本出願は、一態様では、単離されたキメラ抗体/T細胞受容体構築物(本明細書で「caTCR」と呼ばれる)であって、標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、1つ以上の天然に存在しないTCR由来の膜貫通ドメインを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)とを含み、TCRMが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である、caTCRを提供する。別の態様では、本出願は、2つ以上の異なる標的抗原又はエピトープに特異的に結合する多重特異性(例えば、二重特異性)抗原結合モジュールと、天然に存在するか、又は天然に存在しないTCR由来の膜貫通ドメインを含むTCRMとを含むcaTCRを提供する。本明細書に記載されるcaTCRは、標的抗原を発現する疾患細胞を死滅させるために、ヒトT細胞を特異的に再方向付けさせる。標的抗原は、細胞表面で発現するタンパク質であってもよく、又はペプチドとMHCタンパク質とを含む複合体(本明細書では「pMHC複合体」又は「pMHC」と呼ばれる)、例えば、疾患細胞表面にあるMHC提示疾患関連抗原ペプチドであってもよい。caTCRは、T細胞受容体活性化を制御する天然に存在する機構によって制御されるが、天然に存在するT細胞受容体とは異なり、caTCRは、表面発現及び/又は機能を増強する改変を含む。
本願発明者らは、天然に存在するTCR配列のみを有する同様の構築物と比較して、表面発現及び/又は機能を改善した、TCR配列の天然に存在しない多様体を含む、一連の新規な合成キメラ抗体−TCR構築物を開発した。本願発明者らはまた、抗原の逃避を減らすために複数の標的抗原を特異的に認識する、多重特異性キメラ抗体−TCR構築物を開発した。caTCRは、T細胞表面上で効率的に発現させることができ、内在性CD3分子に会合して、安定なTCR様シグナル伝達複合体を形成することが示されている。T細胞において操作されると、caTCRは、MHC依存性(ペプチド/MHC抗原)の構成及びMHC非依存性(細胞表面抗原)の構成の両方で、in vitro及びin vivoの両方で、T細胞に、標的を有する腫瘍細胞に対する強力な細胞毒性を与えた。
したがって、本出願の一態様は、caTCR(例えば、単離されたcaTCR)であって、標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、1つ以上の天然に存在しないTCR由来の膜貫通ドメインを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)とを含み、TCRMが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である、caTCRを提供する。caTCRは、抗原結合モジュール及び/又はTCRMにおける様々な多数のフォーマットのうちのいずれかをとることができる。例えば、caTCRは、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv及びscFvからなる群から選択される部分を含む抗原結合モジュールと、膜貫通ドメイン、接続ペプチド及び細胞内ドメインのうち1つ以上が多様体を含み、α/β及び/又はγ/δ TCRに由来する1つ以上の天然に存在しない配列を有するTCRMと、を含んでいてもよい。例示的なcaTCR構築物の設計については、図1を参照のこと。
本出願の別の態様は、caTCRであって、(a)第1の標的抗原に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと第2の標的抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗原結合モジュールと、(b)第1のTCR−TMを含む第1のTCRD(TCRD1)と第2のTCR−TMを含む第2のTCRD(TCRD2)を含むTCRMとを含み、TCRMが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進する、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、第1の標的抗原はCD19であり、第2の標的抗原はCD22であるか、又は第1の標的抗原はCD22であり、第2の標的抗原はCD19である。いくつかの実施形態では、第1の標的抗原はCD19であり、第2の標的抗原はCD20であるか、又は第1の標的抗原はCD20であり、第2の標的抗原はCD22である。いくつかの実施形態では、TCRMは、1つ以上の天然に存在しないTCR由来の膜貫通ドメインを含む。例示的な多重特異性caTCR構築物の設計については、図13A〜13Eを参照のこと。
別の態様では、caTCRをコードする1つ以上の核酸が提供される。
更に別の態様では、caTCRと、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子とを含む、複合体(本明細書では、「caTCR−CD3複合体」と呼ばれる)が提供される。複合体は、caTCR、CD3δε、CD3γε及びζζといった4つの二量体を含む八量体であってもよい。caTCR又はcaTCR−CD3複合体を発現するか、又はこれに会合するエフェクター細胞(例えば、T細胞)も提供される。
更に別の態様では、caTCRを含む組成物が提供される。組成物は、caTCRを発現するか、又はこれに会合するcaTCR又はエフェクター細胞(例えば、caTCRを発現するT細胞)を含む医薬組成物であってもよい。
治療目的のために、caTCR(又はcaTCRを発現するか、若しくはこれに会合する細胞)を作製し、使用する方法、並びにこのような方法に有用なキット及び製造物品も提供される。更に、caTCR(又はcaTCRを発現するか、又はこれに会合する細胞)を用い、疾患を治療する方法が提供される。
定義
「抗体」又は「抗体部分」との用語は、完全長抗体及びその抗原結合フラグメントを含む。完全長抗体は、2つの重鎖と2つの軽鎖とを含む。軽鎖及び重鎖の可変領域は、抗原結合に関与する。両鎖の可変領域は、一般に、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる3つのきわめて可変性のループ(LC−CDR1、LC−CDR2及びLC−CDR3を含む軽鎖(LC)CDRと、HC−CDR1、HC−CDR2及びHC−CDR3を含む重鎖(HC)CDR)を含む。本明細書に開示される抗体及び抗原結合フラグメントのCDRの境界は、Kabat、Chothia、又はAl−Lazikaniによって定義又は同定されてもよい(Al−Lazikani 1997;Chothia 1985;Chothia 1987;Chothia 1989;Kabat 1987;Kabat 1991)。重鎖又は軽鎖の3つのCDRは、フレームワーク領域(FR)として知られるフランキング伸長部の間に挟まっており、CDRよりも高度に保存され、超可変ループを支えるための骨格を形成する。重鎖及び軽鎖の定常領域は、抗原結合には関与しないが、様々なエフェクター機能を示す。抗体は、重鎖の定常領域のアミノ酸配列に基づき、いくつかのクラスに割り当てられる。抗体の5つの主要なクラス又はアイソタイプは、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMであり、それぞれ、α、δ、ε、γ及びμ重鎖の存在によって特徴付けられる。主要な抗体クラスのいくつかは、例えば、lgG1(γ1重鎖)、lgG2(γ2重鎖)、lgG3(γ3重鎖)、lgG4(γ4重鎖)、lgA1(α1重鎖)又はlgA2(α2重鎖)などのサブクラスに分けられる。
「抗原結合フラグメント」との用語は、本明細書で使用される場合、例えば、ダイアボディ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvフラグメント、ジスルフィドで安定化されたFvフラグメント(dsFv)、(dsFv)2、二重特異性dsFv(dsFv−dsFv’)、ジスルフィドで安定化されたダイアボディ(dsダイアボディ)、一本鎖抗体分子(scFv)、scFv二量体(二価ダイアボディ)、1つ以上のCDRを含む抗体の一部から形成される多重特異性抗体、ラクダ化されたシングルドメイン抗体、ナノボディ、ドメイン抗体、二価ドメイン抗体、又は抗原に結合するが完全な抗体構造を含まない任意の他の抗体フラグメントを含む、抗体フラグメントを指す。抗原結合フラグメントは、親抗体又は親抗体フラグメント(例えば、親scFv)が結合するのと同じ抗原に結合することができる。いくつかの実施形態では、抗原結合フラグメントは、1つ以上の異なるヒト抗体由来のフレームワーク領域にグラフトした、特定のヒト抗体由来の1つ以上のCDRを含んでいてもよい。
本明細書で使用される場合、等モル濃度の第1の抗体部分存在下、第1の抗体部分が、第2の抗体部分の標的抗原結合を少なくとも約50%(例えば、少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又は99%のいずれか)まで阻害する場合、第1の抗体部分は、第2の抗体部分と、標的抗原への結合について「競合する」か、又はその逆が成り立つ。これらの交差競合に基づく抗体の「ビニング」のための高スループットプロセスは、PCT公開第WO 03/48731号に記載される。
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」又は「〜に特異的である」との用語は、生体分子を含めた異種分子集団の存在下で標的が存在することの指標となる、測定可能かつ再現性のある相互作用(例えば、標的と抗体又は抗体部分との間の結合)を指す。例えば、標的(エピトープであってもよい)に特異的に結合する抗体部分は、他の標的に対する結合よりも大きな親和性で、より大きなアビディティーで、より容易に、及び/又はより長時間、標的に結合する抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗原に特異的に結合する抗体部分は、抗原の1つ以上の抗原決定基(例えば、細胞表面抗原又はペプチド/MHCタンパク質複合体)と、他の標的に対する結合親和性の少なくとも約10倍の結合親和性で反応する。
「T細胞受容体」又は「TCR」との用語は、T細胞の表面上で対を形成するαβ鎖又はγδ鎖で構成されるヘテロ二量体受容体を指す。各α、β、γ、及びδ鎖は、相補性決定領域(CDR)を介して抗原認識を付与する可変ドメイン(V)と、次いで、接続ペプチド及び膜貫通(TM)領域によって細胞膜に固定される定常ドメイン(C)といった2つのIg様ドメインで構成される。TM領域は、CD3シグナル伝達装置のインバリアントなサブユニットと会合する。Vドメインはそれぞれ、3つのCDRを含む。これらのCDRは、主要組織適合抗原複合体(pMHC)によりコードされるタンパク質に結合した抗原ペプチド間の複合体と相互作用する(Davis及びBjorkman(1988)Nature、334、395−402;Davisら(1998)、Annu Rev Immunol、16、523−544;Murphy(2012)、xix、868p)。
「TCR関連シグナル伝達分子」との用語は、TCR−CD3複合体の一部である細胞質免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(ITAM)を有する分子を指す。TCR関連シグナル伝達分子としては、CD3γε、CD3δε、及びζζ(CD3ζ又はCD3ζζとしても知られる)が挙げられる。
「活性化」は、本明細書で、CD3を発現する細胞に関連して使用される場合、限定されないが、細胞増殖及びサイトカイン産生を含め、下流のCD3シグナル伝達経路のエフェクター機能を検出可能なほどに増強するのに十分に刺激を受けた細胞の状態を指す。
「モジュール」との用語は、タンパク質又はタンパク質の一部を指すとき、1つ以上のポリペプチド鎖(例えば、二量体タンパク質又は二量体タンパク質の一部)を含むことを意味する。1つ以上の鎖は、リンカー(例えば、ペプチドリンカー)又は化学結合(例えば、ペプチド結合)などによって接続していてもよい。「モジュール」はまた、タンパク質を構成する1つ以上のポリペプチドの構造及び/又は機能に関連する部分を含むことも意味する。例えば、二量体受容体の膜貫通モジュールは、膜にまたがる受容体の各ポリペプチド鎖の部分を指していてもよい。モジュールはまた、単一のポリペプチド鎖の関連部分を指す場合もある。例えば、単量体受容体の膜貫通モジュールは、膜にまたがる受容体の単一のポリペプチド鎖の部分を指していてもよい。モジュールはまた、ポリペプチドの単一部分のみを含んでもよい。
「単離された」構築物(例えば、caTCR)は、本明細書で使用される場合、(1)自然界で見出されるタンパク質と会合しておらず、(2)同じ供給源に由来する他のタンパク質を含まず、(3)異なる種に由来する細胞によって発現されるか、又は(4)自然界では生じない構築物を指す。
「単離された核酸」との用語は、本明細書で使用される場合、ゲノム、cDNA、又は合成された核酸、又はこれらのいくつかの組み合わせを意味することを意図し、その由来という観点で、「単離された核酸」は、(1)「単離された核酸」が天然に見出されるポリヌクレオチドの全て又は一部に会合していない、(2)天然では接続されていないポリヌクレオチドに作動可能に接続されている、又は(3)天然ではより大きな配列の一部として生じない。
本明細書で使用される場合、「CDR」又は「相補性決定領域」との用語は、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見出される非連続な抗原結合部位を意味することを意図する。これらの具体的な領域は、Kabatら、J.Biol.Chem.252:6609−6616(1977);Kabatら、U.S.Dept.of Health and Human Services、「Sequences of proteins of immunological interest」(1991);Chothiaら、J.Mol.Biol.196:901−917(1987);Al−Lazikani B.ら、J.Mol.Biol.、273:927−948(1997);MacCallumら、J.Mol.Biol.262:732−745(1996);Abhinandan及びMartin、Mol.Immunol.、45:3832−3839(2008);Lefranc M.P.ら、Dev.Comp.Immunol.、27:55−77(2003);及びHonegger及びPlueckthun、J.Mol.Biol.、309:657−670(2001)によって記載されており、この定義は、互いに比較したときに、アミノ酸残基の重なり合い又は部分集合を含む。しかしながら、抗体又はグラフト化した抗体又はこれらの多様体のCDRを指すためのいずれかの定義の適用は、本明細書で定義され、本明細書で使用される用語の範囲内であることが意図される。上に引用した参照文献のそれぞれによって定義されるCDRを包含するアミノ酸残基を、比較として以下の表1に記載する。CDR予測アルゴリズム及びインターフェースは、当該技術分野において既知であり、例えば、Abhinandan及びMartin、Mol.Immunol.、45:3832−3839(2008);Ehrenmann F.ら、Nucleic Acids Res.、38:D301−D307(2010);及びAdolf−Bryfogle J.ら、Nucleic Acids Res.、43:D432−D438(2015)を含む。本段落で引用される参考文献の内容は、本発明で使用するため、また、本明細書の1つ以上の特許請求の範囲に可能ならば包含するため、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
1残基の付番は、上掲のKabatらの命名法に従う。
2残基の付番は、上掲のChothiaらの命名法に従う。
3残基付番は、上掲のMacCallumらの命名法に従う。
4残基の付番は、上掲のLefrancらの命名法に従う。
5残基の付番は、上掲のHonegger及びPlueckthunの命名法に従う。
用語「キメラ抗体」は、本発明の生物活性を示すものであるという条件で、重鎖及び/又は軽鎖が、特定の種に由来する抗体又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一であり又は相同であり、なおかつ鎖の残部は別の種に由来する抗体又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体、及び係る抗体のフラグメントと同一である又は相同である抗体を指す(米国特許第4,816,567号、及びMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851−6855(1984)を参照)。
抗体又は抗体部分を参照して、「半合成」との用語は、その抗体又は抗体部分が、1つ以上の天然に存在する配列と、1つ以上の天然に存在しない(すなわち、合成の)配列とを有することを意味する。
抗体又は抗体部分を参照して、「完全合成」との用語は、その抗体又は抗体部分が、定型的なものであり、大部分又は全てが天然に存在するVH/VLフレームワーク対を有するが、重鎖及び軽鎖の両方の6つCDRの全てが天然には存在しない(すなわち、合成の)配列を有することを意味する。天然に存在しないCDRとしては、改変されたヒトCDR配列を含むもの、例えば、保存的アミノ酸置換又はシステイン残基の導入によって改変されたCDR配列が挙げられる。
非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体に由来する最小配列を含むキメラ抗体である。大部分について、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域(HVR)に由来する残基が、所望の抗体特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ、又はヒト以外の霊長類などのヒト以外の種(ドナー抗体)の超可変領域に由来する残基によって置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)の残基は、ヒトのものではない対応する残基によって置き換わっている。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体中又はドナー抗体中に見出されない残基を含んでいてもよい。これらの改変は、抗体性能を更に改良するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含んでいてもよく、超可変ループの全て又は実質的に全ては、ヒト以外の免疫グロブリンのものと対応し、FRの全て又は実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、場合により、免疫グロブリン(典型的には、ヒト免疫グロブリンの)定常領域(Fc)の少なくとも一部も含むだろう。更なる詳細については、Jonesら、Nature 321:522−525(1986);Riechmannら、Nature 332:323−329(1988);及びPresta、Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)を参照。
「ホモロジー」は、2つのポリペプチド間又は2つの核酸分子間の配列類似性又は配列同一性を指す。2つの比較配列の両方の位置が、同じ塩基又はアミノ酸単量体サブユニットによって占有される場合、例えば、2つのDNA分子のそれぞれの位置がアデニンによって占有される場合、分子は、その位置において「相同」である。2つの配列間の「相同性(%)」又は「配列同一性(%)」は、配列同一性の一部として任意の保存的置換を考慮しつつ、2つの配列によって共有される一致する位置又は相同な位置の数を、比較した位置の数によって割り算し、100を掛け算した関数である。例えば、2つの配列中の位置の10のうち6が一致しているか、又は相同である場合、2つの配列は、60%相同性である。例として、DNA配列ATTGCC及びTATGGCは、50%の相同性を共有する。一般に、相同性が最大となるように2つの配列をアラインメントして、比較が行われる。アミノ酸配列同一性率を決定する目的のためのアラインメントは、当該技術分野における様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGN、Megalign(DNASTAR)又はMUSCLEソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを用いて達成することができる。当業者は、比較される配列の完全長にわたって最大のアラインメントを得るのに必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメント評価用の適切なパラメーターを決定することができる。しかしながら、本明細書の目的のために、アミノ酸配列同一性%の値は、配列比較コンピュータプログラムMUSCLEを用いて作成される(Edgar,R.C.、Nucleic Acids Research 32(5):1792−1797、2004;Edgar,R.C.、BMC Bioinformatics 5(1):113、2004)。
ヒトIgGの「CH1ドメイン」(「H1」ドメインの「C1」とも呼ばれる)は、通常、アミノ酸約118〜アミノ酸約215まで延在する(EU番号付けシステム)。
別途記載のない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いに縮重態様であり、同じアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列を含む。句「タンパク質又はRNAをコードするヌクレオチド配列」は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列が、ある態様でイントロンを含む程度まで、イントロンも含んでいてもよい。
「作動可能に接続した」との用語は、異種核酸配列の発現をもたらす、制御配列と異種核酸配列との間の機能的接続を指す。例えば、第1の核酸配列が、第2の核酸配列と機能的な関係で配置されるとき、第1の核酸配列は、第2の核酸配列と作動可能に接続する。例えば、プロモーターがコード配列の転写又は発現に影響を与える場合、プロモーターは、コード配列に作動可能に接続する。一般的に、作動可能に接続したDNA配列は、連続的であり、2つのタンパク質コード領域を接続することが必要とされる場合、同じリーディングフレーム内にある。
「誘導プロモーター」との用語は、1つ以上の特定のシグナルを加えるか、又は除去することによって活性を制御可能なプロモーターを指す。例えば、誘導プロモーターは、例えば、プロモーターを活性化させるか、及び/又はプロモーターの抑制を緩和する誘導剤の存在下、特定の一連の条件下で、作動可能に接続した核酸の転写を活性化できる。
本明細書で使用される場合、「治療」又は「治療する」は、臨床結果を含めて有益な結果又は所望の結果を得るための手法である。本発明の目的のために、有益な又は所望の臨床結果には、以下のうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない。疾患から生じる1つ以上の症状を軽減すること、疾患の程度を低減させること、疾患を安定させること(例えば、疾患の悪化を防止するか、又は遅らせること)、疾患の広がり(例えば、転移)を防止するか、又は遅らせること、疾患の再発を防止するか、又は遅らせること、疾患の進行を遅らせるか、又はゆっくりにすること、疾患状態を軽減すること、疾患の寛解(部分的又は完全に)をもたらすこと、疾患を治療するために必要な1つ以上の他の医薬の用量を減らすこと、疾患の進行を遅らせること、生活の質を高めるか、又は向上させること、体重増加を高めること、及び/又は生存期間を延ばすこと。また、「治療」に包含されるのは、疾患に関する病理学的結果(例えば、癌における腫瘍体積など)の低減である。本発明の方法は、治療のこれらの態様のうちのいずれか1つ以上を企図する。
「再発(recurrence)」、「再発する(relapse)」又は「再発する(relapsed)」との用語は、疾患が消失したとする臨床評価の後の癌又は疾患の戻りを指す。遠隔転移又は局所再発の診断は、再発とみなすことができる。
「難治性」又は「抵抗性」との用語は、治療に応答しない癌又は疾患を指す。
本明細書に開示されるcaTCR又はcaTCRを含む組成物の「有効量」は、具体的に記載された目的を実現するのに十分な量である。「有効量」は、経験的に、また、記載された目的に関連する既知の方法によって決定することができる。
「治療に有効な量」との用語は、個体において疾患又は障害を「治療する」のに有効な、本明細書に開示されるcaTCR又はcaTCRを含む組成物の量を指す。癌の場合、治療に有効な量の本明細書に開示されるcaTCR又はcaTCRを含む組成物は、癌細胞の数を低減することができ、腫瘍の大きさ又は重量を小さくすることができ、末梢臓器への癌細胞浸潤を阻害する(すなわち、ある程度まで遅くさせ、好ましくは停止する)ことができ、腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度まで遅くさせ、好ましくは停止する)ことができ、腫瘍成長をある程度まで阻害することができ、及び/又は癌に関連する症状のうち1つ以上をある程度まで緩和することができる。本明細書に開示されるcaTCR又はcaTCRを含む組成物は、増殖を防止し、及び/又は既存の癌細胞を死滅させることができ、細胞増殖抑制性及び/又は細胞毒性であってもよい。いくつかの実施形態では、治療有効量は、増殖抑制量である。いくつかの実施形態では、治療有効量は、患者の無増悪生存率を改善する量である。ウイルス感染などの感染性疾患の場合、治療に有効な量の本明細書に開示されるcaTCR又はcaTCRを含む組成物は、病原体に感染した細胞の数を低減することができ、病原体由来抗原の産生又は放出を低減することができ、病原体の非感染細胞への伝播を阻害し(すなわち、ある程度遅くさせ、好ましくは停止する)、及び/又は感染に関連する1つ以上の症状をある程度緩和することができる。いくつかの実施形態では、治療有効量は、患者の生存期間を延ばす量である。
本明細書で使用されるとき、「医薬的に許容される」又は「薬理的に適合される」は、生物学的又は非生物学的に望ましくないものではない物質を意味し、例えば、その物質を、望まれない生物学的影響をほとんど起こさずに、又は、それが含有される組成物の別のなんらかの構成成分と悪い相互作用をせずに、患者に投与される医薬組成物中に組み込むことができる。医薬的に許容される担体又は賦形剤は、好ましくは、必要な毒性学的及び製造的検査基準を満たしており、並びに/又は、U.S.Food and Drug administrationが作成したInactive Ingredient Guideに含まれている。
本明細書に記載の本発明の実施形態は、実施形態「からなる」及び/又は「から本質的になる」を含むことを理解されたい。
本明細書に記載の「約」のついた値又はパラメーターへの言及は、値又はパラメーター自体を対象とする変形を含む(及び記載する)。例えば、「約X」に言及する説明は、「X」の説明を含む。
本明細書で使用するとき、「〜されない」などの否定(not)を伴うある値又はパラメーターへの言及は、その値又はパラメーター「以外」が肯定されることを一般に意味し、記載する。例えば、「方法は、タイプXの癌を治療するのに使用されない」は、「方法は、X以外のタイプの癌を治療するのに使用される」を意味する。
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」で使用するとき、単数形の「a」、「or」、及び「the」は、文脈から単数であることが明確に読み取れる場合を除き、対象の複数形も含まれるものとする。
キメラ抗体/T細胞受容体(caTCR)構築物
一態様では、本発明は、標的抗原に特異的なキメラ抗体/T細胞受容体(caTCR)であって、標的抗原(細胞表面抗原又はペプチド/MHC複合体など)に特異的に結合し、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子(例えば、CD3δε、CD3γε及び/又はζζ)を動員することが可能であり、caTCRが、少なくとも1つの天然に存在しないTCRドメイン(例えば、天然に存在しないTCR膜貫通ドメイン)を含む、caTCRを提供する。例えば、いくつかの実施形態では、TCRMは、1つ又は2つの天然に存在しないTCR膜貫通ドメインを含む。天然に存在しないTCRドメインは、1つ以上のアミノ酸の置換により、及び/又は対応するドメインの一部と、別のTCRからの類似したドメインの一部とを置き換えることにより改変された、天然に存在するTCRの対応するドメインであってもよい。
一態様では、本発明は、2つ以上の標的抗原又はエピトープ(2つの異なる細胞表面抗原など)に特異的に結合し、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子(例えば、CD3δε、CD3γε及び/又はζζ)を動員することが可能な、多重特異性caTCRを提供する。いくつかの実施形態では、多重特異性抗原結合モジュールは、二重可変ドメイン(DVD)、クロスオーバー二重可変(CODV)ドメイン、又はscFv−Fab融合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、多重特異性抗原結合モジュールは、第1のFv及び第2のFv、第1のscFv及び第2のscFv、又はFab及びscFvを含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、1つ以上の天然に存在しないTCRドメイン(例えば、天然に存在しないTCR膜貫通ドメイン)を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に存在しないTCR膜貫通ドメインを含まない。
本明細書に記載のcaTCRは、抗原特異性を与える抗原結合モジュール(例えば、単一特異性又は多重特異性の抗原結合モジュール)と、CD3の動員及びシグナル伝達を可能にするT細胞受容体モジュール(TCRM)とを含む。抗原結合モジュールは、天然に存在するT細胞受容体抗原結合部分ではない。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、TCRM中のポリペプチド鎖のアミノ末端に結合している。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。TCRMは、αβ及び/又はγδ TCRなどの1つ以上のTCRの膜貫通ドメイン(TCR−TM)に由来する膜貫通モジュールを含み、場合により、TCRの接続ペプチド又はそのフラグメント及び/又は1つ以上のTCR細胞内ドメイン又はそのフラグメントの一方又は両方を更に含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、2つのポリペプチド鎖を含み、各ポリペプチド鎖は、アミノ末端からカルボキシ末端まで、接続ペプチド、膜貫通ドメインを含み、場合により、TCR細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖とを含み、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖が合わさって抗原結合モジュールとTCRMを形成する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖は、別個のポリペプチド鎖であり、caTCRは、多量体(例えば、二量体)である。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖は、例えば、ペプチド結合によって、又は別の化学結合(例えば、ジスルフィド結合)によって、共有結合している。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、caTCRは、1つ以上のT細胞共刺激シグナル伝達配列を更に含む。1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、個々に、例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含め、共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部であってもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、第1のTCR−TMと第1のTCR細胞内ドメインとの間、及び/又は第2のTCR−TMと第2のTCR細胞内ドメインとの間にある。いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに対してカルボキシ末端にある。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインとを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、抗原結合モジュールとTCRMとの間に位置している。いくつかの実施形態では、caTCRは、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサーモジュールは、2つのcaTCRモジュール又はドメインを接続する1つ以上のペプチドリンカーを含む。
本明細書に記載のcaTCRは、天然に存在しない膜貫通ドメインを含むcaTCR及び多重特異性caTCRを含め、この章に記載の1つ以上の特徴を有し得るものである。本明細書に記載されるcaTCRのそれぞれの構成要素(例えば、抗原結合モジュール、TCRD、TCR−TM、スペーサーモジュール、安定化モジュール、T細胞共刺激配列及び様々なリンカーなど)についての特徴のいずれも、それぞれの組み合わせ及び全ての組み合わせが個々に記載されているかのように、互いに組み合わせることができることが意図されている。
いくつかの実施形態では、抗原結合モジュール(例えば、抗体部分)は、(a)他の分子に対する結合親和性の少なくとも約10倍(例えば、少なくとも約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、750倍、1000倍のいずれか、又はもっと多くを含む)の親和性で標的抗原に特異的に結合するか、又は(b)他の分子に対する結合のKdの約1/10以下(例えば、1/10以下、1/20以下、1/30以下、1/40以下、1/50以下、1/75以下、1/100以下、1/200以下、1/300以下、1/400以下、1/500以下、1/750以下、1/1000以下のいずれか、又はもっと小さい)のKdで標的抗原に特異的に結合する。結合親和性は、ELISA、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析、又は放射線免疫沈降アッセイ(RIA)などの当該技術分野において既知の方法によって求めることができる。Kdは、例えばBiacore機器を利用する表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ、又は例えばSapidyne装置を利用する動的排除アッセイ(KinExA)などの当該技術分野で既知の方法によって求めることができる。
安定化ドメインの例としては、Fc領域;ヒンジ領域;CH3ドメイン;CH4ドメイン;CH1又はCLドメイン;ロイシンジッパードメイン(例えば、jun/fosロイシンジッパードメイン、例えば、Kostelneyら、J.Immunol、148:1547−1553、1992を参照;又は酵母GCN4ロイシンジッパードメイン);イソロイシンジッパードメイン;細胞表面受容体(例えば、インターロイキン−8受容体(IL−8R)を二量体化する二量体化領域;又はLFA−1又はGPIIIb/IIIaなどのインテグリンヘテロ二量体);分泌される二量体化リガンドの二量体化領域(例えば、神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン−3(NT−3)、インターロイキン−8(IL−8)、血管内皮増殖因子(VEGF)又は脳由来神経栄養因子(BDNF);例えば、Arakawaら、J.Biol.Chem.269:27833−27839、1994及びRadziejewskiら、Biochem.32:1350、1993);コイル状コイル二量体化ドメイン(例えば、WO2014152878号を参照;Fletcherら、ACS Synth.Biol.1:240−250、2012;及びThomasら、J.Am.Chem.Soc.135(13):5161−5166、2013を参照);ポリペプチドと、少なくとも1つのシステイン残基を含む第2のポリペプチドとの間にジスルフィド結合を形成し得るような、少なくとも1つのシステイン残基(例えば、約1、2又は3個から約10個までのシステイン残基)を含むポリペプチドが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のTCRMは、(a)第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のT細胞受容体ドメイン(TCRD)と、(b)第2のTCR−TMを含む第2のTCRDとを含み、TCRMが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進し、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMが、天然に存在するものである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のTCRMは、(a)第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のT細胞受容体ドメイン(TCRD)と、(b)第2のTCR−TMを含む第2のTCRDとを含み、TCRMが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進し、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMが、天然に存在しないものである。いくつかの実施形態では、TCR−TMは両方とも、天然に存在しないものである。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TMは、天然に存在するT細胞受容体(例えば、αβTCR又はγδTCR)の膜貫通ドメインの1つに由来し、第2のTCR−TMは、天然に存在するT細胞受容体の他の膜貫通ドメインに由来する。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に存在するT細胞受容体の膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。TCR関連シグナル伝達分子の動員は、TCR−CD3複合体表面発現のFACS分析、又はCD3サブユニットとcaTCRとの同時免疫沈降など、当該技術分野において既知の方法によって求めることができる。
例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のTCRMの第1のTCR−TMは、TCRα鎖の膜貫通ドメイン(例えば、GenBank寄託番号:CCI73895)又はその多様体を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなり、TCRMの第2のTCR−TMは、TCRβ鎖の膜貫通ドメイン(例えば、GenBank寄託番号:CCI73893)又はその多様体を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TMは、TCRδ鎖の膜貫通ドメイン(例えば、GenBank寄託番号:AAQ57272)又はその多様体を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなり、第2のTCR−TMは、TCRγ鎖の膜貫通ドメイン(例えば、GenBank寄託番号:AGE91788)又はその多様体を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のTCRMの第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、それぞれ、TCRα鎖定常ドメイン(例えば、配列番号1)の膜貫通ドメイン又はその多様体及びTCRβ鎖定常ドメイン(例えば、配列番号2)の膜貫通ドメイン又はその多様体を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、それぞれ、TCRδ鎖定常ドメイン(例えば、配列番号3)の膜貫通ドメイン又はその多様体及びTCRγ鎖定常ドメイン(例えば、配列番号4)の膜貫通ドメイン又はその多様体を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、それぞれ、配列番号5及び6のアミノ酸配列、又はその多様体を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、それぞれ、配列番号7及び8のアミノ酸配列、又はその多様体を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。膜貫通ドメインの多様体としては、限定されないが、参照配列と比較して、1つ以上のアミノ酸置換を有する膜貫通ドメインが挙げられる。いくつかの実施形態では、多様体膜貫通ドメインは、参照配列と比較して、5個以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、膜貫通ドメインに対してアミノ末端に第1の接続ペプチドを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、膜貫通ドメインに対してアミノ末端に第2の接続ペプチドを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ、TCRα鎖定常ドメイン(配列番号1)の接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体及びTCRβ鎖定常ドメイン(配列番号2)の接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び/又は第2の接続ペプチドは、それぞれ、配列番号27又は28の接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体及び配列番号29又は30の接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含むか、これらから本質的になるか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び/又は第2の接続ペプチドは、それぞれ、TCRδ鎖定常ドメイン(例えば、配列番号3)の接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体及びTCRγ鎖定常ドメイン(例えば、配列番号4)の接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び/又は第2の接続ペプチドは、それぞれ、配列番号31又は32の接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体及び配列番号33又は34の接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含むか、これらから本質的になるか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR−TMに対してカルボキシ末端に第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR−TMに対してカルボキシ末端に第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメインは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインの全て又は一部、又はその多様体を含み、及び/又は第2のTCR細胞内ドメインは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインの全て又は一部、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第2のTCR細胞内ドメインは、配列番号35〜36のアミノ酸配列又はその多様体のうち、いずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、天然に存在するTCRの1つの鎖のフラグメント又はその多様体であり、及び/又は第2のTCRDは、天然に存在するTCRの他の鎖のフラグメント又はその多様体である。いくつかの実施形態では、TCRDのうち少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、第1のTCRDと第2のTCRDは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDと第2のTCRDは、第1の接続ペプチド中の残基と第2の接続ペプチド中の残基との間のジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζのそれぞれを動員して、caTCR−CD3複合体を形成することが可能である(すなわち、caTCR−CD3複合体形成を促進する)。
想定されるcaTCR構築物としては、例えば、細胞表面抗原に特異的に結合するcaTCR、細胞表面提示ペプチド/MHC複合体に特異的に結合するcaTCR、及び細胞表面抗原と細胞表面提示ペプチド/MHC複合体の両方に特異的に結合するcaTCRが挙げられる。
いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、単一特異性である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、多重特異性である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、二重特異性である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、タンデムscFv、ダイアボディ(Db)、単鎖ダイアボディ(scDb)、二重親和性再標的化(DART)抗体、二重可変ドメイン(DVD)抗体、化学的に架橋した抗体、ヘテロ多量体抗体又はヘテロコンジュゲート抗体である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ペプチドリンカーによって結合した2つのscFvを含むタンデムscFvである。いくつかの実施形態では、抗体部分は、直接的に結合していない2つのscFvである。いくつかの実施形態では、抗体部分は、完全にヒトのもの、ヒト抗体フレームワーク領域を有する半合成のもの、又はヒト化されたものである。
いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、VH抗体ドメインを含む第1の抗原結合ドメインと、VL抗体ドメインを含む第2の抗原結合ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、VH抗体ドメイン及びVL抗体ドメインのCDRは、同じ抗体部分に由来する。いくつかの実施形態では、VH抗体ドメイン及びVL抗体ドメインのCDRの一部は、異なる抗体部分に由来する。いくつかの実施形態では、VH抗体ドメイン及び/又はVL抗体ドメインは、ヒト、ヒト化、キメラ、半合成、又は完全に合成されたものである。
いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、完全なヒト配列と1つ以上の合成領域とを含む、半合成の抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、完全なヒトVLと、完全なヒトFR1、HC−CDR1、FR2、HC−CDR2、FR3及びFR4領域と合成HC−CDR3とを含む半合成VHとを含む、半合成の抗体部分である。いくつかの実施形態では、半合成VHは、約5〜約25(例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25のいずれか)のアミノ酸長の配列を含む、完全に合成のHC−CDR3を含む。いくつかの実施形態では、半合成VH又は合成HC−CDR3は、約5〜約25(例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25のいずれか)のアミノ酸長の配列を含む完全に合成のHC−CDR3を含む、半合成ライブラリー(例えば、半合成ヒトライブラリー)から得られ、この配列中のそれぞれのアミノ酸は、互いに独立して、システインを除く標準的なヒトアミノ酸から無作為に選択される。いくつかの実施形態では、合成HC−CDR3は、約10〜約19(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19のいずれか)のアミノ酸長である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、半合成VLと半合成VHとを含む、半合成抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、固定されたヒトVH/VLフレームワーク対を含むが、重鎖及び軽鎖両方の6個のCDR全てについて無作為な合成配列を含む、完全に合成の抗体部分である。
抗原結合モジュールは、いくつかの実施形態では、1つ以上の抗体部分(例えば、モノクローナル抗体)に由来する特定のCDR配列、又は1つ以上のアミノ酸置換を含むこのような配列の特定の多様体を含む、抗体部分である。いくつかの実施形態では、多様体配列中のアミノ酸置換は、抗原結合モジュールが標的抗原に結合する能力を実質的に低下させない。標的抗原結合親和性を実質的に改善するか、又は標的抗原の関連する多様体との特異性及び/又は交差反応性などのいくつかの他の特性に影響を与える改変も想定される。
いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、抗体部分に由来する。例えば、いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、CH1抗体ドメイン又はその多様体を含む第1の安定化ドメインと、CL抗体ドメイン又はその多様体を含む第2の安定化ドメインとを含む。別の実施形態では、安定化モジュールは、CH3抗体ドメイン又はその多様体を含む第1の安定化ドメインと、CH3抗体ドメイン又はその多様体を含む第2の安定化ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、安定化モジュールに含まれる抗体重鎖定常ドメイン(例えば、CH1又はCH3)は、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)、IgA(例えば、IgA1又はIgA2)、IgD、IgM又はIgE重鎖、場合により、ヒトに由来する。いくつかの実施形態では、安定化モジュールに含まれる抗体重鎖定常ドメイン(例えば、CH1又はCH3)は、その由来となる配列と比較して、1つ以上の改変(例えば、アミノ酸置換、挿入及び/又は欠失)を含む多様体である。いくつかの実施形態では、安定化モジュールに含まれる抗体軽鎖定常ドメイン(CL)は、κ軽鎖又はλ軽鎖に由来し、場合により、ヒトのものに由来する。いくつかの実施形態では、安定化モジュールに含まれる抗体軽鎖定常ドメイン(例えば、CL)は、その由来となる配列と比較して、1つ以上の改変(例えば、アミノ酸置換、挿入及び/又は欠失)を含む多様体である。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び/又は第2の安定化ドメインは、互いに対する結合親和性を実質的に変えない1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び/又は第2の安定化ドメインは、互いに対する結合親和性を高め、及び/又は天然に存在しないジスルフィド結合を導入する1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、穴にノブを入れる(knob-into-hole)改変を含む(例えば、Carter P.J Immunol Methods.248:7−15、2001を参照)。例えば、いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、穴にノブを入れる改変を含む抗体定常ドメイン領域(例えば、CH3ドメイン)を含む。いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、その会合を高めるための静電的ステアリングによって改変された抗体定常ドメイン領域(例えば、CH3ドメイン)を含む(例えば、WO2006106905号及びGunasekaran Kら、J Biol Chem.285:19637−46、2010を参照)。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。
いくつかの実施形態では、caTCRは、本明細書に記載のTCRMに結合する本明細書に記載の抗原結合モジュールを含み、場合により、安定化モジュールを含む。例えば、いくつかの実施形態では、caTCRは、TCRDの一方又は両方のN末端に結合した抗原結合モジュールを含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、TCRMと抗原結合モジュールとの間に安定化モジュールを含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサーモジュールは、約5〜約70(例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65又は70のいずれか、これらの値の間にある任意の範囲を含む)のアミノ酸長の1つ以上のペプチドリンカーを含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、1つ以上のアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアクセサリー細胞内ドメインは、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに対してカルボキシ末端にある。いくつかの実施形態では、1つ以上のアクセサリー細胞内ドメインは、第1のTCR−TMと第1のTCR細胞内ドメインとの間、及び/又は第2のTCR−TMと第2のTCR細胞内ドメインとの間にある。いくつかの実施形態では、1つ以上のアクセサリー細胞内ドメインは、個々に、TCR共刺激ドメインを含む。いくつかの実施形態では、TCR共刺激ドメインは、免疫共刺激分子(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、CD83と特異的に結合するリガンドなど)の細胞内ドメインの全て又は一部を含む。いくつかの実施形態では、TCR共刺激ドメインは、配列番号49〜51のアミノ酸配列の全て又は一部又はその多様体を含む。
いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、細胞表面抗原は、タンパク質、炭水化物及び脂質からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、細胞表面抗原は、疾患細胞中で発現される疾患関連抗原である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、ペプチドとMHCタンパク質とを含む複合体に特異的に結合する。ペプチド/MHC複合体としては、例えば、疾患細胞内で発現する疾患関連抗原に由来するペプチドと、MHCタンパク質とを含む、表面提示複合体が挙げられる。いくつかの実施形態では、完全長疾患関連抗原は、疾患細胞表面上で通常は発現しない(例えば、疾患関連抗原は、細胞内タンパク質又は分泌タンパク質である)。いくつかの実施形態では、疾患は癌であり、疾患関連抗原は、癌細胞中で発現される腫瘍関連抗原である。いくつかの実施形態では、腫瘍関連抗原は、癌タンパク質である。いくつかの実施形態では、癌タンパク質は、癌原遺伝子における変異の結果であり、癌タンパク質は、変異を含むネオエピトープを含む。例えば、いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、細胞表面腫瘍関連抗原(例えば、ネオエピトープを含む癌タンパク質)に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、癌細胞表面上で通常は発現しない腫瘍関連抗原(例えば、細胞内抗原又は分泌型の腫瘍関連抗原)に由来するペプチド(例えば、ネオエピトープを含む癌タンパク質)とMHCタンパク質とを含む複合体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、疾患はウイルス感染であり、疾患関連抗原は、感染細胞において発現されるウイルス関連抗原である。例えば、いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、細胞表面ウイルス関連抗原と特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、ウイルスに感染した細胞表面上で通常は発現しないウイルス関連抗原(例えば、細胞内抗原又は分泌型腫瘍関連抗原)に由来するペプチドとMHCタンパク質とを含む複合体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、caTCR構築物は、約0.1pM〜約500nM(例えば、約0.1pM、1.0pM、10pM、50pM、100pM、500pM、1nM、10nM、50nM、100nM又は500nMのいずれか、これらの値の間にある任意の範囲を含む)のKdで、標的抗原に結合する。
いくつかの実施形態では、caTCRは、細胞表面抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールを含み、細胞表面抗原は、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D又はFCRL5であり、これらの多様体又は変異体を含む。全長抗原(例えば、細胞表面抗原)に対する特異的な結合は、「非MHC制限結合」と呼ばれることがある。
いくつかの実施形態では、caTCRは、ペプチドとMHCタンパク質とを含む複合体に特異的に結合する抗原結合モジュールを含み、このペプチドは、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAからなる群から選択されるタンパク質に由来し、これらの多様体又は変異体を含む。ペプチドとMHCタンパク質とを含む複合体に対する特異的な結合は、「MHC制限結合」と呼ばれることがある。
いくつかの実施形態では、caTCRは、疾患関連抗原(腫瘍関連抗原又はウイルスによってコードされる抗原など)に由来するペプチドとMHCクラスIタンパク質とを含む複合体に特異的に結合する抗原結合モジュールを含み、MHCクラスIタンパク質は、HLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−E、HLA−F又はHLA−Gである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA−A、HLA−B又はHLA−Cである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA−Aである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA−Bである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA−Cである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA−A01、HLA−A02、HLA−A03、HLA−A09、HLA−A10、HLA−A11、HLA−A19、HLA−A23、HLA−A24、HLA−A25、HLA−A26、HLA−A28、HLA−A29、HLA−A30、HLA−A31、HLA−A32、HLA−A33、HLA−A34、HLA−A36、HLA−A43、HLA−A66、HLA−A68、HLA−A69、HLA−A74又はHLA−A80である。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA−A02である。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA−A*02:01−555、例えば、HLA−A*02:01、HLA−A*02:02、HLA−A*02:03、HLA−A*02:04、HLA−A*02:05、HLA−A*02:06、HLA−A*02:07、HLA−A*02:08、HLA−A*02:09、HLA−A*02:10、HLA−A*02:11、HLA−A*02:12、HLA−A*02:13、HLA−A*02:14、HLA−A*02:15、HLA−A*02:16、HLA−A*02:17、HLA−A*02:18、HLA−A*02:19、HLA−A*02:20、HLA−A*02:21、HLA−A*02:22又はHLA−A*02:24のうち、いずれか1つである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA−A*02:01である。
いくつかの実施形態では、caTCRは、疾患関連抗原(腫瘍関連抗原又はウイルスによってコードされる抗原など)に由来するペプチドとMHCクラスIIタンパク質とを含む複合体に特異的に結合する抗原結合モジュールを含み、MHCクラスIIタンパク質は、HLA−DP、HLA−DQ又はHLA−DRである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIIタンパク質は、HLA−DPである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIIタンパク質は、HLA−DQである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIIタンパク質は、HLA−DRである。
いくつかの実施形態では、caTCR(例えば、単離されたcaTCR)であって、(a)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、(b)天然に存在するTCR(例えば、αβTCR又はγδTCR)の膜貫通ドメインに由来する第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMを含むTCRMとを含み、TCRMが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能であり、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものである、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、天然に存在しないものである。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、TCRM中の1つ以上のポリペプチド鎖のアミノ末端に結合している。例えば、いくつかの実施形態では、TCRMは、2つのポリペプチド鎖を含み、抗原結合モジュールは、TCRMポリペプチド鎖の一方又は両方のアミノ末端に結合している。いくつかの実施形態では、TCRMは、TCR−TMに対してアミノ末端に、天然に存在するTCRの少なくとも1つの接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、TCR−TMに対してカルボキシ末端に、天然に存在するTCRの細胞内ドメイン由来の配列を含む少なくとも1つのTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に存在するTCR鎖のフラグメントに由来するTCRDを含む。TCRDのうち少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、caTCRは、TCR−TMに対してカルボキシ末端にT細胞共刺激シグナル伝達分子(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、VH抗体ドメインと、VL抗体ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ヒト、ヒト化、キメラ、半合成、又は完全に合成されたものである。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、安定化ドメインを結合する少なくとも1つのジスルフィド結合を含む。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に存在するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することを可能にする。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、caTCRは、ヘテロ多量体(例えば、ヘテロ二量体)である。例えば、いくつかの実施形態では、caTCRは、第1のTCRDを含む第1のポリペプチド鎖と第2のTCRDを含む第2のポリペプチド鎖とを含むヘテロ二量体であり、抗原結合モジュールは、第1のポリペプチド鎖及び/又は第2のポリペプチド鎖に結合している。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)天然に存在するTCRの膜貫通ドメインの1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと天然に存在するTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものであり、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、天然に存在するTCRは、αβTCRであり、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、TCRα及びβサブユニット膜貫通ドメインに由来する。いくつかの実施形態では、天然に存在するTCRは、γδTCRであり、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、TCRγ及びδサブユニット膜貫通ドメインに由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメインは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインに由来する配列を含み、及び/又は第2のTCR細胞内ドメインは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインに由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットのフラグメントであり、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットのフラグメントである。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインとを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に存在するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することを可能にする。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)天然に存在するαβTCRの膜貫通ドメインの1つに由来する第1のTCR−TMと天然に存在するαβTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものである、第1のTCRDと、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメインは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインに由来する配列を含み、及び/又は第2のTCR細胞内ドメインは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインに由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットのフラグメントであり、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットのフラグメントである。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に存在するαβT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することを可能にする。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)天然に存在するγδTCRの膜貫通ドメインの1つに由来する第1のTCR−TMと天然に存在するγδTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものである、第1のTCRDと、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメインは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインに由来する配列を含み、及び/又は第2のTCR細胞内ドメインは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインに由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットのフラグメントであり、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットのフラグメントである。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に存在するγδT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することを可能にする。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号1及び配列番号2のアミノ酸配列の1つに含まれる膜貫通ドメインに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に含まれる膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものであり、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号1〜4のアミノ酸配列又はこれらの多様体のうちいずれか1つに含まれる接続ペプチドのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号1〜4のアミノ酸配列又はこれらの多様体のうちいずれか1つに含まれる細胞内ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号1及び2に含まれる膜貫通ドメインの配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の再動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号1及び配列番号2のアミノ酸配列の1つに含まれる膜貫通ドメインに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に含まれる膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、TCR−TMの少なくとも1つが、その由来となるアミノ酸配列と比較して、1つ以上(例えば、2、3、4、5、又はもっと多く)のアミノ酸置換を含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ互いに独立して、その由来となるアミノ酸配列と比較して、1つ以上(例えば、2、3、4、5、又はもっと多く)のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMは、それぞれ互いに独立して、その由来となるアミノ酸配列と比較して、5個以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMの少なくとも1つは、その由来となるアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ、その由来となるアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中の置換アミノ酸の少なくとも1つが、caTCRにおいて、第2のTCR−TM中の置換アミノ酸の少なくとも1つと相互作用し得るように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号1〜4のアミノ酸配列又はこれらの多様体のうちいずれか1つに含まれる接続ペプチドのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号1〜4のアミノ酸配列又はこれらの多様体のうちいずれか1つに含まれる細胞内ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号1及び2に含まれる膜貫通ドメインの配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の再動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号1及び配列番号2のアミノ酸配列の1つに含まれる膜貫通ドメインに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に含まれる膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、TCR−TMの少なくとも1つが、配列番号3又は4に含まれる膜貫通ドメインに由来する連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ互いに独立して、配列番号3又は4に含まれる膜貫通ドメインに由来する連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMは、それぞれ互いに独立して、配列番号3又は4に含まれる膜貫通ドメインに由来する約10以下(例えば、約9、8、7、6、5以下、又はもっと少ない)の連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中又は第2のTCR−TM中のキメラ配列は、配列番号3に含まれる膜貫通ドメインに由来し、他方のTCR−TM中のキメラ配列は、配列番号4に含まれる膜貫通ドメインに由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中のキメラ配列は、第2のTCR−TM中のキメラ配列と相互作用し得るように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号1〜4のアミノ酸配列又はこれらの多様体のうちいずれか1つに含まれる接続ペプチドのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号1〜4のアミノ酸配列又はこれらの多様体のうちいずれか1つに含まれる細胞内ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号1及び2に含まれる膜貫通ドメインの配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の再動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号3及び配列番号4のアミノ酸配列の1つに含まれる膜貫通ドメインに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に含まれる膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものであり、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号1〜4のアミノ酸配列又はこれらの多様体のうちいずれか1つに含まれる接続ペプチドのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号1〜4のアミノ酸配列又はこれらの多様体のうちいずれか1つに含まれる細胞内ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号3及び4に含まれる膜貫通ドメインの配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の再動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号3及び配列番号4のアミノ酸配列の1つに含まれる膜貫通ドメインに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に含まれる膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、TCR−TMの少なくとも1つが、その由来となるアミノ酸配列と比較して、1つ以上(例えば、2、3、4、5、又はもっと多く)のアミノ酸置換を含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ互いに独立して、その由来となるアミノ酸配列と比較して、1つ以上(例えば、2、3、4、5、又はもっと多く)のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMは、それぞれ互いに独立して、その由来となるアミノ酸配列と比較して、5個以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMの少なくとも1つは、その由来となるアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ、その由来となるアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中の置換アミノ酸の少なくとも1つが、caTCRにおいて、第2のTCR−TM中の置換アミノ酸の少なくとも1つと相互作用し得るように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号1〜4のアミノ酸配列又はこれらの多様体のうちいずれか1つに含まれる接続ペプチドのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号1〜4のアミノ酸配列又はこれらの多様体のうちいずれか1つに含まれる細胞内ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号3及び4に含まれる膜貫通ドメインの配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の再動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号3及び配列番号4のアミノ酸配列の1つに含まれる膜貫通ドメインに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に含まれる膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、TCR−TMの少なくとも1つが、配列番号1又は2に含まれる膜貫通ドメインに由来する連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ互いに独立して、配列番号1又は2に含まれる膜貫通ドメインに由来する連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMは、それぞれ互いに独立して、配列番号1又は2に含まれる膜貫通ドメインに由来する約10以下(例えば、約9、8、7、6、5以下、又はもっと少ない)の連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中又は第2のTCR−TM中のキメラ配列は、配列番号1に含まれる膜貫通ドメインに由来し、他方のTCR−TM中のキメラ配列は、配列番号2に含まれる膜貫通ドメインに由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中のキメラ配列は、第2のTCR−TM中のキメラ配列と相互作用し得るように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号1〜4のアミノ酸配列又はこれらの多様体のうちいずれか1つに含まれる接続ペプチドのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号1〜4のアミノ酸配列又はこれらの多様体のうちいずれか1つに含まれる細胞内ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号3及び4に含まれる膜貫通ドメインの配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の再動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列の1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものであり、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号5及び6の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列の1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、TCR−TMの少なくとも1つが、その由来となるアミノ酸配列と比較して、1つ以上(例えば、2、3、4、5、又はもっと多く)のアミノ酸置換を含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ互いに独立して、その由来となるアミノ酸配列と比較して、1つ以上(例えば、2、3、4、5、又はもっと多く)のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMは、それぞれ互いに独立して、その由来となるアミノ酸配列と比較して、5個以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMの少なくとも1つは、その由来となるアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ、その由来となるアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中の置換アミノ酸の少なくとも1つが、caTCRにおいて、第2のTCR−TM中の置換アミノ酸の少なくとも1つと相互作用し得るように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号5及び6の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列の1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、TCR−TMの少なくとも1つが、配列番号7又は8に由来する連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ互いに独立して、配列番号7又は8に由来する連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMは、それぞれ互いに独立して、配列番号7又は8に由来する約10以下(例えば、約9、8、7、6、5以下、又はもっと少ない)の連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中又は第2のTCR−TM中のキメラ配列は、配列番号7に由来し、他方のTCR−TM中のキメラ配列は、配列番号8に由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中のキメラ配列は、第2のTCR−TM中のキメラ配列と相互作用し得るように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号5及び6の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号7及び配列番号8のアミノ酸配列の1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものであり、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号7及び配列番号8のアミノ酸配列の1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、TCR−TMの少なくとも1つが、その由来となるアミノ酸配列と比較して、1つ以上(例えば、2、3、4、5、又はもっと多く)のアミノ酸置換を含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ互いに独立して、その由来となるアミノ酸配列と比較して、1つ以上(例えば、2、3、4、5、又はもっと多く)のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMは、それぞれ互いに独立して、その由来となるアミノ酸配列と比較して、5個以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMの少なくとも1つは、その由来となるアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ、その由来となるアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中の置換アミノ酸の少なくとも1つが、caTCRにおいて、第2のTCR−TM中の置換アミノ酸の少なくとも1つと相互作用し得るように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号7及び配列番号8のアミノ酸配列の1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、TCR−TMの少なくとも1つが、配列番号5又は6に由来する連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ互いに独立して、配列番号5又は6に由来する連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMは、それぞれ互いに独立して、配列番号5又は6に由来する約10以下(例えば、約9、8、7、6、5以下、又はもっと少ない)の連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中又は第2のTCR−TM中のキメラ配列は、配列番号5に由来し、他方のTCR−TM中のキメラ配列は、配列番号6に由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中のキメラ配列は、第2のTCR−TM中のキメラ配列と相互作用し得るように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかに記載のcaTCRと、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのシグナル伝達分子とを含む、複合体が提供される。いくつかの実施形態では、複合体は、CD3δε、CD3γε及びζζのそれぞれを含む。したがって、いくつかの実施形態では、caTCR、CD3δε、CD3γε及びζζを含む複合体が提供される。
異なる態様は、以下の様々な章で更に詳細に論じられる。
TCR−TM多様体
本明細書に記載のcaTCRのTCR−TMは、天然に存在するT細胞受容体に由来する。いくつかの実施形態では、TCR−TMのうち少なくとも1つは、天然に存在しない。天然に存在するT細胞受容体に由来する、天然に存在しないTCR−TMは、1つ以上のアミノ酸置換によって改変された天然に存在するT細胞受容体に由来する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位(一次配列で、又は空間的に)である。例えば、いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸から、3以下の(例えば、0、1、2又は3の)アミノ酸だけ離れている。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうちの少なくとも1つは、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸から、約15(例えば、約14、12、10、8、6、4、2又は1以下のいずれか)Å以内で離れている。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。
例えば、いくつかの実施形態では、天然に存在するT細胞受容体に由来する、天然に存在しないTCR−TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変されたα、β、γ又はδTCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載する天然に存在するT細胞受容体に由来する、天然に存在しないTCR−TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変される、配列番号1に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号5)を含むαTCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、αTCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号1に含まれる膜貫通ドメイン中の5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、αTCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号1に含まれる膜貫通ドメイン中の単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する天然に存在するT細胞受容体に由来する、天然に存在しないTCR−TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変される、配列番号5のアミノ酸配列を含むαTCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、TCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号5中の5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、αTCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号5中の単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する天然に存在するT細胞受容体に由来する、天然に存在しないTCR−TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変される、配列番号2に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号6)を含むβTCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、βTCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号2に含まれる膜貫通ドメイン中の5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、βTCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号2に含まれる膜貫通ドメイン中の単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する天然に存在するT細胞受容体に由来する、天然に存在しないTCR−TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変される、配列番号6のアミノ酸配列を含むβTCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、βTCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号6中の5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、βTCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号6中の単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する天然に存在するT細胞受容体に由来する、天然に存在しないTCR−TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変される、配列番号3に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号7)を含むδTCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、δTCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号3に含まれる膜貫通ドメイン中の5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、δTCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号3に含まれる膜貫通ドメイン中の単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。
いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号7中のアミノ酸配列L4、M6、V12、N15、F245及びL25に対応するアミノ酸中の1つ以上の置換(例えば、より疎水性の残基を用いた置換)によって改変される、配列番号3に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号7)を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号7中のアミノ酸配列V12及びN15に対応するアミノ酸中の置換(例えば、より疎水性の残基を用いた置換)によって改変される、配列番号3に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号7中の置換L4C、M6V、V12F、N15S、F245S及びL25Sに対応する1つ以上の置換によって改変される、配列番号3に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号7中の置換V12F及びN15Sに対応する置換によって改変される、配列番号3に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号9〜13のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する天然に存在するT細胞受容体に由来する、天然に存在しないTCR−TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変される、配列番号7のアミノ酸配列を含むδTCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、δTCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号7中の5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、δTCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号7中の単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。
いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号7中のアミノ酸配列L4、M6、V12、N15、F245及びL25に対応するアミノ酸中の1つ以上の置換(例えば、より疎水性の残基を用いた置換)によって改変される、配列番号7のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号7中のアミノ酸配列V12及びN15に対応するアミノ酸中の置換(例えば、より疎水性の残基を用いた置換)によって改変される、配列番号7のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号7中の置換L4C、M6V、V12F、N15S、F245S及びL25Sに対応する1つ以上の置換によって改変される、配列番号7のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号7中の置換V12F及びN15Sに対応する置換によって改変される、配列番号7のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号9〜13のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する天然に存在するT細胞受容体に由来する、天然に存在しないTCR−TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変される、配列番号4に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号8)を含むγTCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、γTCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号4に含まれる膜貫通ドメイン中の5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、γTCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号4に含まれる膜貫通ドメイン中の単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。
いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号8中のアミノ酸配列Y1、Y2、M3、L5、L8、V12、V13、F15、A16、I18、C19、C20及びC21に対応するアミノ酸中の1つ以上の置換(例えば、より疎水性の残基を用いた置換)によって改変される、配列番号4に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号8)を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号8中のアミノ酸配列Y2、M3、A16及びI18に対応するアミノ酸中の置換(例えば、より疎水性の残基を用いた置換)によって改変される、配列番号4に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号8中のアミノ酸配列L8、V12及びF15に対応するアミノ酸中の置換(例えば、より疎水性の残基を用いた置換)によって改変される、配列番号4に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号8中の置換Y1Q、Y2L、Y2I、M3V、M3I、L5C、L8F、V12F、V13Y、F15S、A16V、A16I、I18V、I18L、C19M、C20M及びC21Gに対応する1つ以上の置換によって改変される、配列番号4に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号8中の置換Y2L、M3V、A16V及びI18Vに対応する置換によって改変される、配列番号4に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号8中の置換Y2I、M3I、A16I及びI18Lに対応する置換によって改変される、配列番号4に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号8中の置換L8F、V12F及びF15Sに対応する置換によって改変される、配列番号4に含まれる膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号14〜26のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する天然に存在するT細胞受容体に由来する、天然に存在しないTCR−TMは、1つ以上のアミノ酸残基の置換によって改変される、配列番号8のアミノ酸配列を含むγTCRサブユニットの膜貫通ドメインを含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、γTCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号8中の5個以下のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、γTCRサブユニットの膜貫通ドメインは、配列番号8中の単一のアミノ酸残基の置換によって改変される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、対応する非置換残基よりも疎水性である残基で置換される。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸のうち少なくとも1つは、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、それぞれ、CD3への結合に関与するTCRM中のアミノ酸に対して近位である。
いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号8中のアミノ酸配列Y1、Y2、M3、L5、L8、V12、V13、F15、A16、I18、C19、C20及びC21に対応するアミノ酸中の1つ以上の置換(例えば、より疎水性の残基を用いた置換)によって改変される、配列番号8のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号8中のアミノ酸配列Y2、M3、A16及びI18に対応するアミノ酸中の置換(例えば、より疎水性の残基を用いた置換)によって改変される、配列番号8のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号8中のアミノ酸配列L8、V12及びF15に対応するアミノ酸中の置換(例えば、より疎水性の残基を用いた置換)によって改変される、配列番号8のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号8中の置換Y1Q、Y2L、Y2I、M3V、M3I、L5C、L8F、V12F、V13Y、F15S、A16V、A16I、I18V、I18L、C19M、C20M及びC21Gに対応する1つ以上の置換によって改変される、配列番号8のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号8中の置換Y2L、M3V、A16V及びI18Vに対応する置換によって改変される、配列番号8のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号8中の置換Y2I、M3I、A16I及びI18Lに対応する置換によって改変される、配列番号8のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号8中の置換L8F、V12F及びF15Sに対応する置換によって改変される、配列番号8のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しないTCR−TMは、配列番号14〜26のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号7及び9〜13のアミノ酸配列のいずれか1つを含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、配列番号8及び14〜26のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる第2のTCR−TMを含む第2のTCRDとを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものであり、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、表2に列挙したcaTCRのいずれかに従って選択される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、配列番号31又は32のアミノ酸配列又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、配列番号33又は34のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のTCR細胞内ドメインは、配列番号36のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、C
H1及びC
L抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。
抗原結合モジュール
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいずれかのcaTCRによれば、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv及び単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体部分が、第1の抗体部分鎖と第2の抗体部分鎖を含む多量体である場合、caTCRは、第1の抗体部分鎖又は第2の抗体部分鎖に結合した第1のTCRDと、他の抗体部分鎖に結合した第2のTCRDとを含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5を含み、これらの多様体又は変異体を含む、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、限定されないが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAを含み、これらの多様体又は変異体を含む、タンパク質に由来する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいずれかのcaTCRによれば、抗原結合モジュールは、CH1とCLドメインとを含む抗体部分である。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)重鎖に由来し、場合により、ヒトのものに由来する。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、その由来となる配列と比較して、1つ以上の改変(例えば、アミノ酸置換、挿入及び/又は欠失)を含む多様体である。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37〜47及び86のいずれか1つ又はその多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37又はその多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CLドメインは、κ又はλ軽鎖に由来し、場合により、ヒトのものに由来する。いくつかの実施形態では、CLドメインは、その由来となる配列と比較して、1つ以上の改変(例えば、アミノ酸置換、挿入及び/又は欠失)を含む多様体である。いくつかの実施形態では、CLドメインは、配列番号48又は87、又はその多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CH1及び/又はCLドメインは、互いに対する結合親和性を実質的に変えない1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、CH1及び/又はCLドメインは、互いに対する結合親和性を高め、及び/又は天然に存在しないジスルフィド結合を導入する1つ以上の改変を含む。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合する抗体部分を含む本明細書に記載のcaTCRのいずれかによれば、抗体部分は、標的抗原に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD19に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2017066136A2号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD19に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)(例えば、配列番号54のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVHドメイン、及び/又は配列番号55のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVLドメイン、又はその中に含まれるCDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD20に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)(例えば、配列番号56のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVHドメイン、及び/又は配列番号57のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVLドメイン、又はその中に含まれるCDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD22に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、その内容が全体的に本明細書に参考として組み込まれる、2018年3月30日に出願されたUSSN 62/650,955号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD22に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)(例えば、配列番号65のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVHドメイン、及び/又は配列番号69のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVLドメイン、又はその中に含まれるCDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPC3に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、その内容が全体的に本明細書に参考として組み込まれる、2017年4月26日に出願されたUSSN 62/490,586号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPC3に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)(例えば、配列番号58のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVHドメイン、及び/又は配列番号59のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVLドメイン、又はその中に含まれるCDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ROR1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/187220号及びWO2016/187216号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ROR2に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/142768号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、BCMAに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090327号及びWO2016/090320号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPRC5Dに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090329号及びWO2016/090312号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、FCRL5に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090337号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、WT−1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2012/135854号、WO2015/070078号及びWO2015/070061号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、AFPに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/161390号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、HPV16−E7に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/182957号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、NY−ESO−1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/210365号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、PRAMEに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/191246号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、EBV−LMP2Aに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/201124号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、KRASに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/154047号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、PSAに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2017/015634号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、VHドメインとCH1ドメインとを含む1つのFab鎖と、VLドメインとCLドメインとを含む別のFab鎖とを含む、Fabである。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37〜47及び86のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、及び/又はCLドメインは、配列番号48又は87のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなり、CLドメインは、配列番号48のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。
caTCR構築物
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)天然に存在するTCRの膜貫通ドメインの1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと天然に存在するTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものであり、(b)標的抗原に特異的に結合する抗体部分であって、抗体部分が、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗体部分とを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv及び単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5を含み、これらの多様体又は変異体を含む、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、限定されないが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAを含み、これらの多様体又は変異体を含む、タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、TCRMと抗体部分との間に位置している。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号7及び9〜13のアミノ酸配列のいずれか1つを含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、配列番号8及び14〜26のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる第2のTCR−TMを含む第2のTCRDとを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものであり、(b)標的抗原に特異的に結合する抗体部分であって、抗体部分が、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗体部分とを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、表2に列挙したcaTCRのいずれかに従って選択される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv及び単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5を含み、これらの多様体又は変異体を含む、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、限定されないが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAを含み、これらの多様体又は変異体を含む、タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、配列番号31又は32のアミノ酸配列又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、配列番号33又は34のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のTCR細胞内ドメインは、配列番号36のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと第2のTCR−TMを含む第2のTCRDであって、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、それぞれ、配列番号9及び8、7及び14、7及び15、7及び16、10及び16、7及び17、7及び18、7及び19、7及び20、7及び21、7及び22、11及び23、12及び24、7及び25、又は13及び26のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなり、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗体部分であって、抗体部分が、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗体部分とを含む、caTCRが提供される。例えば、いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、配列番号8のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる第2のTCR−TMを含む第2のTCRDとを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗体部分であって、抗体部分が、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗体部分とを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv及び単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5を含み、これらの多様体又は変異体を含む、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、限定されないが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAを含み、これらの多様体又は変異体を含む、タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、配列番号31又は32のアミノ酸配列又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、配列番号33又は34のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のTCR細胞内ドメインは、配列番号36のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号10のアミノ酸配列を有する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、配列番号16のアミノ酸配列を有する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDとを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗体部分であって、抗体部分が、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗体部分とを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv及び単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5を含み、これらの多様体又は変異体を含む、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、限定されないが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAを含み、これらの多様体又は変異体を含む、タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、配列番号31又は32のアミノ酸配列又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、配列番号33又は34のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のTCR細胞内ドメインは、配列番号36のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)天然に存在するTCRの膜貫通ドメインの1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDに結合する第1のFab鎖を含む第1の抗原結合ドメインを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)天然に存在するTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDに結合する第2のFab鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものであり、第1のFab鎖及び第2のFab鎖が、標的抗原に特異的に結合するFab様抗原結合モジュールを形成する、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、(a)第1のFab鎖は、VH及びCH1抗体ドメインを含み、第2のFab鎖は、VL及びCL抗体ドメインを含み、又は(b)第1のFab鎖は、VL及びCL抗体ドメインを含み、第2のFab鎖は、VH及びCH1抗体ドメインを含む。例えば、いくつかの実施形態では、caTCRは、(a)第1のTCRDに結合するVH及びCH1抗体ドメインを含む第1のFab鎖を含む第1のポリペプチド鎖と、(b)第2のTCRDに結合するVL及びCL抗体ドメインを含む第2のFab鎖とを含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、(a)第1のTCRDに結合するVL及びCL抗体ドメインを含む第1のFab鎖と、(b)第2のTCRDに結合するVH及びCH1抗体ドメインを含む第2のFab鎖とを含む。いくつかの実施形態では、TCRDの一方又は両方と、それらに結合するFab鎖との間にペプチドリンカーが存在する。いくつかの実施形態では、CH1ドメイン中の残基とCLドメイン中の残基との間にジスルフィド結合が存在する。いくつかの実施形態では、CH1及び/又はCLドメインは、互いに対するFab鎖の結合親和性を高める1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、CH1とCLドメインが交換されており、その結果、Fab鎖の一方がVH及びCL抗体ドメインを含み、他方のFab鎖が、VL及びCH1抗体ドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5を含み、これらの多様体又は変異体を含む、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、限定されないが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAを含み、これらの多様体又は変異体を含む、タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン又は第2の安定化ドメインは、第1のTCRDとその結合したFab鎖との間に位置しており、他の安定化ドメインは、第2のTCRDとその結合したFab鎖との間に位置している。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号7及び9〜13のアミノ酸配列のいずれか1つを含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる第1のTCR−TMを含む第1のTCRDに結合する第1のFab鎖を含む第1の抗原結合ドメインを含む第1のポリペプチド鎖と、(b)配列番号8及び14〜26のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる第2のTCR−TMを含む第2のTCRDに結合する第2のFab鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものであり、第1のFab鎖及び第2のFab鎖が、標的抗原に特異的に結合するFab様抗原結合モジュールを形成する、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、表2に列挙したcaTCRのいずれかに従って選択される。いくつかの実施形態では、(a)第1のFab鎖は、VH及びCH1抗体ドメインを含み、第2のFab鎖は、VL及びCL抗体ドメインを含み、又は(b)第1のFab鎖は、VL及びCL抗体ドメインを含み、第2のFab鎖は、VH及びCH1抗体ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37〜47及び86のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、及び/又はCLドメインは、配列番号48又は87のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなり、CLドメインは、配列番号48のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5を含み、これらの多様体又は変異体を含む、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、限定されないが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAを含み、これらの多様体又は変異体を含む、タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、配列番号31又は32のアミノ酸配列又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、配列番号33又は34のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のTCR細胞内ドメインは、配列番号36のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)第1のTCR−TMを含む第1のTCRDに結合する第1のFab鎖を含む第1の抗原結合ドメインを含む第1のポリペプチド鎖と、第2のTCR−TMを含む第2のTCRDに結合する第2のFab鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、それぞれ、配列番号9及び8、7及び14、7及び15、7及び16、10及び16、7及び17、7及び18、7及び19、7及び20、7及び21、7及び22、11及び23、12及び24、7及び25、又は13及び26のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなり、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のFab鎖及び第2のFab鎖が、標的抗原に特異的に結合するFab様抗原結合モジュールを形成する、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、(a)第1のFab鎖は、VH及びCH1抗体ドメインを含み、第2のFab鎖は、VL及びCL抗体ドメインを含み、又は(b)第1のFab鎖は、VL及びCL抗体ドメインを含み、第2のFab鎖は、VH及びCH1抗体ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37〜47及び86のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、及び/又はCLドメインは、配列番号48又は87のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなり、CLドメインは、配列番号48のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5を含み、これらの多様体又は変異体を含む、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、限定されないが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAを含み、これらの多様体又は変異体を含む、タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、配列番号31又は32のアミノ酸配列又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、配列番号33又は34のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のTCR細胞内ドメインは、配列番号36のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)配列番号10のアミノ酸配列を有する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDに結合する第1のFab鎖を含む第1の抗原結合ドメインを含む第1のポリペプチド鎖と、配列番号16のアミノ酸配列を有する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDに結合する第2のFab鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のFab鎖及び第2のFab鎖が、標的抗原に特異的に結合するFab様抗原結合モジュールを形成する、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、(a)第1のFab鎖は、VH及びCH1抗体ドメインを含み、第2のFab鎖は、VL及びCL抗体ドメインを含み、又は(b)第1のFab鎖は、VL及びCL抗体ドメインを含み、第2のFab鎖は、VH及びCH1抗体ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37〜47及び86のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、及び/又はCLドメインは、配列番号48又は87のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、配列番号37のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなり、CLドメインは、配列番号48のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5を含み、これらの多様体又は変異体を含む、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、限定されないが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAを含み、これらの多様体又は変異体を含む、タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、配列番号31又は32のアミノ酸配列又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、配列番号33又は34のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のTCR細胞内ドメインは、配列番号36のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインとを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)天然に存在するTCRの膜貫通ドメインの1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと天然に存在するTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものであり、(b)標的抗原に特異的に結合するFab’であって、Fab’が、VH、CH1及び部分的なヒンジ抗体ドメインを含む第1のFab’鎖と、VL及びCL抗体ドメインを含む第2のFab’鎖とを含み、第1のFab’鎖が、第1のTCRD又は第2のTCRDに結合し、第2のFab’鎖が、他のTCRDに結合する、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、TCRDの一方又は両方と、それらに結合するFab’鎖との間にペプチドリンカーが存在する。いくつかの実施形態では、CH1ドメイン中の残基とCLドメイン中の残基との間にジスルフィド結合が存在する。いくつかの実施形態では、CH1及び/又はCLドメインは、互いに対するFab’鎖の結合親和性を高める1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、CH1とCLドメインが交換されており、その結果、第1のFab’鎖が、VH、CL及び部分的なヒンジ抗体ドメインを含み、第2のFab’鎖が、VL及びCH1抗体ドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fab’は、限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5を含み、これらの多様体又は変異体を含む、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、Fab’は、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、限定されないが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAを含み、これらの多様体又は変異体を含む、タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン又は第2の安定化ドメインは、第1のTCRDとその結合したFab’鎖との間に位置しており、他の安定化ドメインは、第2のTCRDとその結合したFab’鎖との間に位置している。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)天然に存在するTCRの膜貫通ドメインの1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと天然に存在するTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものであり、(b)標的抗原に特異的に結合する(Fab’)2であって、(Fab’)2が、VH、CH1及び部分的なヒンジ抗体ドメインを含む第1の(Fab’)2鎖及び第2の(Fab’)2鎖と、VL及びCL抗体ドメインを含む第3の(Fab’)2鎖及び第4の(Fab’)2鎖とを含み、第1の(Fab’)2鎖が、第1のTCRD又は第2のTCRDに結合し、第2の(Fab’)2鎖が、他のTCRDに結合する、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、TCRDの一方又は両方と、それらに結合する(Fab’)2鎖との間にペプチドリンカーが存在する。いくつかの実施形態では、CH1ドメイン中の残基とCLドメイン中の残基との間にジスルフィド結合が存在する。いくつかの実施形態では、CH1及び/又はCLドメインは、互いに対する(Fab’)2鎖の結合親和性を高める1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、CH1とCLドメインが交換されており、その結果、第1の(Fab’)2鎖及び第2の(Fab’)2鎖が、VH、CL及び部分的なヒンジ抗体ドメインを含み、第3の(Fab’)2鎖及び第4の(Fab’)2鎖が、VL及びCH1抗体ドメインを含む。いくつかの実施形態では、(Fab’)2は、限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5を含み、これらの多様体又は変異体を含む、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、(Fab’)2は、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、限定されないが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAを含み、これらの多様体又は変異体を含む、タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン又は第2の安定化ドメインは、第1のTCRDとその結合した(Fab’)2鎖との間に位置しており、他の安定化ドメインは、第2のTCRDとその結合した(Fab’)2鎖との間に位置している。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)天然に存在するTCRの膜貫通ドメインの1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと天然に存在するTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものであり、(b)標的抗原に特異的に結合するFvであって、Fvが、VH抗体ドメインを含む第1のFv鎖と、VL抗体ドメインを含む第2のFv鎖とを含み、第1のFv鎖が、第1のTCRD又は第2のTCRDに結合し、第2のFv鎖が、他のTCRDに結合する、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、TCRDの一方又は両方と、それらに結合するFv鎖との間にペプチドリンカーが存在する。いくつかの実施形態では、Fvは、限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5を含み、これらの多様体又は変異体を含む、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、Fvは、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、限定されないが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAを含み、これらの多様体又は変異体を含む、タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン又は第2の安定化ドメインは、第1のTCRDとその結合したFv鎖との間に位置しており、他の安定化ドメインは、第2のTCRDとその結合したFv鎖との間に位置している。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)天然に存在するTCRの膜貫通ドメインの1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと天然に存在するTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものであり、(b)標的抗原に特異的に結合する第1のscFvであって、第1のscFvが、VH及びVL抗体ドメインを含み、第1のscFvが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗体部分とを含む、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1のscFvに結合するか、又は第1のscFvに結合しないTCRDに結合する第2の抗原結合モジュールを更に含む。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合モジュールは、標的抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合モジュールは、標的抗原以外の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合モジュールは、第2のscFvである。いくつかの実施形態では、第1のscFvとその結合したTCRDとの間、及び/又は第2のscFvとその結合したscFv又はTCRDとの間にペプチドリンカーが存在する。いくつかの実施形態では、scFvは、限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5を含み、これらの多様体又は変異体を含む、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、scFvは、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、限定されないが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAを含み、これらの多様体又は変異体を含む、タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン又は第2の安定化ドメインは、第1のscFvとその結合したTCRDとの間に位置しており、他の安定化ドメインは、第2のTCRDに結合している。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRであって、(a)天然に存在するTCRの膜貫通ドメインの1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと天然に存在するTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMが、天然に存在しないものであり、(b)標的抗原に特異的に結合する第1のscFvと、第2のscFvを含み、第1のscFv及び第2のscFvが、VH及びVL抗体ドメインを含み、第1のscFvが、第1のTCRD又は第2のTCRDに結合し、第2のscFvが、他のTCRDに結合する、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、第2のTCRDは、標的抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、第1のscFvのアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、標的抗原以外の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第1のscFv及び/又は第2のscFvは、独立して、限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5を含み、これらの多様体又は変異体を含む、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第1のscFv及び/又は第2のscFvは、独立して、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、限定されないが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAを含み、これらの多様体又は変異体を含む、タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン又は第2の安定化ドメインは、第1のscFvとその結合したTCRDとの間に位置しており、他の安定化ドメインは、第2のscFvとその結合したTCRDとの間に位置している。
多重特異性caTCR
本出願の一態様は、2つ以上(例えば、2、3、4、又はもっと多く)の異なる標的抗原又はエピトープに特異的に結合する多重特異性caTCRを提供する。いくつかの実施形態では、多重特異性caTCRは、2つ以上(例えば、2、3、4、又はもっと多く)の異なる標的抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、多重特異性caTCRは、同じ標的抗原上の2つ以上(例えば、2、3、4、又はもっと多く)の異なる標的抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、多重特異性caTCRは、それぞれの抗原又はエピトープのための抗原結合モジュールを含む。いくつかの実施形態では、多重特異性caTCRは、少なくとも1つの抗原又はエピトープのための2個より多い抗原結合モジュールを含む。いくつかの実施形態では、多重特異性caTCRは、抗原又はエピトープにそれぞれ特異的に結合する2つ以上(例えば、2、3、4、又はもっと多く)の抗原結合ドメインを含む多重特異性抗原結合モジュールを含む。いくつかの実施形態では、多重特異性caTCRは、二重特異性である。いくつかの実施形態では、多重特異性caTCRは、三重特異性である。
多重特異性分子は、少なくとも2つの異なる抗原又はエピトープに対する結合特異性を有する分子である(例えば、二重特異性抗体は、2つの抗原又はエピトープに対する結合特異性を有する)。2より大きい価数及び/又は特異性を有する多重特異性caTCRも想定される。二重特異性抗体は、例えば、Brinkmann U.及びKontermann R.E.(2017)MABS、9(2)、182−212を参照。三重特異性抗体を調製することができる。Tuttら、J.Immunol.147:60(1991)を参照。当業者は、当該技術分野において既知の個々の多重特異性分子の適切な特徴を選択して、多重特異性caTCRを形成することができることを理解されたい。
いくつかの実施形態では、caTCR(本明細書では「多重特異性caTCR」とも呼ばれる)であって、(a)第1の標的抗原に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと第2の標的抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗原結合モジュールと、(b)第1のTCR−TMを含む第1のTCRD(TCRD1)と第2のTCR−TMを含む第2のTCRD(TCRD2)を含むTCRMとを含み、TCRMが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進する、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメインは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインに由来する配列を含み、及び/又は第2のTCR細胞内ドメインは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインに由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットのフラグメントであり、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットのフラグメントである。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に存在するαβT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することを可能にする。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、両方とも天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR−TMのうち少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TMは、その由来となる膜貫通ドメインと比較して5個までのアミノ酸置換(例えば、単一のアミノ酸置換)を含み、及び/又は第2のTCR−TMは、その由来となる膜貫通ドメインと比較して5個までのアミノ酸置換(例えば、単一のアミノ酸置換)を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中の置換アミノ酸は、第2のTCR−TM中の置換アミノ酸に対して近位である。いくつかの実施形態では、1つ以上の置換アミノ酸は、CD3に対する結合に関与する第1のTCR−TM中又は第2のTCR−TM中のアミノ酸に対して近位である。いくつかの実施形態では、1つ以上の(例えば、それぞれの)置換アミノ酸は、それらの対応する非置換アミノ酸よりも疎水性である。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TMは、配列番号7及び9〜13のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、第2のTCR−TMは、配列番号8及び14〜26のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
二重特異性caTCRの例示的な構造を図13A〜13Eに示し、ここで、標的抗原は、CD19及びCD22であるが、当業者は、他の標的抗原又はエピトープを標的とする二重特異性caTCRを同じ構造フォーマットを使用して調製してもよいことを容易に理解するだろう。
例えば、DVD IgGに由来する二重可変ドメイン(DVD)(DiGiammarinoら、mAbs 3(5):487−494を参照)を、caTCR中の二重特異性抗原結合モジュールとして使用することができる(図13A)。外側可変ドメインと内側可変ドメインの融合のための種々のリンカーが開発され、DVD−Igについて最適化されており、このリンカーは、DVDモジュールを有する二重特異性caTCRを構築するのに有用であろう。しかし、DVDモジュールにおける可変ドメインのスタッキング手法は、内側可変ドメインの折りたたみ及び標的結合親和性に影響を与える場合がある。2つの可変ドメイン間のリンカーと、この2つの可変ドメインの順序は、caTCRの効能に影響を与える場合がある。
いくつかの実施形態では、caTCRであって、(a)第1の標的抗原に特異的に結合するFvと、第2の標的抗原に特異的に結合するFabとを含む、多重特異性(例えば、二重特異性)抗原結合モジュールと、(b)第1のTCR−TMを含む第1のTCRD(TCRD1)と第2のTCR−TMを含む第2のTCRD(TCRD2)とを含むTCRMとを含み、TCRMが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進する、caTCRが提供される。
いくつかの実施形態では、caTCRであって、(i)N末端からC末端まで、VH1−L1−VH2−CH1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VL1−L2−VL2−CL−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖;(ii)N末端からC末端まで、VH1−L1−VL2−CL−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VL1−L2−VH2−CH1−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖;(iii)N末端からC末端まで、VL1−L1−VH2−CH1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VH1−L2−VL2−CL−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖;又は(iv)N末端からC末端まで、VH1−L1−VL2−CL−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VH1−L2−VH2−CH1−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖を含み、VH1とVL1は、第1の標的抗原に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインを形成し、VH2とVL2は、第2の標的抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを形成し、TCRD1とTCRD2が、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、L1及びL2がペプチドリンカーである、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、L1及び/又はL2は、約5〜約50(例えば、約5〜10、約10〜15、又は約15〜30)のアミノ酸長である。いくつかの実施形態では、L1及び/又はL2は、配列番号83〜85のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、L1とL2は、同じ長さを有する。いくつかの実施形態では、L1とL2は、同じアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、L1とL2は、異なる長さを有する。いくつかの実施形態では、L1とL2は、異なるアミノ酸配列を有する。例示的な二重特異性caTCRを図13Aに示す。
CODV−IgGに由来するクロスオーバー二重可変ドメイン(CODV)(Steinmetzら、mAbs(2016)、8(5):867−878)を、caTCR中の二重特異性抗原結合モジュールとして使用することができる(図13B)。CODVは、各Fvに対する比較的障害のない抗原結合部位を可能にする。重鎖及び軽鎖の可変ドメインの融合のための種々のリンカーが開発され、CODV−Igについて最適化されている。このリンカーは、CODVモジュールを有する二重特異性caTCRを構築するのに有用であろう。しかし、CODVモジュールの適切な折り畳みは困難な場合があり、CODVモジュールにおいて使用される長いリンカーは、免疫原性の原因となる可能性があり、タンパク質分解による切断を受けやすい場合がある。
いくつかの実施形態では、caTCRであって、(a)第1の標的抗原に特異的に結合する第1のFvと、第2の標的抗原に特異的に結合する第2のFabとを含む、多重特異性(例えば、二重特異性)抗原結合モジュールと、(b)第1のTCR−TMを含む第1のTCRD(TCRD1)と第2のTCR−TMを含む第2のTCRD(TCRD2)とを含むTCRMとを含み、TCRMが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進する、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、caTCRは、CH1とCLを更に含む。
いくつかの実施形態では、caTCRであって、(i)N末端からC末端まで、VH1−L1−VH2−CH1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VL2−L2−VL1−CL−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖;又は(ii)N末端からC末端まで、VL1−L1−VL2−CL−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VH2−L2−VH1−CH1−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖を含み、VH1とVL1は、第1の標的抗原に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインを形成し、VH2とVL2は、第2の標的抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを形成し、TCRD1とTCRD2が、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進することが可能なTCRMを形成し、L1及びL2がペプチドリンカーである、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、L1及び/又はL2は、約5〜約50(例えば、約5〜20、約15〜30、又は約30〜50)のアミノ酸長である。いくつかの実施形態では、L1及び/又はL2は、配列番号83〜85のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、L1とL2は、同じ長さを有する。いくつかの実施形態では、L1とL2は、同じアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、L1とL2は、異なる長さを有する。いくつかの実施形態では、L1とL2は、異なるアミノ酸配列を有する。例示的な二重特異性caTCRを図13Bに示す。
scFv融合タンパク質に由来する二重特異性抗原結合モジュール、例えば、Chenら、mAbs 8(4):761−774に記載されるものを、二重特異性caTCRで使用してもよい(図13C)。同様の融合フォーマットを有する二重特異性抗体の発現は、このフォーマットの適切な折り畳み及び安定性を示している。scFvを定常ドメインに融合させるための種々のリンカーが開発され、これらの二重特異性抗体について最適化されている。このリンカーは、同様のscFv融合ドメインを有する二重特異性caTCRを構築するのに有用であろう。しかし、scFv間の立体障害が、標的抗原に対するscFvの結合を損なう場合がある。
いくつかの実施形態では、caTCRであって、(a)第1の標的抗原に特異的に結合する第1のscFvと、第2の標的抗原に特異的に結合する第2のscFvとを含む、多重特異性(例えば、二重特異性)抗原結合モジュールと、(b)第1のTCR−TMを含む第1のTCRD(TCRD1)と第2のTCR−TMを含む第2のTCRD(TCRD2)とを含むTCRMとを含み、TCRMが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進する、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、caTCRは、CH1とCLを更に含む。
いくつかの実施形態では、caTCRであって、(i)N末端からC末端まで、scFv1−L1−CH1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、scFv2−L2−CL−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖;又は(ii)N末端からC末端まで、scFv2−L1−CH1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、scFv1−L2−CL−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖を含み、ここで、scFv1は、第1の標的抗原に特異的に結合し、scFv2は、第2の標的抗原に特異的に結合し、TCRD1及びTCRD2は、少なくとも1つのTCR−関連シグナル伝達分子の動員を促進するTCRMを形成し、L1及びL2がペプチドリンカーである、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、L1及び/又はL2は、約5〜約50(例えば、約5〜10、約10〜15、又は約15〜30)のアミノ酸長である。いくつかの実施形態では、L1及び/又はL2は、配列番号83〜85のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、L1とL2は、同じ長さを有する。いくつかの実施形態では、L1とL2は、同じアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、L1とL2は、異なる長さを有する。いくつかの実施形態では、L1とL2は、異なるアミノ酸配列を有する。例示的な二重特異性caTCRを図13Cに示す。
IgG−scFv二重特異性抗体又はFab−scFv−Fc二重特異性抗体に由来する二重特異性抗原結合モジュールを、二重特異性caTCRに使用してもよい。あるフォーマット(図13D)において、scFvは、FabのVH又はVLのいずれかに接続し、scFvの可撓性を大きくし、それにより、Fabのその標的抗原へのアクセスを大きくすることを可能にする。しかしながら、scFv−Fabモジュールには、安全性の問題があり得る。第2のフォーマット(図13E)において、Fabは、第1のTCRDに融合し、scFvは、第2のTCRDに融合する。
いくつかの実施形態では、caTCRであって、(a)第1の標的抗原に特異的に結合するscFvと、第2の標的抗原に特異的に結合するFabとを含む、多重特異性(例えば、二重特異性)抗原結合モジュールと、(b)第1のTCR−TMを含む第1のTCRD(TCRD1)と第2のTCR−TMを含む第2のTCRD(TCRD2)とを含むTCRMとを含み、TCRMが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進する、caTCRが提供される。
いくつかの実施形態では、caTCRであって、(i)N末端からC末端まで、scFv−L1−VH−CH1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VL−CL−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖;又は(ii)N末端からC末端まで、VH−CH1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、scFv−L2−VL−CL−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖を含み、ここで、scFVは、第1の標的抗原に特異的に結合し、VH及びVLは、第2の標的抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを形成し、TCRD1及びTCRD2は、少なくとも1つのTCR−関連シグナル伝達分子の動員を促進するTCRMを形成し、L1及びL2がペプチドリンカーである、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、L1及び/又はL2は、約5〜約50(例えば、約5〜10、約10〜15、又は約15〜30)のアミノ酸長である。いくつかの実施形態では、L1及び/又はL2は、配列番号83〜85のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。例示的な二重特異性caTCRを図13Dに示す。
いくつかの実施形態では、caTCRであって、(i)N末端からC末端まで、VL−CL−L1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VH−CH1を含む第2のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、scFv−L2−TCRD2を含む第3のポリペプチド鎖;(ii)N末端からC末端まで、VH−CH1−L1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VL−CLを含む第2のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、scFv−L2−TCRD2を含む第3のポリペプチド鎖;(iii)N末端からC末端まで、scFv−L1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VH−CH1を含む第2のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VL−CL−L2−TCRD2を含む第3のポリペプチド鎖;又は(iv)N末端からC末端まで、scFv−L1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VL−CLを含む第2のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VH−CH1−L2−TCRD2を含む第3のポリペプチド鎖を含み、ここで、scFVは、第1の標的抗原に特異的に結合し、VH及びVLは、第2の標的抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを形成し、TCRD1及びTCRD2は、少なくとも1つのTCR−関連シグナル伝達分子の動員を促進するTCRMを形成し、L1及びL2がペプチドリンカーである、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、L1及び/又はL2は、約5〜約50(例えば、約5〜10、約10〜15、又は約15〜30)のアミノ酸長である。いくつかの実施形態では、L1及び/又はL2は、配列番号83〜85のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。例示的な二重特異性caTCRを図13Eに示す。scFvとTCRDとの間のペプチドリンカーの長さと、FabとTCRDとの間のペプチドリンカーの長さは、その標的抗原に対するscFv及びFabのアクセス性に影響を与え得るように最適化することができる。
多重特異性caTCRの多重特異性抗原結合モジュールは、標的抗原又はエピトープの任意の好適な組み合わせに特異的に結合し得る。いくつかの実施形態では、多重特異性抗原結合モジュールは、少なくとも1つの細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの細胞表面抗原は、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5からなる群から選択され、これらの多様体又は変異体を含む。いくつかの実施形態では、多重特異性抗原結合モジュールは、少なくとも1つのペプチド/MHC複合体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのペプチド/MHC複合体は、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAからなる群から選択され、これらの多様体又は変異体を含む、タンパク質に由来するペプチドを含む。いくつかの実施形態では、多重特異性抗原結合モジュールは、第1の細胞表面抗原及び第2の細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、多重特異性抗原結合モジュールは、CD19及びCD22に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、多重特異性抗原結合モジュールは、CD19及びCD20に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、多重特異性抗原結合モジュールは、第1のペプチド/MHC複合体及び第2のペプチド/MHC複合体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、多重特異性抗原結合モジュールは、細胞表面抗原及びペプチド/MHC複合体に特異的に結合する。
第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインは、好適な抗体に由来する抗体部分であってもよい。例示的な抗CD19抗体及び抗CD22抗体は、当該技術分野において既知である。例えば、WO2017066136A2号に記載されている抗CD19抗体、及び2018年3月30日に出願されたUSSN 62/650,955号(その内容が、全体的に本明細書に参考として組み込まれる)に記載されている抗CD22抗体を参照。
いくつかの実施形態では、caTCRであって、(a)CD19に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインとCD22に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗原結合モジュールと、(b)第1のTCR−TMを含む第1のTCRD(TCRD1)と第2のTCR−TMを含む第2のTCRD(TCRD2)を含むTCRMとを含み、TCRMが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進する、caTCRが提供される。
いくつかの実施形態では、caTCRであって、(a)配列番号74のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR1、HC−CDR2及びHC−CDR3を含むVHと、配列番号78のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDR1、LC−CDR2及びLC−CDR3を含むVLとを含む、CD19に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、(ii)配列番号65のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR1、HC−CDR2及びHC−CDR3を含むVHと、配列番号69のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDR1、LC−CDR2及びLC−CDR3を含むVLとを含む、CD22に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインとを含む、多重特異性(例えば、二重特異性)抗原結合モジュールと、(b)第1のTCR−TMを含む第1のTCRD(TCRD1)と第2のTCR−TMを含む第2のTCRD(TCRD2)を含むTCRMとを含み、TCRMが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進する、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、CD19に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインは、配列番号71のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号72のアミノ酸配列を含むHC−CDR2及び配列番号73のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、配列番号75のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号76のアミノ酸配列を含むLC−CDR2及び配列番号77のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、CD22に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインは、配列番号62のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号63のアミノ酸配列を含むHC−CDR2及び配列番号64のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、配列番号66のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号67のアミノ酸配列を含むLC−CDR2及び配列番号68のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、CD19に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインは、配列番号74のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号78のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、CD22に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインは、配列番号65のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号69のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、CD19に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインは、配列番号79のアミノ酸配列を含むscFvを含む。いくつかの実施形態では、CD19に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインは、配列番号70のアミノ酸配列を含むscFvを含む。いくつかの実施形態では、TCRD1は、配列番号80のアミノ酸配列を含み、TCRD2は、配列番号81のアミノ酸配列を含むか、又はTCRD1は、配列番号81のアミノ酸配列を含み、TCRD2は、配列番号80のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、TCRD1に融合するCH1と、TCRD2に融合するCLとを含むか、又はTCRD1に融合するCLと、TCRD2に融合するCH1とを含む。いくつかの実施形態では、CH1は、配列番号37のアミノ酸配列を含み、CLは、配列番号48のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CH1及びCLは、二量体形成を安定化させる1つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態では、CH1は、配列番号86のアミノ酸配列を含み、CLは、配列番号87のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメイン又はそのフラグメント(例えば、VH又はVL)は、ペプチドリンカーを介して、第2の抗原結合ドメイン又はそのフラグメント(例えば、VH又はVL)に融合する。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメイン又はそのフラグメント(例えば、VH又はVL)は、ペプチドリンカーを介して、CH1又はCLに融合する。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合ドメイン又はそのフラグメント(例えば、VH又はVL)は、ペプチドリンカーを介して、CH1又はCLに融合する。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、約5〜約50アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、配列番号83〜85のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、CD19及びCD20に特異的に結合するcaTCRであって、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、配列番号89のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド、(ii)配列番号90のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、配列番号91のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド、(iii)配列番号92のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、配列番号93のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド、(iv)配列番号94のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、配列番号95のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド、(v)配列番号96のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、配列番号97のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド、(vi)配列番号98のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、配列番号99のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド、(vii)配列番号100のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、配列番号101のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド、(viii)配列番号102のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、配列番号103のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド、(ix)配列番号104のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、配列番号105のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド、(x)配列番号106のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、配列番号107のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド、(xi)配列番号108のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、配列番号109のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド、(xii)配列番号110のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、配列番号111のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド、又は(xiii)配列番号112のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、配列番号113のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチドを含む、caTCRが提供される。
いくつかの実施形態では、caTCRであって、(a)CD19に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインとCD20に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗原結合モジュールと、(b)第1のTCR−TMを含む第1のTCRD(TCRD1)と第2のTCR−TMを含む第2のTCRD(TCRD2)を含むTCRMとを含み、TCRMが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進する、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、CD19に特異的に結合する抗原結合ドメインは、配列番号74のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR1、HC−CDR2及びHC−CDR3を含むVHと、配列番号78のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDR1、LC−CDR2及びLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、CD20に特異的に結合する抗原結合ドメインは、配列番号56のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR1、HC−CDR2及びHC−CDR3を含むVHと、配列番号57のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDR1、LC−CDR2及びLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、CD19に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインは、配列番号74のアミノ酸配列を含むVHを含み、VLは、配列番号78のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CD20に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインは、配列番号56のアミノ酸配列を含むVHを含み、VLは、配列番号57のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、TCRD1は、配列番号80のアミノ酸配列を含み、TCRD2は、配列番号81のアミノ酸配列を含むか、又はTCRD1は、配列番号81のアミノ酸配列を含み、TCRD2は、配列番号80のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、TCRD1に融合するCH1と、TCRD2に融合するCLとを含むか、又はTCRD1に融合するCLと、TCRD2に融合するCH1とを含む。いくつかの実施形態では、CH1は、配列番号37のアミノ酸配列を含み、CLは、配列番号48のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CH1及びCLは、二量体形成を安定化させる1つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態では、CH1は、配列番号86のアミノ酸配列を含み、CLは、配列番号87のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメイン又はそのフラグメント(例えば、VH又はVL)は、ペプチドリンカーを介して、第2の抗原結合ドメイン又はそのフラグメント(例えば、VH又はVL)に融合する。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメイン又はそのフラグメント(例えば、VH又はVL)は、ペプチドリンカーを介して、CH1又はCLに融合する。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合ドメイン又はそのフラグメント(例えば、VH又はVL)は、ペプチドリンカーを介して、CH1又はCLに融合する。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、約5〜約50アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、配列番号83〜85のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
キメラ共刺激受容体(CSR)構築物
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれか1つと、キメラ共刺激受容体(CSR)とを含む、免疫細胞(例えば、T細胞)であって、キメラ共刺激受容体(CSR)は、(i)標的リガンドと結合するか、又は相互作用することが可能なリガンド結合モジュールと、(ii)膜貫通モジュールと、(iii)共刺激信号を免疫細胞に与えることが可能な共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールとを含み、リガンド結合モジュールと共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールは、同じ分子に由来せず、CSRが、機能的な一次免疫細胞シグナル伝達ドメインを欠いている、免疫細胞が提供される。このような免疫細胞は、本明細書では「caTCR+CSR免疫細胞」とも呼ばれる。
本明細書に記載のリガンド特異的キメラ共刺激受容体(CSR)は、標的リガンド(例えば、細胞表面抗原又はペプチド/MHC複合体)に特異的に結合し、標的リガンドが結合すると機能的に発現する表面で免疫細胞を刺激することが可能である。CSRは、リガンド結合特異性を与えるリガンド結合モジュールと、膜貫通モジュールと、免疫細胞を刺激することが可能な共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールとを含む。CSRは、機能的な一次免疫細胞シグナル伝達配列を欠いている。いくつかの実施形態では、CSRは、任意の一次免疫細胞シグナル伝達配列を欠いている。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合モジュールと、膜貫通モジュールと、共刺激シグナル伝達モジュールとを含む、単一のポリペプチド鎖を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖とを含み、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖が合わさって、リガンド結合モジュール、膜貫通モジュール及び共刺激シグナル伝達モジュールを形成する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖は、別個のポリペプチド鎖であり、CSRは、多量体(例えば、二量体)である。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖は、例えば、ペプチド結合によって、又は別の化学結合(例えば、ジスルフィド結合)によって、共有結合している。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞におけるCSRの発現は、誘導性である。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞の発現は、caTCRを介してシグナル伝達するときに誘導性である。
本発明のCSRで使用するための共刺激免疫細胞シグナル伝達ドメインの例は、caTCRと協働して作用し、caTCR係合後のシグナル伝達を開始させることができる、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列、及びこれらの配列の任意の誘導体又は多様体、及び同じ機能能力を有する任意の合成配列が挙げられる。
いくつかの状況下では、TCRのみによって生成されたシグナルは、T細胞の完全な活性化には不十分であり、二次シグナル又は共刺激シグナルも必要である。したがって、いくつかの実施形態では、T細胞活性化には、TCRによる抗原依存性一次活性化を開始させるもの(本明細書では、「一次T細胞シグナル伝達配列」と呼ばれる)と、二次シグナル又は共刺激シグナルを与える抗原非依存性の様式で作用するもの(本明細書では、「共刺激性T細胞シグナル伝達配列」と呼ばれる)といった、2つの別個のクラスの細胞内シグナル伝達配列が介在している。
刺激による経路で作用する一次免疫細胞シグナル伝達配列は、免疫受容体チロシン由来の活性化モチーフ、又はITAMとして知られる、シグナル伝達モチーフを含んでいてもよい。ITAMを含有する一次免疫細胞シグナル伝達配列の例としては、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b及びCD66dに由来するものが挙げられる。「機能的」一次免疫細胞シグナル伝達配列は、適切な受容体に作動可能に接続すると、免疫細胞活性化シグナルを形質導入することが可能な配列である。「非機能的」一次免疫細胞シグナル伝達配列は、一次免疫細胞シグナル伝達配列のフラグメント又は多様体を含んでいてもよいが、免疫細胞活性化シグナルを形質導入することができない。本明細書に記載のCSRは、機能的一次免疫細胞シグナル伝達配列(例えば、ITAMを含む機能的シグナル伝達配列)を欠いている。いくつかの実施形態では、CSRは、任意の一次免疫細胞シグナル伝達配列を欠いている。
共刺激免疫細胞シグナル伝達配列は、例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD27、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含め、共刺激分子の細胞内ドメインの一部であってもよい。
いくつかの実施形態では、標的リガンドは、細胞表面抗原である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されたcaTCRの標的抗原と同じである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されたcaTCRの標的抗原とは異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、標的抗原を提示する細胞の表面上に提示される分子である。例えば、いくつかの実施形態では、caTCRの標的抗原は、癌細胞上に提示される癌関連抗原であり、標的リガンドは、インテグリンなどの癌細胞の表面上に発現されるユビキチン分子である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、癌関連リガンドである。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、例えば、CD19、CD20、CD22、CD47、IL4、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A及びPSAを含むタンパク質に由来するペプチドを含む、ペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ウイルス関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、免疫チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、PD−L1、PD−L2、CD80、CD86、ICOSL、B7−H3、B7−H4、HVEM、4−1BBL、OX40L、CD70、CD40及びGAL9を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、アポトーシス分子である。いくつかの実施形態では、アポトーシス分子は、FasL、FasR、TNFR1及びTNFR2を含む。
いくつかの実施形態では、リガンド結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5を含む、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、限定されないが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A及びPSAを含む、タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD19に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2017066136A2号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD19に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)(例えば、配列番号54のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVHドメイン、及び/又は配列番号55のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVLドメイン、又はその中に含まれるCDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD20に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)(例えば、配列番号56のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVHドメイン、及び/又は配列番号57のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVLドメイン、又はその中に含まれるCDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD22に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、その内容が全体的に本明細書に参考として組み込まれる、2018年3月30日に出願されたUSSN 62/650,955号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD22に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)(例えば、配列番号65のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVHドメイン、及び/又は配列番号69のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVLドメイン、又はその中に含まれるCDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPC3に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、その内容が全体的に本明細書に参考として組み込まれる、2017年4月26日に出願されたUSSN 62/490,586号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPC3に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)(例えば、配列番号58のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVHドメイン、及び/又は配列番号59のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVLドメイン、又はその中に含まれるCDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ROR1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/187220号及びWO2016/187216号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ROR2に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/142768号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、BCMAに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090327号及びWO2016/090320号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPRC5Dに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090329号及びWO2016/090312号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、FCRL5に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090337号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、WT−1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2012/135854号、WO2015/070078号及びWO2015/070061号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、AFPに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/161390号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、HPV16−E7に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/182957号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、NY−ESO−1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/210365号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、PRAMEに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/191246号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、EBV−LMP2Aに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/201124号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、KRASに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/154047号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、PSAに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2017/015634号を参照)。
いくつかの実施形態では、リガンド結合モジュールは、標的リガンドの受容体の細胞外ドメインの全て又は一部である(又はこれらに由来する)。いくつかの実施形態では、受容体は、例えば、FasR、TNFR1、TNFR2、PD−1、CD28、CTLA−4、ICOS、BTLA、KIR、LAG−3、4−1BB、OX40、CD27及びTIM−3を含む。
いくつかの実施形態では、膜貫通モジュールは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137又はCD154に由来する1つ以上の膜貫通ドメインを含む。
いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達モジュールは、例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む、免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、共刺激性シグナル伝達分子は、配列番号49又は118のアミノ酸配列を含むCD28のフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、共刺激性シグナル伝達分子は、配列番号50又は119のアミノ酸配列を含む4−1BBのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、共刺激性シグナル伝達分子は、配列番号51又は120のアミノ酸配列を含むOX40のフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、共刺激性シグナル伝達分子は、配列番号122又は123のアミノ酸配列を含むCD27のフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、共刺激性シグナル伝達分子は、配列番号124又は125のアミノ酸配列を含むCD30のフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、共刺激性シグナル伝達分子は、配列番号121のアミノ酸配列を含むCD8のフラグメントを含む。
いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合モジュール、膜貫通モジュール及び共刺激シグナル伝達モジュールのいずれかの間にスペーサーモジュールを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサーモジュールは、2つのCSRモジュールを接続する1つ以上のペプチドリンカーを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーモジュールは、約5〜約70(例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65又は70のいずれか、これらの値の間にある任意の範囲を含む)のアミノ酸長の1つ以上のペプチドリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、リガンド結合モジュール(例えば、抗体部分)は、(a)他の分子に対する結合親和性の少なくとも約10倍(例えば、少なくとも約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、750倍、1000倍のいずれか、又はもっと多くを含む)の親和性で標的抗原に特異的に結合するか、又は(b)他の分子に対する結合のKdの約1/10以下(例えば、1/10以下、1/20以下、1/30以下、1/40以下、1/50以下、1/75以下、1/100以下、1/200以下、1/300以下、1/400以下、1/500以下、1/750以下、1/1000以下のいずれか、又はもっと小さい)のKdで標的抗原に特異的に結合する抗体部分を含む。結合親和性は、ELISA、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析、又は放射線免疫沈降アッセイ(RIA)などの当該技術分野において既知の方法によって決定することができる。Kdは、例えばBiacore機器を利用する表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ、又は例えばSapidyne装置を利用する動的排除アッセイ(KinExA)などの当該技術分野で既知の方法によって決定することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、標的リガンド(例えば、細胞表面抗原又はペプチド/MHC複合体)に特異的に結合し、(a)標的リガンド結合ドメイン(LBD)と、(b)膜貫通ドメインと、(c)共刺激シグナル伝達ドメインとを含み、CSRは、標的リガンド結合の際に機能的に発現される表面で免疫細胞を刺激することが可能である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、細胞表面抗原である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されたcaTCRの標的抗原と同じである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されたcaTCRの標的抗原とは異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、癌関連リガンドである。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、例えば、CD19、CD20、CD22、CD47、IL4、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A及びPSAを含むタンパク質に由来するペプチドを含む、ペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ウイルス関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、免疫チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、PD−L1、PD−L2、CD80、CD86、ICOSL、B7−H3、B7−H4、HVEM、4−1BBL、OX40L、CD70、CD40及びGAL9を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、アポトーシス分子である。いくつかの実施形態では、アポトーシス分子は、FasL、FasR、TNFR1及びTNFR2を含む。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、標的リガンドの受容体の細胞外ドメインの全て又は一部である(又はこれらに由来する)。いくつかの実施形態では、受容体は、例えば、FasR、TNFR1、TNFR2、PD−1、CD28、CTLA−4、ICOS、BTLA、KIR、LAG−3、4−1BB、OX40、CD27及びTIM−3を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通モジュールは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137又はCD154を含む、膜貫通タンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、膜貫通タンパク質(fTMP)のフラグメントを含み、fTMPは、CSR膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む、免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、CSRは、免疫細胞共刺激分子(fCSM)のフラグメントを含み、fCSMは、CSR膜貫通ドメインと、CSR共刺激シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインのいずれかの間にスペーサードメインを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサードメインは、2つのCSRドメインを接続するペプチドリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、標的リガンドに特異的に結合し、(a)標的リガンド結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)共刺激シグナル伝達ドメインとを含み、標的リガンドは、細胞表面抗原であり、CSRは、標的リガンド結合の際に機能的に発現される表面で免疫細胞を刺激することが可能である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されたcaTCRの標的抗原と同じである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されたcaTCRの標的抗原とは異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、癌関連リガンドである。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、例えば、CD19、CD20、CD22、CD47、IL4、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ウイルス関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、免疫チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、PD−L1、PD−L2、CD80、CD86、ICOSL、B7−H3、B7−H4、HVEM、4−1BBL、OX40L、CD70、CD40及びGAL9を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、アポトーシス分子である。いくつかの実施形態では、アポトーシス分子は、FasL、FasR、TNFR1及びTNFR2を含む。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、標的リガンドの受容体の細胞外ドメインの全て又は一部である(又はこれらに由来する)。いくつかの実施形態では、受容体は、例えば、FasR、TNFR1、TNFR2、PD−1、CD28、CTLA−4、ICOS、BTLA、KIR、LAG−3、4−1BB、OX40、CD27及びTIM−3を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通モジュールは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137又はCD154を含む、膜貫通タンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、膜貫通タンパク質(fTMP)のフラグメントを含み、fTMPは、CSR膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む、免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、CSRは、免疫細胞共刺激分子(fCSM)のフラグメントを含み、fCSMは、CSR膜貫通ドメインと、CSR共刺激シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインのいずれかの間にスペーサードメインを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサードメインは、2つのCSRドメインを接続するペプチドリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、標的リガンドに特異的に結合し、(a)標的リガンド結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)共刺激シグナル伝達ドメインとを含み、標的リガンドは、ペプチド/MHC複合体であり、CSRは、標的リガンド結合の際に機能的に発現される表面で免疫細胞を刺激することが可能である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されたcaTCRの標的抗原と同じである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されたcaTCRの標的抗原とは異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、癌関連リガンドである。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A及びPSAを含むタンパク質に由来するペプチドを含む、ペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ウイルス関連リガンドである。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、膜貫通モジュールは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137又はCD154を含む、膜貫通タンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、膜貫通タンパク質(fTMP)のフラグメントを含み、fTMPは、CSR膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む、免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、CSRは、免疫細胞共刺激分子(fCSM)のフラグメントを含み、fCSMは、CSR膜貫通ドメインと、CSR共刺激シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインのいずれかの間にスペーサードメインを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサードメインは、2つのCSRドメインを接続するペプチドリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、標的リガンド(例えば、細胞表面抗原又はペプチド/MHC複合体)に特異的に結合し、(a)標的リガンド結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)共刺激シグナル伝達ドメインとを含み、リガンド結合ドメインは、抗体部分であり、CSRは、標的リガンド結合の際に機能的に発現される表面で免疫細胞を刺激することが可能である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、細胞表面抗原である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されたcaTCRの標的抗原と同じである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されたcaTCRの標的抗原とは異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、癌関連リガンドである。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、例えば、CD19、CD20、CD22、CD47、IL4、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A及びPSAを含むタンパク質に由来するペプチドを含む、ペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ウイルス関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、免疫チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、PD−L1、PD−L2、CD80、CD86、ICOSL、B7−H3、B7−H4、HVEM、4−1BBL、OX40L、CD70、CD40及びGAL9を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、アポトーシス分子である。いくつかの実施形態では、アポトーシス分子は、FasL、FasR、TNFR1及びTNFR2を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、膜貫通モジュールは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137又はCD154を含む、膜貫通タンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、膜貫通タンパク質(fTMP)のフラグメントを含み、fTMPは、CSR膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む、免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、CSRは、免疫細胞共刺激分子(fCSM)のフラグメントを含み、fCSMは、CSR膜貫通ドメインと、CSR共刺激シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインのいずれかの間にスペーサードメインを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサードメインは、2つのCSRドメインを接続するペプチドリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、CSRは、CD28のfCSMを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、(a)標的リガンド結合ドメインと、(b)配列番号118のアミノ酸配列を含むCD28のフラグメントとを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、標的リガンド結合ドメインと、配列番号126のアミノ酸配列を含むCSRドメインとを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、標的リガンド(例えば、細胞表面抗原又はペプチド/MHC複合体)に特異的に結合し、(a)標的リガンド結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)共刺激シグナル伝達ドメインとを含み、リガンド結合ドメインは、標的リガンドの受容体の細胞外ドメインの全て又は一部であるか(又はこれらに由来し)、CSRは、標的リガンド結合の際に機能的に発現される表面で免疫細胞を刺激することが可能である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、細胞表面抗原である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されたcaTCRの標的抗原と同じである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されたcaTCRの標的抗原とは異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、癌関連リガンドである。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、例えば、CD19、CD20、CD22、CD47、IL4、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、免疫チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、PD−L1、PD−L2、CD80、CD86、ICOSL、B7−H3、B7−H4、HVEM、4−1BBL、OX40L、CD70、CD40及びGAL9を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、アポトーシス分子である。いくつかの実施形態では、アポトーシス分子は、FasL、FasR、TNFR1及びTNFR2を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンド受容体は、例えば、FasR、TNFR1、TNFR2、PD−1、CD28、CTLA−4、ICOS、BTLA、KIR、LAG−3、4−1BB、OX40、CD27及びTIM−3を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137又はCD154に由来する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む、免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインのいずれかの間にスペーサードメインを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサードメインは、2つのCSRドメインを接続するペプチドリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、CD19に特異的に結合する本明細書に記載のCSRは、(a)配列番号74のアミノ酸配列を有するVHドメインと配列番号78のアミノ酸配列を有するVLドメインと、(b)配列番号49又は118のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるCD28のフラグメントとを含む。いくつかの実施形態では、CD28のフラグメントは、配列番号118のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、アミノ末端からカルボキシ末端まで、scFvと、ペプチドリンカーと、CD28のフラグメントとを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、配列番号127のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。
いくつかの実施形態では、GPC3に特異的に結合する本明細書に記載のCSRは、(a)配列番号58のアミノ酸配列を有するVHドメインと配列番号59のアミノ酸配列を有するVLドメインと、(b)配列番号49又は80のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるCD28のフラグメントとを含む。いくつかの実施形態では、scFvは、配列番号117のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、CD28のフラグメントは、配列番号118のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、アミノ末端からカルボキシ末端まで、scFvと、ペプチドリンカーと、CD28のフラグメントとを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、配列番号128のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。
いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞におけるCSRの発現は、誘導性である。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、本明細書に記載の誘導プロモーターのいずれかを含む、誘導プロモーターに作動可能に接続するCSRをコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞におけるCSRの発現は、caTCRを介してシグナル伝達するときに誘導性である。いくつかのこのような実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、caTCRによるシグナル伝達に応答してプロモーター又は調節エレメントに作動可能に接続するCSRをコードする核酸配列を組む。いくつかの実施形態では、CSRをコードする核酸配列は、活性化T細胞(NFAT)由来プロモーターの核因子に作動可能に接続する。いくつかの実施形態では、NFAT由来プロモーターは、NFAT由来最小プロモーターである(例えば、Durand,D.ら、Molec.Cell.Biol.8、1715−1724(1988);Clipstone,NA、Crabtree,GR.Nature.1992 357(6380):695−7;Chmielewski,M.ら、Cancer research 71.17(2011):5697−5706;及びZhang,L.ら、Molecular therapy 19.4(2011):751−759を参照)。いくつかの実施形態では、NFAT由来プロモーターは、配列番号116のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRをコードする核酸配列は、IL−2プロモーターに作動可能に接続する。
分泌二次エフェクター(SSE)構築物
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれか1つを含む免疫細胞(例えば、T細胞)が提供され、当該免疫細胞は、分泌二次エフェクター(SSE)を分泌することが可能である。このような免疫細胞は、本明細書では「caTCR+SSE免疫細胞」とも呼ばれる。SSEは、機能的に発現され、分泌型であり、caTCR+SSE免疫細胞が介在する免疫応答を強化する。いくつかの実施形態では、SSEは、他の免疫細胞(例えば、バイスタンダーT細胞又はNK細胞)を、標的疾患細胞(又は、標的癌細胞)に再指向させることが可能である。いくつかの実施形態では、SSEは、免疫細胞(例えば、T細胞又はNK細胞)及び疾患細胞(例えば、癌細胞)を標的とする多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。いくつかの実施形態では、SSEは、免疫抑制腫瘍環境などの免疫抑制環境からcaTCR+SSE免疫細胞を保護する。いくつかの実施形態では、SSEは、caTCR+SSE免疫細胞上での刺激受容体の自己分泌活性化を与える。いくつかの実施形態では、SSEは、外来性増殖因子又は刺激サイトカインである。いくつかの実施形態では、caTCR+SSE免疫細胞におけるSSEの発現は、誘導性である。いくつかの実施形態では、caTCR+SSE免疫細胞におけるSSEの発現は、caTCRを介してシグナル伝達するときに誘導性である。いくつかの実施形態では、caTCR+SSE免疫細胞は、本明細書に記載されるCSRのうちのいずれかの1つを更に含む。
いくつかの実施形態では、SSEは、T細胞及び疾患細胞を標的とする多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。いくつかの実施形態では、SSEは、T細胞の表面抗原に特異的に結合する抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、T細胞表面抗原は、CD3である。いくつかの実施形態では、SSEは、疾患関連抗原(例えば、癌関連抗原)に特異的に結合する抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、疾患関連抗原は、疾患細胞(癌細胞など)の表面抗原である。いくつかの実施形態では、疾患関連抗原は、グリピカン−3(GPC3)、CD47、ムチン−16(MUC16)、CD19、CD20、CD22、EpCAM、EGFR、HER2、CEA、PSMA、AFP、PSA、BCMA、FCRL5、NY−ESO、HPV16又はFoxP3であり、これらの多様体又は変異体を含む。いくつかの実施形態では、SSEは、タンデムscFv、ダイアボディ(Db)、単鎖ダイアボディ(scDb)、二重親和性再標的化(DART)抗体及び二重可変ドメイン(DVD)抗体からなる群から選択される多重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、SSEは、二重特異性である。いくつかの実施形態では、SSEは、T細胞表面抗原を標的とする第1のscFvと、疾患関連抗原を標的とする第2のscFvとを含む、タンデムscFvである。
いくつかの実施形態では、SSEは、CD3を標的とする第1のscFvと、疾患関連抗原を標的とする第2のscFvとを含む、タンデムscFvである。いくつかの実施形態では、疾患関連抗原は、GPC3、CD47、MUC16、CD19、CD20、CD22、EpCAM、EGFR、HER2、CEA、PSMA、AFP、PSA、BCMA、FCRL5、NY−ESO、HPV16又はFoxP3であり、これらの多様体又は変異体を含む。
いくつかの実施形態では、SSEは、CD3を標的とする第1のscFvと、GPC3を標的とする第2のscFvとを含む、タンデムscFvである。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、配列番号58のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVHドメインと、配列番号59のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVLドメインとを含む。いくつかの実施形態では、VHドメインは、VLドメインに対してアミノ末端にある。いくつかの実施形態では、VLドメインは、VHドメインに対してアミノ末端にある。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、配列番号117のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。いくつかの実施形態では、第1のscFvは、第2のscFvに対してアミノ末端にある。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、第1のscFvに対してアミノ末端にある。いくつかの実施形態では、SSEは、配列番号129のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなる。
いくつかの実施形態では、SSEは、CD3を標的とする第1のscFvと、CD47を標的とする第2のscFvとを含む、タンデムscFvである。いくつかの実施形態では、SSEは、CD3を標的とする第1のscFvと、MUC16を標的とする第2のscFvとを含む、タンデムscFvである。
いくつかの実施形態では、SSEは、NK細胞及び疾患関連抗原(例えば、癌関連抗原)を標的とする多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。いくつかの実施形態では、SSEは、NK細胞の表面抗原に特異的に結合する抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、NK細胞表面抗原は、CD16aである。いくつかの実施形態では、SSEは、疾患関連抗原(例えば、癌関連抗原)に特異的に結合する抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、疾患関連抗原は、疾患細胞(癌細胞など)の表面抗原である。いくつかの実施形態では、疾患関連抗原は、GPC3、CD47、MUC16、CD19、CD20、CD22、EpCAM、EGFR、HER2、CEA、PSMA、AFP、PSA、BCMA、FCRL5、NY−ESO、HPV16又はFoxP3であり、これらの多様体又は変異体を含む。いくつかの実施形態では、SSEは、タンデムscFv、ダイアボディ(Db)、単鎖ダイアボディ(scDb)、二重親和性再標的化(DART)抗体及び二重可変ドメイン(DVD)抗体からなる群から選択される多重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、SSEは、二重特異性である。いくつかの実施形態では、SSEは、NK細胞表面抗原を標的とする第1のscFvと、疾患関連抗原を標的とする第2のscFvとを含む、タンデムscFvである。
いくつかの実施形態では、SSEは、CD16aを標的とする第1のscFvと、疾患関連抗原を標的とする第2のscFvとを含む、タンデムscFvである。いくつかの実施形態では、疾患関連抗原は、GPC3、CD47、MUC16、CD19、CD20、CD22、EpCAM、EGFR、HER2、CEA、PSMA、AFP、PSA、BCMA、FCRL5、NY−ESO、HPV16又はFoxP3であり、これらの多様体又は変異体を含む。
いくつかの実施形態では、SSEは、CD16aを標的とする第1のscFvと、GPC3を標的とする第2のscFvとを含む、タンデムscFvである。いくつかの実施形態では、SSEは、CD16aを標的とする第1のscFvと、CD47を標的とする第2のscFvとを含む、タンデムscFvである。いくつかの実施形態では、SSEは、CD16aを標的とする第1のscFvと、MUC16を標的とする第2のscFvとを含む、タンデムscFvである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSSEは、疾患関連抗原に特異的に結合する抗体部分を含み、抗体部分は、疾患関連抗原に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD19に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2017066136A2号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD19に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)(例えば、配列番号54のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVHドメイン、及び/又は配列番号55のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVLドメイン、又はその中に含まれるCDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD20に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)(例えば、配列番号56のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVHドメイン、及び/又は配列番号57のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVLドメイン、又はその中に含まれるCDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD22に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、その内容が全体的に本明細書に参考として組み込まれる、2018年3月30日に出願されたUSSN 62/650,955号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD22に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)(例えば、配列番号65のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVHドメイン、及び/又は配列番号69のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVLドメイン、又はその中に含まれるCDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPC3に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、その内容が全体的に本明細書に参考として組み込まれる、2017年4月26日に出願されたUSSN 62/490,586号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPC3に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)(例えば、配列番号58のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVHドメイン、及び/又は配列番号59のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVLドメイン、又はその中に含まれるCDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ROR1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/187220号及びWO2016/187216号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ROR2に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/142768号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、BCMAに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090327号及びWO2016/090320号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、GPRC5Dに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090329号及びWO2016/090312号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、FCRL5に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/090337号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、WT−1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2012/135854号、WO2015/070078号及びWO2015/070061号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、AFPに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/161390号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、HPV16−E7に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/182957号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、NY−ESO−1に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/210365号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、PRAMEに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/191246号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、EBV−LMP2Aに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/201124号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、KRASに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/154047号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、PSAに特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2017/015634号を参照)。いくつかの実施形態では、抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、SSEは、(a)T細胞(例えば、CD3)又はNK細胞(例えば、CD16a)の表面抗原に特異的に結合する第1のscFvと、(b)抗体部分とを含み、抗体部分が第2のscFvである、タンデムscFvである。いくつかの実施形態では、SSEは、ペプチドリンカーによって接続した第1のscFvと第2のscFvとを含む。いくつかの実施形態では、第1のscFvは、第2のscFvに対してアミノ末端にある。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、第1のscFvに対してアミノ末端にある。
いくつかの実施形態では、SSEは、1つ以上の可溶性免疫抑制剤を標的とする多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。このようなSSEは、可溶性免疫抑制剤をその標的から隔離するための捕捉剤として作用し、それによって、その免疫抑制効果を減らすことができる。いくつかの実施形態では、SSEは、1つ以上の可溶性免疫抑制剤に特異的に結合する1つ以上の抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤は、免疫抑制性サイトカインである。いくつかの実施形態では、免疫抑制性サイトカインとしては、TGF−βファミリーメンバー(例えば、TGF−β1〜4)、IL−4及びIL−10(これらの多様体又は変異体を含む)が挙げられる。いくつかの実施形態では、SSEは、タンデムscFv、ダイアボディ(Db)、単鎖ダイアボディ(scDb)、二重親和性再標的化(DART)抗体及び二重可変ドメイン(DVD)抗体からなる群から選択される多重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、SSEは、二重特異性である。例えば、いくつかの実施形態では、SSEは、第1の免疫抑制サイトカイン(例えば、TGFβ)を標的とする第1のscFvと、第2の免疫抑制サイトカイン(例えば、IL−4)を標的とする第2のscFvとを含む、タンデムscFvである。
いくつかの実施形態では、SSEは、免疫チェックポイント分子を標的とする抗体部分である。いくつかの実施形態では、SSEは、阻害性免疫チェックポイント分子のアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、阻害免疫チェックポイント分子は、PD−1、PD−L1、CTLA−4、HVEM、BTLA、KIR、LAG−3、TIM−3及びA2aRからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、SSEは、刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストである。いくつかの実施形態では、刺激免疫チェックポイント分子は、CD28、ICOS、4−1BB、OX40、CD27及びCD40からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、完全長抗体、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、scFvである。
いくつかの実施形態では、SSEは、PD−1を標的とするアンタゴニスト性抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、PD−1に特異的なアンタゴニスト性抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)を含む(例えば、WO2016/210129号を参照)。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗体部分は、完全長抗体、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト性抗体部分は、scFvである。
いくつかの実施形態では、SSEは、CD47を標的とするアンタゴニスト性抗体部分である。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト性抗体部分は、CD47に特異的な抗体部分のCDR又は可変ドメイン(VH及び/又はVLドメイン)(例えば、配列番号60のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVHドメイン、及び/又は配列番号61のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなるVLドメイン、又はその中に含まれるCDR)を含む。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗体部分は、完全長抗体、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト性抗体部分は、scFvである。
いくつかの実施形態では、SSEは、(a)他の分子に対する結合親和性の少なくとも約10倍(例えば、少なくとも約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、750倍、1000倍のいずれか、又はもっと多くを含む)の親和性で標的抗原に特異的に結合するか、又は(b)他の分子に対する結合のKdの約1/10以下(例えば、1/10以下、1/20以下、1/30以下、1/40以下、1/50以下、1/75以下、1/100以下、1/200以下、1/300以下、1/40以下、1/500以下、1/750以下、1/1000以下のいずれか、又はもっと小さい)のKdで標的抗原に特異的に結合する抗体部分を含む。結合親和性は、ELISA、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析、又は放射線免疫沈降アッセイ(RIA)などの当該技術分野において既知の方法によって決定することができる。Kdは、例えばBiacore機器を利用する表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ、又は例えばSapidyne装置を利用する動的排除アッセイ(KinExA)などの当該技術分野で既知の方法によって決定することができる。
いくつかの実施形態では、SSEは、免疫抑制受容体のリガンドに特異的に結合する可溶性分子である。いくつかの実施形態では、SSEは、免疫抑制受容体の細胞外ドメインに由来するリガンド結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、受容体の細胞外ドメインの一部である。いくつかの実施形態では、免疫抑制受容体は、FasR、TNFR1、TNFR2、SIRPα、PD−1、CD28、CTLA−4、ICOS、BTLA、KIR、LAG−3、4−1BB、OX40、CD27、CD40及びTIM−3からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、SSEは、免疫抑制受容体に特異的に結合し、拮抗作用をもたらす可溶性分子である。いくつかの実施形態では、SSEは、免疫抑制受容体のリガンドの細胞外ドメインに由来する受容体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、受容体結合ドメインは、リガンドの細胞外ドメインの一部である。いくつかの実施形態では、リガンドは、FasL、PD−L1、PD−L2、CD47、CD80、CD86、ICOSL、HVEM、4−1BBL、OX40L、CD70、CD40L及びGAL9からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、SSEは、外来性刺激サイトカインである。本明細書に記載の外来性サイトカインは、外来性遺伝子から発現されるサイトカインである。いくつかの実施形態では、外来性刺激サイトカインは、IL−12ファミリーメンバーである。いくつかの実施形態では、IL−12ファミリーメンバーは、IL−12、IL−23、IL−27又はIL−35である。いくつかの実施形態では、外来性刺激サイトカインは、IL−2、IL−15、IL−18又はIL−21である。いくつかの実施形態では、外来性刺激サイトカインは、caTCR+SSE免疫細胞上のサイトカインの受容体の自己分泌活性化を与えることができる。
いくつかの実施形態では、caTCR+SSE免疫細胞におけるSSEの発現は、誘導性である。いくつかの実施形態では、caTCR+SSE免疫細胞は、本明細書に記載の誘導プロモーターのいずれかを含む、誘導プロモーターに作動可能に接続するSSEをコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCR+SSE免疫細胞におけるSSEの発現は、caTCRを介してシグナル伝達するときに誘導性である。いくつかのこのような実施形態では、caTCR+SSE免疫細胞は、caTCRによるシグナル伝達に応答してプロモーター又は調節エレメントに作動可能に接続するSSEをコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SSEをコードする核酸配列は、活性化T細胞(NFAT)由来プロモーターの核因子に作動可能に接続する。いくつかの実施形態では、NFAT由来プロモーターは、NFAT由来最小プロモーターである(例えば、Durand,D.ら、Molec.Cell.Biol.8、1715−1724(1988);Clipstone,NA、Crabtree,GR.Nature.1992 357(6380):695−7;Chmielewski,M.ら、Cancer research 71.17(2011):5697−5706;及びZhang,L.ら、Molecular therapy 19.4(2011):751−759を参照)。いくつかの実施形態では、NFAT由来プロモーターは、配列番号116のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、SSEをコードしている核酸配列は、IL−2プロモーターに操作可能に連結されている。
核酸
本明細書に記載されるcaTCR、CSR及び/又はSSEをコードする核酸分子も想定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるcaTCR、CSR及び/又はSSEのいずれかによれば、caTCR、CSR及び/又はSSEをコードする核酸(又は核酸のセット)が提供される。
本発明はまた、本発明の核酸が挿入されるベクターも提供する。
簡潔に要約すると、caTCRをコードする核酸によるcaTCRの発現は、核酸を適切な発現ベクターに挿入することによって達成することができ、その結果、核酸は、5’及び3’調節エレメント(例えば、プロモーター(例えば、リンパ球に特異的なプロモーターを含む))及び3’非翻訳領域(UTR)に作動可能に接続する。ベクターは、真核生物宿主細胞における複製及び組み込みに適している場合がある。典型的なクローニング及び発現ベクターは、転写及び翻訳停止部と、開始配列と、所望の核酸配列の発現の制御に有用なプロモーターとを含む。
本発明の核酸は、標準的な遺伝子送達プロトコルを用いて、核酸免疫化及び遺伝子治療に使用することも可能である。遺伝子送達の方法は、当該技術分野において既知である。例えば、その全体が本明細書に参考として組み込まれる米国特許第5,399,346号、同第5,580,859号、同第5,589,466号を参照。いくつかの実施形態では、本発明は、遺伝子治療ベクターを提供する。
核酸は、多数の種類のベクターにクローニングすることができる。例えば、核酸は、限定されないが、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス及びコスミドを含むベクターにクローニングすることができる。特定の目的のベクターとしては、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター及びシークエンシングベクターが挙げられる。
更に、発現ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に提供されてもよい。ウイルスベクター技術は、当該技術分野において周知であり、例えば、Sambrookら(2001、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、New York)に記載されており、他のウイルス学及び分子生物学のマニュアルに記載されている。ベクターとして有用なウイルスとしては、限定されないが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス及びレンチウイルスが挙げられる。一般に、好適なベクターは、少なくとも1つの有機体と、プロモーター配列と、簡便な制限エンドヌクレアーゼ部位と、1つ以上の選択可能なマーカーとを含む(例えば、国際公開第01/96584号;国際公開第01/29058号及び米国特許第6,326,193号を参照)。
哺乳類細胞への遺伝子導入のために、多数のウイルス由来の系が開発されてきた。例えば、レトロウイルスは、遺伝子送達系に簡便なプラットフォームを提供する。選択された遺伝子をベクターに挿入し、当該技術分野において既知の技術を使用してレトロウイルス粒子に封入することができる。次いで、組換えウイルスを単離し、in vivo又はex vivoのいずれかで対象の細胞に送達することができる。多くのレトロウイルス系が当該技術分野において既知である。いくつかの実施形態では、アデノウイルスベクターが使用される。多くのアデノウイルスベクターが当該技術分野において既知である。いくつかの実施形態では、レンチウイルスベクターが使用される。レンチウイルスなどのレトロウイルス由来のベクターは、長期間の遺伝子転写を達成するのに適したツールである。これらのベクターは、長期間にわたる導入遺伝子の安定した組み込み及び娘細胞におけるその伝播を可能にするからである。レンチウイルスベクターは、肝細胞などの非増殖性細胞を形質導入することができるという点で、マウス白血病ウイルスなどの癌性レトロウイルス由来のベクターと比較して、利点を有する。これらのベクターはまた、免疫原性が低いという更なる利点も有する。
例えば、エンハンサーなどの更なるプロモーター配列は、転写開始の頻度を調節する。典型的には、これらは、開始部位から30〜110bp上流の領域に位置しているが、近年、多くのプロモーターが、同様に開始部位の下流に機能配列を含むことが示されている。プロモーター配列間の間隔は、多くの場合、フレキシブルであり、そのため、配列が互いに対して反転しているか、又は移動するときにも、プロモーター機能が保存される。チミジンキナーゼ(tk)プロモーターでは、プロモーター配列間の間隔は、活性が低下し始める前に、50bpまで増加させることができる。
好適なプロモーターの一例は、前初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、作動可能に接続した任意のポリヌクレオチド配列の高レベルでの発現を促すことが可能な、強力な構成型プロモーター配列である。好適なプロモーターの別の例は、伸長増殖因子−1α(EF−1α)である。しかしながら、他の構成型プロモーター配列としては、限定されないが、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)長末端反復(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタインバールウイルスの前初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、及びヒト遺伝子プロモーター、限定されないが、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーター及びクレアチンキナーゼプロモーターが挙げられ、これらも使用可能である。
更に、本発明は、構成型プロモーターの使用に限定されるべきではない。誘導プロモーターもまた、本発明の一部として想定される。誘導プロモーターの使用は、作動可能に接続したポリヌクレオチド配列の発現を、このような発現が望ましいときにオンにするか、又は発現が望ましくないときに発現をオフにすることが可能な分子スイッチを与える。真核細胞で使用するための例示的な誘導プロモーター系としては、限定されないが、ホルモン応答配列(例えば、Mader,S.及びWhite,J.H.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5603−5607を参照)、合成リガンド制御要素(例えば、Spencer,D.M.ら、1993)Science 262:1019−1024を参照)及びイオン化照射制御要素(例えば、Manome,Y.ら、(1993)Biochemistry 32:10607−10613;Datta,R.ら、(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1014−10153を参照)が挙げられる。in vitro又はin vivoの哺乳動物系で使用するための更なる例示的な誘導プロモーター系は、Gingrichら(1998)Annual Rev.Neurosci 21:377−405にまとめられている。
本発明で使用するための例示的な誘導プロモーター系は、Tet系である。係る系は、Gossenら(1993)によって記載されるTetシステムに基づく。例示的な実施形態では、目的のポリヌクレオチドは、1つ以上のTet操作(TetO)部位を含むプロモーターの制御下にある。非活性状態では、Tetリプレッサー(TetR)は、TetO部位に結合し、プロモーターからの転写を抑制する。活性状態では、例えば、テトラサイクリン(Tc)、無水テトラサイクリン、ドキシサイクリン(Dox)、又はその活性類似体などの誘導剤存在下で、誘導剤は、TetOからTetRを放出させ、それによって、転写を行うことができる。ドキシサイクリンは、抗生物質であるテトラサイクリンファミリーの一員であり、1−ジメチルアミノ−2,4a,5,7,12−ペンタヒドロキシ−11−メチル−4,6−ジオキソ−1,4a,11,11a,12,12a−ヘキサヒドロテトラセン−3−カルボキサミドの化学名を有する。
一実施形態では、TetRは、哺乳類細胞、例えば、マウス又はヒト細胞における発現のためにコドン最適化される。大部分のアミノ酸は、遺伝子コードの縮重により、1つより多いコドンによりコードされており、核酸によりコードされるアミノ酸配列を何ら変更することなく、所与の核酸のヌクレオチド配列の実質的な多様性を可能にする。しかし、多くの生物は、使用コドンにおいて違いを示し、この違いは、「コドンバイアス」(すなわち、所与のアミノ酸についての特定のコドンの使用に関する偏り)としても知られる。コドンバイアスは、多くは、特定のコドンについての主なtRNA種の存在と相関関係にあり、ひいてはmRNA翻訳の効率を高める。したがって、特定の生物(例えば、原核生物)由来のコード配列は、コドン最適化を介して、異なる生物(例えば、真核生物)における発現の改善に合わせて調整されてもよい。
Tet系の他の特定の変形例としては、以下の「Tet−Off」及び「Tet−On」系が挙げられる。Tet−Off系では、Tc又はDox存在下、転写は不活性である。この系では、テトラサイクリン制御性転写活性化タンパク質(tTA)は、ヘルペス単純ウイルス由来のVP16の強力な転写活性化ドメインに融合したTetRで構成されており、テトラサイクリン応答性プロモーター配列(TRE)の転写制御下にある標的核酸の発現を調整する。TREは、プロモーター(一般的に、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)前初期プロモーターに由来する最小プロモーター配列)に融合したTetO配列コンカテマーで構成される。Tc又はDoxが存在しない状態では、tTAはTREに結合し、標的遺伝子の転写を活性化する。Tc又はDoxが存在する状態では、tTAは、TREに結合することができず、標的遺伝子からの発現は、不活性なままである。
逆に、Tet−On系では、転写は、Tc又はDoxが存在する状態で活性である。Tet−On系は、逆テトラサイクリン制御転写活性化剤rtTAに基づく。tTAと同様に、rtTAは、TetRリプレッサーとVP16転写活性化ドメインとで構成される融合タンパク質である。しかし、TetR DNA結合部分中の4つのアミノ酸の変化は、Dox存在下で標的転写遺伝子のTRE中のtetO配列のみを認識することができるように、rtTAの結合特性を変える。したがって、Tet−Onシステムでは、TRE制御された標的遺伝子の転写は、Doxの存在下、rtTAのみによって刺激される。
別の誘導プロモーター系は、E.coli由来のlacリプレッサー系である。(Brownら、Cell 49:603−612(1987)を参照。)lacリプレッサー系は、lacオペレーター(lacO)を含むプロモーターに作動可能に接続する目的のポリヌクレオチドの転写を制御することによって機能する。lacリプレッサー(lacR)は、LacOに結合し、それにより、目的のポリヌクレオチドの転写を抑制する。目的のポリヌクレオチドの発現は、適切な誘導剤、例えば、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)によって誘導される。
ポリペプチド又はその部分の発現を評価するために、細胞に導入される発現ベクターは、ウイルスベクターによってトランスフェクションされるか、又は感染することが求められる細胞集合からの発現細胞の同定及び選択を容易にするために、選択可能なマーカー遺伝子又はレポーター遺伝子又はこれらを両方とも含んでいてもよい。他の態様では、選択可能なマーカーは、DNAの別個の断片上に保有され、同時導入法で使用されてもよい。選択可能なマーカー及びレポーター遺伝子が両方とも、宿主細胞における発現を可能にするために適切な調節配列と隣接していてもよい。有用な選択可能なマーカーとしては、例えば、neoなどの抗生物質耐性遺伝子が挙げられる。
レポーター遺伝子は、トランスフェクションされ得る細胞を同定するため、また、調節配列の機能性を評価するために使用される。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエント生物又は組織内に存在しないか、又は発現していない遺伝子であり、一部の容易に検出可能な特性、例えば、酵素活性によって発現が示されるポリペプチドをコードする遺伝子である。DNAがレシピエント細胞に導入された後、レポーター遺伝子の発現を好適な時間でアッセイする。好適なレポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌アルカリホスファターゼ、又は緑色蛍光タンパク質遺伝子をコードする遺伝子を挙げることができる(例えば、Ui−Telら、2000 FEBS Letters 479:79−82)。好適な発現系は周知であり、既知の技術を使用して調製することができ、又は商業的に入手することができる。一般に、レポーター遺伝子の発現の最高レベルを示す最小5’隣接領域を有する構築物は、プロモーターとして同定される。このようなプロモーター領域を、レポーター遺伝子に接続させて、プロモーターによって促される転写を調節する能力について薬剤を評価するために使用してもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかに係るcaTCRをコードする核酸が提供される。いくつかの実施形態では、caTCRをコードする核酸は、caTCRの全てのポリペプチド鎖をコードする1つ以上の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の核酸配列はそれぞれ、別個のベクター上に位置する。いくつかの実施形態では、核酸配列の少なくとも一部は、同じベクター上に位置する。ベクターは、例えば、哺乳動物発現ベクター及びウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス及びレンチウイルス由来のもの)からなる群から選択されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、caTCRは、第1のcaTCRポリペプチド鎖と第2のcaTCRポリペプチド鎖とを含み、caTCRをコードする核酸が、第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1の核酸配列と、第2のcaTCR鎖をコードする第2の核酸配列とを含む、二量体である。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、第1のベクター上に位置し、第2の核酸配列は、第2のベクター上に位置する。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列と第2の核酸配列は、同じベクター上に位置する。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、第1のプロモーターの制御下にあり、第2の核酸配列は、第2のプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列及び第2の核酸配列は、多重シストロン性(例えば、二重シストロン性)ベクターにおいて、単一プロモーター制御下で、単一の転写物として発現される。例えば、Kim,JHら、PLoS One 6(4):e18556、2011を参照。いくつかの実施形態では、第1のプロモーター、第2のプロモーター及び/又は単一のプロモーターは、誘導性である。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、宿主細胞(T細胞など)における発現レベルが、宿主細胞中の第2の核酸配列の発現レベルとほぼ同じである。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、宿主細胞(T細胞など)における発現レベルが、宿主細胞における第2の核酸配列の発現レベルの少なくとも約2倍である(例えば、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍のいずれか、又はもっと多い)。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、宿主細胞(T細胞など)における発現レベルが、宿主細胞における第2の核酸配列の発現レベルの約1/2以下である(例えば、約1/2、1/3、1/4、1/5以下のいずれか、又はもっと少ない)。発現は、mRNAレベル又はタンパク質レベルで求めることができる。mRNA発現レベルは、ノーザンブロット、定量的RT−PCR、マイクロアレイ解析などを含む種々の周知の方法を用い、核酸から転写されたmRNAの量を測定することによって求めることができる。タンパク質の発現レベルは、免疫細胞化学染色、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット分析、発光アッセイ、質量分析、高速液体クロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析などを含む既知の方法によって測定することができる。本明細書に記載される実施形態の特徴は、caTCRをコードする核酸が、3つ以上の核酸配列を含む実施形態(例えば、caTCRが、3つ以上の別個のポリペプチド鎖を含む場合)、又は単一の核酸配列を含む実施形態(例えば、caTCRが、単一のポリペプチド鎖を含む場合)を包含するように採用され、組み合わさせることが可能であることを理解すべきである。
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかに係る第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖とを含む二量体caTCRをコードする核酸であって、(a)caTCRの第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸配列と、(b)caTCRの第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸配列とを含み、第1の核酸配列が、第1のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)上に位置し、第1のプロモーターに作動可能に接続し、第2の核酸配列が、第2のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)上に位置し、第2のプロモーターに作動可能に接続する、核酸が提供される。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、誘導性である。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、宿主細胞(T細胞など)における発現レベルが、宿主細胞における第2の核酸配列の発現レベルとほぼ同じである。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、宿主細胞(T細胞など)における発現レベルが、宿主細胞における第2の核酸配列の発現レベルの少なくとも約2倍である(例えば、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍のいずれか、又はもっと多い)。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、宿主細胞(T細胞など)における発現レベルが、宿主細胞における第2の核酸配列の発現レベルの約1/2以下である(例えば、約1/2、1/3、1/4、1/5以下のいずれか、又はもっと少ない)。いくつかの実施形態では、第1のベクター及び/又は第2のベクターは、ウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)である。
いくつかの実施形態では、ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)であって、(a)caTCRの第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸配列に作動可能に接続した第1のプロモーターと、(b)caTCRの第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸配列に作動可能に接続した第2のプロモーターとを含む、本明細書に記載のcaTCRのいずれかに係る第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖とを含む二量体caTCRをコードする核酸を含む、ベクターが提供される。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、誘導性である。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、宿主細胞(T細胞など)における発現レベルが、宿主細胞における第2の核酸配列の発現レベルとほぼ同じである。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、宿主細胞(T細胞など)における発現レベルが、宿主細胞における第2の核酸配列の発現レベルの少なくとも約2倍である(例えば、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍のいずれか、又はもっと多い)。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、宿主細胞(T細胞など)における発現レベルが、宿主細胞における第2の核酸配列の発現レベルの約1/2以下である(例えば、約1/2、1/3、1/4、1/5以下のいずれか、又はもっと少ない)。いくつかの実施形態では、ベクターは、ウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)である。
いくつかの実施形態では、ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)であって、本明細書に記載のcaTCRのいずれかに係る第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖とを含む二量体caTCRをコードする核酸を含み、caTCRが、(a)caTCRの第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸配列と、(b)caTCRの第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸配列とを含み、第1の核酸配列と第2の核酸配列が、単一のプロモーターの制御下にある、ベクターが提供される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、第1の核酸配列の5’末端に作動可能に接続し、第1の核酸配列には、配列内リボソーム進入部位(IRES)、及び第1の核酸配列の3’末端を第2の核酸配列の5’に接続する自己切断型2Aペプチド(例えば、P2A、T2A、E2A又はF2A)をコードする核酸からなる群から選択される核酸リンカーが存在し、第1の核酸配列と第2の核酸配列が、プロモーター制御下、単一のRNAとして転写される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、第2の核酸配列の5’末端に作動可能に接続し、第2の核酸配列には、配列内リボソーム進入部位(IRES)、及び第2の核酸配列の3’末端を第1の核酸配列の5’に接続する自己切断型2Aペプチド(例えば、P2A、T2A、E2A又はF2A)をコードする核酸からなる群から選択される核酸リンカーが存在し、第1の核酸配列と第2の核酸配列が、プロモーター制御下、単一のRNAとして転写される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、誘導性である。いくつかの実施形態では、ベクターは、ウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)である。
遺伝子を細胞に導入し、発現させる方法は、当該技術分野において既知である。発現ベクターの文脈において、ベクターは、当該技術分野における任意の方法により、宿主細胞、例えば、哺乳類、細菌、酵母又は昆虫細胞に容易に導入することができる。例えば、発現ベクターは、物理的、化学的又は生物学的手段によって、宿主細胞に移行することができる。
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する物理的な方法としては、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、粒子衝突、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどが挙げられる。ベクター及び/又は外因性核酸を含む細胞を産生する方法は、当該技術分野において周知である。例えば、Sambrookら(2001、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、New York)を参照。いくつかの実施形態では、宿主細胞へのポリヌクレオチドの導入は、リン酸カルシウムによるトランスフェクションによって行われる。
宿主細胞に目的のポリヌクレオチドを導入するための生物学的方法としては、DNA及びRNAベクターの使用が挙げられる。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、哺乳動物(例えば、ヒト)の細胞に遺伝子を挿入するための最も広く使用されている方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス1、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルスなどに由来していてもよい。例えば、米国特許第5,350,674号及び同第5,585,362号も参照。
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための化学的手段としては、コロイド状分散系、例えば、高分子複合体、ナノカプセル、微小球、ビーズ、水中油エマルションを含む脂質由来の系、ミセル、混合ミセル及びリポソームが挙げられる。in vitro及びin vivoでの送達ビヒクルとして使用するための例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。
非ウイルス送達系が利用される場合、例示的な送達ビヒクルは、リポソームである。脂質製剤の使用は、核酸の宿主細胞への(in vitro、ex vivo又はin vivoで)導入について想定されている。別の態様では、核酸は、脂質と会合していてもよい。脂質と会合する核酸は、リポソームの水性内側に封入され、リポソームの脂質二重層内に散在し、リポソーム及びオリゴヌクレオチドの両方に会合する接続分子を介してリポソームに接続し、リポソーム内に捕捉され、リポソームと複合体化し、脂質を含有する溶液中に分散し、脂質と混合され、脂質と組み合わせられ、脂質中の懸濁物として含まれ、ミセルと共に含まれるか、又はミセルと複合体化し、又はその他の様式で脂質と会合してもよい。脂質、脂質/DNA又は脂質/発現ベクターの会合組成物は、溶液中の任意の特定の構造に限定されない。例えば、これらは、ミセルとして、又は「潰れた」構造を有する二重層構造で存在してもよい。これらはまた、単に溶液中に散在してもよく、場合によっては、大きさ又は形状が均一ではない凝集体を形成してもよい。脂質は、天然に存在し得る脂肪物質又は合成脂質である。例えば、脂質としては、天然に細胞質中に生じる脂肪液滴や、長鎖脂肪族炭化水素及びその誘導体(例えば、脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール及びアルデヒド)を含む化合物群が挙げられる。
外因性核酸を宿主細胞に導入するために使用される方法、又はその他、本発明の阻害剤に細胞をさらす方法に関わらず、宿主細胞中の組換えDNA配列の存在を確認するために、様々なアッセイを実施することができる。このようなアッセイとしては、例えば、サザンブロット法及びノーザンブロット法、RT−PCR及びPCRなどの当業者に周知の「分子生物学的」アッセイ、「生化学」アッセイ、例えば、免疫学的手法(ELISA及ぶウェスタンブロット法)によって、又は本発明の範囲内に含まれる薬剤を同定するための本明細書に記載のアッセイによる、例えば、特定のペプチドの有無を検出するものが挙げられる。
caTCRエフェクター細胞
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかに係るcaTCRをその表面上に提示するエフェクター細胞(例えば、T細胞)が提供される。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、caTCRをコードする核酸を含み、caTCRは、核酸から発現して、エフェクター細胞表面に局在する。いくつかの実施形態では、caTCRは、外因的に発現し、エフェクター細胞と組み合わされる。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、caTCRのTCR−TMの由来となるTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、エフェクター細胞はαβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR−TMは、TCRδ及びγ鎖に由来する配列を含むか、又は、T細胞はγδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR−TMは、TCRα及びβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、caTCRのTCRDの由来となる内在性TCRサブユニットのうちの一方又は両方の発現を遮断するか、又は減少させるように改変される。例えば、いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、TCRα及び/又はβ鎖の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されたαβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCRDは、TCRα及びβ鎖に由来する配列を含むか、又は、エフェクター細胞は、TCRγ及び/又はδ鎖の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されたγδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCRDは、TCRγ及びδ鎖に由来する配列を含む。遺伝子発現を破壊する細胞の改変としては、例えば、RNA干渉(例えば、siRNA、shRNA、miRNA)、遺伝子編集(例えば、CRISPR系又はTALEN系の遺伝子ノックアウト)などを含む、当該技術分野において既知の任意のそのような技術が挙げられる。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、キメラ共刺激受容体(CSR)を更に含む。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、caTCRが介在する免疫応答を増強することが可能な分泌二次エフェクター(SSE)を分泌することが可能である。
例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかに係るcaTCRをコードする核酸を含むエフェクター細胞(例えば、T細胞)であって、caTCRが、核酸から発現し、エフェクター細胞表面に局在化する、エフェクター細胞が提供される。いくつかの実施形態では、caTCRをコードする核酸は、caTCRの第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸配列と、caTCRの第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸配列とを含む。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、第1のベクター上に位置し、第2の核酸配列は、第2のベクター上に位置する。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列と第2の核酸配列は、同じベクター上に位置する。ベクターは、例えば、哺乳動物発現ベクター及びウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス及びレンチウイルス由来のもの)からなる群から選択されてもよい。いくつかの実施形態では、ベクターのうちの1つ以上は、エフェクター細胞の宿主ゲノムに組み込まれる。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、第1のプロモーターの制御下にあり、第2の核酸配列は、第2のプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、第1の核酸と第2の核酸は、単一のプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、第1のプロモーター、第2のプロモーター及び/又は単一のプロモーターは、誘導性である。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖の発現は、第2のポリペプチド鎖の発現とほぼ同じである。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖の発現は、第2のポリペプチド鎖の発現の少なくとも約2倍である(例えば、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍のいずれか、又はもっと多い)。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖の発現は、第2のポリペプチド鎖の発現の約1/2以下である(例えば、約1/2、1/3、1/4、1/5以下のいずれか、又はもっと少ない)。発現は、mRNAレベル又はタンパク質レベルで求めることができる。mRNA発現レベルは、ノーザンブロット、定量的RT−PCR、マイクロアレイ解析などを含む種々の周知の方法を用い、核酸から転写されたmRNAの量を測定することによって求めることができる。タンパク質の発現レベルは、免疫細胞化学染色、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット分析、発光アッセイ、質量分析、高速液体クロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析などを含む既知の方法によって測定することができる。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかに係るcaTCRをその表面上で発現するcaTCRエフェクター細胞(例えば、T細胞)であって、caTCRエフェクター細胞が、(a)caTCRの第1のポリペプチド鎖をコードする核酸配列に作動可能に接続した第1のプロモーターを含む第1の核酸と、(b)caTCRの第2のポリペプチド鎖をコードする核酸配列に作動可能に接続した第2のプロモーターを含む第2の核酸とを含み、第1のポリペプチド鎖が第1の核酸から発現し、第2のポリペプチド鎖が第2の核酸から発現して、caTCRを形成し、caTCRが、エフェクター細胞の表面に局在する、caTCRエフェクター細胞が提供される。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、誘導性である。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖の発現は、第2のポリペプチド鎖の発現とほぼ同じである。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖の発現は、第2のポリペプチド鎖の発現の少なくとも約2倍である(例えば、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍のいずれか、又はもっと多い)。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖の発現は、第2のポリペプチド鎖の発現の約1/2以下である(例えば、約1/2、1/3、1/4、1/5以下のいずれか、又はもっと少ない)。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、caTCRのTCR−TMの由来となるTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、エフェクター細胞はαβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR−TMは、TCRδ及びγ鎖に由来する配列を含むか、又は、エフェクター細胞はγδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR−TMは、TCRα及びβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、caTCRのTCRDの由来となる内在性TCRサブユニットのうちの一方又は両方の発現を遮断するか、又は減少させるように改変される。例えば、いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、TCRα及び/又はβ鎖の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されたαβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCRDは、TCRα及びβ鎖に由来する配列を含むか、又は、エフェクター細胞は、TCRγ及び/又はδ鎖の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されたγδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCRDは、TCRγ及びδ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ベクターは、エフェクター細胞の宿主ゲノムに組み込まれたウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかに係るcaTCRをその表面上で発現するcaTCRエフェクター細胞(例えば、T細胞)であって、caTCRエフェクター細胞が、(a)caTCRの第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸配列に作動可能に接続した第1のプロモーターを含む第1のベクターと、(b)caTCRの第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸配列に作動可能に接続した第2のプロモーターを含む第2のベクターとを含み、第1のポリペプチド鎖が第1の核酸配列から発現し、第2のポリペプチド鎖が第2の核酸配列から発現して、caTCRを形成し、caTCRが、エフェクター細胞の表面に局在する、caTCRエフェクター細胞が提供される。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、誘導性である。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖の発現は、第2のポリペプチド鎖の発現とほぼ同じである。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖の発現は、第2のポリペプチド鎖の発現の少なくとも約2倍である(例えば、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍のいずれか、又はもっと多い)。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖の発現は、第2のポリペプチド鎖の発現の約1/2以下である(例えば、約1/2、1/3、1/4、1/5以下のいずれか、又はもっと少ない)。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、caTCRのTCR−TMの由来となるTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、エフェクター細胞はαβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR−TMは、TCRδ及びγ鎖に由来する配列を含むか、又は、エフェクター細胞はγδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR−TMは、TCRα及びβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、caTCRのTCRDの由来となる内在性TCRサブユニットのうちの一方又は両方の発現を遮断するか、又は減少させるように改変される。例えば、いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、TCRα及び/又はβ鎖の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されたαβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCRDは、TCRα及びβ鎖に由来する配列を含むか、又は、エフェクター細胞は、TCRγ及び/又はδ鎖の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されたγδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCRDは、TCRγ及びδ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第1ベクター及び第2のベクターは、エフェクター細胞の宿主ゲノムに組み込まれたウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかに係るcaTCRをその表面上で発現するcaTCRエフェクター細胞(例えば、T細胞)であって、caTCRエフェクター細胞が、(a)caTCRの第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸配列に作動可能に接続した第1のプロモーターと、(b)caTCRの第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸配列に作動可能に接続した第2のプロモーターとを含み、第1のポリペプチド鎖が第1の核酸配列から発現し、第2のポリペプチド鎖が第2の核酸配列から発現して、caTCRを形成し、caTCRが、エフェクター細胞の表面に局在する、caTCRエフェクター細胞が提供される。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、誘導性である。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖の発現は、第2のポリペプチド鎖の発現とほぼ同じである。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖の発現は、第2のポリペプチド鎖の発現の少なくとも約2倍である(例えば、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍のいずれか、又はもっと多い)。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖の発現は、第2のポリペプチド鎖の発現の約1/2以下である(例えば、約1/2、1/3、1/4、1/5以下のいずれか、又はもっと少ない)。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、caTCRのTCR−TMの由来となるTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、エフェクター細胞はαβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR−TMは、TCRδ及びγ鎖に由来する配列を含むか、又は、エフェクター細胞はγδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR−TMは、TCRα及びβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、caTCRのTCRDの由来となる内在性TCRサブユニットのうちの一方又は両方の発現を遮断するか、又は減少させるように改変される。例えば、いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、TCRα及び/又はβ鎖の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されたαβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCRDは、TCRα及びβ鎖に由来する配列を含むか、又は、エフェクター細胞は、TCRγ及び/又はδ鎖の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されたγδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCRDは、TCRγ及びδ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第1ベクター及び第2のベクターは、エフェクター細胞の宿主ゲノムに組み込まれたウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかに係るcaTCRをその表面上で発現するcaTCRエフェクター細胞(例えば、T細胞)であって、caTCRエフェクター細胞が、(a)caTCRの第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸配列に作動可能に接続した第1のプロモーターと、(b)caTCRの第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸配列に作動可能に接続した第2のプロモーターとを含み、第1のポリペプチド鎖が第1の核酸配列から発現し、第2のポリペプチド鎖が第2の核酸配列から発現して、caTCRを形成し、caTCRが、エフェクター細胞の表面に局在する、caTCRエフェクター細胞が提供される。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、誘導性である。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖の発現は、第2のポリペプチド鎖の発現とほぼ同じである。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖の発現は、第2のポリペプチド鎖の発現の少なくとも約2倍である(例えば、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍のいずれか、又はもっと多い)。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖の発現は、第2のポリペプチド鎖の発現の約1/2以下である(例えば、約1/2、1/3、1/4、1/5以下のいずれか、又はもっと少ない)。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、caTCRのTCR−TMの由来となるTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、エフェクター細胞はαβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR−TMは、TCRδ及びγ鎖に由来する配列を含むか、又は、エフェクター細胞はγδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR−TMは、TCRα及びβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、caTCRのTCRDの由来となる内在性TCRサブユニットのうちの一方又は両方の発現を遮断するか、又は減少させるように改変される。例えば、いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、TCRα及び/又はβ鎖の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されたαβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCRDは、TCRα及びβ鎖に由来する配列を含むか、又は、エフェクター細胞は、TCRγ及び/又はδ鎖の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されたγδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCRDは、TCRγ及びδ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかに係るcaTCRをその表面上で発現するcaTCRエフェクター細胞(例えば、T細胞)であって、caTCRエフェクター細胞が、(a)caTCRの第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸配列と、(b)caTCRの第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸配列とを含み、第1の核酸配列と第2の核酸配列が、単一のプロモーターの制御下にあり、第1のポリペプチド鎖が第1の核酸配列から発現し、第2のポリペプチド鎖が第2の核酸配列から発現して、caTCRを形成し、caTCRが、エフェクター細胞の表面に局在する、caTCRエフェクター細胞が提供される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、第1の核酸配列の5’末端に作動可能に接続し、第1の核酸配列には、配列内リボソーム進入部位(IRES)、及び第1の核酸配列の3’末端を第2の核酸配列の5’に接続する自己切断型2Aペプチド(例えば、P2A、T2A、E2A又はF2A)をコードする核酸からなる群から選択される核酸リンカーが存在し、第1の核酸配列と第2の核酸配列が、プロモーター制御下、単一のRNAとして転写される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、第2の核酸配列の5’末端に作動可能に接続し、第2の核酸配列には、配列内リボソーム進入部位(IRES)、及び第2の核酸配列の3’末端を第1の核酸配列の5’に接続する自己切断型2Aペプチド(例えば、P2A、T2A、E2A又はF2A)をコードする核酸からなる群から選択される核酸リンカーが存在し、第1の核酸配列と第2の核酸配列が、プロモーター制御下、単一のRNAとして転写される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、誘導性である。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、caTCRのTCR−TMの由来となるTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、エフェクター細胞はαβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR−TMは、TCRδ及びγ鎖に由来する配列を含むか、又は、エフェクター細胞はγδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR−TMは、TCRα及びβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、caTCRのTCRDの由来となる内在性TCRサブユニットのうちの一方又は両方の発現を遮断するか、又は減少させるように改変される。例えば、いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、TCRα及び/又はβ鎖の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されたαβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCRDは、TCRα及びβ鎖に由来する配列を含むか、又は、エフェクター細胞は、TCRγ及び/又はδ鎖の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されたγδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCRDは、TCRγ及びδ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ベクターは、エフェクター細胞の宿主ゲノムに組み込まれたウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのいずれかに係るcaTCRをその表面上で発現するcaTCRエフェクター細胞(例えば、T細胞)であって、caTCRエフェクター細胞が、(a)caTCRの第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸配列と、(b)caTCRの第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸配列とを含む、宿主ゲノムに組み込まれたレンチウイルスベクターを含み、第1の核酸配列と第2の核酸配列が、単一のプロモーターの制御下にあり、第1のポリペプチド鎖が第1の核酸配列から発現し、第2のポリペプチド鎖が第2の核酸配列から発現して、caTCRを形成し、caTCRが、エフェクター細胞の表面に局在する、caTCRエフェクター細胞が提供される。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列の5’末端に作動可能に接続したプロモーターが存在し、配列内リボソーム進入部位(IRES)、及び第1の核酸配列の3’末端を第2の核酸配列の5’末端に接続する自己切断型2Aペプチド(例えば、P2A、T2A、E2A又はF2A)をコードする核酸からなる群から選択される核酸リンカーが存在し、第1の核酸配列と第2の核酸配列が、プロモーター制御下、単一のRNAとして転写される。いくつかの実施形態では、第2の核酸配列の5’末端に作動可能に接続したプロモーターが存在し、配列内リボソーム進入部位(IRES)、及び第2の核酸配列の3’末端を第1の核酸配列の5’末端に接続する自己切断型2Aペプチド(例えば、P2A、T2A、E2A又はF2A)をコードする核酸からなる群から選択される核酸リンカーが存在し、第1の核酸配列と第2の核酸配列が、プロモーター制御下、単一のRNAとして転写される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、誘導性である。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、caTCRのTCR−TMの由来となるTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、エフェクター細胞はαβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR−TMは、TCRδ及びγ鎖に由来する配列を含むか、又は、エフェクター細胞はγδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR−TMは、TCRα及びβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、caTCRのTCRDの由来となる内在性TCRサブユニットのうちの一方又は両方の発現を遮断するか、又は減少させるように改変される。例えば、いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、TCRα及び/又はβ鎖の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されたαβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCRDは、TCRα及びβ鎖に由来する配列を含むか、又は、エフェクター細胞は、TCRγ及び/又はδ鎖の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されたγδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCRDは、TCRγ及びδ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。
caTCR、CSR及びSSEの調製
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCR、CSR及びSSEのいずれかによれば、抗原結合モジュールは、モノクローナル抗体由来の配列を含むFab様抗原結合モジュールを含む。いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、モノクローナル抗体からのVH、CH1、VL及びCLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、モノクローナル抗体由来の配列を含むFv又はscFvを含む。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、モノクローナル抗体に由来する1つ以上のFab、Fv及びscFvを含む二重特異性融合ドメインを含む。モノクローナル抗体は、例えば、Kohler及びMilstein、Nature、256:495(1975)及びSergeevaら、Blood、117(16):4262−4272に記載されるような、例えば、ハイブリドーマ法を用いて調製することができる。
ハイブリドーマ法では、ハムスター、マウス、又は他の適切な宿主動物を、典型的には、免疫剤を用いて免疫し、免疫剤に特異的に結合する抗体を産生するか、又は産生することが可能なようにリンパ球を導く。あるいは、リンパ球をin vitroで免疫してもよい。免疫剤は、目的のタンパク質のポリペプチド又は融合タンパク質、又は少なくとも2つの分子を含む複合体、例えば、ペプチドとMHCタンパク質とを含む複合体を含んでいてもよい。一般に、ヒト由来の細胞が望まれる場合は、末梢血リンパ球(「PBL」)を使用し、又は、供給源としてヒト以外の哺乳類が望まれる場合は、脾臓細胞又はリンパ節細胞を使用する。その後、リンパ球を、好適な融合剤、例えばポリエチレングリコールを用いて不死化細胞株と融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する。例えば、Goding、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(New York:Academic Press、1986)、pp.59−103を参照。不死化細胞株は、通常は、形質転換された哺乳類細胞、特に、げっ歯類、ウシ及びヒト由来の骨髄腫細胞である。通常は、ラット又はマウス骨髄腫細胞株を用いる。ハイブリドーマ細胞を、適切な培地中で培養してもよく、当該培地は、好ましくは、融合していない不死化細胞の増殖又は生存を阻害する1つ以上の物質を含む。例えば、親細胞が、酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠損している場合、ハイブリドーマ用の培養培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含み(HAT培地)、この培地は、HGPRT欠損細胞の増殖を抑制する。
いくつかの実施形態では、不死化細胞株は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベル発現を補助し、HAT培地などの培地に感受性である。いくつかの実施形態では、不死化細胞株は、マウス骨髄腫株であり、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center(サンディエゴ、カリフォルニア)及びAmerican Type Culture Collection(マナサッス、バージニア)から得ることができる。ヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株もまた、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載されている。Kozbor、J.Immunol.、133:3001(1984);Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications(Marcel Dekker,Inc.:New York、1987)、pp.51−63。
次いで、ハイブリドーマ細胞を培養する培養培地を、ポリペプチドに対して指向するモノクローナル抗体の存在についてアッセイすることができる。ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降法により、又は、ラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などのin vitro結合アッセイによって求めることができる。このような技術及びアッセイは、当該技術分野において既知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson及びPollard、Anal.Biochem.、107:220(1980)のScatchard分析によって決定されてもよい。
所望のハイブリドーマ細胞を同定した後、限界希釈法によってクローンをサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる。Goding(前掲)。この目的のための好適な培地としては、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地及びRPMI−1640培地が挙げられる。あるいは、ハイブリドーマ細胞を哺乳動物体内の腹水などといったin vivoで増殖させてもよい。
サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えば、プロテインA−セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティクロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順によって、培養培地又は腹水液から単離されるか、又は精製されてもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるcaTCR、CSR及びSSEのいずれかによれば、抗原結合モジュールは、抗体部分ライブラリー(scFv又はFabフラグメントを提示するファージライブラリーなど)から選択されるクローンに由来する配列を含む抗体部分である。クローンは、所望の活性又は複数の活性を有する抗体フラグメントのコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって同定されてもよい。例えば、ファージディスプレイライブラリーを生成し、所望の結合特性を有する抗体について係るライブラリーをスクリーニングするための様々な方法が当該技術分野において既知である。このような方法は、例えば、Hoogenboomら、Methods in Molecular Biology 178:1−37(O’Brienら編集、Human Press、Totowa、N.J.、2001)にまとめられており、更に、例えば、McCaffertyら、Nature 348:552−554;Clacksonら、Nature 352:624−628(1991);Marksら、J.Mol.Biol.222:581−597(1992);Marks及びBradbury、Methods in Molecular Biology 248:161−175(Lo編集、Human Press、Totowa、N.J.、2003);Sidhuら、J.Mol.Biol.338(2):299−310(2004);Leeら、J.Mol.Biol.340(5):1073−1093(2004);Fellouse、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467−12472(2004);及びLeeら、J.Immunol.Methods 284(1−2):119−132(2004)に記載されている。
特定のファージディスプレイ方法では、VH及びVL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングし、ファージライブラリーにおいて無作為に再結合し、次いで、Winterら、Ann.Rev.Immunol.、12:433−455(1994)に記載されるように、抗原結合ファージについてスクリーニングしてもよい。ファージは、典型的には、単鎖Fv(scFv)フラグメント又はFabフラグメントのいずれかとして抗体フラグメントを提示する。免疫源からのライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要なく、免疫原に対して高親和性の抗体を提供する。あるいは、ナイーブ型レパートリーを(例えば、ヒトから)クローン化して、Griffithsら、EMBO J、12:725−734(1993)に記載されているような免疫を行わずに、広範囲の非自己抗原及び自己抗原に対し単一の抗体源を提供することができる。最後に、ナイーブライブラリーはまた、Hoogenboom及びWinter、J.Mol.Biol.、227:381−388(1992)に記載されているように、幹細胞からの再配置されていないV遺伝子をクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを用い、高度に可変性のCDR3領域をコードし、in vitroでの再配置を達成することによって、合成することができる。ヒト抗体ファージライブラリーを記載する特許刊行物としては、例えば、米国特許第5,750,373号、及び米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号及び同第2009/0002360号が含まれる。
抗体部分は、標的抗原(ペプチド/MHCクラスI/II複合体又は細胞表面抗原など)に特異的な抗体のライブラリーをスクリーニングするために、ファージディスプレイを使用して調製することができる。ライブラリーは、少なくとも1×109(例えば、少なくとも約1×109、2.5×109、5×109、7.5×109、1×1010、2.5×1010、5×1010、7.5×1010、又は1×1011のいずれか)の多様性を有するヒトscFvファージディスプレイライブラリーであってもよい。いくつかの実施形態では、ライブラリーは、ヒトPMBCから抽出されたDNA及び健康なドナーの脾臓から構築されたナイーブ型ヒトライブラリーであり、全てのヒト重鎖及び軽鎖サブファミリーを包含する。いくつかの実施形態では、ライブラリーは、自己免疫疾患患者、癌患者及び感染性疾患を有する患者などの様々な疾患を有する患者から単離されたPBMCから抽出されたDNAから構築されたナイーブ型ヒトライブラリーである。いくつかの実施形態では、ライブラリーは、半合成ヒトライブラリーであり、重鎖CDR3は、完全にランダム化され、全てのアミノ酸(システイン以外)は、任意の所与の位置に存在する可能性が等しくなる(例えば、Hoet,R.M.ら、Nat.Biotechnol.23(3):344−348、2005を参照)。いくつかの実施形態では、半合成ヒトライブラリーの重鎖CDR3は、約5〜約24(例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24のいずれか)のアミノ酸長を有する。いくつかの実施形態では、ライブラリーは、完全合成ファージディスプレイライブラリーである。いくつかの実施形態では、ライブラリーは、ヒト以外のファージディスプレイライブラリーである。
高親和性で標的抗原に結合するファージクローンは、固体支持体(例えば、溶液パニングのためのビーズ又は細胞パニングのための哺乳動物細胞など)に結合させた標的抗原に対しファージを結合させて、その後、結合していないファージを除去し、特異的に結合したファージを溶出することを反復して選択することができる。溶液パニングの一例では、標的抗原は、固体支持体への固定のためにビオチン化されてもよい。ビオチン化標的抗原は、ファージライブラリー及び固体支持体(例えば、ストレプトアビジン標識したDynabeads M−280)と混合され、次いで、標的抗原ファージビーズ複合体が単離される。次いで、結合したファージクローンを溶出させ、発現及び精製のために、E.coli XL1−Blueなどの適切な宿主細胞を感染させる。細胞パニングの一例では、AFPペプチドを保有するT2細胞(TAP欠乏、HLA−A*02:01+リンパ芽細胞株)をファージライブラリーと混合した後、細胞を集め、結合したクローンを溶出させ、発現及び精製のために適切な宿主細胞を感染させるために使用される。パニングは、標的抗原に特異的に結合するファージクローンを濃縮するために、溶液パニング、細胞パニング、又はそれらの両方の組み合わせのいずれかで、複数回(2、3、4、5、6回、又はもっと多くのいずれか)行うことができる。濃縮されたファージクローンは、例えば、ELISA及びFACSを含め、当該技術分野において既知の任意の方法による標的抗原への特異的結合について試験することができる。
ヒト及びヒト化抗体部分
caTCR、CSR及びSSE抗体部分は、ヒトであってもよく、又はヒト化されたものであってもよい。ヒト以外(例えば、マウス)の抗体部分をヒト化させたものは、典型的にはヒト以外の免疫グロブリン由来の配列を最小限で含む、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそのフラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、又はその他抗体の抗原結合サブ配列)である。ヒト化抗体部分としては、レシピエントのCDRに由来する残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット又はウサギなどのヒト以外の種のCDR(ドナー抗体)に由来する残基と置き換わった、ヒト免疫グロブリン、ヒト免疫グロブリン鎖、又はこれらのフラグメント(レシピエント抗体)が挙げられる。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が、対応するヒト以外の残基で置換される。ヒト化抗体の部分はまた、レシピエント抗体部分又は移入されたCDR又はフレームワーク配列のいずれにおいても見られない残基も含んでよい。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含んでいてもよく、CDR領域の全て又は実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリンのものと対応し、FR領域の全て又は実質的に全ては、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。例えば、Jonesら、Nature、321:522−525(1986);Riechmannら、Nature、332:323−329(1988);Presta、Curr.Op.Struct.Biol.、2:593−596(1992)を参照。
一般的に、ヒト化抗体部分は、ヒト以外の供給源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらのヒト以外のアミノ酸残基は、典型的には「移入」可変ドメインから取り込まれた「移入」残基と呼ばれることが多い。いくつかの実施形態によれば、ヒト化は、ヒト抗体部分の対応する配列のためにげっ歯類CDR又はCDR配列を置換することにより、Winter及び共同研究者らの方法(Jonesら、Nature、321:522−525(1986)Riechmannら、Nature、332:323−327(1988);Verhoeyenら、Science、239:1534−1536(1988))に本質的に従って行うことができる。したがって、このような「ヒト化」抗体部分は、抗体部分(米国特許第4,816,567号)であり、加工を受けていないヒト可変ドメインより実質的に小さい部分が、非ヒト種由来の対応する配列によって置換されている。実際には、ヒト化抗体部分は、典型的には、いくつかのCDR残基及び可能ならいくつかのFR残基が、げっ歯類抗体の類似部位に由来する残基で置換された、ヒト抗体部分である。
ヒト化の代替として、ヒト抗体部分を作成してもよい。例えば、今では、免疫によって、内因性免疫グロブリンを産生せずにヒト抗体の完全なレパートリーを産生可能なトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作製可能である。例えば、キメラ及び生殖系変異マウスの抗体重鎖連結領域(JH)遺伝子のホモ結合型欠失により、内因性抗体の産生を完全に阻害することが記載されている。ヒト生殖系免疫グロブリン遺伝子アレイをこのような生殖系変異マウスに導入すると、抗原チャレンジ時にヒト抗体が産生する。例えば、Jakobovitsら、PNAS USA、90:2551(1993);Jakobovitsら、Nature、362:255−258(1993);Bruggemannら、Year in Immunol.、7:33(1993);米国特許第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,591,669号;同第5,545,807号及び国際公開第97/17852号を参照。あるいは、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的に又は完全に不活性化されている、トランスジェニック動物、例えば、マウスに導入することによって、ヒト抗体を作製することができる。チャレンジ時、遺伝子再配置、アセンブリ及び抗体レパートリーなどの全ての点において、ヒトで見られるものとよく似たヒト抗体産生が観察される。この手法は、例えば、米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;及び同第5,661,016号、及びMarksら、Bio/Technology、10:779−783(1992);Lonbergら、Nature、368:856−859(1994);Morrison、Nature、368:812−813(1994);Fishwildら、Nature Biotechnology、14:845−851(1996);Neuberger、Nature Biotechnology、14:826(1996);Lonberg及びHuszar、Intern.Rev.Immunol.、13:65−93(1995)に記載される。
ヒト抗体はまた、in vitroでの活性化B細胞(米国特許第5,567,610号及び同第5,229,275号を参照)によって、又はファージディスプレイライブラリーを含む当該技術分野において既知の様々な技術を使用することによって生成されてもよい。Hoogenboom及びWinter、J.Mol.Biol.、227:381(1991);Marksら、J.Mol.Biol.、222:581(1991)を参照)。Coleら及びBoernerらの技術もまた、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である。Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss、p.77(1985)及びBoernerら、J.Immunol.、147(1):86−95(1991)。
多様体
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗原結合モジュールのアミノ酸配列の多様体が想定される。例えば、多様体は、抗原結合モジュールの結合親和性及び/又はその他の生物学的特性を改善するのに望ましい場合がある。抗原結合モジュールのアミノ酸配列多様体は、抗原結合モジュールをコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって、調製することができる。このような改変としては、例えば、抗原結合モジュールのアミノ酸配列内の残基の欠失及び/又は挿入及び/又は置換が挙げられる。最終構築物が所望の特徴(例えば、抗原結合)を有するように最終構築物に達するように、欠失、挿入及び置換の任意の組み合わせが行われてもよい。
いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗原結合モジュール変異体が提供される。置換変異導入の目的の部位としては、抗体部分のHVR及びFRが挙げられる。アミノ酸置換は、例えば、抗原結合の保持/改善、又は免疫原性低減などといった所望の活性についてスクリーニングされた、対象の抗原結合モジュール及び生成物に導入することができる。
アミノ酸は、共通の側鎖特性に従って、異なるクラスに分類されてもよい。
a.疎水性:Norleucine、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
b.中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
c.酸性:Asp、Glu;
d.塩基性:His、Lys、Arg;
e.鎖の向きに影響を与える残基:Gly、Pro
f.芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらの分類のうち1つを別の分類のものに交換することを伴う。
例示的な置換多様体は、親和性成熟した抗体部分であり、例えば、ファージディスプレイをベースとした親和性成熟技術を使用し、簡便に生成することができる。簡潔に述べると、1つ以上のCDR残基に変異を導入し、ファージ上に表示された当該多様体抗体部分を、特定の生体活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングする。例えば、抗体部分の親和性を改善するために、改変(例えば、置換)をHVRで作製することができる。このような改変は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury、Methods Mol.Biol.207:179−196(2008)を参照)、及び/又は特異性決定残基(SDR)でなされてもよく、得られた多様体VH又はVLは、結合親和性について試験される。二次ライブラリーを構築し、再選択することによる親和性成熟は、例えば、Hoogenboomら、Methods in Molecular Biology 178:1−37(O’Brienら編集、Human Press、Totowa、NJ(2001))に記載されている。
親和性成熟のいくつかの実施形態では、多様性は、多様な方法(例えば、エラープローンPCR、連鎖シャッフル、又はオリゴヌクレオチド指向突然変異誘発)のいずれかによって、成熟のために選択された可変遺伝子に導入される。次いで、二次ライブラリーが作成される。次いで、このライブラリーをスクリーニングし、所望の親和性を有する任意の抗体部分多様体を同定する。多様性を導入するための別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4〜6残基)がランダム化される、HVRを対象とする手法を伴う。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異導入又はモデリングを用いて特異的に同定されてもよい。CDR−H3及びCDR−L3は、特に標的とされることが多い。
いくつかの実施形態では、置換、挿入又は欠失は、このような改変により抗体部分の抗原結合能を実質的に低下させないようにして、1つ以上のHVR内で行われてもよい。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的改変(例えば、本明細書で提供される保存的置換)が、HVRにおいて行われてもよい。このような変更は、HVR「ホットスポット」又はSDRの外側にあってもよい。上に提供された多様体VH及びVL配列のいくつかの実施形態では、各HVRは、変更されていないか、又は1つ以下、2つ又は3つ以下のアミノ酸置換を含む。
変異導入のために標的とされ得る抗原結合モジュールの残基又は領域の同定に有用な方法は、「アラニンスキャニング変異導入」と呼ばれ、Cunningham及びWells(1989)Science,244:1081−1085に記載されている。この方法では、標的残基又は標的残基群(例えば、arg、asp、his、lys及びgluなどの帯電した残基)が同定され、中性又は負に帯電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)によって置き換えられ、抗原結合モジュールと抗原との相互作用が影響を受けているかどうかを判定する。更なる置換は、初期の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置に導入されてもよい。あるいは、又更に、抗原−抗原−結合モジュール複合体の結晶構造を決定し、抗原結合モジュールと抗原との間の接触点を同定することができる。このような接触残基及び隣接する残基は、置換の候補として標的とされてもよく、又は除外されてもよい。多様体をスクリーニングし、所望の特性を含有するかどうかを判定してもよい。
アミノ酸配列挿入として、1つの残基から100以上の残基を含むポリペプチドまで長さに幅がある、アミノ及び/又はカルボキシル末端融合、並びに、単一若しくは複数のアミノ酸残基の配列内挿入が挙げられる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗原結合モジュールが挙げられる。抗原結合モジュールのその他の挿入多様体としては、酵素に対する抗原結合モジュールのN末端又はC末端への融合(例えば、ADEPT向け)、又は抗原結合モジュールの血清半減期を延長するポリペプチドが挙げられる。
誘導体
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるcaTCRsのいずれかに係るcaTCR、本明細書に記載されるCSRのいずれかに係るCSR、及び/又は本明細書に記載のSSEのいずれかに係るSSEは、当該技術分野において既知であり、容易に入手可能な更なる非タンパク質性部分を含有するように更に改変されてもよい。caTCR及び/又はCSR及び/又はSSEの誘導体化に好適な部分としては、水溶性ポリマーが挙げられるが、これに限定されない。水溶性ポリマーの非限定例としては、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストラン又はポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレン(propropylene)グリコールホモポリマー、プロリプロピレン(prolypropylene)オキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、及びそれらの混合物が挙げられる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、その水中安定性から、製造における利点を有し得る。ポリマーは、任意の分子量であってよく、分枝型又は非分枝型であってよい。caTCR及び/又はCSR及び/又はSSEに接続するポリマーの数は、様々であってもよく、1つより多いポリマーが接続する場合、ポリマーは、同じ分子であってもよく、又は異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又は種類は、改良されるcaTCR及び/又はCSR及び/又はSSEの特定の性質又は機能、caTCR及び/又はCSR及び/又はSSE誘導体が、所定の条件などで治療に使用されるかどうかなどを含むがこれらに限定されない検討事項に基づいて決定することができる。
いくつかの実施形態では、放射線への曝露によって選択的に加熱され得るcaTCR及び/又はCSR及び/又はSSE及び非タンパク質性部分の標識が提供される。いくつかの実施形態では、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブである(Kamら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600−11605(2005))。放射線は、任意の波長を有するものであってもよく、限定されないが、通常の細胞を害しないが、caTCR−及び/又はCSR−及び/又はSSE−非タンパク質性部分の近位の細胞が死滅する温度に非タンパク質性部分を加熱する波長が挙げられる。
caTCRエフェクター細胞の調製
本発明は、一態様では、caTCRを発現するエフェクター細胞(例えば、リンパ球、例えばT細胞)を提供する。caTCRを発現するエフェクター細胞(例えば、T細胞)(caTCRエフェクター細胞、例えば、caTCR T細胞)を調製する例示的な方法が、本明細書で提供される。
いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞(caTCR T細胞など)は、標的抗原(例えば、疾患関連抗原)に特異的に結合するcaTCR(例えば、本明細書に記載のcaTCRのいずれか)をコードする1つ以上の核酸(例えば、レンチウイルスベクターを含む)をエフェクター細胞に導入することによって生成することができる。エフェクター細胞への1つ以上の核酸の導入は、核酸について本明細書に記載される技術など、当該技術分野において既知の技術を使用して達成することができる。いくつかの実施形態では、本発明のcaTCRエフェクター細胞(例えば、caTCR T細胞)は、in vivoで複製することができ、その結果、標的抗原(例えば、癌又はウイルス感染)の発現に関連する疾患の持続的な制御をもたらし得る、長期持続性をもたらす。
いくつかの実施形態では、本発明は、例えば癌又はウイルス感染を含む標的抗原の発現に関連する疾患及び/又は障害(本明細書では、「標的抗原陽性」又は「TA陽性」疾患又は障害とも呼ばれる)を発症するか、又は発症するリスクがある患者の治療のために、本明細書に記載のcaTCRのいずれかに係る標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する遺伝子改変T細胞を、リンパ球注入を用いて投与することに関する。いくつかの実施形態では、自己リンパ球注入が、治療に使用される。自己PBMCは、治療を必要とする患者から集められ、T細胞は、本明細書に記載され、当該技術分野において既知の方法を使用して活性化され、増殖され、次いで患者に注入により戻される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCR(本明細書では「caTCR T細胞」とも呼ばれる)のいずれかに係る標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現するT細胞が提供される。本発明のcaTCR T細胞は、安定したin vivoでのT細胞増殖を受けることができ、血液及び骨髄の中で長期間にわたって高レベルを維持する標的抗原に特異的なメモリー細胞を確立することができる。いくつかの実施形態では、患者に注入された本発明のcaTCR T細胞は、標的抗原に関連する疾患を有する患者について、in vivoで標的抗原提示細胞(例えば、標的抗原提示癌又はウイルスによって感染した細胞)を排除することができる。いくつかの実施形態では、患者に注入された本発明のcaTCR T細胞は、少なくとも1つの従来の治療に対して難治性の標的抗原関連疾患を有する患者についてin vivoで標的抗原提示細胞(例えば、標的抗原提示癌又はウイルスに感染した細胞)を排除することができる。
T細胞の増殖及び遺伝子改変の前に、T細胞源は、対象から得られる。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸膜滲出液、脾臓組織及び腫瘍を含む多数の供給源から得ることができる。本発明のいくつかの実施形態では、当該技術分野において利用可能な任意の数のT細胞株を使用することができる。本発明のいくつかの実施形態では、T細胞は、FICOLL(商標)分離などの当業者に既知の任意の数の技術を使用して、対象から採取された血液単位から得ることができる。いくつかの実施形態では、個体の循環血液由来の細胞は、アフェレーシスによって得られる。アフェレーシス製品は、典型的には、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、及び血小板を含むリンパ球を含有する。いくつかの実施形態では、アフェレーシスによって収集された細胞を洗浄して血漿画分を除去し、後続の処理工程のために適切な緩衝液又は培地に細胞を配置することができる。いくつかの実施形態では、細胞は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄される。いくつかの実施形態では、洗浄溶液はカルシウムを含まず、マグネシウムを含まなくてもよく、又は二価カチオンが全く存在しない場合には、多く存在しなくてもよい。当業者であれば、製造業者の指示に従って、半自動化「フロースルー」遠心分離器(例えば、Cobe 2991細胞処理機、Baxter CytoMate,又はHaemonetics Cell Saver 5)を使用するなどして、当該技術分野において既知の方法によって洗浄工程を達成してもよいことを容易に理解するだろう。洗浄後、細胞は、Ca2+を含まず、Mg2+を含まないPBS、PlasmaLyte A、又は緩衝剤を含むか、又は含まない他の生理食塩水溶液などの様々な生体適合性緩衝液中に再懸濁されてもよい。あるいは、アフェレーシスサンプルの望ましくない成分を除去し、細胞を培地に直接再懸濁させてもよい。
いくつかの実施形態では、T細胞は、赤血球細胞を溶解し、単球を枯渇させることにより、例えばPERCOLL(商標)勾配による遠心分離、又は対向流遠心分離溶出によって、末梢血リンパ球から単離される。CD3+、CD28+、CD4+、CD8+、CD45RA+及びCD45RO+T細胞などのT細胞の特定の部分集合は、陽性又は陰性の選択法によって更に単離されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、T細胞は、所望のT細胞を陽性選択するのに十分な時間にわたって、抗CD3/抗CD28(すなわち、3×28)標識ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M−450 CD3/CD28 T)とのインキュベーションによって、所望のT細胞の陽性選択に十分な時間にわたって、T細胞を単離する。いくつかの実施形態では、期間は、約30分である。いくつかの実施形態では、期間は、30分〜36時間の範囲、又はもっと長い(これらの値の間の全ての範囲を含む)。いくつかの実施形態では、期間は、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間又は6時間である。いくつかの実施形態では、期間は、10〜24時間である。いくつかの実施形態では、インキュベーション時間は、24時間である。白血病患者からT細胞を単離する際、24時間などのより長いインキュベーション時間を用いることよって、細胞収率を増加させることができる。腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を腫瘍組織から単離する際、又は免疫不全の個体から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を単離する際、他の細胞型と比較して、数種類のT細胞が存在する任意の状況でT細胞を単離するために、より長いインキュベーション時間を使用することができる。更に、より長いインキュベーション時間の使用は、CD8+T細胞の捕捉効率を高めることができる。したがって、T細胞をCD3/CD28ビーズに結合させる時間を単純に短くするか、又は長くすることによって、及び/又はT細胞に対するビーズの比率を増やすか、又は減らすことによって、T細胞の分集団を、培養開始のために、又は培養開始に対して、又はこのプロセス中の他の時点で優先的に選択することができる。更に、ビーズ又は他の表面上の抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体の比を増加させるか、又は減少させることによって、T細胞の分集団は、培養開始のために、又は培養開始時に、又は他の所望な時間点で優先的に選択されてもよい。当業者は、本発明の文脈において、複数回の選択を使用してもよいことを認識するだろう。いくつかの実施形態では、選択手順を実行し、活性化及び増殖プロセスにおいて、「選択されていない」細胞を使用することが望ましい場合がある。「選択されていない」細胞にも、更なる選択を行ってもよい。
陰性選択によるT細胞集団の濃縮は、負に選択された細胞に固有の表面マーカーを対象とする抗体の組み合わせで達成することができる。1つの方法は、負であると選択された細胞上に存在する細胞表面マーカーを指向するモノクローナル抗体のカクテルを使用する、陰性磁気免疫接着又はフローサイトメトリーによる細胞選別及び/又は選択である。例えば、陰性選択によってCD4+細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA−DR及びCD8に対する抗体を含む。いくつかの実施形態では、典型的には、CD4+、CD25+、CD62Lhi、GITR+及びFoxP3+を発現する制御T細胞を濃縮するか、又は陽性選択することが望ましい場合がある。あるいは、いくつかの実施形態では、制御性T細胞は、抗CD25標識したビーズ又は他の同様の選択方法によって消耗される。
陽性選択又は陰性選択による所望の細胞集団の単離のために、細胞及び表面(例えば、ビーズなどの粒子)の濃度を変化させることができる。いくつかの実施形態では、細胞とビーズとを確実に最大限に接触させるために、ビーズと細胞が一緒に混合される体積を著しく減少させる(すなわち、細胞の濃度を増加させる)ことが望ましい場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、約20億細胞/mLの濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約10億細胞/mLの濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約1億細胞/mLより多く使用される。いくつかの実施形態では、約1千万、1千5百万、2千万、2千5百万、3千万、3千5百万、4千万、4千5百万又は5千万個の細胞/mLのいずれかの細胞濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約7千5百万、8千万、8千5百万、9千万、9千5百万又は1億個の細胞/mLのいずれかの細胞濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約1億2千5百万細胞/mL又は約1億5千万細胞/mLの濃度が使用される。高濃度を使用すると、細胞収率、細胞活性化及び細胞増殖を増加させることができる。更に、高い細胞濃度を用いることで、CD28陰性T細胞などの目的の標的抗原を弱く発現し得る細胞、又は多くの腫瘍細胞が存在するサンプル(すなわち、白血病血液、腫瘍組織など)からの、より効率的な細胞の捕捉を可能にする。このような細胞集団は、治療価値を有し得るものであり、治療価値が得られることが望ましいだろう。例えば、高濃度の細胞を使用することにより、CD28発現が通常より弱いCD8+T細胞のより効率的な選択を可能にする。
本発明のいくつかの実施形態では、T細胞は、治療直後に患者から得られる。この点に関し、特定の癌治療後、特に、免疫系を損傷する薬物による治療に続いて、患者が通常治療から回復する期間中に、治療からすぐ後に、得られるT細胞の質は、ex vivoで増殖する能力に関して最適であるか、又は改善され得ることが観察されている。同様に、本明細書に記載される方法を使用したex vivoでの操作に続いて、これらの細胞は、強化された生着及びin vivoでの増殖のための好ましい状態であってもよい。したがって、本発明の文脈内では、この回復期間中に、T細胞、樹状細胞、又は造血系の他の細胞を含む血液細胞を集めることが、本発明の文脈内で想定される。更に、いくつかの実施形態では、動員(例えば、GM−CSFによる動員)及びコンディショニングレジメンを使用して、対象において、特に治療後の定義された期間に、特定の細胞型の再増殖、再循環、再生、及び/又は増殖が有利である条件をもたらす事ができる。例示的な細胞型としては、T細胞、B細胞、樹状細胞、及び免疫系の他の細胞が挙げられる。
所望なcaTCRを発現するためのT細胞の遺伝子改変の前又は後に、多くの場合、例えば、米国特許第6,352,694号、同第6,534,055号;同第6,905,680号;同第6,692,964号;同第5,858,358号;同第6,887,466号;同第6,905,681号;同第7,144,575号;同第7,067,318号;同第7,172,869号;同第7,232,566号;同第7,175,843号;同第5,883,223号;同第6,905,874号;同第6,797,514号;同第6,867,041号;及び米国特許出願公開第20060121005号に記載されている方法を使用して、T細胞が活性化され、増殖されてもよい。
一般的に、本発明のT細胞は、CD3/TCR複合体関連シグナルを刺激する薬剤と、T細胞の表面上にある共刺激分子を刺激するリガンドと、T細胞に接続されている表面とを接触させることによって増殖される。特に、T細胞集団は、例えば、抗CD3抗体又はその抗原結合フラグメント、又はある表面に固定された抗CD2抗体との接触によって、又はカルシウムイオノフォアと組み合わせたタンパク質キナーゼC活性化因子(例えば、ブリオスタチン)との接触によって、刺激されてもよい。T細胞表面上のアクセサリー分子の共刺激のために、アクセサリー分子に結合するリガンドが使用される。例えば、T細胞集団は、T細胞の増殖を刺激するのに適切な条件で、抗CD3抗体及び抗CD28抗体と接触してもよい。CD4+T細胞又はCD8+T細胞のいずれかの増殖を刺激するための、抗CD3抗体及び抗CD28抗体。抗CD28抗体の例としては、9.3、B−T3、当該技術分野で一般的に知られる他の方法であり得るような、使用可能なXR−CD28(Diaclone、ブザンソン、フランス)が挙げられる(Bergら、Transplant Proc.30(8):3975−3977、1998;Haanenら、J.Exp.Med.190(9):13191328、1999;Garlandら、J.Immunol.Meth.227(1−2):53−63、1999)。
本明細書に記載される任意のそのような実施形態のいくつかにおいて、caTCRエフェクター細胞の調製は、caTCRエフェクター細胞の疲弊を最小限に抑えるか、又は実質的に全くもたらさない。例えば、いくつかの実施形態では、調製によって、約50%未満(例えば、約45、40、35、30、25、20、15、10又は5%未満などのいずれか)のcaTCRエフェクター細胞が消耗する。エフェクター細胞の疲弊は、本明細書に記載される任意の手段を含め、当該技術分野において既知の任意の手段によって求めることができる。
本明細書に記載される任意のそのような実施形態のいくつかにおいて、caTCRエフェクター細胞の調製は、caTCRエフェクター細胞の最終分化を最小限に抑えるか、又は実質的に全くもたらさない。例えば、いくつかの実施形態では、調製によって、約50%未満(例えば、約45、40、35、30、25、20、15、10又は5%未満などのいずれか)のcaTCRエフェクター細胞が最終分化する。エフェクター細胞の分化は、本明細書に記載される任意の手段を含め、当該技術分野において既知の任意の手段によって判定することができる。
本明細書に記載される任意のそのような実施形態のいくつかにおいて、caTCRエフェクター細胞の調製は、caTCRエフェクター細胞のcaTCRの内在化を最小限に抑えるか、又は実質的に全くもたらさない。例えば、いくつかの実施形態では、調製によって、caTCRエフェクター細胞の約50%未満(例えば、約45、40、35、30、25、20、15、10又は5%未満などのいずれか)のcaTCRが内在化する。caTCRエフェクター細胞でのcaTCRの内在化は、本明細書に記載される任意の手段を含め、当該技術分野において既知の任意の手段によって判定することができる。
遺伝子改変
いくつかの実施形態では、本発明のcaTCRエフェクター細胞(例えば、caTCR T細胞)は、本明細書に記載のcaTCRをコードするウイルスベクターを用いてエフェクター細胞(本明細書に記載の方法によって調製されるT細胞など)に形質導入することによって生成される。ウイルスベクター送達システムは、エフェクター細胞への送達後にエピソーム又は統合ゲノムのいずれかを有するDNA及びRNAウイルスを含む。遺伝子治療手技の概説としては、Anderson、Science 256:808−813(1992);Nabel及びFeigner、TIBTECH 11:211−217(1993);Mitani及びCaskey、TIBTECH 11:162−166(1993);Dillon、TIBTECH 11:167−175(1993);Miller、Nature 357:455−460(1992);Van Brunt、Biotechnology 6(10):1149−1 154(1988);Vigne、Restorative Neurology and Neuroscience 8:35−36(1995);Kremer & Perricaudet、British Medical Bulletin 51(l):31−44(1995);及びYuら、Gene Therapy 1:13−26(1994)を参照のこと。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターであり、caTCRエフェクター細胞は、caTCRエフェクター細胞ゲノムに組み込まれたレンチウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞は、そのゲノムに組み込まれたレンチウイルスベクターを含むcaTCR T細胞である。
いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞は、その内在性TCR鎖のうちの一方又は両方の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されたT細胞である。例えば、いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞は、TCRα及び/又はβ鎖の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されたαβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCRDは、TCRα及びβ鎖に由来する配列を含むか、又は、caTCRエフェクター細胞は、TCRγ及び/又はδ鎖の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されたγδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCRDは、TCRγ及びδ鎖に由来する配列を含む。遺伝子発現を破壊する細胞の改変としては、例えば、RNA干渉(例えば、siRNA、shRNA、miRNA)、遺伝子編集(例えば、CRISPR系又はTALEN系の遺伝子ノックアウト)などを含む、当該技術分野において既知の任意のそのような技術が挙げられる。
いくつかの実施形態では、T細胞の内在性TCR鎖の一方又は両方の発現が減少したcaTCR T細胞は、CRISPR/Cas系を使用して生成される。遺伝子編集のCRISPR/Casシステムの概説としては、例えば、Jian W及びMarraffini LA、Annu.Rev.Microbiol.69、2015;Hsu PDら、Cell、157(6):1262−1278、2014;及びO’Connell MRら、NatureVolume:516:263−266、2014を参照。いくつかの実施形態では、T細胞の内在性TCR鎖の一方又は両方の発現が減少したcaTCR T細胞は、TALEN系のゲノム編集を使用して生成される。
濃縮
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるcaTCRエフェクター細胞のいずれかに係るcaTCRエフェクター細胞の不均一な細胞集団を濃縮する方法が提供される。
標的抗原に特異的に結合するcaTCRエフェクター細胞(例えば、caTCR T細胞)の特定の分集団は、陽性選択技術によって濃縮することができる。例えば、いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞(例えば、caTCR T細胞)は、所望のcaTCRエフェクター細胞を陽性選択するのに十分な時間にわたる、標的抗原結合ビーズとのインキュベーションによって濃縮される。いくつかの実施形態では、期間は、約30分である。いくつかの実施形態では、期間は、30分〜36時間の範囲、又はもっと長い(これらの値の間の全ての範囲を含む)。いくつかの実施形態では、期間は、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間又は6時間である。いくつかの実施形態では、期間は、10〜24時間である。いくつかの実施形態では、インキュベーション時間は、24時間である。不均一な細胞集団において低濃度で存在するcaTCRエフェクター細胞の単離のために、更に長いインキュベーション時間(例えば24時間)を使用すると、細胞収率を高めることができる。他の細胞型と比較して存在するcaTCRエフェクター細胞が少ない任意の状況において、caTCRエフェクター細胞を単離するために、更に長いインキュベーション時間を使用してもよい。当業者は、本発明の文脈において、複数回の選択を使用してもよいことを認識するだろう。
陽性選択によりcaTCRエフェクター細胞の所望の集団を単離するために、細胞と表面(例えば、ビーズなどの粒子)の濃度を変えてもよい。いくつかの実施形態では、細胞とビーズの最大接触を確実にするために、ビーズと細胞が一緒に混合される(すなわち、細胞の濃度を増加させる)体積を著しく減少させることが望ましい場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、約20億細胞/mLの濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約10億細胞/mLの濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約1億細胞/mLより多く使用される。いくつかの実施形態では、約1千万、1千5百万、2千万、2千5百万、3千万、3千5百万、4千万、4千5百万又は5千万細胞/mLのいずれかの細胞濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約7千5百万、8千万、8千5百万、9千万、9千5百万又は1億細胞/mLのいずれかの細胞濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約1億2千5百万又は約1億5千万細胞/mLの濃度が使用される。高濃度を使用すると、細胞収率、細胞活性化及び細胞増殖を増加させることができる。更に、高い細胞濃度の使用は、caTCRを弱く発現し得るcaTCRエフェクター細胞のより効率的な捕捉を可能にする。
本明細書に記載される任意のそのような実施形態のいくつかにおいて、濃縮は、caTCRエフェクター細胞の疲弊を最小限に抑えるか、又は実質的に全くもたらさない。例えば、いくつかの実施形態では、濃縮によって、約50%未満(例えば、約45、40、35、30、25、20、15、10又は5%未満などのいずれか)のcaTCRエフェクター細胞が枯渇する。エフェクター細胞の疲弊は、本明細書に記載される任意の手段を含め、当該技術分野において既知の任意の手段によって決定することができる。
本明細書に記載される任意のそのような実施形態のいくつかにおいて、濃縮は、caTCRエフェクター細胞の最終分化を最小限に抑えるか、又は実質的に全くもたらさない。例えば、いくつかの実施形態では、濃縮によって、約50%未満(例えば、約45、40、35、30、25、20、15、10又は5%未満などのいずれか)のcaTCRエフェクター細胞が最終分化する。エフェクター細胞の分化は、本明細書に記載される任意の手段を含め、当該技術分野において既知の任意の手段によって判定することができる。
本明細書に記載される任意のそのような実施形態のいくつかにおいて、濃縮は、caTCRエフェクター細胞のcaTCRの内在化を最小限に抑えるか、又は実質的に全くもたらさない。例えば、いくつかの実施形態では、濃縮によって、caTCRエフェクター細胞の約50%未満(例えば、約45、40、35、30、25、20、15、10又は5%未満などのいずれか)のcaTCRエフェクター細胞が内在化する。caTCRエフェクター細胞でのcaTCRの内在化は、本明細書に記載される任意の手段を含め、当該技術分野において既知の任意の手段によって判定することができる。
本明細書に記載される任意のそのような実施形態のいくつかにおいて、濃縮は、caTCRエフェクター細胞の増殖を増加させる。例えば、いくつかの実施形態では、濃縮によって、濃縮後のcaTCRエフェクター細胞の数を少なくとも約10%(例えば、少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、1000%のいずれか、又はもっと多く)増加させる。
したがって、いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現するcaTCRエフェクター細胞の不均一な細胞集団を濃縮する方法であって、(a)不均一な細胞集団と、標的抗原又はその中に含まれる1つ以上のエピトープを含む捕捉分子とを接触させ、捕捉分子に結合するcaTCRエフェクター細胞を含む複合体を形成することと、(b)この複合体を、不均一な細胞集団から分離し、それによって、caTCRエフェクター細胞が濃縮された細胞集団を生成することとを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、捕捉分子は、固体支持体に固定される。いくつかの実施形態では、固体支持体は、粒状物(ビーズなど)である。いくつかの実施形態では、固体支持体は、表面(ウェルの底部など)である。いくつかの実施形態では、捕捉分子は、タグで標識される。いくつかの実施形態では、タグは、蛍光分子、親和性タグ又は磁気タグである。いくつかの実施形態では、本方法は、捕捉分子からcaTCRエフェクター細胞を溶出させ、溶出物を回収することを更に含む。
ライブラリースクリーニング
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的な候補caTCR構築物を単離するために、caTCRライブラリー(例えば、複数のcaTCRをコードする核酸のライブラリーを発現する細胞)が、標的抗原又はその中に含まれる1つ以上のエピトープを含む捕捉分子にさらされてもよく、その後、捕捉分子に特異的に結合するライブラリーの親和性メンバーの単離が行われてもよい。いくつかの実施形態では、捕捉分子は、固体支持体上に固定される。いくつかの実施形態では、支持体は、ビーズ、マイクロタイタープレート、免疫チューブ、又はそのような目的に有用な当該技術分野において既知の任意の材料の表面であってもよい。いくつかの実施形態では、相互作用は、タグ付き捕捉分子(例えば、ビオチン化捕捉分子)により、溶液中で起こる。いくつかの実施形態では、この手順は、非特異的かつ非反応性のライブラリーメンバーを除去するための1つ以上の洗浄工程(パニング)を含む。いくつかの実施形態では、溶液中の複合体を精製するために、複合体は、固定又は遠心分離のいずれかによって集められる。いくつかの実施形態では、親和性メンバーは、可溶性ビオチン化捕捉分子上に捕捉され、その後、ストレプトアビジンビーズ上への親和性複合体(親和性メンバーと捕捉分子)の固定が続く。いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズである。いくつかの実施形態では、ビーズとしては、例えば、磁気ビーズ(例えば、Bangs Laboratories、Polysciences inc.、Dynal Biotech、Miltenyi Biotech又はQuantum Magnetic製)、非磁気ビーズ(例えば、Pierce and Upstate technology)、単分散ビーズ(例えば、Dynal Biotech及びMicroparticle Gmbh)及び多分散ビーズ(例えば、Chemagen)が挙げられる。磁気ビーズの使用は、文献(Uhlen,Mら(1994)、Advances in Biomagnetic Separation、BioTechniques press、ウェストボロー、MA)に記載されている。いくつかの実施形態では、親和性メンバーは、陽性選択によって精製される。いくつかの実施形態では、親和性メンバーは、望ましくないライブラリーメンバーを除去するために、陰性選択によって精製される。いくつかの実施形態では、親和性メンバーは、陽性選択工程及び陰性選択工程の両方によって精製される。
一般に、ライブラリー構築物を調製するために使用される技術は、既知の遺伝子工学技術に基づく。これに関し、ライブラリー内で発現されるcaTCRをコードする核酸配列は、使用される発現系の種類に適した発現ベクターに組み込まれる。CD3+細胞などの細胞における提示に使用するのに適した発現ベクターは、周知であり、当該技術分野において記載されている。例えば、いくつかの実施形態では、発現ベクターは、ウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに係る複数のcaTCRをコードする配列を含む核酸ライブラリーが提供される。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリーは、複数のcaTCRをコードするウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。
いくつかの実施形態では、標的抗原に特異的なcaTCRをコードする配列について、本明細書に記載の実施形態のいずれかに係る核酸ライブラリーをスクリーニングする方法であって、(a)核酸ライブラリーを複数の細胞に導入し、その結果、caTCRが複数の細胞の表面で発現することと、(b)複数の細胞を、標的抗原又はその中に含まれる1つ以上のエピトープを含む捕捉分子と共にインキュベートすることと、(c)捕捉分子に結合した細胞を集めることと、(d)工程(c)で集めた細胞から、caTCRをコードする配列を単離し、それによって、標的抗原に特異的なcaTCRを同定することとを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上の洗浄工程を更に含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄工程は、工程(b)と工程(c)との間で実施される。いくつかの実施形態では、複数の細胞は、複数のCD3+細胞である。いくつかの実施形態では、捕捉分子は、固体支持体上に固定される。いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズである。いくつかの実施形態では、捕捉分子に結合した細胞を集めることは、固体支持体に結合した捕捉リガンドから細胞を溶出させることと、溶出物を集めることとを含む。いくつかの実施形態では、捕捉分子は、タグで標識される。いくつかの実施形態では、タグは、蛍光分子、親和性タグ又は磁気タグである。いくつかの実施形態では、捕捉分子に結合した細胞を集めることは、細胞と標識されたリガンドとを含む複合体を単離することを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、複合体から解離される。
MHCタンパク質
MHCクラスIタンパク質は、主要組織適合抗原複合体(MHC)分子の2つの主要なクラスの1つであり(他方はMHCクラスIIである)、身体のほぼ全ての有核細胞に見出される。それらの機能は、T細胞に対し、細胞内からのタンパク質のフラグメントを提示するためのものであり、健康な細胞は無視されるが、外来タンパク質又は変異タンパク質を含有する細胞は、免疫系によって攻撃されるであろう。MHCクラスIタンパク質は、細胞質タンパク質に由来するペプチドを提示するため、MHCクラスI提示の経路は、細胞質経路又は内在性経路と呼ばれることが多い。クラスI MHC分子は、プロテアソームによる細胞質タンパク質の分解から主に生成されたペプチドに結合する。MHC I:ペプチド複合体を、次いで、細胞の形質膜に挿入する。ペプチドは、クラスI MHC分子の細胞外部分に結合する。したがって、クラスI MHCの機能は、細胞内タンパク質を細胞毒性T細胞(CTL)に提示することである。しかし、クラスI MHCはまた、交差提示として知られるプロセスにおいて、外因性タンパク質から生成されたペプチドも提示することができる。
MHCクラスIタンパク質は、2つのポリペプチド鎖であるα及びβ2−ミクログロブリン(β2M)からなる。この2つの鎖は、β2Mとα3ドメインとの相互作用によって、非共有結合的に結合する。α鎖のみが多型であり、HLA遺伝子によりコードされており、一方、β2Mサブユニットは、多型ではなく、β−2ミクログロブリン遺伝子によりコードされる。α3ドメインは、形質膜に広がっており、T細胞のCD8共受容体と相互作用する。α3−CD8相互作用によりMHC I分子が所定の位置に保持される一方で、細胞毒性T細胞の表面上のT細胞受容体(TCR)がそのα1−α2ヘテロ二量体リガンドに結合し、結合したペプチドの抗原性を調べる。α1ドメイン及びα2ドメインは、結合するペプチドのための溝を形成するように折り畳まれる。MHCクラスIタンパク質は、8〜10アミノ酸長のペプチドに結合する。
MHCクラスII分子は、樹状細胞、単核食細胞、一部の内皮細胞、胸腺上皮細胞及びB細胞などの抗原提示細胞上にのみ通常見出される分子のファミリーである。クラスIIペプチドによって提示される抗原は、細胞外タンパク質(クラスIのような細胞質ではない)由来であり、したがって、抗原提示のMHCクラスII依存的経路は、エンドサイトーシス経路又は外因性経路と呼ばれる。MHCクラスII分子のローディングは、食作用によって生じる。細胞外タンパク質は、取り込まれ、リソソーム内で消化され、得られたエピトープペプチドフラグメントは、細胞表面に移動する前に、MHCクラスII分子上にロードされる。
MHCクラスI分子と同様に、クラスII分子もヘテロ二量体であるが、この場合、2つの均一なペプチドであるα鎖及びβ鎖からなる。サブ表記であるα1、α2などは、HLA遺伝子内の別個のドメインを指す。各ドメインは、通常、遺伝子内の異なるエクソンによってコードされ、いくつかの遺伝子は、リーダー配列、膜貫通配列などをコードする更なるドメインを有する。MHCクラスII分子の抗原結合溝は両端で開放しており、一方、クラスI分子上の対応する溝は、各末端で閉じているため、MHCクラスII分子によって提示される抗原は、より長く、一般的に、15〜24アミノ酸長である。
ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子は、MHC遺伝子のヒト態様である。ヒトにおける3つの主要なMHCクラスIタンパク質は、HLA−A、HLA−B及びHLA−Cであり、一方、3つの少数のMHCクラスIタンパク質は、HLA−E、HLA−F及びHLA−Gである。ヒトにおける抗原提示に関与する3つの主要なMHCクラスIIタンパク質は、HLA−DP、HLDA−DQ及びHLA−DRであり、一方、他のMHCクラスIIタンパク質は、HLA−DM及びHLA−DOであり、初期の処理及び抗原のローディングに関与する。進化が最も速いコード配列を持つHLA−Aは、ヒトの遺伝子の中でランク付けされる。2013年12月の時点で、1740個の活性タンパク質及び117個のヌルタンパク質をコードする2432個の既知のHLA−A対立遺伝子が存在した。HLA−A遺伝子は、6番染色体の短腕上に位置し、HLA−Aのより大きなα鎖構成要素をコードする。HLA−Aα鎖の変動は、HLA機能にとって鍵となる。この変動によって、集団における遺伝的多様性を促進する。各HLAは、特定の構造のペプチドについて異なる親和性を有するため、HLAが多様であるほど、細胞表面に「提示される」抗原がより多様であることを意味し、この集団の分集団が、任意の所与の外来侵入物に対して耐性である可能性を高める。これにより、単一の病原体が、ヒト集団全体を一掃する能力を有する可能性が減少する。各個体は、これらの親それぞれから1つずつ、2種類までのHLA−Aを発現してもよい。個体の一部は、両方の親から同じHLA−Aを受け継ぎ、この個体のHLA多様性は減少する。しかし、個体の大部分は、2種類の異なるHLA−Aの複製物を受け取る。この同じパターンは、全てのHLA群について成り立つ。言い換えると、ヒトは、2432個の既知のHLA−A対立遺伝子の1つ又は2つのいずれかのみを発現することができる。
全ての対立遺伝子は、少なくとも4桁の分類、例えば、HLA−A*02:12を受け取る。Aは、対立遺伝子がどのHLA遺伝子に属するかを意味する。多くのHLA−A対立遺伝子が存在し、その結果、血清型による分類が、カテゴリー化を単純化する。次の1対の数字は、この割り当てを示す。例えば、HLA−A*02:02、HLA−A*02:04及びHLA−A*02:324は、全てA2血清型のメンバーである(*02という接頭語によって示される)。この群は、HLA適合性に関与する主要な因子である。その後の全ての数字は、血清型によって決定することはできず、遺伝子配列決定によって指定される。2番目の数字のセットは、どのHLAタンパク質が産生されるかを示す。これらは、発見の順序で割り当てられ、2013年12月時点で、456個の異なるHLA−A−A02タンパク質が既知である(割り当てられた名称はHLA−A*02:01からHLA−A*02:456)。最も短い可能なHLA名は、これらの詳細の両方を含む。これを超えるそれぞれの長くなった部分は、タンパク質を変化させてもよく、又は変化させなくてもよいヌクレオチド変化を示す。
いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合分子は、疾患関連抗原(腫瘍関連抗原又はウイルスによってコードされる抗原など)に由来するペプチドとMHCクラスIタンパク質とを含む複合体に特異的に結合し、MHCクラスIタンパク質は、HLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−E、HLA−F又はHLA−Gである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA−A、HLA−B又はHLA−Cである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA−Aである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA−Bである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA−Cである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA−A01、HLA−A02、HLA−A03、HLA−A09、HLA−A10、HLA−A11、HLA−A19、HLA−A23、HLA−A24、HLA−A25、HLA−A26、HLA−A28、HLA−A29、HLA−A30、HLA−A31、HLA−A32、HLA−A33、HLA−A34、HLA−A36、HLA−A43、HLA−A66、HLA−A68、HLA−A69、HLA−A74又はHLA−A80である。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA−A02である。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA−A*02:01−555、例えば、HLA−A*02:01、HLA−A*02:02、HLA−A*02:03、HLA−A*02:04、HLA−A*02:05、HLA−A*02:06、HLA−A*02:07、HLA−A*02:08、HLA−A*02:09、HLA−A*02:10、HLA−A*02:11、HLA−A*02:12、HLA−A*02:13、HLA−A*02:14、HLA−A*02:15、HLA−A*02:16、HLA−A*02:17、HLA−A*02:18、HLA−A*02:19、HLA−A*02:20、HLA−A*02:21、HLA−A*02:22又はHLA−A*02:24のうち、いずれか1つである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA−A*02:01である。HLA−A*02:01は、全白人の39〜46%で発現され、したがって、本発明で使用するためのMHCクラスIタンパク質の好適な選択を表す。
いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合分子は、疾患関連抗原(腫瘍関連抗原又はウイルスによってコードされる抗原など)に由来するペプチドとMHCクラスIIタンパク質とを含む複合体に特異的に結合し、MHCクラスIIタンパク質は、HLA−DP、HLA−DQ又はHLA−DRである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIIタンパク質は、HLA−DPである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIIタンパク質は、HLA−DQである。いくつかの実施形態では、MHCクラスIIタンパク質は、HLA−DRである。
Fab様抗原結合モジュールの生成に使用するのに好適なペプチドは、例えば、当業者に既知のコンピュータ予測モデルを使用して、HLA(例えば、HLA−A*02:01)結合モチーフと、プロテアソーム及び免疫プロテアソームの切断部位の存在に基づいて決定することができる。MHC結合部位を予測するために、このようなモデルとしては、限定されないが、ProPred1(Singh and Raghava,ProPred:prediction of HLA−DR binding sites.BIOINFORMATICS 17(12):1236−1237、2001に更に詳細な記載)及びSYFPEITHI(Schulerら、SYFPEITHI,Database for Searching and T−Cell Epitope Prediction.in Immunoinformatics Methods in Molecular Biology、vol 409(1):75−93、2007を参照)が挙げられる。
適切なペプチドが同定されたら、当業者に周知のプロトコルに従ってペプチド合成を行うことができる。本発明のペプチドは、大きさが比較的小さいため、従来のペプチド合成技術に従って、溶液中又は固体支持体上で直接合成されてもよい。様々な自動合成装置が市販されており、既知のプロトコルに従って使用することができる。溶液相中のペプチドの合成は、合成ペプチドの大規模生産のための十分に確立された手順となっており、したがって、本発明のペプチドを調製するための好適な代替方法である(例えば、John Morrow Stewart及びMartinらによるSolid Phase Peptide Synthesis、Application of Almez−mediated Amidation Reactions to Solution Phase Peptide Synthesis、Tetrahedron Letters Vol.39、ページ1517−1520、1998を参照)。
医薬組成物
本明細書では、本明細書に記載される実施形態のいずれかに係るcaTCR、又は本明細書に記載される実施形態のいずれかに係るcaTCRをコードする核酸、又は本明細書に記載される実施形態のいずれかに係るcaTCRエフェクター細胞を含む、組成物(例えば、医薬組成物、本明細書では製剤とも呼ばれる)も提供される。いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載のcaTCRのいずれかに係るcaTCRをその表面上に提示するエフェクター細胞(例えば、T細胞)を含む、caTCRエフェクター細胞組成物(例えば、医薬組成物)である。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞組成物は、医薬組成物である。
組成物は、同じ細胞型を有し、同じcaTCRを発現するcaTCRエフェクター細胞を含む均一な細胞集団を含んでいてもよく、又は異なる細胞型を有し、及び/又は異なるcaTCRを発現するcaTCRエフェクター細胞を含む複数のcaTCRエフェクター細胞集団を含む不均一な細胞集団を含んでいてもよい。組成物は、caTCRエフェクター細胞ではない細胞を更に含んでもよい。
したがって、いくつかの実施形態では、同じ細胞型を有し、同じcaTCRを発現するcaTCRエフェクター細胞(例えば、caTCR T細胞)を含む均一な細胞集団を含むcaTCRエフェクター細胞組成物が提供される。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞は、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞組成物は、医薬組成物である。
いくつかの実施形態では、異なる細胞型を有し、及び/又は異なるcaTCRを発現するcaTCRエフェクター細胞を含む複数のcaTCRエフェクター細胞集団を含む不均一な細胞集団を含むcaTCRエフェクター細胞組成物が提供される。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の各集団は、互いに独立して、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される細胞型を有する。いくつかの実施形態では、組成物中のcaTCRエフェクター細胞の全ては、同じ細胞型を有する(例えば、全てのcaTCRエフェクター細胞は、細胞毒性T細胞である)。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団は、他とは異なる細胞型を有する(例えば、caTCRエフェクター細胞の1つの集団は細胞毒性T細胞からなり、caTCRエフェクター細胞の他の集団は、ナチュラルキラーT細胞からなる)。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の各集団は、同じcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団は、他の集団とは異なるcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の各集団は、他の集団とは異なるcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の各集団は、同じ標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団は、他の集団とは異なる標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する(例えば、caTCRエフェクター細胞の1つの集団は、pMHC複合体に特異的に結合し、caTCRエフェクター細胞の他の集団は、細胞表面受容体に特異的に結合する)。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団が、異なる標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する場合、caTCRエフェクター細胞の各集団は、同じ疾患又は障害と関連する標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する(例えば、それぞれの標的抗原は、癌、例えば、乳癌に関連する)。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞組成物は、医薬組成物である。
したがって、いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞組成物であって、本明細書に記載される実施形態のいずれかに係る複数のcaTCRエフェクター細胞集団を含み、組成物中のcaTCRエフェクター細胞の全てが、同じ細胞型を有し(例えば、caTCRエフェクター細胞の全てが、細胞毒性T細胞である)、caTCRエフェクター細胞のそれぞれの集団が、他とは異なるcaTCRを発現する、caTCRエフェクター細胞組成物が提供される。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞は、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の各集団は、同じ標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団は、他の集団とは異なる標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する(例えば、caTCRエフェクター細胞の1つの集団は、pMHC複合体に特異的に結合し、caTCRエフェクター細胞の他の集団は、細胞表面受容体に特異的に結合する)。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団が、異なる標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する場合、caTCRエフェクター細胞の各集団は、同じ疾患又は障害と関連する標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する(例えば、それぞれの標的抗原は、癌、例えば、乳癌に関連する)。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞組成物は、医薬組成物である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される実施形態のいずれかに係る複数のcaTCRエフェクター細胞集団を含む組成物であって、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団が、他とは異なる細胞型である、組成物が提供される。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の集団は全て、異なる細胞型を有する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の各集団は、互いに独立して、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される細胞型を有する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の各集団は、同じcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団は、他の集団とは異なるcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の各集団は、他の集団とは異なるcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の各集団は、同じ標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団は、他の集団とは異なる標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する(例えば、caTCRエフェクター細胞の1つの集団は、pMHC複合体に特異的に結合し、caTCRエフェクター細胞の他の集団は、細胞表面受容体に特異的に結合する)。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団が、異なる標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する場合、caTCRエフェクター細胞の各集団は、同じ疾患又は障害と関連する標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する(例えば、それぞれの標的抗原は、癌、例えば、乳癌に関連する)。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞組成物は、医薬組成物である。
組成物の調製中の様々な点において、細胞を凍結保存することが必要であるか、又は有益な場合がある。「凍結され/凍結」及び「凍結保存され/冷凍保存」との用語は、相互に置き換え可能に使用することができる。凍結は、凍結乾燥を含む。
当業者には理解されるように、細胞の凍結は破壊的な場合がある(Mazur,P.、1977、Cryobiology 14:251−272を参照)が、このような損傷を防ぐために利用可能な多くの手順が存在する。例えば、損傷は、(a)凍結保護剤(cryoprotective agent)の使用、(b)凍結速度の制御及び/又は(c)分解反応を最小限にするのに十分に低い温度での保存によって避けることができる。例示的な凍結保護剤としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)(Lovelock及びBishop、1959、Nature 183:1394−1395;Ashwood−Smith、1961、Nature 190:1204−1205)、グリセロール、ポリビニルピロリジン(Rinfret、1960、Ann.N.Y.Acad.Sci.85:576)、ポリエチレングリコール(Sloviter及びRavdin、1962、Nature 196:548)、アルブミン、デキストラン、ショ糖、エチレングリコール、i−エリスリトール、D−リビトール、D−マンニトール(Roweら、1962、Fed.Proc.21:157)、D−ソルビトール、i−イノシトール、D−ラクトース、塩化コリン(Benderら、1960、J.Appl.Physiol.15:520)、アミノ酸(Phan The Tran and Bender、1960、Exp.Cell Res.20:651)、メタノール、アセトアミド、グリセロールモノアセテート(Lovelock、1954、Biochem.J.56:265)、及び無機塩(Phan The Tran and Bender、1960、Proc.Soc.Exp.Biol.Med.104:388;Phan The Tran and Bender、1961、Radiobiology、Proceedings of the Third Australian Conference on Radiobiology、llbery編集、Butterworth、London、p.59)が挙げられる。特定の実施形態では、DMSOを使用することができる。血漿の添加(例えば、20〜25%の濃度になるまで)によって、DMSOの保護効果を増強することができる。DMSOを添加した後、1%のDMSO濃度は4℃より高い温度では毒性な場合があるため、凍結するまで細胞を0℃に維持してもよい。
細胞の凍結保存において、冷却速度をゆっくりに制御することが重要な場合があり、凍結保護剤が異なる場合(Rapatzら、1968、Cryobiology 5(1):18−25)及び細胞型が異なる場合は、最適冷却速度が異なる(例えば、幹細胞の生存及びその移植可能性に対する冷却速度の影響について、Rowe及びRinfret、1962、Blood 20:636;Rowe、1966、Cryobiology 3(1):12−18;Lewisら、1967、Transfusion 7(1):17−32;及びMazur、1970、Science 168:939−949を参照)。水が氷になるときの融合相の熱は、最小限であるべきである。冷却手順は、例えば、プログラム可能な凍結装置又はメタノール浴手順の使用によって実施することができる。プログラム可能な冷凍装置は、最適な冷却速度の決定を可能にし、標準的な再現可能な冷却を容易にする。
特定の実施形態では、DMSO処理した細胞を、氷であらかじめ冷却し、冷却メタノールを含むトレーに移してもよく、次に、これを−80℃の機械的冷蔵庫(例えば、Harris又はRevco)内に入れる。メタノール浴及びサンプルの熱電対測定値は、1℃〜3℃/分の冷却速度が好ましい場合があることを示している。少なくとも2時間後、標本は、温度−80℃に達してもよく、液体窒素(−196℃)に直接入れられてもよい。
十分に凍結させた後、長期凍結保存容器に細胞をすぐに移してもよい。好ましい実施形態では、サンプルは、液体窒素(−196℃)又は蒸気(−1℃)中で凍結保存されてもよい。このような保存は、高効率の液体窒素冷蔵庫が利用可能であれば促進される。
細胞の操作、凍結保存及び長期保存のための更なる検討事項及び手順は、以下の例示的な参考文献中に見出すことができる。米国特許第4,199,022号;同第3,753,357号及び同第4,559,298号Gorin、1986、Clinics In Haematology 15(1):19−48;Bone−Marrow Conservation,Culture and Transplantation,Proceedings of a Panel,Moscow、7月22〜26日、1968年、International Atomic Energy Agency、Vienna、pp.107−186;Livesey及びLinner、1987、Nature 327:255;Linnerら、1986、J.Histochem.Cytochem.34(9):1 123−1 135;Simione、1992、J.Parenter.Sci.Technol.46(6):226−32)。
凍結保存の後、凍結した細胞を、当業者に既知の方法に従って、使用するために解凍してもよい。凍結した細胞は、好ましくは迅速に解凍され、解凍直後に冷却される。特定の実施形態では、凍結した細胞を含有するバイアルを、温水浴中にその首部まで浸漬してもよく、穏やかに回転させることにより、解凍に伴い、細胞懸濁物を確実に混合し、温水から内部の氷塊への熱移動を増加させる。氷が完全に融けたらすぐに、バイアルを氷上に置いてもよい。
特定の実施形態では、解凍中の細胞凝集を防止するための方法を使用することができる。例示的な方法としては、凍結前及び/又は凍結後のDNaseの添加(Spitzerら、1980、Cancer 45:3075−3085)、低分子量デキストラン及びクエン酸、ヒドロキシエチルデンプンの添加(Stiffら、1983、Cryobiology 20:17−24)などが挙げられる。[0162]当業者には理解されるように、ヒトに毒性がある凍結保護剤が使用される場合、治療目的の使用の前に除去するべきである。DMSOは、重大な毒性を有していない。
細胞の例示的な担体及び投与態様は、米国特許公開第2010/0183564号のページ14−15に記載されている。更なる医薬担体は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、21st Edition、David B.Troy編集、Lippicott Williams及びWilkins(2005)に記載されている。
特定の実施形態では、細胞を培養培地から収集し、洗浄し、治療有効量で担体に濃縮することができる。例示的な担体としては、食塩水、緩衝化食塩水、生理食塩水、水、Hanks溶液、Ringer溶液、Nonnosol−R(Abbott Labs)、PlasmaLyte A(R)(Baxter Laboratories,Inc.、モートングローブ、IL)、グリセロール、エタノール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
特定の実施形態では、担体は、ヒト血清アルブミン(HSA)又は他のヒト血清成分又はウシ胎児血清を追加してもよい。特定の実施形態では、注入用担体は、5%HAS又はデキストロースを含む緩衝化食塩水を含む。更なる等張化剤として、三価以上の糖アルコールを含む多価糖アルコール、例えば、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール及びマンニトールが挙げられる。
担体としては、緩衝剤、例えば、クエン酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、フマル酸緩衝剤、グルコン酸緩衝剤、シュウ酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、及び/又はトリメチルアミン塩を挙げることができる。
安定化剤は、増量剤から、容器壁への細胞の付着を防止するのに役立つ添加剤までの機能範囲であり得る広範なカテゴリーの賦形剤を指す。典型的な安定化剤としては、多価糖アルコール;アミノ酸、例えば、アルギニン、リジン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L−ロイシン、2−フェニルアラニン、グルタミン酸及びスレオニン;有機糖又は糖アルコール、例えば、ラクトース、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオニシトール、ガラクチトール、グリセロール及びシクリトール、例えば、イノシトール;PEG;アミノ酸ポリマー;硫黄含有還元剤、例えば、尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α−モノチオグリセロール及びチオ硫酸ナトリウム;低分子量ポリペプチド(すなわち、10残基未満);HSA、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;単糖類、例えば、キシロース、マンノース、フルクトース及びグルコース;二糖類、例えば、ラクトース、マルトース及びショ糖;三糖類、例えば、ラフィノース、及び多糖類、例えば、デキストランが挙げられる。
必要な場合又は有益な場合、組成物は、注射部位での痛みを和らげるリドカインなどの局所麻酔薬を含んでいてもよい。
例示的な防腐剤としては、フェノール、ベンジルアルコール、メタ−クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ハロゲン化ベンザルコニウム、塩化ヘキサメトニウム、アルキルパラベン、例えば、メチルパラベン又はプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール及び3−ペンタノールが挙げられる。
組成物内の細胞の治療有効な量は、102個より多く、103個より多く、104個より多く、105個より多く、106個より多く、107個より多く、108個より多く、109個より多く、1010個より多く、又は1011個より多くてもよい。
本明細書に開示される組成物及び製剤において、細胞は、一般的に、1リットル以下、500mL以下、250mL以下、又は100mL以下の体積である。したがって、投与される細胞の密度は、典型的には、104個/mLより大きく、107個/mLより大きく、又は108個/mLより大きい。
本明細書では、本明細書に記載されるcaTCRをコードする核酸のいずれかを含む、caTCR核酸組成物(例えば、医薬組成物、本明細書では製剤とも呼ばれる)も提供される。いくつかの実施形態では、caTCR核酸組成物は、医薬組成物である。いくつかの実施形態では、caTCR核酸組成物は、等張化剤、賦形剤、希釈剤、増粘剤、安定化剤、緩衝剤、及び/又は防腐剤、及び/又は水性ビヒクル、例えば、精製水、水性糖溶液、緩衝液、生理食塩水、水性ポリマー溶液、又はRNaseフリー水のいずれかを更に含む。添加されるこのような添加剤及び水性ビヒクルの量は、caTCR核酸組成物の使用形態に従って好適に選択することができる。
本明細書に開示される組成物及び製剤は、例えば、注射、注入、灌流、又は洗浄によって投与するために調製することができる。組成物及び製剤は、更に、骨髄、静脈内、皮内、動脈内、節内、リンパ管内、腹腔内、病変内、前立腺内、膣内、直腸内、局所、髄腔内、腫瘍内、筋肉内、小胞内及び/又は皮下注射用に配合することができる。
in vivo投与に使用される製剤は、無菌でなければならない。これは、例えば、滅菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成される。
caTCRを使用した治療方法
本発明のcaTCR及び/又は組成物は、例えば、癌及び感染性疾患(例えばウイルス感染)を含め、標的抗原(TA)発現に関連する疾患及び/又は障害(本明細では、「標的抗原陽性」又は「TA陽性」疾患又は障害とも呼ばれる)を治療するために、個体(例えば、ヒトなどの哺乳動物)に投与することができる。したがって、本出願は、いくつかの実施形態では、個体において標的抗原陽性疾患(例えば、癌又はウイルス感染)を治療するための方法であって、抗体部分を含むcaTCR(例えば、本明細書に記載のcaTCRのいずれか1つ)を含む組成物(例えば、医薬組成物)を有効量、個体に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、caTCRに関連する細胞(エフェクター細胞など)を更に含む。いくつかの実施形態では、癌は、例えば、副腎皮質癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管癌、大腸癌、食道癌、神経膠芽腫、神経膠腫、肝細胞癌、頭頸部癌、腎臓癌、肺癌、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、膵臓癌、褐色細胞腫、形質細胞腫、神経芽腫、卵巣癌、前立腺癌、肉腫、胃癌、子宮癌及び甲状腺癌からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ウイルス感染は、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタインバールウイルス(EBV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、伝染性軟属腫ウイルス(MCV)、ヒトT細胞白血病ウイルス1(HTLV−1)、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)及びC型肝炎ウイルス(HCV)からなる群から選択されるウイルスによって引き起こされる。
例えば、いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、(a)天然に存在するTCRの膜貫通ドメインの1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと天然に存在するTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、TCR−TMのうち少なくとも1つが天然に存在しないものであり、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールを含む、その表面上でcaTCR(例えば、単離されたcaTCR)を提示するエフェクター細胞(例えば、T細胞又はナチュラルキラー細胞)を含む組成物を有効量、個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、天然に存在するTCRは、αβTCRであり、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、TCRα及びβサブユニット膜貫通ドメインに由来する。いくつかの実施形態では、天然に存在するTCRは、γδTCRであり、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、TCRγ及びδサブユニット膜貫通ドメインに由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメインは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインに由来する配列を含み、及び/又は第2のTCR細胞内ドメインは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインに由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットのフラグメントであり、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットのフラグメントである。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインとを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に存在するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することを可能にする。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュール、安定化モジュール及びTCRMのいずれかの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。いくつかの実施形態では、標的抗原は、細胞表面抗原である。いくつかの実施形態では、細胞表面抗原は、タンパク質、炭水化物及び脂質からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、細胞表面抗原は、腫瘍関連抗原又はウイルスによってコードされる抗原などの疾患関連抗原である。いくつかの実施形態では、細胞表面抗原は、CD19、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、標的抗原は、表面提示ペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、ペプチド/MHC複合体は、疾患関連抗原(腫瘍関連抗原又はウイルスによってコードされる抗原など)に由来するペプチドと、MHCタンパク質とを含む。いくつかの実施形態では、ペプチド/MHC複合体は、ペプチドとMHCタンパク質とを含み、ペプチドは、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAからなる群から選択されるタンパク質に由来し、これらの多様体又は変異体を含む。いくつかの実施形態では、MHCタンパク質は、MHCクラスIタンパク質である。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA−Aである。いくつかの実施形態では、HLA−Aは、HLA−A02である。いくつかの実施形態では、HLA−A02は、HLA−A*02:01である。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、γδT細胞である。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、TCRα鎖及び/又はβ鎖の発現を遮断するか、又は減少させるように改変されているαβT細胞である。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、(a)天然に存在するTCRの膜貫通ドメインの1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと天然に存在するTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、TCR−TMのうち少なくとも1つが天然に存在しないものであり、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールを含む、その表面上で、標的抗原を特異的に認識するcaTCRを提示するエフェクター細胞(例えば、T細胞又はナチュラルキラー細胞)を含む組成物を有効量、個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメインは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインに由来する配列を含み、及び/又は第2のTCR細胞内ドメインは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインに由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットのフラグメントであり、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットのフラグメントである。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインとを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に存在するαβT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することを可能にする。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュール、安定化モジュール及びTCRMのいずれかの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、(a)天然に存在するγδTCRの膜貫通ドメインの1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと天然に存在するγδTCRの他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、TCR−TMのうち少なくとも1つが天然に存在しないものであり、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールを含む、その表面上で、標的抗原を特異的に認識するcaTCRを提示するエフェクター細胞(例えば、T細胞又はナチュラルキラー細胞)を含む組成物を有効量、個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメインは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインに由来する配列を含み、及び/又は第2のTCR細胞内ドメインは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインに由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットのフラグメントであり、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットのフラグメントである。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインとを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に存在するγδT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することを可能にする。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュール、安定化モジュール及びTCRMのいずれかの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、(a)配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列の1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDとを含み、TCR−TMのうち少なくとも1つが天然に存在しないものであり、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールを含む、その表面上で、標的抗原を特異的に認識するcaTCRを提示するエフェクター細胞(例えば、T細胞又はナチュラルキラー細胞)を含む組成物を有効量、個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインとを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号5及び6の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュール、安定化モジュール及びTCRMのいずれかの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、(a)配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列の1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、TCR−TMの少なくとも1つが、その由来となるアミノ酸配列と比較して、1つ以上(例えば、2、3、4、5、又はもっと多く)のアミノ酸置換を含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、その表面上で、標的抗原を特異的に認識するcaTCRを提示するエフェクター細胞(例えば、T細胞又はナチュラルキラー細胞)を含む組成物を有効量、個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ互いに独立して、その由来となるアミノ酸配列と比較して、1つ以上(例えば、2、3、4、5、又はもっと多く)のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMは、それぞれ互いに独立して、その由来となるアミノ酸配列と比較して、5個以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMの少なくとも1つは、その由来となるアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ、その由来となるアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中の置換アミノ酸の少なくとも1つが、caTCRにおいて、第2のTCR−TM中の置換アミノ酸の少なくとも1つと相互作用し得るように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインとを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号5及び6の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュール、安定化モジュール及びTCRMのいずれかの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、的抗原関連疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、(a)配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列の1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、TCR−TMの少なくとも1つが、配列番号7又は8に由来する連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールを含む、その表面上で、標的抗原を特異的に認識するcaTCRを提示するエフェクター細胞(例えば、T細胞又はナチュラルキラー細胞)を含む組成物を有効量、個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ互いに独立して、配列番号7又は8に由来する連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMは、それぞれ互いに独立して、配列番号7又は8に由来する約10以下(例えば、約9、8、7、6、5以下、又はもっと少ない)の連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中又は第2のTCR−TM中のキメラ配列は、配列番号7に由来し、他方のTCR−TM中のキメラ配列は、配列番号8に由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中のキメラ配列は、第2のTCR−TM中のキメラ配列と相互作用し得るように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインとを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号5及び6の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュール、安定化モジュール及びTCRMのいずれかの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、(a)配列番号7及び配列番号8のアミノ酸配列の1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDとを含み、TCR−TMのうち少なくとも1つが天然に存在しないものであり、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールを含む、その表面上で、標的抗原を特異的に認識するcaTCRを提示するエフェクター細胞(例えば、T細胞又はナチュラルキラー細胞)を含む組成物を有効量、個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインとを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュール、安定化モジュール及びTCRMのいずれかの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、表2に列挙したcaTCRのいずれかに従って選択される。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、(a)配列番号7及び配列番号8のアミノ酸配列の1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、TCR−TMの少なくとも1つが、その由来となるアミノ酸配列と比較して、1つ以上(例えば、2、3、4、5、又はもっと多く)のアミノ酸置換を含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、その表面上で、標的抗原を特異的に認識するcaTCRを提示するエフェクター細胞(例えば、T細胞又はナチュラルキラー細胞)を含む組成物を有効量、個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ互いに独立して、その由来となるアミノ酸配列と比較して、1つ以上(例えば、2、3、4、5、又はもっと多く)のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMは、それぞれ互いに独立して、その由来となるアミノ酸配列と比較して、5個以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMの少なくとも1つは、その由来となるアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ、その由来となるアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中の置換アミノ酸の少なくとも1つが、caTCRにおいて、第2のTCR−TM中の置換アミノ酸の少なくとも1つと相互作用し得るように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュール、安定化モジュール及びTCRMのいずれかの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、表2に列挙したcaTCRのいずれかに従って選択される。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、(a)第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと第2のTCR−TMを含む第2のTCRDであって、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、それぞれ、配列番号9及び8、7及び14、7及び15、7及び16、10及び16、7及び17、7及び18、7及び19、7及び20、7及び21、7及び22、11及び23、12及び24、7及び25、又は13及び26のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になり、又はこれらからなり、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールとを含む、その表面上で、標的抗原を特異的に認識するcaTCRを提示するエフェクター細胞(例えば、T細胞又はナチュラルキラー細胞)を含む組成物を有効量、個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv及び単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5を含み、これらの多様体又は変異体を含む、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、限定されないが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAを含み、これらの多様体又は変異体を含む、タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、配列番号31又は32のアミノ酸配列又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、配列番号33又は34のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のTCR細胞内ドメインは、配列番号36のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、(a)配列番号10のアミノ酸配列を有する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、配列番号16のアミノ酸配列を有する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDとを含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールを含む、その表面上で、標的抗原を特異的に認識するcaTCRを提示するエフェクター細胞(例えば、T細胞又はナチュラルキラー細胞)を含む組成物を有効量、個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv及び単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5を含み、これらの多様体又は変異体を含む、細胞表面抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、ペプチド/MHC複合体に特異的に結合し、ペプチドは、限定されないが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAを含み、これらの多様体又は変異体を含む、タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、配列番号31又は32のアミノ酸配列又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、配列番号33又は34のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のTCR細胞内ドメインは、配列番号36のアミノ酸配列又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、(a)配列番号7及び配列番号8のアミノ酸配列の1つに由来する第1のTCR−TMを含む第1のTCRDと、他のアミノ酸配列に由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含み、TCR−TMの少なくとも1つが、配列番号5又は6に由来する連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含み、第1のTCRDと第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なTCRMを形成し、(b)標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールであって、抗原結合モジュールが、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDに結合する、抗原結合モジュールを含む、その表面上で、標的抗原を特異的に認識するcaTCRを提示するエフェクター細胞(例えば、T細胞又はナチュラルキラー細胞)を含む組成物を有効量、個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、それぞれ互いに独立して、配列番号5又は6に由来する連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び/又は第2のTCR−TMは、それぞれ互いに独立して、配列番号7又は8に由来する約10以下(例えば、約9、8、7、6、5以下、又はもっと少ない)の連続アミノ酸の一部を含むキメラ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中又は第2のTCR−TM中のキメラ配列は、配列番号5に由来し、他方のTCR−TM中のキメラ配列は、配列番号6に由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM中のキメラ配列は、第2のTCR−TM中のキメラ配列と相互作用し得るように配置される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチド及び第2の接続ペプチドは、それぞれ互いに独立して、配列番号27〜34又はこれらの多様体のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメイン及び第2のTCR細胞内ドメインは、それぞれ互いに独立して、配列番号35又は36又はこれらの多様体のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、配列番号7及び8の配列を有するT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュール、安定化モジュール及びTCRMのいずれかの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
いくつかの実施形態では、第1の標的抗原及び第2の標的抗原に関連する疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、その表面上でcaTCRを提示するエフェクター細胞(例えば、T細胞又はナチュラルキラー細胞)を含む組成物を有効量、個体に投与することを含み、このcaTCRが、(a)第1の標的抗原に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと第2の標的抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗原結合モジュールと、(b)第1のTCR−TMを含む第1のTCRD(TCRD1)と第2のTCR−TMを含む第2のTCRD(TCRD2)を含むTCRMとを含み、TCRMが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進する、caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含み、及び/又は第2の接続ペプチドは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの接続ペプチドの全て又は一部、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、第1の接続ペプチドと第2の接続ペプチドは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR細胞内ドメインを更に含み、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメインは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインに由来する配列を含み、及び/又は第2のTCR細胞内ドメインは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットの細胞内ドメインに由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットのフラグメントであり、及び/又は第2のTCRDは、第2のTCR−TMの由来となるTCRサブユニットのフラグメントである。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列(例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30又はCD40由来)を含む少なくとも1つのアクセサリー細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインは、ジスルフィド結合によって結合する。いくつかの実施形態では、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインは、CH1及びCL抗体ドメインなどの抗体部分、又はその多様体を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能である。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に存在するαβT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を強化することを可能にする。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメインの間にスペーサーモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMは、両方とも天然に存在する。いくつかの実施形態では、TCR−TMのうち少なくとも1つは、天然に存在しない。いくつかの実施形態では、第1の標的抗原はCD19であり、第2の標的抗原はCD22であるか、又は第1の標的抗原はCD22であり、第2の標的抗原はCD19である。いくつかの実施形態では、第1の標的抗原はCD19であり、第2の標的抗原はCD20であるか、又は第1の標的抗原はCD20であり、第2の標的抗原はCD19である。いくつかの実施形態では、疾患は、白血病である。
また、標的抗原関連疾患を治療する必要がある個体において、当該疾患を治療する方法であって、異なるcaTCRを発現する複数のエフェクター細胞を含む組成物を個体に投与することを含む方法も想定される。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される個体において標的抗原関連疾患を治療するための方法のいずれかによれば、組成物は、本明細書に記載されるような不均一なcaTCRエフェクター細胞組成物である。
例えば、いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、本明細書に記載のいずれかの実施形態に係る複数のcaTCRエフェクター細胞の集団を含む不均一なcaTCRエフェクター細胞組成物を有効量、個体に投与することを含み、組成物中のcaTCRエフェクター細胞の全てが、同じ細胞型を有し(例えば、caTCRエフェクター細胞の全てが細胞毒性T細胞である)、caTCRエフェクター細胞のそれぞれの集団が、他の集団とは異なるcaTCRを発現し、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団が、標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する、方法が提供される。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞は、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の各集団は、標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団は、異なる標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団が、異なる標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する場合、異なる標的抗原はそれぞれ、標的抗原関連疾患と関連する。
いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、本明細書に記載のいずれかの実施形態に係る複数のcaTCRエフェクター細胞の集団を含む不均一なcaTCRエフェクター細胞組成物を有効量、個体に投与することを含み、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団が、他の集団とは異なる細胞型を有し、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団が、標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する、方法が提供される。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の集団は全て、異なる細胞型を有する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の各集団は、互いに独立して、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される細胞型を有する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の各集団は、同じcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団は、他の集団とは異なるcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の各集団は、他の集団とは異なるcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の各集団は、標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団は、異なる標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団が、異なる標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する場合、異なる標的抗原はそれぞれ、標的抗原関連疾患と関連する。
いくつかの実施形態では、複数の標的抗原に関連する疾患の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、本明細書に記載のいずれかの実施形態に係る複数のcaTCRエフェクター細胞の集団を含む不均一なcaTCRエフェクター細胞組成物を有効量、個体に投与することを含み、組成物中のcaTCRエフェクター細胞の全てが、同じ細胞型を有し(例えば、caTCRエフェクター細胞の全てが細胞毒性T細胞である)、caTCRエフェクター細胞のそれぞれの集団が、他の集団とは異なるcaTCRを発現し、複数の標的抗原のそれぞれの標的抗原について、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団が、標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する、方法が提供される。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞は、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、複数の標的抗原に関連する疾患の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、本明細書に記載のいずれかの実施形態に係る複数のcaTCRエフェクター細胞の集団を含む不均一なcaTCRエフェクター細胞組成物を有効量、個体に投与することを含み、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団が、他の集合とは異なる細胞型を有し、複数の標的抗原のそれぞれの標的抗原について、caTCRエフェクター細胞の少なくとも1つの集団が、標的抗原に特異的に結合するcaTCRを発現する、方法が提供される。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の集団は全て、異なる細胞型を有する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の各集団は、互いに独立して、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される細胞型を有する。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞の各集団は、他の集団とは異なるcaTCRを発現する。
いくつかの実施形態では、個体は、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ラット、マウス、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコなど)である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。いくつかの実施形態では、個体は、臨床患者、臨床試験志願者、実験動物などである。いくつかの実施形態では、個体は、約60歳より若い(例えば、50歳、40歳、30歳、25歳、20歳、15歳又は10歳より若いのいずれかを含む)。いくつかの実施形態では、個体は、約60歳よりも年上である(例えば、70歳、80歳、90歳又は100歳より年上のいずれかを含む)。いくつかの実施形態では、個体は、本明細書に記載の疾患又は障害(例えば、癌又はウイルス感染)の1つ以上であると診断されているか、又は環境的又は遺伝的にこれらにかかりやすい。いくつかの実施形態では、個体は、本明細書に記載の1つ以上の疾患又は障害に関連する1つ以上のリスク因子を有する。
いくつかの実施形態では、本発明のcaTCRエフェクター細胞組成物は、標的抗原の発現を伴う疾患又は障害を治療するために、第2、第3又は第4の薬剤(例えば、抗新生物剤、成長阻害剤、細胞毒性剤又は化学療法剤)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞組成物は、サイトカイン(IL−2など)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、caTCRは、MHCタンパク質の発現を増加させるか、及び/又はMHCタンパク質によるペプチドの表面提示を増強する薬剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、薬剤としては、例えば、IFN受容体アゴニスト、Hsp90阻害剤、p53発現のエンハンサー及び化学療法剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、IFNγ、IFNβ及びIFNαを含むIFN受容体アゴニストである。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、タネスピマイシン(17−AAG)、アルベスピマイシン(17−DMAG)、レタスピマイシン(IPI−504)、IPI−493、CNF2024/BIIB021、MPC−3100、Debio 0932(CUDC−305)、PU−H71、ガネテスピブ(STA−9090)、NVP−AUY922(VER−52269)、HSP990、KW−2478、AT13387、SNX−5422、DS−2248及びXL888を含む、Hsp90阻害剤である。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、5−フルオロウラシル及びヌトリン−3を含む、p53発現のエンハンサーである。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、トポテカン、エトポシド、シスプラチン、パクリタキセル及びビンブラスチンを含む化学療法剤である。
いくつかの実施形態では、標的抗原陽性疾患の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、本明細書に記載の実施形態のいずれかに係るcaTCRエフェクター細胞組成物を、サイトカイン(例えばIL−2)と組み合わせて個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞組成物とサイトカインは、同時に投与される。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞組成物とサイトカインは、順次投与される。
いくつかの実施形態では、標的抗原陽性疾患の治療を必要とする個体において、当該疾患を治療する方法であって、標的抗原を発現する細胞が、標的抗原とMHCクラスIタンパク質とを含む複合体がその表面に通常は存在しないか、又は比較的低レベルで存在し、この方法は、本明細書に記載の実施形態のいずれかに係るcaTCRエフェクター細胞組成物を、MHCクラスIタンパク質の発現を高めるか、及び/又はMHCクラスIタンパク質によって標的抗原の表面提示を増強させる薬剤と組み合わせて個体に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、薬剤としては、例えば、IFN受容体アゴニスト、Hsp90阻害剤、p53発現のエンハンサー及び化学療法剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、IFNγ、IFNβ及びIFNαを含むIFN受容体アゴニストである。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、タネスピマイシン(17−AAG)、アルベスピマイシン(17−DMAG)、レタスピマイシン(IPI−504)、IPI−493、CNF2024/BIIB021、MPC−3100、Debio 0932(CUDC−305)、PU−H71、ガネテスピブ(STA−9090)、NVP−AUY922(VER−52269)、HSP990、KW−2478、AT13387、SNX−5422、DS−2248及びXL888を含む、Hsp90阻害剤である。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、5−フルオロウラシル及びヌトリン−3を含む、p53発現のエンハンサーである。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、トポテカン、エトポシド、シスプラチン、パクリタキセル及びビンブラスチンを含む化学療法剤である。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞組成物と薬剤は、同時に投与される。いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞組成物と薬剤は、順次投与される。
いくつかの実施形態では、標的抗原関連疾患の治療を必要とする個体において、当該疾患(例えば、癌又はウイルス感染)を治療する方法であって、本明細書に記載の実施形態のいずれかに係るcaTCRをコードする核酸を含む組成物を有効量、個体に投与することを含む、方法が提供される。遺伝子送達の方法は、当該技術分野において既知である。例えば、その全体が本明細書に参考として組み込まれる米国特許第5,399,346号、同第5,580,859号、同第5,589,466号を参照。
癌治療は、例えば、腫瘍退縮、腫瘍の重量又は大きさの収縮、進行するまでの時間、生存期間、無増悪生存率、全奏効率、応答期間、生活の質、タンパク質発現及び/又は活性によって評価することができる。治療の効能を判定するための手法は、例えば、放射線イメージングによる応答の測定を含め、利用することができる。
いくつかの実施形態では、治療の効能は、腫瘍成長阻害率(%TGI)として測定され、式100−(T/C×100)を用いて計算され、ここで、Tは、治療される腫瘍の平均相対腫瘍体積であり、Cは、治療されていない腫瘍の平均相対腫瘍体積である。いくつかの実施形態では、%TGIは、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%であるか、又は95%より大きい。
ウイルス感染治療は、例えば、ウイルス負荷、生存期間、生活の質、タンパク質発現及び/又は活性によって評価することができる。
疾患
caTCRエフェクター細胞は、いくつかの実施形態では、標的抗原と関連する癌を治療するのに有用であり得る。本明細書に記載される方法のいずれかを使用して治療され得る癌としては、血管形成されていないか、又はまだ実質的に血管形成されていない腫瘍、及び血管形成された腫瘍が挙げられる。癌は、非固形腫瘍(例えば、血液腫瘍、例えば、白血病及びリンパ腫)を含んでもよく、又は固形腫瘍を含んでもよい。本発明のcaTCRエフェクター細胞で治療される癌の種類としては、限定されないが、癌腫、芽腫及び肉腫、及び特定の白血病又はリンパ系悪性腫瘍、良性及び悪性の腫瘍、及び悪性腫瘍、例えば、肉腫、癌腫及び黒色腫が挙げられる。成人腫瘍/癌及び小児腫瘍/癌もまた含まれる。
血液癌は、血液又は骨髄の癌である。血液学的(又は血液系)癌の例としては、急性白血病(急性リンパ性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病及び骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄球性、単球性及び赤血球性白血病など)、慢性白血病(慢性骨髄球性(顆粒球)白血病など)、慢性骨髄性白血病及び慢性リンパ性白血病)、真性多血症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(緩慢性及び高悪性度形態)、多発性骨髄腫、形質細胞腫、ワルデンストロムマクログロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群、有毛細胞白血病及び骨髄異形成症が挙げられる。
固形腫瘍は、通常、嚢胞又は液体領域を含まない、異常な組織の塊である。固形腫瘍は、良性であってもよく、又は悪性であってもよい。異なる種類の固形腫瘍は、それらを形成する細胞の種類について命名されている(例えば、肉腫、癌腫及びリンパ腫)。肉腫及び癌腫などの固形腫瘍の例としては、副腎皮質癌、胆管癌、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、及び他の肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、胃癌、リンパ腫悪性疾患、膵臓癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、甲状腺癌(例えば、髄甲状腺癌及び乳頭甲状腺癌)、褐色細胞腫、脂腺癌、乳頭癌、乳糖腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌(例えば、子宮頸癌及び子宮頸部異形成)、大腸直腸癌、肛門、肛門管又は肛門直腸の癌、膣癌、陰門癌(例えば、扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌及び線維肉腫)、陰茎癌、口腔咽頭癌、食道癌、頭部癌(例えば、扁平上皮癌)、頸部癌(例えば、扁平上皮癌)、精巣癌(例えば、精上皮腫、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛腫、肉腫、ライディッヒ細胞腫、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍及び脂肪腫)、膀胱癌、腎臓癌、黒色腫、子宮の癌(例えば、子宮内膜癌)、尿路上皮癌(例えば、扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌、尿管癌及び膀胱癌)、及びCNS腫瘍(例えば、神経膠腫(例えば、脳幹神経膠腫及び混合性神経膠腫)、膠芽細胞腫(多形性膠芽腫としても知られている)、星状細胞腫、CNSリンパ腫、胚細胞腫、髄芽腫、シュワンノーマ頭蓋骨髄腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫及び脳転移)が挙げられる。
癌治療は、例えば、腫瘍退縮、腫瘍の重量又は大きさの収縮、進行するまでの時間、生存期間、無増悪生存率、全奏効率、応答期間、生活の質、タンパク質発現及び/又は活性によって評価することができる。治療の効能を判定するための手法は、例えば、放射線イメージングによる応答の測定を含め、利用することができる。
他の実施形態におけるcaTCRエフェクター細胞は、病原体関連(ウイルスによってコードされる)抗原を標的とすることによって感染症を治療するのに有用であり得る。予防されるか、又は治療される感染症は、例えば、ウイルス、細菌、原虫又は寄生体によって引き起こされ得る。標的抗原は、病原体によって引き起こされる疾患に関与する病原性タンパク質、ポリペプチド、若しくはペプチドであってもよく、病原体に感染した宿主において免疫応答を誘導し得るものである。caTCRエフェクター細胞によって標的とすることができる病原性抗原としては、限定されないが、Acinetobacter baumannii、Anaplasma genus、Anaplasma phagocytophilum、Ancylostoma braziliense、Ancylostoma duodenale、Arcanobacterium haemolyticum、Ascaris lumbricoides、Aspergillus genus、Astroviridae、Babesia genus、Bacillus anthracis、Bacillus cereus、Bartonella henselae、BK virus、Blastocystis hominis、Blastomyces dermatitidis、Bordetella pertussis、Borrelia burgdorferi、Borrelia genus、Borrelia spp、Brucella genus、Brugia malayi、Bunyaviridaeファミリー、Burkholderia cepacia及び他のBurkholderia種、Burkholderia mallei、Burkholderia pseudomallei、Caliciviridaeファミリー、Campylobacter属、Candida albicans、Candida spp、Chlamydia trachomatis、Chlamydophila pneumoniae、Chlamydophila psittaci、CJDプリオン、Clonorchis sinensis、Clostridium botulinum、Clostridium difficile、Clostridium perfringens、Clostridium perfringens、Clostridium spp、Clostridium tetani、Coccidioides spp、coronaviruses、Corynebacterium diphtheriae、Coxiella burnetii、Crimean−Congo出血熱ウイルス、Cryptococcus neoformans、Cryptosporidium属、サイトメガロウイルス(CMV)、デングウイルス(DEN−1、DEN−2、DEN−3及びDEN−4)、Dientamoeba fragilis、エボラウイルス(EBOV)、Echinococcus属、Ehrlichia chaffeensis、Ehrlichia ewingii、Ehrlichia属、Entamoeba histolytica、Enterococcus属、エンテロウイルス属、エンテロウイルス、主に、Coxsackie Aウイルス及びエンテロウイルス71(EV71)、Epidermophyton spp、エプスタインバールウイルス(EBV)、Escherichia coli O157:H7、O111及びO104:H4、Fasciola hepatica及びFasciola gigantica、FFIプリオン、Filarioideaスーパーファミリー、フラビウイルス、Francisella tularensis、Fusobacterium属、Geotrichum candidum、Giardia intestinalis、Gnathostoma spp、GSSプリオン、Guanaritoウイルス、Haemophilus ducreyi、Haemophilus influenzae、Helicobacter pylori、ヘニパウイルス(Hendraウイルス、Nipahウイルス)、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、ヘルペス単純ウイルス1型及び2型(HSV−1及びHSV−2)、Histoplasma capsulatum、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、Hortaea werneckii、ヒトボカウイルス(HBoV)、ヒトヘルペスウイルス6(HHV−6)及びヒトヘルペスウイルス7(HHV−7)、ヒトメタニューもウイルス(hMPV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)、ヒトT細胞白血病ウイルス1(HTLV−1)、日本脳炎ウイルス、JCウイルス、Juninウイルス、カポジ肉腫に関連するヘルペスウイルス(KSHV)、Kingella kingae、Klebsiella granulomatis、Kuruプリオン、ラッサウイルス、Legionella pneumophila、Leishmania属、Leptospira属、Listeria monocytogenes、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、Machupoウイルス、Malassezia spp、Marburgウイルス、Measlesウイルス、Metagonimus yokagawai、Microsporidia phylum、伝染性軟属腫ウイルス(MCV)、Mumpsウイルス、Mycobacterium leprae及びMycobacterium lepromatosis、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium ulcerans、Mycoplasma pneumoniae、Naegleria fowleri、Necator americanus、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Nocardia asteroides、Nocardia spp、Onchocerca volvulus、Orientia tsutsugamushi、Orthomyxoviridaeファミリー(インフルエンザ)、Paracoccidioides brasiliensis、Paragonimus spp、Paragonimus westermani、Parvovirus B19、Pasteurella genus、Plasmodium属、Pneumocystis jirovecii、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、呼吸系発疹ウイルス(RSV)、ライノウイルス、ライノウイルス、Rickettsia akari、Rickettsia属、Rickettsia prowazekii、Rickettsia rickettsii、Rickettsia typhi、リフトバレー熱ウイルス、ロタウイルス、風疹ウイルス、サビアウイルス、Salmonella属、Sarcoptes scabiei、SARSコロナウイルス、Schistosoma属、Shigella属、Sin Nombreウイルス、ハンタウイルス、Sporothrix schenckii、Staphylococcus属、Staphylococcus属、Streptococcus agalactiae、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Strongyloides stercoralis、Taenia属、Taenia solium、ダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)、Toxocara canis又はToxocara cati、Toxoplasma gondii、Treponema pallidum、Trichinella spiralis、Trichomonas vaginalis、Trichophyton spp、Trichuris trichiura、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi、Ureaplasma urealyticum、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、Variola major又はVariola minor、vCJDプリオン、ベネズエラ馬脳炎ウイルス、Vibrio cholerae、西ナイルウイルス、西部馬脳脊髄炎ウイルス、Wuchereria bancrofti、黄熱ウイルス、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis及びYersinia pseudotuberculosisに由来する抗原が挙げられる。
いくつかの実施形態では、caTCRエフェクター細胞は、発癌ウイルスによる感染などの発癌性感染疾患を治療するために使用される。発癌ウイルスとしては、CMV、EBV、HBV、KSHV、HPV、MCV、HTLV−1、HIV−1及びHCVが挙げられるが、これらに限定されない。caTCRの標的抗原は、Tax、E7、E6/E7、E6、HBx、EBNAタンパク質(例えば、EBNA3 A、EBNA3 C及びEBNA 2)、v−サイクリン、LANA1、LANA2、LMP−1、k−bZIP、RTA、KSHV K8、及びこれらのフラグメントを含む、ウイルス由来の癌タンパク質であってもよい。Ahuja、Richaら、Curr.Sci.、2014を参照。
製造物品及びキット
本発明のいくつかの実施形態では、標的抗原陽性疾患、例えば、癌(例えば、副腎皮質癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管癌、大腸癌、食道癌、神経膠芽腫、神経膠腫、肝細胞癌、頭頸部癌、腎臓癌、肺癌、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、膵臓癌、褐色細胞腫、形質細胞腫、神経芽腫、卵巣癌、前立腺癌、肉腫、胃癌、子宮癌又は甲状腺癌)又はウイルス感染(例えば、CMV、EBV、HBV、KSHV、HPV、MCV、HTLV−1、HIV−1又はHCVによる感染)の治療に有用な物質を含む製造物品が提供される。製品は、容器と、この容器上にある又はこの容器に付随したラベル又は添付文書と、を含むことができる。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジなどが挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成されてもよい。一般に、容器は、本明細書に記載の疾患又は障害を処置するのに有効な組成物を保持するものであり、無菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈輸液バッグ又はバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、その表面上に本発明のcaTCRを提示するエフェクター細胞である。ラベル又は添付文書は、組成物が特定の状態を治療するために使用されることを示す。ラベル又は添付文書は、caTCRエフェクター細胞組成物を患者に投与するための指示書を更に含む。本明細書に記載の併用療法を含む製造物品及びキットも想定される。
添付文書は、治療用製品の商品パッケージに習慣的に含まれている、このような治療用製品の使用に関しての指示、使用法、用量、投与、禁忌及び/又は警告に関する情報を記載している説明書を参照する。いくつかの実施形態では、添付文書は、組成物が、標的抗原陽性癌(例えば、副腎皮質癌、膀胱癌、白血病、乳癌、子宮頸癌、胆管癌、大腸癌、食道癌、神経膠芽腫、神経膠腫、肝細胞癌、頭頸部癌、腎臓癌、肺癌、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、膵臓癌、褐色細胞腫、形質細胞腫、神経芽腫、卵巣癌、前立腺癌、肉腫、胃癌、子宮癌又は甲状腺癌)を治療するために使用されることを示す。他の実施形態では、添付文書は、組成物が標的抗原陽性ウイルス感染(例えば、CMV、EBV、HBV、KSHV、HPV、MCV、HTLV−1、HIV−1又はHCVによる感染)を治療するために使用されることを示す。
更に、製造物品は、医薬的に許容される緩衝剤、例えば、静菌注射用水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、Ringer液及びデキストロース液などを含む第2の容器を更に含んでいてもよい。これは、他の緩衝液、希釈液、濾過器、針、及び注射器を含めて、商業上及び利用者の立場からの他の好ましい材料を更に含んでよい。
例えば、本明細書に記載される標的抗原陽性疾患又は障害の治療のために、場合により、製造物品と組み合わせて、様々な目的で有用なキットも提供される。本発明のキットは、caTCRエフェクター細胞組成物(又は単位剤形及び/又は製造物品)を含む1つ以上の容器を含み、いくつかの実施形態では、別の薬剤(本明細書に記載の薬剤など)及び/又は本明細書に記載される方法のいずれかに従って使用するための指示書を更に含む。このキットは、処置に適している個体の選択についての説明を更に含んでよい。本発明のキットで提供される使用説明書は、典型的には、ラベル又は添付文書(例えば、キットに含まれる紙シート)に書かれた説明書であるが、機械読み出し可能な命令(例えば、磁気又は光学記憶ディスクで実行される命令)も許容される。
例えば、いくつかの実施形態では、キットは、その表面上にcaTCRを提示するエフェクター細胞を含む組成物を含む。いくつかの実施形態では、キットは、(a)その表面上にcaTCRを提示するエフェクター細胞を含む組成物と、(b)有効量の少なくとも1つの他の薬剤とを含み、他の薬剤は、MHCタンパク質の発現を増加させ、及び/又はMHCタンパク質によるペプチド(例えば、IFNγ、IFNβ、IFNα又はHsp90阻害剤)の表面提示を強化する。いくつかの実施形態では、キットは、(a)その表面上にcaTCRを提示するエフェクター細胞を含む組成物と、(b)標的抗原陽性疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療のためにcaTCRエフェクター細胞組成物を個体に投与するための使用説明書とを含む。いくつかの実施形態では、キットは、(a)その表面上にcaTCRを提示するエフェクター細胞を含む組成物と、(b)有効量の少なくとも1つの他の薬剤であって、MHCタンパク質の発現を増加させ、及び/又はMHCタンパク質によるペプチド(例えば、IFNγ、IFNβ、IFNα又はHsp90阻害剤)の表面提示を強化する、薬剤と、(c)標的抗原陽性疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療のためにcaTCRエフェクター細胞組成物と他の薬剤とを個体に投与するための使用説明書と、を含む。caTCRエフェクター細胞組成物及び他の薬剤は、別個の容器に存在してもよく、又は単一の容器内に存在してもよい。例えば、キットは、1つの別個の組成物又は2つ以上の組成物を含んでもよく、1つの組成物はcaTCRエフェクター細胞を含み、別の組成物は他の薬剤を含む。
いくつかの実施形態では、キットは、(a)caTCRを含む組成物と、(b)caTCRとエフェクター細胞(例えば、個体に由来する、T細胞又はナチュラルキラー細胞などのエフェクター細胞)とを合わせ、その表面上にcaTCRを提示するエフェクター細胞を含む組成物を生成し、標的抗原陽性疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療のためにcaTCRエフェクター細胞組成物を個体に投与するための使用説明書とを含む。いくつかの実施形態では、キットは、(a)caTCRを含む組成物と、(b)エフェクター細胞(細胞毒性細胞など)を含む。いくつかの実施形態では、キットは、(a)caTCRを含む組成物と、(b)エフェクター細胞(例えば、細胞毒性細胞)と、(c)caTCRとエフェクター細胞とを合わせ、その表面上にcaTCRを提示するエフェクター細胞を含む組成物を生成し、標的抗原陽性疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療のためにcaTCRエフェクター細胞組成物を個体に投与するための使用説明書とを含む。
いくつかの実施形態では、キットは、caTCRをコードする核酸(又は核酸のセット)を含む。いくつかの実施形態では、キットは、(a)caTCRをコードする核酸(又は核酸のセット)と、(b)核酸(又は核酸のセット)を発現するための宿主細胞(例えば、エフェクター細胞)とを含む。いくつかの実施形態では、キットは、(a)caTCRをコードする核酸(又は核酸のセット)と、(b)(i)宿主細胞(例えば、エフェクター細胞、例えば、T細胞)でcaTCRを発現し、(ii)caTCRを発現する宿主細胞を含む組成物を調製し、(iii)標的抗原陽性疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療のためにcaTCRを発現する宿主細胞を含む組成物を個体に投与するための使用説明書とを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、個体に由来する。いくつかの実施形態では、キットは、(a)caTCRをコードする核酸(又は核酸のセット)と、(b)核酸(又は核酸のセット)を発現するための宿主細胞(例えば、エフェクター細胞)と、(c)(i)宿主細胞でcaTCRを発現し、(ii)caTCRを発現する宿主細胞を含む組成物を調製し、(iii)標的抗原陽性疾患(例えば、癌又はウイルス感染)の治療のためにcaTCRを発現する宿主細胞を含む組成物を個体に投与するための使用説明書とを含む。
本発明のキットは、好適なパッケージに入っている。好適なパッケージには、バイアル、ボトル、ジャー、可撓性パッケージ(例えば、密閉マイラー又はプラスチック袋)などが挙げられるが、これらに限定されない。キットは、任意追加的に、緩衝剤及び解釈的情報など追加の構成要素を提供してよい。したがって、本願はまた、バイアル(密閉バイアルなど)、ボトル、ジャー、可撓性パッケージなどを含む製品を提供する。
caTCRエフェクター細胞組成物の使用に関する使用説明書は、意図する治療向けの用量、投与スケジュール及び投与経路に関する情報を概ね含む。容器は、単位用量、大量容器(例えば、多用量パッケージ)又は分割単位用量(sub-unit doses)であってよい。例えば、長期間(例えば、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間のいずれか、又はもっと長く)にわたって個体に有効な治療を与えるのに十分な用量の本明細書に記載のcaTCRエフェクター細胞組成物を含むキットが提供されてもよい。キットはまた、複数単位用量のcaTCRと医薬組成物と、使用のための指示書とを含んでいてもよく、例えば、院内薬局及び調剤薬局など薬局での保管及び使用に十分な量で包装されてもよい。
当業者は、本発明の範囲及び趣旨内でいくつかの実施形態が可能であることを理解するであろう。次に、以下の非限定的な実施例を参照して、本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を更に説明するが、当然のことながら、決してその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
例示的な実施形態
実施形態1.キメラ抗体T細胞受容体(TCR)構築物(caTCR)であって、標的抗原に特異的に結合する抗原結合モジュールと、第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)と第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)とを含み、TCR−TMのうち少なくとも1つが、天然に存在せず、TCRMが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進し、抗原結合モジュールが、天然に存在するT細胞受容体抗原結合部分ではない、caTCR。
実施形態2.TCR−TMが両方とも、天然に存在しないものである、実施形態1に記載のcaTCR。
実施形態3.第1のTCR−TMが、第1の天然に存在するT細胞受容体の膜貫通ドメインの1つに由来し、第2のTCR−TMが、第1の天然に存在するT細胞受容体の他の膜貫通ドメインに由来する、実施形態1又は2に記載のcaTCR。
実施形態4.TCRMが、第1の天然に存在するT細胞受容体の膜貫通ドメインを含むTCRMと比較して、少なくとも1つのTCR関連シグナ伝達分子の動員を強化することを可能にする、実施形態3に記載のcaTCR。
実施形態5.第1のTCR−TMが、その由来となる膜貫通ドメインと比較して5個までのアミノ酸置換を含み、及び/又は第2のTCR−TMが、その由来となる膜貫通ドメインと比較して5個までのアミノ酸置換を含む、実施形態3又は4に記載のcaTCR。
実施形態6.第1のTCR−TMが、1個のアミノ酸置換を含み、及び/又は第2のTCR−TMが、1個のアミノ酸置換を含む、実施形態5に記載のcaTCR。
実施形態7.第1のTCR−TM中の置換アミノ酸が、第2のTCR−TM中の置換アミノ酸に対して近位である、実施形態5又は6に記載のcaTCR。
実施形態8.1つ以上の置換アミノ酸が、CD3に対する結合に関与する第1のTCR−TM中又は第2のTCR−TM中のアミノ酸に対して近位である、実施形態5〜7のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態9.1つ以上の置換アミノ酸が、それらの対応する非置換アミノ酸よりも疎水性である、実施形態5〜8のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態10.置換アミノ酸はそれぞれ、それらの対応する非置換アミノ酸よりも疎水性である、実施形態9に記載のcaTCR。
実施形態11.第1のTCR−TMが、配列番号7及び9〜13のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、第2のTCR−TMが、配列番号8及び14〜26のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載のcaTCR。
実施形態12.実施形態1に記載のcaTCRであって、第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMが、(a)それぞれ、配列番号9及び8、(b)それぞれ、配列番号7及び14、(c)それぞれ、配列番号7及び15、(d)それぞれ、配列番号7及び16、(e)それぞれ、配列番号10及び16、(f)それぞれ、配列番号7及び17、(g)それぞれ、配列番号7及び18、(h)それぞれ、配列番号7及び19、(i)それぞれ、配列番号7及び20、(j)それぞれ、配列番号7及び21、(k)それぞれ、配列番号7及び22、(l)それぞれ、配列番号11及び23、(m)それぞれ、配列番号12及び24、(n)それぞれ、配列番号7及び25、(o)それぞれ、配列番号13及び26のアミノ酸配列を含む、caTCR。
実施形態13.caTCRが、第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインが、caTCRを安定化する互いに対する結合親和性を有する、実施形態1〜12のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態14.安定化モジュールが、CH1−CLモジュール、CH2−CH2モジュール、CH3−CH3モジュール及びCH4−CH4モジュールからなる群から選択される、実施形態13に記載のcaTCR。
実施形態15.第1の安定化ドメインと第2の安定化ドメインとの間に共有結合が存在する、実施形態13又は14に記載のcaTCR。
実施形態16.共有結合がジスルフィド結合である、実施形態15に記載のcaTCR。
実施形態17.安定化モジュールが、抗原結合モジュールとTCRMとの間に位置している、実施形態13〜16のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態18.caTCRが、抗原結合モジュールとTCRMとの間にスペーサーモジュールを更に含み、スペーサーモジュールが、TCRMに対して抗原結合モジュールを接続する1つ以上のペプチドリンカーを含む、実施形態1〜17のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態19.ペプチドリンカーが、約5〜約50アミノ酸長である、実施形態18に記載のcaTCR。
実施形態20.抗原結合モジュールが、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv及び単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される抗体部分である、実施形態1〜19のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態21.caTCRが、2つ以上の抗原結合モジュールを含む、実施形態1〜20のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態22.caTCRが多重特異性である、実施形態21に記載のcaTCR。
実施形態23.抗原結合モジュールが、TCRDの少なくとも1つに結合する少なくとも1つのscFvを含む、実施形態1〜22のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態24.抗原結合モジュールが、TCRDの1つに結合するVHドメインと、他のTCRDに結合するVLドメインとを含む、実施形態1〜23のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態25.caTCRが、第1のTCRDを含む第1のポリペプチド鎖と、第2のTCRDを含む第2のポリペプチド鎖とを含む、ヘテロダイマーである、実施形態1〜24のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態26.標的抗原が、細胞表面抗原である、実施形態1〜25のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態27.細胞表面抗原が、タンパク質、炭水化物及び脂質からなる群から選択される、実施形態26に記載のcaTCR。
実施形態28.細胞表面抗原が、CD19、CD20、CD22、CD47、GPC−3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D及びFCRL5からなる群から選択される、実施形態26に記載のcaTCR。
実施形態29.標的抗原が、ペプチドと主要組織適合抗原複合体(MHC)タンパク質とを含む複合体である、実施形態1〜25のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態30.ペプチドが、WT−1、AFP、HPV16−E7、NY−ESO−1、PRAME、EBV−LMP2A、HIV−1、KRAS、Histone H3.3及びPSAからなる群から選択されるタンパク質に由来する、実施形態29に記載のcaTCR。
実施形態31.caTCRが、約0.1pM〜約500nMの平衡解離定数(Kd)で標的抗原に結合する、実施形態1〜30のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態32.caTCRであって、(a)第1の標的抗原に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと第2の標的抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む多重特異性抗原結合モジュールと、(b)第1のTCR−TMを含む第1のTCRD(TCRD1)と第2のTCR−TMを含む第2のTCRD(TCRD2)を含むTCRMとを含み、TCRMが、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進する、caTCR。
実施形態33.第1の抗原結合ドメインが、第1の重鎖可変ドメイン(VH1)と第1の軽鎖可変ドメイン(VL1)を含むFvであり、第2の抗原結合ドメインが、重鎖定常ドメイン1(CH1)に融合した第2のVH(VH2)と、軽鎖定常ドメイン(CL)に融合した第2のVL(VL2)とを含むFabである、実施形態32に記載のcaTCR。
実施形態34.実施形態33に記載のcaTCRであって、(i)N末端からC末端まで、VH1−L1−VH2−CH1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VL1−L2−VL2−CL−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖;(ii)N末端からC末端まで、VH1−L1−VL2−CL−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VL1−L2−VH2−CH1−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖;(iii)N末端からC末端まで、VL1−L1−VH2−CH1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VH1−L2−VL2−CL−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖;又は(iv)N末端からC末端まで、VL1−L1−VL2−CL−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VH1−L2−VH2−CH1−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖を含み、L1及びL2がペプチドリンカーである、caTCR。
実施形態35.第1の抗原結合ドメインが、VH1とVL1を含む第1のFvであり、第2の抗原結合ドメインが、VH2とVL2を含む第2のFvであり、caTCRが、CH1とCLを更に含む、実施形態32に記載のcaTCR。
実施形態36.実施形態35に記載のcaTCRであって、(i)N末端からC末端まで、VH1−L1−VH2−CH1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VL2−L2−VL1−CL−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖;又は(ii)N末端からC末端まで、VL1−L1−VL2−CL−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VH2−L2−VH1−CH1−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖を含み、L1及びL2がペプチドリンカーである、caTCR。
実施形態37.第1の抗原結合ドメインが第1のscFv(scFv1)であり、第2の抗原結合ドメインが第2のscFv(scFv2)であり、caTCRが、CH1とCLを更に含む、実施形態32に記載のcaTCR。
実施形態38.実施形態37に記載のcaTCRであって、(i)N末端からC末端まで、scFv1−L1−CH1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、scFv2−L2−CL−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖;又は(ii)N末端からC末端まで、scFv2−L1−CH1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、scFv1−L2−CL−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖を含み、L1及びL2がペプチドリンカーである、caTCR。
実施形態39.第1の抗原結合ドメインがscFvであり、第2の抗原結合ドメインが、CH1に融合したVHとCLに融合したVLとを含むFabである、実施形態32に記載のcaTCR。
実施形態40.実施形態39に記載のcaTCRであって、(i)N末端からC末端まで、scFv−L1−VH−CH1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VL−CL−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖;又は(ii)N末端からC末端まで、VH−CH1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、scFv−L2−VL−CL−TCRD2を含む第2のポリペプチド鎖を含み、L1及びL2がペプチドリンカーである、caTCR。
実施形態41.実施形態39に記載のcaTCRであって、(i)N末端からC末端まで、VL−CL−L1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VH−CH1を含む第2のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、scFv−L2−TCRD2を含む第3のポリペプチド鎖;(ii)N末端からC末端まで、VH−CH1−L1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VL−CLを含む第2のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、scFv−L2−TCRD2を含む第3のポリペプチド鎖;(iii)N末端からC末端まで、scFv−L1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VH−CH1を含む第2のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VL−CL−L2−TCRD2を含む第3のポリペプチド鎖;又は(iv)N末端からC末端まで、scFv−L1−TCRD1を含む第1のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VL−CLを含む第2のポリペプチド鎖と、N末端からC末端まで、VH−CH1−L2−TCRD2を含む第3のポリペプチド鎖を含み、L1及びL2がペプチドリンカーである、caTCR。
実施形態42.L1及び/又はL2が、約5〜約50アミノ酸長である、実施形態34、36、38、40又は41に記載のcaTCR。
実施形態43.L1及び/又はL2が、配列番号82〜85のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、実施形態42に記載のcaTCR。
実施形態44.第1の標的抗原が、第1の細胞表面抗原であり、第2の標的抗原が、第2の細胞表面抗原である、実施形態32〜43のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態45.第1の標的抗原がCD19であり、第2の標的抗原がCD22であるか、又は第1の標的抗原がCD22であり、第2の標的抗原がCD19である、実施形態44に記載のcaTCR。
実施形態46.第1の標的抗原がCD19であり、第2の標的抗原がCD20であるか、又は第1の標的抗原がCD20であり、第2の標的抗原がCD19である、実施形態44に記載のcaTCR。
実施形態47.CD22に特異的に結合する抗原結合ドメインが、配列番号65のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR1、HC−CDR2及びHC−CDR3を含むVHと、配列番号69のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDR1、LC−CDR2及びLC−CDR3を含むVLとを含む、実施形態45又は46に記載のcaTCR。
実施形態48.CD22に特異的に結合する抗原結合ドメインが、配列番号65のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号69のアミノ酸配列を含むVLとを含む、実施形態47に記載のcaTCR。
実施形態49.CD19に特異的に結合する抗原結合ドメインが、配列番号74のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR1、HC−CDR2及びHC−CDR3を含むVHと、配列番号78のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDR1、LC−CDR2及びLC−CDR3を含むVLとを含む、実施形態45〜48のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態50.CD19に特異的に結合する抗原結合ドメインが、配列番号74のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号78のアミノ酸配列を含むVLとを含む、実施形態49に記載のcaTCR。
実施形態51.第1のTCR−TM及び第2のTCR−TMが、両方とも天然に存在するものである、実施形態32〜50のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態52.TCR−TMのうち少なくとも1つが、天然に存在しないものである、実施形態32〜50のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態53.多重特異性抗原結合モジュールが二重特異性である、実施形態32〜52のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態54.第1のTCRDが、TCRサブユニットの第1の接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む、実施形態1〜53のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態55.第2のTCRDが、TCRサブユニットの第2の接続ペプチド又はそのフラグメントを更に含む、実施形態1〜54のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態56.TCRMが、第1の接続ペプチド中の残基と第2の接続ペプチド中の残基との間にジスルフィド結合を含む、実施形態55に記載のcaTCR。
実施形態57.第1のTCRDが、TCR細胞内配列を含む第1のTCR細胞内ドメインを更に含む、実施形態1〜56のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態58.第2のTCRDが、TCR細胞内配列を含む第2のTCR細胞内ドメインを更に含む、実施形態1〜57のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態59.caTCRが、共刺激細胞内シグナル伝達配列を含む第1のアクセサリー細胞内ドメインを更に含む、実施形態1〜58のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態60.TCR関連シグナル伝達分子が、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される、実施形態1〜59のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態61.第1の天然に存在するT細胞受容体が、γ/δ T細胞受容体である、実施形態3〜60のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態62.第1の天然に存在するT細胞受容体が、α/β T細胞受容体である、実施形態3〜60のいずれか1つに記載のcaTCR。
実施形態63.実施形態1〜62のいずれか1つに記載のcaTCRをコードする、1つ以上の核酸。
実施形態64.caTCRが、同じ核酸分子上にコードされる、実施形態63に記載の1つ以上の核酸。
実施形態65.実施形態63又は64に記載の1つ以上の核酸を含む、1つ以上のベクター。
実施形態66.1つ以上の核酸を含む単一のベクターを含む、実施形態65に記載の1つ以上のベクター。
実施形態67.実施形態63又は64に記載の1つ以上の核酸、又は実施形態65又は66に記載の1つ以上のベクターを含む、組成物。
実施形態68.実施形態1〜62のいずれか1つに記載のcaTCRと、CD3δε、CD3γε及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子とを含む、複合体。
実施形態69.複合体が、caTCRと、CD3δε、CD3γε及びζζとを含む八量体である、実施形態68に記載の複合体。
実施形態70.実施形態1〜62のいずれか1つに記載のcaTCR又は実施形態68又は69に記載の複合体をその表面上に提示するエフェクター細胞。
実施形態71.実施形態63又は64に記載の1つ以上の核酸、又は実施形態65又は66に記載の1つ以上のベクターを含み、エフェクター細胞がcaTCRを発現する、エフェクター細胞。
実施形態72.エフェクター細胞が、第1及び/又は第2のTCRDと対を形成することが可能な内在性T細胞受容体サブユニットを発現しない、実施形態70又は71に記載のエフェクター細胞。
実施形態73.エフェクター細胞が、第1及び/又は第2のTCRDと対を形成することが可能な内在性T細胞受容体サブユニットを天然には発現しない、実施形態72に記載のエフェクター細胞。
実施形態74.エフェクター細胞が、第1の内在性TCRサブユニット及び/又は第2の内在性TCRサブユニットの発現を遮断するか、又は減少させるように改変されている、実施形態72に記載のエフェクター細胞。
実施形態75.エフェクター細胞がCD3+細胞である、実施形態70〜74のいずれか1つに記載のエフェクター細胞。
実施形態76.CD3+細胞が、細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される、実施形態75に記載のエフェクター細胞。
実施形態77.caTCRがヘテロ二量体であり、(a)第1のプロモーターの制御下で、caTCRの第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸配列を含む第1のベクターと、(b)第2のプロモーターの制御下で、caTCRの第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸配列を含む第2のベクターとを含む、実施形態70〜76のいずれか1つに記載のエフェクター細胞。
実施形態78.caTCRがヘテロ二量体であり、(a)第1のプロモーターの制御下で、caTCRの第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸配列と、(b)第2のプロモーターの制御下で、caTCRの第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸配列とを含む、ベクターを含む、実施形態70〜76のいずれか1つに記載のエフェクター細胞。
実施形態79.caTCRがヘテロ二量体であり、(a)caTCRの第1のポリペプチド鎖をコードする第1の核酸配列とcaTCRの第2のポリペプチド鎖をコードする第2の核酸配列を含むベクターを含み、第1の核酸配列と第2の核酸配列が、単一のプロモーターの制御下にある、実施形態70〜76のいずれか1つに記載のエフェクター細胞。
実施形態80.caTCRの第1のポリペプチド鎖の発現が、caTCRの第2のポリペプチド鎖の発現の2倍より多い、実施形態70〜78のいずれか1つに記載のエフェクター細胞。
実施形態81.標的抗原を提示する標的細胞を死滅させる方法であって、標的細胞と、実施形態70〜80のいずれか1つに記載のエフェクター細胞とを接触させることを含み、caTCRが、標的抗原に特異的に結合する、方法。
実施形態82.接触させることが、in vivoでの接触である、実施形態81に記載の方法。
実施形態83.接触させることが、in vitroでの接触である、実施形態81に記載の方法。
実施形態84.医薬組成物であって、(a)実施形態1〜62のいずれか1つに記載のcaTCR、実施形態63又は64に記載の1つ以上の核酸、又は実施形態65又は66に記載の1つ以上のベクター、又は実施形態70〜80のいずれか1つに記載のエフェクター細胞と、(b)医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
実施形態85.標的抗原関連疾患の治療を必要とする個体において当該疾患を治療する方法であって、有効量の実施形態84に記載の組成物を個体に投与することを含む、方法。
実施形態86.標的抗原関連疾患が癌である、実施形態85に記載の方法。
実施形態87.癌が、副腎皮質癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管癌、大腸癌、食道癌、神経膠芽腫、神経膠腫、肝細胞癌、頭頸部癌、腎臓癌、白血病、肺癌、リンパ腫、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、膵臓癌、褐色細胞腫、形質細胞腫、神経芽腫、卵巣癌、前立腺癌、肉腫、胃癌、子宮癌及び甲状腺癌からなる群から選択される、実施形態86に記載の方法。
実施形態88.標的抗原関連疾患がウイルス感染である、実施形態85に記載の方法。
実施形態89.ウイルス感染が、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタインバールウイルス(EBV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、伝染性軟属腫ウイルス(MCV)、ヒトT細胞白血病ウイルス1(HTLV−1)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)及びC型肝炎ウイルス(HCV)からなる群から選択されるウイルスによって引き起こされる、実施形態88に記載の方法。
実施形態90.実施形態70〜80のいずれか1つに記載のエフェクター細胞のための不均一な細胞集団を濃縮する方法であって、(a)不均一な細胞集団と、標的抗原又はその中に含まれる1つ以上のエピトープを含むリガンドとを接触させ、リガンドに結合したエフェクター細胞の複合体を形成することと、(b)この複合体を、不均一な細胞集団から分離し、それによって、エフェクター細胞が濃縮された細胞集団を生成することとを含む、方法。
実施形態91.実施形態1〜62のいずれか1つに記載の複数のcaTCRをコードする配列を含む、核酸ライブラリー。
実施形態92.標的抗原に対して高い親和性を有するcaTCRについて、実施形態91に記載のライブラリーをスクリーニングする方法であって、(a)核酸ライブラリーを複数の細胞に導入し、その結果、caTCRが複数の細胞の表面で発現することと、(b)複数の細胞を、標的抗原又はその中に含まれる1つ以上のエピトープを含むリガンドと共にインキュベートすることと、(c)リガンドに結合した細胞を集めることと、(d)工程(c)で集めた細胞から、caTCRをコードする配列を単離し、それによって、標的抗原に特異的なcaTCRを同定することとを含む、方法が提供される。
材料及び方法
細胞サンプル、細胞株及び抗体
細胞株HepG2(ATCC HB−8065;HLA−A2+、AFP+)、SK−HEP−1(ATCC HTB−52;HLA−A2+、AFP−)、Raji(ATCC CCL−86;CD19+)、CA46(ATCC CRL−1648;CD19+)、Jurkat(ATCC CRL−2899、CD19−)、J.RT3−T3.5(ATCC TIB−153)、Jeko−1(ATCC CRL−3006;CD19+)、K562(ATCC CC−243、CD19−)、THP−1(ATCC TIB−202、CD19−)、Daudi(ATCC CCL−213;CD19+)、HeLa(ATCC CCL−2)、MDA−MB−231(ATCC HTB−26)及びMCF−7(ATCC HTB−22)を、American Type Culture Collectionから得た。Jurkatは、T細胞白血病由来のヒトTリンパ球細胞株である。J.RT3−T3.5は、T細胞受容体β鎖を欠く、Jurkat細胞由来の突然変異株である。Rajiは、CD19を発現するバーキットリンパ腫細胞株である。Raji−CD19ノックアウト(Raji−CD19KO)株を、CRISPR技術によって作成した。Raji細胞中のCD19を標的とするために、3種類のガイド配列を設計した。CRISPR−Cas9ベクターをOrigeneから購入し、各ガイドを、pCas−Guideベクターに別々にクローニングした。エレクトロポレーションの3日後、各ガイドによるノックアウト効率をフローサイトメトリーによって評価し、限界希釈によって、クローン選択のために最良のCD19ノックアウトプールを選択した。選択されたクローンを、配列決定によって完全なCD19ノックアウトであると確認した。別のコントロール細胞株SK−HEP−1−AFP−MGは、AFPペプチドAFP158を発現するミニ遺伝子カセットを用いてSK−HEP−1細胞株に形質導入することによって生成され、AFP158/HLA−A*02:01複合体の高レベルの細胞表面発現をもたらす。K562は、慢性骨髄性白血病(CML)細胞株である。K562−CD22は、CD22を発現するベクターを用い、K562細胞株に形質導入することによって生成した。K562−CD19は、CD19を発現するベクターを用い、K562細胞株に形質導入することによって生成した。K562−CD19/CD22は、CD19を発現するベクター及びCD22を発現するベクターを用い、K562細胞株に形質導入することによって生成した。全ての細胞株を、37℃/5%CO2で、10%FBS及び2mMグルタミンを添加したRPMI 1640又はDMEM中で培養した。
FITC又はAPC標識したヒトHLA A02(クローンBB7.2)に対するモノクローナルAb、FITC又はAPC標識したそのアイソタイプコントロールマウスIgG2b、ヒト又はマウスCD3に対する抗体、ヒトT細胞受容体の種々のサブユニット、3×Flagタグ、HAタグ、FITC又はAPCに標識したヤギF(ab)2抗ヒトIgG、蛍光標識したヤギF(ab’)2抗マウスIg(Invitrogen)を購入した。AFP158/HLA−A*02:01に特異的な抗体に対する抗イディオタイプ抗体を開発し、Eureka Therapeuticsにおいて、社内で製造した。フローサイトメトリーデータをBD FACSCanto IIを使用して集め、FlowJoソフトウェアパッケージを使用して分析した。
全てのペプチドを購入し、Elim Biopharmaにより合成した。ペプチドは、90%超の純度であった。ペプチドをDMSOに溶解するか、又は食塩水で10mg/mLになるまで希釈し、−80℃で凍結させた。ビオチン化単鎖AFP158/HLA−A*02:01及びコントロールペプチド/HLA−A*02:01複合体単量体を、組換えHLA−A*02:01及びβ−2ミクログロブリン(β2M)を用いてペプチドを再折り畳みすることにより生成した。単量体は、BirA酵素によるHLA−A*02:01細胞外ドメイン(ECD)のC末端に接続するBSPペプチドを介してビオチン化した。蛍光標識ストレプトアビジンをビオチン化ペプチド/HLA−A*02:01複合体単量体と混合して、蛍光標識されたペプチド/HLA−A*02:01四量体を形成した。
ヒトCD19に特異的又はAFP158/HLA−A*02:01に特異的なCAR又はcaTCRを含有するレンチウイルスを、例えば、キメラ構築物をコードするベクターを用いた293T細胞のトランスフェクションによって作製した。初代ヒトT細胞を、100U/mLのインターロイキン−2(IL−2)の存在下で、CD3/CD28ビーズ(DYNABEADS(登録商標)、Invitrogen)による1日間の刺激後に形質導入に使用した。濃縮レンチウイルスを、レトロネクチン(Takara)コーティングされた6ウェルプレート中のT細胞に96時間適用した。抗AFP及び抗CD19キメラ構築物の形質導入効率を、それぞれPE標識したストレプトアビジン又は抗myc抗体を含むビオチン化AFP158/HLA−A*02:01四量体(「AFP158四量体」)を使用して、フローサイトメトリーによって評価した。フローサイトメトリーによる反復分析を、5日目と、その後に3〜4日おきに行った。
細胞株には、caTCR構築物の2つのサブユニットをコードする1つ又は2つのベクターのいずれかを用いて形質導入した。形質導入から5日後に、抗HA(抗HAタグ抗体−ChIPグレード、Abcam)又は抗Flag抗体(ウサギで作られた抗Flag抗体、Sigma)を使用し、ウェスタンブロットのために細胞溶解物を生成した。
腫瘍細胞毒性を、Cytox 96非放射性LDH細胞毒性アッセイ(Promega)によりアッセイした。CD3+T細胞は、CD14、CD16、CD19、CD20、CD36、CD56、CD66b、CD123、グリコホリンAを発現する細胞を負に枯渇させるEasySep Human T Cell Isolation Kit(StemCell Technologies)を使用し、PBMCを濃縮した全血から調製した。ヒトT細胞を活性化し、例えば、製造元のプロトコルに従ってCD3/CD28 Dynabeads(Invitrogen)で増殖させた。活性化T細胞(ATC)を培養し、10%FBS+100U/mL IL−2を添加したRPMI1640培地で維持し、7〜14日目に使用した。活性化T細胞(エフェクター細胞)及び標的細胞を、様々なエフェクターと標的の比率(例えば、2:1、2.5:1又は5:1)で16時間共培養し、細胞毒性についてアッセイした。
実施例1.キメラ抗体−T細胞受容体(caTCR)の設計
様々なキメラ抗体−T細胞受容体(caTCR)の設計が想定され、6種類の異なる例が図1に示される(caTCR−1、caTCR−2、caTCR−3、caTCR−4、caTCR−5及びcaTCR−6)。これらの設計では、様々な抗体部分(Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv又はscFv)は、可変ドメイン及び定常ドメインを欠くT細胞受容体α/β鎖又はγ/δ鎖のアミノ末端に融合され、それらの接続ペプチドの全て又は一部(定常ドメインの後の領域)、それらの膜貫通ドメイン又はその変異体、及び任意の細胞内ドメインを含み、T細胞の表面上で発現され得るcaTCRヘテロ二量体を形成する。ネイティブなTCRでは、Vα/Vβ又はVδ/Vγドメインは、TCRの抗原結合ドメインを形成する。本願発明者らの設計は、Vα−Cα/Vβ−Cβ領域又はVδ−Cδ/Vγ−Cγ領域を種々の抗体部分と置き換え、少なくとも1つのTCR膜貫通ドメイン多様体を導入し、それにより、抗体の結合特異性を構築物に付与し、CD3δε、CD3γε及びCD3ζζなどのTCR複合体において、天然に存在するTCR膜貫通ドメインのみを有するTCR又は関連する構築物と比較して、アクセサリー分子を動員する構築物の能力が向上する。caTCR構築物は、以下のように命名された。caTCR[設計番号]−[多様体の位置][番号]。設計番号1は、Fab抗体部分を有するcaTCRに対応し、設計番号2は、Fab’抗体部分を有するcaTCRに対応し、設計番号3は、(Fab’)2抗体部分を有するcaTCRに対応し、設計番号4は、Fv抗体部分を有するcaTCRに対応し、設計番号5は、単一のscFv抗体部分を有するcaTCRに対応し、設計番号6は、2つのscFv抗体部分を有するcaTCRに対応する(図1参照)。多様体の位置がなく、0番(例えば、caTCR−1−0)は、天然に存在するTCRドメインを有する構築物に対応し、1以上の番号は、多様体の位置に特定の多様体を有するcaTCRに対応する(例えば、caTCR−1−TM1は、1つの膜貫通ドメイン多様体に対応し、caTCR−1−EC1は、1つの細胞外ドメイン多様体に対応する。表2を参照のこと)。
caTCR−1(IgVH−IgCH1−TCRδ/IgVL−IgCL−TCRγ)の設計では、抗体重鎖の可変ドメイン及び第1定常ドメイン(IgVH−IgCH1)が、TCRδ鎖のアミノ末端部分を、Vδ−Cδ領域の後のTCRδ鎖の細胞外ドメイン中の接続ペプチドの境界の位置、又はその中にある位置まで、置き換え、場合により、TCRδ鎖の膜貫通ドメインが、例えば、1つ以上のアミノ酸の置換によって改変されている。対応する抗体軽鎖の可変ドメイン及び定常ドメイン(IgVL−IgCL)は、TCRγ鎖のアミノ末端部分を、Vγ−Cγ領域の後のTCRγ鎖の細胞外ドメイン中の接続ペプチドの境界の位置、又はその中にある位置まで、置き換え、場合により、TCRγ鎖の膜貫通ドメインが、例えば、1つ以上のアミノ酸の置換によって改変されている。
caTCR−1の一実施形態では、1つの鎖は、膜貫通ドメインとTCRγ鎖の接続ペプチドの全て又は一部とを含むTCRδ鎖のカルボキシ末端部分に融合した、抗AFP158/HLA−A*02:01抗体(配列番号52)のIgVHドメイン(配列番号37)を含み、他の鎖は、膜貫通ドメインとTCRγ鎖の接続ペプチドの全て又は一部とを含むTCRγ鎖のカルボキシ末端部分に融合した、IgCLドメイン(配列番号48)に融合した抗AFP158/HLA−A*02:01抗体(配列番号53)のIgVLドメインを含み、TCRドメインの少なくとも1つ(例えば、TCR膜貫通ドメイン)は、1つ以上のアミノ酸置換を含む天然に存在しない多様体である。いくつかの実施形態では、TCRδ鎖のカルボキシ末端部分は、配列番号31又は32のアミノ酸配列を有する接続ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、TCRδ鎖のカルボキシ末端部分は、配列番号7及び9〜13のいずれか1つのアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、TCRγ鎖のカルボキシ末端部分は、配列番号33又は34のアミノ酸配列を有する接続ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、TCRγ鎖のカルボキシ末端部分は、配列番号8及び14〜26のいずれか1つのアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインを含む。
caTCR−2(IgVH−IgCH1−ヒンジ−TCRδ/IgVL−IgCL−リンカー−TCRγ)の設計では、抗体重鎖の可変ドメイン、第1定常ドメイン及びヒンジ(IgVH−IgCH1−ヒンジ)が、TCRδ鎖のアミノ末端部分を、Vδ−Cδ領域の後のTCRδ鎖の細胞外ドメイン中の接続ペプチドの境界の位置、又はその中にある位置まで、置き換え、場合により、TCRδ鎖の膜貫通ドメインは、1つ以上のアミノ酸の置換によって改変される。リンカーに融合した、対応する抗体軽鎖の可変ドメイン及び定常ドメイン(IgVL−IgCL−リンカー)は、TCRγ鎖のアミノ末端部分を、TCRγ鎖の細胞外ドメイン内の接続ペプチドの境界の位置、又はその中にある位置まで、置き換え、場合により、TCRγ鎖の膜貫通ドメインは、例えば、1つ以上のアミノ酸の置換によって改変される。
caTCR−3(IgVH−IgCH1−ヒンジ−TCRδ/IgVH−IgCH1−ヒンジ−TCRγ+IgVL−IgCL)の設計において、抗体重鎖の可変ドメイン、第1定常ドメイン、ヒンジ(IgVH−IgCH1)が、TCRδ鎖のアミノ末端部分を、Vδ−Cδ領域の後のTCRδ鎖の細胞外ドメイン中の接続ペプチドの境界の位置、又はその中にある位置まで、置き換え、場合により、TCRδ鎖の膜貫通ドメインが、例えば、1つ以上のアミノ酸の置換によって改変されている。抗体重鎖の可変ドメイン、第1の定常ドメイン及びヒンジ(IgVH−IgCH1−ヒンジ)は、TCRγ鎖のアミノ末端部分を、Vγ−Cγ領域の後のTCRγ鎖の細胞外ドメイン中の接続ペプチドの境界の位置、又はその中にある位置まで、置き換え、場合により、TCRγ鎖の膜貫通ドメインが、例えば、1つ以上のアミノ酸の置換によって改変されている。対応する抗体軽鎖の可変ドメイン及び定常ドメイン(IgVL−IgCL)は、IgVH−IgCH1ドメインと関連がある。
caTCR−4(IgVH−TCRδ/IgVL−TCRγ)の設計では、抗体重鎖の可変ドメイン(IgVH)が、TCRδ鎖のアミノ末端部分を、Vδ−Cδ領域の後のTCRδ鎖の細胞外ドメイン中の接続ペプチドの境界の位置、又はその中にある位置まで、置き換え、場合により、TCRδ鎖の膜貫通ドメインが、例えば、1つ以上のアミノ酸の置換によって改変されている。対応する抗体軽鎖の可変ドメイン(IgVL)は、TCRγ鎖のアミノ末端部分を、Vγ−Cγ領域の後のTCRγ鎖の細胞外ドメイン中の接続ペプチドの境界の位置、又はその中にある位置まで、置き換え、場合により、TCRγ鎖の膜貫通ドメインが、例えば、1つ以上のアミノ酸の置換によって改変されている。
caTCR−5(IgVH−IgVL−TCRδ/TCRγ)の設計では、対応する抗体軽鎖の可変ドメインに融合した抗体重鎖の可変ドメイン(IgVH−IgVL又はIgVL−IgVH)は、Vδ−Cδ領域の後に、TCRδ鎖のアミノ末端部分を、TCRδ鎖の細胞外ドメイン中の接続ペプチドの境界の位置、又はその中にある位置まで、置き換え、場合により、TCRδ鎖の膜貫通ドメインが、例えば、1つ以上のアミノ酸の置換によって改変されている。Vγ−Cγ領域の後に、TCRγ鎖の細胞外ドメイン中の接続ペプチドの境界の位置、又はその中にある位置までのTCRγ鎖のアミノ末端部分が削除され、場合により、TCRγ鎖の膜貫通ドメインが、例えば、1つ以上のアミノ酸の置換によって改変されている。
caTCR−6(IgVH−IgVL−TCRδ/IgVH−IgVL−TCRγ)の設計では、対応する抗体軽鎖の可変ドメインに融合した抗体重鎖の可変ドメイン(IgVH−IgVL又はIgVL−IgVH)が、TCRδ鎖のアミノ末端部分を、Vδ−Cδ領域の後のTCRδ鎖の細胞外ドメイン中の接続ペプチドに属するか、又はその中にある位置まで、置き換え、場合により、TCRδ鎖の膜貫通ドメインが、例えば、1つ以上のアミノ酸の置換によって改変されている。対応する抗体軽鎖の可変ドメインに融合した抗体重鎖の可変ドメイン(IgVH−IgVL又はIgVL−IgVH)は、TCRγ鎖のアミノ末端部分を、Vγ−Cγ領域の後のTCRγ鎖の細胞外ドメイン内の接続ペプチドに属するか、又はその中にある位置まで、置き換え、場合により、TCRγ鎖の膜貫通ドメインは、例えば、1つ以上のアミノ酸の置換によって改変される。
実施例2:caTCR−1−TM多様体を作製するために置換された膜貫通アミノ酸
この実施例は、caTCR−1−TM構築物の生成に使用される、天然に存在するTCR膜貫通ドメインの多様体を記載する。caTCR−1受容体は、δ及びγTCRサブユニットに由来の膜貫通ドメインを含有していた。caTCR−1受容体の概略図を図2に示し、膜貫通ドメインが強調されている。caTCR治療の効能を高めるための置換は、2つの鎖の膜貫通ドメインを構成するアミノ酸に焦点を合わせた。caTCR−1−0受容体を構成する膜貫通領域のαヘリックス様の輪状突出部は、caTCR−1−TM膜貫通変異体を形成するように変異した位置を強調している(図3)。
δTCRサブユニットの天然に存在する膜貫通ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を有し、以下の置換によって改変された。L4C;M6V;V12F及びN15S;F245S;又はL25S。γTCRサブユニットの天然に存在する膜貫通ドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を有し、以下の置換によって改変された。Y2L、M3V、A16V及びI18V;Y2I、M3I、A16I及びI18L;L8F、V12F及びF15S;Y1Q;Y2L;M3V;M3I;L5C;V13Y;A16V;I18V;C19M;又はC21G。作成したcaTCR−1−TM多様体を表2にまとめる。
実施例3.フローサイトメトリーによるcaTCR細胞表面発現及びTCR−CD3複合体形成の検出
caTCR−1−0と共に、3種類の膜貫通変異体受容体(caTCR−1−TM3、−TM4、−TM5)は、個々にJ.RT3−T3.5細胞に形質導入された。caTCR−1−0及びcaTCR−1−TM変異体構築物を用いて形質導入された細胞を、抗CD3ε抗体によって評価し、TCR陰性J.RT3−T3.5細胞及びPE標識されたAFP158/HLA−A*02:01四量体上でのCD3ε発現の補助を評価し、細胞表面でのcaTCR構築物の発現を測定した。フローサイトメトリー分析を使用し、細胞の表面上のCD3及びcaTCRのMFIを測定した。CD3又はcaTCRの発現は、caTCR−1−0形質導入細胞に対するMFI測定値の百分率として表される。
結果を図4に示す。Mock形質導入は、AFP158/HLA−A*02:01四量体への結合を与えず、J.RT3−T3.5細胞表面上でCD3εの発現をもたらさなかった。JRT3−T3.5細胞を個別に形質導入して変異体受容体を発現させ、蛍光標識されたAFP158/HLA−A*02:01で染色し、抗CD3εは、caTCR−1−0で観察されたMFI値を上回る蛍光強度の別個のピークを示した。顕著には、変異体受容体は、TCR陰性JRT3−T3.5細胞株におけるCD3εの細胞表面発現を補助することができただけでなく、細胞表面でのcaTCR−1−0の発現に関連する上述のCD3シグナル伝達複合体の発現を増加させることも可能であった。
このことから、膜貫通変異体が、内在性CD3複合体を動員するためのcaTCRの重要な要件を改善することができたことが実証された。これは、TCRの定常ドメインが、CD3鎖との相互作用に寄与しているため、予想されないものとして見ることができ(Kuhns and Davis、Front.Immunol.2012;3:159;及びWang及びReinherz、Immunol.Rev.2012、250:102)、TCR−CD3シグナル伝達複合体の安定性に関するTCR膜貫通領域の役割は、正しく評価されていない。更に、本キメラは、TCR定常ドメインをIgG CH1で置換しており、このことは、TCR定常ドメインが、アッセイしたいずれのcaTCR受容体とのCD3アセンブリにも必要ではないことを示している。これは、試験した外因性caTCRキメラの全てが、それらの同族抗原に結合し得る機能的な受容体を形成し、J.RT3−T3.5細胞上のCD3複合体の細胞表面発現を補助することができることを示す。
実施例4.caTCR−1−TM変異体を用いたCD3ζのCo−IPプルダウン
抗FLAG免疫沈降は、(図4)のように形質導入されたJRT3−T3.5細胞の細胞溶解物から行い、caTCR複合体を、caTCR受容体の全ての鎖IIに融合したFLAGタグによってプルダウンした。形質導入されたJRT3−T3.5細胞を溶解し、caTCR複合体を非イオン性洗剤で洗浄し、そのまま精製した(Cohenら、2006 Cancer Res.)。抗Flag抗体を使用し、ウェスタンブロットで、caTCR鎖IIの発現を検出した(図5)。CD3複合体とのFLAGタグ化caTCRの会合は、抗CD3ζ抗体とのウェスタンブロットによって可視化した(図5)。caTCR−1−TM4及びcaTCR−1−TM5は、2つの受容体によってプルダウンされたCD3ζの量の増加によって分かるように、CD3複合体に対してより高い親和性を有した(図5、矢印)。caTCR−1−TM4は、鎖II上に変異を有し、一方、caTCR−1−TM5は、鎖1上の更なる変異と共に、鎖IIに同一の変異を有する。
実施例5.caTCR−1膜貫通変異体で形質導入されたT細胞を用いた、AFP陽性腫瘍のin vitroでの死滅活性の特性決定
初代T細胞を、mock形質導入するか、又は抗AFP158/HLA−A*02:01結合部分(それぞれ、配列番号52及び53のVHドメイン及びVLドメイン)をコードするcaTCR−1−0又はcaTCR−1膜貫通変異体(−TM1〜−TM5、及び−TM14〜−TM16)を用いて形質導入した。形質導入効率は、PE標識されたAFP158/HLA−A*02:01テトラマーで染色することによって決定した。全てのcaTCR−1 T細胞を、mock T細胞と混合することによって、受容体陽性率40%で一致させた。2つの細胞株SK−HEP−1(AFP−/HLA−A2+)及びSK−HEP−1−AFP−MG(AFPミニ遺伝子で形質導入されたSK−HEP−1)を、エフェクターと標的の比率2.5:1で使用した。Cytox 96 Non−radioactive Cytotoxicity Assay(Promega)を使用し、16時間インキュベーションした後に、特異的なT細胞溶解を測定した。抗AFP158/HLA−A*02:01結合部分を有する全てのcaTCR−1−TM変異体で形質導入されたT細胞は、抗原陽性細胞株SK−HEP−1−AFP−MGの死滅を指向したが、抗原陰性細胞株SK−HEP−1の死滅は引き起こさなかった(図6)。全てのcaTCR−1−TM変異体で形質導入された細胞で観察される特異的溶解のレベルは、caTCR−1−0で形質導入されたT細胞のレベルに匹敵するものであり、このことは、TM変異体(TM1〜TM5)が、抗原陽性腫瘍細胞に対してT細胞の細胞毒性をシグナル伝達する機能的能力を保持していることを示している。
実施例6.caTCR−1−TM変異体T細胞を用いた、SK−HEP−1−AFP−MG腫瘍細胞株のin vitroでの死滅中に放出されるサイトカイン
初代T細胞を、mock形質導入するか、又は抗AFP158/HLA−A*02:01結合部分(それぞれ、配列番号52及び53のVHドメイン及びVLドメイン)をコードするcaTCR−1−0又はcaTCR−1膜貫通変異体(−TM1〜−TM5)を用いて形質導入した。形質導入効率は、PE標識されたAFP158/HLA−A*02:01テトラマーで染色することによって決定した。全てのcaTCR−1 T細胞を、mock T細胞と混合することによって、受容体陽性率40%で一致させた。SK−HEP−1−AFP−MG(AFPミニ遺伝子で形質導入されたSK−HEP−1)を、エフェクターと標的の比率2.5:1で使用した。16時間のSK−HEP1−AFP−MG in vitro死滅アッセイ(図6)の後に、IL−2、IL−10、GM−CSF、IFN−γ及びTNF−αの培地へのサイトカイン放出を、Bio−plex Pro Human Cytokine 8−plex Assay(BioRad)を備えたMagpix multiplexシステム(Luminex)を用いて測定した。SK−HEP−1−AFP−MG標的反応からのアッセイ上清を10倍に希釈した。サイトカイン濃度は、BioRad Bio−plexキットにより供給される標準曲線を用いて測定された(図7)。膜貫通変異体を用いたときのサイトカイン放出のわずかな増加は、特定の膜貫通変異体が、毒性レベルのサイトカイン放出を防ぐ制御機構を維持しつつ、抗原により誘導されるT細胞シグナル伝達強度を増加させ得ることを示唆している。
実施例7.caTCR−1膜貫通変異体で形質導入されたT細胞を用いた、AFP陽性腫瘍のin vitroでの死滅活性の特性決定
初代T細胞を、mock形質導入するか、又は抗AFP158/HLA−A*02:01結合部分(それぞれ、配列番号52及び53のVHドメイン及びVLドメイン)をコードするcaTCR−1−0又はcaTCR−1膜貫通変異体(−TM5〜−TM13)を用いて形質導入した。形質導入効率は、PE標識されたAFP158/HLA−A*02:01テトラマーで染色することによって求めた。全てのcaTCR−1 T細胞を、mock T細胞と混合することによって、受容体陽性率40%で一致させた。3つの細胞株SK−HEP−1(AFP−/HLA−A2+)、SK−HEP−1−AFP−MG(AFPミニ遺伝子で形質導入されたSK−HEP−1)、及び内因性のAFP発現HepG2(AFP+/HLA−A2+)を、エフェクターと標的の比率2.5:1で使用した。Cytox 96 Non−radioactive Cytotoxicity Assay(Promega)を使用し、16時間インキュベーションした後に、特異的なT細胞溶解を測定した。抗AFP158/HLA−A*02:01結合部分を有する全てのcaTCR−1−TM変異体で形質導入されたT細胞は、抗原陽性細胞株HepG2及びSK−HEP−1−AFP−MGの死滅を指向したが、抗原陰性細胞株SK−HEP−1の死滅は引き起こさなかった(図8)。AFP陽性腫瘍細胞であるSK−HEP1−AFP−MG及びHepG2の両方の特異的溶解は、全てのcaTCR−1−TM変異体で形質導入されたT細胞の間に匹敵するものであり、このことは、TM変異体(−TM5〜−TM13)が、抗原陽性腫瘍細胞に対してT細胞の細胞毒性をシグナル伝達する機能的能力を保持していることを示している。
実施例8.caTCR−1−TM変異体T細胞を用いた、HepG2腫瘍細胞株のin vitroでの死滅中に放出されるサイトカイン
初代T細胞を、mock形質導入するか、又は抗AFP158/HLA−A*02:01結合部分(それぞれ、配列番号52及び53のVHドメイン及びVLドメイン)をコードするcaTCR−1−0又はcaTCR−1膜貫通変異体(−TM5〜−TM13)を用いて形質導入した。形質導入効率は、PE標識されたAFP158/HLA−A*02:01テトラマーで染色することによって決定した。全てのcaTCR−1 T細胞を、mock T細胞と混合することによって、受容体陽性率40%で一致させた。HepG2細胞を、エフェクターと標的の比率2.5:1で使用した。16時間のHepG2 in vitro死滅アッセイ(図8)の後にGM−CSF、IFN−γ及びTNF−αの培地へのサイトカイン放出を、Bio−plex Pro Human Cytokine 8−plex Assay(BioRad)を備えたMagpix multiplexシステム(Luminex)を用いて測定した。HepG2標的反応からのアッセイ上清を4倍に希釈した。サイトカイン濃度は、BioRad Bio−plexキットにより供給される標準曲線を用いて測定した(図9)。HepG2を死滅させるときのcaTCR−1−TM5を用いたサイトカイン放出の顕著な増加は、caTCR−1−TM5受容体内の膜貫通変異が、細胞毒性シグナル伝達能力を増加させていることを示す。
実施例9.caTCR−1−TM5で形質導入されたT細胞を用いたCD19陽性NALM6腫瘍のin vitroでの死滅
初代T細胞を、caTCR−1−0、又は抗CD19結合部分(それぞれ、配列番号54及び55のVHドメイン及びVLドメイン)をコードするcaTCR−1−TM5を用いて形質導入した。形質導入効率を決定し、T細胞を、mock T細胞と混合することによって、受容体陽性率40%で一致させた。NALM6標的細胞をCFSEで5分間標識した後、エフェクターと標的の比率1:1、1:2又は1:4で、適切なT細胞を4時間インキュベーションした。FACS分析によりCFSE陽性細胞の数を計数し、T細胞を含まないウェル中のCFSE陽性細胞の数で除算することによって、死滅率を決定した(図10)。CD19陽性NALM6腫瘍のin vitroでの死滅効率は、親のcaTCR−1−0と変異体caTCR−1−TM5で形質導入された細胞の間に相当する効率を維持しており、このことは、caTCR−1−TM5変異体が、抗CD19モデルにおいて、その細胞毒性シグナル伝達機能を維持していることを示している。
実施例10.caTCR−1−TM5 T細胞を用いた、NALM6腫瘍細胞株のin vitroでの死滅中に放出されるサイトカイン
初代T細胞を、caTCR−1−0、又は抗CD19結合部分(それぞれ、配列番号54及び55のVHドメイン及びVLドメイン)をコードするcaTCR−1−TM5を用いて形質導入した。形質導入効率を決定し、T細胞を、mock T細胞と混合することによって、受容体陽性率40%で一致させた。NALM6細胞を、エフェクターと標的の比率2.5:1で使用した。16時間のNALM6 in vitro死滅アッセイ(図10)の後に、IL−2、GM−CSF、IFN−γ及びTNF−αの培地へのサイトカイン放出を、Bio−plex Pro Human Cytokine 8−plex Assay(BioRad)を備えたMagpix multiplexシステム(Luminex)を用いて測定した。NALM6標的反応からのアッセイ上清を4倍に希釈した。サイトカイン濃度は、BioRad Bio−plexキットにより供給される標準曲線を用いて測定した(図11)。NALM6を死滅させるときのcaTCR−1−TM5を用いたサイトカイン放出の増加は、caTCR−1−TM5変異体受容体が、抗CD19モデルにおいて、細胞毒性シグナル伝達能力を維持していることを示す。
実施例11.CD19陽性標的細胞に応答した細胞内サイトカイン産生
サイトカイン発現に対するcaTCR−1シグナル伝達の結果をより直接的に求めるために、抗原陽性腫瘍細胞による刺激に応答する細胞内サイトカイン産生を測定した。初代T細胞を、caTCR−1−0、又は抗CD19結合部分(それぞれ、配列番号54及び55のV
Hドメイン及びV
Lドメイン)をコードするcaTCR−1−TM5を用いて形質導入した。形質導入効率を決定し、T細胞を、mock T細胞と混合することによって、受容体陽性率40%で一致させた。サイトカイン分泌を防ぐために、タンパク質輸送阻害剤カクテル(eBioscienceカタログ番号00498003)と共に、Mock形質導入されたT細胞、又はcaTCR−1−0又はcaTCR−1−TM5で形質導入されたT細胞を、NALM6又はRaji標的細胞と共に比率2.5:1で培養した。4時間の治療後、T細胞を、抗TNF−α、抗IFN−γ、又は抗IL−2抗体と共に、caTCR−1受容体及び抗CD4抗体に対して染色した。フローサイトメトリーを使用して、caTCR−1受容体陽性細胞に対しゲーティングすることで、細胞内TNF−α、IFN−γ及びIL−2について陽性の細胞の割合を計算した(表4)。caTCR−1−TM5変異体受容体による刺激は、細胞内サイトカイン発現を伴う細胞の増加をもたらし、caTCR−1−TM5における膜貫通変異が、T細胞の細胞毒性シグナル伝達能の増加をもたらす能力を更に実証する。
実施例12.caTCR−1受容体による刺激後の増殖及び持続性
初代T細胞を、caTCR−1−0、又は抗CD19結合部分(それぞれ、配列番号54及び55のV
Hドメイン及びV
Lドメイン)をコードするcaTCR−1−TM5を用いて形質導入した。形質導入効率を決定し、T細胞を、mock T細胞と混合することによって、受容体陽性率40%で一致させた。T細胞をCFSEで標識し、Raji又はNALM6標的細胞で刺激した。5×10
4個のNALM6細胞を、エフェクターと標的の比率2:1で使用した。FACS分析を用い、CFSE蛍光を測定した(図12A及び12B)。CFSE蛍光強度は、各細胞分裂と共に減少するため、これを、抗原刺激に応答したT細胞の増殖力をアッセイするために使用することができる。刺激後に生存するT細胞の生存期間(persistence)を観察するために、標的細胞の曝露から3日後に残った生存T細胞の総数を数えた(表5)。caTCR−1−TM5受容体を介する刺激は、3日目のCFSEピークの左方向へのシフト及び生存T細胞総数の生存期間に見られるように、両方の増殖能の増加を示した。養子T細胞療法中のT細胞の生存期間及び増殖の両方が、より良好な臨床転帰に関連するため、これらは重要な特性である。
実施例13.二重特異性抗CD19抗CD22 caTCRの構築及び特性決定
単一の標的抗原を標的とするキメラ抗原受容体を用いた療法は、標的抗原遺伝子の消失、代替的スプライシング及びエピトープ喪失に起因して、抗原のエスケープに対して脆弱な場合がある。二重特異性caTCRは、抗原がエスケープする可能性を減らすことによって、有効性の改善された治療を提供するように設計された。
抗CD19抗体に由来する1つの抗原結合ドメインと、抗CD22抗体に由来する1つの抗原結合ドメインとを有する二重特異性caTCRを構築した(本明細書では、「抗CD19抗CD22 caTCR」と称されるか、又は「CD19 CD22 CATCR」と略される)。抗CD19抗体は、国際公開第2017066136(A2)号に既報である。抗CD22抗体は、2018年3月30日に出願されたUSSN 62/650,955号に記載の「抗CD22クローン2」として知られている。各抗CD19抗CD22 caTCRは、2つのポリペプチドを含み、1つはTCR δドメインを含有し、1つはTCRγドメインを含有する。異なる構造フォーマット及びリンカー(異なる長さ及び配列)を構築物に使用した。抗CD19抗CD22 caTCR−9−2変異をCH1(S64E及びS66V変異)及びCL(S69L及びT71S変異)ドメインに導入して二量体形成を安定化させた。他の抗CD19抗CD22 caTCR構築物は、リンカー、安定化ドメイン及び/又は膜貫通ドメインを変更することによって(例えば、変異膜貫通ドメインを使用して)、及び/又は抗原結合ドメインを交換することによって、生成することができる。
以下の表6は、各抗CD19抗CD22 caTCR構築物における各ポリペプチドのN末端からC末端への構造的特徴を示す。抗CD19抗CD22 caTCR構築物のポリペプチドの各対をコードするレンチウイルスベクターを調製した。
サイトカイン分泌
初代T細胞を、mock形質導入するか、又は抗CD19抗CD22caTCR−7−2a構築物をコードするレンチウイルスベクターを用いて形質導入した。形質導入されたT細胞を、K562(CD19 CD22二重陰性)、K562−CD22(CD22で形質導入されたK562)、K562−CD19(CD19で形質導入されたK562)、Raji(CD19及びCD22の両方を発現するRaji)、又はRaji CD19 K/O(CD19ノックアウトを有するRaji)細胞と、エフェクターと標的との比率2.5:1で混合した。T細胞は、標的リガンドとのTCRエンゲージメントによって活性化されると、IFN−γを分泌する。IFN−γのサイトカイン放出レベルを測定し、受容体のシグナル伝達電位の指標として使用した(レベルが高いほど、受容体のシグナル伝達電位及び細胞毒性T細胞活性が高い)。Bio−plex Pro Human Cytokine 8 plexアッセイ(BioRad)を用い、Magpix多重系(Luminex)を使用して、16時間の共培養後にサイトカイン濃度を測定した。
図14に示すように、一連のCD19+及び/又はCD22+細胞株にわたって、抗原特異的IFN−γ放出が観察された。抗CD19抗CD22 caTCR−7−2a構築物を発現するT細胞は、CD19抗原又はCD22抗原のいずれかを発現するK562と共にインキュベートしたときに、IFN−γ分泌を特異的に活性化した。caTCR−7−2a T細胞はまた、CD19遺伝子がCD19+CD22+Rajiリンパ腫細胞株(Raji CD19 K/O)からノックアウトされた抗原エスケープモデルにおいてIFN−γを放出し、したがって、単一のcaTCR−7が2つの独立した抗原に結合する能力を実証した。
in vitroでの死滅
様々な抗CD19抗CD22 caTCR−7構築物のin vitroでの細胞死滅活性を、方法に記載のLDH細胞毒性アッセイによって評価した。簡潔に述べると、ドナー(R177)由来のヒト初代T細胞を、mock形質導入し、又は抗CD19 caTCR−1をコードするレンチウイルス又は抗CD19抗CD22 caTCR構築物(caTCR−7−1b、caTCR−7−2b、caTCR−7−1c又はcaTCR−7−2c)をコードするレンチウイルスを用いて形質導入した。形質導入されたT細胞を、K562、K562−CD22(CD22を発現するK562)、K562−CD19(CD19を発現するK562)、又はK562−CD19/CD22(CD19及びCD22抗原を発現するK562細胞)細胞と、エフェクターと標的の比率2:1で混合した。Cytox 96 Non−radioactive Cytotoxicity Assay(Promega)を使用し、16時間インキュベーションした後に、特異的なT細胞溶解を測定した。
図15に示すように、様々な二重特異性抗CD19抗CD22 caTCRsを発現するT細胞は、CD19、CD22、又はCD19及びCD22の両方を発現するK562標的細胞を溶解させることができた。しかしながら、単一特異性CD19 caTCR−1を発現するT細胞は、CD19を発現するK562標的細胞を溶解させることのみが可能であった。