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JP7438825B2 - 洗浄剤組成物 - Google Patents

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JP7438825B2 JP2020065080A JP2020065080A JP7438825B2 JP 7438825 B2 JP7438825 B2 JP 7438825B2 JP 2020065080 A JP2020065080 A JP 2020065080A JP 2020065080 A JP2020065080 A JP 2020065080A JP 7438825 B2 JP7438825 B2 JP 7438825B2
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Description

本発明は、洗浄剤組成物、及び該洗浄剤組成物を用いる硬質表面の洗浄方法に関する。
インクジェット記録方式は、微細なノズルからインク液滴を直接吐出し、記録媒体に付着させて、文字や画像が記録された印刷物等を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易で安価、記録媒体に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。近年特に、記録物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤に顔料を用いるものが主流となってきている。
一方、顔料を用いる水系インクにおいて、ポリマー分散剤を用いて顔料を水系媒体又はインクビヒクルに分散させて用いる場合、染料を用いるインクと異なりインク吐出ノズル部分でポリマーや顔料が固着してしまうことがある。
この問題点を改善する洗浄剤組成物として、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、たとえ目詰まりが起きても、容易に目詰まりを回復させることができるものとして、微粒子成分が含まれる二液を記録媒体上で反応させて画像を形成する工程を有する画像形成装置に用いられる洗浄液であって、前記微粒子を含む凝集物を再分散する成分を含有する洗浄液が開示されている。凝集物を再分散する成分としては、酸、カチオン供給体が好ましいとされているが、アミン等の塩基や水溶性有機溶剤も挙げられている。
特許文献2には、インクジェット用インクの製造ラインを構成する硬質表面に対して、室温下においても優れた洗浄力を有する洗浄剤組成物として、水溶性有機アミン(a)、アルキルアミンオキシド(b)、20℃におけるハンセン溶解度パラメーターが15~19.5である有機溶剤(c)、及び水を含有する洗浄剤組成物が開示されている。
特開2004-115553号公報 特開2019-172844号公報
しかしながら、特許文献1に記載の洗浄液は、環境負荷が懸念されるカチオン性成分を含むインクの洗浄に主として用いられるものであり、環境負荷低減の観点から主流となっているアニオン性成分だけで構成されるインクに対する洗浄力は不十分であった。
また、特許文献2に記載の洗浄剤組成物は、大気に放出され、環境負荷への影響が懸念される有機溶媒を含むことから、洗浄力を維持しつつ、環境への負荷を抑制できる洗浄剤組成物が求められていた。
本発明は、硬質表面、特にポリマーが付着した硬質表面、より具体的にはインクジェット印刷装置等を構成する硬質表面に対して優れた洗浄力を有し、かつ、有機溶媒の大気への放出を抑制できる洗浄剤組成物、及び該洗浄剤組成物を用いる硬質表面の洗浄方法を提供することを課題とする。
本発明者は、環状アミド構造又は環状エステル構造を有する有機溶剤と、水溶性有機アミン及びアルキルアミンオキシドとを組み合わせることにより、上記の課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]及び[2]を提供する。
[1]水溶性有機アミン(a)、下記一般式(1)で表されるアルキルアミンオキシド(b)、環状アミド構造又は環状エステル構造を有する有機溶剤(c)、及び水を含有する洗浄剤組成物。
(R)(R)(R)N→O (1)
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは炭素数が8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
[2]前記[1]に記載の洗浄剤組成物を用いて、硬質表面を洗浄する、硬質表面の洗浄方法。
本発明によれば、ポリマーが付着した硬質表面等に対して、室温下においても優れた洗浄力を有し、かつ、有機溶媒の大気への放出を抑制できる洗浄剤組成物、及び該洗浄剤組成物を用いる硬質表面の洗浄方法を提供することができる。
[洗浄剤組成物]
本発明の洗浄剤組成物は、水溶性有機アミン(a)、下記一般式(1)で表されるアルキルアミンオキシド(b)、環状アミド構造又は環状エステル構造を有する有機溶剤(c)、及び水を含有する。
(R)(R)(R)N→O (1)
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは炭素数が8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
発明の洗浄剤組成物によれば、特に、被洗浄物としてポリマー等が付着した硬質表面を効果的に洗浄することができる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明の洗浄剤組成物を構成する水溶性有機アミン(a)とアルキルアミンオキシド(b)とは何らかの相互作用により、被洗浄物への親和性が、それぞれ単独で用いたとき以上に発現する。そこに環状アミド構造又は環状エステル構造を有する有機溶剤(c)が存在すると、該有機溶剤(c)が硬質表面から引き剥がされた被洗浄物に対して高い親和性を発揮し、ポリマー等の付着物が硬質表面に再付着するのを抑制できると考えられる。
<水溶性有機アミン(a)>
本発明の洗浄剤組成物は、硬質表面に付着したポリマー等に対する洗浄力を向上させる観点から、水溶性有機アミン(a)を含有する。
ここで、「水溶性」とは、水100gに対する25℃における溶解度が5g/100gHO以上、好ましくは10g/100gHO以上であることをいう。
水溶性有機アミン(a)の炭素数は、上記と同様の観点から、好ましくは2以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下である。
水溶性有機アミン(a)の25℃の水溶液における酸解離定数pKaは、上記と同様の観点から、好ましくは7以上、より好ましくは7.5以上、更に好ましくは8以上、より更に好ましくは8.5以上である。また、硬質表面へのダメージを抑制する観点から、酸解離定数pKaは、好ましくは10以下、より好ましくは9.8以下、更に好ましくは9.5以下である。
水溶性有機アミン(a)の具体例としては、アルカノールアミン、アルキルアミン、アラルキルアミン、ポリアミン、環式アミン等が挙げられる。これらの中では、硬質表面に対する洗浄力を向上させる観点から、アルカノールアミンが好ましい。
アルカノールアミンとしては、第1級アルカノールアミン、第2級アルカノールアミン、及び第3級アルカノールアミンが挙げられる。
第1級アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノイソプロノールアミン、モノブタノールアミン等が挙げられる。
第2級アルカノールアミンとしては、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-プロピルエタノールアミン、N-ブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン)、N-メチルプロパノールアミン、N-メチルイソプロパノールアミン、N-エチルイソプロパノールアミン、N-プロピルイソプロパノールアミン等が挙げられる。
第3級アルカノールアミンとしては、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。
これらの中では、好ましくは炭素数2以上8以下の水溶性アルカノールアミン、より好ましくは炭素数2以上6以下の第1級アルカノールアミン、第2級アルカノールアミン及び第3級アルカノールアミンから選ばれる1種以上である。その具体例としては、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-メチルイソプロパノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンから選ばれる1種以上が挙げられ、汎用性及び洗浄性の観点から、より好ましくはモノエタノールアミン(pKa:9.44)、ジエタノールアミン(pKa:8.88)、及びトリエタノールアミン(pKa:7.72)から選ばれる1種以上である。
なお、上記好適例として挙げたアルカノールアミンの水100gに対する25℃における溶解度は、50g/100gHO以上である。
前記各種の水溶性有機アミン(a)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
<アルキルアミンオキシド(b)>
本発明の洗浄剤組成物は、硬質表面に付着したポリマー等に対する洗浄力を向上させる観点から、特定のアルキルアミンオキシド(b)を含有する。特定のアルキルアミンオキシド(b)を含有することにより、洗浄剤組成物の硬質表面への付着性を高めるだけでなく、硬質表面全体への均一な濡れ広がり性を向上させることができる。
本発明に用いられるアルキルアミンオキシド(b)は、下記一般式(1)で表される。
(R)(R)(R)N→O (1)
一般式(1)において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基又はアルケニル基を示すが、洗浄剤組成物を複数回繰り返し使用した際の洗浄力を向上させる観点から、好ましくはメチル基又はエチル基、より好ましくはメチル基である。本発明においては、前記特定のアルキルアミンオキシド(b)を使用することで、特有の優れた洗浄力が発揮される。
また、Rは炭素数が8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を示すが、洗浄剤組成物を複数回繰り返し使用した際の洗浄力を向上させる観点から、好ましくは炭素数8以上18以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、より好ましくは炭素数10以上18以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、更に好ましくは炭素数12以上18以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、より更に好ましくは炭素数12以上18以下の直鎖のアルキル基である。
アルキルアミンオキシド(b)の具体例としては、ラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ココアルキルアミンオキシド等が挙げられるが、ラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、及びステアリルジメチルアミンオキシドから選ばれる1種以上がより好ましい。
前記アルキルアミンオキシド(b)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
<環状アミド構造又は環状エステル構造を有する有機溶剤(c)>
本発明の洗浄剤組成物は、環状アミド構造又は環状エステル構造を有する有機溶剤(c)を含有する。
環状アミド構造を有する有機溶剤(c)は、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。

(式中、Rは、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、nは1~8の整数を示す。)
一般式(2)において、被洗浄物への親和性を高める観点から、Rは、水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましく、水素原子、炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましく、メチル基がより更に好ましい。
また、nは、被洗浄物への親和性を高める観点、適切な蒸気圧を得る観点から、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
環状アミド構造を有する有機溶剤(c)の具体例としては、2-ピロリドン(標準沸点251℃;以下に示す( )内の温度は標準沸点である)、N-メチル-2-ピロリドン(204℃)、N-エチル-2-ピロリドン(218℃)、N-プロピル-2-ピロリドン(233℃)、N-オクチル-2-ピロリドン(15mmHgでの沸点172℃、1気圧下に換算すると309℃)、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン(295℃)、N-シクロへキシル-2-ピロリドン(284℃)、2-ピペリドン(256℃)、ε-カプロラクタム(267℃)等が挙げられる。これらの中でも2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドンが好ましく、N-メチル-2-ピロリドンがより好ましい。
前記有機溶剤(c)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
環状エステル構造を有する有機溶剤(c)は、下記一般式(3)で表されるラクトンであることが好ましい。

(式中、nは1~3の整数を示す。)
一般式(3)において、被洗浄物への親和性を高める観点、及び適切な蒸気圧を得る観点から、nは1又は2が好ましく、1がより好ましい。
環状エステル構造を有する有機溶剤(c)の具体例としては、γ-ブチロラクトン(204℃)、δ-バレロラクトン(220℃)、ε-カプロラクトン(35mmHgでの沸点は140℃、1気圧下に換算すると244℃)が挙げられる。これらの中では、γ-ブチロラクトンが好ましい。
(有機溶剤(c)の沸点)
有機溶剤(c)の沸点は、該有機溶剤(c)の大気への放出を抑制する観点から、好ましくは200℃以上であり、本発明の洗浄剤組成物を乾燥により除去する操作が組み入れる場合を想定すると、好ましくは260℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましく220℃以下、より更に好ましくは210℃以下である。
ここで、有機溶剤(c)の沸点は、標準沸点(1気圧下での沸点)を意味する。沸点が高く、1気圧下での沸点を測定するのが困難である場合は、減圧状態での沸点から1気圧下での沸点を換算で求めたものを用いる。
有機溶剤(c)を2種以上組み合わせて使用する場合、有機溶剤(c)の沸点は、各有機溶剤の含有量(質量%)で重み付けした加重平均値である。
<その他の添加剤>
本発明の洗浄剤組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、有機溶剤(c)以外の有機溶剤、非イオン界面活性剤、キレート剤、可溶化剤、消泡剤等の公知の各種添加剤を添加することができる。
(有機溶剤(c)以外の有機溶剤)
有機溶剤(c)以外の有機溶剤(c’)としては、洗浄剤に使用可能な全ての水溶性有機溶剤から適宜選択して用いることができる。洗浄剤に使用可能な全ての水溶性有機溶剤の具体例としては、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等の環状構造を有さないアミド化合物、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類及びアリールエーテル類、3-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3,3-ジメチル-1,2-ブタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、5-ヘキセン-1,2-ジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2、2、4-トリメチル-1、3-ペンタンジオールのような炭化水素基からなる置換基を有していてもよいアルカンジオール類が挙げられる。
これらの中では環状構造を有さないアミド化合物、炭化水素基からなる置換基を有していてもよいアルカンジオールが好ましく、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-メチル-1,3-ブタンジオールが好ましい。
有機溶剤(c)以外の有機溶剤(c’)の沸点については、有機溶剤(c)における好ましい範囲と同じである。
(非イオン界面活性剤)
非イオン界面活性剤としては、HLB値(デイビス(Davies)法による)が4以上8以下であるものが好ましく、5以上7以下であるものがより好ましく、5.5以上7.5以下のものが更に好ましい。
非イオン界面活性剤としては、例えば、日油株式会社製のディスパノール TOC、青木油脂工業株式会社製のBLAUNON EH-2、BLAUNON EH-4、BLAUNON EH-6、BLAUNON EH-11、花王株式会社製のエマルゲン109P、エマルゲン120、ソフタノールEP9050、ソフタノールEP12030、日本触媒化学工業株式会社製のソフタノール90、ソフタノール120、ソフタノール150、ソフタノール200等の市販品を使用することができる。
(キレート剤)
キレート剤の好適例としては、グルコン酸、グルコヘプトン酸、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、リンゴ酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸のアルカリ金属塩又は低級アミン塩等が挙げられるが、グルコン酸ナトリウム、グルコヘプトン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸ナトリウム等が好ましい。
<洗浄剤組成物中の各成分の含有量>
本発明の洗浄剤組成物中の各成分の含有量は、被洗浄物の種類や汚れの種類により適宜調整することができるが、硬質表面に付着したポリマー等に対する洗浄力を向上させる観点から、以下の範囲であることが好ましい。
水溶性有機アミン(a)の含有量は、洗浄剤組成物中、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは1質量%以上であり、そして、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下である。
アルキルアミンオキシド(b)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2質量%以下である。
有機溶剤(c)の含有量は、洗浄剤組成物中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは18質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、より更に好ましくは60質量%以下である。
イオン交換水、蒸留水等の水の含有量は、洗浄剤組成物中、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
有機溶剤(c)以外の有機溶剤(c’)を使用する場合、その含有量は、洗浄剤組成物中、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは1%以下であり、最も好ましくは0質量%である。
キレート剤、可溶化剤、消泡剤を使用する場合、洗浄剤組成物の安定性及び経済性の観点から、その含有量は、洗浄剤組成物中、好ましくは0.01質量%以上3質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上1質量%以下である。
洗浄剤組成物中のアルキルアミンオキシド(b)に対する水溶性有機アミン(a)の質量比〔(a)/(b)〕は、好ましくは0.1以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、より更に好ましくは3以上、より更に好ましくは4以上であり、そして、好ましくは50以下、より好ましくは35以下、更に好ましくは20以下、より更に好ましくは15以下、より更に好ましくは10以下である。
洗浄剤組成物中のアルキルアミンオキシド(b)に対する有機溶剤(c)の質量比〔(c)/(b)〕は、好ましくは5以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上、より更に好ましくは25以上であり、そして、好ましくは700以下、より好ましくは200以下、更に好ましくは100以下、より更に好ましくは90以下、より更に好ましくは70以下である。
本発明の洗浄剤組成物の粘度、静的表面張力、pHは、硬質表面に付着したポリマー等に対する洗浄力を向上させる観点から、以下のとおりである。
洗浄剤組成物の32℃における粘度は、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは1.5mPa・s以上、更に好ましくは2mPa・s以上であり、そして、好ましくは9mPa・s以下、より好ましくは7mPa・s以下、更に好ましくは6mPa・s以下である。
洗浄剤組成物の20℃における静的表面張力は、好ましくは18mN/m以上、より好ましくは20mN/m以上、更に好ましくは22mN/m以上、より更に好ましくは25mN/m以上であり、そして、好ましくは55mN/m以下、より好ましくは50mN/m以下、更に好ましくは45mN/m以下、より更に好ましくは40mN/m以下、より更に好ましくは35mN/m以下である。
洗浄剤組成物の20℃におけるpHは、好ましくは9以上、より好ましくは9.5以上、更に好ましくは10以上、より更に好ましくは11以上であり、そして、好ましくは14以下、より好ましくは13以下、更に好ましくは12.5以下である。
洗浄剤組成物の粘度、静的表面張力、pHは、実施例に記載の方法により測定される。
[硬質表面の洗浄方法]
本発明の硬質表面の洗浄方法は、本発明の洗浄剤組成物を用いて、硬質表面を洗浄する方法である。
ここで、硬質表面とは、金属、ガラス、陶磁器、プラスチックス等の硬質の表面をいう。これらの中でも、特に耐アルカリ性が高く、温度変形し難い金属を対象とすることが好ましく、ポリマー等が接触する金属部材の表面であることがより好ましい。かかる金属としては、鉄、ステンレスが好ましく、ステンレスがより好ましい。
硬質表面は、その性能を制御するために表面処理されていてもよい。表面処理の具体例としては、硬質表面に水をはじく性質を付与するための撥水処理、硬質表面を水となじみやすくするための親水処理、硬質表面の耐久性を高めるための耐久処理等が挙げられるが、これらの中でも撥水処理された硬質表面が洗浄対象として好ましい。
硬質表面が撥水処理されていると、本発明の洗浄剤組成物で洗浄した場合、硬質表面に付着したポリマー等の付着物を膜として剥がし取り易くなり、より高い洗浄効果を得ることができる。また、この洗浄により撥水処理面の撥水性を回復させることができる。
本発明の洗浄方法においては、より優れた洗浄力を発揮させる観点から、ポリマー等が付着した硬質表面を、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは20℃以上、より更に好ましくは30℃以上で洗浄し、そして、エネルギーを削減する観点から、好ましくは100℃未満、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下、より更に好ましくは60℃以下、より更に好ましくは50℃以下で洗浄する。
本発明の洗浄方法における洗浄操作に特に制限はなく、例えば、浸漬洗浄、撹拌洗浄、噴霧洗浄、ブラシ洗浄、吸液性の基材にしみこませて硬質表面を清拭洗浄する等の通常の洗浄操作がいずれも適用できる。撹拌、噴霧、ブラシ等で意図的に発泡させながら洗浄すれば、より高い洗浄効果を得ることができる。
発泡させながら洗浄する方法としては、硬質表面に本発明の洗浄剤組成物を噴霧して洗浄する方法が好ましい。この場合、噴霧した洗浄液を回収し、循環ラインにより繰り返し使用することができる。
また、本発明の洗浄剤組成物を吸液性の基材にしみこませて硬質表面を清拭洗浄する方法は、強固にこびりついた付着物を除去する方法として好ましい。
<被洗浄物>
本発明の洗浄剤組成物及び洗浄方法は、インクジェット印刷装置等の洗浄に好適に適用できる。具体的には、インクジェット記録装置のインク吐出口、インク吐出口近傍の部分、インクタンクやインクカートリッジからインク吐出口へのインク供給路等の洗浄に用いることができる。より具体的には、各色インクのプリントヘッドに備えられた多数の吐出ノズル孔を有するノズルプレートの洗浄液(噴霧液、拭き取り液)及び洗浄方法として好適に用いることができる。
本発明の洗浄剤組成物及び洗浄方法は、ポリマーで顔料を分散した水系顔料インク等の被洗浄物の洗浄に特に有効であり、前記ポリマーが水不溶性ポリマーであっても良好に洗浄できる。被洗浄物であるポリマーとしては、ポリエステル、ポリスチレン及びポリ塩化ビニル等とビニルポリマー、ウレタンポリマー等が挙げられるが、ポリエステル、ビニルポリマーが好ましい。
ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合することにより得ることができる。前記アルコール成分としては、芳香族又は脂肪族のポリオールが挙げられるが、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物等の芳香族ジオールを含むものが好ましい。前記カルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸等が挙げられるが、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸を含むものが好ましい。
ビニルポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸等のイオン性モノマーと、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等の疎水性モノマー、及びポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等の親水性ノニオン性モノマーから選ばれる1種以上とを含むモノマー混合物を公知の方法により付加重合して得ることができる。
これらの中でも、カルボキシル基等のアニオン性基を有するポリマーで顔料を分散したものが好ましい。
本発明の洗浄剤組成物及び洗浄方法は、水系顔料インクにおいて、顔料を分散させているポリマー以外に、更に定着ポリマー、イソシアネート基含有ポリマー、カルボジイミド基含有ポリマー、オキサゾリン基含有ポリマー等を含む水系顔料インクや、更にプロピレングリコール等の有機溶剤やシリコーン系界面活性剤等の非イオン界面活性剤等を含む水系顔料インクの他、顔料を含まず前記各種ポリマーを含む水性組成物等の洗浄にも好適に使用することができる。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「質量部」及び「質量%」である。なお、洗浄剤組成物の物性等の測定は、以下の方法により行った。
<洗浄剤組成物の物性測定>
(1)洗浄剤組成物の粘度
E型粘度計「TV-25」(東機産業株式会社製、標準コーンロータ1°34’×R24使用、回転数50rpm)を用い、サンプル量1mlをマクロピペットで秤量して粘度計にセットし、32℃における粘度を測定した。
(2)洗浄剤組成物の静的表面張力
20℃に調整したサンプル5gの入った円柱ポリエチレン製容器(直径3.6cm×深さ1.2cm)に白金プレートを浸漬し、表面張力計(協和界面化学株式会社製、「CBVP-Z」)を用いて、ウィルヘルミ法で20℃における静的表面張力を測定した。
(3)洗浄剤組成物のpH
JIS Z8802に準拠し、株式会社堀場製作所製、商品名:F-23を用いて、20℃における洗浄剤組成物のpHを測定した。
<ポリエステル樹脂の物性測定>
(1)ポリエステル樹脂の酸価
JIS K 0070:1992に記載の中和滴定法に従って測定した。ただし、測定溶媒のみ、エタノールとエーテルとの混合溶媒から、アセトンとトルエンとの混合溶媒〔アセトン:トルエン=1:1(容量比)〕に変更した。
(2)ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)
(i)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、ポリエステル樹脂をクロロホルムに溶解させて得られた溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業株式会社製、商品名:FP-200)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とした。
(ii)重量平均分子量の測定
ゲル浸透クロマトグラフィー法により、以下の条件で測定した。
・測定装置:東ソー株式会社製、「CO-8010」
・分析カラム:東ソー株式会社製、「GMHXL」+「G3000HXL」
・溶解液としてテトラヒドロフランを1mL/minの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行った。
・試料の重量平均分子量は、数種類の単分散ポリスチレン〔東ソー株式会社製及びジーエルサイエンス株式会社製〕を標準試料として、予め作成した検量線に基づき算出した。
<その他>
(1)顔料水分散体の固形分濃度
30mlのポリプロピレン製容器(内径40mm、高さ30mm)にデシケーター中で恒量化した硫酸ナトリウム10.0gを量り取り、そこへ試料1.0gを添加して、混合させて混合した後、該混合物を秤量し、105℃で2時間維持して、揮発分を除去し、更にデシケーター内で15分間放置し、揮発分除去後の該混合物の質量を測定した。揮発分除去後の混合物の質量から硫酸ナトリウムの質量を引いたものを揮発分除去後の試料の固形分として、揮発分除去前の試料の質量で除して固形分濃度(%)とした。
(2)顔料含有ポリマー粒子及び顔料を含有しないポリマー粒子の平均粒径
レーザー粒子解析システム「ELS-8000」(大塚電子株式会社製)を用いてキュムラント解析を行い測定した。測定する粒子の濃度が約5×10-3重量%になるよう水で希釈した分散液を用いた。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力し、得られたキュムラント平均粒径を顔料含有ポリマー粒子、ポリマー粒子の平均粒径とした。
実施例1~22、及び比較例1~7(洗浄剤組成物の調製)
磁気回転子(株式会社マルエム製、PTFE樹脂製、25mm×φ8mm)を内部に有する250mlの耐熱ガラス瓶(フィッシャーサイエンティフィック社製)に、表1に示す割合で水溶性有機アミン(a)、アルキルアミンオキシド(b)、有機溶剤(c)(c’)、及びイオン交換水を全量で200gになるように配合して密栓し、マグネチックスターラーを用いて50rpmで1時間攪拌し、洗浄剤組成物を得た。
上記で得られた洗浄剤組成物を用いて、以下の方法で「大気への放出性」及び「洗浄力」を評価した。結果を表1及び2に示す。
なお、表1中、N-ヒドロキシエチル-2PはN-ヒドロキシエチル-2-ピロリドンであり、N-シクロヘキシル-2PはN-シクロヘキシル-2-ピロリドンであり、3-メチル-1,3-BDは3-メチル-1,3-ブタンジオールである。
<大気への放出性評価>
上記で得られた洗浄剤組成物を、栓を開封した直後に、栓開口部から1cm上部に携帯型ガス検知機(理研計器株式会社製の拡散式ポケッタブルマルチガスモニターGX-2009に、浮子式ガス採集器とポンプユニットRP-2009を装備したもの)のガス採集器部を保持し、警報音の有無で大気への放出性を評価した。
(評価基準)
〇:警報音なし。
×:警報音あり。
「警報音なし」は、有機溶媒の大気中における濃度がその有機溶媒の燃焼下限界濃度の1/10以下であることを示し、大気への有機溶媒の拡散が少ないことを示す。
「警報音あり」は、有機溶媒の大気中における濃度がその有機溶媒の燃焼下限界濃度の同1/10以上であることを示し、有機溶媒の大気への放出が多いことを意味する。
<洗浄力評価>
上記で得られた洗浄剤組成物の入った耐熱ガラス瓶に綿棒(ジョンソンエンドジョンソン社製)を3秒間浸漬して洗浄剤組成物を含浸させた。得られた綿棒を用いて、室温(25℃)で、後述する調製例B1~B6、調製例D1~D6により調製した「模擬汚れ」を付着させたテストピースを、力を加えないようにこすって、洗浄力(汚れ落ち)を目視で確認し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
5:10往復未満で洗浄部の金属光沢が確認できる。
4:10往復以上20往復未満で洗浄部の金属光沢が確認できる。
3:20往復以上30往復未満で洗浄部の金属光沢が確認できる。
2:30往復で洗浄部の金属光沢が一部確認できる。
1:30往復しても洗浄できず、金属光沢が確認できない。
表1及び2中、用いた成分の詳細は以下のとおりである。
(アルキルアミンオキシド)
・ラウリルジメチルアミンオキシド:花王株式会社製、商品名:アンヒトール20N
・ミリスチルジメチルアミンオキシド:花王株式会社製、商品名:OXIDET DM-4
・ステアリルジメチルアミンオキシド:日油株式会社製、商品名:ユニセーフA-SMを用いた。
(非イオン界面活性剤)
・日油株式会社製、商品名:ディスパノール TOC
表1及び2中の配合組成の数値は、固形分の質量を意味する。ただし、比較例6の1N水酸化ナトリウム水溶液は水溶液の質量を示す。
また、有機溶剤(c)の沸点は、1気圧下での沸点である。
表1及び2から、実施例1~22で得られた洗浄剤組成物は、比較例1~7で得られた洗浄剤組成物に比べて、水溶性有機アミン(a)、アルキルアミンオキシド(b)、有機溶剤(c)を含有するため、模擬汚れとして利用した水系インク、水性組成物に対して良好な洗浄力を有することが分かる。
なお、洗浄力評価に用いた「模擬汚れ」を付着させたテストピースは、以下のように調製した。
表面を研磨したSUS304製の板材(50mm×25mm×3mm)を水平に置き、20cm上方から、予め調製した水系インク又は水性組成物を入れたスプレーバイアル(容量8mL、株式会社マルエム製)にて板材に1±0.2gを噴霧し、60℃に設定した自然対流式定温乾燥機(ヤマト科学株式会社製)の最上段に5時間静置して模擬汚れを板材に付着させた。
模擬汚れとして利用した水系インクは、以下の調製例B1~B6により調製し、模擬汚れとして利用した水性組成物は、以下の調製例D1~D6により調製した。
製造例1(ポリエステル樹脂P-1の製造)
アルコール成分としてポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、カルボン酸成分としてフマル酸、エステル化触媒としてジ(2-エチルヘキサン酸)スズ(II)、エステル化助触媒として3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸を用いて、210℃で10時間反応させて、酸価22.4mgKOH/g、重量平均分子量13700のポリエステル樹脂P-1(〔カルボン酸成分/アルコール成分〕のモル比:1.04)を得た。
製造例2(ポリエステル樹脂P-2の製造)
製造例1において、カルボン酸成分としてテレフタル酸、フマル酸、トリメリット酸無水物を用いて、エステル化助触媒は用いずに、製造例1と同様にして、酸価31.0mgKOH/g、重量平均分子量20700のポリエステル樹脂P-2(〔カルボン酸成分/アルコール成分〕のモル比:1.02)を得た。
調製例A1(顔料含有ポリエステル樹脂粒子の水分散体の調製)
(1)工程1(顔料分散工程)
内容積2Lの容器内で、メチルエチルケトン(MEK)198.6gにポリエステル樹脂P-1を66.7g溶かし、その中にポリエステル樹脂P-1の酸価の85モル%が中和されるように5N水酸化ナトリウム水溶液を加えた。さらにイオン交換水390.5gを30分かけて滴下し、10℃以上15℃以下でディスパー翼を用いて1,500r/minで15分間撹拌混合を行った。
続いて、カーボンブラック(キャボット社製、モナーク717)100gを加え、10℃以上15℃以下でディスパー翼を用いて、6,500r/minで2時間撹拌混合し、予備分散体を得た。
得られた予備分散体を200メッシュ濾過し、イオン交換水を36.1g添加して希釈した後に、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、高圧ホモジナイザー「M-110EH-30XP」)を用いて、150MPaの圧力で15パス分散処理し、顔料含有ポリエステル樹脂粒子の水分散液を得た。
(2)工程2(濃縮工程)
工程1で得られた顔料水分散液全量を2Lナスフラスコに入れ、固形分濃度15%になるようにイオン交換水を添加し、回転式蒸留装置(東京理化器械株式会社製、「ロータリーエバポレーター N-1000S」)を用いて、回転数50r/minで、32℃に調整した温浴中、0.09MPa(abs)の圧力で3時間保持して、有機溶媒を除去した。更に、温浴を62℃に調整し、圧力を0.07MPa(abs)に下げて固形分濃度25%になるまで濃縮して濃縮物を得た。
得られた濃縮物を500mLアングルローターに投入し、高速冷却遠心機(日立工機株式会社製、「himac CR22G」、設定温度20℃)を用いて3,660r/minで20分間遠心分離した後、液層部分を孔径5μmのメンブランフィルター(Sartorius社製、「Minisart」)で濾過し、固形分濃度が22%になるよう水で希釈し、顔料含有ポリエステル樹脂粒子の水分散体1を得た。
得られた顔料含有ポリエステル樹脂粒子の平均粒径は97nmであった。
調製例A2~A6(顔料含有ポリエステル樹脂粒子の水分散体2~6の調製)
調製例A1において、ポリエステル樹脂と顔料を変えた以外は、調製例A1と同様にして、顔料含有ポリエステル樹脂粒子の水分散体2~6を得た。結果を表3に示す。
調製例B1~B6(模擬汚れ:水系インク1~6の調製)
調製例A1~A6で得られた水分散体1~6、有機溶剤としてプロピレングリコール(PG)とジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)、界面活性剤としてアルキレングリコール変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名:KF6011)、及びイオン交換水を、表4に示すように配合(全量で100%)し、模擬汚れとしての水系インク1~6を得た。なお、顔料水分散体の配合量は固形分量である。
調製例C1(顔料を含有しないポリエステル樹脂P-2エマルションの製造)
ポリエステル樹脂P-2 1700gとMEK 1700gとを入れ、60℃でMEKに溶解させた後、25℃まで冷却した。
次いで、中和剤として5%水酸化ナトリウム水溶液408gを添加して、25℃撹拌下で脱イオン水5100gを加え、顔料を含有しないポリエステル樹脂粒子の分散液を得た。
得られた分散液を減圧下で、MEKと水を留去した。
室温まで冷却後、固形分濃度が30%になるようにイオン交換水を加えて、200メッシュの金網で濾過し、顔料を含有しないポリエステル樹脂P-2エマルションを得た。
得られたポリエステル樹脂粒子の平均粒径は87nmであった。
調製例D1(模擬汚れ:水性組成物1の調製)
カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル株式会社製、カルボジライトV-04、外観:水溶液、カルボジイミド基当量335、有効分40%)を固形分量で1%、調製例C1で得られたポリエステル樹脂P-2エマルションを固形分量で5%、有機溶剤(プロピレングリコール)30%、界面活性剤(KF6011)0.5%、及びイオン交換水を配合(全量で100%)し、模擬汚れとしての水性組成物1を得た。
調製例D2~D6(模擬汚れ:水性組成物2~6の調製)
以下の表5に示す配合処方で各成分を混合し、得られた混合液を孔径1.2μmのメンブランフィルター「Minisart」(Sartorius社製)で濾過し、模擬汚れとしての水性組成物2~6を得た。
表5中の各成分の詳細は以下のとおりである。
・Aqua BI200:ブロックイソシアネート(イソシアネートタイプ:HDI三量体、ブロック剤:3,5-ジメチルピラゾール、イソシアネート基当量933、有効分40%、溶剤:水/NMP、Baxenden社製、商品名:Trixene blocked isocyanates Aqua BI200)
・AquaBI220:ブロックイソシアネート(イソシアネートタイプ:HDI三量体、ブロック剤:3,5-ジメチルピラゾール、イソシアネート基当量1000、有効分40%、溶剤:水/コアゾール(Coasol)、Baxenden社製、商品名:Trixene blocked isocyanates Aqua BI220)
・カルボジライトV-04:ポリカルボジイミド化合物(外観:水溶液、カルボジイミド基当量335、有効分40%、日清紡ケミカル株式会社製、商品名)
・カルボジライトE-02:ポリカルボジイミド化合物(外観:エマルション、カルボジイミド基当量445、有効分40%、日清紡ケミカル株式会社製、商品名)
・エポクロスWS-700:オキサゾリン基含有ポリマー(オキサゾリン基当量220、有効分25%、株式会社日本触媒製、商品名)
・スーパーフレックス870:芳香族イソシアネート-エステル系ポリウレタン樹脂(有効分30%、第一工業製薬株式会社製、商品名)
本発明の洗浄剤組成物及び洗浄方法は、ポリマーが付着した硬質表面等に対して、室温下においても優れた洗浄効果を発揮し、かつ有機溶媒の大気への放出を抑制できる。このため、例えば、インクジェット印刷装置のノズルプレート設けられた吐出ノズル孔の洗浄液(噴霧液、拭き取り液)及び洗浄方法等として有用である。

Claims (10)

  1. 水溶性有機アミン(a)、下記一般式(1)で表されるアルキルアミンオキシド(b)、環状アミド構造又は環状エステル構造を有する有機溶剤(c)、及び水を含有し、
    前記有機溶剤(c)の含有量が30質量%超80質量%以下である、水系顔料インク用洗浄剤組成物。
    (R)(R)(R)N→O (1)
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは炭素数が8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
  2. 水溶性有機アミン(a)、下記一般式(1)で表されるアルキルアミンオキシド(b)、環状アミド構造又は環状エステル構造を有する有機溶剤(c)、及び水を含有し、
    前記有機溶剤(c)の含有量が30質量%超80質量%以下である、ポリマーを含む水性組成物汚れ用洗浄剤組成物。
    (R )(R )(R )N→O (1)
    (式中、R 及びR は、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、R は炭素数が8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
  3. 水溶性有機アミン(a)がアルカノールアミンである、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
  4. 環状アミド構造を有する有機溶剤(c)が下記一般式(2)で表される化合物である、請求項1~3のいずれかに記載の洗浄剤組成物。

    (式中、Rは、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、nは1~8の整数を示す。)
  5. 環状エステル構造を有する有機溶剤(c)が下記一般式(3)で表されるラクトンである、請求項1~3のいずれかに記載の洗浄剤組成物。

    (式中、nは1~3の整数を示す。)
  6. アルキルアミンオキシド(b)に対する水溶性有機アミン(a)の質量比〔(a)/(b)〕が、0.1以上50以下である、請求項1~5のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
  7. アルキルアミンオキシド(b)に対する有機溶剤(c)の質量比〔(c)/(b)〕が、5以上700以下である、請求項1~6のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載の洗浄剤組成物を用いて、水系顔料インク又はポリマーを含む水性組成物の汚れが付着した硬質表面を洗浄する、硬質表面の洗浄方法。
  9. 洗浄剤組成物を硬質表面に噴霧して洗浄する、請求項8に記載の洗浄方法。
  10. 洗浄剤組成物を吸液性の基材にしみこませて硬質表面を清拭洗浄する、請求項8に記載の洗浄方法。
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