以下、本発明の一実施形態に係る建具構造について図面を参照して説明する。
本実施形態においては、図1~図4に示すような、屋内外を仕切るガラスユニット2を備えた第一建具としてのFIX窓用の建具1と、図10~図12に示すような、屋内外を仕切るガラスユニット2を備えた第二建具としてのすべり出し窓用の建具1aと、を例に挙げて説明する。まずFIX窓用の建具1について説明する。
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の建具1を屋外側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、屋内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。建具1の各部位であっても、また、建具1を構成する各部材については単体の状態であっても、建具1が取り付けられた状態で上下方向、左右方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。
本実施形態のFIX窓用の建具1は、図2、図3に示すように、耐熱強化ガラスを含む3枚のガラス板20、21、22を備えた、所謂トリプルガラスでなるガラスユニット2と、ガラスユニット2の周端部を収容する枠ガラス収容部3aを備えたFIX枠3と、を有している。
ガラスユニット2は、3枚のガラス板20、21、22が、周縁部に設けられたスペーサー2aにより互いに間隔を空けて対面させて配置され一体をなしている。3枚のガラス板20、21、22は、2枚のLow-Eガラス20、22と、1枚の耐熱強化ガラス21により構成されており、2枚のLow-Eガラス20、22の間に耐熱強化ガラス21が設けられている。
FIX枠3は、合成樹脂製の押し出し成形材でなりガラスユニット2の上に位置する上の枠材30、ガラスユニット2の下に位置する下の枠材30、及び、ガラスユニット2の左右に位置する左右の縦の枠材30をなす4本の枠材30が矩形状に接合された枠体としての枠本体31と、各枠材30に嵌合される押縁32と、を有している。
4本の枠材30は、長尺の成形材を所定の長さに切断して形成されているため同一の断面形状をなしている。各枠材30の端部は長手方向に対して45度の角度をなすように切断され、互いに隣り合う枠材30の端部同士を突き合わせた状態で溶着し矩形状の枠本体31が形成されている。各枠材30の断面形状は同一なので、ここでは、図面にて右側の縦の枠材(以下、右の枠材という)30を示して構造を説明する。以下の説明では、各枠材30に共通する説明となるように、右の枠材30の左側を、枠本体31の内周側(以下、内周側という)とし、右の枠材30の右側を枠本体31の外周側(以下、外周側という)として説明する。
右の枠材30は、図4に示すように、ガラスユニット2が右の枠材30に設けられたセッティングブロック4の内周側に配置され当該ガラスユニット2の端面2bと対向する枠見込み面部30aと、枠見込み面部30aの屋内側にて内周側に突出する枠内周突出部30bと、枠見込み面部30aの屋外側に設けられ押縁32が嵌合される枠押縁嵌合部30cと、枠見込み面部30aの外周側に間隔を空けて対向する枠外周対向面部30dと、枠外周対向面部30dから外周側に延出されて躯体6に固定される躯体固定部30eと、を有している。
枠見込み面部30aの屋内側の縁から内周側に突出する枠内周突出部30bは、突出している先端側に、屋外側に向かって突出させて設けられるビード7が嵌合される枠ビード嵌合部30fを有しており、枠内周突出部30bにおける枠ビード嵌合部30fよりも枠見込み面部30a側には、枠ビード嵌合部30fの屋外側の縁と、見込み方向においてほぼ同じ位置に枠見付け面30gが形成されている。
右の枠材30の枠見込み面部30aと枠外周対向面部30dとの間には、長手方向に貫通する枠中空部30hが設けられている。枠中空部30hは、枠見込み面部30aの見込み方向における両端部から外周側に延出されて枠外周対向面部30dと繋がる2つの枠連結壁部30iによって仕切られてほぼ矩形状をなしている。2つの枠連結壁部30iは、見込み方向において互いに対向している。ここで、枠見込み面部30aが、枠ガラス収容部3aと枠中空部30hとを仕切る仕切り部に相当する。
枠中空部30h内には、長手方向に沿い全長にわたってアルミニウム合金製の押し出し成形材でなる枠補強部材8が設けられている。枠補強部材8については後述する。
枠押縁嵌合部30cは、枠見込み面部30aよりも屋外側に設けられ、枠見込み面部30aよりも外周側に窪んで押縁32の嵌合片32aが嵌合される。枠押縁嵌合部30cは、屋外側の枠連結壁部30iの屋外側にて枠見込み面部30aよりも外周側に位置する枠底部30jを有する2つの枠凹部30k、30lのうちの屋外側の枠凹部30kである。屋内側の枠凹部30lの屋内側の縁30mは、枠見込み面部30aの屋外側の縁と繋がり、外周面が円弧状をなしている。
押縁32は、嵌合片32aが枠押縁嵌合部30cに嵌合された状態で、枠内周突出部30bと見込み方向に対向し、枠本体31とともにガラスユニット2の周縁部が収容される枠ガラス収容部3aを形成する。すなわち、枠ガラス収容部3aは、枠本体31に嵌合された押縁32と、屋内側の枠凹部30lと、枠見込み面部30aと、枠内周突出部30bとにより囲まれた空間である。
枠ガラス収容部3aに周縁部が収容されたガラスユニット2は、枠ガラス収容部3aに設けられるセッティングブロック4により面内方向の位置が規制されてガラス保持金具9に保持され、枠内周突出部30bのビード7と、押縁32の先端に設けられたビード32bとにより挟持される。このとき、ガラスユニット2の屋内側の面2cは、枠内周突出部30bのビード7に押圧され、枠内周突出部30bの枠見付け面30gと見込み方向に間隔を空けて配置されている。また、ガラスユニット2の屋外側の面2dは、枠見込み面部30aと屋内側の枠凹部30lとの境界付近に位置している。ガラス保持金具9については後述する。
躯体固定部30eは、枠外周対向面部30dにおいて枠中空部30hとは反対側となる外周面側から外周方向に延出されており、枠中空部30hを仕切る屋外側の枠連結壁部30iより僅かに屋内側に設けられている。このため、枠ガラス収容部3aに周縁部が収容されたガラスユニット2は、最も屋外側に位置するガラス板(以下、最外ガラス板という)20が、躯体固定部30eを上方に延長した位置に配置されており、最外ガラス板20よりも屋内側の部位が躯体6上に位置している。
右の枠材30の躯体固定部30eは、補強金具5と共に屋外側から進入するビス33により躯体6に固定される。
枠中空部30hに設けられている枠補強部材8は、枠見込み面部30aと対向し見込み方向のほぼ全域に設けられる対向板部としての見込み面補強部8aと、見込み面補強部8aから外周方向に延出された2つの延出補強部8bと、を有している。見込み面補強部8aは、枠見込み面部30aの反対側に設けられる後述する固定金具90を固定するビス34を螺合可能な厚みを有している。
見込み面補強部8aの枠見込み面部30a側の面には、長手方向に沿って外周側に窪む凹部8cが、見込み方向に互いに間隔を空けて2箇所、図示するように屋内側の端部近傍と、見込み方向における中央より屋外側寄りの部位との2箇所に設けられており、凹部8c内には、加熱発泡材10が設けられている。すなわち、見込み面補強部8aは、ほぼ全体がビスを螺合可能な厚みを有しており、加熱発泡材10が設けられる部位に凹部8cが設けられている。
2箇所の凹部8c内に設けられている加熱発泡材10のうちの屋外側の加熱発泡材10は、ガラスユニット2と面内方向において並ぶ位置に位置している。より具体的には、屋外側の加熱発泡材10は、ガラスユニット2の真ん中に位置する耐熱強化ガラス21よりも屋外側に設けられている。すなわち、屋外側の加熱発泡材10よりも屋内側に2枚のガラス板21、22が配置されている。屋内側の加熱発泡材10は、見込み方向において枠本体31とガラスユニット2との間に位置している。
2つの延出補強部8bは、見込み方向に互いに間隔を空けて設けられており、それぞれ見込み面補強部8aに設けられた加熱発泡材10の屋外側の端部近傍に配置されている。屋外側の延出補強部8bの先端には、見込み方向における両方向に延出された躯体連結部としての補強部材延出片8dが設けられており、屋内側の延出補強部8bの先端には、屋内側に延出された補強部材延出片8dが設けられている。屋外側の延出補強部8bの先端にて屋内側に延出された補強部材延出片8dは、枠材30の躯体固定部30eとともに躯体6の見付け面6aに固定される補強金具5と枠補強部材8とを繋ぐビス35が螺合可能な厚みを有している。
補強金具5は、図2、図3、図5に示すように、上及び縦の枠材30の躯体固定部30eの外周側の面に沿わされる第一板部5aと、第一板部5aと繋がり上及び縦の枠材30の枠外周対向面部30dの屋内側の面に沿わされる第二板部5bとを有してL字状に形成されている。第二板部5bが枠外周対向面部30dを貫通して補強部材延出片8dにビス止めされ、第一板部5aが躯体固定部30eと共に躯体6の見付け面6aと対面して当接し当該躯体6に固定される。このため、上及び縦の枠材30に設けられるガラス保持金具9は、枠補強部材8、補強金具5を介して躯体6と繋がって取り付けられている。ここで、屋外側の延出補強部8bの先端にて屋内側に延出された補強部材延出片8dが、延出補強部に設けられ躯体と繋がる躯体連結部に相当する。
ガラス保持金具9及びセッティングブロック4は、図6に示すように、各枠材30の枠ガラス収容部3aに、枠材30の長手方向に1つ、または互いに間隔を空けて並べて複数設けられている。セッティングブロック4は、図7に示すように、ガラスユニット2の面内方向の位置を規制する合成樹脂製の部材である。セッティングブロック4は、枠見込み面部30aに当接される見込み面当接部4aと、見込み面当接部4aと、平行な平面をなし、ガラスユニット2の端面2bと対面するガラス対面部4bと、を有している。
ガラス対面部4bは、枠見込み面部30aの見込み方向の幅とほぼ同じ幅を有しており、見込み面当接部4aは、枠見込み面部30aの見込み方向において屋外側のほぼ半分と対面するように設けられている。セッティングブロック4の枠見込み面部30a側における屋内側の部位は、見込み面当接部4aが枠見込み面部30aに当接したときに、枠見込み面部30aとの間に空隙S1が形成される。セッティングブロック4と枠見込み面部30aとの間の空隙S1には、加熱発泡材10が設けられている。
ガラス保持金具9は、図8に示すように、屋内側に配置され枠本体31に固定される固定金具90と、室外側に配置され固定金具90に係止される係止金具91とを有している。固定金具90及び係止金具91はいずれも、例えばステンレスなどの金属製の板材により形成されており、板材のたわみにより弾性変形可能である。
固定金具90は、左右方向に間隔を空けて配置され枠本体31の枠見込み面部30aに固定される2つの枠固定部90aと、2つの枠固定部90aの間を繋ぎ枠見込み面部30aと内外周方向に間隔を空けて対面する枠対向部90bと、枠対向部90bの屋内側の縁から内周側に延出された屋内内周延出部90cと、を有している。枠固定部90aは各々ビス34により枠見込み面部30aを貫通し枠中空部30hに設けられている枠補強部材8に固定される。
枠対向部90bは、枠見込み面部30aとの間に、係止金具91の挿入部91aが挿入可能に、挿入部91aの厚みよりも僅かに広く間隔が空けられており、係止金具91の係止片91bを係止する係止孔90dが、見込み方向において屋内側に偏った位置に設けられている。
屋内内周延出部90cは、ガラスユニット2における周縁部の屋内側面と対向する部位であり、左右方向における両端部から延出された屋内延出片90eが設けられている。屋内延出片90eは、屋内内周延出部90cから左右方向に離れるに連れて屋内側に位置する傾斜を有している。この傾斜は、屋内内周延出部90cに沿う仮想線Lに対して鋭角をなしている。
固定金具90は、屋内延出片90eの先端が、枠内周突出部30bの枠見付け面30gに当接する状態で枠固定部90aが枠見込み面部30aに固定される。このとき、ガラスユニット2の屋内側の面2cが屋内内周延出部90cに当接すると、枠内周突出部30bのビード7がガラスユニット2との間で押圧されて枠本体31とガラスユニット2との間が止水される。
係止金具91は、固定金具90の枠対向部90bと、枠見込み面部30aとの間に挿入される挿入部91aと、挿入部91aの屋外側の縁から内周側に延出された屋外内周延出部91cと、を有している。挿入部91aには、先端側に固定金具90の係止孔90dに係止される係止片91bが設けられている。係止片91bは、挿入部91aの一部が曲げ起こされており、屋内側から屋外側に向かって高くなる傾斜を有している。
屋外内周延出部91cは、ガラスユニット2における周縁部の屋外側の面2dと対向する部位であり、屋内側には合成樹脂でなる緩衝材11が設けられている。
FIX枠3にガラスユニット2を取り付ける方法は、まず、各枠材30にセッティングブロック4及び固定金具90を取り付ける。セッティングブロック4は、下の枠材30には、載置するだけでも構わない。取り付けられた固定金具90は、屋内延出片90eの先端が、枠材30の枠見付け面30gに当接している。この状態で、固定金具90の屋内内周延出部90cの屋外側の面が、ガラスユニット2の屋内側の面2cが配置されるべき位置に配置されている。
次に、枠本体31にセッティングブロック4及び固定金具90が取り付けられた状態で、ガラスユニット2を、下の枠材30に設けられているセッティングブロック4上に載置するとともに各枠材30に設けられているセッティングブロック4の内周側に配置し、屋内側の面2cを固定金具90の屋内内周延出部90cと対向させる。
次に、係止金具91の挿入部91aを固定金具90の枠対向部90bと枠見込み面部30aとの間に挿入する。このとき、屋内側の枠凹部30lの屋内側の縁30mと枠見込み面部30aの屋外側の縁とが繋がる部位の外周面が円弧状をなしているので、挿入部91aの先端が枠対向部90bと枠見込み面部30aとの間に案内される。挿入部91aが挿入されて係止片91bが枠対向部90bと接触し、さらに係止金具91を屋内側に押圧することにより係止片91bが外周側に押されて弾性変形しつつ挿入部91aが枠対向部90bと枠見込み面部30aとの間に進入していく。
その後、係止片91bが係止孔90dの外周側に至ると、押し曲げられていた係止片91bが弾性により復帰して係止孔90dに係止される。このとき図9に示すように、係止金具91が固定金具90に係止された状態で、固定金具90の屋内内周延出部90cがガラスユニット2の屋内側の面2cと対面し、係止金具91に設けられた緩衝材11がガラスユニット2の屋外側の面2dに当接して、ガラスユニット2が保持される。このとき、ガラス収容部3aにおいて見込方向における耐熱強化ガラス21と屋内側のLow-Eガラス22との間の位置にて、係止金具91の係止片91bが固定金具90の係止孔90dに係止されている。
次に、すべり出し窓用の建具1aについて説明する。
すべり出し窓用の建具1aは、図10~図11に示すように、躯体6に固定される窓枠をなす枠本体31と、枠本体31に開閉自在に取り付けられる障子15と、を備えている。障子15は、枠本体31により形成される開口31aを閉じることが可能であり、枠本体31は、開口31aを閉じた状態で障子15が配置される障子配置空間S2を形成している。
障子15は、耐熱強化ガラスを含む3枚のガラス板20、21、22を備えたガラスユニット2と、ガラスユニット2の周縁部を収容する框ガラス収容部13aを備え、開閉機構16を介して枠本体31に支持される框体14と、を有している。以下、FIX窓用の建具1と同一構成については図中で同符号を付して示し、その説明については省略する。
すべり出し窓用の建具1aの框体14は、合成樹脂製の押し出し成形材でなりガラスユニット2の左右に配置される一対の縦枠材としての縦の框材140と、ガラスユニット2の左右に配置される一対の横枠材としての横の框材140と矩形状に接合された框本体141と、各框材140に嵌合される押縁32と、を有している。
4本の框材140は、長尺の成形材を所定の長さに切断して形成されているため同一の断面形状をなしている。各框材140の端部は長手方向に対して45度の角度をなすように切断され、互いに隣り合う框材140の端部同士を突き合わせた状態で溶着し矩形状の框本体141が形成されている。各框材140の断面形状は同一なので、ここでは、図面にてガラスユニット2の右側に位置する右側の縦の框材(以下、右の框材という)140を示して構造を説明するが、各框材140に共通する説明となるように、上記FIX枠3と同様に、右の框材140の左側を、框本体141の内周側(以下、内周側という)とし、右の框材140の右側を框本体141の外周側(以下、外周側という)として説明する。
右の框材140は、ガラスユニット2が右の框材140に設けられたセッティングブロック4の内周側に配置され当該ガラスユニット2の端面2bと対向する框見込み面部140aと、框見込み面部140aの屋内側にて内周側に突出する框内周突出部140bと、框見込み面部140aの屋外側に設けられ押縁32が嵌合される框押縁嵌合部140cと、框見込み面部140aの外周側に間隔を空けて対向する框外周対向面部140dと、框外周対向面部140dの屋外側に張り出す外側突出部140eと、を有している。
框見込み面部140aの屋内側の縁から内周側に突出する框内周突出部140bは、突出している先端側に屋外側に向かって突出させて一体に設けられる止水片140fを有しており、框内周突出部140bにおける止水片140fよりも框見込み面部140a側には、止水片140fが突出している基端と見込み方向においてほぼ同じ位置に框見付け面140gが形成されている。
右の框材140の框見込み面部140aと框外周対向面部140dとの間には、長手方向に貫通する框中空部140hが設けられている。框中空部140hは、框見込み面部140aの見込み方向における両端部から外周側に延出されて框外周対向面部140dと繋がる2つの框連結壁部140iによって仕切られてほぼ矩形状をなしている。2つの框連結壁部140iは、見込み方向において互いに対向している。框中空部140h内には、長手方向に沿い全長にわたって、金属製の補強部材17が設けられている。補強部材17は、たとえばスチール製であれば火災時に溶解しにくくガラスユニット2の脱落をより確実に防止することができるが、本発明はこれに限られず、アルミニウム合金等の金属で構成されていてもよい。補強部材17の詳細は後述する。
框押縁嵌合部140cは、框見込み面部140aよりも屋外側に設けられ、框見込み面部140aよりも外周側に窪んで押縁32の嵌合片32aが嵌合される。框押縁嵌合部140cは、屋外側の框連結壁部140iの屋外側にて框見込み面部140aよりも外周側に位置する框底部140jを有する2つの框凹部140k、140lのうちの屋外側の框凹部140kである。屋内側の框凹部140lの屋内側の縁140mは、框見込み面部140aの屋外側の縁と繋がり、外周面が円弧状をなしている。
すべり出し窓用の建具1aの框ガラス収容部13aは、框本体141に嵌合された押縁32と、屋内側の框凹部140lと、框見込み面部140aと、框内周突出部140bとにより囲まれた空間である。框本体141にて框ガラス収容部13aを形成している部位の形状は、枠本体31にて枠ガラス収容部3aを形成している部位の形状と同一であり、押縁32は共通であるため、ガラスユニット2の周端部は、FIX窓用の建具1と同様にガラス保持金具9を用いて框ガラス収容部13aに保持される。よって、係止金具91が固定金具90に係止されている位置は、FIX窓用の建具1と同様にガラス収容部13aにおいて屋内側に偏っており、より具体的には、ガラス収容部13aにおいて見込方向における耐熱強化ガラス21と屋内側のLow-Eガラス22との間の位置にて、係止金具91の係止片91bが固定金具90の係止孔90dに係止されている。
框中空部140hに設けられている框補強部材17は、框見込み面部140aと対向し見込み方向のほぼ全域に設けられる内周側補強板部17aと、框外周対向面部140dの屋内側のほぼ半分の領域と対向する外周側補強板部17bと、内周側補強板部17a及び外周側補強板部17bの屋内側の端部同士を繋ぐ屋内連結部17cとを有している。内周側補強板部17aには、ガラス保持金具9を構成する固定金具90を固定するビス34が螺合され、屋外側の外周側の面には加熱発泡材10が設けられている。外周側補強板部17bには、障子15と枠本体31との間に設けられ、障子15の開閉機構16を固定するビス36が螺合される。
図12に示すように、互いに隣り合い隣接する縦の框材140及び横の框材140の框中空部140h内に設けられている框補強部材17同士は、金属製の連結部材12により連結されている。連結部材12は、図13に示すように、各々の框補強部材17に渡り、内周側補強板部17aと各々対面してビス止めされる2つの連結板部12aが、ほぼL字状に繋がった形状をなしている。
縦の框材140及び横の框材140の框見込み面部140aには、框補強部材17に固定された連結部材12と対向する部位に開口140nが設けられており、框体14の内周側、すなわち框ガラス収容部13a側に連結部材12が露出している。このため、連結部材12は、ガラスユニット2の端面2bと対向している。より具体的には、連結部材12は、図10に示すように、ガラスユニット2が有する3枚のガラス板20、21、22の内の真ん中に位置する耐熱強化ガラスのガラス板21の端面21bと対向する位置に配置されている。このため、連結部材12は、ガラス保持金具9において、挿入部91aの係止片91bが固定金具90の係止孔90dに係止されている位置よりも屋外側に位置している。
すべり出し窓用の建具1aでは、図11に示すように、左右の縦の枠材30と縦の框材140との間に開閉機構16が設けられている。すべり出し窓用の建具1aにおいて、障子15を閉じた状態では、枠本体31の枠中空部30hに配置された枠補強部材8の2箇所の凹部8c内に設けられている加熱発泡材10のうちの屋外側の加熱発泡材10は、框補強部材17と面内方向に並ぶ位置に位置している。屋内側の加熱発泡材10は、見込み方向において枠本体31と框体14の間に設けられている。
本実施形態の建具構造によれば、枠本体31がFIX窓用の建具1の枠本体31として用いられている場合には、枠中空部30h内の枠補強部材8に設けられている加熱発泡材10がガラスユニット2と面内方向に並ぶ位置に位置しているので、火災などにより加熱発泡材10が発泡して枠補強部材8とガラスユニット2との間に膨出する。このため枠補強部材8とガラスユニット2との間を閉塞して火炎が貫通することを防止することが可能である。
また、枠本体31がすべり出し窓用の建具1aの枠本体31として用いられている場合には、枠中空部30h内の枠補強部材8に設けられている加熱発泡材10が框補強部材17と面内方向に並ぶ位置に位置しているので、火災などにより加熱発泡材10が発泡して枠補強部材8と框補強部材17との間、すなわち枠本体31と框体14との間の空間に膨出する。このため枠補強部材8と框補強部材17との間を閉塞して火炎が枠本体31と框体14との間から貫通することを防止することが可能である。このため、FIX窓用の建具1及びすべり出し窓用の建具1aにおいて同一の枠本体31及び加熱発泡材10を備えた枠補強部材8を用いて高い防火性能を備えることが可能であり、また、複数種類の建具1,1aに共通の部品とすることによりコストを抑えることが可能である。
また、ガラスユニット2には耐熱強化ガラスのガラス板21が含まれているので、火災によりガラスユニット2のガラス板が割れて火炎が貫通することも防止可能である。このため、高い防火性を備えることが可能である。このため、コストを抑えつつもより高い防火性を備えた建具構造を提供することが可能である。
また、FIX窓用の建具1の場合には、加熱発泡材10が耐熱強化ガラス21よりも屋外側に設けられているので、火災などにより発泡した加熱発泡材10は耐熱強化ガラス21よりも屋外側にて枠補強部材8とガラスユニット2との間に膨出する。このため、屋外側にて発生した火炎は耐熱強化ガラス21と枠補強部材8との間には進入しにくいので、耐熱強化ガラス21が脱落することを防止することが可能である。このため、より高い防火性能を備えることが可能である。このとき、耐熱強化ガラス21は、ガラスユニット2が有する3枚のガラス板20、21、22のうちの真ん中に配置されているので、火災等により火炎に晒されたときに、耐熱強化ガラス21と、火炎とは反対側の一枚のガラス板20、22を残存させることが可能である。
また、FIX窓用の建具1の場合には、見込み方向において枠本体31とガラスユニット2との間にも加熱発泡材10が設けられているので、加熱発泡材10を、枠補強部材8とガラスユニット2との間ばかりでなく、見込み方向において枠本体31とガラスユニット2とが対向する部位間にも膨出させることができる。また、すべり出し窓用の建具1aの場合には、見込み方向において枠本体31と框体14との間にも加熱発泡材10が設けられているので、加熱発泡材10を、枠補強部材8と框補強部材17との間ばかりでなく、見込み方向において枠本体31と框体14とが対向する部位間にも膨出させることができる。このため、火炎は屋内外方向に、より貫通しにくくなるので、より高い防火性を備えることが可能である。
また、加熱発泡材10が、見込み面補強部8aの枠見込み面部30a側に設けられ外周側に窪む凹部8c内に設けられているので、見込み面補強部8aを枠見込み面部30a側により近付けて配置することができると共に、加熱発泡材10を確実に枠見込み面部30a側、すなわち、ガラスユニット2側または框補強部材17側に膨出させることが可能である。
また、枠補強部材8の見込み面補強部8aから延出された延出補強部8bが最も屋内側に配置されているガラス板22よりも屋外側に配置されているので、枠本体31において、最も屋内側のガラス板22と枠補強部材8との間に位置する部位が溶融されにくい。このため、少なくとも最も屋内側のガラス板22を、より確実に残存させることが可能である。
また、枠補強部材8が躯体6と繋がっている補強部材延出片8dが延出補強部8bより屋内側に配置されているので、補強部材延出片8dは屋外側からの火炎に晒され難い。このため、屋外側からの火炎により枠補強部材8が脱落することを防止し、より長時間にわたって最も屋内側のガラス板22を残存させることが可能である。
上記実施形態においては、耐熱強化ガラスを含む3枚のガラス板20、21、22を有するガラスユニット2を例に挙げて説明したが、これに限らず、耐熱強化ガラスを含む4枚以上のガラス板を有するガラスユニットであっても構わない。
上記実施形態においては、FIX窓用の建具1とすべり出し窓用の建具1aとを例に挙げて説明したがこれに限らず、たとえば、縦すべり出し窓用の建具、及び、引き違い窓用の建具などのように障子を備えた種々の建具も対象となり得る。
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
耐熱強化ガラスを含む3枚以上のガラス板を備え屋内外を仕切るガラスユニットと、前記ガラスユニットの周縁部を収容する枠ガラス収容部を形成して第一建具を構成すること、及び、開口を形成し前記ガラスユニットの周縁部を収容する框ガラス収容部を形成する框体を有する障子を開閉自在に支持し、前記開口を閉じた状態で前記障子が配置される障子配置空間を形成して第二建具を構成すること、がいずれも可能な枠体と、を備え、前記枠体は、前記枠ガラス収容部または前記障子配置空間の外周側に枠中空部と、前記枠ガラス収容部または前記障子配置空間と前記枠中空部とを仕切る仕切り部と、を有し、前記枠中空部内に、前記仕切り部と対向する対向板部を備えた金属性の枠補強部材と、前記対向板部の前記仕切り部側に設けられる加熱発泡材と、を有し、前記框体は、前記框ガラス収容部の外周側に框中空部を有し、前記框中空部内に金属性の框補強部材が設けられており、前記加熱発泡材は、前記枠補強部材が前記第一建具の前記枠中空部内に配置されたときに前記ガラスユニットと面内方向に並ぶ位置に位置し、前記枠補強部材が前記第二建具の前記枠中空部内に配置されたときに前記框補強部材と面内方向に並ぶ位置に位置することを特徴とする建具構造である。
このような建具構造によれば、枠体が第一建具の枠体として用いられている場合には、枠中空部内の枠補強部材に設けられている加熱発泡材がガラスユニットと面内方向に並ぶ位置に位置しているので、火災などにより加熱発泡材が発泡して枠補強部材とガラスユニットとの間に膨出する。このため枠補強部材とガラスユニットとの間を閉塞して火炎が貫通することを防止することが可能である。
また、枠体が第二建具の枠体として用いられている場合には、枠中空部内の枠補強部材に設けられている加熱発泡材が框補強部材と面内方向に並ぶ位置に位置しているので、火災などにより加熱発泡材が発泡して枠補強部材と框補強部材との間、すなわち枠体と框体との間の空間に膨出する。このため枠補強部材と框補強部材との間を閉塞して火炎が枠体と框体との間から貫通することを防止することが可能である。このため、第一建具及び第二建具において同一の枠体及び加熱発泡材を備えた枠補強部材を用いて高い防火性能を備えることが可能であり、また、複数種類の建具に共通の部品とすることによりコストを抑えることが可能である。
また、ガラスユニットには耐熱強化ガラスが含まれているので、火災によりガラスユニットのガラス板が割れて火炎が貫通することも防止可能である。このため、高い防火性を備えることが可能である。このため、コストを抑えつつもより高い防火性を備えた建具構造を提供することが可能である。
かかる建具構造であって、前記第一建具を構成する前記枠体の前記枠中空部内の前記枠補強部材に設けられた前記加熱発泡材は、前記耐熱強化ガラスよりも屋外側に設けられていることを特徴とする。
このような建具構造によれば、第一建具の場合には、加熱発泡材が耐熱強化ガラスよりも屋外側に設けられているので、火災などにより発泡した加熱発泡材は耐熱強化ガラスよりも屋外側にて枠補強部材とガラスユニットとの間に膨出する。このため、屋外側にて発生した火炎は耐熱強化ガラスと枠補強部材との間には進入しにくいので、耐熱強化ガラスが脱落することを防止することが可能である。このため、より高い防火性能を備えることが可能である。
かかる建具構造であって、前記ガラスユニットは、3枚の前記ガラス板を有しており、前記耐熱強化ガラスは、前記3枚の前記ガラス板のうちの真ん中に配置されていることを特徴とする。
このような建具構造によれば、耐熱強化ガラスは、ガラスユニットが有する3枚のガラス板のうちの真ん中に配置されているので、火災等により火炎に晒されたときに、耐熱強化ガラスと、火炎とは反対側の一枚のガラス板を残存させることが可能である。
かかる建具構造であって、前記加熱発泡材は、互いに間隔を空けて屋内側と屋外側との2箇所に設けられており、前記第一建具を構成する前記枠体の前記枠中空部内の前記枠補強部材の屋内側に設けられている前記加熱発泡材は、見込み方向において前記枠体と前記ガラスユニットとの間に配置され、前記第二建具を構成する前記枠体の前記枠中空部内の前記枠補強部材の屋内側に設けられている前記加熱発泡材は、見込み方向において前記枠体と前記框体との間に配置されることを特徴とする。
このような建具構造によれば、枠体が第一建具の枠体として用いられている場合には、加熱発泡材を、枠補強部材とガラスユニットとの間ばかりでなく、見込み方向において枠体とガラスユニットとが対向する部位間にも膨出させることができる。また、枠体が第二建具の枠体として用いられている場合には、加熱発泡材を、枠補強部材と框補強部材との間ばかりでなく、見込み方向において枠体と框体とが対向する部位間にも膨出させることができる。このため、火炎は屋内外方向に、より貫通しにくくなるので、より高い防火性を備えることが可能である。
かかる建具構造であって、前記対向板部の前記仕切り部側には外周側に窪む凹部が設けられており、前記加熱発泡材は、前記凹部内に設けられていることを特徴とする。
このような建具構造によれば、加熱発泡材が、対向板部の仕切り部側に設けられ外周側に窪む凹部内が設けられているので、対向板部を仕切り部側により近付けて配置することができると共に、加熱発泡材を確実に仕切り部側、すなわち、ガラスユニット側または框補強部材側に膨出させることが可能である。
かかる建具構造であって、前記枠補強部材は、前記仕切り部から前記外周側に延出される延出補強部を有しており、前記延出補強部は、前記3枚の前記ガラス板のうちの最も屋内側に配置されている前記ガラス板よりも屋外側に配置されていることを特徴とする。
このような建具によれば、枠補強部材の対向板部から延出された延出補強部が最も屋内側に配置されているガラス板よりも屋外側に配置されているので、最も屋内側のガラス板と枠補強部材との間が火炎により加熱されにくい。このため、少なくとも最も屋内側のガラス板を、より確実に残存させることが可能である。
かかる建具構造であって、前記枠補強部材は、前記延出補強部の先端に設けられ躯体と繋がる躯体連結部を有し、前記躯体連結部は、前記延出補強部よりも屋内側に設けられていることを特徴とする。
このような建具構造によれば、枠補強部材が躯体と繋がっている躯体連結部が延出補強部より屋内側に配置されているので、躯体連結部は屋外側からの火炎に晒され難い。このため、屋外側からの火炎により枠補強部材が脱落することを防止し、より長時間にわたって最も屋内側のガラス板を残存させることが可能である。