JP7241120B2 - 可変エアファンネル構造 - Google Patents

Description

本発明は、内燃機関に用いられる可変エアファンネル構造に関する。

従来の技術として、内燃機関に吸気を供給するエアクリーナ内に配置された可変エアファンネル構造において、固定ファンネルと可動ファンネルとを備え、固定ファンネルに可動ファンネルを接続して、ファンネルを延長状態とするものがある。この可変エアファンネル構造は、可動ファンネルを固定ファンエル接続する方向に移動させるために、可動ファンネルを固定ファンネルの方向に付勢するアクチュエータを備え、ファンネルの延長状態は、アクチュエータを駆動し続ける、あるいはアクチュエータを間欠的に駆動させて維持させている（特許文献１参照）。

このような可変エアファンネル構造では、ファンネルの延長状態を維持するために、常にアクチュエータを駆動し続ける、あるいはアクチュエータを間欠的に駆動させているので、アクチュエータの電力の消費量が多く、さらにアクチュエータの耐久性が必要とされるといった課題がある。

特開２００８－４５５３５号公報

そこで本発明は、上記課題を解決するためのものであって、可動ファンネルの位置を維持するためのアクチュエータの電力の消費量を低下させ、さらにアクチュエータの耐久性を向上させる可変エアファンネル構造を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、本発明に係る可変エアファンネル構造は、内燃機関を有する車両に搭載されるエアクリーナと、
固定ファンネルと、前記固定ファンネルに対して移動する可動ファンネルと、前記可動ファンネルを移動させるアクチュエータを備え、
前記アクチュエータの駆動力によって可動ファンネルを移動させることで、前記エアクリーナ内のファンネル長さが延長状態と短縮状態とに可変され、
前記ファンネル長さが延長状態のときに、前記可動ファンネルは延長位置にあり、前記ファンネル長さがが短縮状態のときに、前記可動ファンネルは短縮位置にある可変エアファンネル構造において、
前記可動ファンネルを一方向に付勢する弾性部材を備え、
前記可動ファンネルが前記延長位置または前記短縮位置にある状態で、前記アクチュエータは駆動力を発揮せず、
前記可動ファンネルは、前記弾性部材の付勢力のみで、前記延長位置または前記短縮位置にある状態を維持することを特徴とする。

前記構成によれば、可動ファンネルを延長位置または短縮位置にある状態を維持するためにアクチュエータを駆動することを抑制でき、延いてはアクチュエータの耐久性を向上させることができる。

前記構成において、前記可動ファンネルは、前記延長位置において、前記エアクリーナ内に固定された固定ファンネルに接続され、
前記可動ファンネルは、前記弾性部材の付勢力のみで、前記延長位置の状態を維持するようにしてもよい。

前記構成によれば、可動ファンネルは、弾性部材の付勢力によって、固定ファンネルに押し付けられるので、可動ファンネルと固定ファンネルの間の気密性を高めることができる。さらに、弾性部材によって振動等を吸収して、可動ファンネルや固定ファンネルに過度な応力が発生することを抑制できる。

前記構成において、前記可動ファンネルの前記固定ファンネルと接続される端部を、前記可動ファンネルと同一部材で形成されるフランジを有するようにしてもよい。

前記構成によれば、可動ファンネルは弾性部材によって固定ファンネル側に付勢されるため、別部材のシール等を設ける必要がなく、簡易な構造で気密性を高めることができる。

前記構成において、前記固定ファンネルは、前記エアクリーナ内に固定され、
前記可動ファンネルは、前記短縮位置において、前記固定ファンネルから離間し、
前記可動ファンネルは、前記短縮位置において、前記弾性部材の付勢力と前記アクチュエータの駆動力が釣り合う位置で固定することもできる。

前記構成によれば、可動ファンネルが短縮位置で維持されている状態で、振動等が加わっても、弾性部材によって振動を吸収し、周辺部品に過度な応力が発生することを抑制できる。

前記構成において、前記可動ファンネルは、前記エアクリーナに設けられた柱状部材に沿って移動し、
前記弾性部材を、前記柱状部材が挿通されるスプリングとすることもできる。

前記構成によれば、弾性部材を別途収容するスペースや構造が不要となり、可変エアファンネル構造をコンパクト化することができる。

前記構成において、前記可動ファンネルは、複数個設けられ、
隣り合う前記可動ファンネルは、接続部により、一体となった一体可動ファンネルとされ、
前記柱状部材および前記弾性部材を、前記一体可動ファンネルの対角に位置して複数設けてもよい。

前記構成によれば、一体になった複数の可動ファンネルの対角にそれぞれ柱状部材と弾性部材が設けられるため、可動ファンネルの倒れ等が発生しづらく、可動ファンネルをスムーズに移動させることができる。

前記構成において、前記エアクリーナ内には保持部材が設けられ、
前記保持部材に対し、前記柱状部材、前記弾性部材および前記可動ファンネルが取り付けられ、
前記保持部材が前記エアクリーナに取り付けるようにしてもよい。

前記構成によれば、保持部材に対して柱状部材、弾性部材および可動ファンネルを小組してから保持部材をエアクリーナ内に固定することで組付け性が向上する。

本発明の可変エアファンネル構造によれば、可動ファンネルを延長位置または短縮位置にある状態を維持するためにアクチュエータを駆動することを抑制でき、延いてはアクチュエータの耐久性を向上させることができる。

本発明の一実施の形態に係る可変エアファンネル装置が適用された自動二輪車の左側面図である。 内燃機関の左側面図である。 上部エアクリーナボックスを取り外したエアクリーナ12の斜視図である。 可変エアファンネル装置の斜視図である。 可変エアファンネル装置を前方から視た正面図である。 可変エアファンエル装置を上方から視た平面図である。 保持部材の斜視図である。 保持部材の平面図である。 図６のIX-IX矢視要部拡大断面図である。 可動ファンネルが延長位置にあるファンネルの延長状態を示した図６のX-X矢視断面図断面図である。 図１０において、可動ファンネルが短縮位置にあるファンネルの短縮状態を示した断面図である。

以下、本発明に係る一実施の形態について図１ないし図１１に基づいて説明する。
図１は、本発明の一実施の形態に係る可変エアファンネル構造が適用された内燃機関１が搭載された自動二輪車100の全体左側面図である。
なお、本明細書の説明において、前後左右の向きは、自動二輪車100の直進方向を前方とし、車両の通常の基準に従うものとする。可変エアファンネル構造についての上下方向は、ファンネル21の中心軸線Ｌにおいて、吸気の上流側を上とし、下流側を下として説明する。

図１に示されるように、自動二輪車100の車体フレーム101は、前輪112を軸支するフロントフォーク111を操向可能に支承するヘッドパイプ102と、ヘッドパイプ102から後下がりに延びる左右一対のメインフレーム103と、ヘッドパイプ102と左右のメインフレーム103の前部に連接されるとともにメインフレーム103の下方で後下がりに延びる左右一対のエンジンハンガ105と、メインフレーム103の後端部に連設されて下方に延びる左右一対のピボットフレーム104と、両メインフレーム103の後部から後上がりに延びる左右一対のシートレール106と、を備える。

車体フレーム101には、メインフレーム103の下方にエンジンハンガ105とピボットフレーム104により前後を懸架されて内燃機関１が搭載され、ピボットフレーム104に前端を軸支されたスイングアーム113が後方に延び、その後端部に後輪114が軸支され、内燃機関１の出力軸９に嵌着される駆動スプロケット115と後車軸に嵌着される被動スプロケット116とに無端状のチェーン117が巻き掛けられる。

内燃機関１の上方には、車体フレーム101におけるヘッドパイプ102の後方に位置するようにしてエアクリーナ12が配置され、エアクリーナ12の後部および上部を覆う燃料タンク17が、車体フレーム101における両メインフレーム103上に搭載され、燃料タンク17の後方には、メインシート107およびピリオンシート108がシートレール106に支持されて設けられている。内燃機関１の前方にはラジエータ18が配置されている。

図２は、エアクリーナ12を省略した内燃機関１の左側面図である。内燃機関１は、クランクケース２内に変速機８を備えた、いわゆるパワーユニットを構成している。
本内燃機関１は、水冷４ストロークサイクル並列４気筒内燃機関であり、クランクシャフト７を車幅方向（左右方向）に指向させ、４つの気筒を車幅方向に等間隔に並べて配列させて車体フレーム101に横置きに搭載される。

クランクケース２は、車幅方向（左右方向）に指向するクランクシャフト７を上下から挟んで軸支するように、上側クランクケース２Ａと下側クランクケース２Ｂの上下割りに構成されている。
上側クランクケース２Ａの前方上部にやや前傾してシリンダブロック３が一体に形成され、シリンダブロック３上に、シリンダヘッド４が重ねられてスタッドボルトにより一体に締結され、シリンダヘッド４の上にはシリンダヘッドカバー５が被せられ、下側クランクケース２Ｂの下にはオイルパン６が取り付けられる。

クランクケース２にはクランクシャフト７が回転自在に軸支されるとともに、クランクシャフト７の後方には変速機８が内蔵される。
若干前傾したシリンダヘッド４の後側壁４Ｒには吸気ポート４ａに接続して４つのスロットルボディ10および４つのファンネル21が気筒配列方向に配列して上方に突設されておる。図１および図３に示されるように、ファンネル21はエアクリーナ12のクリーンサイドに嵌入している。

シリンダヘッド４の前側壁４Ｆには、排気ポート４ｂに接続して排気管15が前方に延出し、下方に屈曲して内燃機関１の下方に回り込んで後方に延び、さらに上方に屈曲してピリオンシート108の下に配設される排気マフラー16に接続されている（図１参照）

次に可変エアファンネル構造としての可変エアファンネル装置20について詳細に述べる。
図１に示されるように、自動二輪車100は、外気を取り入れて清浄にするエアクリーナ12と、内燃機関１のスロットルボディ10に取り付けられる可変エアファンネル装置20と、を備えている。

エアクリーナ12は、下エアクリーナボックス13ａと上エアクリーナボックス13ｂで構成されるエアクリーナボックス13と、エアクリーナボックス13の内部に配置されるフィルター14とを有している（図３参照）。下エアクリーナボックス13ａに、上エアクリーナボックス13ｂが取り付けられて、エアクリーナボックス13は外部と仕切られた空間とされている。エアクリーナボックス13の内部は、フィルター14を挟んでダーティーサイドとクリーンサイドに分割される。

図３はエアクリーナ12の下エアクリーナボックス13ａから上エアクリーナボックス13ｂを取り外した斜視図である。エアクリーナボックス13の車両方向前方側に、フィルター14が取り付けられており、後方側に可変エアファンネル装置20が配設されている。可変エアファンネル装置20は、内燃機関１のそれぞれの気筒に対応するファンネル21を備えており、本実施の形態の可変エアファンネル装置20は４つのファンネル21を具備している。

可変エアファンネル装置20はアクチュエータ40を備えており、アクチュエータ40の駆動力により、内燃機関１のエンジン回転数に応じて、ファンネル21の長さを変更する。可変エアファンネル装置20は、エンジン回転数が低速域の際にはファンネル21の長さを長くし、エンジン回転数が高速域の場合にはファンネル21の長さを短くして、エンジン回転数の全域で高いトルク性を発揮しようとする。

図４は可変エアファンネル装置20を示した斜視図である。図５は可変エアファンネル装置20を前方から視た図である。それぞれのファンネル21は、固定ファンネル22と、固定ファンネル22に対して固定ファンネル22の中心軸線Ｌ方向に移動する可動ファンネル23を具備している。

固定ファンネル22は、吸気が通過する筒状の筒部22ａを備え、筒部22ａの上端は折り返された鍔状のフランジ部22ｂとなっている。図５も参照して、筒部22ａの外周面には、筒部22ａから突出して固定部22ｃが形成されている。固定部22ｃにはボルト（不図示）が挿通されて、このボルトを下エアクリーナボックス13ａに螺合して、固定ファンネル22は下エアクリーナボックス13ａに固定される。

一対の固定ファンネル22は隣り合う一対が接続され、一体固定ファンネル32に形成されている。本実施の形態では、右側の隣り合う一対の固定ファンネル22のフランジ部22ｂが連接され、一体固定ファンネル32になっている。同様に、左側の隣り合う一対の固定ファンネル22のフランジ部22ｂが連設され、一体固定ファンネル32となっている。

可動ファンネル23は、吸気が通過する筒状の筒状部23ａを備え、筒状部23ａの上端は鍔状の上流側フランジ部23ｂに形成され、筒状部23ａの下端は鍔状の下流側フランジ部23ｃに形成されている。上流側フランジ部23ｂと下流側フランジ部23ｃは、可動ファンネル23の筒状部23ａと同一部材で形成されている。筒状部23ａの外周面には、後述する柱状部材26が挿通される柱状部材挿通部23ｄが、筒状部23ａの外周面から突出して形成されている。

一対の可動ファンネル23のそれぞれの上流側フランジ部23ｂは、連設されて一体となっている。さらに、図５に示されるように、一対の可動ファンネル23の筒状部23ａは、接続部23ｅにより一体にされている。このように、一対の可動ファンネル23は一体にされた一体可動ファンネル33となっている。本実施の形態では、右側の隣り合う一対の可動ファンネル23、および左側の隣り合う一対の可動ファンネル23のそれぞれが一体とされ、一体可動ファンネルとされている。

図４に示されるように、可変エアファンネル装置20は、アクチュエータ40から伝達される動力が伝達されて回動する回動軸45を支承する保持部材24を備えている。

保持部材24は、図７および図８に示されるように、左右方向に延びる棒状の本体部24ａの左右方向の中央から、前方に向かって延出部24ｂが形成されている。延出部24ｂの先端は二股に分かれた枝部24ｃとなっており、一方が斜め右前方に向かい、他方が斜め左前方に向かっている。本体部24ａの左右のそれぞれの端部、およびそれぞれの枝部24ｃの端部には、柱状部材26を保持する柱状部材保持部24ｄが上方に向かって突設されている（図４参照）。本体部24ａの左右両側と、延出部24ｂの枝部24ｃとの分岐に、ボルト30が挿通されるボルト孔24ｅが形成されている。図４に示されるように、ボルト30を、保持部材24のそれぞれのボルト孔24ｅに挿通して下エアクリーナボックス13ａのボルト固定部13ａ_１に締結することで、保持部材24は下エアクリーナボックス13ａに固定される。

図７および図８に示されるように、保持部材24の本体部24ａの左右両側には、後述する回動軸45を支承する回動軸保持部24ｆが上方に突出して形成されている。回動軸保持部24ｆの上面には、回動軸45を支承する凹部24ｇが形成されており、回動軸45を凹部24ｇに載置した後、図４に示されるように、回動軸保持部24ｆの上面を板状部材24ｈで覆った後、板状部材24ｈをボルト24ｉで回動軸保持部24ｆに固定し、回動軸45を回動可能に保持する。

図９は、図６のIX-IX矢視断面拡大図である。図７に示される保持部材24の左右両端および枝部24ｃの先端に設けられた柱状部材保持部24ｄに、図９に示されるように、柱状部材26が立設される。図４に示されるように、柱状部材26は、一対の可動ファンネル23が一体となった一体可動ファンネル33の対角に位置して配設される。つまり、柱状部材26は一体可動ファンネル33の車体内側前方と車体外側後方に配設される。

図９に示されるように、可動ファンネル23の柱状部材挿通部23ｄには、円筒形状の円筒部25ａの上部に鍔部25ｂが形成されたブッシュ25が嵌合されている。可動ファンネル23の柱状部材挿通部23ｄに嵌合されたブッシュ25には、保持部材24の柱状部材保持部24ｄに立設された柱状部材26が挿通されており、一体可動ファンネル33は、柱状部材26に沿って上下方向に移動可能に配設されている。ブッシュ25によって一体可動ファンネル33が柱状部材26に沿って移動する際の摩擦が低減するとともに、耐久性が向上する。

ブッシュ25の鍔部25ｂに当接して、弾性部材としてのスプリング27が配設されている。スプリング27の内部を柱状部材26が挿通するように、スプリング27は柱状部材26に取り付けられている。図４も参照して、対角に配設された一対の柱状部材26を連結するための連結部材28が、スプリング27の上端が当接するように取り付けられている。連結部材28の両端をボルト29によって柱状部材26の端部に締結して固定する。スプリング27は、ブッシュ25の鍔部25ｂと連結部材28との間で圧縮した状態で取り付けられ、可動ファンネル23は常に固定ファンネル22の方向に付勢されている。

図４および図１０に示されるように、アクチュエータ40は出力軸40ａを備えており、出力軸40ａには、第１リンク部材41の一端が、相対回転不能に取り付けられている。第１リンク部材41の他端には、第２リンク部材42の一端が、第２リンク部材の他端には第３リンク部材43の一端が、それぞれ回動自在に連結されている。

第３リンク部材の他端には、保持部材24に回動可能に支承された回動軸45が、相対回転不能に取り付けられている。アクチュエータ40の回転力は、相互に回動可能に連結された第１リンク部材41、第２リンク部材42および第３リンク部材43を介して回動軸45に伝達される。

図６に示されるように、回動軸45には、左右に位置して２つの回動レバー46が取り付けられている。それぞれの回動レバー46は、一体可動ファンネル33の接続部23ｅの位置に対応するように取り付けられている。図１０に示されるように、回動レバー46の一端46ａは、回動軸45に一体に回動するように固着されている。回動レバー46の他端46ｂには、ローラ46ｃが回動可能に取り付けられている。

図１０に示されるように、一対の可動ファンネル23どうしを接続している接続部23ｅは、前後方向の切断面において、後方に開口したコの字形状の凹部23ｆが形成されている。この凹部23ｆ内に対応した形状の金属部材23ｇが嵌合され、ビス23ｈで接続部23ｅに固定されている。接続部23ｅの金属部材23ｇの内側は、回動レバー46の他端46ｂに取り付けられたローラ46ｃが挿入されるローラ挿入部23ｉとなっている。

金属部材23ｇの上下面とローラ46ｃの外周面とは接するように設定されており、ローラ46ｃは、ローラ挿入部23ｉ内を回転しつつスムーズに前後方向に移動するので、回動レバー46と可動ファンネル23との間の摺動が少なくなり、耐久性が向上する。

一体可動ファンネル33は、アクチュエータ40の駆動力とスプリング27の付勢力により、柱状部材26に沿って上下方向に移動する。

アクチュエータ40には、アーム位置検出センサ50が設けられている。アーム位置検出センサ50は、出力軸40ａの回動角度を検出し、ファンネルの長さが短縮状態の際に、可動ファンネル23の位置についてフィードバック制御をするものである。アーム位置検出センサ50により、可動ファンネル23を連続的に移動制御することができ、また移動速度をコントロールすることが可能となる。

次に可変エアファンネル装置20の動作について説明する。
図５および図１０に示されるように、アクチュエータ40が作動していない場合には、可動ファンネル23は、スプリング27の付勢力のみを受けて、固定ファンネル22側に付勢される。可動ファンネル23は、可動ファンネル23の下流側フランジ部23ｃが固定ファンネル22のフランジ部22ｂに当接するまで移動して、延長位置に位置する。ファンネル21は、固定ファンネル22と可動ファンネル23が接続され、ファンネル長さは延長状態となる。

ファンネル長さが延長状態の際には、可動ファンネル23はスプリング27の付勢力のみで、固定ファンネル22に常時押し付けられた状態となっている。

アクチュエータ40が作動すると、図４および図１１に示されるように、アクチュエータ40の出力軸40ａが図において時計回りに回動し、第１リンク部材41、第２リンク部材42および第３リンク部材43を介して、回動軸45が図において時計回りに回動され、回動レバー46が回動軸45と一体に回動する。

回動レバー46が回動すると、回動レバー46の先端のローラ46ｃが斜め上方に向かって移動し、ローラ46ｃは、可動ファンネル23の接続部23ｅの金属部材23ｇ内を前方に向かって回転しつつ移動する。

可動ファンネル23はアクチュエータ40の駆動力により、スプリング27の付勢力に抗って、柱状部材26に沿って上方に移動し、可動ファンネル23の下流側フランジ部23ｃは、固定ファンネル22のフランジ部22ｂから離れる。可動ファンネル23は、スプリング27の付勢力とアクチュエータ40の駆動力が釣り合う位置で固定され、ファンネル長さが短い短縮状態となり、可動ファンネル23は短縮位置の状態を維持する。この際、アーム位置検出センサ50により、可動ファンネル23の位置は所定の短縮位置になるように、フィードバック制御が行われる。

本実施の形態の可変エアファンネル装置20は、上記したように構成されているので、以下のような効果を奏する。

可変エアファンネル装置20は、内燃機関１を有する自動二輪車100に搭載されるエアクリーナ12と、固定ファンネル22と、固定ファンネル22に対して移動する可動ファンネル23と、可動ファンネル23を移動させるアクチュエータ40を備えている。アクチュエータ40の駆動力によって可動ファンネル23を移動させることで、エアクリーナ12内のファンネル長さが延長状態と短縮状態とに可変される。ファンネル長さが延長状態のときに、可動ファンネル23は延長位置にあり、ファンネル長さが短縮状態のときに、可動ファンネル23は短縮位置にある。可変エアファンネル装置20は、可動ファンネル23を一方向に付勢するスプリング27を備え、可動ファンネル23が延長位置にある状態で、アクチュエータ40は駆動力を発揮せず、可動ファンネル23は、スプリング27の付勢力のみで、延長位置にある状態を維持しているので、可動ファンネル23を駆動するアクチュエータ40の電力の消費量を低下させることができる。さらにアクチュエータ40を常時稼働させる必要がないので、アクチュエータ40の耐久性を向上させることができる。

また、可動ファンネル23は、延長位置において、スプリング27の付勢力によって、固定ファンネル22に押し付けられるので、可動ファンネル23と固定ファンネル22の間の気密性を高めることができる。さらに、スプリング27によって振動等を吸収して、可動ファンネル23や固定ファンネル22に過度な応力が発生することを抑制できる。

さらにまた、可動ファンネル23の固定ファンネル22と接続される端部は、可動ファンネル23と同一部材で形成される下流側フランジ部23ｃとなっており、可動ファンネル23はスプリング27によって固定ファンネル22側に付勢されるため、別部材のシール等を設ける必要がなく、簡易な構造で気密性を高めることができる。

固定ファンネル22はエアクリーナ12内に固定され、可動ファンネル23は短縮位置において固定ファンネル22から離間し、可動ファンネル23は、延長位置において、スプリング27の付勢力とアクチュエータ40の駆動力が釣り合う位置で固定されるので、可動ファンネル23が短縮位置に維持されている状態で、振動等が加わっても、スプリング27によって振動を吸収し、周辺部品に過度な応力が発生することを抑制することができる。

また、可動ファンネル23はエアクリーナ12に設けられた柱状部材26に沿って移動し、スプリング27は柱状部材26が挿通されるので、弾性部材を別途収容するスペースや構造が不要となり、可変エアファンネル装置20をコンパクト化することができる。

可動ファンネル23は、複数個設けられ、隣り合う可動ファンネル23は、接続部23ｅにより、一体となった一体可動ファンネル33とされ、柱状部材26およびスプリング27は、一体可動ファンネル33の対角に位置して複数設けられているので、可動ファンネル23の倒れ等が発生しづらく、可動ファンネル23をスムーズに移動させることができる。

エアクリーナ12内には保持部材24が設けられ、保持部材24に対し、柱状部材26、スプリング27および可動ファンネル23が取り付けられ、保持部材24がエアクリーナ12に取り付けられているので、保持部材24に対して柱状部材26、弾性部材27および可動ファンネル23を小組みにしてから保持部材24をエアクリーナ12内に固定することが可能となり、組付け性が向上する。

以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の態様が上記実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲で、多様な態様で実施されるものを含むことは勿論である。

１…内燃機関、12…エアクリーナ、 20…可変エアファンネル装置、22…固定ファンネル、23…可動ファンネル、23ｂ…上流側フランジ部、23ｃ…下流側フランジ部、23ｅ…接続部、24…保持部材、26…柱状部材、27…スプリング、33…一体可動ファンネル、40…アクチュエータ、100…自動二輪車。

Claims (6)

1. 内燃機関(1)を有する車両(100)に搭載されるエアクリーナ(12)と、
   固定ファンネル(22)と、前記固定ファンネル(22)に対して移動する可動ファンネル(23)と、前記可動ファンネル(23)を移動させるアクチュエータ(40)を備え、
   前記アクチュエータ(40)の駆動力によって可動ファンネル(23)を移動させることで、前記エアクリーナ(12)内のファンネル長さが延長状態と短縮状態とに可変され、
   前記ファンネル長さが延長状態のときに、前記可動ファンネル(23)は延長位置にあり、前記ファンネル長さが短縮状態のときに、前記可動ファンネル(23)は短縮位置にある可変エアファンネル構造において、
   前記可動ファンネル(23)を一方向に付勢する弾性部材(27)を備え、
   前記可動ファンネル(23)が前記延長位置または前記短縮位置にある状態で、前記アクチュエータ(40)は駆動力を発揮せず、
   前記可動ファンネル(23)は、前記弾性部材(27)の付勢力のみで、前記延長位置または前記短縮位置にある状態を維持し、
   前記可動ファンネル(23)は、前記エアクリーナ(12)に設けられた柱状部材(26)に沿って移動し、
   前記エアクリーナ(12)内には保持部材(24)が設けられ、
   前記保持部材(24)に対し、前記柱状部材(26)、前記弾性部材(27)、前記可動ファンネル(23)、および前記可動ファンネル(23)を移動させる回動レバー(46)が回転可能に取り付けられる回動軸(45)、が取り付けられ、
   前記保持部材(24)が前記エアクリーナ(12)に取り付けられることを特徴とする可変エアファンネル構造。
2. 前記可動ファンネル(23)は、前記延長位置において、前記エアクリーナ(12)内に固定された固定ファンネル(22)に接続され、
   前記可動ファンネル(23)は、前記弾性部材(27)の付勢力のみで、前記延長位置の状態を維持することを特徴とする請求項１に記載の可変エアファンネル構造。
3. 前記可動ファンネル(23)の前記固定ファンネル(22)と接続される端部は、前記可動ファンネル(23)と同一部材で形成されるフランジ(23c)を有していることを特徴とする請求項２に記載の可変エアファンネル構造。
4. 前記固定ファンネル(22)は、前記エアクリーナ(12)内に固定され、
   前記可動ファンネル(23)は、前記短縮位置において、前記固定ファンネル(22)から離間し、
   前記可動ファンネル(23)は、前記短縮位置において、前記弾性部材(27)の付勢力と前記アクチュエータ(40)の駆動力が釣り合う位置で固定されることを特徴とする請求項１ないし請求項３のいずれかに記載の可変エアファンネル構造。
5. 前記弾性部材(27)は、前記柱状部材(26)が挿通されるスプリング(27)であることを特徴とする請求項１ないし請求項４のいずれかに記載の可変エアファンネル構造。
6. 前記可動ファンネル(23)は、複数個設けられ、
   隣り合う前記可動ファンネル(23)は、接続部(23e)により、一体となった一体可動ファンネル(33)とされ、
   前記柱状部材(26)および前記弾性部材(27)は、前記一体可動ファンネル(33)の対角に位置して複数設けられることを特徴とする請求項５に記載の可変エアファンネル構造。

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