本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、以下の付随する説明に記載する。本明細書に記載の材料及び方法と類似または同等の任意の材料及び方法を本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい材料及び方法を本明細書に記載する。本発明の他の特徴、目的及び利点は、記載から明らかになるであろう。記載において、文脈が明らかにそうでないと指示しない限り、単数形は複数形も含む。他に定義されない限り、本明細書中で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有するものとする。矛盾する場合には、本記載が優先される。
I.序論
がん免疫療法は、がんに対する免疫系の反応性の誘導または回復を目的とする。免疫療法の研究における著しい進歩により、能動免疫療法と受動免疫療法に大まかに分類され得る様々な戦略が開発されている。一般的に、これらの戦略は、がん細胞を直接死滅させるために、または免疫抑制性の腫瘍微小環境に対抗するために利用され得る。能動免疫療法は、内在性の長期にわたる腫瘍抗原特異的免疫応答の誘導を目的とする。サイトカインなどの免疫応答修飾因子の非特異的刺激により、応答をさらに高めることができる。対照的に、受動免疫療法には、腫瘍抗原特異的細胞傷害性T細胞または抗体などの免疫エフェクター分子を宿主に投与するアプローチが含まれる。このアプローチは一時的なものであり、複数回の施術が必要である。
有意な進歩にもかかわらず、現在の免疫療法戦略の有効性は、関連する毒性により制限されている。これらは多くの場合、免疫療法に関連する狭い治療期間に関連しており、部分的には、臨床的に意味のある治療効果を得るために潜在的に致命的となる毒性の限界まで治療用量を押し上げる必要性から生じている。さらに、養子移入された免疫細胞は、多くの場合、予測不能に患者内で増殖し続けるため、in vivoでは用量が増大する。
免疫療法に関与する主要なリスクは、腫瘍関連抗原(TAA)の正常組織発現に応答したT細胞活性化に起因するオンターゲットではあるがオフ腫瘍である副作用である。特定のTAAに対してT細胞受容体を発現するT細胞を利用した臨床試験では、免疫療法に反応した皮膚発疹、大腸炎、難聴が報告された。
免疫療法はまた、免疫療法に応答して腫瘍細胞が殺傷される場合に出現する、オンターゲット、オン腫瘍の毒性をもたらし得る。有害作用として、腫瘍崩壊症候群、サイトカイン放出症候群、及び関連するマクロファージ活性化症候群が挙げられる。重要なことに、これらの有害作用は、腫瘍の破壊中に発生する場合があり、したがって、オン腫瘍の免疫療法が成功しても毒性が生じる可能性がある。したがって、免疫療法を調節可能に制御するアプローチは、毒性を低減し、効力を最大化する可能性があるため、非常に望ましいものである。
本発明は、がん免疫療法のための系、組成物、免疫療法薬及び方法を提供する。これらの組成物は、免疫療法における遺伝子発現と機能の調整可能な調節を提供する。本発明はまた、生体回路系、エフェクターモジュール、刺激応答エレメント(SRE)及びペイロード、ならびに前述のいずれかをコードするポリヌクレオチドを提供する。一態様では、本発明の系、組成物、免疫療法薬及び他の構成要素は、別個に加える刺激によって制御することができ、これにより、がん免疫療法を調節するための多大な自由度を提供する。さらに、本発明の系、組成物及び方法は、化学療法薬、小分子、遺伝子治療、及び抗体などの治療薬と組み合わせてもよい。
本発明の系及び組成物の調整可能な性質は、免疫療法の効力及び効力の持続時間を向上させる可能性を有する。本発明の組成物を使用して養子移入された細胞の生物学的活性を可逆的にサイレンシングすることにより、回復不能に殺傷して治療を終了させることなく、細胞治療の可能性を最大化することができる。
本発明は、患者への投与後の免疫療法の微調整の方法を提供する。これにより、免疫療法の安全性と有効性が向上し、免疫療法の恩恵を受け得る対象集団が増加する。
II.本発明の組成物
本発明によれば、少なくとも1つのエフェクターモジュール系をコアに含む生体回路系を提供する。そのようなエフェクターモジュール系は、1つ以上の刺激応答エレメント(SRE)に関連するか、またはそれと一体化した少なくとも1つのエフェクターモジュールを含む。本発明の生体回路系の全体的なアーキテクチャを図1に示す。一般的に、刺激応答エレメント(SRE)を、任意の目的タンパク質(POI)(例えば、免疫療法薬)であり得るペイロード構築物に作動可能に連結させ、エフェクターモジュールを形成してもよい。SREは、特定の刺激、例えば小分子によって活性化されると、シグナルまたは結果を生成し、安定化シグナルもしくは不安定化シグナル、または任意の他のタイプの調節を永続化することにより、連結されたペイロードの転写レベル及び/またはタンパク質レベルを上方または下方に調節することができる。生体回路系の詳細な説明は、2016年4月11日出願の米国仮特許出願第62/320,864号または2017年3月3日出願の米国仮出願第62/466,596号及び国際公開WO2017/180587に見出すことができる(各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。本発明によれば、免疫療法に使用する任意の薬剤の発現レベル及び活性を調整する、生体回路系、エフェクターモジュール、SRE、及び構成要素を提供する。
本明細書中で使用する場合、「生体回路」または「生体回路系」とは、刺激及び刺激に応答する少なくとも1つのエフェクターモジュールを含む、生物系内の回路または生物系内で有用な回路として定義され、その場合、刺激への応答は、生物系内、生物系間、生物系の指標として、または生物系上の少なくとも1つのシグナルまたは結果を生成する。生物系とは、一般的に、任意の細胞、組織、器官、器官系、または動物、植物、真菌、細菌、もしくはウイルスなどの生物であると理解される。また、生体回路は、本発明により示される刺激またはエフェクターモジュールを使用して、診断、レポーター系、デバイス、アッセイまたはキットなどの無細胞環境においてシグナルまたは結果を与える人工回路であってもよいことも理解される。人工回路は、1つ以上の電子、磁気、または放射性の成分または部品に関連付けてもよい。
本発明によれば、生体回路系は、不安定化ドメイン(DD)生体回路系、二量体化生体回路系、受容体生体回路系、及び細胞生体回路系であってもよい。これらの系のいずれかは、これらの生体回路系の任意の他のものに対するシグナルとして作用し得る。
免疫療法のためのエフェクターモジュール及びSRE
本発明によれば、免疫療法に使用する任意の薬剤の発現レベル及び活性を調整する生体回路系、エフェクターモジュール、SRE、及び構成要素を提供する。非限定的な例として、免疫療法薬は、抗体及びその断片及びバリアント、がん特異的T細胞受容体(TCR)及びそのバリアント、抗腫瘍特異性キメラ抗原受容体(CAR)、キメラスイッチ受容体、共阻害受容体またはリガンドの阻害剤、共刺激受容体及びリガンドのアゴニスト、サイトカイン、ケモカイン、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、可溶性増殖因子、代謝因子、自殺遺伝子、ホーミング受容体、または細胞及び対象に免疫応答を誘発する任意の薬剤であってもよい。
上述のように、本発明の生体回路は、エフェクターモジュール系の構成要素として少なくとも1つのエフェクターモジュールを含む。本明細書中で使用する場合、「エフェクターモジュール」とは、少なくとも(a)1つ以上の刺激応答エレメント(すなわち、目的タンパク質(POI))を含む単一成分または多成分の構築物または複合体である。本明細書中で使用する場合、「刺激応答エレメント(SRE)」とは、エフェクターモジュールの1つ以上のペイロードに結合、接続、連結、または会合するエフェクターモジュールの構成要素であり、いくつかの場合では、1つ以上の刺激に対するエフェクターモジュールの応答性を担う。本明細書中で使用する場合、刺激に対するSREの「応答性」の性質は、共有または非共有相互作用、直接的または間接的な会合、または刺激に対する構造的または化学的反応を特徴とし得る。さらに、刺激に対する任意のSREの応答は、程度または種類の問題であり得る。応答は、部分的応答であってもよい。応答は、可逆的応答であってもよい。応答は、最終的に調節されたシグナルまたは出力をもたらし得る。そのような出力シグナルは、刺激に対する相対的な性質、例えば、1%~100%の間の変調効果、または2倍、3倍、4倍、5倍、10倍もしくはそれ以上などの倍数での増加もしくは減少であってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明は、タンパク質の発現、機能またはレベルの調節方法を提供する。いくつかの態様では、タンパク質の発現、機能またはレベルの調節とは、少なくとも約20%、例えば、少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、100%、または少なくとも20~30%、20~40%、20~50%、20~60%、20~70%、20~80%、20~90%、20~95%、20~100%、30~40%、30~50%、30~60%、30~70%、30~80%、30~90%、30~95%、30~100%、40~50%、40~60%、40~70%、40~80%、40~90%、40~95%、40~100%、50~60%、50~70%、50~80%、50~90%、50~95%、50~100%、60~70%、60~80%、60~90%、60~95%、60~100%、70~80%、70~90%、70~95%、70~100%、80~90%、80~95%、80~100%、90~95%、90~100%または95~100%の発現、機能またはレベルの調節を指す。
いくつかの実施形態では、本発明は、安定化比及び不安定化比を測定することにより、タンパク質、発現、機能またはレベルを調節する方法を提供する。本明細書中で使用する場合、安定化比は、SREに特異的な刺激の非存在下での目的タンパク質の発現、機能、またはレベルに対する、刺激に応答した目的タンパク質の発現、機能、またはレベルの比として定義され得る。いくつかの態様では、安定化比は、少なくとも1、例えば、少なくとも1~10、1~20、1~30、1~40、1~50、1~60、1~70、1~80、1~90、1~100、20~30、20~40、20~50、20~60、20~70、20~80、20~90、20~95、20~100、30~40、30~50、30~60、30~70、30~80、30~90、30~95、30~100、40~50、40~60、40~70、40~80、40~90、40~95、40~100、50~60、50~70、50~80、50~90、50~95、50~100、60~70、60~80、60~90、60~95、60~100、70~80、70~90、70~95、70~100、80~90、80~95、80~100、90~95、90~100または95~100である。本明細書中で使用する場合、不安定化比は、構成的に発現し、SREに特異的な刺激の非存在下での目的タンパク質の発現、機能、またはレベルに対する、エフェクターモジュールに特異的な刺激の非存在下での目的タンパク質の発現、機能、またはレベルの比として定義され得る。本明細書中で使用する場合、「構成的に」とは、SREに連結しておらず、したがって刺激の存在下及び非存在下の両方で発現する目的タンパク質の発現、機能またはレベルを指す。いくつかの態様では、不安定化率は、少なくとも0、例えば少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または少なくとも0~0.1、0~0.2、0~0.3、0~0.4、0~0.5、0~0.6、0~0.7、0~0.8、0~0.9、0.1~0.2、0.1~0.3、0.1~0.4、0.1~0.5、0.1~0.6、0.1~0.7、0.1~0.8、0.1~0.9、0.2~0.3、0.2~0.4、0.2~0.5、0.2~0.6、0.2~0.7、0.2~0.8、0.2~0.9、0.3~0.4、0.3~0.5、0.3~0.6、0.3~0.7、0.3~0.8、0.3~0.9、0.4~0.5、0.4~0.6、0.4~0.7、0.4~0.8、0.4~0.9、0.5~0.6、0.5~0.7、0.5~0.8、0.5~0.9、0.6~0.7、0.6~0.8、0.6~0.9、0.7~0.8、0.7~0.9または0.8~0.9である。
いくつかの実施形態では、本発明の刺激は超音波刺激であってもよい。いくつかの実施形態では、本発明のSREは、機械感受性タンパク質に由来してもよい。一実施形態では、本発明のSREは、機械的に感受性のイオンチャネル、Piezo 1であってもよい。
そのような場合の目的ペイロードの発現は、集束超音波刺激を提供することにより調整される。他の実施形態では、本発明のSREはカルシウムバイオセンサーに由来してもよく、本発明の刺激はカルシウムであってもよい。カルシウムは、機械感受性イオンチャネルの超音波誘導機械刺激によって生成してもよい。イオンチャネルの超音波活性化は、カルシウムの流入を引き起こし、それによって刺激が生成される。一実施形態では、機械感受性イオンチャネルはPiezo 1である。機械センサーは、体内の特定の場所に空間制御を提供することから、使用するのに有利であり得る。
エフェクターモジュールのSREは、ペプチド、ペプチド複合体、ペプチド-タンパク質複合体、タンパク質、融合タンパク質、タンパク質複合体、タンパク質-タンパク質複合体から選択され得るが、これらに限定されない。SREは、任意の天然もしくは変異タンパク質、または抗体に由来する1つ以上の領域を含み得る。この態様では、SREは刺激に応答する場合のエレメントであり、細胞内局在、分子内活性化、及び/またはペイロードの分解を調整することができる。
いくつかの実施形態では、本発明のエフェクターモジュールは、1つ以上のシグナル配列(SS)、1つ以上の切断及び/またはプロセシング部位、1つ以上のターゲティング及び/または貫通ペプチド、1つ以上のタグ、及び/または1つ以上のリンカーなどの、エフェクターモジュールの発現及び調節を促進する追加の特性を含み得る。さらに、本発明のエフェクターモジュールは、誘導性プロモーター、エンハンサー配列、マイクロRNA部位、及び/またはマイクロRNAターゲティング部位などの他の調節部分をさらに含んでもよい。各態様または調整されたモダリティは、エフェクターモジュールまたは生体回路に差次的に調整された特性をもたらし得る。例えば、SREは不安定化ドメインを表し得るが、一方、タンパク質ペイロードの変異は、その切断部位または二量体化特性または半減期を変化させる場合があり、1つ以上のmicroRNAまたはmicroRNA結合部位を含めることにより、細胞の脱ターゲティングまたは輸送特性が付与される場合がある。結果として、本発明は、その持続可能性において多因子的な生体回路を包含する。そのような生体回路は、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の調整された特性を含むように設計し得る。
いくつかの実施形態では、本発明のエフェクターモジュールは、発現を調整するための1つ以上のデグロンを含み得る。本明細書中で使用する場合、「デグロン」とは、タンパク質分解系による認識及び分解に十分なタンパク質内の最小配列を指す。デグロンの重要な特性は、デグロンが転移可能であることであり、すなわち、デグロンを配列に付加すると、その配列は劣化する。いくつかの実施形態では、デグロンを、不安定化ドメイン、ペイロード、またはその両方に付加してもよい。本発明のエフェクターモジュール内へのデグロンの組み込みは、エフェクターモジュールにさらなるタンパク質不安定性を付与し、これを用いて基底発現を最小化させてもよい。いくつかの実施形態では、デグロンは、Nデグロン、ホスホデグロン、熱誘導性デグロン、感光性デグロン、酸素依存性デグロンであってもよい。非限定的な例として、デグロンは、Takeuchi et al.によって記載されたオルニチンデカルボキシラーゼデグロンであってもよい(Takeuchi J et al.(2008).Biochem J.2008 Mar 1;410(2):401-7;その内容はその全体を参照により援用する)。本発明において有用なデグロンの他の例として、国際特許公開第WO2017004022号、第WO2016210343号、及び第WO2011062962号に記載されているデグロンが挙げられる;各々の内容はその全体を参照により援用する。
図2に示すように、1つのペイロード、すなわち1つの免疫療法薬を含む代表的なエフェクターモジュールの実施形態を示す。エフェクターモジュールの各構成要素は、切断部位なし(A~F)または切断部位あり(G~Z、及びAA~DD)の様々な構成で位置させるか、または配置してもよい。エフェクターモジュールの各構成要素の間にオプションのリンカーを挿入してもよい。
図3~6は、2つのペイロード、すなわち2つの免疫療法薬を含む代表的なエフェクターモジュールの実施形態を示す。いくつかの態様では、同じSRE(例えば同じDD)の調節下で、エフェクターモジュールに3つ以上の免疫療法薬(ペイロード)を含めてもよい。2つ以上の薬剤は、互いに直接連結するか、分離させてもよい(図3)。SREは、構築物のN末端、構築物のC末端、または内部位置に配置してもよい。
いくつかの態様では、2つ以上の免疫療法薬は、同じタイプ、例えば2つの抗体、または異なるタイプ、例えば、CAR構築物及びサイトカインIL12であってもよい。そのようなエフェクター分子を利用する生体回路及び構成要素を、図7~12に示す。
いくつかの実施形態では、本発明の生体回路を改変して、その免疫原性を低下させてもよい。免疫原性は、異物と認識される物質に対する一連の複雑な反応の結果であり、これには、中和抗体及び非中和抗体の産生、免疫複合体の形成、補体活性化、マスト細胞活性化、炎症、過敏反応、及びアナフィラキシーが含まれ得る。タンパク質の配列、投与経路及び投与頻度、ならびに患者の母集団を含むがこれらに限定されないいくつかの要因が、タンパク質の免疫原性に寄与し得る。好ましい実施形態では、タンパク質工学を使用して、本発明の組成物の免疫原性を低下させてもよい。いくつかの実施形態では、免疫原性を低下させるための修飾には、親配列に由来するプロセシングされたペプチドのMHCタンパク質への結合を低下させる修飾が含まれ得る。例えば、いずれかの一般的なMHC対立遺伝子に対して、高親和性で結合すると予測される免疫エピトープの数がゼロまたは最小限になるように、アミノ酸修飾を設計してもよい。既知のタンパク質配列のMHC結合エピトープを同定するいくつかの方法は、当技術分野で公知であり、これらを本発明の組成物中のエピトープをスコアリングするために使用してもよい。そのような方法は、米国特許公開第US20020119492号、第US20040230380号、及び第US20060148009号に開示されており;各々の内容はその全体を参照により援用する。
エピトープ同定及びその後の配列改変を適用して免疫原性を低下させてもよい。免疫原性エピトープの同定は、物理的に、または電子計算により達成してもよい。エピトープ同定の物理的方法には、例えば、質量分析及び組織培養/細胞技術が含まれ得る。抗原プロセシングによってもたらされ得る、MHCの溝において良好な結合特性を有する見込みのある非自己ペプチドを同定するために、抗原プロセシング、抗原ローディング及び抗原提示、構造データ及び/またはプロテオミクスデータで得られる情報を利用する電子計算アプローチもまた利用してもよい。タンパク質の発現を指揮する1つ以上の変異を本発明の生体回路に導入して、その機能を維持させつつ、同時に、同定したエピトープの免疫原性をより低下させるかまたは無効化してもよい。
いくつかの実施形態では、抗原プロセシングならびにグリコシル化及びPEG化などのペプチドローディングを妨害するために本発明の組成物の構造に組み込まれるタンパク質修飾も、本発明において有用であり得る。また、本発明の組成物を、非古典的なアミノ酸側鎖を含むように設計して、免疫原性の低い組成物を設計してもよい。免疫原性を低下させるための国際特許公開第WO2005051975号において検討されている方法のいずれも、本発明において有用であり得る(その内容はその全体を参照により援用する)。
一実施形態では、免疫細胞によって提示される免疫原性ペプチドに従って患者を層別化してもよく、本発明の組成物に関して治療上の利益があり得る適切な患者コホートを判定するパラメーターとして利用してもよい。
いくつかの実施形態では、免疫原性の低下は、イムプロテアソームプロセシングを制限することにより達成され得る。プロテアソームは重要な細胞プロテアーゼであり、2つの形態が見出されている:すべての細胞型で発現し、活性型の、例えば、触媒サブユニットを含む構成的プロテアソーム、ならびに造血系の細胞で発現し、低分子量タンパク質(LMP)、すなわちLMP-2、LMP-7及びLMP-10と呼ばれる異なる活性サブユニットを含む免疫プロテアソーム。免疫プロテアソームは、ペプチダーゼ活性の変化と切断部位選好性を示し、多くのMHCクラスIエピトープのより効率的な遊離をもたらす。免疫プロテアソームの十分に説明された機能は、MHCクラスI分子の溝に適合するようにプロセシングされ得る疎水性C末端を有するペプチドを生成することである。Deol Pらは、免疫プロテアソームが特定のペプチド結合の頻繁な切断をもたらし、それによって抗原提示細胞の表面に特定のペプチドをより速く出現させ;そしてペプチド量を高め得ることを示した(Deol P et al.(2007)J Immunol 178(12)7557-7562;その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。この研究は、免疫プロテアソームプロセシングの低下が免疫原性の低下を伴う可能性があることを示している。いくつかの実施形態では、本発明の組成物をコードする配列を改変することにより、本発明の組成物の免疫原性を低下させて、免疫プロテアソームプロセシングを防止してもよい。また、本発明の生体回路を免疫プロテアソーム選択的阻害剤と併用して、同じ効果を達成してもよい。本発明において有用な阻害剤の例として、UK-101(Bli選択的化合物)、IPSI-001、ONX0914(PR-957)、及びPR-924(IPSI)が挙げられる。
1.不安定化ドメイン(DD)
いくつかの実施形態では、本発明の生体回路系、エフェクターモジュール、及び組成物は、免疫療法薬の抗腫瘍免疫応答のタンパク質(ペイロード)機能の翻訳後調節に関する。一実施形態では、SREは、安定化/不安定化ドメイン(DD)である。DDに結合または相互作用する小分子リガンドの存在、非存在、または量は、そのような結合または相互作用により、ペイロード(複数可)の安定性、ひいてはペイロードの機能を調節することができる。結合及び/または相互作用の程度に応じて、ペイロードの変更された機能は異なり、したがってペイロード機能の「調整」を提供し得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の不安定化ドメインを、本明細書において示される免疫療法薬(ペイロード)のいずれかと関連させて、本発明の生体回路系のSREとして使用してもよい。不安定化ドメイン(DD)は、目的の標的タンパク質に付加することができる小さなタンパク質ドメインである。DDは、タンパク質が細胞のユビキチン-プロテアソーム系によって急速に分解されるように、DD結合リガンドの非存在下で、目的の付着タンパク質を不安定化する(Stankunas,K.,et al.,Mol.Cell,2003,12:1615-1624;Banaszynski,et al.,Cell;2006,126(5):995-1004;Banaszynski,L.A.,and Wandless,T.J.Chem.Biol.;2006,13:11-21及びRakhit R et al.,Chem Biol.2014;21(9):1238-1252に概説されている)。しかしながら、特定の小分子リガンドがリガンド結合パートナーとして意図したDDに結合すると、不安定性が逆転し、タンパク質機能が回復する。DD安定性の条件付きの性質により、安定したタンパク質から分解に対して不安定な基質への迅速かつ非摂動的な切り替えが可能になる。さらに、そのリガンド濃度依存性により、分解速度の調整可能な制御がさらに提供される。
いくつかの実施形態では、DDの所望の特性として、DDのリガンドの非存在下での低タンパク質レベル(すなわち、低い基底安定性)、大きなダイナミックレンジ、ロバストで予測可能な用量反応挙動、及び迅速な分解速度が挙げられ得るが、これらに限定されない。内在性分子ではなく、所望のリガンドに結合するDDが好ましい場合がある。
FKBP/shield-1系(Egeler et al.,J Biol.Chem.2011,286(36):32328-31336;その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)、ecDHFR及びそのリガンドトリメトプリム(TMP);いくつかのエストロゲン受容体拮抗薬によって調節することができるエストロゲン受容体ドメイン(Miyazaki et al.,J Am Chem.Soc.,2012,134(9):3942-3945;その内容はその全体を参照により本明細書に援用する);ならびにビリルビン誘導性蛍光タンパク質UnaG及びその同族リガンドビリルビン(BR)に由来する蛍光不安定化ドメイン(FDD)(Navarro et al.,ACS Chem Biol.,2016,June 6;その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)を含む、不安定化特性を有するいくつかのタンパク質ドメイン及びそれらの対の小分子が同定され、タンパク質発現の制御に使用されている。
公知のDDとしてはまた、米国特許第8,173,792号及び米国特許第8,530,636号に記載されているものも挙げられ、その内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
いくつかの実施形態では、本発明のDDは、タンパク質の翻訳後調節が可能であることが承認されているいくつかの公知の配列に由来し得る。例えば、Xiongらは、ArabidopsisのACS7(1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸シンターゼ)の非触媒N末端ドメイン(54残基)が、β-グルクロニダーゼ(GUS)レポーターと融合させた場合に、GUS融合タンパク質の蓄積を有意に低下させることができることを示している(Xiong et al.,J.Exp.Bot.,2014,65(15):4397-4408)。Xiongらはさらに、外来性1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)処置と塩の両方が、ACSのN末端とGUS融合タンパク質の蓄積レベルをレスキューすることができることを示した。ACSのN末端は、ユビキチン-26Sプロテアソーム経路を介してACS7の安定性の調節を媒介する。
別の非限定的な例は、タンパク質の安定性を制御するトロポミオシン(Tm)の安定性制御領域(SCR、残基97~118)である。不安定化変異L110A、及び安定化変異A109Lは、トロポミオシンタンパク質のダイナミクスに劇的に影響を及ぼす(Kirwan and Hodges,J.Biol.Chem.,2014,289:4356-4366)。そのような配列は、それらに結合してそれらの安定性を調節するリガンドについてスクリーニングすることができる。同定した配列及びリガンドの対は、本発明の構成要素として使用してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のDDは、既知のタンパク質から開発してもよい。野生型タンパク質の領域または部分またはドメインを、SRE/DDとして全体的または部分的に利用してもよい。それらを組み合わせたり、並べ替えたりして、新規ペプチド、タンパク質、領域またはドメインを作出し、そのいずれかをSRE/DDとして、またはさらなるSRE及び/またはDDの設計の出発点として使用してもよい。
候補タンパク質に結合することが周知の小分子などのリガンドは、タンパク質応答におけるそれらの調節について試験することができる。小分子は、臨床的に安全であることが承認され、適切な薬物動態と分布を有し得る。いくつかの実施形態では、刺激は、不安定化ドメイン(DD)のリガンド、例えば、不安定化ドメインに結合し、不安定化ドメインに融合したPOIを安定化する小分子である。いくつかの実施形態では、本発明のリガンド、DD及びSREは、限定するものではないが、2016年4月11日に出願された同時係属中の共有米国仮特許出願第62/320,864号の表2~4または2017年3月3日に出願された米国仮出願第62/466,596号及び国際公開WO2017/180587に示されるもののいずれかを含み、これらの各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。DDとそのリガンドの開発に使用し得るタンパク質のいくつかの例を表1に示す。
いくつかの実施形態では、本発明のDDは、表2に挙げるようなFKBP DDまたはecDHFR DDであり得る。表2に挙げる変異アミノ酸の位置は、ecDHFR DDの場合は配列番号1のecDHFR(Uniprot ID:P0ABQ4)に対するものであり、FKBP DDの場合は配列番号3のFKBP(Uniprot ID:P62942)に対するものである。
本発明の発明者らは、不安定化ドメインを開発するために使用し得るいくつかの候補ヒトタンパク質を試験及び同定した。表2に示すように、これらの候補には、ヒトDHFR(hDHFR)、PDE5(ホスホジエステラーゼ5)、PPARγ(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ)、CA2(炭水化物アンヒドラーゼII)及びNQO2(NRH:キノン酸化還元酵素2)が含まれる。これらのタンパク質のタンパク質ドメインから同定した不安定化ドメイン配列候補(テンプレートとして)に変異導入して、テンプレート候補ドメイン配列に基づく変異体ライブラリを生成してもよい。DDライブラリ生成に使用する変異誘発戦略には、例えば構造ガイド情報を使用する部位特異的変異誘発;もしくは例えばエラープローンPCRを用いるランダム変異誘発、または両方の組み合わせが含まれ得る。いくつかの実施形態では、ランダム変異誘発を用いて同定した不安定化ドメインを使用して、不安定化に必要であり得る候補DDの構造特性を同定し、次いでこれを用いて、部位特異的変異誘発を使用して変異ライブラリをさらに生成してもよい。
いくつかの実施形態では、E.coli DHFR(ecDHFR)に由来する新規DDは、野生型ecDHFR配列のアミノ酸2~159を含み得る。これはM1del変異と呼ばれる場合がある。
いくつかの実施形態では、ecDHFRに由来する新規DDは、野生型ecDHFR配列のアミノ酸2~159を含む場合があり(M1del変異とも呼ばれる)、M1del、R12Y、R12H、Y100I、及びE129Kを含むがこれらに限定されない、1、2、3、4、5個またはそれ以上の変異を含み得る。
いくつかの実施形態では、FKBP由来の新規DDは、野生型FKBP配列のアミノ酸2~107を有していてもよい。これはM1del変異と呼ばれる場合がある。
いくつかの実施形態では、FKBP由来の新規DDは、野生型FBKP配列のアミノ酸2~107を有していてもよく(M1del変異とも呼ばれる)、M1del、E31G、F36V、R71G、K105E、及びL106Pを含むがこれらに限定されない、1、2、3、4、5個またはそれ以上の変異を含み得る。
いくつかの実施形態では、野生型タンパク質に比べて、リガンドに対する変化した、好ましくはより高い結合親和性を有する変異について、DD変異体ライブラリをスクリーニングしてもよい。DDライブラリは、2つ以上のリガンドを使用してスクリーニングしてもよく、いくつかのリガンドで安定化されるが他のリガンドでは安定化されないDD変異を優先的に選択してもよい。また、天然タンパク質に比べて、リガンドに優先的に結合するDD変異も選択してもよい。そのような方法を用いて、DDのリガンド選択とリガンド結合親和性を最適化してもよい。さらに、そのようなアプローチを使用して、オフターゲットリガンド結合によって引き起こされる有害な影響を最小限に抑えることができる。
いくつかの実施形態では、バーコードを使用して変異体ライブラリをスクリーニングすることにより、適切なDDを同定してもよい。そのような方法を用いて、異種変異体ライブラリ内の個々の変異体クローンを検出、同定、及び定量化してもよい。ライブラリ内の各DD変異体は、(互いに対して)異なるバーコード配列を有する場合がある。他の例では、ポリヌクレオチドはまた、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上の核酸塩基に関して異なるバーコード配列を有し得る。ライブラリ内の各DD変異体は、複数のバーコード配列を有し得る。複数を使用する場合、各バーコードが任意の他のバーコードに対して一意であるように用いてもよい。あるいは、使用する各バーコードは一意ではなくてもよいが、使用するバーコードの組み合わせにより、個別に追跡できる一意の配列を作出してもよい。バーコード配列は、SREの上流、SREの下流、またはいくつかの例ではSRE内に配置してもよい。DD変異体は、バーコードによって、サンガー法や次世代シーケンシングなどの配列決定アプローチを用いて同定してもよいが、ポリメラーゼ連鎖反応や定量的ポリメラーゼ連鎖反応によって同定してもよい。いくつかの実施形態では、各バーコードについて異なるサイズの産物を増幅するポリメラーゼ連鎖反応プライマーを使用して、アガロースゲル上の各バーコードを同定してもよい。他の例では、各バーコードは、各バーコードの標的化された増幅を可能にするユニークな定量的ポリメラーゼ連鎖反応プローブ配列を有していてもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のDDは、ヒトジヒドロ葉酸還元酵素(hDHFR)に由来し得る。hDHFRは、ジヒドロ葉酸の還元を触媒する低分子の(18kDa)酵素であり、様々な同化経路で重要な役割を果たす。ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)は、ニコチンアミドアデニンリン酸二水素(NADPH)の存在下で7,8-ジヒドロ葉酸(DHF)を5,6,7,8テトラヒドロ葉酸(THF)に変換する必須酵素である。葉酸の構造類似体であるメトトレキサート(MTX)などの抗葉酸薬は、天然の基質DHFよりもDHFRに強く結合し、主にジヒドロ葉酸還元酵素の阻害により葉酸代謝を妨害し、プリン及びピリミジン前駆体合成を抑制する。葉酸、TQD、トリメトプリム(TMP)、没食子酸エピガロカテキン(EGCG)及びECG(没食子酸エピカテキン)などの他のhDHFRの阻害剤も、hDHFR変異体に結合し、その安定性を調節することができる。本発明の一態様では、本発明のDDは、単一変異hDHFR(Y122I)、hDHFR(K81R)、hDHFR(F59S)、hDHFR(I17V)、hDHFR(N65D)、hDHFR(A107V)、hDHFR(N127Y)、hDHFR(K185E)、hDHFR(N186D)、及びhDHFR(M140I);二重変異:hDHFR(M53T、R138I)、hDHFR(V75F、Y122I)、hDHFR(A125F、Y122I)、hDHFR(L74N、Y122I)、hDHFR(L94A、T147A)、hDHFR(G21T、Y122I)、hDHFR(V121A、Y122I)、hDHFR(Q36K、Y122I)、hDHFR(C7R、Y163C)、hDHFR(Y178H、E18IG)、hDHFR(A10V、H88Y)、hDHFR(T137R、F143L)、hDHFR(E63G、I176F)、hDHFR(T57A、I72A)、hDHFR(H131R、E144G)、及びhDHFR(Y183H、K185E);ならびに三重変異:hDHFR(Q36F、N65F、Y122I)、hDHFR(G21E、I72V、I176T)、hDHFR(I8V、K133E、Y163C)、hDHFR(V9A、S93R、P150L)、hDHFR(K19E、F89L、E181G)、hDHFR(G54R、M140V、S168C)、hDHFR(L23S、V121A、Y157C)、hDHFR(V110A、V136M、K177R)、及びhDHFR(N49D、F59S、D153G)を含むhDHFR変異体であってもよい。
一実施形態では、刺激は、SREに結合して翻訳後タンパク質レベルを調節する小分子である。一態様では、DHFRリガンド:トリメトプリム(TMP)及びメトトレキサート(MTX)を使用して、hDHFR変異体を安定化する。hDHFRに基づく不安定化ドメインを表3に挙げる。表3に挙げる変異アミノ酸の位置は、ヒトDHFRの場合、配列番号2のヒトDHFR(Uniprot ID:P00374)に対するものである。表3において、「del」は、野生型配列と比較したその位置での変異がアミノ酸の欠失であることを意味する。
いくつかの実施形態では、リガンド結合を阻害しないDD変異を優先的に選択してもよい。いくつかの実施形態では、DHFRの残基の変異によってリガンド結合を向上させてもよい。変異のために選択するアミノ酸位置として、配列番号2の22位のアスパラギン酸、配列番号2の31位のグルタミン酸;配列番号2の32位のフェニルアラニン;配列番号2の33位のアルギニン;配列番号2の36位のグルタミン;配列番号2の65位のアスパラギン;及び配列番号2の115位のバリンが挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明のDDにおいて、以下、D22S、E31D、F32M、R33S、Q36S、N65S、及びV116Iを含むがこれらに限定されない1つ以上の変異を利用して、TMP結合を向上させてもよい。変異アミノ酸の位置は、配列番号2の野生型ヒトDHFR(Uniprot ID:P00374)に対するものである。
いくつかの実施形態では、ヒトDHFR由来の新規DDは、M1del、V2A、C7R、I8V、V9A、A10T、A10V、Q13R、N14S、G16S、I17N、I17V、K19E、N20D、G21T、G21E、D22S、L23S、P24S、L28P、N30D、N30H、N30S、E31G、E31D、F32M、R33G、R33S、F35L、Q36R、Q36S、Q36K、Q36F、R37G、M38V、M38T、T40A、V44A、K47R、N49S、N49D、M53T、G54R、K56E、K56R、T57A、F59S、I61T、K64R、N65A、N65S、N65D、N65F、L68S、K69E、K69R、R71G、I72T、I72A、I72V、N73G、L74N、V75F、R78G、L80P、K81R、E82G、H88Y、F89L、R92G、S93G、S93R、L94A、D96G、A97T、L98S、K99G、K99R、L100P、E102G、Q103R、P104S、E105G、A107T、A107V、N108D、K109E、K109R、V110A、D111N、M112T、M112V、V113A、W114R、I115V、I115L、V116I、G117D、V121A、Y122C、Y122D、Y122I、K123R、K123E、A125F、M126I、N127R、N127S、N127Y、H128R、H128Y、H131R、L132P、K133E、L134P、F135P、F135L、F135S、F135V、V136M、T137R、R138G、R138I、I139T、I139V、M140I、M140V、Q141R、D142G、F143S、F143L、E144G、D146G、T147A、F148S、F148L、F149L、P150L、E151G、I152V、D153A、D153G、E155G、K156R、Y157R、Y157C、K158E、K158R、L159P、L160P、E162G、Y163C、V166A、S168C、D169G、V170A、Q171R、E172G、E173G、E173A、K174R、I176A、I176F、I176T、K177E、K177R、Y178C、Y178H、F180L、E181G、V182A、Y183C、Y183H、E184R、E184G、K185R、K185del、K185E、N186S、N186D、D187G、及びD187Nを含むがこれらに限定されない、1、2、3、4、5個またはそれ以上の変異を含み得る。
いくつかの実施形態では、ヒトDHFR由来の新規DDは、野生型ヒトDHFR配列のアミノ酸2~187を含み得る。これはM1del変異と呼ばれる場合がある。
いくつかの実施形態では、ヒトDHFR由来の新規DDは、野生型ヒトDHFR配列のアミノ酸2~187(M1del突異とも呼ばれる)を有していてもよく、M1del、V2A、C7R、I8V、V9A、A10T、A10V、Q13R、N14S、G16S、I17N、I17V、K19E、N20D、G21T、G21E、D22S、L23S、P24S、L28P、N30D、N30H、N30S、E31G、E31D、F32M、R33G、R33S、F35L、Q36R、Q36S、Q36K、Q36F、R37G、M38V、M38T、T40A、V44A、K47R、N49S、N49D、M53T、G54R、K56E、K56R、T57A、F59S、I61T、K64R、N65A、N65S、N65D、N65F、L68S、K69E、K69R、R71G、I72T、I72A、I72V、N73G、L74N、V75F、R78G、L80P、K81R、E82G、H88Y、F89L、R92G、S93G、S93R、L94A、D96G、A97T、L98S、K99G、K99R、L100P、E102G、Q103R、P104S、E105G、A107T、A107V、N108D、K109E、K109R、V110A、D111N、M112T、M112V、V113A、W114R、I115V、I115L、V116I、G117D、V121A、Y122C、Y122D、Y122I、K123R、K123E、A125F、M126I、N127R、N127S、N127Y、H128R、H128Y、H131R、L132P、K133E、L134P、F135P、F135L、F135S、F135V、V136M、T137R、R138G、R138I、I139T、I139V、M140I、M140V、Q141R、D142G、F143S、F143L、E144G、D146G、T147A、F148S、F148L、F149L、P150L、E151G、I152V、D153A、D153G、E155G、K156R、Y157R、Y157C、K158E、K158R、L159P、L160P、E162G、Y163C、V166A、S168C、D169G、V170A、Q171R、E172G、E173G、E173A、K174R、I176A、I176F、I176T、K177E、K177R、Y178C、Y178H、F180L、E181G、V182A、Y183C、Y183H、E184R、E184G、K185R、K185del、K185E、N186S、N186D、D187G、及びD187Nを含むがこれらに限定されない、1、2、3、4、5個またはそれ以上の変異を含み得る。
2.ペイロード:免疫療法薬
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、生物において免疫応答を誘導する免疫療法薬であってもよい。免疫療法薬は、抗体ならびにその断片及びバリアント、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラスイッチ受容体、サイトカイン、ケモカイン、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、サイトカイン-サイトカイン受容体融合ポリペプチド、または免疫応答を誘導する任意の薬剤であり得るが、これらに限定されない。一実施形態では、免疫療法薬は、細胞または対象において抗がん免疫応答を誘導する。
抗体
いくつかの実施形態では、抗体、その断片及びバリアントは、本発明のペイロードである。
いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、限定するものではないが、2016年4月11日に出願された同時係属中の共有米国仮特許出願第62/320,864号の表5、または2017年3月3日に出願された米国特許出願第62/466,596号及び国際公開WO2017/180587に示されるもののいずれかを含み、その各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
抗体断片及びバリアント
いくつかの実施形態では、抗体断片及びバリアントは、インタクトな抗体由来の抗原結合領域を含み得る。抗体断片及びバリアントの例として、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFvフラグメント;二重特異性抗体;直鎖抗体;単鎖可変フラグメント(scFv)などの単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられ得るが、これらに限定されない。抗体のパパイン消化により、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合断片が生成され、それぞれが単一の抗原結合部位を有する。また、残りの「Fc」フラグメントも生成され、この断片の名称は、容易に結晶化する能力を反映したものである。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有し、抗原との架橋が依然として可能なF(ab’)2フラグメントが生成する。本発明の医薬組成物、生体回路、生体回路構成要素、SREまたはペイロードを含むエフェクターモジュールは、これらの断片の1つ以上を含み得る。
本明細書の目的のために、「抗体」は、重鎖及び軽鎖可変ドメインならびにFc領域を含み得る。本明細書中で使用する場合、用語「天然抗体」とは、通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなる約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質を指す。抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子は公知であり、それぞれを構成するセグメントは十分に特徴付けられ、記載されている(Matsuda et al.,The Journal of Experimental Medicine.1998,188(11):2151-62及びLi et al.,Blood,2004,103(12):4602-4609;各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。各軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖に連結するが、一方、ジスルフィド結合の数は異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。また、各重鎖と軽鎖は、一定の間隔を置いた鎖内ジスルフィド架橋を有する。各重鎖の一端には可変ドメイン(VH)があり、その後にいくつかの定常ドメインが続く。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を有し、他端に定常ドメインを有する。軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列する。
本明細書中で使用する場合、用語「可変ドメイン」とは、抗体間で配列が大幅に異なり、特定の抗原に対する各特定の抗体の結合及び特異性に用いられる、抗体重鎖及び軽鎖の両方に見出される特定の抗体ドメインを指す。可変ドメインには、超可変領域が含まれる。本明細書中で使用する場合、用語「超可変領域」とは、抗原結合に関与するアミノ酸残基を含む可変ドメイン内の領域を指す。超可変領域内に存在するアミノ酸は、抗体の抗原結合部位の一部となる相補性決定領域(CDR)の構造を決定付ける。本明細書中で使用する場合、用語「CDR」とは、標的抗原またはエピトープに相補的な構造を含む抗体の領域を指す。抗原と相互作用しない可変ドメインの他の部分は、フレームワーク(FW)領域と呼ばれる。抗原結合部位(抗原接合部位またはパラトープとしても知られる)は、特定の抗原と相互作用するのに必要なアミノ酸残基を含む。抗原結合部位を構成する正確な残基は通常、結合した抗原との共結晶学によって解明されるが、他の抗体との比較に基づく計算評価も使用することができる(Strohl,W.R.Therapeutic Antibody Engineering.Woodhead Publishing,Philadelphia PA.2012.Ch.3,p47-54、その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。CDRを構成する残基の決定は、Kabat(Wu et al.,JEM,1970,132(2):211-250及びJohnson et al.,Nucleic Acids Res.2000,28(1):214-218、各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する)、Cothia(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.1987,196,901,Chothia et al.,Nature,1989,342,877、及びAl-Lazikani et al.,J.Mol.Biol.1997,273(4):927-948、各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する)、Lefranc(Lefranc et al.,Immunome Res.2005,1:3)及びHonegger(Honegger and Pluckthun,J.Mol.Biol.2001,309(3):657-70、その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)によって示されるものを含むがこれらに限定されないナンバリングスキームの使用を含み得る。
VH及びVLドメインはそれぞれ3つのCDRを有する。本明細書中では、VL CDRは、可変ドメインポリペプチドに沿ってN末端からC末端に移動する場合の出現順で、CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3と呼ばれる。本明細書中では、VH CDRは、可変ドメインポリペプチドに沿ってN末端からC末端に移動する場合の出現順で、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3と呼ばれる。CDRのそれぞれは、CDR-H3以外は標準構造を優先しており、CDR-H3は、抗体間で配列と長さが非常に可変であり、抗原結合ドメインに様々な3次元構造をもたらし得るアミノ酸配列を有する(Nikoloudis,et al.,PeerJ.2014,2:e456)。いくつかの場合では、関連する抗体のパネル間でCDR-H3を分析して抗体の多様性を評価してもよい。CDR配列を決定する様々な方法が当技術分野で公知であり、それらを公知の抗体配列に適用してもよい(Strohl,W.R.Therapeutic Antibody Engineering.Woodhead Publishing,Philadelphia PA.2012.Ch.3,p47-54、その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。
本明細書中で使用する場合、用語「Fv」とは、完全な抗原結合部位を形成するのに必要な抗体上の最小断片を含む抗体断片を指す。これらの領域は、非共有結合で緊密に結合した1つの重鎖と1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。Fvフラグメントはタンパク質分解により生成することができるが、大部分は不安定である。通常、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの間に可撓性のリンカーを挿入する(単鎖Fv(scFv)を形成するために)ことにより、または重鎖及び軽鎖可変ドメインの間にジスルフィド架橋を導入することにより、安定したFvフラグメントを生成するための組換え方法が当技術分野で公知である(Strohl,W.R.Therapeutic Antibody Engineering.Woodhead Publishing,Philadelphia PA.2012.Ch.3,p46-47、その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。
本明細書中で使用する場合、用語「軽鎖」とは、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいてκ及びλと呼ばれる2つの明らかに異なるタイプのうちの1つに割り当てられた任意の脊椎動物種由来の抗体の構成要素を指す。重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体を異なるクラスに割り当てることができる。インタクトな抗体には:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMの5つの主要なクラスがあり、これらのいくつかはさらにサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2に分類され得る。
本明細書中で使用する場合、用語「単鎖Fv」または「scFv」とは、VH及びVL抗体ドメインの融合タンパク質を指し、これらのドメインは、可撓性のペプチドリンカーによって単一のポリペプチド鎖に連結される。いくつかの実施形態では、Fvポリペプチドリンカーにより、scFvが抗原結合に望ましい構造を形成できるようにする。いくつかの実施形態では、scFvを、ファージディスプレイ法、酵母ディスプレイ法、または他のディスプレイ法と組み合わせて利用し、その場合、scFVを、表面メンバー(例えば、ファージコートタンパク質)と関連付けて発現させ、所定の抗原に対する高親和性ペプチドの同定に使用してもよい。
分子遺伝学を用いて2つのscFvをタンデムに設計し、「タンデムscFv」(tascFv)と呼ばれる、リンカードメインによって分離された単一のポリペプチドにすることができる。2つの異なるscFvの遺伝子を含むtascFvを構築すると、「二重特異性単鎖可変フラグメント」(bis-scFv)が生成される。2つのtascFvのみが商業企業によって臨床的に開発されており;両方とも、腫瘍学的適応症のためのMicrometによる活発な初期段階の開発における二重特異性薬剤であり、「二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)」として記載されている。ブリナツモマブは、フェーズ2のB細胞非ホジキンリンパ腫に対するT細胞応答を増強する抗CD19/抗CD3二重特異性tascFvである。MT110は、フェーズ1の固形腫瘍に対するT細胞応答を増強する抗EP-CAM/抗CD3二重特異性tascFvである。二重特異性、四価の「TandAb」もまた、Affimedによって研究されている(Nelson,A.L.,MAbs.,2010,Jan-Feb;2(1):77-83)。マキシボディ(IgGのFc(CH2-CH3ドメイン)のアミノ末端に融合させた二価scFv)もまた含まれ得る。
本明細書中で使用する場合、用語「二重特異性抗体」とは、2つの異なる抗原に結合することができる抗体を指す。そのような抗体は、通常、少なくとも2つの異なる抗体に由来する領域を含む。二重特異性抗体として、Riethmuller,G.Cancer Immunity.2012,12:12-18,Marvin et al.,2005.Acta Pharmacologica Sinica.2005,26(6):649-658及びSchaefer et al.,PNAS.2011,108(27):11187-11192に記載の二重特異性抗体のいずれかを挙げてもよく、その各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
本明細書中で使用する場合、用語「ダイアボディ」とは、2つの抗原結合部位を有する低分子の抗体断片を指す。ダイアボディは機能性二重特異性単鎖抗体(bscAb)である。ダイアボディは、軽鎖可変ドメインVLに接続された重鎖可変ドメインVHを同一ポリペプチド鎖中に含む。同一鎖上の2つのドメインをペアリングするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインを別の鎖の相補ドメインと強制的にペアリングさせ、2つの抗原結合部位を生成する。ダイアボディは、例えばEP404,097;WO93/11161;及びHollinger et al.(Hollinger,P.et al.,“Diabodies”:Small bivalent and bispecific antibody fragments.PNAS,1993.90:6444-6448)により完全に記載されており;その各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
用語「細胞内抗体」とは、抗体が産生される細胞から分泌されないが、その代わりに1つ以上の細胞内タンパク質を標的とする抗体の形態を指す。細胞内抗体は、細胞内輸送、転写、翻訳、代謝プロセス、増殖シグナル伝達及び細胞分裂を含むがこれらに限定されない多数の細胞プロセスに影響を及ぼすために使用してもよい。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、細胞内抗体に基づく療法を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、本明細書中に開示する可変ドメイン配列及び/またはCDR配列を、細胞内抗体に基づく療法のための1つ以上の構築物に組み込んでもよい。
本明細書中で使用する場合、用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均質な細胞(またはクローン)の集団から得られる抗体を指し、すなわち、モノクローナル抗体の産生中に生じる可能性のあるバリアントを除けば(そのようなバリアントは一般的に少量でしか存在しない)、集団に含まれる個々の抗体は同一であり、及び/または同じエピトープに結合する。通常、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体製剤とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に対向する。
修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集団から得られるという抗体の特徴を示し、いずれかの特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈すべきではない。本明細書中のモノクローナル抗体には、その重鎖及び/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同であるが、その一方で、鎖(複数可)の残部は、別の種に由来するかまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、ならびにそのような抗体の断片の対応する配列と同一または相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)が含まれる。
本明細書中で使用する場合、用語「ヒト化抗体」とは、1つ以上の非ヒト(例えばマウス)抗体源(複数可)由来の最小部分と1つ以上のヒト免疫グロブリン源に由来する残部を含むキメラ抗体を指す。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、その場合、レシピエント抗体由来の超可変領域の残基が、所望の特異性、親和性、及び/または性能を有する、マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種抗体(ドナー抗体)由来の超可変領域の残基に置換される。一実施形態では、抗体は、ヒト化完全長抗体であってもよい。非限定的な例として、米国特許公開第US20130303399号に示される方法を用いて抗体をヒト化してもよく、その内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
本明細書中で使用する場合、用語「抗体バリアント」とは、改変型抗体(天然または開始抗体に対して)または構造及び/または機能において天然または開始抗体に類似する生体分子(例えば、抗体模倣体)を指す。抗体バリアントは、天然の抗体に比べて、アミノ酸配列、組成、または構造が変更されている場合がある。抗体バリアントには、アイソタイプが変更された抗体(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、またはIgM)、ヒト化バリアント、最適化バリアント、多重特異性抗体バリアント(例えば、二重特異性バリアント)、及び抗体断片が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物、生体回路、生体回路の構成要素、SREまたはペイロードを含むエフェクターモジュールは、抗体模倣体であってもよい。本明細書中で使用する場合、用語「抗体模倣体」とは、抗体の機能または効果を模倣し、それらの分子標的に特異的かつ高親和性で結合する任意の分子を指す。いくつかの実施形態では、抗体模倣体は、フィブロネクチンIII型ドメイン(Fn3)をタンパク質骨格として組み込むように設計したモノボディであってもよい(US6,673,901;US6,348,584)。いくつかの実施形態では、抗体模倣体は、アフィボディ分子、アフィリン、アフィチン、アンチカリン、アビマー、Centyrin、DARPINSTM、Fynomer及びKunitz及びドメインペプチドを含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の抗体模倣体であってもよい。他の実施形態では、抗体模倣体は、1つ以上の非ペプチド領域を含み得る。
一実施形態では、抗体は、改変型Fc領域を含む場合がある。非限定的な例として、改変型Fc領域は、米国特許公開第US20150065690号に記載されている方法により作製してもよく、またはそこに記載されている任意の領域であってよく、その内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードに、2つ以上のエピトープに結合する多重特異性抗体をコードしてもよい。本明細書中で使用する場合、用語「マルチボディ」または「多重特異性抗体」とは、2つ以上の可変領域が異なるエピトープに結合する抗体を指す。エピトープは、同じまたは異なる標的上にあってもよい。一実施形態では、多重特異性抗体は、国際特許公開第WO2011109726号及び米国特許公開第US20150252119号に記載されている方法により生成及び最適化してもよく、その内容はその全体を参照により本明細書に援用する。これらの抗体は、高い特異性と高い親和性で複数の抗原に結合することができる。
特定の実施形態では、多重特異性抗体は、同じまたは異なる抗原上の2つの異なるエピトープを認識する「二重特異性抗体」である。一態様では、二重特異性抗体は、2つの異なる抗原に結合することができる。そのような抗体は、通常、少なくとも2つの異なる抗体由来の抗原結合領域を含む。例えば、二重特異性モノクローナル抗体(BsMAb、BsAb)は、2つの異なるモノクローナル抗体の断片からなる人工タンパク質であるため、BsAbは2つの異なるタイプの抗原に結合することができる。二重特異性抗体のフレームワークには、Riethmuller,G.,2012.Cancer Immunity,2012,12:12-18;Marvin et al.,Acta Pharmacologica Sinica.2005,26(6):649-658;及びSchaefer et al.,PNAS.2011,108(27):11187-11192に記載されているもののいずれかが含まれる場合があり、これらの各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。「三機能性二重特異性」抗体と呼ばれる新世代のBsMAbが開発されている。これらは、2つの重鎖と2つの軽鎖からなり、それぞれが2つの異なる抗体に由来し、2つのFab領域(腕部)が2つの抗原に対向し、Fc領域(脚部)が2つの重鎖を含み、第3の結合部位を形成する。
いくつかの実施形態では、ペイロードに、単一の抗原結合ドメインを含む抗体をコードしてもよい。これらの分子は非常に小さく、フルサイズのmAbで観察される分子量の約10分の1である。さらなる抗体として、ラクダ及びラマに見出される軽鎖を欠く重鎖抗体の抗原結合可変重鎖領域(VHH)に由来する「ナノボディ」が挙げられ得る(Nelson,A.L.,MAbs.2010.Jan-Feb;2(1):77-83)。
いくつかの実施形態では、抗体を「小型化」してもよい。mAbの小型化の最良の例は、Trubion Pharmaceuticalsの小型モジュール式免疫医薬品(SMIP)である。これらの分子は、一価または二価であり得、1つのVL、1つのVH抗原結合ドメイン、及び1つまたは2つの定常「エフェクター」ドメインを含み、すべてがリンカードメインによって接続された組換え単鎖分子である。おそらく、そのような分子は、定常ドメインによって付与される免疫エフェクター機能を保持しつつ、断片によって獲得される組織浸透性または腫瘍浸透性の増加という利点を提供する可能性がある。少なくとも3つの「小型化」SMIPが臨床開発段階に移行した。Wyethと共同開発した抗CD20 SMIPであるTRU-015は、最も進んだプロジェクトであり、関節リウマチ(RA)のフェーズ2に進んでいる。全身性エリテマトーデス(SLE)及びB細胞リンパ腫の以前の試みは最終的に中止された。TrubionとFacet Biotechnologyは、CLL及び他のリンパ系腫瘍の治療のための抗CD37 SMIPであるTRU-016の開発で協力しており、これはフェーズ2に達したプロジェクトである。Wyethは、RA、SLE、及びおそらくは多発性硬化症などの自己免疫疾患の治療に対して、抗CD20 SMIPであるSBI-087をライセンスしたが、これらのプロジェクトは臨床試験の初期段階にとどまっている(Nelson,A.L.,MAbs,2010.Jan-Feb;2(1):77-83)。
小型化抗体の一実施例は、「ユニボディ」と呼ばれ、ヒンジ領域がIgG4分子から除去されている。IgG4分子は不安定で、軽-重鎖ヘテロダイマーを相互に交換することができるが、ヒンジ領域の削除により重鎖と重鎖のペアリングが完全に防止され、非常に特異的な一価の軽鎖/重鎖ヘテロダイマーを維持しつつ、Fc領域を保持してin vivoでの安定性と半減期を確保している。この構成は、IgG4とFcRの相互作用が不十分であり、一価ユニボディが細胞内シグナル伝達複合体の形成を促進できないため、免疫活性化または発がん性増殖のリスクを最小化し得る(例えば、Nelson,A.L.,MAbs,2010.Jan-Feb;2(1):77-83参照)。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、単一の単量体可変抗体ドメインからなる抗体断片である単一ドメイン抗体(sdAb、またはナノボディ)をコードする場合がある。これは、抗体全体と同様に、特定の抗原に選択的に結合することができる。一態様では、sdAbは「ラクダIg」または「ラクダ科VHH」であってもよい。本明細書中で使用する場合、用語「ラクダIg」とは、重鎖抗体の最小の公知の抗原結合ユニットを指す(Koch-No lte,et al,FASEB J.,2007,21:3490-3498)。「重鎖抗体」または「ラクダ科抗体」とは、2つのVHドメインを含み、軽鎖を含まない抗体を指す(Riechmann L.et al,J.Immunol.Methods,1999,231:25-38;国際特許公開第WO1994/04678号及び第WO1994/025591号;及び米国特許第6,005,079号)。別の態様では、sdAbは「免疫グロブリン新規抗原受容体」(Ig NAR)であってもよい。本明細書中で使用する場合、用語「免疫グロブリン新規抗原受容体」とは、1つの可変新規抗原受容体(VNAR)ドメインと5つの定常新規抗原受容体(CNAR)ドメインのホモダイマーからなるサメ免疫レパートリー由来の抗体のクラスを指す。Ig NARは、免疫グロブリンベースの最小の公知のタンパク質骨格のいくつかを表し、非常に安定しており、効率的な結合特性を有する。固有の安定性は、(i)マウス抗体に見出される従来の抗体VH及びVLドメインに比べて、かなりの数の荷電及び親水性の表面露出残基を提示する、基礎となるIg骨格;及び(ii)ループ間ジスルフィド架橋、及びループ内水素結合パターンを含む、相補的決定領域(CDR)ループの安定化構造的特徴の両方に起因する。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードに、細胞内抗体をコードしてもよい。細胞内抗体は、抗体を産生する細胞から分泌されるのではなく、1つ以上の細胞内タンパク質を標的とする抗体の一種である。細胞内抗体は、細胞内で発現及び機能し、また、細胞内輸送、転写、翻訳、代謝プロセス、増殖シグナル伝達、細胞分裂を含むがこれらに限定されない多数の細胞プロセスに影響を及ぼすために使用してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法には、細胞内抗体に基づく療法が含まれる。いくつかのそのような実施形態では、本明細書中に開示する可変ドメイン配列及び/またはCDR配列を、細胞内抗体に基づく療法のための1つ以上の構築物に組み込む。例えば、細胞内抗体は、1つ以上の糖化細胞内タンパク質を標的とし得るか、または1つ以上の糖化細胞内タンパク質と代替タンパク質との間の相互作用を調節し得る。
細胞内抗体を哺乳類細胞の異なる区画内で細胞内発現させることにより、内在性分子の機能の遮断または調節が可能である(Biocca,et al.,EMBO J.1990,9:101-108;Colby et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.2004,101:17616-17621)。細胞内抗体は、タンパク質の折り畳み、タンパク質-タンパク質相互作用、タンパク質-DNA相互作用、タンパク質-RNA相互作用、及びタンパク質修飾を変化させることができる。細胞内抗体は、表現型ノックアウトを誘発し、標的抗原への直接結合、細胞内輸送の迂回、または結合パートナーとの結合の阻害により、中和剤として機能することができる。標的抗原に対する高い特異性と親和性により、細胞内抗体は、特定の標的分子の特定の結合相互作用を遮断する一方で、他の分子には影響を及ぼさないという利点を有する。
ドナー抗体由来の配列を用いて、細胞内抗体を開発してもよい。細胞内抗体は、多くの場合、単離されたVH及びVLドメインなどの単一ドメイン断片として、または細胞内の単鎖可変フラグメント(scFv)抗体として組換え発現させる。例えば、細胞内抗体は、多くの場合、単一のポリペプチドとして発現し、可撓性リンカーポリペプチドによって結合した重鎖及び軽鎖の可変ドメインを含む単鎖抗体を形成する。通常、細胞内抗体は、ジスルフィド結合を欠いており、特異的結合活性により標的遺伝子の発現または活性を調節することができる。単鎖細胞内抗体は、多くの場合、組換え核酸分子から発現し、細胞内に保持されるように設計する(例えば、細胞質、小胞体、またはペリプラズムに保持される)。細胞内抗体は:(Marasco et al.,PNAS,1993,90:7889-7893;Chen et al.,Hum.Gene Ther.1994,5:595-601;Chen et al.,1994,PNAS,91:5932-5936;Maciejewski et al.,1995,Nature Med.,1:667-673;Marasco,1995,Immunotech,1:1-19;Mhashilkar,et al.,1995,EMBO J.14:1542-51;Chen et al.,1996,Hum.Gene Therap.,7:1515-1525;Marasco,Gene Ther.4:11-15,1997;Rondon and Marasco,1997,Annu.Rev.Microbiol.51:257-283;Cohen,et al.,1998,Oncogene 17:2445-56;Proba et al.,1998,J.Mol.Biol.275:245-253;Cohen et al.,1998,Oncogene 17:2445-2456;Hassanzadeh,et al.,1998,FEBS Lett.437:81-6;Richardson et al.,1998,Gene Ther.5:635-44;Ohage and Steipe,1999,J.Mol.Biol.291:1119-1128;Ohage et al.,1999,J.Mol.Biol.291:1129-1134;Wirtz and Steipe,1999,Protein Sci.8:2245-2250;Zhu et al.,1999,J.Immunol.Methods 231:207-222;Arafat et al.,2000,Cancer Gene Ther.7:1250-6;der Maur et al.,2002,J.Biol.Chem.277:45075-85;Mhashilkar et al.,2002,Gene Ther.9:307-19;及びWheeler et al.,2003,FASEB J.17:1733-5;ならびにこれらに引用される参考文献)で開示及び概説されているような、当技術分野で公知の方法を使用して生成してもよい。
いくつかの態様では、本発明のペイロードに、米国特許第5,091,513号に記載されている生合成抗体をコードしてもよく、その内容はその全体を参照により本明細書に援用する。そのような抗体は、生合成抗体結合部位(BABS)として振る舞う領域を構成するアミノ酸の1つ以上の配列を含み得る。この部位は、1)非共有結合またはジスルフィド結合した合成VH及びVL二量体、2)VH及びVLがポリペプチドリンカーによって結合したVH-VLまたはVL-VH単鎖、または3)個々のVHまたはVLドメインを含む。結合ドメインは、別個の免疫グロブリンに由来し得る連結されたCDR及びFR領域を含む。生合成抗体はまた、例えば、酵素、毒素、結合部位、または固定化媒体もしくは放射性原子への付着部位として機能する他のポリペプチド配列を含む場合がある。生合成抗体の産生方法、抗体のin vivo生成により誘発され得る任意の特異性を有するBABSの設計方法、及びその類似体の産生方法を開示する。
いくつかの実施形態では、ペイロードに、米国特許第8,399,625号に示されている抗体アクセプターフレームワークを備えた抗体をコードしてもよい。そのような抗体アクセプターフレームワークは、目的抗体からのCDRの受容に特に好適であり得る。
一実施形態では、抗体は、条件的活性型生物学的タンパク質であってもよい。抗体を使用して、野生型の通常の生理学的条件で可逆的または不可逆的に不活性化される条件的活性型生物学的タンパク質を生成し、また、そのような条件的活性型生物学的タンパク質及びそのような条件的活性型生物学的タンパク質の使用を提供してもよい。そのような方法及び条件的活性型タンパク質は、例えば、国際公開第WO2015175375号及び第WO2016036916号及び米国特許公開第US20140378660号に示されており、これらの各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
抗体の調製
モノクローナルであるかポリクローナルであるかに関わらず、抗体の調製は、当技術分野で公知である。抗体の産生技術は、当技術分野で周知であり、例えば、Harlow and Lane “Antibodies,A Laboratory Manual”,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988;Harlow and Lane “Using Antibodies:A Laboratory Manual”Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999及び“Therapeutic Antibody Engineering:Current and Future Advances Driving the Strongest Growth Area in the Pharmaceutical Industry”Woodhead Publishing,2012に記載されている。
本明細書に記載の抗体ならびにその断片及びバリアントは、組換えポリヌクレオチドを用いて産生することができる。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、抗体、その断片またはバリアントの少なくとも1つをコードするモジュール設計を有する。非限定的な例として、ポリヌクレオチド構築物に、以下の設計のいずれかをコードしてもよい:(1)抗体の重鎖、(2)抗体の軽鎖、(3)抗体の重鎖及び軽鎖、(4)リンカーによって分離された重鎖及び軽鎖、(5)VH1、CH1、CH2、CH3ドメイン、リンカー及び軽鎖、または(6)VH1、CH1、CH2、CH3ドメイン、VL領域、及び軽鎖。これらの設計はいずれも、任意のドメイン及び/または領域間にオプションのリンカーを含む場合がある。本発明のポリヌクレオチドは、本明細書に記載の抗体またはその構成要素部分のいずれかを出発分子として使用して、標準クラスの免疫グロブリンを産生するように設計してもよい。
また、当技術分野で周知であり、例えば、Clackson et al.,1991,Nature 352:624-628;Marks et al.,1991,J.Mol.Biol.222:581-597に記載されている技術を使用して、ファージ抗体ライブラリから組換え抗体断片を単離してもよい。組換え抗体断片は、細菌での組換えにより生成された大規模ファージ抗体ライブラリに由来するものであってもよい(Sblattero and Bradbury,2000,Nature Biotechnology 18:75-80;その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。
免疫療法に使用する抗体
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、腫瘍特異性抗原(TSA)及び腫瘍関連抗原(TAA)に特異的な抗体、その断片及びバリアントであってもよい。抗体は、TSA/TAAを発見し結合するまで体内を循環する。ひとたび結合すると、抗体は、免疫系の他の部分を動員し、ADCC(抗体依存性細胞傷害)及びADCP(抗体依存性細胞食作用)を高めて腫瘍細胞を破壊する。本明細書中で使用する場合、用語「腫瘍特異性抗原(TSA)」とは、腫瘍細胞で産生される抗原性物質を意味し、宿主生物内に抗腫瘍免疫応答を引き起こすことができる。一実施形態では、TSAは腫瘍新生抗原であってもよい。腫瘍抗原特異性抗体は、同じ抗原を発現している腫瘍細胞に対する補体依存性細胞傷害反応を媒介する。
いくつかの実施形態では、腫瘍特異性抗原(TSA)、腫瘍関連抗原(TAA)、病原体関連抗原、またはその断片は、ペプチドまたはインタクトなタンパク質またはその一部として発現させることができる。インタクトなタンパク質またはその一部は、天然であるか、または変異誘発することができる。本明細書に記載のがんまたはウイルス誘発がんに関連する抗原は、当技術分野で周知である。そのようなTSAまたはTAAは、既にがんに関連していてもよく、または当技術分野で公知の任意の方法によって同定してもよい。
一実施形態では、抗原はCD19であり、CD19は、B細胞の発達を通じて発現するB細胞表面タンパク質である。CD19は周知のB細胞表面分子であり、B細胞受容体の活性化により、B細胞抗原受容体が誘導するB細胞集団のシグナル伝達及び増殖を促進する。CD19は、正常及び腫瘍性B細胞の両方において広く発現している。慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、及び多くの非ホジキンリンパ腫などのB細胞由来の悪性腫瘍は、多くの場合、CD19発現を保持している。このほぼ普遍的な発現と単一細胞系統に対する特異性により、CD19は免疫療法の魅力的な標的となっている。ヒトCD19には14個のエキソンがあり、エキソン1~4はCD19の細胞外部分をコードし、エキソン5はCD19の膜貫通部分をコードし、エキソン6~14は細胞質尾部をコードする。
一実施形態では、本発明のペイロードは、CD19抗原に特異的な抗体、その断片及びバリアントであってもよい。
一実施形態では、本発明のペイロードは、FMC63抗体、バリアントの抗体断片であってもよい。FMC63は、B細胞系統の細胞上のCD19抗原と反応するCD19抗原に特異的なIgG2aマウスモノクローナル抗体クローンである。FMC63抗体によって認識されるCD19のエピトープは、エキソン2に存在する(Sotillo et al(2015)Cancer Discov;5(12):1282-95;その内容はその全体を参照により援用する)。いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、4G7、SJ25C1、CVID3/429、CVID3/155、HIB19、及びJ3-119を含むがこれらに限定されない他のCD19モノクローナル抗体クローンであってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、表4の配列から選択されるアミノ酸配列を有する可変重鎖及び可変軽鎖を含み得る。
腫瘍特異性抗原(TSA)は、腫瘍新生抗原であってもよい。新生抗原とは、タンパク質のコーディング配列を変化させ、したがって新規外来抗原を創生する遺伝子変異または転写の変化が原因で、腫瘍細胞でのみ発現する変異型抗原である。遺伝的変化は、遺伝子置換、挿入、欠失、または天然同族タンパク質(すなわち、正常細胞で発現する分子)の任意の他の遺伝子変化から生じる。CD19に関して、エキソン2を欠損するか、もしくはエキソン5~6を欠損するか、またはその両方であるCD19の転写バリアントなどの新生抗原が記載されている(国際特許公開第WO2016061368号参照;その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。FMC63結合エピトープはエキソン2に位置するため、エキソン2を欠損するCD19新生抗原は、FMC63抗体によって認識されない。したがって、いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、FMC63とは別個の抗体、またはその断片を含み得る。本明細書中で使用する場合、「FMC63とは別個の」とは、免疫学的に特異的であり、FMC63によって結合されるCD19抗原のエピトープとは異なるかまたは類似しないCD19抗原のエピトープに結合する抗体またはその断片を指す。いくつかの例では、本発明の抗体には、エキソン2を欠損するCD19新生抗原を含むCD19新生抗原を認識するCD19抗体、抗体断片またはバリアントが含まれ得る。一実施形態では、抗体またはその断片は、エキソン1、3及び/または4によってコードされるCD19に免疫学的に特異的である。一実施例では、抗体またはその断片は、エキソン1によってコードされるCD19の部分を架橋するエピトープ及びエキソン3によってコードされるCD19の部分に特異的である。
キメラ抗原受容体(CAR)
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードはキメラ抗原受容体(CAR)であってもよく、それは、免疫細胞(例えば、T細胞及びNK細胞)に形質導入した場合に、CARの細胞外標的部分によって認識される分子を発現する標的(例えば、腫瘍細胞)に対して免疫細胞をリダイレクトすることができる。
本明細書中で使用する場合、用語「キメラ抗原受容体(CAR)」とは、T細胞の表面上のTCRを模倣する合成受容体を指す。一般的に、CARは細胞外標的化ドメイン、膜貫通ドメイン/領域及び細胞内シグナル伝達/活性化ドメインからなる。標準的なCAR受容体では、構成要素:細胞外ターゲティングドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内シグナル伝達/活性化ドメインは、単一の融合タンパク質として直鎖状に構築される。細胞外領域は、特定の腫瘍抗原または他の腫瘍細胞表面分子を認識するターゲティングドメイン/部分(例えば、scFv)を含む。細胞内領域は、TCR複合体のシグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζのシグナル領域)、及び/または1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、CD28、4-1BB(CD137)及びOX-40(CD134)由来のドメインを含み得る。例えば、「第1世代CAR」は、CD3ζシグナル伝達ドメインのみを有する。T細胞の持続性と増殖を増強するために、共刺激細胞内ドメインが追加され、CD3ζシグナルドメインに加えて1つの共刺激シグナル伝達ドメインを有する第2世代CAR、及びCD3ζシグナルドメインに加えて2つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインを有する第3世代CARが生み出される。CARは、T細胞で発現する場合、CARの細胞外ターゲティング部分によって決定される抗原特異性をT細胞に与える。最近では、ホーミング遺伝子や自殺遺伝子などの1つ以上のエレメントを追加して、第4世代CARと呼ばれる、より適格で安全なCARのアーキテクチャを開発することも望まれている。
いくつかの実施形態では、細胞外ターゲティングドメインを、ヒンジ(間隙ドメインまたはスペーサーとも呼ばれる)及び膜貫通領域を介して細胞内シグナル伝達ドメインに結合させる。ヒンジは、細胞外ターゲティングドメインを、細胞膜を横断し、細胞内シグナル伝達ドメインに接続する膜貫通ドメインに接続する。ターゲティング部分が結合する標的タンパク質のサイズ、及びターゲティングドメイン自体のサイズと親和性に起因して、がん細胞に対するCAR形質転換細胞の効力を最適化するために、ヒンジを変化させる必要がある場合がある。標的細胞に対するターゲティング部分の認識及び結合により、細胞内シグナル伝達ドメインは、活性化シグナルをCAR T細胞に導き、これは1つ以上の細胞内共刺激ドメインからの「第2シグナル」によってさらに増幅される。CAR T細胞は、活性化されると、標的細胞を破壊することができる。
いくつかの実施形態では、本発明のCARを2つの部分に分割してもよく、各部分を二量体化ドメインに連結し、その結果、二量体化を引き起こす入力により、インタクトな機能的受容体の組立てが促進される。WuとLimは最近、細胞外CD19結合ドメインと細胞内シグナル伝達エレメントを分離し、FKBPドメイン及びFRB*(FKBP-ラパマイシン結合のT2089L変異体)ドメインに連結させ、これらがラパマイシンアナログAP21967の存在下でヘテロ二量体化する、スプリットCARを報告した。スプリット受容体はAP21967の存在下で組み立てられ、特異的な抗原結合とともにT細胞を活性化する(Wu et al,,Science,2015,625(6258):aab4077)。
いくつかの実施形態では、本発明のCARを誘導性CARとして設計してもよい。Sakemuraらは最近、CD19 CAR構築物へのTet-On誘導系の組み込みを報告した。CD19 CARは、ドキシサイクリン(Dox)の存在下でのみ活性化する。Sakemuraは、Dox存在下でのTet-CD19CAR T細胞は、従来のCD19CAR T細胞に比べて、CD19+細胞株に対して同等に細胞傷害性であり、CD19刺激時に同等のサイトカイン産生及び増殖を有することを報告した(Sakemura et al.,Cancer Immuno.Res.,2016,Jun 21,電子版)。一実施例では、このTet-CARは、本発明のSRE(例えば、DD)の制御下にあるエフェクターモジュールのペイロードであってもよい。デュアルシステムは、形質導入したT細胞のCAR発現のオン/オフをより柔軟に提供する。
本発明によれば、本発明のペイロードは、第1世代のCAR、または第2世代のCAR、または第3世代のCAR、または第4世代のCARであってもよい。CAR構築物を含む代表的なエフェクターモジュールの実施形態を、図13~18に示す。いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、細胞外ドメイン、ヒンジ及び膜貫通ドメインならびに細胞内シグナル伝達領域からなる完全CAR構築物であってもよい。他の実施形態では、本発明のペイロードは、リーダー配列、ホーミングエレメント及び安全スイッチ、またはそのような構成要素の組み合わせを含むがこれらに限定されない、CARアーキテクチャ及び機能を向上させる、細胞外ターゲティング部分、ヒンジ領域、膜貫通ドメイン、細胞内シグナル伝達ドメイン、1つ以上の共刺激ドメイン、ならびに他の追加のエレメントを含む、完全CAR構築物の構成要素であってもよい。
本発明の生体回路及び組成物により調節されるCARは調整可能であり、それによりいくつかの利点を提供する。可逆的なオン/オフスイッチ機構により、CAR-T細胞の過剰な増殖によって引き起こされる急性毒性を管理することができる。本発明のSREを使用するパルス状のCAR発現は、リガンドレベルをサイクル化することにより達成され得る。リガンドによるCARの調節は、抗原の喪失によって誘発される腫瘍エスケープを相殺し、慢性的な抗原曝露による持続性シグナル伝達によって引き起こされる機能的消耗を回避し、CAR発現細胞のin vivoでの持続性を向上させるのに有効である可能性がある。
いくつかの実施形態では、本発明の生体回路及び組成物を利用してCAR発現を下方制御し、腫瘍崩壊症候群によって引き起こされるオンターゲット、オン組織の傷害性を制限してもよい。抗腫瘍効果に続く本発明のCARの発現の下方制御は、(1)正常組織における抗原発現により引き起こされるオンターゲット、オフ腫瘍の傷害性、(2)in vivoでの抗原非依存的活性化を予防し得る。
一実施形態では、より低い親和性を有するCARの選択は、より多くのT細胞シグナル伝達及びより少ない傷害性を提供し得る。
細胞外ターゲティングドメイン/部分
本発明によれば、CARの細胞外標的部分は、所定の標的分子、例えば腫瘍細胞上の新生抗原を高い特異性及び親和性で認識及び結合する任意の薬剤であってもよい。標的部分は、腫瘍細胞上の標的分子に特異的に結合する抗体及びそのバリアント、または腫瘍細胞上の標的分子に結合する能力に基づいてランダム配列プールから選択されたペプチドアプタマー、または腫瘍細胞上の標的分子に結合することができるバリアントもしくはその断片、または天然T細胞受容体(TCR)由来の抗原認識ドメイン(例えば、HIV感染細胞を認識するCD4細胞外ドメイン)、またはサイトカイン受容体を有する標的細胞の認識を誘導する結合サイトカインなどの外来の認識成分、または受容体の天然リガンドであってもよい。
いくつかの実施形態では、CARのターゲティングドメインは、標的分子、例えば腫瘍特異性抗原(TSA)を特異的に認識する抗体に由来する、Ig NAR、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)’2フラグメント、F(ab)’3フラグメント、Fv、単鎖可変フラグメント(scFv)、bis-scFv、(scFv)2、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ジスルフィド安定化Fvタンパク質(dsFv)、ユニットボディ、ナノボディ、または抗原結合領域であってもよい。一実施形態では、ターゲティング部分はscFv抗体である。scFvドメインは、CAR T細胞の表面で発現し、その後がん細胞上の標的タンパク質に結合すると、CAR T細胞をがん細胞の近くに維持し、T細胞の活性化を引き起こすことができる。scFvは、通常の組換えDNA技術を用いて生成することができ、これについて本発明において考察する。
一実施形態では、CARのターゲティング部分はCD19を認識し得る。CD19は周知のB細胞表面分子であり、B細胞受容体の活性化により、B細胞抗原受容体が誘導するB細胞集団のシグナル伝達及び増殖を促進する。CD19は、正常及び腫瘍性B細胞の両方において広く発現する。慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、及び多くの非ホジキンリンパ腫などのB細胞に由来する悪性腫瘍は、多くの場合、CD19発現を保持している。このほぼ普遍的な発現と単一細胞系統に対する特異性により、CD19は免疫療法の魅力的な標的となっている。ヒトCD19には14個のエキソンがあり、エキソン1~4はCD19の細胞外部分をコードし、エキソン5はCD19の膜貫通部分をコードし、エキソン6~14は細胞質尾部をコードする。一実施形態では、ターゲティング部分は、FMC63抗体の可変領域に由来するscFvを含み得る。FMC63は、B系統の細胞上のCD19抗原と反応するCD19抗原に特異的なIgG2aマウスモノクローナル抗体クローンである。FMC63抗体によって認識されるCD19のエピトープは、エキソン2に位置する(Sotillo et al(2015)Cancer Discov;5(12):1282-95;その内容はその全体を参照により援用する)。いくつかの実施形態では、CARのターゲティング部分は、4G7、SJ25C1、CVID3/429、CVID3/155、HIB19、及びJ3-119を含むがこれらに限定されない他のCD19モノクローナル抗体クローンの可変領域に由来する場合がある。
いくつかの実施形態では、CARのターゲティング部分は、腫瘍特異性抗原(TSA)、例えば、タンパク質コード配列を変化させ、したがって新規外来抗原を創生する遺伝子変異または転写の変化が原因で、腫瘍細胞でのみ発現するがん新生抗原を認識し得る。遺伝的変化は、天然同族タンパク質(すなわち、正常細胞で発現する分子)の遺伝的置換、挿入、欠失、または任意の他の遺伝的変化から生じる。CD19に関して、TSAは、エキソン2を欠損するか、またはエキソン5~6を欠損するか、またはその両方であるヒトCD19の転写バリアントを含み得る(国際特許公開第WO2016061368号参照;その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。FMC63結合エピトープは、エキソン2に位置するため、エキソン2を欠損するCD19はFMC63抗体によって認識されない。したがって、いくつかの実施形態では、CARのターゲティング部分はFMC63とは別個のscFVであり得る。本明細書中で使用する場合、「FMC63とは別個の」とは、免疫学的に特異的であり、FMC63によって結合されるCD19抗原のエピトープとは異なるか、または類似していないCD19抗原のエピトープに結合する抗体、scFvまたはその断片を指す。いくつかの例では、ターゲティング部分は、エキソン2を欠損するCD19抗原を認識する場合がある。一実施形態では、ターゲティング部分は、エキソン1、3、及び/または4によってコードされるCD19の断片を認識する。一実施例では、ターゲティング部分は、エキソン1によってコードされるCD19の部分とエキソン3によってコードされるCD19の部分とを架橋するエピトープを認識する。
いくつかの実施形態では、本発明のターゲティング部分は、表5のアミノ酸配列を有するscFvであってもよい。
細胞内シグナル伝達ドメイン
CAR融合ポリペプチドの細胞内ドメインは、その標的分子に結合した後、免疫エフェクター細胞にシグナルを伝達し、細胞溶解活性(例えば、サイトカイン分泌)またはヘルパー活性を含む、免疫エフェクター細胞の正常なエフェクター機能の少なくとも1つを活性化する。したがって、細胞内ドメインは、T細胞受容体(TCR)の「細胞内シグナル伝達ドメイン」を含む。
いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメイン全体を使用することができる。他の態様では、そのドメインがエフェクター機能シグナルを伝達する限り、インタクトな鎖の代わりに細胞内シグナル伝達ドメインの短縮部分を使用してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)として知られるシグナル伝達モチーフを含み得る。細胞質シグナル伝達配列を含むITAMの例として、TCR CD3ζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、及びCD66dに由来するITAMが挙げられる。一例実施では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ(CD3ζ)シグナル伝達ドメインである。
いくつかの実施形態では、本発明の細胞内領域は、免疫エフェクター細胞に追加のシグナルを提供する1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む。これらの共刺激シグナル伝達ドメインを、シグナル伝達ドメインと併用して、CAR改変した免疫細胞(CAR T細胞など)の増殖、活性化、記憶、持続性、及び腫瘍根絶効率をさらに向上させることができる。いくつかの場合では、共刺激シグナル伝達領域は、1つ以上の細胞内シグナル伝達分子及び/または共刺激分子の1、2、3、または4つの細胞質ドメインを含む。共刺激シグナル伝達ドメインは、CD2、CD7、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD30、CD40、ICOS(CD278)、GITR(グルココルチコイド誘発腫瘍壊死因子受容体)、LFA-1(リンパ球機能関連抗原-1)、LIGHT、NKG2C、B7-H3を含むがこれらに限定されない共刺激分子の細胞内/細胞質ドメインであってもよい。一実施例では、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28の細胞質ドメインに由来する。別の実施例では、共刺激シグナル伝達ドメインは、4-1BB(CD137)の細胞質ドメインに由来する。別の実施例では、共刺激シグナル伝達ドメインは、米国特許第9,175,308号に示されているようなGITRの細胞内ドメインであってもよく;その内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
いくつかの実施形態では、本発明の細胞内領域は、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化タンパク質(SLAM)、例えば、CD48、CD229、2B4、CD84、NTB-A、CRACC、BLAME、CD2F-10、SLAMF6、SLAMF7、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、IL15Ra、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、NKD2C SLP76、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、CD270(HVEM)、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、CD83と特異的に結合するリガンド、DAP10、TRIM、ZAP70、キラー細胞免疫グロブリン受容体(KIR)、例えば、KIR2DL1、KIR2DL2/L3、KIR2DL4、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DL1/S1、KIR3DL2、KIR3DL3、及びKIR2DP1;レクチン関連NK細胞受容体、例えば、Ly49、Ly49A、及びLy49Cからなる群から選択されるタンパク質由来の機能的シグナル伝達ドメインを含み得る。
いくつかの実施形態では、本発明の細胞内シグナル伝達ドメインは、JAK-STAT由来のシグナル伝達ドメインを含み得る。他の実施形態では、本発明の細胞内シグナル伝達ドメインは、DAP-12(細胞死関連タンパク質12)由来のシグナル伝達ドメインを含み得る(Topfer et al.,Immunol.,2015,194:3201-3212;及びWang et al.,Cancer Immunol.,2015,3:815-826)。DAP-12はNK細胞の重要なシグナル伝達受容体である。DAP-12によって媒介される活性化シグナルは、特定の腫瘍細胞及びウイルス感染細胞に対するNK細胞の細胞傷害性応答の誘発において重要な役割を果たす。DAP12の細胞質ドメインには、免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)が含まれる。したがって、DAP12由来のシグナル伝達ドメインを含むCARは、NK細胞の養子移入に使用してもよい。
いくつかの実施形態では、別個の共刺激ドメインを組み込んだ2つ以上のCARで改変し、別個のDDにより調節されるT細胞を使用して、下流のシグナル伝達の速度制御を提供してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の細胞内ドメインは、表6のアミノ酸配列を含み得る。
膜貫通ドメイン
いくつかの実施形態では、本発明のCARは膜貫通ドメインを含み得る。本明細書中で使用する場合、用語「膜貫通ドメイン(TM)」とは、原形質膜にまたがる長さ約15残基のアミノ酸配列を広く指す。より好ましくは、膜貫通ドメインは、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、または45アミノ酸残基を含み、原形質膜にまたがっている。いくつかの実施形態では、本発明の膜貫通ドメインは、天然源または合成源のいずれかに由来するものであってよい。CARの膜貫通ドメインは、いずれかの天然の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来するものであってよい。例えば、膜貫通領域は、T細胞受容体、CD3ε、CD4、CD5、CD8、CD8α、CD9、CD16、CD22、CD33、CD28、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD152、またはCD154のα、βまたはζ鎖に由来する(すなわち、少なくともその膜貫通領域(複数可)を含む)ものであってもよい。
あるいは、本発明の膜貫通ドメインは合成によるものであってもよい。いくつかの態様では、合成配列は、ロイシン及びバリンなどの主に疎水性残基を含み得る。
いくつかの実施形態では、本発明の膜貫通ドメインは、CD8α膜貫通ドメイン、CD4膜貫通ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、CTLA-4膜貫通ドメイン、PD-1膜貫通ドメイン、及びヒトIgG4 Fc領域からなる群から選択され得る。非限定的な例として、膜貫通ドメインは、国際特許公開第WO2014/100385号の配列番号1~5のアミノ酸配列を有するCTLA-4膜貫通ドメイン;及び国際特許公開第WO2014100385号の配列番号6~8のアミノ酸配列を有するPD-1膜貫通ドメインであってもよく;その各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、任意のヒンジ領域(スペーサーとも呼ばれる)を含み得る。ヒンジ配列は、細胞外ターゲティング領域の可撓性を促進する短いアミノ酸配列であり、標的結合ドメインをエフェクター細胞表面から遠ざけて、適切な細胞/細胞接触、標的結合、及びエフェクター細胞活性化を可能にする(Patel et al.,Gene Therapy,1999;6:412-419)。ヒンジ配列は、ターゲティング部分と膜貫通ドメインの間に配置してもよい。ヒンジ配列は、任意の適切な分子に由来するかまたはそれから得られる任意の適切な配列であり得る。ヒンジ配列は、免疫グロブリン(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)のヒンジ領域のすべてまたは一部、すなわち、免疫グロブリンのCH1ドメインとCH2ドメインの間にある配列、例えば、IgG4 Fcヒンジ、1型膜タンパク質の細胞外領域、例えば、CD8α CD4、CD28及びCD7(これは野生型配列または誘導体であってもよい)に由来するものであってもよい。いくつかのヒンジ領域には、免疫グロブリンCH3ドメインか、またはCH3ドメインとCH2ドメインの両方が含まれる。特定の実施形態では、ヒンジ領域は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4から改変してもよく、未修飾のヒンジに存在するアミノ酸残基とは異なるアミノ酸残基で置換された1残基以上の、例えば1、2、3、4または5残基のアミノ酸残基を含む。表7に、本明細書に記載のCARで使用することができる様々な膜貫通領域を示す。
本発明において有用なヒンジ領域配列を表8Aに提供する。
本発明において有用なヒンジ及び膜貫通領域配列を表8Bに提供する。
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、CARの任意のドメイン間に1つ以上のリンカーを含み得る。リンカーは1~30アミノ酸長であってもよい。この点で、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30アミノ酸長であり得る。他の実施形態では、リンカーは可撓性であってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のターゲティング部分、膜貫通ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む構成要素を、単一の融合ポリペプチドとして構築してもよい。融合ポリペプチドは、本発明のエフェクターモジュールのペイロードであってもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上のCAR融合ポリペプチドをエフェクターモジュールに含ませてもよく、例えば、単一のSRE(例えば、DD)の制御下の2つ、3つまたはそれ以上のCARをエフェクターモジュールに含ませてもよい。CARペイロードを含む代表的なエフェクターモジュールを図2~6に示す。
いくつかの実施形態では、CAR配列は表9から選択され得る。
本発明の一実施形態では、本発明のペイロードは、異なるB細胞を標的とするCD19特異的CARである。本発明に関して、エフェクターモジュールは、CD19 CAR融合構築物に作動可能に連結したhDHFR DD、ecDHFR DD、またはFKBP DDを含み得る。いくつかの例では、ベクター内のエフェクターモジュールの発現を駆動するために利用するプロモーターは、CMVプロモーターまたはEF1aであってもよい。同じ構築物の発現を駆動する際のプロモーターの効率を比較してもよい。例えば、プロモーターであるCMV(OT-CD19N-001)またはEF1aプロモーター(OT-CD19N-017)のみが異なる2つの構築物を比較してもよい。CD19 CAR構築物及びその構成要素のアミノ酸配列を表10a及び表10bに示す。表10a及び/または表10bのアミノ酸配列は、アミノ酸配列の最後に「
*」を付けて表に示す停止コドンを含む場合がある。
いくつかの例では、CMVプロモーターにより転写制御される表10に開示する構築物を異なるプロモーターの転写制御下に置いてCD19 CAR発現におけるプロモーターの役割を試験してもよい。一実施形態では、CMVプロモーターをEF1aプロモーターで置換してもよい。一実施形態では、OT-CD19-001構築物のCMVプロモーターをEF1aプロモーターで置換して、OT-CD19N-017構築物を生成してもよい。別の実施形態では、CD19 CARであるOT-CD19 CAR-002構築物のCMVプロモーターをEF1aプロモーターで置換して、OT-CD19N-018構築物を生成してもよい。別の実施形態では、CD19 CARであるOT-CD19 CAR-003構築物のCMVプロモーターをEF1aプロモーターで置換して、OT-CD19N-019構築物を生成してもよい。別の実施形態では、CD19 CARであるOT-CD19 CAR-004構築物のCMVプロモーターをEF1aプロモーターで置換して、OT-CD19N-020構築物を生成してもよい。別の実施形態では、CD19 CARであるOT-CD19 CAR-005構築物のCMVプロモーターをEF1aプロモーターで置換して、OT-CD19N-021構築物を生成してもよい。別の実施形態では、CD19 CARであるOT-CD19 CAR-006構築物のCMVプロモーターをEF1aプロモーターで置換して、OT-CD19N-022構築物を生成してもよい。別の実施形態では、CD19 CARであるOT-CD19 CAR-007構築物のCMVプロモーターをEF1aプロモーターで置換して、OT-CD19N-023構築物を生成してもよい。別の実施形態では、CD19 CARであるOT-CD19 CAR-008構築物のCMVプロモーターをEF1aプロモーターで置換して、OT-CD19N-024構築物を生成してもよい。別の実施形態では、CD19 CARであるOT-CD19 CAR-009構築物のCMVプロモーターをEF1aプロモーターで置換して、OT-CD19N-025構築物を生成してもよい。
一実施形態では、CAR構築物は、CD19 scFV(例えば、CAT13.1E10またはFMC63)、CD8αスペーサーまたは膜貫通ドメイン、ならびに4-1BB及びCD3ζエンドドメインを含む。CAT13.1E10を有するこれらの構築物は、FMC63を有する構築物に比べて、in vitroでの刺激後の増殖の増加、CD19+標的に対する細胞傷害性の増加、及びエフェクター-標的間の相互作用の増加を示す。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードを、E3ユビキチンリガーゼの触媒ドメインを用いて調整してもよい。E3リガーゼの触媒ドメインを、抗体または抗体の断片と融合させてもよい。E3リガーゼ触媒ドメインと融合させた抗体または抗体断片によって認識される抗原に、ペイロードを融合させる。本発明において有用なE3リガーゼとして、Ring E3リガーゼ、HECT E3リガーゼ及びRBR E3リガーゼが挙げられるが、これらに限定されない。Kanner SA et al.(2017)eLife;6:e29744によって示された方法のいずれかは、本発明において有用であり得る(その内容はその全体を参照により援用する)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のペイロードを、E3ユビキチンリガーゼ構築物により調節してもよい。E3リガーゼ構築物は、SRE及び抗体または抗体断片に融合させたE3リガーゼの触媒ドメインを含み得る。E3リガーゼの触媒ドメインに付加した抗体または抗体断片によって認識される抗原に、ペイロードを融合させる。SREに対応する刺激の非存在下では、E3ユビキチンリガーゼ構築物は不安定化され、抗原と融合したペイロードは発現可能になる。SREに対応するリガンドの存在下では、E3ユビキチンリガーゼ構築物は安定化され、ペイロードと融合した抗原に結合することができる。E3リガーゼ構築物の抗原への結合は、分解のためにタンパク質を標的とする。E3ユビキチンリガーゼ構築物中の抗体または抗体断片によって認識される抗原にペイロードを融合させる限りにおいて、E3ユビキチンリガーゼ構築物を使用して、本明細書に記載の任意のペイロードを調節し得る。いくつかの実施形態では、ペイロードはキメラ抗原受容体である。E3ユビキチンリガーゼ構築物を使用して論理ゲートを設計してもよい。一実施形態では、E3ユビキチンリガーゼ構築物を使用してNOTゲートを生成してもよく、1つのリガンドがペイロードの発現を誘導し、別のリガンドがペイロードの発現を阻害する。いくつかの実施形態では、E3ユビキチンリガーゼ構築物を使用し、ペイロード-抗原融合タンパク質をE3ユビキチンリガーゼ構築物のSREとは別個の第2のSREと融合させることにより、NOTゲートを生成してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、本明細書に記載の共刺激分子及び/または細胞内ドメインのいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、それぞれ異なるSREの制御下にある1つ以上の共刺激分子を本発明で使用してもよい。SRE調節共刺激分子はまた、第1世代CAR、第2世代CAR、第3世代CAR、第4世代、または本明細書に記載の任意の他のCAR設計とともに発現させてもよい。
タンデムCAR(TanCAR)
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の腫瘍特異性抗原を標的とすることができるタンデムキメラ抗原受容体(TanCAR)であってもよい。いくつかの態様では、CARは、腫瘍細胞上の2つの異なるTSAを認識する2つのターゲティングドメインを含む二重特異性TanCARである。二重特異性CARは、第1の腫瘍抗原に特異的なターゲティングドメイン(例えば、抗原認識ドメイン)及び第2の腫瘍抗原に特異的なターゲティングドメイン(例えば、抗原認識ドメイン)を含む細胞外領域を有するとさらに定義され得る。他の態様では、CARは、タンデム配置で構成された3つ以上のターゲティングドメインを含む多重特異性TanCARである。TanCARのターゲティングドメイン間のスペースは、長さが約5~約30アミノ酸の間、例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、及び30アミノ酸であってもよい。
スプリットCAR
いくつかの実施形態では、本発明のターゲティング部分、膜貫通ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む構成要素を2つ以上の部分に分割し、インタクトな機能的受容体の組み立てを促進する複数の入力に依存するようにしてもよい。一実施形態では、活性化CAR受容体の組み立てが、SRE(例えば小分子)へのリガンドの結合及びターゲティング部分への特異的抗原の結合に依存する、分割合成CAR系を構築することができる。非限定的な例として、スプリットCARは、小分子依存的な方式で組み立てられる2つの部分からなり、受容体の一方の部分が細胞外抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を特徴とし、もう一方の部分がCD3ζ細胞内ドメインなどの細胞内シグナル伝達ドメインを有する。
他の態様では、CAR系の分割部分をさらに改変して、シグナルを増加させることができる。一実施例では、細胞質断片の第2部分は、膜貫通ドメイン(例えば、CD8α膜貫通ドメイン)を構築物に組み込むことにより原形質膜に固定してもよい。また、追加の細胞外ドメイン、例えばホモ二量体化を媒介する細胞外ドメインをCAR系の第2の部分に追加してもよい。これらの改変は、受容体出力活性、すなわちT細胞活性化を高め得る。
いくつかの態様では、スプリットCAR系の2つの部分は、ヘテロ二量体化小分子の結合時に条件的に相互作用するヘテロ二量体化ドメインを含む。かくして、受容体の構成要素は、小分子の存在下で組み立てられ、インタクトな系を形成し、その後、抗原の関与により活性化される。任意の公知のヘテロ二量体化成分を、スプリットCAR系に組み込むことができる。ジベレリン誘導二量体化系(GID1-GAI)、トリメトプリム-SLF誘導ecDHFR及びFKBP二量体化(Czlapinski et al.,J Am Chem Soc.,2008,130(40):13186-13187)及びPP2C及びPYLドメインのABA(アブシジン酸)誘導二量体化(Cutler et al.,Annu Rev Plant Biol.2010,61:651-679)を含むがこれらに限定されない他の小分子依存性ヘテロ二量体化ドメインもまた使用してよい。スプリットCAR系の誘導性組み立て(例えば、リガンド依存性二量体化)及び分解(例えば、不安定化ドメイン誘発CAR分解)を用いた二重調節により、CAR改変T細胞の活性をより柔軟に制御し得る。
切り替え可能なCAR
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、切り替え可能なCARであってもよい。Juilleratら(Juilerat et al.,Sci.Rep.,2016,6:18950;その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)は、刺激(例えば、小分子)に応じて一時的にスイッチオンできる制御可能なCARを最近報告した。このCAR設計では、CARの細胞膜ドメインからscFvドメインを分離するヒンジドメインに系を直接組み込む。そのような系は、TCRの天然アーキテクチャの複雑さを模倣する受容体複合体の異なる鎖内での活性化や共刺激など、CARの異なる重要な機能を分割または結合することができる。この統合系は、刺激の有無によって制御されるオン/オフ状態間でscFvと抗原の相互作用を切り替えることができる。
可逆CAR
他の実施形態では、本発明のCARは可逆CAR系であってもよい。このCARアーキテクチャでは、LIDドメイン(リガンド誘導分解)をCAR系に組み込む。LIDドメインのリガンドを添加することにより、CARを一時的に下方制御することができる。LIDとDDを介した調節の組み合わせにより、継続的に活性化されたCAR T細胞の調整可能な制御が提供され、それによってCARを介した組織傷害性が低減される。
活性化条件的CAR
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、活性化免疫細胞でのみ発現する活性化条件的キメラ抗原受容体であってもよい。例えばCARなどの配列の転写及び/または発現をその制御下で誘導する1つ以上の核酸配列を意味する活性化条件的制御領域とCARの発現を組み合わせてもよい。そのような活性化条件的制御領域は、免疫エフェクター細胞の活性化中に上方制御される遺伝子のプロモーター、例えば、IL2プロモーターまたはNFAT結合部位であってもよい。いくつかの実施形態では、免疫細胞の活性化を、構成的に発現するCARにより達成してもよい(国際公開第WO2016126608号;その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。
サイトカイン、ケモカイン、及び他の可溶性因子
本発明によれば、本発明のCARを本発明の他のペイロードと共に利用してもよく、それらは、サイトカイン、ケモカイン、増殖因子、ならびに免疫細胞、がん細胞及び他の細胞型によって産生される可溶性タンパク質であってもよく、これらは体内の細胞と組織の間の化学伝達物質として機能する。これらのタンパク質は、細胞の増殖、分化、移動、及び生存への影響から、多くのエフェクター活性に至るまで、幅広い生理学的機能を媒介する。例えば、活性化T細胞は、細胞傷害性機能のための様々なサイトカインを産生し、腫瘍細胞を排除する。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、インターロイキン、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロン(IFN)、TGFβ及びケモカインを含むがこれらに限定されないサイトカイン、ならびにその断片、バリアント、類似体、及び誘導体であってもよい。いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、免疫応答を刺激するサイトカインであってもよい。他の実施形態では、本発明のペイロードは、抗がん免疫応答に負の影響を与える、サイトカインのアンタゴニストであってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、サイトカイン受容体、組換え受容体、そのバリアント、類似体、及び誘導体;またはサイトカインのシグナル成分であってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のサイトカインを利用して、免疫療法に使用するCD8+TEM、ナチュラルキラー細胞及び腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)細胞などの免疫細胞の増殖、生存、持続性、及び効力を向上させてもよい。他の実施形態では、2つ以上のDD調節サイトカインで改変したT細胞を利用して、T細胞活性化及び腫瘍微小環境リモデリングの速度制御を提供する。一態様では、本発明は、サイトカイン療法に関連する毒性を最小限に抑えるための生体回路及び組成物を提供する。腫瘍量の軽減に成功したにもかかわらず、全身性サイトカイン療法は、多くの場合、重篤な用量制限的な副作用を発生させる。観察される毒性には2つの要因が寄与する(a)多面発現性であり、この場合、サイトカインは異なる細胞型に影響を与え、状況に応じて同じ細胞に反対の効果を生じる場合がある(b)サイトカインは血清半減期が短いため、治療効果を達成するために高用量で投与する必要があり、これにより多面発現効果が悪化する。一態様では、本発明のサイトカインを利用して、有害作用の事象においてサイトカイン発現を調節してもよい。いくつかの実施形態では、本発明のサイトカインを、寿命を延長させるか、または特異性を強化するように設計して毒性を最小化してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードはインターロイキン(IL)サイトカインであってもよい。インターロイキン(IL)は、免疫応答を調節するために白血球によって産生される糖タンパク質のクラスである。本明細書中で使用する場合、用語「インターロイキン(IL)」とは、任意の種または供給源に由来するインターロイキンポリペプチドを指し、完全長タンパク質ならびにタンパク質の断片または部分を含む。いくつかの態様では、インターロイキンのペイロードは、IL1、IL1α(ヘマトポエチン-1とも呼ばれる)、IL1β(カタボリン)、IL1δ、IL1ε、IL1η、IL1ζ、インターロイキン-1ファミリーメンバー1~11(IL1F1~IL1F11)、インターロイキン-1相同体1~4(IL1H1~IL1H4)、IL1関連タンパク質1~3(IL1RP1~IL1RP3)、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL10C、IL10D、IL11、IL11a、IL11b、IL12、IL13、IL14、IL15、IL16、IL17、IL17A、Il17B、IL17C、IL17E、IL17F、IL18、IL19、IL20、IL20様(IL20L)、Il21、IL22、IL23、IL23A、IL23-p19、IL23-p40、IL24、Il25、IL26、IL27、IL28A、IL28B、IL29、IL30、IL31、IL32、IL33、IL34、IL35、IL36α、IL36β、IL36γ、IL36RN、IL37、IL37a、IL37b、IL37c、IL37d、IL37e及びIL38から選択される。他の態様では、本発明のペイロードは、CD121a、CDw121b、IL2Rα/CD25、IL2Rβ/CD122、IL2Rγ/CD132、CDw131、CD124、CD131、CDw125、CD126、CD130、CD127、CDw210、IL8RA、IL11Rα、CD212、CD213α1、CD213α2、IL14R、IL15Rα、CDw217、IL18Rα、IL18Rβ、IL20Rα、及びIL20Rβから選択されるインターロイキン受容体であってもよい。
一実施形態では、本発明のペイロードはIL12を含み得る。IL12は、マクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞によって分泌される2つのサブユニット(p35、p40)のヘテロ二量体タンパク質である。IL12は、STAT4経路を介して、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、CD8+細胞傷害性T細胞、及びCD4+Tヘルパー細胞に作用し、これらのエフェクター免疫細胞でIFN-γ産生を誘導するタイプ1サイトカインである(Trinchieri G,Nat Rev Immunol.2003;3(2):133-146に概説)。IL12はNK細胞及びCD8+T細胞の細胞傷害活性を促進することができ、したがって抗腫瘍機能を有する。組換えIL12の静脈内注射は、少数の進行性メラノーマ及び腎細胞癌患者において中程度の臨床効果を示した(Gollob et al,Clin.Cancer Res.2000;6(5):1678-1692)。IL12は、メラノーマ抗原ワクチンを使用するか、またはペプチドパルス末梢血単核細胞を使用して、細胞傷害性免疫を強化し、トラスツズマブ治療により、乳癌のNK細胞活性を促進するためのアジュバントとして使用されている。腫瘍微小環境へのIL12の局所送達は、いくつかの腫瘍モデルで腫瘍退縮を促進する。これらの研究はすべて、局所的に増加したIL12レベルが抗腫瘍免疫を促進することができることを示している。組換えIL12タンパク質の、または腫瘍溶解性ウイルスベクターを介した全身投与もしくは局所投与の1つの主要な障害は、IL12を高レベルで提示させる場合の重篤な副作用である。IL12レベルを厳密に制御する系を開発することにより、がん治療におけるIL12の安全な使用を提供してもよい。
同じ遺伝子またはタンパク質に対する特定の遺伝子及び/またはタンパク質の命名法は、ダッシュ「-」などの句読点またはギリシャ文字などの記号を含むかまたは含まない場合があることは当技術分野において理解されている。これらが本明細書において含まれるか含まれないかに関わらず、当業者によって理解されるように、その意味が変更されることを意味するものではない。例えば、IL2、IL2、IL 2は同じインターロイキンを指す。同様に、TNFアルファ、TNFα、TNF-アルファ、TNF-α、TNF アルファ及びTNF αはすべて同じタンパク質を指す。
一態様では、本発明のエフェクターモジュールは、DD-IL12融合ポリペプチドであってもよい。この調節可能なDD-IL12融合ポリペプチドは、免疫療法薬として直接使用するか、または免疫エフェクター細胞(T細胞及びTIL細胞)に形質導入して、養子細胞導入のためのより大きなin vivo増殖及び生存能力を有する改変T細胞を生成してもよい。調節されたIL12を使用して、現在の養子細胞療法における厳しい前処理レジメンの必要性を最小化してもよい。DD-IL12を利用して、腫瘍微小環境を改変し、腫瘍抗原標的療法に現在抵抗性の固形腫瘍中での持続性を高めてもよい。いくつかの実施形態では、CAR発現T細胞を、DD調節されたIL12で防護して、全身毒性を伴わずに免疫抑制を軽減してもよい。
いくつかの実施形態では、IL12はFlexi IL12であってもよく、その場合、p35及びp40サブユニットの両方が単一のcDNAによってコードされ、単鎖ポリペプチドを産生する。単鎖ポリペプチドは、単鎖ポリペプチドのN末端またはC末端にp35サブユニットを配置することにより生成してもよい。同様に、p40サブユニットは、単鎖ポリペプチドのN末端またはC末端に位置していてもよい。いくつかの実施形態では、本発明のIL12構築物は、CMVプロモーター(配列番号716)、EF1aプロモーター(配列番号717、配列番号908)またはPGKプロモーター(配列番号718)の転写制御下に置いてもよい。全長または成熟IL12の1つ以上の機能を保持するIL12の任意の部分は、本発明において有用であり得る。いくつかの態様では、DD-IL12は、表11に挙げるアミノ酸配列を含む。表11のアミノ酸配列は、アミノ酸配列の末尾に「
*」を付けて表に示す終止コドンを含み得る。
一実施形態では、本発明のペイロードはIL15を含み得る。インターロイキン15は、強力な免疫刺激性サイトカインであり、T細胞及びナチュラルキラー細胞にとって不可欠な生存因子である。IL2とIL15を比較する前臨床試験では、IL15はIL2よりも毒性が低いことが示されている。いくつかの実施形態では、本発明のエフェクターモジュールは、DD-IL15融合ポリペプチドであってもよい。また、IL15ポリペプチドを改変して、IL15受容体に対するその結合親和性を高めてもよい。例えば、IL15の72位のアスパラギンをアスパラギン酸に置換してもよい(米国特許公開US20140134128A1の配列番号2;その内容はその全体を参照により援用する)。いくつかの実施形態では、本発明のIL15構築物を、CMVプロモーター(配列番号716)、EF1aプロモーター(配列番号717、配列番号908)またはPGKプロモーター(配列番号718)の転写制御下に置いてもよい。いくつかの態様では、DD-IL15は表12に記載のアミノ酸配列を有する。表12のアミノ酸配列は、アミノ酸配列の末尾に「
*」を付けて表に示す終止コドンを含む場合がある。
IL15を介した活性化のユニークな特徴は、トランスプレゼンテーションの機構であり、IL15は、同じ細胞上または異なる細胞上の膜結合IL15β/γ受容体に結合して活性化するIL15受容体αサブユニット(IL15Ra)との複合体として提示される。IL15/IL15Ra複合体は、IL15自体よりもIL15シグナル伝達の活性化に効果的である。したがって、いくつかの実施形態では、本発明のエフェクターモジュールは、DD-IL15/IL15Ra融合ポリペプチドを含む場合がある。一実施形態では、ペイロードは、米国特許公開第US20160158285A1号に記載されるIL15/IL15Ra融合ポリペプチドであってもよい(その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。IL15受容体αは、IL15への結合に必要な構造要素のほとんどを含むsushiドメインと呼ばれる細胞外ドメインを含む。したがって、いくつかの実施形態では、ペイロードは、米国特許公開第US20090238791A1号に記載のIL15/IL15Ra sushiドメイン融合ポリペプチドであってもよい(その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。
調節されたIL15/IL15Raを使用して、調節性T細胞、NK細胞及びTIL細胞に影響を与えることなくCD8TEM細胞集団の増殖、生存及び効力を促進してもよい。一実施形態では、DD-IL15/IL15Raを利用して、B細胞白血病及びリンパ腫におけるCD19指向性T細胞療法を強化してもよい。一態様では、IL15/IL15Raを本発明のペイロードとして使用して、現在のCAR-T治療パラダイムにおける事前調整レジメンの必要性を低減してもよい。
DD-IL15、DD-IL15/IL15Ra及び/またはDD-IL15/IL15Ra sushiドメインを含むエフェクターモジュールを、分泌されるように(例えば、IL2シグナル配列を使用して)、または膜結合するように(例えば、IgEまたはCD8aシグナル配列を使用して)設計してもよい。
いくつかの態様では、DD-IL115/IL15Raは、表13a、13b、及び13cに示すアミノ酸配列を有する。表13a、13b及び13cのアミノ酸配列は、アミノ酸配列の最後に「
*」を付けて表に示す終止コドンを含み得る。
一実施形態では、本発明のペイロードはIL18を含み得る。IL18は、T細胞及びNK細胞によるIFN-γ産生を促進する炎症性及び免疫調節性サイトカインである。IL18はIL1ファミリーに属する。分泌されたIL18は、IL18Rα鎖及びβ鎖からなるヘテロダイマー受容体複合体に結合し、シグナル伝達を開始する。IL18は、他のサイトカインと協調して作用し、病原体の生成物に応答した、IFN-γ産生、Th1応答、及びNK細胞の活性化の誘導を含む、免疫系の機能を調節する。IL18は、いくつかの腫瘍で抗がん効果を示した。組換えIL18タンパク質またはIL18導入遺伝子の投与は、CD4+T及び/またはNK細胞を介した応答の活性化を通じて黒色腫または肉腫の退行を誘導する(Srivastava et al.,Curr.Med.Chem.,2010,17:3353-3357により概説されている)。IL18と、IL12や共刺激分子(例えば、CD80)などの他のサイトカインとの併用は、IL18の抗腫瘍効果を高める。例えば、T細胞を介した抗腫瘍免疫応答を相乗的に引き起こす目的で、腫瘍溶解性ウイルスのゲノムにIL18及びIL12A/BまたはCD80遺伝子が成功裏に組み込まれた(Choi et al.,Gene Ther.,2011,18:898-909)。IL2/IL18融合タンパク質はまた、サイトカイン単独及び前臨床モデルでの低毒性のいずれと比べても、抗腫瘍特性の向上を示す(Acres et al.,Cancer Res.,2005,65:9536-9546)。
IL18単独、またはIL12及びIL15の併用により、NK細胞は活性化する。前臨床試験により、養子移入したIL12、IL15及びIL18予備活性化NK細胞が、in vivoで確立された腫瘍に対してエフェクター機能の増強を示すことが示された(Ni et al.,J Exp Med.2012,209:2351-2365;及びRomee et al.,Blood.2012,120:4751-4760)。また、ヒトIL12/IL15/IL18活性化NK細胞は、メモリー様の特徴を示し、サイトカインに応答してより多くのIFN-γを分泌する(例えば、低濃度のIL2)。一実施形態では、本発明のエフェクターモジュールは、DD-IL18融合ポリペプチドであってもよい。
一実施形態では、本発明のペイロードはIL21を含み得る。IL21は、主にT細胞とナチュラルキラーT(NKT)細胞によって産生される別の多面発現I型サイトカインである。IL21は、CD4+及びCD8+T細胞、B細胞、マクロファージ、単球、及び樹状細胞(DC)を含むがこれらに限定されない様々な細胞型に多様な影響を及ぼす。IL21の機能的受容体は、IL21受容体(IL21R)と、IL2、IL4、IL7、IL9、及びIL15の受容体のサブユニットでもある一般的なサイトカイン受容体γ鎖からなる。研究により、IL21ががん免疫療法のための有望な免疫療法薬であるという説得力のある証拠が提供されている。IL21は成熟を促進し、細胞傷害性を増強し、NK細胞によるIFN-γ及びパーフォリンの産生を誘導する。これらのエフェクター機能は、B16メラノーマの成長を阻害する(Kasaian et al.,Immunity.2002,16(4):559-569;及びBrady et al.,J Immunol.2004,172(4):2048-2058)。IL21はIL15とともに、抗原特異的CD8+T細胞数とそのエフェクター機能を高め、腫瘍を退縮させる(Zeng et al.,J Exp Med.2005,201(1):139-148)。IL21は、腫瘍微小環境内の複数の免疫エフェクター細胞を若返らせるためにも使用してもよい。IL21はまた、STAT3またはSTAT1シグナル経路の活性化を介して、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病細胞などの特定の種類のリンパ腫のアポトーシスを直接誘導し得る。IL21は、単独で、または抗CD20mAb(リツキシマブ)と併用して、NK細胞依存性細胞傷害作用を活性化することができる。興味深いことに、IL21の免疫抑制作用の発見は、このサイトカインが「両刃の剣」であることを示唆しており、IL21刺激は、免疫応答の誘導または抑制につながり得る。IL21に関連する免疫療法薬を使用する場合、IL21の刺激効果と抑制効果の両方を考慮しなければならない。IL21のレベルを、調節エレメントによって厳密に制御する必要がある。一態様では、本発明のエフェクターモジュールは、DD-IL21融合ポリペプチドであってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、I型インターフェロンを含み得る。I型インターフェロン(IFN-I)は、ヒトのウイルス感染と戦うために重要な可溶性タンパク質である。IFN-Iには、IFN-αサブタイプ(IFN-α1、IFN-α1b、IFN-α1c)、IFN-β、IFN-δサブタイプ(IFN-δ1、IFN-δ2、IFN-δ8)、IFN-γ、IFN-κ、ならびにIFN-ε、IFN-λ、IFN-ω、IFN-τ及びIFN-ζが含まれる。IFN-α及びIFN-βは、免疫応答の主要なIFN-Iサブタイプである。IFN-Iのすべてのサブタイプは、2つのサブユニットIFNAR1及びIFNAR2からなる、ユニークなヘテロダイマー受容体であるインターフェロンα受容体(IFNAR)を介してシグナルを送る。IFNRの活性化は、ウイルス感染に対する宿主の応答と適応免疫を調節する。ヤヌスキナーゼ-シグナル伝達兼転写活性化因子(JAK-STAT)経路、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)経路、v-crk肉腫ウイルスCT10がん遺伝子相同体(トリ)様(CRKL)経路、及びNF-κBカスケードを含む、いくつかのシグナル伝達カスケードをIFNRによって活性化することができる。I型IFNが腫瘍細胞及びウイルス感染細胞の増殖を直接阻害し、MHCクラスI発現を増加させて抗原認識を増強することは古くから確定されている。IFN-Iは免疫系の調節にも関与していることが証明されている。IFNは、インターフェロン受容体(IFNR)を介して直接、またはケモカイン及びサイトカインの誘導によって間接的に免疫系を調節することができる。I型IFNはNK細胞の機能を強化し、NK細胞の生存を促進する。I型IFNは単球にも影響を及ぼし、単球から抗原提示能力の高いDCへの分化をサポートし、マクロファージの機能と分化を刺激する。いくつかの研究により、IFN-IがCD8+T細胞の生存と機能を促進することも示されている。いくつかの例では、本発明の生体回路を使用してI型IFNの発現を調整して、IFNによる長期治療によって引き起こされる免疫抑制を回避することが望ましい場合がある。
組換えI型IFNタンパク質、I型IFN導入遺伝子、I型IFNコードベクター及びI型IFN発現細胞を使用する新規抗がん免疫療法が開発されている。例えば、IFN-αは、メラノーマ、RCC、及び多発性骨髄腫などのいくつかの腫瘍性疾患の治療薬として承認されている。I型IFNは免疫系の機能を直接的及び間接的に調節する強力なツールではあるが、全身への長期治療による副作用と、効力が十分高くはないことから、腫瘍学での臨床使用に対するIFN-αへの関心は弱まっている。悪性組織においてIFNレベルを緊密に調節する場合、I型IFNはより効果的であると考えられる。間欠性のペースを最適化することが、IFN-Iによって誘導される(すなわち、SOCS1誘導による)応答免疫細胞の脱感作機構(負のフィードバック機構)のシグナル伝達の回避に役立ち得るという観察から、間欠的送達のアプローチが提案されている。本発明によれば、エフェクターモジュールは、DD-IFN融合ポリペプチドを含み得る。DDとそのリガンドは、IFNの発現を制御して、抗ウイルス及び抗腫瘍免疫応答を誘導し、その間、IFNの長期曝露によって引き起こされる副作用を最小化する。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーのメンバーを含み得る。本明細書中で使用する場合、用語「TNFスーパーファミリー」とは、アポトーシスを誘発することができるサイトカインのグループを指す。TNFファミリーのメンバーには、TNF-α、TNF-β(リンホトキシン-α(LT-α)とも呼ばれる)、リンホトキシン-β(LT-β)、CD40L(CD154)、CD27L(CD70)、CD30L(CD153)、FASL(CD178)、4-1BBL(CD137L)、OX40L、TRAIL(TNF関連アポトーシス誘導リガンド)、APRIL(増殖誘導リガンド)、TWEAK、TRANCE、TALL-1、GITRL、LIGHT及びTNFSF1~TNFSF20(TNFリガンドスーパーファミリーメンバー1~20)が含まれる。一実施形態では、本発明のペイロードはTNF-αであってもよい。TNF-αは腫瘍細胞の細胞溶解を引き起こし、同様に細胞増殖分化を誘導する。一態様では、本発明のエフェクターモジュールは、DD-TNFα融合ポリペプチドを含み得る。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、阻害性サイトカインを遮断する阻害性分子を含み得る。阻害剤は、阻害性サイトカインに特異的な遮断抗体、及び阻害性サイトカインに対するアンタゴニストなどであってもよい。
いくつかの態様では、本発明のペイロードは、二次的サイトカインIL35の阻害剤を含み得る。IL35はインターロイキン-12(IL12)サイトカインファミリーに属し、IL27β鎖Ebi3とIL12α鎖p35からなるヘテロダイマーである。生理活性IL35の分泌は、フォークヘッドボックスタンパク質3(Foxp3)+調節性T細胞(Treg)(休止及び活性化Treg)においてのみ記載している。ファミリーの他の膜とは異なり、IL35は、エフェクターT細胞の増殖及びおそらく他のパラメーターを阻害することにより、抗炎症性の様式でのみ機能すると考えられる(Collison et al.,Nature,2007,450(7169):566-569)。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)サブタイプ(TGF-β1、TGF-β2及びTGF-β3)を遮断する阻害剤を含み得る。TGF-βは、マクロファージを含む多くの細胞型によって分泌され、多くの場合、2つのタンパク質LTBP及びLAPと複合体を形成する。プラスミンなどの血清プロテイナーゼは、活性化マクロファージ由来の複合体からの活性TGF-βの遊離を触媒する。TGF-βの発現の増加は、多くのがんの悪性度と相関することが示されている。腫瘍微小環境におけるTGF-βの免疫抑制活性は、発がんに寄与する。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、IDO酵素の阻害剤を含み得る。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、ケモカイン及びケモカイン受容体を含み得る。ケモカインは、分泌された低分子サイトカインのファミリー、または近傍の応答性細胞において定方向の走化性を誘導することができるシグナル伝達タンパク質である。ケモカインは、SCYA1-28(CCL1-28)、SCYB1-16(CXCL1-16)、SCYC1-2(XCL1-2)、SCYD-1及びSCYE-1からなる群から選択されるSCY(低分子サイトカイン);またはXCL1及びXCL2から選択されるCケモカイン;またはCCL1、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9、CCL10、CCL11、CCL12、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、及びCCL28から選択されるCCケモカイン;またはCXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16及びCXCL17から選択されるCXCケモカイン;またはCX3CケモカインCX3CL1であってもよい。いくつかの態様では、ケモカイン受容体は、XCR1を含むCケモカインの受容体;またはCCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9及びCCR10を含むCCケモカインの受容体;またはCXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4及びCXCR5を含むCXCケモカインの受容体;またはCX3Cケモカイン受容体CX3CR1であってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、エリスロポエチン(EPO)、MIP3a、単球走化性タンパク質(MCP)-1、細胞内接着分子(ICAM)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、インターロイキン-1受容体活性化キナーゼ(iRAK-1)、ラクトトランスフェリン、及び顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などの、免疫療法で重要な役割を果たす他の免疫調節薬を含み得る。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードはアンフィレギュリンを含み得る。アンフィレギュリン(AREG)は、EGFR受容体に結合し、CD4+調節性T細胞(Treg)の機能を強化するEGF様増殖因子である。AREGは、腫瘍環境における免疫抑制を促進する。したがって、いくつかの実施形態では、本発明のペイロードにアンフィレギュリンを含め、免疫療法中に免疫応答を弱化させてもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードは、サイトカイン、ケモカイン及び/または他の可溶性因子を、抗体及び/または受容体のリガンドなどの他の生体分子に融合させ得る融合タンパク質を含み得る。そのような融合分子は、サイトカインの半減期を延長し、全身毒性を低下させ、腫瘍部位でのサイトカインの局所濃度を増加させ得る。2つ以上のサイトカイン、ケモカイン、及び/または他の可溶性因子を含む融合タンパク質を利用して、相乗的な治療効果を得てもよい。一実施形態では、ペイロードは、GM-CSF/IL2融合タンパク質であってもよい。
3.追加的なエフェクターモジュール機能
本発明のエフェクターモジュールは、目的ペイロードの分布を調節するシグナル配列、エフェクターモジュール構築物からのペイロードの切断を促進する切断及び/またはプロセシング機能、エフェクターモジュールの細胞局在化を調節することができるターゲティング及び/または浸透シグナル、タグ、及び/またはエフェクターモジュールの異なる構成要素を連結する1つ以上のリンカー配列を含み得る。
シグナル配列
SRE(例えば、DD)及びペイロード領域に加えて、本発明のエフェクターモジュールは、1つ以上のシグナル配列をさらに含み得る。シグナル配列(シグナルペプチド、ターゲティングシグナル、標的ペプチド、局在化配列、輸送ペプチド、リーダー配列またはリーダーペプチドと呼ばれることもある)は、タンパク質(例えば、本発明のエフェクターモジュール)を指定の細胞及び/または細胞外位置に向かわせる。タンパク質シグナル配列は、ほぼすべての分泌タンパク質及び多くの膜内在性タンパク質のターゲティング及びトランスロケーションにおいて中心的な役割を果たす。
シグナル配列は、特定の位置へ仕向けられている新規合成タンパク質の大部分のN末端に存在する短い(5~30アミノ酸長)ペプチドである。シグナル配列は、シグナル認識粒子(SRP)によって認識され、I型及びII型シグナルペプチドペプチダーゼを用いて切断され得る。ヒトタンパク質に由来するシグナル配列をエフェクターモジュールの調節モジュールとして組み込んで、エフェクターモジュールを特定の細胞及び/または細胞外位置に誘導することができる。これらのシグナル配列は実験的に検証されており、切断することができる(Zhang et al.,Protein Sci.2004,13:2819-2824)。
いくつかの実施形態では、シグナル配列は、必ずしもではないが、エフェクターモジュールのN末端またはC末端に位置させてもよく、必ずしもではないが、所望のエフェクターモジュールを切断して、「成熟」ペイロード、すなわち、本明細書中で考察する免疫療法薬を取得してもよい。
いくつかの実施例では、シグナル配列は、天然の分泌タンパク質及びそのバリアントに由来する分泌シグナル配列であってもよい。いくつかの例では、分泌シグナル配列は、サイトカインシグナル配列、例えば、配列番号788~791のヌクレオチドによりコードされる配列番号783のアミノ酸を有するIL2シグナル配列及び/または配列番号736~744のヌクレオチドによってコードされる配列番号719のアミノ酸配列を有するp40シグナル配列であってもよいが、これらに限定されない。
いくつかの例では、目的ペイロードを標的細胞の表面膜に向かわせるシグナル配列を使用してもよい。標的細胞の表面でのペイロードの発現は、ペイロードの非標的in vivo環境への拡散を制限するのに有用であり、それによりペイロードの安全特性を潜在的に向上させる場合がある。さらに、ペイロードの膜提示により、生理学的及び定性的なシグナル伝達、ならびにより長い半減期のためのペイロードの安定化及びリサイクルを可能とし得る。膜配列は、目的ペイロードのN末端構成要素の内在性シグナル配列であってもよい。場合により、この配列を異なるシグナル配列と交換することが望ましい場合がある。ペイロードがT細胞の表面に提示されるように、目的の細胞型の分泌経路との適合性に基づいてシグナル配列を選択してもよい。いくつかの実施形態では、シグナル配列は、配列番号801のアミノ酸及び配列番号810、930、または931のヌクレオチド配列を有するIgEシグナル配列、配列番号628のアミノ酸配列及び配列番号671~675のヌクレオチド配列を有するCD8aシグナル配列(CD8aリーダーとも呼ばれる)、またはアミノ酸配列番号932及び配列番号933のヌクレオチド配列を有するIL15Raシグナル配列(IL15Raリーダーとも呼ばれる)であってもよい。
バリアントを含む、シグナル配列の他の実施例は、米国特許第8,148,494号;第8,258,102号;第9,133,265号;第9,279,007号;及び米国特許出願公開第20070141666号;ならびに国際特許出願公開第WO1993018181号に記載されている改変型シグナル配列であってもよく、その各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
他の実施例では、シグナル配列は、エフェクターモジュールを核などの特定の細胞部位に向かわせることができる、ウイルス、酵母、及び細菌などの他の生物由来の異種シグナル配列であってもよい(例えば、EP1209450)。他の実施例として、酵素などの融合タンパク質の分泌を増加させることができるTrichoderma由来アスパラギン酸プロテアーゼ(NSP24)シグナル配列(例えば、Cervin及びKimに対する米国特許第8,093,016号)、細菌リポタンパク質シグナル配列(例えば、Lau and Riouxに対するPCT出願公開第WO199109952号)、E.coliエンテロトキシンIIシグナルペプチド(例えば、Kwonらに対する米国特許第6,605,697号)、E.coli分泌シグナル配列(例えば、Malleyらに対する米国特許公開第US2016090404号)、メチロトローフ酵母由来のリパーゼシグナル配列(例えば、米国特許第8,975,041号)、及びCoryneform細菌由来のDNaseのシグナルペプチド(例えば、米国特許第4,965,197号)が挙げられ、その各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
シグナル配列にはまた、核局在化シグナル(NLS)、核外移行シグナル(NES)、分極細胞管状小胞構造局在化シグナル(例えば、米国特許第8,993,742号;Cour et al.,Nucleic Acids Res.2003,31(1):393-396参照;その各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する)、細胞外局在化シグナル、細胞内位置へのシグナル(例えば、リソソーム、小胞体、ゴルジ、ミトコンドリア、原形質膜及びペルオキシソームなど)が含まれ得る(例えば、米国特許第7,396,811号;及びNegi et al.,Database,2015,1-7参照;これらの各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。
いくつかの実施形態では、本発明のシグナル配列には、限定するものではないが、2016年4月11日に出願された同時係属中の共有米国仮特許出願第62/320,864号の表6、または2017年3月3日に出願された米国仮出願第62/466,596号及び国際公開WO2017/180587に示される配列のいずれかが含まれ、これらの各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
切断部位
いくつかの実施形態では、エフェクターモジュールは、切断及び/またはプロセシング機能を有する。本発明のエフェクターモジュールは、少なくとも1つのタンパク質切断シグナル/部位を含み得る。タンパク質切断シグナル/部位は、N末端、C末端、N末端とC末端の間の任意の空間、例えば、限定されないが、N末端とC末端の中間、N末端と中間点の間、中間点とC末端の間、及びそれらの組み合わせに配置してもよい。
エフェクターモジュールは、任意のプロテイナーゼの1つ以上の切断シグナル(複数可)/部位(複数可)を含み得る。プロテイナーゼは、セリンプロテイナーゼ、システインプロテイナーゼ、エンドペプチダーゼ、ジペプチダーゼ、メタロプロテイナーゼ、グルタミン酸プロテイナーゼ、スレオニンプロテイナーゼ及びアスパラギン酸プロテイナーゼであってもよい。いくつかの態様では、切断部位は、フューリン、アクチニダイン、カルパイン-1、カルボキシペプチダーゼA、カルボキシペプチダーゼP、カルボキシペプチダーゼY、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンG、カテプシンH、カテプシンK、カテプシンL、カテプシンS、カテプシンV、クロストリパイン、キマーゼ、キモトリプシン、エラスターゼ、エンドプロテイナーゼ、エンテロキナーゼ、第Xa因子、ギ酸、グランザイムB、マトリックスメタロペプチダーゼ-2、マトリックスメタロペプチダーゼ-3、ペプシン、プロテイナーゼK、SUMOプロテアーゼ、サブチリシン、TEVプロテアーゼ、サーモリシン、トロンビン、トリプシン及びTAGZymeのシグナル配列であってもよい。
一実施形態では、切断部位は、配列番号750のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列SARNRQKRS(配列番号721)を有するフューリン切断部位;または配列番号751のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列ARNRQKRS(配列番号722)を有する改変型フューリン切断部位;または配列番号681~683のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列ESRRVRRNKRSK(配列番号630)を有する改変型フューリン部位である。
いくつかの実施形態では、本発明の切断部位は、限定されないが、2016年4月11日に出願された同時係属中の共有米国仮特許出願第62/320,864号の表7、または2017年3月3日に出願された米国仮出願第62/466,596号及び国際公開WO2017/180587に示されるもののいずれかを含み、これらの各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
タンパク質タグ
いくつかの実施形態では、本発明のエフェクターモジュールは、タンパク質タグを含み得る。タンパク質タグを用いて、エフェクターモジュールのプロセスを検出し、モニタリングしてもよい。エフェクターモジュールは、エピトープタグ(例えば、FLAGまたは赤血球凝集素(HA)タグ)などの1つ以上のタグを含み得る。多数のタンパク質タグを本エフェクターモジュールに使用してもよい。それらには、自己標識ポリペプチドタグ(例えば、ハロアルカンデハロゲナーゼ(ハロタグ2またはハロタグ7)、ACPタグ、clipタグ、MCPタグ、snapタグ)、エピトープタグ(例えば、FLAG、HA、His、及びMyc)、蛍光タグ(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、及びそのバリアント)、生物発光タグ(例えば、ルシフェラーゼ及びそのバリアント)、親和性タグ(例えば、マルトース結合タンパク質(MBP)タグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)タグ)、免疫原性親和性タグ(例えば、タンパク質A/G、IRS、AU1、AU5、glu-glu、KT3、S-タグ、HSV、VSV-G、Xpress及びV5)、ならびにその他のタグ(例えば、ビオチン(小分子)、Strepタグ(StrepII)、SBP、ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質(BCCP)、eXact、CBP、CYD、HPC、CBDインテイン-キチン結合ドメイン、Trx、NorpA、及びNusAが含まれるがこれらに限定されない。
他の実施形態では、タグはまた、米国特許第8,999,897号;第8,357,511号;第7,094,568号;第5,011,912号;第4,851,341号;及び第4,703,004号;米国特許出願公開第US2013115635号及び第US2013012687号;及び国際出願公開第WO2013091661号に開示されているものから選択してもよく、その各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
いくつかの態様では、同じまたは異なるタグのいずれかである多数のタンパク質タグを使用してもよく、各タグを同じN末端またはC末端に配置してもよく、一方、他の場合ではこれらのタグを各末端に配置してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のタンパク質タグには、限定されないが、2016年4月11日に出願された同時係属中の共有米国仮特許出願第62/320,864号の表8、または2017年3月3日に出願された米国仮出願第62/466,596号及び国際公開WO2017/180587に示されるタグのいずれかが含まれ、これらの各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
ターゲティングペプチド
いくつかの実施形態では、本発明のエフェクターモジュールは、ターゲティング及び/または透過性ペプチドをさらに含み得る。細胞表面マーカー(例えば、受容体、膜貫通タンパク質、細胞外マトリックス分子)を選択的に認識する低分子ターゲティングペプチド及び/または浸透性ペプチドを使用して、エフェクターモジュールを所望の器官、組織、または細胞に標的化することができる。エフェクターモジュールを所望の器官、組織及び細胞、及び/または細胞内の位置にホーミングするために、in vitroで合成した短いペプチド(5~50アミノ酸残基)及び天然ペプチド、またはその類似体、バリアント、誘導体をエフェクターモジュールに組み込んでもよい。
いくつかの実施形態では、ターゲティング配列及び/または透過性ペプチドをエフェクターモジュールに含ませて、エフェクターモジュールを標的器官、または組織、または細胞(例えば、がん細胞)へ駆動してもよい。他の実施形態では、ターゲティングペプチド及び/または透過性ペプチドは、細胞内の特定の細胞内位置にエフェクターモジュールを向かわせ得る。
ターゲティングペプチドは、約6~約30の任意の数のアミノ酸を有する。ペプチドは、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30個のアミノ酸を有し得る。一般的に、ターゲティングペプチドは、25個以下のアミノ酸、例えば20個以下、例えば15個以下のアミノ酸を有し得る。
例示的なターゲティングペプチドには、限定されないが、当技術分野で開示されているもの、例えば、米国特許第9,206,231号;第9,110,059号;第8,706,219号;及び第8,772,449号;ならびに米国出願公開第2016089447号;第2016060296号;第2016060314号;第2016060312号;第2016060311号;第2016009772号;第2016002613号;第2015314011号及び第2015166621号;ならびに国際出願公開第WO2015179691号及び第WO2015183044号で開示されているものを含み得るが、その各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
いくつかの実施形態では、本発明のターゲティングペプチドには、限定されないが、2016年4月11日に出願された同時係属中の共有米国仮特許出願第62/320,864号の表9、または2017年3月3日に出願された米国仮出願第62/466,596号及び国際公開WO2017/180587に示されるもののいずれかが含まれ、これらのそれぞれの内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
リンカー
いくつかの実施形態では、本発明のエフェクターモジュールは、リンカー配列をさらに含み得る。リンカー領域は、主にエフェクターモジュール内の2つ以上のポリペプチド間のスペーサーとして機能する。本明細書中で使用する場合、「リンカー」または「スペーサー」とは、2つの分子、または分子の2つの部分、例えば、組換えタンパク質の2つのドメインを接続する分子または分子群を指す。
いくつかの実施形態では、本明細書中で使用する「リンカー」(L)または「リンカードメイン」または「リンカー領域」または「リンカーモジュール」または「ペプチドリンカー」とは、エフェクターモジュールのドメイン/領域のいずれかを連結する約1~100アミノ酸長のオリゴまたはポリペプチド領域を指す(ペプチドリンカーとも呼ばれる)。ペプチドリンカーは、1~40アミノ酸長、2~30アミノ酸長、または20~80アミノ酸長、または50~100アミノ酸長であってもよい。リンカーの長さは、利用するペイロードの種類とペイロードの結晶構造に基づいて最適化してもよい。いくつかの例では、好ましくはより短いリンカーを選択してもよい。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、ペプチド結合によって一緒に結合したアミノ酸、好ましくはペプチド結合によって結合した1~20個のアミノ酸で構成され、アミノ酸は20種の天然アミノ酸から選択される:グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、セリン(S)、システイン(C)、トレオニン(T)、メチオニン(M)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(N)、及びグルタミン(Q)。当業者であれば理解しているように、これらのアミノ酸の1つ以上はグリコシル化されていてもよい。いくつかの態様では、ペプチドリンカーのアミノ酸は、アラニン(A)、グリシン(G)、プロリン(P)、アスパラギン(R)、セリン(S)、グルタミン(Q)及びリジン(K)から選択してもよい。
一実施例では、人工的に設計したペプチドリンカーは、好ましくは、隣接するタンパク質ドメインが互いに対して自由に移動できるように、グリシン(G)及びセリン(S)のような可撓性の残基のポリマーからなる。2つの隣接するドメインが互いに干渉しないようにすることが望ましい場合は、より長いリンカーを使用してもよい。特定のリンカー配列の選択は、融合コンストラクトの生物学的活性、安定性、フォールディング、ターゲティング、及び/または薬物動態学的特性に影響を与えるかどうかに関係する場合がある。ペプチドリンカーの例として:MH、SG、GGSG(配列番号822;配列番号823のヌクレオチド配列によってコードされる)、GGSGG(配列番号629;配列番号676~680のヌクレオチド配列のいずれかによってコードされる)、GGSGGG(配列番号824;配列番号825~826のヌクレオチド配列のいずれかによってコードされる)、SGGGS(配列番号827;配列番号828、844、909のヌクレオチド配列によってコードされる)、GGSGGGSGG(配列番号829;配列番号830のヌクレオチド配列によってコードされる)、GGGGG(配列番号831)、GGGGS(配列番号832)または(GGGGS)n(n=1(配列番号832)、2(配列番号833)、3(配列番号720、配列番号910~915のヌクレオチド配列によってコードされる)、4(配列番号834)、5(配列番号835)、または6(配列番号836))、SSSSG(配列番号837)または(SSSSG)n(n=1(配列番号837)、2(配列番号838)、3(配列番号839)、4(配列番号840)、5(配列番号841)、または6(配列番号842))、SGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSLQ(配列番号802;配列番号811、916~920、1002のヌクレオチド配列によってコードされる)、EFSTEF(配列番号784;配列番号792~793のヌクレオチド配列によってコードされる)、GKSSGSGSESKS(配列番号845)、GGSTSGSGKSSEGKG(配列番号846)、GSTSGSGKSSSEGSGSTKG(配列番号847)、GSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号848)、VDYPYDVPDYALD(配列番号849;配列番号850のヌクレオチド配列によってコードされる)、EGKSSGSGSESKEF(配列番号851)、SGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGS(配列番号921;配列番号923によってコードされる)、SGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号922;配列番号924によってコードされる)、GS(GGTTCCによってコードされる)、SG(AGCGGCによってコードされる)、GSG(GGATCCGGAまたはGGATCCGGTによってコードされる)、あるいはMLLLVTSLLLCELPHPAFLLIP(配列番号1031;配列番号1032によってコードされる)が挙げられるが、これらに限定されない。
他の例では、ペプチドリンカーは、グリシン(G)及びアラニン(A)などの立体障害のない大多数のアミノ酸で構成されていてもよい。例示的なリンカーは、ポリグリシン((G)4(配列番号1233)、(G)5(配列番号831)、(G)8(配列番号1234)など)、ポリ(GA)、及びポリアラニンである。本明細書に記載するリンカーは例示であり、これよりはるかに長く、他の残基を含むリンカーが、本発明によって意図される。
リンカー配列は、マルチドメインタンパク質に由来する天然リンカーであってもよい。天然リンカーは、タンパク質内の2つの異なるドメインまたはモチーフを分離する短いペプチド配列である。
いくつかの態様では、リンカーは、可撓性であっても剛性であってもよい。他の態様では、リンカーは切断可能であっても非切断可能であってもよい。本明細書中で使用する場合、用語「切断可能なリンカードメインもしくは領域」または「切断可能なペプチドリンカー」は同じ意味で用いられる。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、酵素的及び/または化学的に切断してもよい。ペプチドリンカーの切断に有用な酵素(例えば、プロテイナーゼ/ペプチダーゼ)の例として、Arg-Cプロテイナーゼ、Asp-Nエンドペプチダーゼ、キモトリプシン、クロストリパイン、エンテロキナーゼ、第Xa因子、グルタミルエンドペプチダーゼ、グランザイムB、アクロモバクタープロテイナーゼI、ペプシン、プロリンエンドペプチダーゼ、プロテイナーゼK、StaphylococcalペプチダーゼI、サーモリシン、トロンビン、トリプシン、及びタンパク質分解酵素のカスパーゼファミリーのメンバー(例えば、カスパーゼ1~10)が挙げられるが、これらに限定されない。化学物質感受性切断部位もリンカー配列に含まれ得る。化学的切断試薬の例として、メチオニン残基を切断する臭化シアン;トリプトファン残基を切断するN-クロロスクシンイミド、ヨード安息香酸またはBNPS-スカトール(2-(2-ニトロフェニルスルフェニル)-3-メチルインドール);アスパルチル-プロリル結合において切断する希酸;及びアスパラギン酸-プロリン酸切断可能認識部位(すなわち、1つ以上のD-Pジペプチド部分を含む切断可能ペプチドリンカー)が挙げられるが、これらに限定されない。融合モジュールは、1つ以上の切断可能なペプチドリンカーにより分離された目的ペプチドをコードする複数の領域を含み得る。
他の実施形態では、切断可能なリンカーは、「自己切断」リンカーペプチド、例えば、2Aリンカー(例えばT2A)、2A様リンカーまたはその機能的等価物及びそれらの組み合わせなどであってもよい。いくつかの実施形態では、リンカーには、ピコルナウイルス2A様リンカー、ブタテスコウイルス(P2A)、Thosea asignaウイルス(T2A)のCHYSEL配列またはそれらの組み合わせ、バリアント及び機能的等価物が含まれる。他のリンカーは当業者には明らかであり、本発明の代替実施形態に関連して使用してもよい。いくつかの実施形態では、本発明の生体回路は2Aペプチドを含み得る。2Aペプチドは、細胞に内在するプロテアーゼ(2Aペプチダーゼ)によって認識されるウイルス由来の約20アミノ酸残基の配列である。2Aペプチドはピコルナウイルスの間で同定され、その典型例は口蹄疫ウイルスである(Robertson BH,et.al.,J Virol 1985,54:651-660)。2A様配列は、ウマ鼻炎Aウイルスのようなピコルナウイルス科、ならびにブタテスコウイルス-1及び昆虫のThosea asignaウイルス(TaV)などの無関係なウイルスにも見出されている。そのようなウイルスでは、複数のタンパク質が、オープンリーディングフレームによってコードされた大きなポリタンパク質に由来する。2Aペプチドは、ウイルスキャプシドと複製ポリタンパク質ドメイン間の接合部を形成する単一部位において、このポリタンパク質の同時翻訳切断を仲介する。2A配列は、コンセンサスモチーフD-V/I-E-X-N-P-G-P(配列番号1235)を含む。これらの配列は同時翻訳的に作用し、グリシンと最後のプロリンとの間の正常なペプチド結合の形成を妨げ、後続コドンのリボソームスキッピングをもたらすと考えられている(Donnelly ML et al.(2001).J Gen Virol,82:1013-1025)。切断後、短いペプチドは切断部位の上流のタンパク質のC末端に融合したままであり、一方、プロリンは切断部位の下流のタンパク質のN末端に付加される。これまでに同定された2Aペプチドのうち、4つ、すなわちFMDV 2A(本明細書中ではF2Aと略す)、ウマ鼻炎ウイルス(ERAV)2A(E2A);ブタテスコウイルス-1 2A(P2A)及びThoseaasignaウイルス2A(T2A)が広く使用されている。いくつかの実施形態では、本発明において有用な2Aペプチド配列は、国際特許公開WO2010042490の配列番号8~11から選択され、その内容はその全体を参照により援用する。
非限定的な例として、P2A切断可能ペプチドはGATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号925;配列番号926によりコードされる)であってもよい。
本発明のリンカーは、非ペプチドリンカーであってもよい。例えば、-NH-(CH2)a-C(O)-(式中、a=2~20)などのアルキルリンカーを使用することができる。これらのアルキルリンカーは、低級アルキル(例えば、C1-C6)、低級アシル、ハロゲン(例えば、Cl、Br)、CN、NH2、フェニルなどの立体障害のないいずれかの基でさらに置換してもよい。
いくつかの態様では、リンカーは、米国特許第4,946,778号;第5,525,491号;第5,856,456号;及び国際特許公開第WO2012/083424号の人工リンカーであってもよく;その各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
いくつかの実施形態では、本発明のリンカーには、限定されないが、2016年4月11日に出願された同時係属の共有米国仮特許出願第62/320,864号の表11、または2017年3月3日に出願された米国仮出願第62/466,596号及び国際公開WO2017/180587に示されているもののいずれかが含まれ、これらの各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
一実施形態では、リンカーは、1つ以上のヌクレオチドのスペーサー領域であってもよい。スペーサーの非限定例は、TCTAGATAATACGACTCACTAGAGATCC(配列番号927)、TATGGCCACAACCATG(配列番号928)、AATCTAGATAATACGACTCACTAGAGATCC(配列番号929)、GCTTGCCACAACCCACAAGGAGACGACCTTCC(配列番号1000)、TCGCGAATG、またはTCGCGAである。
一実施形態では、リンカーはBamHI部位であってもよい。非限定的な例として、BamHI部位はアミノ酸配列GS及び/またはDNA配列GGATCCを有する。
埋め込み刺激、シグナル、及びその他の調節特性
いくつかの実施形態では、本発明のエフェクターモジュールは、1つ以上のマイクロRNA、マイクロRNA結合部位、プロモーター及び調整可能なエレメントをさらに含み得る。一実施形態では、調整可能な生体回路の作成を支援するためにマイクロRNAを使用してもよい。各態様または調整されたモダリティは、エフェクターモジュールまたは生体回路に差次的に調整された特性をもたらし得る。例えば、不安定化ドメインは、ペイロードの切断部位または二量体化特性または半減期を変化させる場合があり、1つ以上のマイクロRNAまたはマイクロRNA結合部位を含めることにより、細胞の脱ターゲティングまたは輸送特性が付与され得る。結果として、本発明は、その持続可能性において多因子的である生体回路を包含する。そのような生体回路及びエフェクターモジュールは、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の調整された特性を含むように設計してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のマイクロRNA配列には、限定されないが、2016年4月11日に出願された同時係属中の共有米国仮特許出願第62/320,864号の表13、または2017年3月3日に提出された米国仮出願第62/466,596号及び国際公開WO2017/180587に示される配列のいずれかが含まれる。これらの各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、任意のプロテアソームアダプターを含み得る。本明細書中で使用する場合、用語「プロテアソームアダプター」とは、分解するために、付加されたペイロードを標的とする任意のヌクレオチド/アミノ酸配列を指す。いくつかの態様では、アダプターは、分解するためにペイロードを直接標的とし、それによりユビキチン化反応の必要性を回避する。プロテアソームアダプターを不安定化ドメインと組み合わせて使用して、ペイロードの基底発現を低下させてもよい。例示的なプロテアソームアダプターとして、Rad23またはhHR23bのUbLドメイン、標的タンパク質RbとプロテアソームのS4サブユニットの両方に高親和性で結合し、直接的なプロテアソーム標的化を可能にし、ユビキチン化機構をバイパスするHPV E7;Rb及びプロテアソームサブユニットS6に結合するタンパク質ガンキリンが挙げられる。
ポリヌクレオチド
用語「ポリヌクレオチド」または「核酸分子」には、その最も広い意味で、ヌクレオチドのポリマー、例えば連結ヌクレオシドを含む任意の化合物及び/または物質が含まれる。これらのポリマーはしばしばポリヌクレオチドと呼ばれる。本発明の例示的な核酸またはポリヌクレオチドには、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA、β-D-リボ配置を有するLNA、α-L-リボ配置を有するα-LNA(LNAのジアステレオマー)、2’-アミノ官能化を有する2’-アミノ-LNA、及び2’-アミノ官能化を有する2’-アミノ-α-LNA)またはそのハイブリッドが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、メッセンジャーRNA(mRNA)または任意の核酸分子であってもよく、化学的に修飾されていてもされていなくてもよい。一態様では、核酸分子はmRNAである。本明細書中で使用する場合、用語「メッセンジャーRNA(mRNA)」とは、目的ポリペプチドをコードし、翻訳されてin vitro、in vivo、in situまたはex vivoでコードされた目的ポリペプチドを産生することができる任意のポリヌクレオチドを指す。
伝統的に、mRNA分子の基本構成要素には、少なくともコード領域、5’UTR、3’UTR、5’キャップ、及びポリAテールが含まれる。この野生型モジュラー構造に基づいて、本発明は、モジュラー構成を維持するが、ポリヌクレオチドに有用な特性、例えば機能の持続性を付与する1つ以上の構造的及び/または化学的修飾または変更を含むペイロード構築物を提供することにより、従来のmRNA分子の機能性の範囲を拡大する。本明細書中で使用する場合、「構造的」特性または改変とは、ヌクレオシド自体への有意な化学修飾を伴わずにポリヌクレオチドに2残基以上の連結ヌクレオシドを挿入、削除、複製、反転またはランダム化する特性または改変である。必然的に化学結合を破壊し、再構成して構造を改変するため、構造的改変は化学的な性質のものであり、したがって化学修飾である。しかしながら、構造的改変により、異なるヌクレオチド配列が得られる。例えば、ポリヌクレオチド「ATCG」は「AT-5meC-G」に化学修飾され得る。同じポリヌクレオチドは「ATCG」から「ATCCCG」に構造的に改変され得る。この場合、ジヌクレオチド「CC」が挿入されており、ポリヌクレオチドに構造的改変が生じている。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、翻訳開始に役割を果たす5’UTR配列を保有し得る。5’UTR配列には、リボソームが遺伝子の翻訳を開始するプロセスに関与することが一般的に知られているコザック配列などの特徴が含まれる場合があり、コザック配列はコンセンサスXCCR(A/G)CCAUGを有し、式中、開始コドン(AUG)の3塩基上流のRはプリン(アデニンまたはグアニン)であり、Xは任意のヌクレオチドである。一実施形態では、コザック配列はACCGCCである。標的細胞または組織の豊富に発現する遺伝子に一般的に認められる特徴を改変することにより、本発明のポリヌクレオチドの安定性及びタンパク質産生を増強することができる。
さらに、ポリヌクレオチドに5’キャップ構造が存在しない場合にタンパク質合成を開始するのに重要な役割を果たす内部リボソーム進入部位(IRES)を含み得るポリヌクレオチドを提供する。IRESは、唯一のリボソーム結合部位として機能し得るか、または複数の結合部位の1つとして機能し得る。2つ以上の機能的リボソーム結合部位を含む本発明のポリヌクレオチドは、リボソームによって独立して翻訳され、2シストロン性及び/またはマルチシストロン性核酸分子を生じるいくつかのペプチドまたはポリペプチドをコードし得る。
いくつかの実施形態では、生体回路、エフェクターモジュール、SRE、及び目的ペイロード、例えば免疫療法薬をコードするポリヌクレオチドは、約30~約100,000ヌクレオチド(例えば、30~50、30~100、30~250、30~500、30~1,000、30~1,500、30~3,000、30~5,000、30~7,000、30~10,000、30~25,000、30~50,000、30~70,000、100~250、100~500、100~1,000、100~1,500、100~3,000、100~5,000、100~7,000、100~10,000、100~25,000、100~50,000、100~70,000、100~100,000、500~1,000、500~1,500、500~2,000、500~3,000、500~5,000、500~7,000、500~10,000、500~25,000、500~50,000、500~70,000、500~100,000、1,000~1,500、1,000~2,000、1,000~3,000、1,000~5,000、1,000~7,000、1,000~10,000、1,000~25,000、1,000~50,000、1,000~70,000、1,000~100,000、1,500~3,000、1,500~5,000、1,500~7,000、1,500~10,000、1,500~25,000、1,500~50,000、1,500~70,000、1,500~100,000、2,000~3,000、2,000~5,000、2,000~7,000、2,000~10,000、2,000~25,000、2,000~50,000、2,000~70,000、及び2,000~100,000ヌクレオチド)を含み得る。いくつかの態様では、本発明のポリヌクレオチドは10,000残基を上回るヌクレオチドを含み得る。
特定の特徴、例えば、切断部位、リンカー、輸送シグナル、タグまたは他の特徴をコードするポリヌクレオチドの領域は、独立して10~1,000ヌクレオチド長(例えば、20、30、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、及び900ヌクレオチド超、または少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、及び1,000ヌクレオチド)の範囲であってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、核酸分子の3’UTR内にマイクロRNA結合部位などの埋め込み調節部分をさらに含む場合があり、その調節部分は、マイクロRNA分子への結合時に核酸分子の安定性を低下させることにより、または翻訳を阻害することにより、遺伝子発現を下方制御する。逆に、本発明のポリヌクレオチドの目的のために、マイクロRNA結合部位を、特定の組織でのタンパク質発現を増加させるために、それらの天然の配列から改変(すなわち除去)することができる。例えば、miR-142及びmiR-146結合部位を除去して、免疫細胞でのタンパク質発現を向上させてもよい。いくつかの実施形態では、コードされたペイロードのいずれかをSREによって調節し、その後、1つ以上の調節配列と組み合わせて、デュアルまたはマルチ調整エフェクターモジュールまたは生体回路系を生成してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドの断片、バリアント、誘導体をコードし得る。いくつかの態様では、バリアントの配列は、同じまたは類似の活性を保持し得る。あるいは、バリアントは、開始配列に対して変化した(例えば、増加または減少した)活性を有し得る。一般的に、本発明の特定のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのバリアントは、本明細書に記載された、当業者に公知の配列アラインメントプログラム及びパラメーターによって決定したように、特定の参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対して、少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、ただし100%未満の配列同一性を有する。そのようなアラインメント用ツールには、BLASTスイートのツールが含まれる(Stephen et al.,Gapped BLAST and PSI-BLAST:a new generation of protein database search programs,Nucleic Acids Res.,1997,25:3389-3402)。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドを改変してもよい。本明細書中で使用する場合、用語「修飾された」、または適切な場合、「修飾」とは、A、G、U(DNA中のT)またはCヌクレオチドに対する化学修飾を指す。修飾は、ポリヌクレオチドに含まれるヌクレオシド塩基及び/またはヌクレオシドの糖部分上にあってもよい。いくつかの実施形態では、修飾する核酸または1つ以上の個々のヌクレオシドもしくはヌクレオチドに、複数の修飾が含まれる。例えば、ヌクレオシドへの修飾には、核酸塩基及び糖への1つ以上の修飾が含まれ得る。本発明のポリヌクレオチドへの修飾は、例えば、国際公開第WO2013052523号に示されている修飾のいずれかを含んでもよく、その内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
本明細書中に記載する場合の「ヌクレオシド」とは、有機塩基(例えば、プリンまたはピリミジン)またはその誘導体と組み合わせた糖分子(例えば、ペントースまたはリボース)またはその誘導体を含む化合物として定義される(本明細書中では「核酸塩基」とも呼ばれる)。本明細書中に記載する場合、「ヌクレオチド」とは、リン酸基を含むヌクレオシドとして定義される。
いくつかの実施形態では、修飾はヌクレオシド間結合上(例えば、リン酸骨格)にあってもよい。本明細書において、ポリヌクレオチド骨格に関して、語句「リン酸」及び「ホスホジエステル」は、同じ意味で使用される。骨格リン酸基は、1つ以上の酸素原子を別の置換基で置き換えることにより修飾することができる。さらに、修飾ヌクレオシド及びヌクレオチドには、別のヌクレオシド間結合による非修飾リン酸部分の大規模な置換が含まれ得る。修飾リン酸基の例には、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノホスフェートエステル、水素ホスホネート、ホスホルアミデート、ホスホロジアミデート、アルキルまたはアリールホスホネート、及びホスホトリエステルが含まれるが、これらに限定されない。ホスホロジチオエートは、両方の非結合酸素が硫黄に置き換わっている。リン酸リンカーは、結合酸素を窒素(架橋ホスホロアミデート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)、及び炭素(架橋メチレン-ホスホネート)に置き換えることにより修飾することもできる。使用してもよい他の修飾は、例えば、国際出願第WO2013052523号に示されており、その内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
本発明において有用な本発明のポリヌクレオチドのヌクレオチドまたは核酸塩基の化学修飾及び/または置換として、当技術分野で公知の任意の修飾置換、例えば、(±)1-(2-ヒドロキシプロピル)プソイドウリジンTP、(2R)-1-(2-ヒドロキシプロピル)プソイドウリジンTP、1-(4-メトキシ-フェニル)プソイド-UTP、、2’-O-ジメチルアデノシン、1,2’-O-ジメチルグアノシン、1,2’-O-ジメチルイノシン、1-ヘキシル-プソイド-UTP、1-ホモアリルプソイドウリジンTP、1-ヒドロキシメチルプソイドウリジンTP、1-イソ-プロピル-プソイド-UTP、1-Me-2-チオ-プソイド-UTP、1-Me-4-チオ-プソイド-UTP、1-Me-α-チオ-プソイド-UTP、1-Me-GTP、2’-アミノ-2’-デオキシ-ATP、2’-アミノ-2’-デオキシ-CTP、2’-アミノ-2’-デオキシ-GTP、2’-アミノ-2’-デオキシ-UTP、2’-アジド-2’-デオキシ-ATP、ツベルシジン、不完全修飾型ヒドロキシワイブトシン、ウリジン5-オキシ酢酸、ウリジン5-オキシ酢酸メチルエステル、ワイブトシン、ワイオシン、キサンチン、キサントシン-5’-TP、キシロアデノシン、ゼブラリン、α-チオ-アデノシン、α-チオ-シチジン、α-チオ-グアノシン、及び/またはα-チオ-ウリジンが挙げられる。
本発明のポリヌクレオチドは、本明細書中に示される1つ以上の修飾を含み得る。異なる糖修飾、塩基修飾、ヌクレオチド修飾、及び/またはヌクレオシド間結合(例えば、骨格構造)を、本発明のポリヌクレオチドの様々な位置に存在させてもよい。当業者は、ポリヌクレオチドの機能が実質的に低下しないように、ヌクレオチド類似体または他の修飾(複数可)をポリヌクレオチドの任意の位置(複数可)に配置してもよいことを理解するであろう。修飾は、5’または3’末端修飾であってもよい。ポリヌクレオチドは、約1%~約100%(全体的なヌクレオチド含量に関して、またはヌクレオチドの1つ以上のタイプ、すなわちA、G、UまたはCのいずれか1つ以上に関して)または任意の中間的な割合(例えば、1%~20%、1%~25%、1%~50%、1%~60%、1%~70%、1%~80%、1%~90%、1%~95%、10%~20%、10%~25%、10%~50%、10%~60%、10%~70%、10%~80%、10%~90%、10%~95%、10%~100%、20%~25%、20%~50%、20%~60%、20%~70%、20%~80%、20%~90%、20%~95%、20%~100%、50%~60%、50%~70%、50%~80%、50%~90%、50%~95%、50%~100%、70%~80%、70%~90%、70%~95%、70%~100%、80%~90%、80%~95%、80%~100%、90%~95%、90%~100%、及び95%~100%)の修飾ヌクレオチドを含み得る。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドの1つ以上のコドンを、コドン選択と呼ばれるプロセスを通じて、天然アミノ酸配列をコードする他のコドンに置き換えてSREの発現を調整してもよい。mRNAコドン及びtRNAアンチコドンプールは、生物、細胞型、細胞内位置、及び経時的に異なる傾向があるため、本明細書に記載のコドン選択は時空間的(ST)コドン選択である。
本発明のいくつかの実施形態では、特定のポリヌクレオチドの特徴をコドン最適化してもよい。コドン最適化とは、宿主細胞内での発現を強化するために、天然のアミノ酸配列を維持する一方で、天然配列の少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、50以上のコドンを、その宿主細胞の遺伝子において最も頻繁に使用されるコドンで置き換えることにより、核酸配列を改変するプロセスを指す。コドン使用量は、参照遺伝子セットからのコーディングポリヌクレオチド配列の偏差を測定するコドン適応指数(CAI)を使用して測定してもよい。コドン使用表は、Codon Usage Database(http://www.kazusa.or.jp/codon/)で入手でき、CAIはEMBOSS CAIプログラム(http://emboss.sourceforge.net/)で計算することができる。コドン最適化方法は、当技術分野で公知であり、いくつかの目標のうちの1つ以上を達成する試みにおいて有用であり得る。これらの目標には、標的生物と宿主生物のコドン頻度を一致させて適切なフォールディングを確保し、ヌクレオチド含量にバイアスをかけて安定性を変更するか、または二次構造を低減し、遺伝子構築や遺伝子発現を損なう可能性のあるタンデムリピートコドンや塩基ランを最小化し、転写及び翻訳制御領域をカスタマイズし、タンパク質シグナル配列を挿入または除去し、コードされたタンパク質の翻訳後修飾部位(例えば、グリコシル化部位)を除去/追加し、タンパク質ドメインを追加、除去またはシャッフルし、制限酵素部位を挿入または削除し、リボソーム結合部位及び分解部位を改変し、翻訳速度を調整してタンパク質の様々なドメインを適切に折り畳ませるか、またはポリヌクレオチド内の問題のある二次構造を低減または排除することを可能とすることが含まれる。コドン最適化ツール、アルゴリズム、及びサービスは、当技術分野で公知であり、非限定的な例として、GeneArt(Life Technologies)、DNA2.0(Menlo Park CA)、OptimumGene(GenScript,Piscataway,NJ)、限定されないがDNAWorks v3.2.3などのアルゴリズム、及び/または特許された方法が挙げられる。一実施形態では、ポリヌクレオチド配列またはその一部を、最適化アルゴリズムを使用してコドン最適化する。各アミノ酸のコドンの選択肢は、その特定の種での発現を最適化するための様々な種の表と同様に、当技術分野で周知である。
本発明のいくつかの実施形態では、特定のポリヌクレオチドの特徴をコドン最適化してもよい。例えば、コドン最適化のための好ましい領域は、ポリペプチドをコードする領域の上流(5’)または下流(3’)であってもよい。これらの領域は、ペイロードをコードする領域またはオープンリーディングフレーム(ORF)のコドン最適化の前及び/または後に、ポリヌクレオチドに組み込んでもよい。
最適化(所望の場合)の後、ポリヌクレオチドの構成要素を再構成し、プラスミド、ウイルス、コスミド、及び人工染色体を含むがこれらに限定されないベクターに変換する。
コドン組成がmRNA種の翻訳速度及びその安定性を決定するため、時空間的コドン選択は、本発明のポリヌクレオチドの発現に影響を及ぼし得る。例えば、最適化したコドンに対するtRNAアンチコドンは豊富に存在し、したがって翻訳が強化され得る。対照的に、あまり一般的でないコドンに対するtRNAアンチコドンは少量であり、したがって翻訳はより遅い速度で進行する可能性がある。Presnyakらにより、mRNA種の安定性はコドンの内容に依存し、最適化したコドンを利用することにより、より高い安定性、したがってより高いタンパク質発現を達成し得ることが示されている(Presnyak et al.(2015)Cell 160,1111-1124;その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。したがって、いくつかの実施形態では、STコドン選択は、最適化されたコドンの選択を含み、本発明のSRES、エフェクターモジュール、及び生体回路の発現を強化し得る。他の実施形態では、時空間的コドン選択は、宿主細胞の遺伝子においてあまり一般的に使用されず、本発明の組成物の発現を低下させるコドンの選択を含み得る。宿主細胞の遺伝子であまり一般的に使用されないコドンに対する最適化コドンの比率も、発現を調整するために変化させてもよい。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの特定の領域は、コドン選択に好ましい場合がある。例えば、コドン選択のための好ましい領域は、ポリペプチドをコードする領域の上流(5’)または下流(3’)であってもよい。これらの領域は、ペイロードをコードする領域またはオープンリーディングフレーム(ORF)のコドン選択の前及び/または後に、ポリヌクレオチドに組み込んでもよい。
本発明のポリヌクレオチドの終止コドンは、本発明のSRE、ペイロード及びエフェクターモジュールの発現レベルを変更するための配列及びモチーフを含むように改変してもよい。そのような配列は、終止コドンリードスルーを誘導するために組み込んでもよく、終止コドンはアミノ酸を、例えば、セレノシステインまたはピロリジンに特定する場合がある。他の例では、終止コドンを完全にスキップさせて、代替のオープンリーディングフレームを介して翻訳を再開する場合がある。終止コドンのリードスルーを利用して、特定の比率(例えば、終止コドンの前後関係によって規定されるような)でエフェクターモジュールの構成要素の発現を調整してもよい。好ましい終止コドンモチーフの例として、UGAN、UAAN、及びUAGNが挙げられ、NはCまたはUのいずれかである。ポリヌクレオチドの改変及び操作は、限定されないが、部位特異的変異誘発及び組換え技術などの当技術分野で公知の方法によって達成することができる。次いで、得られた改変分子を、in vitroもしくはin vivoアッセイ、例えば、本明細書に記載するアッセイまたは当技術分野で公知の任意の他の適切なスクリーニングアッセイを使用して、活性について試験してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、1回、2回、または3回超繰り返される、ABABABもしくはAABBAABBAABBもしくはABCABCABCまたはそのバリアントなどのパターンである2つ以上のエフェクターモジュール配列、または2つ以上の目的ペイロード配列を含み得る。これらのパターンでは、A、B、またはCの各文字は、異なるエフェクターモジュール構成要素を表す。
さらに別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、各構成要素が、1つ以上のSRE配列(DD配列)、または2つ以上のペイロード配列を有する2つ以上のエフェクターモジュール構成要素の配列を含み得る。非限定的な例として、配列は、各領域で1回、2回、または3回超繰り返される、ABABABもしくはAABBAABBAABBもしくはABCABCABCまたはそのバリアントなどのパターンであってもよい。別の非限定的な例として、配列は、ポリヌクレオチド全体にわたって1回、2回、または3回超繰り返される、ABABABもしくはAABBAABBAABBもしくはABCABCABCまたはそのバリアントなどのパターンであってもよい。これらのパターンでは、A、B、またはCの各文字は、異なる配列または構成要素を表す。
本発明によれば、別個の生体回路、エフェクターモジュール、SRE及びペイロード構築物をコードするポリヌクレオチドを、3’末端において修飾されたヌクレオチドを用いて3’末端を介して一緒に連結してもよい。化学結合を用いて、細胞への送達の化学量論を制御してもよい。ポリヌクレオチドを、他のポリヌクレオチド、色素、挿入剤(アクリジンなど)、架橋剤(ソラレン、マイトマイシンCなど)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環芳香族炭化水素(フェナジン、ジヒドロフェナジンなど)、人工エンドヌクレアーゼ(EDTAなど)、アルキル化剤、リン酸、アミノ、メルカプト、PEG(PEG-40Kなど)、MPEG、(MPEG)2、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射標識マーカー、酵素、ハプテン(ビオチンなど)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ、タンパク質、例えば糖タンパク質、またはペプチド、例えば、共リガンドに対して特異的な親和性を有する分子、または抗体、例えば、がん細胞、内皮細胞、骨細胞などの特定の細胞タイプに結合する抗体、ホルモン及びホルモン受容体、非ペプチド種、例えば、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補因子、または薬物に結合するように設計することができる。非限定的な例として、それらは他の免疫複合体との複合体であってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドの組成物を、ギブソンアセンブリ法を使用してエフェクターモジュールの様々な構成要素を組み合わせることにより生成してもよい。ギブソンアセンブリ反応は、3つの等温反応からなり、それぞれが、長いオーバーハングを生成する5’エキソヌクレアーゼ、アニールされた一本鎖領域のギャップを埋めるポリメラーゼ、及びアニールされ、埋められたギャップのニックを塞ぐDNAリガーゼを含む、異なる酵素活性に依存する。ギブソンアセンブリの前にポリメラーゼ連鎖反応を実行し、これを用いて重複配列を有するPCR産物を生成する。これらの方法を順番に繰り返して、より大きな分子を組み立てることができる。例えば、この方法は、上記の方法を繰り返して2つ以上の目的DNA分子の第2のセットを相互に結合させ、次いで再度この方法を繰り返して第1及び第2セットの目的DNA分子を結合することなどを含み得る。これらの複数回の組み立て中の任意の段階で、組み立てたDNAを適切な微生物に形質転換することにより増幅することができ、またはDNAをin vitroで増幅することができる(例えばPCRを用いて)。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、不安定化ドメイン(DD)及び本明細書に示される少なくとも1つの免疫療法薬を含む融合ポリペプチドをコードし得る。DDドメインは、配列番号684~686、688~691、987~989、994、1013、及び/または1028のヌクレオチド配列によってコードされるFKBP変異体、配列番号687、692、772、798、814~815、988、991、及び/または993のヌクレオチド配列によってコードされるecDHFR変異体、配列番号693~700、773、852~857及び/または934~980、及び/または995~998のヌクレオチド配列によってコードされるhDHFR変異体であってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号701~715及び/または1019~1042のヌクレオチド配列を有するペイロードとしてのCD19 CAR、または配列番号774~782のヌクレオチド配列を有するペイロードとしてのIL12、または配列番号749、799~800、及び/または1055~1056のヌクレオチド配列を有するペイロードとしてのIL15、または配列番号816~821、1086~1089、1091~1095、1098~1111、1120、及び/または1123のヌクレオチド配列を有するペイロードとしてのIL15/IL15Ra融合ポリペプチドを含む、エフェクターモジュールをコードし得る。
細胞
本発明によれば、本発明の少なくとも1つの生体回路、SRE(例えば、DD)、エフェクターモジュール及び免疫療法薬を発現するように遺伝子改変した細胞を提供する。本発明の細胞には、免疫細胞、幹細胞及び腫瘍細胞が含まれるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、CD8+T細胞及びCD4+T細胞などのT細胞(例えば、Th1、Th2、Th17、Foxp3+細胞)、記憶T細胞、例えば、T記憶幹細胞、セントラル記憶T細胞、及びエフェクター記憶T細胞、最終分化エフェクターT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞(Treg)、ならびに樹状細胞(DC)、エフェクター機能を引き出すことができる他の免疫細胞、またはそれらの混合物を含むがこれらに限定されない免疫エフェクター細胞である。T細胞は、Tαβ細胞及びTγδ細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、幹細胞は、ヒト胚性幹細胞、間葉系幹細胞、及び神経幹細胞に由来するものであってもよい。いくつかの実施形態では、T細胞は枯渇した内在性T細胞受容体であってもよい(米国特許第9,273,283号;第9,181,527号;及び第9,028,812号参照;これらの各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。
いくつかの実施形態では、本発明の細胞は、特定の個々の対象に関して自己、同種、同系、または異種であってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の細胞は、哺乳類細胞、特にヒト細胞であってもよい。本発明の細胞は、初代細胞または不死化細胞株であってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の細胞は、細胞の増殖及び増大を誘発するペイロードとして増殖因子を含み得る。例示的なペイロードとして、KRAS、NRAS、RRAS、RRAS2、MRAS、ERAS、及びHRASなどのRAS、DIRAS1、DIRAS2、及びDIRAS3などのDIRAS、NKIRAS1、及びNKIRAS2などのNKIRAS、RALA、及びRALBなどのRAL、RAP1A、RAP1B、RAP2A、RAP2B、及びRAP2CなどのRAP、RASD1、RASD2などのRASD、RASL10A、RASL10B、RASL11A、RASL11B、及びRASL12などのRASL、REM1、及びREM2などのREM、GEM、RERG、RERGL、ならびにRRADが挙げられる。
人工免疫細胞は、生体回路のポリペプチド、エフェクターモジュール、SRE及び/または目的ペイロード(すなわち免疫療法薬)、もしくは前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、または前記ポリヌクレオチドを含むベクターを細胞組成物に形質導入することにより達成することができる。ベクターは、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、組換えAAV、アデノウイルスベクター、及び腫瘍溶解性ウイルスベクターなどのウイルスベクターであってもよい。他の態様では、非ウイルスベクター、例えばナノ粒子及びリポソームも使用してもよい。いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞を、刺激を使用して調整可能な本発明の少なくとも1つの免疫療法薬を発現するように遺伝子改変してもよい。いくつかの実施例では、同じ生体回路及びエフェクターモジュールに構築された2つ、3つまたはそれ以上の免疫療法薬を細胞に導入する。他の実施例では、それぞれが免疫治療薬を含む2つ、3つ、またはそれ以上の生体回路、エフェクターモジュールを細胞に導入してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞は、本明細書に示される抗原特異的T細胞受容体(TCR)または抗原特異的キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように改変したT細胞(CAR T細胞として知られる)であってもよい。したがって、本明細書に記載のCAR系(またはTCR)をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド、またはそのポリヌクレオチドを含むベクターをT細胞に導入する。CARまたはTCRを発現するT細胞は、CARまたはTCRの細胞外標的化部分を介して特定の抗原に結合し、それにより細胞内シグナル伝達ドメイン(複数可)を介したシグナルをT細胞に伝達し、その結果、T細胞を活性化する。活性化されたCAR T細胞は、細胞傷害性サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子、及びリンホトキシンなど)の放出、細胞増殖速度の向上、細胞表面分子の変化などを含むその挙動を変える。そのような変化は、CARまたはTCRによって認識される抗原を発現する標的細胞の破壊を引き起こす。さらに、サイトカインの放出または細胞表面分子の変化により、他の免疫細胞、例えば、B細胞、樹状細胞、NK細胞、及びマクロファージが刺激される。
T細胞に導入するCARは、TCR CD3ζ由来の細胞内シグナル伝達ドメインのみを含む第1世代CAR、またはTCR CD3ζ由来の細胞内シグナル伝達ドメインと共刺激シグナル伝達ドメインを含む第2世代CAR、またはTCR CD3ζ由来の細胞内シグナル伝達ドメインと2つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインを含む第3世代CAR、またはスプリットCAR系、またはオン/オフスイッチCAR系であってもよい。一実施例では、本発明のエフェクターモジュールのhDHFR変異体などの不安定化ドメイン(DD)によって、CARまたはTCRの発現を制御する。TMPなどのhDHFR結合リガンドの有無を使用して、形質導入したT細胞またはNK細胞のCARまたはTCRの発現を調整する。
いくつかの実施形態では、本発明のCAR T細胞を、別の1つ、2つ、3つまたはそれ以上の免疫療法薬を発現するようにさらに改変してもよい。免疫療法薬は、異なる標的分子に特異的な別のCARまたはTCR;IL2、IL12、IL15及びIL18などのサイトカイン、またはIL15Raなどのサイトカイン受容体;抑制シグナルを刺激シグナルに変換するキメラスイッチ受容体;養子移入された細胞を腫瘍組織などの標的部位に誘導するホーミング受容体;免疫細胞の代謝を最適化する薬剤;または、養子細胞移入後に重篤な事象が観察された場合、もしくは移入した免疫細胞が不要になった場合に、活性化T細胞を殺傷する安全スイッチ遺伝子(例えば、自殺遺伝子)であってもよい。これらの分子は、同じエフェクターモジュールまたは別個のエフェクターモジュールに含ませてもよい。
一実施形態では、本発明のCAR T細胞(TCR T細胞を含む)は、CARを含むエフェクターモジュール及びサイトカインを含むエフェクターモジュールで形質転換した「武装した」CAR T細胞であってもよい。誘導性または構成的に分泌される活性サイトカインは、CAR T細胞をさらに武装して、効力と持続性を向上させる。これに関連して、そのようなCAR T細胞は「武装したCAR T細胞」とも呼ばれる。「防護」分子は、腫瘍微小環境及び自然免疫系及び適応免疫系の他のエレメントに基づいて選択してもよい。いくつかの実施形態では、分子は、刺激性因子、例えば、IL2、IL12、IL15、IL18、I型IFN、CD40L及び4-1BBLであってもよく、これらは、異なる機構を介して、敵対的な腫瘍微小環境に直面したCAR T細胞の効力及び持続性をさらに高めることが示されている(Yeku et al.,Biochem Soc Trans.,2016,44(2):412-418)。
いくつかの態様では、本発明の武装したCAR T細胞を、CD19 CAR及びIL12を発現するように改変する。そのようなT細胞は、腫瘍におけるCARを介した活性化の後、誘導性IL12を放出し、T細胞活性化を増強し、自然免疫細胞を引き付けて活性化してCD19陰性がん細胞を排除する。
一実施形態では、本発明のT細胞を、CARを含むエフェクターモジュール及び自殺遺伝子を含むエフェクターモジュールを発現するように改変してもよい。
一実施形態では、本発明のCAR T細胞(TCR T細胞を含む)を、サイトカイン及び安全スイッチ遺伝子(例えば、自殺遺伝子)を含むエフェクターモジュールで形質転換してもよい。自殺遺伝子は、生体回路系の細胞外刺激により活性化されるとアポトーシスを誘導するカスパーゼ9などの誘導性カスパーゼであってもよい。そのような誘発されたアポトーシスは、必要に応じて移入細胞を排除し、直接的な毒性及び制御不能な細胞増殖のリスクを低減する。
いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞は、本明細書中に示される抗原特異的T細胞受容体(TCR)または抗原特異的キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように改変したNK細胞であってもよい。
ナチュラルキラー(NK)細胞は、自然リンパ球系細胞ファミリーのメンバーであり、CD3(T細胞共受容体)の非存在下で表現型マーカーCD56(神経細胞接着分子)の発現によりヒトで特徴付けられる。NK細胞は、事前の抗原プライミングを必要とせずに細胞傷害性攻撃を媒介し、がん悪性腫瘍やウイルス感染などの疾患に対する防御の最前線を形成する自然免疫系の強力なエフェクター細胞である。
いくつかの前臨床及び臨床試験により、NK細胞の養子移入は、急性骨髄性白血病などのがんに対する有望な治療アプローチであることが示されている(Ruggeri et al.,Science;2002,295:2097-2100;及びGeller et al.,Immunotherapy,2011,3:1445-1459)。DAP12ベースの活性化CARなどのCARを発現するNK細胞の養子移入により、腫瘍細胞の根絶の改善が明らかになった(Topfer et al.,J Immunol.2015;194:3201-3212)。CS-1特異的CARを発現するように設計したNK細胞はまた、多発性骨髄腫において、細胞溶解及びインターフェロン-γ(IFN-γ)産生の増強も示した(Chu et al.,Leukemia,2014,28(4):917-927)。
NK細胞活性化は、活性化機能及び阻害機能を有する一連の受容体を特徴とする。NK細胞上の重要な活性化受容体には、CD94/NKG2C及びNKG2D(C型レクチン様受容体)、及び腫瘍細胞またはウイルス感染細胞のリガンドを認識する自然細胞傷害性受容体(NCR)NKp30、NKp44及びNKp46が含まれる。NK細胞の阻害は、HLA分子のα-1ヘリックスを介して、多型抑制性キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)とそれらの同族のヒト-白血球-抗原(HLA)リガンドとの相互作用によって本質的に媒介される。活性化受容体と抑制性受容体から生成されるシグナルのバランスにより、主に即時の細胞傷害活性化が決定される。
NK細胞は、末梢血単核球(PBMC)から単離するか、またはヒト胚性幹(ES)細胞及び人工多能性幹細胞(iPSC)に由来するものであってもよい。PBMCから単離した初代NK細胞を、養子免疫療法のためにさらに増殖させてもよい。NK細胞の増殖に役立つ戦略及びプロトコールには、インターロイキン2(IL2)刺激及び自己フィーダー細胞の使用、または遺伝子組換え同種フィーダー細胞の使用が含まれ得る。いくつかの態様では、NK細胞を、IL15、IL21、IL2、41BBL、IL12、IL18、MICA、2B4、LFA-1、及びBCM1/SLAMF2を含む刺激性リガンドの組み合わせで選択的に増殖させることができる(例えば、米国特許公開第US20150190471号)。
CAR及び/または他の免疫療法薬を含むエフェクターモジュールを発現する免疫細胞を、がん免疫療法として使用することができる。免疫療法は、CAR及び/または他の免疫療法薬を有効成分として発現する細胞を含み、適切な賦形剤をさらに含み得る。賦形剤の例には、様々な細胞培養培地及び等張性塩化ナトリウムを含む前述の薬学的に許容される賦形剤が含まれ得る。
いくつかの実施形態では、本発明の細胞は、本発明の組成物を発現するように遺伝子改変した樹状細胞であってもよい。そのような細胞を、がんワクチンとして使用してもよい。
CD19抗体の開発及び特性評価の方法
いくつかの実施形態では、本発明は、CD19抗体、抗体断片またはバリアントの産生方法を提供する。そのような方法は:(1)CD19を含む組成物を調製し、(2)抗体もしくは抗体断片または変異体のライブラリを組成物と接触させ、(3)1つ以上のCD19抗体を同定する工程を含み得る。また、FMC63とは別個のCD19抗体、抗体断片またはバリアントの同定方法も本明細書において提供する。
いくつかの実施形態では、本発明は、CD19 scFvの同定方法を提供する。そのような方法は、CD19 scFvについてファージミドライブラリをスクリーニングすることを含み得る。細菌またはバクテリオファージの表面に関連する組換えscFvを発現するファージミドライブラリは、本発明において有用である。ファージミドライブラリは、免疫グロブリンIgMの重鎖とκ軽鎖をコードするポリヌクレオチドをPCR増幅し、PCR産物を含むベクターをCreリコンビナーゼ陽性細菌に高い感染多重度(MOI)で感染させることにより生成してもよい。MOIが高いと、それぞれが異なるVH及びVL遺伝子をコードする複数のファージミドを含む細菌が生じ、これがCreリコンビナーゼによって再度組換えられる。組換えによって生成し得るライブラリは、およそ約108個のユニークなscFvである。いくつかの例では、キメラ抗原受容体構築物にフォーマットされたCD19 scFvのライブラリをスクリーニングして、本発明において有用なCD19scFvを同定してもよい。
いくつかの実施形態では、CD19に免疫学的に特異的なscFvは、CD19の全長、断片または一部を異所性に発現する細胞を使用して同定してもよい。低い内在性CD19発現を有する細胞株を異所性発現用に選択してもよい。いくつかの実施形態では、CD19は、ヒトCD19の天然型アイソフォームであってもよい。
いくつかの実施形態では、ヒトIgG1のFc領域に融合させたCD19(すなわち、エキソン1~エキソン4)の細胞外ドメインを含む融合タンパク質(CD19sIg)を利用して、CD19特異的scFvを同定する。そのような融合タンパク質は、Oliveira et al(2013)Journal of Translational Medicine 11:23に記載されており;その内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
また、本明細書において、FMC63によって結合されるCD19抗原のエピトープとは異なるかまたは類似していないCD19抗原のエピトープに免疫学的に特異的であり、これに結合するscFvを含む、FMC63とは別個のscFvの同定方法を提供する。いくつかの実施形態では、FMC63に結合したヒトCD19からなる複合体でscFvライブラリをスクリーニングすることにより、FMC63とは別個のscFvを同定する。本明細書中でアカゲザルCD19と呼ばれるアカゲザル(Macaca mulatta)のCD19は、ヒトCD19と88%の相同性を有する。この高度の相同性にもかかわらず、アカゲザルCD19はFMC63によって認識されず、このことはFMC63エピトープがアカゲザルCD19と非相同であるヒトCD19の領域にあることを示している。したがって、いくつかの実施形態では、アカゲザルCD19を使用して、FMC63とは別個のscFvについてscFvライブラリをスクリーニングしてもよい。以前に、ヒトCD19と非相同であるアカゲザルCD19の領域の変異を利用して、FMC63への結合を付与するヒトCD19の残基が同定されている((Sommermeyer et al.(2017)Leukemia Feb 16.doi:10.1038/leu.2017.57)。いくつかの実施形態では、Sommermeyerらによって記載された変異分析を利用して、FMC63に結合できないヒトCD19変異体を設計してもよい。そのような変異体には、ヒトCD19(H218R、A237D、M243V、E244D、P250T)及びヒトCD19(H218R、A237D)が含まれる場合があり、FMC63とは別個のscFvのためのscFvライブラリのスクリーニングに利用してもよい。Sotilloらは、がん患者においてエキソン2を欠損するヒトCD19のスプライスバリアントを同定した(Sotillo et al.(2015)Cancer Discov.2015 Dec;5(12):1282-95)。エキソン2を欠損するスプライスバリアントはFMC63によって認識されず、また、FMC63とは別個のscFvのためのscFvライブラリをスクリーニングするために利用してもよい。
ヒトIgG1のFc領域をヒトCD19完全細胞外ドメイン、すなわちエキソン1~4(CD19sIgG1~4)、またはエキソン2を欠損する細胞外ドメイン、すなわちエキソン1、3及び4(CD19sIgG1、3、4)と融合することにより生成されるCD19 IgG融合分子を利用して、FMC63とは別個のscFvのためのscFvライブラリをスクリーニングしてもよい。
本発明において有用なCD19タンパク質、バリアント及び変異体を、表14に提供する。
III.医薬組成物及び製剤
本発明はさらに、本発明の1つ以上の生体回路、エフェクターモジュール、SRE(例えば、DD)、刺激及び目的ペイロード(すなわち、免疫療法薬)、ベクター、細胞及び他の構成要素、ならびに場合により、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤または不活性成分を含む医薬組成物を提供する。
本明細書中で使用する場合、用語「医薬組成物」とは、本明細書に記載の生体回路、SRE、刺激及び目的ペイロード(すなわち、免疫療法薬)、他の構成要素、ベクター、細胞、またはその薬学的に許容される塩、場合により、生理学的に適切な担体や賦形剤などの他の化学成分を含む調製物を指す。本発明の医薬組成物は、有効量の本発明の1つ以上の活性組成物を含む。本発明の少なくとも1つの組成物及び/または追加の有効成分を含む医薬組成物の調製は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990によって例示されるように、本開示に照らして当業者に公知であり、参照により本明細書に援用する。
用語「賦形剤」または「不活性成分」とは、有効成分の投与をさらに促進するために医薬組成物及び製剤に添加される不活性物質を指す。本開示の目的のために、語句「有効成分」とは、本明細書に記載するように、一般的に、任意の1つ以上の生体回路、エフェクターモジュール、SRE、刺激及び目的ペイロード(すなわち免疫療法薬)、他の構成要素、ベクター、ならびに送達される細胞を指す。語句「薬学的に許容される」とは、例えばヒトなどの動物に適切に投与した場合に、有害反応、アレルギー反応、または他の不都合な反応を引き起こさない分子実体及び組成物を指す。
いくつかの実施形態では、医薬組成物及び製剤を、ヒト、ヒト患者または対象に投与する。本明細書において提供する医薬組成物の記載は、主にヒトへの投与に適した医薬組成物に向けられたものであるが、当業者であれば、そのような組成物が、一般的にいずれの他の動物、例えば非ヒト動物、例えば非ヒト哺乳類への投与にも適していることを理解するであろう。医薬組成物の投与が企図される対象として、ウシ、ウマ、ニワトリ及びブタなどの農業動物、ネコ、イヌなどの飼育動物、またはマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ならびに非ヒト霊長類などの研究動物を含む、非ヒト哺乳類が挙げられるが、これらに限定されない。ヒトへの投与の場合、調製物は、FDA Office of Biological Standardsが要求する、無菌性、発熱性、一般的な安全性及び純度の基準を満たす必要があることが理解されるであろう。
本発明による医薬組成物及び製剤は、単一の単位用量として、及び/または複数の単一の単位用量として、大量に調製、包装、及び/または販売してもよい。本明細書中で使用する場合、「単位用量」は、所定量の有効成分を含む医薬組成物の個別の量である。有効成分の量は、一般的に、対象に投与するであろう有効成分の用量及び/またはそのような用量の便利な画分、例えば、そのような用量の半分または3分の1に等しい。
本発明の組成物は、送達に適した任意の方法で製剤化してもよい。製剤は、ナノ粒子、ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)(PLGA)ミクロスフェア、リピドイド、リポプレックス、リポソーム、ポリマー、炭水化物(単糖を含む)、カチオン性脂質及びそれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。
一実施形態では、製剤は、少なくとも1つの脂質を含み得るナノ粒子である。脂質は、DLin-DMA、DLin-K-DMA、98N12-5、C12-200、DLin-MC3-DMA、DLin-KC2-DMA、DODMA、PLGA、PEG、PEG-DMG及びPEG化脂質から選択してもよいが、これらに限定されない。別の態様では、脂質は、DLin-DMA、DLin-D-DMA、DLin-MC3-DMA、DLin-KC2-DMA及びDODMAなどのカチオン性脂質であってもよいが、これらに限定されない。
本発明のポリヌクレオチドについて、製剤は、例えば国際出願PCT/US2012/069610に示されている製剤のいずれかから選択してもよく、その内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
本発明による医薬組成物中の有効成分、薬学的に許容される賦形剤または不活性成分、及び/または任意の追加成分の相対量は、治療を受ける対象の同一性、サイズ、及び/または病態に応じて、さらには組成物を投与する経路に応じて変化させる。一例として、組成物には、0.1~100、例えば0.5~50、1~30、5~80、少なくとも80(w/w)の有効成分を含ませてもよい。
治療の有効性または疾患の改善は、例えば、疾患の進行、疾患の寛解、症状の重症度、疼痛の軽減、生活の質、治療効果を維持するために必要な薬物の用量、疾患マーカーのレベル、または治療対象または予防対象の疾患に適した任意の他の測定可能なパラメーターを測定することにより評価することができる。そのようなパラメーターのいずれか、またはパラメーターの任意の組み合わせを測定することにより、治療または予防の有効性をモニタリングすることは、十分に当業者の能力の範囲内である。本発明の組成物の投与に関して、例えばがんに対する「有効」とは、臨床的に適切な方法での投与により、少なくとも統計的に有意な割合の患者に対して有益な効果、例えば、症状の改善、治癒、疾患負荷の減少、腫瘍量または細胞数の減少、寿命の延長、生活の質の改善、または特定の種類のがんの治療に精通した医師によって一般的に肯定的と認められる他の効果がもたらされることを意味する。
治療効果または予防効果は、疾患状態の1つ以上のパラメーターに統計的に有意な改善がある場合、またはそうでなければ予想される症状の悪化または発症により、明らかである。一例として、疾患の測定可能なパラメーターにおける少なくとも10、好ましくは少なくとも20、30、40、50以上の好ましい変化は、効果的な治療の指標となり得る。本発明の所与の組成物または製剤の有効性は、当技術分野で公知の所与の疾患の実験動物モデルを使用して判断することもできる。実験動物モデルを使用する場合、統計的に有意な変化が観察される場合、治療の有効性が証明される。
IV.応用
本発明の一態様では、腫瘍体積または腫瘍量の軽減方法を提供する。この方法は、少なくとも1つの生体回路系、エフェクターモジュール、DD、及び/または目的ペイロード(すなわち、免疫療法薬)、少なくとも1つのベクター、または細胞を含む薬学的有効量の医薬組成物を、腫瘍を有する対象に投与することを含む。本明細書に記載の任意の免疫療法薬を有する生体回路系及びエフェクターモジュールは、ポリペプチド、またはmRNAなどのポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチドを含むウイルスベクター、または生体回路、エフェクターモジュール、DD、及び目的ペイロード(すなわち、免疫療法薬)を発現するように改変した細胞の形態であってもよい。
本発明の別の態様では、対象における抗腫瘍免疫応答の誘導方法を提供する。この方法は、少なくとも1つの生体回路系、エフェクターモジュール、DD、及び/または目的ペイロード(すなわち、免疫療法薬)、少なくとも1つのベクター、または細胞を含む薬学的有効量の医薬組成物を、腫瘍を有する対象に投与することを含む。本明細書に記載のいずれかの免疫療法薬を有する生体回路及びエフェクターモジュールは、ポリペプチド、またはmRNAなどのポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチドを含むウイルスベクター、または生体回路、エフェクターモジュール、DD、及び目的ペイロード(免疫療法薬など)を発現するように改変した細胞の形態であってもよい。
本発明による方法は、本発明の免疫エフェクター細胞などの遺伝子改変細胞、生体回路系を含むがんワクチン、エフェクターモジュール、DD、本発明の目的ペイロード(すなわち、免疫療法薬)、もしくは腫瘍免疫抑制性微小環境を操作する組成物、またはそれらの組み合わせを使用する、養子細胞移入(ACT)であってもよい。これらの治療は、さらに化学療法や放射線療法などの他のがん治療とともに使用してもよい。
1.養子細胞移入(養子免疫療法)
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの生体回路系、エフェクターモジュール、DD、及び/または目的ペイロード(免疫療法薬)を発現するように遺伝子改変した細胞を養子細胞療法(ACT)に使用してもよい。本明細書中で使用する場合、養子細胞移入とは、直接的な抗がん活性を有する免疫細胞(自己、同種または遺伝子改変宿主由来)の投与を指す。ACTは、悪性疾患及び感染症に対する臨床応用において有望である。例えば、CD19を認識するように遺伝子改変したT細胞は、濾胞性B細胞リンパ腫の治療に使用されており(Kochenderfer et al.,Blood,2010,116:4099-4102;及びKochenderfer and Rosenberg,Nat Rev Clin Oncol.,2013,10(5):267-276)、抗腫瘍T細胞受容体を発現するように遺伝子改変した自己リンパ球を使用するACTは、転移性黒色腫の治療に使用されている(Rosenberg and Dudley,Curr.Opin.Immunol.2009,21:233-240)。
本発明によれば、生体回路及び系を、養子細胞療法などの細胞療法の開発及び実施に使用してもよい。細胞療法に有用な特定のエフェクターモジュールを図7~12に示す。生体回路、その構成要素、エフェクターモジュール及びそのSRE、ならびにペイロードを、CAR療法を引き起こす細胞療法において、TILの操作または調節において、同種細胞療法において、他の治療ライン(例えば、放射線、サイトカイン)との併用T細胞療法において、設計したTCR、もしくは改変したTCRをコードするために、またはTCR以外のT細胞を増強する(例えば、サイトカイン遺伝子、チェックポイント阻害剤PD1、CTLA4の遺伝子を導入することにより)ために使用してもよい。
本明細書において、養子細胞療法における使用方法を提供する。方法は、それを必要とする対象を事前調整し、本発明のSRE、生体回路及び組成物を用いて免疫細胞を調節し、本発明の組成物を発現する改変型免疫細胞を対象に投与し、対象内で改変型細胞を首尾よく生着させることを含む。
いくつかの実施形態では、本発明のSRE、生体回路及び組成物を使用して、養子細胞療法に関連する事前調整レジメンを最小化してもよい。本明細書中で使用する場合、「事前調整」とは、養子細胞療法の結果を向上させるために対象に投与する任意の治療レジメンを指す。事前調整戦略には、全身照射及び/またはリンパ球減少化学療法が含まれるが、これらに限定されない。事前調整なしの養子療法の臨床試験では臨床的有用性を示すことができなかったことから、ACTにおける事前調整の重要性が示されている。ただし、事前調整には重大な毒性が伴い、ACTに適した対象コホートは限定される。いくつかの例では、ACTの免疫細胞を改変して、本発明のSREを使用してIL12及びIL15などのサイトカインをペイロードとして発現させ、事前調整の必要性を低減してもよい(Pengram et al.(2012)Blood 119(18):4133-41;その内容はその全体を参照により援用する)。
いくつかの実施形態では、ACTの免疫細胞は、樹状細胞、CD8+T細胞及びCD4+T細胞などのT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK T細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞、メモリーT細胞、調節性T細胞(Treg)、ヘルパーT細胞、サイトカイン誘導性キラー(CIK)細胞、及びそれらの任意の組み合わせであってもよい。他の実施形態では、ACTの免疫刺激細胞は、胚性幹細胞(ESC)及び人工多能性幹細胞(iPSC)から生成してもよい。いくつかの実施形態では、自己または同種免疫細胞をACTに使用する。
いくつかの実施形態では、ACTに使用する細胞は、目的の腫瘍細胞上の抗原に特異的な抗原結合ドメインを含むCARを発現するように設計したT細胞であってもよい。他の実施形態では、ACTに使用する細胞は、目的の腫瘍細胞上の抗原に特異的な抗原結合ドメインを含むCARを発現するように設計したNK細胞であってもよい。免疫療法のための遺伝子改変T細胞(CAR T細胞など)の養子移入に加えて、養子免疫療法には、単独またはCAR T細胞と併用する代替型のCAR発現白血球を使用してもよい。一実施例では、T細胞とNK細胞の混合物をACTに使用してもよい。本発明によれば、T細胞及びNK細胞内のCARの発現レベルを、エフェクターモジュール内のCARに作動可能に連結したDD(複数可)に結合する小分子によって調整及び制御する。
いくつかの実施形態では、本発明のCARを、T細胞のT細胞受容体α定常(TRAC)遺伝子座の転写制御下に置き、T細胞効力を増強する一方で、均一なCAR発現を達成してもよい。TRAC遺伝子座は、CRISPR/Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALENの後にCAR構築物を挿入することにより、破壊してもよい。TRAC遺伝子座に向けられたCAR構築物の改変方法は、Eyquem J.et al(2017)Nature.543(7643):113-117に記載されている(その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。
いくつかの実施形態では、本組成物を発現するように改変したNK細胞をACTに使用してもよい。NK細胞の活性化は、標的細胞でパーフォリン/グランザイム依存性アポトーシスを誘導する。NK細胞の活性化はまた、IFN-γ、TNF-α及びGM-CSFなどのサイトカイン分泌も誘導する。これらのサイトカインは、マクロファージの食作用機能とその抗菌活性を高め、樹状細胞(DC)などの抗原提示細胞による抗原提示の上方制御を介して適応免疫応答を増強する(Vivier et al.,Nat.Immunol.,2008,9(5):503-510に概説)。
遺伝子改変の他の例には、キメラ抗原受容体(CAR)の導入及びNKG2Aなどの阻害性NK細胞受容体の下方制御が含まれ得る。
NK細胞はまた、腫瘍細胞との相互作用の際にNK細胞阻害シグナルを回避するように遺伝的に再プログラムしてもよい。例えば、CRISPR、ZFN、またはTALENを使用してNK細胞を遺伝的に改変し、阻害性受容体をサイレンシングすることにより、NK細胞の抗腫瘍能力を強化してもよい。
当技術分野で公知の様々な方法を使用して、免疫細胞をex vivoで単離及び増殖させることができる。例えば、細胞傷害性T細胞の単離及び増殖方法は、米国特許第6,805,861号及び第6,531,451号;米国特許公開第US20160348072A1号及び国際特許公開第WO2016168595A1号に記載されており;その各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。NK細胞の単離及び増殖は、米国特許公開第US20150152387A1号、米国特許第7,435,596号;及びOyer,J.L.(2016).Cytotherapy.18(5):653-63に記載されており;その各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。具体的には、ヒト初代NK細胞を、フィーダー細胞、例えば、膜結合IL15、IL21、IL12及び4-1BBLを発現するように遺伝子改変した骨髄細胞株の存在下で増殖させてもよい。
いくつかの例では、ACTのために免疫細胞の部分集団を濃縮してもよい。免疫細胞の濃縮方法は、国際特許公開第WO2015039100A1号に示されている。別の例では、B及びTリンパ球アテニュエーターマーカー(BTLA)陽性のT細胞を使用して、米国特許第9,512,401号に記載されているように抗がん反応性のT細胞を濃縮してもよい(各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。
いくつかの実施形態では、ACT用の免疫細胞から選択部分集団を枯渇させて、T細胞の増殖を増強してもよい。例えば、米国特許公開第US20160298081A1号に示されている方法を使用して、免疫細胞からFoxp3+Tリンパ球を枯渇させて抗腫瘍免疫応答を最小化してもよく;その内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
いくつかの実施形態では、ACT用のT細胞の活性化及び増殖を、細胞表面上で一時的に発現させるキメラ抗原受容体(CAR)の抗原刺激により達成する。そのような活性化方法は、国際特許第WO2017015427号に示されており、その内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
いくつかの実施形態では、免疫細胞を、抗原提示細胞(APC)に関連する抗原によって活性化してもよい。いくつかの実施形態では、APCは、抗原特異的または非特異的である樹状細胞、マクロファージまたはB細胞であってもよい。APCは器官において自己または同種であってもよい。いくつかの実施形態では、APCは、細胞ベースのaAPCまたは無細胞aAPCなどの人工抗原提示細胞(aAPC)であってもよい。細胞ベースのaAPCは、ヒト赤白血病細胞などの遺伝子改変同種細胞、またはマウス線維芽細胞及びショウジョウバエ細胞などの異種細胞のいずれかから選択してもよい。あるいは、APCは無細胞であってもよく、その場合、抗原または共刺激ドメインを、ラテックスビーズ、ポリスチレンビーズ、脂質小胞またはエキソソームなどの合成表面上に提示する。
いくつかの実施形態では、本発明の細胞、特にT細胞を、人工細胞プラットフォームを使用して増殖させてもよい。一実施形態では、成熟T細胞を、Seet CS et al.2017.Nat Methods.14,521-530によって記載される人工胸腺オルガノイド(ATO)を使用して生成してもよい(その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。ATOは、デルタ様カノニカルnotchリガンド(DLL1)を発現する間質細胞株に基づいている。この方法では、遠心分離により間質細胞と造血幹細胞及び前駆細胞とを凝集させ、気液界面の細胞培養インサートに配置してオルガノイド培養を生成する。ATO由来のT細胞は、ナイーブ表現型、多様なT細胞受容体(TCR)レパートリー、及びTCR依存性の機能を示す。
いくつかの実施形態では、養子細胞療法を自己移植により行い、その場合、細胞は治療を必要とする対象に由来し、単離及びプロセシング後に同じ対象に細胞を投与する。他の例では、ACTは、同種移植を含む場合があり、その場合、細胞療法を最終的に受けるレシピエント対象以外のドナー対象から細胞を単離及び/または調製する。ドナー及びレシピエント対象は、遺伝的に同一もしくは類似であるか、または同じHLAクラスもしくはサブタイプを発現するものであってもよい。
いくつかの実施形態では、ACT用の免疫細胞(例えば、T細胞及びNK細胞)に導入する複数の免疫療法薬を、同じ生体回路系によって制御してもよい。一実施例では、IL12などのサイトカイン及びCD19 CARなどのCAR構築物を、同じhDHFR不安定化ドメインに連結する。IL12及びCD19 CARの発現を、TMPを同時に使用して調整する。他の実施形態では、ACT用の免疫細胞(例えば、T細胞及びNK細胞)に導入する複数の免疫療法薬を、異なる生体回路系によって制御してもよい。一実施例では、IL12などのサイトカイン及びCD19 CARなどのCAR構築物を、2つの別個のエフェクターモジュールの異なるDDに連結し、それにより、異なる刺激を使用して別々に調整することができる。別の実施例では、自殺遺伝子及びCAR構築物を、2つの別個のエフェクターモジュールに連結してもよい。
本発明のSRE、生体回路及び組成物を使用する遺伝子調節に続いて、細胞を、それを必要とする対象に投与する。養子細胞療法用の細胞の投与方法は公知であり、提供する方法及び組成物に関して使用してもよい。例えば、養子T細胞療法の方法は、例えば、Gruenbergらの米国特許出願公開第2003/0170238号;Rosenbergの米国特許第4,690,915号;Rosenberg(2011)Nat Rev Clin Oncol.8(10):577-85)に記載されている。例えば、Themeli et al.(2013)Nat Biotechnol.31(10):928-933;Tsukahara et al.(2013)Biochem Biophys Res Commun 438(1):84-9;Davila et al.(2013)PLoS ONE 8(4):e61338参照;その各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
いくつかの実施形態では、ACT用の免疫細胞を、免疫細胞の活性化、浸潤、増殖、生存、及び抗腫瘍機能を促進する1つ以上の免疫療法薬を発現するように改変してもよい。免疫療法薬は、異なる標的分子に特異的な第2のCARまたはTCR;サイトカインまたはサイトカイン受容体;抑制シグナルを刺激シグナルに変換するキメラスイッチ受容体;養子移入した細胞を腫瘍組織などの標的部位に誘導するホーミング受容体;免疫細胞の代謝を最適化する薬剤;または、養子細胞移入後に重篤な事象が観察された場合、もしくは移入した免疫細胞が不要になった場合に、活性化T細胞を殺傷する安全スイッチ遺伝子(例えば、自殺遺伝子)であってもよい。
いくつかの実施形態では、がん患者の腫瘍を殺傷するための能力をさらに向上させるという全体的な目的に関して、養子細胞移入に使用する免疫細胞を遺伝的に操作して、in vivoでのそれらの持続性、細胞傷害性、腫瘍標的化能力、及び疾患部位へのホーミング能力を向上させることができる。一実施例は、γサイトカイン(IL2及びIL15)などのサイトカインを含む本発明のエフェクターモジュールを免疫細胞に導入して、免疫細胞の増殖及び生存を促進することである。サイトカイン遺伝子(例えば、γサイトカインIL2及びIL15)の細胞への形質導入は、外来性サイトカインを追加せずに免疫細胞を増殖させることができ、サイトカインを発現するNK細胞は腫瘍細胞傷害性を強化した。
いくつかの実施形態では、生体回路、それらの構成要素、SRE、またはエフェクターモジュールを利用して、T細胞の枯渇を防止することができる。本明細書中で使用する場合、「T細胞枯渇」とは、慢性的なT細胞活性化によって引き起こされるT細胞機能の段階的かつ進行性の喪失を指す。T細胞の枯渇は、抗ウイルス及び抗腫瘍免疫療法の効力を制限する主要な要因である。枯渇したT細胞は、増殖率とサイトカイン産生能が低く、同時にアポトーシスの割合が高く、複数の抑制性受容体の表面発現が高い。枯渇につながるT細胞の活性化は、抗原の存在下または非存在下で起こり得る。
いくつかの実施形態では、生体回路及びそれらの構成要素を利用して、キメラ抗原受容体-T細胞療法(CAR-T)に関してT細胞の枯渇を防止してもよい。これに関して、いくつかの例では、細胞表面のCARのscFvのオリゴマー化によって枯渇が引き起こされる可能性があり、これはCARの細胞内ドメインの連続的な活性化につながる。非限定的な例として、本発明のCARは、オリゴマー化することができないscFvを含み得る。別の非限定的な例として、抗原曝露後に急速に内在化及び再発現するCARを選択して、細胞表面での慢性scFvオリゴマー化を防止してもよい。一実施形態では、scFvのフレームワーク領域を改変して、構成的CARシグナル伝達を防止してもよい(Long et al.2014.Cancer Research.74(19)S1;その内容はその全体を参照により援用する)。また、本発明の調節可能な生体回路系を使用して、T細胞表面上のCARの表面発現を調節して慢性的なT細胞活性化を防止してもよい。本発明のCARを改変して、枯渇を最小化してもよい。非限定的な例として、41-BBシグナル伝達ドメインをCARの設計に組み込んで、T細胞の枯渇を改善してもよい。いくつかの実施形態では、Long H Aらによって開示された戦略のいずれかを利用して、枯渇を防止してもよい(Long A H et al.(2015)Nature Medicine 21,581-590;その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。
いくつかの実施形態では、本発明の生体回路の調整可能な性質を利用して、持続性CARシグナル伝達で観察されるヒトT細胞枯渇を逆転させてもよい。本発明の組成物を用いた、養子移入した細胞の生物学的活性の可逆的サイレンシングを用いて、持続性シグナル伝達を逆転させてもよく、これは次にT細胞を再活性化し得る。枯渇の逆転は、枯渇に関連する複数の抑制性受容体の下方制御によって測定してもよい。
いくつかの実施形態では、T細胞の代謝経路を改変して、枯渇に対するT細胞の感受性を低下させてもよい。代謝経路には、解糖系、尿素回路、クエン酸回路、β酸化、脂肪酸生合成、ペントースリン酸経路、ヌクレオチド生合成、及びグリコーゲン代謝経路が含まれるが、これらに限定されない。非限定的な例として、解糖の速度を低下させるペイロードを利用して、T細胞の枯渇を制限または防止してもよい(Long et al.Journal for Immunotherapy of Cancer 2013,1(Suppl 1):P21;その内容はその全体を参照により援用する)。一実施形態では、本発明のT細胞を、2-デオキシグルコース、及びラパマイシンなどの解糖の阻害剤と組み合わせて使用してもよい。
いくつかの実施形態では、免疫療法に有用な本発明のエフェクターモジュールを、T細胞のT細胞受容体α遺伝子座定常(TRAC)遺伝子座の転写制御下に置いてもよい。Eyquemらは、TRAC遺伝子座からのCARの発現が、T細胞の過剰な活性化によって引き起こされるT細胞の枯渇及びT細胞の分化の加速を防止することを示した(Eyquem J.et al(2017)Nature.543(7643):113-117;その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。
いくつかの実施形態では、本発明のペイロードを、T細胞枯渇に関連するT細胞表面マーカーを標的とする抗体または断片とともに使用してもよい。使用してもよいT細胞枯渇に関連するT細胞表面マーカーには、CTLA-1、PD-1、TGIT、LAG-3、2B4、BTLA、TIM3、VISTA、及びCD96が含まれるが、これらに限定されない。
一実施形態では、本発明のペイロードは、初期のT細胞枯渇に関連するマーカーの上方制御を示さないCD276 CAR(CD28、4-IBB、及びCD3ζ細胞内ドメインを有する)であってもよい(国際特許公開第WO2017044699号参照;その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。
いくつかの実施形態では、本発明の組成物を利用して、対象のTIL(腫瘍浸潤リンパ球)集団を変化させてもよい。一実施形態では、本明細書に記載のペイロードのいずれかを利用して、CD8陽性集団に対するCD4陽性細胞の比率を変化させてもよい。いくつかの実施形態では、TILをex vivoでソーティングし、本明細書に記載のサイトカインのいずれかを発現するように改変してもよい。本発明のペイロードを使用して、TILのCD4及び/またはCD8集団を増殖させ、TIL媒介免疫応答を増強してもよい。
2.がんワクチン
いくつかの実施形態では、本発明の生体回路、エフェクターモジュール、目的ペイロード(免疫療法薬)、ベクター、細胞及び組成物を、がんワクチンと併用してもよい。
いくつかの実施形態では、がんワクチンは、腫瘍関連抗原(TAA)に由来するペプチド及び/またはタンパク質を含み得る。そのような戦略を利用して、対象の免疫応答を誘導してもよく、その免疫応答は、いくつかの例では、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答であってもよい。また、がんワクチンに使用するペプチドを、対象の変異特性に一致するように改変してもよい。例えば、治療を必要とする対象で見出された変異に一致する変異を有するEGFR由来ペプチドが、肺癌の患者で成功裏に使用されている(Li F et al.(2016)Oncoimmunology.Oct 7;5(12):e1238539;その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。
一実施形態では、本発明のがんワクチンは、スーパーアゴニストであるTAA由来改変ペプチドリガンド(APL)であってもよい。これらは、天然ペプチド配列から1つ以上のアミノ酸が逸脱している変異ペプチドリガンドであり、特定のCTLクローンを天然エピトープよりも効果的に活性化する。これらの変化により、ペプチドが制限クラスI MHC分子により良好に結合するか、または所与の腫瘍特異性CTLサブセットのTCRとより良好に相互作用し得る。APLは、米国特許公開第US20160317633A1号に示されている方法を使用して選択してもよく、その内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
3.併用治療
いくつかの実施形態では、対象への投与のために、本発明の組成物、ベクター及び細胞を併用することが望ましい。異なる免疫療法薬を含む本発明の組成物を使用して、免疫療法の強化のために併用してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の組成物をアジュバントと組み合わせて、抗原特異的免疫応答の効力及び寿命を高めることができることが望ましい。併用療法において免疫刺激剤として使用するアジュバントには、抗原を送達する生体分子または送達担体が含まれる。非限定的な例として、本発明の組成物を、サイトカイン、トール様受容体、細菌毒素、及び/またはサポニンなどの生物学的アジュバントと併用してもよい。他の実施形態では、本発明の組成物を送達担体と組み合わせてもよい。例示的な送達担体として、ポリマーミクロスフェア、免疫刺激複合体、エマルジョン(水中油または油中水)、アルミニウム塩、リポソームまたはビロソームが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本発明の生体回路、エフェクターモジュール、DD及びペイロードを発現するように改変した免疫エフェクター細胞を、本明細書に記載の生物学的アジュバントと併用してもよい。CARとサイトカイン及びリガンドの二重調節を利用して、標的を介した活性化の速度論的制御と、内在性のT細胞の増殖とを切り離す。そのような二重調節はまた、患者の事前調整レジメンの必要性も最小化する。非限定的な例として、DDで調節したCAR、例えばCD19 CARを、サイトカイン、例えばIL12と組み合わせて、CARの抗腫瘍効果を高めてもよい(Pegram H.J.,et al.Tumor-targeted T cells modified to secrete IL12 eradicate systemic tumors without need for prior conditioning.Blood.2012;119:4133-4;その全体を参照により本明細書に援用する)。別の非限定的な例として、Merchantらは、樹状細胞ベースのワクチン接種と組換えヒトIL7を併用して、高リスク小児肉腫患者の転帰を改善した(Merchant,M.S et.al.Adjuvant immunotherapy to Improve Outcome in High-Risk Pediatric Sarcomas.Clin Cancer Res.2016.22(13):3182-91;各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。
いくつかの実施形態では、1つ以上の抗原特異的TCRまたはCARを発現するように改変した免疫エフェクター細胞を、免疫抑制性腫瘍微小環境を変換する免疫療法薬を含む本発明の組成物と併用してもよい。
一態様では、同じ細胞上の異なる標的分子に特異的なCARを発現するように改変したエフェクター免疫細胞を併用してもよい。別の態様では、NK細胞及びT細胞などの同じCAR構築物を発現するように改変した異なる免疫細胞を腫瘍治療に併用してもよく、例えば、CD19 CARを発現するように改変したT細胞を、同じCD19 CARを発現するように改変したNK細胞と併用してB細胞悪性腫瘍を治療してもよい。
他の実施形態では、CARを発現するように改変した免疫細胞を、チェックポイント遮断薬と併用してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の生体回路、エフェクターモジュール、DD及びペイロードを発現するように改変した免疫エフェクター細胞を、本発明のがんワクチンと併用してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、本発明の組成物と、がん、感染症、及び他の免疫不全障害の治療に有効な他の薬剤、例えば抗がん剤との併用を含み得る。本明細書中で使用する場合、用語「抗がん剤」とは、例えば、がん細胞を殺傷するか、がん細胞のアポトーシスを誘発するか、がん細胞の増殖速度を低下させるか、転移の発生率または数を低下させるか、腫瘍サイズを縮小するか、腫瘍成長を阻害するか、腫瘍もしくはがん細胞への血液供給を減少させるか、がん細胞または腫瘍に対する免疫応答を促進するか、がんの進行を予防もしくは阻害するか、またはがんを有する対象の寿命を延長することにより、対象のがんに負の影響を与えることができる任意の薬剤を指す。
いくつかの実施形態では、抗がん剤または抗がん療法は、化学療法薬、もしくは放射線療法、免疫療法薬、手術、または本発明と併用して治療の治療効果を向上させる任意の他の治療薬であってもよい。
一実施形態では、その内容全体を参照により本明細書に援用する国際特許出願第WO2016164580に示される方法を使用して、CD19 CARを含むエフェクターモジュールを、バーキットチロシン受容体キナーゼ(BTK)阻害剤などのアミノピリミジン誘導体と併用してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の組成物を、本明細書に記載の本発明の療法以外の免疫療法薬、例えば、腫瘍細胞の表面上のいくつかの標的分子に特異的な抗体と併用してもよい。
例示的な化学療法薬として、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン、スリンダク、クルクミン、以下を含むアルキル化剤:メクロルエタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、及びクロラムブシルなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン(BC U)、ロムスチン(CCNU)、及びセムスチン(メチルCC U)などのニトロソ尿素;トリエチレンメラミン(TEM)、トリエチレン、チオホスホルアミド(チオテパ)、ヘキサメチルメラミン(HMM、アルトレタミン)などのチレニミン/メチルメラミン;ブスルファンなどのアルキルスルホン酸塩;ダカルバジン(DTIC)などのトリアジン;代謝拮抗剤、例えば、メトトレキサートやトリメトレキサートなどの葉酸類似体、5-フルオロウラシル、フルオロデオキシウリジン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド(AraC、シタラビン)、5-アザシチジン、2,2’-ジフルオロデオキシシチジンなどのピロリジン類似体、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、アザチオプリン、2’-デオキシコホルマイシン(ペントスタチン)、エリスロヒドロキシノニルアデニン(EHNA)、リン酸フルダラビン、及び2-クロロデオキシアデノシン(クラドリビン、2-CdA)などのプリン類似体;パクリタキセル、ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン、及びビノレルビンなど、タキソテール、エストラムスチン、及びリン酸エストラムスチンなどの抗有糸分裂薬を含む、天然産物;エトポシド及びテニポシドなどのエピポドフィロトキシン;アクチモマイシンD、ダウノマイシン(ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシンC、及びアクチノマイシンなどの抗生物質;L-アスパラギナーゼなどの酵素、インターフェロン(IFN)-γなどのサイトカイン、腫瘍壊死因子(TNF)-α、TNF-β及びGM-CSF、アンジオスタチンやエンドスタチンなどの抗血管新生因子、FGFまたはVEGFの阻害剤、例えば、可溶性VGF/VEGF受容体を含む、血管新生因子受容体の可溶性形態、シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金配位錯体、ミトキサントロンなどのアントラセンジオン、ヒドロキシ尿素などの置換尿素、N-メチルヒドラジン(MIFf)及びプロカルバジンなどのメチルヒドラジン誘導体、ミトタン(o,p’-DDD)及びアミノグルテチミドなどの副腎皮質抑制剤;プレドニゾン及び等価物、デキサメタゾン及びアミノグルテチミドなどの副腎皮質ステロイド拮抗薬を含むホルモン及び拮抗薬;カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、及び酢酸メゲストロールなどのプロゲスチン;ジエチルスチルベストロール及びエチニルエストラジオール等価物などのエストロゲン;タモキシフェンなどの抗エストロゲン剤;プロピオン酸テストステロン及びフルオキシメステロン/等価物を含むアンドロゲン;フルタミド、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体、及びロイプロリドなどの抗アンドロゲン剤;フルタミドなどの非ステロイド系抗アンドロゲン剤;キナーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、メチル化阻害剤、プロテアソーム阻害剤、モノクローナル抗体、酸化剤、抗酸化剤、テロメラーゼ阻害剤、BH3ミメティック、ユビキチンリガーゼ阻害剤、stat阻害剤、及びメシル酸イマチニブ(GleevacまたはGlivacとして販売)及び現在Tarvecaとして販売されているエルロチニブ(EGF受容体阻害剤)などの受容体チロシンキナーゼ阻害剤;リン酸オセルタミビル、アンホテリシンB、及びパリビズマブなどの抗ウイルス薬;Sdi1ミメティック;セムスチン;老化由来阻害剤1;スパルフォス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンギスタチン1;スクアラミン;スティピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;超活性血管作動性腸管ペプチド拮抗薬;ベラレソル;ベラミン;ベルジン類;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;及びジノスタチンスチマラマー;PI3Kβ小分子阻害剤、GSK2636771;汎PI3K阻害剤(BKM120);BRAF阻害剤、ベムラフェニブ(Zelboraf)及びダブラフェニブ(Tafinlar);または前述の任意の類似体もしくは誘導体及びバリアントが挙げられるが、これらに限定されない。
放射線治療薬及び因子には、例えば、γ線照射、X線、UV照射、マイクロ波、電子放出、放射性同位元素などのDNA損傷を誘発する放射線及び波が含まれる。療法は、局所化した腫瘍部位に上記の形態の放射線を照射することにより達成してもよい。これらの因子はすべて、DNAの前駆体、DNAの複製及び修復、ならびに染色体の集合及び維持において、広範囲の損傷DNAをもたらす可能性が最も高い。X線の線量範囲は、長期間(3~4週間)の場合の50~200レントゲンの1日線量から、2000~6000レントゲンの単回線量の範囲である。放射性同位体の線量範囲は大きく異なり、同位体の半減期、放出される放射線の強度及び種類、腫瘍細胞による取り込みに依存する。
いくつかの実施形態では、化学療法薬は、レナリドマイド(LEN)などの免疫調節薬であってもよい。最近の研究は、レナリドマイドがCAR改変T細胞の抗腫瘍機能を増強することができることを示している(Otahal et al.,Oncoimmunology,2015,5(4):e1115940)。抗腫瘍抗体のいくつかの実施例には、トシリズマブ、シルツキシマブが含まれる。
本発明の組成物と併用してもよい他の薬剤としてはまた、細胞表面受容体及びそのリガンド(例えばFas/Fasリガンド、DR4またはDR5/TRAIL)及びGAP接合部の上方制御に影響を及ぼす薬剤、細胞増殖抑制剤及び分化剤、接着斑キナーゼ(FAK)阻害剤及びロバスタチンなどの細胞接着阻害剤、または抗体C225などのアポトーシス誘導物質に対する過剰増殖性細胞の感受性を高める薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。
併用には、本発明の組成物及び他の薬剤を同時にまたは別々に投与することが含まれてもよい。あるいは、本免疫療法は、数分、数日、数週間から数ヶ月の範囲の間隔で他の薬剤/療法の前または後に行ってもよい。
4.疾患
本発明において、必要とする対象の腫瘍体積または腫瘍量の低減方法を提供し、この方法は、本発明の組成物を対象に導入することを含む。
本発明はまた、本発明の少なくとも1つのエフェクターモジュールを発現するように遺伝子改変した有効量の免疫エフェクター細胞を対象に投与することを含む、対象のがんの治療方法を提供する。
がん
本発明の医薬組成物、生体回路、生体回路の構成要素、SREまたはペイロードを含むエフェクターモジュールを用いて、様々ながんを治療し得る。本明細書中で使用する場合、用語「がん」とは、周囲の組織に侵入し、新しい身体部位に転移する傾向がある未分化細胞の増殖を特徴とする様々な悪性新生物のいずれかを指し、また、そのような悪性新生物の成長を特徴とする病的状態も指す。がんは、腫瘍または血液悪性腫瘍であってもよく、これには、すべての種類のリンパ腫/白血病、癌腫及び肉腫、例えば、肛門、膀胱、胆管、骨、脳、乳房、子宮頸部、結腸/直腸、子宮内膜、食道、目、胆嚢、頭頸部、肝臓、腎臓、喉頭、肺、縦隔(胸部)、口、卵巣、膵臓、陰茎、前立腺、皮膚、小腸、胃、脊髄、尾骨、睾丸、甲状腺及び子宮に見出されるがんまたは腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の組成物で治療し得る癌腫のタイプには、乳頭腫/癌腫、絨毛癌、卵黄嚢腫瘍、奇形腫、腺腫/腺癌、黒色腫、線維腫、脂肪腫、平滑筋腫、横紋筋腫、中皮腫、血管腫、骨腫、軟骨腫、神経膠腫、リンパ腫/白血病、扁平上皮癌、小細胞癌、未分化大細胞癌、基底細胞癌、未分化副鼻腔癌が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の組成物で治療し得る癌腫のタイプには、軟部組織肉腫、例えば、胞状軟部肉腫、血管肉腫、皮膚線維肉腫、類腱腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、骨外性軟骨肉腫、骨外性骨肉腫、線維肉腫、血管外皮細胞腫、血管肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、リンパ肉腫、悪性線維性組織球腫、神経線維肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、ならびにアスキン腫瘍、ユーイング肉腫(原始神経外胚葉性腫瘍)、悪性血管内皮腫、悪性シュワン腫、骨肉腫、及び軟骨肉腫が含まれるが、これらに限定されない。
非限定的な例として、治療し得る癌腫は、急性顆粒球白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、腺癌、腺肉腫、副腎癌、副腎皮質癌、肛門癌、未分化星状細胞腫、血管肉腫、虫垂癌、星状細胞腫、基底細胞癌、B細胞リンパ腫)、胆管癌、膀胱癌、骨癌、腸癌、脳癌、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳癌、カルチノイド腫瘍、子宮頸癌、胆管細胞癌、軟骨肉腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚リンパ腫、皮膚黒色腫、びまん性星状細胞腫、乳管上皮内癌、子宮内膜癌、上衣腫、類上皮肉腫、食道癌、ユーイング肉腫、肝外胆管癌、眼癌、卵管癌、線維肉腫、胆嚢癌、胃癌、胃腸癌、消化管カルチノイド癌、一般型消化管間質腫瘍、胚細胞性腫瘍、多形神経膠芽腫、神経膠腫、有毛細胞白血病、頭頸部癌、血管内皮腫、ホジキンリンパ腫、ホジキン病、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉腺癌、炎症性乳癌、腸癌、肝内胆管癌、浸潤乳癌/浸潤性乳癌、膵島細胞癌、顎癌、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭癌、平滑筋肉腫、軟膜髄膜転移、白血病、口唇癌、脂肪肉腫、肝臓癌、非浸潤性小葉癌、低悪性度星状細胞腫、肺癌、リンパ節癌、リンパ腫、男性乳癌、髄様癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、メルケル細胞癌、間葉性軟骨肉腫、間葉腫(Mesenchymous)、中皮腫、転移性乳癌、転移性黒色腫、転移性扁平上皮頸部癌、混合膠腫、口腔癌、粘液性癌、粘膜悪性黒色腫、多発性骨髄腫、鼻腔癌、上咽頭癌、頸部癌、神経芽細胞腫、神経内分泌腫瘍、非ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、燕麦細胞癌、眼癌、眼内黒色腫、乏突起神経膠腫、口腔癌(Oral cancer)、口腔癌(Oral cavity cancer)、中咽頭癌、骨原性肉腫、骨肉腫、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣原発性腹膜癌、卵巣性索間質性腫瘍、パジェット病、膵臓癌、乳頭癌、副鼻腔癌、副甲状腺癌、骨盤癌、陰茎癌、末梢神経癌、腹膜癌、咽頭癌、褐色細胞腫、毛様細胞性星状細胞腫、松果体部腫瘍、松果体芽腫、下垂体癌、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、腎盂癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫、骨肉腫、軟部組織肉腫、子宮肉腫、副鼻腔癌、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部肉腫、脊椎癌、脊柱癌、脊髄癌、脊椎腫瘍、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、T細胞リンパ腫)、精巣癌、咽頭癌、胸腺腫/胸腺癌、甲状腺癌、舌癌、扁桃癌、移行上皮癌、移行上皮癌、移行上皮癌、三種陰性乳癌、卵管癌、管状癌、尿管癌、尿管癌、尿道癌、子宮腺癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、及び外陰癌であってもよい。
感染症
いくつかの実施形態では、本発明の生体回路を、感染症の治療に使用してもよい。本発明の生体回路を、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、及び/またはT細胞などの養子細胞移入に適した細胞に導入してもよい。本発明の生体回路によって治療される感染性疾患は、ウイルス、細菌、真菌、及び/または寄生虫によって引き起こされる疾患であってもよい。本発明のIL15-IL15Raペイロードを使用して、感染症の治療に有用な免疫細胞の増殖及び/または免疫細胞の持続性を高めてもよい。
本明細書の「感染症」とは、哺乳類細胞、好ましくはヒト細胞に感染し、疾患状態を引き起こす任意の病原体または物質によって引き起こされる疾患を指す。その例には、細菌、酵母、真菌、原生動物、マイコプラズマ、ウイルス、プリオン、及び寄生虫が含まれる。一例として、(a)ウイルス性疾患、例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、HSV-I、HSV-II、CMV、またはVZV)、ポックスウイルス(例えば、痘瘡もしくはワクシニア、または伝染性軟属腫などのオルソポックスウイルス)、ピコルナウイルス(例えば、ライノウイルスまたはエンテロウイルス)、オルトミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、及びRSウイルス(RSV))、コロナウイルス(例えば、SARS)、パポバウイルス(例えば、性器疣贅、尋常性疣贅、または足底疣贅を引き起こすパピローマウイルス)、ヘパドナウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス)、フラビウイルス(例えば、C型肝炎ウイルスまたはデング熱ウイルス)、またはレトロウイルス(例えば、HIVなどのレンチウイルス)による感染に起因する疾患;(b)細菌性疾患、例えばEscherichia属、Enterobacter属、Salmonella属、Staphylococcus属、Shigella属、Listeria属、Aerobacter属、Helicobacter属、Klebsiella属、Proteus属、Pseudomonas属、Streptococcus属、Chlamydia属、Mycoplasma属、Pneumococcus属、Neisseria属、Clostridium属、Bacillus属、Corynebacterium属、Mycobacterium属、Campylobacter属、Vibrio属、Serratia属、Providencia属、Chromobacterium属、Brucella属、Yersinia属、Haemophilus属、またはBordetella属の細菌による感染に起因する疾患;(c)クラミジアなどの他の感染性の疾患、カンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコッカス髄膜炎を含むがこれらに限定されない真菌症、マラリア、Pneumocystis carnii肺炎、リーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症を含むがこれらに限定されない寄生虫症、ならびにクロイツフェルト-ヤコブ病(CJD)、異型クロイツフェルト-ヤコブ病(vCJD)、ゲルストマン-シュトロイスラー-シャインカー症候群、致死性家族性不眠症、及びクールー病などのヒト疾患を引き起こすトリパノソーマ感染及びプリオンに関与する感染症が挙げられる。
5.マイクロバイオーム
マイクロバイオームの組成の変化は、抗がん療法の作用に影響を及ぼし得る。相利共生微生物、片利共生微生物及び病原性微生物の多様なコミュニティは、体内のすべての環境曝露部位に存在し、本明細書では「マイクロバイオーム」と呼ばれる。マイクロバイオームが生息し得る体の環境曝露部位には、皮膚、上咽頭、口腔、気道、胃腸管、及び生殖器系が含まれる。
いくつかの実施形態では、天然のまたは免疫療法薬で改変したマイクロバイオームを使用して、抗がん免疫療法の効力を向上させてもよい。マイクロバイオームを用いて免疫療法薬への応答性を向上させる方法は、Sivanらによって記載されている(Sivan A.,et al.Commensal Bifidobacterium promotes antitumor immunity and facilitates anti-PD-L1 efficacy.Science 2015;350:1084-9;その全体を参照により本明細書に援用する)。一実施形態では、マイクロバイオームに由来するタンパク質、RNA、及び/または他の生体分子をペイロードとして用いて、抗がん免疫療法の効力に影響を及ぼしてもよい。
6.治療薬を作るためのツール及び薬剤
本発明において、必要とする対象の腫瘍体積または腫瘍量を軽減するための免疫療法薬を生成する際に使用し得るツール及び薬剤を提供する。ペイロードの構造、細胞型、遺伝子導入の方法、ex vivoでの増殖の方法及び時間、事前調整、ならびに対象の腫瘍の量及びタイプなどの、相当数の変数が治療薬の製造に関係している。そのようなパラメーターを、本明細書に記載するツール及び薬剤を使用して最適化してもよい。
細胞株
本開示は、本発明の組成物で遺伝子改変した哺乳類細胞を提供する。適切な哺乳類細胞には、初代細胞及び不死化細胞株が含まれる。適切な哺乳類細胞株には、ヒト胎児腎細胞株293、線維芽細胞株NIH 3T3、ヒト結腸直腸がん細胞株HCT116、卵巣がん細胞株SKOV-3、不死化T細胞株(例えば、Jurkat細胞及びSupT1細胞)、リンパ腫細胞株Raji細胞、NALM-6細胞、K562細胞、HeLa細胞、PC12細胞、HL-60細胞、NK細胞株(例えば、NKL、NK92、NK962、及びYTS)などが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、細胞は、不死化細胞株ではなく、個体から取得した細胞であり、本明細書中では初代細胞と呼ばれる。例えば、細胞は、個体から取得したTリンパ球である。他の例として、個体から取得した細胞傷害性細胞、幹細胞、末梢血単核球または前駆細胞が含まれるが、これらに限定されない。
SRE、生体回路、細胞株の追跡
いくつかの実施形態では、本発明の組成物または本発明の組成物によって改変した細胞を追跡することが望ましい場合がある。追跡は、レポーター部分を使用することにより達成してもよく、それは、本明細書中で使用する場合、入力に応答して、検出可能なシグナルを生成することができる任意のタンパク質を指す。一例として、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、β-グルクロニダーゼ、ペルオキシダーゼ、β-ラクタマーゼ、触媒抗体、生物発光タンパク質、例えばルシフェラーゼ、及び緑色蛍光タンパク質(GFP)などの蛍光タンパク質が挙げられる。
レポーター部分を使用して、DDに対応するリガンドの添加時にDDの応答をモニタリングしてもよい。他の例では、レポーター部分を使用して、in vitro、in vivo、またはex vivoで、細胞の生存、持続性、細胞増殖、及び/または局在化を追跡してもよい。
いくつかの実施形態では、好ましいレポーター部分はルシフェラーゼタンパク質であってもよい。一実施形態では、レポーター部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ(配列番号866、配列番号867の核酸配列によってコードされる)、またはホタルルシフェラーゼ(配列番号868、配列番号869の核酸配列によってコードされる)である。
動物モデル
本発明の組成物の有用性及び効力を、in vivo動物モデル、好ましくはマウスモデルで試験してもよい。使用するマウスモデルは、マウス細胞を本発明の組成物で改変し、同じ遺伝的バックグラウンドのマウスで試験する同系マウスモデルであってもよい。一例として、pMEL-1及び4T1マウスモデルが挙げられる。あるいは、腫瘍細胞や免疫細胞などのヒト細胞を免疫不全マウスに導入する異種移植モデルも、そのような研究において利用してもよい。使用する免疫不全マウスは、CByJ.Cg-Foxn1nu/J、B6;129S7-Rag1tm1Mom/J、B6.129S7-Rag1tm1Mom/J、B6.CB17-Prkdcscid/SzJ、NOD.129S7(B6)-Rag1tm1Mom/J、NOD.Cg-Rag1tm1MomPrf1tm1Sdz/Sz、NOD.CB17-Prkdcscid/SzJ、NOD.Cg-PrkdcscidB2mtm1Unc/J、NOD-scid IL2Rgnull、ヌード(nu)マウス、SCIDマウス、NODマウス、RAG1/RAG2マウス、NOD-Scidマウス、IL2rgnullマウス、b2mnullマウス、NOD-scid IL2rγnullマウス、NOD-scid-B2mnullマウス、ベージュマウス、及びHLAトランスジェニックマウスであってもよい。
細胞アッセイ
いくつかの実施形態では、免疫療法薬としての本発明の組成物の有効性を、細胞アッセイを使用して評価してもよい。本発明の組成物の発現レベル及び/または同一性は、タンパク質を同定するための、及び/またはタンパク質レベルを定量化するための当技術分野で公知の任意の方法に従って判定してもよい。いくつかの実施形態では、そのような方法には、ウエスタンブロット法、フローサイトメトリー、及び免疫アッセイが含まれ得る。
本明細書において、本発明のSRE、生体回路及び組成物を発現する細胞を機能的に特徴付ける方法を提供する。いくつかの実施形態では、機能的特徴付けを、初代免疫細胞または不死化免疫細胞株で実施し、細胞表面マーカーの発現により決定してもよい。T細胞の細胞表面マーカーの例として、CD3、CD4、CD8、CD14、CD20、CD11b、CD16、CD45及びHLA-DR、CD69、CD28、CD44、IFNγが挙げられるが、これらに限定されない。T細胞枯渇のマーカーとして、PD1、TIM3、BTLA、CD160、2B4、CD39、及びLAG3が挙げられる。抗原提示細胞の細胞表面マーカーの例として、MHCクラスI、MHCクラスII、CD40、CD45、B7-1、B7-2、IFN-γ受容体及びIL2受容体、ICAM-1及び/またはFcγ受容体が挙げられるが、これらに限定されない。樹状細胞の細胞表面マーカーの例として、MHCクラスI、MHCクラスII、B7-2、CD18、CD29、CD31、CD43、CD44、CD45、CD54、CD58、CD83、CD86、CMRF-44、CMRF-56、DCIR及び/またはデクチン-1などが挙げられるが、これらに限定されず;一方、いくつかの場合では、同時に、CD2、CD3、CD4、CD8、CD14、CD15、CD16、CD19、CD20、CD56、及び/またはCD57が存在しない。NK細胞の細胞表面マーカーの例として、CCL3、CCL4、CCL5、CCR4、CXCR4、CXCR3、NKG2D、CD71、CD69、CCR5、ホスホJAK/STAT、ホスホERK、ホスホp38/MAPK、ホスホAKT、ホスホSTAT3、グラヌリシン、グランザイムB、グランザイムK、IL10、IL22、IFNg、LAP、パーフォリン、及びTNFaが挙げられるが、これらに限定されない。
V.送達方法及び/またはベクター
ベクター
本発明はまた、生体回路、エフェクターモジュール、SRE(DD)及びペイロード構築物、ならびにそれらの組み合わせをコードする本発明のポリヌクレオチドをパッケージングするベクターを提供する。本発明のベクターはまた、パッケージ化したポリヌクレオチドを細胞、局所的組織部位または対象に送達するために使用してもよい。これらのベクターは、DNAベクター、RNAベクター、プラスミド、ウイルスベクター及び粒子を含む任意の種類のものであってよい。ウイルスベクター技術は周知であり、Sambrook et al.(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)に記載されている。ベクターとして有用なウイルスとして、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、レトロウイルスベクター、腫瘍溶解性ウイルスなどが挙げられるが、これらに限定されない。
一般的に、ベクターは、少なくとも1つの生物において機能的な複製起点、プロモーター配列及び簡便な制限エンドヌクレアーゼ部位、ならびに1つ以上の選択可能なマーカー、例えば薬剤耐性遺伝子を含む。
本明細書中で使用する場合、プロモーターとは、本発明のポリヌクレオチド配列の特異的な転写を開始するために必要な、細胞の転写機構により認識されるDNA配列として定義される。ベクターには、本発明のポリヌクレオチドに作動可能に連結した天然または非天然のプロモーターを含ませることができる。選択したプロモーターは、強い、弱い、構成的、誘導的、組織特異的、発育段階特異的、及び/または生物特異的であってもよい。適切なプロモーターの一例は、前初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、それに作動的に連結したポリヌクレオチド配列の発現を高レベルで駆動できる強力な構成的プロモーター配列である。好ましいプロモーターの別の例は、伸長成長因子-1.α(EF-1.α)である。シミアンウイルス40(SV40)、マウス乳癌ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、末端反復配列(LTR)、プロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、Epstein-Barrウイルス前初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーターを含むがこれらに限定されない他の構成的プロモーター、ならびにホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、ユビキチンC(Ubc)プロモーター、ヒトU6小核タンパク質プロモーター及びクレアチンキナーゼプロモーターを含むがこれらに限定されないヒト遺伝子プロモーターもまた、使用してよい。いくつかの例では、メタロチオニンプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、及びテトラサイクリンプロモーターなどの誘導性プロモーターを使用してもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、プロモーターは、配列番号716~718から選択してもよい。
いくつかの実施形態では、最適なプロモーターを、リガンドの非存在下では本発明のSRE及びペイロードの最小の発現を、及びリガンドの存在下では検出可能な発現を達成する能力に基づいて選択してもよい。
追加のプロモーターエレメント、例えばエンハンサーを使用して、転写開始の頻度を調節してもよい。そのような領域を、開始部位の10~100塩基対上流または下流に配置してもよい。いくつかの例では、2つ以上のプロモーターエレメントを使用して、転写を協調的に、または独立して活性化してもよい。
いくつかの実施形態では、組換え発現ベクターは、ベクターを導入する宿主細胞の種類に特異的な、転写ならびに翻訳開始及び終止コドンなどの調節配列を含み得る。
1.レンチウイルスベクター
いくつかの実施形態では、レンチウイルスベクター/粒子を、ビヒクル及び送達様式として使用してもよい。レンチウイルスは、レトロウイルス科のウイルスのサブグループであり、これは、宿主ゲノムへの組み込みの前に、ウイルスRNAゲノムからDNAへの逆転写が必要であることから命名された。そのため、レンチウイルスのビヒクル/粒子の最も重要な特徴は、標的/宿主細胞のゲノムへの遺伝物質の組み込みである。レンチウイルスのいくつかの例として、ヒト免疫不全ウイルス:HIV-1及びHIV-2、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、ジェンブラナ病ウイルス(JDV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、ウマ伝染性貧血ウイルス、ビスナ-マエディウイルス及びヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)が挙げられる。
一般的には、遺伝子送達ビヒクルを構成するレンチウイルス粒子自体は、複製能を欠損している(「自己不活性化」とも呼ばれる)。レンチウイルスは、インタクトな宿主核エンベロープを介した進入機構により、分裂細胞と非分裂細胞の両方に感染することができる(Naldini L et al.,Curr.Opin.Biotechnol,1998,9:457-463)。組換えレンチウイルスビヒクル/粒子は、HIV病原性遺伝子を多重に減弱させることにより生成されており、例えば、Env、Vif、Vpr、Vpu、Nef、及びTatの遺伝子を削除してベクターを生物学的に安全なものとしている。同様に、例えばHIV-1/HIV-2由来のレンチウイルスビヒクルは、非分裂細胞への導入遺伝子の効率的な送達、組み込み、及び長期発現を媒介することができる。本明細書中で使用する場合、用語「組換え」とは、レンチウイルス配列及び非レンチウイルス型レトロウイルス配列の両方を含むベクターまたは他の核酸を指す。
レンチウイルス粒子は、ヒトHEK293T細胞などのプロデューサー細胞内でウイルスパッケージングエレメントとベクターゲノム自体を共発現させることにより生成してもよい。これらのエレメントは通常、3つ(第2世代のレンチウイルス系)または4つの別々のプラスミド(第3世代のレンチウイルス系)で提供される。ウイルスのコア(すなわち構造タンパク質)及び酵素成分、ならびにエンベロープタンパク質(複数可)を含むレンチウイルス成分をコードするプラスミド(パッケージング系と呼ばれる)、ならびに標的細胞に導入する外来導入遺伝子を含むゲノムをコードするプラスミド、すなわちビヒクル自体(導入ベクターとも呼ばれる)を、プロデューサー細胞に同時形質移入する。一般的に、プラスミドまたはベクターは、プロデューサー細胞株に含まれている。形質移入、形質導入、または感染を介してプラスミド/ベクターをプロデューサー細胞株に導入する。形質移入、形質導入または感染の方法は、当業者には周知である。非限定的な例として、リン酸カルシウム形質移入法、リポフェクションまたは電気穿孔法により、パッケージング及び導入用構築物をプロデューサー細胞株に導入した後に、通常、neo、DHFR、GlnシンテターゼまたはADAなどの優性選択マーカーを用いて、適切な薬物の存在下で選択し、クローンを分離することができる。
プロデューサー細胞は、外来遺伝子、例えば本発明のエフェクターモジュールを含む組換えウイルス粒子を産生する。培地から組換えウイルス粒子を回収し、当業者が用いる標準的な方法によって力価を測定する。組換えレンチウイルスビヒクルを用いて、標的細胞に感染させることができる。
高力価レンチウイルス粒子を産生するために使用することができる細胞として、HEK293T細胞、293G細胞、STAR細胞(Relander et al.,Mol.Ther.,2005,11:452-459)、FreeStyle(商標)293 Expression System(ThermoFisher,Waltham,MA)、及び他のHEK293Tベースのプロデューサー細胞株(例えば、Stewart et al.,Hum Gene Ther.2011,22(3):357-369;Lee et al.,Biotechnol Bioeng,2012,10996):1551-1560;Throm et al.,Blood.2009,113(21):5104-5110;各々の内容は、その全体を参照により本明細書に援用する)が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの態様では、エンベロープタンパク質は、水疱性口内炎ウイルスのGタンパク質(VSV G)またはバキュロウイルスgp64エンベロープタンパク質などの、他のウイルス由来の異種エンベロープタンパク質であってもよい。VSV-G糖タンパク質は、特にベシクロウイルス属に分類される種:カラジャスウイルス(CJSV)、チャンディプラウイルス(CHPV)、球菌ウイルス(COCV)、イスファハンウイルス(ISFV)、マラバウイルス(MARAV)、ピリウイルス(PIRYV)、水疱性口内炎アラゴアスウイルス(VSAV)、水疱性口内炎インディアナウイルス(VSIV)及び水胞性口内炎ニュージャージウイルス(VSNJV)、及び/またはソウギョラブドウイルス、BeAn157575ウイルス(BeAn157575)、ボテクウイルス(BTKV)、カルチャキウイルス(CQIV)、エルウイルスアメリカン(EVA)、グレーロッジウイルス(GLOV)、ユロナウイルス(JURY)、クラマスウイルス(KLAV)、クワッタウイルス(KWAV)、ラホヤウイルス(LJV)、マルペススプリングウイルス(MSPV)、エルゴン山コウモリウイルス(MEBV)、ペリネトウイルス(PERV)、パイクフライラブドウイルス(PFRV)、ポートンウイルス(PORV)、Radiウイルス(RADIV)、コイ春季ウイルス血症ウイルス(SVCV)、ツパイウイルス(TUPV)、潰瘍性疾患ラブドウイルス(UDRV)及びヤグボグダノバクウイルス(YBV)としてベシクロウイルス属に仮分類される株から選択してもよい。gp64または他のバキュロウイルスenvタンパク質は、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcMNPV)、Anagrapha falcifera核多角体病ウイルス、Bombyx mori核多角体病ウイルス、Choristoneura fumiferana核多角体病ウイルス、Orgyia pseudotsugata単一キャプシド核多角体病ウイルス、Epiphyas postvittana核多角体病ウイルス、Hyphantria cunea核多角体病ウイルス、Galleria mellonella核多角体病ウイルス、ドーリウイルス、トゴトウイルス、Antheraea pemyi核多角体病ウイルスまたはバトケンウイルス由来のものとすることができる。
レンチウイルス粒子において提供する追加のエレメントには、5’または3’末端のいずれかにおけるレトロウイルスLTR(末端反復配列)、レトロウイルス輸送エレメント、場合によりレンチウイルス逆応答エレメント(RRE)、そのプロモーターまたは活性部分、及び遺伝子座制御領域(LCR)またはその活性部分を含めてもよい。他のエレメントとして、非分裂細胞の形質導入効率を向上させるセントラルポリプリントラクト配列(cPPT)配列、導入遺伝子の発現を高め、力価を高めるウッドチャック肝炎ウイルス(WHP)転写後調節因子(WPRE)が挙げられる。エフェクターモジュールはベクターに連結させる。
組換えレンチウイルス粒子の生成方法は、当技術分野において、例えば、米国特許第8,846,385号;第7,745,179号;第7,629,153号;第7,575,924号;第7,179,903号;及び6,808,905号で論じられており;その各々の内容は、その全体を参照により本明細書に援用する。
使用するレンチウイルスベクターは、pLVX、pLenti、pLenti6、pLJM1、FUGW、pWPXL、pWPI、pLenti CMV puro DEST、pLJM1-EGFP、pULTRA、pInducer20、pHIV-EGFP、pCW57.1、pTRPE、pELPS、pRRL、及びpLionIIから選択され得るが、これらに限定されない。
また、当技術分野で公知のレンチウイルスビヒクルを使用してもよい(米国特許第9,260,725号;第9,068,199号;第9,023,646号;第8,900,858号;第8,748,169号;第8,709,799号;第8,420,104号;第8,329,462号;第8,076,106号;第6,013,516号;及び第5,994,136号;国際特許公開第WO2012079000号参照;その各々の内容は、その全体を参照により本明細書に援用する)。
2.レトロウイルスベクター(γ-レトロウイルスベクター)
いくつかの実施形態では、レトロウイルスベクターを使用して、本発明の生体回路、生体回路の構成要素、エフェクターモジュール、SREまたはペイロード構築物をパッケージングし、送達してもよい。レトロウイルスベクター(RV)により、導入遺伝子を標的細胞へ永久的に組み込むことができる。複雑なHIV-1/2に基づくレンチウイルスベクターに加えて、単純なγレトロウイルスに基づくレトロウイルスベクターは、治療遺伝子を送達するために広く使用されており、広い範囲の細胞型に形質導入することができる最も効率的かつ強力な遺伝子送達系の1つとして臨床的に実証されている。γレトロウイルスの例示的な種として、マウス白血病ウイルス(MLV)及びネコ白血病ウイルス(FeLV)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、マウス白血病ウイルス(MLV)などの哺乳類γレトロウイルス由来のγレトロウイルスベクターは、組換え体である。γレトロウイルスのMLVファミリーは、同種指向性、両種指向性、異種指向性及び多指向性のサブファミリーを含む。同種指向性ウイルスは、mCAT-1受容体を使用するマウス細胞にのみ感染可能である。同種指向性ウイルスの例は、Moloney MLV及びAKVである。両種指向性ウイルスは、Pit-2受容体を介して、マウス、ヒト及び他の種に感染する。両種指向性ウイルスの一例は、4070Aウイルスである。異種指向性及び多指向性ウイルスは、同じ(Xpr1)受容体を利用するが、それらの種の指向性の点で異なる。NZB-9-1などの異種指向性ウイルスは、ヒト及び他の種に感染するが、マウス種には感染せず、一方、フォーカス形成ウイルス(MCF)などの多指向性ウイルスは、マウス、ヒト及び他の種に感染する。
レトロウイルスの構造的及び酵素的(gag-pol)ポリプロテインをコードするプラスミド、エンベロープ(env)タンパク質をコードするプラスミド、及び本発明の組成物をコードするポリヌクレオチドを含むベクターmRNAをコードするプラスミドを含む、いくつかのプラスミドを細胞に同時形質移入することにより、パッケージング細胞内でγレトロウイルスベクターを産生してもよく、これらはパッケージングされて新規に形成されるウイルス粒子となる。
いくつかの態様では、組換えγレトロウイルスベクターは、他のウイルス由来のエンベロープタンパク質を有するシュードタイプである。エンベロープ糖タンパク質は、ウイルス粒子の外部脂質層に組み込まれ、細胞の指向性を高める/変化させることができる。例示的なエンベロープタンパク質として、テナガザル白血病ウイルスエンベロープタンパク質(GALV)もしくは水疱性口内炎ウイルスGタンパク質(VSV-G)、またはサル内在性レトロウイルスエンベロープタンパク質、または麻疹ウイルスH及びFタンパク質、またはヒト免疫不全ウイルスgp120エンベロープタンパク質、または球菌ベシクロウイルスエンベロープタンパク質(例えば、米国出願公開第2012/164118号参照;その内容は、その全体を参照により本明細書に援用する)が挙げられる。他の態様では、ターゲティング/結合リガンドをγレトロウイルスベクターに組み込むように、エンベロープ糖タンパク質を遺伝子改変してもよく、結合リガンドには、ペプチドリガンド、単鎖抗体及び増殖因子が含まれるが、これらに限定されない(Waehler et al.,Nat.Rev.Genet.2007,8(8):573-587:573-587;その内容は、その全体を参照により本明細書に援用する)。これらの改変糖タンパク質は、対応する標的部分を発現する細胞にベクターを再標的化することができる。他の態様では、「分子架橋」を導入して、ベクターを特定の細胞に向かわせてもよい。分子架橋は二重の特異性を有し:一方の端はウイルスの糖タンパク質を認識することができ、もう一方の端は標的細胞の分子決定基に結合することができる。そのような分子架橋、例えば、リガンド受容体、アビジン-ビオチン、及び化学的コンジュゲーション、モノクローナル抗体及び改変型膜融合タンパク質は、形質導入用の標的細胞へウイルスベクターを付着させることができる(Yang et al.,Biotechnol.Bioeng.,2008,101(2):357-368;及びMaetzig et al.,Viruses,2011,3,677-713;これらの各々の内容は、その全体を参照により本明細書に援用する)。
いくつかの実施形態では、組換えγレトロウイルスベクターは自己不活性化(SIN)γレトロウイルスベクターである。ベクターは複製不能である。SINベクターは、エンハンサー/プロモーター活性を初期に有する3’U3領域内に欠失を含む場合がある。さらに、5’U3領域は、サイトメガロウイルスまたはRSV由来の強力なプロモーター(パッケージング細胞株に必要)、または選択した内部プロモーター、及び/またはエンハンサーエレメントで置き換えてもよい。本発明の特定の目的に必要な遺伝子発現の特定の要件に従って、内部プロモーターの選択を行ってもよい。
いくつかの実施形態では、生体回路、生体回路の構成要素、エフェクターモジュール、SREをコードするポリヌクレオチドを、組換えウイルスゲノム内に挿入する。組換えγレトロウイルスベクターのウイルスmRNAの他の構成要素を、天然配列の挿入または除去(例えば、IRESの挿入、目的のポリペプチドまたは阻害核酸をコードする異種ポリヌクレオチドの挿入、野生型プロモーターの代わりに異なるレトロウイルスまたはウイルス由来のより効果的なプロモーターのシャッフリングなど)により改変してもよい。いくつかの実施例では、組換えγレトロウイルスベクターは、5’-末端反復配列(LTR)のU3領域に、改変されたパッケージングシグナル、及び/またはプライマー結合部位(PBS)、及び/または5’-エンハンサー/プロモーターエレメントを、及び/または3’-LTRのU3領域において改変された3’-SINエレメントを含み得る。これらの改変は、力価と感染能力を高め得る。
本発明の生体回路の構成要素、エフェクターモジュール、SREまたはペイロード構築物を送達するのに適したγレトロウイルスベクターは、米国特許第8,828,718号;第7,585,676号;第7,351,585号;米国出願公開第2007/048285号;PCT出願公開第WO2010/113037号;第WO2014/121005号;第WO2015/056014号;及びEP特許第EP1757702号;第EP1757703号に開示されているベクターから選択してもよい(各々の内容は、その全体を参照により本明細書に援用する)。
3.アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドを、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターにパッケージングしてもよい。そのようなベクターまたはウイルス粒子を、公知の血清型キャプシドのいずれかまたは血清型キャプシドの組み合わせを利用するように設計してもよい。血清型キャプシドには、任意の同定されたAAV血清型及びそのバリアント、例えば、AAV1、AAV2、AAV2G9、AAV3、AAV4、AAV4-4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12及びAAVrh10由来のキャプシドが含まれ得る。
一実施形態では、AAV血清型は、その全体を参照により本明細書に援用する米国公開第US20030138772号に記載の配列、例えば、限定するものではないが、AAV1(US20030138772の配列番号6及び64)、AAV2(US20030138772の配列番号7及び70)、AAV3(US20030138772の配列番号8及び71)、AAV4(US20030138772の配列番号63)、AAV5(US20030138772の配列番号114)、AAV6(US20030138772の配列番号65)、AAV7(US20030138772の配列番号1~3)、AAV8(US20030138772の配列番号4及び95)、AAV9(US20030138772の配列番号5及び100)、AAV10(US20030138772の配列番号117)、AAV11(US20030138772の配列番号118)、AAV12(US20030138772の配列番号119)、AAVrh10(US20030138772の配列番号81のアミノ酸1~738)またはそのバリアントであるか、またはその配列を有し得る。バリアントの非限定的な例として、US20030138772の配列番号9、27~45、47~62、66~69、73~81、84~94、96、97、99、101~113が挙げられ、その内容は、その全体を参照により本明細書に援用する。
一実施形態では、AAV血清型は、Pulicherla et al.(Molecular Therapy,2011,19(6):1070-1078)、米国特許第6,156,303号;第7,198,951号;米国特許公開第US2015/0159173号及び第US2014/0359799号;ならびに国際特許公開第WO1998/011244号、第WO2005/033321号及び第WO2014/14422号に記載の配列を有していてもよく;その各々の内容は、その全体を参照により本明細書に援用する。
AAVベクターには、一本鎖ベクターだけでなく、自己相補的AAVベクター(scAAV)が含まれる。scAAVベクターは、一緒にアニールして二本鎖ベクターゲノムを形成するDNAを含む。第二の鎖合成をスキップすることにより、scAAVは細胞内で迅速に発現可能である。
rAAVベクターは、sf9昆虫細胞内、またはHEK293細胞などのヒト細胞の懸濁細胞培養液中で、三重形質移入などの当技術分野の標準的な方法によって製造してもよい。
本明細書において示すAAVキャプシドにパッケージングされる1つ以上のウイルスゲノムに、生体回路、生体回路の構成要素、エフェクターモジュール、SRE、またはペイロード構築物をコードしてもよい。
そのようなベクターまたはウイルスゲノムは、少なくとも1つまたは2つのITR(末端逆位配列)に加えて、ベクターまたはウイルスゲノムからの発現に必要な特定の調節エレメントも含み得る。そのような調節エレメントは当技術分野で周知であり、例えば、プロモーター、イントロン、スペーサー、スタッファー配列などが挙げられる。
いくつかの実施形態では、1つより多くのエフェクターモジュールまたはSRE(例えば、DD)をウイルスゲノムにコードしてもよい。
4.腫瘍溶解性ウイルスベクター
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドを、ワクチンウイルスなどの腫瘍溶解性ウイルスにパッケージングしてもよい。腫瘍溶解性ワクチンウイルスとして、腫瘍細胞の腫瘍溶解を誘導するのに十分な、チミジンキナーゼ(TK)欠損型顆粒球マクロファージ(GM)コロニー刺激因子(CSF)発現性複製可能型ワクシニアウイルスベクターのウイルス粒子が挙げられる(例えば、米国特許第9,226,977号)。
5.メッセンジャーRNA(mRNA)
いくつかの実施形態では、本発明のエフェクターモジュールを、メッセンジャーRNA(mRNA)として設計してもよい。本明細書中で使用する場合、用語「メッセンジャーRNA」(mRNA)とは、目的のポリペプチドをコードし、in vitro、in vivo、in situまたはex vivoで翻訳され、コードされた目的ポリペプチドを産生することができる任意のポリヌクレオチドを指す。そのようなmRNA分子は、国際出願第PCT/US2013/030062に示されているもののいずれかの構造成分または特徴を有していてもよく、その内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
本発明のポリヌクレオチドを、例えば、その全体を参照により本明細書に援用する、Ribostem Limitedの、2003年7月9日に出願され、現在は放棄されている英国特許出願第0316089.2号、2004年7月9日に出願され、WO2005005622として公開されたPCT出願第PCT/GB2004/002981号、2006年6月8日に出願され、US20060247195として公開され、現在は放棄されている米国特許出願国内段階登録第10/563,897号、及び2004年7月9日に出願され、EP1646714として公開され、現在は撤回されている欧州特許出願国内段階登録第EP2004743322号;Novozymes,Inc.の、2007年12月19日に出願され、WO2008140615として公開されたPCT出願第PCT/US2007/88060号、2009年7月2日に出願され、US20100028943として公開された米国特許出願国内段階登録第12/520,072号及び2009年7月7日に出願され、EP2104739として公開された欧州特許出願国内段階第EP2007874376号;ロチェスター大学の、2006年12月4日に出願され、WO2007064952として公開されたPCT出願第PCT/US2006/46120号及び2006年12月1日に出願され、US20070141030として公開された米国特許出願第11/606,995号、BioNTech AGの、2007年12月14日に出願され、現在は放棄されている欧州特許出願第EP2007024312号、2008年12月12日に出願され、WO2009077134として公開されたPCT出願第PCT/EP2008/01059号、2010年6月2日に出願され、EP2240572として公開された欧州特許出願国内段階登録第EP2008861423号、2010年11月24日に出願され、US20110065103として公開された米国特許出願国内段階登録第12/,735,060号、2005年9月28日に出願されたドイツ特許出願第DE102005046490号、2006年9月28日に出願され、WO2007036366として公開されたPCT出願PCT/EP2006/0448、2012年3月21日に公開された欧州特許国内段階EP1934345及び2009年8月14日に出願され、20100129877として公開された米国特許出願国内段階第11/992,638号;Immune Disease Institute Inc.の、2011年4月15日に出願され、US20120046346として公開された米国特許出願第13/088,009号、2011年4月15日に出願され、WO20110130624として公開されたPCT出願PCT/US2011/32679;Shire Human Genetic Therapeuticsの、2010年11月20日に出願され、US20110244026として公開された米国特許出願第12/957,340号;Sequitur Inc.の、1998年9月18日に出願され、WO1999014346として公開されたPCT出願PCT/US1998/019492;Scripps Research Instituteの、2010年2月24日に出願され、WO2010098861として公開されたPCT出願第PCT/US2010/00567号、及び2011年11月3日に出願され、US20120053333として公開された米国特許出願国内段階登録第13/203,229号;Ludwig-Maximillians大学の、2010年7月30日に出願され、WO2011012316として公開されたPCT出願第PCT/EP2010/004681号;Cellscript Inc.の、2008年6月30日に出願され、2011年10月18日に特許された米国特許第8,039,214号、2010年12月7日に出願され、US20110143436として公開された米国特許出願第12/962,498号、2010年12月7日に出願され、US20110143397として公開された第12/962,468号、2011年9月20日に出願され、US20120009649として公開された第13/237,451号、及び2010年12月7日に出願され、WO2011071931として公開されたPCT出願PCT/US2010/59305及び2010年12月7日に出願され、WO2011071936として公開されたPCT/US2010/59317;ペンシルベニア大学受託者の、2006年8月21日に出願され、WO2007024708として公開されたPCT出願第PCT/US2006/32372号、及び2009年3月27日に出願され、US20090286852として公開された米国特許出願国内段階登録第11/990,646号;Curevac GMBHの、いずれも放棄された、2001年6月5日に出願されたドイツ特許出願第DE102001027283.9号、2001年12月19日に出願された第DE102001062480.8号、及び2006年10月31日に出願された第DE202006051516号、2005年3月30日に特許された欧州特許第EP1392341号及び2008年1月2日に特許された第EP1458410号、2002年6月5日に出願され、WO2002098443として公開されたPCT出願第PCT/EP2002/06180号、2002年12月19日に出願され、WO2003051401として公開された第PCT/EP2002/14577号、2007年12月31日に出願され、WO2008052770として公開された第PCT/EP2007/09469号、2008年4月16日に出願され、WO2009127230として公開された第PCT/EP2008/03033号、2005年5月19日に出願され、WO2006122828として公開されたPCT/EP2006/004784、2007年1月9日に出願され、WO2008083949として公開された第PCT/EP2008/00081号、2003年12月5日に出願され、US20050032730として公開された米国特許出願第10/729,830号、2004年6月18日に出願され、US20050059624として公開された第10/870,110号、2008年7月7日に出願され、US20080267873として公開された第11/914,945号、2009年10月27日に出願され、US2010047261として公開され、現在は放棄されている第12/446,912号、2010年1月4日に出願され、US20100189729として公開された第12/522,214号、2010年5月26日に出願され、US20110077287として公開された第12/787,566号、2010年5月26日に出願され、US20100239608として公開された第12/787,755号、2011年7月18日に出願され、US20110269950として公開された第13/185,119号、及び2011年5月12日に出願され、US20110311472として公開された第13/106,548号に示されているように設計してもよい。
いくつかの実施形態では、エフェクターモジュールを自己増幅RNAとして設計してもよい。本明細書中で使用する「自己増幅RNA」とは、宿主内で複製することができ、RNA及びRNAによってコードされるタンパク質の量を増加させることができるRNA分子を指す。そのような自己増幅RNAは、国際特許出願公開第WO2011005799号(その内容は、その全体を参照により本明細書に援用する)に示されているもののいずれかの構造的特徴または成分を有し得る。
VI.投薬、送達及び投与
本発明の組成物を、1つ以上の経路及び様式を介して細胞または対象に送達してもよい。本明細書に記載の1つ以上のエフェクターモジュール、SRE、免疫療法薬、及び他の構成要素を含むウイルスベクターを使用して、それらを細胞及び/または対象に送達してもよい。mRNA、プラスミド、及び組換えタンパク質などの他の様式も使用してよい。
1.細胞への送達
本発明の別の態様では、本発明の生体回路、エフェクターモジュール、SRE(例えば、DD)、目的ペイロード(免疫療法薬)及び組成物をコードするポリヌクレオチドならびに前記ポリヌクレオチドを含むベクターを免疫エフェクター細胞などの細胞に導入してもよい。
本発明の一態様では、本発明の生体回路、エフェクターモジュール、SRE(例えば、DD)、目的ペイロード(免疫療法薬)及び組成物をコードするポリヌクレオチドを、ウイルスベクターにパッケージングするか、またはウイルスゲノムに組み込んで、ポリヌクレオチドの一過性または安定した発現を可能にしてもよい。好ましいウイルスベクターは、レンチウイルスベクターを含むレトロウイルスベクターである。レトロウイルスベクターを構築するために、生体回路、エフェクターモジュール、DDまたは目的ペイロード(すなわち免疫療法薬)をコードするポリヌクレオチド分子を、ウイルスゲノムの特定のウイルス配列の位置に挿入し、複製能を欠損させたウイルスを産生させる。次いで、組換えウイルスベクターを、gag、pol、及びenv遺伝子を含むが、LTR及びパッケージング成分を含まないパッケージング細胞株に導入する。組換えレトロウイルス粒子を培地に分泌させ、収集し、必要に応じて濃縮し、遺伝子導入に使用する。レンチウイルスベクターは、分裂細胞と非分裂細胞の両方に感染することができるため、特に好ましい。
また、ベクターを、針、電気穿孔法、ソノポレーション、ハイドロポレーションなどの物理的方法;無機粒子(例えば、リン酸カルシウム、シリカ、金)などの化学的担体及び/または化学的方法によって、非ウイルス法で細胞に移入してもよい。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質、脂質ナノエマルジョン、ナノ粒子、ペプチドベースのベクター、またはポリマーベースのベクターなどの合成または天然の生分解性薬剤を送達に使用してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドを細胞に直接送達してもよい。一実施形態では、本発明のポリペプチドを、細胞透過性ドメイン(CLD)に融合させたエンドソーム漏出ドメイン(ELD)を含む合成ペプチドを使用して送達してもよい。本発明のポリペプチドを、ELD-CLD-合成ペプチドと共に細胞に同時導入する。ELDは、エンドソーム内に捕捉されたタンパク質のサイトゾルへのエスケープを促進する。そのようなドメインは、微生物及びウイルス起源由来のタンパク質であり、当技術分野において記載されている。CPDは、原形質膜を通過するタンパク質の輸送を可能にし、これもまた、当技術分野において記載されている。ELD-CLD融合タンパク質は、いずれかのドメインのみとの同時形質導入と比較した場合、相乗的に形質導入効率を高める。いくつかの実施形態では、エンドソームからサイトゾルへのカーゴのエスケープを可能にする追加の方法として、ヒスチジンリッチドメインを必要に応じてシャトル構築物に追加してもよい。また、シャトルには、融合ペプチドの多量体を生成するために、NまたはC末端にシステイン残基を含ませてもよい。システイン残基をペプチドの末端に付加することにより生成されるELD-CLD融合ペプチドの多量体は、単一の融合ペプチド構築物と比較した場合、さらに高い形質導入効率を示す。また、本発明のポリペプチドを適切な局在化シグナルに付加して、カーゴを適切な細胞内位置、例えば核に向かわせてもよい。いくつかの実施形態では、国際特許公開WO2016161516及びWO2017175072に示されているELD、CLDまたは融合ELD-CLD合成ペプチドのいずれかが、本発明において有用である可能性がある(各々の内容はその全体を参照により本明細書に援用する)。
2.投薬
本発明は、免疫療法のための任意の1つ以上の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。これらを、がん、感染症及び他の免疫不全疾患などの臨床状態を予防または治療するのに有効な任意の量及び任意の投与経路を使用して対象に投与してもよい。
本発明による組成物は、通常、投与の容易さ及び投薬量の均一性のために単位剤形で製剤化する。しかしながら、本発明の組成物の総1日使用量は、健全な医学的判断の範囲内で担当医が決定してもよいことが理解されるであろう。任意の特定の患者に対する特定の治療上有効な、または予防上有効な用量レベルは、治療中の障害及び障害の重症度を含む様々な要因に依存する。使用する特定の化合物の活性;使用する特定の組成物;患者の年齢、体重、健康全般、性別及び食事;投与時間、投与経路、以前または同時期の治療的介入、及び使用する特定の化合物の排出率;治療期間;使用する特定の化合物と併用または同時使用する薬物;ならびに医学分野で周知の同様の要因を含む、様々な要因に依存するであろう。
本発明の組成物は、T細胞エネルギーを回避し、サイトカイン放出症候群を予防し、免疫療法に関連する毒性を最小化するために、様々な用量で使用してもよい。例えば、本発明の組成物を、高い腫瘍量を有する患者を初期に治療するために低用量で使用し、一方、低い腫瘍量を有する患者を、高用量及び反復用量の本発明の組成物を用いて治療し、確実に腫瘍抗原負荷の認識を最小化させる。別の例では、本発明の組成物を、パルス状の様式で送達して、持続性のT細胞シグナル伝達を低下させ、in vivoでの持続性を増強してもよい。いくつかの態様では、高用量を投与する前に、低用量の本発明の組成物を初期に使用することにより、毒性を最小化してもよい。フェリチン、血清C反応性タンパク質、IL6、IFN-γ、及びTNF-αなどの血清マーカーが上昇している場合、投薬量を変更してもよい。
いくつかの実施形態では、神経毒性は、CARまたはTIL療法に関連している場合がある。そのような神経毒性は、CD19-CARに関連している可能性がある。毒性は、脳への過剰なT細胞浸潤が原因である場合がある。いくつかの実施形態では、血液脳関門を介したT細胞の通過を防止することにより、神経毒性を緩和してもよい。これは、チサブリ/ナタリズマブなどの内在性α4インテグリン阻害剤の標的化遺伝子欠失によっても達成することができ、これもまた、本発明において有用であり得る。
3.投与
いくつかの実施形態では、免疫療法用の組成物を、ex vivoで細胞に投与し、続いて対象に投与してもよい。免疫細胞は、当技術分野で公知の様々な方法を使用して、ex vivoで単離及び増殖させてもよい。例えば、細胞傷害性T細胞の単離方法は、米国特許第6,805,861号及び第6,531,451号に記載されており;その各々の内容は、その全体を参照により本明細書に援用する。NK細胞の単離については、米国特許第7,435,596号に記載されており;その内容は、その全体を参照により本明細書に援用する。
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、2016年4月11日に出願された同時係属中の共有米国仮特許出願第62/320,864号、または2017年3月3日に出願された米国仮特許出願第62/466,596号、及び国際公開WO2017/180587に示される投与方法のいずれかによって投与してもよく、これらの各々の内容は、その全体を参照により本明細書に援用する。
いくつかの実施形態では、細胞の性質に応じて、細胞を宿主生物、例えば哺乳類に、注射、輸血、注入、局所滴下または移植を含む様々な方法で導入してもよい。いくつかの態様では、本発明の細胞を腫瘍部位に導入してもよい。使用する細胞の数は、多くの状況、導入の目的、細胞の寿命、使用するプロトコール、例えば投与回数、細胞の増殖能力などに依存するであろう。細胞は、生理学的に許容される培地中に存在させてもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の細胞を、疾患または病態を有する対象に複数用量で投与してもよい。投与は、一般的に、がんまたは臨床状態の1つ以上の症状の改善をもたらし、及び/またはがんもしくは臨床状態またはその症状を治療または予防する。
いくつかの実施形態では、免疫療法用の組成物を、in vivoで投与してもよい。いくつかの実施形態では、本発明の生体回路、エフェクター分子、SRE、目的ペイロード(免疫療法薬)及び組成物を含む本発明のポリペプチドを、対象にin vivoで送達してもよい。免疫療法薬のin vivo送達は、当技術分野で十分に説明されている。例えば、サイトカインの送達方法は、欧州特許第EP0930892A1号に記載されており、その内容は参照により本明細書に援用する。
一実施形態では、本発明のペイロードを、SHP-1及び/またはSHP-2の阻害剤とともに投与してもよい。チロシンタンパク質ホスファターゼSHP1(PTPN6としても知られる)及びSHP2(PTPN11としても知られる)は、プログラム細胞死(PD1)抑制シグナル伝達経路に関与している。PD1の細胞内ドメインは、免疫受容抑制性チロシンモチーフ(ITIM)及び免疫受容体チロシン系スイッチモチーフ(ITSM)を含む。ITSMは、SHP-1及びSHP-2をリクルートすることが示されている。これにより、近位TCRシグナル伝達分子の脱リン酸化を誘発する負の共刺激マイクロクラスターが生成され、これにより、T細胞活性化の抑制がもたらされ、T細胞の枯渇を招き得る。一実施形態では、SHP-1及びSHP-2の阻害剤は、枯渇を軽減するために、T細胞、TILまたは他の細胞型において、タンパク質のドミナントネガティブバージョンを発現することを含み得る。そのような変異体は、内在性の触媒的に活性なタンパク質に結合し、その機能を阻害し得る。一実施形態では、SHP-1及び/またはSHP-2のドミナントネガティブ変異体は、触媒活性に必要なホスファターゼドメインを欠失している。いくつかの実施形態では、Bergeron S et al.(2011).Endocrinology.2011 Dec;152(12):4581-8.;Dustin JB et al.(1999)J Immunol.Mar 1;162(5):2717-24.;Berchtold S(1998)Mol Endocrinol.Apr;12(4):556-67及びSchram et al.(2012)Am J Physiol Heart Circ Physiol.1;302(1):H231-43に示されるドミナントネガティブSHP-1変異体のいずれかは、本発明において有用であり得る(各々の内容は、その全体を参照により援用する)。
送達経路
本発明の医薬組成物、生体回路、生体回路の構成要素、SRE(例えば、DD)を含むエフェクターモジュール、ペイロード(すなわち、免疫療法薬)、ベクター及び細胞を、任意の経路で投与して、治療的に有効な結果を達成してもよい。
これらには、経腸(腸内)、胃腸、硬膜外(硬膜内)、経口(口経由)、経皮、硬膜外、脳内(大脳内)、側脳室内(脳室内)、皮膚上(皮膚への塗布)、皮内(皮膚自体へ)、皮下(皮膚下)、鼻腔内投与(経鼻)、静脈内(静脈内)、静脈内ボーラス、点滴静注、動脈内(動脈内)、筋肉内(筋肉内)、頭蓋内(心臓内)、骨内注入(骨髄内)、髄腔内(脊柱管内)、腹腔内、(腹腔内への注入または注射)、洞内注入、硝子体内、(経眼)、静脈内注入(病的腔内)、腔内(陰茎基部内)、膣内投与、子宮内、羊膜外投与、経皮(全身分布用のインタクトな皮膚を介した拡散)、経粘膜(粘膜を介した拡散)、経膣、吹送法(吸引)、舌下、唇下、浣腸、点眼(結膜上)、点耳、耳介(耳内または経耳)、頬側(頬に向けて)、結膜、皮膚、歯(歯または歯牙)、電気浸透、子宮頸管内、洞内、気管内、体外、血液透析、浸透、間質内、腹腔内、羊水内、関節内、胆管内、気管支内、嚢内、軟骨内(軟骨内)、尾内(馬尾内)、大槽内(小脳延髄大槽内)、角膜内(角膜内)、歯冠内(dental intracornal)、冠内(冠動脈内)、海綿体内(陰茎の陰核海綿体の拡張可能な空間内)、椎間板内(椎間板内)、管内(腺管内)、十二指腸内(十二指腸内)、硬膜内(硬膜内または硬膜下)、表皮内(表皮内)、食道内(食道内)、胃内(胃内)、歯肉内(歯肉内)、回腸内(小腸の遠位部分内)、病巣内(限局性病巣内または限局性病巣への直接導入)、管腔内(管の内腔内)、リンパ内(リンパ内)、髄内(骨の骨髄腔内)、髄膜内(髄膜内)、心筋内(心筋内)、眼内(眼内)、卵巣内(卵巣内)、心膜内(心膜内)、胸膜内(胸膜内)、前立腺内(前立腺内)、肺内(肺またはその気管支内)、洞内(鼻内または眼窩周囲の洞内)、脊髄内(脊柱内)、関節滑液嚢内(関節の滑膜腔内)、腱内(腱内)、精巣内(睾丸内)、くも膜下腔内(任意レベルの脳脊髄軸の脳脊髄液内)、胸腔内(胸部内)、管内(器官の細管内)、腫瘍内(腫瘍内)、鼓室内(中耳内)、血管内(血管内)、脳室内(心室内)、イオン導入(可溶性塩のイオンを身体組織に移動させる電流による)、洗浄(傷口または体腔を浸すか、または洗い流す)、喉頭(喉頭に直接)、経鼻胃(鼻から胃内へ)、密封包帯療法(局所経路での投与後、領域を密封する包帯で覆う)、眼(外眼部へ)、中咽頭(口腔と咽頭に直接)、非経口、経皮、関節周囲、硬膜周囲、神経周囲、歯周、直腸、呼吸器(局所的または全身的効果のための経口または経鼻吸入による気道内)、眼球後(脳橋の背後または眼球の背後)、心筋内(心筋内へ進入)、軟部組織、くも膜下、結膜下、粘膜下、局所、経胎盤(胎盤を介して、または胎盤を通過して)、経気管(気管の壁を介して)、経鼓膜(鼓室を通過して、または鼓室を介して)、尿管(尿管へ)、尿道(尿道へ)、膣、仙骨麻酔、診断、神経麻酔、胆汁灌流、心臓灌流、フォトフェレーシスまたは脊髄が含まれるが、これらに限定されない。
VII.定義
本明細書中の様々な箇所で、本開示の組成物の特徴または機能を、群または範囲で開示する。本開示は、そのような群及び範囲のメンバーのあらゆる個々の部分的組み合わせを含むことが特に意図されている。以下は、用語定義の非限定的なリストである。
活性:本明細書中で使用する場合、用語「活性」とは、物事が起こっているまたは行われている状態を指す。本発明の組成物は活性を有していてもよく、この活性は1つ以上の生物学的事象を含み得る。いくつかの実施形態では、生物学的事象は細胞シグナル伝達事象を含み得る。いくつかの実施形態では、生物学的事象は、1つ以上の対応するタンパク質、受容体、小分子または本明細書に記載の生体回路の構成要素のいずれかとのタンパク質相互作用に関連する細胞シグナル伝達事象を含み得る。
養子細胞療法(ACT):本明細書中で使用する場合、用語「養子細胞療法」または「養子細胞移植」とは、患者への細胞の移植を伴う細胞療法を指し、その場合、細胞は患者または別の個体に由来するものであってよく、患者に戻す前に細胞を改変(変更)する。治療細胞は、免疫エフェクター細胞:CD4+T細胞;CD8+T細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞);ならびにB細胞及び切除した腫瘍に由来する腫瘍浸潤リンパ球(TIL)などの免疫系に由来するものであってよい。最も一般的に移植される細胞は、ex vivoでの増殖または操作後の自己抗腫瘍T細胞である。例えば、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現させることにより、特定の腫瘍抗原を認識するように、自己末梢血リンパ球を遺伝子改変することができる。
薬剤:本明細書中で使用する場合、用語「薬剤」とは、生物学的、薬学的、または化学的化合物を指す。非限定的な例として、単純または複雑な有機または無機分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、抗体断片、受容体、及び可溶性因子が挙げられる。
アゴニスト:本明細書中で使用する用語「アゴニスト」とは、受容体と併用して細胞応答を生じさせることができる化合物を指す。アゴニストは、受容体に直接結合するリガンドであってもよい。あるいは、アゴニストは、例えば、(a)受容体に直接結合する別の分子と複合体を形成するか、または(b)その他の方法で、他の化合物が受容体に直接結合するように別の化合物を修飾することにより、間接的に受容体と結合してもよい。アゴニストは、特定の受容体または受容体のファミリーのアゴニスト、例えば、共刺激受容体のアゴニストと呼ばれる場合がある。
アンタゴニスト:本明細書中で使用する用語「アンタゴニスト」とは、結合する標的(複数可)の生物学的活性を阻害または低下させる任意の薬剤を指す。
抗原:本明細書中で使用する用語「抗原」とは、対象に導入した場合に、またはがんの発症自体によって生じる腫瘍抗原など、対象によって産生された場合に、免疫応答を引き起こす分子として定義される。この免疫応答には、抗体の産生、または細胞傷害性Tリンパ球やTヘルパー細胞などの特定の免疫学的に適格な細胞の活性化、またはその両方が含まれる。抗原は、生物、タンパク質/抗原のサブユニット、死滅させるか、または不活性化した細胞全体または溶解物に由来し得る。本発明に関して、用語「目的抗原」または「所望の抗原」とは、本明細書に記載する本発明の抗体及び/またはその断片、変異体、バリアント及び/または改変体と免疫特異的に結合または相互作用する、本明細書において提供するタンパク質及び/または他の生体分子を指す。いくつかの実施形態では、目的抗原は、本明細書に記載のポリペプチドもしくはペイロードもしくはタンパク質、またはその断片もしくは部分のいずれかを含み得る。
およそ:本明細書中で使用する場合、用語「およそ」または「約」とは、目的の1つ以上の値に適用する場合、言及する参照値に類似する値を指す。特定の実施形態では、用語「およそ」または「約」とは、特に明記しない限り、または文脈から明らかでない限り、言及される参照値のいずれかの方向(より大きいか、またはより小さい)で、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、またはそれ未満の範囲内に入る値の範囲を指す(そのような数が可能な値の100を超える場合を除く)。
会合する:本明細書中で使用する場合、用語「会合する」、「結合する(conjugated)」、「連結する」、「付着する」、及び「つながる」とは、2つ以上の部分に関して使用する場合、それらの部分が、直接的に、または連結剤として機能する1つ以上の追加部分を介して、互いに物理的に会合または接続して十分に安定な構造を形成し、それにより、その構造を使用する条件下、例えば生理学的条件下で、それらの部分が物理的に会合したままになることを意味する。「会合」は厳密に直接的な共有化学結合によるものである必要はない。本用語はまた、「会合」実体が物理的に会合したままになるような、イオン結合もしくは水素結合、または十分に安定したハイブリダイゼーションに基づく接続性を示唆する場合もある。
自己:本明細書中で使用する用語「自己」とは、後で個体に再導入する場合の、その同じ個体に由来する任意の物質を指すことを意味する。
バーコード:本明細書中で使用する用語「バーコード」とは、あるポリヌクレオチドまたはアミノ酸を別のポリヌクレオチドまたはアミノ酸と区別するポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列を指す。
がん:本明細書中で使用する用語「がん」とは、体内の異常な細胞の制御不能な増殖を特徴とする様々な疾患の幅広い群を指す。無秩序な細胞分裂と増殖は、隣接する組織に侵入する悪性腫瘍の形成をもたらし、最終的にリンパ系または血流を介して身体の遠位部分に転移する。
共刺激分子:本明細書中で使用する場合、免疫T細胞活性化におけるその意味に従って、T細胞とAPCとの間に関与し、T細胞の刺激シグナルを生成する免疫細胞表面受容体/リガンドの群を指し、この刺激シグナルは、APC上の抗原/MHC複合体(pMHC)のT細胞受容体(TCR)認識から生じるT細胞の刺激シグナルと合わさる。
サイトカイン:本明細書中で使用する場合、用語「サイトカイン」とは、免疫系の機能に影響を及ぼし、調節することができる多くの細胞型によって産生される多面発現機能を有する低分子可溶性因子のファミリーを指す。
送達:本明細書中で使用する用語「送達」とは、化合物、物質、実体、部分、カーゴまたはペイロードを送達する行為または様式を指す。「送達剤」とは、細胞、対象または他の生体系細胞への1つ以上の物質(本発明の化合物及び/または組成物を含むがこれらに限定されない)のin vivo送達を少なくとも部分的に促進する任意の薬剤を指す。
不安定化:本明細書中で使用する場合、用語「不安定な(destable)」、「不安定化」、「不安定化領域」または「不安定化ドメイン」とは、開始、参照、野生型、または天然型形態の同じ領域または分子よりも安定性が低い領域または分子を意味する。
改変:本明細書中で使用する場合、本発明の実施形態は、それらを、構造的であるかまたは化学的であるかに関わらず、出発点、野生型または天然型の分子から変化した特徴または特性を有するように設計する場合、「改変」される。
発現:本明細書中で使用する場合、核酸配列の「発現」とは、以下の事象の1つ以上を指す:(1)DNA配列からのRNA鋳型の産生(例えば、転写による);(2)RNA転写産物のプロセシング(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/または3’末端プロセシングによる);(3)RNAのポリペプチドまたはタンパク質への翻訳;(4)ポリペプチドまたはタンパク質の折り畳み;及び(5)ポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾。
特徴:本明細書中で使用する場合、「特徴」とは、特徴、特性、または特有の要素を指す。
製剤:本明細書中で使用する場合、「製剤」は、少なくとも本発明の化合物及び/または組成物、ならびに送達剤を含む。
断片:本明細書中で使用する「断片」とは、部分を指す。例えば、タンパク質の断片は、完全長のタンパク質を消化することにより得られるポリペプチドを含み得る。いくつかの実施形態では、タンパク質の断片は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250以上のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、抗体の断片には抗体の部分が含まれる。
機能的:本明細書中で使用する場合、「機能的」生体分子は、その分子を特徴付ける特性及び/または活性を示す構造及び形態を有する生物学的実体である。
免疫細胞:本明細書中で使用する場合、用語「免疫細胞」とは、骨髄中の造血幹細胞に由来する免疫系の任意の細胞を指し、2つの主要な系統、すなわち、骨髄系前駆細胞(単球、マクロファージ、樹状細胞、巨核球、及び顆粒球などの骨髄系細胞を生じさせる)及びリンパ系前駆細胞(T細胞、B細胞、及びナチュラルキラー(NK)細胞などのリンパ系細胞を生じさせる)を生じさせる。例示的な免疫系細胞として、CD4+T細胞、CD8+T細胞、CD4-CD8-二重陰性T細胞、Tγδ細胞、Tαβ細胞、調節性T細胞、ナチュラルキラー細胞、及び樹状細胞が挙げられる。マクロファージ及び樹状細胞は、「抗原提示細胞」または「APC」と呼ばれる場合があり、これらは、ペプチドと複合体を形成したAPC表面の主要組織適合複合体(MHC)受容体がT細胞表面のTCRと相互作用する場合に、T細胞を活性化することができる特殊な細胞である。
免疫療法:本明細書中で使用する用語「免疫療法」とは、疾患に対する免疫系の反応性の誘導または回復による疾患の治療のタイプを指す。
免疫療法薬:本明細書中で使用する用語「免疫療法薬」とは、生物学的、薬学的、または化学的化合物による、疾患に対する免疫系の反応性の誘導または回復による疾患の治療を指す。
in vitro:本明細書中で使用する場合、用語「in vitro」とは、生物(例えば、動物、植物、または微生物)内ではなく、人工環境、例えば、試験管または反応容器、細胞培養物、ペトリ皿などで発生する事象を指す。
in vivo:本明細書中で使用する場合、用語「in vivo」とは、生物(例えば、動物、植物、もしくは微生物またはその細胞もしくは組織)内で発生する事象を指す。
リンカー:本明細書中で使用する場合、リンカーとは、2つ以上のドメイン、部分または実体を接続する部分を指す。一実施形態では、リンカーは、10個以上の原子を含み得る。さらなる実施形態では、リンカーは、原子の群、例えば、10~1,000原子を含む場合があり、炭素、アミノ、アルキルアミノ、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホニル、カルボニル、及びイミンなどの原子または群からなり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、リンカーは、1つ以上のヌクレオチドを含む1つ以上の核酸を含み得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を含み得る。いくつかの実施形態では、リンカーによって結合される部分には、原子、化学基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸塩基、糖、核酸、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、タンパク質複合体、ペイロード(例えば、治療薬)、またはマーカー(化学マーカー、蛍光マーカー、放射性マーカー、生物発光マーカーが含まれるが、これらに限定されない)が含まれ得るが、これらに限定されない。本明細書に記載するように、リンカーは、多量体または複合体の形成、及びペイロードの投与など、あらゆる有用な目的に使用することができる。リンカーに組み込むことができる化学基の例として、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、エーテル、チオエーテル、エステル、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリール、またはヘテロシクリルが挙げられるが、これらに限定されず、これらの各々は、必要に応じて本明細書に記載するように置換することができる。リンカーの例として、不飽和アルカン、ポリエチレングリコール(例えば、エチレンまたはプロピレングリコールモノマーユニット、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、またはテトラエチレングリコール)、及びデキストランポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。他の例として、例えば、還元剤または光分解を用いて切断可能なジスルフィド結合(-S-S-)またはアゾ結合(-N=N-)などのリンカー内の切断可能な部分が挙げられるが、これらに限定されない。選択的に切断可能な結合の非限定的な例として、例えば、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、もしくは他の還元剤、及び/または光分解の使用によって切断され得るアミド結合、ならびに、例えば、酸性または塩基性加水分解により切断され得るエステル結合が挙げられる。
チェックポイント/因子:本明細書中で使用する場合、チェックポイント因子は、その機能がプロセスの接合部で作用する任意の部分または分子である。例えば、チェックポイントタンパク質、リガンドまたは受容体は、細胞周期を失速または加速するように機能し得る。
代謝産物:代謝産物は、細胞内で自然に発生する酵素によって触媒される代謝反応の中間生成物である。この用語は通常、低分子、大きな生体分子の断片、またはプロセシングされた産物を表すために使用される。
修飾:本明細書中で使用する場合、用語「修飾」とは、親または参照分子または実体と比較した分子または実体の変化した状態または構造を指す。分子は、化学的に、構造的に、及び機能的に、などの多くの方法で修飾してもよい。いくつかの実施形態では、本発明の化合物及び/または組成物を、非天然アミノ酸の導入により修飾する。
変異:本明細書中で使用する場合、用語「変異」とは、変化及び/または変更を指す。いくつかの実施形態では、変異は、タンパク質(ペプチド及びポリペプチドを含む)及び/または核酸(ポリ核酸を含む)に対する変化及び/または変更であり得る。いくつかの実施形態では、変異は、タンパク質及び/または核酸配列に対する変化及び/または変更を含む。そのような変化及び/または変更は、1つ以上のアミノ酸(タンパク質及び/またはペプチドの場合)及び/またはヌクレオチド(核酸及び/またはポリ核酸、例えばポリヌクレオチドの場合)の追加、置換及び/または削除を含み得る。変異がアミノ酸及び/またはヌクレオチドの付加及び/または置換を含むいくつかの実施形態では、そのような付加及び/または置換は1つ以上のアミノ酸及び/またはヌクレオチド残基を含む場合があり、修飾アミノ酸及び/またはヌクレオチドを含み得る。結果として生じる変異、変化または変更の構築物、分子または配列は、本明細書では変異体と呼ばれる場合がある。
ネオ抗原:本明細書中で使用する場合、用語「ネオ抗原」とは、正常細胞ではなく腫瘍細胞に存在し、胸腺における同族の抗原特異的T細胞の欠失を誘発しない(すなわち、中枢性免疫寛容)腫瘍抗原を指す。これらの腫瘍ネオ抗原は、病原体と同様の「外来」シグナルを提供し、がん免疫療法に必要な効果的な免疫応答を誘導する。ネオ抗原は、特定の腫瘍に限定される場合がある。ネオ抗原は、ミスセンス変異を有するペプチド/タンパク質(ミスセンスネオ抗原)、または新規オープンリーディングフレーム(neoORF)からの長鎖完全新規アミノ酸ストレッチを有する新規ペプチドである。neoORFは、いくつかの腫瘍でフレーム外の挿入または削除(マイクロサテライトの不安定性を引き起こすDNAミスマッチ修復の欠陥による)、遺伝子融合、終止コドンのリードスルー変異、または不適切にスプライシングされたRNAの翻訳によって生成され得る(例えば、Saeterdal et al.,Proc Natl Acad Sci USA,2001,98:13255-13260)。
オフターゲット:本明細書中で使用する場合、「オフターゲット」とは、任意の1つ以上の標的、遺伝子、細胞転写産物、細胞、及び/または組織に対する意図しない効果を指す。
作動可能に連結した:本明細書中で使用する場合、語句「作動可能に連結した」とは、2つ以上の分子、構築物、転写産物、実体、部分などの間の機能的接続を指す。
ペイロードまたは目的ペイロード(POI):本明細書中で使用する場合、用語「ペイロード」及び「目的ペイロード(POI)」は、同じ意味で使用される。目的ペイロード(POI)とは、機能が変更されることとなる任意のタンパク質または化合物を指す。本発明に関して、POIは、自然免疫系及び適応免疫系の両方を含む免疫系の成分である。目的ペイロードは、タンパク質、融合タンパク質をコードする融合構築物、もしくは非コード遺伝子、またはそれらのバリアント及び断片であってもよい。目的ペイロードは、アミノ酸ベースの場合、目的タンパク質と呼ばれる場合がある。
薬学的に許容される賦形剤:本明細書中で使用する用語「薬学的に許容される賦形剤」とは、医薬組成物中に存在し、対象内において実質的に非毒性及び非炎症性の特性を有する活性薬剤(例えば、本明細書に記載するような)以外の任意の成分を指す。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、活性薬剤を懸濁及び/または溶解することができるビヒクルである。賦形剤として、例えば:付着防止剤、抗酸化剤、結合剤、コーティング剤、圧縮助剤、崩壊剤、染料(着色剤)、皮膚軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、皮膜形成剤またはコーティング剤、香料、芳香剤、滑剤(流動促進剤)、滑沢剤、防腐剤、印刷インク、吸着剤、懸濁剤または分散剤、甘味料、及び水和水が挙げられる。例示的な賦形剤として:ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、ナトリウムデンプングリコール酸、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、及びキシリトールが挙げられるが、これらに限定されない。
薬学的に許容される塩:本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩は、酸または塩基部分がその塩形態(例えば、遊離塩基と適切な有機酸との反応により生成される)にある開示化合物の形態である。薬学的に許容される塩の例として、アミンなどの塩基性残基の無機または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機塩;などが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な酸付加塩として、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、へプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩として、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、ならびに、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含むがこれらに限定されない、無毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、及びアミンカチオンが挙げられる。薬学的に許容される塩には、例えば、無毒性の無機酸または有機酸由来の従来の無毒性塩が含まれる。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩を、従来の化学的方法により塩基性または酸性部分を含む親化合物から調製する。一般的に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸または遊離塩基形態を、水または有機溶媒中で、または2つの混合物中で、化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることにより調製することができ;一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。適切な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418,Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,P.H.Stahl and C.G.Wermuth(eds.),Wiley-VCH,2008,and Berge et al.,Journal of Pharmaceutical Science,66,1-19(1977)に見出され、これらの各々は、その全体を参照により本明細書に援用する。薬学的に許容される溶媒和物:本明細書中で使用する用語「薬学的に許容される溶媒和物」とは、適切な溶媒の分子が結晶格子に組み込まれている化合物の結晶形を指す。例えば、溶媒和物は、有機溶媒、水、またはそれらの混合物を含む溶液からの結晶化、再結晶化、または沈殿により調製してもよい。適切な溶媒の例は、エタノール、水(例えば、一水和物、二水和物、及び三水和物)、N-メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’-ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMEU)、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2-(1H)-ピリミジノン(DMPU)、アセトニトリル(ACN)、プロピレングリコール、酢酸エチル、ベンジルアルコール、2-ピロリドン、安息香酸ベンジルなどである。水が溶媒である場合、溶媒和物は「水和物」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、溶媒和物に組み込まれる溶媒は、溶媒和物を投与する(例えば、医薬組成物の単位剤形で)生物に対して生理学的に許容されるタイプまたはレベルのものである。
安定:本明細書中で使用する「安定」とは、反応混合物から有用な純度への単離に耐えるのに十分頑強であり、好ましくは有効な治療薬への製剤化が可能な化合物または実体を指す。
安定化された:本明細書中で使用する場合、用語「安定化する」、「安定化された」、「安定化された領域」とは、安定にするか、または安定になることを意味する。いくつかの実施形態では、安定性を、絶対値に対して測定する。いくつかの実施形態では、安定性を、二次的なステータスもしくは状態、または参照化合物もしくは実態に対して測定する。
標準CAR:本明細書中で使用する場合、用語「標準CAR」とは、標準設計のキメラ抗原受容体を指す。細胞外scFvフラグメント、膜貫通ドメイン及び1つ以上の細胞内ドメインを含むCAR融合タンパク質の構成要素を、単一の融合タンパク質として直線的に構築する。
刺激応答エレメント(SRE):用語「刺激応答エレメント(SRE)」とは、本明細書中で使用する場合、エフェクターモジュールの1つ以上のペイロードに接合、付着、連結、または会合させるエフェクターモジュールの構成要素であり、いくつかの例では、1つ以上の刺激に対するエフェクターモジュールの応答性を担う。本明細書中で使用する場合、刺激に対するSREの「応答性」の性質は、刺激に対する共有または非共有相互作用、直接的もしくは間接的な会合、または構造的もしくは化学的反応を特徴とし得る。さらに、刺激に対する任意のSREの反応は、程度または種類の問題であり得る。応答は部分的応答であってもよい。応答は、可逆応答であってもよい。応答は、最終的に調節されたシグナルまたは出力を導き得る。そのような出力シグナルは、刺激に対して相対的な性質のもの、例えば、1~100の調節効果、または2倍、3倍、4倍、5倍、10倍もしくはそれ以上の倍率での増加もしくは減少を生じるものであってもよい。SREの1つの非限定的な例は、不安定化ドメイン(DD)である。
対象:本明細書中で使用する場合、用語「対象」または「患者」とは、例えば、実験、診断、予防、及び/または治療目的で本発明の組成物を投与し得る任意の生物を指す。一般的な対象として、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及びヒトなどの哺乳類)及び/または植物が挙げられる。
T細胞:T細胞は、T細胞受容体(TCR)を産生する免疫細胞である。T細胞は、ナイーブ(抗原にさらされていない;TCMに比べて、CD62L、CCR7、CD28、CD3、CD127、及びCD45RAの発現が増加し、CD45ROの発現が減少している)、メモリーT細胞(TM)(抗原経験及び長期生存)、及びエフェクター細胞(抗原経験、細胞毒性)であり得る。TMは、セントラル記憶T細胞のサブセット(TCM、ナイーブT細胞に比べて、CD62L、CCR7、CD28、CD127、CD45RO、及びCD95の発現が増加し、CD54RAの発現が減少している)ならびにエフェクター記憶T細胞(TEM、ナイーブT細胞またはTCMに比べて、CD62L、CCR7、CD28、CD45RAの発現が減少し、CD127の発現が増加している)にさらに分類することができる。エフェクターT細胞(TE)とは、TCMに比べて、CD62L、CCR7、CD28の発現が低下し、グランザイム及びパーフォリン陽性である、抗原経験のあるCD8+細胞傷害性Tリンパ球を指す。他の例示的なT細胞として、CD4+CD25+(Foxp3+)調節性T細胞及びTreg17細胞などの調節性T細胞、ならびにTr1、Th3、CD8+CD28-、及びQa-1制限T細胞が挙げられる。
T細胞受容体:T細胞受容体(TCR)とは、可変抗原結合ドメイン、定常ドメイン、膜貫通領域、及びMHC受容体に結合した抗原ペプチドに特異的に結合することができる短い細胞質尾部を有する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーを指す。TCRは、細胞の表面または可溶性の形で見出すことができ、一般的に、α及びβ鎖(それぞれ、TCRα及びTCRβとしても知られる)、またはγ及びδ鎖(それぞれ、TCRγ及びTCRδとしても知られる)を有するヘテロダイマーからなる。TCR鎖の細胞外部分(例えば、α鎖、β鎖)は、2つの免疫グロブリンドメイン、すなわち、N末端に可変ドメイン(α鎖可変ドメインまたはVα、β鎖可変ドメインまたはVβ)、及び細胞膜の近傍に1つの定常ドメイン(例えば、α鎖定常ドメインすなわちCα及びβ鎖定常ドメインすなわちCβ)を含む。免疫グロブリンと同様に、可変ドメインは、フレームワーク領域(FR)で区切られた相補性決定領域(CDR)を含む。TCRは通常、CD3複合体と会合してTCR複合体を形成する。本明細書中で使用する場合、用語「TCR複合体」とは、CD3とTCRとの会合により形成される複合体を指す。例えば、TCR複合体は、CD3γ鎖、CD3δ鎖、2つのCD3ε鎖、CD3ζ鎖のホモ二量体、TCRα鎖、及びTCRβ鎖からなり得る。あるいは、TCR複合体は、CD3γ鎖、CD3δ鎖、2つのCD3ε鎖、CD3ζ鎖のホモ二量体、TCRγ鎖、及びTCRδ鎖からなり得る。本明細書中で使用する「TCR複合体の構成要素」とは、TCR鎖(すなわち、TCRα、TCRβ、TCRγまたはTCRδ)、CD3鎖(すなわち、CD3γ、CD3δ、CD3εまたはCD3ζ)、または2つ以上のTCR鎖もしくはCD3鎖によって形成される複合体(例えば、TCRαとTCRβの複合体、TCRγとTCRδの複合体、CD3εとCD3δの複合体、CD3γとCD3εの複合体、またはTCRα、TCRβ、CD3γ、CD3δ、及び2つのCD3ε鎖のサブTCR複合体)を指す。
治療有効量:本明細書中で使用する場合、用語「治療有効量」とは、感染、疾患、障害、及び/または病態に罹患しているか、または感染しやすい対象に投与した場合に、感染、疾患、障害、及び/または病態の発症を治療、症状改善、診断、予防、及び/または遅延させるのに十分な、送達する薬剤(例えば、核酸、薬物、治療薬、診断薬、予防薬など)の量を意味する。いくつかの実施形態では、治療有効量を単回用量で提供する。いくつかの実施形態では、治療有効量を、複数の用量を含む投与レジメンで投与する。当業者であれば、いくつかの実施形態において、そのような投与レジメンの一部として単位剤形を投与する場合に、それが有効な量を含む場合、特定の薬剤または実体の治療有効量を含むと見なされ得ることを理解するであろう。
治療または治療すること:本明細書中で使用する場合、用語「治療」または「治療すること」とは、好ましくは有益または望ましい臨床結果を含む、有益または望ましい結果を得るためのアプローチを示す。そのような有益または望ましい臨床結果には、以下の1つ以上が含まれるが、これらに限定されない:がん細胞または他の疾患細胞の増殖の低下(または破壊)、がんにおいて見出されるがん細胞の転移の低減、腫瘍のサイズの縮小、疾患に起因する症状の軽減、疾患に罹患している人々の生活の質の向上、疾患の治療に必要な他の薬剤の用量の低減、疾患の進行の遅延、及び/または個体の生存期間の延長。
調整:本明細書中で使用する場合、用語「調整」とは、刺激に応じて、または特定の結果に向かって1つのものを調整、均衡化、または適合させることを意味する。非限定的な一実施例では、本発明のSRE及び/またはDDは、特定の刺激及び/または環境に応じて、それらが付加、付着または会合する組成物の機能または構造を調整、均衡化または適合させる。
均等物と範囲
当業者であれば、本明細書に記載する本発明による特定の実施形態に対する多くの均等物を認識し、または日常的な実験のみを使用して確認することができるであろう。本発明の範囲は、上記の記載に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に記載されている。
請求項において、「a」、「an」、及び「the」などの冠詞は、相反する指示がない限り、または文脈から明らかでない限り、1つ以上を意味し得る。グループの1つ以上のメンバー間の「または」を含む請求項または記載は、所与の製品またはプロセスに、1つ、複数、またはすべてのグループメンバーが存在するか、使用されるか、そうでなければ関連している場合、相反する指示が示されていない限り、または文脈から明らかでない限り、満たしているものと見なされる。本発明は、グループの正確に1つのメンバーが、所与の製品またはプロセスに存在するか、使用されるか、そうでなければ関連している実施形態を含む。本発明は、所与の製品またはプロセスに、複数、またはグループメンバー全体が存在するか、使用されるか、そうでなければ関連している実施形態を含む。
用語「含む」は、オープンであることを意図しており、追加の要素または工程を許容するが、必ずしも含める必要はないことにも留意されたい。したがって、用語「含む」を本明細書中で使用する場合、用語「からなる」も包含され、開示されるものとする。
範囲が与えられる場合、端点が含まれる。さらに、文脈及び当業者の理解から別段の指示がない限り、またはそうでないことが明らかでない限り、範囲として表される値は、文脈から明確に他のことが指示されない限り、範囲の下限値の単位の10分の1まで、本発明の異なる実施形態において述べられた範囲内の任意の特定の値または部分範囲をとることができることを理解されたい。
さらに、先行技術に含まれる本発明の特定の実施形態は、請求項のいずれか1つ以上から明示的に除外され得ることを理解されたい。そのような実施形態は、当業者に公知であると見なされるため、除外することが本明細書で明示的に示されていなくても、除外され得る。いずれの本発明の組成物の特定の実施形態(例えば、任意の抗生物質、治療成分または有効成分;任意の製造方法;任意の使用方法;など)も、先行技術の存在に関連しているかどうかに関わらず、理由の如何を問わず、いずれか1つ以上の請求項から除外することができる。
使用する単語は、限定するものではなく、説明するための単語であり、そのより広い態様において、本発明の真の範囲及び精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更してもよいことを理解されたい。
実施例1.突然変異誘発スクリーニングによる新規リガンド応答性SREまたはDDの生成
研究の設計
リガンド依存的な安定性を示す構築物を設計するために、候補リガンド結合ドメイン(LBD)を選択し、タンパク質安定性のレポーターとして黄色蛍光タンパク質(YFP)を使用する細胞ベースのスクリーニングを設計して、望ましい特性:LBDのリガンドの非存在下での低いタンパク質レベル(すなわち、低い基底安定性)、大きなダイナミックレンジ、ロバストで予測可能な用量反応挙動、及び迅速な分解速度(Banaszynski,et al.,(2006)Cell;126(5):995-1004)の不安定化ドメインを保有する候補LBDの変異体を同定する。候補LBDは、内在性シグナル伝達分子ではなく、目的リガンドに結合する。
候補LBD配列(鋳型として)を、ヌクレオチド類似体変異誘発及びエラープローンPCRの組み合わせを使用して最初に変異させ、鋳型候補ドメイン配列に基づいて変異体のライブラリを生成する。生成されたライブラリを、YFP遺伝子の5’または3’末端にインフレームでクローニングし、レトロウイルス発現系を使用して、YFP融合体のライブラリをNIH3T3線維芽細胞に安定的に形質導入する。
形質導入したNIH3T3細胞を、蛍光標識細胞分取(FACS)を使用して3~4回の選別にかけ、候補DDのライブラリをスクリーニングする。形質導入したNIH3T3細胞を、リガンド結合ドメイン(LBD)の高親和性リガンドの非存在下で培養し、低レベルのYFP発現を示す細胞をFACSにより選択する。
スクリーニング戦略I
選択した細胞集団を、リガンド結合ドメインの高親和性リガンドの存在下で、一定期間(例えば、24時間)培養し、その時点で細胞をFACSによって再選別する。高レベルのYFP発現を示す細胞をFACSで選択し、選択した細胞集団を2つの群に分け、異なる濃度のリガンド結合ドメインの高親和性リガンドで再度処置する。1つの群を低濃度のリガンドで処置し、もう1つの群を高濃度のリガンドで一定期間(例えば、24時間)処置し、この時点で、細胞をFACSによって再選別する。低濃度のリガンドに反応する変異体を発現している細胞を分離する。
より低い濃度のリガンドに応答する単離された細胞を再度リガンドで処置し、培地からのリガンドの除去の4時間後に、低蛍光レベルを示す細胞を収集する。この第4の選別は、分解の速度が速い細胞を濃縮するように設計する(Iwamoto et al.,Chem Biol.2010 Sep 24;17(9):981-988)。
スクリーニング戦略II
選択した細胞集団を、LBDの高親和性リガンドの非存在下でFACSによる追加の1つ以上の選別に供し、低レベルのYFP発現を示す細胞をさらなる分析のために選択する。リガンド結合ドメインの高親和性リガンドで一定期間(例えば、24時間)細胞を処置し、FACSで再度選別する。高レベルのYFPを発現する細胞を、FACSを通じて選択する。YFPの高発現細胞を再度リガンドで処置し、培地からリガンドを除去してから4時間後に、低蛍光レベルを示す細胞を収集し、速い分解速度を示す細胞を濃縮する。選別工程のいずれかを繰り返して、リガンド依存的な安定性を有するDDを同定してもよい。
選別後、細胞を回収する。同定した候補細胞を収集し、ゲノムDNAを抽出する。候補DDをPCRによって増幅し、分離する。候補DDを配列決定し、LBD鋳型と比較して、候補DDの変異を同定する。
実施例2.DD調節型組換えIL12の発現
FKBP(DD)-IL12及びDHFR(DD)-IL12構築物を、CMV、EF1a、またはPGKプロモーターを含むか、またはプロモーターを含まないpLVX IRES-Puroレンチウイルスベクターにパッケージングした。IL12は、リンカーによって分離された2つのサブユニット、p40及びp35からなる。DDまたはIL12の隣にp40シグナル配列を挿入した。いくつかの構築物には、フューリンプロテアーゼ切断部位または修飾フューリン部位を含ませた。
HEK293T細胞に、200ngまたは1μgのFKBP-IL12プラスミド(OT-IL12-001~OT-IL12-005)を一過性に形質移入し、続いて10μM Shield-1またはビヒクル対照で6時間処置した。形質移入した細胞から培地を収集し、1:50に希釈してp40 ELISAを使用してIL12レベルを測定した。安定化比は、同じ構築物を用いたDMSOによる処置(すなわち、リガンドの非存在下)と比較した、リガンド処置によるIL12発現の倍数変化として定義した。1より大きい安定化比が望ましい。平均IL12 ELISA測定値及び安定化比を表15に示す。
OT-IL12-002及びOT-IL12-004は、HEK293T親細胞のIL12レベルと比較した場合、リガンドの非存在下で低レベルのIL12発現を示した。Shield-1で処置すると、OT-IL12-002、OT-IL12-004、及びOT-IL12-005構築物のIL12レベルが増加し、2~4の安定化比が得られた。これらのデータは、OT-IL12-002及びOT-IL12-004が、これらの構築物の非存在下で不安定化され、Shield-1によって安定化されることを示している。
安定的な形質導入後の細胞でIL12発現を測定した。OT-IL12-004で安定的に形質導入した500,000個の細胞を12ウェルプレートに播種し、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)及び10%ウシ胎仔血清(FBS)からなる増殖培地中で一晩インキュベートした。翌日、細胞を1μMのShield-1またはビヒクル対照で6時間または24時間処理した。Shield-1で処理した後、細胞から増殖培地を回収し、10、40、160または640倍に希釈し、IL12-p40 ELISAを使用してIL12レベルを定量した。安定化比は、同じ構築物を用いたDMSOによる処理(すなわち、リガンドの非存在下)と比較した、リガンド処理によるIL12発現の倍数変化として定義した。1より大きい安定化比が望ましい。6時間での平均IL12 ELISA測定値と安定化比を表16に示す。
培地の10、40及び160倍希釈において、1より大きいIL12安定化比が観察され、これらの希釈で、6時間においてShield-1処理によりIL12が安定化されることが示された。
24時間での平均IL12 ELISA測定値及び安定化比を表17に示す。
IL12安定化比は、試験したすべての培地希釈で1より大きく、最も高い安定化比は、培地の40倍希釈で24時間において観察され、リガンド依存的な安定化が示唆された。
経時的なShield-1依存性FKBP-1L12誘導を評価するために、200万個の細胞を増殖培地に播種し、1μMのShield-1またはビヒクル対照の存在下で一晩インキュベートした。次いで、細胞をリガンドの存在下で、2、4、6、8、24、48、または72時間インキュベートし、すべての時点で細胞の増殖培地を収集した。増殖培地を400倍に希釈し、IL12 p40 ELISAを使用してIL12レベルを測定した。安定化比は、同じ構築物を用いたDMSOによる処理(すなわち、リガンドの非存在下)と比較した、リガンド処理によるIL12発現の倍数変化として定義した。1より大きい安定化比が望ましい。平均IL12 ELISA測定値と安定化比を表18に示す。
安定化比は時間とともに増加し、48時間でピークに達し、リガンド処理の期間が長くなるにつれ、Shield-1によってIL12が安定化されることが示唆された。
FKBP-IL12産生のShield-1用量レベルへの依存性を評価するために、OT-IL12-004形質導入HEK293T細胞を異なる密度(ウェルあたり40,000細胞、20,000細胞、10,000細胞または5,000細胞)で96ウェルプレート上にプレーティングした。一晩インキュベートした後、0~10μMのShield-1を含む増殖培地で細胞を24時間処理した。次いで培地を回収し、400倍に希釈し、IL12-p40 ELISAを使用してFKBP-IL12レベルを測定した。平均IL12 ELISA測定値を表19に示す。
用量依存性IL12誘導は、試験したすべての細胞数で観察された。IL12誘導は、Shield-1で最大1μMの用量まで増加し;その後、IL12誘導はプラトーに達した。特に、2000及び4000細胞/ウェルにおいてより大きなIL12誘導が観察された。
実施例3.HEK293T細胞におけるDD調節型組換えIL12を介した機能
HEK-Blueセンサー細胞(InvivoGen,San Diego,CA)を利用して、DD調節型IL12がIL12の下流のシグナル伝達を調節できるかどうかを評価した。これらの細胞では、IL12受容体、STAT4及び下流の転写エレメントがレポーター遺伝子に連結しており、それにより、IL12シグナル伝達をモニタリングすることができる。Lipofectamine 2000(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)を使用して、100万個のHEK293Tに200ngのOT-IL12-003プラスミドを形質移入した。形質移入の48時間後、細胞を10μMのShield-1を含む増殖培地で処理し、さらに24時間インキュベートし、その後培地を回収した。50,000個のHEK293 Blueセンサー細胞を96ウェルプレートに播種し、Shield-1処理したOT-IL12-003発現HEK-293T細胞由来の培地(異なる希釈の)で一晩インキュベートした。一晩インキュベートした後、20μlの培地を各ウェルから除去し、180μlのQuanti-Blue試薬(InvivoGen,San Diego,CA)の存在下、37℃で30分間インキュベートした。分光光度計を使用して、620nmで吸収を測定した。標準曲線を作成するために、以下の濃度500、250、125、62.5、31.25、15.62、7.8及び3.9pg/mlで180μlのQuanti-Blue試薬を20μlの組換えIL12と混合した。機能的なIL12濃度を、各試料の光学濃度をIL12標準曲線と比較することにより決定した。機能的なIL12の測定可能なレベルは、IL12を含有する増殖培地の640倍希釈で到達し、高濃度の培地でさらにプラトーに達した(図19A)。
使用するShield-1の用量に対する機能的なIL12産生の依存性を測定した。OT-IL12-004で安定的に形質導入した10,000個のHEK293T細胞を96ウェルプレートに播種し、10、3.33、1.11、0.37、0.12、0.04、0.01、0.005、0.002または0μMのShield-1を含有する増殖培地で24時間処理した。Shield-1処理に続いて、細胞由来の培地を200倍に希釈し、希釈した培地20μLをHEK Blueセンサー細胞に加えた。一晩インキュベートした後、20μlの培地を各ウェルから除去し、180μlのQuanti-Blue試薬(InvivoGen,San Diego,CA)の存在下、37℃で30分間インキュベートした。分光光度計を使用して、620nmで吸収を測定した。標準曲線を作成するために、以下の濃度500、250、125、62.5、31.25、15.62、7.8及び3.9pg/mlで180μlのQuanti-Blue試薬を20μlの組換えIL12と混合した。機能的なIL12濃度を、各試料の光学濃度をIL12標準曲線と比較することにより決定した。機能的なIL12レベルの用量依存的な増加が観察された(図19B)。
実施例4.in vivoでのDD調節型組換えIL12発現
FBP調節IL-12(#OT-IL12-009)を発現するSKOV3腫瘍細胞または親細胞をSCIDベージュマウスに移植した(0日目)。FKBP IL12を移植したマウスに、2日目及び7日目にShield-1(10mg/kg)またはビヒクル対照を腹腔内投与し、一方、親細胞は未処理のままとした。Shield-1投与の0、2、4、6、8、24時間後に血液試料を収集し、ELISAを使用して血漿ヒトIL12レベルを測定した。血漿IL12の平均調整濃度を図19Cに示す。2日目に、Shield-1処置でIL12レベルが増加し、4、6、8、及び24時間でのレベルはビヒクル対照よりも高かった。最大IL12レベルは、処置後8時間において、Shield-1処置マウスで検出された。対照的に、7日目では、IL12レベルは非常に低く、親SKOV3細胞のIL12レベルとほぼ同等であった。
SKOV3腫瘍細胞の移植の28日後に実験を繰り返した。マウスを3つの群に分け、群にリガンドまたはビヒクル対照を、1回、2回または3回投与した。マウスには2時間間隔で複数回投与した。最初の投与の直前(0時間)、及び最初の投与の6時間後及び24時間後に血液試料を収集した。血漿IL12レベルを測定し、平均IL12濃度を図19Dに示す。2回投与及び3回投与スキームでは、ビヒクルで処理した試料と比較した場合、より高い血漿IL12レベルが得られた。すべての投与スキームにおいて、shield-1処置後6時間でピーク血漿IL12レベルが検出され、最も高いIL12血漿レベルは、3回投与レジメンで検出された。これは、in vivoでのIL12のリガンド依存性安定化を示している。
実施例5.DD調節型IL15
リガンド依存性IL15産生を試験するために、100万個のHEK-293T細胞を、DMEM及び10%FBSを含む増殖培地中で6ウェルプレートに播種し、5%CO2で37℃、一晩インキュベートした。次いで、Lipofectamine 2000を使用して、細胞に100ngのOT-IL15-001(構成的)またはOT-IL15-002(ecDHFR-IL15)を形質移入し、48時間インキュベートした。インキュベーション後、培地を10μMのトリメトプリムまたはビヒクル対照を含む増殖培地に交換し、さらに24時間インキュベートした。培地を回収し、未希釈の試料または4、16、256、1024、4096、もしくは16384倍に希釈した試料を、ヒトIL15 ELISAを使用して試験した。安定化比は、同じ構築物を用いたDMSOによる処理(すなわち、リガンドの非存在下)と比較した、リガンド処理によるIL15発現の倍数変化として定義した。1より大きい安定化比が望ましい。平均IL15 ELISA測定値と安定化比を表20に示す。
16倍、4倍希釈、及び未希釈の培地試料は、1.5を超える安定化比を示し、これらの希釈でのIL15のトリメトプリム依存安定化が示唆された。
実施例6.IL15-IL15Ra融合分子のDD調節型発現
融合分子は、膜結合IL15、IL15受容体αサブユニット(IL15Ra)及びecDHFR(DD)、FKBP(DD)、またはヒトDHFR(DD)などのDDを融合することにより生成される。これらの融合分子をpLVX-EF1a-IRES-Puroベクターにクローニングした。
リガンド依存性IL15-IL15Ra産生を試験するために、100万個のHEK-293T細胞を、DMEM及び10FBSを含む増殖培地中で6ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2で一晩インキュベートした。次いで、Lipofectamine 2000を使用して、細胞に100ngの構成的IL15-IL15Ra(OT-IL15-008)またはDD連結IL15-IL15Ra(OT-IL15-006、OT-IL15-007、OT-IL15-009、OT-IL15-010、OT-IL15-011)を形質移入し、24時間インキュベートした。インキュベーション後、培地を10μMトリメトプリムまたは1μMのShield-1の存在下または非存在下で増殖培地に交換し、さらに24時間インキュベートした。細胞を回収し、ヒトIL15抗体(Abcam,Cambridge,UK)を使用したウエスタンブロッティングによりIL15レベルを分析した。OT-IL15-009は、強力なリガンド(トリメトプリム)依存性のIL15安定化を示し、OT-IL15-006及びOT-IL15-007は、中程度のリガンド依存性のIL15安定化を示した(図20A)。
膜結合IL15-IL15Ra構築物(OT-IL15-006、OT-IL15-007、OT-IL15-008、OT-IL15-009、OT-IL15-010、OT-IL15-011)の表面発現を、抗IL15及び抗IL15Ra抗体を使用したFACSによって測定した。HEK293T細胞にIL15-IL15Ra構築物を形質移入し、適切なリガンド(Shield-1またはトリメトプリム)で処理した。形質移入の48時間後、FACSを使用して細胞を分析した。予想通り、構成的IL15-IL15Ra構築物OT-IL15-008は、リガンドの存在下及び非存在下の両方でIL15及びIL15Raの高い表面発現を示した。ウエスタンブロットの結果と一致して、OT-IL15-009は、IL15及びIL15Raの強力なリガンド(トリメトプリム)依存性の表面発現を示した(図20B、図20C)。
膜結合IL15-IL15Ra構築物(OT-IL15-008~OT IL15-011)をヒト結腸直腸癌細胞株HCT-116に形質導入し、2μgのピューロマイシンで安定した組み込み体を選択した。次いで、安定に組み込まれた細胞を、10μMのトリメトプリムまたは1μMのメトトレキサートの存在下または非存在下で24時間インキュベートした。
IL15-IL15Ra融合構築物の表面発現を、PE結合IL15Ra抗体(カタログ番号330207、Biolegend,San Diego,CA)で染色することにより調べた。対応するリガンドの存在下または非存在下、異なる構築物を用いて得られた蛍光強度の中央値を表21に示す。
安定化比は、同じ構築物を用いたDMSO(すなわち、リガンドの非存在下)での処理と比較したリガンド処理試料のGFP強度の倍率変化として計算した。不安定化比は、リガンドの非存在下での構成的構築物(OT-IL15-008)と比較したDD調節型構築物におけるGFP強度の倍率変化として計算した。DDでは、1未満の不安定化比と1を超える安定化比が望ましい。比率を表22に示す。
OT-IL15-006(ecDHFR(R12H、E129K))及びOT-IL15-011(hDHFR(Q36F、N65F、Y122I))で1未満の不安定化比が観察され、リガンドの非存在下での強い不安定化が示された。1を超える安定化比は、TMP処理を施したすべての構築物で、及びMTX処理を施したOT-IL15-010及び11の両方で観察された。これらのデータは、OT-IL15-006とOT-IL15-011の両方が、リガンドの非存在下で強く不安定化され、リガンドの存在下で強く安定化されることを示している。
IL15-IL15Ra構築物(OT-IL15-008~OT-IL15-011)の発現及びリガンド依存性安定化を、HCT-116で測定した。細胞を10μMトリメトプリムまたは1μMメトトレキサートまたはDMSOの存在下で24時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を回収し、細胞抽出物を調製した。細胞抽出物をSDS-PAGEで泳動し、抗IL15抗体(カタログ番号7213、Abcam,Cambridge,UK)でウエスタンブロットした。図20Dに示すように、IL15/IL15Ra構成的構築物(OT-IL15-008)は、リガンド非依存性IL15発現を示し、一方、DD調節型構築物(OT-IL15-009~OT-IL15-011)は、リガンド依存性IL15発現を示した。IL15バンドの同一性を、抗ヒトDHFR抗体(カタログ番号117705、Genetex,Irvine,CA)を用いた免疫ブロッティングによっても確認した。図20Dに示すように、両方のIL15-IL15Ra融合構築物(OT-IL15-010及び011)はDHFR発現のリガンド依存性発現を示した。
リガンド誘導安定化の用量依存性を評価するために、IL15-IL15Ra融合構築物、すなわちOT-IL15-009(ecDHFR(R12Y、Y100I))、OT-IL15-010(hDHFR(Y122I、A125F))、及びOT-IL15-011(hDHFR(Q36F、N65F、Y122I))をHCT-116細胞に安定的に形質導入し、トリメトプリムの濃度を増やしながら24時間インキュベートした。IL15-IL15Ra融合構築物の表面発現を、IL15Ra-PE抗体を使用したFACSにより定量化した。TMPの用量を増やした場合の蛍光強度の中央値を表23に示す。
表23に示すように、3つの構築物すべてが蛍光強度中央値の用量依存的増加を示し、DD安定化リガンドの添加によりIL15-IL15Ra融合体の表面発現が用量依存的に増加することが示された。
IL15-IL15Ra融合構築物のリガンド依存性安定化の経時変化を、HCT-116細胞で測定した。細胞にOT-IL15-009(ecDHFR(R12Y、Y100I)構築物を形質導入し、10μMトリメトプリムの存在下で、0、12、16、24、48または72時間インキュベートした。インキュベーション後、IL15-IL15Ra融合構築物の表面発現をIL15Ra-PE抗体を使用したFACSで定量し、親の非形質移入細胞と比較した。経時的な蛍光強度中央値(MFI)を表24に示す。
表24に示すように、OT-IL15-009(ecDHFR(R12Y、Y100I)は、蛍光強度中央値の時間依存的増加を示し、DD安定化リガンドによる治療期間の増加とともにIL15-IL15Ra融合体の表面発現が増加したことが示された。
実施例7.DD調節型CD19 CAR発現
CD19 CAR融合ポリペプチドを、FKBP-DD、ecDHFR-DDまたはヒトDHFR-DDのいずれかに連結し、構築物をpLVX-IRES-Puroベクターにクローニングした。
FKBP、ecDHFR及びhDHFR DDは、CD19 scFvとCD8αヒンジ(OT-CD19C-002、OT-CD19C-003)の間に、CD8αヒンジと膜貫通ドメイン(OT-CD19C-004、OT-CD19C-005)の間に、または構築物のC末端(OT-CD19C-007、OT-CD19C-008、OT-CD19C-009、OT-CD19C-010、OT-CD19C-011)のいずれかに配置した。いくつかの例では、DDとCD19 scFvの間にフューリン切断部位を追加した。構成的発現のCAR構築物、OT-CD19C-001を陽性対照として使用した。
DD-CD19 CAR構築物のリガンド依存性発現を試験するために、100万個のHEK293T細胞を、DMEM及び10%FBSを含有する増殖培地で培養し、Lipofectamine 2000を使用してCAR構築物を形質移入した。形質移入の48時間後、1μMもしくは10μMのShield-1、10μMトリメトプリム、1μMメトトレキサート、またはビヒクル対照で細胞を処理し、24時間インキュベートした。細胞を回収し、溶解させ、抗CD247(BD Pharmingen,Franklin Lanes,NJ)及びAlexa555結合ヤギ抗マウス抗体(赤色)(Li-Cor,Lincoln,NE)を用いて、CARの構成要素であるCD3ζに対してイムノブロットした。また、Alexa488結合二次抗体(緑色)で溶解物をアクチンに対してイムノブロットし、すべての試料において均一なタンパク質のローディングを確認した。未処理の対照に比べて、OT-CD19C-002及びOT-CD19C-003は、それぞれ、リガンドShield-1及びTMPの存在下でCD3ζのレベルの増加を示し、CD19 CARの安定化が示された(図21A)。図21Bに示すように、OT-CD19C-008及びOT-CD19C-010構築物は、メトトレキサートの存在下ではCD3ζレベルの強い増加を示し、リガンドの非存在下では低いレベルを示し、CD19 CARの強いリガンド依存性の安定化が示された。OT-CD19C-007及びOT-CD19C-009は、それぞれ、Shield-1及びメトトレキサートの存在下でCD3ζレベルの中程度の増加を示し、CD19 CARの中程度のリガンド依存性の安定化が示された。予想通り、構成的発現のOT-CD19C-001は、リガンド処理の非存在下でCD19 CARの強い発現を示した。
CD19 CAR構築物を発現する細胞由来の溶解物もまた、CARの構成要素である4 1-BBに対してイムノブロットした。図21Cに示すように、OT-CD19C-008、OT-CD19C-009、OT-CD19C-010及びOT-CD19C-011は、リガンドの非存在下では低レベルの4-1 BB、リガンドであるメトトレキサートの存在下では高レベルの4-1 BBを示し、これらの構築物を使用したCD19 CARの強いリガンド依存性の安定化が示された。OT-CD19C-003、OT-CD19C-006、及びOT-CD19C-007は、対応するリガンドTMP及びShield-1の処理により、4-1BB発現レベルの中程度の増加を示し、CD19 CARの中程度のリガンド依存性の安定化が示された。フューリン切断部位を含む構築物OT-CD19N-014及びOT-CD19N-015は、MTXで処理すると、さらなる小さい4 1BBサイズのタンパク質産物を示した。この小さなサイズの4-1BBタンパク質のバンドは、リガンドを加えた場合にのみ認められ、その分子量はOT-CD19-001のCD19 CARのサイズと一致している。これらのデータは、フューリン切断がリガンド処理の存在下でのみ起こることを示している。
HEK293T細胞におけるDD-CD19 CAR構築物の表面発現を、CARのκ軽鎖に結合するプロテインL-ビオチン-ストレプトアビジン-アロフィコシアニン(ThermoFisher Scientific,Waltham,MA)を使用する蛍光標識細胞分取(FACS)を用いて測定した。細胞を1μMのShield-1、1μMメトトレキサート、10μMトリメトプリムまたはビヒクル対照で24時間処理し、FACS分析に供した。図21Dに示すように、FKBP-DDを使用したOT-CD19C-002の表面発現はShield-1の存在下でのみ検出され、一方、ecDHFR-DDを使用したOT-CD19C-003はトリメトプリムの存在下でのみ表面発現を示した。予想通り、構成的発現構築物のOT-C19C-001は、リガンド処理及び対照ビヒクル処理した細胞の両方で高い発現を示した。別の実験で、プロテインL-ビオチン-ストレプトアビジン-アロフィコシアニンを用いたFACSにより、追加の構築物を分析した。リガンドの存在下または非存在下で、各構築物を用いて得られたGFP陽性細胞の割合を表25に示す。表25では、N/Aは該当なしを示している。
GFP陽性細胞の割合の増加が、OT-CD19C-007、OT-CD19C-008、OT-CD19C-009、OT-CD19C-010、OT-CD19C-011、OT-CD19C-014、及びOT-CD19C-015で観察された。GFP陽性細胞の割合の最大の増加は、OT-CD19C-014、及びOT-CD19C-015構築物で観察された。
平均蛍光強度を表26に示す。表26では、MFIは平均蛍光強度を表す。安定化比は、同じ構築物でのDMSO(すなわち、リガンドの非存在下)での処理と比較したリガンド処理試料のGFP強度の倍数変化として計算した。不安定化比は、リガンドの非存在下での構成的構築物(OT-CD19C-001)と比較したDD調節型構築物におけるGFP強度の倍率変化として計算した。1未満の不安定化比及び1より大きい安定化比が望ましい。
すべての構築物で1未満の不安定化比が観察され、すべてのDD調節型構築物がリガンドの非存在下で不安定化されることが示された。OT-CD19C-008、OT-CD19C-009、OT-CD19C-010、OT-CD19C-011、OT-CD19C-014及びOT-CD19C-015で、1を超える安定化比が観察された。特に、これらの構築物もまた、リガンドの非存在下で不安定化され、このことは、適切なCD19-DD構築物であることを表している。
実施例8.in vitro T細胞アッセイ開発
本研究の目標は、in vitroでT細胞持続性及びT細胞分化を最大化するために必要なT細胞刺激レジメン及びIL12の用量を決定することであった。本研究は養子細胞療法レジメンの設計を要約したもので、T細胞を最初にin vitroで抗原に曝露し、その結果、活性化とその後の休止期、最後にT細胞を再び抗原に遭遇させるin vivo転移をもたらす。T細胞を、0日目にCD3/CD28ビーズまたは可溶性CD3/CD28で刺激し、CD3/CD28刺激物を48時間の終わりに洗い流した。細胞を0.01~1000ng/mLの範囲の用量のIL12で処理した。9日目に、細胞のTh1表現型を、IFNγ陽性CD4+細胞及びCD8+細胞の出現頻度を調べることにより評価した。14日目に、細胞を2つの群に分け、1つの群には2回目のCD3/CD28刺激を与え、第2の群には刺激を与えなかった。16日目に、FACSを使用してTh1表現型を両方の群で評価した。16日目の結果を図22に示す。IFNγ発現は、第2の刺激を受けなかった細胞に比べて、14日目にCD3/CD28再刺激を受けた細胞において高かった。このことは、Th1表現型には抗原再刺激とIL12曝露の両方が必要であることを示している。さらに、わずか0.1ng/mLのIL12がin vitroでT細胞からのTh1スキューイング及びIFNγ生成を引き起こし、より高用量のIL12はこの効果をさらに向上させた。
実施例9.in vitro及びin vivoでのヒトT細胞応答の測定
IL12は、ナイーブT細胞からTh1細胞への分化を促進し、T細胞からのIFNγの分泌をもたらす。ヒトT細胞をIL12で処理するか、または未処理のままとして、IFNγ及びT細胞マーカーCD3の発現についてフローサイトメトリーで分析した。IL12での処理により、IFNγ陽性T細胞の割合(パーセンテージ)が0.21から22.3に増加したことにより測定されるように、T細胞の分化が生じた(図23Aの挿入図参照)。
膜結合IL15/IL15Ra融合タンパク質(OT-IL15-008)がヒトT細胞増殖を誘導することができるかどうかを試験するために、ヒトT細胞に構築物を形質導入した。T細胞増殖は、フローサイトメトリーを使用してT細胞集団の前方及び側方散乱を評価することにより測定した。膜結合IL15/IL15Ra融合構築物による形質導入により、非形質移入細胞の対照(37.8)に比べて、ヒトT細胞(58.9)が増大した(図23B)。
養子移入後のT細胞の追跡は、宿主の異なる部位での分布、それらの同一性及び経時的な持続性を決定するために重要である。ヒトT細胞をCD3/CD28ビーズで刺激し、50U/mlのIL2の存在下でインキュベートした。細胞を、3日目と5日目にIL2を補充して7日間in vitroで増殖させた。5日目にCD3/CD28ビーズを取り除き、細胞を2日間培養した。7日目に、細胞を洗浄してIL2を除去し、500万個のヒトT細胞を免疫不全NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJマウスに静脈内注射した。細胞移植の4、24、120及び168時間後に血液試料を採取した。細胞移植の168時間後にマウスを安楽死させ、骨髄及び脾臓を採取した。すべての試料から免疫細胞を分離し、CD3及びCD45細胞表面マーカーを使用して、ヒトT細胞の存在を分析した。図23Cに示すように、ヒトT細胞を注射した動物において、血中のCD3陽性、CD45陽性ヒトT細胞の割合は、特に120及び168時間で高かった。CD3陽性、CD45陽性のヒトT細胞は、ヒトT細胞を注射した動物の脾臓及び骨髄でも検出された。予想通り、CD3陽性、CD45陽性のヒトT細胞は、ヒトT細胞を注射しなかった対照動物では検出されなかった。
養子移入後のT細胞の同一性を判定するために、注射の48時間後にマウスから血液試料を採取した。CD45RA及びCD62Lの表面発現についてCD4及びCD8 T細胞を分析した。両方のマーカーはナイーブT細胞で高度に発現するが、T細胞を抗原にさらすと失われる。図23Dに示すように、ヒトCD4及びCD8 T細胞は、マウスに注射する前に両方のマーカーの高い表面発現を示したが、in vivoでの細胞移植の48時間後に失われ、ヒトT細胞がin vivoで抗原に曝露されることが示された。
実施例10.DD調節型IL12を介した機能
腫瘍を確立し、対応する合成リガンド、例えば、Shield-1、トリメトプリムまたはメトトレキサートの処置の下で増殖するための、これらの構築物を発現する腫瘍細胞の能力を評価することにより、DD-IL12の機能をin vivoで特徴付ける。構築物で安定的に形質導入した200万~1000万個のHCT-116細胞を、機能的B細胞及びNK細胞を産生可能なマウスに50個のマトリゲルで皮下異種移植する。注射のおよそ2週間後、腫瘍がおよそ300立方mmのサイズに達すると、対応する安定化リガンド、例えば、Shield-1、トリメトプリムまたはメトトレキサートを2日毎に様々な濃度でマウスに投与する。Shield-1を、10のジメチルアセトアミド、10のSolutol HS15、及び80の生理食塩水からなる担体とともに注入する。腫瘍の体積と体重を週に2回モニタリングし、腫瘍のサイズが1000立方mmに達したら実験を終了する。リガンド及びIL12の最後の投与の8時間後に血漿及び腫瘍試料を採取し、リガンドレベルを測定する。
IL12発現細胞の腫瘍形成能力を評価するために、DD-IL12構築物で安定的に形質導入したHCT-116細胞を、対応する安定化リガンド、Shield-1、トリメトプリムまたはメトトレキサートで前処理し、その後マウスに異種移植する。未処理の対照と比較したリガンド処理マウスの腫瘍増殖の減少及びIL12レベルの付随的な増加から、in vivoでのIL12の条件付き調節が示される。
実施例11.T細胞におけるDD調節型組換えIL12を介した機能
DD-IL12に対する機能的応答を、初代ヒトT細胞及びヒト細胞株/形質転換造血細胞株、例えば、Raji細胞において評価する。ヒトT細胞を、CD4+T細胞分離キット(Miltenyi Biotec,Germany)を使用したネガティブ選択により、末梢血単核球(PBMC)から精製する。T細胞をDD-IL12構築物を発現するHEK293T細胞の増殖培地で5日間処理する。次いで、細胞を、CD3/CD28ビーズ(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)と結合させたビーズで、T細胞あたり3個のビーズの比率で活性化し、3日間培養する。リガンドまたはビヒクル対照での処理後、フローサイトメトリーを使用して、CD3陽性細胞のインターフェロンγを測定することにより、DD-IL12に対する機能的応答を判定する。IL12は、ナイーブT細胞からTh1細胞への分化を促進し、T細胞からIFNγを分泌させる。
STAT4(シグナル伝達兼転写活性化因子4)のIL12誘導リン酸化を評価するために、ヒトT細胞をPBMCから分離し、フィトヘマグルチニン(PHA、2μg/ml)で3日間活性化し、その後、50IU/mlのインターロイキン2(IL2)で24時間処理する。次いで、細胞を洗浄し、新鮮な培地に再懸濁し、リガンドまたはビヒクル対照の存在下で4時間静置する。DD-IL12を発現するHEK293T細胞由来の上清を初代細胞に添加し、その後30分間インキュベートする。次いで、細胞を収集し、STAT4抗体(Cell Signaling Technology,Danvers,MA)を使用してSTAT4リン酸化を分析する。
実施例12.DD調節型IL15-IL15Ra融合分子の機能分析
IL15を介した活性化は、生存優位性を付与することによりT細胞持続性を維持することができる。さらに、IL15/IL15Ra融合分子は、T細胞に記憶表現型を付与し、NK細胞の増殖を増加させることが示されている(Hurton(2016),PNAS,113:E7788-7797;その内容は、その全体を参照により本明細書に援用する)。
DD調節型IL15-IL15Ra融合構築物によるシグナル伝達を評価するために、NK-92細胞を、DD調節型IL15-IL15Ra融合構築物を発現するHCT-116細胞とともにインキュベートする。IL15/IL15Raによるトランスシグナル伝達は、NK92のSTAT5リン酸化を増加させると予想され、これを、ウエスタンブロット法及びFACSによって測定する。NK92細胞の増殖も測定する。
初代T細胞に対するDD調節型IL15-IL15Ra融合構築物の効果を評価するために、細胞に融合構築物を形質導入する。外来性IL15補充の非存在下でのT細胞増殖を測定する。FACSによりCD62L発現を定量化することにより、T細胞記憶表現型を測定する。
DD-IL15/IL15Rを発現するT細胞がin vivoで長期持続性を維持するかどうかを評価するために、DD修飾T細胞をマウスに注射する。構築物をルシフェラーゼレポーターでタグ付けし、これにより、マウスにおける生体内追跡が可能となる。利用する構築物に応じて、ビヒクル対照または対応するリガンド、Shield-1、トリメトプリムまたはメトトレキサートでマウスを処置し、生物発光イメージング(PerkinElmer,Massachusetts)を使用して40~50日間にわたってモニタリングする。リガンドで処理したマウスはDD-IL15/IL15Raを発現するT細胞を保持すると予想されるが、ビヒクル対照で処理した動物のT細胞は存続しないと予想される。
実施例13.T細胞におけるDD調節型CD19 CAR発現及び機能
DD-CD19 CAR構築物のリガンド依存性発現を、初代ヒトT細胞及び不死化/形質転換造血細胞株、例えば、Raji細胞、Jurkat細胞、及びK562細胞において評価する。CD4+T細胞分離キット(Miltenyi Biotec,Germany)を使用したネガティブ選択により、末梢血単核球(PBMC)からヒトT細胞を精製する。初代T細胞及び造血細胞株を、DD-CD19 CAR構築物で安定的に形質導入する。10μMのShield-1、10μMトリメトプリム、1μMメトトレキサートまたはビヒクル対照で細胞を処理し、抗CD247抗体を使用してCD3ζに対してイムノブロットする。
機能的なDD-CD19 CARの産生を、初代ヒトT細胞またはヒト細胞株(NALM6、K562、Jurkat及びRaji細胞)において分析する。DD安定化リガンドShield-1、TMPまたはMTXの存在下で、細胞を、CD19発現抗原提示細胞またはCD19/Fc融合タンパク質とともにインキュベートする。インキュベーション後、細胞を蛍光標識抗CD69抗体で染色し、フローサイトメトリーで分析する。CD69の発現が高い細胞は、機能的なDD-CD19 CARを有すると考えられる。DD-CD19 CARに対する機能的応答は、ELISAを使用してインターフェロンγレベルを測定することによっても決定される。DD-CD19 CAR発現細胞は、未処理細胞よりもリガンドの存在下でより高いインターフェロンγレベルを示すと予想される。
DD-CD19 CAR発現細胞の細胞溶解能を、クロム-51放出アッセイを使用して、初代ヒトT細胞またはヒト細胞株(例えば、NALM6、K562及びRaji)において評価する。標的細胞にNa2
51CrO4をロードし、2回洗浄し、フェノールレッドを含まない増殖培地に再懸濁する。未処理またはリガンド処理DD-CD19 CAR及び偽形質導入細胞を、様々なエフェクター:標的細胞比で、CD19発現標的細胞とともに共インキュベートし、液体シンチレーションカウンターを使用して上清へのクロム放出を測定する。DD-CD19 CARを有する細胞は、リガンドの存在下でのみ特定の細胞溶解を示すことが期待される。リガンドの非存在下でのDD-CD19 CARを有する細胞または偽形質移入細胞は、最小の細胞溶解活性を示すことが期待される。
DD-CD19 CARのin vivo抗腫瘍効果も評価する。免疫不全マウスに、ルシフェラーゼを発現するヒト白血病細胞株(NALM-6)を注射する。その後、マウスに尾静脈注射によりDD-CD19 CAR T細胞を注射する。マウスを処置群に細分化し、様々なリガンド用量で処置する。2つの対照群:いずれのリガンドも投与しなかった対照群、及びいずれのT細胞も投与しなかった別の群も研究に含める。ルシフェラーゼ活性により測定される腫瘍量を、生物発光イメージングを使用して経時的にモニタリングする。DD-CD19 CAR T細胞とリガンドで処理したマウスは、対照動物と比較した場合、腫瘍量が軽減されると予想される。
実施例14.同系マウスモデルにおけるDD調節型ペイロードの抗腫瘍応答の評価
インタクトな免疫細胞を有する生物におけるがん免疫療法の効力を、同系マウスモデル、例えば、pMEL-1及び4T1マウスモデルを使用して評価する。T細胞やNK細胞などの免疫細胞を同系マウスから分離し、DD-IL12、DD-IL15、DD1L15-IL15Ra、及びDD-CD19 CARなどのDD調節型ペイロードで形質導入する。次いで、細胞を、皮下同系腫瘍を有するマウスに注射し、使用するDDに応じて、様々な濃度のリガンド、Shield-1、トリメトプリムまたはメトトレキサートで処理する。DD調節型ペイロードを形質導入した免疫細胞で処理したマウスは、対照動物と比較した場合、腫瘍量が軽減されると予想される。
実施例15.DD調節型の免疫療法薬の発見のためのワークフローの最適化
免疫療法に適したDD-CD19 CAR構築物を同定するために、構築物を細胞株、例えば、HEK293T細胞及びJurkat細胞に導入する。対応するリガンドの存在下または非存在下での構築物の発現を試験する。リガンドの非存在下での低い基底発現及びロバストなリガンド-用量反応性の発現を示す構築物を、さらなる分析のために選択する。リガンド依存性発現を示すDD-CD19 CAR構築物がない場合、構築物を再設計し、調節可能な構築物が同定されるまで実験を繰り返す。次いで、DD-CD19 CAR構築物のリガンド依存性調節を、in vitroで初代T細胞において試験する。構築物が、リガンド非存在下での低い基底発現及びリガンド-用量反応性の発現を示す場合、それらをin vivo PK/PD実証実験に供する。それ以外の場合、構築物を再設計し、新規構築物を同様の分析に供する。構成的発現型のCD19 CAR構築物をT細胞に形質導入し、調節型の構築物と並行してCD19 CAR発現を測定する。in vitroで発現が検出されない場合は、in vitroでT細胞においてDD-CD19 CAR構築物を試験することに再度注力する。対照的に、構成的構築物が発現を示す場合、CD19 CARの発現をin vivoで測定する。
in vivo PK/PDを試験するために、DD-CD19 CAR構築物を発現するT細胞をマウスに注射し、DDに対応するリガンドを試験群に投与し、一方、対照群には適切なビヒクル対照を投与する。CD19 CARのリガンド依存性発現を示す構築物を、in vivo機能の実証実験用に選択する。構成的CD19 CAR構築物を使用して並行実験も行う。構成的CD19 CAR発現がin vivoで検出される場合、機能的実験のために構築物を選択する。in vivoで発現が検出されない場合、構築物を再設計する。
構成的及びDD調節型CD19 CAR発現T細胞が、それぞれ構成的またはリガンド依存的様式で抗腫瘍活性を示すかどうかを試験することにより、in vivoでの機能分析を実施する。活性がある場合、in vivoでの概念実証が達成され、免疫療法に適した構築物が同定される。DD調節型構築物のいずれも抗腫瘍活性を示さない場合、代替の投与レジメンを検討する。構成的CD19 CAR構築物が抗腫瘍活性を示さない場合、次いでin vivoでT細胞における発現を示すDD-CD19 CAR構築物の同定に注力する。
実施例16.DD調節型ペイロードの共発現
インターロイキンの全身投与に関連する毒性は、CAR-T細胞を使用してインターロイキンを標的組織に送達することにより回避することができる。このコンビナトリアルアプローチはまた、インターロイキン及びCAR療法単独よりも優れた抗腫瘍活性を有する。CD19 CAR(構成的またはDD調節型)及びDD-インターロイキン、例えばDD-IL12、DD-IL15、及びDD-IL15/IL15Ra構築物を、細胞に同時形質移入する。形質移入した細胞を、利用するDDに応じた安定化リガンドで処理する。CD3ζのイムノブロッティングによりCD19 CAR発現を評価する。培地中のDD-IL12、DD-IL15及びDD-IL15/IL15Raの発現を、ELISAにより測定する。
実施例17.T細胞でのCARの発現と機能
初代T細胞にCD19 CAR構築物を形質導入した。CARのκ軽鎖に結合するプロテインL-ビオチン-ストレプトアビジン-アロフィコシアニン(ThermoFisher Scientific,Waltham,MA)を使用して、蛍光標識細胞分取(FACS)を用いて、CD19 CAR構築物の表面発現を測定した。CAR T細胞のCD4及びCD8部分集団の割合を決定するために、抗CD4、抗CD8抗体及びプロテインLで細胞を分析した。図24Aに示すように、得られたCAR陽性細胞の67.3%はCD4陽性であり、一方、14.2%の細胞のみがCD8陽性であった。
標的細胞を殺傷するCD19 CAR細胞の能力を試験するために、OT-CD19N-001またはOT-CD19N-017で形質導入した初代T細胞集団を、CD19を発現するK562細胞(標的細胞)と5:1の比率で共培養した。T細胞と標的細胞の追加の対照となる組み合わせも設定した。これらには、K562細胞と共培養したCAR発現T細胞、CD19を発現するK562細胞と共培養したT細胞、及びT細胞との共培養なしでCD19を発現するK562細胞が含まれていた。K562細胞をNucLight Redで蛍光標識し、T細胞と30時間共培養した。アネキシンVで細胞を標識することにより細胞死をモニタリングし、NucLight Red陽性細胞でアネキシンV染色を評価することによりK562標的細胞死を測定した。標的細胞面積あたりのアネキシンV染色の比率を計算した。図24Bに示すように、T細胞を発現するOT-CD19N-001またはOT-CD19N-017は、CD19を発現する標的K562細胞を殺傷するのに効果的であった。形質導入していないT細胞をCD19発現標的細胞と共培養すると、低レベルの標的細胞の死滅が観察された。予想通り、OT-CD19N-001を発現するT細胞とK562細胞(CD19の発現なし)の共培養では、細胞死は最小限であった。これらのデータは、CD19 CAR細胞が、対応する標的細胞を殺傷するのに効果的であることを示している。
実施例18.T細胞におけるIL15-IL15Raの調節発現
OT-IL15-009などのDD調節型IL15-IL15Ra構築物またはOT-IL15-008などの構成的発現型の構築物を、初代T細胞またはSupT1細胞などのT細胞に形質導入した。Lentiboost(商標)(Sirion Biotech,Germany)を使用して、DD調節型構築物に対して2つの異なるレンチウイルス濃度5μl及び20μlで形質導入を行った。形質導入の4日後、細胞を10μMのTMPまたはDMSO対照で24時間及び48時間処理した。FACSを使用して、抗IL15Ra抗体で試料を分析した。Lentiboostのみで処理した細胞、DMSOまたはTMPで処理した非形質導入細胞、及びアイソタイプ対照などの追加の対照試料をFACS分析に含めた。FACSの結果を、24時間のTMP処理について図25Aに、48時間のTMP処理について図25Bに示す。両方の図で、DMSO-AとTMP-Aは5μlのレンチウイルスで処理した細胞を示し、DMSO-BとTMP-Bは20μlのレンチウイルスで処理した細胞を示す。OT-IL15-009を発現するT細胞をTMPで24時間処理すると、使用した両方の用量のレンチウイルスで、T細胞におけるIL15Raの発現が増加した。さらに、同じ条件下でDMSO処理した試料及び非形質導入T細胞で、非常に低いレベルのIL15Raが検出された。予想通り、構成的発現型の構築物OT-IL15-008は、IL15Raの高い発現を示した。OT-IL15-009のTMP依存性発現は、SupT1細胞では観察されなかった(図25A)。T細胞とSupT1細胞の両方で、48時間において同様の結果が観察された(図25B)。これらの結果は、初代T細胞においてIL15-IL15Ra構築物の厳密な調節が達成できることを示している。
OT-IL15-008及びOT-IL15-009について、IL15及びIL15Raの表面発現を測定した。細胞表面にIL15、IL15Raまたはその両方を発現している細胞の割合を表27に示す。
表27に示すように、IL15及びIL15Raの検出可能な表面発現を有する細胞の割合は、両方の構築物で5%未満であった。さらに、IL15Raの表面発現を有する細胞の割合は、IL15の検出可能な表面発現を有する細胞の割合よりもはるかに高かった。
OT-IL15-009構築物を使用して、T細胞におけるIL15Ra発現に対するTMPの用量の増加の効果を測定した。T細胞を、0.156μM~160μMの範囲のTMPの用量で24時間処理した。IL15Ra発現を、FACSを使用して測定した。図25Cに示すように、OT-IL15-009細胞を含むIL15Ra発現T細胞の割合は、TMPの最低濃度でも検出され、TMPの最低濃度でのIL15Ra陽性細胞の割合は未処理の対照よりも高かった。IL15Ra細胞の割合は、TMPの用量の増加とともに増加した。
実施例19.IL15-IL15RaのTMP用量反応性発現
10μM、33μM、及び100μM TMPの範囲の漸増用量のTMPで24時間処理したHCT116細胞において、IL15-IL15Ra融合構築物であるOT-IL15-008、OT-IL15-009、及びOT-IL15-010を安定的に発現させた。細胞溶解物を抗IL15Ra抗体でイムノブロットした。図26に示すように、OT-IL15-009のIL15Ra発現は、TMPの非存在下では実質的に検出できず、漸増用量のTMPの添加により、IL15Raレベルが高まった。TMPを添加したOT-IL15-010構築物においてIL15Ra発現の中程度の増加が観察された。予想通り、構成的構築物であるOT-IL15-008は、リガンドの存在下及び非存在下の両方でIL15Raの強力な発現を示した。
実施例20.T細胞持続性及びT細胞記憶表現型に対するIL15-IL15Raの効果
構成的発現型IL15-IL15Ra融合構築物であるOT-IL15-008のT細胞持続性に対する効果をNSGマウスで測定した。T細胞にOT-IL15-008を形質導入し、400万細胞のT細胞をNSGマウスに静脈内注射した(マウス数=3)。対照として、追加のマウスに非形質導入T細胞を注射した。注射後2、3、4、5及び6週目にマウスから血液試料を採取し、IL15及びIL15Raを発現するCD8及び/またはCD4陽性ヒトT細胞の存在についてFACSで分析した。血中のヒトT細胞の割合を、合計T細胞、すなわちヒトT細胞(抗ヒトCD45抗体を使用して測定)とマウスT細胞と内皮細胞(抗マウスCD45抗体を使用して測定)に対する割合として計算した。図27Aに示すように、OT-IL15-008を形質導入したT細胞を注射したマウスでは、非形質導入T細胞を注射した対照マウスに比べて、2週目の血中のT細胞の割合が大きかった。この観察されたT細胞の増加は、3、4、及び5週にわたって減少し、T細胞の割合は2つのコホート間で同程度であった。6週目において、OT-IL15-008を形質導入したT細胞を注射したマウスの1匹は、血中のヒトT細胞の割合が高かった。したがって、2週目において、血中のヒトT細胞の出現頻度は、OT-IL15-008を形質導入したT細胞を注射したマウスの血中で増加する。
ヒトT細胞用のマーカーとして抗ヒトCD45抗体及びマウス内皮細胞用のマーカーとして抗マウスCD3抗体を使用して、マウス血液50uL中のヒトT細胞の数を比較することにより、血中のT細胞の数を測定した。図27Bに示すように、非形質導入T細胞を注射したマウスに比べて、OT-IL15-008を形質導入したT細胞を注射したマウスでは、血中のヒトT細胞の数が2週目に増加した。2つのコホート間の差は、3週目と4週目で減少した。6週目では、OT-IL15-008を形質導入したT細胞を注射したマウスの1匹は、血中により多くのヒトT細胞を示した。したがって、2週目において、OT-IL15-008を形質導入したT細胞を注射したマウスの血液では、血中のヒトT細胞の出現頻度及び数が増加する。これらのデータは、T細胞の持続性におけるIL15-IL15Ra融合タンパク質の役割を裏付けるものである。マウスの1匹において6週目に観察したT細胞の出現頻度と数の増加は、移植片対宿主病によるものである可能性がある。
T細胞のCD4及びCD8サブセットに対するOT-IL15-008発現の効果を、マウスへの注射の前(0週目)及び注射の2週間後に測定した。図27Cに示すように、CD4細胞とCD8細胞の比率は、マウスに注射する前は1:1であった。しかしながら、2週目において、形質導入細胞において、CD4陽性細胞の割合はCD8陽性細胞よりもはるかに高く、OT-IL15-008がCD4陽性細胞の優先的増殖を引き起こすことが示された。抗IL15Ra抗体を使用して、CD4及びCD8サブセット内のOT-IL15-008構築物の発現を測定した。図27Dに示すように、注射の前では、OT-IL15-008を形質導入したCD4 T細胞及びCD8 T細胞の25%がIL15Raを発現していた。2週目では、IL15Ra陽性CD4及びCD8 T細胞の割合は80%に増加し、OT-IL15-008で形質導入したT細胞の優先的な増殖が示された。予想通り、非形質導入対照T細胞はIL15Ra発現に対して陰性であった。
実施例21.IL12依存性再刺激非依存性Th1マーカー
T細胞は、IFNγを産生するために、CD3/CD28によるin vivoまたはin vitroの刺激でのT細胞受容体再刺激を必要とする。再刺激の非存在下でのT細胞に対するIL12活性の影響を研究するために、いくつかのT細胞マーカーを調査した。以下の4つの増殖戦略のいずれかを使用してT細胞を増殖させた(i)10日目にIL2からIL12へサイトカイン切り替え、0日目から10日目までのCD3/CD28刺激、再刺激なし(ii)10日目にIL2からIL12へサイトカイン切り替え、0日目から10日目までのCD3/CD28刺激及び12日目から14日目までのCD3/CD28での再刺激(iii)10日目にIL2からIL12へサイトカイン切り替え、0日目から3日目までのCD3/CD28刺激、再刺激なし(iv)10日目にIL2からIL12へサイトカイン切り替え、0日目から3日目までのCD3/CD28刺激、及び12日目から14日目までのCD3/CD28での再刺激。試験したマーカーには、CD69、IFNg、パーフォリン、CXCR3、グランザイムB、CCR5、CXCR6、Ki-67及びT-betが含まれる。IFNgは、ヒトT細胞に対するIL12活性の最もロバストで一貫性のあるマーカーのように思われるが、産生を誘導するにはT細胞の再刺激が必要である。再刺激及びIL2(おそらくin vivo条件)の非存在下でIL12に応答して増加するTh1マーカーとして、Ki-67、T-bet、パーフォリン、CXCR3、及びCCR5が挙げられる。
実施例22.NK細胞の増殖及び活性化に対するサイトカインの効果
ナチュラルキラー細胞などの免疫細胞は、増殖及び生存のためにIL15などのサイトカインに依存している。サイトカインへのこの依存性を使用して、DD調節型または構成的発現型のサイトカイン及びサイトカイン融合タンパク質の機能を試験することができる。
活性化のためのサイトカインに対するNK-92細胞の依存性を試験した。細胞を最初にIL2とともに3日間培養した後、細胞を2回洗浄し、IL2を含まない培地で7時間培養した。細胞をIL12(10ng/ml)または様々な濃度のIL15(100ng/ml、20ng/ml、4ng/ml、0.8ng/ml、0.16ng/ml、0.032ng/ml、0.0064ng/ml、及び0.00128ng/ml)の存在下で18時間培養した。マーカーの発現の増加がNK細胞の活性化に関連する、そのようなマーカーのパネルを使用したFACS分析によって、IL15及びIL12処理に応答したNK-92細胞の活性化を評価した。これらのマーカーには、NKG2D、CD71、CD69;CCR5、CXCR4、及びCXCR3などのケモカイン受容体、パーフォリン、グランザイムB、ならびにインターフェロンγ(IFNg)が含まれる。IFNgのFACS分析の前に、ブレフェルジンAの存在下で細胞を4時間培養した。NK細胞は、細胞の活性化、シグナル伝達及び分化経路にとって重要なタンパク質であるJAK/STAT、ERK、及びp38/MAPK経路のリン酸化を通じて、環境内のサイトカインなどの外部刺激に応答する。サイトカインの添加に応じたAKT、STAT3及びSTAT5のリン酸化をFACSで測定した。リン酸化事象は一過性であるため、分析の前に、NK-92細胞を15または60分間サイトカインで処理した。未処理と比較したIL15処理の平均蛍光強度の変化倍率を表28に示す。
IL15での処置は、CD69、CXCR4、パーフォリン、グランザイムB、及びIFNgの発現の増加をもたらした。これらのマーカーに対するIL15の効果は用量依存的であり、より高い用量のIL15は対応するマーカーの上方制御をもたらした。STAT5のリン酸化は、IL2またはIL15の添加後15分及び60分で増加した。まとめると、これらの結果は、サイトカインがNK細胞を活性化できることを示している。
IL12処置で観察された活性化マーカーの倍率変化を表29に示す。
IL12による処置は、マーカーCD69、CCR5、パーフォリン、グランザイムB、及びIFNγの発現の増加をもたらした。さらに、NK-92細胞から培地に分泌されたIFNgレベルは、IL12で処理すると未処理の対照よりも高かった。IL2による処置は、CXCR4、パーフォリン、グランザイムB、及びIFNgの発現の増加をもたらした。さらに、NK-92細胞によって上清に分泌されたIFNgレベルは、IL2で処理すると未処理の対照よりも高かった。
実施例23.T細胞の増殖及び活性化に対するサイトカインの効果
T細胞の増殖及び活性化に対するIL2及びIL12の必要性を試験するために、T細胞を、2日間、可溶性CD3/CD28、CD3/CD28ダイナビーズで刺激するか、または刺激せずに放置した。これらの各群を、さらに2つの下位群に分割した。1つの下位群をIL2と100ng/mlのIL12で処理し、第2の下位群を刺激の期間のみIL2で処理した。可溶性CD3/CD28刺激細胞については、100ng/mlでのみ処理した第3の下位群も含めた。14日間のT細胞増殖を測定し、T細胞増殖の倍率変化を図28Aに示す。IL12の存在下または非存在下でのCD3/CD28ダイナビーズ+IL2は、T細胞の増殖に最も大きな影響を及ぼし、IL12の存在下または非存在下での可溶性CD3/CD28+IL2で処理したT細胞がこれに続いた。非刺激細胞、及び可溶性CD3/CD28細胞で処理し、IL2処理した細胞は、実験の過程で増殖することができなかった。これらの結果は、T細胞の増殖にIL2が必要であることを示しているが、IL12は不要である可能性がある。
IFNγ陽性CD4+及びCD8+T細胞の出現頻度を測定することにより、T細胞活性化に対するIL12の効果を測定した。IFNgは、活性化されたT細胞によって産生される。3つの異なる刺激プロトコールを使用した。第1のプロトコールでは、細胞をCD3/CD28ダイナビーズで2日間刺激し、その後ビーズを洗い流し、細胞を様々な濃度のIL12で7日間(2日目~9日目)処理した。9日目に、細胞を可溶性CD3/CD28で再刺激し、IFNγ陽性細胞の出現頻度をFACSで測定した。結果を図28Bに細胞の割合として示す。第2のプロトコールでは、2日のCD3/CD28ダイナビーズ刺激後のT細胞を14日間のより長い期間、すなわち2日目から16日目まで培養で維持した。16日目に、細胞を可溶性CD3/CD28で再刺激した。16日目に、IFNγ陽性細胞の出現頻度を測定した。結果を図28Cに細胞の割合として示す。第3のプロトコールでは、最初にT細胞をCD3/CD28ダイナビーズとIL2で2日間刺激し、続いて9日間のみ(すなわち、2日目~11日目)IL2で処理し、2~5日間IL12で処理した。実験の最後の2日間で、細胞を可溶性CD3/CD28でも再刺激した。IFNγ陽性のCD4及びCD8細胞を、FACSを使用して測定した。第3のプロトコールは、in vitroでの形質導入とT細胞の増殖、及びin vivoにおいて、養子細胞療法でT細胞に提示される環境を模倣する。結果を図28Dに細胞の割合として示す。それぞれ図28B及び図28Cに示す、IL28による7日間の処置とIL28による14日間の処置の両方で、実験終了時のCD3/CD28細胞による再刺激により、IFNγ陽性細胞の割合が増加した。CD8細胞についての第1のプロトコールで観察されたIL12の半数最大効果濃度(EC50)は、50pg/mlであった。第2のプロトコールで観察されたIL12のEC50は、CD4細胞で12pg/ml、CD8細胞で65pg/mlであった。CD3/CD28を使用した長期培養により、IFNg産生の再刺激及びIL12への依存がさらに増加した。
第3の刺激プロトコールで得られた結果を図28Dに示す。CD3/CD28再刺激と組み合わせた実験の最後の5日間にIL12で処理した免疫細胞は、最も高い割合のIFNγ陽性細胞を示し(EC50=CD4細胞で24pg/ml及びCD8細胞で40pg/ml)、IL12を2日間投与した細胞がこれに続いた。したがって、in vitroで増殖したT細胞は、IL12に応答して後で分化することができるが、IFNgの産生には再刺激が必要であり得る。
まとめると、これらの結果は、CD3/CD28で再刺激した場合にIL12がT細胞のIFN産生を刺激できることを示している。
実施例24.T細胞におけるSRE発現用のプロモーター選択
ベクターにおけるSREの発現は、レトロウイルスの末端反復配列(LTR)によって、またはSREの上流に位置する細胞プロモーターまたはウイルスプロモーターによって駆動され得る。プロモーターの活性は細胞の種類によって異なる場合があるため、プロモーターの選択は各細胞の種類に対して最適化する必要がある。最適なプロモーターを特定するために、AcGFP(配列番号870)をCMVまたはEF1aプロモーターを有するpLVX.IRES Puro構築物にクローニングした。患者由来のT細胞及びSup T1細胞に構築物を形質導入し、形質導入後3日目及び5日目にFACSを使用してGFP発現を測定した。図29に示すように、CMVプロモーターとEF1aの両方がSupT1細胞とT細胞でGFPの発現を駆動することができる。GFP陽性T細胞の割合は、形質導入後3日目と6日目の両方で、EF1aプロモーターに比べてCMVプロモーターでGFP発現を促進した場合に高かった。対照的に、GFP陽性細胞の割合は、CMVプロモーターに比べてEF1aプロモーターでGFP発現を駆動した場合にはるかに高かった。したがって、発現に適した最適なプロモーターは、細胞の種類によって異なる。
実施例25.T細胞増殖に対するリガンドの効果
免疫細胞増殖に対する本発明のSREに特異的なリガンドの効果を測定して、T細胞の増殖または生存を阻害しなかったリガンドの濃度を特定した。2人の異なるドナーに由来するT細胞をCD3/CD28で刺激し、0.04μM~160μMの範囲の用量のリガンドTMPまたはDMSOで処理した。T細胞のCD4及びCD8集団内の分裂細胞の割合を、FACSを使用して測定した。0.04μM~40μMの範囲のTMP濃度は、CD8及びCD4集団内の分裂細胞の割合に影響を与えなかったが、濃度160μMのTMPは分裂細胞の割合を70~90%減少させた。したがって、T細胞ベースの実験のためのTMPの最適濃度は160μM未満であると決定された。
実施例26.DD調節型CD19 CARの持続性シグナル伝達に対する効果
慢性抗原活性化は、T細胞の枯渇をもたらし得る。DD調節型CD19 CAR構築物が持続性シグナル伝達を誘発するかどうかを試験するため、CD19を発現する照射K562細胞を培養プレートに播種し、12時間後に、DD調節型CD19 CAR構築物を発現するT細胞をインターロイキン2存在下で添加する。2日毎に細胞をカウントし、培地を交換する。刺激を繰り返す場合、24時間後(2回の刺激の場合)または12時間毎(4回の刺激の場合)に、K562-CD19細胞を含む新しいプレートに細胞を移す。各条件について、12時間毎にT細胞をカウントし、CAR、表現型、及び枯渇マーカーについて、FACSによって分析する。リガンドの存在下または非存在下でDD調節型構築物を分析した。分析したマーカーには、活性化状態に対してのCD25及びCD69;記憶状態に対してのCD62及びCD45RA;ならびに枯渇マーカーPD1、TIM3及びLAG3が含まれる。DD調節型CD19 CAR構築物は、3つすべての枯渇マーカー、すなわち、PD1、TIM3、及びLAG3に対して陽性の細胞を誘導する割合が低く、CD45A+/CD62L+の細胞を誘導する割合が高いと予想され、これは未分化T細胞を示している。構成的発現型のCD19CAR構築物は、3つすべての枯渇マーカーの発現を誘導する可能性があり、CD45-/CD62L-及びCD45+/CD62L-細胞の割合が高い、より分化した表現型を有する可能性がある。
実施例27.DD調節型CD19 CARの機能分析
DD調節型CD19 CAR細胞の標的細胞を殺傷する能力を試験するために、DD調節型CD19 CAR構築物を形質導入した初代T細胞集団を、DDに特異的なリガンドであるShield-1、TMPまたはMTXの存在下または非存在下で、CD19を発現するK562細胞(標的細胞)と5:1の比で共培養する。T細胞と標的細胞の追加の対照となる組み合わせも設定する。これらには、K562細胞と共培養する(リガンドの存在下または非存在下で)DD調節型CAR発現T細胞、CD19を発現するK562細胞と共培養するT細胞、及びT細胞との共培養なしでCD19を発現するK562細胞が含まれる。K562細胞をNucLight Redで蛍光標識し、T細胞と30時間共培養する。細胞死を、アネキシンVで細胞を標識することによってモニタリングし、標的K562細胞の細胞死を、アネキシンVとNucLight Redの両方に陽性の細胞を評価することによってモニタリングする。標的細胞面積あたりのアネキシンV染色の比率を計算する。DD-CD19CAR発現T細胞は、DDに特異的なリガンドの存在下でのみCD19を発現する標的K562細胞を殺傷するのに有効であると予想される。形質導入していないT細胞をCD19発現標的細胞と;及びDD-CAR T細胞(リガンド処理の存在下または非存在下)+K562細胞(CD19発現なし)と共培養する場合、最小限の標的細胞死が起こると予想される。
実施例28.大型ファージ抗体ライブラリを使用したCD19 scFvの生成
一次ファージミドライブラリの構築
ヒト末梢血リンパ球の40の異なる試料から全RNAを調製し、ランダムプライマーを使用してcDNAを合成する。IgM可変領域を、IgM3’プライマーと5’VHプライマーを使用して増幅する。プールしたプライマーは、Vk及びVLの増幅にも使用する。さらなるPCR工程を追加して、制限酵素部位を含め、scFv loxPリンカーを含むオーバーラップ領域を導入する。scFvは、等モル量のVH及びVL遺伝子を混合し、組み立てを実行することにより得られる。次いで、scFvをpDAN5ベクターにクローニングして、約108の一次ライブラリを取得する。
二次ライブラリの組換え及び二次
組換えを誘導するために、細菌株BS1365(構成的にCreリコンビナーゼを発現する)に、20:1のMOIで一次ファージミドライブラリを感染させる。これにより、それぞれが異なるVH及びVL遺伝子をコードする複数のファージミドを含む細菌が生じ、これをCreリコンビナーゼによって組換えることができる。ファージミドは多くの異なるscFvを含む細菌から生じるため、表現型と遺伝子型は結び付いていない。この細菌由来のファージミドを使用して、Creを0.1以下の低いMOIで発現しない細菌(例えば、DH5a)に感染させて、遺伝子型と表現型を結び付ける。
CD9発現構築物及び細胞株
表14に記載のヒトCD19アイソフォームを適切なベクターにクローニングし、K562及び3T3細胞株などの内在性CD19発現が低い細胞株に形質移入する。CD19発現株、すなわちK562-CD19または3T3-CD19細胞を、ファージディスプレイライブラリにおけるscFvのポジティブセレクションに使用する。親のK562及び3T3を、ネガティブ選択に使用する。
細胞表面のCD19を認識する抗体の選択
二次ファージディスプレイライブラリを、非特異的結合ファージを除去するために親細胞でスクリーニングすることにより、事前にクリアする。事前にクリアしたファージをK562-CD19または3T3-CD19細胞とインキュベートし、結合したファージを回収し、次のラウンドの選択のために増幅する。3ラウンドの選択を行い、CD19結合剤を濃縮する。FMC63エピトープを過剰なFMC63抗体で遮断することにより、FMC63とは別個のscFv、すなわちFMC63とは別個のエピトープに結合するscFvを並行選択プロセスで選択する。
CD19に対するscFvの親和性は、薬物動態及び免疫応答アッセイにおける抗体の性能を決定する重要な態様である。96個のscFvクローンの親和性測定を、結合速度(Ka)、解離速度(Kd)、及び親和性定数(KD)を提供するELISA及び表面プラズマ共鳴などの技術を使用して行う。
所望の解離速度を有するscFvクローンをサンガー配列決定に供して、親細胞ではなくCD19発現細胞に結合するユニークなクローンを同定する。次いで、同定したクローンを、標的タンパク質、例えばCD19に対してscFvのライブラリを特徴付けて分類するために使用する競合イムノアッセイを使用して、エピトープビニングに供する。CD19に対するscFvは、ライブラリから同定された他のすべてのCD19 scFvに対して、対として試験し、他のscFvがCD19抗原のエピトープへ結合することを妨げるscFvを同定する。各CD19 scFvに対する特性を作成した後、各scFvの他のscFvに対する競合遮断特性を作成する。密接に関連するビニング特性は、同じであるか密接に関連するエピトープを有する抗体が一緒にビニングされることを示す。
選択プロセスの各工程で得られるscFvを、Ion Torrent/MiSeqなどのディープシーケンス法に供する。FMC63に結合しないものを含む重鎖CDR3配列を、Abmining ToolBoxを使用して同定し(D’Angelo S et al.(2014)MAbs.6(1):160-172)、上位のHCDR3を同定する。次いで、上位ランクの配列のDNA配列から設計したHCDR3特異的プライマーを使用して、インバースPCRによりscFvクローンを増幅し、PCR産物を発現ベクターにクローニングする。
実施例29.CD19 scFv親和性
CD19抗原に対するscFvの親和性は、薬物動態及び免疫応答アッセイにおける抗体の性能を決定する重要な態様である。結合速度(Ka)、解離速度(Kd)、親和性定数(KD)を提供するELISA及び表面プラズマ共鳴などの技術を使用して、親和性測定を行う。
CD19の異所性発現が高いかまたは低い細胞を使用して、様々な親和性を有する抗体を同定する。CD19発現が低いK562-CD19細胞及び親のK562細胞を、CD19抗体、例えばFMC63を使用してFACSによって選別し、CD19の表面発現を測定する。細胞を、下位5%(すなわち、CD19発現の低い細胞)、上位5%(CD19発現の高い細胞)に選別し、細胞集団の残りは、中間的なCD19発現細胞として分類する。
実施例30.FMC63とは別個のCD19 scFvを同定するためのスクリーニング戦略
CD19/Fc融合タンパク質
FMC63は、エキソン2によりコードされる領域でヒトCD19に結合する。FMC63とは別個のCD19 scFvを同定するために、ヒトCD19(エキソン1~4)またはヒトCD19(エキソン1、3、4)をIgGと融合させてCD19-IgG融合タンパク質、それぞれCD19sIgG1~4及びCD19sIgG1、3、4を生成する。CD19-IgG融合タンパク質を、抗体スクリーニングに使用する。96ウェルプレートを捕捉抗体でコーティングし、CD19sIgG1~4またはCD19sIgG1、3、4融合タンパク質とともにインキュベートする。プレートを洗浄し、実施例28で同定した候補CD19 scFvとともにインキュベートする。プレートを再度洗浄し、レポーター(例えば、アルカリホスファターゼ)を結合させた検出抗体とともに再度インキュベートし、レポーター適合検出法を使用して検出する。捕捉抗体は、抗ヒトIgG Fc抗体、またはFMC63抗体(対照として)であってもよい。検出抗体は、抗ヒトIgM抗体であってもよい。FMC63とは別個のCD19 scFvは、(CD19sIgG1、3、4)及び(CD19sIgG1~4)に結合すると予想される。対照的に、FMC63のエピトープと同一または重複するエピトープに結合する候補CD19 scFvは、(CD19sIgG1~4)にのみ結合すると予想される。
競合アッセイ
CD19を発現するK562細胞を、競合結合アッセイのために、例えば、実施例28で同定した、ナノモル濃度のタグ付き候補CD19 scFv及び固定濃度のタグ付きFMC63 scFvとともにインキュベートする。細胞を洗浄し、候補CD19 scFvで使用するタグに対応する二次抗体で染色する。フローサイトメトリーを使用して平均蛍光強度を測定する。陰性対照として、CD19 K562発現細胞を、様々な濃度のタグ付き候補CD19 scFv単独またはFMC63単独とともにインキュベートする。FMC63とは別個の CD19 scFvの場合、候補CD19 scFvとFMC63の間にCD19への結合の競合はないことが予想される。したがって、タグ付き候補CD19 scFvの平均蛍光強度は、候補CD19 scFvの濃度の増加とともに増加すると予想されるが、一方、タグ付きFMC63抗体の平均蛍光強度は、候補CD19 scFvの濃度の増加とともに減少しないと予想される。これは、FMC63が候補CD19 scFvの追加によってそのエピトープから置換されないことを示し、別個の結合エピトープであることを示唆する。FMC63と同じエピトープに結合する候補CD19 scFvについては、候補CD19 scFvの濃度が増加とともにFMC63の蛍光強度が減少することが予想される。
実施例31.FMC63とは別個のCD19 CAR構築物の機能分析
不安定化ドメイン、リンカー、膜貫通及び細胞内ドメインを有するFMC63とは別個のCD19 CAR構築物を生成するように改変したFMC63とは別個のCD19 scFvを、表1及び表6、7、8Aまたは8Bに記載する。FMC63とは別個の CD19 CARの細胞活性化、細胞毒性、増殖を誘導する能力を、Jurkat細胞のFMC63-CD19ベースのCAR構築物と比較する。構築物は、枯渇マーカーであるPD1、TIM3及びLAG3の上方制御を誘導するその能力についても分析し、複数の枯渇マーカーに陽性の構築物は分析から除外する。Jurkat細胞の活性化と細胞毒性を誘導できるが、枯渇マーカーは誘導できない構築物をT細胞に形質導入し、その効力を構成的発現型のFMC63ベースのCD19 CAR構築物と比較する。DD調節型のFMC63とは別個のCD19 CAR構築物は、FMC63 CD19 CAR構築物と比較して、最小限の持続性シグナル伝達で優れた細胞毒性能力を発揮すると予想される。
実施例32.DD調節型CD19 CARにより誘発されるリガンド依存性標的細胞死
構成的またはDD含有CAR構築物を発現するように設計したT細胞による細胞殺傷の抗原特異性を試験するために、CD19を抗原陰性K562細胞株で異所的に発現させた。フィコエリトリン(PE)に結合させた抗CD19抗体を使用してCD19発現を測定した。図30Aは、親のK562細胞及びK562-CD19細胞におけるCD19の発現を示しており、CD19は異所的に発現している。
DD調節型CD19 CAR細胞の標的細胞を殺傷する能力を試験するために、一次T細胞集団に、DD調節型CD19 CAR構築物、ヒトDHFR DD及びEF1aプロモーターを有するOT-CD19-024を形質導入した。形質導入したT細胞を、TMP(100μM)の存在下または非存在下で、CD19を発現するK562細胞(標的細胞)と5:1の比率で共培養した。T細胞と標的細胞の追加の対照となる組み合わせも設定した。これらには、抗原陰性K562細胞と共培養したDD調節型CAR発現T細胞(リガンドの存在下または非存在下)、CD19を発現するK562細胞と共培養した非形質転換T細胞、及びT細胞共培養なしでCD19を発現するK562細胞が含まれていた。この実験に利用したT細胞にOT-CD19-024構築物を形質導入し(または非形質導入)、上記実施例に記載したプロトコールを使用して11日間増殖させ、凍結、解凍し、標的細胞とともに共培養した。標的細胞をマイトマイシンCで処理して増殖を防止した。蛍光タンパク質NucLight Redを安定的に発現するK562またはK562-CD19標的細胞を、T細胞とともに300時間共培養した。アネキシンVで細胞を標識することにより細胞死をモニタリングし、標的K562及びK562-CD19細胞の細胞死を、IncuCyte(登録商標)Live Cell Analysis System(Essen Biosciences,Ann Arbor,MI)を使用して、アネキシンV及びNucLight Redの両方に陽性である細胞を評価することによりモニタリングした。結果を図30Bに示し、y軸に表示される死滅した標的細胞は、NucLight RedとAnnexin Vの両方に陽性の標的細胞に基づいている。図30Cは、5日目に(μM/ウェル)で測定した死滅標的のサイズを示す。TMP処理したT細胞とCD19を異所性発現するK562標的細胞との共培養においてのみ、OT-CD19-024構築物で標的細胞の死滅が観察された。同じ共培養設定の未処理の対照、及びリガンドの存在下または非存在下でCD19を発現しない親K562細胞とT細胞を共培養した場合、細胞死滅は観察されなかった。これらのデータは、調節されたCARが、最小限の基底オフ状態でリガンド及び標的依存性の細胞殺傷を示すことを示している。
実施例33.in vitro CAR-T細胞機能分析
DD調節型CD19 CAR構築物を発現するT細胞の、標的細胞との機能的な相互作用における効力を評価する。CD19CAR T細胞と相互作用するために、選択した標的細胞はCD19を天然にまたは異所的に発現する。これに関連して、Nalm6、Raji、Reh、Sem、Kopn8、及びDaudi細胞などの標的細胞は、CD19の内在性発現が高い。あるいは、標的細胞株を、CD19の内在性発現が低いK562などの細胞株でのCD19の異所性発現によって改変してもよい。複数のアッセイを使用して機能性を測定する。共培養の前に、必要に応じてマイトマイシンCの存在下で標的細胞を培養し、標的細胞の増殖を防止する。これにより、標的細胞の増殖がT細胞の増殖を上回らないことが保証される。細胞傷害性アッセイを用いて、標的細胞死を誘導するT細胞の能力を測定する。ウミシイタケまたはホタルのルシフェラーゼを発現するように標的細胞を改変し、DDまたはビヒクル対照に関連するリガンドの存在下で18~24時間、DD調節型CD19 CAR構築物を発現するT細胞とともに共培養する。共培養の終わりに、細胞を溶解し、適切な基質を使用してルシフェラーゼ活性を測定する。DD調節型CD19 CAR発現T細胞を、リガンドの存在下でCD19発現標的細胞とともに共培養する場合、ルシフェラーゼ活性が増加すると予想される。ビヒクル対照細胞か、またはCD19を発現しない標的細胞を利用する場合、細胞傷害性はないものと予想される。
CD19 CARとCD19抗原との係合は、T細胞の活性化をもたらし、これは、CAR発現T細胞と標的細胞の共培養の24時間後に測定される。T細胞の活性化は、IFNg、IL2、及びCD69のレベルを測定することにより評価する。抗原を介したT細胞活性化に応答するT細胞増殖を、T細胞をカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステルで標識することにより測定し、これを、複数世代にわたって細胞を追跡するために使用する。標識したT細胞をマイトマイシン処理した標的細胞とともに培養し、細胞増殖を3~5日間追跡する。T細胞の増殖と活性化は、DD調節型CD19 CAR発現T細胞をリガンドの存在下でCD19発現標的細胞と共培養する場合に増加すると予想される。ビヒクル対照細胞か、またはCD19を発現しない標的細胞を使用する場合、両パラメーターはないものと予想される。
T細胞の活性化は、細胞傷害性T細胞が標的細胞の殺傷を可能にするパーフォリン及びグランザイムなどの分子を放出するエキソサイトーシスプロセスである脱顆粒をもたらす。脱顆粒は、エキソサイトーシスの兆候、例えばCD107に関してFACSによって、及びイムノアッセイを使用してパーフォリン及びグランザイムなどの脱顆粒のマーカーによって、培地を分析することにより測定する。
実施例34.DD調節型CD19 CARにより誘発されるリガンド依存性標的細胞死
DD調節型CD19 CAR細胞の標的細胞を殺傷する能力を試験するために、一次T細胞集団にDD調節型CD19 CAR構築物を形質導入し、DDに特異的なリガンド、例えば、Shield-1(1μM)、TMP(100μM)またはMTXの存在下または非存在下でCD19を発現するK562細胞(標的細胞)と5:1の比で共培養する。FKBP、ecDHFR、またはヒトDHFR DDを含む構築物を利用してもよい。また、CMV、EF1a、またはPGKプロモーターのいずれかを含む構築物を使用してもよい。T細胞と標的細胞の複数の組み合わせを設定する。これらには、K562細胞と共培養するDD調節型CAR発現T細胞(リガンドの存在下または非存在下で)、CD19を発現するK562細胞と共培養するT細胞、及びT細胞共培養なしでCD19を発現するK562細胞が含まれる。追加の対照には、標的細胞のみ、非形質導入T細胞、空のベクターで形質導入するT細胞を含める。この実験に利用するT細胞を、上記実施例に記載したプロトコールを使用して11日間増殖させ、凍結、解凍し、CD19 CAR構築物で形質導入する。標的細胞をマイトマイシンCで処理して増殖を防止する。K562細胞をNucLight Redで蛍光標識し、T細胞とともに300時間共培養する。アネキシンVで細胞を標識することによって細胞死をモニタリングし、IncuCyte(登録商標)Live Cell Analysis System(Essen Biosciences,Ann Arbor,MI)を使用して、アネキシンVとNucLight Redの両方に陽性の細胞を評価することによって、標的K562細胞の細胞死をモニタリングする。標的細胞の殺傷は、リガンドの存在下、及びCD19を異所性に発現するK562標的細胞を利用する場合にのみ、DD調節型CAR構築物で予想される。同じ共培養設定の未処理の対照、及びリガンドの存在下または非存在下でCD19を発現しない親K562細胞とT細胞を共培養する場合、細胞の死滅は予想されない。構成的構築物は、リガンドの存在下で細胞の殺傷を示すと予測される。また、細胞の殺傷は、形質導入していないT細胞、空のベクターで形質導入したT細胞との共培養;及び標的細胞のみの培養では予想されない。
実施例35.サイトカイン発現に対するリガンドの効果
調節型CD19 CAR構築物におけるサイトカインの発現に対するリガンドの効果を研究するために、空のベクター、OT-CD19-017、OT-CD19-023、OT-CD19-024、またはOT-CD19-025でT細胞集団を形質導入した。5x104個の形質導入T細胞を、TMPまたはShield-1の存在下または非存在下で、5:1のE:T(エフェクターと標的細胞)比で48時間共培養した。標的細胞を50ug/mlのマイトマイシンCで処理して増殖を防止した。培地上清中のIFNγ及びIL2のサイトカイン濃度を、MSD V-PLEX Proinflammatory Panel 1 Humanキットを使用して各構築物について測定した。読み取り値は、MESO QuickPlex SQ120を使用して取得した。図31Aに示すように、OT-CD19-024のリガンドの添加によりIFNγ濃度の6倍の増加が認められ、OT-CD19-025のリガンドの添加によりIFNγ濃度の2倍の増加が認められた。図31Bに示すように、リガンドを添加したOT-CD19-024ではIL2の6倍の増加が認められ、TMPではOT-CD19-025の9倍の増加が認められた。
実施例36.マウスのIL12レベルのin vivo経時変化の研究
以下の表30の研究設計に従って、HCT116親細胞またはIL12構築物(OT-IL12-020、OT-IL12-026、またはOT-IL12-029)で形質導入した細胞を、免疫不全CD1ヌードマウス(n=4/群)に注射した。
5x106細胞の皮下注射後14日目(0日目)、ならびに15日目の投与後6、10、及び24時間で、マウスから採血(血漿PK及びIL12 MSDについて採血)した。研究の終わりに、500ulのPBS中で、腫瘍及び腎臓をカミソリで細かく刻み、遠心分離し、上清をIL12 Meso Scale Diagnostic(MSD)アッセイのために単離した。
図32Aに示すように、DD構築物の基底血漿IL12レベルは高かったが、OT-IL12-026及びOT-IL12-029構築物は、構成的(OT-IL12-020)構築物よりも依然として100倍低かった。図32Aが投与前の血漿からの倍数変化として示される場合、OT-IL12-026は6時間及び10時間で調節を示す。図32B及び32Cは、IL12が腎臓(図32B)及び腫瘍(図32C)で検出可能であり、そのレベルが血漿レベルと調和することを示す。
実施例37.マウスのIL12レベルのインビボ時間経過研究
HCT116親細胞またはIL12構築物(OT-IL12-020、OT-IL12-026)で形質導入した細胞を、以下の表31の研究設計に従って、マトリゲルプラス雌NSGマウスに皮下注射した(1x10
7細胞のインプラント200ulマトリゲルプラグ)(n=4)。
血漿(IL12 MSDの場合)、プラグ上清及び腎臓の最終収集物を回収した。図33Aに示すように、IL12の調節は、高用量のAquashieldによりin vivoで達成された。血漿ではより少ない調節が観察され(図33B)、腎臓ではいくらかのflexi-IL12が検出された(図33C)。
実施例38.Shield-1は、IL12-026構築物で形質導入した初代ヒトT細胞によるIL12産生の約40~50倍の増加を誘導することができる
0日目に、初代ヒトT細胞を3:1のビーズ:細胞比でダイナビーズ(TエキスパンダーCD3/CD28)で刺激した。翌日、レンチウイルス(空のベクター(pLVX-EF1a-IRES-Puro)、OT-IL12-020(構成的)、またはOT-IL12-026(調節型))を、LentiBOOST及び5%FBSの存在下で、10の感染多重度(MOI)で加えた。2日目に、細胞を洗浄してLentiBOOSTを除去し、ビーズ:細胞比を1:3に減らし、新鮮な10%培地とIL2を加えた。6、9、及び13日目に、細胞を等しい細胞数のプレーティングのためにカウントし、培地を交換し、リガンドを加え、細胞を刺激しないままとするか、または可溶性ImmunoCult(商標)Human CD3/CD28 T Cell Activator(StemCell Technologies)で再刺激した。一晩のインキュベーション後(7、10、及び14日目)、上清をIL12p40及びp70 MSDアッセイのために回収し、形質導入効率をFACSにより分析した。7日目に、OT-IL12-026 T細胞は7%形質導入されたことが見出され、OT-IL12-020(構成的)T細胞は13%形質導入された。再刺激によりIL12の発現が増加することが示された(図34A)。リガンドは、10日間増殖させたOT-IL12-026発現T細胞によるIL12の産生を40~50倍増加させた(図34B及び図34C)。
実施例39.形質導入したT細胞に対するShield-1の用量反応
レンチウイルス(OT-IL12-026またはベクター対照)による形質導入の1日前に、ヒトT細胞をCD3/CD28ダイナビーズ(Life Technologies)で活性化し、その後、培養で12~13日間増殖させた。異なる量のウイルス(4~40 MOI)で形質導入していたT細胞を、Shield-1の用量反応に24時間供した(左パネル)。14のMOIで形質導入していたT細胞を、1uMのShield-1またはビヒクル対照で時間をかけて処理した(右パネル)。上清(200uL培地あたり100,000個の細胞由来)に蓄積していたIL12のレベルを、ヒトIL12p40 MSD V-plexアッセイキット(Meso Scale Discovery)を使用して測定した。
分析から、OT-IL12-026を発現するT細胞によるIL12産生の増加は、リガンドShield-1に用量応答性であり(図35A)、経時的に蓄積する(図35B)ことが示された。
実施例40.in vivo用量反応、及びOT-IL12-026を発現するT細胞を移植したNSGマウスにおけるAquaShieldの反復投与
初代ヒトT細胞を、3:1のビーズ:細胞比でダイナビーズ(TエキスパンダーCD3/CD28)で刺激した。翌日、レンチウイルス(OT-IL12-020(構成的)、OT-IL12-026(調節型)、またはベクター対照)を、LentiBOOST及び5%FBSの存在下で、10の感染多重度(MOI)で加えた。翌日、T細胞を洗浄してLentiBOOSTを除去し、ビーズ:細胞比を1:3に減らし、新鮮な10%培地及びIL2を加えた。T細胞を合計10日間増殖させた後、25x106のベクター対照またはOT-IL12-026を形質導入したT細胞または10x106の構成的OT-IL12-020を形質導入したT細胞をNSGマウスに移植した(研究0日目)。細胞移植の3日後に、動物にビヒクルまたはAquaShield(10、50または100mg/kg)のいずれかを投与した。投与後0、4、8、及び24時間でのMSDアッセイによるIL12p70の血漿分析のために、血液を採取した(図36A)。血漿IL12の明確な用量反応性の増加が観察された。
T細胞移植後5日目に、動物に2回目の投与をAquaShieldで行った(図36B)。AquaShieldを繰り返し投与すると、血漿IL12の第2の増加が観察された。
実施例41.T細胞で発現したDD-12のin vivo調節
AquaShieldの連続投与時にリガンドがin vivoでDD-IL12を安定化することができるかどうかを判定するために、以下の研究設計で概説するように、T細胞にDD-IL12発現構築物(OT-IL12-020またはOT-IL12-026)を形質導入し、マウスに移植する(n=4/群)(0日目)。
各群について、採血前の試料、ならびに各投与後4時間及び24時間の試料を回収する。研究の終わりに、組織と臓器の試料を回収する。FACS分析を実施して細胞数及びTh1マーカーを決定する。
0日目、初代ヒトT細胞を、3:1のビーズ:細胞比でダイナビーズ(TエキスパンダーCD3/CD28)で刺激した。翌日、レンチウイルス(空ベクター(pLVX-EF1a-IRES-Puro)、OT-IL12-020(構成的)、またはOT-IL12-026(調節型))をLentiBOOST及び5%FBSの存在下で10の感染多重度(MOI)で加えた。2日目に、細胞を洗浄してLentiBOOSTを除去し、ビーズ:細胞比を1:3に減らし、新鮮な10%培地及びIL2を加えた。
これらの細胞のin vitro評価を図37A~37Cに示す。
10日間の増殖後、T細胞をNSGマウスに注射した(12×106細胞を注射、FACSによると細胞は15%(構成的)及び7.5%(調節型)がIL12陽性)。各群について、採血前試料、ならびに各投与の4時間後と24時間後に血漿試料を回収した。研究の終わりに、組織及び臓器の試料を回収する。FACS分析を実施して、血中のT細胞数を測定し、Th1表現型マーカーを評価した。
図37Aに示すように、リガンドの連続パルス投与(4及び6日目に経口投与した50mg/kg Aquashield(50mpk Aquashield 48時間毎))に応答したIL12発現は、ビヒクル処理対照に比べて、OT-IL12-026を発現するT細胞を有するマウスの血漿において上昇した。空のベクター対照を発現するT細胞はIL12を産生しなかった。構成的な対照であるOT-IL12-020(IL12-020)で形質導入したT細胞は、時間経過を通してIL12を産生した。
図37Bでは、OT-IL12-026を発現するT細胞を有するマウスにおいて、ビヒクル処理対照に比べて、リガンドの連続パルス投与(50mg/kgのAquashieldを4日間(3~6日目)経口投与(50mpkのAquashield 毎日×4))に応答した血漿IL12発現の上昇が認められた。構成的対照であるOT-IL12-020(IL12-020)で形質導入した細胞は、時間経過を通してIL12を産生した。
図37Cは、構成的構築物OT-IL12-020(IL12-020)についての11日間にわたるIL12発現を示す。5及び10日目に経口投与した50mg/kg Aquashield(50mpk Aquashield 5日目/10日目)で処理したマウスにおいて、構築物OT-IL12-026由来のDD-IL12を発現するT細胞からのIL12のリガンド調節された発現が認められた。空ベクター対照を発現するT細胞はIL12を産生しなかった。
図37Dは、10日目に、50mg/kgのAquashield(50mpk Aquashield 10日目)で、経口によりマウスを処置した場合の、構築物OT-IL12-026由来のDD-IL12を発現するT細胞からの血漿IL12発現のリガンド誘導調節を示す。単一リガンドパルスは、OT-IL12-026を発現するT細胞を有するビヒクル処理対照マウスで検出されたものよりも、血漿IL12レベルを高めた。
図37A~37Dに示すすべての構築物に対するIL12の調節は、IFNγレベルに影響を与えず、代わりにIFNγのレベルは時間とともに徐々に上昇した。これは、in vitroでの増殖期に培養中のT細胞がIL12にさらされているためと思われる。しかしながら、リガンド誘導によるIL12の調節は、in vivoでのT細胞移植後7日目に、CD8+T細胞によるin vivoでのグランザイムB(GrB)(図37E)及びパーフォリン発現(図29F)を増加させた。
実施例42.PGKプロモーター及びN末端FKBPの効果
HEK293T細胞に、Lipofectamine 3000及び以下:OT-IL12-019(PGKプロモーター)、OT-IL12-020(EF1αプロモーター)、OT-IL12-025(PGKプロモーター、C末端FKBPドメイン)、OT-IL12-026(EF1αプロモーター、C末端FKBPドメイン)、OT-IL12-046(N末端FKBP)の各々2ugプラスミドDNAを一過性に形質移入した。リガンド(1uM Shield-1)を形質移入の1日後に加え、細胞をさらに2日間培養した。上清へのIL12分泌を、IL12p40 MSDアッセイにより定量した。ゲノムDNA(gDNA)とメッセンジャーRNA(mRNA)を細胞から精製した。細胞ゲノムへの構築物DNAの組み込みのレベル及びIL12 mRNA発現のレベルを、それぞれの構築物内のWPREエレメント及びIL12に特異的なプライマーを使用したqPCRで定量した。
gDNA qPCR分析により、FKBP DD含有構築物が同様のレベルで細胞ゲノム内に組み込まれたこと、及び、予想通り、PGKプロモーターがEF1αプロモーターよりも低いIL12 mRNA発現を生成したことが示された(図38A)。
PGKプロモーターによって誘導されるmRNA転写のレベルが低いため、IL12p40 MSDアッセイはまた、EF1αプロモーターを使用する構築物に比べてPGKプロモーターが基底及びピークIL12分泌レベルの両方を低下させることを示した。PGKプロモーターの下流のIL12産生の基底レベルが低いと、EF1αプロモーターを含む構築物に比べて、リガンド誘導性IL12調節が約2倍向上した(図38B)。より具体的には、EF1αからPGKプロモーターへの変化とともに、IL12発現のリガンド誘導性調節は、それぞれ6倍から13倍に増加した。
IL12のN末端またはC末端のいずれかにFKBPを含む構築物を同様に細胞ゲノムに組み込み、同様のレベルのmRNAが生成された(図38A)。しかしながら、C末端にFKBPが含まれる構築物はIL12の発現を調節するが、N末端にFKBPが含まれる構築物はIL12の発現を調節できない(図38B)。
実施例43.DD-IL15-IL15Raのリガンド依存性安定化の速度
DD-IL15-IL15Raのリガンド依存性安定化のオン/オフ速度をCD4陽性T細胞で測定した。24ウェルプレート中でCD3/CD28ビーズを3:1のビーズ対T細胞比で用いてT細胞を24時間活性化した。LentiBoost試薬の存在下でレンチウイルスをウェルに加え、細胞をさらに24時間インキュベートして洗浄した。細胞を新鮮な培地に再懸濁し、培地を2~3日毎に加えて、細胞を0.5~1×106/mlに増殖させて維持した。増殖の7日後、ecDHFR DD-IL15-IL15Ra融合構築物(OT-IL15-009)を形質導入したT細胞を100μMのecDHFRリガンドであるトリメトプリム(TMP)またはビヒクル対照であるDMSOで処理した。TMP処理後の複数の時点(すなわち、1、2、4、6、8、15、22及び24時間)で、形質導入したT細胞を回収し、フローサイトメトリーにより抗IL15Ra抗体を使用してIL15Ra表面発現について分析した。非形質導入T細胞を陰性対照として使用した。T細胞をCD4陽性及びCD8陽性集団に選別し、IL15Ra陽性CD4陽性T細胞の割合を分析した。図39は、TMP処理後のCD4 T細胞上のIL15Raの表面発現の速度を示す。OT-IL15-009構築物で形質導入したCD4陽性T細胞の中で、IL15Raの表面発現を有する細胞の割合は、TMP処理後2時間までは、TMP処理及びDMSO処理細胞の両方で同様であり、また、非形質導入細胞と同等であった。しかしながら、TMP処理の4時間後から、OT-IL15-009構築物で形質導入し、TMPで処理した細胞は、IL15Raの表面発現を有する細胞の割合が増加した。この傾向は、TMPによる処理の22時間後まで観察された。表面にIL15Raを発現する細胞を含むCD4陽性T細胞は、非形質導入細胞の約1%を構成し、内在性IL15Raを発現する細胞の割合が低いことが示された。
実施例44.in vivoでのDD-IL15-IL15Ra融合分子のリガンド依存性安定化
リガンド処理がin vivoでDD-IL15-IL15Ra融合分子の安定化を誘導するかどうかを調べるために、OT-IL15-009構築物で形質導入したHCT116細胞をBALB/cヌードマウスに皮下移植し、TMPで処理した。移植後11日間、TMPをマウスに100mg/kgの用量で1日2回経口投与し、続いて300mg/kgの用量でTMPを1日2回、6日間投与した。陰性対照として、OT-IL15-009構築物で形質導入したHCT116細胞を移植した別個のマウスを、1日2回、17日間、ビヒクルで処理した。TMPまたはビヒクル対照の最後の投与から4時間後、マウスから腫瘍を採取し、ウエスタンブロッティングによりIL15-IL15Ra融合分子のレベルを分析した。図40に示すように、TMPで処理したマウスから採取したHCT116腫瘍は、ビヒクルで処理した腫瘍と比較してIL15-IL15Ra発現レベルの上昇を示した。ローディング対照としてGAPDHレベルを分析した。これらのデータは、リガンドの投与がin vivoでDD-IL15-IL15Ra融合分子の安定化を可能にすることを示している。
in vivoでのTMP依存性IL15-IL15Ra安定化の効力と一致して、TMPで17日間処置したマウスから採取したHCT116腫瘍では、TMPレベルの上昇(399.38ng/g腫瘍)が観察された。HCT116腫瘍に関連するTMPのレベルは、3日目(15.67ng/ml血漿)及び17日目(99.5ng/ml血漿)にマウス血漿で観察されたものよりもかなり高く、このことから、経口投与したTMPが正常に送達され、マウスに移植したHCT116腫瘍に蓄積したことが示された。
実施例45.脱落耐性IL15-IL15Ra構築物
IL15-IL15Ra融合分子を介したIL15のトランス提示の効率を維持するために、IL15-IL15Ra脱落を防止する必要がある。この目的のために、IL15-IL15Ra融合分子の様々な改変により、新規DD-IL15-IL15Ra及び構成的IL15-IL15Ra構築物を設計する。例えば、IL15分子またはIL15Ra分子を切断するか、または変異させて、推定切断部位を除去する。IL15Raは、Bergamaschi C et al.(2008).J Biol Chem;283(7):4189-99;Anthony SM et al.(2015).PLoS One.10(3):e0120274、及び国際特許出願公開第WO2014066527号及び第WO2009002562号(各々の内容は、その全体を参照により本明細書に援用する)によって記載されているように、受容体の膜貫通ドメインのすぐ遠位の細胞外ドメインに切断部位(配列番号803の位置168~175のPQGHSDTT)を有する。腫瘍壊死因子α変換酵素(TACE/ADAM17)は、グリシン(配列番号803の位置170)とヒスチジン(配列番号803の位置171)の間を切断するプロテアーゼとして関与し、天然の可溶型のIL15Raを生成する。同じ機構がIL15-IL15Raの脱落に関与している可能性がある。したがって、IL15Raの切断部位に変異を導入し、それにより、内在性プロテアーゼによる切断を防止する。切断部位の変異を、アミノ酸残基の置換、挿入、または欠失によって導入する。また、IL15-IL15Ra融合分子を改変し、それにより、全長または短縮型IL15-IL15Ra融合分子を異種ヒンジドメイン及び/または異種膜貫通ドメインに融合させる。非限定的な例として、IL15Raのバリアントを利用することができる。さらに、IL15とIL15Raを接続するリンカーの長さと配列を変更する。
IL15-IL15Ra融合分子上の改変が脱落を防止することを確認するために、新規DD-IL15-IL15Raまたは構成的IL15-IL15Ra構築物をHCT-116細胞に導入する。HCT-116細胞上でのIL15及びIL15Raの表面発現を、抗IL15抗体及び抗IL15Ra抗体を使用してフローサイトメトリーで試験し、表面IL15-IL15Raの脱落を評価する。細胞培養上清中のIL15の有無もMSDアッセイにより分析する。腫瘍上清中の脱落したIL15によるNK細胞活性化の感度に基づく機能的アッセイとして、トランスウェルアッセイを、新規DD-IL15-IL15Raまたは構成的IL15-IL15Ra発現構築物で形質導入したHCT-116細胞及びNK細胞を使用して行う。リガンドの存在下でNK細胞の活性化を誘導しない新規DD-IL15-IL15Ra発現構築物、及びNK細胞の活性化を誘導しない新規構成的IL15-IL15Ra発現構築物を、今後の実験で使用するために選択する。
実施例46.C末端DDを有するIL15-IL15Ra融合分子の調節型発現
膜結合IL15、IL15受容体αサブユニット(IL15Ra)及びヒトDHFR(DD)を融合することにより、融合分子を生成する。これらの融合分子をpLVX-EF1a-IRES-Puroベクターにクローニングした。
リガンド依存性IL15-IL15Ra産生を試験するために、100万個のHEK-293T細胞を、DMEM及び10FBSを含有する増殖培地中の6ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2で一晩インキュベートした。次いで、Lipofectamine 2000を使用して、100ngの構成的IL15-IL15Ra(OT-IL15-008)またはDD連結IL15-IL15Ra(OT-IL15-037またはOT-IL15-040)を細胞に形質移入し、24時間インキュベートした。インキュベーション後、培地を50μMトリメトプリム(TMP)の存在下または非存在下で増殖培地に交換し、さらに48時間インキュベートする。細胞を回収し、ヒトIL15抗体(Abcam,Cambridge,UK)を使用するウエスタンブロッティングによりIL15レベルを分析する。OT-IL15-037及びOT-IL15-040におけるIL15Raの分子量は、OT-IL15-008と同じであるように思われた。
IL15が培地中に脱落するかどうかを試験するために、IL15-IL15Ra融合構築物を発現するHEK293細胞由来の上清をMSD(Rockville,Maryland)などのイムノアッセイに供した。形質移入の48時間後、細胞を分析し、予想通り、構成的IL15-IL15Ra構築物であるOT-IL15-008は、リガンドの存在下及び非存在下でIL15の高い表面発現を示した。OT-IL15-037及びOT-IL15-040は、リガンド(トリメトプリム)依存性のIL15及びIL15Raの表面発現を示した(図41)。上清中の膜結合IL15-IL15Ra融合構築物の検出は、IL15構築物が細胞表面から脱落している可能性が高いことを示唆している。
実施例47.膜結合IL15発現に対するin vitroでのTMPへのTMP曝露の影響
in vitroでのTMPへの曝露の用量及び時間が膜結合IL15発現に影響を与えるかどうかを判定するために、OT-IL15-073を発現するT細胞を用いてin vitro用量反応研究を実施した。この目的のために、T細胞を、24ウェルプレート中で24時間、ビーズ対T細胞の比率が3:1のCD3/CD28ビーズを用いて活性化した。レンチウイルスをウェルに加えた。24時間後、2~3日毎に新鮮な培地を加え、細胞を0.5~1×10
6/mlに維持しながら細胞を増殖させた。増殖の11日目、100uM、10倍希釈及び9点で開始するTMPで処理したT細胞を、培養中で2時間後(TMP添加後3回洗浄、22時間、TMPなしの新鮮な培地を添加)、培養中6時間、または培養中24時間後に分析し、その結果を図42Aに示す。図42B及び表33に示すように、この研究は、TMPリガンドが膜結合IL15発現を調節し、in vitroでのTMPへの曝露の用量及び時間が膜結合IL15発現に影響することを示した。
実施例48.調節された膜結合IL15のin vivo発現
in vivoでの膜結合IL15の調節を評価するために、2つの構築物をin vivoで評価するために選択した。T細胞の4つの群を本研究に使用し、表34に概説する。表31では、「N」は各群のマウスの数を表す。
in vivo研究の一部として使用する予定のT細胞を、形質導入の6日後、移植の日(形質導入の9日後)及び形質導入の13日後に評価し、群2~4の細胞は構築物の発現を示した。
表31に概説したT細胞を、静脈内投与によりマウスに投与した(移植したマウスあたり3.9×106細胞)。3日目に、マウスに500mg/kgのTMPを3回投与し(4時間の投与間隔)、各投与の2時間後に採血した。4日目、最初のTMP投与の24時間後に再びマウスから採血した。
図43A~43Cは、IL15染色(図43A)、IL15Ra染色(図43B)、及びIL15/IL15Ra二重++染色(図43C)を使用した、最初のTMP投与の2、6、10、及び24時間後の膜結合IL15の発現を示す。図43Dは、最初のTMP投与から10時間後の各マウスのFACSプロットである。図43Eは、最初のTMP投与の2、6、10、及び24時間後の血中の膜結合IL15の発現を示し、図43Fは、最初のTMP投与の2、6、10、及び24時間後の血漿TMPレベルを示す。
実施例49.T細胞機能に対する長期腹腔内(IP)または経口(PO)TMP投与の効果
本研究では、OT-IL15-071またはOT-IL15-073(lentiBoostなし)で形質導入したT細胞をマウスに静脈内投与した(マウスあたり15×10
6)。本研究では、6つの試験群を評価した:(1)非形質導入、(2)OT-IL15-071 T細胞、(3)OT-IL15-073 POビヒクル、(4)OT-IL15-073 PO TMP 500mg/kg)、(5)OT-IL15-073 IPビヒクル、及び(6)OT-IL15-073 IP TMP 300mg/kg。研究設計を表35に示す。経口投与は0.1Mクエン酸塩中の500mg/kg TMPであり、腹腔内投与は水中の300mg/kg TMP乳酸である。
血中での調節された発現を、最初の投与の6時間後及び24時間後、ならびに5回目の投与の6時間後に分析した。
OT-IL15-071は膜結合IL15の発現を示し、非形質導入対照は発現を示さなかった。
膜結合IL15の調節は、経口及び腹腔内の反復投与で認められた。図44に認められるように、膜結合IL15の調節発現は、0日目の最初の投与の6時間後、及び経口及び腹腔内投与の両方で5日目の投与の6時間後(126時間)に検出された。ビヒクルで処理したマウスでは発現の増加はなかった。
本発明を、いくつかの記載した実施形態に関して、ある程度の長さである程度詳細に説明してきたが、これは、本発明がいずれかのそのような詳細もしくは実施形態またはいずれかの特定の実施形態に限定されるべきであることを意図するものではなく、ただし、特許請求の範囲を参照して解釈すべきであり、それにより、先行技術を考慮してかかる請求項の可能な限り広い解釈を提供し、したがって、本発明の意図する範囲を効果的に包含する。
本明細書中で言及するすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全体を参照により援用する。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先される。さらに、節の見出し、材料、方法、及び実施例は説明のみを目的としており、限定することを意図するものではない。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
第1のエフェクターモジュールを含む、細胞または対象において免疫応答を誘導するための組成物であって、前記エフェクターモジュールが、少なくとも1つの免疫療法薬に作動可能に連結した第1の刺激応答エレメント(SRE)を含む、前記組成物。
(項目2)
前記少なくとも1つの免疫療法薬が、キメラ抗原受容体(CAR)及び抗体から選択される、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記第1のSREが、少なくとも1つの刺激に応答するか、または相互作用する、項目2に記載の組成物。
(項目4)
前記第1のSREが不安定化ドメイン(DD)である、項目3に記載の組成物。
(項目5)
前記DDが、親タンパク質または前記親タンパク質に比べて1、2、3またはそれ以上のアミノ酸変異を有する変異タンパク質に由来し、前記親タンパク質が:
(a)配列番号3のアミノ酸配列を有するヒトタンパク質FKBP、
(b)配列番号1のアミノ酸配列を有するヒトDHFR(hDHFR)、
(c)配列番号2のアミノ酸配列を有するE.coli DHFR(ecDHFR)、
(d)配列番号4のアミノ酸配列を有するPDE5、
(e)配列番号5のアミノ酸配列を有するPPARγ、
(f)配列番号6のアミノ酸配列を有するCA2、及び
(g)配列番号7のアミノ酸配列を有するNQO2
から選択される、項目4に記載の組成物。
(項目6)
前記親タンパク質がhDHFRであり、前記DDが:
(a)hDHFR(I17V)、hDHFR(F59S)、hDHFR(N65D)、hDHFR(K81R)、hDHFR(A107V)、hDHFR(Y122I)、hDHFR(N127Y)、hDHFR(M140I)、hDHFR(K185E)、hDHFR(N186D)、hDHFR(M140I)、hDHFR(野生型のアミノ酸2~187;N127Y)、hDHFR(野生型のアミノ酸2~187;I17V)、hDHFR(野生型のアミノ酸2~187;Y122I)、及びhDHFR(野生型のアミノ酸2~187;K185E)から選択される単一変異;
(b)hDHFR(C7R、Y163C)、hDHFR(A10V、H88Y)、hDHFR(Q36K、Y122I)、hDHFR(M53T、R138I)、hDHFR(T57A、I72A)、hDHFR(E63G、I176F)、hDHFR(G21T、Y122I)、hDHFR(L74N、Y122I)、hDHFR(V75F、Y122I)、hDHFR(L94A、T147A)、DHFR(V121A、Y22I)、hDHFR(Y122I、A125F)、hDHFR(H131R、E144G)、hDHFR(T137R、F143L)、hDHFR(Y178H、E18IG)、hDHFR(Y183H、K185E)、hDHFR(E162G、I176F) hDHFR(野生型のアミノ酸2~187;I17V、Y122I)、hDHFR(野生型のアミノ酸2~187;Y122I、M140I)、hDHFR(野生型のアミノ酸2~187;N127Y、Y122I)、hDHFR(野生型のアミノ酸2~187;E162G、I176F)、及びhDHFR(野生型のアミノ酸2~187;H131R、E144G)、及びhDHFR(野生型のアミノ酸2~187;Y122I、A125F)から選択される二重変異;
(c)hDHFR(V9A、S93R、P150L)、hDHFR(I8V、K133E、Y163C)、hDHFR(L23S、V121A、Y157C)、hDHFR(K19E、F89L、E181G)、hDHFR(Q36F、N65F、Y122I)、hDHFR(G54R、M140V、S168C)、hDHFR(V110A、V136M、K177R)、hDHFR(Q36F、Y122I、A125F)、hDHFR(N49D、F59S、D153G)、hDHFR(G21E、I72V、I176T)、hDHFR(野生型のアミノ酸2~187;Q36F、Y122I、A125F)、hDHFR(野生型のアミノ酸2~187;Y122I、H131R、E144G)、hDHFR(野生型のアミノ酸2~187;E31D、F32M、V116I)、及びhDHFR(野生型のアミノ酸2~187;Q36F、N65F、Y122I)から選択される三重変異;または
(d)hDHFR(V2A、R33G、Q36R、L100P、K185R)、hDHFR(野生型のアミノ酸2~187;D22S、F32M、R33S、Q36S、N65S)、hDHFR(I17N、L98S、K99R、M112T、E151G、E162G、E172G)、hDHFR(G16S、I17V、F89L、D96G、K123E、M140V、D146G、K156R)、hDHFR(K81R、K99R、L100P、E102G、N108D、K123R、H128R、D142G、F180L、K185E)、hDHFR(R138G、D142G、F143S、K156R、K158E、E162G、V166A、K177E、Y178C、K185E、N186S)、hDHFR(N14S、P24S、F35L、M53T、K56E、R92G、S93G、N127S、H128Y、F135L、F143S、L159P、L160P、E173A、F180L)、hDHFR(F35L、R37G、N65A、L68S、K69E、R71G、L80P、K99G、G117D、L132P、I139V、M140I、D142G、D146G、E173G、D187G)、hDHFR(L28P、N30H、M38V、V44A、L68S、N73G、R78G、A97T、K99R、A107T、K109R、D111N、L134P、F135V、T147A、I152V、K158R、E172G、V182A、E184R)、hDHFR(V2A、I17V、N30D、E31G、Q36R、F59S、K69E、I72T、H88Y、F89L、N108D、K109E、V110A、I115V、Y122D、L132P、F135S、M140V、E144G、T147A、Y157C、V170A、K174R、N186S)、hDHFR(L100P、E102G、Q103R、P104S、E105G、N108D、V113A、W114R、Y122C、M126I、N127R、H128Y、L132P、F135P、I139T、F148S、F149L、I152V、D153A、D169G、V170A、I176A、K177R、V182A、K185R、N186S)、及びhDHFR(A10T、Q13R、N14S、N20D、P24S、N30S、M38T、T40A、K47R、N49S、K56R、I61T、K64R、K69R、I72A、R78G、E82G、F89L、D96G、N108D、M112V、W114R、Y122D、K123E、I139V、Q141R、D142G、F148L、E151G、E155G、Y157R、Q171R、Y183C、E184G、K185del、D187N)から選択される四重もしくはそれ以上の変異;
を有する変異タンパク質を含む、項目5に記載の組成物。
(項目7)
前記刺激が、トリメトプリム(TMP)及びメトトレキサート(MTX)からなる群から選択される、項目6に記載の組成物。
(項目8)
前記免疫療法薬がキメラ抗原受容体(CAR)である、項目2に記載の組成物。
(項目9)
前記キメラ抗原受容体(CAR)が、
(a)細胞外標的部分;
(b)膜貫通ドメイン;
(c)細胞内シグナル伝達ドメイン;及び
(d)場合により、1つ以上の共刺激ドメイン。
を含む、項目8に記載の組成物。
(項目10)
前記CARが、標準CAR、スプリットCAR、オフスイッチCAR、オンスイッチCAR、第1世代CAR、第2世代CAR、第3世代CAR、または第4世代CARである、項目9に記載の組成物。
(項目11)
前記細胞外標的部分が、がん細胞の表面上の標的分子を認識し、前記がん細胞の表面上の前記標的分子が、がん抗原、原形質膜脂質、受容体及び膜結合糖タンパク質から選択される、項目9に記載の組成物。
(項目12)
前記細胞外標的部分が:
i.Ig NAR、
ii.Fabフラグメント、
iii.Fab’フラグメント、
iv.F(ab)’2フラグメント、
v.F(ab)’3フラグメント、
vi.Fv、
vii.単鎖可変フラグメント(scFv)、
viii.bis-scFv、(scFv)2、
ix.ミニボディ、
x.ダイアボディ、
xi.トライアボディ、
xii.テトラボディ、
xiii.細胞内抗体、
xiv.ジスルフィド安定化Fvタンパク質(dsFv)、
xv.ユニボディ、
xvi.ナノボディ、及び
xvii.目的タンパク質、リガンド、受容体、受容体断片、またはペプチドアプタマーのいずれかに特異的に結合する抗体に由来する抗原結合領域
のいずれかから選択される、項目9~11のいずれかに記載の組成物。
(項目13)
前記細胞外標的部分が、CD19抗原に特異的に結合する抗体に由来するscFvである、項目12に記載の組成物。
(項目14)
前記scFvがCD19であり、前記scFvが:
(a)配列番号49~80からなる群から独立して選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号81~122のいずれかからなる群から独立して選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;または
(b)配列番号123~267及び624のいずれかからなる群から選択されるアミノ酸配列
を有するものから選択される、項目13に記載の組成物。
(項目15)
(a)前記CARの前記細胞内シグナル伝達ドメインが、T細胞受容体CD3ζまたはFcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、及びCD66dからなる群から選択される細胞表面分子に由来する前記シグナル伝達ドメインであり;
(b)前記共刺激ドメインが存在し、それが、2B4、HVEM、ICOS、LAG3、DAP10、DAP12、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD30、CD40、ICOS(CD278)、グルココルチコイド誘発腫瘍壊死因子受容体(GITR)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、及びB7-H3からなる群から選択される、項目9に記載の組成物。
(項目16)
前記CARの前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号339のアミノ酸配列を有するT細胞受容体CD3ζシグナル伝達ドメインである、項目15に記載の組成物。
(項目17)
前記CARの前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号626のアミノ酸配列を有するT細胞受容体CD3ζシグナル伝達ドメインであり、共刺激ドメインが存在し、前記共刺激ドメインが、配列番号268~374のいずれかのアミノ酸配列から選択される、項目9に記載の組成物。
(項目18)
前記膜貫通ドメインが:
(a)T細胞受容体のα、βまたはζ鎖の膜貫通領域;
(b)T細胞受容体のCD3ε鎖;
(c)CD4、CD5、CD8、CD8α、CD9、CD16、CD22、CD33、CD28、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD148、DAP10、EpoRI、GITR、LAG3、ICOS、Her2、OX40(CD134)、4-1BB(CD137)、CD152、CD154、PD-1、またはCTLA-4から選択される分子;及び
(d)IgG1、IgD、IgG4、及びIgG
4
Fc領域から選択される免疫グロブリン
からなる群のメンバーのいずれかに由来する、項目9に記載の組成物。
(項目19)
前記膜貫通ドメインが、配列番号375~425及び897~907のいずれかからなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、項目9に記載の組成物。
(項目20)
前記CARがさらに、
(e)前記膜貫通ドメインの近傍のヒンジ領域であって、前記ヒンジ領域が、配列番号426~504のいずれかからなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、前記ヒンジ領域
を含む、項目9に記載の組成物。
(項目21)
前記免疫療法薬が、腫瘍特異性抗原(TSA)、腫瘍関連抗原(TAA)、または抗原性エピトープから選択される抗原に対して特異的に免疫反応性である抗体である、項目2に記載の組成物。
(項目22)
前記抗原が抗原性エピトープであり、前記抗原性エピトープがCD19である、項目21に記載の組成物。
(項目23)
前記抗体が、
(a)配列番号49~80のいずれかからなる群から独立して選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号81~122のいずれかからなる群から独立して選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;または
(b)配列番号123~267のいずれかからなる群から選択されるアミノ酸配列
を有する抗体から選択される、項目22に記載の組成物。
(項目24)
前記第1のエフェクターモジュールが、配列番号635~649、1005~1010、1015~1018、及び1215~1231のいずれかのアミノ酸配列を有する、項目1に記載の組成物。
(項目25)
前記エフェクターモジュールの前記第1のSREが、1以上の安定化比によって前記免疫療法薬を安定化し、前記安定化比が、刺激の非存在下での前記免疫療法薬の発現、機能またはレベルに対する、刺激の存在下での前記免疫療法薬の発現、機能またはレベルの比を含む、項目24に記載の組成物。
(項目26)
前記SREが、0~0.09の不安定化比で前記免疫療法薬を不安定化し、前記不安定化比が、SREに特異的な刺激の非存在下で構成的に発現する前記免疫療法薬の発現、機能またはレベルに対する、SREに特異的な刺激の非存在下での前記免疫療法薬の発現、機能またはレベルの比を含む、項目24~25のいずれかに記載の組成物。
(項目27)
項目1~26のいずれかの組成物をコードするポリヌクレオチド。
(項目28)
前記ポリヌクレオチドが、DNA分子またはRNA分子である、項目27に記載のポリヌクレオチド。
(項目29)
前記ポリヌクレオチドがRNA分子であり、前記RNA分子がメッセンジャーRNAである、項目28に記載のポリヌクレオチド。
(項目30)
化学修飾されている、項目29に記載のポリヌクレオチド。
(項目31)
時空間的に選択されたコドンを含む、項目28に記載のポリヌクレオチド。
(項目32)
プロモーター、リンカー、シグナルペプチド、タグ、切断部位及び/またはターゲティングペプチドをさらにコードする、項目29に記載のポリヌクレオチド。
(項目33)
項目27~32のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
(項目34)
前記ベクターが、ウイルスベクターまたはプラスミドである、項目33に記載のベクター。
(項目35)
ウイルスベクターであり、前記ウイルスベクターがレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、組換えAAVベクター、アデノウイルスベクター、または腫瘍溶解性ウイルスベクターである、項目34に記載のベクター。
(項目36)
項目1~26のいずれかの組成物のいずれか、項目27~32のいずれかのポリヌクレオチドを発現し、及び/または項目33~35のいずれかのベクターで感染または形質移入した養子細胞移入(ACT)用の免疫細胞。
(項目37)
前記免疫細胞が、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NKT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)、記憶T細胞、調節性T(Treg)細胞、サイトカイン誘導性キラー(CIK)細胞、樹状細胞、ヒト胚性幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、またはそれらの混合物である、項目36に記載の免疫細胞。
(項目38)
前記免疫細胞が、第2のエフェクターモジュールを含む組成物をさらに発現し、前記第2のエフェクターモジュールが、第2の免疫療法薬に連結した第2のSREを含み、前記第2の免疫療法薬が、サイトカイン、及びサイトカイン-サイトカイン受容体融合体から選択される、項目36に記載の免疫細胞。
(項目39)
第2の免疫療法薬がサイトカインである、項目38に記載の免疫細胞。
(項目40)
前記サイトカインが、IL12またはIL15である、項目39に記載の免疫細胞。
(項目41)
前記第2の免疫療法薬が、サイトカイン-サイトカイン受容体融合ポリペプチドである、項目38に記載の免疫細胞。
(項目42)
前記サイトカイン-サイトカイン受容体融合ポリペプチドが、IL12-IL12受容体融合ポリペプチド、IL15-IL15受容体融合ポリペプチド、及びIL15-IL15受容体sushiドメイン融合ポリペプチドから選択される、項目41に記載の免疫細胞。
(項目43)
前記免疫細胞が、特定の個々の対象に関して、自己、同種、同系、または異種である、項目36または37に記載の免疫細胞。
(項目44)
対象の腫瘍体積または腫瘍量の低減方法であって、前記対象を、項目1~26のいずれかの組成物、項目27~32のいずれかのポリヌクレオチド、項目33~35のいずれかのベクターまたは項目36~43のいずれかの免疫細胞と接触させることを含み、前記SREが刺激に応答し、前記免疫療法薬の発現及び機能を調節する、前記低減方法。
(項目45)
対象の免疫応答の誘導方法であって、前記対象に、項目1~26の組成物のいずれか、項目27~32のいずれかのポリヌクレオチド、項目33~35のいずれかのベクターまたは項目36~43のいずれかの免疫細胞の有効量を投与することを含む、前記誘導方法。
(項目46)
FMC63抗体に結合しないCD19抗原のドメイン(FMC63とは別個のCD19結合ドメイン)の同定方法であって、前記方法が:
(a)CD19抗原を含む組成物を調製し、
(b)前記(a)の組成物を飽和レベルのFMC63抗体と接触させ、
(c)工程(b)の組成物を、潜在的なCD19結合剤のライブラリの1つ以上の選択されたメンバーと接触させ;及び
(d)FMC63の結合に対する、前記CD19結合剤のライブラリの前記選択されたメンバーの示差的な結合に基づいて、前記CD19抗原上の結合ドメインを同定する
ことを含む、前記同定方法。
(項目47)
前記ライブラリの前記結合ドメインを、前記CD19抗原をシード配列として用いたファージディスプレイ技術を使用して生成する、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記結合ドメインが、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)’2フラグメント、F(ab)’3フラグメント、Fv、単鎖可変フラグメント(scFv)、bis-scFv、(scFv)2、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ジスルフィド安定化Fvタンパク質(dsFv)、ユニボディ、ナノボディ、または抗体の抗原結合領域、及び抗体断片から選択される、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記CD19抗原が、ヒトCD19抗原の全体または一部、及びアカゲザルCD19抗原の全体または一部から選択される、項目48に記載の方法。
(項目50)
項目46~49のいずれかに記載の方法に従って得られた、前記FMC63とは別個のCD19結合ドメインを含む、キメラ抗原受容体。
(項目51)
項目50に記載のキメラ抗原受容体に作動可能に連結した刺激応答エレメント(SRE)を含む、エフェクターモジュール。