断又は減少させるように改変される。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、TCR α及び/又はβ鎖の発現を遮断又は減少させるように改変されたαβ T細胞であるか、又は免疫細胞は、TCR γ及び/又はδ鎖の発現を遮断又は減少させるように改変されたγδ T細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ベクターの一部又は全ては、免疫細胞の宿主ゲノムに組み込まれたウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかによるcaTCRと本明細書に記載のCSRのいずれかによるCSRとを表面に発現する、caTCR+CSR免疫細胞(T細胞など)が提供され、このcaTCR+CSR免疫細胞は、a)caTCRの第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1のcaTCR核酸配列に作動可能に連結された第1のプロモーターを含む第1のベクターと、b)caTCRの第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第2のcaTCR核酸配列に作動可能に連結された第2のプロモーターを含む第2のベクターと、c)CSRのCSRポリペプチド鎖をコードするCSR核酸配列に作動可能に連結された第3のプロモーターを含む第3のベクターとを含み、第1及び第2のcaTCRポリペプチド鎖が、第1及び第2のcaTCR核酸配列から発現してcaTCRを形成し、CSRポリペプチド鎖が、CSR核酸配列から発現してCSRを形成し、caTCR及びCSRは、免疫細胞の表面に局在化する。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては、同一の配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては誘導可能である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、caTCRのTCR-TMが由来するTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞はαβ T細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCR δ及びγ鎖に由来する配列を含み、又は、免疫細胞は、γδ T細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCR α及びβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、その内因性のTCRサブユニットのうちの1つ又は両方の発現を遮断又は減少させるように改変される。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、TCR α及び/又はβ鎖の発現を遮断又は減少させるように改変されたαβ T細胞であるか、又は免疫細胞は、TCR γ及び/又はδ鎖の発現を遮断又は減少させるように改変されたγδ T細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第1及び第2のベクターは、免疫細胞の宿主ゲノムに組み込まれたウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるcaTCRのいずれかによるcaTCR及び本明細書に記載されるCSRのいずれかによるCSRを表面に発現する、caTCR+CSR免疫細胞(T細胞など)であって、a)i)caTCRの第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1のcaTCR核酸配列に作動可能に連結された第1のプロモーター、及びii)caTCRの第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第2のcaTCR核酸配列に作動可能に連結された第2プロモーターを含む、第1のベクターと、b)CSRのCSRポリペプチド鎖をコードするCSR核酸配列に作動可能に連結された第3のプロモーターを含む第2のベクターと、を含み、第1及び第2のcaTCRポリペプチド鎖が、第1及び第2のcaTCR核酸配列から発現して、caTCRを形成し、CSRポリペプチド鎖がCSR核酸配列から発現してCSRを形成し、caTCRが免疫細胞の表面に局在化する、caTCR+CSR免疫細胞(T細胞など)が提供される。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては誘導可能である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、caTCRのTCR-TMが由来するTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞はαβ T細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCR δ及びγ鎖に由来する配列を含み、又は、免疫細胞は、γδ T細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCR α及びβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、その内因性のTCRサブユニットのうちの1つ又は両方の発現を遮断又は減少させるように改変される。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、TCR α及び/又はβ鎖の発現を遮断又は減少させるように改変されたαβ T細胞であるか、又は免疫細胞は、TCR γ及び/又はδ鎖の発現を遮断又は減少させるように改変されたγδ T細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第1及び第2のベクターは、免疫細胞の宿主ゲノムに組み込まれたウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。第1又は第2のcaTCR核酸配列がCSR核酸配列と交換される場合など、核酸配列のいずれかが交換される実施形態も想到されることを理解されたい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるcaTCRのいずれかによるcaTCR及び本明細書に記載されるCSRのいずれかによるCSRを表面に発現する、caTCR+CSR免疫細胞(T細胞など)であって、a)i)caTCRの第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1のcaTCR核酸配列及び、ii)caTCRの第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第2のcaTCR核酸配列を含む第1のベクターであって、第1及び第2のcaTCR核酸配列が第1のプロモーターの制御化にある、第1のベクターと、b)CSRのCSRポリペプチド鎖をコードするCSR核酸配列に作動可能に連結された第2プロモーターを含む第2のベクターと、を含み、第1及び第2のcaTCRポリペプチド鎖が第1及び第2のcaTCR核酸配列から発現してcaTCRを形成し、CSRポリペプチド鎖がCSR核酸配列から発現してCSRを形成し、caTCR及びCSRが、免疫細胞の表面に局在化する、caTCR+CSR免疫細胞が提供される。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターは、第1のcaTCR核酸配列の5’末端に作動可能に連結され、第1のcaTCR核酸配列の3’末端を第2のcaTCR核酸配列の5’末端に連結させる、内部リボソーム侵入部位(IRES)、自己切断2Aペプチド(P2A、T2A、E2A、又はF2Aなど)をコードする核酸からなる群から選択される核酸リンカーが存在し、第1のcaTCR核酸配列及び第2のcaTCR核酸配列は、プロモーターの制御下で単一RNAとして転写される。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターは、第2のcaTCR核酸配列の5’末端に作動可能に連結され、第2のcaTCR核酸配列の3’末端を第1のcaTCR核酸配列の5’末端に連結させる、内部リボソーム侵入部位(IRES)、自己切断2Aペプチド(P2A、T2A、E2A、又はF2Aなど)をコードする核酸からなる群から選択される核酸リンカーが存在し、第1のcaTCR核酸配列及び第2のcaTCR核酸配列は、プロモーターの制御下で単一RNAとして転写される。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のプロモーターは同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のプロモーターは、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のプロモーターは誘導可能である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、caTCRのTCR-TMが由来するTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞はαβ T細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCR δ及びγ鎖に由来する配列を含み、又は、免疫細胞は、γδ T細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCR α及びβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、その内因性のTCRサブユニットのうちの1つ又は両方の発現を遮断又は減少させるように改変される。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、TCR α及び/又はβ鎖の発現を遮断又は減少させるように改変されたαβ T細胞であるか、又は免疫細胞は、TCR γ及び/又はδ鎖の発現を遮断又は減少させるように改変されたγδ T細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ベクターは、免疫細胞の宿主ゲノムに組み込まれたウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。第1又は第2のcaTCR核酸配列がCSR核酸配列と交換される場合など、核酸配列のいずれかが交換される実施形態も想到されることを理解されたい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかによるcaTCRと本明細書に記載のCSRのいずれかによるCSRとを表面に発現するcaTCR+CSR免疫細胞(T細胞など)が提供され、このcaTCR+CSR免疫細胞は、a)caTCRの第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1のcaTCR核酸配列と、b)caTCRの第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第2のcaTCR核酸配列と、c)CSRのCSRポリペプチド鎖をコードするCSR核酸配列と、を含むベクターを含み、第1及び第2のcaTCR核酸配列並びにCSR核酸配列が、単一のプロモーターの制御下にあり、第1及び第2のcaTCRポリペプチド鎖が、第1及び第2のcaTCR核酸配列から発現してcaTCRを形成し、CSRポリペプチド鎖が、CSR核酸配列から発現してCSRを形成し、caTCR及びCSRは、免疫細胞の表面に局在化する。いくつかの実施形態では、プロモーターは、個々に内部リボソーム侵入部位(IRES)、自己切断2Aペプチド(P2A、T2A、E2A、又はF2Aなど)をコードする核酸からなる群から選択される核酸リンカーによって他の核酸配列に連結される核酸配列のうちの1つに作動可能に連結され、第1及び第2のcaTCR核酸配列並びにCSR核酸配列が、プロモーターの制御下で単一RNAとして転写されるようにされる。いくつかの実施形態では、プロモーターは、誘導可能である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、caTCRのTCR-TMが由来するTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞はαβ T細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCR δ及びγ鎖に由来する配列を含み、又は、免疫細胞は、γδ T細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCR α及びβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、その内因性のTCRサブユニットのうちの1つ又は両方の発現を遮断又は減少させるように改変される。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、TCR α及び/又はβ鎖の発現を遮断又は減少させるように改変されたαβ T細胞であるか、又は免疫細胞は、TCR γ及び/又はδ鎖の発現を遮断又は減少させるように改変されたγδ T細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ベクターは、免疫細胞の宿主ゲノムに組み込まれたウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。
キメラ抗体/T細胞受容体(caTCR)構築物
一態様では、本明細書に記載される標的抗原特異的キメラ抗体/T細胞受容体(caTCR)は、標的抗原(細胞表面抗原又はペプチド/MHC複合体など)に特異的に結合し、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)を動員することができる。いくつかの実施形態では、caTCRは、天然に存在するTCRドメインを含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、少なくとも1つの天然に存在しないTCRドメインを含む。caTCRは、抗原特異性を提供する抗原結合モジュールと、CD3動員及びシグナル伝達を可能にするT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含む。抗原結合モジュールは、天然に存在するT細胞受容体抗原結合部分ではない。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、TCRM中のポリペプチド鎖のアミノ末端に連結される。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。TCRMは、αβ及び/又はγδ TCRなどの1つ以上のTCR(TCR-TM)の膜貫通ドメインに由来する膜貫通モジュールを含み、所望により、TCR及び/又は1つ以上のTCR細胞内ドメイン又はその断片の連結ペプチド若しくはその断片のうちの1つ又は両方を更に含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、2つのポリペプチド鎖を含み、各ポリペプチド鎖は、アミノ末端からカルボキシ末端へ向けて、連結ペプチド、膜貫通ドメイン、及び必要に応じてTCR細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、1つ以上の天然に存在しないTCRドメインを含む。例えば、いくつかの実施形態では、TCRMは、1つ又は2つの天然に存在しないTCR膜貫通ドメインを含む。天然に存在しないTCRドメインは、1つ以上のアミノ酸の置換によって、及び/又は対応するドメインの一部を、別のTCRと類似のドメインの一部と置換することによって改変された天然に存在するTCRの対応するドメインであってもよい。caTCRは、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖を含んでもよく、第1及び第2のポリペプチド鎖は共に、抗原結合モジュール及びTCRMを形成する。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、別個のポリペプチド鎖であり、caTCRは二量体などの多量体である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、ペプチド結合、又はジスルフィド結合などの別の化学結合によって共有結合されている。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、caTCRは、1つ以上のT細胞共刺激シグナル伝達配列を更に含む。1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、個別に、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部であり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、第1のTCR-TMと第1のTCR細胞内ドメインとの間、及び/又は第2のTCR-TMと第2のTCR細胞内ドメインとの間にある。いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに対してカルボキシ末端側にある。いくつかの実施形態では、caTCRはT細胞共刺激シグナル伝達配列を欠いている。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、抗原結合モジュールとTCRMとの間に位置する。いくつかの実施形態では、caTCRは、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメイン間のスペーサモジュールを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサモジュールは、2つのcaTCRモジュール又はドメインを連結する1つ以上のペプチドリンカーを含む。
本明細書に記載されるcaTCRは、このセクションに記載される1つ以上の特徴を有してもよい。本明細書に記載されるcaTCR(例えば、抗原結合モジュール、TCRD、TCR-TM、スペーサモジュール、安定化モジュール、T細胞共刺激配列、及び様々なリンカーなど)の各構成要素のための特徴のいずれかを、各及び全ての組み合わせが個別に記載されるかのように、CSRの特徴のいずれかと、及びSSEの特徴のいずれかと互いに組み合わせることができることが意図される。
いくつかの実施形態では、抗原結合モジュール(抗体部分など)は、a)他の分子に対する結合親和性の少なくとも約10倍(例えば、少なくとも約10、20、30、40、50、75、100、200、300、400、500、750、1000、若しくはそれ以上のうちのいずれかを含む)の親和性で、又はb)他の分子に結合するためのKdの約1/10倍以下(例えば、約1/10、1/20、1/30、1/40、1/50、1/75、1/100、1/200、1/300、1/400、1/500、1/750、1/1000、若しくはそれ以下など)のKdで標的抗原に特異的に結合する。結合親和性は、ELISA、蛍光標識細胞分取(FACS)分析、又は放射線免疫沈降アッセイ(RIA)などの当該技術分野において既知の方法によって決定することができる。Kdは、例えば、Biacore機器を利用する表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ、又は例えばSapidyne機器を利用する動的排除アッセイ(KinExA)などの当該技術分野において既知の方法によって決定することができる。
安定化ドメインの例としては、Fc領域、ヒンジ領域、CH3ドメイン、CH4ドメイン、CH1又はCLドメイン、ロイシンジッパードメイン(例えば、jun/fosロイシンジッパードメイン、例えば、Kostelney et al,J.Immunol,148:1547-1553,1992を参照されたい、若しくは酵母GCN4ロイシンジッパードメイン)、イソロイシンジッパードメイン、二量体化細胞表面受容体の二量体化領域(例えば、インターロイキン-8受容体(IL-8 R);又はLFA-1若しくはGPIIIb/IIIaなどのインテグリンヘテロ二量体)、分泌型二量体化リガンド(例えば、神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン-3(NT-3)、インターロイキン-8(IL-8)、血管内皮増殖因子(VEGF)、若しくは脳由来神経栄養因子(BDNF)の二量体化領域;例えば、Arakawa et al,J.Biol.Chem.269:27833-27839,1994,及びRadziejewski et al,Biochem.32:1350,1993を参照されたい);コイルドコイル二量化ドメイン(例えば、WO2014152878、Fletcher et al,ACS Synth.Biol.1:240-250,2012;及びThomas et al.,J.Am.Chem.Soc.135(13):5161-5166、2013を参照されたい)、並びに、少なくとも1つのシステイン残基(例えば、約1、2、又は3~約10のシステイン残基)を含むポリペプチドであって、ジスルフィド結合がポリペプチドと少なくとも1つのシステイン残基を含む第2のポリペプチドとの間に形成するようにできるポリペプチドが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のTCRMは、a)第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR-TM)を含む第1のT細胞受容体ドメイン(TCRD)と、b)第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、を含み、TCRMは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進する。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在しない。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TMは、T細胞受容体(αβ TCR又はγδ TCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来し、第2のTCR-TMは、T細胞受容体の他の膜貫通ドメインに由来する。いくつかの実施形態では、TCRMは、T細胞受容体の膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。TCR関連シグナル伝達分子の動員は、TCR-CD3複合体表面発現のFACS分析、又はCD3サブユニットとcaTCRとの同時免疫沈降などの、当該技術分野において既知の方法によって決定することができる。
例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるTCRMの第1のTCR-TMは、TCR α鎖(例えば、GenBank受託番号CCI73895)の膜貫通ドメイン又はその変異型を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、TCRMの第2のTCR-TMは、TCR β鎖(例えば、GenBank受託番号CCI73893)の膜貫通ドメイン又はその変異体を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TMは、TCR δ鎖(例えば、GenBank受託番号AAQ57272)の膜貫通ドメイン又はその変異型を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、第2のTCR-TMは、TCR γ鎖(例えば、GenBank受託番号AGE91788)の膜貫通ドメイン又はその変異体を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のTCRMの第1及び第2のTCR-TMは、それぞれ、TCR α鎖定常ドメイン(例えば、配列番号1)の膜貫通ドメイン、又はその変異型、及びTCR β鎖定常ドメイン(例えば、配列番号2)の膜貫通ドメイン、又はその変異型を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のTCR-TMは、それぞれ、TCR δ鎖定常ドメイン(例えば、配列番号3)の膜貫通ドメイン、又はその変異型、及びTCR γ鎖定常ドメイン(例えば、配列番号4)の膜貫通ドメイン、又はその変異型を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のTCR-TMは、それぞれ配列番号5及び6のアミノ酸配列、又はその変異型を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のTCR-TMは、それぞれ配列番号7及び8のアミノ酸配列、又はその変異型を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。膜貫通ドメインの変異型としては、参照配列と比較して1つ以上のアミノ酸置換を有する膜貫通ドメインが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、変異型膜貫通ドメインは、参照配列と比較して、5個以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、膜貫通ドメインに対してアミノ末端側の第1の連結ペプチドを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、膜貫通ドメインに対してアミノ末端側の第2の連結ペプチドを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチドは、第1のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの連結ペプチドの全て若しくは一部、又はその変異型を含み、及び/又は第2の連結ペプチドは、第2のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの連結ペプチドの全て若しくは一部、又はこれらの変異型を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の連結ペプチドは、それぞれ、TCR α鎖定常ドメイン(例えば、配列番号1)の連結ペプチドの全て又は一部、又はその変異型、及びTCR β鎖定常ドメイン(例えば、配列番号2)の連結ペプチドの全て又は一部、又はその変異型を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の連結ペプチドは、それぞれ、配列番号27若しくは28の連結ペプチド又はその変異型の全て又は一部、及び配列番号29若しくは30の連結ペプチド又はその変異型の全て又は一部を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の連結ペプチドは、それぞれ、TCR δ鎖定常ドメイン(例えば、配列番号3)の連結ペプチドの全て又は一部、又はその変異型、及びTCR γ鎖定常ドメイン(例えば、配列番号4)の連結ペプチドの全て又は一部、又はその変異型を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の連結ペプチドは、それぞれ、配列番号31若しくは32の連結ペプチド又はその変異型の全て又は一部、及び配列番号33若しくは34の連結ペプチド又はその変異型の全て又は一部を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR-TMに対してカルボキシ末端側の第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR-TMに対してカルボキシ末端側の第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメインは、第1のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの細胞内ドメイン若しくはその変異型の全て若しくは一部を含み、及び/又は第2のTCR細胞内ドメインは、第2のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの細胞内ドメイン若しくはその変異型の全て若しくは一部を含む。いくつかの実施形態では、第2のTCR細胞内ドメインは、配列番号35-36又はその変異型のアミノ酸配列のうちのいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、天然に存在するTCR又はその変異型の1つの鎖の断片であり、及び/又は第2のTCRDは、天然に存在するTCR又はその変異型のうちの他の鎖の断片である。いくつかの実施形態では、TCRDのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、第1及び第2のTCRDは、ジスルフィド結合によって連結されている。いくつかの実施形態では、第1及び第2のTCRDは、第1の連結ペプチド中の残基と第2の連結ペプチド中の残基との間のジスルフィド結合によって連結されている。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζのそれぞれを動員して、caTCR-CD3複合体を形成することができる(すなわち、caTCR-CD3複合体形成を促進する)。
想到されるcaTCR構築物としては、例えば、細胞表面抗原に特異的に結合するcaTCR、細胞表面提示ペプチド/MHC複合体に特異的に結合するcaTCR、及び細胞表面抗原及び細胞表面提示ペプチド/MHC複合体の両方に特異的に結合するcaTCRが挙げられる。
いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は単特異性である。いくつかの実施形態では、抗体部分は多重特異性である。いくつかの実施形態では、抗体部分は二重特異性である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、タンデムscFv、ダイアボディ(Db)、単鎖ダイアボディ(scDb)、二重親和性再標的化(DART)抗体、二重可変ドメイン(DVD)抗体、化学的に架橋された抗体、ヘテロ多量体抗体、又はヘテロコンジュゲート抗体である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ペプチドリンカーによって連結された2つのscFvsを含むタンデムscFvである。いくつかの実施形態では、抗体部分は、直接結合していない2つのscFvである。いくつかの実施形態では、抗体部分は、完全ヒト、ヒト抗体フレームワーク領域を有する半合成、又はヒト化したものである。
いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、VH抗体ドメインを含む第1の抗原結合ドメインと、VL抗体ドメインを含む第2の抗原結合ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、VH抗体ドメイン及びVL抗体ドメインCDRは、同じ抗体部分に由来する。いくつかの実施形態では、VH抗体ドメイン及びVL抗体ドメインCDRの一部は、異なる抗体部分に由来する。いくつかの実施形態では、VH抗体ドメイン及び/又はVL抗体ドメインは、ヒト、ヒト化、キメラ、半合成、又は完全合成である。
いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、完全ヒト配列及び1つ以上の合成領域を含む半合成である抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、完全ヒトVLと、完全ヒトFR1、HC-CDR1、FR2、HC-CDR2、FR3、及びFR4領域及び合成HC-CDR3を含む半合成VHと、を含む半合成抗体部分である。いくつかの実施形態では、半合成VHは、約5~約25(約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25のいずれかなど)の長さのアミノ酸の配列を有する完全合成HC-CDR3を含む。いくつかの実施形態では、半合成VH又は合成HC-CDR3は、約5~約25(約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25のいずれかなど)の長さのアミノ酸の配列を有する完全合成HC-CDR3領域を含む半合成ライブラリー(半合成ヒトライブラリーなど)から得られ、配列中の各アミノ酸は、互いに独立して、システインを除く標準的なヒトアミノ酸からランダムに選択される。いくつかの実施形態では、合成HC-CDR3は、約10~約19(約10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19のいずれかなど)の長さのアミノ酸である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、半合成VL及び半合成VHを含む半合成抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、固定ヒトVH/VLフレームワークペアを含む完全合成抗体部分であるが、重鎖及び軽鎖の両方の6つのCDR全てについてランダム化及び合成配列である。
いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、1つ以上の抗体部分(モノクローナル抗体など)に由来する特異的CDR配列、又は1つ以上のアミノ酸置換を含むそのような配列の特定の変異型を含む抗体部分である。いくつかの実施形態では、変異型配列中のアミノ酸置換は、抗原結合モジュールが標的抗原に結合する能力を実質的に低下させない。標的抗原結合親和性を実質的に改善するか、又は標的抗原の関連変異型との特異性及び/又は交差反応性などのいくつかの他の特性に影響を及ぼす変更も想到される。
いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、抗体部分から誘導される。例えば、いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、CH1抗体ドメイン又はその変異型を含む第1の安定化ドメインと、CL抗体ドメイン又はその変異型を含む第2の安定化ドメインと、を含む。別の実施形態では、安定化モジュールは、CH3抗体ドメイン又はその変異型を含む第1の安定化ドメインと、CH3抗体ドメイン又はその変異型を含む第2の安定化ドメインと、を含む。いくつかの実施形態では、安定化モジュールに含まれる抗体重鎖定常ドメイン(例えば、CH1又はCH3)は、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)、IgA(例えば、IgA1又はIgA2)、IgD、IgM、又はIgE重鎖、所望によりヒトに由来する。いくつかの実施形態では、安定化モジュールに含まれる抗体重鎖定常ドメイン(例えば、CH1又はCH3)は、それが由来する配列と比較して、1つ以上の改変(例えば、アミノ酸置換、挿入、及び/又は欠失)を含む変異型である。いくつかの実施形態では、安定化モジュールに含まれる抗体軽鎖定常ドメイン(CL)は、カッパ又はラムダ軽鎖、所望によりヒトに由来する。いくつかの実施形態では、安定化モジュールに含まれる抗体軽鎖定常ドメイン(CL)は、それが由来する配列と比較して、1つ以上の改変(例えば、アミノ酸置換、挿入、及び/又は欠失)を含む変異型である。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の安定化ドメインは、互いに結合親和性を実質的に変化させない1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の安定化ドメインは、互いに結合親和性を増加させ、及び/又は天然に存在しないジスルフィド結合を導入する1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、knob-into-hole改変(例えば、Carter P.J Immunol Methods.248:7-15,2001を参照されたい)を含む。例えば、いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、knob-into-hole改変を含む抗体定常ドメイン領域(例えば、CH3ドメイン)を含む。いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、それらの結合を増強するための静電的ステアリングによって改変された抗体定常ドメイン領域(例えば、CH3ドメイン)を含む(例えば、WO2006106905及びGunasekaran K,et al.J Biol Chem.285:19637-46,2010を参照されたい)。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。
いくつかの実施形態では、caTCRは、所望により安定化モジュールを含む、本明細書に記載のTCRMに連結された本明細書に記載の抗原結合モジュールを含む。例えば、いくつかの実施形態では、caTCRは、TCRDの一方又は両方のN末端に連結された抗原結合モジュールを含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、TCRMと抗原結合モジュールとの間の安定化モジュールを含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメイン間のスペーサモジュールを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサモジュールは、約5~約70(約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、又は70のいずれかなど、これらの値間の任意の範囲を含む)の長さのアミノ酸の1つ以上のペプチドリンカーを含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、1つ以上のアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアクセサリー細胞内ドメインは、第1及び/又は第2のTCRDに対してカルボキシ末端側である。いくつかの実施形態では、1つ以上のアクセサリー細胞内ドメインは、第1のTCR-TMと第1のTCR細胞内ドメインとの間、及び/又は第2のTCR-TMと第2のTCR細胞内ドメインとの間にある。いくつかの実施形態では、1つ以上のアクセサリー細胞内ドメインは、個々に、TCR共刺激ドメインを含む。いくつかの実施形態では、TCR共刺激ドメインは、免疫共刺激分子(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなど)の細胞内ドメインの全て又は一部を含む。いくつかの実施形態では、TCR共刺激ドメインは、配列番号51~56、又はその変異型のいずれか1つのアミノ酸配列の全て又は一部を含む。
いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、細胞表面抗原は、タンパク質、炭水化物、及び脂質からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、細胞表面抗原は、疾患細胞において発現する疾患関連抗原である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、ペプチド及びMHCタンパク質を含む複合体に特異的に結合する。ペプチド/MHC複合体としては、例えば、疾患細胞で発現する疾患関連抗原に由来するペプチド及びMHCタンパク質を含む表面提示複合体が挙げられる。いくつかの実施形態では、完全長疾患関連抗原は、疾患細胞の表面に通常発現しない(例えば、疾患関連抗原は、細胞内又は分泌タンパク質である)。いくつかの実施形態では、疾患はがんであり、疾患関連抗原は、がん細胞において発現する腫瘍関連抗原である。いくつかの実施形態では、腫瘍関連抗原は、腫瘍性タンパク質である。いくつかの実施形態では、腫瘍性タンパク質は、がん原遺伝子における変異の結果であり、腫瘍性タンパク質は、変異を含むネオエピトープを含む。例えば、いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、細胞表面腫瘍関連抗原(例えば、ネオエピトープを含む腫瘍性タンパク質)に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、がん細胞表面では通常発現しない(例えば、細胞内又は分泌の腫瘍関連抗原)腫瘍関連抗原(例えば、ネオエピトープを含む腫瘍性タンパク質)に由来するペプチド及びMHCタンパク質を含む複合体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、疾患はウイルス感染であり、疾患関連抗原は、感染細胞において発現するウイルス関連抗原である。例えば、いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、細胞表面のウイルス関連抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、ウイルス感染細胞の表面に通常発現しないウイルス関連抗原(例えば、細胞内又は分泌のウイルス関連抗原)に由来するペプチド及びMHCタンパク質を含む複合体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、caTCR構築物は、約0.1pM~約500nM(約0.1pM、1.0pM、10pM、50pM、100pM、500pM、1nM、10nM、50nM、100nM、又は500nMのいずれかなど、これらの値間の任意の範囲を含む)のKdで標的抗原に結合する。
いくつかの実施形態では、caTCRは、細胞表面抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールを含み、細胞表面抗原は、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、又はFCRL5、その変異型又は変異体を含むものである。完全な抗原、例えば、細胞表面抗原への特異的結合は、しばしば、「非MHC拘束結合」と呼ばれる。
いくつかの実施形態では、caTCRは、ペプチド及びMHCタンパク質を含む複合体に特異的に結合する抗原結合モジュールを含み、ペプチドは、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、HIV-1、KRAS、ヒストンH3.3、及びPSA、その変異型又は変異体を含むものからなる群から選択されるタンパク質に由来する。ペプチド及びMHCタンパク質を含む複合体への特異的結合は、しばしば「MHC拘束結合」と呼ばれる。
いくつかの実施形態では、caTCRは、疾患関連抗原(腫瘍関連抗原又はウイルスコード抗原など)及びMHCクラスIタンパク質に由来するペプチドを含む複合体に特異的に結合する抗原結合モジュールを含み、MHCクラスIタンパク質は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、又はHLA-Gである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-A、HLA-B、又はHLA-Cである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-Aである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-Bである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-Cである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-A01、HLA-A02、HLA-A03、HLA-A09、HLA-A10、HLA-A11、HLA-A19、HLA-A23、HLA-A24、HLA-A25、HLA-A26、HLA-A28、HLA-A29、HLA-A30、HLA-A31、HLA-A32、HLA-A33、HLA-A34、HLA-A36、HLA-A43、HLA-A66、HLA-A68、HLA-A69、HLA-A74、又はHLA-A80である。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-A02である。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-A*02:01-555、例えばHLA-A*02:01、HLA-A*02:02、HLA-A*02:03、HLA-A*02:04、HLA-A*02:05、HLA-A*02:06、HLA-A*02:07、HLA-A*02:08、HLA-A*02:09、HLA-A*02:10、HLA-A*02:11、HLA-A*02:12、HLA-A*02:13、HLA-A*02:14、HLA-A*02:15、HLA-A*02:16、HLA-A*02:17、HLA-A*02:18、HLA-A*02:19、HLA-A*02:20、HLA-A*02:21、HLA-A*02:22、又はHLA-A*02:24のうちのいずれか1つである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-A*02:01である。
いくつかの実施形態では、caTCRは、疾患関連抗原(腫瘍関連抗原又はウイルスコード抗原など)に由来するペプチド及びMHCクラスIIタンパク質を含む複合体に特異的に結合する抗原結合モジュールを含み、MHCクラスIIタンパク質は、HLA-DP、HLA-DQ、又はHLA-DRである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIIタンパク質は、HLA-DPである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIIタンパク質は、HLA-DQである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIIタンパク質は、HLA-DRである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、a)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、b)TCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインに由来する第1及び第2のTCR-TMを含むTCRMとを含み、TCRMは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、TCRM中の1つ以上のポリペプチド鎖のアミノ末端に連結する。例えば、いくつかの実施形態では、TCRMは、2つのポリペプチド鎖を含み、抗原結合モジュールは、TCRMポリペプチド鎖の一方又は両方のアミノ末端に連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2のTCR-TMは、天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、第1及び第2のTCR-TMは天然に存在しない。いくつかの実施形態では、TCRMは、TCR-TMに対してアミノ末端側のTCRの少なくとも1つの連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、TCR-TMに対してカルボキシ末端側のTCRの細胞内ドメイン由来の配列を含む、少なくとも1つのTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、TCR鎖の断片に由来するTCRDを含む。いくつかの実施形態では、TCRDのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、caTCRは、TCR-TMに対してカルボキシ末端側のT細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは共刺激シグナル伝達配列を欠いている。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、VH抗体ドメイン及びVL抗体ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ヒト、ヒト化、キメラ、半合成、又は完全合成である。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、安定化ドメインを連結する少なくとも1つのジスルフィド結合を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、T細胞受容体の膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、caTCRはヘテロ二量体などのヘテロ多量体である。例えば、いくつかの実施形態では、caTCRは、第1のTCRDを含む第1のポリペプチド鎖と、第2のTCRDを含む第2のポリペプチド鎖とを含むヘテロ二量体であり、抗原結合モジュールは、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖に連結される。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)TCRの膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及びTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、抗原結合モジュールは、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、TCRはαβ TCRであり、第1及び第2のTCR-TMは、TCR α及びβサブユニット膜貫通ドメインに由来する。いくつかの実施形態では、TCRはγδ TCRであり、第1及び第2のTCR-TMは、TCR γ及びδサブユニット膜貫通ドメインに由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチドは、第1のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの連結ペプチドの全て若しくは一部、又はその変異型を含み、及び/又は第2の連結ペプチドは、第2のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの連結ペプチドの全て若しくは一部、又はこれらの変異型を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメインは、第1のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの細胞内ドメイン由来の配列を含み、及び/又は第2のTCR細胞内ドメインは、第2のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの細胞内ドメイン由来の配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの断片であり、及び/又は、第2のTCRDは、第2のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの断片である。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、T細胞受容体の膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)天然に存在するαβ TCRの膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び天然に存在するαβ TCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、抗原結合モジュールは、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチドは、第1のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの連結ペプチドの全て若しくは一部、又はその変異型を含み、及び/又は第2の連結ペプチドは、第2のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの連結ペプチドの全て若しくは一部、又はこれらの変異型を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメインは、第1のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの細胞内ドメイン由来の配列を含み、及び/又は第2のTCR細胞内ドメインは、第2のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの細胞内ドメイン由来の配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの断片であり、及び/又は、第2のTCRDは、第2のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの断片である。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に存在するαβ T細胞受容体の膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)天然に存在するγδ TCRの膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び天然に存在するγδ TCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、抗原結合モジュールは、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチドは、第1のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの連結ペプチドの全て若しくは一部、又はその変異型を含み、及び/又は第2の連結ペプチドは、第2のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの連結ペプチドの全て若しくは一部、又はこれらの変異型を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメインは、第1のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの細胞内ドメイン由来の配列を含み、及び/又は第2のTCR細胞内ドメインは、第2のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの細胞内ドメイン由来の配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの断片であり、及び/又は、第2のTCRDは、第2のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの断片である。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に存在するγδ T細胞受容体の膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)配列番号1及び配列番号2のアミノ酸配列のうちの1つに含まれる膜貫通ドメインに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び他のアミノ酸配列に含まれる膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、抗原結合モジュールは、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号1~4のアミノ酸配列又はその変異型のいずれか1つに含まれる連結ペプチドのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号27~34又はその変異型のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号1~4のアミノ酸配列又はその変異型のいずれか1つに含まれる細胞内ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号35若しくは36又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号1及び2に含まれる膜貫通ドメインの配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)配列番号1及び配列番号2のアミノ酸配列のうちの1つに含まれる膜貫通ドメインに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び他のアミノ酸配列に含まれる膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、を含み、TCR-TMの少なくとも1つは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、1つ以上(2、3、4、5、又はそれ以上など)のアミノ酸置換を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、抗原結合モジュールは、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのそれぞれは、互いに独立して、それが由来するアミノ酸配列と比較して、1つ以上(2、3、4、5、又はそれ以上など)のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM及び/又は第2のTCR-TMはそれぞれ、互いに独立して、それらが由来するアミノ酸配列と比較して、5個以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR-TMのそれぞれは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM中の置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、caTCRにおいて、第2のTCR-TM中の置換アミノ酸のうちの少なくとも1つと相互作用することができるように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号1~4のアミノ酸配列又はその変異型のいずれか1つに含まれる連結ペプチドのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号27~34又はその変異型のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号1~4のアミノ酸配列又はその変異型のいずれか1つに含まれる細胞内ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号35若しくは36又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号1及び2に含まれる膜貫通ドメインの配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)配列番号1及び配列番号2のアミノ酸配列のうちの1つに含まれる膜貫通ドメインに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び他のアミノ酸配列に含まれる膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、を含み、TCR-TMの少なくとも1つは、配列番号3又は4に含まれる膜貫通ドメイン由来の連続したアミノ酸の一部を含むキメラ配列を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、抗原結合モジュールは、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのそれぞれは、互いに独立して、配列番号3又は4に含まれる膜貫通ドメイン由来の連続するアミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM及び/又は第2のTCR-TMはそれぞれ、互いに独立して、配列番号3又は4に含まれる膜貫通ドメイン由来の約10以下(約9、8、7、6、5、又はそれ以下など)の連続するアミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1又は第2のTCR-TM中のキメラ配列は、配列番号3に含まれる膜貫通ドメイン由来であり、他のTCR-TM中のキメラ配列は、配列番号4に含まれる膜貫通ドメイン由来である。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM中のキメラ配列は、それが第2のTCR-TM中のキメラ配列と相互作用することができるように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号1~4のアミノ酸配列又はその変異型のいずれか1つに含まれる連結ペプチドのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号27~34又はその変異型のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号1~4のアミノ酸配列又はその変異型のいずれか1つに含まれる細胞内ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号35若しくは36又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号1及び2に含まれる膜貫通ドメインの配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)配列番号3及び配列番号4のアミノ酸配列のうちの1つに含まれる膜貫通ドメインに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び他のアミノ酸配列に含まれる膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、抗原結合モジュールは、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号1~4のアミノ酸配列又はその変異型のいずれか1つに含まれる連結ペプチドのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号27~34又はその変異型のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号1~4のアミノ酸配列又はその変異型のいずれか1つに含まれる細胞内ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号35若しくは36又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号3及び4に含まれる膜貫通ドメインの配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)配列番号3及び配列番号4のアミノ酸配列のうちの1つに含まれる膜貫通ドメインに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び他のアミノ酸配列に含まれる膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、を含み、TCR-TMの少なくとも1つは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、1つ以上(2、3、4、5、又はそれ以上など)のアミノ酸置換を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、抗原結合モジュールは、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのそれぞれは、互いに独立して、それが由来するアミノ酸配列と比較して、1つ以上(2、3、4、5、又はそれ以上など)のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM及び/又は第2のTCR-TMはそれぞれ、互いに独立して、それらが由来するアミノ酸配列と比較して、5個以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR-TMのそれぞれは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM中の置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、caTCRにおいて、第2のTCR-TM中の置換アミノ酸のうちの少なくとも1つと相互作用することができるように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号1~4のアミノ酸配列又はその変異型のいずれか1つに含まれる連結ペプチドのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号27~34又はその変異型のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号1~4のアミノ酸配列又はその変異型のいずれか1つに含まれる細胞内ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号35若しくは36又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号3及び4に含まれる膜貫通ドメインの配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)配列番号3及び配列番号4のアミノ酸配列のうちの1つに含まれる膜貫通ドメインに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び他のアミノ酸配列に含まれる膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、を含み、TCR-TMの少なくとも1つは、配列番号1又は2に含まれる膜貫通ドメイン由来の連続したアミノ酸の一部を含むキメラ配列を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、抗原結合モジュールは、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのそれぞれは、互いに独立して、配列番号1又は2に含まれる膜貫通ドメイン由来の連続するアミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM及び/又は第2のTCR-TMはそれぞれ、互いに独立して、配列番号1又は2に含まれる膜貫通ドメイン由来の約10以下(約9、8、7、6、5、又はそれ以下など)の連続するアミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1又は第2のTCR-TM中のキメラ配列は、配列番号1に含まれる膜貫通ドメイン由来であり、他のTCR-TM中のキメラ配列は、配列番号2に含まれる膜貫通ドメイン由来である。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM中のキメラ配列は、それが第2のTCR-TM中のキメラ配列と相互作用することができるように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号1~4のアミノ酸配列又はその変異型のいずれか1つに含まれる連結ペプチドのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号27~34又はその変異型のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号1~4のアミノ酸配列又はその変異型のいずれか1つに含まれる細胞内ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号35若しくは36又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号3及び4に含まれる膜貫通ドメインの配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列のうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、抗原結合モジュールは、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号27~34又はその変異型のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号35若しくは36又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号5及び6の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列のうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、を含み、TCR-TMの少なくとも1つは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、1つ以上(2、3、4、5、又はそれ以上など)のアミノ酸置換を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、抗原結合モジュールは、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのそれぞれは、互いに独立して、それが由来するアミノ酸配列と比較して、1つ以上(2、3、4、5、又はそれ以上など)のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM及び/又は第2のTCR-TMはそれぞれ、互いに独立して、それらが由来するアミノ酸配列と比較して、5個以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR-TMのそれぞれは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM中の置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、caTCRにおいて、第2のTCR-TM中の置換アミノ酸のうちの少なくとも1つと相互作用することができるように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号27~34又はその変異型のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号35若しくは36又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号5及び6の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列のうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、を含み、TCR-TMの少なくとも1つは、配列番号7又は8由来の連続したアミノ酸の一部を含むキメラ配列を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、抗原結合モジュールは、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのそれぞれは、互いに独立して、配列番号7又は8由来の連続するアミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM及び/又は第2のTCR-TMはそれぞれ、互いに独立して、配列番号7又は8由来の約10以下(約9、8、7、6、5、又はそれ以下など)の連続するアミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1又は第2のTCR-TM中のキメラ配列は、配列番号7由来であり、他のTCR-TM中のキメラ配列は、配列番号8由来である。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM中のキメラ配列は、それが第2のTCR-TM中のキメラ配列と相互作用することができるように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号27~34又はその変異型のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号35若しくは36又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号5及び6の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)配列番号7及び配列番号8のアミノ酸配列のうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、抗原結合モジュールは、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号27~34又はその変異型のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号35若しくは36又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)配列番号7及び配列番号8のアミノ酸配列のうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、を含み、TCR-TMの少なくとも1つは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、1つ以上(2、3、4、5、又はそれ以上など)のアミノ酸置換を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、抗原結合モジュールは、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのそれぞれは、互いに独立して、それが由来するアミノ酸配列と比較して、1つ以上(2、3、4、5、又はそれ以上など)のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM及び/又は第2のTCR-TMはそれぞれ、互いに独立して、それらが由来するアミノ酸配列と比較して、5個以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR-TMのそれぞれは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM中の置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、caTCRにおいて、第2のTCR-TM中の置換アミノ酸のうちの少なくとも1つと相互作用することができるように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号27~34又はその変異型のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号35若しくは36又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)配列番号7及び配列番号8のアミノ酸配列のうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、を含み、TCR-TMの少なくとも1つは、配列番号5又は6由来の連続したアミノ酸の一部を含むキメラ配列を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、抗原結合モジュールは、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのそれぞれは、互いに独立して、配列番号5又は6由来の連続するアミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM及び/又は第2のTCR-TMはそれぞれ、互いに独立して、配列番号5又は6由来の約10以下(約9、8、7、6、5、又はそれ以下など)の連続するアミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1又は第2のTCR-TM中のキメラ配列は、配列番号5由来であり、他のTCR-TM中のキメラ配列は、配列番号6由来である。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM中のキメラ配列は、それが第2のTCR-TM中のキメラ配列と相互作用することができるように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチド及び第2の連結ペプチドはそれぞれ、互いに独立して、配列番号27~34又はその変異型のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインはそれぞれ、互いに独立して、配列番号35若しくは36又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(二重特異性など)である。
異なる態様は、以下の様々なセクションで更に詳細に論じられる。
TCR-TM変異型
いくつかの実施形態では、caTCRのTCR-TMはT細胞受容体に由来し、TCR-TMのうちの少なくとも1つは天然に存在しない。T細胞受容体に由来する天然に存在しないTCR-TMは、1つ以上のアミノ酸の置換によって改変されたT細胞受容体由来の膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸に対して近位(一次配列中又は空間的のいずれか)にある。例えば、いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸から3個以下(0、1、2、又は3など)のアミノ酸で離れている。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸から約15Å以下(約14、12、10、8、6、4、2Å、又は1Åのいずれか以下など)で離れている。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。
例えば、いくつかの実施形態では、T細胞受容体に由来する天然に存在しないTCR-TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変されたα、β、γ、又はδ TCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のT細胞受容体に由来する天然に存在しないTCR-TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変された、配列番号1に含まれる膜貫通ドメイン(例えば、配列番号5)のアミノ酸配列を含むα TCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、α TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号1に含まれる膜貫通ドメインの5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、α TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号1に含まれる膜貫通ドメインの単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のT細胞受容体に由来する天然に存在しないTCR-TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変された、配列番号5のアミノ酸配列を含むα TCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、α TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号5中の5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、α TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号5中の単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のT細胞受容体に由来する天然に存在しないTCR-TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変された、配列番号2に含まれる膜貫通ドメイン(例えば、配列番号6)のアミノ酸配列を含むβ TCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、β TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号2に含まれる膜貫通ドメインの5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、β TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号2に含まれる膜貫通ドメインの単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のT細胞受容体に由来する天然に存在しないTCR-TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変された、配列番号6のアミノ酸配列を含むβ TCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、β TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号6中の5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、β TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号6中の単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のT細胞受容体に由来する天然に存在しないTCR-TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変された、配列番号3に含まれる膜貫通ドメイン(例えば、配列番号7)のアミノ酸配列を含むδ TCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、δ TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号3に含まれる膜貫通ドメインの5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、δ TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号3に含まれる膜貫通ドメインの単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。
いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号3に含まれる膜貫通ドメイン(例えば、配列番号7)のアミノ酸配列を含み、配列番号7中の以下のアミノ酸、L4、M6、V12、N15、F245、及びL25に対応するアミノ酸における1つ以上の置換(より疎水性の残基による置換など)によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号3に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含み、配列番号7中のV12及びN15に対応するアミノ酸における置換(より疎水性の残基による置換など)によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号3に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含み、配列番号7中の以下の置換、L4C、M6V、V12F、N15S、F245S、及びL25Sに対応する1つ以上の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号3に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含み、配列番号7中のV12F及びN15Sの置換に対応する置換によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号9~13のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のT細胞受容体に由来する天然に存在しないTCR-TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変された、配列番号7のアミノ酸配列を含むδ TCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、δ TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号7中の5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、δ TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号7中の単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。
いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、配列番号7中の以下のアミノ酸、L4、M6、V12、N15、F245、及びL25に対応するアミノ酸における1つ以上の置換(より疎水性の残基による置換など)によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、配列番号7のアミノ酸、V12及びN15に対応するアミノ酸における置換(より疎水性の残基による置換など)によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、配列番号7中の以下の置換、L4C、M6V、V12F、N15S、F245S、及びL25Sに対応する1つ以上の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、配列番号7中のV12F及びN15Sの置換に対応する置換によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号9~13のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のT細胞受容体に由来する天然に存在しないTCR-TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変された、配列番号4に含まれる膜貫通ドメイン(例えば、配列番号8)のアミノ酸配列を含むγ TCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、γ TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号4に含まれる膜貫通ドメインの5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、γ TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号4に含まれる膜貫通ドメインの単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。
いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号4に含まれる膜貫通ドメイン(例えば、配列番号8)のアミノ酸配列を含み、配列番号8中の以下のアミノ酸、Y1、Y2、M3、L5、L8、V12、V13、F15、A16、I18、C19、C20、及びC21に対応するアミノ酸における1つ以上の置換(より疎水性の残基による置換など)によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号4に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含み、配列番号8のアミノ酸、Y2、M3、A16、及びI18に対応するアミノ酸における置換(より疎水性の残基による置換など)によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号4に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含み、配列番号8中の、L8、V12、及びF15に対応するアミノ酸における置換(より疎水性の残基による置換など)によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号4に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含み、配列番号8中の以下の置換、Y1Q、Y2L、Y2I、M3V、M3I、L5C、L8F、V12F、V13Y、F15S、A16V、A16I、I18V、I18L、C19M、C20M、及びC21Gに対応する1つ以上の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号4に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含み、配列番号8のY2L、M3V、A16V、及びI18Vの置換に対応する置換によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号4に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含み、配列番号8のY2I、M3I、A16I、及びI18Lの置換に対応する置換によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号4に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含み、配列番号8のL8F、V12F、及びF15Sの置換に対応する置換によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号14~26のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のT細胞受容体に由来する天然に存在しないTCR-TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変された、配列番号8のアミノ酸配列を含むγ TCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、γ TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号8中の5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、γ TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号8中の単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、対応する非置換残基よりも疎水性の残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のそれぞれは、結合CD3に含まれるTCRM中のアミノ酸の近位にある。
いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号8のアミノ酸配列を含み、配列番号8中の以下のアミノ酸、Y1、Y2、M3、L5、L8、V12、V13、F15、A16、I18、C19、C20、及びC21に対応するアミノ酸における1つ以上の置換(より疎水性の残基による置換など)によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号8のアミノ酸配列を含み、配列番号8中の、Y2、M3、A16、及びI18に対応するアミノ酸における置換(より疎水性の残基による置換など)によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号8のアミノ酸配列を含み、配列番号8中の、L8、V12、及びF15に対応するアミノ酸における置換(より疎水性の残基による置換など)によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号8のアミノ酸配列を含み、配列番号8中の以下の置換、Y1Q、Y2L、Y2I、M3V、M3I、L5C、L8F、V12F、V13Y、F15S、A16V、A16I、I18V、I18L、C19M、C20M、及びC21Gに対応する1つ以上の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号8のアミノ酸配列を含み、配列番号8中の、Y2L、M3V、A16V、及びI18Vの置換に対応する置換によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号8のアミノ酸配列を含み、配列番号8中の、Y2I、M3I、A16I、及びI18Lの置換に対応する置換によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号8のアミノ酸配列を含み、配列番号8中の、L8F、V12F、及びF15Sの置換に対応する置換によって改変される。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR-TMは、配列番号14~26のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)配列番号7及び9~13のアミノ酸配列のうちのいずれか1つを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、並びに配列番号8及び14~26のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるTCRMを形成し、抗原結合モジュールは、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM及び第2のTCR-TMは、表2に列挙されるcaTCRのいずれかに従って選択される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチドは、配列番号31若しくは32又はその変異型のアミノ酸配列を含み、及び/又は第2の連結ペプチドは、配列番号33若しくは34又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のTCR細胞内ドメインは、配列番号36又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、C
H1及びC
L抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。
抗原結合モジュール
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかによると、抗原結合モジュールは抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、及び単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体部分が、第1の抗体部分鎖及び第2の抗体部分鎖を含む多量体である場合、caTCRは、第1又は第2の抗体部分鎖に連結された第1のTCRDと、他方の抗体部分鎖に連結された第2のTCRDとを含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、非限定的に、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、及びFCRL5、その変異型又は変異体を含むものを含む細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、非限定的に、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、HIV-1、KRAS、ヒストンH3.3、及びPSA、その変異型又は変異体を含むものを含むタンパク質に由来する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかによると、抗原結合モジュールは、CH1及びCLドメインを含む抗体部分である。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)重鎖、所望によりヒトに由来する。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、それが由来する配列と比較して、1つ以上の改変(例えば、アミノ酸置換、挿入、及び/又は欠失)を含む変異型である。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37~47、又はその変異型のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37、又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CLドメインは、カッパ又はラムダ軽鎖、所望によりヒトに由来する。いくつかの実施形態では、CLドメインは、それが由来する配列と比較して、1つ以上の改変(例えば、アミノ酸置換、挿入、及び/又は欠失)を含む変異型である。いくつかの実施形態では、CLドメインは、配列番号48、又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CH1及び/又はCLドメインは、互いに結合親和性を実質的に変化させない1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、CH1及び/又はCLドメインは、互いに結合親和性を増加させ、及び/又は天然に存在しないジスルフィド結合を導入する1つ以上の改変を含む。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合する抗体部分を含む本明細書に記載のcaTCRのいずれかによると、抗体部分は、標的抗原に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD19に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2017066136A2を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD19に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、配列番号58のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVHドメイン、及び/又は配列番号59のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVLドメイン、或いはそれらに含まれるCDR)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD20に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、配列番号60のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVHドメイン、及び/又は配列番号61のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVLドメイン、或いはそれらに含まれるCDR)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD22に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる、2018年3月30日出願のUSSN62/650,955を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD22に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、配列番号101のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVHドメイン、及び/又は配列番号102のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVLドメイン、或いはそれらに含まれるCDR)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPC3に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる、2017年4月26日出願のUSSN62/490,586を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPC3に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、配列番号64のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVHドメイン、及び/又は配列番号65のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVLドメイン、或いはそれらに含まれるCDR)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ROR1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/187220及びWO2016/187216を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ROR2に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/142768を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、BCMAに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090327及びWO2016/090320を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPRC5Dに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090329及びWO2016/090312を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、FCRL5に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090337を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、WT-1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2012/135854、WO2015/070078、及びWO2015/070061を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、AFPに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/161390を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、HPV16-E7に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/182957を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、NY-ESO-1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/210365を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、PRAMEに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/191246を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、EBV-LMP2Aに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/201124を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、KRASに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/154047を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、PSAに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2017/015634を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、VHドメイン及びCH1ドメインを含む1つのFab鎖と、VLドメイン及びCLドメインを含む別のFab鎖と、を含むFabである。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37~47のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、及び/又はCLドメインは、配列番号48のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、CLドメインは、配列番号48のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
caTCR構築物
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)TCRの膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及びTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗体部分と、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、抗体部分は、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、及び単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、非限定的に、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、及びFCRL5、その変異型又は変異体を含むものを含む細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、非限定的に、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、HIV-1、KRAS、ヒストンH3.3、及びPSA、その変異型又は変異体を含むものを含むタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、TCRMと抗体部分との間に位置する。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)配列番号7及び9~13のアミノ酸配列のうちのいずれか1つを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び配列番号8及び14~26のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗体部分と、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるTCRMを形成し、抗体部分は、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM及び第2のTCR-TMは、表2に列挙されるcaTCRのいずれかに従って選択される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、及び単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、非限定的に、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、及びFCRL5、その変異型又は変異体を含むものを含む細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、非限定的に、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、HIV-1、KRAS、ヒストンH3.3、及びPSA、その変異型又は変異体を含むものを含むタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチドは、配列番号31若しくは32又はその変異型のアミノ酸配列を含み、及び/又は第2の連結ペプチドは、配列番号33若しくは34又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のTCR細胞内ドメインは、配列番号36又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗体部分と、を含み、第1及び第2のTCR-TMは、それぞれ、配列番号7及び8、9及び8、7及び14、7及び15、7及び16、10及び16、7及び17、7及び18、7及び19、7及び20、7及び21、7及び22、11及び23、12及び24、7及び25、又は13及び26のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるTCRMを形成し、抗体部分は、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)配列番号7のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び配列番号8のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する抗体部分と、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるTCRMを形成し、抗体部分は、第1及び/又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、及び単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、非限定的に、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、及びFCRL5、その変異型又は変異体を含むものを含む細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、非限定的に、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、HIV-1、KRAS、ヒストンH3.3、及びPSA、その変異型又は変異体を含むものを含むタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチドは、配列番号31若しくは32又はその変異型のアミノ酸配列を含み、及び/又は第2の連結ペプチドは、配列番号33若しくは34又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のTCR細胞内ドメインは、配列番号36又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)TCRの膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRDに連結する第1のFab鎖を含む第1の抗原結合ドメインを含む第1のポリペプチド鎖と、b)TCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDに連結する第2のFab鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む第2のポリペプチド鎖と、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるTCRMを形成し、第1及び第2のFab鎖は、標的抗原に特異的に結合するFab様抗原結合モジュールを形成する。いくつかの実施形態では、a)第1のFab鎖はVH及びCH1抗体ドメインを含み、第2のFab鎖はVL及びCL抗体ドメインを含み、又はb)第1のFab鎖はVL及びCL抗体ドメインを含み、第2のFab鎖はVH及びCH1抗体ドメインを含む。例えば、いくつかの実施形態では、caTCRは、a)第1のTCRDに連結されたVH及びCH1抗体ドメインを含む第1のFab鎖を含む第1のポリペプチド鎖と、b)第2のTCRDに連結されたVL及びCL抗体ドメインを含む第2のFab鎖と、を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、a)第1のTCRDに連結されたVL及びCL抗体ドメインを含む第1のFab鎖と、b)第2のTCRDに連結されたVH及びCH1抗体ドメインを含む第2のFab鎖と、を含む。いくつかの実施形態では、TCRDの一方又は両方とそれらの連結したFab鎖との間にペプチドリンカーが存在する。いくつかの実施形態では、CH1ドメイン内の残基とCLドメイン内の残基との間にジスルフィド結合が存在する。いくつかの実施形態では、CH1及び/又はCLドメインは、互いにFab鎖の結合親和性を増加させる1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、CH1及びCLドメインは、Fab鎖のうちの1つがVH及びCL抗体ドメインを含み、他方のFab鎖がVL及びCH1抗体ドメインを含むように交換される。いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、非限定的に、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、及びFCRL5、その変異型又は変異体を含むものを含む細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、非限定的に、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、HIV-1、KRAS、ヒストンH3.3、及びPSA、その変異型又は変異体を含むものを含むタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1又は第2の安定化ドメインは、第1のTCRDとその連結されたFab鎖との間に位置し、他の安定化ドメインは、第2のTCRDとその連結されたFab鎖との間に位置する。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)配列番号7及び9~13のアミノ酸配列のうちのいずれか1つを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる第1のTCR-TMを含む第1のTCRDに連結する第1のFab鎖を含む第1の抗原結合ドメインを含む第1のポリペプチド鎖と、b)配列番号8及び14~26のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる第2のTCR-TMを含む第2のTCRDに連結する第2のFab鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む第2のポリペプチド鎖と、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるTCRMを形成し、第1及び第2のFab鎖は、標的抗原に特異的に結合するFab様抗原結合モジュールを形成する。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM及び第2のTCR-TMは、表2に列挙されるcaTCRのいずれかに従って選択される。いくつかの実施形態では、a)第1のFab鎖はVH及びCH1抗体ドメインを含み、第2のFab鎖はVL及びCL抗体ドメインを含み、又はb)第1のFab鎖はVL及びCL抗体ドメインを含み、第2のFab鎖はVH及びCH1抗体ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37~47のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、及び/又はCLドメインは、配列番号48のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、CLドメインは、配列番号48のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、非限定的に、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、及びFCRL5、その変異型又は変異体を含むものを含む細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、非限定的に、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、HIV-1、KRAS、ヒストンH3.3、及びPSA、その変異型又は変異体を含むものを含むタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチドは、配列番号31若しくは32又はその変異型のアミノ酸配列を含み、及び/又は第2の連結ペプチドは、配列番号33若しくは34又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のTCR細胞内ドメインは、配列番号36又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)第1のTCR-TMを含む第1のTCRDに連結する第1のFab鎖を含む第1の抗原結合ドメインを含む第1のポリペプチド鎖と、第2のTCR-TMを含む第2のTCRDに連結する第2のFab鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む第2のポリペプチド鎖と、を含み、第1及び第2のTCR-TMは、それぞれ、配列番号7及び8、9及び8、7及び14、7及び15、7及び16、10及び16、7及び17、7及び18、7及び19、7及び20、7及び21、7及び22、11及び23、12及び24、7及び25、又は13及び26のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるTCRMを形成し、第1及び第2のFab鎖は、標的抗原に特異的に結合するFab様抗原結合モジュールを形成する。いくつかの実施形態では、a)第1のFab鎖はVH及びCH1抗体ドメインを含み、第2のFab鎖はVL及びCL抗体ドメインを含み、又はb)第1のFab鎖はVL及びCL抗体ドメインを含み、第2のFab鎖はVH及びCH1抗体ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37~47のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、及び/又はCLドメインは、配列番号48のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、CLドメインは、配列番号48のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、非限定的に、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、及びFCRL5、その変異型又は変異体を含むものを含む細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、非限定的に、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、HIV-1、KRAS、ヒストンH3.3、及びPSA、その変異型又は変異体を含むものを含むタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチドは、配列番号31若しくは32又はその変異型のアミノ酸配列を含み、及び/又は第2の連結ペプチドは、配列番号33若しくは34又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のTCR細胞内ドメインは、配列番号36又はその変異型のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)TCRの膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及びTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合するFab’と、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、Fab’は、VH、CH1、及び部分ヒンジ抗体ドメインを含む第1のFab’鎖、並びにVL及びCL抗体ドメインを含む第2のFab’鎖を含み、第1のFab’鎖は第1又は第2のTCRDに連結し、第2のFab’鎖は他のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCRDの一方又は両方とそれらの連結したFab’鎖との間にペプチドリンカーが存在する。いくつかの実施形態では、CH1ドメイン内の残基とCLドメイン内の残基との間にジスルフィド結合が存在する。いくつかの実施形態では、CH1及び/又はCLドメインは、互いにFab’鎖の結合親和性を増加させる1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、CH1及びCLドメインは、第1のFab’鎖がVH、CL、及び部分ヒンジ抗体ドメインを含み、第2のFab’鎖がVL及びCH1ドメインを含むように交換される。いくつかの実施形態では、Fab’は、非限定的に、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、及びFCRL5、その変異型又は変異体を含むものを含む細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、Fab’は、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、非限定的に、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、HIV-1、KRAS、ヒストンH3.3、及びPSA、その変異型又は変異体を含むものを含むタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1又は第2の安定化ドメインは、第1のTCRDとその連結されたFab’鎖との間に位置し、他の安定化ドメインは、第2のTCRDとその連結されたFab’鎖との間に位置する。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)TCRの膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及びTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する(Fab’)2と、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、(Fab’)2は、VH、CH1、及び部分ヒンジ抗体ドメインを含む第1及び第2の(Fab’)2鎖、並びにVL及びCL抗体ドメインを含む第3及び第4の(Fab’)2鎖を含み、第1の(Fab’)2鎖は第1又は第2のTCRDに連結し、第2の(Fab’)2鎖は他のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCRDの一方又は両方とそれらの連結した(Fab’)2鎖との間にペプチドリンカーが存在する。いくつかの実施形態では、CH1ドメイン内の残基とCLドメイン内の残基との間にジスルフィド結合が存在する。いくつかの実施形態では、CH1及び/又はCLドメインは、互いに(Fab’)2鎖の結合親和性を増加させる1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、CH1及びCLドメインは、第1及び第2の(Fab’)2鎖がVH、CL、及び部分ヒンジ抗体ドメインを含み、第3及び第4の(Fab’)2鎖がVL及びCH1ドメインを含むように交換される。いくつかの実施形態では、(Fab’)2は、非限定的に、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、及びFCRL5、その変異型又は変異体を含むものを含む細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、(Fab’)2は、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、非限定的に、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、HIV-1、KRAS、ヒストンH3.3、及びPSA、その変異型又は変異体を含むものを含むタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1又は第2の安定化ドメインは、第1のTCRDとその連結された(Fab’)2鎖との間に位置し、他の安定化ドメインは、第2のTCRDとその連結された(Fab’)2鎖との間に位置する。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)TCRの膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及びTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合するFvと、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、Fvは、VH抗体ドメインを含む第1のFv鎖、及びVL抗体ドメインを含む第2のFv鎖を含み、第1のFv鎖は第1又は第2のTCRDに連結し、第2のFv鎖は他のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCRDの一方又は両方とそれらの連結したFv鎖との間にペプチドリンカーが存在する。いくつかの実施形態では、Fvは、非限定的に、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、及びFCRL5、その変異型又は変異体を含むものを含む細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、Fvは、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、非限定的に、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、HIV-1、KRAS、ヒストンH3.3、及びPSA、その変異型又は変異体を含むものを含むタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1又は第2の安定化ドメインは、第1のTCRDとその連結されたFv鎖との間に位置し、他の安定化ドメインは、第2のTCRDとその連結されたFv鎖との間に位置する。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)TCRの膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及びTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する第1のscFvと、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、第1のscFvは、VH及びVL抗体ドメインを含み、第1のscFvは、第1又は第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1のscFvに連結するか、又は第1のscFvに連結していないTCRDに連結する第2の抗原結合モジュールを更に含む。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合モジュールは、標的抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合モジュールは、標的抗原以外の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合モジュールは第2のscFvである。いくつかの実施形態では、第1のscFvとその連結したTCRDとの間、及び/又は第2の抗原結合モジュールとその連結したscFv又はTCRDとの間にペプチドリンカーが存在する。いくつかの実施形態では、scFvは、非限定的に、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、及びFCRL5、その変異型又は変異体を含むものを含む細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、scFvは、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、非限定的に、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、HIV-1、KRAS、ヒストンH3.3、及びPSA、その変異型又は変異体を含むものを含むタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1又は第2の安定化ドメインは、第1のscFvとその連結されたTCRDとの間に位置し、他の安定化ドメインは、第2のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRは、標的抗原に特異的に結合し、a)TCRの膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及びTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRDと、b)標的抗原に特異的に結合する第1のscFv、及び第2のscFvと、を含み、第1及び第2のTCRDは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することのできるTCRMを形成し、第1及び第2のscFvは、VH及びVL抗体ドメインを含み、第1のscFvは、第1又は第2のTCRDに連結し、第2のscFvは他のTCRDに連結する。いくつかの実施形態では、第2のTCRDは、標的抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、第1のscFv.のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、標的抗原以外の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のscFvは、個々に、非限定的に、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、及びFCRL5、その変異型又は変異体を含むものを含む細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のscFvは、個々に、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、非限定的に、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、HIV-1、KRAS、ヒストンH3.3、及びPSA、その変異型又は変異体を含むものを含むタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1又は第2の安定化ドメインは、第1のscFvとその連結されたTCRDとの間に位置し、他の安定化ドメインは、第2のscFvとその連結されたTCRDとの間に位置する。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。
多重特異性caTCR
いくつかの実施形態では、caTCRは、2つ以上(例えば、2、3、4、又はそれ以上)の異なる標的抗原又はエピトープに特異的に結合する多重特異性caTCRである。いくつかの実施形態では、多重特異性caTCRは、2つ以上(例えば、2、3、4、又はそれ以上)の異なる標的抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、多重特異性caTCRは、同じ標的抗原上の2つ以上(例えば、2、3、4、又はそれ以上)の異なるエピトープに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、多重特異性caTCRは、抗原又はエピトープごとの抗原結合モジュールを含む。いくつかの実施形態では、多重特異性caTCRは、少なくとも1つの抗原又はエピトープのための2つを超える抗原結合モジュールを含む。いくつかの実施形態では、多重特異性caTCRは、抗原又はエピトープに各々特異的に結合する2つ以上(例えば、2、3、4、又はそれ以上)の抗原結合ドメインを含む多重特異性抗原結合モジュールを含む。いくつかの実施形態では、多重特異性caTCRは二重特異性である。いくつかの実施形態では、多重特異性caTCRは三重特異性である。
多重特異性分子は、少なくとも2つの異なる抗原又はエピトープに対する結合特異性を有する分子である(例えば、二重特異性抗体は、2つの抗原又はエピトープに対する結合特異性を有する)。2を超える価数及び/又は特異性を有する多重特異性caTCRも想到される。二重特異性抗体は、記載されており、例えば、Brinkmann U.and Kontermann R.E.(2017)MABS,9(2),182-212を参照されたい。三重特異性抗体を調製することができる。Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)を参照されたい。当業者は、当該技術分野において既知の個々の多重特異性分子の適切な特徴を選択して、多重特異性caTCRを形成することができることを理解されたい。
いくつかの実施形態では、caTCR(本明細書では「多重特異性caTCR」とも称される)は、a)第1の標的抗原に特異的に結合する第1の抗原結合ドメイン、及び第2の標的抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗原結合モジュールと、b)第1のTCR-TMを含む第1のTCRD(TCRD1)、及び第2のTCR-TMを含む第2のTCRD(TCRD2)を含むTCRMと、を含み、TCRMは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチドは、第1のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの連結ペプチドの全て若しくは一部、又はその変異型を含み、及び/又は第2の連結ペプチドは、第2のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの連結ペプチドの全て若しくは一部、又はこれらの変異型を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメインは、第1のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの細胞内ドメイン由来の配列を含み、及び/又は第2のTCR細胞内ドメインは、第2のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの細胞内ドメイン由来の配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの断片であり、及び/又は、第2のTCRDは、第2のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの断片である。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に存在するαβ T細胞受容体の膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM及び第2のTCR-TMの両方は、天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TMは、それが由来する膜貫通ドメインと比較して、最大5個のアミノ酸置換(例えば、単一のアミノ酸置換)を含み、及び/又は、第2のTCR-TMは、それが由来する膜貫通ドメインと比較して、最大5個のアミノ酸置換(例えば、単一のアミノ酸置換)を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM中の置換アミノ酸は、第2のTCR-TM中の置換アミノ酸に近接している。いくつかの実施形態では、1つ以上の置換アミノ酸は、CD3への結合に関与する第1又は第2のTCR-TM中のアミノ酸に近接している。いくつかの実施形態では、1つ以上の(例えば、各)置換アミノ酸は、それらの対応する非置換アミノ酸よりも疎水性である。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TMは、配列番号7及び9~13のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含み、第2のTCR-TMは、配列番号8及び14~26のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
二重特異性caTCRの例示的な構造は図13A~13Eに示され、標的抗原がCD19及びCD22であるが、当業者は、他の標的抗原又はエピトープを標的化する二重特異性caTCRが、同じ構造フォーマットを使用して調製し得ることを容易に理解する。
例えば、DVD IgGsに由来する二重可変ドメイン(DVD)(DiGiammarino et al.,mAbs 3(5):487-494を参照されたい)は、caTCR内の二重特異性抗原結合モジュールとして使用することができる(図13A)。外側可変ドメイン及び内側可変ドメインの融合のための様々なリンカーが開発され、DVDモジュールを有する二重特異性caTCRを構築するのに有用であり得るDVD-Igsのために最適化されている。しかしながら、DVDモジュールにおける可変ドメインスタッキング手法は、内側可変ドメインの折り畳み及び標的結合親和性に影響を及ぼし得る。2つの可変ドメインの間のリンカーと2つの可変ドメインの順序とは、caTCRの有効性に影響を及ぼし得る。
いくつかの実施形態では、caTCRは、a)第1の標的抗原に特異的に結合するFv、及び第2の標的抗原に特異的に結合するFabを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗原結合モジュールと、b)第1のTCR-TMを含む第1のTCRD(TCRD1)、及び第2のTCR-TMを含む第2のTCRD(TCRD2)を含むTCRMと、を含み、TCRMは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進する。
いくつかの実施形態では、caTCRは、(i)N末端からC末端に向けて、VH1-L1-VH2-CH1-TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖、及びN末端からC末端に向けて、VL1-L2-VL2-CL-TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖、(ii)N末端からC末端に向けて、VH1-L1-VL2-CL-TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖、及びN末端からC末端に向けて、VL1-L2-VH2-CH1-TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖、(iii)N末端からC末端に向けて、VL1-L1-VH2-CH1-TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖、及びN末端からC末端に向けて、VH1-L2-VL2-CL-TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖、又は(iv)N末端からC末端に向けて、VL1-L1-VL2-CL-TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖、及びN末端からC末端に向けて、VH1-L2-VH2-CH1-TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖、を含み、VH1及びVL1は、第1の標的抗原に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインを形成し、VH2及びVL2は、第2の標的抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを形成し、TCRD1及びTCRD2は、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進するTCRMを形成し、L1及びL2は、ペプチドリンカーである。いくつかの実施形態では、L1及び/又はL2は、約5~約50(例えば、約5~10、約10~15、又は約15~30)のアミノ酸長である。いくつかの実施形態では、L1及びL2は同じ長さを有する。いくつかの実施形態では、L1及びL2は、同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、L1及びL2は異なる長さを有する。いくつかの実施形態では、L1及びL2は、異なるアミノ酸配列を有する。例示的な二重特異性caTCRを図13Aに示す。
CODV-IgGs由来のクロスオーバー二重可変ドメイン(CODV)(Steinmetz,et al.mAbs(2016),8(5):867-878を参照)を、caTCR中の二重特異性抗原結合モジュールとして使用することができる(図13B)。CODVは、各Fvに対する比較的障害のない抗原結合部位を可能にする。重鎖及び軽鎖可変領域の融合のための様々なリンカーが開発され、CODVモジュールを有する二重特異性caTCRを構築するのに有用であり得るCODV-Igsのために最適化されている。しかしながら、CODVモジュールの適切な折り畳みは困難であり得、CODVモジュールで使用される長いリンカーは、免疫原性の潜在的な供給源であり得、タンパク質溶解切断を受けやすい可能性がある。
いくつかの実施形態では、caTCRは、a)第1の標的抗原に特異的に結合する第1のFv、及び第2の標的抗原に特異的に結合する第2のFvを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗原結合モジュールと、b)第1のTCR-TMを含む第1のTCRD(TCRD1)、及び第2のTCR-TMを含む第2のTCRD(TCRD2)を含むTCRMと、を含み、TCRMは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進する。いくつかの実施形態では、caTCRは、CH1及びCLを更に含む。
いくつかの実施形態では、caTCRは、(i)N末端からC末端に向けて、VH1-L1-VH2-CH1-TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖、及びN末端からC末端に向けて、VL2-L2-VL1-CL-TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖、又は(ii)N末端からC末端に向けて、VL1-L1-VL2-CL-TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖、及びN末端からC末端に向けて、VH2-L2-VH1-CH1-TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖、を含み、VH1及びVL1は、第1の標的抗原に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインを形成し、VH2及びVL2は、第2の標的抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを形成し、TCRD1及びTCRD2は、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進するTCRMを形成し、L1及びL2は、ペプチドリンカーである。いくつかの実施形態では、L1及び/又はL2は、約5~約50(例えば、約5~20、約15~30、又は約30~50)のアミノ酸長である。いくつかの実施形態では、L1及びL2は同じ長さを有する。いくつかの実施形態では、L1及びL2は、同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、L1及びL2は異なる長さを有する。いくつかの実施形態では、L1及びL2は、異なるアミノ酸配列を有する。例示的な二重特異性caTCRを図13Bに示す。
Chen et al.,mAbs8(4):761-774に記載されているものなどの、scFv-融合タンパク質由来の二重特異性抗原結合モジュールは、二重特異性caTCR(図13C)で使用されてもよい。同様の融合フォーマットを有する二重特異性抗体の発現は、このフォーマットの適切な折り畳み及び安定性を示している。scFvを定常ドメインに融合させるための様々なリンカーが開発され、同様のscFv融合ドメインを有する二重特異性caTCRを構築するのに有用であり得るこれらの二重特異性抗体について最適化されている。しかしながら、scFv間の立体障害は、scFvのそれらの標的抗原への結合を損なう可能性がある。
いくつかの実施形態では、caTCRは、a)第1の標的抗原に特異的に結合する第1のscFv、及び第2の標的抗原に特異的に結合する第2のscFvを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗原結合モジュールと、b)第1のTCR-TMを含む第1のTCRD(TCRD1)、及び第2のTCR-TMを含む第2のTCRD(TCRD2)を含むTCRMと、を含み、TCRMは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進する。いくつかの実施形態では、caTCRは、CH1及びCLを更に含む。
いくつかの実施形態では、caTCRは、(i)N末端からC末端に向けて、scFv1-L1-CH1-TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖、及びN末端からC末端に向けて、scFv2-L2-CL-TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖、又は、(ii)N末端からC末端に向けて、scFv2-L1-CH1-TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖、及びN末端からC末端に向けて、scFv1-L2-CL-TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖、を含み、scFv1は、第1の標的抗原に特異的に結合し、scFv2は、第2の標的抗原に特異的に結合し、TCRD1及びTCRD2は、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進するTCRMを形成し、L1及びL2は、ペプチドリンカーである。いくつかの実施形態では、L1及び/又はL2は、約5~約50(例えば、約5~10、約10~15、又は約15~30)のアミノ酸長である。いくつかの実施形態では、L1及びL2は同じ長さを有する。いくつかの実施形態では、L1及びL2は、同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、L1及びL2は異なる長さを有する。いくつかの実施形態では、L1及びL2は、異なるアミノ酸配列を有する。例示的な二重特異性caTCRを図13Cに示す。
IgG-scFv二重特異性抗体又はFab-scFv-Fc二重特異性抗体由来の二重特異性抗原結合モジュールを、二重特異性caTCRにおいて使用することができる。1つのフォーマット(図13D)では、scFvは、FabのVH又はVLのいずれかに結合し、これにより、scFvのより高い柔軟性、したがってFabのその標的抗原へのより大きなアクセスを可能にする。しかしながら、scFv-Fabモジュールは安定性の問題を有し得る。第2のフォーマット(図13E)では、Fabは第1のTCRDに融合され、scFvは、第2のTCRDに融合される。
いくつかの実施形態では、caTCRは、a)第1の標的抗原に特異的に結合するscFv、及び第2の標的抗原に特異的に結合するFabを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗原結合モジュールと、b)第1のTCR-TMを含む第1のTCRD(TCRD1)、及び第2のTCR-TMを含む第2のTCRD(TCRD2)を含むTCRMと、を含み、TCRMは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進する。
いくつかの実施形態では、caTCRは、(i)N末端からC末端に向けて、scFv-L1-VH-CH1-TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖、及びN末端からC末端に向けて、VL-CL-TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖、又は、(ii)N末端からC末端に向けて、VH-CH1-TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖、及びN末端からC末端に向けて、scFv-L2-VL-CL-TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖、を含み、scFvは、第1の標的抗原に特異的に結合し、VH及びVLは、第2の標的抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを形成し、TCRD1及びTCRD2は、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進するTCRMを形成し、L1及びL2は、ペプチドリンカーである。いくつかの実施形態では、L1及び/又はL2は、約5~約50(例えば、約5~10、約10~15、又は約15~30)のアミノ酸長である。例示的な二重特異性caTCRを図13Dに示す。
いくつかの実施形態では、caTCRは、(i)N末端からC末端に向けて、VL-CL-L1-TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖、N末端からC末端に向けて、VH-CH1を含む第2のポリペプチド鎖、及びN末端からC末端に向けて、scFv-L2-TCRD2を含む第3のポリペプチド鎖、(ii)N末端からC末端に向けて、VH-CH1-L1-TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖、及びN末端からC末端に向けて、VL-CLを含む第2のポリペプチド鎖、及びN末端からC末端に向けて、scFv-L2-TCRD2を含む第3のポリペプチド鎖、(iii)N末端からC末端に向けて、scFv-L1-TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖、N末端からC末端に向けて、VH-CH1を含む第2のポリペプチド鎖、及びN末端からC末端に向けて、VL-CL-L2-TCRD2;を含む第3のポリペプチド鎖、又は、(iv)N末端からC末端に向けて、scFv-L1-TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖、N末端からC末端に向けて、VL-CLを含む第2のポリペプチド鎖、及びN末端からC末端に向けて、VH-CH1-L2-TCRD2を含む第3のポリペプチド鎖、を含み、scFvは、第1の標的抗原に特異的に結合し、VH及びVLは、第2の標的抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを形成し、TCRD1及びTCRD2は、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進するTCRMを形成し、L1及びL2は、ペプチドリンカーである。いくつかの実施形態では、L1及び/又はL2は、約5~約50(例えば、約5~10、約10~15、又は約15~30)のアミノ酸長である。例示的な二重特異性caTCRを図13Eに示す。scFvとTCRDとの間のペプチドリンカーの長さ、及びFabとTCRDとの間のペプチドリンカーの長さは、scFv及びFabのそれらの標的抗原への接近性に影響を及ぼし得るため最適化することができる。
多重特異性caTCRの多重特異性抗原結合モジュールは、標的抗原又はエピトープの任意の適切な組み合わせに特異的に結合し得る。いくつかの実施形態では、多重特異性抗原結合モジュールは、少なくとも1つの細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの細胞表面抗原は、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、及びFCRL5、その変異型又は変異体を含むものからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、多重特異性抗原結合モジュールは、少なくとも1つのペプチド/MHC複合体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのペプチド/MHC複合体は、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、HIV-1、KRAS、ヒストンH3.3、及びPSA、その変異型又は変異体を含むものからなる群から選択されるタンパク質に由来するペプチドを含む。いくつかの実施形態では、多重特異性抗原結合モジュールは、第1の細胞表面抗原及び第2の細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、多重特異性抗原結合モジュールは、CD19及びCD22に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、多重特異性抗原結合モジュールは、CD19及びCD20に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、多重特異性抗原結合モジュールは、第1のペプチド/MHC複合体及び第2のペプチド/MHC複合体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、多重特異性抗原結合モジュールは、細胞表面抗原及びペプチド/MHC複合体に特異的に結合する。
キメラ共刺激受容体(CSR)構築物
本明細書に記載されるリガンド特異的キメラ共刺激受容体(CSR)は、標的リガンド(細胞表面抗原又はペプチド/MHC複合体など)に特異的に結合し、表面に、標的リガンドを、標的リガンド結合により機能的に発現する免疫細胞を刺激することができる。CSRは、リガンド結合特異性、膜貫通モジュール、及び免疫細胞の刺激を可能にする共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールを提供するリガンド結合モジュールを含む。CSRは、機能的な一次免疫細胞シグナル伝達配列を欠いている。いくつかの実施形態では、CSRは、あらゆる一次免疫細胞シグナル伝達配列を欠いている。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合モジュール、膜貫通モジュール、及び共刺激シグナル伝達モジュールを含む単一のポリペプチド鎖を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖を含み、第1及び第2のポリペプチド鎖は共に、リガンド結合モジュール、膜貫通モジュール、及び共刺激シグナル伝達モジュールを形成する。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、別個のポリペプチド鎖であり、CSRは二量体などの多量体である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、ペプチド結合、又はジスルフィド結合などの別の化学結合によって共有結合されている。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞におけるCSRの発現は、誘導可能である。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞におけるCSRの発現は、caTCRを介したシグナル伝達時に誘導可能である。
本発明のCSRに使用する共刺激免疫細胞シグナル伝達ドメインの例としては、caTCRと協調して作用してcaTCR結合後のシグナル伝達を開始することができるT細胞受容体(TCR)の共受容体の細胞質配列、並びにこれらの配列の任意の誘導体又は変異型、及び同じ機能能力を有する任意の合成配列が挙げられる。
いくつかの状況下では、TCRのみを介して生成されたシグナルは、T細胞の完全な活性化に不十分であり、二次又は共刺激シグナルも必要とされる。したがって、いくつかの実施形態では、T細胞活性化は、細胞内シグナル伝達配列の2つの異なるクラス:TCRを介して抗原依存的一次活性化を開始するもの(本明細書では「一次T細胞シグナル伝達配列」と称される)、及び抗原独立様式で作用して、二次又は共刺激シグナルを提供するもの(本明細書では「共刺激T細胞シグナル伝達配列」と称される)によって媒介される。
刺激様式で作用する一次免疫細胞シグナル伝達配列は、免疫受容体活性化チロシンモチーフ又はITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含んでもよい。ITAM含有一次免疫細胞シグナル伝達配列の例としては、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、及びCD66dに由来するものが挙げられる。「機能的」一次免疫細胞シグナル伝達配列は、適切な受容体に作動可能に結合するときに免疫細胞活性化シグナルを変換することができる配列である。一次免疫細胞シグナル伝達配列の断片又は変異型を含み得る「非機能性」一次免疫細胞シグナル伝達配列は、免疫細胞活性化シグナルを変換することができない。本明細書に記載のCSRは、ITAMを含む機能的シグナル伝達配列などの機能的一次免疫細胞シグナル伝達配列を欠いている。いくつかの実施形態では、CSRは、あらゆる一次免疫細胞シグナル伝達配列を欠いている。
共刺激免疫細胞シグナル伝達配列は、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD27、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む共刺激分子の細胞内ドメインの一部であり得る。
いくつかの実施形態では、標的リガンドは、細胞表面抗原である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現するcaTCRの標的抗原と同じである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現するcaTCRの標的抗原と異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、標的抗原を提示する細胞の表面に提示される分子である。例えば、いくつかの実施形態では、caTCRの標的抗原は、がん細胞に提示されるがん関連抗原であり、標的リガンドは、インテグリンなどのがん細胞の表面に発現する偏在的分子である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、がん関連リガンドである。いくつかの実施形態では、がん関連リガンドは、例えば、CD19、CD20、CD22、CD47、IL4、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、がん関連リガンドは、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、及びPSAを含むタンパク質に由来するペプチドを含むペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ウイルス関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、免疫チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、PD-L1、PD-L2、CD80、CD86、ICOSL、B7-H3、B7-H4、HVEM、4-1BBL、OX40L、CD70、CD40、及びGAL9を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、アポトーシス分子である。いくつかの実施形態では、アポトーシス分子は、FasL、FasR、TNFR1、及びTNFR2を含む。
いくつかの実施形態では、リガンド結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、非限定的に、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、及びFCRL5を含む細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、非限定的に、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、及びPSAを含むタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD19に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2017066136A2を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD19に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、配列番号58を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVHドメイン、及び/又は配列番号59を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVLドメイン、或いはそれらに含まれるCDR)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD20に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、配列番号60を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVHドメイン、及び/又は配列番号61を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVLドメイン、或いはそれらに含まれるCDR)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD22に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、2018年3月30日出願のUSSN62/650,955を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD22に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、配列番号101を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVHドメイン、及び/又は配列番号102を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVLドメイン、或いはそれらに含まれるCDR)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPC3に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、2017年4月26日出願のUSSN62/490,586を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPC3に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、配列番号64を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVHドメイン、及び/又は配列番号65を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVLドメイン、或いはそれらに含まれるCDR)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ROR1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/187220及びWO2016/187216を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ROR2に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/142768を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、BCMAに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090327及びWO2016/090320を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPRC5Dに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090329及びWO2016/090312を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、FCRL5に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090337を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、WT-1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2012/135854、WO2015/070078、及びWO2015/070061を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、AFPに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/161390を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、HPV16-E7に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/182957を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、NY-ESO-1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/210365を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、PRAMEに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/191246を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、EBV-LMP2Aに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/201124を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、KRASに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/154047を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、PSAに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2017/015634を参照されたい)。
いくつかの実施形態では、リガンド結合モジュールは、標的リガンドの受容体の細胞外ドメインの全て又は一部である(又はそれに由来する)。いくつかの実施形態では、受容体は、例えば、FasR、TNFR1、TNFR2、PD-1、CD28、CTLA-4、ICOS、BTLA、KIR、LAG-3、4-1BB、OX40、CD27、及びTIM-3を含む。
いくつかの実施形態では、膜貫通モジュールは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、又はCD154に由来する、1つ以上の膜貫通ドメインを含む。
いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達モジュールは、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達分子は、配列番号51のアミノ酸配列を含むCD28の断片を含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達分子は、配列番号52のアミノ酸配列を含むCD28の断片を含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達分子は、配列番号53のアミノ酸配列を含む4-1BBの断片を含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達分子は、配列番号54のアミノ酸配列を含む4-1BBの断片を含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達分子は、配列番号57のアミノ酸配列を含むCD8の断片を含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達分子は、配列番号55のアミノ酸配列を含むOX40の断片を含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達分子は、配列番号56のアミノ酸配列を含むOX40の断片を含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達分子は、配列番号86又は87のアミノ酸配列を含むCD27の断片を含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達分子は、配列番号88又は89のアミノ酸配列を含むCD30の断片を含む。
いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合モジュール、膜貫通モジュール、及び共刺激シグナル伝達モジュールのいずれかの間にスペーサモジュールを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサモジュールは、2つのCSRモジュールを連結する1つ以上のペプチドリンカーを含む。いくつかの実施形態では、スペーサモジュールは、約5~約70(約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、又は70のいずれかなど、これらの値間の任意の範囲を含む)の長さのアミノ酸の1つ以上のペプチドリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、リガンド結合モジュール(抗体部分など)は、a)他の分子に対する結合親和性の少なくとも約10倍(例えば、少なくとも約10、20、30、40、50、75、100、200、300、400、500、750、1000、若しくはそれ以上のうちのいずれかを含む)の親和性で、又はb)他の分子に結合するためのKdの約1/10倍以下(例えば、約1/10、1/20、1/30、1/40、1/50、1/75、1/100、1/200、1/300、1/400、1/500、1/750、1/1000、若しくはそれ以下など)のKdで標的抗原に特異的に結合する。結合親和性は、ELISA、蛍光標識細胞分取(FACS)分析、又は放射線免疫沈降アッセイ(RIA)などの当該技術分野において既知の方法によって決定することができる。Kdは、例えば、Biacore機器を利用する表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ、又は例えばSapidyne機器を利用する動的排除アッセイ(KinExA)などの当該技術分野において既知の方法によって決定することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、標的リガンド(細胞表面抗原又はペプチド/MHC複合体など)に特異的に結合し、a)標的リガンド結合ドメイン(LBD)と、b)膜貫通ドメインと、c)共刺激シグナル伝達ドメインと、を含み、CSRは、標的リガンドが、標的リガンド結合の際に機能的に表面に発現する免疫細胞を刺激することができる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、細胞表面抗原である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現するcaTCRの標的抗原と同じである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現するcaTCRの標的抗原と異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、がん関連リガンドである。いくつかの実施形態では、がん関連リガンドは、例えば、CD19、CD20、CD22、CD47、IL4、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、がん関連リガンドは、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、及びPSAを含むタンパク質に由来するペプチドを含むペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ウイルス関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、免疫チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、PD-L1、PD-L2、CD80、CD86、ICOSL、B7-H3、B7-H4、HVEM、4-1BBL、OX40L、CD70、CD40、及びGAL9を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、アポトーシス分子である。いくつかの実施形態では、アポトーシス分子は、FasL、FasR、TNFR1、及びTNFR2を含む。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、標的リガンドの受容体の細胞外ドメインの全て又は一部である(又はそれに由来する)。いくつかの実施形態では、受容体は、例えば、FasR、TNFR1、TNFR2、PD-1、CD28、CTLA-4、ICOS、BTLA、KIR、LAG-3、4-1BB、OX40、CD27、及びTIM-3を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、又はCD154を含む膜貫通タンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、膜貫通タンパク質の断片(fTMP)を含み、fTMPはCSR膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、CSRは、免疫細胞共刺激分子の断片(fCSM)を含み、fCSMは、CSR膜貫通ドメイン及びCSR共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び共刺激シグナル伝達ドメインのいずれかの間にスペーサドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサドメインは、2つのCSRドメインを連結するペプチドリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、標的リガンドに特異的に結合し、a)標的リガンド結合ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)共刺激シグナル伝達ドメインと、を含み、標的リガンドは細胞表面抗原であり、CSRは、標的リガンドが、標的リガンド結合の際に機能的に表面に発現する免疫細胞を刺激することができる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現するcaTCRの標的抗原と同じである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現するcaTCRの標的抗原と異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、がん関連リガンドである。いくつかの実施形態では、がん関連リガンドは、例えば、CD19、CD20、CD22、CD47、IL4、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ウイルス関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、免疫チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、PD-L1、PD-L2、CD80、CD86、ICOSL、B7-H3、B7-H4、HVEM、4-1BBL、OX40L、CD70、CD40、及びGAL9を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、アポトーシス分子である。いくつかの実施形態では、アポトーシス分子は、FasL、FasR、TNFR1、及びTNFR2を含む。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、標的リガンドの受容体の細胞外ドメインの全て又は一部である(又はそれに由来する)。いくつかの実施形態では、受容体は、例えば、FasR、TNFR1、TNFR2、PD-1、CD28、CTLA-4、ICOS、BTLA、KIR、LAG-3、4-1BB、OX40、CD27、及びTIM-3を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、又はCD154を含む膜貫通タンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、膜貫通タンパク質の断片(fTMP)を含み、fTMPはCSR膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、CSRは、免疫細胞共刺激分子の断片(fCSM)を含み、fCSMは、CSR膜貫通ドメイン及びCSR共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び共刺激シグナル伝達ドメインのいずれかの間にスペーサドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサドメインは、2つのCSRドメインを連結するペプチドリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、標的リガンドに特異的に結合し、a)標的リガンド結合ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)共刺激シグナル伝達ドメインと、を含み、標的リガンドはペプチド/MHC複合体であり、CSRは、標的リガンドが、標的リガンド結合の際に機能的に表面に発現する免疫細胞を刺激することができる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現するcaTCRの標的抗原と同じである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現するcaTCRの標的抗原と異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、がん関連リガンドである。いくつかの実施形態では、がん関連リガンドは、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、及びPSAを含むタンパク質に由来するペプチドを含むペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ウイルス関連リガンドである。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、又はCD154を含む膜貫通タンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、膜貫通タンパク質の断片(fTMP)を含み、fTMPはCSR膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、CSRは、免疫細胞共刺激分子の断片(fCSM)を含み、fCSMは、CSR膜貫通ドメイン及びCSR共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び共刺激シグナル伝達ドメインのいずれかの間にスペーサドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサドメインは、2つのCSRドメインを連結するペプチドリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、標的リガンド(細胞表面抗原又はペプチド/MHC複合体など)に特異的に結合し、a)標的リガンド結合ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)共刺激シグナル伝達ドメインと、を含み、リガンド結合ドメインは抗体部分であり、CSRは、標的リガンドが、標的リガンド結合の際に機能的に表面に発現する免疫細胞を刺激することができる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、細胞表面抗原である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現するcaTCRの標的抗原と同じである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現するcaTCRの標的抗原と異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、がん関連リガンドである。いくつかの実施形態では、がん関連リガンドは、例えば、CD19、CD20、CD22、CD47、IL4、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、がん関連リガンドは、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、及びPSAを含むタンパク質に由来するペプチドを含むペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ウイルス関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、免疫チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、PD-L1、PD-L2、CD80、CD86、ICOSL、B7-H3、B7-H4、HVEM、4-1BBL、OX40L、CD70、CD40、及びGAL9を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、アポトーシス分子である。いくつかの実施形態では、アポトーシス分子は、FasL、FasR、TNFR1、及びTNFR2を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、又はCD154を含む膜貫通タンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、膜貫通タンパク質の断片(fTMP)を含み、fTMPはCSR膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、CSRは、免疫細胞共刺激分子の断片(fCSM)を含み、fCSMは、CSR膜貫通ドメイン及びCSR共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び共刺激シグナル伝達ドメインのいずれかの間にスペーサドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサドメインは、2つのCSRドメインを連結するペプチドリンカーを含む。いくつかの実施形態では、CSRドメインは、表3に列挙されるCSRのいずれかに従って選択される。
いくつかの実施形態では、CSRはCD28のfCSMを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、a)標的リガンド結合ドメインと、(b)配列番号57のアミノ酸配列を含むCD8膜貫通ドメインと、c)配列番号52のアミノ酸配列を含むCD28の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、a)標的リガンド結合ドメインと、b)配列番号51のアミノ酸配列を含むCD28の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、標的リガンド結合ドメインと、配列番号90のアミノ酸配列を含むCSRドメインと、を含む。
いくつかの実施形態では、CSRは、4-1BBのfCSMを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、a)標的リガンド結合ドメインと、(b)配列番号57のアミノ酸配列を含むCD8膜貫通ドメインと、c)配列番号54のアミノ酸配列を含む4-1BBの断片と、を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、a)標的リガンド結合ドメインと、b)配列番号53のアミノ酸配列を含む4-1BBの断片と、を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、標的リガンド結合ドメインと、配列番号91又は92のアミノ酸配列を含むCSRドメインと、を含む。
いくつかの実施形態では、CSRはCD27のfCSMを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、a)標的リガンド結合ドメインと、(b)配列番号57のアミノ酸配列を含むCD8膜貫通ドメインと、c)配列番号87のアミノ酸配列を含むCD27の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、a)標的リガンド結合ドメインと、b)配列番号86のアミノ酸配列を含むCD27の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、標的リガンド結合ドメインと、配列番号93又は94のアミノ酸配列を含むCSRドメインと、を含む。
いくつかの実施形態では、CSRは、CD30のfCSMを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、a)標的リガンド結合ドメインと、(b)配列番号57のアミノ酸配列を含むCD8膜貫通ドメインと、c)配列番号89のアミノ酸配列を含むCD30の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、a)標的リガンド結合ドメインと、b)配列番号88のアミノ酸配列を含むCD30の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、標的リガンド結合ドメインと、配列番号95又は96のアミノ酸配列を含むCSRドメインと、を含む。
いくつかの実施形態では、CSRは、OX40のfCSMを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、a)標的リガンド結合ドメインと、(b)配列番号57のアミノ酸配列を含むCD8膜貫通ドメインと、c)配列番号56のアミノ酸配列を含むOX40の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、a)標的リガンド結合ドメインと、b)配列番号55のアミノ酸配列を含むOX40の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、標的リガンド結合ドメインと、配列番号97又は98のアミノ酸配列を含むCSRドメインと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、標的リガンド(細胞表面抗原又はペプチド/MHC複合体など)に特異的に結合し、a)標的リガンド結合ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)共刺激シグナル伝達ドメインと、を含み、リガンド結合ドメインは、標的リガンドの受容体の細胞外ドメインの全て又は一部であり(又はそれに由来し)、CSRは、標的リガンドが、標的リガンド結合の際に機能的に表面に発現する免疫細胞を刺激することができる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、細胞表面抗原である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現するcaTCRの標的抗原と同じである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現するcaTCRの標的抗原と異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、がん関連リガンドである。いくつかの実施形態では、がん関連リガンドは、例えば、CD19、CD20、CD22、CD47、IL4、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、免疫チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、PD-L1、PD-L2、CD80、CD86、ICOSL、B7-H3、B7-H4、HVEM、4-1BBL、OX40L、CD70、CD40、及びGAL9を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、アポトーシス分子である。いくつかの実施形態では、アポトーシス分子は、FasL、FasR、TNFR1、及びTNFR2を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンド受容体は、例えば、FasR、TNFR1、TNFR2、PD-1、CD28、CTLA-4、ICOS、BTLA、KIR、LAG-3、4-1BB、OX40、CD27、及びTIM-3を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、又はCD154に由来する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び共刺激シグナル伝達ドメインのいずれかの間にスペーサドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサドメインは、2つのCSRドメインを連結するペプチドリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、CD19に特異的に結合し、a)配列番号58のアミノ酸配列を有するVHドメイン、及び配列番号59のアミノ酸配列を有するVLドメインを含むscFvと、b)配列番号51又は52のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、CD28の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、scFvは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、VLドメイン、配列番号76のアミノ酸配列を含むペプチドリンカー、及びVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、scFvは、配列番号77のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、CD28の断片は、配列番号51のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、配列番号90のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、scFv、配列番号103を含むペプチドリンカー、及びCD28の断片を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、配列番号80のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、CD20に特異的に結合し、a)配列番号60のアミノ酸配列を有するVHドメイン、及び配列番号61のアミノ酸配列を有するVLドメインを含むscFvと、b)配列番号51又は52のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、CD28の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、scFvは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、VLドメイン、配列番号76のアミノ酸配列を含むペプチドリンカー、及びVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、scFvは、配列番号78のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、CD28の断片は、配列番号51のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、scFv、配列番号103を含むペプチドリンカー、及びCD28の断片を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、配列番号81のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、GPC3に特異的に結合し、a)配列番号64のアミノ酸配列を有するVHドメイン、及び配列番号65のアミノ酸配列を有するVLドメインを含むscFvと、b)配列番号51又は52のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、CD28の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、scFvは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、VLドメイン、配列番号76のアミノ酸配列を含むペプチドリンカー、及びVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、scFvは、配列番号79のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、CD28の断片は、配列番号51のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、scFv、配列番号103を含むペプチドリンカー、及びCD28の断片を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、配列番号82のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、CD20に特異的に結合し、a)配列番号60のアミノ酸配列を有するVHドメイン、及び配列番号61のアミノ酸配列を有するVLドメインを含むscFvと、b)配列番号51又は52のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、CD28の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、scFvは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、VLドメイン、配列番号76のアミノ酸配列を含むペプチドリンカー、及びVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、scFvは、配列番号78のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、CD28の断片は、配列番号51のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、scFv、配列番号103を含むペプチドリンカー、及びCD28の断片を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、配列番号81のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、CD19に特異的に結合し、a)配列番号58のアミノ酸配列を有するVHドメイン、及び配列番号59のアミノ酸配列を有するVLドメインを含むscFvと、b)配列番号53又は54のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、4-1BBの断片と、を含む。いくつかの実施形態では、scFvは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、VLドメイン、配列番号76のアミノ酸配列を含むペプチドリンカー、及びVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、4-1BBの断片は、配列番号53のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、scFv、配列番号104を含むペプチドリンカー、及び4-1BBの断片を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRはCD19に特異的に結合し、a)配列番号58のアミノ酸配列を有するVHドメイン、及び配列番号59のアミノ酸配列を有するVLドメインを含むscFvと、b)配列番号57のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、CD8の断片と、c)配列番号54のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる4-1BBの断片と、を含む。いくつかの実施形態では、scFvは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、VLドメイン、配列番号76のアミノ酸配列を含むペプチドリンカー、及びVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、scFv、配列番号104を含むペプチドリンカー、CD8の断片、及び4-1BBの断片を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRはCD19に特異的に結合し、a)配列番号58のアミノ酸配列を有するVHドメイン、及び配列番号59のアミノ酸配列を有するVLドメインを含むscFvと、b)配列番号57のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、CD8の断片と、c)配列番号57のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなるOX40の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、scFvは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、VLドメイン、配列番号76のアミノ酸配列を含むペプチドリンカー、及びVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、scFv、配列番号104を含むペプチドリンカー、CD8の断片、及びOX40の断片を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、CD19に特異的に結合し、a)配列番号58のアミノ酸配列を有するVHドメイン、及び配列番号59のアミノ酸配列を有するVLドメインを含むscFvと、b)配列番号56又は57のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、OX40の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、scFvは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、VLドメイン、配列番号76のアミノ酸配列を含むペプチドリンカー、及びVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、OX40の断片は、配列番号56のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、scFv、配列番号104を含むペプチドリンカー、及びOX40の断片を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRはCD19に特異的に結合し、a)配列番号58のアミノ酸配列を有するVHドメイン、及び配列番号59のアミノ酸配列を有するVLドメインを含むscFvと、b)配列番号57のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、CD8の断片と、c)配列番号87のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなるCD27の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、scFvは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、VLドメイン、配列番号76のアミノ酸配列を含むペプチドリンカー、及びVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、scFv、配列番号104を含むペプチドリンカー、CD8の断片、及びCD27の断片を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、CD19に特異的に結合し、a)配列番号58のアミノ酸配列を有するVHドメイン、及び配列番号59のアミノ酸配列を有するVLドメインを含むscFvと、b)配列番号86又は87のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、CD27の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、scFvは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、VLドメイン、配列番号76のアミノ酸配列を含むペプチドリンカー、及びVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、CD27の断片は、配列番号86のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、scFv、配列番号104を含むペプチドリンカー、及びCD27の断片を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRはCD19に特異的に結合し、a)配列番号58のアミノ酸配列を有するVHドメイン、及び配列番号59のアミノ酸配列を有するVLドメインを含むscFvと、b)配列番号57のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、CD8の断片と、c)配列番号89のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなるCD30の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、scFvは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、VLドメイン、配列番号76のアミノ酸配列を含むペプチドリンカー、及びVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、scFv、配列番号104を含むペプチドリンカー、CD8の断片、及びCD30の断片を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、CD19に特異的に結合し、a)配列番号58のアミノ酸配列を有するVHドメイン、及び配列番号59のアミノ酸配列を有するVLドメインを含むscFvと、b)配列番号88又は89のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、CD30の断片と、を含む。いくつかの実施形態では、scFvは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、VLドメイン、配列番号76のアミノ酸配列を含むペプチドリンカー、及びVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、CD30の断片は、配列番号88のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、scFv、配列番号104を含むペプチドリンカー、及びCD30の断片を含む。
いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞におけるCSRの発現は、誘導可能である。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、本明細書に記載の誘導可能なプロモーターのいずれかを含む誘導可能なプロモーターに作動可能に連結されたCSRをコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞におけるCSRの発現は、caTCRを介したシグナル伝達時に誘導可能である。いくつかのそのような実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、caTCRを介したシグナル伝達に応答してプロモーター又は調節要素に作動可能に連結されたCSRをコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRをコードする核酸配列は、活性化T細胞由来プロモーターの核因子(NFAT)に作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、NFAT由来プロモーターは、NFAT由来のミニマルプロモーターである(例えば、Durand,D.et.al.,Molec.Cell.Biol.8,1715-1724(1988)、Clipstone,NA,Crabtree,GR.Nature.1992 357(6380):695-7、Chmielewski,M.,et al.Cancer research 71.17(2011):5697-5706、及びZhang,L.,et al.Molecular therapy 19.4(2011):751-759を参照されたい)。いくつかの実施形態では、NFAT由来プロモーターは、配列番号85のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRをコードする核酸配列は、IL-2プロモーターに作動可能に連結される。
分泌二次エフェクター(SSE)構築物
いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞(T細胞など)は、分泌二次エフェクター(SSE)を分泌することができる。このような免疫細胞は、本明細書では、「caTCR+CSR及びSSE免疫細胞」とも称される。SSEは、それが機能的に発現及び分泌されるcaTCR+CSR及びSSE免疫細胞によって媒介される免疫応答を強化する。いくつかの実施形態では、SSEは、他の免疫細胞(バイスタンダーT細胞又はNK細胞など)を標的疾患細胞(標的がん細胞など)に再指向することができる。いくつかの実施形態では、SSEは、免疫細胞(T細胞又はNK細胞など)及び疾患細胞(がん細胞など)を標的化する多重特異性抗体(二重特異性抗体など)である。いくつかの実施形態では、SSEは、免疫抑制性腫瘍環境などの免疫抑制環境から、caTCR+CSR及びSSE免疫細胞を保護する。いくつかの実施形態では、SSEは、caTCR+CSR及びSSE免疫細胞上の刺激受容体の自己活性化をもたらす。いくつかの実施形態では、SSEは、外来性増殖因子又は刺激性サイトカインである。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR及びSSE免疫細胞におけるSSEの発現は、誘導可能である。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR及びSSE免疫細胞におけるSSEの発現は、caTCRを介したシグナル伝達時に誘導可能である。
いくつかの実施形態では、SSEは、T細胞及び疾患細胞を標的化する多重特異性抗体(二重特異性抗体など)である。いくつかの実施形態では、SSEは、T細胞の表面抗原に特異的に結合する抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、T細胞表面抗原はCD3である。いくつかの実施形態では、SSEは、疾患関連抗原(がん関連抗原など)に特異的に結合する抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、疾患関連抗原は、疾患細胞(がん細胞など)の表面抗原である。いくつかの実施形態では、疾患関連抗原は、グリピカン-3(GPC3)、CD47、ムチン-16(MUC16)、CD19、CD20、CD22、EpCAM、EGFR、HER2、CEA、PSMA、AFP、PSA、BCMA、FCRL5、NY-ESO、HPV16、又はFoxP3、その変異型又は変異体を含むものである。いくつかの実施形態では、SSEは、タンデムscFv、ダイアボディ(Db)、単鎖ダイアボディ(scDb)、二重親和性再標的化(DART)抗体、及び二重可変ドメイン(DVD)抗体からなる群から選択される多重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、SSEは二重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、SSEは、T細胞表面抗原を標的化する第1のscFvと、疾患関連抗原を標的化する第2のscFvと、を含む、タンデムscFvである。
いくつかの実施形態では、SSEは、CD3を標的化する第1のscFvと、疾患関連抗原を標的化する第2のscFvと、を含む、タンデムscFvである。いくつかの実施形態では、疾患関連抗原は、GPC3、CD47、MUC16、CD19、CD20、CD22、EpCAM、EGFR、HER2、CEA、PSMA、AFP、PSA、BCMA、FCRL5、NY-ESO、HPV16、又はFoxP3、その変異型又は変異体を含むものである。
いくつかの実施形態では、SSEは、CD3を標的化する第1のscFvと、GPC3を標的化する第2のscFvと、を含む、タンデムscFvである。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、配列番号64のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなるVHドメインと、配列番号65のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなるVLドメインと、を含む。いくつかの実施形態では、VHドメインは、VLドメインに対してアミノ末端側である。いくつかの実施形態では、VLドメインは、VHドメインに対してアミノ末端側である。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、配列番号79のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、第1のscFvは、第2のscFvに対してアミノ末端側である。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、第1のscFvに対してアミノ末端側である。いくつかの実施形態では、SSEは、配列番号105のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
いくつかの実施形態では、SSEは、CD3を標的化する第1のscFvと、CD47を標的化する第2のscFvと、を含む、タンデムscFvである。いくつかの実施形態では、SSEは、CD3を標的化する第1のscFvと、MUC16を標的化する第2のscFvと、を含む、タンデムscFvである。
いくつかの実施形態では、SSEは、NK細胞及び疾患関連抗原(がん関連抗原など)を標的化する多重特異性抗体(二重特異性抗体など)である。いくつかの実施形態では、SSEは、NK細胞の表面抗原に特異的に結合する抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、NK細胞表面抗原はCD16aである。いくつかの実施形態では、SSEは、疾患関連抗原(がん関連抗原など)に特異的に結合する抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、疾患関連抗原は、疾患細胞(がん細胞など)の表面抗原である。いくつかの実施形態では、疾患関連抗原は、GPC3、CD47、MUC16、CD19、CD20、CD22、EpCAM、EGFR、HER2、CEA、PSMA、AFP、PSA、BCMA、FCRL5、NY-ESO、HPV16、又はFoxP3、その変異型又は変異体を含むものである。いくつかの実施形態では、SSEは、タンデムscFv、ダイアボディ(Db)、単鎖ダイアボディ(scDb)、二重親和性再標的化(DART)抗体、及び二重可変ドメイン(DVD)抗体からなる群から選択される多重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、SSEは二重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、SSEは、NK細胞表面抗原を標的化する第1のscFvと、疾患関連抗原を標的化する第2のscFvと、を含む、タンデムscFvである。
いくつかの実施形態では、SSEは、CD16aを標的化する第1のscFvと、疾患関連抗原を標的化する第2のscFvと、を含む、タンデムscFvである。いくつかの実施形態では、疾患関連抗原は、GPC3、CD47、MUC16、CD19、CD20、CD22、EpCAM、EGFR、HER2、CEA、PSMA、AFP、PSA、BCMA、FCRL5、NY-ESO、HPV16、又はFoxP3、その変異型又は変異体を含むものである。
いくつかの実施形態では、SSEは、CD16aを標的化する第1のscFvと、GPC3を標的化する第2のscFvと、を含む、タンデムscFvである。いくつかの実施形態では、SSEは、CD16aを標的化する第1のscFvと、CD47を標的化する第2のscFvと、を含む、タンデムscFvである。いくつかの実施形態では、SSEは、CD16aを標的化する第1のscFvと、MUC16を標的化する第2のscFvと、を含む、タンデムscFvである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSSEは、疾患関連抗原に特異的に結合する抗体部分を含み、抗体部分は、疾患関連抗原に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD19に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2017066136A2を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD19に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、配列番号58のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVHドメイン、及び/又は配列番号59のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVLドメイン、或いはそれらに含まれるCDR)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD20に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、配列番号60のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVHドメイン、及び/又は配列番号61のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVLドメイン、或いはそれらに含まれるCDR)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD22に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる、2018年3月30日出願のUSSN62/650,955を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD22に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、配列番号101のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVHドメイン、及び/又は配列番号102のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVLドメイン、或いはそれらに含まれるCDR)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPC3に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる、2017年4月26日出願のUSSN62/490,586を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPC3に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、配列番号64のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVHドメイン、及び/又は配列番号65のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVLドメイン、或いはそれらに含まれるCDR)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ROR1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/187220及びWO2016/187216を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ROR2に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/142768を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、BCMAに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090327及びWO2016/090320を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPRC5Dに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090329及びWO2016/090312を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、FCRL5に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090337を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、WT-1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2012/135854、WO2015/070078、及びWO2015/070061を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、AFPに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/161390を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、HPV16-E7に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/182957を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、NY-ESO-1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/210365を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、PRAMEに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/191246を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、EBV-LMP2Aに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/201124を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、KRASに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/154047を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、PSAに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2017/015634を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体部分はscFvである。いくつかの実施形態では、SSEは、a)T細胞の表面抗原(CD3など)又はNK細胞の表面抗原(CD16aなど)に特異的に結合する第1のscFvと、b)抗体部分と、を含み、郊外部分が第2のscFvである、タンデムscFvである。いくつかの実施形態では、SSEは、ペプチドリンカーによって連結された第1及び第2のscFvを含む。いくつかの実施形態では、第1のscFvは、第2のscFvに対してアミノ末端側である。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、第1のscFvに対してアミノ末端側である。
いくつかの実施形態では、SSEは、1つ以上の可溶性免疫抑制剤を標的化する多重特異性抗体(二重特異性抗体など)である。そのようなSSEは、可溶性免疫抑制剤をそれらの標的から隔離するためのトラップとして作用することができ、それによってそれらの免疫抑制効果を低減する。いくつかの実施形態では、SSEは、1つ以上の可溶性免疫抑制剤に特異的に結合する1つ以上の抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤は免疫抑制サイトカインである。いくつかの実施形態では、免疫抑制サイトカインとしては、TGF-βファミリーメンバー(例えば、TGF-β1~4)、IL-4、及びIL-10、これらの変異型又は変異体を含むものが挙げられる。いくつかの実施形態では、SSEは、タンデムscFv、ダイアボディ(Db)、単鎖ダイアボディ(scDb)、二重親和性再標的化(DART)抗体、及び二重可変ドメイン(DVD)抗体からなる群から選択される多重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、SSEは二重特異性抗体である。例えば、いくつかの実施形態では、SSEは、第1の免疫抑制サイトカイン(TGFβなど)を標的化する第1のscFvと、第2の免疫抑制サイトカイン(IL-4など)を標的化する第2のscFvと、を含むタンデムscFvである。
いくつかの実施形態では、SSEは、免疫チェックポイント分子を標的化する抗体部分である。いくつかの実施形態では、SSEは、阻害性免疫チェックポイント分子のアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、阻害性免疫チェックポイント分子は、PD-1、PD-L1、CTLA-4、HVEM、BTLA、KIR、LAG-3、TIM-3、及びA2aRからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、SSEは、刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストである。いくつかの実施形態では、刺激性免疫チェックポイント分子は、CD28、ICOS、4-1BB、OX40、CD27、及びCD40からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、全長抗体、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗体部分はscFvである。
いくつかの実施形態では、SSEは、PD-1を標的化するアンタゴニスト抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、PD-1に特異的なアンタゴニスト抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/210129を参照されたい)。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗体部分は、全長抗体、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗体部分はscFvである。
いくつかの実施形態では、SSEは、CD47を標的化するアンタゴニスト抗体部分である。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗体部分は、CD47に特異的なアンタゴニスト抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、配列番号66のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVHドメイン、及び/又は配列番号67のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるものを含むVLドメイン、或いはそれらに含まれるCDR)。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗体部分は、全長抗体、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗体部分はscFvである。
いくつかの実施形態では、SSEは、a)他の分子に対する結合親和性の少なくとも約10倍(例えば、少なくとも約10、20、30、40、50、75、100、200、300、400、500、750、1000、若しくはそれ以上のうちのいずれかを含む)の親和性で、又はb)他の分子に結合するためのKdの約1/10倍以下(例えば、約1/10、1/20、1/30、1/40、1/50、1/75、1/100、1/200、1/300、1/400、1/500、1/750、1/1000、若しくはそれ以下など)のKdで標的抗原に結合する抗体部分を含む。結合親和性は、ELISA、蛍光標識細胞分取(FACS)分析、又は放射線免疫沈降アッセイ(RIA)などの当該技術分野において既知の方法によって決定することができる。Kdは、例えば、Biacore機器を利用する表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ、又は例えばSapidyne機器を利用する動的排除アッセイ(KinExA)などの当該技術分野において既知の方法によって決定することができる。
いくつかの実施形態では、SSEは、免疫抑制受容体のリガンドに特異的に結合する可溶性分子である。いくつかの実施形態では、SSEは、免疫抑制受容体の細胞外ドメインに由来するリガンド結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、受容体の細胞外ドメインの一部である。いくつかの実施形態では、免疫抑制受容体は、FasR、TNFR1、TNFR2、SIRPα、PD-1、CD28、CTLA-4、ICOS、BTLA、KIR、LAG-3、4-1BB、OX40、CD27、CD40、及びTIM-3からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、SSEは、免疫抑制受容体に特異的に結合して拮抗する可溶性分子である。いくつかの実施形態では、SSEは、免疫抑制受容体のリガンドの細胞外ドメインに由来する受容体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、受容体結合ドメインは、リガンドの細胞外ドメインの一部である。いくつかの実施形態では、リガンドは、FasL、PD-L1、PD-L2、CD47、CD80、CD86、ICOSL、HVEM、4-1BBL、OX40L、CD70、CD40L、及びGAL9からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、SSEは外来性刺激性サイトカインである。本明細書に記載の外来性サイトカインは、外来性遺伝子から発現するサイトカインである。いくつかの実施形態では、外因性刺激性サイトカインは、IL-12ファミリーメンバーである。いくつかの実施形態では、IL-12ファミリーメンバーは、IL-12、IL-23、IL-27、又はIL-35である。いくつかの実施形態では、外因性刺激性サイトカインは、IL-2、IL-15、IL-18、又はIL-21である。いくつかの実施形態では、外因性刺激性サイトカインは、caTCR+CSR及びSSE免疫細胞上のサイトカインの受容体の自己活性化をもたらすことができる。
いくつかの実施形態では、caTCR+CSR及びSSE免疫細胞におけるSSEの発現は、誘導可能である。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR及びSSE免疫細胞は、本明細書に記載の誘導可能なプロモーターのいずれかを含む誘導可能なプロモーターに作動可能に連結されたSSEをコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR及びSSE免疫細胞におけるSSEの発現は、caTCRを介したシグナル伝達時に誘導可能である。いくつかのそのような実施形態では、caTCR+CSR及びSSE免疫細胞は、caTCRを介したシグナル伝達に応答してプロモーター又は調節要素に作動可能に連結されたSSEをコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SSEをコードする核酸配列は、活性化T細胞由来プロモーターの核因子(NFAT)に作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、NFAT由来プロモーターは、NFAT由来のミニマルプロモーターである(例えば、Durand,D.et.al.,Molec.Cell.Biol.8,1715-1724(1988)、Clipstone,NA,Crabtree,GR.Nature.1992 357(6380):695-7、Chmielewski,M.,et al.Cancer research 71.17(2011):5697-5706、及びZhang,L.,et al.Molecular therapy 19.4(2011):751-759を参照されたい)。いくつかの実施形態では、NFAT由来プロモーターは、配列番号85のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、SSEをコードする核酸配列は、IL-2プロモーターに作動可能に連結される。
核酸
本明細書に記載されるcaTCR、CSR、及び/又はSSEをコードする核酸分子も想到される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるcaTCR、CSR、及びSSEのいずれかによると、caTCR、CSR、及び/又はSSEをコードする核酸(又は核酸のセット)が提供される。
本発明はまた、本発明の核酸が挿入されるベクターも提供する。
簡潔に述べると、caTCR及び/又はCSR及び/又はSSEをコードする核酸による本明細書に記載のcaTCR及び/又はCSR及び/又はSSEの発現は、核酸を適切な発現ベクターに挿入し、核酸を、例えばプロモーター(例えば、リンパ球特異的プロモーター)及び3’非翻訳領域(UTR)を含む、5’及び3’調節要素に作動可能に連結するようにして達成できる。ベクターは、真核生物宿主細胞における複製及び組み込みに適し得る。典型的なクローニング及び発現ベクターは、転写及び翻訳ターミネーター、開始配列、並びに所望の核酸配列の発現の調節に有用なプロモーターを含む。
本発明の核酸は、標準的な遺伝子送達プロトコールを使用して、核酸免疫及び遺伝子治療に使用してもよい。遺伝子送達の方法は、当該技術分野において既知である。例えば、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる米国特許第5,399,346号、同5,580,859号、同5,589,466号を参照されたい。いくつかの実施形態では、本発明は、遺伝子治療用ベクターを提供する。
核酸は、多数の種類のベクターにクローニングすることができる。例えば、核酸は、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス、及びコスミドを含むがこれらに限定されないベクターにクローニングすることができる。特に重要なベクターとしては、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター、及びシークエンシングベクターが挙げられる。
更に、発現ベクターは、ウイルスベクターの形態の細胞に提供され得る。ウイルスベクター技術は当該技術分野において公知であり、例えば、Sambrook et al.(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)、及び他の生物学的及び分子生物学的マニュアルに記載されている。ベクターとして有用なウイルスとしては、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、及びレンチウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、適切なベクターは、少なくとも1つの生物で機能する複製起点、プロモーター配列、好都合な制限エンドヌクレアーゼ部位、及び1つ以上の選択可能なマーカーを含む(例えば、WO01/96584、WO01/29058、及び米国特許第6,326,193号を参照されたい)。
哺乳類細胞への遺伝子導入のために、多数のウイルスベースの系が開発されてきた。例えば、レトロウイルスは、遺伝子送達システムのための便利なプラットフォームを提供する。当該技術分野において既知の技術を使用して、選択された遺伝子をベクターに挿入し、レトロウイルス粒子にパッケージ化することができる。次いで、組換えウイルスを単離し、インビボ又はエクスビボのいずれかで対象の細胞に送達することができる。多くのレトロウイルス系が当該技術分野において既知である。いくつかの実施形態では、アデノウイルスベクターが使用される。多くのアデノウイルスベクターが当該技術分野において既知である。いくつかの実施形態では、レンチウイルスベクターが使用される。レンチウイルスなどのレトロウイルス由来のベクターは、長期的に安定した導入遺伝子の組み込み及び娘細胞におけるその伝播を可能にするため、長期間の遺伝子導入を達成するのに適したツールである。レンチウイルスベクターは、肝細胞などの非増殖細胞を形質導入することができるという点で、マウス白血病ウイルスなどのオンコレトロウイルス由来のベクターを超える更なる利点を有する。これらはまた、低免疫原性という更なる利点を有する。
例えば、エンハンサーなどの追加のプロモーター要素は、転写開始の頻度を調節する。典型的には、これらは開始部位の上流の30~110bpの領域に位置しているが、多くのプロモーターが開始部位の下流にも同様に機能的要素を含むことが最近示されている。プロモーター要素間の間隔は、多くの場合、柔軟性があり、そのため、要素が互いに対して反転又は移動されるときにプロモーター機能が保存される。チミジンキナーゼ(tk)プロモーターでは、プロモーター要素間の間隔は、活性が低下し始める前に50bpまで増加させることができる。
適切なプロモーターの一例は、最初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、それに作動可能に連結された任意のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を駆動することができる強力な構成的プロモーター配列である。適切なプロモーターの別の例は、伸長増殖因子-1α(EF-1α)である。しかしながら、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)長末端反復(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、ニワトリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン・バーウイルス最初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、並びにアクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、及びクレアチンキナーゼプロモーターなどが挙げられるがこれらに限定されないヒト遺伝子プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない他の構成的プロモーター配列を使用してもよい。
更に、本発明は、構成的プロモーターの使用に限定されるべきではない。誘導可能なプロモーターもまた、本発明の一部として想到される。誘導型プロモーターの使用は、そのような発現が望まれるときに作動可能に連結されるポリヌクレオチド配列の発現をオンにすることが可能であるか、又は発現が望まれない場合に発現をオフにすることが可能である分子スイッチを提供する。真核細胞で使用する例示的な誘導可能プロモーター系としては、ホルモン調節要素(例えば、Mader,S.and White,J.H.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5603-5607)、合成リガンド制御要素(例えば、Spencer,D.M.et al 1993)Science 262:1019-1024を参照されたい)、及び電離放射線調節要素(例えば、Manome,Y.et al.(1993)Biochemistry 32:10607-10613、Datta,R.et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1014-10153を参照されたい)が挙げられるが、これに限定されない。インビトロ又はインビボの哺乳類系で使用するための更なる例示的な誘導可能なプロモーター系は、Gingrich et al.(1998)Annual Rev.Neurosci 21:377-405に概説されている。
本発明で使用するための例示的な誘導可能なプロモーター系は、Tetシステムである。このようなシステムは、Gossen et al.(1993)によって記載されるTetシステムに基づく。例示的な実施形態では、目的のポリヌクレオチドは、1つ以上のTetオペレーター(TetO)部位を含むプロモーターの制御下にある。非活性状態では、Tetレプレッサー(TetR)は、TetO部位に結合し、プロモーターからの転写を抑制する。活性状態では、例えば、テトラサイクリン(Tc)、無水テトラサイクリン、ドキシサイクリン(Dox)、又はそれらの活性類似体などの誘導剤の存在下で、誘導剤は、TetOからTetRを放出させ、それによって転写を実施させることができる。ドキシサイクリンは、1-ジメチルアミノ-2,4a,5,7,12-ペンタヒドロキシ-11-メチル-4,6-ジオキソ-1,4a,11,11a,12,12-ヘキサヒドロテトラセン-3-カルボキサミドの化学名を有する抗生物質のテトラサイクリンファミリーのメンバーである。
一実施形態では、TetRは、哺乳類細胞、例えば、マウス又はヒト細胞における発現のためにコドン最適化される。多くのアミノ酸は、遺伝子コードの縮重により、1つを超えるコドンによりコードされており、核酸によりコードされるアミノ酸配列の任意の変更なしに、所与の核酸のヌクレオチド配列の実質的な変異を可能にする。しかしながら、多くの生物は、「コドンバイアス」(すなわち、所与のアミノ酸の特定のコドンを使用するためのバイアス)としても知られるコドン使用の相違を示す。コドンバイアスは、多くの場合、転じてmRNA翻訳の効率を増加させる、特定のコドンのためのtRNAの優勢な種の存在と相関する。したがって、特定の生物(例えば、原核生物)由来のコード配列は、コドン最適化を介して異なる生物(例えば、真核生物)における発現の改善に合わせて微調整され得る。
Tetシステムの他の特定の変形例としては、以下の「Tet-Off」及び「Tet-On」システムが挙げられる。Tet-Offシステムでは、転写は、TC又はDoxの存在下で非活性である。このシステムでは、テトラサイクリン制御トランス活性化因子タンパク質(tTA)は、単純ヘルペスウイルス由来のVP16の強力なトランス活性化ドメインに融合したTetRで構成され、テトラサイクリン応答性プロモーター要素(TRE)の転写制御下にある標的核酸の発現を調節する。TREは、プロモーター(一般に、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)の最初期プロモーターに由来するミニマルプロモーター配列)に融合したTetO配列のコンカテマーで形成される。Tc又はDoxの非存在下では、tTAはTREに結合し、標的遺伝子の転写を活性化する。Tc又はDoxの存在下では、tTAはTREに結合することができず、標的遺伝子からの発現は非活性なままである。
逆に、Tet-Onシステムでは、転写はTc又はDoxの存在下で活性である。Tet-Onシステムは、逆テトラサイクリン制御トランス活性化因子、rtTAに基づく。tTAと同様に、rtTAは、TetRリプレッサー及びVP16トランス活性化ドメインからなる融合タンパク質である。しかしながら、TetR DNA結合部分における4つのアミノ酸変化は、Doxの存在下で標的導入遺伝子のTREにおけるtetO配列のみを認識できるように、rtTAの結合特性を変化させる。したがって、Tet-Onシステムでは、TRE調節された標的遺伝子の転写は、Doxの存在下でのみrtTAによって刺激される。
別の誘導可能なプロモーター系は、大腸菌(E.coli)由来のlacリプレッサー系である。(Brown et al.,Cell 49:603-612(1987)を参照されたい)。lacリプレッサー系は、lacオペレーター(lacO)を含むプロモーターに作動可能に連結された目的のポリヌクレオチドの転写を調節することによって機能する。lacリプレッサー(lacR)は、LacOに結合して目的のポリヌクレオチドの転写を防止する。目的のポリヌクレオチドの発現は、適切な誘導剤、例えば、イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)により誘導される。
本発明で使用するための別の例示的な誘導可能プロモーターシステムは、活性化T細胞系の核因子(NFAT)である。NFATファミリーの転写因子は、T細胞活性化の重要な調節因子である。NFAT応答要素は、例えば、IL-2プロモーターにおいて見出される(例えば、Durand,D.et.al.,Molec.Cell.Biol.8,1715-1724(1988)、Clipstone,NA,Crabtree,GR.Nature.1992 357(6380):695-7、Chmielewski,M.,et al.Cancer research 71.17(2011):5697-5706、及びZhang,L.,et al.Molecular therapy 19.4(2011):751-759を参照されたい)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の誘導可能プロモーターは、1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、又はそれ以上)のNFAT応答要素を含む。いくつかの実施形態では、誘導可能プロモーターは、例えば、配列番号83のヌクレオチド配列を含む6個のNFAT応答要素を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の誘導可能プロモーターは、ミニマルTAプロモーターなどのミニマルプロモーターに連結された1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、又はそれ以上)のNFAT応答要素を含む。いくつかの実施形態では、ミニマルTAプロモーターは、配列番号84のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、誘導可能なプロモーターは、配列番号85のヌクレオチド配列を含む。
ポリペプチド又はその一部の発現を評価するために、細胞に導入される発現ベクターはまた、形質導入するか又はウイルスベクターを介して感染させることが求められる細胞集団からの発現細胞の同定及び選択を促進するために、選択マーカー遺伝子若しくはレポーター遺伝子のいずれか又はその両方を含み得る。他の態様では、選択マーカーは、DNAの別個の断片上に担持され、共トランスフェクション手順で使用できる。選択マーカー及びレポーター遺伝子の両方は、宿主細胞における発現を可能にするために適切な制御配列を隣接させてもよい。有用な選択マーカーとしては、例えば、neoなどの抗生物質耐性遺伝子が挙げられる。
レポーター遺伝子は、場合によって形質導入された細胞を同定するため、及び制御配列の機能性を評価するために使用される。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエント生物又は組織内に存在しないか又は発現していない遺伝子であり、一部の容易に検出可能な特性、例えば、酵素活性によって発現が明らかになるポリペプチドをコードする遺伝子である。DNAがレシピエント細胞に導入された後、レポーター遺伝子の発現を適切な時間でアッセイする。適切なレポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌アルカリホスファターゼ、又は緑色蛍光タンパク質遺伝子(例えば、,Ui-Tel et al.,2000 FEBS Letters 479:79-82)をコードする遺伝子を挙げ得る。適切な発現系は公知であり、既知の技術を使用して調製することができ、又は商業的に入手することができる。一般に、レポーター遺伝子の最高レベルの発現を示すミニマル5’隣接領域を有する構築物は、プロモーターとして同定される。このようなプロモーター領域は、レポーター遺伝子に連結され、プロモーター駆動転写を調節する能力について薬剤を評価するために使用されてもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるcaTCR、CSR、及びSSEのいずれかによるcaTCR及び/又はCSRをコードする核酸が提供される。いくつかの実施形態では、核酸は、caTCRの全てのポリペプチド鎖をコードする1つ以上の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、CSRの全てのポリペプチド鎖をコードする1つ以上の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、caTCR及びCSRの全てのポリペプチド鎖をコードする1つ以上の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の核酸配列のそれぞれは、別個のベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、核酸配列の少なくとも一部は、同じベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、核酸配列の全ては、同じベクターに含まれる。ベクターは、例えば、哺乳類発現ベクター、並びにウイルスベクター(レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、及びレンチウイルス由来のものなど)からなる群から選択され得る。
例えば、いくつかの実施形態では、caTCRは、第1のcaTCRポリペプチド鎖及び第2のcaTCRポリペプチド鎖を含む二量体であり、CSRは、単一のCSRポリペプチド鎖を含む単量体であり、核酸は、第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1の核酸配列、第2のcaTCR鎖をコードする第2の核酸、及びCSRポリペプチド鎖をコードする第3の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は第1のベクターに含まれ、第2の核酸配列は第2のベクターに含まれ、第3の核酸配列は第3のベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、第1及び第2の核酸配列は第1のベクターに含まれ、第3の核酸配列は第2のベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、第1及び第3の核酸配列は第1のベクターに含まれ、第2の核酸配列は第2のベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、第2及び第3の核酸配列は第1のベクターに含まれ、第1の核酸配列は第2のベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3の核酸配列は、同じベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は第1のプロモーターの制御下にあり、第2の核酸配列は第2のプロモーターの制御下にあり、第3の核酸配列は第3のプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3のプロモーターの一部又は全ては、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3のプロモーターの一部又は全ては、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3の核酸配列の一部又は全ては、マルチシストロン性ベクターにおける単一のプロモーターの制御下で単一の転写物として発現される。例えば、Kim,JH,et al.,PLoS One 6(4):e18556,2011を参照されたい。いくつかの実施形態では、1つ以上のプロモーターは誘導可能である。いくつかの実施形態では、CSRポリペプチド鎖をコードする第3の核酸配列は、誘導可能なプロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、誘導可能なプロモーターは、NFAT応答要素などの免疫細胞活性化に応答する1つ以上の要素を含む。
いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3の核酸配列の一部又は全ては、宿主細胞(T細胞など)において同様(実質的に又はほぼ同じなど)の発現レベルを有する。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3の核酸配列のうちのいくつかは、宿主細胞(T細胞など)において、少なくとも約2倍(少なくとも約2、3、4、5倍、又はそれ以上)異なる発現レベルを有する。発現は、mRNA又はタンパク質レベルで決定することができる。mRNA発現レベルは、ノーザンブロット、定量的RT-PCR、マイクロアレイ解析などを含む様々な公知の方法を使用して、核酸から転写されたmRNAの量を測定することによって決定することができる。タンパク質発現レベルは、免疫細胞化学染色、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、ウェスタンブロット分析、発光アッセイ、質量分析、高速液体クロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析などを含む既知の方法によって測定することができる。
本明細書に記載される実施形態の特徴は、任意の数の核酸配列を含む実施形態、例えば、caTCR及び/又はCSR及び/又はSSEをコードする核酸が5つ以上の核酸配列(例えば、caTCR及びSSEがそれぞれ2つ以上の異なるポリペプチド鎖を含む場合)を含む実施形態を包含するように適合され、組み合わされ得ることを理解されたい。
したがって、いくつかの実施形態では、核酸であって、a)本明細書に記載のcaTCRのいずれかによる第1のcaTCRポリペプチド鎖及び第2のcaTCRポリペプチド鎖を含む二量体caTCRと、b)本明細書に記載のCSRのいずれかによる単一のCSRポリペプチド鎖を含む単量体CSRと、をコードし、核酸が、i)第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1のcaTCR核酸配列、及びii)第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第2のcaTCR核酸配列を含み、CSRポリペプチド鎖をコードするCSR核酸配列を更に含む、核酸が提供される。いくつかの実施形態では、第1のcaTCR核酸配列は、第1のベクター(レンチウイルスベクターなど)に含まれ、第2のcaTCR核酸配列は、第2のベクター(レンチウイルスベクターなど)に含まれ、CSR核酸配列は、第3のベクター(レンチウイルスベクターなど)に含まれる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のcaTCR核酸配列並びにCSR核酸配列の一部又は全ては、同一のベクター(レンチウイルスベクターなど)に含まれる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のcaTCR核酸配列並びにCSR核酸配列のそれぞれは、個々に、プロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては誘導可能である。いくつかの実施形態では、CSR核酸配列は、誘導可能なプロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、誘導可能なプロモーターは、免疫細胞活性化に応答する1つ以上の要素を含む。いくつかの実施形態では、CSR核酸配列は、NFAT由来のプロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、ベクターの一部又は全ては、ウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。
いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載のcaTCRのいずれかによる第1のcaTCRポリペプチド鎖及び第2のcaTCRポリペプチド鎖を含む二量体caTCRをコードする核酸を含む第1のベクター(レンチウイルスベクターなど)であって、i)第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1のcaTCR核酸配列に作動可能に連結された第1プロモーター、及びii)第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第2のcaTCR核酸配列に作動可能に連結された第2プロモーターを含む、第1のベクターと、b)本明細書に記載のCSRのいずれかによるCSRポリペプチド鎖を含む単量体CSRをコードする核酸を含む第2のベクター(レンチウイルスベクターなど)であって、CSRポリペプチド鎖をコードするCSR核酸配列に作動可能に連結された第3のプロモーターを含む、第2のベクターと、が提供される。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモーターの一部又は全ては誘導可能である。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のベクターは、ウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。
いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載のcaTCRのいずれかによる第1のcaTCRポリペプチド鎖及び第2のcaTCRポリペプチド鎖を含む二量体caTCRをコードする核酸を含む第1のベクター(レンチウイルスベクターなど)であって、i)第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1のcaTCR核酸配列、及びii)第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第2のcaTCR核酸配列を含み、第1及び第2のcaTCR核酸配列が第1のプロモーターの制御下にある、第1のベクターと、b)本明細書に記載のCSRのいずれかによるCSRポリペプチド鎖を含む単量体CSRをコードする核酸を含む第2のベクター(レンチウイルスベクターなど)であって、CSRポリペプチド鎖をコードするCSR核酸配列に作動可能に連結された第2のプロモーターを含む、第2のベクターと、が提供される。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターは、第1のcaTCR核酸配列の5’末端に作動可能に連結され、第1のcaTCR核酸配列の3’末端を第2のcaTCR核酸配列の5’末端に連結させる、内部リボソーム侵入部位(IRES)、自己切断2Aペプチド(P2A、T2A、E2A、又はF2Aなど)をコードする核酸からなる群から選択される核酸リンカーが存在し、第1のcaTCR核酸配列及び第2のcaTCR核酸配列は、第1のプロモーターの制御下で単一RNAとして転写される。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターは、第2のcaTCR核酸配列の5’末端に作動可能に連結され、第2のcaTCR核酸配列の3’末端を第1のcaTCR核酸配列の5’末端に連結させる、内部リボソーム侵入部位(IRES)、自己切断2Aペプチド(P2A、T2A、E2A、又はF2Aなど)をコードする核酸からなる群から選択される核酸リンカーが存在し、第1のcaTCR核酸配列及び第2のcaTCR核酸配列は、第1のプロモーターの制御下で単一RNAとして転写される。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のプロモーターは誘導可能である。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のベクターは、ウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。第1又は第2のcaTCR核酸配列がCSR核酸配列と交換される場合など、核酸配列のいずれかが交換される実施形態も想到されることを理解されたい。
いくつかの実施形態では、ベクター(例えば、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターなど)であって、a)本明細書に記載のcaTCRのいずれかによる第1のcaTCRポリペプチド鎖、及び第2のcaTCRポリペプチド鎖を含む二量体caTCRをコードする核酸であって、i)第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1のcaTCR核酸配列、及びii)第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第2のcaTCR核酸配列を含む核酸と、b)CSRポリペプチド鎖をコードするCSR核酸配列を含む、本明細書に記載のCSRのいずれかによるCSRポリペプチド鎖を含む単量体CSRをコードする核酸と、を含み、第1及び第2のcaTCR核酸配列は、第1のプロモーターの制御下にあり、CSR核酸配列は、第2のプロモーターの制御下にある、ベクターが提供される。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターは、内部リボソーム侵入部位(IRES)、自己切断2Aペプチド(P2A、T2A、E2A、又はF2Aなど)をコードする核酸からなる群から選択された核酸リンカーによって他のcaTCR核酸配列に連結されるcaTCR核酸配列のうちの1つに作動可能に連結され、第1及び第2のcaTCR核酸配列が、第1のプロモーターの制御下で単一RNAとして転写されるようにされる。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のプロモーターは誘導可能である。いくつかの実施形態では、第2のプロモーターは誘導可能なプロモーターである。いくつかの実施形態では、誘導可能なプロモーターは、免疫細胞活性化に応答する1つ以上の要素を含む。いくつかの実施形態では、第2のプロモーターは、NFAT由来プロモーターである。いくつかの実施形態では、NFAT由来プロモーターは、配列番号85のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、ウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。
いくつかの実施形態では、ベクター(レンチウイルスベクターなど)であって、a)本明細書に記載のcaTCRのいずれかによる第1のcaTCRポリペプチド鎖、及び第2のcaTCRポリペプチド鎖を含む二量体caTCRをコードする核酸であって、i)第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1のcaTCR核酸配列、及びii)第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第2のcaTCR核酸配列を含む核酸と、b)CSRポリペプチド鎖をコードするCSR核酸配列を含む、本明細書に記載のCSRのいずれかによるCSRポリペプチド鎖を含む単量体CSRをコードする核酸と、を含み、第1及び第2のcaTCR核酸配列、並びにCSR核酸配列は、単一のプロモーターの制御下にある、ベクターが提供される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、個々に内部リボソーム侵入部位(IRES)、自己切断2Aペプチド(P2A、T2A、E2A、又はF2Aなど)をコードする核酸からなる群から選択される核酸リンカーによって他の核酸配列に連結される核酸配列のうちの1つに作動可能に連結され、第1及び第2のcaTCR核酸配列並びにCSR核酸配列が、プロモーターの制御下で単一RNAとして転写されるようにされる。いくつかの実施形態では、プロモーターは、誘導可能である。いくつかの実施形態では、ベクターは、ウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。
遺伝子を細胞に導入及び発現させる方法は、当該技術分野において既知である。発現ベクターの文脈において、ベクターは、当該技術分野における任意の方法により、宿主細胞、例えば、哺乳類、細菌、酵母、又は昆虫細胞に容易に導入することができる。例えば、発現ベクターは、物理的、化学的、又は生物学的手段によって宿主細胞に導入され得る。
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための物理的方法としては、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、粒子衝突、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどが挙げられる。ベクター及び/又は外因性核酸を含む細胞を産生する方法は、当該技術分野において公知である。例えば、Sambrook et al.(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)を参照されたい。いくつかの実施形態では、宿主細胞へのポリヌクレオチドの導入は、リン酸カルシウムトランスフェクションによって行われる。
宿主細胞に目的のポリヌクレオチドを導入するための生物学的方法としては、DNA及びRNAベクターの使用が挙げられる。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、哺乳類、例えば、ヒト細胞に遺伝子を挿入するための最も広く使用されている方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルス1、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルスなどに由来し得る。例えば、米国特許第5,350,674号及び同第5,585,362号を参照されたい。
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための化学的手段としては、巨大分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、及び水中油型エマルション、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含む脂質ベース系が挙げられる。インビトロ及びインビボで送達ビヒクルとして使用するための例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば人工膜小胞)である。
非ウイルス送達系が利用される場合、例示的な送達ビヒクルはリポソームである。脂質製剤の使用は、宿主細胞(インビトロ、エクスビボ、又はインビボ)に核酸を導入するために想到される。別の態様では、核酸は脂質と結合していてもよい。脂質に結合する核酸は、リポソームの脂質二重層内に散在するリポソームの水性内部に封入されてもよく、リポソーム及びオリゴヌクレオチドの両方に結合する連結分子を介してリポソームに結合していてもよく、リポソームに封入されてもよく、リポソームと複合体化されてもよく、脂質を含む溶液に分散されてもよく、脂質と混合されてもよく、脂質と混合されてもよく、脂質と組み合わされてもよく、脂質中の懸濁液として含まれてもよく、ミセルに含まれるか若しくは複合体化されてもよく、又はそうでなければ、脂質と結合していてもよい。脂質、脂質/DNA、又は脂質/発現ベクター結合組成物は、溶液中の任意の特定の構造に限定されない。例えば、それらは、ミセルとして二重層構造で、又は「潰れた」構造で存在してもよい。これらはまた、単に溶液中に散在してもよく、場合によっては、サイズ又は形状が均一ではない凝集体を形成してもよい。脂質は、天然に存在し得る脂肪物質又は合成脂質である。例えば、脂質としては、天然に細胞質中に生じる脂肪液滴、並びに長鎖脂肪族炭化水素及び脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、及びアルデヒドなどの誘導体を含む化合物の類が挙げられる。
外因性核酸を宿主細胞に導入するために使用される方法、又は本発明の阻害剤に細胞を曝露するために使用される方法にかかわらず、宿主細胞中の組み換えDNA配列の存在を確認するために、様々なアッセイが行われてもよい。このようなアッセイとしては、例えば、サザン及びノーザンブロッティング、RT-PCR及びPCRなどの、当業者に公知の「分子生物学的」アッセイが挙げられる。例えば、免疫学的手段(ELISA及びウェスタンブロット)による特定のペプチドの有無を検出することなどの「生化学的」アッセイ、又は薬剤を同定するための本明細書に記載のアッセイは、本発明の範囲内に含まれる。
caTCR、CSR、及びSSEの調製
いくつかの実施形態では、抗体部分を含む本明細書に記載のcaTCR、CSR、及びSSEのいずれかによると、抗体部分(例えば、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又はscFv)は、モノクローナル抗体に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、モノクローナル抗体由来のVH及びVLドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、モノクローナル抗体由来のCH1及びCLドメイン、又はその変異型を更に含む。モノクローナル抗体は、例えば、Kohler and Milstein,Nature,256:495(1975)及びSergeeva et al.,Blood,117(16):4262-4272に記載されるもののようなハイブリドーマ法を使用して調製することができる。
ハイブリドーマ法では、ハムスター、マウス、又は他の適切な宿主動物は、典型的には、免疫化剤により免疫されて、免疫化剤に特異的に結合する抗体を産生するか、又は産生できるリンパ球を誘発する。別の方法としては、リンパ球をインビトロで免疫化できる。免疫化剤は、目的のタンパク質のポリペプチド若しくは融合タンパク質、又はペプチド及びMHCタンパク質を含む複合体などの少なくとも2つの分子を含む複合体を含むことができる。一般に、ヒト由来細胞が望まれる場合は末梢血リンパ球(「PBL」)を使用するか、又は、非ヒト哺乳類源が望まれる場合は脾臓細胞若しくはリンパ節細胞を使用する。その後、リンパ球を、好適な融合剤、例えばポリエチレングリコールを用いて不死化細胞株と融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する。例えば、Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,(New York:Academic Press(1986),pp.59-103を参照されたい。不死化細胞株は、通常は、形質転換された哺乳類細胞、特に、げっ歯類、ウシ及びヒト由来の骨髄腫細胞である。通常は、ラット又はマウス骨髄腫細胞株を用いる。ハイブリドーマ細胞を、好ましくは、未融合の不死化細胞の増殖又は生存を阻害する1種以上の物質を含む好適な培養培地中で培養し、増殖することができる。例えば、親細胞が、酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマ用の培養培地は、典型的には、HGPRT欠損細胞の増殖を防ぐヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含む(「HAT培地」)。
いくつかの実施形態では、不死化細胞株は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による安定な高レベルの抗体発現を支持し、HAT培地などの培地に感受性である。いくつかの実施形態では、不死化細胞株は、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,California及びAmerican Type Culture Collection,Manassas,Virginiaから得ることができるマウス骨髄腫株である。ヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株もまた、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載されている。Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984)、Brodeur et al.Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications(Marcel Dekker,Inc.:New York,1987)pp.51-63。
ハイブリドーマ細胞が培養される培養培地を、続いて、ポリペプチドに対するモノクローナル抗体の存在についてアッセイできる。ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性を、免疫沈降法により、又は、ラジオイムノアッセイ(RIA)若しくは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などのin vitro結合アッセイによって測定することができる。このような手法及びアッセイ法は、当該技術分野において既知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson and Pollard,Anal.Biochem.,107:220(1980)の標準的な分析によって決定することができる。
所望のハイブリドーマ細胞を同定した後、限界希釈手順によってクローンをサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる。Goding、前出。この目的のために好適な培養培地として、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地及びRPMI-1640培地が挙げられる。代替的に、ハイブリドーマ細胞を哺乳類中の腹水としてインビボで増殖させることもできる。
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、例えば、プロテインA-Sepharose、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティクロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順によって、培養培地又は腹水から単離又は精製することができる。
いくつかの実施形態では、抗体部分を含む本明細書に記載のcaTCR、CSR、及びSSEのいずれかによると、抗体部分は、抗体部分ライブラリー(scFv又はFab断片を提示するファージライブラリーなど)から選択されるクローン由来の配列を含む。クローンは、所望の活性又は複数の活性を有する抗体断片のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって同定され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリーを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリーをスクリーニングするための様々な方法が当該技術分野において既知である。このような方法は、例えば、Hoogenboom et al.,Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,N.J.,2001)に概説されており、例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552-554、Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992)、Marks and Bradbury,Methods in Molecular Biology 248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,N.J.,2003)、Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004)、Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004)、Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004)、及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004)に更に記載される。
特定のファージディスプレイ方法では、VH及びVL遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングされ、ファージライブラリーにおいてランダムに組み替えられ、次いで、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12:433-455(1994)に記載される抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、典型的には、単鎖Fv(scFv)断片又はFab断片のいずれかとして抗体断片を提示する。免疫源からのライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、ナイーブ型レパートリーを(例えば、ヒトから)クローン化して、Griffiths et al.,EMBO J,12:725-734(1993)に記載されているような任意の免疫化なしに、非自己及び更に自己抗原も含む広範囲の抗原に対する単一の抗体源を提供することができる。最後に、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381-388(1992)に記載されているように、ナイーブライブラリーはまた、幹細胞から再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用して高度に可変のCDR3領域をコードし、インビトロで再配列を達成することにより、合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリーを記載する特許公報には、例えば、米国特許第5,750,373号、並びに米国特許公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が挙げられる。
抗体部分は、標的抗原に特異的な抗体(ペプチド/MHCクラスI/II複合体又は細胞表面抗原など)のライブラリーをスクリーニングするために、ファージディスプレイを使用して調製することができる。ライブラリーは、少なくとも1×109(少なくとも約1×109、2.5×109、5×109、7.5×109、1×1010、2.5×1010、5×1010、7.5×1010、1×1011のいずれかなど)の固有のヒト抗体断片の多様性を有するヒトscFvファージディスプレイライブラリーであり得る。いくつかの実施形態では、ライブラリーは、ヒトのPMBCから抽出されるDNA及び健康なドナーからの脾臓から構築されたナイーブ型ヒトライブラリーであり、全てのヒト重鎖及び軽鎖サブファミリーを包含する。いくつかの実施形態では、ライブラリーは、自己免疫疾患を有する患者、がん患者、及び感染性疾患を有する患者などの様々な疾患を有する患者から単離されるPBMCから抽出されるDNAから構築されたナイーブ型ヒトライブラリーである。いくつかの実施形態では、ライブラリーは半合成ヒトライブラリーであり、重鎖CDR3は完全にランダム化され、全てのアミノ酸(システイン以外)は、任意の所与の位置に存在する尤度が等しくなる(例えば、Hoet,R.M.et al.,Nat.Biotechnol.23(3):344-348,2005を参照されたい)。いくつかの実施形態では、半合成ヒトライブラリーの重鎖CDR3は、約5~約24(約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24のいずれかなど)の長さのアミノ酸を有する。いくつかの実施形態では、ライブラリーは、完全合成ファージディスプレイライブラリーである。いくつかの実施形態では、ライブラリーは、非ヒトファージディスプレイライブラリーである。
高い親和性で標的抗原に結合するファージクローンは、固体支持体(例えば、溶液パニングのためのビーズ又は細胞パニングのための哺乳類細胞など)に結合した標的抗原へのファージの反復的な結合によって選択することができ、続いて非結合ファージを除去し、特異的に結合したファージの溶出によって選択することができる。溶液パニングの例では、標的抗原は、固体支持体への不動化のためにビオチン化され得る。ビオチン化標的抗原は、ファージライブラリーと、ストレプトアビジンコンジュゲートDynabeads M-280などの固体担体と混合され、次いで、標的抗原-ファージ-ビーズ複合体が単離される。次いで、結合したファージクローンを溶離して使用し、発現及び精製のために大腸菌XL1-Blueなどの適切な宿主細胞を感染させる。細胞パニングの例では、AFPペプチドを負荷したT2細胞(TAP欠乏、HLA-A*02:01+リンパ芽細胞株)をファージライブラリーと混合した後、細胞を収集し、結合したクローンを溶離して使用し、発現及び精製のために適切な宿主細胞を感染させる。パニングは、標的抗原に特異的に結合するファージクローンを濃縮するために、溶液パニング、細胞パニング、又はそれらの両方の組み合わせのいずれかで、複数(約2、3、4、5、6、又はそれ以上のいずれか)のラウンドで行うことができる。濃縮ファージクローンは、例えば、ELISA及びFACSを含む、当該技術分野において既知の任意の方法による標的抗原への特異的結合について試験することができる。
ヒト及びヒト化抗体部分
caTCR、CSR、及びSSE抗体部分は、ヒト又はヒト化であり得る。非ヒト(例えば、マウス)抗体部分のヒト化型は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小限の配列を典型的に含む、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はその断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、又は抗体の他の抗原結合サブ配列)である。ヒト化抗体部分として、レシピエントのCDRの残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット、又はウサギなどの非ヒト種のCDRの残基(ドナー抗体)で置換されている、ヒト免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、又はその断片(レシピエント抗体)が挙げられる。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が、対応する非ヒト残基で置換される。ヒト化抗体部分は、レシピエント抗体部分においても移入されたCDR若しくはフレームワーク配列においても見られない、残基も含み得る。一般に、ヒト化抗体部分は、少なくとも1つの実質的に全て、典型的には2つの可変ドメインを含み得、全て又は実質的に全てのCDR領域は、非ヒト免疫グロブリンのものと一致し、全て又は実質的に全てのFR領域は、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。例えば、Jones et al.,Nature,321:522-525(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988)、Presta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593-596(1992)を参照されたい。
一般的に、ヒト化抗体部分は、非ヒト源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、典型的には「移入」可変ドメインから取り込まれた「移入」残基と呼ばれることが多い。いくつかの実施形態によれば、ヒト化は、本質的にWinter and co-workers(Jones Et al.,Nature,321:522-525(1986)、Riechmann et al.,Nature,332:323-327(1988)、Verhoeyen et al.,Science,239:1534-1536(1988))の方法に従って、げっ歯類CDR又はCDR配列をヒト抗体部分の対応する配列に置換することにより、実施できる。したがって、そのような「ヒト化」抗体部分は、インタクトなヒト可変ドメインより実質的に少ない部分が、非ヒト種からの対応する配列によって置換されている、抗体部分である(米国特許第4816567号)。実際には、ヒト化抗体部分は、典型的には、いくつかのCDR残基及び場合によりいくつかのFR残基が、げっ歯類抗体の類似部位由来の残基で置換された、ヒト抗体部分である。
ヒト化の代替として、ヒト抗体部分を生成してもよい。例えば、今では、免疫化によって、内因性免疫グロブリンを産生せずにヒト抗体の完全なレパートリーを産生可能な、トランスジェニック動物(例えば、マウス)の作製が可能である。例えば、キメラ及び生殖細胞系変異マウスにおける抗体重鎖連結領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失により、内在性抗体産生が完全に阻害されることが報告されている。ヒト生殖系免疫グロブリン遺伝子アレイをこのような生殖系変異マウスに導入すると、抗原誘発によってヒト抗体が産生する。例えば、Jakobovits et al.,PNAS USA,90:2551(1993)、Jakobovits et al.,Nature,362:255-258(1993)、Bruggemann et al.,Year in Immunol.,7:33(1993)、米国特許第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,591,669号、同第5,545,807、及びWO 97/17852を参照されたい。代替的に、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的に又は完全に不活性化されている、トランスジェニック動物、例えば、マウスに導入することによって、ヒト抗体を作製できる。誘発時、遺伝子再配列、集合、及び抗体レパートリーなどの全ての点において、ヒトで見られるものとよく似たヒト抗体産生が観察される。このアプローチは、例えば、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、及び同第5,661,016号、並びにMarks et al.,Bio/Technology,10:779-783(1992)、Lonberg et al.,Nature 368:856-859(1994)、Morrison,Nature 368:812-813(1994)、Fishwild et al.,Nature Biotechnol.14:845-851(1996)、Neuberger,Nature Biotechnology.14:826(1996)、Lonberg and Huszar,Intern.Rev.Immunol.,13:65-93(1995)、に記載されている。
ヒト抗体はまた、インビトロ活性化B細胞(米国特許第5,567,610号及び同第5,229,275号を参照されたい)によって、又はファージディスプレイライブラリーを含む当該技術分野において既知の様々な技術を使用することによって生成されてもよい。Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991)。Cole et al.及びBoerner et al.の技術もまた、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である。Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985)及びBoerner et al.,J.Immunol.,147(1):86-95(1991)。
追加の変異型
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗原結合モジュールのアミノ酸配列変異型が想到される。例えば、これは、抗原結合モジュールの結合親和性及び/又はその他生物学的特性を改善するのに望ましい場合がある。抗原結合モジュールのアミノ酸配列変異型は、抗原結合モジュールをコードするヌクレオチド配列に適切な改変を導入することによって、又はペプチド合成によって調製することができる。このような改変として、例えば、抗原結合モジュールのアミノ酸配列内の残基の、欠失及び/又は挿入及び/又は置換が挙げられる。最終構築物が所望の特性、例えば抗原結合を有することを条件として、欠失、挿入、及び置換のいずれかの組み合わせを施して最終構築物に到達させることができる。
いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗原結合モジュール変異型が提供される。置換変異導入の目的の部位としては、抗体部分のHVR及びFRが挙げられる。アミノ酸置換は、目的の抗原結合モジュールに導入してもよく、生成物は、所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合又は減少した免疫原性についてスクリーニングされる。
アミノ酸は、共通の側鎖特性に従って異なるクラスに分類され得る。
a.疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
b.中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
c.酸性:Asp、Glu;
d.塩基性:His、Lys、Arg;
e.鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro;
f.芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらの分類のうち1つを別の分類のものに交換することを伴う。
例示的な置換変異型は、親和性成熟抗体部分であり、例えば、ファージディスプレイベースの親和性成熟技術を使用して都合よく生成することができる。簡潔に述べると、1つ以上のCDR残基が変異しており、ファージに提示される変異型抗体部分は、特定の生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。例えば、抗体部分親和性を改善するために、改変(例えば、置換)をHVR中でなすことができる。このような改変は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照されたい)、及び/又は特異性決定残基(SDR)によってなされ、得られた変異型VH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリーを構築及び再選択することによる親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。
親和性成熟のいくつかの実施形態では、多様性は、多様な方法(例えば、エラー発生PCR、鎖シャッフル、又はオリゴヌクレオチド指向変異導入)のいずれかによって成熟するために選択された可変遺伝子に導入される。次いで、二次ライブラリーが作製される。次いで、ライブラリーをスクリーニングして、所望の親和性を有する任意の抗体部分変異型を同定する。多様性を導入する別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4~6残基)がランダム化される、HVR指向性アプローチを伴う。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異導入又はモデリングを用いて特異的に同定され得る。CDR-H3及びCDR-L3は、特に標的化されることが多い。
いくつかの実施形態では、置換、挿入、又は欠失は、そのような改変が抗体部分の抗原に結合する能力を実質的に低下させない限り、1つ以上のHVR内で生じてもよい。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的改変(例えば、本明細書で提供される保存的置換)は、HVRにおいて行われてもよい。このような改変は、HVR「ホットスポット」又はSDRの外側にあってもよい。上記に提供された変異型VH及びVL配列のいくつかの実施形態では、各HVRは、変更されていないか、又は1つ以下、2つ又は3つ以下のアミノ酸置換を含む。
変異導入の標的となり得る抗原結合モジュールの残基又は領域の同定のための有用な方法は、「アラニンスキャニング変異導入」と呼ばれ、Cunningham and Wells Science,244:1081-1085(1989)に記載されている。この方法では、標的残基の1つ又は群の残基(例えば、arg、asp、his、lys、及びgluなどの荷電残基)が同定され、中性又は負荷電アミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)で置換されて、抗原結合モジュールの抗原との相互作用に影響を及ぼすかどうかを判定する。更なる置換は、初期置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置に導入されてもよい。代替的に、又はそれに加えて、抗原抗原結合モジュール複合体の結晶構造を決定して、抗原結合モジュールと抗原との間の接触点を同定することができる。このような接触残基及び隣接する残基は、置換の候補として標的化又は排除され得る。変異型をスクリーニングして、所望の特性を含むかどうかを判定することができる。
アミノ酸配列挿入として、1つの残基から100以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲の、アミノ及び/又はカルボキシル末端融合、並びに、単一若しくは複数のアミノ酸残基の配列内挿入が挙げられる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗原結合モジュールが挙げられる。抗原結合モジュールのその他の挿入変異体として、酵素に対する抗原結合モジュールのN末端若しくはC末端への融合(例えば、ADEPTのために)又は、抗原結合モジュールの血清半減期を延長するポリペプチドが挙げられる。
誘導体
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかによるcaTCR及び/又は本明細書に記載のCSRのいずれかによるCSR及び/又は本明細書に記載のSSEのいずれかによるSSEは、当該技術分野において既知であり、容易に入手可能な更なる非タンパク質性部分を含むように更に改変されてもよい。caTCR及び/又はCSR及び/又はSSEの誘導体化に適切な部分としては、水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。水溶性ポリマーの非限定例として、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、その水中安定性から、製造における利点を有し得る。ポリマーは、任意の分子量であってよく、分枝型又は非分枝型であってよい。caTCR及び/又はCSR及び/又はSSEに付加されたポリマー数は可変であり、2種類以上のポリマーが付加されている場合、それらは同一分子であっても異なる分子であっていてもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又は種類は、改善するcaTCR及び/又はCSR及び/又はSSEの特定の特性又は機能が挙げられるが、これらに限定されない点、caTCR及び/又はCSR及び/又はSSEの誘導体を特定の条件下での治療に使用するか、などに基づいて決定できる。
いくつかの実施形態では、放射線への曝露によって選択的に加熱され得るcaTCR及び/又はCSR及び/又はSSE並びに非タンパク質性部分のコンジュゲートが提供される。いくつかの実施形態では、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブである(Kam et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600-11605(2005))。放射線は、任意の波長のものであってもよく、通常の細胞を害しないが、非タンパク質性部分を、caTCR-及び/又はCSR-及び/又はSSEの非タンパク質性部分の近位の細胞が殺傷される温度まで非タンパク質性部分を加熱するものが挙げられるが、これらに限定されない。
caTCR+CSR免疫細胞の調製
一態様では、本発明は、本明細書に記載される実施形態のいずれかによるcaTCR及びCSRを発現する免疫細胞(例えば、リンパ球、例えばT細胞)を提供する。caTCR及びCSR(caTCR+CSR T細胞などのcaTCR+CSR免疫細胞)を発現する免疫細胞(T細胞など)を調製する例示的な方法が、本明細書で提供される。
いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞(caTCR+CSR T細胞など)は、標的抗原(疾患関連抗原など)に特異的に結合するcaTCR(本明細書に記載されるcaTCRのいずれかなど)、及び標的リガンドに特異的に結合するCSR(本明細書に記載されるCSRのいずれかなど)をコードする1つ以上の核酸(例えば、レンチウイルスベクターを含む)を免疫細胞に導入することによって生成することができる。1つ以上の核酸を免疫細胞に導入することは、核酸について本明細書に記載される技術など、当該技術分野において既知の技術を使用して達成することができる。いくつかの実施形態では、本発明のcaTCR+CSR免疫細胞(caTCR+CSR T細胞など)は、インビボで複製することができ、その結果、標的抗原の発現に関連する疾患(がん又はウイルス感染など)の持続的な制御をもたらし得る長期持続性をもたらし得る。
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載のcaTCRのいずれかによる標的抗原に特異的に結合するcaTCR、及び本明細書に記載のCSRのいずれかによる標的リガンドに特異的に結合するCSRを発現する、遺伝子改変T細胞を、例えば、リンパ球注入を使用するがん又はウイルス感染を含む、標的抗原の発現と関連する疾患及び/又は障害(本明細書では、「標的抗原陽性」又は「TA陽性」疾患又は障害とも称される)を有するか、発症するリスクがある患者の治療のために投与することに関連する。いくつかの実施形態では、自己リンパ球注入は、治療に使用される。自己PBMCは、治療を必要とする患者から収集され、T細胞は、本明細書に記載され、当該技術分野において既知の方法を使用して活性化及び増殖され、次いで患者に注入される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかによる標的抗原に特異的に結合するcaTCR、及び本明細書に記載のCSRのいずれかによる標的リガンドに特異的に結合するCSRを発現する、T細胞(本明細書では「caTCR+CSR T細胞」とも称される)が提供される。本発明のcaTCR+CSR T細胞は、ロバストなインビボT細胞増殖を受けることができ、血液及び骨髄中で長期間にわたって高レベルで持続する標的抗原特異的メモリー細胞を確立することができる。いくつかの実施形態では、患者に注入された本発明のcaTCR+CSR T細胞は、標的抗原関連疾患を有する患者において、インビボで、標的抗原提示細胞、例えば、標的抗原提示がん又はウイルス感染細胞を排除することができる。いくつかの実施形態では、患者に注入された本発明のcaTCR+CSR T細胞は、少なくとも1つの従来の治療に難治性である標的抗原関連疾患を有する患者において、インビボで、標的抗原提示細胞、例えば、標的抗原提示がん又はウイルス感染細胞を排除することができる。
T細胞の増殖及び遺伝子改変の前に、T細胞源は対象から得られる。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹膜、胸膜滲出液、脾臓組織、及び腫瘍を含む多数の供給源から得ることができる。本発明のいくつかの実施形態では、当該技術分野において利用可能な任意の数のT細胞株を使用することができる。本発明のいくつかの実施形態では、T細胞は、FICOLL(商標)分離などの当業者に既知の任意の数の技術を使用して、対象から採取された血液の単位から得ることができる。いくつかの実施形態では、個体の循環血液からの細胞は、アフェレーシスによって得られる。アフェレーシス生成物は、典型的には、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、及び血小板を含むリンパ球を含む。いくつかの実施形態では、アフェレーシスによって収集された細胞を洗浄して血漿画分を除去し、後続の処理工程のために適切な緩衝液又は培地に細胞を配置することができる。いくつかの実施形態では、細胞はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄される。いくつかの実施形態では、洗浄溶液はカルシウムを含まず、マグネシウムを含まなくてもよく、又は二価カチオンが全く存在しない場合には多く存在しなくてもよい。当業者であれば容易に理解するように、洗浄工程は、製造業者の説明書に従って、半自動化「フロースルー」遠心分離器(例えば、Cobe 2991 cell processor,the Baxter CytoMate,or the Haemonetics Cell Saver 5)を使用することによるなどの、当該技術分野において既知の方法によって達成され得る。洗浄後、細胞は、Ca2+フリー、Mg2+フリーPBS、PlasmaLyte A、又は緩衝剤を有する又は有さない他の生理食塩水溶液などの様々な生体適合性緩衝液中に再懸濁されてもよい。あるいは、アフェレーシス試料の望ましくない成分を除去し、細胞を培養培地に直接再懸濁させてもよい。
いくつかの実施形態では、T細胞は、赤血球を溶解し、単球を枯渇させることにより、例えばPERCOLL(商標)勾配による遠心分離、又は遠心分離エルトリエーションによる遠心分離によって単球を枯渇させることにより、末梢血リンパ球から単離される。CD3+、CD28+、CD4+、CD8+、CD45RA+、及びCD45RO+T細胞などのT細胞の特定の亜集団は、陽性又は陰性選択技術によって更に単離され得る。例えば、いくつかの実施形態では、T細胞は、所望のT細胞を陽性選択するのに十分な時間にわたって、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 Tなどの抗CD3/抗CD28(すなわち、3×28)コンジュゲートビーズとのインキュベーションによって、単離される。いくつかの実施形態では、期間は約30分である。いくつかの実施形態では、期間は、30分~36時間又はそれ以上(これらの値間の全ての範囲を含む)の範囲である。いくつかの実施形態では、期間は、少なくとも1、2、3、4、5、又は6時間である。いくつかの実施形態では、期間は、10~24時間である。いくつかの実施形態では、インキュベーション時間は24時間である。白血病患者からT細胞を単離するために、24時間などのより長いインキュベーション時間の使用は、細胞収量を増加させることができる。腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を腫瘍組織又は免疫不全個体から単離する際など、他の細胞型と比較してT細胞が少ない状況で、T細胞を単離するために、より長いインキュベーション時間を使用することができる。更に、より長いインキュベーション時間の使用は、CD8+T細胞の捕捉効率を高めることができる。したがって、単に時間を短縮又は延長することによって、T細胞をCD3/CD28ビーズに結合させることができ、及び/又は、T細胞に対するビーズの比を増加若しくは減少させることによって、T細胞の亜集団は、培養開始のために、若しくは培養開始時に、又はプロセス中の他の時点で優先的に選択することができる。加えて、ビーズ又は他の表面上の抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体の比を増加又は減少させることによって、T細胞の亜集団は、培養開始のために、若しくは培養開始時に、又は他の所望の時点で、又はそれに対して優先的に選択することができる。当業者であれば、本発明の文脈において、複数ラウンドの選択も使用できることを認識するであろう。いくつかの実施形態では、選択手順を実行し、活性化及び増殖プロセスにおいて「非選択」細胞を使用することが望ましい場合がある。「非選択」細胞はまた、選択の更なるラウンドに供され得る。
陰性選択によるT細胞集団の濃縮は、陰性選択された細胞に固有の表面マーカーに対する抗体の組み合わせで達成することができる。1つの方法は、負に選択された細胞上に存在する細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体のカクテルを使用する、陰性磁気免疫接着又はフローサイトメトリーによる細胞選別及び/又は選択である。例えば、陰性選択によってCD4+細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、及びCD8βに対する抗体を含む。いくつかの実施形態では、典型的には、CD4+、CD25+、CD62Lhi、GITR+、及びFoxP3+を発現する制御性T細胞を濃縮又は陽性選択することが望ましい場合がある。代替的に、いくつかの実施形態では、制御性T細胞は、抗CD25コンジュゲートビーズ又は他の同様の選択方法によって枯渇される。
陽性又は陰性選択による細胞の所望の集団の単離のために、細胞及び表面(例えば、ビーズなどの粒子)の濃度を変化させることができる。いくつかの実施形態では、細胞及びビーズの最大接触を確実にするために、ビーズ及び細胞が一緒に混合される体積を著しく減少させる(すなわち、細胞の濃度を増加させる)ことが望ましい場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、約20億個の細胞/mlの濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約10億個の細胞/mlの濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約1億個の細胞/mlより多いものが使用される。いくつかの実施形態では、約1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万、又は5000万個の細胞/mlの細胞の濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約7500万、8000万、8500万、9000万、9500万、又は1億個の細胞/mlの細胞の濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約1億2500万又は約1億5000万個の細胞/mlの濃度が使用される。高濃度を使用すると、細胞収量、細胞活性化、及び細胞増殖の増加をもたらすことができる。更に、高細胞濃度の使用は、CD28陰性T細胞などの目的の標的抗原を弱く発現し得る細胞、又は多くの腫瘍細胞が存在する試料(すなわち、白血病血液、腫瘍組織など)から、より効率的な細胞の捕捉を可能にする。このような細胞集団は、治療値を有してもよく、得られることが望ましい。例えば、高濃度の細胞を使用することにより、通常より弱いCD28発現を有するCD8+T細胞のより効率的な選択を可能にする。
本発明のいくつかの実施形態では、T細胞は、治療直後に患者から得られる。この点に関し、特定のがん治療後、特に、免疫系を損傷する薬物による特定の治療後、患者が通常治療から回復する期間中に治療直後に、得られるT細胞の質は、エクスビボで増殖する能力に関して最適であるか、又は改善され得ることが観察されている。同様に、本明細書に記載される方法を使用したエクスビボ操作後、これらの細胞は、強化された生着及びインビボ増殖のための好ましい状態であり得る。したがって、この回復期中に、T細胞、樹状細胞、又は造血系の他の細胞を含む血液細胞を収集することが、本発明の文脈内で想到される。更に、いくつかの実施形態では、動員(例えば、GM-CSFによる動員)及び前処置レジメンを使用して、特に治療後の定義された時間範囲中に、特定の細胞型の再集団化、再循環、再生、及び/又は増殖が好ましい状況を対象においてもたらすことができる。例示的な細胞型としては、T細胞、B細胞、樹状細胞、及び免疫系の他の細胞が挙げられる。
T細胞の遺伝子改変の前又は後に、所望のcaTCR、CSR、及び所望によりSSEを発現するかどうかにかかわらず、T細胞は、例えば、米国特許第6,352,694号、同第6,534,055号、同第6,905,680号、同第6,692,964号、同第5,858,358号、同第6,887,466号、同第6,905,681号、同第7,144,575号、同第7,067,318号、同第7,172,869号、同第7,232,566号、同第7,175,843号、同第5,883,223号、同第6,905,874号、同第6,797,514号、同第6,867,041号、及び米国特許出願公開第20060121005号に記載されている方法を使用して、全般に活性化及び増殖させることができる。
一般的に、本発明のT細胞は、CD3/TCR複合体関連シグナルを刺激する薬剤を結合して有する表面と、T細胞の表面上の共刺激分子を刺激するリガンドとの接触によって増殖される。具体的には、T細胞集団は、抗CD3抗体、若しくはその抗原結合断片との接触、又は表面上に固定化された抗CD2抗体との接触、又はカルシウムイオノフォアと組み合わされたタンパク質キナーゼC活性化因子(例えば、ブレソスタチン)との接触によってなどで、刺激されてもよい。T細胞の表面上のアクセサリー分子の共刺激のために、アクセサリー分子に結合するリガンドが使用される。例えば、T細胞集団は、T細胞の増殖を刺激するのに適切な条件下で、抗CD3抗体及び抗CD28抗体と接触させることができる。CD4+T細胞又はCD8+T細胞のいずれかの増殖を刺激するためには、抗CD3抗体、及び抗CD28抗体である。抗CD28抗体の例としては、9.3、B-T3、XR-CD28(Diaclone,Besancon,France)が挙げられ、と当該技術分野において公知の他の方法で使用できるように使用できる(Berg et al.,Transplant Proc.30(8):3975-3977,1998、Haanen et al.,J.Exp.Med.190(9):13191328,1999、Garland et al.,J.Immunol.Meth.227(1-2):53-63,1999)。
遺伝子改変
いくつかの実施形態では、本発明のcaTCR+CSR免疫細胞(caTCR+CSR T細胞など)は、本明細書に記載のcaTCR及び本明細書に記載のCSRをコードする1つ以上のウイルスベクターを免疫細胞(本明細書に記載の方法によって調製されるT細胞など)に形質導入することによって生成される。ウイルスベクター送達系は、DNA及びRNAウイルスを含み、それらは、免疫細胞への送達後にエピソームであるか、又はゲノムに組み込まれる。遺伝子治療手順の概説については、Anderson,Science 256:808-813(1992)、Nabel & Feigner,TIBTECH 11:211-217(1993)、Mitani & Caskey,TIBTECH 11:162-166(1993)、Dillon,TIBTECH 11:167-175(1993)、Miller,Nature 357:455-460(1992)、Van Brunt,Biotechnology 6(10):1149-1 154(1988)、Vigne,Restorative Neurology and Neuroscience 8:35-36(1995)、Kremer & Perricaudet,British Medical Bulletin 51(l):31-44(1995)、及びYu et al.,Gene Therapy 1:13-26(1994)を参照されたい。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、caTCR+CSR免疫細胞ゲノムに組み込まれた1つ以上のベクターを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、そのゲノムに組み込まれたレンチウイルスベクターを含むcaTCR+CSR T細胞である。
いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、その内因性のTCR鎖のうちの1つ又は両方の発現を遮断又は減少させるように改変される。例えば、いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、TCR α及び/又はβ鎖の発現を遮断又は減少させるように改変されたαβ T細胞であり、又はcaTCR+CSR免疫細胞は、TCR γ及び/又はδ鎖の発現を遮断又は減少させるように改変されたγδ T細胞である。遺伝子発現を破壊する細胞の改変としては、例えば、RNA干渉(例えば、siRNA、shRNA、miRNA)、遺伝子編集(例えば、CRISPR又はTALEN系遺伝子ノックアウト)などを含む、当該技術分野において既知の任意のそのような技術が挙げられる。
いくつかの実施形態では、T細胞の内因性TCR鎖の一方又は両方の発現が減少したcaTCR+CSR T細胞は、CRISPR/Casシステムを使用して生成される。遺伝子編集のCRISPR/Casシステムの概説については、例えば、Jian W & Marraffini LA,Annu.Rev.Microbiol.69,2015、Hsu PD et al.,Cell,157(6):1262-1278,2014、及びO’Connell MR et al.,Nature 516:263-266,2014を参照されたい。いくつかの実施形態では、T細胞の内因性TCR鎖の一方又は両方の発現が減少したcaTCR+CSR T細胞は、TALEN系ゲノム編集を使用して生成される。
濃縮
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCR+CSR免疫細胞のいずれかによるcaTCR+CSR免疫細胞の不均質な細胞集団を濃縮する方法が提供される。
標的抗原及び標的リガンドに特異的に結合するcaTCR+CSR免疫細胞(caTCR+CSR T細胞など)の特定の亜集団は、陽性選択技術によって濃縮され得る。例えば、いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞(caTCR+CSR T細胞など)は、所望のcaTCR+CSR免疫細胞を陽性選択するのに十分な時間にわたって標的抗原コンジュゲートビーズ及び/又は標的リガンドコンジュゲートビーズとのインキュベーションによって濃縮される。いくつかの実施形態では、期間は約30分である。いくつかの実施形態では、期間は、30分~36時間又はそれ以上(これらの値間の全ての範囲を含む)の範囲である。いくつかの実施形態では、期間は、少なくとも1、2、3、4、5、又は6時間である。いくつかの実施形態では、期間は、10~24時間である。いくつかの実施形態では、インキュベーション時間は24時間である。異種細胞集団において低レベルで存在するcaTCR+CSR免疫細胞の単離のために、24時間などのより長いインキュベーション時間の使用は、細胞収量を増加させることができる。他の細胞型と比較して、少ないcaTCR+CSR免疫細胞が存在する任意の状況において、caTCR+CSR免疫細胞を単離するために、より長いインキュベーション時間を使用することができる。当業者であれば、本発明の文脈において、複数ラウンドの選択も使用できることを認識する。
陽性選択によるcaTCR+CSR免疫細胞の所望の集団の単離のために、細胞及び表面(例えば、ビーズなどの粒子)の濃度を変更することができる。いくつかの実施形態では、細胞及びビーズの最大接触を確実にするために、ビーズ及び細胞が一緒に混合される体積を著しく減少させる(すなわち、細胞の濃度を増加させる)ことが望ましい場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、約20億個の細胞/mlの濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約10億個の細胞/mlの濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約1億個の細胞/mlより多いものが使用される。いくつかの実施形態では、約1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万、又は5000万個の細胞/mlの細胞の濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約7500万、8000万、8500万、9000万、9500万、又は1億個の細胞/mlの細胞の濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約1億2500万又は約1億5000万個の細胞/mlの濃度が使用される。高濃度を使用すると、細胞収量、細胞活性化、及び細胞増殖の増加をもたらすことができる。更に、高細胞濃度の使用は、caTCR及び/又はCSRを弱く発現し得るcaTCR+CSR免疫細胞のより効率的な捕捉を可能にする。
本明細書に記載される任意のそのような実施形態のうちのいくつかにおいて、濃縮は、caTCR+CSR免疫細胞の疲弊を最小限に抑えるか、又は実質的に全く疲弊させない。例えば、いくつかの実施形態では、濃縮は、caTCR+CSR免疫細胞の約50%未満(約45、40、35、30、25、20、15、10、又は5%のいずれか未満など)が疲弊したものになる結果をもたらす。免疫細胞の疲弊は、本明細書に記載される任意の手段を含む、当該技術分野において既知の任意の手段によって判定することができる。
本明細書に記載される任意のそのような実施形態のうちのいくつかにおいて、濃縮は、caTCR+CSR免疫細胞の終末分化を最小限に抑えるか、又は実質的に全く終末分化させない。例えば、いくつかの実施形態では、濃縮は、caTCR+CSR免疫細胞の約50%未満(約45、40、35、30、25、20、15、10、又は5%のいずれか未満など)が終末分化したものになる結果をもたらす。免疫細胞の終末分化は、本明細書に記載される任意の手段を含む、当該技術分野において既知の任意の手段によって判定することができる。
本明細書に記載される任意のそのような実施形態のうちのいくつかにおいて、濃縮は、caTCR+CSR免疫細胞のcaTCR及び/又はCSRの内部移行を最小限に抑えるか、又は実質的に全くcaTCR及び/又はCSRを内部移行させない。例えば、いくつかの実施形態では、濃縮は、caTCR+CSR免疫細胞上の約50%未満(約45、40、35、30、25、20、15、10、又は5%のいずれか未満など)のcaTCR及び/又はCSRが内部移行したものになる結果をもたらす。caTCR+CSR免疫細胞上のcaTCR及び/又はCSRの内部移行は、本明細書に記載される任意の手段を含む当該技術分野において既知の任意の手段によって判定することができる。
本明細書に記載される任意のそのような実施形態のうちのいくつかにおいて、濃縮は、caTCR+CSR免疫細胞の増殖の増加をもたらす。例えば、いくつかの実施形態では、濃縮は、濃縮後のcaTCR+CSR免疫細胞の数の少なくとも約10%(少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、1000%、又はそれ以上のいずれかなど)の増加をもたらす。
したがって、いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCR、及び標的リガンドに特異的に結合するCSRを発現するcaTCR+CSR免疫細胞の異種細胞集団を濃縮する方法であって、a)異種細胞集団を、標的抗原若しくはその中に含まれる1つ以上のエピトープを含む第1の分子、及び/又は標的リガンド若しくはその中に含まれる1つ以上のエピトープを含む第2の分子と接触させて、第1の分子に結合したcaTCR+CSR免疫細胞及び/又は第2の分子に結合したcaTCR+CSR免疫細胞を含む複合体を形成することと、b)複合体を異種細胞集団から分離することにより、caTCR+CSR免疫細胞について濃縮された細胞集団を生成することと、を含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の分子は、個々に固体支持体に固定化される。いくつかの実施形態では、固体支持体は粒子状(ビーズなど)である。いくつかの実施形態では、固体支持体は、表面(ウェルの底部など)である。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の分子は、タグで個別に標識される。いくつかの実施形態では、タグは、蛍光分子、親和性タグ、又は磁気タグである。いくつかの実施形態では、本方法は、第1及び/又は第2の分子からcaTCR+CSR免疫細胞を溶離させることと、溶離液を回収することと、を更に含む。
ライブラリースクリーニング
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的な候補caTCR構築物を単離するために、caTCRライブラリー、例えば、複数のcaTCRをコードする核酸のライブラリーを発現する細胞は、標的抗原又はその中に含まれる1つ以上のエピトープを含む捕捉分子に曝露され、続いて捕捉分子に特異的に結合するライブラリーの親和性メンバーを単離することができる。いくつかの実施形態では、捕捉分子は固体支持体上に固定化される。いくつかの実施形態では、支持体は、ビーズ、マイクロタイタープレート、免疫チューブ、又はそのような目的に有用な当該技術分野において既知の任意の材料の表面であってもよい。いくつかの実施形態では、相互作用は、タグ付き捕捉分子(例えば、ビオチン化捕捉分子)と溶液中で行われる。いくつかの実施形態では、この手順は、非特異的及び非反応性のライブラリーメンバーを除去するための1つ以上の洗浄工程(パニング)を伴う。いくつかの実施形態では、溶液中の複合体を精製するために、これらを、固定化又は遠心分離のいずれかによって収集する。いくつかの実施形態では、親和性メンバーは、可溶性ビオチン化捕捉分子上に捕捉され、続いてストレプトアビジンビーズ上の親和性複合体(親和性メンバー及び捕捉分子)の固定化が続く。いくつかの実施形態では、固体支持体はビーズである。いくつかの実施形態では、ビーズとしては、例えば、磁気ビーズ(例えば、Bangs Laboratories、Polysciences inc.,Dynal Biotech,Miltenyi Biotech又はQuantum Magneticからの)、非磁性ビーズ(例えば、Pierce and Upstate technology)、単分散ビーズ(例えば、Dynal Biotech及びMicroparticle Gmbh)、及び多分散ビーズ(例えば、Chemagen)が挙げられる。磁気ビーズの使用は、文献(Uhlen,M,et al(1994)in Advances in Biomagnetic Separation,BioTechniques press,Westborough,MA)に記載されている。いくつかの実施形態では、親和性メンバーは、陽性選択によって精製される。いくつかの実施形態では、親和性メンバーは、望ましくないライブラリーメンバーを除去するための陰性選択によって精製される。いくつかの実施形態では、親和性メンバーは、陽性及び陰性選択工程の両方によって精製される。
いくつかの実施形態では、標的リガンドに特異的な候補CSR構築物を単離するために、CSRライブラリー、例えば、複数のCSRをコードする核酸のライブラリーを発現する細胞は、標的リガンド又はその中に含まれる1つ以上のエピトープを含む捕捉分子に曝露され、続いて捕捉分子に特異的に結合するライブラリーの親和性メンバーを単離することができる。いくつかの実施形態では、捕捉分子は固体支持体上に固定化される。いくつかの実施形態では、支持体は、ビーズ、マイクロタイタープレート、免疫チューブ、又はそのような目的に有用な当該技術分野において既知の任意の材料の表面であってもよい。いくつかの実施形態では、相互作用は、タグ付き捕捉分子(例えば、ビオチン化捕捉分子)と溶液中で行われる。いくつかの実施形態では、この手順は、非特異的及び非反応性のライブラリーメンバーを除去するための1つ以上の洗浄工程(パニング)を含む。いくつかの実施形態では、溶液中の複合体を精製するために、これらを、固定化又は遠心分離のいずれかによって収集する。いくつかの実施形態では、親和性メンバーは、可溶性ビオチン化捕捉分子上に捕捉され、続いてストレプトアビジンビーズ上の親和性複合体(親和性メンバー及び捕捉分子)の固定化が続く。いくつかの実施形態では、固体支持体はビーズである。いくつかの実施形態では、ビーズとしては、例えば、磁気ビーズ(例えば、Bangs Laboratories、Polysciences inc.,Dynal Biotech,Miltenyi Biotech又はQuantum Magneticからの)、非磁性ビーズ(例えば、Pierce and Upstate technology)、単分散ビーズ(例えば、Dynal Biotech及びMicroparticle Gmbh)、及び多分散ビーズ(例えば、Chemagen)が挙げられる。いくつかの実施形態では、親和性メンバーは、陽性選択によって精製される。いくつかの実施形態では、親和性メンバーは、望ましくないライブラリーメンバーを除去するための陰性選択によって精製される。いくつかの実施形態では、親和性メンバーは、陽性及び陰性選択工程の両方によって精製される。
一般に、ライブラリー構築物を調製するために使用される技術は、既知の遺伝子工学技術に基づく。この点に関し、ライブラリー内で発現するcaTCR又はCSRをコードする核酸配列は、使用される発現系の種類に適切な発現ベクターに組み込まれる。CD3+細胞などの細胞内での提示に使用するための適切な発現ベクターは公知であり、当該技術分野において記載されている。例えば、いくつかの実施形態では、発現ベクターは、レンチウイルスベクターなどのウイルスベクターである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つによる複数のcaTCRをコードする配列を含む核酸ライブラリーが提供される。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリーは、複数のcaTCRをコードするウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つによる複数のCSRをコードする配列を含む核酸ライブラリーが提供される。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリーは、複数のCSRをコードするウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的なcaTCRをコードする配列について、本明細書に記載される実施形態のいずれかに記載の核酸ライブラリーをスクリーニングする方法であって、a)核酸ライブラリーを複数の細胞に導入することにより、caTCRを複数の細胞の表面に発現することと、b)複数の細胞を、標的抗原又はその中に含まれる1つ以上のエピトープを含む捕捉分子と共にインキュベートすることと、c)捕捉分子に結合した細胞を収集することと、d)工程c)で収集された細胞からcaTCRをコードする配列を単離することにより、標的抗原に特異的なcaTCRを同定することと、を含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上の洗浄工程を更に含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄工程は、工程b)と工程c)との間で実施される。いくつかの実施形態では、複数の細胞は、複数のCD3+細胞である。いくつかの実施形態では、捕捉分子は固体支持体上に固定化される。いくつかの実施形態では、固体支持体はビーズである。いくつかの実施形態では、捕捉分子に結合した細胞を収集することは、固体支持体に結合した捕捉リガンドから細胞を溶離させ、溶離液を回収することを含む。いくつかの実施形態では、捕捉分子はタグで標識される。いくつかの実施形態では、タグは、蛍光分子、親和性タグ、又は磁気タグである。いくつかの実施形態では、捕捉分子に結合した細胞を収集することは、細胞及び標識されたリガンドを含む複合体を単離することを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、複合体から解離される。
いくつかの実施形態では、標的リガンドに特異的なCSRをコードする配列について、本明細書に記載される実施形態のいずれかに記載の核酸ライブラリーをスクリーニングする方法であって、a)核酸ライブラリーを複数の細胞に導入することにより、CSRを複数の細胞の表面に発現することと、b)複数の細胞を、標的リガンド又はその中に含まれる1つ以上のエピトープを含む捕捉分子と共にインキュベートすることと、c)捕捉分子に結合した細胞を収集することと、d)工程c)で収集された細胞からCSRをコードする配列を単離することにより、標的リガンドに特異的なCSRを同定することと、を含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上の洗浄工程を更に含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄工程は、工程b)と工程c)との間で実施される。いくつかの実施形態では、複数の細胞は、複数のCD3+細胞である。いくつかの実施形態では、捕捉分子は固体支持体上に固定化される。いくつかの実施形態では、固体支持体はビーズである。いくつかの実施形態では、捕捉分子に結合した細胞を収集することは、固体支持体に結合した捕捉リガンドから細胞を溶離させ、溶離液を回収することを含む。いくつかの実施形態では、捕捉分子はタグで標識される。いくつかの実施形態では、タグは、蛍光分子、親和性タグ、又は磁気タグである。いくつかの実施形態では、捕捉分子に結合した細胞を収集することは、細胞及び標識されたリガンドを含む複合体を単離することを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、複合体から解離される。
MHCタンパク質
MHCクラスIタンパク質は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子の2つの一次クラスのうちの1つ(他方はMHCクラスIIである)であり、生体のほぼ全ての有核細胞上に見出される。それらの機能は、細胞内からT細胞へのタンパク質の断片を提示することであり、健康な細胞は無視されるが、外来又は変異タンパク質を含む細胞は、免疫系によって攻撃される。MHCクラスIタンパク質は、細胞質タンパク質由来のペプチドを提示するため、MHCクラスI提示の経路は、細胞質又は内因性の経路と呼ばれることが多い。クラスI MHC分子は、プロテアソームによる細胞質タンパク質の分解から主に生成するペプチドに結合する。次いで、MHC I:ペプチド複合体を細胞の原形質膜に挿入する。ペプチドは、クラスI MHC分子の細胞外部分に結合する。したがって、クラスI MHCの機能は、細胞内タンパク質を細胞傷害性T細胞(CTL)に提示することである。しかしながら、クラスI MHCはまた、交差提示として知られるプロセスにおいて、外因性タンパク質から生成されたペプチドを提示することができる。
MHCクラスIタンパク質は、2つのポリペプチド鎖、α及びβ2-ミクログロブリン(β2M)からなる。2つの鎖は、β2Mとα3ドメインとの相互作用によって非共有結合的に連結される。α鎖のみが多型であり、HLA遺伝子によりコードされる一方で、β2Mサブユニットは多型ではなく、β-2ミクログロブリン遺伝子によりコードされる。α3ドメインは、原形質膜に広がり、T細胞のCD8共受容体と相互作用する。α3-CD8相互作用は、細胞傷害性T細胞の表面上のT細胞受容体(TCR)がそのα1-α2ヘテロ二量体リガンドに結合して抗原性のために結合されたペプチドを確認する間、MHC I分子を定位置に保持する。α1及びα2ドメインは、結合するペプチドのための溝を形成するように折り畳まれる。MHCクラスIタンパク質は、8~10の長さのアミノ酸であるペプチドに結合する。
MHCクラスII分子は、樹状細胞、単核食細胞、いくつかの内皮細胞、胸腺上皮細胞、及びB細胞などの抗原提示細胞のみに通常見られる分子のファミリーである。クラスIIペプチドによって提示される抗原は、細胞外タンパク質(クラスIのような細胞質ではない)由来であり、したがって、抗原提示のMHCクラスII-依存経路は、エンドサイトーシス又は外因性経路と呼ばれる。MHCクラスII分子のローディングは、食作用によって生じ、細胞外タンパク質は、エンドサイトーシスされ、リソソームで消化され、得られたエピトープペプチド断片は、細胞表面への移動の前に、MHCクラスII分子上にローディングされる。
MHCクラスI分子と同様に、クラスII分子もヘテロ二量体であるが、この場合、2つの均質なペプチド、α及びβ鎖からなる。サブ表記α1、α2などは、HLA遺伝子内の別個のドメインを指し、各ドメインは、通常、遺伝子内の異なるエクソンによってコードされ、いくつかの遺伝子は、リーダー配列、膜貫通配列などをコードする更なるドメインを有する。MHCクラスII分子の抗原結合溝は両端で開放し、一方、クラスI分子上の対応する溝は、各末端で閉鎖されているため、MHCクラスII分子によって提示される抗原は、より長く、概して15~24個のアミノ酸残基長である。
ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子は、MHC遺伝子のヒト型である。ヒトにおける3つの主要なMHCクラスIタンパク質は、HLA-A、HLA-B、及びHLA-Cである一方、3つのマイナーなものは、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gである。ヒトにおける抗原提示に関与する3つの主要なMHCクラスIIタンパク質は、HLA-DP、HLDA-DQ、及びHLA-DRである一方、他のMHCクラスIIタンパク質、HLA-DM及びHLA-DOは、抗原の内部プロセシング及びローディングに関与する。HLA-Aは、ヒトにおける遺伝子の中で、最速で進化するコード配列に分類されている。2013年12月で、1740個の活性タンパク質及び117のヌルタンパク質をコードする2432個の既知のHLA-A対立遺伝子が存在した。HLA-A遺伝子は、第6染色体の短腕上に位置し、HLA-Aのより大きいα鎖構成要素をコードする。HLA-A α鎖の変異型は、HLA機能に重要である。この変異型は、集団における遺伝的多様性を促進する。各HLAは特定の構造のペプチドに対して異なる親和性を有するため、より多様なHLAは、細胞表面上に「提示」されるより多様な抗原を意味し、集団のサブセットが任意の所与の外来の侵入体に対して耐性である尤度を高める。これにより、単一の病原体がヒト集団全体を一掃する能力を有する尤度が減少する。各個体は、それらの親のそれぞれから1つずつ、2種類までのHLA-Aを発現することができる。いくつかの個体は、両方の親から同じHLA-Aを遺伝し、それらの個々のHLAの多様性を減少させる。しかしながら、個体の大部分は、HLA-Aの2つの異なるコピーを受容する。この同じパターンは、全てのHLAグループに関して続く。換言すれば、ヒトは、2432の既知のHLA-A対立遺伝子のうちのいずれか1つ又は2つのみを発現することができる。
全ての対立遺伝子は、少なくとも4桁の分類、例えば、HLA-A*02:12を受容する。Aは、その対立遺伝子がどのHLA遺伝子に属するかを意味する。血清型による分類が分類を単純化するように、多くのHLA-A対立遺伝子が存在する。次の1対の数字は、この割り当てを示す。例えば、HLA-A*02:02、HLA-A*02:04、及びHLA-A*02:324は、全てがA2血清型のメンバー(*02プレフィックスによって指定)である。この群は、HLA適合性に関与する一次因子である。この後の全ての数は、血清型によって決定することができず、遺伝子シークエンシングによって指定される。第2の数字のセットは、どのHLAタンパク質が産生されているかを示す。これらは発見のために割り当てられ、2013年12月で、既知の456個の異なるHLA-A02タンパク質が存在する(割り当てられた名称HLA-A*02:01~HLA-A*02:456)。可能な限り短いHLA名は、これらの詳細の両方を含む。各延長部は、タンパク質を変化させても変化しなくてもよいヌクレオチド変化を意味する。
いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、疾患関連抗原(腫瘍関連抗原又はウイルスコード抗原など)に由来するペプチド及びMHCクラスIタンパク質を含む複合体に特異的に結合し、MHCクラスIタンパク質は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、又はHLA-Gである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-A、HLA-B、又はHLA-Cである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-Aである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-Bである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-Cである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-A01、HLA-A02、HLA-A03、HLA-A09、HLA-A10、HLA-A11、HLA-A19、HLA-A23、HLA-A24、HLA-A25、HLA-A26、HLA-A28、HLA-A29、HLA-A30、HLA-A31、HLA-A32、HLA-A33、HLA-A34、HLA-A36、HLA-A43、HLA-A66、HLA-A68、HLA-A69、HLA-A74、又はHLA-A80である。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-A02である。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-A*02:01-555、例えばHLA-A*02:01、HLA-A*02:02、HLA-A*02:03、HLA-A*02:04、HLA-A*02:05、HLA-A*02:06、HLA-A*02:07、HLA-A*02:08、HLA-A*02:09、HLA-A*02:10、HLA-A*02:11、HLA-A*02:12、HLA-A*02:13、HLA-A*02:14、HLA-A*02:15、HLA-A*02:16、HLA-A*02:17、HLA-A*02:18、HLA-A*02:19、HLA-A*02:20、HLA-A*02:21、HLA-A*02:22、又はHLA-A*02:24のうちのいずれか1つである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-A*02:01である。HLA-A*02:01は、全ての白人の39~46%で発現し、したがって、本発明で使用するためのMHCクラスIタンパク質の適切な選択を表す。
いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、疾患関連抗原(腫瘍関連抗原又はウイルスコード抗原など)に由来するペプチド及びMHCクラスIIタンパク質を含む複合体に特異的に結合し、MHCクラスIIタンパク質は、HLA-DP、HLA-DQ、又はHLA-DRである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIIタンパク質は、HLA-DPである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIIタンパク質は、HLA-DQである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIIタンパク質は、HLA-DRである。
Fab様抗原結合モジュールの生成に使用するのに適したペプチドは、例えば、当業者に既知のコンピュータ予測モデルを使用して、HLA(例えば、HLA-A*02:01)結合モチーフ並びにプロテアソーム及び免疫プロテアソームの切断部位の存在に基づいて決定することができる。MHC結合部位を予測するために、このようなモデルとしては、ProPred1(Singh and Raghava,ProPred:prediction of HLA-DR binding sites.BIOINFORMATICS 17(12):1236-1237,2001でより詳細に記載される)、及びSYFPEITHI(Schuler et al.SYFPEITHI,Database for Searching and T-Cell Epitope Prediction.in Immunoinformatics Methods in Molecular Biology,vol 409(1):75-93,2007を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。
適切なペプチドが同定されると、当業者に公知のプロトコールに従ってペプチド合成を行うことができる。これらの比較的小さいサイズのため、本発明のペプチドは、従来のペプチド合成技術に従って溶液中又は固体担体上で直接合成され得る。様々な自動合成装置が市販されており、既知のプロトコールに従って使用することができる。溶液相中のペプチドの合成は、合成ペプチドの大規模生産のための十分に確立された手順となっており、したがって、本発明のペプチドを調製するための好適な代替方法である(例えば、Solid Phase Peptide Synthesis by John Morrow Stewart、及びMartin et al.Application of Almez-mediated Amidation Reactions to Solution Phase Peptide Synthesis,Tetrahedron Letters Vol.39,pages 1517-1520,1998を参照されたい)。
医薬組成物
本明細書では、本明細書に記載されるcaTCRのいずれかによるcaTCR、及び本明細書に記載のCSRのいずれかによるCSRを表面に提示する免疫細胞(T細胞など)を含む、caTCR+CSR免疫細胞組成物(医薬組成物など、本明細書では製剤とも呼ばれる)も提供される。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞組成物は、医薬組成物である。
組成物は、同じ細胞型のものであり、同じcaTCR及びCSRを発現するcaTCR+CSR免疫細胞を含む均質な細胞集団、又は異なる細胞型のcaTCR+CSR免疫細胞を含み、異なるcaTCRを発現し、及び/又は異なるCSRを発現する、複数のcaTCR+CSR免疫細胞を含む異種細胞集団を含んでもよい。組成物は、caTCR+CSR免疫細胞ではない細胞を更に含んでもよい。
したがって、いくつかの実施形態では、同じ細胞型のものであり、同じcaTCR及びCSRを発現するcaTCR+CSR免疫細胞(caTCR+CSR T細胞など)の均質な細胞集団を含む、caTCR+CSR免疫細胞組成物が提供される。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞組成物は、医薬組成物である。
いくつかの実施形態では、異なる細胞型のcaTCR+CSR免疫細胞を含み、異なるcaTCRを発現し、及び/又は異なるCSRを発現する複数のcaTCR+CSR免疫細胞集団を含む異種細胞集団を含むcaTCR+CSR免疫細胞組成物が提供される。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、互いに独立して、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される細胞型のものである。いくつかの実施形態では、組成物中のcaTCR+CSR免疫細胞の全ては、同じ細胞型のものである(例えば、caTCR+CSR免疫細胞の全ては細胞傷害性T細胞である)。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団は、他とは異なる細胞型のものである(例えば、caTCR+CSR免疫細胞の1つの集団は細胞傷害性T細胞からなり、caTCR+CSR免疫細胞の他の集団は、ナチュラルキラーT細胞からなる)。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、同じcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団は、他とは異なるcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、他とは異なるcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、同じ標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団は、他とは異なる標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する(例えば、caTCR+CSR免疫細胞の1つの集団は、pMHC複合体に特異的に結合し、caTCR+CSR免疫細胞の他の集団は、細胞表面受容体に特異的に結合する)。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団が、異なる標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する場合、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、同じ疾患又は障害に関連する標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する(例えば、標的抗原のそれぞれは、乳癌などのがんに関連する)。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、同じCSRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団は、他とは異なるCSRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、他とは異なるCSRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、同じ標的リガンドに特異的に結合するCSRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団は、他とは異なる標的リガンドに特異的に結合するCSRを発現する(例えば、caTCR+CSR免疫細胞の1つの集団は、pMHC複合体に特異的に結合し、caTCR+CSR免疫細胞の他の集団は、細胞表面受容体に特異的に結合する)。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団が、異なる標的リガンドに特異的に結合するCSRを発現する場合、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、同じ疾患又は障害に関連する標的リガンドに特異的に結合するCSRを発現する(例えば、標的リガンドのそれぞれは、乳癌などのがんに関連する)。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞組成物は、医薬組成物である。
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される実施形態のいずれかによる複数のcaTCR+CSR免疫細胞集団を含むcaTCR+CSR免疫細胞組成物が提供され、組成物中のcaTCR+CSR免疫細胞の全てが同じ細胞型であり(例えば、caTCR+CSR免疫細胞の全てが細胞傷害性T細胞である)、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、他とは異なるcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、同じ標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団は、他のものとは異なる標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する(例えば、caTCR+CSR免疫細胞の1つの集団は、pMHC複合体に特異的に結合し、caTCR+CSR免疫細胞の他の集団は、細胞表面受容体に特異的に結合する)。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団が、異なる標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する場合、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、同じ疾患又は障害に関連する標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する(例えば、標的抗原のそれぞれは、乳癌などのがんに関連する)。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞組成物は、医薬組成物である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される実施形態のいずれかによる複数のcaTCR+CSR免疫細胞集団を含むcaTCR+CSR免疫細胞組成物が提供され、組成物中のcaTCR+CSR免疫細胞の全てが同じ細胞型であり(例えば、caTCR+CSR免疫細胞の全てが細胞傷害性T細胞である)、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、他とは異なるCSRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、同じ標的リガンドに特異的に結合するCSRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団は、他のものとは異なる標的リガンドに特異的に結合するCSRを発現する(例えば、caTCR+CSR免疫細胞の1つの集団は、pMHC複合体に特異的に結合し、caTCR+CSR免疫細胞の他の集団は、細胞表面受容体に特異的に結合する)。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団が、異なる標的リガンドに特異的に結合するCSRを発現する場合、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、同じ疾患又は障害に関連する標的リガンドに特異的に結合するCSRを発現する(例えば、標的リガンドのそれぞれは、乳癌などのがんに関連する)。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞組成物は、医薬組成物である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される実施形態のいずれかによる複数のcaTCR+CSR免疫細胞集団を含む組成物が提供され、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団は、他とは異なる細胞型のものである。いくつかの実施形態では、caTCR及びCSR免疫細胞の集団の全ては、異なる細胞型のものである。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、互いに独立して、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される細胞型のものである。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、同じcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団は、他とは異なるcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、他とは異なるcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、同じ標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団は、他のものとは異なる標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する(例えば、caTCR+CSR免疫細胞の1つの集団は、pMHC複合体に特異的に結合し、caTCR+CSR免疫細胞の他の集団は、細胞表面受容体に特異的に結合する)。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団が、異なる標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する場合、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、同じ疾患又は障害に関連する標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する(例えば、標的抗原のそれぞれは、乳癌などのがんに関連する)。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、同じCSRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団は、他とは異なるCSRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、他とは異なるCSRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、同じ標的リガンドに特異的に結合するCSRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団は、他のものとは異なる標的リガンドに特異的に結合するCSRを発現する(例えば、caTCR+CSR免疫細胞の1つの集団は、pMHC複合体に特異的に結合し、caTCR+CSR免疫細胞の他の集団は、細胞表面受容体に特異的に結合する)。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の少なくとも1つの集団が、異なる標的リガンドに特異的に結合するCSRを発現する場合、caTCR+CSR免疫細胞の各集団は、同じ疾患又は障害に関連する標的リガンドに特異的に結合するCSRを発現する(例えば、標的リガンドのそれぞれは、乳癌などのがんに関連する)。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞組成物は、医薬組成物である。
組成物の調製中の様々な時点において、細胞を凍結保存することが必要であるか、又は有益であり得る。用語「凍結される/凍結する」及び「凍結保存される/冷凍保存する」は、互換可能に使用することができる。凍結は凍結乾燥を含む。
当業者には理解されるように、細胞の凍結は破壊的であり得る(Mazur,P.,1977,Cryobiology 14:251-272を参照されたい)が、そのような損傷を防止するために利用可能な多くの手順が存在する。例えば、損傷は、(a)凍結保護剤の使用、(b)凍結速度の制御、及び/又は(c)分解反応を最小限に抑えるために十分な低い温度で保管することによって回避することができる。例示的な凍結保護剤としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)(Lovelock and Bishop,1959,Nature 183:1394-1395、Ashwood-Smith,1961,Nature 190:1204-1205)、グリセロール、ポリビニルピロリドン(Rinfret,1960,Ann.N.Y.Acad.Sci.85:576)、ポリエチレングリコール(Sloviter and Ravdin,1962,Nature 196:548)、アルブミン、デキストラン、スクロース、エチレングリコール、i-エリスリトール、D-リビトール、D-マンニトール(Rowe et al.,1962,Fed.Proc.21:157)、D-ソルビトール、i-イノシトール、D-ラクトース、塩化コリン(Bender et al.,1960,J.Appl.Physiol.15:520)、アミノ酸(Phan The Tran and Bender,1960,Exp.Cell Res.20:651)、メタノール、アセトアミド、グリセロールモノアセテート(Lovelock,1954,Biochem.J.56:265)、及び無機塩(Phan The Tran and Bender,1960,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.104:388、Phan The Tran and Bender,1961,Radiobiology,Proceedings of the Third Australian Conference on Radiobiology,Lllery ed.,Butterworth,London,p.59)が挙げられる。特定の実施形態では、DMSOを使用することができる。血漿の添加(例えば、20~25%の濃度まで)は、DMSOの保護効果を増強することができる。DMSOを添加した後、1%のDMSO濃度は4℃を超える温度で毒性であり得るため、凍結まで細胞を0℃で維持することができる。
細胞の冷凍保存において、低速制御冷却速度は重要であり得、異なる凍結保護剤(Rapatz et al.,1968,Cryobiology 5(1):18-25)及び異なる細胞型は、異なる最適冷却速度を有する(例えば、Rowe and Rinfret,1962,Blood 20:636、Rowe,1966,Cryobiology 3(1):12-18、Lewis,et al.,1967,Transfusion 7(1):17-32、並びに、幹細胞の生存及びそれらの移植可能性に対する冷却速度の影響についてのMazur,1970,Science 168:939-949を参照されたい)。水が氷になる融解相の熱は、最小限であるべきである。冷却手順は、例えば、プログラム可能な凍結装置又はメタノール浴手順の使用によって実行することができる。プログラム可能な凍結装置は、最適な冷却速度の決定を可能にし、標準的な再現可能な冷却を促進する。
特定の実施形態では、DMSO処理した細胞を、氷上で予め冷却し、冷却メタノールを収容するトレーに移すことができ、転じて-80℃の機械的冷凍庫(例えば、Harris又はRevco)内に定置する。メタノール浴及び試料の熱電対測定値は、1℃~3℃/分の冷却速度を示すことが好ましくあり得る。少なくとも2時間後、試料は-80℃の温度に到達することができ、液体窒素(-196℃)に直接配置することができる。
完全凍結後、細胞は、長期凍結保存容器に迅速に移され得る。好ましい実施形態では、試料は、液体窒素(-196℃)又は蒸気(-1℃)に低温保存することができる。このような貯蔵は、高効率の液体窒素冷凍庫の利用可能性によって促進される。
細胞の操作、冷凍保存、及び長期保存のための更なる検討及び手順は、以下の例示的な参考文献:米国特許第4,199,022号、同第3,753,357号、及び同第4,559,298号、Gorin,1986,Clinin Haematology 15(1):19-48、Bone-Marrow Conservation,Culture and Transplantation,Proceedings of a Panel,Moscow,July 22-26,1968,International Atomic Energy Agency,Vienna,pp.107-186、Livesey and Linner,1987,Nature 327:255、Linner et al.,1986,J.Histochem.Cytochem.34(9):1 123-1 135、Simione,1992,J.Parenter.Sci.Technol.46(6):226-32に見出すことができる。
冷凍保存後、凍結した細胞を、当業者に既知の方法に従って使用するために解凍することができる。凍結した細胞は、好ましくは迅速に解凍され、解凍直後に冷却される。特定の実施形態では、凍結した細胞を収容するバイアルを、温水浴中でその頸状部まで浸漬することができ、穏やかな回転により、解凍するときの細胞懸濁液の混合、及び温水から内部氷塊への熱伝達の増加を確実にする。氷が完全に融解するとすぐに、直ちに氷の上にバイアルを載せることができる。
特定の実施形態では、解凍中の細胞凝集を防止する、方法を使用することができる。例示的な方法としては、DNase(Spitzer et al.,1980,Cancer 45:3075-3085)、低分子量デキストラン及びクエン酸、ヒドロキシエチルデンプン(Stiff et al.,1983,Cryobiology 20:17-24)などの凍結前及び/又は凍結後の添加が挙げられる。[0162]当業者には理解されるように、ヒトに毒性がある凍結保護剤が使用される場合、治療的使用の前に除去されるべきである。DMSOは、深刻な毒性を有さない。
細胞の例示的な担体及び投与方法は、米国特許公開第2010/0183564号の14~15ページに記載されている。追加の医薬担体は、Remington:The Science and Practice of of Macy,21 st Edition,David B.Troy,ed.,Lippicott Williams & Wilkins(2005)に記載されている。
特定の実施形態では、細胞を培養培地から採取し、洗浄し、治療有効量で担体に濃縮することができる。例示的な担体としては、生理食塩水、緩衝生理食塩水、生理食塩水、水、Hanks溶液、リンガー溶液、Nonnosol-R(Abbott Labs)、PlasmaLyte A(R)(Baxter Laboratories,Inc.,Morton Grove,IL)、グリセロール、エタノール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
特定の実施形態では、担体は、ヒト血清アルブミン(HSA)又は他のヒト血清成分又はウシ胎児血清を補充することができる。特定の実施形態では、注入のための担体は、5%HAS又はデキストロースを有する緩衝化生理食塩水を含む。さらなる等張剤として、三価以上の糖アルコール、例えばグリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、又はマンニトールを含む多価糖アルコールが挙げられる。
担体としては、クエン酸緩衝剤、コハク酸塩緩衝剤、酒石酸緩衝剤、フマル酸緩衝剤、グルコン酸緩衝剤、シュウ酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、及び/又はトリメチルアミン塩などの緩衝剤を挙げることができる。
安定剤は、容器壁への細胞の接着を防止するのに役立つ増量剤から添加剤までの範囲で機能することができる、広範囲の賦形剤を指す。典型的な安定剤としては、多価糖アルコール;アルギニン、リジン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L-ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、及びスレオニンなどのアミノ酸;ラクトース、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオニシトール、ガラクチトール、グリセロール、などの有機等又は糖アルコール、及びイノシトールなどのシクリトール;PEG;アミノ酸ポリマー;尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロール、及びチオ硫酸ナトリウムなどのイオウ含有還元剤;低分子量ポリペプチド(すなわち、<10残基);HSA、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;キシロース、マンノース、フルクトース、及びグルコースなどの単糖類;ラクトース、マルトース、及びスクロースなどの二糖類;ラフィノースなどの三糖類、及びデキストランなどの多糖類を挙げることができる。
必要な又は有益な場合、組成物は、注射部位における疼痛を和らげるためにリドカインなどの局所麻酔剤を含むことができる。
例示的な防腐剤としては、フェノール、ベンジルアルコール、メタ-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ベンザルコニウムハライド、ヘキサメトニウムクロリド、メチル又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、及び3-ペンタノールが挙げられる。
組成物内の治療的に有効な量は、102細胞超、103細胞超、104細胞超、105細胞超、106細胞超、107細胞超、108細胞超、109細胞超、1010細胞超、又は1011細胞超であり得る。
本明細書に開示される組成物及び製剤において、細胞は、概して、1リットル以下、500ml以下、250ml以下、又は100ml以下の容積中にある。したがって、投与される細胞の密度は、典型的には、104細胞/ml、107細胞/ml、又は108細胞/ml超である。
本明細書では、本明細書に記載のcaTCR及び/又はCSR及び/又はSSEをコードする核酸のいずれかを含む核酸組成物(医薬組成物など、本明細書では製剤とも呼ばれる)も提供される。いくつかの実施形態では、核酸組成物は、医薬組成物である。いくつかの実施形態では、核酸組成物は、等張剤、賦形剤、希釈剤、増粘剤、安定剤、緩衝剤、及び/若しくは防腐剤、並びに/又は精製水、水性糖溶液、緩衝液、生理食塩水、水性ポリマー溶液、又はRNase遊離水などの水性媒体のいずれかを更に含む。そのような添加剤及び添加される水性媒体の量は、核酸組成物の使用形態に従って適切に選択することができる。
本明細書に開示される組成物及び製剤は、例えば、注射、注入、灌流、又は洗浄によって投与するために調製することができる。組成物及び製剤は、骨髄、静脈内、皮内、動脈内、節内、リンパ内、腹腔内、病巣内、前立腺内、膣内、直腸内、局所内、髄腔内、腫瘍内、筋肉内、膀胱内、及び/又は皮下の注射のために更に製剤化することができる。
インビボ投与に使用される製剤は、滅菌される必要がある。これは、例えば、滅菌ろ過膜を通じたろ過によって容易に達成される。
caTCR+CSR免疫細胞を使用する治療方法
本発明のcaTCR+CSR免疫細胞は、例えば、がん及び感染性疾患(ウイルス感染症など)を含む、標的抗原(TA)発現に関連する疾患及び/又は障害(本明細書では、「標的抗原陽性」又は「TA陽性」疾患又は障害とも呼ばれる)を治療するために、個体(例えば、ヒトなどの哺乳動物)に投与することができる。したがって、いくつかの実施形態では、本出願は、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つによるcaTCR+CSR免疫細胞を含む有効量の組成物(医薬組成物など)を個体に投与することを含む、個体における標的抗原陽性疾患(がん又はウイルス感染など)を治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、がんは、例えば、副腎皮質癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、大腸直腸癌、食道癌、神経膠芽腫、神経膠腫、肝細胞癌、頭頸部癌、腎臓癌、白血病、肺癌、リンパ腫、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、膵臓癌、褐色細胞腫、形質細胞腫、神経芽腫、卵巣癌、前立腺癌、肉腫、胃癌、子宮癌、及び甲状腺癌からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ウイルス感染は、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、伝染性軟属腫ウイルス(MCV)、ヒトT細胞白血病ウイルス1(HTLV-1)、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、及びC型肝炎ウイルス(HCV)からなる群から選択されるウイルスによって引き起こされる。
例えば、いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(がん又はウイルス感染症など)を、治療を必要とする個体において治療する方法であって、a)i)TCRの膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及びTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRD、並びにii)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールを含み、第1及び第2のTCRDが少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるTCRMを形成し、抗原結合モジュールが第1及び/又は第2のTCRDに連結する、caTCRと、b)i)標的リガンドに特異的に結合するリガンド結合ドメイン、ii)膜貫通ドメイン、及びiii)免疫細胞に共刺激シグナルを提供することのできる細胞内シグナル伝達ドメインを含む、キメラシグナル伝達受容体(CSR)と、を表面に提示する免疫細胞(T細胞又はナチュラルキラー細胞など)を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、TCR-TMの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、TCRはαβ TCRであり、第1及び第2のTCR-TMは、TCR α及びβサブユニット膜貫通ドメインに由来する。いくつかの実施形態では、TCRはγδ TCRであり、第1及び第2のTCR-TMは、TCR γ及びδサブユニット膜貫通ドメインに由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR連結ペプチド又はその断片を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の連結ペプチドは、第1のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの連結ペプチドの全て若しくは一部、又はその変異型を含み、及び/又は第2の連結ペプチドは、第2のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの連結ペプチドの全て若しくは一部、又はこれらの変異型を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の連結ペプチドは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメインは、第1のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの細胞内ドメイン由来の配列を含み、及び/又は第2のTCR細胞内ドメインは、第2のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの細胞内ドメイン由来の配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの断片であり、及び/又は、第2のTCRDは、第2のTCR-TMが由来するTCRサブユニットの断片である。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、又はCD40由来など)を含む、少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体ドメイン、又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、T細胞受容体の膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR-CD3複合体形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール間又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。いくつかの実施形態では、標的抗原は、細胞表面抗原である。いくつかの実施形態では、細胞表面抗原は、タンパク質、炭水化物、及び脂質からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、細胞表面抗原は、腫瘍関連抗原又はウイルスコード抗原などの疾患関連抗原である。いくつかの実施形態では、細胞表面抗原は、CD19、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、標的抗原は、表面提示ペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、ペプチド/MHC複合体は、疾患関連抗原(腫瘍関連抗原又はウイルスコード抗原など)に由来するペプチド及びMHCタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、ペプチド/MHC複合体は、ペプチド及びMHCタンパク質を含み、ペプチドは、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、及びPSAからなる群から選択されるタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、MHCタンパク質は、MHCクラスIタンパク質である。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-Aである。いくつかの実施形態では、HLA-Aは、HLA-A02である。いくつかの実施形態では、HLA A02は、HLA-A*02:01である。いくつかの実施形態では、CSRの標的リガンドは、細胞表面抗原である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、CSRの標的リガンド及びcaTCRの標的抗原は同じである。いくつかの実施形態では、標的リガンドと標的抗体は異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、がん関連リガンドである。いくつかの実施形態では、がん関連リガンドは、例えば、CD19、CD20、CD22、CD47、IL4、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、がん関連リガンドは、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、及びPSAを含むタンパク質に由来するペプチドを含むペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ウイルス関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、免疫チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、PD-L1、PD-L2、CD80、CD86、ICOSL、B7-H3、B7-H4、HVEM、4-1BBL、OX40L、CD70、CD40、及びGAL9を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、アポトーシス分子である。いくつかの実施形態では、アポトーシス分子は、FasL、FasR、TNFR1、及びTNFR2を含む。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインの抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、標的リガンドの受容体の細胞外ドメインの全て又は一部である(又はそれに由来する)。いくつかの実施形態では、受容体は、例えば、FasR、TNFR1、TNFR2、PD-1、CD28、CTLA-4、ICOS、BTLA、KIR、LAG-3、4-1BB、OX40、CD27、及びTIM-3を含む。いくつかの実施形態では、CSRの膜貫通ドメインは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、又はCD154に由来する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRの共刺激シグナル伝達ドメインは、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び共刺激シグナル伝達ドメインのいずれかの間にスペーサドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサドメインは、2つのCSRドメインを連結するペプチドリンカーを含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞はγδ T細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、TCR α及び/又はβ鎖の発現を遮断又は減少させるように改変されたαβ T細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(がん又はウイルス感染症など)を、治療を必要とする個体において治療する方法であって、a)i)天然に存在するαβ TCRの膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び天然に存在するαβ TCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRD、並びにii)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールを含み、第1及び第2のTCRDが少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるTCRMを形成し、抗原結合モジュールが第1及び/又は第2のTCRDに連結する、標的抗原に特異的に結合するcaTCRと、b)i)標的リガンドに特異的に結合するリガンド結合ドメイン、ii)膜貫通ドメイン、及びiii)免疫細胞に共刺激シグナルを提供することのできる細胞内シグナル伝達ドメインを含む、キメラシグナル伝達受容体(CSR)と、を表面に提示する免疫細胞(T細胞又はナチュラルキラー細胞など)を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、方法が提供される。
いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(がん又はウイルス感染症など)を、治療を必要とする個体において治療する方法であって、a)i)天然に存在するγδ TCRの膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び天然に存在するγδ TCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRD、並びにii)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールを含み、第1及び第2のTCRDが少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるTCRMを形成し、抗原結合モジュールが第1及び/又は第2のTCRDに連結する、標的抗原に特異的に結合するcaTCRと、b)i)標的リガンドに特異的に結合するリガンド結合ドメイン、ii)膜貫通ドメイン、及びiii)免疫細胞に共刺激シグナルを提供することのできる細胞内シグナル伝達ドメインを含む、キメラシグナル伝達受容体(CSR)と、を表面に提示する免疫細胞(T細胞又はナチュラルキラー細胞など)を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、方法が提供される。
いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(がん又はウイルス感染症など)を、治療を必要とする個体において治療する方法であって、a)i)配列番号5のアミノ酸配列に由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び配列番号6のアミノ酸配列に由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRD、並びにb)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールを含み、第1及び第2のTCRDが少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるTCRMを形成し、抗原結合モジュールが第1及び/又は第2のTCRDに連結する、標的抗原に特異的に結合するcaTCRと、b)i)標的リガンドに特異的に結合するリガンド結合ドメイン、ii)膜貫通ドメイン、及びiii)免疫細胞に共刺激シグナルを提供することのできる細胞内シグナル伝達ドメインを含む、キメラシグナル伝達受容体(CSR)と、を表面に提示する免疫細胞(T細胞又はナチュラルキラー細胞など)を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、1つ以上(2、3、4、5、又はそれ以上など)のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR-TMのそれぞれは、互いに独立して、それが由来するアミノ酸配列と比較して、1つ以上(2、3、4、5、又はそれ以上など)のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM及び/又は第2のTCR-TMはそれぞれ、互いに独立して、それらが由来するアミノ酸配列と比較して、5個以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR-TMのそれぞれは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM中の置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、caTCRにおいて、第2のTCR-TM中の置換アミノ酸のうちの少なくとも1つと相互作用することができるように配置される。
いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(がん又はウイルス感染症など)を、治療を必要とする個体において治療する方法であって、a)i)配列番号7のアミノ酸配列に由来する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び配列番号8のアミノ酸配列に由来する第2のTCR-TMを含む第2のTCRD、並びにb)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールを含み、第1及び第2のTCRDが少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるTCRMを形成し、抗原結合モジュールが第1及び/又は第2のTCRDに連結する、標的抗原に特異的に結合するcaTCRと、b)i)標的リガンドに特異的に結合するリガンド結合ドメイン、ii)膜貫通ドメイン、及びiii)免疫細胞に共刺激シグナルを提供することのできる細胞内シグナル伝達ドメインを含む、キメラシグナル伝達受容体(CSR)と、を表面に提示する免疫細胞(T細胞又はナチュラルキラー細胞など)を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、1つ以上(2、3、4、5、又はそれ以上など)のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR-TMのそれぞれは、互いに独立して、それが由来するアミノ酸配列と比較して、1つ以上(2、3、4、5、又はそれ以上など)のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM及び/又は第2のTCR-TMはそれぞれ、互いに独立して、それらが由来するアミノ酸配列と比較して、5個以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR-TMのうちの少なくとも1つは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR-TMのそれぞれは、それが由来するアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM中の置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、caTCRにおいて、第2のTCR-TM中の置換アミノ酸のうちの少なくとも1つと相互作用することができるように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCR-TM及び第2のTCR-TMは、表2に列挙されるcaTCRのいずれかに従って選択される。いくつかの実施形態では、CSRドメインは、表3に列挙されるCSRのいずれかに従って選択される。
いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(がん又はウイルス感染症など)を、治療を必要とする個体において治療する方法であって、a)i)配列番号10のアミノ酸配列を有する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び配列番号16のアミノ酸配列を有する第2のTCR-TMを含む第2のTCRD、並びにb)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールを含み、第1及び第2のTCRDが少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるTCRMを形成し、抗原結合モジュールが第1及び/又は第2のTCRDに連結する、標的抗原に特異的に結合するcaTCRと、b)i)標的リガンドに特異的に結合するリガンド結合ドメイン、ii)膜貫通ドメイン、及びiii)免疫細胞に共刺激シグナルを提供することのできる細胞内シグナル伝達ドメインを含む免疫細胞共刺激分子の断片(fCSM)を含み、共刺激分子の断片が、配列番号51~56及び86~89のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、キメラシグナル伝達受容体(CSR)と、を表面に提示する免疫細胞(T細胞又はナチュラルキラー細胞など)を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、CSR膜貫通ドメインは、CD8に由来する。いくつかの実施形態では、CSRは、膜貫通タンパク質の断片(fTMP)を含み、膜貫通タンパク質の断片は、配列番号57のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメインに続くスペーサペプチドを含む。いくつかの実施形態では、スペーサペプチドは、配列番号103又は104のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRドメインは、表3に列挙されるCSRのいずれかに従って選択される。いくつかの実施形態では、標的抗原はCD19である。いくつかの実施形態では、標的リガンドはCD19である。いくつかの実施形態では、caTCRの抗原結合モジュールは、配列番号58のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号59のアミノ酸配列を含むVLドメインと、を含むFab様抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、標的抗原はCD19であり、標的リガンドはCD19である。いくつかの実施形態では、CSRのリガンド結合ドメインは、配列番号77のアミノ酸配列を含むscFvである。いくつかの実施形態では、標的抗原はCD19であり、標的リガンドはCD20である。いくつかの実施形態では、CSRのリガンド結合ドメインは、配列番号78のアミノ酸配列を含むscFvである。いくつかの実施形態では、標的抗原はAFPペプチド/MHC複合体(例えば、AFP158/HLA-A02複合体)であり、標的リガンドはGPC3である。いくつかの実施形態では、caTCRの抗原結合モジュールは、配列番号62のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号63のアミノ酸配列を含むVLドメインと、を含むFab様抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、CSRのリガンド結合ドメインは、配列番号79のアミノ酸配列を含むscFvである。
いくつかの実施形態では、CD19関連疾患(がんなど)を、治療を必要とする個体において治療する方法であって、a)i)配列番号10のアミノ酸配列を有する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び配列番号16のアミノ酸配列を有する第2のTCR-TMを含む第2のTCRD、並びにb)配列番号58のアミノ酸配列を含むVHドメインを含む第1のFab鎖及び配列番号59のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第2のFab鎖を含む、Fab様抗原結合モジュールを含み、第1及び第2のTCRDが少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるTCRMを形成し、第1のFab鎖が第1及び第2のTCRDのうちの1つに連結し、第2のFab鎖が他のTCRDに連結する、CD19に特異的に結合するcaTCRと、b)i)配列番号58のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号59のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、CD19に特異的に結合するscFv、ii)膜貫通ドメイン、及びiii)免疫細胞に共刺激シグナルを提供することのできる細胞内シグナル伝達ドメインを含む免疫細胞共刺激分子の断片(fCSM)を含み、共刺激分子の断片が、配列番号51~56及び86~89のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、キメラシグナル伝達受容体(CSR)と、を表面に提示する免疫細胞(T細胞又はナチュラルキラー細胞など)を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、CSR膜貫通ドメインは、CD8に由来する。いくつかの実施形態では、CSRは、膜貫通タンパク質の断片(fTMP)を含み、膜貫通タンパク質の断片は、配列番号57のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメインに続くスペーサペプチドを含む。いくつかの実施形態では、スペーサペプチドは、配列番号103又は104のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRドメインは、表3に列挙されるCSRのいずれかに従って選択される。いくつかの実施形態では、CSRのリガンド結合ドメインは、配列番号77のアミノ酸配列を含むscFvである。いくつかの実施形態では、CD19関連疾患は、白血病、例えば、急性リンパ性白血病(ALL)である。
いくつかの実施形態では、CD19/CD20関連疾患(がんなど)を、治療を必要とする個体において治療する方法であって、a)i)配列番号10のアミノ酸配列を有する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び配列番号16のアミノ酸配列を有する第2のTCR-TMを含む第2のTCRD、並びにb)配列番号58のアミノ酸配列を含むVHドメインを含む第1のFab鎖及び配列番号59のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第2のFab鎖を含む、Fab様抗原結合モジュールを含み、第1及び第2のTCRDが少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるTCRMを形成し、第1のFab鎖が第1及び第2のTCRDのうちの1つに連結し、第2のFab鎖が他のTCRDに連結する、CD19に特異的に結合するcaTCRと、b)i)配列番号60のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号61のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、CD20に特異的に結合するscFv、ii)膜貫通ドメイン、及びiii)免疫細胞に共刺激シグナルを提供することのできる細胞内シグナル伝達ドメインを含む免疫細胞共刺激分子の断片(fCSM)を含み、共刺激分子の断片が、配列番号51~56及び86~89のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、キメラシグナル伝達受容体(CSR)と、を表面に提示する免疫細胞(T細胞又はナチュラルキラー細胞など)を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、CSR膜貫通ドメインは、CD8に由来する。いくつかの実施形態では、CSRは、膜貫通タンパク質の断片(fTMP)を含み、膜貫通タンパク質の断片は、配列番号57のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメインに続くスペーサペプチドを含む。いくつかの実施形態では、スペーサペプチドは、配列番号103又は104のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRドメインは、表3に列挙されるCSRのいずれかに従って選択される。いくつかの実施形態では、CSRのリガンド結合ドメインは、配列番号81のアミノ酸配列を含むscFvである。
いくつかの実施形態では、AFP/GPC3関連疾患(例えば、肝臓癌などのがんなど)を、治療を必要とする個体において治療する方法であって、a)i)配列番号10のアミノ酸配列を有する第1のTCR-TMを含む第1のTCRD、及び配列番号16のアミノ酸配列を有する第2のTCR-TMを含む第2のTCRD、並びにb)配列番号62のアミノ酸配列を含むVHドメインを含む第1のFab鎖及び配列番号63のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第2のFab鎖を含む、Fab様抗原結合モジュールを含み、第1及び第2のTCRDが少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することができるTCRMを形成し、第1のFab鎖が第1及び第2のTCRDのうちの1つに連結し、第2のFab鎖が他のTCRDに連結する、AFPペプチド/MHC複合体(例えば、AFP158/HLA-A02複合体)に特異的に結合するcaTCRと、b)i)配列番号64のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号65のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、GPC3に特異的に結合するscFv、ii)膜貫通ドメイン、及びiii)免疫細胞に共刺激シグナルを提供することのできる細胞内シグナル伝達ドメインを含む免疫細胞共刺激分子の断片(fCSM)を含み、共刺激分子の断片が、配列番号51~56及び86~89のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、キメラシグナル伝達受容体(CSR)と、を表面に提示する免疫細胞(T細胞又はナチュラルキラー細胞など)を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、CSR膜貫通ドメインは、CD8に由来する。いくつかの実施形態では、CSRは、膜貫通タンパク質の断片(fTMP)を含み、膜貫通タンパク質の断片は、配列番号57のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメインに続くスペーサペプチドを含む。いくつかの実施形態では、スペーサペプチドは、配列番号103又は104のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRドメインは、表3に列挙されるCSRのいずれかに従って選択される。いくつかの実施形態では、CSRのリガンド結合ドメインは、配列番号82のアミノ酸配列を含むscFvである。
異なるcaTCR及び/又は異なるCSRを発現する複数の免疫細胞を含む組成物を個体に投与することを含む、治療を必要とする個体における標的抗原関連疾患を治療する方法も想到される。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される個体における標的抗原関連疾患を治療するための方法のいずれかによると、組成物は、本明細書に記載される異種caTCR+CSR免疫細胞組成物である。
いくつかの実施形態では、個体は、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ラット、マウス、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコなど)である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。いくつかの実施形態では、個体は、臨床患者、臨床治験ボランティア、実験動物などである。いくつかの実施形態では、個体は、約60歳よりも若い(例えば、約50、40、30、25、20、15、又は10歳のうちのいずれかよりも若い)。いくつかの実施形態では、個体は、約60歳よりも老いている(例えば、約70、80、90、又は100歳のうちのいずれかよりも老いている)。いくつかの実施形態では、個体は、本明細書に記載される疾患若しくは障害(がん又はウイルス感染など)のうちの1つ以上と診断されるか、又は環境的に若しくは遺伝的に発症する傾向にある。いくつかの実施形態では、個体は、本明細書に記載される1つ以上の疾患又は障害に関連する1つ以上のリスク因子を有する。
いくつかの実施形態では、本発明のcaTCR+CSR免疫細胞組成物は、標的抗原発現を伴う疾患又は障害を治療するために、第2、第3、又は第4の薬剤(例えば、抗腫瘍剤、増殖抑制剤、細胞傷害性剤、又は化学療法剤を含む)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞組成物は、サイトカイン(IL-2など)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞組成物は、MHCタンパク質の発現を増加させる、及び/又はMHCタンパク質によるペプチドの表面提示を強化する薬剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、IFN受容体アゴニスト、Hsp90阻害剤、p53発現のエンハンサー、及び化学療法剤を含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、IFNγ、IFNβ、及びIFNαを含むIFN受容体アゴニストである。いくつかの実施形態では、薬剤は、Hsp90阻害剤であり、例えば、タエピマイシン(17-AAG)、アレベピマイシン(17-DMAG)、リタピマイシン(IPI-504)、IPI-493、CNF2024/BIIB021、MPC-3100、Debio 0932(CUDC-305)、PU-H71、Ganetespib(STA-9090)、NVP-AUY922(VER-52269)、HSP990、KW-2478、AT13387、SNX-5422、DS-2248、及びXL888を含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば5-フルオロウラシル及びnutlin-3を含むp53発現のエンハンサーである。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、トポテカン、エトポシド、シスプラチン、パクリタキセル、及びビンブラスチンを含む化学療法剤である。
いくつかの実施形態では、標的抗原陽性疾患を、治療を必要とする個体において治療する方法であって、本明細書に記載される実施形態のいずれかによるcaTCR+CSR免疫細胞組成物を、サイトカイン(IL-2など)と組み合わせて個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞組成物及びサイトカインは同時に投与される。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞組成物及びサイトカインは、順次投与される。
いくつかの実施形態では、標的抗原陽性疾患を、治療を必要とする個体において治療する方法であって、標的抗原を発現する細胞は、標的抗原及びMHCクラスIタンパク質を含む複合体を、表面に通常には提示しないか、又は比較的低レベルで提示し、MHCクラスIタンパク質の発現を増加させる及び/又はMHCクラスIタンパク質による標的抗原の表面提示を強化する薬剤と組み合わせて、本明細書に記載される実施形態のいずれかに記載のcaTCR+CSR免疫細胞組成物を個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、IFN受容体アゴニスト、Hsp90阻害剤、p53発現のエンハンサー、及び化学療法剤を含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、IFNγ、IFNβ、及びIFNαを含むIFN受容体アゴニストである。いくつかの実施形態では、薬剤は、Hsp90阻害剤であり、例えば、タエピマイシン(17-AAG)、アレベピマイシン(17-DMAG)、リタピマイシン(IPI-504)、IPI-493、CNF2024/BIIB021、MPC-3100、Debio 0932(CUDC-305)、PU-H71、Ganetespib(STA-9090)、NVP-AUY922(VER-52269)、HSP990、KW-2478、AT13387、SNX-5422、DS-2248、及びXL888を含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば5-フルオロウラシル及びnutlin-3を含むp53発現のエンハンサーである。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、トポテカン、エトポシド、シスプラチン、パクリタキセル、及びビンブラスチンを含む化学療法剤である。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞組成物及び薬剤は同時に投与される。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞組成物及び薬剤は、順次投与される。
いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(がん又はウイルス感染症など)を、治療を必要とする個体において治療する方法であって、本明細書に記載される実施形態のいずれかによるcaTCR及びCSRをコードする核酸を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、方法が提供される。遺伝子送達の方法は、当該技術分野において既知である。例えば、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる米国特許第5,399,346号、同5,580,859号、同5,589,466号を参照されたい。
がん治療は、例えば、腫瘍退縮、腫瘍重量又はサイズ収縮、進行時間、生存期間、無増悪生存率、全奏功率、応答期間、生活の質、タンパク質発現及び/又は活性によって評価することができる。例えば、放射線学的イメージングによる応答の測定を含む、治療の有効性を判定するためのアプローチを利用することができる。
いくつかの実施形態では、治療の有効性は、式100-(T/C×100)を使用して計算された腫瘍増殖阻害パーセント(TGI%)として測定され、式中、Tは、治療された腫瘍の平均相対腫瘍体積であり、Cは、未治療腫瘍の平均相対腫瘍体積である。いくつかの実施形態では、TGI%は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、又は95%超である。
ウイルス感染治療は、例えば、ウイルス負荷、生存期間、生活の質、タンパク質発現、及び/又は活性によって評価することができる。
疾患
いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、標的抗原に関連するがんを治療するのに有用であり得る。本明細書に記載される方法のいずれかを使用して治療され得るがんには、血管新生化されていない、又はまだ実質的に血管新生化されていない腫瘍、並びに血管新生化腫瘍が含まれる。がんは、非固形腫瘍(白血病及びリンパ腫などの血液腫瘍など)を含み得るか、又は固形腫瘍を含み得る。本発明のcaTCR+CSR免疫細胞で治療すべきがんの種類としては、がん腫、芽細胞腫、及び肉腫並びに特定の白血病又はリンパ性悪性疾患、良性及び悪性の腫瘍、並びに悪性腫瘍、例えば肉腫、がん腫、及び黒色腫が挙げられるが、これらに限定されない。成人の腫瘍/がん及び小児の腫瘍/がんもまた含まれる。
血液がんは、血液又は骨髄の癌である。血液学的(又は血液系)がんの例としては、急性白血病(急性リンパ性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病及び骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄球性、単球性及び赤血球性白血病など)、慢性白血病(慢性骨髄球性(顆粒球)白血病、慢性骨髄性白血病、及び慢性リンパ性白血病)、多発性血中血症、リンパ腫、ホジキンリンパ疾患、非ホジキンリンパ腫(緩慢性及び高悪性度形態)、多発性骨髄腫、形質細胞腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖疾患、骨髄異形成症候群、有毛細胞白血病、及び骨髄異形成症を含む白血病が挙げられる。
固形腫瘍は、通常、嚢胞又は液体領域を含まない異常な組織塊である。固形腫瘍は、良性又は悪性であり得る。異なる種類の固形腫瘍は、それらを形成する細胞の種類(例えば、肉腫、癌腫、及びリンパ腫)に関して命名されている。肉腫及び癌腫などの固形腫瘍の例としては、副腎皮質癌、胆管細胞癌、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、及び他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、心臓横紋筋肉腫、結腸癌、胃癌、リンパ系悪性疾患、膵臓癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、甲状腺癌(例えば、甲状腺髄様癌及び乳頭甲状腺癌)、褐色細胞腫皮脂腺癌、乳頭癌癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌(例えば、子宮頸癌及び浸潤前の子宮頸部異形成)、大腸直腸癌、肛門癌、肛門管、又は肛門癌、膣癌、外陰部の癌(例えば、扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、及び線維肉腫)、陰茎癌、中咽頭癌、食道癌、頭部癌(例えば、扁平上皮癌)、頸部癌(例えば、扁平上皮癌)、精巣癌(例えば、セミノーマ、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、ライディッヒ細胞腫瘍、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、及び脂肪腫)、膀胱癌、腎臓癌、黒色腫、子宮癌(例えば、子宮内膜癌)、尿路上皮癌(例えば、扁平上皮癌、転移細胞癌、腺癌、尿管癌、及び膀胱癌)、並びにCNS腫瘍(神経膠腫(脳幹膠腫及び混合神経膠腫など)、神経膠芽腫(多形神経膠芽腫としても知られる)、星状細胞腫、CNSリンパ腫、胚細胞腫、髄芽芽腫、シュワン細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫、及び脳転移など)が挙げられる。
がん治療は、例えば、腫瘍退縮、腫瘍重量又はサイズ収縮、進行時間、生存期間、無増悪生存率、全奏功率、応答期間、生活の質、タンパク質発現及び/又は活性によって評価することができる。例えば、放射線学的イメージングによる応答の測定を含む、治療の有効性を判定するためのアプローチを利用することができる。
他の実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、病原体関連(ウイルスコードなど)抗原を標的化することによって、感染性疾患を治療するのに有用であり得る。感染は、例えば、ウイルス、細菌、原虫、又は寄生体によって引き起こされ得る。標的抗原は、病原体によって引き起こされる疾患に関与する病原性タンパク質、ポリペプチド、若しくはペプチドであってもよく、又は病原体に感染した宿主において免疫応答を誘導することができる。caTCR+CSR免疫細胞によって標的化され得る病原性抗原としては、Acinetobacter baumannii、アナプラマ属、Anaplasma phagocytophilum、Ancylostoma braziliense、Ancylostoma duodenale、Arcanobacterium haemolyticum、Ascaris lumbricoides、Aspergillus属、Astroviridae、Babesia属、Bacillus anthracis、Bacillus cereus、Bartonella henselae、Bkウイルス、Blastocystis hominis、Blastomyces dermatitidis、Bordetella pertussis、ボルレア属、ボルレア属、ボルレア属、ブッジラ属、Brugia malayi、ブニヤウイルス科、Burkholderia cepacia及び他のバークホルデリア属、Burkholderia mallei、Burkholderia pseudomallei、カリシウイルス科、カンピロバクター属、Candida albicans、カンジダ属、Chlamydophila pneumoniae、Chlamydophila psittaci、CJDプリオン、Clonorchis sinensis、Clostridium botulinum、Clostridium difficile、Clostridium perfringens、Clostridium perfringens、クロストリジウム属、Clostridium tetani、コクシジオイデス属、コロナウイルス、Corynebacterium diphtheriae、Coxiella burnetii、クリミアコンゴ出血熱ウイルス、Cryptococcus neoformans、クリプトスポリジウム属、サイトメガロウイルス(CMV)、デング熱ウイルス(DEN-1、DEN-2、DEN-3、及びDEN-4)、Dientamoeba fragilis、エボラウイルス(EBOV)、エシェリコッカス属、Ehrlichia chaffeensis、Ehrlichia ewingii、Ehrlichia属、Entamoeba histolytica、Enterococcus属、Enterovirus属、エンテロウイルス、主にコクサッキーAウイルス及びエンテロウイルス71(EV71)、エピデルモフィトン属、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、大腸菌O157:H7、O111、及びO104:H4、Fasciola hepatica及びFasciola gigantica、FFIプリオン、フィラノイデスーパーファミリー、フラビウイルス、Francisella tularensis、フソバクテリウム属、Geotrichum candidum、Giardia intestinalis、顎口虫属、GSSプリオン、グアナアリスウイルス、Haemophilus ducreyi、インフルエンザ菌、ヘリコバクターピロリ、ヘニパウイルス(ヘンドラウイルスニパウイルス、)、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス1及び2(HSV-1及びHSV-2)、Histoplasma capsulatum、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、Hortaea werneckii、ヒトボカウイルス(HBoV)、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)、ヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)、ヒトメタニューモウイルス(hMPV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)、ヒトT細胞白血病ウイルス1(HTLV-1)、日本脳炎ウイルス、JCウイルス、フニンウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)、Kingella kingae、Klebsiella granulomatis、Kuruプリオン、ラッサウイルス、Legionella pneumophila、リーシュマニア属、レプトスピラ属、Listeria monocytogenes、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、マチュポウイルス、マラセチア属、マールブルクウイルス、麻疹ウイルス、Metagonimus yokagawai、Microsporidia phylum、伝染性軟属腫ウイルス(MCV)、おたふく風邪ウイルス、Mycobacterium leprae及びMycobacterium lepromatosis、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium ulcerans、Mycoplasma pneumoniae、Naegleria fowleri、Necator americanus、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Nocardia asteroides、ノカルジア属、Onchocerca volvulus、Orientia tsutsugamushi、オルソミクソウイルス科(インフルエンザ)、Paracoccidioides brasiliensis、パラゴニムス属、Paragonimus westermani、パルボウイルスB19、パスツレラ属、Plasmodium属、Pneumocystis Jirovecii、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ライノウイルス、Rickettsia akari、リケッチア属、Rickettsia prowazekii、Rickettsia rickettsii、Rickettsia typhi、リフトバレー熱ウイルス、ロタウイルス、風疹ウイルス、サビアウイルス、サルモネラ属、Sarcoptes scabiei、SARSコロナウイルス、住血吸虫属、シゲラ属、シンノンブレウイルス、ハンタウイルス属、Sporothrix schenckii、ブドウ球菌属、ブドウ球菌属、Streptococcus agalactiae、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Strongyloides stercoralis、条虫属、Taenia solium、ダニ媒介脳炎ウイルス(TBEV)、Toxocara canis又はToxocara cati、Toxoplasma gondii、Treponema pallidum、Trichinella spiralis、Trichomonas vaginalis、トリコフィトン属、Trichuris trichiura、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi、Ureaplasma urealyticum、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、大痘瘡又は小痘瘡、vCJDプリオン、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、Vibrio cholerae、西ナイルウイルス、西ウマ脳炎ウイルス、Wuchereria bancrofti、黄熱病、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis、及びYersinia Pseudotuberculosisが挙げられる。
いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、発がん性ウイルスによる感染などの発がん性感染症を治療するために使用される。発がん性ウイルスとしては、CMV、EBV、HBV、KSHV、HPV、MCV、HTLV-1、HIV-1、及びHCVが挙げられるが、これらに限定されない。caTCRの標的抗原は、Tax、E7、E6/E7、E6、HBx、EBNAタンパク質(例えば、EBNA3A、EBNA3C、及びEBNA2)、v-サイクリン、LANA1、LANA2、LMP-1、k-bZIP、RTA、KSHV K8、及びこれらの断片が挙げられるが、これらに限定されないウイルス性がんタンパク質であり得る。Ahuja,Richa,et al.,Curr.Sci.,2014を参照されたい。
製品及びキット
本発明のいくつかの実施形態では、がん(例えば、副腎皮質癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、大腸直腸癌、食道癌、神経膠芽腫、神経膠腫、肝細胞癌、頭頸部癌、腎臓癌、白血病、肺癌、リンパ腫、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、膵臓癌、褐色細胞腫、形質細胞腫、神経芽腫、卵巣癌、前立腺癌、肉腫、胃癌、子宮癌、若しくは甲状腺癌)又はウイルス感染(例えば、CMV、EBV、HBV、KSHV、HPV、MCV、HTLV-1、HIV-1、又はHCVによる感染)などの標的抗原陽性疾患の治療に有用な材料を含む製品が提供される。製品は、容器と、この容器上にある又はこの容器に付随したラベル又は添付文書と、を含むことができる。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジなどが挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成することができる。一般に、容器は、本明細書に記載の疾患又は障害を治療するのに有効な組成物を保持するものであり、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈輸液バッグ又はバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、表面上に本発明のcaTCR及びCSRを提示する免疫細胞である。ラベル又は添付文書は、組成物が、特定の状態を治療するために使用されることを表示する。ラベル又は添付文書は、caTCR+CSR免疫細胞組成物を患者に投与するための説明書を更に含む。本明細書に記載の併用療法をなす製品及びキットもまた想到される。
添付文書は、治療用製品の商品パッケージに習慣的に含まれている、このような治療用製品の使用に関しての指示、使用法、用量、投与、禁忌及び/又は警告に関する情報を記載している説明書を参照する。いくつかの実施形態では、添付文書は、組成物が、標的抗原陽性がん(副腎皮質癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、大腸直腸癌、食道癌、神経膠芽腫、神経膠腫、肝細胞癌、頭頸部癌、腎臓癌、白血病、肺癌、リンパ腫、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、膵臓癌、褐色細胞腫、形質細胞腫、神経芽腫、卵巣癌、前立腺癌、肉腫、胃癌、子宮癌、又は甲状腺癌など)の治療のために使用されることを示す。他の実施形態では、添付文書は、組成物が標的抗原陽性ウイルス感染(例えば、CMV、EBV、HBV、KSHV、HPV、MCV、HTLV-1、HIV-1、又はHCVによる感染)の治療のために使用されることを示す。
加えて、製品は、静菌注射用水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンガー液及びブドウ糖液など、医薬上許容される緩衝液を含む第2の容器を更に含んでよい。これは、他の緩衝液、希釈液、濾過器、針、及び注射器を含めて、商業上及び利用者の立場からの他の望ましい材料を更に含んでよい。
例えば、本明細書に記載される標的抗原陽性疾患又は障害の治療のために、所望により製品と組み合わせて、様々な目的で有用であるキットも提供される。本発明のキットは、caTCR+CSR免疫細胞組成物(又は単位剤形及び/又は製品)を収容する1つ以上の容器を含み、いくつかの実施形態では、別の薬剤(本明細書に記載の薬剤など)及び/又は本明細書に記載される方法のいずれかに従って使用するための説明書を更に含む。このキットは、治療に適している個体の選択についての説明を更に含んでよい。本発明のキットで提供される説明書は、典型的には、ラベル又は添付文書(例えば、キットに含まれる紙シート)に書かれた説明書であるが、機械読み出し可能な命令(例えば、磁気又は光学記憶ディスクで実行される命令)も許容可能である。
例えば、いくつかの実施形態では、キットは、表面上にcaTCR及びCSRを提示する免疫細胞を含む組成物を含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)表面上にcaTCR及びCSRを提示する免疫細胞を含む組成物と、b)有効量の少なくとも1種の他の薬剤と、を含み、他の薬剤は、MHCタンパク質の発現を増加させ、及び/又はMHCタンパク質によるペプチドの表面提示を強化する(例えば、IFNγ、IFNβ、IFNα、又はHsp90阻害剤)。いくつかの実施形態では、キットは、a)表面上にcaTCR及びCSRを提示する免疫細胞を含む組成物と、b)標的抗原陽性疾患(がん又はウイルス感染など)の治療のために、caTCR+CSR免疫細胞組成物を個体に投与するための指示書と、を含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)表面上にcaTCR及びCSRを提示する免疫細胞を含む組成物と、b)有効量の少なくとも1種の他の薬剤であって、MHCタンパク質の発現を増加させ、及び/又はMHCタンパク質によるペプチドの表面提示を強化する他の薬剤(例えば、IFNγ、IFNβ、IFNα、又はHsp90阻害剤)と、c)標的抗原陽性疾患(がん又はウイルス感染など)の治療のために、caTCR+CSR免疫細胞組成物及び他の薬剤を個体に投与するための指示書と、を含む。caTCR+CSR免疫細胞組成物及び他の薬剤は、別個の容器又は単一の容器内に存在し得る。例えば、キットは、1つの別個の組成物又は2つ以上の組成物を含んでもよく、1つの組成物はcaTCR+CSR免疫細胞を含み、別の組成物は他の薬剤を含む。
いくつかの実施形態では、キットは、a)caTCR及びCSRを含む1つ以上の組成物と、b)caTCR及びCSRを、免疫細胞(例えば、個体に由来する免疫細胞、例えばT細胞又はナチュラルキラー細胞など)と組み合わせて、caTCR及びCSRを表面に提示する免疫細胞を含む組成物を形成し、標的抗原陽性疾患(がん又はウイルス感染など)の治療のためにcaTCR+CSR免疫細胞組成物を個体に投与するための指示書と、を含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)caTCR及びCSRを含む1つ以上の組成物と、b)免疫細胞(細胞傷害性細胞など)と、を含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)caTCR及びCSRを含む1つ以上の組成物と、b)免疫細胞(細胞傷害性細胞など)と、c)caTCR及びCSRを免疫細胞と組み合わせて、caTCR及びCSRを表面に提示する免疫細胞を含む組成物を形成し、標的抗原陽性疾患(がん又はウイルス感染など)の治療のためにcaTCR+CSR免疫細胞組成物を個体に投与するための指示書と、を含む。
いくつかの実施形態では、キットは、caTCR及びCSRをコードする核酸(又は核酸のセット)を含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)caTCR及びCSRをコードする核酸(又は核酸のセット)と、b)核酸(又は核酸のセット)を発現するための宿主細胞(免疫細胞など)を含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)caTCR及びCSRをコードする核酸(又は核酸のセット)と、b)i)宿主細胞(例えば、T細胞などの免疫細胞など)中でcaTCR及びCSRを発現すること、ii)caTCR及びCSRを発現する宿主細胞を含む組成物を調製すること、並びにiii)caTCR及びCSRを発現する宿主細胞を含む組成物を、標的抗原陽性疾患(がん又はウイルス感染など)の治療のために個体に投与することのための指示書と、を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は個体に由来する。いくつかの実施形態では、キットは、a)caTCR及びCSRをコードする核酸(又は核酸のセット)と、b)核酸(又は核酸のセット)を発現するための宿主細胞(免疫細胞など)と、c)宿主細胞中でcaTCR及びCSRを発現すること、ii)caTCR及びCSRを発現する宿主細胞を含む組成物を調製すること、並びにiii)caTCR及びCSRを発現する宿主細胞を含む組成物を、標的抗原陽性疾患(がん又はウイルス感染など)の治療のために個体に投与することのための指示書と、を含む。
本発明のキットは、好適なパッケージに入っている。好適なパッケージには、バイアル、ボトル、ジャー、可撓性パッケージ(例えば、密閉マイラー又はプラスチック袋)などが挙げられるが、これらに限定されない。キットは、所望により、緩衝材及び解釈的情報など追加構成要素を提供してよい。したがって、本出願はまた、バイアル(密閉バイアルなど)、ボトル、ジャー、可撓性パッケージなどを含む製品を提供する。
caTCR+CSR免疫細胞組成物の使用に関する説明書は、意図する治療向けの用量、投与スケジュール、及び投与経路に関する情報を概ね含む。容器は、単位用量、大量容器(例えば、多用量パッケージ)又は亜単位用量であってよい。例えば、本明細書に開示するように十分な用量のcaTCR+CSR免疫細胞組成物を含んで、1週間、8日、9日、10日、11日、12日、13日、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3か月、4か月、5か月、7か月、8か月、9か月、又はそれ以上のうちのいずれかなど長期間にわたって個体の有効な治療を提供するキットを提供し得る。キットはまた、複数のcaTCR及びCSRの単位用量と、医薬組成物と、使用説明書と、を含んでよく、例えば、院内薬局及び調剤薬局など薬局での保管及び使用に十分な量でパッケージ化される。
当業者は、本発明の範囲及び趣旨内でいくつかの実施形態が可能であることを理解するであろう。次に、以下の非限定的な実施例を参照して、本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を更に説明するが、当然のことながら、決してその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
例示的な実施形態
実施形態1 一実施形態では、免疫細胞であって、
a)キメラ抗体-T細胞受容体(TCR)構築物(caTCR)であって、
i)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュール、並びに
ii)第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR-TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)、及び第2のTCR-TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)を含み、
TCRMが、少なくとも1つのTCR-関連シグナル伝達分子の動員を促進する、キメラ抗体-T細胞受容体(TCR)構築物(caTCR)と、
b)キメラシグナル伝達受容体(CSR)であって、
i)標的リガンドに結合又は相互作用することができるリガンド結合モジュール、
ii)膜貫通モジュール、及び
iii)免疫細胞に共刺激シグナルを提供することができる共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールを含み、
リガンド結合モジュール及び共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールが同一の分子に由来せず、CSRが機能的な一次免疫細胞シグナル伝達ドメインを欠く、キメラシグナル伝達受容体(CSR)と、を含む、免疫細胞が提供される。
実施形態2 CSRが、いずれの一次免疫細胞シグナル伝達配列も欠く、実施形態1に記載の免疫細胞。
実施形態3 標的抗原が細胞表面抗原である、実施形態1又は2に記載の免疫細胞。
実施形態4 細胞表面抗原が、タンパク質、炭水化物、及び脂質からなる群から選択される、実施形態3に記載の免疫細胞。
実施形態5 細胞表面抗原が、CD19、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、及びFCRL5からなる群から選択される、実施形態4に記載の免疫細胞。
実施形態6 標的抗原が、ペプチド及び主要組織適合遺伝子複合体(MHC)タンパク質を含む複合体である、実施形態1又は2に記載の免疫細胞。
実施形態7 ペプチドが、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、及びPSAからなる群から選択されるタンパク質に由来する、実施形態6に記載の免疫細胞。
実施形態8 第1のTCR-TMが、第1のT細胞受容体の膜貫通ドメインのうちの1つに由来し、第2のTCR-TMが、第1のT細胞受容体の他の膜貫通ドメインに由来する、実施形態1~7のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態9 TCR-TMのうちの少なくとも1つが天然に存在しないものである、実施形態8に記載の免疫細胞。
実施形態10 TCRMが、第1のT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化させる、実施形態9に記載の免疫細胞。
実施形態11 第1のTCR-TMが、それが由来する膜貫通ドメインと比較して、最大5個のアミノ酸置換を含み、及び/又は、第2のTCR-TMが、それが由来する膜貫通ドメインと比較して、最大5個のアミノ酸置換を含む、実施形態8~10のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態12 第1のTCR-TMが、単一のアミノ酸置換を含み、及び/又は第2のTCR-TMが、単一のアミノ酸置換を含む、実施形態11に記載の免疫細胞。
実施形態13 第1のT細胞受容体がγ/δ T細胞受容体である、実施形態8~12のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態14 第1のT細胞受容体がα/β T細胞受容体である、実施形態8~12のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態15 抗原結合モジュールが、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、及び単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される抗体部分である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態16 抗原結合モジュールが、VHドメイン及びVLドメインを含み、VHドメインが、TCRDのうちの1つのアミノ末端に連結され、VLドメインが、他のTCRDのアミノ末端に連結されている、実施形態15に記載の免疫細胞。
実施形態17 VHドメインが、CH1ドメインを介してTCRDのうちの1つに連結され、VLドメインが、CLドメインを介して他のTCRDに結合されている、実施形態16に記載の免疫細胞。
実施形態18 caTCRが、少なくとも1つの追加の抗原結合モジュールを更に含む、実施形態15に記載の免疫細胞。
実施形態19 少なくとも1つの追加の抗原結合モジュールが抗体部分である、実施形態18に記載の免疫細胞。
実施形態20 caTCRが多重特異性である、実施形態18又は19に記載の免疫細胞。
実施形態21 抗原結合モジュールが、TCRDのうちの1つのアミノ末端に融合したscFvを含む、実施形態15~20のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態22 caTCRが、第1のTCRDのアミノ末端に融合した第1のscFvと、第2のTCRDのアミノ末端に融合した第2のscFvとを含む、実施形態21に記載の免疫細胞。
実施形態23 第1のscFvが、第2のscFvとは異なる標的に結合する、実施形態22に記載の免疫細胞。
実施形態24 caTCRが、第1のTCRDを含む第1のポリペプチド鎖と、第2のTCRDを含む第2のポリペプチド鎖とを含むヘテロ二量体であり、抗原結合モジュールが、第1及び第2のTCRDの一方又は両方のアミノ末端に連結されている、実施形態1~23のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態25 caTCRが、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化させる、互いの結合親和性を有する、実施形態1~24のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態26 安定化モジュールが、CH1-CLモジュール、CH2-CH2モジュール、CH3-CH3モジュール、及びCH4-CH4モジュールからなる群から選択される、実施形態25に記載の免疫細胞。
実施形態27 第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインとの間に共有結合が存在する、実施形態25又は26に記載の免疫細胞。
実施形態28 共有結合がジスルフィド結合である、実施形態27に記載の免疫細胞。
実施形態29 安定化モジュールが、抗原結合モジュールとTCRMとの間に位置する、実施形態25~28のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態30 caTCRが、
a)第1のTCRDのアミノ末端に融合した第1の安定化ドメインを含む第1のポリペプチド鎖と、第2のTCRDのアミノ末端に融合した第2の安定化ドメインを含む第2のポリペプチド鎖と、を含み、抗原結合モジュールが、第1及び第2の安定化ドメインの一方又は両方のアミノ末端に融合するヘテロ二量体である、実施形態25~29のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態31 caTCRが、約0.1pM~約500nMの平衡解離定数(Kd)で標的抗原に結合する、実施形態1~30のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態32 TCR関連シグナル伝達分子が、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される、実施形態1~31のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態33 標的抗原と標的リガンドが同一である、実施形態1~32のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態34 標的抗原と標的リガンドが異なる、実施形態1~32のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態35 標的リガンドが、標的抗原を提示する細胞の表面に発現するリガンドである、実施形態34に記載の免疫細胞。
実施形態36 標的リガンドが疾患関連リガンドである、実施形態1~35のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態37 標的リガンドが、がん関連リガンドである、実施形態36に記載の免疫細胞。
実施形態38 がん関連リガンドが、CD19、CD20、CD22、CD47、IL4、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、及びFCRL5からなる群から選択される、実施形態37に記載の免疫細胞。
実施形態39 がん関連リガンドが、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、及びPSAからなる群から選択されるタンパク質に由来するペプチドを含むペプチド/MHC複合体である、実施形態37に記載の免疫細胞。
実施形態40 標的リガンドが、ウイルス関連リガンドである、実施形態36に記載の免疫細胞。
実施形態41 標的リガンドが免疫調節分子である、実施形態1~35のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態42 免疫調節分子が免疫抑制受容体であり、CSRが免疫抑制受容体のアンタゴニストである、実施形態41に記載の免疫細胞。
実施形態43 免疫調節分子が免疫刺激受容体であり、CSRが免疫刺激受容体のアゴニストである、実施形態41に記載の免疫細胞。
実施形態44 標的リガンドが免疫チェックポイント分子である、実施形態41に記載の免疫細胞。
実施形態45 免疫チェックポイント分子が、PD-L1、PD-L2、CD80、CD86、ICOSL、B7-H3、B7-H4、HVEM、4-1BBL、OX40L、CD70、CD40、及びGAL9からなる群から選択される、実施形態44に記載の免疫細胞。
実施形態46 標的リガンドが阻害性サイトカインである、実施形態41に記載の免疫細胞。
実施形態47 標的リガンドがアポトーシス分子である、実施形態1~35のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態48 アポトーシス分子が、FasL、FasR、TNFR1、及びTNFR2からなる群から選択される、実施形態47に記載の免疫細胞。
実施形態49 リガンド結合モジュールが抗体部分である、実施形態1~48のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態50 CSRの抗体部分が、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、及び単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される、実施形態49に記載の免疫細胞。
実施形態51 CSRの抗体部分がscFvである、実施形態50に記載の免疫細胞。
実施形態52 リガンド結合モジュールが、受容体の細胞外ドメインに由来する、実施形態1~48のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態53 受容体が、FasR、TNFR1、TNFR2、PD-1、CD28、CTLA-4、ICOS、BTLA、KIR、LAG-3、4-1BB、OX40、CD27、TIM-3、IL-10R、IL-6R、及びIL-4Rからなる群から選択される、実施形態52に記載の免疫細胞。
実施形態54 CSRの膜貫通モジュールが、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、又はCD154に由来する膜貫通ドメインを含む、実施形態1~53のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態55 共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールが、TCRの共刺激受容体の細胞内ドメインに由来する、実施形態1~54のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態56 共刺激受容体が、CD28、4-1BB、OX40、ICOS、CD27、及びCD40からなる群から選択される、実施形態55に記載の免疫細胞。
実施形態57 CSRの発現が誘導可能である、実施形態1~56のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態58 CSRの発現が、免疫細胞の活性化の際に誘導可能である、実施形態57に記載の免疫細胞。
実施形態59 caTCRの抗原結合モジュールが、CD19に結合する抗体部分を含み、CSRのリガンド結合モジュールがCD19に結合するscFvを含み、膜貫通モジュールと共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールは両方ともCD28に由来する、実施形態1~32のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態60 CD19に結合する抗体部分が、配列番号58のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号59のアミノ酸配列を含むVLドメインとを含み、CD19に結合するscFvが、配列番号58のアミノ酸配列を含むVLドメインと、配列番号59のアミノ酸配列を含むVLドメインと、を含み、CSRが、配列番号51のアミノ酸配列を含むCD28の断片を含む、実施形態59に記載の免疫細胞。
実施形態61 caTCRが、配列番号72と73又は配列番号74と75のアミノ酸配列を含む2つのポリペプチド鎖を含み、及び/又はCSRが配列番号80のアミノ酸配列を含む、実施形態60に記載の免疫細胞。
実施形態62 caTCRの抗原結合モジュールが、AFPに結合する抗体部分を含み、CSRのリガンド結合モジュールがGPC3に結合するscFvを含み、膜貫通モジュールと共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールは両方ともCD28に由来する、実施形態1~32のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態63 AFPに結合する抗体部分が、配列番号62のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号63のアミノ酸配列を含むVLドメインとを含み、GPC3に結合するscFvが、配列番号64のアミノ酸配列を含むVLドメインと、配列番号65のアミノ酸配列を含むVLドメインと、を含み、CSRが、配列番号51のアミノ酸配列を含むCD28の断片を含む、実施形態62に記載の免疫細胞。
実施形態64 caTCRが、配列番号68と69又は配列番号70と71のアミノ酸配列を含む2つのポリペプチド鎖を含み、及び/又はCSRが配列番号82のアミノ酸配列を含む、実施形態63に記載の免疫細胞。
実施形態65 caTCRの抗原結合モジュールが、CD19に結合する抗体部分を含み、CSRのリガンド結合モジュールがCD20に結合するscFvを含み、膜貫通モジュールと共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールは両方ともCD28に由来する、実施形態1~32のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態66 CD19に結合する抗体部分が、配列番号58のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号59のアミノ酸配列を含むVLドメインとを含み、CD20に結合するscFvが、配列番号60のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号61のアミノ酸配列を含むVLドメインと、を含み、CSRが、配列番号51のアミノ酸配列を含むCD28の断片を含む、実施形態65に記載の免疫細胞。
実施形態67 caTCRが、配列番号72と73又は配列番号74と75のアミノ酸配列を含む2つのポリペプチド鎖を含み、及び/又はCSRが配列番号81のアミノ酸配列を含む、実施形態66に記載の免疫細胞。
実施形態68 一実施形態では、実施形態1~67のいずれか1つに記載のcaTCR及びCSRをコードしている1つ以上の核酸であって、caTCR及びCSRがそれぞれ、1つ以上の核酸によりコードされる1つ以上のポリペプチド鎖からなる、1つ以上の核酸が提供される。
実施形態69 一実施形態では、1つ以上の核酸であって、
a)キメラ抗体-T細胞受容体(TCR)構築物(caTCR)であって、
i)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュール、並びに
ii)第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR-TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)、及び第2のTCR-TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)を含み、TCRMが、少なくとも1つのTCR-関連シグナル伝達分子の動員を促進し、caTCRは、1つ以上のポリペプチド鎖からなる、キメラ抗体-T細胞受容体(TCR)構築物(caTCR)と、
b)キメラシグナル伝達受容体(CSR)であって、
i)標的リガンドに結合又は相互作用することができるリガンド結合モジュール、
ii)膜貫通モジュール、並びに
iii)免疫細胞に共刺激シグナルを提供することができる共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールを含み、リガンド結合モジュール及び共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールは、同一の分子から誘導されない、キメラシグナル伝達受容体(CSR)と、をコードし、CSRが機能的な一次免疫細胞シグナル伝達ドメインを欠き、CSRが1つ以上のポリペプチド鎖からなる、1つ以上の核酸が提供される。
実施形態70 caTCR及びCSRが、同じ核酸分子上にコードされている、実施形態68又は69に記載の1つ以上の核酸。
実施形態71 caTCR及びCSRが異なる核酸分子上にコードされている、実施形態68又は69に記載の1つ以上の核酸。
実施形態72 誘導可能なプロモーターに作動可能に連結されたCSRをコードするヌクレオチド配列を含む、実施形態68~71のいずれか1つに記載の1つ以上の核酸。
実施形態73 誘導可能なプロモーターが、免疫細胞の活性化の際に誘導可能である、実施形態72に記載の1つ以上の核酸。
実施形態74 誘導可能なプロモーターが、活性化T細胞由来プロモーターの核因子(NFAT)である、実施形態72に記載の1つ以上の核酸。
実施形態75 一実施形態では、実施形態68~74のいずれか1つに記載の1つ以上の核酸を含む、1つ以上のベクターが提供される。
実施形態76 ベクターのうちの少なくとも1つが、caTCRをコードする核酸配列を含み、少なくとも1つの他のベクターが、CSRをコードする核酸配列を含む、実施形態75に記載の1つ以上のベクター。
実施形態77 1つ以上の核酸を含む単一のベクターを含む、実施形態75に記載の1つ以上のベクター。
実施形態78 一実施形態では、実施形態68~74のいずれか1つに記載の1つ以上の核酸、又は実施形態75~77のいずれか1つに記載の1つ以上のベクターを含む、組成物が提供される。
実施形態79 一実施形態では、実施形態68~74のいずれか1つに記載の1つ以上の核酸、又は実施形態75~77のいずれか1つに記載の1つ以上のベクターを含む、免疫細胞が提供される。
実施形態80 免疫細胞が、実施形態68~74のいずれか1つに記載の1つ以上の核酸又は実施形態75~77のいずれか1つに記載の1つ以上のベクターから発現するcaTCRを更に含む、実施形態79に記載の免疫細胞。
実施形態81 免疫細胞が、実施形態68~74のいずれか1つに記載の1つ以上の核酸、又は実施形態75~77のいずれか1つに記載の1つ以上のベクターから発現するCSRを更に含む、実施形態79又は80に記載の免疫細胞。
実施形態82 免疫細胞が、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される、実施形態1~67及び79~81のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態83 実施形態1~67及び79~82のいずれか1つに記載の免疫細胞であって、
a)caTCRが、第1のTCRDを含む第1のポリペプチド鎖と、第2のTCRDを含む第2のポリペプチド鎖とを含むヘテロ二量体であり、抗原結合モジュールが、TCRDの一方又は両方のアミノ末端に連結されている、1つ又は2つのポリペプチド鎖を含み、
b)CSRが、単一のポリペプチド鎖を含み、免疫細胞が、
i)caTCRの第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸配列と、
ii)caTCRの第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸配列と、
iii)CSRをコードする第3の核酸配列と、を含む、免疫細胞。
実施形態84 実施形態83の免疫細胞であって、
a)第1のプロモーターの制御下の第1の核酸配列を含む第1のベクターと、
b)第2のプロモーターの制御下の第2の核酸配列を含む第2のベクターと、
c)第3のプロモーターの制御下の第3の核酸配列を含む第3のベクターと、を含む、免疫細胞。
実施形態85 実施形態83の免疫細胞であって、
a)第1のベクターであって、
i)第1のプロモーターの制御下の第1の核酸配列、及び
ii)第2のプロモーターの制御下の第2の核酸配列を含む、ベクターと、
b)第3のプロモーターの制御下の前記第3の核酸配列を含む第2のベクターと、を含む、免疫細胞。
実施形態86 実施形態83の免疫細胞であって、
a)第1のプロモーターの制御下の第1の核酸配列と、
b)第2のプロモーターの制御下の第2の核酸配列と、
c)第3のプロモーターの制御下の第3の核酸配列と、を含むベクターを含む、免疫細胞。
実施形態87 第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターが、常時活性型のプロモーターである、実施形態84~86のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態88 第3のプロモーターが誘導可能なプロモーターである、実施形態84~87のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態89 実施形態83の免疫細胞であって、
a)単一の第1のプロモーターの制御下の、第1の核酸配列及び第2の核酸配列を含む、第1のベクターと、
b)第2のプロモーターの制御下の第3の核酸配列を含む第2のベクターと、を含む、免疫細胞。
実施形態90 実施形態83の免疫細胞であって、
a)単一の第1のプロモーターの制御下の、第1の核酸配列及び第2の核酸配列と、
b)第2のプロモーターの制御下の第3の核酸配列と、を含むベクターを含む、免疫細胞。
実施形態91 第1のプロモーターが常時活性型のプロモーターである、実施形態89又は90に記載の免疫細胞。
実施形態92 第2のプロモーターが誘導可能なプロモーターである、実施形態89~91のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態93 誘導可能なプロモーターが、免疫細胞の活性化の際に誘導可能である、実施形態88又は92に記載の免疫細胞。
実施形態94 誘導可能なプロモーターが、NFAT由来のプロモーターである、実施形態88又は92に記載の免疫細胞。
実施形態95 すべてが単一のプロモーターの制御下の、第1の核酸配列と、第2の核酸配列と、第3の核酸配列を含むベクターと、を含む、実施形態83に記載の免疫細胞。
実施形態96 ベクターが免疫細胞ゲノムに組み込まれている、実施形態84~95のいずれか1つに記載の免疫細胞。
実施形態97 一実施形態では、実施形態1~67及び79~96のいずれか1つに記載の免疫細胞と、医薬的に許容される担体と、を含む医薬組成物が提供される。
実施形態98 一実施形態では、標的抗原を提示する標的細胞を殺傷する(又は標的抗原関連疾患を治療する)方法であって、標的細胞を実施形態1~67及び79~96のいずれか1つに記載の免疫細胞と接触させることを含む、方法が提供される。
実施形態99 接触させることがインビボで実施される、実施形態98に記載の方法。
実施形態100 接触させることがインビトロで実施される、実施形態98に記載の方法。
実施形態101 一実施形態では、標的抗原関連疾患を、それを必要とする個体において治療する方法であって、有効量の実施形態97に記載の医薬組成物を個体に投与することを含む、方法が提供される。
実施形態102 標的抗原関連疾患が、がんである、実施形態101に記載の方法。
実施形態103 がんが、副腎皮質癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、大腸直腸癌、食道癌、神経膠芽腫、神経膠腫、肝細胞癌、頭頸部癌、腎臓癌、白血病、肺癌、リンパ腫、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、膵臓癌、褐色細胞腫、形質細胞腫、神経芽腫、卵巣癌、前立腺癌、肉腫、胃癌、子宮癌、及び甲状腺癌である、実施形態102に記載の方法。
実施形態104 標的抗原関連疾患がウイルス感染である、実施形態101に記載の方法。
実施形態105 ウイルス感染が、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、伝染性軟属腫ウイルス(MCV)、ヒトT細胞白血病ウイルス1(HTLV-1)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、及びC型肝炎ウイルス(HCV)からなる群から選択されるウイルスによって引き起こされる、実施形態104に記載の方法。
実施形態106 免疫細胞が個体にとって自家性である、実施形態101~105のいずれか1つに記載の方法。
実施形態107 一実施形態では、caTCRを含むか、又はcaTCRをコードする核酸で形質導入された免疫細胞に共刺激シグナルを提供する方法であって、実施形態68~74のいずれか1つに記載の1つ以上の核酸又は実施形態75~77のいずれか1つに記載の1つ以上のベクターを上記細胞に導入することを含む、方法が提供される。
材料及び方法
細胞試料、細胞株、及び抗体
細胞株HepG2(ATCC HB-8065、HLA-A2+、AFP+)、SK-HEP-1(ATCC HTB-52、HLA-A2+、AFP-)、Raji(ATCC CCL-86、CD19+)、CA46(ATCC CRL-1648、CD19+)、Jurkat(ATCC CRL-2899、CD19-)、J.RT3-T3.5(ATCC TIB-153)、Jeko-1(ATCC CRL-3006、CD19+)、THP-1(ATCC TIB-202、CD19-)、Daudi(ATCC CCL-213、CD19+)、HeLa(ATCC CCL-2)、MDA-MB-231(ATCC HTB-26)、及びMCF-7(ATCC HTB-22)をAmerican Type Culture Collectionから入手した。Jurkatは、T細胞白血病由来のヒトTリンパ球細胞株である。J.RT3-T3.5は、T細胞受容体β鎖を欠くJurkat細胞由来の変異株である。Rajiは、CD19を発現するバーキットリンパ腫細胞株である。Raji-CD19ノックアウト(Raji-CD19KO)株を、CRISPR技術によって生成した。3つの異なるガイド配列を、Raji細胞内のCD19を標的化するように設計した。CRISPR-Cas9ベクターをOrigeneから購入し、各ガイドをpCas-Guideベクターに別々にクローニングした。エレクトロポレーションの3日後、各ガイドによるノックアウト効率をフローサイトメトリーによって評価し、限界希釈法によるクローン選択のために最良のCD19ノックアウトプールを選択した。選択されたクローンを、シークエンシングによって完全なCD19ノックアウトとして確認した。全ての細胞株を、37℃/5%CO2で、10%FBS及び2mMグルタミンを補充したRPMI1640又はDMEM中で培養した。
FITC又はAPCにコンジュゲートしたヒトHLA A02(クローンBB7.2)に対するモノクローナルAb、及びFITC又はAPCにコンジュゲートしたアイソタイプ対照マウスIgG2b、ヒト又はマウスCD3に対する抗体、ヒトT細胞受容体の様々なサブユニット、3×Flagタグ、HAタグ、PE又はFITCにコンジュゲートしたヤギF(ab)2抗ヒトIgG、並びに蛍光コンジュゲートヤギF(ab’)2抗マウスIg(Invitrogen)を購入した。AFP158に対する抗イディオタイプ抗体/HLA-A*02:01特異的抗体を開発し、Eureka Therapeuticsの工場内で産生した。フローサイトメトリーデータをBD FACSCanto IIを使用して収集し、FlowJoソフトウェアパッケージを使用して分析した。
全てのペプチドを購入し、Elim Biopharmaにより合成した。ペプチドは、>90%の純度であった。ペプチドを10mg/mLでDMSOに溶解させ、又は生理食塩水で希釈し、-80℃で凍結した。ビオチン化単鎖AFP158/HLA-A*02:01及び対照ペプチド/HLA-A*02:01複合体単量体を、組換えHLA-A*02:01及びβ-2ミクログロブリン(β2M)を用いてペプチドを再折り畳みすることにより生成した。単量体は、BirA酵素によるHLA-A*02:01細胞外ドメイン(ECD)のC末端に連結されたBSPペプチドを介してビオチン化した。蛍光標識ストレプトアビジンをビオチン化ペプチド/HLA-A*02:01複合体単量体と混合して、蛍光標識されたペプチド/HLA-A*02:01四量体を形成した。
ヒトCD19特異的若しくはAFP158/HLA-A*02:01特異的なCAR又はcaTCRを含むレンチウイルスを、例えば、キメラ構築物をコードするベクターを用いた293T細胞のトランスフェクションによって作製した。初代培養ヒトT細胞を、100U/mlのインターロイキン-2(IL-2)の存在下で、CD3/CD28ビーズ(Dynabeads(登録商標)、Invitrogen)による1日間の刺激後に形質導入に使用した。濃縮レンチウイルスを、レトロネクチン(Takara)コーティングされた6ウェルプレート中のT細胞に96時間適用した。抗AFP及び抗CD19キメラ構築物の形質導入効率を、それぞれPEコンジュゲートストレプトアビジン又は抗myc抗体を有するビオチン化AFP158/HLA-A*02:01四量体(「AFP158四量体」)を使用して、フローサイトメトリーによって評価した。繰り返しフローサイトメトリー分析を5日目及びその後3~4日おきに行った。
細胞株は、caTCR構築物の2つのサブユニットをコードする1つ又は2つのベクターのいずれかで形質導入した。形質導入から5日後に、抗HA(抗HAタグ抗体-ChIPグレード、Abcam)又は抗Flag抗体(Anti-Flag Antibody Produced in Rabbit,Sigma)を使用するウェスタンブロットのために細胞溶解物を生成した。
腫瘍細胞傷害性を、Cytox 96非放射性LDH細胞傷害性アッセイ(Promega)によりアッセイした。CD3+T細胞は、CD14、CD16、CD19、CD20、CD36、CD56、CD66b、CD123、グリコホルリンA発現細胞を陰性に枯渇させるEasySepヒトT細胞単離キット(StemCell Technologies)を使用して、PBMC濃縮全血から調製した。ヒトT細胞を活性化し、例えば、製造元のプロトコールに従ってCD3/CD28 Dynabeads(Invitrogen)で増殖させた。活性化T細胞(ATC)を、10%FBS+100U/mlのIL-2を有するRPMI1640培地で培養して維持し、7~14日目に使用した。活性化T細胞(免疫細胞)及び標的細胞を、様々なエフェクター対標的比(例えば、2.5:1又は5:1)で16時間共培養し、細胞傷害性についてアッセイした。
実施例1キメラ抗体-T細胞受容体(caTCR)設計
様々なキメラ抗体-T細胞受容体(caTCR)設計が想到され、6つの異なる例が図1に示される(caTCR-1、caTCR-2、caTCR-3、caTCR-4、caTCR-5、及びcaTCR-6)。これらの設計では、様々な抗体部分(Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又はscFv)は、可変ドメイン及び定常ドメインを欠くT細胞受容体α/β鎖又はγ/δ鎖のアミノ末端に融合され、それらの連結ペプチド(定常ドメイン後の領域)、それらの膜貫通ドメイン又はその変異型、及び任意の細胞内ドメインの全て又は一部を含み、T細胞の表面に発現され得るcaTCRヘテロ二量体を形成する。天然のTCRでは、Vα/Vβ又はVδ/Vγドメインは、TCRの抗原結合ドメインを形成する。本発明者らの設計は、様々な抗体部分を有するVα-Cα/Vβ-Cβ又はVδ-Cδ/Vγ-Cγ領域を置換し、少なくとも1つのTCR膜貫通ドメインを導入し、したがって、抗体の結合特異性を構築物に付与し、天然に存在するTCR膜貫通ドメインのみを有するTCR又は関連する構築物と比較して、CD3δε、CD3γε、及びCD3ζζなどのTCR複合体において、TCR複合体中のアクセサリー分子を動員する構築物の向上した能力をもたらす。caTCR構築物を以下のように命名した:caTCR-[設計番号]-[変異位置][番号]。設計番号1は、Fab抗体部分を有するcaTCRに対応し、設計番号2は、Fab’抗体部分を有するcaTCRに対応し、設計番号3は、(Fab’)2抗体部分を有するcaTCRに対応し、設計番号4は、Fv抗体部分を有するcaTCRに対応し、設計番号5は、単一のscFv抗体部分を有するcaTCRに対応し、設計番号6は、2つのscFv抗体部分を有するcaTCRに対応する(図1を参照されたい)。変異位置及び番号0(例えば、caTCR-1-0)は、天然に存在するTCRドメインを有する構築物に対応し、#≧1は、変異位置における特定の変異を有するcaTCRに対応する(例えば、caTCR-1-TM1は、1つの膜貫通ドメイン変異型に対応し、caTCR-1-EC1は、1つの細胞外ドメイン変異型に対する、表2を参照されたい)。
caTCR-1(IgVH-IgCH1-TCRδ/IgVL-IgCL-TCRγ)設計では、抗体重鎖の可変ドメイン及び第1の定常ドメイン(IgVH-IgCH1)は、TCRδ鎖のアミノ末端部分を、境界位置まで、又はVδ-Cδ領域に続くTCRδ鎖の細胞外ドメインの連結ペプチド内で置換し、所望により、TCRδ鎖の膜貫通ドメインは、1つ以上のアミノ酸の置換などにより改変されている。対応する抗体軽鎖の可変ドメイン及び定常ドメイン(IgVL-IgCL)は、TCRγ鎖のアミノ末端部分を、境界位置まで、又はVγ-Cγ領域に続くTCRγ鎖の細胞外ドメインの連結ペプチド内で置換し、所望により、TCRγ鎖の膜貫通ドメインは、1つ以上のアミノ酸の置換などにより改変されている。
caTCR-1の一実施形態では、1つの鎖は、TCRδ鎖の膜貫通ドメイン及び連結ペプチドの全て又は一部を含むTCRδ鎖のカルボキシ末端部分に融合された、IgCH1ドメイン(配列番号37~47のうちのいずれか1つ)に融合された抗AFP158/HLA-A*02:01抗体(配列番号62)のIgVHドメインを含み、また、他方の鎖は、TCRγ鎖の膜貫通ドメイン及び連結ペプチドの全て又は一部を含むTCRγ鎖のカルボキシ末端部分に融合された、IgCLドメイン(配列番号48)に融合された抗AFP158/HLA-A*02:01抗体(配列番号63)のIgVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、TCR膜貫通ドメインの両方が天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR膜貫通ドメインのうちの少なくとも1つは、1つ以上のアミノ酸置換を含む天然に存在しない変異型である。いくつかの実施形態では、TCRδ鎖のカルボキシ末端部分は、配列番号31又は32のアミノ酸配列を有する連結ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、TCRδ鎖のカルボキシ末端部分は、配列番号7及び9~13のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、TCRγ鎖のカルボキシ末端部分は、配列番号33又は34のアミノ酸配列を有する連結ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、TCRγ鎖のカルボキシ末端部分は、配列番号8及び14~26のいずれか1つのアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインを含む。
caTCR-2(IgVH-IgCH1-ヒンジ-TCRδ/IgVL-IgCL-リンカー-TCRγ)設計では、抗体重鎖の可変ドメイン、第1の定常ドメイン、及びヒンジ(IgVH-IgCH1-ヒンジ)は、TCRδ鎖のアミノ末端部分を、境界位置まで、又はVδ-Cδ領域に続くTCRδ鎖の細胞外ドメインの連結ペプチド内で置換し、所望により、TCRδ鎖の膜貫通ドメインは、1つ以上のアミノ酸の置換などにより改変されている。リンカー(IgVL-IgCL-リンカー)に融合された対応する抗体軽鎖の可変ドメイン及び定常ドメインは、TCRγ鎖のアミノ末端部分を、境界位置まで、又はVγ-Cγ領域に続くTCRγ鎖の細胞外ドメインの連結ペプチド内で置換し、所望により、TCRγ鎖の膜貫通ドメインは、1つ以上のアミノ酸の置換などにより改変されている。
caTCR-3(IgVH-IgCH1-ヒンジ-TCRδ/IgVH-IgCH1-ヒンジ-TCRγ+IgVL-IgCL)設計では、抗体重鎖の可変ドメイン、第1の定常ドメイン、及びヒンジ(IgVH-IgCH1-ヒンジ)は、TCRδ鎖のアミノ末端部分を、境界位置まで、又はVδ-Cδ領域に続くTCRδ鎖の細胞外ドメインの連結ペプチド内で置換し、所望により、TCRδ鎖の膜貫通ドメインは、1つ以上のアミノ酸の置換などにより改変されている。抗体重鎖の可変ドメイン、第1の定常ドメイン、及びヒンジ(IgVH-IgCH1-ヒンジ)は、TCRγ鎖のアミノ末端部分を、境界位置まで、又はVγ-Cγ領域に続くTCRγ鎖の細胞外ドメインの連結ペプチド内で置換し、所望により、TCRγ鎖の膜貫通ドメインは、1つ以上のアミノ酸の置換などにより改変されている。対応する抗体軽鎖(IgVL-IgCL)の可変ドメイン及び定常ドメインは、IgVH-IgCH1ドメインと結合する。
caTCR-4(IgVH-TCRδ/IgVL-TCRγ)設計では、抗体重鎖の可変ドメイン(IgVH)は、TCRδ鎖のアミノ末端部分を、境界位置まで、又はVδ-Cδ領域に続くTCRδ鎖の細胞外ドメインの連結ペプチド内で置換し、所望により、TCRδ鎖の膜貫通ドメインは、1つ以上のアミノ酸の置換などにより改変されている。対応する抗体軽鎖の可変ドメイン(IgVL)は、TCRγ鎖のアミノ末端部分を、境界位置まで、又はVγ-Cγ領域に続くTCRγ鎖の細胞外ドメインの連結ペプチド内で置換し、所望により、TCRγ鎖の膜貫通ドメインは、1つ以上のアミノ酸の置換などにより改変されている。
caTCR-5(IgVH-IgVL-TCRδ/TCRγ)設計では、対応する抗体軽鎖の可変ドメインに融合した抗体重鎖の可変ドメイン(IgVH-IgVL又はIgVL-IgVH)は、TCRδ鎖のアミノ末端部分を、境界位置まで、又はVδ-Cδ領域に続くTCRδ鎖の細胞外ドメインの連結ペプチド内で置換し、所望により、TCRδ鎖の膜貫通ドメインは、1つ以上のアミノ酸の置換などにより改変されている。TCRγ鎖のアミノ末端部分は、境界位置まで、又はVγ-Cγ領域に続くTCRγ鎖の細胞外ドメインの連結ペプチド内で欠失し、所望により、TCRγ鎖の膜貫通ドメインは、1つ以上のアミノ酸の置換などにより改変されている。
caTCR-6(IgVH-IgVL-TCRδ/IgVH-IgVL-TCRγ)設計では、対応する抗体軽鎖の可変ドメインに融合した抗体重鎖の可変ドメイン(IgVH-IgVL又はIgVL-IgVH)は、TCRδ鎖のアミノ末端部分を、境界位置まで、又はVδ-Cδ領域に続くTCRδ鎖の細胞外ドメインの連結ペプチド内で置換し、所望により、TCRδ鎖の膜貫通ドメインは、1つ以上のアミノ酸の置換などにより改変されている。対応する抗体軽鎖の可変ドメインに融合した抗体重鎖の可変ドメイン(IgVH-IgVL又はIgVL-IgVH)は、TCRγ鎖のアミノ末端部分を、境界位置まで、又はVγ-Cγ領域に続くTCRγ鎖の細胞外ドメインの連結ペプチド内で置換し、所望により、TCRγ鎖の膜貫通ドメインは、1つ以上のアミノ酸の置換などにより改変されている。
実施例2:抗CD19 caTCR-1及び抗CD19キメラ刺激受容体で形質導入されたT細胞の構築及び特性評価
抗CD19結合部分をコードする核酸断片(配列番号58及び59)を使用して、CD28膜貫通及び細胞内シグナル伝達配列(配列番号51)を含むキメラ共刺激受容体(CSR;本明細書では「CSR1」とも称される)並びにcaTCR-1構築物(caTCR-1-0又はcaTCR-1-TM5)の両方を生成した。初代培養T細胞を、CSR単独、caTCR-1-0単独、CSRと組み合わせたcaTCR-1-0、又はCSRと組み合わせたcaTCR-1-TM5のいずれかで形質導入した。形質導入効率は、細胞表面染色によって決定され、全てのcaTCR-1 T細胞は、モックT細胞と混合することにより、およそ40%の受容体陽性で一致した。
インビトロでの殺傷
CD80/86陰性NALM6細胞(CD19を発現する白血病細胞)を、2.5:1.のエフェクター対標的比でのT細胞刺激の標的細胞として使用した。Cytox 96非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega)を使用して、16時間インキュベーション後に特異的T細胞溶解を測定した。
抗CD19-caTCR-1-0又は抗CD19-caTCR-1-TM5のいずれかでの抗CD19-CSRの発現は、インビトロでNALM6腫瘍細胞を溶解することができる完全機能的細胞傷害性T細胞を作製した(図2)。CaTCR-1-0のみを発現しているT細胞並びにcaTCR-1(caTCR-1-0又はcaTCR-1-TM5)及びCSRの両方を発現しているT細胞は全て、NALM6標的細胞のほぼ100%を溶解することができたため、2種類のT細胞間では、殺傷された標的細胞数の有意な差は観察されなかった。
サイトカイン分泌
インビトロ殺傷反応の上清に放出されたサイトカインの濃度を、Bio-plex Pro Human Cytokine 8 plexキット(BioRad)を使用してBioplex200(Luminex)により測定した。CSRを発現するT細胞は、caTCR(CSR陽性及びcaTCR陽性T細胞)と組み合わせて、CA-TCR-1-0単独を発現するT細胞よりも、より多くの細胞傷害性のサイトカインを放出した(図3)。
細胞内サイトカイン発現
T細胞を、分泌阻害剤ブレフェルジンA(BFA)の存在下で4時間、1:2のE:T比で、標的細胞で刺激した。T細胞を透過処理し、サイトカイン特異的抗体を使用して、腫瘍刺激に応答して発現したサイトカインを検出した。サイトカイン陽性細胞のパーセンテージを、フローサイトメトリーを用いて決定した。CSR陽性及びcaTCR陽性T細胞は、ca-TCR-1-0単独を発現するT細胞よりも、より多くの細胞内サイトカインを発現した(表5)。
まとめると、結果は、CSRの添加が、caTCR T細胞の感度及び応答性を増加させることを示す。CSR-caTCRの二重陽性T細胞で発現し放出されるサイトカインの量が増加すると、caTCR-1及びCSRの両方の共刺激がT細胞の細胞傷害性の可能性を上昇させることを示す。
脱顆粒
T細胞が腫瘍細胞を溶解する一次機構は、標的細胞中に放出される細胞傷害性分子の分泌顆粒を産生することによる。CD107aは、脱顆粒活性のマーカーとして使用することができ、CD107aの発現の増加は、細胞傷害性T細胞機能の増加と相関する。
T細胞を蛍光コンジュゲート抗CD107aと混合し、エンドサイトーシス阻害剤モネンシンの存在下で4時間、1:2のE:T比で、標的細胞で刺激した。T細胞表面上で検出されたCD107aの量は、抗原認識により誘導される細胞傷害性脱顆粒の程度の直接的な尺度である。caTCR T細胞上のCSRの結合はT細胞脱顆粒を増加させ、CSRが治療用T細胞を意図された腫瘍細胞に向かってより反応性にすることを更に実証する(図4)。
増殖
遺伝的に改変されたT細胞の増殖及び持続は、がんを治療する際の養子T細胞移植療法の成功に重要である。T細胞増殖及び持続性に対するCSRの効果をアッセイするために、本発明者らは、細胞内色素CFSEでT細胞を標識し、腫瘍細胞で刺激したときにT細胞が分裂するときの色素の希釈を観察した。また、示された日に残ったCFSE陽性細胞の数を計数することにより、T細胞の持続性を測定することも可能であった。
それぞれのT細胞を一晩血清飢餓処理し、CellTrace CFSE(Thermo Fisher C34554)を用いてCFSEで標識した。100,000個のT細胞を、2:1のE:T比でインキュベートし、示された日に、フローサイトメトリーを使用してT細胞が分裂するときのCFSE色素の連続希釈を観察した。T細胞の総数をFACsで計数した。
CFSE希釈はCSR刺激により増加し、これらのT細胞はより高い増殖可能性を有したことを示した(図5)。重要なことに、細胞数の増加はまた、細胞がより良好に増殖するだけでなく、それらの持続性も維持されることを意味する(表6)。
結果は、本発明者らにより、標的リガンド及び標的抗原の両方を発現する腫瘍細胞でCSR及びcaTCRの両方を同時に刺激することができ、CSR及びcaTCRの共刺激は、caTCR T細胞の細胞傷害性、増殖可能性、及び持続性を強化したことを示す。これらは、養子移植を用いてcaTCRに基づく治療の治療可能性を増加させる全ての特性である。
実施例3.抗AFP caTCR-1及び抗GPC3 CSRで形質導入されたT細胞の構築及び特性評価
抗AFP結合部分をコードする核酸断片(配列番号62及び63)を使用して、caTCR-1構築物(caTCR-1-0又はcaTCR-1-TM5)を生成した。抗GPC3結合部分をコードする核酸断片(配列番号64及び65)を使用して、CD28膜貫通及び細胞内シグナル伝達配列(配列番号51)を含むCSR(すなわち、CSR1)を生成した。
インビトロでの殺傷
HEPG2細胞(AFP及びGPC3を発現しているヒト肝癌細胞)並びにHEPG2-GPC3.KO細胞(GPC3遺伝子の標的化ノックアウトを有するHEPG2細胞)を、2.5:1のエフェクター対標的比でのT細胞刺激の標的細胞として使用した。Cytox 96非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega)を使用して、16時間インキュベーション後に特異的T細胞溶解を測定した。
抗AFP-caTCR-1-0又は抗AFP-caTCR-1-TM5のいずれかでの抗GPC3-CSRの発現は、インビトロでHEPG2細胞を溶解することができる完全機能的細胞傷害性T細胞をもたらした(図6)。caTCR-1-0のみを発現しているT細胞は、caTCR-1(caTCR-1-0又はcaTCR-1-TM5)及びCSR(約55%~約65%)の両方を発現しているものよりもはるかに少ない(約15%)特異的殺傷を有した。対照的に、特異的殺傷は、HEPG2-GPC3.KO標的細胞を使用するとき、caTCR及びCSRの両方を発現するT細胞については、約10%に減少し(図6)、これは、CSRとその標的リガンドとの結合が、増加した細胞傷害性に関与することを示している。
サイトカイン分泌
インビトロ殺傷実験の上清に放出されたサイトカインの濃度を、Bio-plex Pro Human Cytokine 8 plexキット(BioRad)を使用してBioplex200(Luminex)により測定した。CSR陽性及びcaTCR陽性T細胞は、caTCR標的抗原及びCSR標的リガンドの両方を発現するHEPG2標的細胞に対して、CA-TCR-1-0単独を発現するT細胞よりも、より多くの細胞傷害性のサイトカインを放出した(図7)。対照的に、CA-TCR-1-0単独又はcaTCR及びCSRの両方を発現しているT細胞の間では、CSR標的リガンドを欠くHEPG2-GPC3.KO標的細胞に対する差はほとんど又は全く差がなかった(図7)。
細胞内サイトカイン発現
T細胞を、分泌阻害剤ブレフェルジンA(BFA)の存在下で4時間、1:2のE:T比で、標的細胞(HEPG2)で刺激した。T細胞を透過処理し、サイトカイン特異的抗体を使用して、腫瘍刺激に応答して発現したサイトカインを検出した。サイトカイン陽性細胞のパーセントを、フローサイトメトリーを用いて決定した。CSR陽性及びcaTCR陽性T細胞は、ca-TCR-1-0単独を発現するT細胞よりも、より多くの細胞内サイトカインを発現した(表7)。
まとめると、結果は、CSRの添加が、異なるcaTCR標的抗原及びCSR標的リガンドを有するcaTCR+CSR T細胞の感度及び応答性を増加させることを示す。これらのCSR-caTCR個二重陽性T細胞で発現し放出されるサイトカインの量が増加すると、caTCR-1及びCSRの両方の共刺激がT細胞の細胞傷害性の可能性を上昇させる証拠を更に示す。
脱顆粒
T細胞を蛍光コンジュゲート抗CD107aと混合し、エンドサイトーシス阻害剤モネンシンの存在下で4時間、1:2のE:T比で、HEPG2標的細胞で刺激した。caTCR T細胞上のCSRの結合はT細胞脱顆粒を増加させ、CSRが治療用T細胞を意図された腫瘍細胞に向かってより反応性にすることを更に実証する(図8)。
増殖
T細胞を細胞内色素CFSEで標識し、指示された日で、染料希釈及び残っているCFSE陽性細胞の数を測定した。
それぞれのT細胞を一晩血清飢餓処理し、CellTrace CFSE(Thermo Fisher C34554)を用いてCFSEで標識した。100,000個のT細胞を、2:1のE:T比でインキュベートし、示された日に、フローサイトメトリーを使用してT細胞が分裂するときのCFSE色素の連続希釈を観察した。T細胞の総数をFACsで計数した。
CFSE希釈はCSR刺激により増加し、これらのT細胞はより高い増殖可能性を有したことを示した(図9)。重要なことに、細胞数の増加はまた、細胞がより良好に増殖するだけでなく、それらの持続性も維持されることを意味する(表8)。
結果は、本発明者らにより、CSR及びcaTCRの両方をリガンド陽性腫瘍細胞で同時に刺激することができ、CSR及びcaTCRの共刺激は、caTCR T細胞の細胞傷害性、増殖可能性、及び持続性を強化したことを示す。これらは全て、養子移植を用いてcaTCRに基づく治療の治療可能性を増加させる特性である。
実施例4抗CD19 caTCR-1及び抗CD20 CSRで形質導入されたT細胞の構築及び特性評価
抗CD20結合部分(配列番号60及び61)をコードする核酸断片を使用して、抗CD19結合部分(配列番号58及び59)を使用して生成される抗CD19caTCR-1-0又はcaTCR-1-TM5を発現する同じベクター上に発現させた、CD28膜貫通及び細胞内シグナル伝達配列(配列番号51)を含む抗CD20 CSR(すなわち、「CSR1」)を生成した。
インビトロでの殺傷
Raji、BV173、NALM6、及びJeko-1細胞(CD19及びCD20を発現する細胞株)を、2.5:1.のエフェクター対標的比でT細胞殺傷のための標的細胞として使用した。Cytox 96非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega)を使用して、16時間インキュベーション後に特異的T細胞溶解を測定した。
抗CD19-caTCR-1-0又は抗CD19-caTCR-1-TM5のいずれかでの抗CD20-CSRの発現は、インビトロで様々なCD19陽性細胞、CD20陽性腫瘍細胞を溶解することができる完全機能的細胞傷害性T細胞を作製した(図10)。
サイトカイン分泌
Rajiインビトロ殺傷実験の上清に放出されたサイトカインの濃度を、Bio-plex Pro Human Cytokine 8 plexキット(BioRad)を使用してBioplex200(Luminex)により測定した。CSR陽性及びcaTCR陽性T細胞は、CA-TCR-1-0単独を発現するT細胞よりも、より多くのGM-CSF、IFNγ、及びTNFαを放出した(図11)。
脱顆粒
T細胞を蛍光コンジュゲート抗CD107aと混合し、エンドサイトーシス阻害剤モネンシンの存在下で4時間、1:2のE:T比で、Raji標的細胞で刺激した。caTCR T細胞上のCSRの結合はT細胞脱顆粒を増加させ、CSRが治療用T細胞を意図された腫瘍細胞に向かってより反応性にすることを更に実証する(図12)。
実施例2~4は、CSRが、様々な抗原標的部分と組み合わせて使用されて、広範囲の疾患細胞に対してcaTCR発現T細胞の治療可能性を増加させることができるモジュール式分子であることを示す。
実施例5:抗CD19 caTCR-1及び抗CD19キメラ刺激受容体変異型で形質導入されたT細胞の構築及び特性評価
抗CD19結合部分をコードする核酸断片(配列番号58及び59)を使用して、キメラ共刺激受容体(CSR)及びcaTCR-1-0構築物(この実施例では、「caTCR-1」と称される)の両方を生成した。抗CD19結合部分をCSR配列に融合させることによって、異なるCSRを調製した。CSR1は、CD28膜貫通及び細胞内シグナル伝達配列(配列番号90)を含む。CSR2は、CD8膜貫通配列及び4-1BB細胞内(instracellular)シグナル伝達配列(配列番号91)を含む。CSR3は、4-1BB膜貫通及び細胞内シグナル伝達配列(配列番号92)を含む。CSR4は、CD8α膜貫通配列及びCD27細胞内シグナル伝達配列(配列番号93)を含む。CSR5は、CD27膜貫通及び細胞内シグナル伝達配列(配列番号94)を含む。CSR6は、CD8膜貫通配列及びCD30細胞内シグナル伝達配列(配列番号95)を含む。CSR7は、CD30膜貫通及び細胞内シグナル伝達配列(配列番号96)を含む。CSR8は、CD8膜貫通配列及びOX40細胞内シグナル伝達配列(配列番号97)を含む。CSR9は、OX40膜貫通及び細胞内シグナル伝達配列(配列番号98)を含む。
抗CD19 CSR単独で、又は抗CD19 CSRと組み合わせた抗CD19 caTCR-1で、初代培養T細胞を形質導入した。形質導入効率は、細胞表面染色によって決定され、全てのcaTCR形質導入T細胞は、モックT細胞と混合することにより、およそ40%の受容体陽性で一致した。
抗CD19 CSR単独を発現するT細胞
インビトロでの殺傷
Raji又はNALM6細胞を、2.5:1.のエフェクター対標的比でのT細胞刺激の標的細胞として使用した。Cytox 96非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega)を使用して、16時間インキュベーション後に特異的T細胞溶解を測定した。抗CD19 CSR-6、CSR-7、CSR-8、又はCSR-9単独を発現しているT細胞は、形質導入されていないモックT細胞と比較して、多くの数の殺傷された標的細胞をもたらさなかった(データ示さず)。
サイトカイン分泌
インビトロ殺傷反応の上清に放出されたサイトカインの濃度を、Bio-plex Pro Human Cytokine 8 plexキット(BioRad)を使用してBioplex200(Luminex)により測定した。抗CD19 CSR-6、CSR-7、CSR-8、又はCSR-9単独を発現するT細胞は、Raji又はNALM6と共にインキュベートされるときに有意な量のIFNγを放出しなかった(データ示さず)。
抗CD19 caTCR-1及び抗CD19 CSRを発現するT細胞
2つの異なる実験バッチでは、抗CD19 caTCR-1及び抗CD19 CSRの両方を発現するそれぞれのT細胞を一晩血清飢餓処理し、CellTrace CFSE(Thermo Fisher C34554)を用いてCFSEで標識した。T細胞を、2:1のE:T比でNALM6とインキュベートし、示された日に、フローサイトメトリーを使用してT細胞が分裂するときのCFSE色素の連続希釈を観察した。T細胞の総数をFACsで計数した。これらの実験を、第2のドナーから得られた初代培養T細胞を使用して繰り返した。同様の結果が観察された(データ示さず)。
抗CD19 caTCR-1及び抗CD19 CSRの両方を発現している全てのT細胞において、CFSE希釈を観察し、これらのT細胞の高い増殖可能性を示した(図14-15)。加えて、抗CD19 caTCR-1及び抗CD19 CSRの両方を発現しているT細胞は、10日間にわたって有意な持続性を示した(表9)。対照実験では、抗CD19 CSR-1から抗CD19 CSR-5mまでのいずれか1つを単独で発現しているT細胞は、経時的に、増殖可能性又は持続性の増加を示さなかった(データ示さず)。
実施例6:抗CD19 caTCR-1及び抗CD19 CSRで形質導入されたT細胞のインビボ有効性試験
抗CD19 caTCR-1及び抗CD19 CSR-1の両方を発現しているT細胞のインビボ抗腫瘍活性を、ヒトCD19+NALM-6プレB急性リンパ芽球性白血病(ALL)モデルで試験した。Luciferase発現NALM-6細胞を、NOD SCIDガンマ(NSG)免疫不全マウスに静脈内(i.v.)移植し、腫瘍由来生物発光を測定することにより、腫瘍量を評価した。腫瘍移植から6日後、マウスを、治療群への全生物発光流量に基づいて無作為化した:(1)5×106個の形質導入されていないドナーに適合した(Mock)T細胞のi.v.注射、(2)抗CD19 caTCR-1のみを発現する2×106個のT細胞(「caTCR-1 T細胞」)のi.v.注射、及び(3)抗CD19 caTCR-1及び抗CD19 CSR-1の両方を発現する2×106個のT細胞(「caTCR-1 CSR-1 T細胞」)のi.v.注射、(n=6マウス/群)。マウスにおけるT細胞注入から得られる健康効果を、それらの全身外観、体重、及び他の有害応答の臨床的徴候(低体温、努力性呼吸、及び後肢麻痺/衰弱を含む)をモニタリングすることによって評価した。
図16に示すように、caTCR-1 T細胞及びcaTCR-1 CSR-1 T細胞処理の両方が腫瘍増殖阻害をもたらす一方、caTCR-1 CSR-1 T細胞は、caTCR-1 T細胞と比較して抗腫瘍活性の増強を示した。全てのcaTCR-1 T細胞処理及びcaTCR-1 CSR-1 T細胞処理マウスは、試験期間にわたる正常な歩行、姿勢、及び活動/応答性を示した。加えて、caTCR-1 T細胞処理及びcaTCR-1 CSR-1 T細胞処理マウスは、試験中に体重を減少させなかった。全体として、処理されたマウスにおける観察可能な異常パラメーターの欠如は、caTCR-1 CSR-1 T細胞療法の安全性を示す。
インビボでのサイトカイン放出レベルを決定するために、臨床のサイトカイン放出症候群に関連するものを含む主要なサイトカインを、NALM-6腫瘍担持マウスに抗CD19 CAR-T細胞又はcaTCR-1 CSR-1 T細胞と共に投与した24時間後に分析した。BioRad Bio-Plexキットを使用して、Luminex Magpix技術によりサイトカインレベルを定量した。図17のcaTCR-1に示すように、CSR-1 T細胞処理マウスは、CAR-T処理マウスよりも顕著に低いサイトカイン放出レベルを有した。
実施例7:抗AFP caTCR-1及び抗GPC3 CSRで形質導入されたT細胞のインビボ有効性試験
抗AFP caTCR-1及び抗GPC3 CSR-1(構築物の情報について、実施例3を参照されたい)の両方を発現するT細胞のインビボ抗腫瘍活性を、確立されたヒトAFP+/HLA-A2+ Hep G2肝癌異種移植モデルにおいて試験した。Hep G2細胞を、SCID-Beigeマウスの右脇腹に皮下(s.c.)移植した。腫瘍が約100mm3に達したとき、マウスは、(1)5×106個の形質導入していないドナー一致(モック)T細胞、(2)同じ抗AFP結合部分を含む抗AFP CARを発現する2×106個のT細胞(配列番号62及び63)、又は(3)抗AFP caTCR-1及び抗GPC3 CSR-1(n=6マウス/群)の両方を発現する2×106個のT細胞のいずれかを腫瘍内注射した(n=6マウス/群)。マウスにおけるT細胞注入から得られる健康効果を、それらの全身外観、体重、及び他の有害応答の臨床的徴候(低体温、努力性呼吸、及び後肢麻痺/衰弱を含む)をモニタリングすることによって評価した。
図18に示すように、抗AFP CAR T細胞処理及び抗AFP caTCR-1/抗GPC3 CSR-1 T細胞処理の両方は、顕著かつ有意な(
***p<0.0001;Dunnettの多重比較試験)腫瘍増殖阻害をもたらした。全ての抗AFP CAR-T処理及び抗AFP caTCR-1/抗GPC3 CSR-1 T細胞処理マウスは、試験期間にわたる正常な歩行、姿勢、及び活動/応答性を示した。加えて、抗AFP CAR-T処理及び抗AFP caTCR-1/抗GPC3 CSR-1 T細胞処理マウスは、試験中に体重を減少させなかった。全体として、処理されたマウスにおける観察可能な異常パラメーターの欠如は、抗AFP caTCR-1/抗GPC3 CSR-1 T細胞療法の安全性を示す。