以下、本発明の一実施形態を、図1~図5を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる座席制御装置を有するシステムの概略構成図である。
図1に示したシステムは、照明装置としての通信機能付室内灯2と、座席3と、を備えている。このシステムは、例えば鉄道車両等の移動体に設けられている。以下の説明では移動体として鉄道車両の例を説明するが、移動体としては航空機や船舶、自動車等であってもよい。
通信機能付室内灯2は、例えば鉄道車両の客室内に設置され、当該車内を照明する。また、通信機能付室内灯2は、赤外光通信により座席3からの座席の状態を示す状態情報等を受信する。そして、通信機能付室内灯2は、可視光通信により座席3から受信した状態情報等を送信する。なお、通信機能付室内灯2は、図1では1つであるが1両につき複数設置されていてもよい。
座席3は、例えば鉄道車両の客室内に設置されている。座席3は、例えば2人掛けや3人掛け等複数人が横に並んで着席することができる周知のものである。また、座席3は、乗客が進行方向に向かって着席できるように水平方向に回転させて向きを変更することができる。或いは、乗客の好みに合わせて向きを変更することができるようになっていてもよい。また、座席3は、着席した乗客の好みに合わせて背もたれの角度を変化(リクライニング)させることができる。さらには、収納自在なレッグレストやテーブル等が設けられていてもよい。即ち、座席3は、リクライニング可能な背もたれ、レッグレスト、テーブル等の可動部材が設けられている。なお、図1では、座席3は進行方向に沿って4つ(座席3a~3d)が示されているが、後述する説明用に示したものであり座席数は特に限定されない。
図2に通信機能付室内灯2の機能構成図を示す。通信機能付室内灯2は、受光部21と、発光制御部22と、LED23と、を備えている。
受光部21は、例えばフォトダイオードで構成され、座席3から送信された赤外光を受光する。受光した赤外光は電気信号に変換され発光制御部22へ出力される。
発光制御部22は、通信機能付室内灯2の全体制御を司る。発光制御部22は、受光部21で受光した状態情報等を他の座席3へ送信すべくLED23の点灯制御を行い座席3と可視光通信を行う。つまり、可視光通信により送信する状態情報等を所定の変調方式により変調してLED23を点灯させる。
LED23は、発光ダイオードであり、通信機能付室内灯2の発光素子である。LED23は、発光制御部22により情報を送信する場合は、上述したように可視光通信用の送信部として機能し、そうでない場合は通常の照明として機能する。
座席3は、座席制御装置30を備えている。座席制御装置30は、通信機能付室内灯2から送信される他の座席(前後の座席)の状態情報等に基づいて座席の回転の制御をしたり、座席の各部の状態を検出して座席の状態を状態情報として通信機能付室内用2へ送信したりする。図3に、座席制御装置30の機能構成図を示す。座席制御装置30は、受光部31と、制御部32と、制御モータ33と、発光部34と、検出部35と、回転方向設定部36と、を備えている。
受光部31は、例えばフォトダイオードで構成され、通信機能付室内灯2から送信された可視光(状態情報等)を受光する。受光した可視光は電気信号に変換され制御部32へ出力される。即ち、受光部31は、前及び後ろの座席から座席の状態を受信する受信部として機能する。
制御部32は、座席3の全体制御を司る。制御部32は、受光部31が受光した可視光から変換された電気信号から状態情報等を復調する。また、回転方向設定部36に設定された回転方向情報を取得する。そして、復調された情報に基づいて自身の回転の可否を判定し、回転が可能と判定した場合は制御モータ33の制御を行う。また、制御部32は、検出部35が検出した結果に基づいて座席の状態を判定し、判定結果を状態情報として発光部34を介して通信機能付室内灯2へ赤外光通信により送信する。また、制御部32は、回転方向設定部36に設定された回転方向情報を発光部34を介して通信機能付室内灯2へ赤外光通信により送信する。
制御モータ33は、制御部32からの回転指示に応じて座席3を回転させて向きを変更するモータである。制御モータ33は、制御部32からの制御により座席3を回転させる回転駆動部として機能する。
発光部34は、赤外光を発光する発光素子から構成されている。発光部34は、制御部32により検出部35で検出された座席の状態に基づく状態情報や回転方向設定部36に設定された回転方向情報を送信するように発光制御される。即ち、発光部34は、前及び後ろの座席へ座席の状態を送信する送信部として機能する。
検出部35は、座席3の状態を検出する。座席の状態とは、例えば、座席の向き(上り、下り)、現在回転中か否か、リクライニングの状態、背もたれの背面に設けられたテーブルの収納状態、レッグレストの収納状態、着座の有無、足元の物体の有無等である。即ち、リクライニングの状態、背もたれの背面に設けられたテーブルの収納状態、レッグレストの収納状態は座席の可動部材の状態を示す。また、足元の物体の有無は座席の周囲の物体を示し、本実施形態では、この座席の周囲の物体には着席している人体も含める。
座席の向きの検出は、例えば座席が上り方向の場合にオンになるスイッチと座席が下り方向の場合にオンになるスイッチ等により検出可能である。なお、本実施形態では、上り方向と下り方向で説明するが、それに限らず例えば進行方向と垂直な向き(窓に向かって着席する等)であってもよい。テーブルの収納状態は、収納状態になるとオンになるスイッチや収納状態になると光が遮られる光センサ等で検出可能である。レッグレストの収納状態やリクライニングの状態は、復帰位置(デフォルト位置)でオンになるスイッチ等により検出可能である。着座の有無は座面に圧力センサを設置することで検出可能である。足元の物体は光センサにより検出可能である。また、回転中か否かは制御モータ33が動作中か否かで判定することができる。勿論これらの方法に限らず、周知の他の方法により検出してもよい。
制御部32は、座席の状態を示す状態情報としては、少なくとも座席の向きを含めるようにする。したがって、検出部35で検出された他の状態(回転中か否か等)は、検出された状態をそのまま状態情報に含めてもよいし、回転可能な状態か否かという情報にまとめてもよい。例えば、テーブルやレッグレストが未収納の場合やリクライニングが復帰位置以外の角度にある場合はそのまま回転すると前後の座席と接触してしまうことがあるため回転できない。足元に荷物等の物体があると回転に支障をきたすおそれがある。また、座席に人が着席した状態で回転させるのも好ましくない。これらのようなことが検出された場合は、制御部32で回転不可と判定して状態情報に含めてもよい。
また、上述したリクライニングやレッグレスト等の所定の操作により自動的に位置が復帰するものは、復帰しないことが検出された場合(スイッチがオンにならない場合)は、故障であると制御部32が判定して状態情報に含めてもよい。
回転方向設定部36は、座席3の配置に関する情報としての座席3の向きの設定情報である回転方向情報が設定される。即ち、回転方向設定部36は、取得部として機能する。回転方向情報は、例えば鉄道車両の進行方向が上り方向である場合で上り方向へ座席3の向きを変えたい場合は上りを示す情報が含まれ、鉄道車両の進行方向が下り方向である場合で下り方向へ座席3の向きを変えたい場合は下りを示す情報が含まれる。設定方法は、座席3の所定位置に設けたボタン等の入力装置により行えばよい。この回転方向設定部36へ座席の向きの設定がされると回転指令が制御部32へ出力される。制御部32は回転指令を回転方向情報に含めて通信機能付室内灯2へ送信する。
なお、制御部32は、回転方向情報を回転方向設定部36及び通信機能付室内灯2の両方から取得可能であるが、回転方向設定部36から回転方向情報を設定するのは、複数の座席3のうちの一つのみとして、回転方向情報を回転方向設定部36又は通信機能付室内灯2のいずれかから取得するようにする。即ち、受光部34が取得部として機能する場合もある。また、回転方向情報を回転方向設定部36及び通信機能付室内灯2の両方から取得された場合は異常状態として座席3の回転を停止(中止)させる。或いは、回転方向設定部36は、複数の座席3のうち1つのみが備えるようにしてもよい。
また、本実施形態では、座席3の発光部34は、赤外光を発光しているが可視光であってもよい。また、発光部34に代えて電波を送信するようにしてもよい。この場合は通信機能付室内灯2の受光部21も電波を受信するように変更する。あるいは、座席制御部1との通信について無線通信ではなく有線通信としてもよい。
次に、上述した構成のシステムや座席制御装置30の動作について図4及び図5を参照して説明する。なお、以下の説明は、例えば鉄道車両が終点等で折り返す際に座席を一斉に回転させる動作を示すものである。
図4は、複数の座席3間の通信を示したシーケンス図である。なお、図4において、座席3の向きの初期状態は、図1に示したように座席3aが下り方向、座席3b~3dが上り方向を向いている。また、各座席3a~3dは、故障等の回転に支障がある状態ではないとする。ここで、各座席3a~3dには予めアドレスが付与されており、回転方向情報や状態情報等に送信元及び送信先にアドレスを設定することで指令等の発信元と発信先を特定することができる。なお、このアドレスは、座席3の配置関係(前後関係)が把握できるような数値等で付与されるのが好ましい。例えば、アドレスを0、1、2、3と付与すれば、アドレスが“2”の場合は、アドレス“1”と“3”が前後の座席3であることがわかる。
また、図1の座席の配列において、座席3aと座席3cは奇数席、座席3bと座席3dは偶数席とする。奇数席とは、車両内の配列がクロスシートの場合に、車両の一方の端部側から数えて奇数番目に設置されている座席を示す。つまり、図1では左端から座席3aは1番目、座席3cは3番目となる。偶数席とは、クロスシートの場合に、車両の一方の端部側から数えて偶数番目に設置されている座席を示す。つまり、図1では左端から座席3bは2番目、座席3dは4番目となる。
まず、座席の向きを下り方向に向けるよう例えば座席3aの回転方向設定部36に設定されたとする。その場合、座席3aの制御部32は、下り方向との回転方向情報を発光部34から発光部34を介して通信機能付室内灯2へマルチキャストで送信する。通信機能付室内灯2からは、可視光通信として回転方向情報が座席3b~3dへ送信される(T1)。なお、このとき通信機能付室内灯2からの回転方向情報を座席3aも受信するが、回転方向情報に送信元のアドレスが設定されているので自身が送信した情報は破棄される。
座席3aでは、回転方向設定部36に設定された回転方向情報に基づいて、制御部32が座席の状態(下り方向)を状態情報として発光部34に他の座席3b~3dに対してマルチキャストで送信させる(T2)。このとき送信された状態情報は、後ろの座席である座席3bでは受信するが、それ以外の座席3c、3dでは破棄される。
座席3bでは、通信機能付室内灯2から受信した回転方向情報に基づいて、制御部32が座席の状態(上り方向)を状態情報として発光部34に他の座席3a、3c、3dに対してマルチキャストで送信させる(T3)。このとき送信された状態情報は、前後の座席である座席3a、3cでは受信するが、それ以外の座席3dでは破棄される。
座席3cでは、通信機能付室内灯2から受信した回転方向情報に基づいて、制御部32が座席の状態(上り方向)を状態情報として発光部34に他の座席3a、3b、3dに対してマルチキャストで送信させる(T4)。このとき送信された状態情報は、前後の座席である座席3b、3dでは受信するが、それ以外の座席3aでは破棄される。
座席3dでは、通信機能付室内灯2から受信した回転方向情報に基づいて、制御部32が座席の状態(上り方向)を状態情報として発光部34に他の座席3a~3cに対してマルチキャストで送信させる(T5)。このとき送信された状態情報は、前の座席である座席3cでは受信するが、それ以外の座席3a、3bでは破棄される。なお、T2~T5は、実行順序については特に制限はない。
次に、座席3aでは、回転方向情報(下り方向)と、自身の現在の向き(下り方向)と、隣接する座席3の状態情報(座席3b=上り方向)とに基づいて回転の可否を判定する。座席3aの場合、回転方向情報と現在の向きが一致するので回転は不要と判定され回転動作は行われない(T6)。
座席3bでは、回転方向情報(下り方向)と、自身の現在の向き(上り方向)と、隣接する座席3の状態情報(座席3a=下り方向、座席3c=上り方向)とに基づいて回転の可否を判定する。座席3bの場合、回転方向情報と現在の向きが不一致であるので回転は必要と判定されるが、図1に示したシステムでは奇数席を優先して回転させることから偶数席である座席3bは回転待ちとなる(T7)。なお、自身が奇数席か偶数席かは付与されたアドレスに基づいて判断すればよい。
座席3cでは、回転方向情報(下り方向)と、自身の現在の向き(上り方向)と、隣接する座席3の状態情報(座席3b=上り方向、座席3d=上り方向)とに基づいて回転の可否を判定する。座席3cの場合、回転方向情報と現在の向きが不一致であるので回転は必要と判定され、さらに奇数席であり前後の座席が回転中でないので、制御部32が制御モータ33を制御して回転を開始させる(T8)。
座席3dでは、回転方向情報(下り方向)と、自身の現在の向き(上り方向)と、隣接する座席3の状態情報(座席3c=上り方向)とに基づいて回転の可否を判定する。座席3dの場合、回転方向情報と現在の向きが不一致であるので回転は必要と判定されるが、図1に示したシステムでは奇数席を優先して回転させることから偶数席である座席3dは回転待ちとなる(T9)。
次に、座席3aでは、T6での判定結果を受けて状態情報(下り方向、回転終了)を他の座席3b~3dに対してマルチキャストで送信させる(T10)。座席3bでは、T7での判定結果を受けて状態情報(上り方向)を他の座席3a、3c、3dに対してマルチキャストで送信させる(T11)。座席3cでは、T8での判定結果を受けて状態情報(回転中)を他の座席3a、3b、3dに対してマルチキャストで送信させる(T12)。座席3dでは、T9での判定結果を受けて状態情報(上り方向)を他の座席3a~3cに対してマルチキャストで送信させる(T13)。
次に、座席3aでは、自身の現在の向き(下り方向)と、隣接する座席3の状態情報(座席3b=上り方向)とに基づいて回転の可否を判定する。ここでは、T6と同様に回転は不要と判定され回転動作は行われない(T14)。座席3bでは、回転方向情報(下り方向)と、自身の現在の向き(上り方向)と、隣接する座席3の状態情報(座席3a=下り方向、回転終了、座席3c=回転中)とに基づいて回転の可否を判定する。ここでは、T7と同様に回転は必要と判定されるが、座席3cが回転中であるので回転待ちとなる(T15)。即ち、前又は後ろの座席が回転中である場合は回転不可と判定している。
座席3cでは、回転方向情報(下り方向)と、自身の現在の向き(回転中)と、隣接する座席3の状態情報(座席3b=上り方向、座席3d=上り方向)とに基づいて回転の可否を判定する。ここでは、T8での判定結果を受けて回転中となっているので、そのまま回転を継続させる(T16)。座席3dでは、回転方向情報(下り方向)と、自身の現在の向き(上り方向)と、隣接する座席3の状態情報(座席3c=回転中)とに基づいて回転の可否を判定する。ここでは、T9と同様に回転は必要と判定されるが座席3cが回転中であるので回転待ちとなる(T17)。
次に、座席3aでは、T14での判定結果を受けて状態情報(下り方向、回転終了)を他の座席3b~3dに対してマルチキャストで送信させる(T18)。座席3bでは、T15での判定結果を受けて状態情報(上り方向)を他の座席3a、3c、3dに対してマルチキャストで送信させる(T19)。座席3cでは、T16での判定結果を受けて状態情報(下り方向、回転終了)を他の座席3a、3b、3dに対してマルチキャストで送信させる(T20)。座席3dでは、T17での判定結果を受けて状態情報(上り方向)を他の座席3a~3cに対してマルチキャストで送信させる(T21)。
次に、座席3aでは、自身の現在の向き(下り方向)と、隣接する座席3の状態情報(座席3b=上り方向)とに基づいて回転の可否を判定する。ここでは、T14と同様に回転は不要と判定され回転動作は行われない(T22)。座席3bでは、回転方向情報(下り方向)と、自身の現在の向き(上り方向)と、隣接する座席3の状態情報(座席3a=下り方向、回転終了、座席3c=下り方向、回転終了)とに基づいて回転の可否を判定する。ここでは、T7等と同様に回転は必要と判定され、さらに座席3a、3cとも回転終了しているので偶数席である本座席3bの回転を開始する(T23)。
座席3cでは、回転方向情報(下り方向)と、自身の現在の向き(下り方向)と、隣接する座席3の状態情報(座席3b=上り方向、座席3d=上り方向)とに基づいて回転の可否を判定する。ここでは、回転方向情報と現在の向きが一致するので回転は不要と判定され回転動作は行われない(T24)。座席3dでは、回転方向情報(下り方向)と、自身の現在の向き(上り方向)と、隣接する座席3の状態情報(座席3c=下り方向、回転終了)とに基づいて回転の可否を判定する。ここでは、T9と同様に回転は必要と判定され、さらに座席3cが回転終了しているので偶数席である本座席3dの回転を開始する(T25)。
次に、座席3aでは、T22での判定結果を受けて状態情報(下り方向、回転終了)を他の座席3b~3dに対してマルチキャストで送信させる(T26)。座席3bでは、T23での判定結果を受けて状態情報(回転中)を他の座席3a、3c、3dに対してマルチキャストで送信させる(T27)。座席3cでは、T24での判定結果を受けて状態情報(下り方向、回転終了)を他の座席3a、3b、3dに対してマルチキャストで送信させる(T28)。座席3dでは、T25での判定結果を受けて状態情報(回転中)を他の座席3a~3cに対してマルチキャストで送信させる(T29)。
次に、座席3aでは、自身の現在の向き(下り方向)と、隣接する座席3の状態情報(座席3b=上り方向)とに基づいて回転の可否を判定する。ここでは、T22と同様に回転は不要と判定され回転動作は行われない(T30)。座席3bでは、回転方向情報(下り方向)と、自身の現在の向き(回転中)と、隣接する座席3の状態情報(座席3a=下り方向、回転終了、座席3c=下り方向、回転終了)とに基づいて回転の可否を判定する。ここでは、T23での判定結果を受けて回転中となっているので、そのまま回転を継続させる(T31)。
座席3cでは、回転方向情報(下り方向)と、自身の現在の向き(下り方向)と、隣接する座席3の状態情報(座席3b=回転中、座席3d=回転中)とに基づいて回転の可否を判定する。ここでは、T24と同様に回転は不要と判定され回転動作は行われない(T32)。座席3dでは、回転方向情報(下り方向)と、自身の現在の向き(回転中)と、隣接する座席3の状態情報(座席3c=下り方向、回転終了)とに基づいて回転の可否を判定する。ここでは、T23での判定結果を受けて回転中となっているので、そのまま回転を継続させる(T33)。
次に、座席3aでは、T30での判定結果を受けて状態情報(下り方向、回転終了)を他の座席3b~3dに対してマルチキャストで送信させる(T34)。座席3bでは、T31での判定結果を受けて状態情報(下り方向、回転終了)を他の座席3a、3c、3dに対してマルチキャストで送信させる(T35)。座席3cでは、T32での判定結果を受けて状態情報(下り方向、回転終了)を他の座席3a、3b、3dに対してマルチキャストで送信させる(T36)。座席3dでは、T33での判定結果を受けて状態情報(下り方向、回転終了)を他の座席3a~3cに対してマルチキャストで送信させる(T37)。
次に、座席3aでは、自身の現在の向き(下り方向)と、隣接する座席3の状態情報(座席3b=上り方向、回転終了)とに基づいて回転の可否を判定する。ここでは、T30と同様に回転は不要と判定され回転動作は行われない(T38)。座席3bでは、回転方向情報(下り方向)と、自身の現在の向き(下り方向)と、隣接する座席3の状態情報(座席3a=下り方向、回転終了、座席3c=下り方向、回転終了)とに基づいて回転の可否を判定する。ここでは、回転方向情報と現在の向きが一致するので回転は不要と判定され回転動作は行われない(T39)。
座席3cでは、回転方向情報(下り方向)と、自身の現在の向き(下り方向)と、隣接する座席3の向き(座席3b=下り方向、回転終了、座席3d=下り方向、回転終了)とに基づいて回転の可否を判定する。ここでは、T32と同様に回転は不要と判定され回転動作は行われない(T40)。座席3dでは、回転方向情報(下り方向)と、自身の現在の向き(下り方向)と、隣接する座席3の向き(座席3c=下り方向、回転終了)とに基づいて回転の可否を判定する。ここでは、回転方向情報と現在の向きが一致するので回転は不要と判定され回転動作は行われない(T41)。このようにして、座席3a~3cの下り方向への回転が完了する。
図5は、制御部32における動作を示したフローチャートである。まず、回転方向設定36に回転方向を設定することで回転指令が入力される(S1)。すると、制御部32は、回転指令を含む回転方向情報を他の座席3に送信すべく発光部34を制御して赤外光として通信機能付室内灯2へ送信する(S2)。
また、回転方向設定部36から回転方向が設定されない場合は、制御部32は、通信機能付室内灯2から可視光通信で回転方向情報を受光部31を介して取得する(S3)。
回転方向情報(回転指令)を取得すると、制御部32は、自席及び前後の座席の状態情報を取得する(S4)。自席の状態は、検出部35の検出結果から取得する。前後の座席の状態情報は通信機能付室内灯2から送信される状態情報から取得する。前後の座席は、例えば上述したように送信元のアドレスから識別すればよい。
次に、制御部32は、自席の状態を確認する(S5)。自席の状態(座席の向き)が回転方向情報と同じ場合は回転動作をさせずに終了する。自席の状態(座席の向き)が回転方向情報と異なる場合又は回転中の場合は前後の座席の状態を確認する(S6)。
S6の結果回転可能である場合は、制御部32は、制御モータ33を制御して座席を回転させる(S7)。一方、S6の結果回転不可である場合は、制御部32は、座席の回転を停止させる(S8)。即ち、制御部32は、検出部35が検出した座席の状態と、受光部31が受信した他の座席の状態と、に基づいて座席3の回転の可否を判定し、回転が可能と判定した場合は、制御モータ33を駆動して座席を回転させる制御部として機能する。
ここで、回転不可な状態とは、前席又は後席が回転中、前席又は後席のテーブルが未収納、前席又は後席のレッグレストが未収納、前席又は後席のリクライニングが未収納、前席又は後席の着座が検知、前席又は後席の足元荷物の検知、回転中座席の合計が規定数を超えた等が挙げられる。回転中座席の合計が規定数とは、制御モータ33へ供給する電流の上限により設定される数である。
S7またはS8を実行後はS4を再度実行して自席及び前後の座席の状態情報を取得する。以降は回転方向情報と同じ方向となり終了となるまで繰り返す。
本実施形態によれば、座席制御装置30は、座席3の状態を検出する検出部35と、前後の座席3へ座席3の状態を送信する発光部34と、前後の座席3から状態情報を受信する受光部31と、検出部35が検出した座席3の状態と、受光部31が受信した前後の座席3の状態情報と、に基づいて座席3の回転の可否を判定し、回転が可能と判定した場合は、制御モータ33を駆動して座席3を回転させる制御部32と、を備えている。このようにすることにより、座席3の状態を座席3自身が検出して回転するので、人手による確認作業を簡素化することが可能となり、人手による確認作業の負担を軽減して座席3を回転させることができる。
また、制御部32は、受光部31が受光した前後の座席3の状態から当該前後の座席3が回転中である場合は、回転不可と判定するので、前後の座席3が回転中で座席3同士が接触する可能性がある場合は回転を行わないようにすることができる。
また、検出部35は、座席3の向きを検出するので、既に指定された向きになっている座席3は回転させずに、回転が必要な座席3のみを回転させることができる。したがって、回転時に消費する電力を削減することができ、さらに、複数の座席3の回転に要する時間を短縮することが可能となる。
また、検出部35は、座席3のリクライニング、レッグレスト、テーブルの状態を検出しているので、これらが復帰位置にある場合にのみ回転させることができる。また、座席3の足元の荷物や着座の有無をしているので、これらの状態が検出された場合は回転させないようにすることができる。
また、制御部32は、複数の座席3の回転方向情報及び状態情報に基づいて回転の要否を判定するので、例えば、全座席を進行方向に向ける配置に自動的に変更することができる。
また、座席3は無線通信を行うように構成されているので、複数の座席間を接続する配線を削減することができる。そして、座席3は可視光通信を行うので、電波による無線通信と異なり、車外や隣接車両へ放射される可能性が低下させて車外等から不適切なアクセスがなされないようにすることができるため適切なセキュリティ対策を行うことができる。また、電波は客室内の受信位置で感度が変化する場合があるので感度の対策が不必要となる。
さらには、通信機能付室内灯2は、鉄道車両の室内に設置されている照明装置であるので、照明装置が通信装置の機能を兼ねることができ、通信専用の装置を設置するスペースが不要で当該装置を追加するためのコストを削減することができる。
なお、上述した実施形態では、通信機能付室内灯2を中継器として座席3間の通信を行っていたが、直接座席3間で通信を行うようにしてもよい。つまり、本発明は、通信機能付室内灯2等の中継器といった間接的に前後の座席の状態を取得したりするものも含む。
また、上述した実施形態では、前後の座席3が回転中の場合に制御部32は回転不可(回転待ち)と判定していたが、それに限らない。例えば、前後の座席3が上述した故障や回転不可の場合も自席は回転不可と判定してもよい。これは、例えば前後の座席のリクライニングやレッグレスト等が故障により復帰位置に戻らない場合は自席が回転すると前後の座席の背もたれやレッグレストと接触する場合があるためである。つまり、状態情報として故障や回転不可との情報が含まれている場合は回転不可としてもよい。
また、上述した実施形態では、座席の向きが必須であったが、それに限らない。例えば、座席の可動部材の状態や座席の周囲の物体の検出の情報があれば、少なくともその座席や前後の座席が回転できる状態か否かを判断することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の座席制御装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。