配列識別子
配列番号1は、野生型大腸菌(E.coli)FimHLD(FimHLD_WT)のアミノ酸配列を記載する。
配列番号2は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_G65A_V27Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号3は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_F1Iのアミノ酸配列を記載する。
配列番号4は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_F1Lのアミノ酸配列を記載する。
配列番号5は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_F1Vのアミノ酸配列を記載する。
配列番号6は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_F1Mのアミノ酸配列を記載する。
配列番号7は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_F1Yのアミノ酸配列を記載する。
配列番号8は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_F1Wのアミノ酸配列を記載する。
配列番号9は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_Q133Kのアミノ酸配列を記載する。
配列番号10は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_G15Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号11は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_G15Pのアミノ酸配列を記載する。
配列番号12は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_G16Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号13は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_G16Pのアミノ酸配列を記載する。
配列番号14は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_G15A_G16Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号15は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_R60Pのアミノ酸配列を記載する。
配列番号16は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_G65Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号17は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_P12C_A18Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号18は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_G14C_F144Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号19は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_P26C_V35Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号20は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_P26C_V154Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号21は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_P26C_V156Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号22は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_V27C_L34Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号23は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_V28C_N33Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号24は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_V28C_P157Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号25は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_Q32C_Y108Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号26は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_N33C_L109Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号27は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_N33C_P157Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号28は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_V35C_L107Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号29は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_V35C_L109Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号30は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_S62C_T86Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号31は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_S62C_L129Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号32は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_Y64C_L68Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号33は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_Y64C_A127Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号34は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_L68C_F71Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号35は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_V112C_T158Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号36は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_S113C_G116Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号37は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_S113C_T158Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号38は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_V118C_V156Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号39は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_A119C_V155Cのアミノ酸配列を記載する。
配列番号40は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_L34N_V27Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号41は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_L34S_V27Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号42は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_L34T_V27Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号43は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_A119N_V27Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号44は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_A119S_V27Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号45は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_A119T_V27Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号46は、変異体大腸菌(E.coli)FimH-DSG_A115Vのアミノ酸配列を記載する。
配列番号47は、変異体大腸菌(E.coli)FimH-DSG_V163Iのアミノ酸配列を記載する。
配列番号48は、変異体大腸菌(E.coli)FimH-DSG_V185Iのアミノ酸配列を記載する。
配列番号49は、変異体大腸菌(E.coli)FimH-DSG_DSG_V3Iのアミノ酸配列を記載する。
配列番号50は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_G15A_V27Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号51は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_G16A_V27Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号52は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_G15P_V27Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号53は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_G16P_V27Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号54は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_G15A_G16A_V27Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号55は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_V27A_R60Pのアミノ酸配列を記載する。
配列番号56は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_G65A_V27Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号57は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_V27A_Q133Kのアミノ酸配列を記載する。
配列番号58は、変異体大腸菌(E.coli)FimHLD_G15A_G16A_V27A_Q133Kのアミノ酸配列を記載する。
配列番号59は、リンカーを介して接続されたドナー鎖FimGペプチドを含む野生型大腸菌(E.coli)全長FimH(FimH-DSG_WT)のアミノ酸配列を記載する。
配列番号60は、変異体大腸菌(E.coli)FimH-DSG_V27Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号61は、変異体大腸菌(E.coli)FimH-DSG_G15A_V27Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号62は、変異体大腸菌(E.coli)FimH DSG_G15A_G16A_V27Aのアミノ酸配列を記載する。
配列番号63は、変異体大腸菌(E.coli)FimH DSG_V27A_Q133Kのアミノ酸配列を記載する。
配列番号64は、変異体大腸菌(E.coli)FimH DSG_G15A_G16A_V27A_Q133Kのアミノ酸配列を記載する。
配列番号65は、マウスIgカッパーシグナルペプチド配列のアミノ酸配列を記載する。
配列番号66~108は、ナノ構造関連ポリペプチドまたはその断片のアミノ酸および核酸配列を記載する。
配列番号109 - PCR用プライマー。
配列番号110 - PCR用プライマー。
配列番号111 - PCR用プローブ。
配列番号112は、O25b 2401 WzzBアミノ酸配列を記載する。
配列番号113は、O25a:K5:H1 WzzBアミノ酸配列を記載する。
配列番号114は、O25a ETEC ATCC WzzBアミノ酸配列を記載する。
配列番号115は、K12 W3110 WzzBアミノ酸配列を記載する。
配列番号116は、サルモネラ属(Salmonella)LT2 WzzBアミノ酸配列を記載する。
配列番号117は、O25b 2401 FepEアミノ酸配列を記載する。
配列番号118は、O25a:K5:H1 FepEアミノ酸配列を記載する。
配列番号119は、O25a ETEC ATCC FepEアミノ酸配列を記載する。
配列番号120は、O157 FepEアミノ酸配列を記載する。
配列番号121は、サルモネラ属(Salmonella)LT2 FepEアミノ酸配列を記載する。
配列番号122は、LT2wzzB_Sのためのプライマー配列を記載する。
配列番号123は、LT2wzzB_ASのためのプライマー配列を記載する。
配列番号124は、O25bFepE_Sのためのプライマー配列を記載する。
配列番号125は、O25bFepE_Aのためのプライマー配列を記載する。
配列番号126は、wzzB P1_Sのためのプライマー配列を記載する。
配列番号127は、wzzB P2_ASのためのプライマー配列を記載する。
配列番号128は、wzzB P3_Sのためのプライマー配列を記載する。
配列番号129は、wzzB P4_ASのためのプライマー配列を記載する。
配列番号130は、O157 FepE_Sのためのプライマー配列を記載する。
配列番号131は、O157 FepE_ASのためのプライマー配列を記載する。
配列番号132は、pBAD33_adaptor_Sのためのプライマー配列を記載する。
配列番号133は、pBAD33_adaptor_ASのためのプライマー配列を記載する。
配列番号134は、JUMPSTART_rのためのプライマー配列を記載する。
配列番号135は、gnd_fのためのプライマー配列を記載する。
配列番号136は、ヒトIgG受容体FcRn大サブユニットp51シグナルペプチドのアミノ酸配列を記載する。
配列番号137は、ヒトIL10タンパク質シグナルペプチドのアミノ酸配列を記載する。
配列番号138は、ヒト呼吸系発疹ウイルスA(A2株)融合糖タンパク質F0シグナルペプチドのアミノ酸配列を記載する。
配列番号139は、インフルエンザA血球凝集素シグナルペプチドのアミノ酸配列を記載する。
配列番号140~147は、シグナルペプチド予測のために使用される様々な種からのシグナルP 4.1(DTU Bioinformatics)配列を記載する。
詳細な説明
本開示は、大腸菌(E.coli)FimH突然変異ポリペプチド(変異体)、FimH変異体を含む組成物、FimH変異体を産生および精製するための方法、FimH変異体をコードする核酸、そのような核酸を含む宿主細胞、ならびにFimH変異体を含む組成物を使用する方法に関する。
本明細書における値の範囲の列挙は、単に、この範囲内に収まる別々の値のそれぞれを個々に参照する簡単な方法として機能すること意図する。本明細書において他に指示がなければ、個々の値のそれぞれは、あたかもそれが本明細書に個々に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されているあらゆる方法は、本明細書において他に指示がなければまたは他に文脈と明らかに矛盾しなければ、いずれか好適な順序で実行することができる。本明細書に提供されるありとあらゆる例または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、本開示をさらに説明することを単に意図するものであり、特許請求の範囲に限定をもたらすものではない。本明細書におけるいかなる言語も、本開示の実施に必須であるといずれかの請求されていない要素を示すと解釈するべきではない。
いくつかの文書が、本開示のテキスト全体を通して引用されている。本明細書に引用されている文書(あらゆる特許、特許出願、科学的刊行物、製造業者の明細書、説明書等を含む)のそれぞれは、上記であれ下記であれ、これにより、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書におけるいずれも、本開示が、そのような開示に先行することの資格を有しないことの承認として解釈するべきではない。
定義
本明細書で使用される場合、用語「約」は、およそまたはほとんどを意味し、本明細書に記載される数的な値または範囲の文脈において、一実施形態では、列挙または請求されている数的な値または範囲の±20%、±10%、±5%または±3%を意味する。
本開示を記載する文脈において(特に、特許請求の範囲の文脈において)使用される用語「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」および同様の参照は、本明細書において他に指示がなければまたは文脈と明らかに矛盾しなければ、単数形および複数形の両方を網羅すると解釈されたい。
アミノ酸配列(ペプチドまたはタンパク質)を参照した「断片」は、アミノ酸配列の一部、すなわち、N末端および/またはC末端において短縮されたアミノ酸配列を表す配列に関する。C末端において短縮された断片(N末端断片)は、例えば、オープンリーディングフレームの3’端を欠如するトランケートされたオープンリーディングフレームの翻訳によって入手可能である。N末端において短縮された断片(C末端断片)は、例えば、トランケートされたオープンリーディングフレームが、翻訳を開始するように機能する開始コドンを含む限りにおいて、オープンリーディングフレームの5’端を欠如するトランケートされたオープンリーディングフレームの翻訳によって入手可能である。アミノ酸配列の断片は、例えば、アミノ酸配列由来のアミノ酸残基の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%を含む。アミノ酸配列の断片は、好ましくは、アミノ酸配列由来の少なくとも6、特に、少なくとも8、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも50または少なくとも100個の連続したアミノ酸を含む。
本明細書で使用される場合、用語「野生型」または「WT」または「ネイティブ」は、アレル変種を含む、自然界で見出されるアミノ酸配列を指す。野生型アミノ酸配列、ペプチドまたはタンパク質は、意図的に改変されていないアミノ酸配列を有する。
本明細書で使用される場合、アミノ酸配列(ペプチド、タンパク質またはポリペプチド)の「バリアント」、または「変異体」、または「突然変異した」ポリペプチドの参照は、アミノ酸挿入バリアント/変異体、アミノ酸付加バリアント/変異体、アミノ酸欠失バリアント/変異体および/またはアミノ酸置換バリアント/変異体を含む。用語「バリアント」または「変異体」は、あらゆる変異体、スプライスバリアント、翻訳後修飾されたバリアント、コンフォメーション、アイソフォーム、アレルバリアント、種バリアントおよび種ホモログ、特に、天然起源のそれらを含む。用語「バリアント」または「変異体」は、特に、アミノ酸配列の断片を含む。
アミノ酸挿入バリアントは、特定のアミノ酸配列における単一のまたは2個以上のアミノ酸の挿入を含む。挿入を有するアミノ酸配列バリアントの場合、1個または複数のアミノ酸残基が、アミノ酸配列における特定の部位に挿入されるが、その結果生じる産物の適切なスクリーニングによるランダム挿入も可能である。アミノ酸付加バリアントは、1、2、3、5、10、20、30、50個以上のアミノ酸などの1個または複数のアミノ酸のアミノおよび/またはカルボキシ末端融合体を含む。アミノ酸欠失バリアントは、1、2、3、5、10、20、30、50個以上のアミノ酸の除去など、配列からの1個または複数のアミノ酸の除去によって特徴付けされる。欠失は、タンパク質のいずれかの位置において為すことができる。タンパク質のN末端および/またはC末端の端に欠失を含むアミノ酸欠失バリアントは、N末端および/またはC末端トランケーションバリアントとも呼ばれる。アミノ酸置換バリアントは、除去されている配列中の少なくとも1個の残基、およびその場所に挿入されている別の残基によって特徴付けされる。相同タンパク質もしくはペプチドの間で保存されていないアミノ酸配列中の位置にある改変に対して、および/またはアミノ酸を、同様の特性を有する他のアミノ酸に置き換えることに対して優先が生じる。好ましくは、ペプチドおよびタンパク質バリアントにおけるアミノ酸変化は、保存的アミノ酸変化、すなわち、同様に荷電したまたは無電荷のアミノ酸の置換である。保存的アミノ酸変化は、その側鎖に関連性があるアミノ酸のファミリーの1つの置換が関与する。天然起源のアミノ酸は一般に、次の4つのファミリーへと分けられる:酸性(アスパラギン酸、グルタミン酸)、塩基性(リシン、アルギニン、ヒスチジン)、非極性(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)および無電荷極性(グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン)アミノ酸。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは、時に、芳香族アミノ酸として一緒に分類される。一実施形態では、保存的アミノ酸置換は、次の群内の置換を含む:
グリシン、アラニン;
バリン、イソロイシン、ロイシン;
アスパラギン酸、グルタミン酸;
アスパラギン、グルタミン;
セリン、スレオニン;
リシン、アルギニン;および
フェニルアラニン、チロシン。
好ましくは、所与のアミノ酸配列と、前記所与のアミノ酸配列のバリアントであるアミノ酸配列との間の類似性、好ましくは、同一性の程度は、少なくとも約60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%となるであろう。類似性または同一性の程度は、好ましくは、参照アミノ酸配列の長さ全体の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または約100%であるアミノ酸領域についてもたらされる。例えば、参照アミノ酸配列が、200アミノ酸からなる場合、類似性または同一性の程度は、好ましくは、少なくとも約20、少なくとも約40、少なくとも約60、少なくとも約80、少なくとも約100、少なくとも約120、少なくとも約140、少なくとも約160、少なくとも約180または約200アミノ酸の、一部の実施形態では、連続的なアミノ酸についてもたらされる。一部の実施形態では、類似性または同一性の程度は、参照アミノ酸配列の長さ全体についてもたらされる。配列類似性、好ましくは、配列同一性を決定するための整列は、当業界で公知のツールを用いて、好ましくは、最良の配列整列を使用して、例えば、Alignを使用して、標準設定、好ましくは、EMBOSS::needle、マトリックス:Blosum62、ギャップオープン10.0、ギャップ伸長0.5を使用して行うことができる。
本明細書で使用される場合、「配列類似性」は、同一であるか、または保存的アミノ酸置換を表すアミノ酸のパーセンテージを示す。2つのアミノ酸配列の間の「配列同一性」は、これらの配列の間で同一であるアミノ酸のパーセンテージを示す。2つの核酸配列の間の「配列同一性」は、これらの配列の間で同一であるヌクレオチドのパーセンテージを示す。
用語「%同一」、「%同一性」または同様の用語は、特に、比較されるべき配列の間の最適な整列において同一であるヌクレオチドまたはアミノ酸のパーセンテージを指すことを意図する。前記パーセンテージは、純粋に統計的であり、2つの配列の間の差は、比較されるべき配列の長さ全体にわたってランダムに分布され得るが、必ずしもそうである必要はない。2つの配列の比較は通常、対応する配列の局所領域を同定するために、セグメントまたは「比較のウィンドウ」に関して、最適な整列の後に、これらの配列を比較することにより実行される。比較のための最適な整列は、手作業で、またはSmithおよびWaterman、1981、Ads App.Math.2、482による局所相同性アルゴリズムの助けにより、NeddlemanおよびWunsch、1970、J.Mol.Biol.48、443による局所相同性アルゴリズムの助けにより、PearsonおよびLipman、1988、Proc.Natl Acad.Sci.USA 88、2444による類似性検索アルゴリズムの助けにより、または前記アルゴリズムを使用したコンピュータプログラム(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Drive、Madison、Wis.におけるGAP、BESTFIT、FASTA、BLAST P、BLAST NおよびTFASTA)の助けにより実行することができる。一部の実施形態では、2つの配列のパーセント同一性は、米国国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)ウェブサイト(例えば、blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi?PAGE_TYPE=BlastSearch&BLAST_SPEC=blast2seq&LINK_LOC=align2seqにおける)において入手できる、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムを使用して決定される。一部の実施形態では、NCBIウェブサイトにおけるBLASTNアルゴリズムのために使用されるアルゴリズムパラメータは、(i)10に設定された期待閾値;(ii)28に設定されたワードサイズ;(iii)0に設定されたクエリー範囲における最大マッチ;(iv)1、-2に設定されたマッチ/ミスマッチスコア;(v)線形に設定されたギャップコスト;および(vi)使用されている低複雑性領域のためのフィルターを含む。一部の実施形態では、NCBIウェブサイトにおけるBLASTPアルゴリズムのために使用されるアルゴリズムパラメータは、(i)10に設定された期待閾値;(ii)3に設定されたワードサイズ;(iii)0に設定されたクエリー範囲における最大マッチ;(iv)BLOSUM62に設定されたマトリックス;(v)存在:11 伸長:1に設定されたギャップコスト;および(vi)コンディショナル組成スコアマトリックス調整を含む。
パーセンテージ同一性は、比較されるべき配列が対応する同一位置の数を決定し、この数を、比較される位置の数(例えば、参照配列における位置の数)で割り、この結果に100を掛けることにより得られる。
一部の実施形態では、類似性または同一性の程度は、参照配列の長さ全体の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または約100%である領域についてもたらされる。例えば、参照核酸配列が、200ヌクレオチドからなる場合、同一性の程度は、少なくとも約100、少なくとも約120、少なくとも約140、少なくとも約160、少なくとも約180または約200ヌクレオチドの、一部の実施形態では、連続的なヌクレオチドについてもたらされる。一部の実施形態では、類似性または同一性の程度は、参照配列の長さ全体についてもたらされる。
相同アミノ酸配列は、本開示に従って、アミノ酸残基の少なくとも40%、特に、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、少なくとも98または少なくとも99%同一性を呈する。本明細書に記載されているアミノ酸配列バリアント/変異体は、例えば、組換えDNA操作により、当業者によって容易に調製され得る。置換、付加、挿入または欠失を有するペプチドまたはタンパク質を調製するためのDNA配列の操作は、例えば、Sambrookら(1989)に詳細に記載されている。さらに、本明細書に記載されているペプチドおよびアミノ酸バリアントは、例えば、固相合成および同様の方法等により、公知ペプチド合成技法の助けにより容易に調製され得る。
一態様では、アミノ酸配列(ペプチドまたはタンパク質)の断片またはバリアント/変異体は、好ましくは、「機能的断片」または「機能的バリアント」である。アミノ酸配列の「機能的断片」または「機能的バリアント/変異体」という用語は、それが派生したアミノ酸配列のものと同一または同様の1種または複数の機能的特性を呈する、すなわち、機能的に等価である、いずれかの断片またはバリアント/変異体に関する。抗原または抗原性配列に関して、特定の機能の1つは、断片またはバリアントが派生したアミノ酸配列によって表示される1種または複数の免疫原性活性である。用語「機能的断片」または「機能的バリアント/変異体」は、本明細書で使用される場合、特に、親分子または配列のアミノ酸配列と比較して1個または複数のアミノ酸が変更されたアミノ酸配列を含み、依然として、親分子または配列の機能のうち1種または複数、例えば、免疫応答の誘導を果たすことができる、バリアント/変異体分子または配列を指す。一態様では、親分子または配列のアミノ酸配列における改変は、分子または配列の特徴を有意に影響または変更しない。異なる実施形態では、機能的断片または機能的バリアントの機能は、低減され得るが、依然として有意に存在し得る、例えば、機能的バリアントの免疫原性は、親分子または配列の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%であり得る。しかし、他の実施形態では、機能的断片または機能的バリアントの免疫原性は、親分子または配列と比較して増強され得る。
本明細書で使用される場合、「単離された」は、天然状態から変更または除去されたことを意味する。例えば、生きている動物に天然に存在する核酸またはペプチドは、「単離されて」いないが、その天然状態の共存する材料から部分的にまたは完全に分離された同じ核酸またはペプチドは、「単離されている」。単離された核酸またはタンパク質は、実質的に精製された形態で存在することができる、または例えば、宿主細胞などの非ネイティブ環境で存在することができる。
I.大腸菌(E.coli)FimHポリペプチド
1型フィムブリエを含む線毛アドヘシンは、上皮層におけるマンノシル化糖タンパク質に結合する、または尿中に分泌される。1型フィムブリエは、臨床UPEC単離物の間で高度に保存されており、アクセサリータンパク質(FimC、FimD)、様々な構造サブユニット(FimE、FimF、FimG)およびFimHと呼ばれるアドヘシンをコードするfimと呼ばれる遺伝子のクラスターによってコードされる。FimHは、2つのドメインである、マンノシル化糖タンパク質への結合の原因となるレクチン結合ドメイン(FimHLD)、およびピリンドメインで構成される。ピリンドメインは、ドナー鎖交換と呼ばれる機構により、FimHをFimGなどの線毛の他の構造サブユニットに連結するように機能する。FimHピリンドメインは、不完全免疫グロブリンフォールドを形成し、FimGのN末端β鎖のための結合部位を提供する溝をもたらし、FimHおよびFimGの間に強い分子間連結を形成する。FimHLDは、可溶性の安定した形態で発現され得るが、全長FimHは、ペプチド形態でまたは融合タンパク質として、シャペロンFimCと複合体形成しない限り、またはFimGのドナー鎖ペプチドで補完されない限り、単独では不安定である。したがって、安定な全長FimH分子の発現は、グリシン-セリンリンカーを介してFimGドナーペプチドを全長FimHのC末端に連結することにより可能となり、これは、FimH-DSGと命名される。
一態様では、本開示は、表1に示されるものなど、突然変異したFimHポリペプチドを提供する。そのような変異体は、対応する野生型(WT)FimHポリペプチドのアミノ酸配列と比べた、アミノ酸配列における突然変異を提供する。一部の態様では、そのような変異体は、野生型FimHタンパク質に対して、または野生型FimHポリペプチドを発現する細菌に対して免疫原性である。ある特定の態様では、FimH変異体は、対応する野生型FimHポリペプチドと比較して増大した免疫原性特性など、ある特定の有益な特徴を保有する。
本明細書で使用される場合、用語「FimHポリペプチド」は、全長野生型大腸菌(E.coli)FimHポリペプチドのいずれかのドメイン、全長野生型大腸菌(E.coli)FimHポリペプチドのドメインのいずれかの組合せ、もしくは全長大腸菌(E.coli)FimHポリペプチド、またはこれらのいずれかの断片を指す。例えば、一実施形態では、本開示は、突然変異したFimHLDポリペプチドまたはFimH-DSGポリペプチドである突然変異したFimHポリペプチドを提供する。本開示は、機能的免疫原性を改善する、マンノシドリガンドに対して低減した親和性を有する(生化学的および生物物理学的分析によって検証)新規FimHLDおよびFimH-DSG変異体に関し、野生型FimHLDと比べた、これらの変異体の中和応答の評価について記載する。
FimH変異体ポリペプチドにおける導入されたアミノ酸突然変異は、アミノ酸置換、欠失または付加を含むことができる。一部の態様では、FimHポリペプチド変異体のアミノ酸配列における唯一の突然変異は、野生型FimHタンパク質と比べたアミノ酸置換である。
野生型FimHポリペプチドのアミノ酸配列は、当業界で周知である。例えば、FimHLDドメインのアミノ酸配列は、配列番号1として本明細書に提供される。グリシン-セリンリンカーを介して全長FimHのC末端に連結されたFimGドナーペプチドを含む全長野生型FimHポリペプチドは、配列番号59として本明細書に提供される。そのようなアミノ酸配列をコードする核酸配列も、当業界で周知である。
本開示の一態様では、ある特定の突然変異したFimHポリペプチドは、マンノシドリガンドに対する低減された親和性をもたらし、改善された機能的免疫原性を生じる、ロックされたオープンコンフォメーション(confirmation)をもたらす。したがって、そのようなFimH変異体は、大腸菌(E.coli)感染に対するワクチンなどの免疫原性組成物における抗原として有用となり得る。野生型FimHLDは、機能的免疫原性を刺激するその能力の観点から不十分な免疫原と考慮されるため、そのようなFimH変異体は、そのような免疫原性組成物において使用されるべき改善された抗原を提供することができる。
一態様では、実施例1に記載されている通り、FimH変異体は、マンノシドリガンドに対する親和性を低減させるために、FimHレクチンドメインをオープンコンフォメーション(confirmation)にロックする試みにおいて設計された。そのような変異体は、少なくとも1、2、3、4、5個以上の突然変異を含むことができる。突然変異は、尿路感染単離物の間で共通の天然起源のアミノ酸置換(substition)(V27Aなど);FimHLDのリガンド結合側における置換(位置F1およびQ133におけるものなど);FimHLDにおけるグリシンスイッチ突然変異(位置G15、G16およびG65におけるものなど);FimHLDにおけるジスルフィド結合安定化のためのシステイン対の導入(位置対P12-A18;G14-F144;P26-V35;P26-V154;P26-V156;V27-L34;V28-N33;V28-P157;Q32-Y108;N33-L109;N33-P157;V35-L107;V35-L109;S62-T86;S62-L129;Y64-A127;L68-F71;V112-T158;S113-T158;V118-V156;および/またはA119-V155におけるものなど);FimHLDにおける非極性から極性への突然変異(位置V27、L34、A119またはこれらのいずれかの組合せにおけるものなど);FimH-DSGのピリン-レクチン界面における空洞充填突然変異(DSG配列内の位置A115、V163、V185またはV3におけるものなど);または上に記すアミノ酸位置における突然変異の型のいずれかの組合せを含むことができる。別の態様では、本開示は、配列番号2~58および60~64において提供されるFimH変異体、またはそのような配列のいずれかにおいて記す変異体のいずれかの組合せを提供する。別の態様では、本開示は、配列番号23、50、51、52、53、54、60および62のいずれかに従ったFimH変異体を提供する。さらなる態様では、本開示は、配列番号62に従ったFimH変異体を提供する。
さらなる態様では、本開示は、単離された、配列番号2~58および60~64に提供されているFimH変異体のいずれかを提供する。例えば、一態様では、本開示は、単離された、配列番号23、50、51、52、53、54、60および62のいずれかに従ったFimH変異体を提供する。さらなる態様では、本開示は、単離された、配列番号62に従ったFimH変異体を提供する。
したがって、一部の特異的な態様では、本開示は、導入された突然変異の組合せを含むFimH変異体であって、表1に提供される変異体(すなわち、配列番号2~58および60~64における)のいずれかに記載される突然変異の組合せを含む変異体を提供する。表1における変異体のそれぞれに提供されるアミノ酸置換のいずれかの組合せを野生型FimHポリペプチド配列に作製して、異なるFimH変異体に到達することができる。他のいずれかのサブタイプまたは株のネイティブFimHポリペプチド配列に基づき、本明細書に記載されている突然変異の組合せのいずれかを含むFimH変異体もまた、本開示の範囲内にある。
本開示のさらなる態様は、配列番号1~64のいずれかと少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるポリペプチドである。好まれる態様では、ポリペプチドは、配列番号62と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である。本発明の別の態様は、配列番号1~64のいずれかと少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または99.9%同一であるポリペプチドである。好まれる態様では、ポリペプチドは、配列番号62と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または99.9%同一である。
本開示によって提供されるFimH変異体は、好適なベクターを使用した組換え宿主系における発現などにより、当業界で公知のルーチン方法によって調製することができる。好適な組換え宿主細胞は、例えば、昆虫細胞、哺乳動物細胞、鳥類細胞、細菌および酵母細胞を含む。好適な昆虫細胞の例は、例えば、Sf9細胞、Sf21細胞、Tn5細胞、Schneider S2細胞およびHigh Five細胞(親イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)BTI-TN-5B1-4細胞株(Invitrogen)に由来するクローナル単離物)を含む。好適な哺乳動物細胞の例は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児由来腎臓細胞(剪断されたアデノウイルス5型DNAによって典型的に形質転換された、HEK293またはExpi 293細胞)、NIH-3T3細胞、293-T細胞、Vero細胞およびHeLa細胞を含む。好適な鳥類細胞は、例えば、ニワトリ胚性幹細胞(例えば、EBx(登録商標)細胞)、ニワトリ胚性線維芽細胞、ニワトリ胚性生殖細胞、ウズラ類線維芽細胞(例えば、ELL-O)およびアヒル細胞を含む。バキュロウイルスベクターの系などの好適な昆虫細胞発現系は、当業者にとって公知であり、例えば、SummersおよびSmith、Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No.1555(1987)に記載されている。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系のための材料および方法は、とりわけ、Invitrogen、San Diego Calif.からキット形態で市販されている。鳥類細胞発現系もまた、当業者にとって公知であり、例えば、米国特許第5,340,740号;同第5,656,479号;同第5,830,510号;同第6,114,168号;および同第6,500,668号に記載されている。同様に、細菌および哺乳動物細胞発現系もまた、当業界で公知であり、例えば、Yeast Genetic Engineering(Barrら編、1989)Butterworths、Londonに記載されている。
昆虫または哺乳動物細胞における組換えタンパク質の発現のための多数の好適なベクターは、当業界で周知かつ従来のものである。好適なベクターは、次のうち1つまたは複数を含むがこれらに限定されない、多数の構成成分を含有することができる:複製起点;選択可能マーカー遺伝子;転写制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター)および/または1つもしくは複数の翻訳シグナルなどの1つまたは複数の発現制御エレメント;ならびに選択された宿主細胞における分泌経路へと標的化するためのシグナル配列またはリーダー配列(例えば、哺乳動物起源のまたは異種哺乳動物もしくは非哺乳動物種に由来する)。例えば、昆虫細胞における発現のため、pFastBac(Invitrogen)などの好適なバキュロウイルス発現ベクターが、組換えバキュロウイルス粒子の産生に使用される。バキュロウイルス粒子は、増幅され、昆虫細胞に感染させて組換えタンパク質を発現させるために使用される。哺乳動物細胞における発現のため、所望の哺乳動物宿主細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞)における構築物の発現を駆動するであろうベクターが使用される。
FimH変異体ポリペプチドは、いずれか好適な方法を使用して単離することができる。例えば、免疫親和性クロマトグラフィーによってFimHタンパク質変異体ポリペプチドを精製するための方法が、当業界で公知である。Ruiz-Arguelloら、J.Gen.Virol.、85:3677~3687(2004)。沈殿、ならびに様々な種類のクロマトグラフィー、例えば、疎水性相互作用、イオン交換、親和性、キレート化およびサイズ排除を含む、所望のタンパク質を精製するための好適な方法が、当業界で周知である。上述または他の好適な方法のうち2つ以上を使用して、好適な精製スキームを創出することができる。所望であれば、FimH変異体ポリペプチドは、エピトープタグまたはヒスチジン(His)タグなど、精製を容易にする「タグ」を含むことができる。そのようなタグを付けたポリペプチドは、例えば、馴化培地から、キレート化クロマトグラフィーまたは親和性クロマトグラフィーによって、簡便に単離することができる。
用語「抗原」は、本明細書で使用される場合、抗体によって認識され得る分子を指す。抗原の例は、免疫細胞によって認識されるものなど、抗原決定基を含有する、ポリペプチド、ペプチド、脂質、多糖および核酸を含む。
II.FimH変異体をコードする核酸
別の態様では、本開示は、本明細書に開示されているFimH変異体をコードする核酸分子を提供する。そのような核酸分子は、DNA、cDNAおよびRNA配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、発現ベクターなどのベクターに組み込むことができる。
一態様では、大腸菌(E.coli)FimH突然変異ポリ(pol)ペプチドまたはそのいずれかの断片をコードする核酸が開示されている。FimH変異体ポリペプチドまたはその断片をコードする1つまたは複数の核酸構築物を、ゲノム組込みおよびその後のポリペプチド発現のために使用することができる。例えば、FimH変異体ポリペプチドまたはその断片をコードする単一の核酸構築物を宿主細胞に導入することができる。あるいは、ポリペプチドのためのコード配列は、2つ以上の核酸構築物によって担持されていてよく、それらが次いで、宿主細胞に同時に、または連続的に導入される。
例えば、例示的な一実施形態では、単一の核酸構築物は、大腸菌(E.coli)FimHのレクチンドメインおよびピリンドメインをコードする。別の例示的な実施形態では、1つの核酸構築物が大腸菌(E.coli)FimHのレクチンドメインをコードし、第2の核酸構築物がピリンドメインをコードする。一部の態様では、ゲノム組込みが達成される。
核酸構築物は、1つまたは複数のイントロンを含むゲノムDNA、またはcDNAを含んでよい。一部の遺伝子は、イントロンが存在する場合に、より効率的に発現される。一部の態様では、核酸配列は、前記哺乳動物細胞における外因性ポリペプチドの発現に好適である。
一部の態様では、ポリペプチドまたはその断片をコードする核酸は、任意の特定の細胞において発現のレベルを上昇させるように最適化されているコドンである。
一部の態様では、核酸構築物は、大腸菌(E.coli)に由来するポリペプチドまたはその断片の分泌を指示するペプチドをコードするシグナル配列を含む。一部の態様では、核酸は、大腸菌(E.coli)FimHに由来するポリペプチドの天然シグナル配列を含む。大腸菌(E.coli)に由来するポリペプチドまたはその断片が内因性シグナル配列を含む一部の態様では、シグナル配列をコードする核酸配列は、宿主細胞においてタンパク質の発現のレベルを上昇させるように最適化されているコドンであり得る。
一部の態様では、シグナル配列は、次の長さ:15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、および30アミノ酸長のいずれか1つである。一部の態様では、シグナル配列は、20アミノ酸長である。一部の態様では、シグナル配列は21アミノ酸長である。
一部の態様では、ポリペプチドまたはその断片がシグナル配列を含む場合、培養細胞においてポリペプチドまたはその断片の発現のレベルを向上させるために、ポリペプチドと天然に会合している内因性シグナル配列を、野生型ポリペプチドと会合していないシグナル配列と置き換えることができる。したがって、一部の態様では、核酸は、大腸菌(E.coli)に由来するポリペプチドまたはその断片の天然シグナル配列を含まない。一部の態様では、核酸は、大腸菌(E.coli)FimHに由来するポリペプチドの天然シグナル配列を含まない。一部の態様では、大腸菌(E.coli)に由来するポリペプチドまたはその断片は、好ましくは、シグナル配列である異種ペプチド、または大腸菌(E.coli)またはその断片に由来する成熟タンパク質もしくはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のペプチドと共に発現され得る。例えば、大腸菌(E.coli)FimHに由来するポリペプチドまたはその断片は、好ましくはシグナル配列である異種ペプチド(例えば、IgKシグナル配列)、または成熟大腸菌(E.coli)FimHタンパク質のN末端に特異的切断部位を有する他のペプチドと共に発現され得る。好ましい態様では、成熟タンパク質大腸菌(E.coli)FimHのN末端での特異的切断は、成熟大腸菌(E.coli)FimHタンパク質の最初のフェニルアラニン残基の直前で生じる。選択される異種配列は好ましくは、宿主細胞により認識され、プロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼにより切断される)ものである。
好まれる態様では、シグナル配列は、IgKシグナル配列である。一部の態様では、核酸は、配列番号1~64のいずれかに記載されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする。一部の態様では、核酸は、アミノ酸配列の配列番号23、50、51、52、53、54、60、61または62をコードする。一部の態様では、核酸は、配列番号62に記載されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする。好まれる態様では、シグナル配列は、マウスIgKシグナル配列である。
FimH変異体ポリペプチドまたはその断片を産生するための好適な哺乳動物発現ベクターは、当業界で公知であり、Invitrogen(商標)からのpSecTag2発現ベクターなど、市販することができる。例示的なマウスIgカッパーシグナルペプチド配列は、配列ETDTLLLWVLLLWVPGSTG(配列番号65)を含む。一部の態様では、ベクターは、Thermo Fisher製のpBudCE4.1哺乳動物発現ベクターを含む。追加の例示的で好適なベクターには、pcDNA(商標)3.1哺乳動物発現ベクター(Thermo Fisher)が含まれる。
一部の態様では、シグナル配列は、血球凝集素シグナル配列を含まない。
一部の態様では、核酸は、FimHポリペプチドまたはその断片の天然シグナル配列を含む。一部の態様では、シグナル配列は、IgKシグナル配列ではない。一部の態様では、シグナル配列は、血球凝集素シグナル配列を含む。
一態様では、FimH変異体ポリペプチドまたはその断片のコード配列を含むベクターを本明細書において開示する。例示的なベクターは、自律複製し得るか、または哺乳動物細胞において複製し得るプラスミドを含む。典型的な発現ベクターは、発現構築物においてコード配列の発現を調節するために有用である好適なプロモーター、エンハンサー、およびターミネーターを含む。ベクターは、形質転換宿主細胞を選択するための表現型形質(アンピシリンまたはネオマイシンなどの抗生物質に対する耐性の付与など)を得るための選択マーカーを含んでもよい。
好適なプロモーターは当業界で公知である。例示的なプロモーターには、例えば、CMVプロモーター、アデノウイルス、EF1 a、GAPDHメタロチオニン(metallothionine)プロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、マウス乳癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーターなどが含まれる。プロモーターは、構成的でも、または誘導性プロモーターでもよい。1つまたは複数のベクターを用いることができる(例えば、全てのサブユニットもしくはドメインもしくはその断片をコードする1つのベクター、またはサブユニットもしくはドメインもしくはその断片を総合してコードする複数のベクター)。
配列内リボソーム侵入部位(IRES)および2Aペプチド配列も用いることができる。IRESおよび2Aペプチドは、複数の配列の共発現に関して代替のアプローチを提供する。IRESは、タンパク質合成のさらに大きなプロセスのうちの一部分として、メッセンジャーRNA(mRNA)配列の途中での翻訳開始を可能にするヌクレオチド配列である。通常は、真核生物では、翻訳はmRNA分子の5’末端のみで開始することができる。IRESエレメントは、1つの転写物での複数の遺伝子の発現を可能にする。1つの転写物から複数のタンパク質を発現する、IRESに基づくポリシストロン性ベクターは、選択から非発現クローンが漏れることを減少させることができる。2Aペプチドは、1個のオープンリーディングフレーム中の複数のタンパク質をポリタンパク質へと翻訳することを可能にし、このポリタンパク質は続いて、リボソームをスキップする機構を介して個別のタンパク質へと切断される。2Aペプチドは、複数のタンパク質生成物のよりバランスの取れた発現を提供することができる。例示的なIRES配列には、例えば、EV71 IRES、EMCV IRES、HCV IRESが含まれる。ゲノム組込みに関して、組込みは、部位特異的であるかまたはランダムであり得る。部位特異的組換えは、本明細書に記載の核酸構築物へと相同性配列を導入することにより実現することができる。そのような相同性配列は、宿主ゲノム中の特異的標的部位での内在性配列と実質的にマッチする。あるいは、ランダムな組込みを用いることができる。時には、タンパク質の発現レベルは組込み部位に応じて変化することがある。したがって、所望の発現レベルを達成するクローンを特定するために、組換えタンパク質の発現レベルに従って、多数のクローンを選択することが望ましいことがある。
例示的な核酸構築物は、図に、例えば、参照により本明細書に組み込まれる2021年5月6日に発表されたPCT国際公開番号WO2021/084429の図2A~図2Tにさらに記載されている。
一態様では、核酸配列は、配列番号1~64のいずれか1つと少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一性を有するアミノ酸配列をコードする。好まれる態様では、核酸配列は、配列番号62と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一性を有するアミノ酸配列をコードする。本発明の別の態様では、核酸配列は、配列番号1~64のいずれかと少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または99.9%同一性を有するアミノ酸配列をコードする。好まれる態様では、核酸配列は、配列番号62と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または99.9%同一性を有するアミノ酸配列をコードする。
本開示のある特定の態様では、RNAは、ペプチドまたはタンパク質をコードするRNA転写物に関するメッセンジャーRNA(mRNA)である。当業界で確立される通り、mRNAは一般に、5’非翻訳領域(5’-UTR)、ペプチドコード領域および3’非翻訳領域(3’-UTR)を含有する。一部の実施形態では、RNAは、in vitro転写または化学合成によって産生される。一実施形態では、mRNAは、DNA鋳型を使用したin vitro転写によって産生され、この場合、DNAは、デオキシリボヌクレオチドを含有する核酸を指す。一態様では、本明細書に記載されているRNAは、改変されたヌクレオシドを有することができる。一部の態様では、RNAは、少なくとも1個の(例えば、全ての)ウリジンの代わりに改変されたヌクレオシドを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている組成物または医療用調製物は、FimH変異体ポリペプチドを含むアミノ酸配列をコードするRNAを含む。同様に、本明細書に記載されている方法は、そのようなRNAの投与を含む。本明細書における使用のための可能なプラットフォームの1つは、好ましくは最小のワクチン用量による保護的免疫化を達成するための頑強な中和抗体および付随する/随伴性のT細胞応答を誘導するための抗原コードRNAワクチンに基づく。投与されるRNAは、好ましくは、in-vitro転写されたRNAである。3種の異なるRNAプラットフォーム、すなわち、非改変ウリジン含有mRNA(uRNA)、ヌクレオシド改変mRNA(modRNA)および自己増幅RNA(saRNA)が、特に好まれる。特に好まれる一態様では、RNAは、in vitro転写されたRNAである。
III.宿主細胞
一態様では、本開示は、FimH変異体ポリペプチドまたはその断片をコードする配列が哺乳動物宿主細胞で発現される細胞に関する。一実施形態では、ポリペプチドは、宿主細胞で一過性に発現される。別の実施形態では、ポリペプチドは、宿主細胞のゲノムに安定に組み込まれて、好適な条件下で培養されるとき、ポリペプチドまたはその断片を発現する。好ましい一実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、高い効率およびゲノム安定性で発現される。
好適な哺乳動物宿主細胞は当業界で公知である。好ましくは、宿主細胞は、工業的製造スケールでタンパク質を生産するために好適である。例示的な哺乳動物宿主細胞には、次のものおよびその誘導体のいずれか1つが含まれる:チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS細胞(サル腎臓(アフリカミドリザル)に由来する細胞系、Vero細胞、Hela細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、ヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞、NSO細胞(マウス骨髄腫細胞系)、およびC127細胞(非腫瘍発生性マウス細胞系)。さらなる例示的な哺乳動物宿主細胞には、マウスセルトリ(TM4)、バッファローラット肝臓(BRL 3A)、マウス乳房腫瘍(MMT)、ラット肝細胞癌(HTC)、マウス骨髄腫(NSO)、マウスハイブリドーマ(Sp2/0)、マウス胸腺腫(EL4)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)およびCHO細胞誘導体、マウス胚性(NIH/3T3、3T3 Li)、ラット心筋(H9c2)、マウス筋原細胞(C2C12)、およびマウス腎臓(miMCD-3)が含まれる。哺乳動物細胞系のさらなる例には、NS0/1、Sp2/0、Hep G2、PER.C6、COS-7、TM4、CV1、VERO-76、MDCK、BRL 3A、W138、MMT 060562、TR1、MRC5、およびFS4が含まれる。
細胞培養が可能ないずれの細胞も、本発明に従って用いることができる。一部の態様では、細胞は哺乳動物細胞である。本発明に従って使用することができる哺乳動物細胞の非限定的例には、BALB/cマウス骨髄腫系(NSO/l、ECACC No:85110503);ヒト網膜芽細胞(PER.C6、Cru細胞、Leiden、The Netherlands);SV40により形質転換されたサル腎臓CV1系(COS-7、ATCC CRL 1651);ヒト胎児由来腎臓系(293細胞または懸濁培養で増殖させるためにサブクローニングさせた293細胞、Grahamら、J.Gen Virol.、36:59、1977);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞+/-DHFR(CHO、Urlaub and Chasin、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4216、1980);マウス28yophil細胞(TM4、Mather、Biol.Reprod.、23:243~251、1980);サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1 587);ヒト子宮頸癌細胞(HeLa、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Matherら、Annals N.Y.Acad.Sci.、383:44~68、1982);MRC 5細胞;FS4細胞;およびヒト肝細胞癌系(Hep G2)が含まれる。一部の好ましい実施形態では、細胞は、CHO細胞である。一部の好ましい態様では、細胞は、GS細胞である。
加えて、任意の数の市販および非市販のハイブリドーマ細胞系を本発明に従って用いることができる。用語「ハイブリドーマ」は、本明細書で使用される場合、不死化細胞および抗体産生細胞の融合から生じる細胞または後代の細胞を指す。そのように得られたハイブリドーマは、抗体を産生する不死化細胞である。ハイブリドーマを作製するために使用される個々の細胞は、限定されるものではないが、ラット、ブタ、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、およびヒトを含む、任意の哺乳動物源由来であってよい。一部の態様では、ハイブリドーマは、ヒト細胞とマウス骨髄腫細胞系との間の融合の産物であるヘテロハイブリッド骨髄腫融合の後代がその後、形質細胞と融合するときに生じるトリオーマ細胞系である。一部の態様では、ハイブリドーマは、例えば、クアドローマなど、抗体を産生する任意の不死化ハイブリッド細胞系である(例えば、Milstein et al.、Nature、537:3053(1983)を参照されたい)。当業者は、ハイブリドーマ細胞系が異なる栄養要件を有し得、かつ/または最適な増殖のために異なる培養条件を要求し得ることが分かるであろうし、必要に応じて、条件を改変することができるであろう。
一部の態様では、細胞は、第1の目的遺伝子を含み、その際、第1の目的遺伝子は、染色体組込みされている。一部の態様では、第1の目的遺伝子は、レポーター遺伝子、選択遺伝子、目的の遺伝子(例えば、大腸菌(E.coli)に由来するポリペプチドまたはその断片をコード)、従属遺伝子、またはそれらの組合せを含む。一部の態様では、治療目的の遺伝子は、難発現(DtE)タンパク質をコードする遺伝子を含む。
一部の態様では、第1の目的遺伝子は、部位特異的組込み(SSI)哺乳動物細胞における2つの別個の組換え標的部位(RTS)の間に位置し、その際、2つのRTSは、NL1遺伝子座またはNL2遺伝子座内で染色体組込みされている。例えば、NL1遺伝子座、NL2遺伝子座、NL3遺伝子座、NL4遺伝子座、NL5遺伝子座、およびNL6遺伝子座の記載については、米国特許出願第20200002727号を参照されたい。一部の態様では、第1の目的遺伝子は、NL1遺伝子座内に位置する。一部の態様では、細胞は、第2の目的遺伝子を含み、その際、第2の目的遺伝子は染色体組込みされている。一部の態様では、第2の目的遺伝子は、レポーター遺伝子、選択遺伝子、治療目的の遺伝子(FimH変異体ポリペプチドまたはその断片など)、従属遺伝子、またはそれらの組合せを含む。一部の態様では、治療目的の遺伝子は、DtEタンパク質をコードする遺伝子を含む。一部の態様では、第2の目的遺伝子は、2つのRTSの間に位置する。一部の態様では、第2の目的遺伝子は、NL1遺伝子座またはNL2遺伝子座内に位置する。一部の態様では、第1の目的遺伝子はNL1遺伝子座内に位置し、第2の目的遺伝子はNL2遺伝子座内に位置する。一部の態様では、細胞は、第3の目的遺伝子を含み、その際、第3の目的遺伝子は染色体組込みされている。一部の態様では、第3の目的遺伝子は、レポーター遺伝子、選択遺伝子、治療目的の遺伝子(大腸菌(E.coli)に由来するポリペプチドまたはその断片など)、従属遺伝子、またはそれらの組合せを含む。一部の態様では、治療目的の遺伝子は、DtEタンパク質をコードする遺伝子を含む。一部の態様では、第3の目的遺伝子は、2つのRTSの間に位置する。一部の態様では、第3の目的遺伝子は、NL1遺伝子座またはNL2遺伝子座内に位置する。一部の態様では、第3の目的遺伝子は、NL1遺伝子座およびNL2遺伝子座とは別個の遺伝子座内に位置する。一部の態様では、第1の目的遺伝子、第2の目的遺伝子、および第3の目的遺伝子は、3つの別々の遺伝子座内にある。一部の態様では、第1の目的遺伝子、第2の目的遺伝子、および第3の目的遺伝子のうちの少なくとも1つは、NL1遺伝子座内にあり、第1の目的遺伝子、第2の目的遺伝子、および第3の目的遺伝子のうちの少なくとも1つは、NL2遺伝子座内にある。一部の態様では、細胞は、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含む。一部の態様では、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子は染色体組込みされている。
別の態様では、本開示は、少なくとも4つの別個のRTSを含む哺乳動物細胞を提供し、その際、細胞は、(a)NL1遺伝子座またはNL2遺伝子座内で染色体組込みされている少なくとも2つの別個のRTS;(b)レポーター遺伝子、DtEタンパク質をコードする遺伝子、従属遺伝子、またはそれらの組合せを含む、(a)の少なくとも2つのRTSの間に組み込まれている第1の目的遺伝子;(c)およびレポーター遺伝子、DtEタンパク質(大腸菌(E.coli)に由来するポリペプチドまたはその断片など)をコードする遺伝子、従属遺伝子、またはそれらの組合せを含む、(a)の遺伝子座とは別個の第2の染色体遺伝子座内に組み込まれた第2の目的遺伝子を含む。一部の態様では、本開示は、少なくとも4つの別個のRTSを含む哺乳動物細胞を提供し、その際、細胞は、(a)Fer1L4遺伝子座内で染色体組込みされている少なくとも2つの別個のRTS;(b)NL1遺伝子座またはNL2遺伝子座内で染色体組込みされている少なくとも2つの別個のRTS;(c)レポーター遺伝子、DtEタンパク質をコードする遺伝子、従属遺伝子、またはそれらの組合せを含む、Fer1L4遺伝子座内で染色体組込みされている第1の目的遺伝子;および(d)レポーター遺伝子、DtEタンパク質(大腸菌(E.coli)に由来するポリペプチドまたはその断片など)をコードする遺伝子、従属遺伝子、またはそれらの組合せを含む、(b)のNL1遺伝子座またはNL2遺伝子座内で染色体組込みされている第2の目的の遺伝子を含む。
一部の態様では、本開示は、少なくとも6つの別個のRTSを含む哺乳動物細胞を提供し、その際、細胞は、(a)Fer1L4遺伝子座内で染色体組込みされている少なくとも2つの別個のRTSおよび第1の目的遺伝子;(b)NL1遺伝子座内で染色体組込みされている少なくとも2つの別個のRTSおよび第2の目的遺伝子;および(c)NL2遺伝子座内で染色体組込みされている少なくとも2つの別個のRTSおよび第3の目的遺伝子を含む。
本明細書において言及される場合、用語「作動可能な組合せで」、「作動可能な順序で」、および「作動可能に連結された」は、所与の遺伝子の転写および/または所望のタンパク質分子の合成を指示し得る核酸分子が産生されるような手法での核酸配列の連結を指す。この用語はまた、機能性タンパク質が産生されるような手法でのアミノ酸配列の連結を指す。一部の態様では、目的遺伝子はプロモーターに作動可能に連結されていて、その際、目的遺伝子は、宿主細胞に染色体組込みされている。一部の態様では、目的遺伝子は、異種プロモーターに作動可能に連結されており;その際、目的遺伝子は、宿主細胞に染色体組込みされている。一部の態様では、従属遺伝子は、プロモーターに作動可能に連結されており、その際、従属遺伝子は、宿主細胞ゲノムに染色体組込みされている。一部の態様では、従属遺伝子は、異種プロモーターに作動可能に連結されており;その際、従属遺伝子は、宿主細胞ゲノムに染色体組込みされている。一部の態様では、DtEタンパク質をコードする遺伝子は、プロモーターに作動可能に連結されており、その際、DtEタンパク質をコードする遺伝子は、宿主細胞ゲノムに染色体組込みされている。一部の態様では、DtEタンパク質をコードする遺伝子は、異種プロモーターに作動可能に連結されており、その際、DtEタンパク質をコードする遺伝子は、宿主細胞ゲノムに染色体組込みされている。一部の態様では、リコンビナーゼ遺伝子は、プロモーターに作動可能に連結されており、その際、リコンビナーゼ遺伝子は、宿主細胞に染色体組込みされている。一部の態様では、リコンビナーゼ遺伝子は、プロモーターに作動可能に連結されており、その際、リコンビナーゼ遺伝子は、宿主細胞ゲノムに染色体組込みされている。一部の態様では、リコンビナーゼ遺伝子は、異種プロモーターに作動可能に連結されており、その際、リコンビナーゼ遺伝子は、宿主細胞ゲノムに染色体組込みされていない。一部の態様では、リコンビナーゼ遺伝子は、異種プロモーターに作動可能に連結されており、その際、リコンビナーゼ遺伝子は、宿主細胞ゲノムに染色体組込みされていない。
本明細書において言及される場合、用語「染色体組込みされている」または「染色体組込み」は、宿主細胞、例えば、哺乳動物細胞の染色体への核酸配列の安定な組込み、すなわち、宿主細胞、例えば、哺乳動物細胞のゲノムDNA(gDNA)に染色体組込みされた核酸配列を指す。一部の態様では、染色体組込みされている核酸配列は安定している。一部の態様では、染色体組込みされている核酸配列は、プラスミドまたはベクター上に位置しない。一部の態様では、染色体組込みされている核酸配列は切除されない。一部の態様では、染色体組込みは、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(clustered regularly interspaced short palindromic repeats;CRISPR)およびCRISPR関連タンパク質(Cas)遺伝子編集システム(CRISPR/CAS)により媒介される。
IV.組成物および製剤
一態様では、本開示は、本明細書に記載されている少なくとも1つのFimH変異体ポリペプチドまたはその断片を含む組成物を含む。一部の態様では、組成物は、大腸菌(E.coli)の病原性の種に対する免疫を与えることができる、抗体を含む免疫応答を惹起する。
一部の態様では、組成物は、唯一の抗原としてFimH変異体ポリペプチドを含む。一部の態様では、組成物は、コンジュゲートを含まない。
一部の態様では、組成物は、FimH変異体ポリペプチドと、少なくとも1つの追加の抗原とを含む。一部の態様では、組成物は、FimH変異体ポリペプチドと、追加の大腸菌(E.coli)抗原とを含む。一部の態様では、組成物は、FimH変異体ポリペプチドと、大腸菌(E.coli)由来の糖コンジュゲートとを含む。
一部の態様では、組成物は、FimH変異体ポリペプチドと、大腸菌(E.coli)FimCに由来するポリペプチドまたはその断片とを含む。
一実施形態では、本開示は、FimH変異体ポリペプチドと、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年5月6日に発表されたPCT国際公開番号WO2021/084429および2020年2月27日に発表されたWO2020/039359ならびに2020年2月27日に発表された米国特許出願公開番号US2020/0061177に開示されている糖構造のうちいずれか1つから選択される構造を含む糖とを含む組成物を含む。一態様では、本開示は、FimH変異体ポリペプチド;および糖を含む組成物を含み、糖は、式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式62D1、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187(式中で、nは、1~100、好ましくは31~90の整数である)のいずれかから選択される構造を含む。
一部の実施形態では、組成物は、本明細書に開示の糖のいずれか1つを含む。好ましい実施形態では、組成物は、本明細書に開示のコンジュゲートのいずれか1つを含む。
一部の実施形態では、組成物は、大腸菌(E.coli)血清型O25、好ましくは血清型O25bからの少なくとも1つの糖コンジュゲートを含む。一実施形態では、組成物は、大腸菌(E.coli)血清型O1、好ましくは血清型O1aからの少なくとも1つの糖コンジュゲートを含む。一実施形態では、組成物は、大腸菌(E.coli)血清型O2からの少なくとも1つの糖コンジュゲートを含む。一実施形態では、組成物は、大腸菌(E.coli)血清型O6からの少なくとも1つの糖コンジュゲートを含む。
一実施形態では、組成物は、次の大腸菌(E.coli)血清型O25、O1、O2、およびO6、好ましくは、O25b、O1a、O2、およびO6のいずれか1つから選択される少なくとも1つの糖コンジュゲートを含む。一実施形態では、組成物は、次の大腸菌(E.coli)血清型O25、O1、O2およびO6、好ましくは、O25b、O1a、O2およびO6のいずれか1種から選択される少なくとも2種の糖コンジュゲートを含む。別の実施形態では、組成物は、次の大腸菌(E.coli)血清型O25、O1、O2およびO6、好ましくは、O25b、O1a、O2およびO6のいずれか1種から選択される少なくとも3種の糖コンジュゲートを含む。さらなる実施形態では、組成物は、次の大腸菌(E.coli)血清型O25、O1、O2およびO6、好ましくは、O25b、O1a、O2およびO6のそれぞれに由来する糖コンジュゲートを含む。
好ましい一実施形態では、上の組成物のいずれかの糖コンジュゲートは個別に、CRM197にコンジュゲートされている。別の好まれる実施形態では、上述の組成物のいずれかの糖コンジュゲートは、SCPに個々にコンジュゲートされている。
したがって、一部の実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および少なくとも1つの大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。好ましい一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および1つよりも多いより大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。例えば、前記組成物は、2つの異なる大腸菌(E.coli)血清型(または「v」、価数)から12の異なる血清型(12v)からのO抗原を含み得る。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および3つの異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および4つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチドと、5種の異なる大腸菌(E.coli)血清型由来のO抗原とを含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および6つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および7つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および8つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および9つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および10の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および11の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および12の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および13の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および14の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および15の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および16の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および17の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および18の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および19の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および20の異なる血清型に由来するO抗原を含む。
好ましくは、大腸菌(E.coli)糖の数は、1種の血清型(または「v」、価数)から26種の異なる血清型(26v)までの範囲であってよい。一実施形態では、1種の血清型が存在する。一実施形態では、2種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、3種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、4種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、5種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、6種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、7種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、8種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、9種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、10種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、11種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、12種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、13種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、14種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、15種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、16種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、17種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、18種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、19種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、20種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、21種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、22種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、23種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、24種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、25種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、26種の異なる血清型が存在する。糖を担体タンパク質にコンジュゲートして、本明細書に記載の糖コンジュゲートを形成させる。
一態様では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド;およびO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、少なくとも1つの大腸菌(E.coli)血清群からのO抗原を含む糖コンジュゲートを含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド;およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、1つよりも多い大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、2つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、3つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、4つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、5つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、6つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、7つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、8つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、9つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、10の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチドからのO抗原、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、11の異なる大腸菌(E.coli)血清型を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、12の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、13の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、14の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、15の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、16の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、17の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、18の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、19の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、20の異なる血清型に由来するO抗原を含む。
別の態様では、組成物は、少なくとも1つの大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。好ましい一実施形態では、組成物は、1つよりも多い大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。例えば、前記組成物は、2つの異なる大腸菌(E.coli)血清型から12の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含み得る。一実施形態では、組成物は、3つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、4つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、5つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、6つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、7つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、8つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、9つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、10の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、11の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、12の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、13の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、14の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、15の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、16の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、17の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、18の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、19の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、20の異なる血清型に由来するO多糖を含む。
好ましい一実施形態では、組成物は、O多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、少なくとも1つの大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。好ましい一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、1つよりも多い大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。例えば、前記組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、2つの異なる大腸菌(E.coli)血清型から12の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含んでよい。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、3つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、4つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、5つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、6つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、7つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、8つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、9つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、10の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、11の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、12の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、13の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、14の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、15の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、16の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、17の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、18の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、19の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、20の異なる血清型に由来するO多糖を含む。
最も好ましい実施形態では、組成物は、少なくとも1つの大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含み、その際、O多糖は、担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖は、O抗原およびコア糖を含む。好ましい実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、1種より多い大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。例えば、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、2つの異なる大腸菌(E.coli)血清型から12の異なる大腸菌(E.coli)血清型のO多糖を含み得る。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、3つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、4種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、5つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、6つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、7つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、8種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、9種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、10の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、11種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、12種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、13種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、14種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、15種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、16種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、17種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、18種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、19種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、20種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。好ましい一実施形態では、担体タンパク質は、CRM197である。
別の好まれる実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチドと、CRM197にコンジュゲートされたO多糖とを含み、O多糖は、式O25a(式中、nは、少なくとも30である)と、コア糖とを含む。好まれる実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖をさらに含み、O多糖は、式O25b(式中、nは、少なくとも40である)と、コア糖とを含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖をさらに含み、O多糖は、式O1a(式中、nは、少なくとも30である)と、コア糖とを含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖をさらに含み、O多糖は、式O2(式中、nは、少なくとも30である)と、コア糖とを含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖をさらに含み、O多糖は、式O6(式中、nは、少なくとも30である)と、コア糖とを含む。
別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖をさらに含み、O多糖は、式O17(式中、nは、少なくとも30である)と、コア糖とを含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖をさらに含み、O多糖は、式O15(式中、nは、少なくとも30である)と、コア糖とを含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖をさらに含み、O多糖は、式O18A(式中、nは、少なくとも30である)と、コア糖とを含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O75(式中、nは少なくとも30である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O4(式中、nは少なくとも30である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O16(式中、nは少なくとも30である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O13(式中、nは少なくとも30である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖をさらに含み、O多糖は、式O7(式中、nは、少なくとも30である)と、コア糖とを含む。
別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O8(式中、nは少なくとも30である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、O多糖は、式O8(式中、nは、1~20、好ましくは2~5、より好ましくは3である)を含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O9(式中、nは少なくとも30である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、O多糖は、式O9(式中、nは、1~20、好ましくは4~8、より好ましくは5である)を含む。別の実施形態では、O多糖は、式O9a(式中、nは、1~20、好ましくは4~8、より好ましくは5である)を含む。
一部の実施形態では、O多糖は、式O20ab、式O20ac、式O52、式O97、および式O101(式中、nは1~20、好ましくは4~8、より好ましくは5である)のいずれか1つから選択される。
前記の通り、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびコンジュゲートされているO多糖(抗原)の任意の組合せを含み得る。1つの例示的な実施形態では、組成物は、式O25bを含む多糖、式O1Aを含む多糖、式O2を含む多糖、および式O6を含む多糖を含む。より具体的には、そのような組成物は、(i)CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O25b(式中、nは少なくとも30である)とコア糖とを含むO多糖;(ii)CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O1a(式中、nは少なくとも30である)とコア糖とを含むO多糖;(iii)CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O2(式中、nは少なくとも30である)とコア糖とを含むO多糖;および(iv)CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O6(式中、nは少なくとも30である)とコア糖とを含むO多糖を含む。
一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびO25aではない、いずれかの大腸菌(E.coli)血清型に由来する少なくとも1つのO多糖を含む。例えば、一実施形態では、組成物は、式O25aを含む糖を含まない。そのような組成物は、例えば、式O25bを含むO多糖、式O1Aを含むO多糖、式O2を含むO多糖、および式O6を含むO多糖を含み得る。
一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、2つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、3つの異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチドと、4種の異なる大腸菌(E.coli)血清型由来のO多糖とを含み、各O多糖は、CRM197にコンジュゲートされ、O多糖は、O抗原とコア糖とを含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチドと、5種の異なる大腸菌(E.coli)血清型由来のO多糖とを含み、各O多糖は、CRM197にコンジュゲートされ、O多糖は、O抗原とコア糖とを含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチドと、6種の異なる大腸菌(E.coli)血清型由来のO多糖とを含み、各O多糖は、CRM197にコンジュゲートされ、O多糖は、O抗原とコア糖とを含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチドと、7種の異なる大腸菌(E.coli)血清型由来のO多糖とを含み、各O多糖は、CRM197にコンジュゲートされ、O多糖は、O抗原とコア糖とを含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチドと、8種の異なる大腸菌(E.coli)血清型由来のO多糖とを含み、各O多糖は、CRM197にコンジュゲートされ、O多糖は、O抗原とコア糖とを含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチドと、9種の異なる大腸菌(E.coli)血清型由来のO多糖とを含み、各O多糖は、CRM197にコンジュゲートされ、O多糖は、O抗原とコア糖とを含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、10の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、11の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチドと、12種の異なる血清型由来のO多糖とを含み、各O多糖は、CRM197にコンジュゲートされ、O多糖は、O抗原とコア糖とを含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、13の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、14の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、15の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、16の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、17の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、18の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、19の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、およびそれぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原およびコア糖を含む、20の異なる血清型に由来するO多糖を含む。
一態様では、本発明は、FimH変異体ポリペプチドと、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートとを含む組成物であって、糖が、式O25b(式中、nは、15±2である)を含む、組成物を提供する。一態様では、本発明は、FimH変異体ポリペプチド、および糖が、nが17±2である式O25bを含む、担体タンパク質に共有結合されている糖を含むコンジュゲートを含む組成物に関する。一態様では、本発明は、FimH変異体ポリペプチド、および糖が、nが55±2である式O25bを含む、担体タンパク質に共有結合されている糖を含むコンジュゲートを含む組成物に関する。別の態様では、本発明は、FimH変異体ポリペプチド、および糖が、nが51±2である式O25bを含む、担体タンパク質に共有結合されている糖を含むコンジュゲートを含む組成物に関する。別の態様では、本発明は、FimH変異体ポリペプチドと、担体タンパク質と共有結合した糖を含むコンジュゲートとを含む組成物であって、糖が、式O25b(式中、nは、30より大きい整数であり、好ましくは、nは、31~100の整数である)を含む、組成物に関する。一実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R1コア糖部分をさらに含む。別の実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)K12コア糖部分をさらに含む。別の実施形態では、糖は、KDO部分をさらに含む。好ましくは、担体タンパク質は、CRM197である。一実施形態では、コンジュゲートは、単一末端結合コンジュゲーションによって調製される。一実施形態では、コンジュゲートは、好ましくはDMSO緩衝剤中での還元的アミノ化化学によって調製される。一実施形態では、糖は、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされる。好ましくは、組成物は、薬学的に許容できる希釈剤をさらに含む。
一態様では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、ELISAアッセイによって決定される場合、少なくとも0.2pg/ml、0.3pg/ml、0.35pg/ml、0.4pg/mlまたは0.5pg/mlの濃度で大腸菌(E.coli)血清型O25B多糖に結合することができる。したがって、本発明の免疫原性組成物を用いた免疫前および免疫後の血清のOPA活性の比較を行い、血清型O25Bに対するそれらの応答について比較して、応答者の増加の可能性を評価することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定される場合、大腸菌(E.coli)血清型O25Bを殺傷することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいて機能的抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定される場合、大腸菌(E.coli)血清型O25Bを殺傷することができる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O25Bに対する応答者(すなわち、in vitro
OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を増大させる。一実施形態では、免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用性殺傷アッセイによって決定される場合、少なくとも50%の対象において、大腸菌(E.coli)血清型O25Bに対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用性殺傷アッセイによって決定される場合、少なくとも60%、70%、80%、または少なくとも90%の対象において、大腸菌(E.coli)血清型O25Bに対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O25Bに対する応答者(すなわち、in vitro
OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を有意に増大させる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O25Bに対するヒト対象のOPA力価を有意に増大させる。
一態様では、本発明は、FimH変異体ポリペプチドと、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートとを含む組成物であって、糖が、式O1a(式中、nは、30より大きい整数であり、好ましくは、nは、31~100の整数である)を含む、組成物に関する。別の態様では、本発明は、FimH変異体ポリペプチドと、担体タンパク質と共有結合した糖を含むコンジュゲートとを含む組成物であって、糖が、式O1a(式中、nは、39±2である)を含む、組成物に関する。別の態様では、本発明は、FimHポリペプチド、および糖が、nが13±2である式O1aを含む、担体タンパク質に共有結合されている糖を含むコンジュゲートを含む組成物に関する。一実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R1コア糖部分をさらに含む。一実施形態では、糖は、KDO部分をさらに含む。好ましくは、担体タンパク質はCRM197である。一実施形態では、コンジュゲートは、単一末端結合コンジュゲーションによって調製される。一実施形態では、コンジュゲートは、好ましくはDMSO緩衝剤中での還元的アミノ化化学反応によって調製される。一実施形態では、糖は、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされる。好ましくは、組成物は、薬学的に許容できる希釈剤をさらに含む。
一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、ELISAアッセイによって決定される場合、少なくとも0.2pg/ml、0.3pg/ml、0.35pg/ml、0.4pg/mlまたは0.5pg/mlの濃度で大腸菌(E.coli)血清型O1A多糖に結合することができる。したがって、本発明の免疫原性組成物を用いた免疫前および免疫後の血清のOPA活性の比較を行い、血清型O1Aに対するそれらの応答について比較して、応答者の増加の可能性を評価することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定される場合、大腸菌(E.coli)血清型O1Aを殺傷することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいて機能的抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定される場合、大腸菌(E.coli)血清型O1Aを殺傷することができる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O1Aに対する応答者(すなわち、in vitro
OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を増大させる。一実施形態では、免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用性殺傷アッセイによって決定される場合、少なくとも50%の対象において、大腸菌(E.coli)血清型O1Aに対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用性殺傷アッセイによって決定される場合、少なくとも60%、70%、80%、または少なくとも90%の対象において、大腸菌(E.coli)血清型O1Aに対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O1Aに対する応答者(すなわち、in vitro
OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を有意に増大させる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O1Aに対するヒト対象のOPA力価を有意に増大させる。
一態様では、本発明は、FimH変異体ポリペプチドと、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートとを含む組成物であって、糖が、式O2(式中、nは、30より大きい整数であり、好ましくは、nは、31~100の整数である)を含む、組成物に関する。別の態様では、本発明は、FimH変異体ポリペプチドと、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートとを含む組成物であって、糖が、式O2(式中、nは、43±2である)を含む、組成物に関する。別の態様では、本発明は、FimH変異体ポリペプチドと、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートとを含む組成物であって、糖が、式O2(式中、nは、47±2である)を含む、組成物に関する。別の態様では、本発明は、FimH変異体ポリペプチドと、担体タンパク質と共有結合した糖を含むコンジュゲートとを含む組成物であって、糖が、式O2(式中、nは、17±2である)を含む、組成物に関する。別の態様では、本発明は、FimH変異体ポリペプチドと、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートとを含む組成物であって、糖が、式O2(式中、nは、18±2である)を含む、組成物に関する。一実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R1コア糖部分をさらに含む。別の実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R4コア糖部分をさらに含む。別の実施形態では、糖は、KDO部分をさらに含む。好ましくは、担体タンパク質はCRM197である。一実施形態では、コンジュゲートは、単一末端結合コンジュゲーションによって調製される。一実施形態では、コンジュゲートは、好ましくはDMSO緩衝剤中での還元的アミノ化化学反応によって調製される。一実施形態では、糖は、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされている。好ましくは、組成物は、薬学的に許容できる希釈剤をさらに含む。
一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、ELISAアッセイによって決定される場合、少なくとも0.2pg/ml、0.3pg/ml、0.35pg/ml、0.4pg/mlまたは0.5pg/mlの濃度で大腸菌(E.coli)血清型O2多糖に結合することができる。したがって、本発明の免疫原性組成物を用いた免疫前および免疫後の血清のOPA活性の比較を行い、血清型O2に対するそれらの応答について比較して、応答者の増加の可能性を評価することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定される場合、大腸菌(E.coli)血清型O2を殺傷することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいて機能的抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定される場合、大腸菌(E.coli)血清型O2を殺傷することができる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O2に対する応答者(すなわち、in vitro
OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を増大させる。一実施形態では、免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用性殺傷アッセイによって決定される場合、少なくとも50%の対象において、大腸菌(E.coli)血清型O2に対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用性殺傷アッセイによって決定される場合、少なくとも60%、70%、80%、または少なくとも90%の対象において、大腸菌(E.coli)血清型O2に対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O2に対する応答者(すなわち、in vitro
OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を有意に増大させる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O2に対するヒト対象のOPA力価を有意に増大させる。
一態様では、本発明は、FimH変異体ポリペプチドと、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートとを含む組成物であって、糖が、式O6(式中、nは、30より大きい整数であり、好ましくは、nは、31~100の整数である)を含む、組成物に関する。一態様では、本発明は、FimH変異体ポリペプチドと、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートとを含む組成物であって、糖が、式O6(式中、nは、42±2である)を含む、組成物に関する。別の態様では、本発明は、FimH変異体ポリペプチド、および糖が、nが50±2である式O6を含む、担体タンパク質に共有結合されている糖を含むコンジュゲートを含む組成物に関する。別の態様では、本発明は、FimH変異体ポリペプチド、および糖が、nが17±2である式O6を含む、担体タンパク質に共有結合されている糖を含むコンジュゲートを含む組成物に関する。別の態様では、本発明は、FimH変異体ポリペプチド、および糖が、nが18±2である式O6を含む、担体タンパク質に共有結合されている糖を含むコンジュゲートを含む組成物に関する。一実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R1コア糖部分をさらに含む。一実施形態では、糖は、KDO部分をさらに含む。好ましくは、担体タンパク質はCRM197である。一実施形態では、コンジュゲートは、単一末端結合コンジュゲーションによって調製される。一実施形態では、コンジュゲートは、好ましくはDMSO緩衝剤中での還元的アミノ化化学反応によって調製される。一実施形態では、糖は、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされる。好ましくは、組成物は、薬学的に許容できる希釈剤をさらに含む。
一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、ELISAアッセイによって決定される場合、少なくとも0.2pg/ml、0.3pg/ml、0.35pg/ml、0.4pg/mlまたは0.5pg/mlの濃度で大腸菌(E.coli)血清型O6多糖に結合することができる。したがって、本発明の免疫原性組成物を用いた免疫前および免疫後の血清のOPA活性の比較を行い、血清型O6に対するそれらの応答について比較して、応答者の増加の可能性を評価することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定される場合、大腸菌(E.coli)血清型O6を殺傷することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいて機能的抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定される場合、大腸菌(E.coli)血清型O6を殺傷することができる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O6に対する応答者(すなわち、in vitro
OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を増大させる。一実施形態では、免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用性殺傷アッセイによって決定される場合、少なくとも50%の対象において、大腸菌(E.coli)血清型O6に対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用性殺傷アッセイによって決定される場合、少なくとも60%、70%、80%、または少なくとも90%の対象において、大腸菌(E.coli)血清型O6に対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O6に対する応答者(すなわち、in vitro
OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を有意に増大させる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O6に対するヒト対象のOPA力価を有意に増大させる。
一態様では、組成物は、FimH変異体ポリペプチド、および担体タンパク質に共有結合されている糖を含むコンジュゲートを含み、糖は、式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式62D1、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187(式中、nは、1~100、好ましくは31~90の整数である)のいずれか1つから選択される構造を含む。一実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R1コア糖部分をさらに含む。一実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R2コア糖部分をさらに含む。一実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R3コア糖部分をさらに含む。別の実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R4コア糖部分をさらに含む。一実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)K12コア糖部分をさらに含む。別の実施形態では、糖は、KDO部分をさらに含む。好ましくは、担体タンパク質は、CRM197である。一実施形態では、コンジュゲートは、単一末端結合コンジュゲーションによって調製される。一実施形態では、コンジュゲートは、好ましくはDMSO緩衝剤中での還元的アミノ化化学反応によって調製される。一実施形態では、糖は、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされる。好ましくは、組成物は、薬学的に許容できる希釈剤をさらに含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのコンジュゲートが担体タンパク質に共有結合した糖を含み、糖が前記式のいずれか1つから選択される構造を含む、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29のさらなるコンジュゲートから、最大でも30のさらなるコンジュゲートをさらに含む。
A.糖
1.糖およびO多糖
一実施形態では、糖は、糖のサイズを制御するために、異なるWzzタンパク質(例えば、WzzB)の発現(必ずしも過剰発現ではない)によって産生される。
本明細書で使用される場合、用語「糖」は、単一の糖部分または単糖単位ならびに二糖、オリゴ糖、および多糖を形成するように共有結合した2つ以上の単一の糖部分または単糖単位の組合せを指す。糖は、線状または分枝状であってもよい。
一実施形態では、糖は、組換えグラム陰性細菌中で産生される。一実施形態では、糖は、組換え大腸菌(E.coli)細胞中で産生される。一実施形態では、糖は、組換えサルモネラ菌(Salmonella)細胞中で産生される。例示的な細菌としては、大腸菌(E.coli)O25K5H1、大腸菌(E.coli)BD559、大腸菌(E.coli)GAR2831、大腸菌(E.coli)GAR865、大腸菌(E.coli)GAR868、大腸菌(E.coli)GAR869、大腸菌(E.coli)GAR872、大腸菌(E.coli)GAR878、大腸菌(E.coli)GAR896、大腸菌(E.coli)GAR1902、大腸菌(E.coli)O25a ETC NR-5、大腸菌(E.coli)O157:H7:K-、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清型ティフィムリウム(Typhimurium)株LT2、大腸菌(E.coli)GAR2401、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清型エンテリティディス(Enteritidis)CVD1943、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清型ティフィムリウム(Typhimurium)株CVD1925、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清型パラティフィ(Paratyphi)A CVD1902、およびシゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri)CVD1208Sが挙げられる。一実施形態では、細菌は、大腸菌(E.coli)GAR2401ではない。糖産生に対するこの遺伝的手法は、ワクチン成分としてのO多糖およびO抗原分子の効率的な産生を可能にする。
本明細書で使用される用語「wzzタンパク質」とは、例えば、wzzB、wzz、wzzSF、wzzST、fepE、wzzfepE、wzz1およびwzz2などの、鎖長決定因子ポリペプチドを指す。例示的なwzz遺伝子配列に関するGenBank受託番号は、E4991/76についてはAF011910、F186についてはAF011911、M70/1-1についてはAF011912、79/311についてはAF011913、Bi7509-41についてはAF011914、C664-1992についてはAF011915、C258-94についてはAF011916、C722-89についてはAF011917、およびEDL933についてはAF011919である。G7およびBi316-41 wzz遺伝子配列に関するGenBank受託番号は、それぞれ、U39305およびU39306である。例示的なwzz遺伝子配列に関するさらなるGenBank受託番号は、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)亜種エンテリカ血清型ティフィムリウム(Typhimurium)株LT2 FepEについてはNP_459581;大腸菌(E.coli)O157:H7株EDL933 FepEについてはAIG66859;サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)亜種エンテリカ血清型ティフィムリウム(Typhimurium)株LT2 WzzBについてはNP_461024、大腸菌(E.coli)K-12亜株MG1655 WzzBについてはNP_416531、大腸菌(E.coli)K-12亜株MG1655 FepEについてはNP_415119である。好ましい態様では、wzzファミリータンパク質は、wzzB、wzz、wzzSF、wzzST、fepE、wzzfepE、wzz1およびwzz2のいずれか1つ、最も好ましくは、wzzB、より好ましくは、fepEである。
例示的なwzzB配列は、配列番号112~116に記載の配列を含む。例示的なFepE配列は、配列番号117~121に記載の配列を含む。
一部の態様では、グラム陰性細菌においてグラム陰性細菌からwzzファミリータンパク質(例えば、fepE)を発現させることにより(必ずしも過剰発現させるとは限らない)、および/または第2のwzz遺伝子(例えば、wzzB)のスイッチをオフにして(すなわち、これを抑圧、欠失、除去して)、対応する野生型O多糖と比較して増大した数の反復単位を有する中間のまたは長いO抗原鎖を含有するリポ多糖などの高分子量の糖を生成することにより、改変された糖(対応する野生型糖と比較して改変された)を産生することができる。例えば、改変された糖を、wzz2を発現させ(必ずしも過剰発現させない)、wzz1のスイッチを切ることによって産生させることができる。または、別の方法では、改変された糖を、wzz/fepEを発現させ(必ずしも過剰発現させない)、wzzBのスイッチを切ることによって産生させることができる。別の実施形態では、改変された糖を、wzzBを発現させる(必ず祖も過剰発現させない)が、wzz/fepEのスイッチを切ることによって産生させることができる。別の実施形態では、改変された糖を、fepEを発現させることによって産生させることができる。好ましくは、wzzファミリータンパク質は、宿主細胞にとって異種である株に由来する。糖の長さを決定する方法は、当業界で公知である。そのような方法は、核磁気共鳴、質量分析およびサイズ排除クロマトグラフィーを含むがこれらに限定されない。中間のまたは長いO抗原鎖を含有するリポ多糖などの本明細書に記載されている高分子量の糖を産生するための方法は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、PCT国際公開番号WO2020/039359および対応する米国特許出願公開番号US2020/0061177に記載されている。
一部の実施形態では、糖は、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、および配列番号121のいずれか1つに対して少なくとも30%、50%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するwzzファミリータンパク質を発現させることによって産生される。一実施形態においては、wzzファミリータンパク質は、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、および配列番号121のいずれか1つから選択される配列を含む。好ましくは、wzzファミリータンパク質は、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、および配列番号116に対して少なくとも30%、50%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、糖は、fepEタンパク質に対して少なくとも30%、50%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質を発現させることによって産生される。
一態様では、本発明は、グラム陰性細菌中で、wzzファミリータンパク質、好ましくは、fepEを発現させて、対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも1、2、3、4、または5個の反復単位の増加を有する、中間の、または長いO抗原鎖を含有する高分子量糖を生成させることによって産生される糖に関する。一態様では、本発明は、グラム陰性細菌から、対応する野生型O抗原と比較して、少なくとも1、2、3、4、または5個の反復単位の増加を有する、中間の、または長いO抗原鎖を含有する高分子量糖を生成させるように、培養物中でwzzファミリータンパク質(例えば、wzzB)を発現する(必ずしも過剰発現するものではない)グラム陰性細菌によって産生される糖に関する。対応する野生型糖と比較して、反復単位の数が増加したさらなる例示的な糖については、以下のO多糖およびO抗原の記載を参照されたい。望ましい鎖長は、所与のワクチン構築物との関連で改善された、または最大の免疫原性をもたらすものである。
別の実施形態では、糖は、表Aから選択されるいずれか1つの式を含み、糖中の反復単位数nは、対応する野生型O多糖中の反復単位数よりも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100個以上の反復単位で多い。好ましくは、糖は、対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50反復単位の増加を含む。糖の長さを決定する方法は、当業界で公知である。そのような方法としては、核磁気共鳴、質量分析、およびサイズ排除クロマトグラフィーが挙げられる。
好ましい実施形態では、本発明は、内因性wzz O抗原長調節因子の遺伝子(例えば、wzzB)が欠失し、組換え大腸菌(E.coli)宿主細胞にとって異種のグラム陰性細菌に由来する(第2の)wzz遺伝子(例えば、サルモネラ菌(Salmonella)fepE)で置き換えられ、中間の、または長いO抗原鎖を含有する、リポ多糖などの高分子量糖を生成する、組換え大腸菌(E.coli)宿主細胞中で産生される糖に関する。一部の実施形態では、組換え大腸菌(E.coli)宿主細胞は、サルモネラ菌(Salmonella)、好ましくは、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)に由来するwzz遺伝子を含む。
一実施形態では、宿主細胞は、安定に維持されるプラスミドベクターとして、wzzファミリータンパク質の異種遺伝子を含む。別の実施形態では、宿主細胞は、宿主細胞の染色体DNA中の組み込まれた遺伝子として、wzzファミリータンパク質の異種遺伝子を含む。大腸菌(E.coli)宿主細胞中でプラスミドベクターを安定に発現させる方法および大腸菌(E.coli)宿主細胞の染色体中に異種遺伝子を組み込む方法は、当業界で公知である。一実施形態では、宿主細胞は、安定に維持されるプラスミドベクターとして、O抗原の異種遺伝子を含む。別の実施形態では、宿主細胞は、宿主細胞の染色体DNA中の組み込まれた遺伝子として、O抗原の異種遺伝子を含む。大腸菌(E.coli)宿主細胞およびサルモネラ菌(Salmonella)宿主細胞中でプラスミドベクターを安定に発現させる方法は、当業界で公知である。大腸菌(E.coli)宿主細胞およびサルモネラ菌(Salmonella)宿主細胞の染色体中に異種遺伝子を組み込む方法は、当業界で公知である。
一態様では、組換え宿主細胞は、炭素源を含む培地中で培養される。大腸菌(E.coli)を培養するための炭素源は、当業界で公知である。例示的な炭素源としては、限定されるものではないが、アラビノース、セロビオース、フルクトース、グルコース、グリセロール、イノシトール、ラクトース、マルトース、マンニトール、マンノース、ラムノース、ラフィノース、ソルビトール、ソルボース、スクロース、トレハロース、ピルベート、スクシネートおよびメチルアミンなどの、糖アルコール、ポリオール、アルドール糖またはケト糖が挙げられる。好ましい実施形態では、培地は、グルコースを含む。一部の実施形態では、培地は、炭素源として、ポリオールまたはアルドール糖、例えば、マンニトール、イノシトール、ソルボース、グリセロール、ソルビトール、ラクトースおよびアラビノースを含む。培養を開始する前に、全ての炭素源を培地に添加するか、または培養中に少しずつ、もしくは連続的に添加してもよい。
組換え宿主細胞のための例示的な培養培地は、KH2PO4、K2HPO4、(NH4)2SO4、クエン酸ナトリウム、Na2SO4、アスパラギン酸、グルコース、MgSO4、FeSO4-7H2O、Na2MoO4-2H2O、H3BO3、CoCl2-6H2O、CuCl2-2H2O、MnCl2-4H2O、ZnCl2およびCaCl2-2H2Oのいずれか1つから選択される要素を含む。好ましくは、培地は、KH2PO4、K2HPO4、(NH4)2SO4、クエン酸ナトリウム、Na2SO4、アスパラギン酸、グルコース、MgSO4、FeSO4-7H2O、Na2MoO4-2H2O、H3BO3、CoCl2-6H2O、CuCl2-2H2O、MnCl2-4H2O、ZnCl2およびCaCl2-2H2Oを含む。
本明細書で使用される培地は、固体または液体、合成(すなわち、人工)または天然であってよく、組換え宿主細胞の培養のための十分な栄養素を含んでもよい。好ましくは、培地は、液体培地である。
一部の実施形態では、培地は、好適な無機塩をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、培地は、微量栄養素をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、培地は、増殖因子をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、培地は、さらなる炭素源をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、培地は、好適な無機塩、微量栄養素、増殖因子、および追加炭素源をさらに含んでもよい。大腸菌(E.coli)を培養するのに好適な無機塩、微量栄養素、増殖因子、および補助炭素源は、当業界で公知である。
一部の実施形態では、培地は、必要に応じて、ペプトン、N-Zアミン、大豆酵素加水分解物、さらなる酵母抽出物、モルト抽出物、補助炭素源および種々のビタミンなどの、さらなる成分を含んでもよい。一部の実施形態では、培地は、必要に応じて、ペプトン、N-Zアミン、大豆酵素加水分解物、さらなる酵母抽出物、モルト抽出物、補助炭素源および種々のビタミンなどの、そのようなさらなる成分を含まない。
好適な補助炭素源の実例としては、限定されるものではないが、グルコース、フルクトース、マンニトール、デンプンまたはデンプン加水分解物、セルロース加水分解物および糖蜜などの他の炭水化物;酢酸、プロピオン酸、乳酸、ギ酸、リンゴ酸、クエン酸、およびフマル酸などの有機酸;ならびにグリセロール、イノシトール、マンニトールおよびソルビトールなどのアルコールが挙げられる。
一部の実施形態では、培地は、窒素源をさらに含む。大腸菌(E.coli)を培養するための好適な窒素源は、当業界で公知である。好適な窒素源の実例としては、限定されるものではないが、アンモニアガスおよび水性アンモニアを含むアンモニア;塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウムおよび酢酸アンモニウムなどの無機または有機酸のアンモニウム塩;尿素;硝酸または亜硝酸塩、および純粋な、または未精製の調製物としてのアミノ酸、肉抽出物、ペプトン、魚粉、魚加水分解物、コーン浸出液、カゼイン加水分解物、大豆かす加水分解物、酵母抽出物、ドライイースト、エタノール-酵母蒸留物、大豆粉、綿実粉などを含む、他の窒素含有材料が挙げられる。
一部の実施形態では、培地は、無機塩を含む。好適な無機塩の実例としては、限定されるものではないが、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、銅、モリブデン、タングステンおよび他の微量元素、ならびにリン酸の塩が挙げられる。
一部の実施形態では、培地は、好適な増殖因子を含む。好適な微量栄養素、増殖因子などの実例としては、限定されるものではないが、純粋な、もしくは部分的に精製された化合物として、または天然材料中に存在するものとしての、コエンザイムA、パントテン酸、ピリドキシン-HCl、ビオチン、チアミン、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、DL-6,8-チオクト酸、葉酸、ビタミンB12、他のビタミン、システインおよびヒドロキシプロリンなどのアミノ酸、アデニン、ウラシル、グアニン、チミンおよびシトシンなどの塩基、チオ硫酸ナトリウム、p-またはr-アミノ安息香酸、ナイアシンアミド、ニトリロアセテートなどが挙げられる。当業者であれば、当業界で公知の方法および技術に従って、経験的にその量を決定することができる。
別の実施形態では、本明細書に記載の改変された糖(対応する野生型糖と比較した場合)は、例えば、in vitroで合成的に生産される。糖の合成的生産または合成は、費用および時間集約的な生産プロセスの回避を容易にし得る。一実施形態では、糖は、例えば、逐次的グリコシル化戦略または逐次的グリコシル化戦略と、好適に保護された単糖中間体からの[3+2]ブロック合成戦略との組合せを使用するなどによって合成される。例えば、チオールグリコシドおよびグリコシルトリクロロアセトイミデート誘導体を、グリコシル化におけるグリコシルドナーとして使用することができる。一実施形態では、in vitroで合成される糖は、上記のwzzファミリータンパク質の操作などの組換え手段によって産生される糖と同一の構造を有する。
産生される糖(組換えまたは合成手段による)は、例えば、以下の大腸菌(E.coli)血清型:O1(例えば、O1A、O1B、およびO1C)、O2、O3、O4(例えば、O4:K52およびO4:K6)、O5(例えば、O5abおよびO5ac(180/C3株))、O6(例えば、O6:K2;K13;K15およびO6:K54)、O7、O8、O9、O10、O11、O12、O13、O14、O15、O16、O17、O18(例えば、O18A、O18ac、O18A1、O18B、およびO18B1)、O19、O20、O21、O22、O23(例えば、O23A)、O24、O25(例えば、O25aおよびO25b)、O26、O27、O28、O29、O30、O32、O33、O34、O35、O36、O37、O38、O39、O40、O41、O42、O43、O44、O45(例えば、O45およびO45rel)、O46、O48、O49、O50、O51、O52、O53、O54、O55、O56、O57、O58、O59、O60、O61、O62、62D1、O63、O64、O65、O66、O68、O69、O70、O71、O73(例えば、O73(73-1株))、O74、O75、O76、O77、O78、O79、O80、O81、O82、O83、O84、O85、O86、O87、O88、O89、O90、O91、O92、O93、O95、O96、O97、O98、O99、O100、O101、O102、O103、O104、O105、O106、O107、O108、O109、O110、0111、O112、O113、O114、O115、O116、O117、O118、O119、O120、O121、O123、O124、O125、O126、O127、O128、O129、O130、O131、O132、O133、O134、O135、O136、O137、O138、O139、O140、O141、O142、O143、O144、O145、O146、O147、O148、O149、O150、O151、O152、O153、O154、O155、O156、O157、O158、O159、O160、O161、O162、O163、O164、O165、O166、O167、O168、O169、O170、O171、O172、O173、O174、O175、O176、O177、O178、O179、O180、O181、O182、O183、O184、O185、O186、およびO187のうちのいずれか1つを含む、任意の大腸菌(E.coli)血清型に由来する構造を含む。
個々の多糖は、典型的には、例えば、透析、濃縮操作、透析濾過操作、接線流濾過、沈降、溶出、遠心分離、沈降、限外濾過、深層濾過、および/またはカラムクロマトグラフィー(イオン交換クロマトグラフィー、マルチモードイオン交換クロマトグラフィー、DEAE、および疎水性相互作用クロマトグラフィー)などの当業界で公知の方法によって精製される(多糖-タンパク質コンジュゲートの量に関して富化される)。好ましくは、多糖は、接線流濾過を含む方法によって精製される。
精製された多糖を活性化(例えば、化学的に活性化)して、それらが反応することができるようにし(例えば、担体タンパク質に直接的に、またはeTECスペーサーなどのリンカーを介して)、次いで、本明細書にさらに記載されるように、本発明の糖コンジュゲートに組み入れることができる。
1つの好ましい実施形態では、本発明の糖は、血清型がO25aである、大腸菌(E.coli)血清型に由来する。別の好ましい実施形態では、血清型は、O25bである。別の好ましい実施形態では、血清型は、O1Aである。別の好ましい実施形態では、血清型は、O2である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O6である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O17である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O15である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O18Aである。別の好ましい実施形態では、血清型は、O75である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O4である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O16である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O13である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O7である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O8である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O9である。
本明細書で使用される場合、上記の血清型のいずれかに対する参照は、当業界で公知であり、対応する血清型にとって独特である、反復単位構造(以下に記載されるようなO単位)を包含する血清型を指す。例えば、用語「O25a」血清型(当業界では血清型「O25」としても公知である)は、表Aに示される式O25を包含する血清型を指す。別の例として、用語「O25b」血清型とは、表Aに示される式O25bを包含する血清型を指す。
本明細書で使用される場合、血清型は、別途特定されない限り、例えば、式「O18」という用語が、式O18A、式O18ac、式18A1、式O18B、および式O18B1を包含すると一般的に指すように、本明細書で一般的に称される。
本明細書で使用される場合、用語「O1」とは、それぞれ、表Aに示される式O1A、式O1A1、式O1B、および式O1Cのいずれか1つなどの、表Aに記載の式名に総称「O1」を含む式の種を包含することを一般的に指す。したがって、「O1血清型」とは、式O1A、式O1A1、式O1B、および式O1Cのいずれか1つを包含する血清型を一般的に指す。
本明細書で使用される場合、用語「O6」とは、それぞれ、表Aに示される式O6:K2;K13;K15;およびO6:K54のいずれか1つなどの、表Aに記載の式名に総称「O6」を含む式の種を一般的に指す。したがって、「O6血清型」とは、式O6:K2;K13;K15;およびO6:K54のいずれか1つを包含する血清型を一般的に指す。
表Aに記載の式名中に総称を含む式の種を一般的に指す用語の他の例としては、「O4」、「O5」、「O18」、および「O45」を含む。
本明細書で使用される場合、用語「O2」とは、表Aに示される式O2を指す。用語「O2 O抗原」とは、表Aに示される式O2を包含する糖を指す。
本明細書で使用される場合、上記の血清型に由来するO抗原に対する参照は、対応する血清型名と共に標識された式を包含する糖を指す。例えば、用語「O25B O抗原」とは、表Aに示される式O25Bを包含する糖を指す。
別の例として、用語「O1 O抗原」は、それぞれ表Aに示される式O1A、式O1A1、式O1B、および式O1Cなどの、用語「O1」を含む式を包含する糖を一般的に指す。
別の例として、用語「O6 O抗原」は、それぞれ表Aに示される式O6:K2;式O6:K13;式O6:K15および式O6:K54などの、用語「O6」を含む式を包含する糖を一般的に指す。
本明細書で使用される場合、用語「O多糖」とは、その構造が全細胞またはリピドAを含まないという条件で、O抗原を含む任意の構造を指す。例えば、一実施形態では、O多糖は、リピドAが結合していないリポ多糖を含む。リピドAを除去するステップは当業界で公知であり、例として、酸を添加する熱処理を含む。例示的なプロセスは、100℃で90分間の1%酢酸による処理を含む。このプロセスは、除去されるリピドAを単離するプロセスと組み合わされる。リピドAを単離するための例示的プロセスとしては、超遠心分離が挙げられる。
一実施形態では、O多糖とは、O抗原からなる構造を指し、その場合、O多糖は、O抗原という用語と同義である。1つの好ましい実施形態では、O多糖とは、コア糖を含まない、O抗原の反復単位を含む構造を指す。したがって、一実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R1コア部分を含まない。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R2コア部分を含まない。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R3コア部分を含まない。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R4コア部分を含まない。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)K12コア部分を含まない。別の好ましい実施形態では、O多糖は、O抗原と、コア糖とを含む構造を指す。別の実施形態では、O多糖は、O抗原、コア糖、およびKDO部分を含む構造を指す。
LPSから、コアオリゴ糖を含むO多糖を精製する方法は、当業界で公知である。例えば、LPSの精製後、精製されたLPSを、100℃で90分間にわたって1%(v/v)酢酸中で加熱することによって加水分解した後、4℃で5時間にわたって142,000xgで超遠心分離することができる。O多糖を含有する上清を凍結乾燥し、4℃で保存する。ある特定の実施形態では、O多糖の単純な精製を可能にするための莢膜合成遺伝子の欠失が記載される。
O多糖を、限定されるものではないが、LPSからリピドAを除去するための弱酸加水分解を含む方法によって単離することができる。他の実施形態は、O多糖調製のための薬剤としてヒドラジンの使用を含んでもよい。LPSの調製を、当業界で公知の方法によって達成することができる。
ある特定の実施形態では、Wzzタンパク質(例えば、wzzB)を発現する(必ずしも過剰発現しない)野生型、改変された、または弱毒化されたグラム陰性細菌株から精製されたO多糖が、コンジュゲートワクチンにおける使用のために提供される。好ましい実施形態では、O多糖鎖は、コンジュゲートまたは複合体化ワクチンとしてのワクチン抗原としての使用のためにwzzタンパク質を発現する(必ずしも過剰発現しない)グラム陰性細菌株から精製される。
一実施形態では、O多糖は、対応する野生型O多糖と比較して、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、21倍、22倍、23倍、24倍、25倍、26倍、27倍、28倍、29倍、30倍、31倍、32倍、33倍、34倍、35倍、36倍、37倍、38倍、39倍、40倍、41倍、42倍、43倍、44倍、45倍、46倍、47倍、48倍、49倍、50倍、51倍、52倍、53倍、54倍、55倍、56倍、57倍、58倍、59倍、60倍、61倍、62倍、63倍、64倍、65倍、66倍、67倍、68倍、69倍、70倍、71倍、72倍、73倍、74倍、75倍、76倍、77倍、78倍、79倍、80倍、81倍、82倍、83倍、84倍、85倍、86倍、87倍、88倍、89倍、90倍、91倍、92倍、93倍、94倍、95倍、96倍、97倍、98倍、99倍、100倍以上増加した分子量を有する。好ましい実施形態では、O多糖は、対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも1倍かつ最大でも5倍増加した分子量を有する。別の実施形態では、O多糖は、対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも2倍かつ最大でも4倍増加した分子量を有する。対応する野生型O多糖と比較した、O多糖の分子量の増加は、好ましくは、O抗原反復単位数の増加と関連する。一実施形態では、O多糖の分子量の増加は、wzzファミリータンパク質に起因する。
一実施形態では、O多糖は、対応する野生型O多糖と比較して、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100kDa以上増加した分子量を有する。一実施形態では、本発明のO多糖は、対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも1kDaかつ最大でも200kDa増加した分子量を有する。一実施形態では、分子量は、少なくとも5kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも12kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも15kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも18kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも20kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも21kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも22kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも30kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも1kDaかつ最大でも100kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも5kDaかつ最大でも100kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも100kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも12kDaかつ最大でも100kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも15kDaかつ最大でも100kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも20kDaかつ最大でも100kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも1kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも5kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも12kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも15kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも18kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも20kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも30kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも90kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも12kDaかつ最大でも85kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも70kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも60kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも50kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも49kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも48kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも47kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも46kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも20kDaかつ最大でも45kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも20kDaかつ最大でも44kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも20kDaかつ最大でも43kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも20kDaかつ最大でも42kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも20kDaかつ最大でも41kDa増加している。対応する野生型O多糖と比較した、O多糖の分子量のそのような増加は、好ましくは、O抗原反復単位数の増加と関連する。一実施形態では、O多糖の分子量の増加は、wzzファミリータンパク質に起因する。
別の実施形態では、O多糖は、表Aから選択されるいずれか1つの式を含み、O多糖中の反復単位数nは、対応する野生型O多糖中の反復単位数よりも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100個以上の反復単位で多い。好ましくは、糖は、対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50反復単位の増加を含む。
2.O抗原
O抗原は、グラム陰性細菌の外膜中のリポ多糖(LPS)の一部である。O抗原は、細胞表面上にあり、可変性細胞構成要素である。O抗原の可変性は、グラム陰性細菌の血清型決定のための基礎を提供する。現在の大腸菌(E.coli)血清型決定スキームは、O多糖1~181を含む。
O抗原は、オリゴ糖反復単位(O単位)を含み、その野生型構造は、通常、広範囲の糖に由来する2~8個の残基を含有する。例示的な大腸菌(E.coli)O抗原のO単位は、表Aに、およびその全体が参照により本明細書に組み込まれる2021年5月6日に発表されたPCT国際公開番号WO2021/084429に記載されている。一部の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのFimH変異体ポリペプチドと、表Aに、およびその全体が参照により本明細書に組み込まれる2021年5月6日に発表されたPCT国際公開番号WO2021/084429に記載されているO抗原のうち少なくとも1つとを含む組成物を含む。
一実施形態では、本発明の糖は、1個のオリゴ糖単位であってもよい。一実施形態では、本発明の糖は、関連する血清型の1つの反復オリゴ糖単位である。そのような実施形態では、糖は、式O1a、式O2、式O6、式O8、式O9a、式O9、式O20ab、式O20ac、式O25b、式O52、式O97および式O101のいずれか1つから選択される構造を含むことができる。さらなる実施形態では、糖は、式O1a、式O2、式O6および式O25bのいずれか1つから選択される構造を含むことができる。
一実施形態では、本発明の糖は、オリゴ糖であってもよい。オリゴ糖は、少数の反復単位(典型的には、5~15の反復単位)を有し、典型的には、合成的に、または多糖の加水分解によって誘導される。そのような実施形態では、糖は、式O1a、式O2、式O6、式O8、式O9a、式O9、式O20ab、式O20ac、式O25b、式O52、式O97および式O101のいずれか1つから選択される構造を含むことができる。さらなる実施形態では、糖は、式O1a、式O2、式O6および式O25bのいずれか1つから選択される構造を含むことができる。
好ましくは、本発明の、および本発明の免疫原性組成物中の全ての糖は、多糖である。高分子量の多糖は、抗原性表面上に存在するエピトープのため、ある特定の抗体免疫応答を誘導することができる。高分子量の多糖の単離および精製は、好ましくは、本発明のコンジュゲート、組成物および方法における使用のために企図される。
一部の実施形態では、それぞれ個々のO抗原ポリマー中の反復O単位の数(したがって、ポリマー鎖の長さおよび分子量)は、wzz鎖長調節因子、内膜タンパク質に依存する。異なるwzzタンパク質は、異なる範囲のモード長(4~100超の反復単位)をもたらす。用語「モード長」とは、反復O単位の数を指す。グラム陰性細菌は、一方は長く、一方は短い、2つの異なるOAgモード鎖長をもたらす2つの異なるWzzタンパク質を有することが多い。グラム陰性細菌中でのwzzファミリータンパク質(例えば、wzzB)の発現(必ずしも過剰発現ではない)は、ある特定の長さ範囲のO抗原の細菌産生にシフトさせる、もしくは偏らせる、および高収率の高分子量リポ多糖の産生を増強させる、O抗原長の操作を可能にし得る。一実施形態では、本明細書で使用される場合の「短い」モード長とは、少数、例えば、1~20の反復O単位を指す。一実施形態では、本明細書で使用される場合の「長い」モード長とは、20より大きく、最大で40までの反復O単位の数を指す。一実施形態では、本明細書で使用される場合の「非常に長い」モード長とは、40より大きい反復O単位を指す。
一実施形態では、産生される糖は、対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも10反復単位、15反復単位、20反復単位、25反復単位、30反復単位、35反復単位、40反復単位、45反復単位、50反復単位、55反復単位、60反復単位、65反復単位、70反復単位、75反復単位、80反復単位、85反復単位、90反復単位、95反復単位、または100反復単位の増加を有する。
別の実施形態では、本発明の糖は、対応する野生型O多糖と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100以上の反復単位の増加を有する。好ましくは、糖は、対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50反復単位の増加を含む。例えば、表21を参照されたい。糖の長さを決定する方法は、当業界で公知である。そのような方法としては、実施例13に記載されるような、核磁気共鳴、質量分析、およびサイズ排除クロマトグラフィーが挙げられる。
糖中の反復単位の数を決定する方法も、当業界で公知である。例えば、多糖の分子量(コア糖またはKDO残基の分子量を含まない)を、反復単位の分子量(すなわち、式内のそれぞれの単糖の分子量の和として理論的に算出することができる、例えば、表1に示される対応する式中の構造の分子量)で除算することによって、反復単位の数(または式中の「n」)を算出することができる。式内のそれぞれの単糖の分子量は、当業界で公知である。例えば、式O25bの反復単位の分子量は、約862Daである。例えば、式O1aの反復単位の分子量は、約845Daである。例えば、式O2の反復単位の分子量は、約829Daである。例えば、式O6の反復単位の分子量は、約893Daである。コンジュゲート中の反復単位の数を決定する場合、担体タンパク質の分子量およびタンパク質:多糖比を考慮に入れる。本明細書で定義される場合、「n」とは、多糖分子中の反復単位の数(表1中で括弧内に示される)を指す。当業界で公知のように、生体高分子中で、反復構造は、例えば、失われる分枝などの、不完全な反復の領域が組み入れられていてもよい。さらに、細菌などの天然供給源から単離および精製された多糖は、サイズおよび分枝において不均一であり得ることが当業界で公知である。そのような場合、nは、集団中の分子のnに関する平均値または中央値を表してもよい。
一実施形態では、O多糖は、対応する野生型O多糖と比較して、O抗原の少なくとも1の反復単位の増加を有する。O抗原の反復単位は、表1に示される。一実施形態では、O多糖は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100以上の合計反復単位を含む。好ましくは、糖は、合計で少なくとも3から、最大でも80の反復単位を有する。別の実施形態では、O多糖は、対応する野生型O多糖と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100以上の反復単位の増加を有する。
一実施形態では、糖は、O抗原式(例えば、表1に示される式など(図9A~9Cおよび図10A~10Bも参照されたい))のいずれかにおけるnが、少なくとも1、2、3、4、5、10、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、および最大でも200、100、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、または50の整数である、O抗原を含む。任意の最小値と任意の最大値とを組み合わせて、範囲を定義することができる。例示的な範囲としては、例えば、少なくとも1~最大でも1000;少なくとも10~最大でも500;および少なくとも20~最大でも80、好ましくは、最大でも90が挙げられる。1つの好ましい実施形態では、nは、少なくとも31~最大でも90である。好ましい実施形態では、nは、40~90、より好ましくは、60~85である。
一実施形態では、糖は、O抗原式のいずれか1つにおけるnが少なくとも1であり、最大でも200である、O抗原を含む。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも5であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも10であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも25であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも50であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも75であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも100であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも125であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも150であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも175であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも1であり、最大でも100である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも5であり、最大でも100である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも10であり、最大でも100である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも25であり、最大でも100である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも50であり、最大でも100である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも75であり、最大でも100である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも1であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも5であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも10であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも20であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも25であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも30であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも40であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも50であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも30であり、最大でも90である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも85である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも70である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも60である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも50である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも49である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも48である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも47である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも46である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも36であり、最大でも45である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも37であり、最大でも44である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも38であり、最大でも43である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも39であり、最大でも42である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも39であり、最大でも41である。
例えば、一実施形態では、糖におけるnは、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90、最も好ましくは40である。別の実施形態では、nは、少なくとも35~最大でも60である。例えば、一実施形態では、nは、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、および60のいずれか1つ、好ましくは50である。別の好ましい実施形態では、nは、少なくとも55~最大でも75である。例えば、一実施形態では、nは、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、または69、最も好ましくは60である。
糖構造を、例えば、1D、1H、および/もしくは13Cを含むNMR、2D TOCSY、DQF-COSY、NOESY、ならびに/またはHMQCなどの、当業界で公知の方法および手段によって決定することができる。
一部の実施形態では、コンジュゲーション前の精製された多糖は、5kDa~400kDaの分子量を有する。他のそのような実施形態では、糖は、10kDa~400kDa;5kDa~400kDa;5kDa~300kDa;5kDa~200kDa;5kDa~150kDa;10kDa~100kDa;10kDa~75kDa;10kDa~60kDa;10kDa~40kDa;10kDa~100kDa;10kDa~200kDa;15kDa~150kDa;12kDa~120kDa;12kDa~75kDa;12kDa~50kDa;12~60kDa;35kDa~75kDa;40kDa~60kDa;35kDa~60kDa;20kDa~60kDa;12kDa~20kDa;または20kDa~50kDaの分子量を有する。さらなる実施形態では、多糖は、7kDa~15kDa;8kDa~16kDa;9kDa~25kDa;10kDa~100kDa;10kDa~60kDa;10kDa~70kDa;10kDa~160kDa;15kDa~600kDa;20kDa~1000kDa;20kDa~600kDa;20kDa~400kDa;30kDa~1,000kDa;30kDa~60kDa;30kDa~50kDaまたは5kDa~60kDaの分子量を有する。上記の範囲のいずれかの中の任意の全整数が、本開示の実施形態として企図される。
本明細書で使用される場合、多糖または担体タンパク質-多糖コンジュゲートの用語「分子量」とは、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)と組み合わせた、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって算出される分子量を指す。
多糖は、通常の精製手順の間にサイズがわずかに減少するようになってもよい。さらに、本明細書に記載のように、多糖を、コンジュゲーションの前にサイジング技術にかけることができる。機械的または化学的サイジングを用いることができる。化学的加水分解を、酢酸を使用して行うことができる。機械的サイジングを、高圧ホモジェナイゼーション剪断を使用して行うことができる。上記の分子量範囲は、コンジュゲーション前(例えば、活性化前)の精製された多糖を指す。
3.コアオリゴ糖
コアオリゴ糖は、野生型大腸菌(E.coli)LPS中のリピドAとO抗原外側領域との間に位置する。より具体的には、コアオリゴ糖は、野生型大腸菌(E.coli)中のO抗原とリピドAとの間に結合を含む多糖の部分である。この結合は、最深部の3-デオキシ-d-マンノ-オクタ-2-ウロソン酸(KDO)残基のヘミケタール機能と、リピドAのGlcNAc残基のヒドロキシル基との間のケトシド結合を含む。コアオリゴ糖領域は、野生型大腸菌(E.coli)株間で高い類似度を示す。それは通常、限られた数の糖を含む。コアオリゴ糖は、内側コア領域と、外側コア領域とを含む。
より具体的には、内側コアは、主にL-グリセロ-D-マンノ-ヘプトース(ヘプトース)およびKDO残基から構成される。内側コアは、高度に保存されている。KDO残基は、以下の式KDO:
コアオリゴ糖の外側領域は、内側コア領域よりも大きな変化を示し、この領域の差異は、大腸菌(E.coli)における5つのケモタイプ:R1、R2、R3、R4、およびK-12を区別する。5つの公知ケモタイプの外側コアオリゴ糖の炭水化物骨格の一般化された構造は、当業界で周知である。HepIIは、内側コアオリゴ糖の最後の残基である。外側コアオリゴ糖は全て、(ヘキソース)3炭水化物骨格および2つの側鎖残基と共に、構造テーマを共有するが、骨格中のヘキソースの順序ならびに側鎖残基の性質、位置、および結合は全て変化し得る。R1およびR4外側コアオリゴ糖の構造は、非常に類似しており、単一のβ結合残基においてのみ異なっている。
野生型大腸菌(E.coli)のコアオリゴ糖は、遠位オリゴ糖の構造に基づいて、当業界では5つの異なるケモタイプ:大腸菌(E.coli)R1、大腸菌(E.coli)R2、大腸菌(E.coli)R3、大腸菌(E.coli)R4、および大腸菌(E.coli)K12に分類される。
好ましい実施形態では、本明細書に記載の組成物は、O多糖がO抗原に結合したコアオリゴ糖を含む糖コンジュゲートを含む。一実施形態では、組成物は、コア大腸菌(E.coli)ケモタイプ:大腸菌(E.coli)R1、大腸菌(E.coli)R2、大腸菌(E.coli)R3、大腸菌(E.coli)R4、および大腸菌(E.coli)K12の少なくともいずれか1つに対する免疫応答を誘導する。別の実施形態では、組成物は、少なくとも2つのコア大腸菌(E.coli)ケモタイプに対する免疫応答を誘導する。別の実施形態では、組成物は、少なくとも3つのコア大腸菌(E.coli)ケモタイプに対する免疫応答を誘導する。別の実施形態では、組成物は、少なくとも4つのコア大腸菌(E.coli)ケモタイプに対する免疫応答を誘導する。別の実施形態では、組成物は、5つ全部のコア大腸菌(E.coli)ケモタイプに対する免疫応答を誘導する。
別の好ましい実施形態では、本明細書に記載の組成物は、O多糖がO抗原に結合したコアオリゴ糖を含まない糖コンジュゲートを含む。一実施形態では、そのような組成物は、O多糖を有する糖コンジュゲートがコアオリゴ糖を含まないにも拘わらず、コア大腸菌(E.coli)ケモタイプ:大腸菌(E.coli)R1、大腸菌(E.coli)R2、大腸菌(E.coli)R3、大腸菌(E.coli)R4、および大腸菌(E.coli)K12の少なくともいずれか1つに対する免疫応答を誘導する。
大腸菌(E.coli)血清型は、5つのケモタイプの1つに従って特徴付けることができる。表Bは、ケモタイプに従って特徴付けられる例示的な血清型を列挙する。太字の血清型は、示されたコアケモタイプと最も一般的に関連する血清型を表す。したがって、好ましい実施形態では、組成物は、それぞれの対応する大腸菌(E.coli)血清型のいずれか1つに対する免疫応答を含む、コア大腸菌(E.coli)ケモタイプ:大腸菌(E.coli)R1、大腸菌(E.coli)R2、大腸菌(E.coli)R3、大腸菌(E.coli)R4、および大腸菌(E.coli)K12の少なくともいずれか1つに対する免疫応答を誘導する。
一部の実施形態では、組成物は、例えば、式O25a、式O6、式O2、式O1、式O75、式O4、式O16、式O8、式O18、式O9、式O13、式O20、式O21、式O91、および式O163(式中、nは1~100である)を有する糖から選択される、R1ケモタイプを有する血清型に由来する構造を含む糖を含む。一部の実施形態では、前記組成物中の糖は、大腸菌(E.coli)R1コア部分をさらに含む。
一部の実施形態では、組成物は、例えば、式O25a、式O6、式O2、式O1、式O75、式O4、式O16、式O18、式O13、式O20、式O21、式O91、および式O163(式中、nは1~100、好ましくは31~100、好ましくは31~90、より好ましくは35~90、最も好ましくは35~65である)を有する糖から選択される、R1ケモタイプを有する血清型に由来する構造を含む糖を含む。一部の実施形態では、前記組成物中の糖は、糖中に大腸菌(E.coli)R1コア部分をさらに含む。
一部の実施形態では、組成物は、例えば、式O21、式O44、式O11、式O89、式O162、および式O9(式中、nは1~100、好ましくは31~100、好ましくは31~90、より好ましくは35~90、最も好ましくは35~65である)を有する糖から選択される、R2ケモタイプを有する血清型に由来する構造を含む糖を含む。一部の実施形態では、前記組成物中の糖は、大腸菌(E.coli)R2コア部分をさらに含む。
一部の実施形態では、組成物は、例えば、式O25b、式O15、式O153、式O21、式O17、式O11、式O159、式O22、式O86、および式O93(式中、nは1~100、好ましくは31~100、好ましくは31~90、より好ましくは35~90、最も好ましくは35~65である)を有する糖から選択される、R3ケモタイプを有する血清型に由来する構造を含む糖を含む。一部の実施形態では、前記組成物中の糖は、大腸菌(E.coli)R3コア部分をさらに含む。
一部の実施形態では、組成物は、例えば、式O2、式O1、式O86、式O7、式O102、式O160、および式O166(式中、nは1~100、好ましくは31~100、好ましくは31~90、より好ましくは35~90、最も好ましくは35~65である)を有する糖から選択される、R4ケモタイプを有する血清型に由来する構造を含む糖を含む。一部の実施形態では、前記組成物中の糖は、大腸菌(E.coli)R4コア部分をさらに含む。
一部の実施形態では、組成物は、K-12ケモタイプ(例えば、式O25bを有する糖および式O16(式中、nは1~100、好ましくは31~100、好ましくは31~90、より好ましくは35~90、最も好ましくは35~65である)を有する糖から選択される)を有する血清型に由来する構造を含む糖を含む。一部の実施形態では、前記組成物中の糖は、大腸菌(E.coli)K-12コア部分をさらに含む。
一部の実施形態では、糖は、コア糖を含む。したがって、一実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R1コア部分をさらに含む。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R2コア部分をさらに含む。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R3コア部分をさらに含む。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R4コア部分をさらに含む。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)K12コア部分をさらに含む。
一部の実施形態では、糖は、コア糖を含まない。したがって、一実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R1コア部分を含まない。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R2コア部分を含まない。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R3コア部分を含まない。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R4コア部分を含まない。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)K12コア部分を含まない。
4.コンジュゲート化O抗原
O抗原、または好ましくはO多糖の、タンパク質担体への化学的結合は、O抗原またはO多糖の免疫原性を改善し得る。しかしながら、ポリマーサイズの可変性が、生産に関する現実的課題である。商業的使用では、糖のサイズは、様々なコンジュゲーション合成戦略、製品の均一性、およびコンジュゲートの免疫原性との適合性に影響し得る。O抗原合成経路の操作によるWzzファミリータンパク質鎖長調節因子の発現の制御は、大腸菌(E.coli)を含む種々のグラム陰性細菌株における所望の長さのO抗原鎖の産生を可能にする。
一実施形態では、精製された糖は、担体タンパク質と反応することができる活性化された糖を産生するように化学的に活性化される。活性化されたら、それぞれの糖は、担体タンパク質に別々にコンジュゲートされて、コンジュゲート、すなわち、糖コンジュゲートを形成する。本明細書で使用される場合、用語「糖コンジュゲート」とは、担体タンパク質に共有結合した糖を指す。一実施形態では、糖は、担体タンパク質に直接結合する。別の実施形態では、糖は、スペーサー/リンカーを介して担体タンパク質に結合する。
O抗原に沿った1つもしくは複数の部位で担体をO抗原に結合させるスキームによって、またはコアオリゴ糖の少なくとも1つの残基を活性化するスキームによって、コンジュゲートを調製することができる。
一実施形態では、それぞれの糖は、同じ担体タンパク質にコンジュゲートされる。
タンパク質担体が組成物中の2個以上の糖について同じである場合、糖を、担体タンパク質の同じ分子(例えば、2個以上の異なる糖がコンジュゲートされた担体分子)にコンジュゲートすることができる。
好ましい実施形態では、糖は、タンパク質担体の異なる分子にそれぞれ個別にコンジュゲートされる(タンパク質担体の各分子は、それにコンジュゲートされた1つの型の糖だけを有する)。前記実施形態では、糖は、担体タンパク質に個別にコンジュゲートされると言われる。
糖の化学的活性化およびその後の担体タンパク質へのコンジュゲーションを、本明細書に開示される活性化およびコンジュゲーション方法によって達成することができる。多糖の担体タンパク質へのコンジュゲーション後、糖コンジュゲートは、様々な技術によって精製される(多糖-タンパク質コンジュゲートの量に関して富化される)。これらの技術としては、濃縮/透析濾過操作、沈降/溶出、カラムクロマトグラフィー、および深層濾過が挙げられる。個々の糖コンジュゲートを精製した後、それらを混合して、本発明の免疫原性組成物を製剤化する。
a.活性化。本発明はさらに、多糖がリンカーまたは担体タンパク質へのコンジュゲーションのための反応基を産生する化学試薬で活性化される、本明細書に記載の実施形態のいずれかから産生される活性化された多糖に関する。一部の実施形態では、本発明の糖は、担体タンパク質へのコンジュゲーションの前に活性化される。一部の実施形態では、活性化度は、多糖の分子量を実質的に減少させない。例えば、一部の実施形態では、活性化度は、多糖骨格を切断しない。一部の実施形態では、活性化度は、CRM197などの担体タンパク質中で改変されたリシン残基の数(アミノ酸分析によって決定される)によって測定された場合、コンジュゲーション度に有意に影響しない。例えば、一部の実施形態では、活性化度は、同じ活性化度で参照多糖を有するコンジュゲートの担体タンパク質中で改変されたリシン残基の数と比較して、担体タンパク質中で改変されたリシン残基の数(アミノ酸分析によって決定される)を3倍有意に増加させない。一部の実施形態では、活性化度は、非コンジュゲート化遊離糖のレベルを増加させない。一部の実施形態では、活性化度は、最適な糖/タンパク質比を低下させない。
一部の実施形態では、活性化された糖は、活性化された糖の糖反復単位あたりのチオールのモル数が、1~100%、例えば、2~80%、2~50%、3~30%、および4~25%などである、活性化のパーセンテージを有する。活性化度は、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、もしくは90%以上、または約100%である。好ましくは、活性化度は、最大でも50%、より好ましくは最大でも25%である。一実施形態では、活性化度は、最大でも20%である。任意の最小値と任意の最大値とを組み合わせて、範囲を定義することができる。
一実施形態では、多糖を、1-シアノ-4-ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロホウ酸(CDAP)を用いて活性化して、シアン酸エステルを形成させる。次いで、活性化された多糖を、担体タンパク質(好ましくは、CRM197または破傷風トキソイド)上のアミノ基に直接的に、またはスペーサー(リンカー)基を介してカップリングさせる。
例えば、スペーサーは、マレイミド活性化された担体タンパク質(例えば、N-[γ-マレイミドブチリロキシ]スクシンイミドエステル(GMBS)を使用する)またはハロアセチル化された担体タンパク質(例えば、76yophilized76e、N-スクシンイミジルブロモ酢酸(SBA;SIB)、N-スクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノ安息香酸(SIAB)、スルホスクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノ安息香酸(スルホ-SIAB)、N-スクシンイミジルヨード酢酸(SIA)、もしくはスクシンイミジル3-[ブロモアセトアミド]プロピオン酸(SBAP)を使用する)との反応後に得られるチオエーテル結合によって担体にカップリングすることができるチオール化された多糖を得るためのシスタミンまたはシステアミンであってよい。一実施形態では、シアン酸エステル(CDAP化学反応によって作製してもよい)を、ヘキサンジアミンまたはアジピン酸ジヒドラジド(ADH)とカップリングし、アミノ誘導体化された糖を、タンパク質担体上のカルボキシル基を介してカルボジイミド(例えば、EDACまたはEDC)化学反応を使用して担体タンパク質(例えば、CRM197)にコンジュゲートする。
コンジュゲーションのための他の好適な技術は、カルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン、p-ニトロ安息香酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、S-NHS、EDC、TSTUを使用する。コンジュゲーションは、糖の遊離ヒドロキシル基の、CDIとの反応、次いで、カルバメート結合を形成するタンパク質との反応によって形成することができるカルボニルリンカーを含んでもよい。これは、第一ヒドロキシル基へのアノマー末端の還元、第一ヒドロキシル基の任意選択の保護/脱保護、CDIカルバメート中間体を形成する第一ヒドロキシル基とCDIとの反応およびCDIカルバメート中間体と、タンパク質上のアミノ基とのカップリング(CDI化学反応)を含んでもよい。
b.分子量。一部の実施形態では、糖コンジュゲートは、10kDa~2,000kDaの分子量を有する糖を含む。他の実施形態では、糖は、50kDa~1,000kDaの分子量を有する。他の実施形態では、糖は、70kDa~900kDaの分子量を有する。他の実施形態では、糖は、100kDa~800kDaの分子量を有する。他の実施形態では、糖は、200kDa~600kDaの分子量を有する。さらなる実施形態では、糖は、100kDa~1000kDa;100kDa~900kDa;100kDa~800kDa;100kDa~700kDa;100kDa~600kDa;100kDa~500kDa;100kDa~400kDa;100kDa~300kDa;150kDa~1,000kDa;150kDa~900kDa;150kDa~800kDa;150kDa~700kDa;150kDa~600kDa;150kDa~500kDa;150kDa~400kDa;150kDa~300kDa;200kDa~1,000kDa;200kDa~900kDa;200kDa~800kDa;200kDa~700kDa;200kDa~600kDa;200kDa~500kDa;200kDa~400kDa;200kDa~300kDa;250kDa~1,000kDa;250kDa~900kDa;250kDa~800kDa;250kDa~700kDa;250kDa~600kDa;250kDa~500kDa;250kDa~400kDa;250kDa~350kDa;300kDa~1,000kDa;300kDa~900kDa;300kDa~800kDa;300kDa~700kDa;300kDa~600kDa;300kDa~500kDa;300kDa~400kDa;400kDa~1,000kDa;400kDa~900kDa;400kDa~800kDa;400kDa~700kDa;400kDa~600kDa;500kDa~600kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのような分子量を有する糖コンジュゲートは、単一末端コンジュゲーションによって生産される。別の実施形態では、そのような分子量を有する糖コンジュゲートは、水性緩衝剤中で調製される還元的アミノ化化学反応(RAC)によって生産される。上記の範囲のいずれかの中の任意の全整数が、本開示の実施形態として企図される。
一部の実施形態では、本発明の糖コンジュゲートは、400kDa~15,000kDa;500kDa~10,000kDa;2,000kDa~10,000kDa;3,000kDa~8,000kDa;または3,000kDa~5,000kDaの分子量を有する。他の実施形態では、糖コンジュゲートは、500kDa~10,000kDaの分子量を有する。他の実施形態では、糖コンジュゲートは、1,000kDa~8,000kDaの分子量を有する。さらに他の実施形態では、糖コンジュゲートは、2,000kDa~8,000kDaまたは3,000kDa~7,000kDaの分子量を有する。さらなる実施形態では、本発明の糖コンジュゲートは、200kDa~20,000kDa;200kDa~15,000kDa;200kDa~10,000kDa;200kDa~7,500kDa;200kDa~5,000kDa;200kDa~3,000kDa;200kDa~1,000kDa;500kDa~20,000kDa;500kDa~15,000kDa;500kDa~12,500kDa;500kDa~10,000kDa;500kDa~7,500kDa;500kDa~6,000kDa;500kDa~5,000kDa;500kDa~4,000kDa;500kDa~3,000kDa;500kDa~2,000kDa;500kDa~1,500kDa;500kDa~1,000kDa;750kDa~20,000kDa;750kDa~15,000kDa;750kDa~12,500kDa;750kDa~10,000kDa;750kDa~7,500kDa;750kDa~6,000kDa;750kDa~5,000kDa;750kDa~4,000kDa;750kDa~3,000kDa;750kDa~2,000kDa;750kDa~1,500kDa;1,000kDa~15,000kDa;1,000kDa~12,500kDa;1,000kDa~10,000kDa;1,000kDa~7,500kDa;1,000kDa~6,000kDa;1,000kDa~5,000kDa;1,000kDa~4,000kDa;1,000kDa~2,500kDa;2,000kDa~15,000kDa;2,000kDa~12,500kDa;2,000kDa~10,000kDa;2,000kDa~7,500kDa;2,000kDa~6,000kDa;2,000kDa~5,000kDa;2,000kDa~4,000kDa;または2,000kDa~3,000kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのような分子量を有する糖コンジュゲートは、本明細書に記載のeTECコンジュゲーションによって生産される。別の実施形態では、そのような分子量を有する糖コンジュゲートは、還元的アミノ化化学反応(RAC)によって生産される。別の実施形態では、そのような分子量を有する糖コンジュゲートは、DMSO中で調製される還元的アミノ化化学反応(RAC)によって生産される。
さらなる実施形態では、本発明の糖コンジュゲートは、1,000kDa~20,000kDa;1,000kDa~15,000kDa;2,000kDa~10,000kDa;2000kDa~7,500kDa;2,000kDa~5,000kDa;3,000kDa~20,000kDa;3,000kDa~15,000kDa;3,000kDa~12,500kDa;4,000kDa~10,000kDa;4,000kDa~7,500kDa;4,000kDa~6,000kDa;または5,000kDa~7,000kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのような分子量を有する糖コンジュゲートは、還元的アミノ化化学反応(RAC)によって生産される。別の実施形態では、そのような分子量を有する糖コンジュゲートは、DMSO中で調製される還元的アミノ化化学反応(RAC)によって生産される。別の実施形態では、そのような分子量を有する糖コンジュゲートは、本明細書に記載のeTECコンジュゲーションによって生産される。
さらなる実施形態では、本発明の糖コンジュゲートは、5,000kDa~20,000kDa;5,000kDa~15,000kDa;5,000kDa~10,000kDa;5,000kDa~7,500kDa;6,000kDa~20,000kDa;6,000kDa~15,000kDa;6,000kDa~12,500kDa;6,000kDa~10,000kDaまたは6,000kDa~7,500kDaの分子量を有する。
糖コンジュゲートの分子量を、SEC-MALLSによって測定することができる。上記の範囲のいずれかの中の任意の全整数が、本開示の実施形態として企図される。本発明の糖コンジュゲートを、糖の担体タンパク質に対する比(重量/重量)によって特徴付けることもできる。一部の実施形態では、糖コンジュゲート中の多糖の担体タンパク質に対する比(w/w)は、0.5~3(例えば、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9、または約3.0)である。他の実施形態では、糖の担体タンパク質に対する比(w/w)は、0.5~2.0、0.5~1.5、0.8~1.2、0.5~1.0、1.0~1.5または1.0~2.0である。さらなる実施形態では、糖の担体タンパク質に対する比(w/w)は、0.8~1.2である。好ましい実施形態では、コンジュゲート中の多糖の担体タンパク質に対する比は、0.9~1.1である。一部のそのような実施形態では、担体タンパク質は、CRM197である。
また、糖コンジュゲートを、その分子サイズ分布(Kd)によって特徴付けることもできる。サイズ排除クロマトグラフィー媒体(CL-4B)を使用して、コンジュゲートの相対分子サイズ分布を決定することができる。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、コンジュゲートの分子サイズ分布をプロファイリングするために重力送りのカラム中で使用される。媒体中の小孔から排除される大きい分子は、低分子よりも迅速に溶出する。画分収集装置を使用して、カラム溶出液を収集する。画分を、糖アッセイによる比色分析で試験する。Kdの決定のために、分子が完全に排除される画分(V0)、(Kd=0)、および最大保持を示す画分(Vi)、(Kd=1)を確立するために、カラムを較正する。特定の試料特性に達する画分(Ve)を、式Kd=(Ve-V0)/(Vi-V0)によってKdと関連させる。
c.遊離糖。本発明の糖コンジュゲートおよび免疫原性組成物は、担体タンパク質に共有的にコンジュゲートしていないが、それにも拘わらず、糖コンジュゲート組成物中に存在する遊離糖を含んでもよい。遊離糖は、糖コンジュゲートと非共有的に結合していてもよい(すなわち、非共有的に結合する、吸着する、またはその中に、もしくはそれと共に捕捉される)。好ましい実施形態では、糖コンジュゲートは、多糖の総量と比較して、最大でも50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%または15%の遊離多糖を含む。好ましい一実施形態では、糖コンジュゲートは、多糖の総量と比較して、約25%未満の遊離多糖を含む。好ましい実施形態では、糖コンジュゲートは、多糖の総量と比較して、最大でも約20%の遊離多糖を含む。好ましい一実施形態では、糖コンジュゲートは、多糖の総量と比較して、最大でも約15%の遊離多糖を含む。別の好ましい実施形態では、糖コンジュゲートは、多糖の総量と比較して、最大でも約20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%の遊離多糖を含む。好ましい一実施形態では、糖コンジュゲートは、多糖の総量と比較して、約8%未満の遊離多糖を含む。好ましい一実施形態では、糖コンジュゲートは、多糖の総量と比較して、最大でも約6%の遊離多糖を含む。好ましい実施形態では、糖コンジュゲートは、多糖の総量と比較して、最大でも約5%の遊離多糖を含む。
d.共有結合。他の実施形態では、コンジュゲートは、5~10糖反復単位毎に;2~7糖反復単位毎に;3~8糖反復単位毎に;4~9糖反復単位毎に;6~11糖反復単位毎に;7~12糖反復単位毎に;8~13糖反復単位毎に;9~14糖反復単位毎に;10~15糖反復単位毎に;2~6糖反復単位毎に;3~7糖反復単位毎に;4~8糖反復単位毎に;6~10糖反復単位毎に;7~11糖反復単位毎に;8~12糖反復単位毎に;9~13糖反復単位毎に;10~14糖反復単位毎に;10~20糖反復単位毎に;4~25糖反復単位毎に、または2~25糖反復単位毎に、担体タンパク質と糖との間に少なくとも1個の共有結合を含む。よくある実施形態では、担体タンパク質は、CRM197である。別の実施形態では、担体タンパク質と糖との間の少なくとも1個の結合は、多糖の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25糖反復単位毎に存在する。一実施形態では、担体タンパク質は、CRM197である。上記の範囲のいずれかの中の任意の全整数が、本開示の実施形態として企図される。
e.リシン残基。本発明の糖コンジュゲートを特徴付ける別の方法は、コンジュゲート化リシンの範囲(コンジュゲーション度)として特徴付けることができる糖にコンジュゲートされるようになる担体タンパク質(例えば、CRM197)中のリシン残基の数による。多糖への共有結合に起因する、担体タンパク質のリシン改変に関する証拠を、当業者には公知の日常的な方法を使用するアミノ酸分析によって取得することができる。コンジュゲーションは、コンジュゲート材料を生成するために使用される担体タンパク質出発材料と比較して、回収されるリシン残基数の減少をもたらす。好ましい実施形態では、本発明の糖コンジュゲートのコンジュゲーション度は、2~15、2~13、2~10、2~8、2~6、2~5、2~4、3~15、3~13、3~10、3~8、3~6、3~5、3~4、5~15、5~10、8~15、8~12、10~15または10~12である。一実施形態では、本発明の糖コンジュゲートのコンジュゲーション度は、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14または約15である。好ましい実施形態では、本発明の糖コンジュゲートのコンジュゲーション度は、4~7である。一部のそのような実施形態では、担体タンパク質は、CRM197である。
糖鎖の担体タンパク質上のリシンへの結合の頻度は、本発明の糖コンジュゲートを特徴付けるための別のパラメーターである。例えば、一部の実施形態では、担体タンパク質と、多糖との間の少なくとも1つの共有結合は、多糖の4糖反復単位毎に存在する。別の実施形態では、担体タンパク質と多糖との間の共有結合は、多糖の10糖反復単位毎に少なくとも1回存在する。別の実施形態では、担体タンパク質と多糖との間の共有結合は、多糖の15糖反復単位毎に少なくとも1回存在する。別の実施形態では、担体タンパク質と多糖との間の共有結合は、多糖の25糖反復単位毎に少なくとも1回存在する。
f.Oアセチル化。一部の実施形態では、本発明の糖は、Oアセチル化されている。一部の実施形態では、糖コンジュゲートは、10~100%、20~100%、30~100%、40~100%、50~100%、60~100%、70~100%、75~100%、80~100%、90~100%、50~90%、60~90%、70~90%または80~90%のOアセチル化度を有する糖を含む。他の実施形態では、Oアセチル化度は、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、もしくは90%以上、または約100%である。Oアセチル化の%とは、100%に対する所与の糖のパーセンテージを意味する(それぞれの反復単位はそのアセチル化された構造と比較して完全にアセチル化されている)。
一部の実施形態では、糖コンジュゲートを、還元的アミノ化によって調製する。一部の実施形態では、糖コンジュゲートは、糖が担体タンパク質に直接的に共有結合された、単一末端結合コンジュゲート化糖である。一部の実施形態では、糖コンジュゲートは、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質に共有結合されている。
g.還元的アミノ化。一実施形態では、糖は、還元的アミノ化(米国特許出願公開第2006/0228380号、第2007/0231340号、第2007/0184071号および第2007/0184072号、WO2006/110381、WO2008/079653、およびWO2008/143709などに記載されている)によって担体タンパク質にコンジュゲートされる。
還元的アミノ化は、(1)糖の酸化、(2)コンジュゲートを形成させるための活性化された糖および担体タンパク質の還元を含む。酸化の前に、糖を加水分解してもよい。機械的または化学的加水分解を用いることができる。化学的加水分解を、酢酸を使用して行うことができる。
酸化ステップは、過ヨウ素酸塩との反応を含んでもよい。本明細書で使用される用語「過ヨウ素酸塩」とは、過ヨウ素酸塩と、過ヨウ素酸との両方を指す。この用語はまた、メタ過ヨウ素酸塩(IO4
-)とオルト過ヨウ素酸塩(IO6
5-)の両方および過ヨウ素酸の様々な塩(例えば、過ヨウ素酸ナトリウムおよび過ヨウ素酸カリウム)も含む。一実施形態では、多糖は、メタ過ヨウ素酸塩の存在下、好ましくは、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)の存在下で酸化される。別の実施形態では、多糖は、オルト過ヨウ素酸塩の存在下、好ましくは、過ヨウ素酸の存在下で酸化される。
一実施形態では、酸化剤は、第一ヒドロキシルを選択的に酸化するための酸化剤の存在下の、ピペリジン-N-オキシまたはピロリジン-N-オキシ化合物などの安定なニトロキシルまたはニトロキシドラジカル化合物である。前記反応において、実際の酸化剤は、触媒サイクルにおける、N-オキソアンモニウム塩である。ある態様では、前記安定なニトロキシルまたはニトロキシドラジカル化合物は、ピペリジン-N-オキシまたはピロリジン-N-オキシ化合物である。ある態様では、前記安定なニトロキシルまたはニトロキシドラジカル化合物は、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ)またはPROXYL(2,2,5,5-テトラメチル-1-ピロリジニルオキシ)部分を担持する。ある態様では、前記安定なニトロキシルラジカル化合物は、TEMPOまたはその誘導体である。ある態様では、前記酸化剤は、N-ハロ部分を担持する分子である。ある態様では、前記酸化剤は、N-クロロスクシンイミド、N-ブロモスクシンイミド、N-ヨードスクシンイミド、ジクロロイソシアヌル酸、1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、ジブロモイソシアヌル酸、1,3,5-トリブロモ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、ジヨードイソシアヌル酸および1,3,5-トリヨード-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンのいずれか1つから選択される。好ましくは、前記酸化剤は、N-クロロスクシンイミドである。
糖の酸化ステップの後、糖は活性化されると言われ、本明細書の以下で「活性化された」と称される。活性化された糖および担体タンパク質を、独立に(個別凍結乾燥)または一緒に(同時凍結乾燥)、凍結乾燥(凍結-乾燥)することができる。一実施形態では、活性化された糖および担体タンパク質は、同時凍結乾燥される。別の実施形態では、活性化された多糖および担体タンパク質は、独立に凍結乾燥される。
一実施形態では、凍結乾燥は、非還元糖の存在下で行い、あり得る非還元糖としては、スクロース、トレハロース、ラフィノース、スタキオース、メレジトース、デキストラン、マンニトール、ラクチトールおよびパラチニットが挙げられる。
コンジュゲーションプロセスの次のステップは、還元剤を使用した、コンジュゲートを形成させるための活性化された糖および担体タンパク質の還元(いわゆる還元的アミノ化)である。好適な還元剤としては、BronstedまたはLewis酸の存在下のシアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素ナトリウムもしくは水素化ホウ素亜鉛などのシアノ水素化ホウ素、ピリジンボラン、2-ピコリンボラン、2,6-ジボラン-メタノール、ジメチルアミン-ボラン、t-BuMe’PrN-BH3、ベンジルアミン-BH3または5-エチル-2-メチルピリジンボラン(PEMB)、ボラン-ピリジン、またはホウ化水素交換樹脂などのアミンボランが挙げられる。一実施形態では、還元剤は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムである。
ある実施形態では、還元反応は、水性溶媒(例えば、pH6.0~8.5、7.0~8.0または7.0~7.5の、PBS、MES、HEPES、Bis-トリス、ADA、PIPES、MOPSO、BES、MOPS、DIPSO、MOBS、HEPPSO、POPSO、TEA、EPPS、ビシンまたはHEPBから選択される)中で実行され、別の実施形態では、反応は非プロトン性溶媒中で実行される。ある実施形態では、還元反応は、DMSO(ジメチルスルホキシド)またはDMF(ジメチルホルムアミド)溶媒中で実行される。DMSOまたはDMF溶媒を使用して、凍結乾燥された活性化された糖および担体タンパク質を復元することができる。
還元反応の終わりに、コンジュゲート中に残存する未反応のアルデヒド基があってもよく、これらのものを、好適なキャッピング剤を使用してキャップすることができる。一実施形態では、このキャッピング剤は、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)である。コンジュゲーション(還元反応および必要に応じて、キャッピング)の後、糖コンジュゲートを、当業者には公知の様々な技術によって精製する(多糖-タンパク質コンジュゲートの量に関して富化する)ことができる。これらの技術としては、透析、濃縮/透析濾過操作、接線流濾過沈降/溶出、カラムクロマトグラフィー(DEAEまたは疎水性相互作用クロマトグラフィー)、および深層濾過が挙げられる。糖コンジュゲートを、透析濾過および/またはイオン交換クロマトグラフィーおよび/またはサイズ排除クロマトグラフィーによって精製することができる。ある実施形態では、糖コンジュゲートは、透析濾過またはイオン交換クロマトグラフィーまたはサイズ排除クロマトグラフィーによって精製される。一実施形態では、糖コンジュゲートは、滅菌濾過される。
好ましい実施形態では、O25B、O1a、O2、およびO6のいずれか1つから選択される大腸菌(E.coli)血清型に由来する糖コンジュゲートが、還元的アミノ化によって調製される。好ましい実施形態では、大腸菌(E.coli)血清型O25B、O1a、O2、およびO6に由来する糖コンジュゲートが、還元的アミノ化によって調製される。
一態様では、本発明は、担体タンパク質、例えば、
[式中、nは、1以上の任意の整数である]
によって表される、式O25Bの糖に連結されているCRM
197を含むコンジュゲートに関する。好ましい実施形態では、nは、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、および最大でも200、100、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、または50の整数である。任意の最小値と任意の最大値とを組み合わせて、範囲を定義することができる。例示的な範囲としては、例えば、少なくとも1~最大でも1000;少なくとも10~最大でも500;および少なくとも20~最大でも80が挙げられる。1つの好ましい実施形態では、nは少なくとも31~最大でも90、より好ましくは40~90、最も好ましくは60~85である。
別の態様では、本発明は、表Aに示される以下の構造のいずれか1つ(式中、nは1より大きい整数であるか、または1に等しい)を有する糖に結合した、担体タンパク質、例えば、CRM197を含むコンジュゲートに関する。
理論またはメカニズムによって束縛されるものではないが、一部の実施形態では、安定なコンジュゲートは、抗原の重要な免疫原性エピトープの構造的完全性の保持とのバランスを保つレベルの抗原改変を必要とすると考えられる。
h.アルデヒドの活性化および形成。一部の実施形態では、本発明の糖は、活性化され、アルデヒドの形成をもたらす。糖が活性化されるそのような実施形態では、活性化のパーセンテージ(%)(または酸化度(DO))とは、活性化された多糖のアルデヒドのモルあたりの糖反復単位のモルを指す。例えば、一部の実施形態では、糖は、多糖の反復単位上の隣接ジオールの過ヨウ素酸塩酸化によって活性化され、アルデヒドの形成をもたらす。糖反復単位に対する過ヨウ素酸ナトリウムのモル当量(meq)および酸化中の温度を変化させることにより、酸化度(DO)のレベルの変化が得られる。
糖およびアルデヒド濃度は、典型的には、比色アッセイによって決定される。代替試薬は、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシルラジカル)-N-クロロスクシンイミド(NCS)混合物であり、第一アルコール基からのアルデヒドの形成をもたらす。
一部の実施形態では、活性化された糖は、活性化された糖のアルデヒドのモルあたりの糖反復単位のモルが、例えば、2~80、2~50、3~30、および4~25などの、1~100である酸化度を有する。活性化度は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、もしくは90以上、または約100である。好ましくは、酸化度(DO)は、少なくとも5、かつ最大でも50、より好ましくは、少なくとも10、かつ最大でも25である。一実施形態では、活性化度は、少なくとも10、かつ最大でも25である。任意の最小値と任意の最大値とを組み合わせて、範囲を定義することができる。酸化度の値は、活性化のパーセンテージ(%)として表すことができる。例えば、一実施形態では、10のDO値は、活性化された糖中の合計10の糖反復単位のうち、1の活性化された糖反復単位を指し、その場合、10のDO値は、10%の活性化と表すことができる。
一部の実施形態では、還元的アミノ化化学反応によって調製されたコンジュゲートは、担体タンパク質と糖とを含み、糖は、式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式O62D1、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187のいずれか1つから選択される構造を含む。一部の実施形態では、コンジュゲート中の糖は、nが1~1000、5~1000、好ましくは31~100または31~90、より好ましくは35~90、最も好ましくは35~65の整数である式を含む。
i.単一末端結合コンジュゲート。一部の実施形態では、コンジュゲートは、糖が、糖の一方の末端で担体タンパク質に共有結合した、単一末端結合コンジュゲート化糖である。一部の実施形態では、単一末端結合コンジュゲート化多糖は、末端糖を有する。例えば、コンジュゲートは、多糖の一方の末端(末端糖残基)が担体タンパク質に共有結合する場合、単一末端結合している。一部の実施形態では、コンジュゲートは、多糖の末端糖残基がリンカーを介して担体タンパク質に共有結合する場合、単一末端結合している。そのようなリンカーは、例えば、シスタミンリンカー(A1)、3,3’-ジチオビス(プロパン酸ジヒドラジド)リンカー(A4)、および2,2’-ジチオ-N,N’-ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(2-(アミノオキシ)アセタミド)リンカー(A6)を含んでもよい。
一部の実施形態では、糖は、3-デオキシ-d-マンノ-オクタ-2-ウロソン酸(KDO)残基を介して担体タンパク質にコンジュゲートして、単一末端結合コンジュゲートを形成している。
一部の実施形態では、コンジュゲートは好ましくは、バイオコンジュゲートではない。用語「バイオコンジュゲート」とは、宿主細胞バックグラウンドで調製された、タンパク質(例えば、担体タンパク質)と、抗原、例えば、O抗原(例えば、O25B)とのコンジュゲートを指し、ここで、宿主細胞機構が、抗原をタンパク質に結合する(例えば、N結合)。糖コンジュゲートは、宿主細胞中でのコンジュゲートの調製を必要としない手段、例えば、タンパク質と糖との化学的結合によるコンジュゲーションによって調製されたバイオコンジュゲート、ならびに糖抗原(例えば、オリゴ糖および多糖)-タンパク質コンジュゲートを含む。
j.チオール活性化された糖。一部の実施形態では、本発明の糖は、チオール活性化されている。糖がチオール活性化されているそのような実施形態では、活性化のパーセンテージ(%)は、活性化された多糖の糖反復単位あたりのチオールのモルを指す。糖およびチオール濃度は、典型的には、スルフヒドリルの定量化のためのエルマンアッセイによって決定される。例えば、一部の実施形態では、糖は、ジスルフィドアミンリンカーを用いた2-ケト-3-デオキシオクタン酸(KDO)の活性化を含む。一部の実施形態では、糖は、二価ヘテロ二官能性リンカー(本明細書では「スペーサー」とも称される)を介して担体タンパク質に共有結合している。リンカーは、好ましくは、糖と担体タンパク質との間のチオエーテル結合を提供し、本明細書では「チオエーテル糖コンジュゲート」と称される糖コンジュゲートをもたらす。一部の実施形態では、リンカーは、例えば、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)などの、カルバメートおよびアミド結合をさらに提供する。
一部の実施形態では、単一末端結合コンジュゲートは、担体タンパク質および糖を含み、糖は、式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式62D1、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187のいずれか1つから選択される構造を含む。一部の実施形態では、コンジュゲート内の糖は、nが1~1000、5~1000、好ましくは、31~100、より好ましくは、35~90、最も好ましくは、35~65の整数である式を含む。
例えば、一実施形態では、単一末端結合コンジュゲートは、担体タンパク質と、式O8、式O9a、式O9、式O20ab、式O20ac、式O52、式O97、および式O101(式中、nは1~10の整数である)から選択される構造を有する糖とを含む。
5.eTECコンジュゲート
一態様では、本発明は一般に、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサー(例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9517274号および国際特許出願公開WO2014027302に記載されている)を介して担体タンパク質に共有的にコンジュゲートされた上記の大腸菌(E.coli)に由来する糖を含む糖コンジュゲート、そのような糖コンジュゲートを含む免疫原性組成物、ならびにそのような糖コンジュゲートおよび免疫原性組成物の調製および使用のための方法に関する。前記糖コンジュゲートは、1つまたは複数のeTECスペーサーを介して担体タンパク質に共有的にコンジュゲートされた糖であって、糖が、カルバメート結合によってeTECスペーサーに共有的にコンジュゲートされ、担体タンパク質が、アミド結合によってeTECスペーサーに共有的にコンジュゲートされている、糖を含む。eTECスペーサーは、7個の線状原子(すなわち、-C(O)NH(CH2)2SCH2C(O)-)を含み、糖と担体タンパク質との間に安定なチオエーテルおよびアミド結合を提供する。
本発明のeTEC結合糖コンジュゲートは、一般式(I):
[式中、eTECスペーサーを構成する原子は、中央のボックス内に含まれる]
によって表され得る。
本発明の前記糖コンジュゲートにおいて、糖は、多糖またはオリゴ糖であってもよい。
本発明の糖コンジュゲート中に組み入れられる担体タンパク質は、本明細書にさらに記載されるように、または当業者には公知のように、そのような目的にとって一般的に好適な担体タンパク質群から選択される。特定の実施形態では、担体タンパク質は、CRM197である。
別の態様では、本発明は、eTECスペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされた本明細書に記載の糖を含む糖コンジュゲートを作製する方法であって、a)有機溶媒中で糖と炭酸誘導体とを反応させて、活性化された糖を生産するステップ;b)活性化された糖と、シスタミンもしくはシステアミンまたはその塩とを反応させて、チオール化された糖を生産するステップ;c)チオール化された糖と、還元剤とを反応させて、1つまたは複数の遊離スルフヒドリル残基を含む、活性化されたチオール化された糖を生産するステップ;d)活性化されたチオール化された糖と、1つまたは複数のα-ハロアセタミド基を含む活性化された担体タンパク質とを反応させて、チオール化された糖-担体タンパク質コンジュゲートを生産するステップ;ならびにe)チオール化された糖-担体タンパク質コンジュゲートと、(i)活性化された担体タンパク質の非コンジュゲート化α-ハロアセタミド基をキャッピングすることができる第1のキャッピング試薬;および/または(ii)活性化されたチオール化された糖の非コンジュゲート化遊離スルフヒドリル残基をキャッピングすることができる第2のキャッピング試薬とを反応させるステップを含み、それによって、eTEC結合糖コンジュゲートが生産される、方法を提供する。
よくある実施形態では、炭酸誘導体は、1,1’-カルボニル-ジ-(1,2,4-トリアゾール)(CDT)または1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)である。好ましくは、炭酸誘導体はCDTであり、有機溶媒はジメチルスルホキシド(DMSO)などの極性非プロトン性溶媒である。好ましい実施形態では、チオール化された糖は、活性化された糖と、二官能性対称性チオアルキルアミン試薬、シスタミンまたはその塩との反応によって生産される。あるいは、チオール化された糖を、活性化された糖と、システアミンまたはその塩との反応によって形成させることもできる。本発明の方法によって生産されるeTEC結合糖コンジュゲートを、一般式(I)によって表すことができる。
よくある実施形態では、第1のキャッピング試薬は、担体タンパク質のリシン残基上の非コンジュゲート化α-ハロアセタミド基と反応して、チオエーテル結合によって活性化されたリシン残基に共有結合するS-カルボキシメチルシステイン(CMC)残基を形成する、N-アセチル-L-システインである。
他の実施形態では、第2のキャッピング試薬は、活性化されたチオール化された糖の非コンジュゲート化遊離スルフヒドリル基と反応して、キャッピングされたチオアセタミドを提供するヨードアセタミド(IAA)である。ステップe)は、第1のキャッピング試薬と第2のキャッピング試薬との両方を用いてキャッピングすることを含むことが多い。ある特定の実施形態では、ステップe)は、第1のキャッピング試薬としてのN-アセチル-L-システインおよび第2のキャッピング試薬としてのIAAを用いてキャッピングすることを含む。
一部の実施形態では、キャッピングステップe)は、第1および/または第2のキャッピング試薬との反応後に、還元剤、例えば、DTT、TCEP、またはメルカプトエタノールとの反応をさらに含む。
本発明のeTEC結合糖コンジュゲートおよび免疫原性組成物は、遊離スルフヒドリル残基を含んでもよい。一部の例では、本明細書に提供される方法によって形成される活性化されたチオール化された糖は、複数の遊離スルフヒドリル残基を含み、その一部は、コンジュゲーションステップ中に担体タンパク質への共有的コンジュゲーションを受けない場合がある。そのような残留する遊離スルフヒドリル残基は、アチオール反応キャッピング試薬、例えば、ヨードアセタミド(IAA)との反応によってキャッピングされ、潜在的に反応性の官能基をキャッピングする。他のチオール反応性キャッピング試薬、例えば、マレイミド含有試薬なども企図される。
さらに、本発明のeTEC結合糖コンジュゲートおよび免疫原性組成物は、残留する非コンジュゲート化担体タンパク質を含んでもよく、キャッピングプロセスステップ中に改変を受けた活性化された担体タンパク質を含んでもよい。
一部の実施形態では、ステップd)は、活性化されたチオール化された糖と、活性化された担体タンパク質とを反応させる前に、1つまたは複数のα-ハロアセタミド基を含む活性化された担体タンパク質を提供することをさらに含む。よくある実施形態では、活性化された担体タンパク質は、1つまたは複数のα-ブロモアセタミド基を含む。
別の態様では、本発明は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って生産されたeTECスペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされた本明細書に記載の糖を含むeTEC結合糖コンジュゲートを提供する。
一部の実施形態では、担体タンパク質は、CRM197であり、CRM197と多糖との間のeTECスペーサーを介する共有結合は、多糖の4、10、15または25糖反復単位あたり少なくとも1回存在する。
本発明の態様のそれぞれ、特に、本明細書に記載の方法および組成物の特定の実施形態について、eTEC結合糖コンジュゲートは、大腸菌(E.coli)に由来する糖などの、本明細書に記載の糖を含む。
別の態様では、本発明は、対象における細菌感染、疾患または状態を防止する、処置する、または改善する方法であって、対象に、免疫学的に有効な量の本発明の免疫原性組成物を投与することを含み、前記免疫原性組成物が、本明細書に記載の糖を含むeTEC結合糖コンジュゲートを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)に由来する。
一部の実施形態では、eTEC結合糖コンジュゲートは、担体タンパク質と、式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式O62D1、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187のいずれか1つから選択される構造を含む糖とを含む。一部の実施形態では、コンジュゲート中の糖は、nが1~1000、5~1000、好ましくは31~100、より好ましくは35~90、最も好ましくは35~65の整数である式を含む。
糖にコンジュゲートされるようになる担体タンパク質中のリシン残基の数を、コンジュゲートされるリシンの範囲として特徴付けることができる。例えば、免疫原性組成物の一部の実施形態では、CRM197は、糖に共有結合した39のうちの4~16個のリシン残基を含んでもよい。このパラメーターを表現するための別の方法は、CRM197リシンの約10%~約41%が糖に共有結合しているというものである。他の実施形態では、CRM197は、糖に共有結合した39のうちの2~20個のリシン残基を含んでもよい。このパラメーターを表現するための別の方法は、CRM197リシンの約5%~約50%が糖に共有結合しているというものである。
よくある実施形態では、担体タンパク質は、CRM197であり、CRM197と多糖との間のeTECスペーサーを介する共有結合は、多糖の4、10、15または25糖反復単位あたり少なくとも1回存在する。
他の実施形態では、コンジュゲートは、5~10糖反復単位毎に;2~7糖反復単位毎に;3~8糖反復単位毎に;4~9糖反復単位毎に;6~11糖反復単位毎に;7~12糖反復単位毎に;8~13糖反復単位毎に;9~14糖反復単位毎に;10~15糖反復単位毎に;2~6糖反復単位毎に;3~7糖反復単位毎に;4~8糖反復単位毎に;6~10糖反復単位毎に;7~11糖反復単位毎に;8~12糖反復単位毎に;9~13糖反復単位毎に;10~14糖反復単位毎に;10~20糖反復単位毎に;または4~25糖反復単位毎に、担体タンパク質と糖との間に少なくとも1個の共有結合を含む。
別の実施形態では、担体タンパク質と糖との間の少なくとも1個の結合は、多糖の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25糖反復単位毎に存在する。
6.担体タンパク質
本発明の糖コンジュゲートの成分は、糖がコンジュゲートされている担体タンパク質である。用語「タンパク質担体」または「担体タンパク質」または「担体」は、本明細書では互換的に使用することができる。担体タンパク質は、標準的なコンジュゲーション手順に適しているべきである。
コンジュゲートの1つの成分は、O多糖がコンジュゲートされている担体タンパク質である。一実施形態では、コンジュゲートは、O多糖のコアオリゴ糖にコンジュゲートされた担体タンパク質を含む。一実施形態では、コンジュゲートは、O多糖のO抗原にコンジュゲートされた担体タンパク質を含む。
用語「タンパク質担体」または「担体タンパク質」または「担体」は、本明細書では互換的に使用することができる。担体タンパク質は、標準的なコンジュゲーション手順に適しているべきである。
好ましい実施形態では、コンジュゲートの担体タンパク質は、TT、DT、DT変異体(CRM197など)、ヘモフィルス・インフルエンザ(H.influenzae)タンパク質D、PhtX、PhtD、PhtDE融合物(特に、WO01/98334およびWO03/54007に記載のもの)、解毒されたニューモリシン、PorB、N19タンパク質、PspA、OMPC、クロストリジウム・ディフィシレ(C.difficile)の毒素AまたはBおよびPsaAのいずれか1つから独立に選択される。ある実施形態では、本発明のコンジュゲートの担体タンパク質は、DT(ジフテリアトキソイド)である。別の実施形態では、本発明のコンジュゲートの担体タンパク質は、TT(破傷風トキソイド)である。別の実施形態では、本発明のコンジュゲートの担体タンパク質は、PD(ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)タンパク質D-例えば、EP0594610Bを参照されたい)である。一部の実施形態では、担体タンパク質は、ポリ(L-リシン)(PLL)を含む。
好ましい実施形態では、糖は、CRM197タンパク質にコンジュゲートされる。CRM197タンパク質は、ジフテリア毒素の非毒性形態であるが、ジフテリア毒素と免疫学的に識別不可能である。CRM197は、毒素産生コリネファージベータのニトロソグアニジン突然変異誘発によって作出された非毒素産生ファージβ197tox-によって感染したクロストリジウム・ディフィシレ(C.difficile)によって産生される。CRM197タンパク質は、ジフテリア毒素と同じ分子量を有するが、構造遺伝子中の単一の塩基変化(グアニンからアデニンへの)によってそれと異なる。この単一の塩基変化は、成熟タンパク質中のアミノ酸置換(グルタミン酸からグリシンへの)を引き起こし、ジフテリア毒素の有毒性を除去する。CRM197タンパク質は、糖のための安全かつ有効なT細胞依存的担体である。
したがって、一部の実施形態では、本発明のコンジュゲートは、糖がCRM197に共有結合している、担体タンパク質としてCRM197を含む。
好ましい実施形態では、糖コンジュゲートの担体タンパク質は、DT(ジフテリア毒素)、TT(破傷風トキソイド)またはTTの断片C、CRM197(ジフテリア毒素の非毒性的であるが、抗原的に同一のバリアント)、他のDT変異体(CRM176、CRM228、CRM45(Uchidaら、J.Biol.Chem.218:3838~3844、1973)、CRM9、CRM45、CRM102、CRM103またはCRM107;ならびにNichollsおよびYoule in Genetically Engineered Toxins、Ed:Frankel、Maecel Dekker Inc.1992により記載された他の突然変異;Glu-148からAsp、GlnもしくはSerおよび/またはAla158からGlyへの欠失または突然変異ならびに米国特許第4,709,017号および第4,950,740号に開示された他の突然変異;Lys516、Lys526、Phe530および/またはLys534の少なくとも1つまたは複数の残基の突然変異ならびに米国特許第5,917,017号もしくは第6,455,673号に開示された他の突然変異;または米国特許第5,843,711号に開示された断片)、一部の様式で解毒されたply、例えば、dPLY-GMBS(WO04081515、PCT/EP2005/010258)またはdPLY-ホルモル、PhtA、PhtB、PhtD、PhtEを含むPhtX(PhtA、PhtB、PhtDまたはPhtEの配列は、WO00/37105もしくはWO00/39299に開示されている)およびPhtタンパク質の融合物、例えば、PhtDE融合物、PhtBE融合物、PhtA-E(WO01/98334、WO03/54007、WO2009/000826)を含む、肺炎球菌ニューモリシン(Kuoら(1995)Infect lmmun 63:2706~13)、OMPC(通常、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清群Bから抽出される髄膜炎菌外膜タンパク質-EP0372501)、PorB(髄膜炎菌(N.meningitidis)由来)、PD(ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)タンパク質D-例えば、EP0594610Bを参照されたい)、またはその免疫学的機能等価物、合成ペプチド(EP0378881、EP0427347)、熱ショックタンパク質(WO93/17712、WO94/03208)、百日咳タンパク質(WO98/58668、EP0471177)、サイトカイン、リンホカイン、増殖因子またはホルモン(WO91/01146)、様々な病原体由来抗原に由来する複数のヒトCD4+T細胞エピトープを含む人工タンパク質(Falugiら(2001)Eur J Immunol 31:3816~3824)、例えば、N19タンパク質(Baraldoiら(2004)Infect lmmun 72:4884~7)、肺炎球菌表面タンパク質PspA(WO02/091998)、鉄取込みタンパク質(WO01/72337)、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)の毒素AまたはB(WO00/61761)、トランスフェリン結合タンパク質、肺炎球菌接着タンパク質(PsaA)、組換え緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素A(特に、その非毒性変異体(グルタミン酸553に置換を担持する外毒素Aなど(Uchida Cameron DM、RJ Collier.1987、J.Bacteriol.169:4967~4971))からなる群から選択される。オブアルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)またはツベルクリンの精製されたタンパク質誘導体(PPD)などの他のタンパク質も、担体タンパク質として使用することができる。他の好適な担体タンパク質としては、コレラトキソイド(例えば、国際特許出願WO2004/083251に記載されている)、大腸菌(E.coli)LT、大腸菌(E.coli)ST、および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に由来する外毒素Aなどの不活化細菌毒素が挙げられる。
一部の実施形態では、担体タンパク質は、例えば、CRM197、ジフテリア毒素断片B(DTFB)、DTFB C8、ジフテリアトキソイド(DT)、破傷風トキソイド(TT)、TTの断片C、百日咳トキソイド、コレラトキソイド、または緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に由来する外毒素A;緑膿菌(P.aeruginosa)の解毒された外毒素A(EPA)、マルトース結合タンパク質(MBP)、フラゲリン、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の解毒された溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)ニューモリシンおよびその解毒されたバリアント、カンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)AcrA、カンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)天然糖タンパク質、ならびに連鎖球菌(Streptococcal)C5aペプチダーゼ(SCP)のいずれか1つから選択される。一実施形態では、担体タンパク質は、解毒されたシュードモナス(Pseudomonas)外毒素(EPA)である。別の実施形態では、担体タンパク質は、解毒されたシュードモナス(Pseudomonas)外毒素(EPA)ではない。一実施形態では、担体タンパク質は、フラゲリンである。別の実施形態では、担体タンパク質は、フラゲリンではない。
好ましい実施形態では、糖コンジュゲートの担体タンパク質は、TT、DT、DT変異体(CRM197など)、ヘモフィルス・インフルエンザ(H.influenzae)タンパク質D、PhtX、PhtD、PhtDE融合物(特に、WO01/98334およびWO03/54007に記載のもの)、解毒されたニューモリシン、PorB、N19タンパク質、PspA、OMPC、クロストリジウム・ディフィシレ(C.difficile)の毒素AまたはBおよびPsaAからなる群から独立に選択される。ある実施形態では、本発明の糖コンジュゲートの担体タンパク質は、DT(ジフテリアトキソイド)である。別の実施形態では、本発明の糖コンジュゲートの担体タンパク質は、TT(破傷風トキソイド)である。別の実施形態では、本発明の糖コンジュゲートの担体タンパク質は、PD(ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)タンパク質D-例えば、EP0594610Bを参照されたい)である。
好ましい実施形態では、本発明の莢膜糖は、CRM197タンパク質にコンジュゲートされる。CRM197タンパク質は、ジフテリア毒素の非毒性形態であるが、ジフテリア毒素と免疫学的に識別不可能である。CRM197は、毒素産生コリネファージベータ(Uchida、T.ら、1971、Nature New Biology 233:8~11)のニトロソグアニジン突然変異誘発によって創出された非毒素産生ファージβ197tox-により感染したコリネバクテリウム・ジフテリア(C.diphtheriae)によって産生される。CRM197タンパク質は、ジフテリア毒素と同じ分子量を有するが、構造遺伝子中の単一の塩基変化(グアニンからアデニンへの)によってそれと異なる。この単一の塩基変化は、成熟タンパク質中のアミノ酸置換(グルタミン酸からグリシンへの)を引き起こし、ジフテリア毒素の有毒性を除去する。CRM197タンパク質は、糖のための安全かつ有効なT細胞依存的担体である。CRM197およびその産生に関するさらなる詳細は、例えば、米国特許第5,614,382号に見出すことができる。
したがって、よくある実施形態では、本発明の糖コンジュゲートは、莢膜多糖がCRM197に共有結合している、担体タンパク質としてCRM197を含む。
さらなる実施形態では、糖コンジュゲートの担体タンパク質は、SCP(連鎖球菌(Streptococcal)C5aペプチダーゼ)である。β-溶血性連鎖球菌の全てのヒト単離物は、C5aを特異的に不活性化する、高度に保存された細胞壁タンパク質SCP(連鎖球菌(Streptococcal)C5aペプチダーゼ)を産生する。scp遺伝子は、1,134~1,181アミノ酸を含有するポリペプチドをコードする(Brownら、PNAS、2005年、102巻、51号、18391~18396頁)。最初の31残基は、搬出シグナルプレ配列であり、細胞膜通過の際に除去される。次の68残基は、プロ配列として機能し、活性SCPを産生するために除去される必要がある。次の10残基は、プロテアーゼ活性を損失することなく除去することができる。他方の端において、Lys-1034から開始して、4個の連続した17残基モチーフに続いて、細胞選別および細胞壁付着シグナルがある。この組み合わされたシグナルは、LPTTND配列を含有する20残基親水性配列、17残基疎水性配列および短い塩基性カルボキシル末端で構成される。
SCPは、ドメインに分けることができる(Brownら、PNAS、2005年、102巻、51号、18391~18396頁の図1Bを参照)。そのようなドメインは、プレ/プロドメイン(搬出シグナルプレ配列(一般的に、最初の31残基)およびプロ配列(一般的に、次の68残基)を含む)、プロテアーゼドメイン(2個の部分(プロテアーゼ部分1は一般的に、残基89~333/334であり、プロテアーゼドメイン部分2は一般的に、残基467/468~583/584である)に分割される)、プロテアーゼ関連ドメイン(PAドメイン)(一般的に、残基333/334~467/468)、3個のフィブロネクチンIII型(Fn)ドメイン(Fn1、一般的に、残基583/584~712/713;Fn2、一般的に、残基712/713~928/929/930;一般的に、Fn3、残基929/930~1029/1030/1031)および細胞壁アンカードメイン(一般的に、残基1029/1030/1031~C末端)である。
ある実施形態では、本発明の糖コンジュゲートの担体タンパク質は、GBS由来のSCP(SCPB)である。SCPBの例は、WO97/26008の配列番号3に提供される。WO00/34487の配列番号3も参照されたい。
別の実施形態では、本発明の糖コンジュゲートの担体タンパク質は、GAS由来のSCP(SCPA)である。SCPAの例は、WO97/26008の配列番号1および配列番号2に見出すことができる。WO00/34487の配列番号1、2および23も参照されたい。
さらなる実施形態では、本発明の糖コンジュゲート(glyconjugate)の担体タンパク質は、WO2014/136064の配列番号150または151に記載されるSCPである。
B.アジュバント
一部の態様では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、少なくとも1、2または3つのアジュバントをさらに含んでもよい。用語「アジュバント」とは、抗原に対する免疫応答を増強する化合物または混合物を指す。抗原は、主に送達系として、主に免疫モジュレーターとして作用するか、または両方の強力な特徴を有してもよい。好適なアジュバントとしては、ヒトを含む哺乳動物中での使用にとって好適なものが挙げられる。
ヒトにおいて使用することができる公知の好適な送達系型アジュバントの例としては、限定されるものではないが、ミョウバン(例えば、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウム)、リン酸カルシウム、リポソーム、MF59(4.3%w/vスクアレン、0.5%w/vポリソルベート80(Tween80)、0.5%w/vソルビタントリオレエート(Span85))などの水中油エマルジョン、モンタニドなどの油中水エマルジョン、およびポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLG)マイクロ粒子またはナノ粒子が挙げられる。
一態様では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、アジュバントとしてアルミニウム塩(ミョウバン)(例えば、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウム)を含む。さらなる態様では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、アジュバントとしてリン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウムを含む。一態様では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、リン酸アルミニウムの形態で、0.1mg/mL~1mg/mLまたは0.2mg/mL~0.3mg/mLのアルミニウム元素を含む。一態様では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、リン酸アルミニウムの形態で約0.25mg/mLのアルミニウム元素を含む。
ヒトにおいて使用することができる公知の好適な免疫調節型アジュバントの例としては、限定されるものではないが、アクイラ(Aquilla)樹皮からのサポニン抽出物(QS21、QuilA)、MPL(モノホスホリルリピドA)、3DMPL(3-O-脱アシル化MPL)またはGLA-AQなどのTLR4アゴニスト、LT/CT突然変異体、種々のインターロイキン(例えば、IL-2、IL-12)またはGM-CSFなどのサイトカイン、AS01などが挙げられる。
ヒトにおいて使用することができる送達特性と免疫調節特性との両方を示す公知の好適な免疫調節型アジュバントの例としては、限定されるものではないが、ISCOMS(例えば、Sjolanderら(1998)J.Leukocyte Biol.64:713;WO90/03184、WO96/11711、WO00/48630、WO98/36772、WO00/41720、WO2006/134423およびWO2007/026190を参照されたい)またはTLR4アゴニストと水中油エマルジョンとの組合せであるGLA-EMが挙げられる。
限定されるものではないが、動物実験などの獣医学的適用のために、当業者であれば、Freundの完全アジュバント(CFA)、Freundの不完全アジュバント(IFA)、Emulsigen、N-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチル-ノル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(CGP 11637、ノル-MDPと称される)、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミニル-L-アラニン-2-(1’-2’-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミン(CGP19835A、MTP-PEと称される)、および2%スクアレン/Tween80エマルジョン中に細菌から抽出される3つの成分、モノホスホリルリピドA、トレハロースジミコレートおよび細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を含有する、RIBIを使用することができる。
本明細書に開示される免疫原性組成物の有効性を増強するためのさらなる例示的なアジュバントとしては、限定されるものではないが、(1)例えば、(a)10%スクアラン、0.4%Tween80、5%プルロニック(登録商標)遮断ポリマーL121、およびマイクロメートル以下のエマルジョンにマイクロ流体化された、またはより大きい粒径のエマルジョンを生成するためにボルテックスされたthr-MDPを含有するSAF、ならびに(b)2%スクアレン、0.2%Tween80、およびモノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)、好ましくは、MPL+CWS(DETOX(商標))などの1つまたは複数の細菌細胞壁成分を含有するRIBI(商標)アジュバント系(RAS)(Ribi Immunochem、Hamilton、Mont.)などの、水中油エマルジョン製剤(ムラミルペプチド(以下を参照されたい)または細菌細胞壁成分などの他の特定の免疫刺激剤を含む、または含まない);(2)QS21、STIMULON(商標)(Cambridge Bioscience、Worcester、Mass.)、ABISCO(登録商標)(Isconova、Sweden)、または使用することができるISCOMATRIX(登録商標)(Commonwealth Serum Laboratories、Australia)もしくはISCOM(免疫刺激複合体)などの、それから生成される粒子(ISCOMはさらなる洗剤を含まなくてもよい(例えば、WO00/07621))などのサポニンアジュバント;(3)完全Freundアジュバント(CFA)および不完全Freundアジュバント(IFA);(4)インターロイキン(例えば、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12(例えば、WO99/44636))、インターフェロン(例えば、ガンマインターフェロン)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)などのサイトカイン;(5)モノホスホリルリピドA(MPL)または3-O-脱アシル化MPL(3dMPL)(例えば、GB2220211、EP0689454を参照されたい)(例えば、WO00/56358を参照されたい);(6)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油エマルジョンとの組合せ(例えば、EP0835318、EP0735898、EP0761231を参照されたい);(7)ポリオキシエチレンエーテルまたはポリオキシエチレンエステル(例えば、WO99/52549を参照されたい);(8)オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(例えば、WO01/21207)またはオクトキシノールなどの少なくとも1つのさらなる非イオン性界面活性剤と組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテルもしくはエステル界面活性剤(例えば、WO01/21152);(9)サポニンおよび免疫刺激オリゴヌクレオチド(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)(例えば、WO00/62800);(10)免疫刺激剤および金属塩の粒子(例えば、WO00/23105を参照されたい);(11)サポニンおよび水中油エマルジョン(例えば、WO99/11241);(12)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IM2(場合により、+ステロール)(例えば、WO98/57659);(13)組成物の効能を増強するための免疫刺激剤として作用する他の物質が挙げられる。ムラミルペプチドとしては、N-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-25アセチル-ノルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(ノル-MDP)、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミニル-L-アラニン-2-(1’-2’-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミン(MTP-PE)などが挙げられる。
別の実施形態では、アジュバントは、5.1mg/mL QS-21、5mMスクシネート、60mM NaCl、0.1%PS80、pH5.6を含むリポソームキラヤ・サポナリア(Quillaja Saponaria)-21(QS21)製剤である。さらなる実施形態では、アジュバントは、動的光散乱によって決定された71nmのリポソーム粒子径を有する、15mMリン酸緩衝液、pH6.1、4mg/mL 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1mg/mLコレステロール、0.2mg/mL MPLA(ロット00714551-0018-2XLipoMPL)を含むリポソームモノホスホリルリピドA(MPLA、Synthetic、PHAD(登録商標)、Avanti)製剤である。またさらなる実施形態では、アジュバントは、動的光散乱によって決定されるMPLA-QS21リポソームの75nmの粒子径を有する、15mMリン酸緩衝液、pH6.1、4mg/mL DOPC、1mg/mLコレステロール、0.2mg/mL MPLAおよび0.2mg/mL QS-21(ロット00714551-0018-2XlipoMQ)を含むリポソームMPLA/QS21製剤である。
本開示のさらなる態様では、本明細書に開示されている免疫原性組成物は、アジュバントとしてCpGオリゴヌクレオチドを含む。本明細書で使用される場合、CpGオリゴヌクレオチドとは、免疫刺激CpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)を指し、したがって、これらの用語は、別途指摘しない限り、互換的に使用される。免疫刺激CpGオリゴデオキシヌクレオチドは、場合により、ある特定の好ましい塩基の文脈内で、非メチル化シトシン-グアニンジヌクレオチドである、1つまたは複数の免疫刺激CpGモチーフを含有する。CpG免疫刺激モチーフのメチル化状態は一般に、ジヌクレオチド中のシトシン残基を指す。少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含有する免疫刺激オリゴヌクレオチドは、3’グアニンにリン酸結合によって連結された5’非メチル化シトシンを含有し、Toll様受容体9(TLR-9)への結合によって免疫系を活性化するオリゴヌクレオチドである。別の実施形態では、免疫刺激オリゴヌクレオチドは、TLR9を介して免疫系を活性化するが、あたかもCpGモチーフが非メチル化されたかのように強力ではない、1つまたは複数のメチル化CpGジヌクレオチドを含有してもよい。CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のパリンドロームを含んでもよく、次いで、CpGジヌクレオチドを包含してもよい。CpGオリゴヌクレオチドは、米国特許第6,194,388号;第6,207,646号;第6,214,806号;第6,218,371号;第6,239,116号;および第6,339,068号を含む、いくつかの発行された特許、公開特許出願、および他の刊行物に記載されている。
様々なクラスのCpG免疫刺激オリゴヌクレオチドが同定されている。これらのものは、A、B、CおよびPクラスと呼ばれ、WO2010/125480の3頁、22行目~12頁、36行目により詳細に記載されている。本開示の方法は、CpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドのこれらの異なるクラスの使用を含む。
V.精製および産生の方法
一態様では、本開示は、FimH突然変異ポリペプチドを産生する方法に関する。そのような方法は、例えば、好適な条件下で哺乳動物細胞を培養し、これにより、FimH変異体ポリペプチドを発現させることを含むことができる。方法は、培養物からポリペプチドを収集することをさらに含むことができる。プロセスは、ポリペプチドを精製することをさらに含むことができる。
一部の態様では、方法は、約0.1g/L~0.5g/Lの収率でFimH変異体ポリペプチドを産生する。一部の態様では、FimH突然変異ポリペプチドの収率は、少なくとも約1mg/L、少なくとも約2mg/L、少なくとも約3mg/L、少なくとも約4mg/L、少なくとも約5mg/L、少なくとも約6mg/L、少なくとも約7mg/L、少なくとも約8mg/L、少なくとも約9mg/L、少なくとも約10mg/L、少なくとも約11mg/L、少なくとも約12mg/L、少なくとも約13mg/L、少なくとも約14mg/L、少なくとも約15mg/L、少なくとも約16mg/L、少なくとも約17mg/L、少なくとも約18mg/L、少なくとも約19mg/L、少なくとも約20mg/L、少なくとも約25mg/L、少なくとも約30mg/L、少なくとも約35mg/L、少なくとも約40mg/L、少なくとも約45mg/L、少なくとも約50mg/L、少なくとも約55mg/L、少なくとも約60mg/L、少なくとも約65mg/L、少なくとも約70mg/L、少なくとも約75mg/L、少なくとも約80mg/L、少なくとも約85mg/L、少なくとも約90mg/L、少なくとも約95mg/Lまたは少なくとも約100mg/Lである。
一部の態様では、本開示に好適な細胞培養は、流加培養である。用語「加流培養」は、本明細書で使用される場合、培養プロセスの開始後に、追加の成分が1回または複数回培養物に供給される、細胞を培養する方法を指す。そのような供給成分は典型的には、培養プロセス中に枯渇する細胞のための栄養成分を含む。流加培養は、典型的に、ある時点で停止され、培地中の細胞および/または構成成分が収集および場合により単離される。一部の態様では、流加培養は、フィード培地を補充された基礎培地を含む。
一部の態様では、細胞は、バッチまたは流加培養で増殖させることができ、この場合、培養は、ポリペプチドの十分な発現の後に終結され、その後に、発現されたポリペプチドは、収集および場合により単離される。一部の態様では、細胞は、灌流培養で増殖させることができ、この場合、培養は終結されず、新たな栄養素および他の構成成分が、定期的にまたは連続的に培養物に添加され、その間に、発現されたポリペプチドは、定期的にまたは連続的に収集される。
一部の態様では、FimH変異体ポリペプチドの発現レベルまたは活性は、例えば、大腸菌(E.coli)宿主細胞などの細菌細胞におけるFimH変異体ポリペプチドの発現と比較して、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも75倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍増大する。
一部の態様では、細胞は、小規模反応器において増殖させて、数ミリリットル~数リットルの範囲に及ぶ体積の細胞培養物を形成することができる。一部の態様では、細胞は、大規模商業用バイオリアクターにおいて増殖させて、細胞培養物を形成することができ、細胞培養物は、およそ少なくとも1リットル~10、100、250、500、1,000、2,500、5,000、8,000、10,000、12,000リットル以上のまたはそれらの間のいずれかの体積の範囲に及ぶ体積であり得る。一部の実施形態では、細胞培養物サイズは、10L~5000L、10L~10,000L、10L~20,000L、10L~50,000L、40L~50,000L、100L~50,000L、500L~50,000L、1000L~50,000L、2000L~50,000L、3000L~50,000L、4000L~50,000L、4500L~50,000L、1000L~10,000L、1000L~20,000L、1000L~25,000L、1000L~30,000L、15L~2000L、40L~1000L、100L~500L、200L~400L、またはそれらの間のいずれかの整数の範囲に及ぶことができる。
細胞培養物の温度は、細胞培養物が生存を維持し、高レベルのポリペプチドが産生される温度の範囲、代謝老廃物の産生もしくは蓄積が最小化される温度、および/または技術者によって重要と思われる上述もしくは他の因子のいずれかの組合せに主に基づき選択されるであろう。非限定的な一例として、CHO細胞は、およそ37℃で良好に増殖し、高レベルのタンパク質またはポリペプチドを産生する。一般に、大部分の哺乳動物細胞は、約25℃~42℃の範囲内で良好に増殖するおよび/または高レベルのタンパク質またはポリペプチドを産生することができるが、本開示によって教示される方法は、これらの温度に限定されない。ある特定の哺乳動物細胞は、約35℃~40℃の範囲内で良好に増殖するおよび/または高レベルのタンパク質またはポリペプチドを産生することができる。ある特定の態様では、細胞培養物は、細胞培養プロセス中の1つまたは複数の時点において、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃または45℃の温度で増殖させられる。
用語「培養物」および「細胞培養物」は、本明細書で使用される場合、細胞集団の生存および/または増殖に好適な条件下で培地中に懸濁された細胞集団を指す。当業者には明らかな通り、一部の態様では、これらの用語は、本明細書で使用される場合、細胞集団およびこの集団が懸濁された培地を含む組合せを指す。一部の態様では、細胞培養物の細胞は、哺乳動物細胞を含む。
一部の態様では、細胞は、種々の化学的に規定された培地のうち1つにおいて増殖させることができ、培地の構成成分は、既知でありかつ制御されている。一部の態様では、細胞は、培地の構成成分の全てが既知であるおよび/または制御されている訳ではない、複合培地において増殖させることができる。哺乳動物細胞を培養するための化学的に規定された増殖培地は、広く開発されており、直近数十年にわたって公開されている。規定された培地の全ての成分が十分に特徴づけられており、そのように規定された培地は、血清または加水分解物などの複雑な添加剤を含有しない。初期の培地配合物は、タンパク質生産に関する懸念をほとんど、またはまったく伴わずに細胞増殖および生存維持を可能にするように開発された。最近では、培地配合物は、高増殖性組換えタンパク質産生細胞の培養を支持することを明白な目的として開発されている。そのような培地が、本発明の方法において使用するために好ましい。そのような培地は一般に、高密度での細胞の増殖および/または維持を支持する多量の栄養素、特にアミノ酸を含む。必要な場合には、本発明の方法で使用するために、これらの培地を当業者は改変することができる。例えば、当業者は、本明細書に開示の通りの方法で基礎培地または供給培地として使用するために、これらの培地中のフェニルアラニン、チロシン、トリプトファンおよび/またはメチオニンの量を減少させることができる。
複合培地の構成成分の全てが、十分に特徴付けられている訳ではなく、よって、複合培地は、とりわけ、単純および/または複合炭素源、単純および/または複合窒素源、ならびに血清などの添加物を含有することができる。一部の態様では、本発明に好適な複合培地は、本明細書に記載されている規定された培地の他の構成成分に加えて、加水分解物などの添加物を含有する。一部の態様では、既定の培地は典型的には、およそ50種の化学的実体を水中に既知の濃度で含む。それらの多くが、インスリン、IGF-1、トランスフェリンまたはBSAなどの1種または複数の十分に特徴づけられているタンパク質も含有するが、他のものは、タンパク質成分を必要とせず、したがって、タンパク質非含有規定培地と称される。培地の典型的な化学的成分は、5つの広いカテゴリーに該当する:アミノ酸、ビタミン、無機塩、微量元素、および簡潔に分類することができない種々雑多なカテゴリー。
細胞培養培地は任意選択で、補充成分を補充されていてよい。用語「補充成分」は、本明細書で使用される場合、限定されるものではないが、ホルモンおよび/または他の増殖因子、特定のイオン(ナトリウム、クロリド、カルシウム、マグネシウム、およびホスフェートなど)、緩衝剤、ビタミン、ヌクレオシドまたはヌクレオチド、微量元素(通常は非常に低い最終濃度で存在する無機化合物)、アミノ酸、脂質、および/またはグルコースまたは他のエネルギー源を含む、最小限の割合を超えて増殖および/または生存を増強する成分を指す。一部の態様では、補足構成成分を初期細胞培養物に添加することができる。一部の態様では、細胞培養の開始後に、補足構成成分を添加することができる。典型的には、微量元素は、マイクロモルまたはそれより低いレベルで含まれる様々な無機塩を指す。例えば、一般的に含まれる微量元素は、亜鉛、セレン、銅などである。一部の態様では、鉄(第一鉄または第二鉄塩)が微量元素として、当初細胞培養培地中にマイクロモル濃度で含まれてよい。微量元素のうち、マンガンも多くの場合に、二価カチオン(MnCl2またはMnSO4)としてナノモルからマイクロモル濃度の範囲で含まれる。多数の、あまり一般的ではない微量元素が通常、ナノモル濃度で添加される。
一部の態様では、本発明の方法において使用される培地は、細胞培養において例えば、1×106細胞/mL、5×106細胞/mL、1×107細胞/mL、5×107細胞/mL、1×108細胞/mLまたは5×108細胞/mLなどの高い細胞密度を支持するのに好適な培地である。一部の態様では、細胞培養は、哺乳動物細胞流加培養、好ましくは、CHO細胞流加培養である。
一部の態様では、細胞培養培地は、フェニルアラニンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、チロシンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、トリプトファンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、メチオニンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、ロイシンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、セリンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、スレオニンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、グリシンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、ロイシン、セリン、スレオニンおよびグリシンのうち2つを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、フェニルアラニンおよびチロシンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、フェニルアラニンおよびトリプトファンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、フェニルアラニンおよびメチオニンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、チロシンおよびトリプトファンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、チロシンおよびメチオニンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、トリプトファンおよびメチオニンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、ロイシン、セリン、スレオニンおよびグリシンのうち3つを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、フェニルアラニン、チロシンおよびメチオニンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。
一部の態様では、細胞培養培地は、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、チロシン、トリプトファンおよびメチオニンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。
一部の態様では、細胞培養培地は、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、ロイシン、セリン、トレオニンおよびグリシンのうちの4つを、2mM未満、1mM未満、0.1から2mMの間、0.1から1mMの間、0.5から1.5mMの間または0.5から1mMの間の濃度で含む。
一部の態様では、細胞培養培地は、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンおよびメチオニンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、ロイシン、セリン、スレオニンおよびグリシンのうち5つを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、ロイシン、セリン、スレオニンおよびグリシンのうち6つを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、ロイシン、セリン、スレオニンおよびグリシンのうち7つを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、ロイシン、セリン、スレオニンおよびグリシンを、2mM未満、1mM未満、0.1~2mMの間、0.1~1mMの間、0.5~1.5mMの間、または0.5~1mMの間の濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、セリン、スレオニン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパルテート、グルタメートおよびアスパラギンのうち少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13種を、2mM、3mM、4mM、5mM、10mM、15mM、好ましくは、2mMを超える濃度でさらに含む。一部の態様では、細胞培養培地は、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、セリン、スレオニン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパルテート、グルタメートおよびアスパラギンのうち少なくとも5つを、2mM、3mM、4mM、5mM、10mM、15mM、好ましくは、2mMを超える濃度でさらに含む。一部の態様では、細胞培養培地は、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、セリン、スレオニン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパルテート、グルタメートおよびアスパラギンを、2mM、3mM、4mM、5mM、10mM、15mM、好ましくは、2mMを超える濃度でさらに含む。一部の態様では、細胞培養培地は、バリン、イソロイシン、プロリン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパルテート、グルタメートおよびアスパラギンのうち少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8または9種を、2mM、3mM、4mM、5mM、10mM、15mM、好ましくは、2mMを超える濃度でさらに含む。一部の態様では、細胞培養培地は、バリン、イソロイシン、プロリン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパルテート、グルタメートおよびアスパラギンのうち少なくとも5つを、2mM、3mM、4mM、5mM、10mM、15mM、好ましくは、2mMを超える濃度でさらに含む。一部の態様では、細胞培養培地は、バリン、イソロイシン、プロリン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパルテート、グルタメートおよびアスパラギンを、2mM、3mM、4mM、5mM、10mM、15mM、好ましくは、2mMを超える濃度でさらに含む。一部の態様では、細胞培養培地は、セリンを、3mM、5mM、7mM、10mM、15mMまたは20mM、好ましくは、10mMを超える濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、バリンを、3mM、5mM、7mM、10mM、15mMまたは20mM、好ましくは、10mMを超える濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、システインを、3mM、5mM、7mM、10mM、15mMまたは20mM、好ましくは、10mMを超える濃度で含む。一部の態様では、細胞培養培地は、イソロイシンを、3mM、5mM、7mM、10mM、15mMまたは20mM、好ましくは、10mMを超える濃度で含む。
一部の態様では、細胞培養培地は、ロイシンを、3mM、5mM、7mM、10mM、15mMまたは20mM、好ましくは、10mMを超える濃度で含む。一部の態様では、上述の細胞培養培地は、本明細書に開示されている方法における使用のためのものである。一部の態様では、上述の細胞培養培地は、本明細書に開示されている方法において、基礎培地として使用される。一部の態様では、上述の細胞培養培地は、本明細書に開示されている方法において、フィード培地として使用される。
本開示の方法は、所望のプロセス(例えば、組換えタンパク質の産生)に適しているいずれかの細胞培養方法と共に使用することができる。非限定的な例として、細胞は、バッチまたは流加培養において増殖させることができ、この場合、培養は、組換えタンパク質(例えば、抗体)の十分な発現の後に終結され、その後に、発現されたタンパク質が収集される。その代わりに、別の非限定的な例として、細胞は、バッチ-リフィードにおいて増殖させることができ、この場合、培養は、終結されず、新たな栄養素および他の構成成分が、培養物に定期的にまたは連続的に添加され、その間に、発現された組換えタンパク質が、定期的にまたは連続的に収集される。他の好適な方法(例えば、スピンチューブ培養)が、当業界で公知であり、本発明を実施するために使用することができる。
細胞を、実行者によって選択される任意の便利な体積で増殖させることができる。例えば、細胞を、体積が数ミリリットルから数リットルの範囲の小規模反応容器内で増殖させることができる。あるいは、細胞を、体積がおよそ少なくとも1リットルから10、50、100、250、500、1000、2500、5000、8000、10,000、12,000、15000、20000または25000リットル以上の範囲であるか、またはそれらの間の任意の体積の大規模商業用バイオリアクター内で増殖させることができる。
細胞培養の温度は主に、細胞培養が依然として実行可能である温度範囲、および高レベルの所望の産物(例えば、組換えタンパク質)が産生される範囲に基づき選択されることとなる。一般に、大部分の哺乳動物細胞は、約25℃~42℃の範囲内で良好に増殖し、所望の産物(例えば、組換えタンパク質)を産生し得るが、本開示が教示する方法は、これらの温度に限定されない。ある特定の哺乳動物細胞は、約35℃から40℃の範囲内で良好に増殖し、所望の産物(例えば、組換えタンパク質または抗体)を産生し得る。ある特定の態様では、細胞培養物は、細胞培養プロセス中の1つまたは複数の時点において、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃または45℃の温度で増殖させられる。当業者は、好適な温度、または細胞の特定の必要性および実行者の特定の生産要求に応じて、細胞を増殖させるために温度を選択することができるであろう。細胞は、実行者の必要性および細胞自体の要求に応じて、任意の時間量にわたって増殖させることができる。一部の実施形態では、細胞を、37℃で増殖させる。一部の態様では、細胞は、36.5℃で増殖させられる。
一部の態様では、細胞は、技術者の必要および細胞自身の要求に応じて、より多いまたは少ない時間量にわたり初期増殖相(または増殖相)において増殖させることができる。一部の態様では、細胞は、予め規定された細胞密度を達成するのに十分な期間にわたり増殖させられる。一部の態様では、妨害せずに増殖させたら細胞が最終的に達するであろう最大細胞密度に対する所与のパーセンテージである細胞密度を達成するために十分な期間にわたって、細胞を増殖させる。例えば、最大細胞密度の1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または99パーセントの所望の生細胞密度を達成するために十分な期間にわたって、細胞を増殖させることができる。一部の態様では、細胞は、細胞密度が、培養1日あたり15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%を超えて増大しなくなるまで増殖させられる。一部の態様では、細胞は、細胞密度が、培養1日あたり5%を超えて増大しなくなるまで増殖させられる。
一部の態様では、細胞を規定の期間にわたって増殖させる。例えば、細胞培養の出発濃度、細胞を増殖させる温度、および細胞の固有の増殖速度に応じて、細胞を0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20日以上、好ましくは4~10日増殖させる。場合によっては、細胞を1カ月以上増殖させることができる。本発明の実行者は、タンパク質生産要求および細胞自体の要求に応じて、初期増殖相の期間を選択することができるであろう。
酸素化および細胞への栄養素の分散を増加させるために、細胞培養物を初期培養相の間に撹拌または振盪することができる。本発明では、当業者は、限定されるものではないが、pH、温度、酸素化などを含めて、初期増殖相中のバイオリアクターのある特定の内部条件を制御または調節することが有利であり得ることを理解するであろう。
初期増殖相の終了時に、第2セットの培養条件を適用して、その培養物で代謝シフトが生じるように、培養条件の少なくとも1つをシフトさせることができる。代謝シフトは、例えば、細胞培養物の温度、pH、重量モル浸透圧濃度または化学的誘導レベルの変化によって達成することができる。1つの非限定的実施形態では、培養物の温度をシフトさせることによって、培養条件をシフトさせる。しかしながら、当業界で公知である通り、温度のシフトは、好適な代謝シフトが達成され得る唯一の機構ではない。例えば、そのような代謝シフトは、限定されるものではないが、pH、重量モル浸透圧濃度、および酪酸ナトリウムレベルを含む他の培養条件をシフトさせることによっても達成することもできる。培養シフトのタイミングは、タンパク質生産要求または細胞自体の要求に基づき、本発明の実行者によって決定されるであろう。
培養物の温度をシフトさせる場合、温度シフトは、比較的段階的であってよい。例えば、温度変化を完了するには、数時間または数日かかってよい。あるいは、温度シフトは比較的突然であってよい。例えば、温度変化を、数時間未満で完了してよい。ポリペプチドまたはタンパク質の商業的大規模生産において標準であるような好適な生産および制御装置を考慮すると、温度変化は1時間未満内でも完了し得る。
一部の態様では、細胞培養の条件が、上で記述される通りにシフトされたら、細胞培養物は、細胞培養物の生存および生存率を促し、商業的に適切なレベルでの所望のポリペプチドまたはタンパク質の発現に適切な、第2のセットの培養条件下でその後の産生相にわたり維持される。
上で記述される通り、培養は、温度、pH、重量モル浸透圧濃度および酪酸ナトリウムレベルを含むがこれらに限定されない、多数の培養条件のうち1つまたは複数をシフトすることによりシフトさせることができる。一部の態様では、培養物の温度をシフトさせる。この実施形態では、後続の産生相中に、培養物を初期増殖相の温度または温度範囲よりも低い温度または温度範囲で維持する。上に論述した通り、細胞密度または生存度を上昇させるために、または組換えタンパク質の発現を増大させるために、複数の別個の温度シフトを使用することができる。
用語「力価」は、本明細書で使用される場合、例えば、所与の量の培地体積において細胞培養によって産生される組換えで発現されたタンパク質の全量を指す。力価は典型的には、培地1リットルあたりのタンパク質のグラム単位で表される。
一部の態様では、細胞増殖は、対照培養物と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%または25%増大する。一部の態様では、細胞増殖は、対照培養物と比較して、少なくとも10%増大する。一部の態様では、細胞増殖は、対照培養物と比較して、少なくとも20%増大する。
一部の態様では、生産性は、力価および/または容積測定による生産性によって決定される。一部の態様では、生産性は、力価によって決定される。一部の態様では、生産性は、対照培養物と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%または25%増大する。一部の態様では、生産性は、対照培養物と比較して、少なくとも10%増大する。一部の態様では、生産性は、対照培養物と比較して、少なくとも20%増大する。
精製
一部の態様では、FimH変異体ポリペプチドを産生するための方法は、ポリペプチドを単離および/または精製することを含む。一部の態様では、発現されたポリペプチドは、培地中に分泌され、よって、細胞および他の固形物は、遠心分離および/または濾過によって除去することができる。好まれる実施形態では、ポリペプチドまたはその断片は、可溶性である。
本明細書に記載されている方法に従って産生されたFimH突然変異ポリペプチドは、宿主細胞から収集し、いずれか好適な方法を使用して単離することができ、一般に当業界で公知である(例えば、Ruiz-Arguelloら、J.Gen.Virol.、85:3677~3687(2004))。ポリペプチドを精製するための好適な方法は、沈殿、および様々な種類のクロマトグラフィー、例えば、疎水性相互作用、イオン交換、親和性、キレート化およびサイズ排除を含み、これらは全て、当業界で公知である。好適な精製スキームは、これらの、または他の好適な方法の2つ以上を含んでもよい。一部の態様では、ポリペプチドのうち1つまたは複数は、精製または検出を容易にする「タグ」を含むことができる。例は、例えば、Hisタグ(金属イオンに結合する、例えば、ヘキサヒスチジン)、抗体、マルトース結合タンパク質(MBP)(アミロースに結合する)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)(グルタチオンに結合する)、FLAGタグ(抗flag抗体に結合する)、Strepタグ(ストレプトアビジンまたはその誘導体に結合する)を含む。そのようなタグを付けたポリペプチドは、例えば、馴化培地から、キレート化クロマトグラフィーまたは親和性クロマトグラフィーによって簡便に単離することができる。場合により、タグ配列は、精製後に切断することができる。一態様では、FimH変異体ポリペプチドは、精製タグを含まない。
一態様では、FimH変異体ポリペプチドは、先ず細胞培養物上清を得て、次いで上清を限外濾過および透析濾過方法の両方に供することにより単離することができる。そのような濾過方法は、当業者にとって公知である。限外濾過および透析濾過の後に、その結果生じた無細胞溶液を次いで、例えば、ニッケル親和性樹脂を使用したNi-NTAクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーステップに供する。次いで、このステップに続いて、透析を行うことができ、次いで、これに続いて、SPカラムなどを用いたカチオン交換クロマトグラフィーを行うことができる。SP-セファロースにおける精製の際に酸性pH(例えば、約6.0未満、約5.5未満、約5.0未満、約4.5未満、約4.4、約4.3、約4.2、約4.1または約4.0以下)を使用することが、ある特定の条件下で望ましい可能性がある。
大腸菌(E.coli)の具体的な株が本明細書において言及されることがあるが、大腸菌(E.coli)に由来するポリペプチドまたはその断片は、指定がない限り、具体的な株に限定されないことは理解されるべきである。
VI.組成物の使用
一態様では、本開示は、対象において大腸菌(E.coli)感染に対する免疫応答を惹起するためのまたは大腸菌(E.coli)感染を防止するための、医薬としてのまたは医薬の製造における、FimH変異体ポリペプチド、そのような変異体をコードする核酸、そのような変異体を発現するためのベクター、そのような変異体または核酸を含む組成物の使用を提供する。
他の態様では、本開示は、対象に、有効量の、FimH変異体ポリペプチド、FimH変異体ポリペプチドをコードする核酸分子、またはFimH変異体ポリペプチドもしくは核酸分子を含む組成物を投与することを含む、ヒトなどの対象において大腸菌(E.coli)に対する免疫応答を惹起する方法を提供する。本開示はまた、対象に、有効量の、FimH変異体ポリペプチド、FimH変異体ポリペプチドをコードする核酸、またはFimH変異体ポリペプチドを発現するベクターを含むワクチンなどの医薬組成物を投与することを含む、対象において大腸菌(E.coli)感染を防止する方法を提供する。一部の特定の態様では、医薬組成物は、本明細書に開示されているFimH変異体ポリペプチドを含む。本明細書の上述に提供される方法の一部の態様では、対象は、ヒトである。
他の態様では、本開示は、腸管外病原性大腸菌(E.coli)に対する対象における免疫応答を誘導するための、または腸管外病原性大腸菌(E.coli)に特異的な対象におけるオプソニン貪食作用および/もしくは中和抗体の産生を誘導するための方法であって、対象に、有効量の、本明細書に記載されているFimH変異体ポリペプチドを含む組成物など、本明細書に記載されている組成物のいずれかを投与することを含む方法を提供する。そのような方法のさらなる態様では、対象は、尿路感染を発症するリスクがある、および/または菌血症を発症するリスクがある、および/または敗血症を発症するリスクがある。
さらなる態様では、本開示は、哺乳動物に、有効量の本明細書に記載されている組成物のいずれかを投与することを含む、哺乳動物において大腸菌(E.coli)に対する免疫応答を惹起する方法を提供する。例えば、一態様では、免疫応答は、大腸菌(E.coli)に対するオプソニン貪食作用および/または中和抗体を含む。さらなる態様では、免疫応答は、大腸菌(E.coli)感染から哺乳動物を保護する。
さらなる態様では、本開示は、対象に、免疫学的有効量の本明細書に記載されている組成物のいずれかを投与することを含む、対象における細菌感染、疾患または状態を防止、処置または改善する方法を提供する。
本開示の方法において、組成物は、アジュバントの投与ありまたはなしで、対象に投与することができる。対象に投与される有効量は、対象におけるFimHタンパク質などの大腸菌(E.coli)抗原に対する免疫応答を惹起するのに十分な量である。処置のために選択することができる対象は、大腸菌(E.coli)への曝露または曝露の可能性が原因で、尿路感染を発症するリスクがある、および/または菌血症を発症するリスクがある、および/または敗血症を発症するリスクがある対象など、大腸菌(E.coli)感染を発症するリスクがある対象を含む。
本明細書で使用される場合、「対象」は、哺乳動物、好ましくは、ヒトを意味する。一実施形態では、対象は、尿路感染、胆嚢炎、胆管炎、下痢、溶血性尿毒症症候群、新生児髄膜炎、尿路性敗血症、腹腔内感染、髄膜炎、複雑性肺炎、創傷感染、前立腺生検後関連感染、新生児/乳児敗血症、好中球減少性発熱および他の血流感染;肺炎、菌血症、ならびに敗血症からなる群から選択される状態のうちいずれか1つのリスクがある。
医薬組成物など、本開示によって提供される組成物の投与は、標準投与経路を使用して実行することができる。非限定的な実施形態は、非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、皮下、経皮、粘膜、または経口投与を含む。
1回の投与において対象に提供される組成物の総用量は、当業者にとって公知の通り、変動され得る。
免疫原性組成物のうち1つまたは複数の1回または複数のブースター投与を提供することも可能である。ブースティングワクチン接種が実行される場合、典型的に、そのようなブースティングワクチン接種は、対象への初めての組成物の投与(そのような場合、「プライミングワクチン接種」と称される)後の1週間~10年間の間、好ましくは、2週間~6カ月間の間の時点で、同じ対象に投与されるであろう。代替ブースティングレジメンにおいて、プライミングワクチン接種後に、対象に、異なるベクター、例えば、1つもしくは複数のアデノウイルスもしくは他のベクター、例えば、改変されたアンカラのワクシニアウイルス(MVA)、またはDNA、またはタンパク質を投与することも可能である。本開示によって提供される免疫原性組成物は、1つまたは複数の他の免疫原性組成物と一緒に使用することができる。
組成物の投薬量
投薬量レジメンは、最適な所望の応答を生じるように調整することができる。例えば、突然変異したFimHポリペプチドの単一用量を投与することができる、いくつかの分割用量を経時的に投与することができる、または状況の緊急事態によって示される通り、用量を比例的に低減もしくは増大させることができる。投薬量の値は、緩和される状態の種類および重症度で変化し得て、単回または複数回の用量を含み得ることに注意すべきである。さらに、任意の特定の対象について、個体の必要性および組成物を投与するか、または投与を管理する人の専門的判断に従って、具体的な投与レジメンを経時的に調節すべきこと、ならびに本明細書に記載の投薬量範囲は例示に過ぎず、特許請求の範囲に記載の組成物の範囲または実行を限定することを意図したものではないことを理解すべきである。
一部の態様では、組成物におけるFimH変異体ポリペプチドの量は、約10μg~約300μgの各タンパク質抗原の範囲に及ぶことができる。一部の態様では、組成物におけるFimH変異体ポリペプチドの量は、約20μg~約200μgの各タンパク質抗原の範囲に及ぶことができる。
各用量中の糖コンジュゲートの量は、典型的なワクチンにおいて有意で有害な副作用なしに免疫保護応答を誘導する量として選択される。そのような量は、どの特定の免疫原が用いられ、およびそれがどのように提供されるかに応じて変化するであろう。免疫原性組成物中の特定の糖コンジュゲートの量を、そのコンジュゲート(コンジュゲート化および非コンジュゲート化)に関する全多糖に基づいて算出することができる。例えば、20%遊離多糖を含む糖コンジュゲートは、100gの多糖用量中に約80gのコンジュゲート化多糖と、約20gの非コンジュゲート化多糖を有するであろう。糖コンジュゲートの量は、大腸菌(E.coli)血清型に応じて変化し得る。糖濃度は、ウロン酸アッセイによって決定することができる。
免疫原性組成物における異なる多糖構成成分の「免疫原性量」は、異なる場合があり、それぞれは、約1.0g、約2.0g、約3.0g、約4.0g、約5.0g、約6.0g、約7.0g、約8.0g、約9.0g、約10.0g、約15.0g、約20.0g、約30.0g、約40.0pg、約50.0pg、約60.0pg、約70.0pg、約80.0pg、約90.0pgまたは約100.0gのいずれか特定の多糖抗原を含むことができる。一般に、それぞれの用量は、所与の血清型について、0.1g~100g、特に、0.5g~20g、より特には、1g~10g、さらにより特には、2g~5gの多糖を含むであろう。上記の範囲のいずれかの中の任意の全整数が、本開示の実施形態として企図される。一実施形態では、それぞれの用量は、所与の血清型について、1g、2g、3g、4g、5g、6g、7g、8g、9g、10g、15gまたは20gの多糖を含むであろう。
VII.クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)に由来する糖および/またはポリペプチドまたはその断片との組合せ
クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)(クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae))は、尿路感染、菌血症および敗血症を引き起こすことが公知のグラム陰性病原体である。多剤耐性クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)感染は、リスクがある脆弱集団における死亡率のますます増大する原因である。O抗原血清型は、世界的に侵襲性疾患を引き起こす株の間で高度に普及しており、派生したO抗原糖コンジュゲートは、ワクチン抗原として魅力的である。
一態様では、本明細書に開示の組成物のいずれかは、O1(およびd-Gal-IIIバリアント)、O2(およびd-Gal-IIIバリアント)、O2ac、O3、O4、O5、O7、O8、およびO12から選択される少なくとも1つのクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型であるか、それに由来する少なくとも1つの糖をさらに含んでよい。好ましい一実施形態では、本明細書に開示の組成物のいずれかは、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)I型線毛タンパク質に由来するポリペプチドもしくはその免疫原性断片;またはクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)III型線毛タンパク質に由来するポリペプチドもしくはその免疫原性断片;あるいはそれらの組合せから選択されるクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)に由来するポリペプチドをさらに含んでよい。
当業界で公知の通り、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O1およびO2 O抗原ならびにそれらの対応するv1およびv2サブタイプは、それらの反復単位の構造が異なるポリマー型ガラクタンである。クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O1およびO2抗原は、ホモポリマーガラクトース単位(またはガラクタン)を含有する。クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O1およびO2抗原はそれぞれ、D-ガラクタンI単位(時に、O2a反復単位と称される)を含有するが、O1抗原は、O1抗原が、D-ガラクタンIIキャップ構造を有するという点で異なる。D-ガラクタンIII(d-Gal-III)は、D-ガラクタンIのバリアントである。2つの別個の血清型O2サブタイプ、O2v1およびO2v2を定義する基礎ガラクタンIおよびIIIの構造;ならびにサブタイプO1v1およびO1v2を生じるガラクタンIIによるキャッピングに起因する派生したキメラの構造は、Kelly SDら、J Biol Chem 2019;294:10863~76;およびClarke BRら、J Biol Chem 2018;293:4666~79に示されている。
一部の実施形態では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O1に由来する糖は、[→3)-β-D-Galf-(1→3)-α-D-Galp-(1→]の反復単位を含む。一部の実施形態では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O1に由来する糖は、[→3)-α-D-Galp-(1→3)-β-D-Galp-(1→]の反復単位を含む。一部の実施形態では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O1に由来する糖は、[→3)-β-D-Galf-(1→3)-α-D-Galp-(1→]の反復単位、および[→3)-α-D- Galp-(1→3)-β-D-Galp-(1→]の反復単位を含む。一部の実施形態では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O1に由来する糖は、→3)-β-D-Galf-(1→3)-[α-D-Galp-(1→4)]-α-D-Galp-(1→]の反復単位(D-Gal-III反復単位と称される)を含む(Kol O.ら(1992)Carbohydr. Res.236、339~344;Whitfield C.ら(1991)J.Bacteriol.173、1420~1431)。
一部の実施形態では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O2に由来する糖は、[→3)-α-D-Galp-(1→3)-β-D-Galf-(1→](これはクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O2a抗原の要素であり得る)の反復単位を含む。一部の実施形態では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O2に由来する糖は、[→3)-β-D-GlcpNAc-(1→5)-β-D-Galf-(1→](クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O2c抗原の要素であり得る)の反復単位を含む。一部の実施形態では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O2に由来する糖は、(1→4)-連結Galp残基の側鎖付加によるO2a反復単位の改変を含む(クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O2afg抗原の要素であり得る)。一部の実施形態では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O2に由来する糖は、(1→2)-結合Galp残基の側鎖付加によるO2a反復単位の改変を含む(クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O2aeh抗原の要素であり得る)。(Whitfield C.ら(1992)J.Bacteriol.174、4913~4919)。
メカニズムまたは理論によって束縛されるものではないが、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O3およびO5のO抗原多糖構造は、それぞれ大腸菌(E.coli)血清型O9a(式O9a)およびO8(式O8)のものと同一であることが当業界で開示されている。
一部の実施形態では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O4に由来する糖は、[→4)-α-D-Galp-(1→2)-β-D-Ribf-(1→)]の反復単位を含む。一部の実施形態では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O7に由来する糖は、[→2-a-L-Rhap-(1→2)-β-D-Ribf-(1→3)-α-L-Rhap-(1→3)-α-L-Rhap-(1→]の反復単位を含む。一部の実施形態では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O8血清型に由来する糖は、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O2aと同じ繰返し単位構造を含むが、非化学量論的にO-アセチル化されている。一部の実施形態では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O12血清型に由来する糖は、[α-Rhap-(1→3)-β-GlcpNAc]二糖反復単位の反復単位を含む。
一態様では、本発明は、大腸菌(E.coli)FimHに由来するポリペプチドまたはその断片;およびO1(およびd-Gal-IIIバリアント)、O2(およびd-Gal-IIIバリアント)、O2ac、O3、O4、O5、O7、O8、およびO12から選択される少なくとも1つのクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型であるか、またはそれに由来する少なくとも1つの糖を含む組成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、血清型O1、O2、O3、およびO5のうちの1つまた複数、またはそれらの組合せからの、またはそれに由来する糖を含む。一部の実施形態では、組成物は、血清型O1、O2、O3、およびO5のそれぞれからの、またはそれに由来する糖を含む。
別の態様では、本発明は、O1(およびd-Gal-IIIバリアント)、O2(およびd-Gal-IIIバリアント)、O2ac、O3、O4、O5、O7、O8およびO12から選択される少なくとも1つのクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型であるかまたはこれに由来する少なくとも1つの糖;ならびに式O1(例えば、式O1A、式O1Bおよび式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18Bおよび式O18B1)、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式62D1、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式0111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186および式O187(式中、nは、1~100の整数である)のいずれか1つから選択される構造を有する大腸菌(E.coli)O抗原に由来する糖を含む組成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O1、O2、O3、およびO5のうちの1つまたは複数、またはそれらの組合せからの、またはそれに由来する糖を含む。一部の実施形態では、組成物は、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O1、O2、O3、およびO5のそれぞれからの、またはそれに由来する糖を含む。一部の実施形態では、組成物は、式O9を有する大腸菌(E.coli)O抗原に由来する糖を含み、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O3に由来する糖を含まない。一部の実施形態では、組成物は、式O8を有する大腸菌(E.coli)O抗原に由来する糖を含み、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O5に由来する糖を含まない。
別の態様では、本発明は、大腸菌(E.coli)FimHに由来するポリペプチドまたはその断片;およびO1(およびd-Gal-IIIバリアント)、O2(およびd-Gal-IIIバリアント)、O2ac、O3、O4、O5、O7、O8、およびO12から選択される少なくとも1つのクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型であるか、またはそれに由来する少なくとも1つの糖;および式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式62D1、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187(式中、nは、1~100、好ましくは31~90の整数である)のいずれか1つから選択される構造を有する糖を含む組成物に関する。一部の実施形態では、組成物は、式O9を有する大腸菌(E.coli)O抗原に由来する糖を含み、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O3に由来する糖を含まない。一部の実施形態では、組成物は、式O8を有する大腸菌(E.coli)O抗原に由来する糖を含み、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O5に由来する糖を含まない。
一部の実施形態では、組成物は、O1、O2、O3、およびO5からなる群から選択されるいずれか1つのクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)型に由来する少なくとも1つの糖を含む。
一部の実施形態では、組成物は、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O1型に由来する少なくとも1つの糖を含む。本実施形態の一態様では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O抗原は、サブタイプv1(O1v1)またはサブタイプv2(O1v2)から選択される。本実施形態の一態様では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O抗原は、サブタイプv1(O1v1)およびサブタイプv2(O1v2)から選択される。一部の実施形態では、組成物は、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O2型に由来する少なくとも1つの糖を含む。本実施形態の一態様では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O抗原は、サブタイプv1(O2v1)またはサブタイプv2(O2v2)から選択される。本実施形態の一態様では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O抗原は、サブタイプv1(O2v1)およびサブタイプv2(O2v2)から選択される。別の態様では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O抗原は、a)血清型O1サブタイプv1(O1v1)、b)血清型O1サブタイプv2(O1v2)、c)血清型O2サブタイプv1(O2v1)およびd)血清型O2サブタイプv2(O2v2)からなる群から選択される。本実施形態の一態様では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O抗原は、サブタイプv1(O1v1)である。本実施形態の一態様では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O抗原は、サブタイプv2(O1v2)である。本実施形態の一態様では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O抗原は、サブタイプv1(O2v1)である。本実施形態の一態様では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O抗原は、サブタイプv2(O2v2)である。本実施形態の別の態様では、組成物は、a)血清型O1サブタイプv1(O1v1)、b)血清型O1サブタイプv2(O1v2)、c)血清型O2サブタイプv1(O2v1)およびd)血清型O2サブタイプv2(O2v2)からなる群から選択される1、2、3または4種のクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O抗原を含む。一部の実施形態では、組成物は、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)に由来する糖の組合せを含み、その際、第1の糖は、O1、O2、O3、およびO5からなる群から選択されるクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)型のいずれか1つに由来し;第2の糖は、O1(およびd-Gal-IIIバリアント)、O2(およびd-Gal-IIIバリアント)、O2ac、O3、O4、O5、O7、O8、およびO12からなる群から選択されるクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)型のいずれか1つから由来する糖に由来する。例えば、一部の実施形態では、組成物は、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O1型に由来する少なくとも1つの糖と、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O2型に由来する少なくとも1つの糖を含む。好ましい一実施形態では、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)に由来する糖は、担体タンパク質にコンジュゲートしており;大腸菌(E.coli)に由来する糖は、担体タンパク質にコンジュゲートされている。
別の態様では、本発明は、大腸菌(E.coli)FimHに由来するポリペプチドまたはその断片;およびO1、O2、O3、およびO5からなる群から選択されるいずれか1つのクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)型に由来する少なくとも1つの糖を含む組成物を含む。
別の態様では、本発明は、O1、O2、O3、およびO5からなる群から選択されるいずれか1つのクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)型に由来する少なくとも1つの糖;および式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式62D1、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187のいずれか1つから選択される構造を有する大腸菌(E.coli)に由来する少なくとも1つの糖を含む。一部の実施形態では、組成物は、式O9を有する大腸菌(E.coli)O抗原に由来する糖を含み、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O3に由来する糖を含まない。一部の実施形態では、組成物は、式O8を有する大腸菌(E.coli)O抗原に由来する糖を含み、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O5に由来する糖を含まない。
一部の実施形態では、組成物は、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O1型に由来する少なくとも1つの糖;および式O8および式O9からなる群から選択される構造を有する大腸菌(E.coli)に由来する少なくとも1つの糖を含む。別の実施形態では、組成物は、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O2型に由来する少なくとも1つの糖;および式O8および式O9からなる群から選択される構造を有する大腸菌(E.coli)に由来する少なくとも1つの糖を含む。別の実施形態では、組成物は、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O1型に由来する少なくとも1つの糖;およびクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O2型に由来する少なくとも1つの糖;および式O8および式O9からなる群から選択される構造を有する大腸菌(E.coli)に由来する少なくとも1つの糖を含む。
一実施形態では、本発明は、対象に、免疫学的有効量の、大腸菌(E.coli)血清型O8またはO9由来の少なくとも1つの糖コンジュゲートを含む免疫原性組成物を投与することを含む、対象においてクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)に対する免疫応答を誘導する方法であって、前記免疫原性組成物が、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O5またはO3由来の糖コンジュゲートを含まない、方法を提供する。一態様では、組成物は、式O8を有する大腸菌(E.coli)O抗原に由来する糖を含み、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O5に由来する糖を含まない。別の態様では、組成物は、式O9を有する大腸菌(E.coli)O抗原に由来する糖を含み、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O3に由来する糖を含まない。
別の実施形態では、本発明は、対象に、免疫学的有効量の、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O5もしくはO3またはこれらのバリアント由来の少なくとも1つの糖コンジュゲートを含む免疫原性組成物を投与することを含む、対象において大腸菌(E.coli)に対する免疫応答を誘導する方法であって、前記免疫原性組成物が、大腸菌(E.coli)血清型O8またはO9由来の糖コンジュゲートを含まない、方法を提供する。一態様では、組成物は、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O5に由来する糖を含み、式O8を有する大腸菌(E.coli)O抗原に由来する糖を含まない。別の態様では、組成物は、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O3に由来する糖を含み、式O9を有する大腸菌(E.coli)O抗原に由来する糖を含まない。
一部の実施形態では、組成物は、O1(およびd-Gal-IIIバリアント)、O2(およびd-Gal-IIIバリアント)、O2ac、O3、O4、O5、O7、O8、およびO12から選択される少なくとも1つのクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型であるか、またはそれに由来する少なくとも1つの糖;式O8および式O9からなる群から選択される構造を有する大腸菌(E.coli)に由来する少なくとも1つの糖を含む。一部の実施形態では、組成物は、O1(およびd-Gal-IIIバリアント)、O2(およびd-Gal-IIIバリアント)、O2ac、O3、O4、O5、O7、O8、およびO12から選択される少なくとも1つのクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型であるか、またはそれに由来する少なくとも1つの糖;式O1A、式O1B、式O2、式O6、および式O25Bからなる群から選択される構造を有する大腸菌(E.coli)に由来する少なくとも1つの糖を含む。
一部の実施形態では、組成物は、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)I型線毛タンパク質もしくはその免疫原性断片に由来するポリペプチド;またはクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)III型線毛タンパク質もしくはその免疫原性断片に由来するポリペプチド、またはこれらの組合せから選択される、クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)に由来するポリペプチドをさらに含む。前記ポリペプチドの配列は、当業界で公知である。
VIII.ナノ粒子
別の態様では、1)ナノ構造;および2)少なくとも1つの線毛ポリペプチド抗原またはその断片を含む免疫原性複合体が本明細書に開示されている。好ましくは、線毛ポリペプチドまたはその断片は、大腸菌(E.coli)線毛H(fimH)に由来する。好まれる実施形態では、線毛ポリペプチドは、上に記載されている線毛ポリペプチドのいずれか1つから選択される。例えば、線毛ポリペプチドは、配列番号1~65から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
一部の実施形態では、抗原は、提示エピトープに対する適応免疫応答の発生を刺激するために、ナノ構造外部に融合またはコンジュゲートされている。一部の実施形態では、それぞれの病原体で生成される免疫応答の種類を適合させるために役立つように、免疫原性複合体は、外部に付着している、および/またはケージ内部に封入されているアジュバントまたは他の免疫調節化合物をさらに含む。
一部の実施形態では、ナノ構造は、複数の同一の第1のナノ構造関連ポリペプチドを含む単一のアセンブリを含む。
代替実施形態では、ナノ構造は、複数の同一の第1のナノ構造関連ポリペプチドおよび複数の第2のアセンブリを含む複数のアセンブリを含み、第2のアセンブリのそれぞれは、複数の同一の第2のナノ構造関連ポリペプチドを含む。
様々なナノ構造プラットフォームを、本明細書に記載の免疫原性組成物の生成において使用することができる。一部の実施形態では、使用されるナノ構造は、単一のサブユニットの複数のコピーによって形成される。一部の実施形態では、使用されるナノ構造は、複数の異なるサブユニットの複数のコピーによって形成される。
ナノ構造は典型的には、ボール様形状であり、および/または例えば、本明細書において例示される正二十面体構造を伴う、回転対称(例えば、3倍および5倍軸)を有する。
一部の実施形態では、抗原は、フェリチン(FR)、E2p、Qβ、およびI3-01に由来する自己集合性ナノ構造などの自己集合性ナノ粒子上で提示される。E2pは、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)からのジヒドロリポイルアシルトランスフェラーゼの再設計バリアントである。I3-01は、超安定ナノ粒子に自己集合し得る操作タンパク質である。これらのタンパク質のサブユニットの配列は、当業界で公知である。第1の態様では、配列番号66~105からなる群から選択されるナノ構造関連ポリペプチドのアミノ酸配列に対して、その長さにわたって少なくとも75%同一であり、かつ少なくとも1つの同定されている界面位置において同一であるアミノ酸配列を含むナノ構造関連ポリペプチドを本明細書において開示する。ナノ構造関連ポリペプチドを使用して、例えば、ナノ構造を調製することができる。ナノ構造関連ポリペプチドは、それらが対で自己集合して正二十面体ナノ構造などのナノ構造を形成し得るように設計された。
一部の実施形態では、ナノ構造は、(a)複数の第1のアセンブリであって、第1のアセンブリのそれぞれが、複数の同一の第1のナノ構造関連ポリペプチドを含み、第1のナノ構造関連ポリペプチドが、配列番号66~105からなる群から選択されるナノ構造関連ポリペプチドのアミノ酸配列を含む、複数の第1のアセンブリ;および(b)複数の第2のアセンブリであって、第2のアセンブリのそれぞれが、複数の同一の第2のナノ構造関連ポリペプチドを含み、第2のナノ構造関連ポリペプチドが、配列番号66~105からなる群から選択されるナノ構造関連ポリペプチドのアミノ酸配列を含む、複数の第2のアセンブリを含み、第2のナノ構造関連ポリペプチドは、第1のナノ構造関連ポリペプチドと異なり、複数の第1のアセンブリは、複数の第2のアセンブリと非共有結合により相互作用して、ナノ構造を形成する。
ナノ構造は、第1のアセンブリおよび第2のアセンブリを、正二十面体対称性を有するナノ構造などのナノ構造へと方向付ける、対称的に反復した非天然非共有結合的ポリペプチド-ポリペプチド界面を含む。
配列番号66~105は、例示的なナノ構造関連ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。配列番号66~105の例示的なナノ構造関連ポリペプチドの界面残基の数は、4~13個の残基の範囲に及ぶ。様々な実施形態では、ナノ構造関連ポリペプチドは、配列番号66~105からなる群から選択されるナノ構造関連ポリペプチドのアミノ酸配列と、その長さにわたり少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であり、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13個の同定された界面位置(所与のナノ構造関連ポリペプチドの界面残基の数に応じて)において同一であるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ナノ構造関連ポリペプチドは、配列番号66~105からなる群から選択されるナノ構造関連ポリペプチドのアミノ酸配列と、その長さにわたり少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であり、同定された界面位置の少なくとも20%、25%、33%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%または100%において同一であるアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、ナノ構造関連ポリペプチドは、配列番号66~105からなる群から選択されるナノ構造関連ポリペプチドのアミノ酸配列を有するナノ構造関連ポリペプチドを含む。
1つの非限定的実施形態では、ナノ構造関連ポリペプチドを改変して、目的の「カーゴ」との共有結合を促進することができる。1つの非限定的例では、ナノ構造関連ポリペプチドを、様々なシステイン残基を規定の位置に導入することなどによって改変して、1種または複数の目的の抗原との結合を促進することができ、そうして、ナノ構造関連ポリペプチドのナノ構造が、ワクチンとして送達するための多数の抗原を提供する骨格を提供して、改善された免疫応答が生じるようにする。
一部の実施形態では、ナノ構造関連ポリペプチド中に存在するが、コンジュゲーションに使用されることは意図されていない一部または全ての天然システイン残基を他のアミノ酸に突然変異させて、既定の位置でのコンジュゲーションを促進することができる。別の非限定的実施形態では、ナノ構造関連ポリペプチドを、「エンドソームエスケープ」の促進に役立つ部分との結合(共有結合または非共有結合)によって改変することができる。標的化送達など、目的の分子を標的細胞に送達することを伴う用途では、重要なステップは、細胞への送達ビヒクルの入り口であるエンドソーム(膜結合オルガネラ)からのエスケープであり得る。エンドソームはリソソームに成熟して、それらの内容物を分解する。したがって、エンドソームがリソソームになる前に、送達ビヒクルがエンドソームからどうにかして「エスケープ」しなければ、送達ビヒクルは分解されて、その機能を実行することはないであろう。エンドソームを破壊して、サイトゾルへのエスケープを可能にする様々な脂質または有機ポリマーが存在する。したがって、この実施形態では、例えば、そのような脂質または有機ポリマーのモノマーまたは生じたアセンブリ表面への化学的コンジュゲーションを可能にするシステイン残基を導入することにより、ナノ構造関連ポリペプチドを改変することができる。別の非限定的例では、例えば、in vitroまたはin vivoでナノ構造の可視化を可能にするフルオロフォアまたは他のイメージング剤の化学的コンジュゲーションを可能にするシステイン残基を導入することにより、ナノ構造関連ポリペプチドを改変することができる。
タンパク質サブユニットまたは集合したナノ構造の安定性または溶解性を改善するために、ナノ構造関連ポリペプチド上の表面アミノ酸残基を突然変異させることができる。当業者には分かるであろう通り、ナノ構造関連ポリペプチドが、既存のタンパク質ファミリーに対して有意な配列相同性を有するならば、そのファミリーに由来する他のタンパク質の複数の配列アラインメントを使用して、コンセンサスタンパク質設計と称されるプロセス(9)である、タンパク質安定性および/または溶解性を増大させ得る非保存位置でのアミノ酸突然変異の選択をガイドすることができる。
タンパク質表面に全陽電荷または全負電荷を付与するために、ナノ構造関連ポリペプチド上の表面アミノ酸残基を、正の電荷を持つ(Arg、Lys)または負の電荷を持つ(Asp、Glu)アミノ酸に突然変異させることができる。1つの非限定的実施形態では、自己集合性ナノ構造の内部表面に高い実効電荷を付与するために、ナノ構造関連ポリペプチド上の表面アミノ酸残基を突然変異させることができる。次いで、そのようなナノ構造を使用して、ナノ構造内部表面とカーゴ分子との間の静電相互作用により、逆の実効電荷を有するカーゴ分子をパッケージングまたは封入することができる。1つの非限定的実施形態では、自己集合性ナノ構造の内部表面に実効正電荷を付与するために、ナノ構造関連ポリペプチド上の表面アミノ酸残基を主に、アルギニンまたはリシン残基に突然変異させることができる。次いで、核酸を自己集合性ナノ構造内部に封入するために、ナノ構造関連ポリペプチドを含有する溶液を、dsDNA、ssDNA、dsRNA、ssRNA、cDNA、miRNA.、siRNA、shRNA、piRNA、または他の核酸などの核酸カーゴ分子の存在下で混合することができる。そのようなナノ構造を使用して、例えば、核酸を保護する、送達する、または濃縮することができるであろう。
一実施形態では、ナノ構造は正二十面体対称を有する。この実施形態では、ナノ構造は、60コピーの第1のナノ構造関連ポリペプチドおよび60コピーの第2のナノ構造関連ポリペプチドを含み得る。そのような実施形態の1つでは、それぞれの第1のアセンブリ中の同一の第1のナノ構造関連ポリペプチドの数は、それぞれの第2のアセンブリ中の同一の第2のナノ構造関連ポリペプチドの数とは異なる。例えば、一実施形態では、ナノ構造は、12の第1のアセンブリおよび20の第2のアセンブリを含み;この実施形態では、それぞれの第1のアセンブリは、例えば、5コピーの同一の第1のナノ構造関連ポリペプチドを含んでよく、それぞれの第2のアセンブリは、例えば、3コピーの同一の第2のナノ構造関連ポリペプチドを含んでよい。別の実施形態では、ナノ構造は、12の第1のアセンブリおよび30の第2のアセンブリを含み;この実施形態では、それぞれの第1のアセンブリは、例えば、5コピーの同一の第1のナノ構造関連ポリペプチドを含んでよく、それぞれの第2のアセンブリは、例えば、2コピーの同一の第2のナノ構造関連ポリペプチドを含んでよい。さらなる実施形態では、ナノ構造は、20の第1のアセンブリおよび30の第2のアセンブリを含み;この実施形態では、それぞれの第1のアセンブリは、例えば、3コピーの同一の第1のナノ構造関連ポリペプチドを含んでよく、それぞれの第2のアセンブリは、例えば、2コピーの同一の第2のナノ構造関連ポリペプチドを含んでよい。これらの実施形態は全て、正二十面体対称を有する合成ナノ材料を形成し得る。
本開示をより良く理解することができるように、次の実施例を記載する。これらの実施例は、単なる説明を目的としており、いかなる様式においても、本開示の範囲を限定するものとして解釈するべきではない。
(実施例1)
抗原設計
機能的免疫原性を改善する目標で、FimHレクチンドメインをオープンコンフォメーションでロックするように、FimHLDまたはFimH-DSGにおける突然変異を設計した。突然変異は、下の表2~9に記載されている異なるクラスのものであった。様々な突然変異したFimHポリペプチドのアミノ酸配列は、表1に示されている。
(実施例2)
抗原発現および精製
FimHLDおよびFimH-DSG変異体をコードするDNAを、マウスIgKシグナルペプチドを含有するpcDNA3.1にクローニングし、以前に記載された(2021年5月6日に発表されたPCT国際公開番号WO2021/084429)Expi293(商標)細胞において発現させた。タンパク質特徴付けおよび免疫原性研究のため、2021年5月6日に発表されたPCT国際公開番号WO2021/084429に記載されているニッケル親和性樹脂およびサイズ排除クロマトグラフィーを使用して、タンパク質を単離した。
(実施例3)
蛍光偏光アッセイ
マンノシドリガンドに対するFimH変異体の解離定数を決定するために、FimHに対して高い親和性を有するマンノシドリガンドにコンジュゲートされたフルオレセインを使用して、Rabbaniら(J.Biol.Chem.293:1835~1849(2018))によって記載された方法に基づき蛍光偏光アッセイを開発した。50μLの最終体積により黒色平底96ウェルポリプロピレンプレート(Greiner)における11ポイント3倍滴定で、20mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、0.05mg/mLプラスBSA0.05%においてFimHタンパク質を希釈した。同じ緩衝液における50μLの0.7nMのフルオレセインオクチルビフェニルマンノピラノシドリガンドを各ウェルに添加した。100rpmで振盪しつつ一晩室温でプレートをインキュベートした。20~24時間後に、488nmのフルオレセイン励起および530nmの発光により、ClarioStar Plusプレートリーダーにおいてプレートを読み取った。
(実施例4)
熱安定性アッセイ(ThermoFluorアッセイ)
SYPROオレンジを使用した384ウェル熱安定性アッセイを開発して、アポ(非結合)形態において、リガンドの存在下で、単離されたタンパク質の融解温度を決定した。FimHの天然リガンド(マンノース)を模倣するマンノシド化合物(メチルα-D-マンノピラノシド(Sigma M6882))を使用して、タンパク質への会合を分析した。40mM Tris pH8、400mM NaCl(アッセイ緩衝液)においてタンパク質を4μMに希釈することにより、FimHタンパク質ストック溶液を調製した;アッセイ緩衝液においてSYPROオレンジ色素(Invitrogen S6650)を1:10希釈した。MicroAmp EnduraPlate Optical 384ウェルプレート(Applied Biosystems 4483285)における10μL最終反応体積のために、4μM FimH変異体(5μL)を、1:10 SYPROオレンジ色素(0.1μL)およびアッセイ緩衝液において希釈されたアッセイ緩衝液またはリガンドのいずれか(5μL)と混合した。プレートを、0.05℃/秒で20℃から98℃への解離プロトコールを使用したQuantStudio 5リアルタイムPCRシステム(ThermoFisher)における融解曲線分析に供した。TAMRAを標的およびレポーターとして、ROXを受動的参照として指定した(しかしいかなる分析のためにも使用されない)。X軸における温度(20℃から98℃)およびY軸に示すTAMRAチャネルからの蛍光によるマクスウェル・ボルツマン分布としてデータをプロットした(TAMRAレポーターのための特異的蛍光励起値を割り当てられた、融解曲線において読み取られた各温度点)。ウェルおよび試料の間の蛍光強度を等しくするための正規化アルゴリズムを確立したため、蛍光のY軸は、0(蛍光なし)から1(最高記録蛍光)のスケールにて、プレート間で比較することができた。この方程式は下に示されている。Microsoft Excelにおける検索関数(同様に下に示す)を使用して、0.5の相対的蛍光(正規化後)値(タンパク質のおよそ半分が解離したことを示す)を記録し、特異的温度に相関させた。このようにして、タンパク質のこの温度、すなわち、得られた融解温度(Tm)を計算した。アポ条件からタンパク質+リガンドのTmを引くことにより、融解温度におけるシフト(ΔTm)を計算した。Microsoft Excelにおけるピボットテーブルを使用して、プレートレイアウトからTmを組織化した。
TAMRA蛍光シグナルを正規化するための方程式:
正規化値(0~1の間)=
(未加工の蛍光値 - ウェル全体からの最小蛍光値(20℃から98℃))/
ウェル全体からの最大蛍光値 - ウェル全体からの最小蛍光値
Tmを同定するためのExcel検索関数(0.5正規化蛍光、または50%タンパク質融解):
=LOOKUP(0.5、正規化蛍光値の始まり:値の終わり、$温度値の始まり:$値の終わり)
(実施例5)
FimH特異的中和モノクローナル抗体によるFimH変異体のコンフォメーション状態の確認
中和モノクローナル抗体299-3、304-1および440-2(インハウスで開発)を使用して、FimH変異体のコンフォメーション状態を確認した;229-3および304-1は、MAb 475および926と同様のエピトープに結合し(Kisiela、D.I.ら、Proc Natl Acad Sci U S A 110、19089~19094(2013))、一方、440-2は、異なるエピトープを認識し、オープンコンフォメーション状態のFimHLDに優先的に結合すると思われる。野生型と同様の構造的統合性を維持するバリアントは、全ての抗体に結合することが予想される。全ての動態学的リアルタイム生体分子相互作用実験について、ForteBioのOctet HTXを使用して、各変異体との抗体反応性を測定した。ウェルあたり240μLを含有する96ウェル黒色プレートにおける1000rpm撹拌により30℃で実験を実行した。0.5%BSAおよび0.05%Tween 20を含有する1×PBS緩衝液(PBT)を含有する緩衝液においてNi-NTAバイオセンサーを平衡化し、その後、5分間にわたり5μg/mLでHisタグを付けたFimH変異体タンパク質をロードさせた。FimHをロードされたバイオセンサーに、3分間にわたりPBTにおいてベースラインを再確立させ、その後、5分間にわたり5μg/mLで異なる瓶(bin)由来の抗体と会合させた。会合ステップの動態学的分析のために、Octetデータ分析ソフトウェアを使用し、nmシフトにおける応答を得る(作表)。
(実施例6)
円二色性分光法
JASCO PTC-424S/15(Jasco)温度制御およびIsotempウォーターバス(Fisher Scientific)ユニットを備えたJASCO J-810分光偏光計(Spectropolaromiter)(Jasco)を使用して、FimHLDおよびFimH-DSG変異体について遠UV(320-250nm)および近UV(260-200nm)円二色性スペクトルを記録した。遠UVのために、1mmセルを使用し、近UVのために、10mmセルを使用した。タンパク質を0.3mg/mLになるようにPBSにおいて希釈し、1mm(遠UV)または10mm(近UV)路長を有するセルを使用して20℃でスペクトルを記録した。スキャンを100nm/分で実行し、DITを1秒間に、バンド幅を3秒間に、データピッチを0.1nmに設定した。感度を標準に設定した。それぞれ近UVのために10種のスペクトルを、遠UV測定のために5種を蓄積し平均した。スペクトルは、ブランクPBSランから生じるCDスペクトルを使用して手作業でバックグラウンドに対して補正し、EQ.1を使用して平均残基楕円率に変換した。式中、θMREは、計算された平均残基楕円率であり、θEXPは、実験により測定されたCDシグナルであり、MWは、タンパク質分子量であり、Nは、アミノ酸残基の数であり、Cは、mg/mL単位のタンパク質濃度であり、lは、cm単位の光路長である。
EQ.1
θMRE=(θEXP・MW)/(10・N・C・l)
(実施例7)
動物免疫原性研究EC-1678
Charles River Laboratoriesから6~8週齢CD-1マウスを得た。群毎に、20匹の動物に、0、4および8週目に、5mMスクシネート、60mM NaCl、0.1% PS80、pH5.6を含有する5.1mg/mL QS-21ストック溶液から得た20μgキラヤ・サポナリア(Quillaja Saponaria)-21(QS-21)と混合した10μg FimHタンパク質を皮下免疫化した。
(実施例8)
FimHホールセル中和アッセイ
マンノシル化基質への線毛保有(fimbriated)大腸菌(E.coli)の結合を阻害するワクチン接種動物由来の血清の能力を評価するために、酵母マンナンを使用したホールセル中和アッセイを、2021年5月6日に発表されたPCT国際公開番号WO2021/084429に記載されている通りに用いた。
(実施例9)
CHO細胞からのFimH-DSG WTおよびFimH-DSG G15A G16A V27A変異体の精製
C末端Hisタグを有する分泌されたタンパク質として、CHO細胞においてタンパク質を発現させた。細胞培養物上清を収集し、それぞれ20mMの最終濃度および150mM最終濃度となるように1M Tris pH7.4および5M NaClを添加した。5kDa TFFカセット緩衝液を、20mM Tris pH7.5と500mM NaClおよび40mMイミダゾールにおいてリンスおよび平衡化した。上清を2倍に濃縮し、6体積の20mM Tris pH7.5、500mM NaCl、40mMイミダゾールに対して透析濾過(diafilter)した。保持液(Retentate)を採取し、50~100mLの20mM Tris pH7.5、500mM NaCl、40mMイミダゾールでリンスした。0.2μmボトルトップフィルターを用いて保持液を濾過およびリンスした。XK26/20カラムに、Ni-セファロース6 Fast Flow樹脂(Cytiva Life Sciences)を充填し、5カラム体積の20mM Tris pH7.5、500mM NaCl、40mMイミダゾールで平衡化した。保持液を半分の流速でアプライし、安定したベースラインに達するまで洗浄した(およそ55カラム体積)。結合したタンパク質を、20mM Tris、500mM NaCl、500mMイミダゾール、pH7.5で溶出した。目的のタンパク質を含有する画分をプールし、2回緩衝液を交換して4℃で20mM酢酸ナトリウム、pH4.3に対して2kDa透析カセットにおいて透析した。同じ緩衝液で平衡化されたSP-セファロースカチオン交換カラム(Cytiva Life Sciences)にタンパク質をアプライした。カチオン交換樹脂に結合した材料を、20mM酢酸ナトリウム、pH4.3、1M NaCl緩衝液を使用したNaClの線形勾配で溶出した。画分をプールし、TBS、pH7.4に対して透析した。
(実施例10)
FimH-DSG WTおよびFimH-DSG G15A G16A V27A変異体における分析的サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
25℃で10mM EDTAを含有するTBS、pH7.4緩衝液において、Waters X bridge Protein BEH SEC 125Å 2.5μm、4.6×300mmカラムを使用して分析的SECを行った。注入体積は10μlであり、流速は0.5mL/分であった。
(実施例11)
アンペロメトリック電気化学検出を使用した高pHアニオン交換クロマトグラフィー(HPAEC-PAD)による単糖分析
FimH-DSG野生型およびFimH-DSG三重変異体(G15A、G16A、V27A)の水性試料を、2Nトリフルオロ酢酸において2時間120℃で消化した。その時間の後に、6時間45℃の真空下で試料を蒸発乾固した。試料をMilli-Q H2Oにおいて復元し、DIONEX ICS 3000イオンクロマトグラフィーシステムにおけるHPAEC-PADによって評価した。H2Oおよび200mM NaOHの混合物を使用した均一濃度溶出によるDionex CarboPac PA1カラム(4×250mm)を使用した。FimH試料において検出されたピークの保持時間を公知単糖標準の溶液と比較することにより、単糖組成を確認した。
(実施例12)
FimH-DSG WTおよびFimH-DSG G15A G16A V27A変異体へのO抗原糖部分結合の検出
全ての動態学的リアルタイム生体分子相互作用実験のためにForteBioのOctet HTXを使用して、FimH-DSG WTおよびFimH-DSG G15A G16A V27A変異体との可能なO抗原相互作用を測定した。ウェルあたり240μlを含有する96ウェル黒色プレートにおいて1000rpm撹拌により30℃で実験を実行した。1×PBS緩衝液と0.5%BSAおよび0.05%Tween 20を含有する緩衝液(PBT)においてNi-NTAバイオセンサーを平衡化し、その後そこに、5分間にわたり5μg/mlでHisタグを付けたFimH-DSG WTまたはFimH-DSG G15A G16A V27A変異体をロードした。FimH-DSG WTまたはFimH-DSG G15A G16A V27Aをロードしたバイオセンサーに、3分間にわたるPBTにおいてベースラインを再確立させ、その後そこに、O抗原多糖CRMコンジュゲート、O9またはO25bまたはO1aまたはO2の2倍滴定(200~3.125μg/ml)をロードした。いかなる多糖も用いない、抗原をロードしたバイオセンサーを参照として使用した。FimHおよびO抗原滴定をロードしたバイオセンサーを、新たなベースラインを確立するためにPBTに3分間浸漬した。5分間にわたる5μg/mL O抗原特異的mAbを用いた会合ステップにおいて、変異体へのO抗原結合の検出を検査した(MAb 601はO9に対し、MAb ECO-80-11はO25bに対し、MAb ECO-48-2はO1aに対し、MAb ECO-172-13はO2に対する)。Octetデータ分析ソフトウェアを、参照を引いた会合ステップの動態学的分析のために使用し、nmシフトにおける応答を得る(作表)。
(実施例13)
タンパク質発現および精製
FimHLDおよびFimH-DSG変異体を、Expi293細胞において発現させ、ニッケル親和性捕捉とそれに続くサイズ排除クロマトグラフィーによって上清から単離した。いくつかの変異体は、不十分な発現レベルを有しており、生化学的または生物物理学的評価に進まなかったことに留意されたい(例えば、FimHLD P26C V35C、N33C P157C、N33C L109C、V35C L107C、V35C L109C、S113C T158C)。十分な収率を得ることができた変異体を、熱安定性およびリガンド結合アッセイにおいて評価した。
(実施例14)
マンノシドリガンドの存在下で改善された熱安定性および低減された融解温度シフトを有するFimHLDおよびFimH-DSG変異体の同定
SYPROオレンジ熱シフトに基づく示差走査型蛍光定量アッセイを使用して、FimH変異体タンパク質の融解温度を決定し、この場合、Tmは、タンパク質の50%がアンフォールドされる温度を命名する。非共有結合リガンドは、多くの場合、特異的結合によりタンパク質標的を安定化し、タンパク質融解温度の増大をもたらす。したがって、アルファ-D-マンノースの誘導体であり、FimHに対しマイクロモル濃度の親和性を有するメチルアルファ-D-マンノピラノシドの存在下で融解温度を決定し(Bouckaert、J.ら、Mol Microbiol.55、441~455(2005))、アポ形態と比べたリガンドの存在下でのタンパク質の融解温度の差(ΔTm)を計算した。
野生型(WT)FimH-DSGタンパク質は、FimHLD WTと比較して有意により高い融解温度を呈し、リガンドの存在下でより低いΔTmを有した(表10、表11)。FimH-DSG WTは、71.66℃の融解温度を有し、一方、FimHLD WTの融解温度は、有意により低かった(61.54℃)。メチルアルファ-D-マンノピラノシドの存在下で、FimHLD WTの融解温度は、10.99℃シフトし、一方、リガンドの存在下でのFimH-DSGの温度は、2.13℃だけシフトした。このことは、FimHLDが、FimH-DSGと比較して、リガンドによってより効率的に安定化されることを示唆し、このことは、FimH-DSGによるリガンド結合低減を反映し得る。
突然変異は、アポ状態におけるおよびリガンドの存在下におけるFimHタンパク質の融解温度に影響を与えた。以前に記載された(Kisiela、D.I.ら、Proc Natl Acad Sci U S A 110、19089~19094(2013);Rodriguez、V.B.ら、J Biol Chem 288、24128~24139(2013))FimHLDロック変異体V27C L34Cは、野生型FimHLD(61.54℃)と比較して、より低い融解温度(51.42℃)を呈し、発表されたデータ(Kisiela、D.I.ら、Proc Natl Acad Sci U S A 110、19089~19094(2013);Rodriguez、V.B.ら、J Biol Chem 288、24128~24139(2013))と一致した。メチルアルファ-D-マンノピラノシドとFimHLD V27C L34Cのインキュベーションは、アポ形態と比較して、融解温度を7.27℃増大し、この変異体が、リガンドによって部分的に安定化され、残渣リガンド結合効率を有し得ることを示唆する。FimH-DSGの文脈において、V27C L34C変異体は、WTと比較してより低い熱安定性であり(Tm=63.29℃)、リガンドの存在下での温度シフトは、WTと比較してV27C L34C変異体においてわずかに低減された(ΔTm=1.29℃)。同様の融解温度を有したF1Lを除いて、6種のPhe1 FimHLD変異体のうち5種が、WT FimHLDと比較して減少した融解温度を有した。リガンドの存在下で、6種のFimHLD Phe1変異体のうち4種が、小さいΔTmを示し、リガンドによる不十分な安定化を示唆する。対照的に、最も保存的なアミノ酸置換F1WおよびF1Yは、Phe1野生型FimHLDに対して、それぞれ中間のおよび匹敵するΔTm値を呈した。全体的な熱安定性に関して、R60P参照突然変異(以前に記載された - Rabbaniら、J.Biol.Chem.293:1835~1849(2018);Rodriguez、V.B.ら、J Biol Chem 288、24128~24139(2013))およびインハウスで設計されたいくつかの新規突然変異は、V27C L34Cと比べて有意に増大した融解温度を有した。興味深いことに、FimHLD V28C N33C(参照FimHLD V27C L34Cから離れてちょうど1残基シフトされた両方の部位)は、いずれかのFimHLD 変異体の最高の融解温度を有し(Tm=65.77℃)、メチルアルファ-D-マンノピラノシドの存在下で2.81℃のΔTmを有し、リガンドに対する低減された親和性を示唆する。FimHLDにおけるグリシンループ領域における突然変異(G15A、G16A)は、V27C L34Cと比べて熱安定性を有意に増大させ、リガンドの存在下で融解温度の非常に低いシフトが観察された。グリシンループ突然変異はまた、FimH-DSGの熱安定性をわずかに増大させ、リガンドによる温度シフトは観察されず、FimHLDおよびFimH-DSG変異体が、リガンドによって安定化されず、したがって、野生型と比べて低減された結合効率を有し得ることをまとめて示唆する。
FimHLD WTの配列は、大腸菌(E.coli)UTI単離物J96(Hull、R.A.ら、Infect Immun 33、933~938(1981))に由来する。V27Aは、ビルレントなUTI単離物およびクローン病に関連する単離物に関連する天然のバリアントである(Schwartz、D.J.ら、Proc Natl Acad Sci USA 110、15530~15537(2013);Cespedesら、Front Microbiol 8:639(2017))。FimHLDへのV27Aの組込みは、FimHLD WTの融解温度をわずかに低減させ、WTと比較して、より小さいシフトが、メチルアルファ-D-マンノピラノシドの存在下でV27Aにより観察された。他方では、V27Aは、FimHLDにおけるグリシンループ変異体G15A、G16A、G15P、G16Pの文脈で安定化効果を有すると思われ、これらは全て、V27Aにより、それなしと比較して、より高い融解温度を有し、この突然変異なしの最大6.05℃(G16P)と比較して、V27Aの存在下で<2℃のΔTmを有した。加えて、V27Aを含有する(contaiing)FimH-DSG変異体は、わずかに増大した熱安定性を有し、リガンドの存在下で検出可能な温度シフトはなかった。まとめると、このことは、V27Aが、FimHの融解温度に安定化効果を有し、リガンド結合効率を低減させることを示唆する。
いくつかのFimHLDジスルフィドおよび非極性から極性への残基変異体は、低レベルで発現され、不十分に熱安定性であるか、またはマンノシド化合物の存在下で有意な温度シフトを呈し、これらが、リガンド結合効率を保持したことを示唆する(表12)。これらは、単一の複製で検査し、さらなる分析から除外した。同様に、いくつかの他のFimH-DSG変異体の熱安定性を分析したところ、そのうち2種が、改善された熱安定性およびリガンドによる低減されたシフトを有した(FimH-DSG V27A Q133KおよびFimH-DSG G15A G16A V27A Q133K)(表13)。Q133K突然変異は、以前に記載された(Schwartzら、Proc Natl Acad Sci USA 110:15530~15537(2013))、リガンド結合を排除するFimHの結合ポケットにおける突然変異である。これらの変異体は、さらに分析しなかった。
(実施例15)
マンノシドリガンドに対する親和性が低減したFimH変異体の同定
フルオレセインコンジュゲートオクチルビフェニルマンノピラノシド(BPMP)リガンドを用いた直接結合蛍光偏光アッセイを使用して、マンノシドリガンドに対するFimH変異体の解離定数(Kd)を決定した。WTと比べたFimHLD変異体のKd値は、表14に示されている。FimHLD WTおよびV27Aは、BPMPに対して同様の高い親和性を示した。参照ロック変異体FimHLD V27C L34C(Kisiela、D.I.ら、Proc Natl Acad Sci USA 110、19089~19094(2013);Rodriguez、V.V.ら、J Biol Chem 288:24128~24139(2013))は、FimHLD WTと比べて、リガンドに対して91分の1の親和性を有し、一方、FimHLD R60P V27A(Rabbaniら、J.Biol.Chem.293:1835~1849(2018))は、179分の1の親和性を有した。本明細書に開示されている変異体は、参照ロック変異体と比較した。結合は、グリシンループ変異体FimHLD G15A V27A、G15P V27A、G16P V27AおよびG16A G16A V27Aについて検出されなかったが、一方、G16A V27Aは、WTと比べてKdの156倍増大を有した。V27Aと組み合わせたグリシンループ突然変異は全て、グリシンループ変異体単独よりも有意に高いKdを呈し、V27Aが、明瞭でない安定化効果を有するが、FimHLD WTのKdに影響がほとんどないことを示唆する。V27Aの包含はまた、FimHLD R60Pの結合親和性をさらに減少させた。
3種の新規ジスルフィドロック変異体を本アッセイにおいて検査したところ、これらは全て、FimHLD WTと比べてリガンド結合親和性のわずかな低減を有した(33~43分の1の親和性)。非極性から極性への突然変異を含有するFimHLD変異体(A119T V27A、A119N V27A、L34T V27A、L34N V27A)は、FimHLD WTと同様に、BPMPに対して高い親和性を有した。FimHLD F1変異体は、FimHLD WTと同様の結合親和性を有したF1Yを除いて、不十分な結合を呈した。
FimH-DSG構築物のリガンド結合親和性は、表15に示されている。FimH-DSG WTのKdは、FimHLD WTのKdよりも100倍を超えて高く、FimHの2つの形態の異なるコンフォメーション状態を反映する可能性がある。FimH-DSG V27Aもまた、FimH-DSG WTと比べてより低い親和性を有した。これは、FimCおよびFimGと複合体形成したA27を有する全長FimHが、FimH V27と比べて、マンノシドに対して低減された結合親和性を有することを示す以前のデータと一致する(Schwartzら、Proc Natl Acad Sci USA 110:15530~15537(2013))。FimH-DSGへのロック突然変異V27C L34Cの導入は、BPMPに対する親和性を5分の2に低減させ、一方、グリシンループ変異体FimH-DSG G15A G16A V27Aは、FimH-DSG WTと比べて28分の1の親和性を有した。FimH-DSG G15A V27AおよびFimH-DSG G16A V27AのKdを計算することができず、これらの変異体が、BPMPに結合できないことを示唆する。ピリン-レクチンドメイン界面(A115I、V185I)の変更により、オープンコンフォメーションにおいてFimH-DSGを安定化するように設計された突然変異は、熱安定性データ(実施例14)から示唆される通り、FimH-DSG WTと比べて結合親和性を改善した。
要約すると、BPMPに対して非常に低い結合親和性を有した、FimHLDまたはFimH-DSGタンパク質のいずれかにおけるグリシンループ突然変異が同定された。これらおよび熱安定性データに基づき、マウスの機能的免疫原性研究における評価のためにグリシン変異体を選択した。
(実施例16)
円二色性分光法によるFimH変異体のコンフォメーション状態の確認
改善された熱安定性およびマンノシドリガンドに対する低減された結合親和性を呈したFimHLDおよびFimH-DSG変異体(実施例14および15)を、円二色性(CD)による二次および三次構造分析に供した。野生型およびコンフォメーションがロックされたFimHLD変異体は、別個の三次CDプロファイルを有する(Rabbaniら、J.Biol.Chem.293:1835~1849(2018))。選択されたFimHLDおよびFimH-DSG野生型および変異体タンパク質の二次および三次構造を、遠UV CD(二次構造)および近UV CD(三次構造)によって試験した(図1を参照)。FimHLDの遠UV CDスペクトルは、以前に発表されたデータ(Rabbaniら、J.Biol.Chem.293:1835~1849(2018))と一致し、FimHLDおよびFimH-DSGの両方の遠UVスペクトルは、高いベータ-シート含有量を有するタンパク質に特徴的である。FimHLD V27C L34Cは、他の者によって観察された通り(Rabbaniら、J.Biol.Chem.293:1835~1849(2018))、野生型FimHLDと比較して、わずかに異なる遠UVスペクトルを有し、オープンコンフォメーション状態を反映する。天然起源のFimHLD V27A変異体の二次構造プロファイルもまた、若干変動した。全体的に見て、FimHLDまたはFimH-DSG変異体の二次構造は、野生型タンパク質と高度に同様であり(図1)、全体的な二次構造が、これらの変異体において変更されないことを示唆する。FimHLD変異体の三次構造プロファイルは、オープンコンフォメーション状態において安定化されたFimHLD V27 L34CおよびV27A R60Pのインハウスのおよび発表されたCDスペクトルに密接に似ている(Rabbaniら、J.Biol.Chem.293:1835~1849(2018))。本明細書に記載されている変異体のプロファイルもまた、野生型FimHLDまたはFimHLD V27Aと比較して有意に異なる。まとめると、これらのデータは、導入された突然変異が、FimHLDのコンフォメーションをオープンコンフォメーションにシフトし、一方、FimH-DSG三次構造は、本明細書で評価されるコンフォメーション安定化突然変異の導入後に、大部分は未変化のままであることを示唆する。
(実施例17)
中和モノクローナル抗体を使用したFimH変異体の特徴付け
レクチンドメイン特異的モノクローナル抗体299-3、304-1および440-2を使用したバイオレイヤーインターフェロメトリーアッセイによって、いくつかの選択されたFimH抗原のコンフォメーションを特徴付けた。競合実験(図示せず)は、抗体229-3および304-1が、MAb 475および926(Kisielaら、Proc Natl Acad Sci USA 110:19089~19094(2013))と同様のリガンド結合部位エピトープに結合することを実証した。モノクローナル抗体440-2は、異なるエピトープに結合し、オープンコンフォメーションのFimHLDに優先的に結合すると思われる。抗体229-3および304-1は、全てのFimHLD(表16)およびFimH-DSG(表17)バリアントを認識することができたが、結合は、FimHLD V27Aについて低減された。対照的に、抗体440-2に対する応答は、WTまたはV27Aと比べて、FimHLDまたはFimH-DSG変異体の全てにおいてより高かった。これは、図1に示されるCD分光法プロファイルと一致し、FimHLD変異体が、オープンコンフォメーションであることを示唆する。440-2による応答も、FimH-DSG WTにおいて増大し、これは、FimH-DSG変異体およびWTの重複するCD分光法プロファイル(実施例16)と組み合わせて、このタンパク質が、安定化突然変異の存在または非存在に関係なく、オープンコンフォメーション状態であることを示唆する。
(実施例18)
FimH変異体中和データ
選択された変異体の相対的な免疫原性を評価するために、マウスにFimH変異体をワクチン接種した。上述および以前(2021年5月6日に発表されたPCT国際公開番号WO2021/084429)に記載されているホールセル酵母マンナン中和アッセイを使用して、機能的抗体価を惹起するFimH変異体の効力を定量化した。手短に説明すると、線毛保有大腸菌(E.coli)を、血清と共にインキュベートし、酵母マンナンコーティングマイクロタイタープレートに結合させた。プレートを洗浄し、ルミネセントプローブを使用して、プレートに結合した生存大腸菌(E.coli)の数を検出した。ワクチン接種されたマウス由来の血清の8ポイント2倍希釈系列から、酵母マンナンへの線毛保有細菌の結合を阻害する血清中和力価を決定した。力価は、細菌の50%がプレートへの結合を維持する血清希釈度の逆数を表す。平均力価および応答の概要は、表18に示されている。用量2および3の後における個々のマウスIC50応答のプロットは、図2および図3に示されている。
以前の研究(2021年5月6日に発表されたPCT国際公開番号WO2021/084429)は、以前に記載されたジスルフィドロック変異体FimHLD V27C L34C(Kisielaら、Proc Natl Acad Sci USA 110:19089~19094(2013))が、FimHLD WTと比べて機能的免疫原性を改善しなかったことを示した。新規FimHLD変異体および別の以前に記載されたコンフォメーションが制約された変異体FimHLD V27A R60P(Rabbaniら、J.Biol.Chem.293:1835~1849(2018)の機能的免疫原性は、図2において直接比較されている。変異体FimHLD G16A V27A、FimHLD G15A G16A V27AおよびFimHLD V27A R60Pは、FimHLD WTよりも多い数の応答者およびそれよりも高い力価(p値<0.05)を生じた。他の突然変異(G15A V27A、G16P V27A、V28C N33C)は、機能的免疫原性を有意に増強しなかったが、応答したマウスについて高い力価が観察されており、これらの群における応答者の数は、FimHLD WT群のそれと同様であった。よって、FimHLDをオープンコンフォメーションにロックすることにより、FimHLDの機能的免疫原性を増強するように設計されたいくつかの変異体は、FimHLD WTと比べて機能的免疫原性を改善した。2用量のFimHLDおよびFimH-DSG変異体によるワクチン接種後に、有意により多い動物が、FimHLDと比較して、FimH-DSGをワクチン接種された群において中和力価を生じた(図3)。この傾向は、用量3の後に持続され、マウスの95%~100%が、FimH-DSG V27A、FimH-DSG G15A V27AおよびFimH-DSG G15A G16A V27Aをワクチン接種された群において応答した。IC50幾何平均力価(GMT)もまた、用量3の後に、FimH-DSG変異体をワクチン接種された全ての群において有意により高かった。類似のFimH-DSG変異体(V27A、G15A V27A、G15A G16A V27A)は、FimHLD変異体と比べてより高いGMTを生成した(<0.05のp値)。
(実施例19)
FimH-DSG G15A G16A V27Aは、宿主グリカンに結合せず、均一になるよう単離することができる
FimH-DSG WTおよびFimH-DSG G15A G16A V27A変異体タンパク質は、C末端Hisタグを含有する分泌されたタンパク質としてCHO細胞において発現させた。組換えHisタグを付けた形態のFimH-DSGの精製を図4に示す通りに実行した。
限外濾過および透析濾過の後に、FimH-DSG WTを含有する無細胞培養培地をニッケル親和性樹脂において単離し、カチオン交換クロマトグラフィーに供した。溶出ピークは、やや広く、いくつかの特徴的な肩を呈し、FimH-DSG WT種の不均一性の可能性を示唆する(図5)。興味深いことに、溶出された画分をSDS-PAGEによって分析すると、FimH-DSG WTに対応する単一のバンドのみが、各画分において検出された。
精製プロセスにおいて、FimH-DSGは、それが不十分な溶解性を有することを示唆する特性を呈した。特に、FimH-DSG WT Ni-セファロース溶出液は、目視検査によって濁っていると常に思われた。SP-セファロースにおけるその後の精製のための酸性pH(4.3)へのシフトは、タンパク質溶液の清澄化をもたらした。しかし、FimH-DSG WT調製物の不十分な溶解性および凝集傾向は、TBS、pH7.4への単離されたタンパク質の移動(透析)後に再度観察された。これは、凝集および沈殿によるタンパク質の漸進的な損失をもたらす。遠心分離による沈殿物の除去は、この時点におけるタンパク質濃度が典型的に0.2~0.4mg/mLまでに低減されるとしても、凝集プロセスを終結することも減速することもない。凝集によるタンパク質の損失は、貯蔵(TBS、pH7.4)緩衝液に組み込まれた10%グリセロールの存在下で制御することができる。しかし、グリセロールの存在は、350nmで光散乱をモニタリングすることにより分光光度的に検出されたHMW可溶性凝集物の形成を防止しなかった。
同じプロセスをFimH-DSG G15A G16A V27A変異体の単離に利用する場合、いくつかの差が観察された。第一に、そのようなものは、Ni-セファロースカラムからのタンパク質の溶出後の、濁り(haziness)の兆候の完全な欠如を含む。第二に、SP-セファロースカラムからの溶出ピークのプロファイルは、WT FimH-DSGにより観察されたものほど広くなかった(図6)。そして最後に、FimH-DSG G15A G16A V27A変異体は、生理的pH緩衝液(TBS pH7.4)への移動後に、完全に可溶性のままであった。最大5~6mg/mLの濃度において、FimH-DSG G15A G16A V27A変異体は、凝集または沈殿のいかなる兆候も示さなかった。
単離されたFimH-DSG WTおよびFimH-DSG G15A G16A V27A変異体の分析は、FimH-DSGのこれら2種のバリアントの間の特徴的な差をさらに明らかにした。分析的サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、その分子量と一致した保持時間で単一のピークとして溶出されたFimH-DSG G15A G16A V27A変異体を実証した。対照的に、野生型FimH-DSGの溶出プロファイルは、いくつかのピークで構成され、主要ピークの保持時間は、図7に示す変異体のそれよりも少なかった。これらのデータは、FimH-DSG WTが、SECによって検出可能な高分子質量複合体を形成することを明らかに実証する。FimH-DSG WTによって形成されたHMW複合体の存在、および凝集する傾向は、そのN末端レクチン結合ドメインの機能的活性に関係付けることができる。本出願人らは、CHO発酵中および培養培地への分泌後に、FimH-DSG WTが、宿主CHO細胞の表面から放出されたグリカン分子(複数可)に結合すると仮定した。グリカンの分枝した性質により、2コピー以上のFimH-DSG分子が、各グリカンによって収容(accommodate)され得る。増大する数のFimH-DSGによるグリカンの連続的な「装飾」は、様々なHMW複合体の形成をもたらし、最終的に、溶解性の損失および沈殿を生じるであろう(図8を参照)。この仮説を検証するために、単離された野生型および変異体FimH-DSG(およびFimHLD)種を、高pHアニオン交換クロマトグラフィーとアンペロメトリック電気化学(電気化学的)検出(HPAEC-PAD)分析に供した。この方法は、タンパク質試料におけるオリゴ糖またはグリカンの同定を可能にすると共に、これらのオリゴ糖の組成に関する情報を提供する。手短に説明すると、酸加水分解を実行して単糖を放出させ、続いて、単糖標準と比べたピークの分析を行う。HPAEC-PAD分析の結果は、単離されたFimH-DSG WT(グリコシル化されている)およびFimHLD(グリコシル化されていない、データ図示せず)調製物が、有意な量の単糖を含有することを明らかにした。FimH-DSG WTおよびFimH-DSG G15A G16A V27A変異体における同定された単糖の概要は、表19に示されている。FimH-DSG G15A G16A V27A変異体における単糖の含有量は、FimH-DSG WTのそれよりも有意に少なかった。さらに、検出された低い単糖含有量が、N235を改変することが予測されるN-グリカンの糖部分を表すことが完全に可能である。
(実施例20)
FimHLDおよびFimH-DSG G15A G16A V27A変異体は、大腸菌(E.coli)O抗原に結合しない
大腸菌(E.coli)O抗原O8およびO9の反復単位は、ポリマンノース残基で構成される。これは、FimHが、FimH-O抗原コンジュゲート組合せワクチンにおけるO抗原コンジュゲートに結合することができるか否かという問いを生じた。バイオレイヤーインターフェロメトリー実験を設計して、FimHLD WTが、遊離O9多糖またはCRMコンジュゲートO9多糖のいずれかに結合することができるか否か、また、結合アッセイにおいてマンノシドリガンドに対して検出不能な親和性を有することが示されたFimHLD G15A G16A V27A変異体が結合することができるか否か検証した。O抗原結合データは、表20に示されている。高濃度の遊離多糖において、応答は、FimHLD WTにより観察された。より高い応答は、CRMコンジュゲート多糖により観察された。しかし、検出可能な結合は、変異体タンパク質FimHLD G15A G16A V27Aにより排除された。同様の実験がFimH-DSGのためにセットアップされ、異なる血清型(O9、O25b、O1aおよびO2)の遊離またはCRMコンジュゲートO抗原に結合するFimH-DSG WTまたはFimH-DSG G15A G16A V27A変異体の能力を検査した(表21)。それらのマンノシドリガンド結合特性から予想される通り、FimH-DSG WTの全体的な結合親和性は、対応するFimHLDバリアントよりも有意に低かった。最高濃度のCRMコンジュゲートにおいて、ある程度の滴定できる結合が、FimH-DSG WTにより観察され、バックグラウンドレベルをごくわずかに上回る結合が、遊離多糖に見られた。FimHLD G15A G16A V27A 変異体と同様に、FimH-DSG G15A G16A V27Aタンパク質は、遊離またはCRMコンジュゲート多糖のいずれにも結合しなかった。結論として、親WT FimHLDまたはWT FimH-DSG抗原とは異なり、派生されたG15A G16A V27A変異体は、O抗原に結合することができず、組み合わされたFimHおよびO抗原ワクチンの開発を進める潜在的な道筋を提供する。
(実施例21)
O抗原ありおよびなしでFimH-DSG G15A G16A V27A変異体をワクチン接種された非ヒト霊長類
A.方法
1.FimH IgG dLIA
スペクトル的に別個のMagPlex-Cマイクロスフェア(ルミネックス)にカップリングされた大腸菌(E.coli)変異体線毛抗原FimH-DSG G15A G16A V27Aを、アッセイ一次インキュベーションの直前に、振盪しつつ室温で1~2時間にわたり濃度50,000ビーズ/mLとなるようにブロッキング緩衝液において希釈した。振盪しつつ2~8℃で一晩のインキュベーションのため、希釈されたマイクロスフェア混合物を、適切に希釈された非ヒト霊長類血清試料、対照および参照標準である、FimH-DSGのピリンドメインに結合するヒト化インハウスモノクローナル抗体(FimH Y202)を含有するアッセイプレートに添加した。非結合構成成分を洗い流した後に、精製されたR-フィコエリトリンヤギ抗ヒトIgG、Fcγ断片特異的二次抗体(Jackson ImmunoResearch Labortories、109-116-170)をマイクロスフェア混合物に添加し、振盪しつつ室温で90分間インキュベートした。ルミネックスFLEXMAP 3Dリーダーによって測定された蛍光PEシグナルの大きさは、タンパク質カップリングマイクロスフェアに結合した抗FimH-DSG IgGの量に直接比例する。蛍光強度中央値から抗原特異的抗体濃度(μg/mL)を内挿するために標準曲線の対数/対数線形回帰モデルを使用するカスタムSASアプリケーションを使用して、データを分析した。標準曲線バイアスから0.763μg/mLの定量下限(LLOQ)が計算された。
2.4価O-Ag IgG dLIA
血清型 O25b、O1a、O2およびO6の大腸菌(E.coli)の長いO抗原多糖を、ポリ-L-リシンに共有結合によりコンジュゲートし、派生されたコンジュゲートを、標準EDC/NHS媒介性カップリングプロトコールにより、スペクトル的に別個のMagPlex-Cマイクロスフェア(ルミネックス)にカップリングした。振盪しつつ2~8℃で一晩のインキュベーションのために、マイクロスフェアを、系列希釈された非ヒト霊長類血清試料、対照およびポリクローナル標準と共にインキュベートした。洗浄後に、PEコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG、Fcγ断片特異的二次抗体(Jackson ImmunoResearch Labortories、109-115-098)を用いて、振盪しつつ室温で90分間のインキュベーションの後に、結合した血清型特異的IgGを検出した。4つのスペクトル的に別個の領域のそれぞれについて、ルミネックス200リーダーによって蛍光を測定し、蛍光強度中央値として表した。ポリクローナル標準滴定の標準曲線プロットは、任意の割当てによる線形勾配プロファイルを生じ、そこから、シグナルを血清型特異的抗体レベル(U/mL)として内挿することができる。
3.非ヒト霊長類(NHP)
雌カニクイザル(Cynomolgus Macaque)(カニクイザル(Macaca fasicularis))は元々、Charles River Laboratories(Houston、TX)から入手し、その後、Pfizer、Pearl River、NYに移した(年齢範囲:4~5歳、体重範囲:3.1~5.9kg)。NHPは、標準クワッドケージ(quad caging)に収容し、水および食物は自由摂取させた。動物の皮下にマイクロチップを埋めて、内部温度をモニタリングした。陰性尿qPCR結果(下の方法セクション10を参照)に基づき、大腸菌(E.coli)感染がないNHPのみを登録した。
4.ワクチン接種および血液採取
ビヒクル対照(PBS、pH6.2)、モノマー線毛抗原FimH-DSG G15A G16A V27A(50μg/用量)、またはモノマー線毛抗原FimH-DSG G15A G16A V27A(50μg/用量)と組み合わせた4価O25b、O1a、O2およびO6 O抗原多糖コンジュゲート(1μg/用量)の混合物のいずれかで、0、4および14週目にカニクイザルを筋肉内に免疫化した(0.55mL)。ワクチン抗原に、AS01b(用量あたり50μgのMPLおよび50μgのQS-21)をアジュバントとして加えた。
0、6および16週目に、10mLの血液を、21g安全針付き/バキュテナーを使用して、大腿静脈経由で1個の血清分離チューブ(BD Vacutainer)内に採取した。採取チューブを室温で30分間放置し、3000gで10分間遠心分離した。上清における血清を採取し、等分し、-80℃で貯蔵した。
5.大腸菌(E.coli)臨床単離物
International Health Management associates(IHMA)によって維持されているPfizer支援のAntimicrobial Testing Leadership and Surveillance(ATLAS)データベースの一部として採取されたUPEC株から、患者の年齢および試料採取の起源(PFEEC0578、男性、年齢38、膀胱起源)に基づき、1つの代表的なST131 O25b臨床単離物を選択した。この臨床研究室株は、未知の型の莢膜多糖の産生をコードする遺伝子を有する。
6.UPEC株ストック調製
12mLのLBブロス(Teknova、#L8198)への接種と、それに続く275rpmの撹拌下での37℃における一晩インキュベーションによって、大腸菌(E.coli)ストックを調製した。18時間後に、12mL培養物を、250mLフラスコ(Corning、#431407)内の113mLのLBブロス中に希釈した。OD600が2.1~2.7の間になるまで、培養物を、ほぼ275rpmにて37℃で2~3時間インキュベートした。25mLのグリセロール(80%、MP、#3055-044)を培養物へと混合した。長期貯蔵のために5mLのアリコートを-80℃で凍結した。ストックの系列希釈をTSAプレート(BD、BBLトリプチケース(Trypticase)ダイズ寒天(ダイズ豆カゼイン消化寒天)カタログ#B21283X)上にプレーティングすることにより、バイアルあたりの生存細菌の濃度を確認し、30℃における18時間インキュベーションの後に分析した。
7.膀胱炎の非ヒト霊長類モデル
筋肉内投与されたケタミン/デクスドミトール(Dexdomitor)混合物でNHPを麻酔した。尿道カテーテル留置からの膀胱汚染を防止するために、無菌生理食塩水で湿らせた無菌ガーゼおよび/または塩化ベンザルコニウムを含有する消毒拭き取り繊維で肛門生殖器区域をしっかりと拭いた。組織刺激作用を防止するためにSurgi Lubeで以前にコーティングされた無菌5フレンチレッド(French red)ゴムカテーテルを、尿道を通して膀胱内に穏やかに導入した。次に、自然な流れまたはシリンジによる吸引のいずれかにより、尿を完全に出して膀胱を空にした。カテーテルを通して、108CFUのUPEC株PFEEC0578を含有する1mLの体積を膀胱内に直接投与した。
8.負荷後動物モニタリング
負荷後に、1週目は1日2回およびその後の週は1日1回動物をモニタリングした。負荷後最大30日目までNHPをモニタリングした。モニタリングは、尿量の外観の観察、行動または食欲の変化、疼痛/不快感の兆候および体温測定を含んだ。
9.カテーテル留置による尿採取
きれいな尿試料の採取を可能にするために、上に記載されている通りに、麻酔したNHPの膀胱にカテーテル留置した。カテーテル留置後に、自然な流れまたはシリンジによる吸引のいずれかにより、尿を出して膀胱を空にした。膀胱が、尿を含有しなかった場合、10mLの生理食塩水を注入し、カテーテルを通した吸引を反復した。採取された全試料を氷上で直ちに貯蔵した。
10.DNA抽出
Qiagen Minelute DNA抽出キット(Qiagen、Ref#51306、含量は、時に、採取された試料体積によって限定された)を使用して、NHP尿試料の最大3回複製からの大腸菌(E.coli)DNAの抽出を実行した。製造業者の血液および体液スピンプロトコールに、次の改変を加えて従った:試料出発体積を500μLに増大させた(試料体積が許容されるのであれば)、緩衝液AL体積を500μLに増大させた、プロテイナーゼK体積を50μLに増大させた、50μLの分子グレードの水(Corning Inc.、Ref#46-000-CM)を37℃に温め、溶出緩衝液EBの代わりに使用した。最後に、37℃の分子グレードの水の添加後に、最終スピンに先立ち、スピンカラムを5分間室温でインキュベートした。
11.定量的リアルタイムPCR(qPCR)
定量的リアルタイムPCR(qPCR)を使用して、NHP尿試料における細菌ロードを評価した。次のプライマー:フォワード、TTGAAAGTGATGGTTTGGTAAGAAAT(配列番号109);リバース、TGCAGCACGTATGATAACTTCAAAG(配列番号110)を使用したqPCRにより、大腸菌(E.coli)O25b血清型特異的DNAを増幅し、Fam蛍光レポーターによるプローブおよび配列AGGATATTTTACCCAGCAGTGCCCCGT(配列番号111)を使用して、複製を定量化した。
O25b血清型特異的アンプリコンは、O25b血清型orf10領域の部分に対応する。プライマーおよびプローブをカスタム設計し、Integrated DNA Technologiesから凍結乾燥状態で購入し、100nmol/mLの濃度となるように緩衝液TE(Corning Inc.、Ref#46-009-CM)において復元した。
上に記載されているDNA抽出手順から得たDNA試料を、96ウェルApplied Biosystems MicroAmp Optical96ウェル反応プレート(Applied Biosystems、Ref#N8010560)においてアッセイした。ウェルあたり12.5μL Applied Biosystems 2X Taqman Fast Advanced Master Mix(Applied Biosystems、Ref#4444554)、0.125μLの各復元プライマー、0.5μLプローブ、1.75μL分子生物学グレードの水(Corning Inc.、Ref#46-000-CM)および10μLの試料を使用して、25μlの総体積においてqPCR反応を実行した。
DNAの増幅のための反応条件は、Applied Biosystems 7500リアルタイムPCRシステムまたはApplied Biosystems QuantStudio 6リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)のいずれかにおいてランを行った、50℃で2分間、次いで95℃で2分間、ならびに40サイクルの95℃で3秒間および60℃で30秒間であった。
定量化を可能にするために、線形標準曲線を作成した。各負荷実験(上に記載されている調製)において使用されるものと同じ大腸菌(E.coli)の凍結ストックのアリコートを、無菌PBS(Corning、21-040-CM)において1×109CFU/mLとなるように希釈した。その後の系列希釈を実行して、1×108、1×107、1×106、1×105、1×104、1000、100および10CFU/mLの濃度の大腸菌(E.coli)を含有する溶液を生成した。系列希釈は、無菌PBS(Corning、21-040-CM)において、または接種に先立ち対象から採取された、プールされ2回濾過されたNHP尿において調製された。PBSおよびプールされ2回濾過されたNHP尿における希釈は、等価であることが後に見出された。各希釈に存在する生存細菌の含量は、TSAプレート(BD、BBLトリプチケースダイズ寒天(ダイズ豆カゼイン消化寒天)カタログ#B21283X)上にプレーティングすることにより確認された。上に記載されている通り、試料からのDNAの抽出に用いられる同じ方法を使用して、各系列希釈においてDNA抽出を実行した。2回繰り返して、全てのqPCRアッセイプレートにおいてこれらのqPCR標準をランした。
Applied Biosystems QuantStudioソフトウェアを使用して、線形回帰分析を実行した。統計分析は、生成された標準曲線が、100~1×108細菌/mLの間で線形に挙動したことを決定した。結果的に、定量下限(LLOQ)は、100細菌/mLであると決定された。一部の例では、試料は、蛍光閾値に達したが、LLOQを下回る含量に対応するサイクルにおいて、他の例では、蛍光閾値に全く達しなかった(未決定値)。これらの条件のいずれかが起こった場合、値は、LLOQの値(100細菌/mL)として本明細書で報告される。
12.ミエロペルオキシダーゼ(MPO)ELISA
InvitrogenミエロペルオキシダーゼインスタントELISAキット(Invitrogen、Ref#BMS2038INST)を使用して、NHP尿中のミエロペルオキシダーゼ(MPO)を定量化した。5%0.5M PIPES緩衝液pH6.8(Alfa Aesar、Ref#J61786-AK)の最終濃度となるようにPIPES緩衝液を純粋な尿試料に添加した。試料を15秒間ボルテックスにかけ、次いで、製造業者供給の試料希釈剤で1:1希釈した。試料を2回繰り返してアッセイし、アッセイの残りについて製造業者の説明書に従った。最終エンドポイントにおいて、Spectramax Plus装置(Molecular Devices)において450nmにおける色強度を測定した。アッセイキットに含まれた標準を使用して、標準曲線を生成した。分析のため、アッセイキットの低標準(156.25pg/mL)は、検出下限(LLOD)であることが理解された。Spectramax装置のコンパニオンソフトウェア(Softmax、Molecular Devices)は、低標準の値を越えて外挿することができる。LLODの半分の値(78.125pg/mL)を、当該値より下に外挿されたいずれかの値、またはいずれかのアッセイ結果が検出限界を完全に下回った場合に代えて置換した。
13.IL-8ルミネックスアッセイ
カスタムBio-Rad IL-8ヒトサイトカインスクリーニングパネルルミネックスアッセイキット(BioRad Laboratories Inc.、REF#17005177)を使用して、インターロイキン-8(IL-8)を測定した。5%0.5M PIPES緩衝液pH6.8(Alfa Aesar、Ref#J61786-AK)の最終濃度となるように、PIPES緩衝液を純粋な尿試料に添加した。試料を15秒間ボルテックスにかけ、次いで、改変されたLXA-4緩衝液(PBS 1×、0.5%BSA、0.025%アジ化ナトリウム)の50%で1:1希釈した。試料を2回繰り返してアッセイし、アッセイの残りについて製造業者の説明書に従った。BioPlex 200ルミネックス装置(BioRad Laboratories Inc.)においてアッセイプレートを読み取った。Bio-Plex 200ルミネックス装置のコンパニオンソフトウェア「BioPlex Manager」およびアッセイキットに含まれた標準を使用して、標準曲線を生成し、蛍光強度から試料濃度を外挿した。BioPlex Managerソフトウェアは、定量下限(LLOQ)を決定する。
14.尿沈渣の総有核細胞計数および光学顕微鏡分析
採取の1時間以内に、尿試料(500μl~1mL)を1%の最終濃度のホルマリンで固定し、一晩氷上でPfizer Groton、CTに送った。受け取り後に、血球計数器において総有核細胞(上皮細胞および多形核細胞)を計数した。合計およそ300μLを、Thermo Scientific Shandon EZダブルサイト(double cyto)漏斗にロードしたが、100μLは一方の漏斗に、200μLは他方の漏斗に入れた。Thermo Scientific CytoSpin 4細胞遠心分離を使用して、Shandon Double Cytoslide Microscopeコーティングガラススライド上で5分間750rpmにて試料を細胞遠心分離(cytocentrifuge)した。高い細胞計数を有する試料のため、尿を先ず、細胞遠心分離前に0.9%生理食塩水で1:10希釈した。Sysmex SP-10装置を使用して、次に、cytoprepスライドを短時間メタノール固定し、ギムザおよびメイ・グリュンワルド(May-Grunwald)染色で染色した。尿試料毎に、上に収載されている2つの試料体積により、尿試料あたり1枚のスライドを調製した。
濃縮および染色された尿沈渣を含有するCytospinスライドを、増大した多形核細胞(PMN、すなわち、一般に好中球で構成された、ただし、好酸球および好塩基球も含む、セグメント化されたまたは腎臓形の(reniform)核を有する顆粒球)の存在または非存在について光学顕微鏡によって評価した。増大したPMN細胞の非存在は、PMNがないことまたはPMNが稀少であることの観察に基づき決定された。増大したPMNの存在は、バックグラウンド上皮細胞集団と比べて、PMNが稀少よりも多いことの観察に基づき決定された。
B.結果
1.O抗原ありおよびなしのFimH-DSG G15A G16A V27A変異体によるワクチン接種は、非ヒト霊長類において強力な総および中和抗体を惹起する
非ヒト霊長類に、4価O抗原コンジュゲート(O25b、O6、O1a、O2)およびAS01bアジュバントありまたはなしでFimH-DSG G15A G16A V27A変異体をワクチン接種した(図9)。FimH-DSG G15A G16A V27Aおよび4価O抗原ワクチン接種群において、O抗原血清型特異的抗体価は、ワクチン接種後6週目にほぼ400倍上昇した(図10および表22)。直接ルミネックスイムノアッセイ(dLIA)を使用して、総抗FimH抗体価を定量化した(図11Aおよび表23)。プラセボ群における動物は、アッセイの定量限界を下回る力価を有した。両方のワクチン接種群において、力価は、2用量の後に上昇し、第3の用量でブーストすることができた。全体的に見て、力価は、FimH-DSG G15A G16A V27A単独と比較して、FimH-DSG G15A G16A V27AとO抗原をワクチン接種された動物においてわずかにより低かった。
酵母マンナンへの大腸菌(E.coli)の結合を遮断する抗FimH抗体の能力を評価するために、大腸菌(E.coli)結合阻害アッセイにおいて血清を評価した(図11Bおよび表24)。FimH-DSG G15A G16A V27A単独をワクチン接種された動物由来の血清の平均IC50は、用量2の後に293.65に、用量3の後に1698.39に上昇し、一方、O抗原と組み合わされたFimH-DSG G15A G16A V27Aをワクチン接種された動物の平均IC50は、用量2後に480.12、用量3後に756.45であった。
まとめると、これらのデータは、FimH-DSG G15A G16A V27Aが、非ヒト霊長類において強力な抗体応答を惹起し、O抗原と組み合わせると、FimH単独によるよりもわずかに低いが、高力価をもたらすことを示す。
2.O抗原ありおよびなしのFimH-DSG G15A G16A V27A変異体によるワクチン接種は、非ヒト霊長類モデルにおける細菌尿および感染のバイオマーカーを低減させる
最終ブーストの5週間後に、ワクチン接種およびプラセボ処置NHPに、膀胱内カテーテル留置(catherization)を経由して、108CFUのUPEC単離物PFEEC0578を接種した。28日間の期間にわたり、カテーテル採取尿において細菌尿をモニタリングした。全てのプラセボ処置動物において、生きている細菌の滴下注入は、負荷後2および7日目に高レベルの細菌尿を生じた(近似で106細菌/尿1mLの幾何平均)。プラセボ群と比較して、FimH-DSG G15A G16A V27AまたはFimH-DSG G15A G16A V27A+4価O抗原をワクチン接種された動物は、感染後2および7日目にそれぞれ幾何平均細菌尿の300分の1または1000分の1への低減を呈した。
14日目に、プラセボワクチン接種動物のおよそ50%は、依然として、細菌尿>105細菌/尿1mLを呈した。最後に、プラセボ NHPの大部分は、21および28日目に感染を排除した。対照的に、大部分のFimH-DSG G15A G16A V27AまたはFimH-DSG G15A G16A V27A+4価O抗原ワクチン接種動物は、14日目までに感染を排除した(図12)。
次に、負荷されたNHPの尿において、様々な炎症性バイオマーカーをモニタリングした。負荷後7日目に、細胞学分析によって確認される通り、全てのプラセボ処置動物が、尿沈渣において上昇したレベルの多形核(PMN)細胞を呈した。対照的に、FimH-DSG G15A G16A V27Aワクチン接種NHPの25%未満が、尿沈渣において増大したレベルのPMN細胞を有し、FimH-DSG G15A G16A V27A+4価O抗原免疫化動物は、尿沈渣において増大したレベルのPMN細胞を有しなかった(図13C)。並行して、本出願人らは、7日間の期間にわたり、尿試料におけるミエロペルオキシダーゼ(MPO)およびインターロイキン8(IL-8)のレベルを測定した。負荷後2日目に、両方のワクチン接種群が、プラセボ群(470pg/mLの幾何平均)と比較して、MPOレベルの2分の1への低減を呈した(ほぼ200pg/mLの幾何平均)(図13A)。
加えて、感染後2日目および7日目に、FimH-DSG G15A G16A V27Aワクチン接種動物におけるIL-8の尿濃度は、プラセボ処置NHPの尿において測定されたレベル(54.2pg/mLおよび32.7pg/mLの幾何平均)と比較して、それぞれ近似で10分の1および5分の1に減少した(5.9pg/mLおよび9.8pg/mLの幾何平均)。同様の傾向で、O抗原と組み合わせたFimH-DSG G15A G16A V27A免疫化NHPにおける2日目および7日目のIL-8の尿レベルは、プラセボ処置動物において観察されたIL-8濃度と比較して、それぞれ近似で5分の1および3分の1に低減された(11.3pg/mLの幾何平均)(図13B)。
C.結論
FimH-DSG G15A G16A V27A変異体は、第3の用量でブーストされ得るNHPにおいて高い抗FimH IgG力価を誘導する。FimH-DSG G15A G16A V27A変異体および4価O抗原の組合せをワクチン接種された動物は、高いO抗原 IgG力価を示した。
FimH-DSG G15A G16A V27Aは、非ヒト霊長類において強力な中和抗体を惹起する。4価O抗原との組合せは、同様に免疫原性である。
4価O抗原ありまたはなしのFimH-DSG G15A G16A V27A変異体は、カニクイザルの尿路感染モデルにおいて細菌尿および感染のバイオマーカーを低減させる。
次の項目は、本開示の追加の態様について記載する:
C1.野生型FimHポリペプチドのアミノ酸配列と比べた少なくとも1個のアミノ酸突然変異を含む、突然変異したFimHポリペプチドであって、突然変異位置が、F1、P12、G14、G15、G16、A18、P26、V27、V28、Q32、N33、L34、V35、R60、S62、Y64、G65、L68、F71、T86、L107、Y108、L109、V112、S113、A115、G116、V118、A119、A127、L129、Q133、F144、V154、V155、V156、P157、T158、V163およびV185からなる群から選択され、アミノ酸位置が、配列番号59に従ってナンバリングされる、突然変異したFimHポリペプチド。
C2.F1I;F1L;F1V;F1M;F1Y;F1W;P12C;G14C;G15A;G15P;G16A;G16P;A18C;P26C;V27A;V27C;V28C;Q32C;N33C;L34C;L34N;L34S;L34T;L34D;L34E;L34K;L34R;V35C;R60P;S62C;Y64C;G65A;L68C;F71C;T86C;L107C;Y108C;L109C;V112C;S113C;A115V;G116C;V118C;A119C;A119N;A119S;A119T;A119D;A119E;A119K;A119R;A127C;L129C;Q133K;F144C;V154C;V156C;P157C;T158C;V163I;およびV185I、またはこれらのいずれかの組合せからなる群から選択される少なくとも1個の突然変異を含む、項目C1に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C3.突然変異G15AおよびG16Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C4.突然変異P12CおよびA18Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C5.突然変異G14CおよびF144Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C6.突然変異P26CおよびV35Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C7.突然変異P26CおよびV154Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C8.突然変異P26CおよびV156Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C9.突然変異V27CおよびL34Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C10.突然変異V28CおよびN33Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C11.突然変異V28CおよびP157Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C12.突然変異Q32CおよびY108Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C13.突然変異N33CおよびL109Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C14.突然変異N33CおよびP157Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C15.突然変異V35CおよびL107Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C16.突然変異V35CおよびL109Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C17.突然変異S62CおよびT86Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C18.突然変異S62CおよびL129Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C19.突然変異Y64CおよびL68Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C20.突然変異Y64CおよびA127Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C21.突然変異L68CおよびF71Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C22.突然変異V112CおよびT158Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C23.突然変異S113CおよびG116Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C24.突然変異S113CおよびT158Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C25.突然変異V118CおよびV156Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C26.突然変異A119CおよびV155Cを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C27.突然変異L34NおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C28.突然変異L34SおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C29.突然変異L34TおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C30.突然変異L34DおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C31.突然変異L34EおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C32.突然変異L34KおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C33.突然変異L34RおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C34.突然変異A119NおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C35.突然変異A119SおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C36.突然変異A119TおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C37.突然変異A119DおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C38.突然変異A119EおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C39.突然変異A119KおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C40.突然変異A119RおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C41.突然変異G15AおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C42.突然変異G16AおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C43.突然変異G15PおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C44.突然変異G16PおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C45.突然変異G15A、G16AおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C46.突然変異G65AおよびV27Aを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C47.突然変異V27AおよびQ133Kを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C48.突然変異G15A、G16A、V27AおよびQ133Kを含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C49.配列番号2~58および60~64のうちいずれか1つの配列を含む、項目C2に記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C50.単離されている、項目C1~C49のいずれかに記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C51.(i)項目C1~C50のいずれか一項に記載の突然変異したFimHポリペプチド、および(ii)薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
C52.項目C1~C50のいずれか一項に記載の突然変異したFimHポリペプチドを含む免疫原性組成物。
C53.少なくとも1つの追加の抗原をさらに含む、項目C52に記載の免疫原性組成物。
C54.少なくとも1つの追加の抗原が、糖または多糖または糖コンジュゲートまたはタンパク質である、項目C53に記載の免疫原性組成物。
C55.少なくとも1つのアジュバントをさらに含む、項目C52に記載の免疫原性組成物。
C56.項目C1~C49のいずれか一項に記載の突然変異したFimHポリペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
C57.免疫原性である、項目C1~C50のいずれかに記載の突然変異したFimHポリペプチド。
C58.項目C1~C50のいずれか一項に記載の突然変異したFimHポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換え哺乳動物細胞。
C59.項目C58に記載の組換え細胞を含む培養物であって、少なくとも5リットルのサイズである培養物。
C60.項目C1~C50のいずれか一項に記載の突然変異したFimHポリペプチドを産生するための方法であって、好適な条件下で項目C58に記載の組換え哺乳動物細胞を培養し、これにより、ポリペプチドを発現させること;およびポリペプチドを収集することを含む方法。
C61.(i)腸管外病原性大腸菌(E.coli)に対する対象における免疫応答を誘導するための、または(ii)腸管外病原性大腸菌(E.coli)に特異的な対象におけるオプソニン貪食作用および/もしくは中和抗体の産生を誘導するための方法であって、対象に、有効量の項目C51~C55のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む方法。
C62.対象が、尿路感染を発症するリスクがある、項目C61に記載の方法。
C63.対象が、菌血症を発症するリスクがある、項目C61に記載の方法。
C64.対象が、敗血症を発症するリスクがある、項目C61に記載の方法。
C65.哺乳動物に、有効量の項目C51~C55のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、哺乳動物において大腸菌(E.coli)に対する免疫応答を惹起する方法。
C66.免疫応答が、大腸菌(E.coli)に対するオプソニン貪食作用および/または中和抗体を含む、項目C65に記載の方法。
C67.免疫応答が、大腸菌(E.coli)感染から哺乳動物を保護する、項目C65に記載の方法。
C68.対象に、免疫学的有効量の項目C51~C55のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、対象における細菌感染、疾患または状態を防止、処置または改善する方法。
C69.追加の抗原が、式O1(例えば、式O1A、式O1Bおよび式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18Bおよび式O18B1)、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式62D1、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式0111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186および式O187(式中、nは、1~100の整数である)のいずれか1つから選択される構造を含む糖である、項目C54に記載の免疫原性組成物。
C70.糖が、式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O10、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O21、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O28、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O55、式O56、式O58、式O64、式O69、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O75、式O77、式O78、式O86、式O88、式O90、式O98、式O104、式O111、式O113、式O114、式O119、式O121、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O136、式O138、式O141、式O142、式O143、式O147、式O149、式O152、式O157、式O158、式O159、式O164、式O173、式O62D1、式O22、式O35、式O65、式O66、式O83、式O91、式O105、式O116、式O117、式O139、式O153、式O167、および式O172(式中、nは31~100の整数である)から選択される構造を含む、項目C69に記載の免疫原性組成物。
C71.糖が、式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O10、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O21、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O28、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O55、式O56、式O58、式O64、式O69、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O75、式O77、式O78、式O86、式O88、式O90、式O98、式O104、式O111、式O113、式O114、式O119、式O121、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O136、式O138、式O141、式O142、式O143、式O147、式O149、式O152、式O157、式O158、式O159、式O164、式O173、および式62D1(式中、nは31~100の整数である)から選択される構造を含む、項目C70に記載の免疫原性組成物。
C72.式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O15、式O16、式O21、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、および式O75から選択される構造を含む、項目C70に記載の免疫原性組成物。
C73.式O4、式O11、式O21、および式O75から選択される構造を含む、項目C70に記載の免疫原性組成物。
C74.式O8、式O9a、式O9、式20ab、式O20ac、式O52、式O97、および式O101から選択される構造を含まない、項目C69に記載の免疫原性組成物。
C75.式O12から選択される構造を含まない、項目C69に記載の免疫原性組成物。
C76.前記糖を生成するグラム陰性細菌中でwzzファミリータンパク質を発現させることによって生産される、項目C72に記載の免疫原性組成物。
C77.wzzファミリータンパク質が、wzzB、wzz、wzzSF、wzzST、fepE、wzzfepE、wzz1およびwzz2からなる群から選択される、項目C76に記載の免疫原性組成物。
C78.wzzファミリータンパク質がwzzBである、項目C76に記載の免疫原性組成物。
C79.wzzファミリータンパク質がfepEである、項目C76に記載の免疫原性組成物。
C80.wzzファミリータンパク質がwzzBおよびfepEである、項目C76に記載の免疫原性組成物。
C81.wzzファミリータンパク質がサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)に由来する、項目C76に記載の免疫原性組成物。
C82.wzzファミリータンパク質が、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、および配列番号121のいずれか1つから選択される配列を含む、項目C76に記載の免疫原性組成物。
C83.wzzファミリータンパク質が、112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、および配列番号116のいずれか1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、項目C76に記載の免疫原性組成物。
C84.wzzファミリータンパク質が、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、および配列番号121のいずれか1つから選択される配列を含む、項目C76に記載の免疫原性組成物。
C85.糖が合成的に合成される、項目C69に記載の免疫原性組成物。
C86.大腸菌(E.coli)R1部分をさらに含む、項目C69からC85のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C87.大腸菌(E.coli)R2部分をさらに含む、項目C69からC85のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C88.大腸菌(E.coli)R3部分をさらに含む、項目C69からC85のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C89.大腸菌(E.coli)R4部分をさらに含む、項目C69からC85のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C90.大腸菌(E.coli)K-12部分をさらに含む、項目C69からC85のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C91.3-デオキシ-d-マンノ-オクタ-2-ウロソン酸(KDO)部分をさらに含む、項目C69からC90のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C92.大腸菌(E.coli)R1部分をさらに含まない、項目C69からC85のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C93.大腸菌(E.coli)R2部分をさらに含まない、項目C69からC85のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C94.大腸菌(E.coli)R3部分をさらに含まない、項目C69からC85のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C95.大腸菌(E.coli)R4部分をさらに含まない、項目C69からC85のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C96.大腸菌(E.coli)K-12部分をさらに含まない、項目C69からC85のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C97.3-デオキシ-d-マンノ-オクタ-2-ウロソン酸(KDO)部分をさらに含まない、項目C69からC90のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C98.リピドAを含まない、項目C69からC91のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C99.多糖が10kDa~2,000kDa、または50kDa~2,000kDaの分子量を有する、項目C69からC98のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C100.20~40kDaの平均分子量を有する、項目C69からC99のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C101.糖が、40,000~60,000kDaの平均分子量を有する、項目C69からC100のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C102.nが31~90の整数である、項目C69からC101のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C103.項目C69~C50のいずれか一項に記載の突然変異したFimHポリペプチド、および担体タンパク質と共有結合した糖を含むコンジュゲートを含む免疫原性組成物であって、糖が、大腸菌(E.coli)に由来する、免疫原性組成物。
C104.項目C69~C50のいずれか一項に記載の突然変異したFimHポリペプチド、および担体タンパク質に共有結合した項目C69~C102のいずれか一項に記載の糖を含むコンジュゲートを含む免疫原性組成物。
C105.項目C69~C50のいずれか一項に記載の突然変異したFimHポリペプチドまたはその断片;および項目C69~項目C102のいずれか一項に記載のコンジュゲートを含む免疫原性組成物であって、担体タンパク質が、ポリ(L-リシン)、CRM197、ジフテリア毒素断片B(DTFB)、DTFB C8、ジフテリアトキソイド(DT)、破傷風トキソイド(TT)、TTの断片C、百日咳トキソイド、コレラトキソイド、または緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来の外毒素A;緑膿菌(P.aeruginosa)の解毒外毒素A(EPA)、マルトース結合タンパク質(MBP)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の解毒溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)ニューモリシンおよびその解毒バリアント、ジェジュニ菌(C.jejuni)AcrA、ジェジュニ菌(C.jejuni)天然糖タンパク質、ならびに連鎖球菌(Streptococcal)C5aペプチダーゼ(SCP)のいずれか1つから選択される、免疫原性組成物。
C106.担体タンパク質が、CRM197である、項目C103~項目C105のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C107.担体タンパク質が、破傷風トキソイド(TT)である、項目C103~項目C105のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C108.担体タンパク質が、ポリ(L-リシン)である、項目C103~項目C105のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C109.コンジュゲートが還元的アミノ化によって調製される、項目C103から項目C107のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C110.CDAP化学反応によって調製されている、項目C103から項目C107のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C111.単一末端結合コンジュゲート化糖である、項目C103から項目C107のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C112.(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされている、項目C103から項目C107のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C113.糖が(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされ、糖がカルバメート結合を介してeTECスペーサーに共有結合され、担体タンパク質がアミド結合を介してeTECスペーサーに共有結合されている、項目C112に記載の免疫原性組成物。
C114.CRM197が、eTECスペーサーを介して多糖に共有結合した2~20個、または4~16個のリシン残基を含む、項目C112から項目C113のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C115.糖:担体タンパク質比(w/w)が0.2~4である、項目C103から項目C114のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C116.糖のタンパク質に対する比が少なくとも0.5であり、最大でも2である、項目C103から項目C114のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C117.糖のタンパク質に対する比が0.4~1.7である、項目C103から項目C114のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C118.糖が、3-デオキシ-d-マンノ-オクタ-2-ウロソン酸(KDO)残基を介して担体タンパク質にコンジュゲートされている、項目C111から項目C117のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C119.コンジュゲートが、担体タンパク質に共有結合した糖を含み、糖が、式O8、式O9a、式O9、式O20ab、式O20ac、式O52、式O97および式O101(式中、nは、1~10の整数である)から選択される構造を含む、項目C69に記載の免疫原性組成物。
C120.突然変異したFimHポリペプチド、および項目C69~項目C102のいずれか一項に記載の糖、および薬学的に許容できる希釈剤を含む免疫原性組成物。
C121.突然変異したFimHポリペプチド、および項目C103~項目C119のいずれか一項に記載の糖コンジュゲート、および薬学的に許容できる希釈剤を含む免疫原性組成物。
C122.組成物中の糖の総量と比較して最大でも約25%の遊離糖を含む、項目C121に記載の免疫原性組成物。
C123.アジュバントをさらに含む、項目C120から項目C121のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C124.アルミニウムをさらに含む、項目C120から項目C121のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C125.QS-21をさらに含む、項目C120から項目C121のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C126.CpGオリゴヌクレオチドをさらに含む、項目C120から項目C121のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C127.アジュバントを含まない、項目C120から項目C121のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C128.項目C69~C118のいずれかに記載の突然変異したFimHポリペプチド、および(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされた大腸菌(E.coli)に由来する糖を含む免疫原性組成物であって、多糖が、カルバメート結合を介してeTECスペーサーに共有結合により連結されており、担体タンパク質が、アミド結合を介してeTECスペーサーに共有結合により連結されている、免疫原性組成物。
C129.糖が大腸菌(E.coli)に由来するO抗原である、項目C128に記載の免疫原性組成物。
C130.薬学的に許容できる賦形剤、担体または希釈剤をさらに含む、項目C128に記載の免疫原性組成物。
C131.糖が大腸菌(E.coli)に由来するO抗原である、項目C128に記載の免疫原性組成物。
C132.突然変異したFimHポリペプチド、および多糖がカルバメート結合を介してeTECスペーサーに共有結合され、担体タンパク質がアミド結合を介してeTECスペーサーに共有結合されている、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされた、項目C69から項目C85のいずれか一項に記載の糖を含む免疫原性組成物。
C133.突然変異したFimHポリペプチド、および(i)担体タンパク質に共有的にカップリングした大腸菌(E.coli)O25B抗原のコンジュゲート、(ii)担体タンパク質に共有的にカップリングした大腸菌(E.coli)O1A抗原のコンジュゲート、(iii)担体タンパク質に共有的にカップリングした大腸菌(E.coli)O2抗原のコンジュゲート、および(iv)担体タンパク質に共有的にカップリングしたO6抗原のコンジュゲートを含む免疫原性組成物であって、大腸菌(E.coli)O25B抗原が式O25B(式中、nは30より大きい整数である)の構造を含む、免疫原性組成物。
C134.担体タンパク質が、ポリ(L-リシン)、CRM197、ジフテリア毒素断片B(DTFB)、DTFB C8、ジフテリアトキソイド(DT)、破傷風トキソイド(TT)、TTの断片C、百日咳トキソイド、コレラトキソイド、または緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に由来する外毒素A;緑膿菌(P.aeruginosa)の解毒された外毒素A(EPA)、マルトース結合タンパク質(MBP)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の解毒された溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)ニューモリシンおよびその解毒されたバリアント、カンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)AcrA、カンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)天然糖タンパク質ならびに連鎖球菌(Streptococcal)C5aペプチダーゼ(SCP)のいずれか1つから選択される、項目C133に記載の免疫原性組成物。
C135.項目C69~C118のいずれか一項に記載の突然変異したFimHポリペプチド、ならびに(i)担体タンパク質に共有結合によりカップリングされた大腸菌(E.coli)O25B抗原のコンジュゲート、(ii)担体タンパク質に共有結合によりカップリングされた大腸菌(E.coli)O4抗原のコンジュゲート、(iii)担体タンパク質に共有結合によりカップリングされた大腸菌(E.coli)O11抗原のコンジュゲート、および(iv)担体タンパク質に共有結合によりカップリングされたO21抗原のコンジュゲートを含む免疫原性組成物であって、大腸菌(E.coli)O25B抗原が、式O75(式中、nは、30より大きい整数である)の構造を含む、免疫原性組成物。
C136.担体タンパク質が、ポリ(L-リシン)、CRM197、ジフテリア毒素断片B(DTFB)、DTFB C8、ジフテリアトキソイド(DT)、破傷風トキソイド(TT)、TTの断片C、百日咳トキソイド、コレラトキソイド、または緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来の外毒素A;緑膿菌(P.aeruginosa)の解毒外毒素A(EPA)、マルトース結合タンパク質(MBP)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の解毒溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)ニューモリシンおよびその解毒バリアント、ジェジュニ菌(C.jejuni)AcrA、ジェジュニ菌(C.jejuni)天然糖タンパク質、ならびに連鎖球菌(Streptococcal)C5aペプチダーゼ(SCP)のいずれか1つから選択される、項目C135に記載の免疫原性組成物。
C137.突然変異したFimHポリペプチド、および(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされた糖を含むコンジュゲートを含む免疫原性組成物を作製する方法であって、a)有機溶媒において糖を1,1’-カルボニル-ジ-(1,2,4-トリアゾール)(CDT)または1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させて、活性化糖を産生するステップ;b)活性化糖をシスタミンもしくはシステアミンまたはそれらの塩と反応させて、チオール化糖を産生するステップ;c)チオール化糖を還元剤と反応させて、1個または複数の遊離スルフヒドリル残基を含む活性化チオール化糖を産生するステップ;d)活性化チオール化糖を、1個または複数のα-ハロアセトアミド基を含む活性化担体タンパク質と反応させて、チオール化糖-担体タンパク質コンジュゲートを産生するステップ;ならびにe)チオール化糖-担体タンパク質コンジュゲートを(i)活性化担体タンパク質のコンジュゲートされていないα-ハロアセトアミド基をキャッピングすることができる第1のキャッピング試薬;および/または(ii)コンジュゲートされていない遊離スルフヒドリル残基をキャッピングすることができる第2のキャッピング試薬と反応させ、それによって、eTEC連結糖コンジュゲートが産生され、糖が、大腸菌(E.coli)に由来する、ステップを含み、組換え哺乳動物細胞においてFimHに由来するポリペプチドまたはその断片をコードするポリヌクレオチドを発現させるステップ、および前記ポリペプチドまたはその断片を単離するステップをさらに含む方法。
C138.項目C69から項目C102のいずれか一項に記載の免疫原性組成物を作製することを含む、項目C137に記載の方法。
C139.キャッピングステップe)が、チオール化された糖-担体タンパク質コンジュゲートと、(i)第1のキャッピング試薬としてのN-アセチル-L-システイン、および/または(ii)第2のキャッピング試薬としてのヨードアセトアミドとを反応させることを含む、項目C137から項目C138のいずれか一項に記載の方法。
C140.トリアゾールまたはイミダゾールとの反応によって糖を混合して、混合された糖を提供するステップをさらに含み、ステップa)の前に、混合された糖がシェル凍結され、凍結乾燥され、有機溶媒中で復元される、項目C137から項目C139のいずれか一項に記載の方法。
C141.ステップc)で生産されたチオール化された多糖の精製をさらに含み、精製ステップが透析濾過を含む、項目C137から項目C140のいずれか一項に記載の方法。
C142.透析濾過によるeTEC結合糖コンジュゲートの精製をさらに含む、項目C137から項目C141のいずれか一項に記載の方法。
C143.ステップa)における有機溶媒が、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、アセトニトリル、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU)およびヘキサメチルホスホラミド(HMPA)のいずれか1つ、またはその混合物から選択される極性非プロトン性溶媒である、項目C137から項目C142のいずれか一項に記載の方法。
C144.培地が、KH2PO4、K2HPO4、(NH4)2SO4、クエン酸ナトリウム、Na2SO4、アスパラギン酸、グルコース、MgSO4、FeSO4-7H2O、Na2MoO4-2H2O、H3BO3、CoCl2-6H2O、CuCl2-2H2O、MnCl2-4H2O、ZnCl2およびCaCl2-2H2Oのいずれか1つから選択される要素を含む、項目C137~項目C142のいずれか一項に記載の方法。
C145.大腸菌(E.coli)を培養するために使用される、項目C144に記載の培地。
C146.培地中で組換え大腸菌(E.coli)を培養すること;前記培地中で前記細胞を培養することによって前記糖を生産することを含み、それによって、前記細胞が前記糖を産生する、項目C69から項目C102のいずれか一項に記載の糖を生産するための方法。
C147.培地が、KH2PO4、K2HPO4、(NH4)2SO4、クエン酸ナトリウム、Na2SO4、アスパラギン酸、グルコース、MgSO4、FeSO4-7H2O、Na2MoO4-2H2O、H3BO3、CoCl2-6H2O、CuCl2-2H2O、MnCl2-4H2O、ZnCl2およびCaCl2-2H2Oのいずれか1つから選択される要素を含む、項目C146に記載の方法。
C148.培地が大豆加水分解物を含む、項目C146に記載の方法。
C149.培地が酵母抽出物を含む、項目C146に記載の方法。
C150.培地が大豆加水分解物および酵母抽出物をさらに含まない、項目C146に記載の方法。
C151.大腸菌(E.coli)細胞が、wzzB、wzz、wzzSF、wzzST、fepE、wzzfepE、wzz1およびwzz2のいずれか1つから選択される異種wzzファミリータンパク質を含む、項目C146に記載の方法。
C152.大腸菌(E.coli)細胞が、wzzB、wzz、wzzSF、wzzST、fepE、wzzfepE、wzz1およびwzz2のいずれか1つから選択されるサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)wzzファミリータンパク質を含む、項目C146に記載の方法。
C153.wzzファミリータンパク質が、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、および配列番号116のいずれか1つから選択される配列を含む、項目C152に記載の方法。
C154.培養が、120OD600/mLを超える収率をもたらす、項目C146に記載の方法。
C155.糖を精製することをさらに含む、項目C146に記載の方法。
C156.精製ステップが、以下のいずれか1つ:透析、濃縮操作、透析濾過操作、接線流濾過、沈降、溶出、遠心分離、沈降、限外濾過、深層濾過、およびカラムクロマトグラフィー(イオン交換クロマトグラフィー、マルチモードイオン交換クロマトグラフィー、DEAE、および疎水性相互作用クロマトグラフィー)を含む、項目C146に記載の方法。
C157.対象に項目C69から項目C136のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、対象において免疫応答を誘導するための方法。
C158.免疫応答が抗大腸菌(E.coli)O特異的多糖血清抗体の誘導を含む、項目C157に記載の方法。
C159.免疫応答が抗大腸菌(E.coli)IgG抗体の誘導を含む、項目C157に記載の方法。
C160.免疫応答が大腸菌(E.coli)に対する殺菌活性の誘導を含む、項目C157に記載の方法。
C161.免疫応答が大腸菌(E.coli)に対するオプソニン貪食作用抗体の誘導を含む、項目C157に記載の方法。
C162.免疫応答が、初回投与後に少なくとも1,000~200,000の幾何平均力価(GMT)レベルを含む、項目C157に記載の方法。
C163.組成物が、式O25(式中、nは40~100の整数である)を含む糖を含み、免疫応答が、初回投与後に少なくとも1,000~200,000の幾何平均力価(GMT)レベルを含む、項目C157に記載の方法。
C164.対象が、尿路感染、胆嚢炎、胆管炎、下痢、溶血性尿毒症症候群、新生児髄膜炎、尿性敗血症、腹腔内感染、髄膜炎、合併肺炎、創傷感染、前立腺生検後関連感染、新生児/幼児敗血症、好中球減少性発熱、および他の血流感染;肺炎、菌血症、および敗血症から選択される状態のいずれか1つのリスクがある、項目C157に記載の方法。
C165.対象が、哺乳動物である、項目C157に記載の方法。
C166.(i)腸外病原性大腸菌(E.coli)に対する、対象における免疫応答を誘導するため、または(ii)腸外病原性大腸菌(E.coli)に特異的である、対象におけるオプソニン貪食作用抗体の産生を誘導するための方法であって、対象に、有効量の項目C69から項目C136のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む方法。
C167.対象が尿路感染を発症するリスクがある、項目C166に記載の方法。
C168.対象が菌血症を発症するリスクがある、項目C166に記載の方法。
C169.対象が敗血症を発症するリスクがある、項目C166に記載の方法。
C170.対象に、項目C69~項目C136のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、対象において免疫応答を誘導するための方法。
C171.免疫応答が抗大腸菌(E.coli)O特異的多糖血清抗体の誘導を含む、項目C170に記載の方法。
C172.抗大腸菌(E.coli)O特異的多糖血清抗体がIgG抗体である、項目C170に記載の方法。
C173.抗大腸菌(E.coli)O特異的多糖血清抗体が、大腸菌(E.coli)に対する殺菌活性を有するIgG抗体である、項目C170に記載の方法。
C174.nが、対応する野生型大腸菌(E.coli)多糖中の反復単位数よりも大きい、項目C69に記載の免疫原性組成物。
C175.nが31~100の整数である、項目C174に記載の組成物。
C176.糖が、式O1A、式O1B、および式O1C、式O2、式O6、ならびに式O25Bのいずれか1つに記載の構造を含む、項目C174に記載の組成物。
C177.糖が、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、および配列番号121のいずれか1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有するwzzファミリータンパク質を発現する組換え宿主細胞中で産生される、項目C174に記載の組成物。
C178.タンパク質が、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、および配列番号116のいずれか1つを含む、項目C177に記載の組成物。
C179.合成的に合成される、項目C174に記載の糖。
C180.項目C1~C55のいずれか一項に記載の突然変異したFimHポリペプチド、ならびに(a)式O25b(式中、nは、31~90の整数である)を含む糖に共有結合した担体タンパク質を含むコンジュゲート、(b)式O1A(式中、nは、31~90の整数である)を含む糖に共有結合した担体タンパク質を含むコンジュゲート、(c)式O2(式中、nは、31~90の整数である)を含む糖に共有結合した担体タンパク質を含むコンジュゲート、および(d)式O6(式中、nは、31~90の整数である)を含む糖に共有結合した担体タンパク質を含むコンジュゲートを含む免疫原性組成物。
C181.式O15、式O16、式O17、式O18および式O75(式中、nは31~90の整数である)のうちのいずれか1つから選択される構造を含む糖に共有結合した担体タンパク質を含むコンジュゲートをさらに含む、項目C180に記載の免疫原性組成物。
C182.組成物中の糖の総量と比較して最大でも約25%の遊離糖を含む、項目C180に記載の免疫原性組成物。
C183.哺乳動物に、有効量の項目C180からC182のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、哺乳動物において大腸菌(E.coli)に対する免疫応答を惹起する方法。
C184.免疫応答が大腸菌(E.coli)に対するオプソニン貪食作用抗体を含む、項目C183に記載の方法。
C185.免疫応答が大腸菌(E.coli)感染から哺乳動物を保護する、項目C183に記載の方法。
C186.(a)項目C1~C55のいずれか一項に記載の突然変異したFimHポリペプチドをコードする第1の目的の遺伝子を含む組換え哺乳動物細胞であって、遺伝子が、少なくとも2つの組換え標的部位(RTS)の間に組み込まれている、組換え哺乳動物細胞。
C187.2つのRTSが、NL1遺伝子座またはNL2遺伝子座内に染色体的に組み込まれている、項目C186に記載の実施形態。
C188.第1の目的の遺伝子が、リポーター遺伝子、発現させるのが困難なタンパク質をコードする遺伝子、補助遺伝子またはその組合せをさらに含む、項目C186に記載の実施形態。
C189.(a)の遺伝子座とは異なる第2の染色体遺伝子座内に組み込まれている第2の目的の遺伝子をさらに含み、第2の目的の遺伝子が、リポーター遺伝子、発現させるのが困難なタンパク質をコードする遺伝子、補助遺伝子またはその組合せを含む、項目C186に記載の実施形態。
C190.ポリヌクレオチド配列が、前記哺乳動物細胞のゲノムDNA中に組み込まれる、C186に記載の組換え細胞。
C191.ポリヌクレオチド配列が、細胞中での発現のためにコドン最適化される、C186に記載の組換え細胞。
C192.ヒト胚性腎細胞である、C186に記載の組換え細胞。
C193.ヒト胚性腎細胞が、HEK293細胞を含む、C192に記載の組換え細胞。
C194.HEK293細胞が、HEK293T細胞、HEK293TS細胞、およびHEK293E細胞のいずれか1つから選択される、C193に記載の組換え細胞。
C195.CHO細胞である、C186に記載の組換え細胞。
C196.前記CHO細胞が、CHO-K1細胞、CHO-DUXB11、CHO-DG44細胞、またはCHO-S細胞である、C195に記載の組換え細胞。
C197.ポリペプチドが可溶性である、C186に記載の組換え細胞。
C198.ポリペプチドが細胞から分泌される、C186に記載の組換え細胞。
C199.少なくとも5リットルのサイズである、C186に記載の組換え細胞を含む培養物。
C200.ポリペプチドまたはその断片の収率が、少なくとも0.05g/Lである、C199に記載の培養物。
C201.ポリペプチドまたはその断片の収率が、少なくとも0.10g/Lである、C199に記載の培養物。
C202.大腸菌(E.coli)に由来するポリペプチドまたはその断片を生産するための方法であって、好適な条件下でC186に記載の組換え哺乳動物細胞を培養することによって、ポリペプチドまたはその断片を発現させること;およびポリペプチドまたはその断片を収集することを含む方法。
C203.ポリペプチドまたはその断片を精製することをさらに含む、C202に記載の方法。
C204.O1、O2、O3およびO5からなる群から選択されるいずれか1つのクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)型に由来する少なくとも1つの糖をさらに含む、項目C54に記載の免疫原性組成物。
C205.クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)型O1に由来する糖をさらに含む、項目C204に記載の免疫原性組成物。
C206.クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)型O2に由来する糖をさらに含む、項目C204に記載の免疫原性組成物。
C207.クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)型O3に由来する糖をさらに含む、項目C204に記載の組成物。
C208.クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)型O5に由来する糖をさらに含む、項目C204に記載の免疫原性組成物。
C209.クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)型O1に由来する糖、およびクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)型O2に由来する糖をさらに含む、項目C204に記載の免疫原性組成物。
C210.式O1、式O1A、式O1B、式O1C、式O2、式O3、式O4、式O4:K52、式O4:K6、式O5、式O5ab、式O5ac、式O6、式O6:K2;K13;K15、式O6:K54、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、式O18B1、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23、式O23A、式O24、式O25、式O25a、式O25b、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45、式O45、式O45rel、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式62D1、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73、式O73、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式0111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、式O187(式中、nは、1~100、より好ましくは、31~90の整数である)のいずれか1つから選択される構造を含む少なくとも1つの糖をさらに含む、項目C204~C209のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
C211.クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)に由来する糖が、担体タンパク質にコンジュゲートされている;および大腸菌(E.coli)に由来する糖が、担体タンパク質にコンジュゲートされている、項目C210に記載の免疫原性組成物。
C212.哺乳動物に、有効量の項目C204からC211のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、哺乳動物において大腸菌(E.coli)に対する免疫応答を惹起する方法。
C213.免疫応答が大腸菌(E.coli)に対するオプソニン貪食作用抗体を含む、項目C212に記載の方法。
C214.免疫応答が大腸菌(E.coli)感染から哺乳動物を保護する、項目C212に記載の方法。
C215.哺乳動物に、有効量の項目C204からC211のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、哺乳動物においてクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)に対する免疫応答を惹起する方法。
C216.免疫応答がクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)に対するオプソニン貪食作用抗体を含む、項目C215に記載の方法。
C217.免疫応答がクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)感染から哺乳動物を保護する、項目C215に記載の方法。
C218.クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O1が、バリアントO1V1またはO1V2を含む、項目C204からC217のいずれかに記載の組成物および方法。
C219.クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)血清型O2が、バリアントO2V1またはO2V2を含む、項目C204からC217のいずれかに記載の組成物および方法。
C220.本明細書に記載の項目C1からC219のいずれか一項に記載の組成物の使用。
C221.クレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)O抗原が、a)血清型O1サブタイプv1(O1v1)、b)血清型O1サブタイプv2(O1v2)、c)血清型O2サブタイプv1(O2v1)およびd)血清型O2サブタイプv2(O2v2)からなる群から選択される、項目C211に記載の組成物。
C222.項目C1~C221のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチドを含む核酸。
C223.RNAである、項目C222に記載の核酸。
C224.項目C222またはC223に記載の核酸を含むナノ粒子。
C225.式O4、式O11、式O13、式O21および式O86(式中、nは、1~100、好ましくは、31~90の整数である)からなる群から選択される糖を有する1つまたは複数のコンジュゲートをさらに含む、本発明の免疫原性組成物。
C226.式O1a、式O2、式O6および式O25b(式中、nは、1~100、好ましくは、31~90の整数である)からなる群から選択される糖を有する1つまたは複数のコンジュゲートをさらに含む、本発明の免疫原性組成物。