JP7349051B2 - 還元剤の還元状態の持続性向上方法、持続性が向上した還元剤、この還元剤を含む培地、及び、この培地を用いる嫌気性微生物の培養方法 - Google Patents
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塩素化エチレン類のバイオレメディエーションには、「テトラクロロエチレン(PCE)→トリクロロエチレン(TCE)→シス-1,2-ジクロロエチレン(cis-DCE)→塩化ビニルモノマー(VCM)→エチレン」という還元的脱塩素化反応により塩素化エチレン類を無害化する嫌気性脱塩素化菌が用いられている。
これらの還元剤は、デハロコッコイデス属細菌を気密性の高い培養容器で培養する場合に限り安定的な培養できるが、少しでも空気が入ると、菌の増殖が阻害されてしまうという課題があった。そして、培養スケールを大きくすると気密性を高く保つことが難しく、少量の空気が混入する可能性が高くなるため、デハロコッコイデス属細菌を大量に培養することは困難であった。
1.還元型グルタチオンを、嫌気条件下で加熱処理することを特徴とする還元状態の持続性向上方法。
2.嫌気条件下で加熱処理した還元型グルタチオンからなる還元剤。
3.2.に記載の還元剤を含むことを特徴とする培地。
4.還元型グルタチオンを含む培地を密封容器内で嫌気性ガス置換し、加熱処理することを特徴とする培地の製造方法。
5.前記還元型グルタチオンの濃度が、1mM以上10mM以下であることを特徴とする4.に記載の培地の製造方法。
6.3.に記載の培地を用いることを特徴とする嫌気性微生物の培養方法。
7.前記嫌気性微生物が、デハロコッコイデス(Dehalococcoides)属細菌であることを特徴とする6.に記載の培養方法。
8.前記還元型グルタチオンの濃度が、1mM以上10mM以下であることを特徴とする6.または7.に記載の培養方法。
9.前記培地の容量が、10L以上であることを特徴とする6.~8.のいずれかに記載の培養方法。
10.前記デハロコッコイデス属細菌が、受託番号NITE P-1471として寄託されたUCH007株またはその変異株であることを特徴とする7.~9.のいずれかに記載の培養方法。
還元型グルタチオンを、嫌気状態で加熱処理するという容易な方法により、還元状態の持続性を向上させることができる。還元状態の持続性が向上した本発明の還元剤は、多少の空気(酸素)が混入しても還元状態を維持することができ、この還元剤を含む本発明の培地は、嫌気条件の維持が容易である。そのため、この培地を用いた本発明の培養方法は、嫌気性微生物をより安定して培養することができる。本発明の培養方法は、多少の空気が混入しても還元状態を維持することができるため、大容量での培養に適しており、10L以上の大容量での培養に適している。
以下に、本発明を順に説明する。
本発明の還元剤は、嫌気条件下で加熱処理した還元型グルタチオンを含む。
グルタチオンは、グルタミン酸、システイン、グリシンの3つのアミノ酸からなるトリペプチドであり、「還元型グルタチオン」とも称される。還元型グルタチオンにおいて、還元能を担うのはシステイン構造由来のチオール基であり、酸素が混入すると、チオール基が酸化されてジスルフィドとなり、2つのグルタチオン分子がジスルフィド結合で結合した酸化型グルタチオンとなる。
本発明の培地は、嫌気条件下で加熱処理した還元型グルタチオンを含む。本発明の培地は、嫌気条件下で加熱処理した還元型グルタチオンを含めばよく、電子受容体源、微生物の生育に必要な炭素源、窒素源、無機塩、微量元素、酵母エキス等を含むことができ、固体培地及び液体培地のいずれであってもよい。
窒素源としては、例えば、ペプトン、カシトン、尿素、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、各種アミノ酸が挙げられる。
無機塩としては、リン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩が挙げられる。
微量元素としては、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ホウ素、ニッケル、モリブデンが挙げられる。
上記に例示した炭素源、窒素源、無機塩、微量元素は1種でもよく、2種以上を適宜組み合わせてもよい。
さらに、本発明の微生物の増殖を促進するための栄養源として、シアノコバラミン等のビタミン、酵母エキス、麦芽エキスなどを適量添加してもよい。
方法1:還元型グルタチオンを含む全成分を混合した後、嫌気条件下で加熱処理する方法。
方法2:還元型グルタチオン以外の成分を含む水溶液をガス置換・滅菌処理した後、別にガス置換・加熱処理した還元型グルタチオン水溶液を嫌気的に添加する方法。
培地の加熱処理(滅菌処理)の条件は、培地の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、115℃~125℃で15~25分間が例示できる。
本発明の培養方法は、嫌気条件下で加熱処理した還元型グルタチオンを含む培地で嫌気性微生物を培養する。本発明の培養方法で培養する嫌気性微生物は、特に制限されず、硝酸塩、硫酸塩、鉄、VOC等の酸素以外の物質を最終電子受容体として呼吸を行う嫌気性菌(デハロコッコイデス属細菌等)、メタン菌、発酵菌等が挙げられる。また、本発明の培養方法で使用する培地、培養条件は、培養する嫌気性微生物の種類に応じて、適宜調整することができる。
以下に、デハロコッコイデス属細菌の培養を例に説明する。
UCH007株の菌学的性質は、以下のとおりである。
(a)形態学的性状
非運動性、胞子非形成、円盤状形態(光学顕微鏡での観察は困難)。
(b)培地の一例
絶対嫌気。電子供与体として水素、電子受容体としてTCEあるいはcis-DCE、炭素源として酢酸塩を使用する。bicarbonate buffer。pH7.2。H2/CO2の混合ガス(80:20)で培地・培養容器内をガス置換する。
絶対嫌気性。脱ハロゲン呼吸によりエネルギーを獲得する。電子供与体として水素を利用、電子受容体として塩素化エチレン類を利用。
トリクロロエチレン(TCE)、シス-1,2-ジクロロエチレン(cis-DCE)、1,1-ジクロロエチレン(1,1-DCE)、塩化ビニルモノマー(VCM)の脱塩素化能を有する。炭素源として酢酸塩を資化。ビタミンB12要求性。高濃度の硫化物(還元剤として使用)に感受性。
増殖温度:30℃。
至適pH:7.2±0.3。
UCH001株、UCH003株の形態学的性状、培地上の特徴、生理学的特徴は以下のとおりであり、両株で共通している。
湾曲又はらせん状桿菌。
鞭毛を有する。運動性を有する。胞子非形成。
絶対嫌気。フマル酸塩、乳酸塩、酢酸塩を使用する。bicarbonate buffer。pH7.2。H2/CO2の混合ガス(80:20)で培地・培養容器内をガス置換する。
嫌気性。硝酸塩やフマル酸等を電子受容体とする呼吸によりエネルギーを獲得する。電子供与体として水素、ギ酸、ピルビン酸、乳酸などを利用。炭素源として酢酸塩等を資化。
増殖温度:30℃
生育pH:pH7.2
以下の方法で、水溶液1~3を用意し、レサズリンの色の変化を観察することで、それぞれの水溶液の嫌気状態の評価を行った。なお、レサズリンは、還元状態で透明となり、酸素が存在するとピンク色を呈する。
レサズリン10mg/Lを溶かした蒸留水に、還元型グルタチオンを5mM(1.53g/L)になるように溶かし、その還元型グルタチオン水溶液10mlを20ml容バイアル瓶に入れて、窒素ガスで7分間バブリングしガス置換した後、ブチルゴム栓とアルミシールで密栓して、加熱処理(オートクレーブ121℃、20分)した。
レサズリン10mg/Lを溶かした蒸留水10mlを20ml容バイアル瓶に入れて、窒素ガスで7分間バブリングしガス置換した後、ブチルゴム栓とアルミシールで密栓して、加熱処理(オートクレーブ121℃、20分)した。このバイアル瓶に、別で用意した嫌気条件下で加熱処理した500mM還元型グルタチオン水溶液100μlを、窒素ガスで置換処理した注射器を使って、封入した。この500mM還元型グルタチオン水溶液は、10mlの蒸留水を20ml容バイアル瓶に入れ、500mMの濃度に相当する還元型グルタチオン1.53gを混ぜ、窒素ガスで7分間バブリングしガス置換した後、ブチルゴム栓とアルミシールで密栓して、加熱処理(オートクレーブ121℃、20分)することで用意した。
レサズリン10mg/Lを溶かした蒸留水10mlを20ml容バイアル瓶に入れて、窒素ガスで7分間バブリングしガス置換した後、ブチルゴム栓とアルミシールで密栓して、加熱処理(オートクレーブ121℃、20分)した。このバイアル瓶に、別で用意した嫌気処理のみ行った167mM還元型グルタチオン水溶液300μlを、嫌気処理した注射器を使って、封入した。この167mM還元型グルタチオン水溶液は、10mlの蒸留水を20ml容バイアル瓶に入れ、167mMの濃度に相当する還元型グルタチオン0.51gを混ぜ、窒素ガスで7分間バブリングしガス置換した後、ブチルゴム栓とアルミシールで密栓することで用意した。
に示す。
水溶液2は、還元型グルタチオンを添加した直後は濃いピンクであったが、経時で色が薄くなり、5時間後に透明となった。また、空気を封入した後も無色であり、還元状態の持続性に優れていた。
水溶液3は、還元型グルタチオンを添加した直後は濃いピンクであった。2時間後まで少しずつ色が薄くなったが、それ以降は色に変化がなくピンクで留まり、無色にはならなかった。空気を封入した後も、ピンクのままであった。
以下の方法で、水溶液4、5を用意し、レサズリンの色の変化を観察することで、それぞれの水溶液の嫌気状態の評価を行った。
レサズリン10mg/Lを溶かした蒸留水に、還元型グルタチオンを5mM(1.53g/L)になるように溶かし、その還元型グルタチオン水溶液10mlを20ml容バイアル瓶に入れて、窒素ガスで7分間バブリングしガス置換した後、ブチルゴム栓とアルミシールで密栓して、加熱処理(オートクレーブ121℃、20分)した。
レサズリン10mg/Lを溶かした蒸留水に、L-システイン塩酸塩一水和物を5mM(0.878g/L)になるように溶かし、そのシステイン塩酸塩水溶液10mlを20ml容バイアル瓶に入れて、窒素ガスで7分間バブリングしガス置換した後、ブチルゴム栓とアルミシールで密栓して、加熱処理(オートクレーブ121℃、20分)した。
それに対し、システインを、嫌気条件下で加熱処理した水溶液5は、加熱処理後(オートクレーブ処理後)薄いピンク色であった。また、空気を封入した直後も同様の薄いピンク色であったが、時間の経過に従い、徐々にレサズリンの色が濃くなり、17時間後濃いピンクになった。
10mlの蒸留水を20ml容バイアル瓶に入れ、167mMの濃度に相当する還元型グルタチオン0.51gを混ぜ、窒素ガスで7分間バブリングしガス置換した後、ブチルゴム栓とアルミシールで密栓し、嫌気処理のみ行い、加熱処理していない還元型グルタチオン水溶液を用意した。
レサズリン10mg/Lを溶かした蒸留水10mlを20ml容バイアル瓶に入れて、窒素ガスで7分間バブリングしガス置換した後、ブチルゴム栓とアルミシールで密栓して、加熱処理(オートクレーブ121℃、20分)した。このバイアル瓶に、上記で用意した167mM還元型グルタチオン水溶液300μlを、嫌気処理した注射器を使って、封入した。
上記の嫌気処理のみ行った還元型グルタチオン水溶液のバイアル瓶を、作製後5時間静置し、レサズリンの色が濃いピンクのままで変化しなくなったことを確認してから、室温で1時間50分静置した。また、静置後に、注射器を使って、10mlの空気を封入した。
40℃で20分間静置した後、室温で1時間半静置した以外は、比較例3と同様にした。
「実施例4」
80℃で20分間静置した後、室温で1時間半静置した以外は、比較例3と同様にした。
「実施例5」
120℃で20分間静置した後、室温で1時間半静置した以外は、比較例3と同様にした。
表4に、使用した重炭酸塩緩衝培地(He, J., Holmes, V.F., Lee, P.K., Alvarez-Cohen, L. "Influence of Vitamin B12 and Cocultures on the Growth of Dehalococcoides Isolates in Defined Medium." Appl. Environ. Microbiol. (2007) 73: p2847-2853.のMineral salts mediumを一部改変)の組成を示す。また、表4中の微量元素溶液、セレナイト・タングステート溶液の組成をそれぞれ下記の表5、6に示す。重炭酸塩緩衝培地の調製は、特許第6103518号の実施例2と同様に行った。
それに対し、実施例1~4で用いた嫌気条件下で加熱処理した還元型グルタチオンは、3.3mM(1.0g/L)の濃度でも塩素化エチレン類の脱塩素化を阻害しなかった。また、嫌気条件下で加熱処理した還元型グルタチオンと硫化ナトリウムを併用しても、硫化ナトリウム0.25mM(0.06g/L)以下では、脱塩素化を阻害しないことが確認できた。
デハロコッコイデス属細菌のTCE脱塩素化反応の進行が、培地に含まれる嫌気条件下で加熱処理した還元型グルタチオンの濃度の違いにより、どのように影響を受けるか確認を行った。また、従来の還元剤「硫化ナトリウム・L-システイン・DL-ジチオトレイトール混合液(三種混合還元剤)」を使った条件との比較も行った。
トリクロロエチレンストック溶液、ビタミン溶液、三種混合還元剤以外の成分を混合し(還元型グルタチオンは最初から混合する)、pHを約7.2に調整した。20ml容バイアル瓶に培地を10mlずつ分注し、H2/CO2(80/20)混合ガスで7分間バブリングしガス置換した後、PTFEライナーゴム栓とアルミシールで密栓してオートクレーブ処理(121℃、20分)した。この培養容器に、予め滅菌窒素ガスを用いてシリンジ内のガスと置換した注射器を使い、無菌的かつ嫌気的に、下記の別途調製したトリクロロエチレンストック溶液、ビタミン溶液、三種混合還元剤を加え、重炭酸塩緩衝培地を調製した(なお、還元型グルタチオンを使う条件では、三種混合還元剤は添加しない)。
三種還元剤は、下記表10に示す組成の溶液を調製し、20ml容バイアル瓶に10mlずつ分注し、N2ガスで7分間バブリングしガス置換した後、ブチルゴム栓とアルミシールで密栓してオートクレーブ処理(121℃、15分)した。
なお、UCH007株は、デハロコッコイデス属内の系統グループであるVictoriaグループに属する。我々は、Victoriaグループにとは異なるCornellグループに属する菌株においても本発明に基づく方法で安定的に培養できることを確認しており、このことから本培養法は、デハロコッコイデス属細菌全体に適用できるものと考えられる。
培養スケールを大きくすると、気密性を高く保つことが難しく空気が混入する可能性が高くなるため、高い嫌気度を要求するデハロコッコイデス属細菌を培養することは困難であった。
還元型グルタチオンを、嫌気条件下で加熱処理するという本発明に基づく方法で、デハロコッコイデス属細菌を安定的に大量培養できるかを確認した。また、従来の還元剤「硫化ナトリウム・L-システイン・DL-ジチオトレイトール混合液(三種混合還元剤)」を使った条件との比較も行った。
サンプリングポートは、ビア樽の蓋に12φmm程度の穴を開け、エイブル株式会社製のナット締め付け式φ12電極口(品番:C00000-C005)及びブチルゴム製O-リングを使って隔壁のネジ口を設け、そこに日電理化硝子株式会社製の凍結乾燥用ブチルゴム栓・B(大)を装着し、エイブル株式会社製φ12袋ナット(品番:C00000-C008)で締め付けて固定することで制作した。滅菌済み注射器を用いてブチルゴム栓に注射針を穿刺することで菌液やガスの採取を行った。
上記で蓋を改造した5ガロンのビア樽からなる培養容器に、表12に示す還元型グルタチオンを含む培地を10L、15L又は18L入れたものをそれぞれ作製した。なお、表12に示す組成は、蒸留水1Lあたりに対する組成である。還元型グルタチオンを含む培地調製の手順は以下の通り行った。(1)培地をビア樽に入れて、1時間、窒素ガス置換を行った。(2)オートクレーブ滅菌(121℃、20分間)した。(3)オートクレーブ直後から1時間窒素ガス置換した後、さらに、容器を氷水に浸し、容器全体の温度が室温以下になるまで(30分程度)ガス置換した。(4)予め滅菌窒素ガスを用いたガス置換処理した注射器を使い、無菌的かつ嫌気的に、表8に示すビタミン溶液と、TCE又はcis-DCEのストック溶液を加えた。
培地調製後、別途培養していたUCH007株とUCH001株の共培養液を、窒素ガス置換処理した注射器を使って、培地の100分の1量を植菌し、室温で静置培養を開始した。培養中、定期的に培養液中の塩素化エチレン類の濃度を、キャピラリーカラム(Agilent J&W GCカラム DB-624、0.32mm×30m)とFIDを装備したガスクロマトグラフィー(モデル6890N、Agilent Technologies社)を用いて、ヘッドスペース法にて定量した。
蓋を改造した5ガロンのビア樽に還元型グルタチオンを除いた表12に示す培地を10L入れて、上記の還元型グルタチオンを含む培地調製の手順(1)~(4)と同じ様に培地調製を行ったが、手順(4)において、三種混合還元剤を、無菌的かつ嫌気的に、硫化ナトリウム、L-システイン及びDL-ジチオトレイトールを最終濃度0.2mM、0.2mM、0.5mMになるように添加した。この三種混合還元剤の濃度はデハロコッコイデス属細菌を培養するのに適切な濃度であり(非特許文献1)、20ml容のバイアル瓶に10mlの培地を入れるような培養スケールでは、培地に入れたレサズリンの色が透明になり、問題無くデハロコッコイデス属細菌を問題無く培養できることを確認している。
それに対し、還元型グルタチオンを含む培地をガス置換しオートクレーブした実施例14では、培地調製後、常にレサズリンの色が無色となり、培地に添加するVOCの種類がTCE、cis-DCEのいずれの場合でも、また、培地量が10L、15L、18Lのいずれの場合でも、デハロコッコイデス属細菌を安定的に培養できることが確認された。一例として、TCEを使った培地量15Lの場合の塩素化エチレン類の濃度の経時変化を図5に示す。嫌気条件下で加熱処理した還元型グルタチオンからなる還元剤を用いることにより、5ガロンのビア樽を使用した大量培養でもデハロコッコイデス属細菌を安定的に培養できることが確認された。
Claims (10)
- 還元型グルタチオンを、嫌気条件下で80℃以上125℃以下、15分以上25分以下の加熱処理することを特徴とする還元状態の持続性向上方法。
- 嫌気条件下で80℃以上125℃以下、15分以上25分以下の加熱処理した還元型グルタチオンからなる還元剤。
- 請求項2に記載の還元剤を含むことを特徴とする培地。
- 還元型グルタチオンを含む培地を密封容器内で嫌気性ガス置換し、80℃以上125℃以下、15分以上25分以下の加熱処理することを特徴とする培地の製造方法。
- 前記還元型グルタチオンの濃度が、1mM以上10mM以下であることを特徴とする請求項4に記載の培地の製造方法。
- 請求項3に記載の培地を用いることを特徴とする嫌気性微生物の培養方法。
- 前記嫌気性微生物が、デハロコッコイデス(Dehalococcoides)属細菌であることを特徴とする請求項6に記載の培養方法。
- 前記還元型グルタチオンの濃度が、1mM以上10mM以下であることを特徴とする請求項6または7に記載の培養方法。
- 前記培地の容量が、10L以上であることを特徴とする請求項6~8のいずれかに記載の培養方法。
- 前記デハロコッコイデス属細菌が、受託番号NITE P-1471として寄託されたUCH007株またはその変異株であることを特徴とする請求項7~9のいずれかに記載の培養方法。
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